説明

遊技場用管理システム

【課題】遊技台に関する遊技情報が異常であるか否かを判断するための許容範囲を適切に設定できる遊技場用管理システムを提供すること。
【解決手段】遊技場用管理システム1を構成する場内管理装置3は、遊技信号の受信回数を集計して遊技情報を生成する遊技情報生成手段35と、遊技情報許容値を設定する場内設定手段33と、遊技情報許容値との比較により遊技情報の異常を判定する場内判定手段34と、を備え、場外管理装置2から受信した許容値情報を設定する外部設定モードと、独自の遊技情報許容値を設定する独自設定モードとを選択可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置した遊技台に関する遊技情報を管理するための遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スロットマシンやパチンコ機等の遊技台を複数設置した遊技場がある。遊技場では、ハードウェアの異常や、ソフトウェアの誤動作や、配線ミスや、不正行為の発生等、様々な要因により異常が発生するおそれがある。このような遊技場内の異常は、各遊技台に関する遊技情報に基づいて、いち早く検知し得る可能性がある。そこで、遊技場を管理する遊技場用管理システムとしては、例えば、各遊技台に関する遊技情報が許容範囲内にあるか逸脱しているかに基づいて異常の発生を検知しようとするシステムがある。
【0003】
このような遊技場用管理システムとしては、遊技台の機種毎の遊技情報の平均値を基準として許容範囲を設定し、当該許容範囲から逸脱する遊技情報を異常と判定するシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。この遊技場用管理システムでは、遊技場の管理者等の経験や勘等に基づいて上記平均値を基準とした許容範囲を設定している。
【0004】
しかしながら、上記従来の遊技場用管理システムでは、次のような問題がある。すなわち、上記のように遊技場の管理者等の経験や勘に基づいて設定した許容範囲の適否の判断が困難であり、異常を検知する際の精度を十分に確保できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−334369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、遊技台に関する遊技情報が異常であるか否かを判断するための許容範囲を適切に設定でき、異常を検知する際の精度を向上できる遊技場用管理システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技場内の遊技台を管理するために複数の遊技場の各々に設置された複数の場内管理装置と、上記複数の場内管理装置を管理するために遊技場外に設置された場外管理装置とを含み、上記場内管理装置と上記場外管理装置とが通信可能な状態で接続された遊技場用管理システムであって、
上記場内管理装置は、各遊技台側から遊技信号を受信する遊技信号受信手段と、遊技信号の受信回数を集計して遊技情報を生成する遊技情報生成手段と、上記遊技情報に関する許容上限値及び許容下限値のうちの少なくともどちらか一方である遊技情報許容値を特定可能な許容値情報を上記場外管理装置から受信する場内受信手段と、上記許容値情報に基づいて上記遊技情報許容値を設定する場内設定手段と、上記遊技情報が上記遊技情報許容値により特定される許容範囲を逸脱するか否かを判定し、逸脱する場合に上記遊技情報が異常である旨を特定することにより上記遊技情報の異常を判定する場内判定手段と、を備えていると共に、上記場内受信手段が受信した上記許容値情報に基づいて上記場内設定手段が上記遊技情報許容値を設定する外部設定モードと、上記許容値情報に基づく上記遊技情報許容値とは異なる別の遊技情報許容値を上記場内設定手段が設定する独自設定モードとを選択可能なように構成してあり、
上記場外管理装置は、上記場内設定手段が設定すべき上記遊技情報許容値を設定する場外設定手段と、
該場外設定手段が設定した遊技情報許容値に基づいた上記許容値情報を上記場内管理装置に向けて送信する場外送信手段と、を備えていることを特徴とする遊技場用管理システムにある(請求項1)。
【0008】
本発明の遊技場用管理システムは、遊技場内に設置された上記場内管理装置と、遊技場外に設置された上記場外管理装置とを通信可能な状態で接続したシステムである。この遊技場用管理システムでは、上記場外管理装置が送信する上記許容値情報を基にして上記場内設定手段が上記遊技情報許容値を設定し、当該遊技情報許容値に基づいて上記場内判定手段が上記遊技情報の異常を判定している。上記遊技場用管理システムによれば、上記許容値情報に基づく上記遊技情報許容値を上記複数の遊技場に対して設定することができる。
【0009】
さらに、上記場内管理装置では、上記許容値情報に基づく上記遊技情報許容値とは異なる別の遊技情報許容値を上記場内設定手段が設定する上記独自設定モードを選択可能である。そのため、独自の遊技情報許容値を設定したいといった要望や、遊技情報許容値の更新による管理の複雑化を抑制するため遊技情報許容値の自動更新を実施しないで欲しいといった要望等に対応可能である。本発明の遊技場用管理システムでは、このような遊技場側の多様な要望に対応しつつ、遊技場側で上記外部設定モードを選択可能であるため各遊技場の管理者が無用な気配りを要することなく適切な遊技情報許容値を設定可能となる。
【0010】
以上のように本発明の遊技場用管理システムは、上記場外管理装置側で設定した遊技情報許容値、または遊技場側で設定した遊技情報許容値に基づき、遊技場における遊技情報の異常を精度高く検出可能なシステムであり、遊技場側の多様な要望に対応可能な柔軟性の高いシステムである。
【0011】
本発明における遊技台としては、パチンコ玉を遊技媒体としたパチンコ機や、メダル等の遊技媒体としたスロットマシン等がある。さらに、スロットマシンとしては、メダル等を遊技媒体とした狭義のスロットマシンのほか、パチンコ玉を遊技媒体としたパロット(R)等であっても良い。
【0012】
また、パチンコ機である遊技台側から取り込む上記遊技信号としては、一定数量のパチンコ玉が使用されたことを表す打込信号(アウト信号、使用遊技媒体信号)、一定数量のパチンコ玉を払い出したことを表す払出信号(セーフ信号、払出遊技媒体信号)、大当たりが発生したことを表す大当たり信号(特別遊技状態信号)、いわゆるセブン機等において大当たり抽選の開始を表すスタート信号(役物作動信号)、いわゆる確変状態が発生したことを表す確変信号(特定遊技状態信号)等がある。一方、スロットマシンである遊技台側から取り込む上記遊技信号としては、メダル等が使用されたことを表す投入信号(アウト信号、使用遊技媒体信号)、メダル等を払い出したことを表す払出信号(セーフ信号、払出遊技媒体信号)、ゲームの開始を表すスタート信号(変動開始信号)、ボーナスゲーム等の特別遊技状態の発生を表すボーナス信号(特別遊技状態信号)、リプレイタイムに対応するRT信号やチャレンジタイムに対応するCT信号等の特定遊技状態信号等がある。
