説明

遊技場用管理装置

【課題】遊技場における配置場所に応じた集客効果を適切に把握し得る遊技場用管理装置を提供すること。
【解決手段】遊技場用管理装置1は、配置替前の所定期間の遊技データである第1の配置替データ及び配置替後の所定期間の遊技データである第2の配置替データを生成する配置替データ生成手段112と、配置替前の所定期間において想定される遊技データである第1の基準データ、及び配置替後の所定期間において想定される遊技データである第2の基準データを生成する基準データ生成手段113と、第1の配置替データに基づく第2の配置替データの変化度合いである第1の変化度合いと、第1の基準データに基づく第2の基準データの変化度合いである第2の変化度合いとを対比可能な比較データを出力する出力手段103と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置された遊技機の遊技データを管理するための遊技場用管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場では、定期的に遊技機を新台に入れ替えて集客効果を高く維持しようとしている。新台入替の際には、既存の遊技機の配置替が行われることがある。このような配置替が実施された際、配置替の実施前に集計された遊技データを基礎として、配置替の実施後に継続的に遊技データを集計する遊技場用管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、遊技場内で遊技機が配置される配置場所は、必ずしも集客効果が一定ではなく、配置場所に応じて集客効果に差異が生じる可能性が高い。例えば、遊技場内に設置されたテレビを視聴可能な配置場所や、遊技客の目に留まり易い配置場所等は高い集客効果を期待し得る一方、出入り口