【0013】
また、上記場内管理装置は、上記遊技情報許容値の初期設定のみを外部設定モードで設定することも良い(請求項2)。
初期設定された遊技情報許容値がその後自動設定により随時変更されてしまうと、その変更履歴を管理しない限り、どのような条件で異常が検出されているかを把握出来なくなるおそれがあり、初期設定後の外部からの自動更新は止めて欲しいと考える遊技場もある。上記のように遊技情報許容値の初期設定のみに限って外部からの自動設定を許可する場合には、上記遊技情報許容値の自動更新は必要でないと考える遊技場にも対応可能になる。
また、上記場内管理装置は、上記遊技情報許容値との比較により上記遊技情報の異常を判定する場内判定手段と、該場内判定手段が異常であると判定した回数である異常回数を特定可能な情報である場内判定情報、及び当該場内判定情報に対応する上記遊技情報を上記場外管理装置に向けて送信する場内送信手段と、を備えており、
上記場外管理装置は、上記場内判定情報及び上記遊技情報を上記場内管理装置から受信する場外受信手段と、上記場内管理装置側から受信した上記場内判定情報及び上記遊技情報を出力する場外出力手段と、を備えていることも良い。
このような遊技場用管理システムでは、上記複数の遊技場から受信する上記場内判定情報及び上記遊技情報に基づいて、上記遊技情報許容値の適否を判断することができる。特に、上記遊技場用管理システムでは、管理する遊技台の台数が多いほど、上記場内判定情報及び上記遊技情報の精度が高くなり、一層、精度高く上記遊技情報許容値の適否を判断できるようになる。各遊技場においては、高精度な上記遊技情報許容値に基づいて精度高く上記遊技情報の異常を判定することができる。
上記場外出力手段が上記場内判定情報あるいは上記遊技情報を出力する方法としては、上記場外管理装置のモニター画面に表示する方法のほか、印字出力による方法等、様々な方法がある。さらに、上記場内判定情報及び上記遊技情報のうちの一方をモニター画面に表示する一方、他方を印字出力する等、異なる出力方法を組み合わせることも可能である。
【0014】
また、上記場外管理装置により複数の遊技場を管理する場合には、判定対象の遊技台の数を多く確保でき、上記場内判定情報等を多数、採取できるようになる。そして、上記場内判定情報等を多数、採取できれば、上記遊技情報許容値の適否を一層、信頼性高く判定可能である。
【0015】
また、上記場外設定手段は、上記異常回数の許容値である異常許容値を設定可能なように構成してあり、
上記場外管理装置は、上記場外受信手段を介して受信した上記場内判定情報に基づいて特定した上記異常回数と、上記異常許容値とを比較して上記場内判定情報が適正であるか否かを判定する場外判定手段とを備えており、上記場外出力手段は、上記場外判定手段による判定結果を出力するように構成してあることも良い。
【0016】
この場合には、上記場外判定手段による上記判定結果に基づいて、上記場外管理装置の管理者等が上記場内判定情報の適否を一層、精度高く判定できる。なお、上記異常回数と上記異常許容値とを比較して上記場内判定情報が適正であるか否かを判定する方法としては、例えば、上記異常回数が上記異常許容値以下であれば上記場内判定情報が適正であると判定する方法等がある。
【0017】
また、上記場内送信手段が送信する上記遊技情報は、上記場内判定手段が上記遊技情報の異常判定を行った回数である試行数、及び上記遊技情報の遊技台毎の平均値を特定可能な情報であり、
上記場外出力手段は、上記遊技情報に基づいて特定した上記試行数及び上記平均値を出力するように構成してあることも良い。
この場合には、上記場外出力手段を介して出力される上記試行数あるいは上記平均値に基づいて上記場内判定情報の信頼性の高さを評価できるようになる。例えば、上記遊技台の仕様、いわゆるスペックから予測される平均値に対して上記場外出力手段が出力する上記平均値が大きく異なっている場合には、遊技台に対して実際に実施された釘調整等の遊技台調整がスペックから予想される遊技台調整とは異なっている可能性が高く、上記場内判定情報の信頼性が十分ではないと評価できる。また、上記試行数が十分に高くない場合には、実際の稼動が遊技台について予想される稼動と相違している可能性が高く、上記場内判定情報の信頼性が十分ではないと評価できる。
【0018】
また、上記場外設定手段は、遊技台の機種毎に上記遊技情報許容値を設定可能なように構成してあり、上記場内設定手段は、遊技台の機種毎に上記遊技情報許容値を設定するように構成してあり、上記場外判定手段は、遊技台の機種毎に上記場内判定情報が適正であるか否かを判定するように構成してあり、
上記場外管理装置は、遊技台の機種毎に、上記場外判定手段による肯定的な判定結果の継続期間がしきい値以上となったときに上記遊技情報許容値が適正であると判定する許容値判定手段を備え、
上記場外出力手段は、上記許容値判定手段により上記遊技情報許容値が適正であると判定された遊技台の機種に関して上記場外判定手段が否定的な判定を行った場合に、当該遊技台の機種を特定可能な機種情報を出力するように構成してあることも良い。
【0019】
上記のごとく遊技情報許容値が適正であると判定された上記遊技台の機種に関する上記場内判定情報は、信頼性が高い情報であると推測できる。すなわち、当該遊技台の機種については、ハードウェアの異常や、ソフトウェアの異常や、配線異常等に基づく異常が発生する可能性が低いと推測し得る。それ故、このような上記場内判定情報に対して上記場外判定手段が否定的な判定を行う場合には、不正行為等に起因して異常な遊技情報が発生している可能性が高いと推測できる。
【0020】
経験上、遊技台に対する不正行為等は、不正を行い易い特定の機種に集中して発生する傾向がある。したがって、異常な遊技情報の発生源である遊技台の機種は、不正行為の対象として狙われている可能性がある。そこで、上記のごとく遊技台の機種を特定可能な上記機種情報を出力すれば、上記場外管理装置の管理者等が、不正行為の対象として狙われているおそれがある機種を把握できるようになる。
【0021】
また、上記場外出力手段は、上記許容値判定手段が上記遊技情報許容値が適正と判定した遊技台の機種のうち、上記場外判定手段が否定的な判定を行った頻度の相対的な度合いを表す序列情報を出力するように構成してあることが好ましい。
この場合には、上記場外管理装置の管理者等が、上記序列情報に基づいて、不正行為の対象として狙われている危険度の度合いを上記遊技台の機種毎に明確に把握できるようになる。
【0022】
また、上記場外出力手段は、上記独自設定モードにより設定された上記遊技情報許容値に基づく上記場内判定情報及び上記遊技情報を除いて、上記外部設定モードにより設定された上記遊技情報許容値に基づく上記場内判定情報あるいは上記遊技情報のみを選択的に出力可能であることも良い。
この場合には、上記独自設定モードが設定された遊技場の上記場内判定情報等を除外することで、各遊技場の自主性を尊重しながら上記遊技情報許容値の適否を精度高く判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1における、遊技場用管理システムのシステム構成を示すシステム図。
【図2】実施例1における、遊技場用管理システムの機器構成を示すシステム図。
【図3】実施例1における、場外管理装置が管理する遊技場データを説明する説明図。
【図4】実施例1における、場外設定手段を介して設定する遊技情報許容値を示す説明図。
【図5】実施例1における、第1の検出期間を説明する説明図。
【図6】実施例1における、第2の検出期間を説明する説明図。
【図7】実施例1における、場内設定手段が設定する遊技情報許容値を示す説明図。
【図8】実施例1における、アウト信号、セーフ信号及びスタート信号のいずれかを受信した際の異常判定処理の流れを示すフロー図。
【図9】実施例1における、大当たり信号あるいは確変信号を受信した際の異常判定処理の流れを示すフロー図。
【図10】実施例1における、大当たり間スタートの履歴を示す説明図。
【図11】実施例1における、場内管理装置による機種Aに関する遊技情報の集計結果を示す説明図。
【図12】実施例1における、場外管理装置による機種Aに関する遊技情報の集計結果を示す説明図。
【図13】実施例1における、場外管理装置による機種Aに関する場内判定情報の集計結果を示す説明図。
【図14】実施例2における、遊技場用管理システムのシステム構成を示すシステム図。
【図15】実施例2における、機種毎の異常率ランキングを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技台305の異常を検出する遊技場用管理システム1に関する例である。この内容について、図1〜図13を用いて説明する。
本例の遊技場用管理システム1は、図1及び図2に示すごとく、遊技場内の遊技台305を管理するために遊技場内に設置された場内管理装置3と、各遊技場の場内管理装置3を管理するために遊技場外に設置された場外管理装置2とを含むシステムである。この遊技場用管理システム1では、場内管理装置3と場外管理装置2とが通信可能な状態で接続されている。
上記場内管理装置3は、各遊技台305側から遊技データを取り込む遊技信号受信手段36と、遊技信号の受信回数を集計して遊技情報(遊技データ)を生成する遊技情報生成手段35と、遊技情報に関する許容上限値及び許容下限値のうちの少なくともどちらか一方である遊技情報許容値を特定可能な許容値情報を場外管理装置2から受信する場内受信手段32と、許容値情報に基づいて遊技情報許容値を設定する場内設定手段33と、遊技情報許容値との比較により遊技情報の異常を判定する場内判定手段34と、該場内判定手段34が異常であると判定した回数である異常回数を特定可能な情報である場内判定情報、及びこの場内判定情報に対応する遊技情報を場外管理装置2に向けて送信する場内送信手段31と、を備えている。
上記場外管理装置2は、場内管理装置3の場内判定情報及び遊技情報を受信する場外受信手段26と、場内設定手段33が設定すべき遊技情報許容値を設定する場外設定手段22と、該場外設定手段22が設定した遊技情報許容値に基づいた許容値情報を場内管理装置3に向けて送信する場外送信手段24と、場内管理装置3側から受信した場内判定情報及び遊技情報を出力する場外出力手段21と、を備えている。
以下に、この内容について詳しく説明する。
【0025】
本例の遊技場用管理システム1は、図1及び図2に示すごとく、場内管理装置3を含む場内システム30と、遊技場外に設置した場外管理装置2とを、例えば、インターネット等の公衆通信回線10を介して通信可能な状態で接続したものである。場外管理装置2は、公衆通信回線10を介して複数の場内システム30との間で各種データの送受信が可能である。なお、インターネット等の公衆通信回線10を採用する場合には、例えば、VPN(Virtual Private Network)技術等によりセキュリティレベルを高く確保することができる。さらに、公衆通信回線10としては、INS回線(Information Network System)を採用することも可能である。
【0026】
場外管理装置2では、図3に示すごとく、公衆通信回線10により構築されたネットワークにおける各場内管理装置3の所在を特定するIPアドレス、場内管理装置3に設定された交換レート、設置された遊技台305の機種を遊技場毎に管理している。ここで、交換レートとは、同価値の特定景品を得る為に必要な獲得玉数を意味している。本例では、交換レートとして、100円相当の景品への交換に要する玉数を規定している。なお、図3の交換レートは、交換レートの区分を規定したものである。例えば、交換レートの区分「25」は、25以上30未満の交換レートに対応し、区分「30」は、30以上35未満の交換レートに対応している。これに代えて、交換レートそのものを規定しても良いし、複数の区分を設けて入力する様にしても良い。
【0027】
以下の説明では、まず、場内システム30のシステム構成について説明し、その後、場外管理装置2及び場内管理装置3の構成を説明する。なお、次のように定義した略号を用いて本例の内容を説明する。
BS:通常遊技状態における払出遊技媒体数
BO:通常遊技状態における使用遊技媒体数
ベース:通常遊技状態における払出率(BS/BO)
ここで、上記通常遊技状態とは、遊技台305が実施する遊技状態のうち、特別遊技状態である大当たり状態や、特定遊技状態である確変状態等を除く通常の遊技状態を意味している。
【0028】
場内システム30は、図1及び図2に示すごとく、場内管理装置3を中心として構成したシステムである。場内システム30は、図1及び図2に示すごとく、場内管理装置3のほか、複数の遊技台305、遊技台305毎に設置した台ランプ及び玉貸機(図示略)、計数機(図示略)等を含むシステムである。場内システム30では、場内ネットワーク300を介して通信可能な状態で、遊技台305及び台ランプ等を場内管理装置3に接続してある。なお、図1では、中継器304を省略してある。
【0029】
本例の場内システム30では、図1及び図2に示すごとく、中継器304を介して各遊技台305を場内ネットワーク300に接続してある。場内管理装置3は、内蔵する通信ポート(図示略)を介して場内ネットワーク300に接続してある。本例の場内システム30では、場内ネットワーク300としてCAN(Controller Area Network)を採用している。なお、場内ネットワーク300としては、本例のCANに代えて、MOSTやイーサネット(R)などのLAN規格等、様々な仕様のものを採用することができる。
【0030】
遊技台305は、図1及び図2に示すごとく、大当たり抽選の結果に応じて大当たりを発生させる、いわゆるセブン機と呼ばれるパチンコ機である。遊技台305は、払出玉10玉ごとのセーフ信号、役物動作(本例のごとく特定の入賞口への入賞に応じて大当たり抽選を実施し、その大当たり抽選に基づいて図柄変動を行うセブン機が管理対象であれば、特定の入賞口への入賞に伴う大当たり抽選、あるいは図柄変動等。)を行ったことを表すスタート信号(役物動作信号)、大当たり状態(本例のセブン機では、大当たり図柄が表示されると共に特定の入賞口を開放し、出玉率が高くなる遊技状態。)であることを表す大当たり信号、高確率で大当たり抽選に当選させ得る確変状態であることを表す確変信号等を遊技信号として出力する。遊技信号の1つであるアウト信号は、遊技台305に対応して設置した玉回収装置(図示略。)が出力する信号である。玉回収装置は、遊技に使用されて回収された回収玉10玉毎にアウト信号を1回ずつ出力する。
【0031】
なお、本例の遊技台305に代えて、遊技者が打ち込みした玉数を表すアウト信号を直接出力する遊技台を採用することもできる。この場合には、上記玉回収装置を省略することができる。さらになお、上記遊技台305としては、本例のパチンコ機に限定されるものではなく、スロットマシン等の遊技台であっても良い。
【0032】
中継器304は、図2に示すごとく、遊技台305側から取り込むアウト信号、セーフ信号、スタート信号、大当たり信号、確変信号等の遊技信号を場内ネットワーク300上の通信データに変換する装置である。中継器304は、対応する遊技台305を特定する遊技台IDを関連付けした状態で、上記遊技信号を場内ネットワーク300に向けて送信する。
【0033】
次に、場外管理装置2は、図1及び図2に示すごとく、液晶ディスプレイよりなる表示手段201と、各種の演算処理を実行する装置本体203と、キーボード及びマウスを含む入力手段202とを備えている。この場外管理装置2は、装置本体203が内蔵する図示しない通信ポートを介して公衆通信回線10に接続されている。装置本体203は、演算処理を実行するCPUのほか、各種データを記憶するハードディスクドライブを備えている。場外管理装置2は、上記のごとく場外受信手段26、上記場外設定手段22、及び場外送信手段24としての各機能を有している。本例の場外管理装置2は、上記の構成のほか、場内判定情報が適正であるか否かを判定する場外判定手段25としての機能を有している。
【0034】
場外受信手段26は、図1及び図2に示すごとく、場内管理装置3から場内判定情報及び遊技情報を受信する手段である。場内判定情報は、上記のごとく場内管理装置3の場内判定手段34による判定結果を含む情報である。遊技情報は、上記のごとく場内管理装置3の遊技情報生成手段35が生成した情報である。場外受信手段26は、相互に関連付けられた状態で場内判定情報及び遊技情報を受信する。
【0035】
場外設定手段22は、図1、図2及び図4に示すごとく、上記遊技情報許容値、及び上記場内判定手段34が異常と判定した異常回数の許容値である異常許容値を、遊技台305の機種毎に設定する手段である。場外設定手段22では、入力手段202を利用して遊技情報許容値及び異常許容値を設定可能である。詳しくは後述するが、異常許容値は、遊技台305の機種毎の設置台数に対して異常率設定値を乗算して得た値である。
【0036】
ここで、図4に示す遊技情報許容値の決定方法について説明する。本例では、まず、遊技台305(図2)の各機種の仕様、いわゆるスペックに応じて各機種毎の遊技情報の平均値、及び異常判定の実施回数である試行数等を予測している。なお、平均値及び試行数を予測するに当たっては、平均的な利益に基づいて平均値及び試行数を予測するか、あるいは遊技台305に設定される代表的な調整に基づいて平均値及び試行数を予測することが良い。
【0037】
さらに、図1及び図4に示すごとく、上記のように予測した機種毎の平均値及び試行数に基づいてシミュレート計算を実施し、例えば、5%等、所定の割合で異常が検出されると予測される遊技情報許容値を決定している。なお、本例では、遊技場側で設定される交換レートに応じて遊技台305の調整が異なってくることを考慮し、図4に示すごとく、交換レート毎に上記遊技情報許容値を計算している。
【0038】
本例では、図4に示すごとく、各機種毎、25玉〜40玉まで5玉毎の4段階の交換レート毎に遊技情報許容値を設定している。同図中、「検出期間」は、異常検出の対象として設定した期間を表している。本例では、この検出期間として2種類の期間を設定している。第1の検出期間は、ゼロスタートで積算するBOが1000に到達するまでの期間である。第2の検出期間は、通常遊技状態での大当たり、つまり確変状態を除いて大当たりが5回発生する間の期間である。
【0039】
ここで、第1及び第2の検出期間について、図5及び図6を利用して詳しく説明する。図5は、第1の検出期間、及び異常判定タイミングを示しており、図6は、第2の検出期間、及び異常判定タイミングを示している。図5及び図6では、かぎ形状で括った区間が各検出期間を示し、○印が異常判定タイミングを表している。図5に示す第1の検出期間は、BO(後述する判定用アウト)が1000増加するまでの期間であり、異常判定タイミングは、BOが1000増える毎の時点である。図6に示す第2の検出期間は、通常遊技状態での大当たりが5回発生する期間であり、異常判定タイミングは、5回目の大当たりが発生した時点である。第2の検出期間に対する異常判定タイミングは、通常遊技状態における5回目以降の大当たり毎である。
【0040】
さらに、図4中の「項目」は、異常検出の種類である異常種別を表している。本例では、異常検出の種類として以下の3種類を設定してある。第1の異常検出は、上記第1の検出期間におけるベースの異常を検出する「ベース異常」である。第2の異常検出は、上記第1の検出期間におけるスタート回数(以下、スタート回数S1という。)の異常を検出する「スタート異常」である。第3の異常検出は、上記第2の検出期間におけるスタート回数(以下、スタート回数S2という。)の異常を検出する「連続大当たり異常」である。
【0041】
図4中の「許容値」は、上記のごとく計算した遊技情報許容値を示している。ベース異常では、上記第1の検出期間におけるベースの許容範囲が遊技情報許容値により規定されている。スタート異常では、上記第1の検出期間におけるスタート回数S1の許容範囲が遊技情報許容値により規定されている。連続大当たり異常では、上記第2の検出期間におけるスタート回数S2の下限が遊技情報許容値により規定されている。
【0042】
場外送信手段24は、図1〜図4に示すごとく、場外設定手段22を利用して設定した遊技情報許容値(図4)に基づく許容値情報を場内管理装置3に向けて送信する手段である。本例の遊技場用管理システム1では、図3に示すごとく、場外管理装置2が各遊技場の場内管理装置3のIPアドレス、各遊技場が採用する交換レート、及び各遊技場に設置された遊技台305の機種を把握している。場外送信手段24が送信する許容値情報は、遊技場に設置された遊技台305の機種に対応する遊技情報許容値を適宜、選択したものである。
【0043】
場外判定手段25は、上記場外受信手段26を介して受信した場内判定情報中の異常回数(場内判定手段34が異常であると判定した回数。)と、上記のごとく場外設定手段22を介して設定した異常許容値とを比較して場内判定情報の判定結果が適正であるか否かを判定する手段である。
【0044】
場外出力手段21は、場外受信手段26を介して受信した遊技情報、場内判定情報、及び場外判定手段25による判定結果等を出力する手段である。場外出力手段21は、表示手段201を介して機種毎の遊技情報の集計結果(例えば、図12参照。)、機種毎の場内判定情報の集計結果(例えば、図13参照。)を表示する。なお、機種毎の遊技情報の集計結果、及び機種毎の場内判定情報の集計結果については、場内管理装置3による異常判定処理の流れ(図8及び図9参照。)を説明した後、図12あるいは図13を参照して説明する。
【0045】
次に、場内管理装置3は、図1及び図2に示すごとく、液晶ディスプレイよりなる表示手段301と、各種の演算処理を実行する装置本体303と、キーボード及びマウスを含む入力手段302とを備えている。装置本体303は、演算処理を実行するCPUのほか、各種データを記憶するハードディスクドライブを備えている。場内管理装置3は、装置本体303が内蔵する図示しない通信ポートを介して公衆通信回線に接続されている。
【0046】
場内管理装置3は、図1及び図2を用いて上記したごとく、各遊技台305側から遊技信号を取り込む遊技信号受信手段36と、遊技信号を集計して遊技情報(遊技データ)を生成する遊技情報生成手段35と、上記許容値情報を場外管理装置2から受信する場内受信手段32と、許容値情報に基づいて遊技情報許容値を設定する場内設定手段33と、遊技情報許容値に基づいて遊技情報の異常を判定する場内判定手段34と、該場内判定手段34による判定結果を表す場内判定情報、及びこの場内判定情報に対応する遊技情報を場外管理装置2に向けて送信する場内送信手段31としての各機能を備えている。
【0047】
遊技信号受信手段36は、図1及び図2に示すごとく、各遊技台305側から遊技信号を受信して取り込む手段である。本例の遊技信号受信手段36が受信する遊技信号としては、アウト信号、セーフ信号、確変信号、大当たり信号等がある。本例の場内管理装置3では、大当たり発生状態に対応してフラグ値が1(オン状態)となる大当たりフラグ、及び確変状態に対応してフラグ値が1(オン状態)となる確変フラグを、遊技台305毎に設定してある。大当たりフラグは、大当たり信号の受信中にオン状態が設定され、それ以外はオフ状態が設定される状態フラグである。確変フラグは、確変信号の受信中にオン状態が設定され、それ以外はオフ状態が設定される状態フラグである。
【0048】
遊技情報生成手段35は、図1及び図2に示すごとく、上記第1の検出期間(図5参照。)あるいは上記第2の検出期間(図6参照。)における遊技信号の受信回数を集計して遊技情報を生成する手段である。本例の遊技情報生成手段35が生成する遊技情報(遊技データ)としては、ベース、役物動作の回数であるスタート回数がある。ベースは、BOの積算値が1000個に達するまでの期間である第1の検出期間を対象として集計される遊技情報である。スタート回数S1、S2は、上記第1の検出期間、あるいは通常遊技状態における大当たり回数が5回発生する期間である第2の検出期間を対象として集計される遊技情報である。上記のごとく、第1の検出期間において集計したスタート回数がS1であり、第2の検出期間において集計したスタート回数がS2である。
【0049】
なお、遊技情報生成手段35による大当たり回数やスタート回数等は、大当たり信号あるいはスタート信号の受信回数そのものである。一方、アウト数(打込玉数)やセーフ数(払出玉数)は、アウト信号あるいはセーフ信号を受信する毎に10玉分ずつ加算した値である。
さらにまた、遊技情報生成手段35は、場内判定手段34が異常を判定した回数である異常回数を遊技情報として集計している。遊技情報生成手段35が集計する遊技情報の内容については、場内管理装置3による異常判定処理の流れ(図8及び図9参照。)を説明した後、図11を参照して説明する。
【0050】
場内受信手段32は、図1、図2及び図7に示すごとく、遊技情報に関する許容上限値あるいは許容下限値を決定するために利用する許容値情報を場外管理装置2から受信する手段である。
場内設定手段33は、場内受信手段32を介して取り込んだ許容値情報に基づいて遊技情報許容値を決定する手段である。場内設定手段33は、許容値情報の中から、遊技場で採用する交換レートに対応する遊技情報許容値を選択し、図7に示すごとく場内管理装置3側の遊技情報許容値として設定する。同図に示すごとく、本例では、遊技情報のうち、ベース(ベース異常)及びスタート回数S1(スタート異常)に対しては、許容上限値及び許容下限値を設定している。一方、スタート回数S2(連続大当たり異常)に対しては、許容下限値のみを設定している。
【0051】
場内判定手段34は、図1に示すごとく、ベース、スタート回数S1、S2の異常を判定する手段である。上記のごとく、ベースの異常が「ベース異常」であり、スタート回数S1の異常が「スタート異常」であり、スタート回数S2の異常が「連続大当たり異常」である。場内判定手段34は、場内設定手段33が設定した遊技情報許容値と、遊技情報生成手段35が生成した遊技情報であるベース、スタート回数S1、S2とを比較して異常を判定する。場内判定手段34は、ベース、スタート回数S1、S2が許容上限値を上回ったか、許容下限値を下回ったとき、それぞれ、ベース異常、スタート異常、連続大当たり異常と判定する。
【0052】
場内送信手段31は、場内判定手段34による判定結果を含む場内判定情報、及びこの場内判定情報に対応する遊技情報を場外管理装置2に向けて送信する手段である。場内送信手段31は、場内判定情報と遊技情報とを関係付けて送信する。なお、場内管理装置3の表示手段301を利用して、場内判定情報及び遊技情報を出力することも良い。さらに、場内管理装置3に接続された印字装置等を利用して場内判定情報等を印字出力することも良い。
【0053】
以上のように構成した場内管理装置3が実施する異常判定処理の流れについて、図8〜図10を用いて説明する。図8は、アウト信号、セーフ信号及びスタート信号のいずれかを受信した際の異常判定処理の流れを示すフロー図である。図9は、大当たり信号あるいは確変信号を受信した際の異常判定処理の流れを示すフロー図である。図10は、大当たり発生毎の大当たり間スタート回数の履歴を記憶する大当たり履歴であり、スタート回数S2を説明するための説明図である。
【0054】
まず、アウト信号、セーフ信号及びスタート信号のうちのいずれかの信号を受信した際の異常判定処理の流れについて、図8を用いて説明する。
この異常判定処理では、まず、ステップS101のごとく、上記大当たりフラグ及び上記確変フラグのフラグ状態を判断する。大当たりフラグ及び確変フラグが共にオフ状態(ゼロ)である場合には、ステップS102に移行してアウト信号を受信したか否かを判断する。アウト信号を受信した場合には、ステップS103のごとく判定用アウトを10玉分、加算する。
【0055】
一方、アウト信号ではなくスタート信号を受信した場合(ステップS102、S113)には、ステップS114に移行して大当たり間スタート回数を1加算すると共に、ステップS115のごとくスタート回数S1を1加算する。また、アウト信号及びスタート信号ではなくセーフ信号を受信した場合(ステップS102、S113、S116)には、ステップS117のごとく払出遊技媒体数の積算カウンタである判定用セーフを10玉分、加算する。
【0056】
続くステップS104では、判定用アウトが1000に到達したか否かを判断する。判定用アウトが1000に達した場合には、まず、ステップS105のごとくスタート回数S1が許容値であるか否かを判断する。具体的には、スタート回数S1の値が、図7に示す許容下限値から許容上限値の範囲内にあるか否かを判断する。この範囲からスタート回数S1の値が逸脱していれば、ステップS126のごとくスタート異常と判定する。
【0057】
ステップS106では、ベースを算出する。具体的には、判定用セーフのカウンタ値を判定用アウトのカウンタ値である1000で除算することでベースを算出している。続くステップS107では、ベースが許容値であるか否かを判断する。具体的には、算出したベースが、図7に示す許容下限値から許容上限値の範囲内にあるか否かを判断する。この範囲からベースが逸脱していれば、ステップS128のごとくベース異常と判定する。その後、ステップS108では、判定用アウト、スタート回数S1、及び判定用セーフを全てゼロリセットする。
【0058】
次に、大当たり信号あるいは確変信号を受信した際の異常判定処理の流れについて、図9及び図10を参照しながら説明する。
この異常判定処理では、まず、ステップS201のごとく大当たりフラグのフラグ状態を判断する。大当たりフラグがオフ状態(ゼロ)である場合には、ステップS202のごとく大当たり信号の受信開始を判断する。大当たり信号の受信が開始された場合には、ステップS203のごとく大当たりフラグをオン状態(1)に設定する。一方、大当たりフラグがオン状態(1)である場合(ステップS201)には、ステップS221のごとく大当たり信号の受信が終了したか否かを判断する。大当たり信号の受信が終了した場合には、ステップS222のごとく大当たりフラグをオフ状態(ゼロ)に設定すると共に、ステップS223のごとく大当たり履歴(図10)に新しいレコードを作成する。
【0059】
ステップS204では、確変フラグのフラグ状態を判断する。確変フラグがオフ状態(ゼロ)である場合、すなわち通常遊技状態下で発生した大当たりである場合には、ステップS205のごとく大当たり履歴(図10)の「大当たり」欄に、通常遊技状態下での大当たりである旨を表す「通常」を記録する。さらに、ステップS206のごとく大当たり履歴の「大当たり間スタート」欄に大当たり間スタート(図8中のステップS114参照。)のカウンタ値を記録し、ステップS207のごとく大当たり間スタートのカウンタ値をゼロリセットする。一方、確変フラグがオン状態(1)である場合、すなわち確変状態下で発生した大当たりである場合には、ステップS224のごとく大当たり履歴(図10)の「大当たり」欄に、確変状態下での大当たりである旨を表す「確変」を記録する。
【0060】
ステップS208では、通常遊技状態で発生した大当たりの回数である通常大当たり回数が5回以上であるか否かを判断する。通常大当たり回数が5回以上であれば、ステップS209のごとく、通常遊技状態で発生した大当たりのうち直近5回分の大当たりについて大当たり間スタートを合算することにより上記スタート回数S2を算出する。例えば、図10の大当たり履歴におけるNo.10の「通常6」の大当たりが発生した際では、「通常2」の大当たり間スタートSである860、「通常3」の同345、「通常4」の同126、「通常5」の同46、及び「通常6」の同78との合計回数である1455回が、上記スタート回数S2として算出される。
【0061】
その後、ステップS210に移行し、上記のごとく算出したスタート回数S2が許容値であるか否かを判断する。具体的には、スタート回数S2が、図7に示す許容下限値以上であるか否かを判断する。スタート回数S2が許容下限値未満であれば、ステップS225のごとく連続大当たり異常と判定する。
【0062】
続くステップS211では、確変フラグのフラグ状態を判断する。確変フラグがオフ状態(ゼロ)である場合には、ステップS212のごとく確変信号の受信が開始されたか否かを判断する。確変信号の受信が開始された場合には、ステップS213のごとく確変フラグをオン状態(1)に設定する。一方、確変フラグがオン状態(1)である場合には、ステップS231のごとく確変信号の受信が終了したか否かを判断し、終了の場合にはステップS232のごとく確変フラグをオフ状態(ゼロ)を設定する。
【0063】
次に、上記のように場内管理装置3が集計した遊技情報及び場内判定情報について図11を用いて説明する。さらに、場外管理装置2による遊技情報の集計について図12を用いて説明し、場内判定情報の集計について図13を用いて説明する。
まず、図11に示すごとく、場内管理装置3が集計した遊技情報及び場内判定情報について説明する。同図は、台番1〜10の各遊技台305の遊技情報及び場内判定情報を一覧表示したものである。同図では、各遊技台305について、BO、ベース、BO1000に対するスタート回数の割合である平均スタート(総スタート÷(BO/1000)。図11中、スタート。)、通常遊技状態で発生した大当たりの回数(同図中、大当たり。)、ベース異常と判定した異常回数(同図中、ベース異常。)、スタート異常と判定した異常回数(同図中、スタート異常。)、連続大当たり異常と判定した異常回数(同図中、連続大当たり異常。)を示してある。なお、図11に示す遊技情報及び場内判定情報については、表示手段301あるいは図示しない印字手段を利用して出力することもできる。
【0064】
図12は、複数の遊技場から受信した機種Aに関する遊技情報の集計である。同図は、交換レート毎の遊技台305の設置台数、遊技台305毎のBOの平均値(同図中、台平均BO。)、ベース異常、スタート異常、連続大当たり異常等の各異常検出の試行数及び平均値の一覧である。試行数は、1日1台当たりの遊技情報を判定した回数の平均である。ベース異常及びスタート異常の試行数は、台平均BO÷1000(第1の検出期間)により算出される。連続大当たり異常の試行数は、平均大当たり数から4(異常検出を実施しない1〜4回目までの4回の大当たりに対応する値。)を差し引くことで近似値を算出可能である。平均値としては、集計対象となる全ての遊技台についての平均ベース、平均スタート、平均大当たりを示してある。
【0065】
なお、連続大当たり異常に関する試行数としては、上記のごとく近似値を算出しても良いし、場内管理装置3が実際に異常判定を行った回数であっても良い。さらに、ベース異常あるいはスタート異常の試行数としては、総アウト数(設置台数×台平均BO)に基づく近似値であっても良い。さらに、試行数そのものに代えて、試行数を特定可能な情報としてBO、総アウト数、大当たり回数を表示等することも良い。
【0066】
図13は、場外管理装置2による機種Aに関する場内判定情報の集計である。同図は、交換レート毎の設置台数、異常許容値、遊技情報が異常であると判定した回数(図13中、異常回数。)、及び設置台数に対する異常回数の割合である異常率の一覧である。本例の場外管理装置2は、同図のような異常情報の集計を遊技台305の機種毎に実施している。
【0067】
図12及び図13中の設置台数は、機種Aのうち、遊技情報を送信した遊技台305の台数を交換レート毎に区分した台数である。本例の設置台数は、複数日に渡る延べ台数である。設置台数としては、これに代えて、日毎の設置台数であっても良い。異常許容値は、設置台数に異常率設定値を乗じた値である。本例では、異常率設定値の下限値として設置台数の4%、上限値として設置台数の6%を設定している。異常回数は、場内管理装置3から受信した実際に異常であると判定した回数である。異常率は、設置台数に対する異常回数の割合であり、異常数÷設置台数により算出される値である。なお、本例では異常率設定値の上限値及び下限値を設定したが、上限値及び下限値のうちのどちらか一方を設定することもできる。さらに、例えば5%等の基準となる異常率を設定し、その±1%を異常率設定値として設定しても良いし、5%等の基準となる異常率自体を異常率設定値として設定することもできる。
【0068】
発明者らは、長年の経験上、遊技場の従業員が1日当たりに適切に、無理なく対応し得る異常検出回数は、設置台数の5%程度であろうと考えている。異常検出回数が設置台数の5%を超えると、異常を検出できても確認が疎かになってしまったり、誤検出が増えるおそれがある。一方、異常検出回数が設置台数の5%を下回ると異常の検出もれが多くなるおそれがある。そこで、本例では、上記のごとく、基準となる異常率を5%に設定し、その±1%を異常率設定値として設定している。
【0069】
図13に基づけば、場外判定手段25が場内判定情報の判定結果が適正でない旨の判定を実施でき、その判定結果を場外出力手段21を介して報知できる。同図に例示する場合では、交換レート区分「30」の「連続大当たり異常」の異常回数が異常許容値を満たしていない。それ故、場外判定手段25が、交換レート区分「30」の「連続大当たり異常」について場内判定情報の判定結果が適正でない旨、判定する。場外出力手段21は、適正でないと判定した場内判定情報に対応する遊技台305の機種、異常種類、交換レートを特定可能な状態で異常報知を実施する。異常報知の方法としては、例えば、図13中の異常回数を反転表示(黒地に白抜き文字を表示する等。)する方法等がある。
【0070】
以上のように、本例の遊技場用管理システム1は、場外管理装置2側で設定した遊技情報許容値の適否を判断し得る優れたシステムである。遊技場用管理システム1によれば、精度高く設定された遊技情報許容値に基づいて遊技情報の異常を高精度に検出できる。
なお、当然ながら、本例中の数値は全て例示である。また、本例では、管理対象となる遊技台305としてパチンコ遊技台を例としているが、これに代えて、スロットマシン等の他の遊技台を管理対象としても良い。スロットマシンの場合では、スタート信号に代えて、特別遊技状態以外の遊技者側に有利な特定遊技状態である確変状態やチャレンジタイム状態(CT状態)等が発生したことを表す特定遊技状態信号(確変信号、CT信号等)を取り込むことができる。
【0071】
なお、本例では、上記のごとく、遊技台305のスペック、平均値、試行数に基づいて遊技情報許容値を算出している。一方、図13中、交換レート区分「30」について例示するごとく異常許容値が特定する範囲から異常回数が逸脱している場合には、スペック、平均値及び試行数のいずれかに見当違いがあったと推測できる。そこで、この場合には、図12のような遊技情報の集計に基づいて遊技情報許容値を再設定することが好ましい。
【0072】
さらに、本例では、ベース異常、スタート異常、連続大当たり異常の3種類の異常を検出しているが、これに代えて、特定遊技状態における払出率の異常であるベースA異常、最低スタート回数未満で大当たりが発生するという異常である大当たり確率異常等の他の異常の検出について、本例の構成を適用することもできる。
【0073】
(実施例2)
本例は、実施例1の遊技場用管理システムを基にして、場外管理装置2の構成を変更した例である。この内容について、図14及び図15を用いて説明する。
本例の場外管理装置2は、図14に示すごとく、遊技台の機種毎に設定した遊技情報許容値の適否を判定する許容値判定手段23を追加すると共に、ベース異常、スタート異常、連続大当たり異常等の異常種別毎に、機種毎の異常率ランキングを表す序列情報(図15は、ベース異常に関する序列情報。)を出力するように場外出力手段21の構成を変更したものである。
【0074】
許容値判定手段23は、場外判定手段25による肯定的な判定の継続期間がしきい値以上となったとき、場内管理装置3の場内判定手段34に設定した遊技情報許容値が適正であると判定する。なお、本例では、上記肯定的な判定の継続期間のしきい値として、累計の設置台数が3000台に達した時点を設定してある。なお、このしきい値としては、累計の試行数が例えば、10万回に達した時点を設定することもできる。
【0075】
本例では、許容値判定手段23が適正と判定した遊技情報許容値に基づく場内判定情報について、場外判定手段25が否定的な判定を行った場合に、当該場内判定情報の発生源である遊技台305の機種を特定可能な機種情報を生成する。さらに、本例の場外出力手段21は、図15に示すごとく、異常率が5%(異常率設定値)を上回った機種の異常率ランキングを表す序列情報を出力する。同図は、5%以上の異常率(機種毎の総設置台数÷総異常数、なお、交換レート区分による区別なし。)の機種毎の序列情報を、ベース異常について例示するものである。
【0076】
なお、本例では、30日間の対象期間中、日毎に場内判定情報を集計(実施例1における図13参照。)している。そして、対象期間中の日毎の異常率の中で最大の異常率を機種毎に抽出し、その異常率に応じて上記序列情報を作成している。この序列情報を含む機種情報は、場外管理装置2において表示出力あるいは印字出力するほか、インターネット回線10を介して場内管理装置3で出力可能である。
【0077】
異常率が異常率設定値を満たさない場合(異常回数が異常許容値を満たさない場合)は、遊技情報許容値に問題があるのではなく、不正行為が行われたために遊技情報が異常となったと判断し得る。そのため、上記序列情報が表す異常率ランキングにより、不正行為として狙われている機種が特定可能となる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0078】
なお、上記序列情報の出力に代えて、対象期間内で最大の異常率となった機種のみを出力することも有効である。
また、本例に代えて、対象期間中に基準異常率である5%を超えた日数についてのランキングを上記序列情報として出力することもできる。
【0079】
なお、本例では、許容値判定手段23が適正であると判定するためのしきい値として肯定的な判定の継続期間を設定したが、これに代えて、スペック等から想定される平均値や試行数の想定範囲を設けることもできる。この場合には、実際の平均値や試行数が想定範囲内にあるときに遊技情報許容値が適正であると判定する一方、想定範囲外であるときには遊技情報許容値が適正でないと判定できる。さらに、異常回数が異常許容値を超える場合には、その旨を報知すると共に遊技情報許容値が適正であるか否かを報知することが良い。遊技情報許容値が適正であるときの異常は不正行為に起因する可能性が高いと判断できる一方、遊技情報許容値が適正でないときの異常は遊技情報許容値の設定自体に起因する可能性が高いと判断できる。
【0080】
(実施例3)
本例は、実施例1の遊技場用管理システムを基にして、場内管理装置3における遊技情報許容値の設定自由度を高めた例である。本例の内容について、図12及び図13を参照して説明する。
本例の場内管理装置3は、場内受信手段32が受信した許容値情報に基づいて場内設定手段33が遊技情報許容値を設定する外部設定モードと、遊技場独自の遊技情報許容値を場内設定手段33が設定する独自設定モードとを選択可能なように構成してある。
【0081】
実施例1において図12及び図13のごとく例示した集計結果は、場外管理装置2において遊技情報許容値の適否等を判定するための重要な情報である。この集計結果に上記独自設定モード下の場内判定情報等が含まれると、上記遊技情報許容値の適否を判定する際の精度が損なわれるおそれがある。これに対して、本例は、場外管理装置2が図12及び図13のような集計を実施する際、独自設定モードによる遊技情報許容値に基づく場内判定情報及び遊技情報を除外できるように構成した例である。
【0082】
本例では、外部設定モード下の遊技情報等を除外して送信出力するように場内管理装置3を構成してある。それ故、場外管理装置2は、上記のごとく独自設定モードによる遊技情報許容値に基づく場内判定情報及び遊技情報を除外して、図12及び図13のような集計を実施可能である。場外出力手段21は、外部設定モードによる遊技情報許容値に基づく場内判定情報あるいは遊技情報のみを選択的に出力可能である。
【0083】
本例によれば、独自の遊技情報許容値を設定したいといった遊技場側の要望や、遊技情報許容値の更新による管理の複雑化を抑制するため遊技情報許容値の自動更新は実施しないで欲しいといった遊技場側の多様な要望に対応可能である。さらに、本例の構成によれば、遊技情報許容値の初期設定のみを外部設定モードで設定するという仕様の場内システムや、場外管理装置2側で設定した許容値情報を提示するのみで遊技情報許容値の設定自体は遊技場で独自に行うという仕様の場内システム等に対して幅広く対応可能である。さらに、場外管理装置2側の自動設定により遊技情報許容値を変更する場合についても、遊技場のニーズに合わせて、営業中に更新するか営業終了後に更新するかを選択可能に構成しておくことも良い。
【0084】
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
また、本例では、外部設定モード下の遊技情報等を除外して送信出力するように場内管理装置3を構成したが、これに代えて、外部設定モード下で生成された遊技情報及び場内判定情報を受信しないように場外管理装置2を構成したり、受信した遊技情報及び場内判定情報のうち外部設定モード下で生成されたものを除外して集計するように場外管理装置2を構成することも良い。
【符号の説明】
【0085】
1 遊技場用管理システム
10 公衆通信回線
2 場外管理装置
21 場外出力手段
22 場外設定手段
24 場外送信手段
25 場外判定手段
26 場外受信手段
3 場内管理装置
30 場内システム
300 場内ネットワーク
304 中継器
305 遊技台
31 場内送信手段
32 場内受信手段
33 場内設定手段
34 場内判定手段
35 遊技情報生成手段
36 遊技情報受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場内の遊技台を管理するために複数の遊技場の各々に設置された複数の場内管理装置と、上記複数の場内管理装置を管理するために遊技場外に設置された場外管理装置とを含み、上記場内管理装置と上記場外管理装置とが通信可能な状態で接続された遊技場用管理システムであって、
上記場内管理装置は、各遊技台側から遊技信号を受信する遊技信号受信手段と、遊技信号の受信回数を集計して遊技情報を生成する遊技情報生成手段と、上記遊技情報に関する許容上限値及び許容下限値のうちの少なくともどちらか一方である遊技情報許容値を特定可能な許容値情報を上記場外管理装置から受信する場内受信手段と、上記許容値情報に基づいて上記遊技情報許容値を設定する場内設定手段と、上記遊技情報が上記遊技情報許容値により特定される許容範囲を逸脱するか否かを判定し、逸脱する場合に上記遊技情報が異常である旨を特定することにより上記遊技情報の異常を判定する場内判定手段と、を備えていると共に、上記場内受信手段が受信した上記許容値情報に基づいて上記場内設定手段が上記遊技情報許容値を設定する外部設定モードと、上記許容値情報に基づく上記遊技情報許容値とは異なる別の遊技情報許容値を上記場内設定手段が設定する独自設定モードとを選択可能なように構成してあり、
上記場外管理装置は、上記場内設定手段が設定すべき上記遊技情報許容値を設定する場外設定手段と、
該場外設定手段が設定した遊技情報許容値に基づいた上記許容値情報を上記場内管理装置に向けて送信する場外送信手段と、を備えていることを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項2】
上記場内管理装置は、上記遊技情報許容値の初期設定のみを外部設定モードで設定する請求項1に記載の遊技場用管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−101135(P2012−101135A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21620(P2012−21620)
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【分割の表示】特願2007−63841(P2007−63841)の分割
【原出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】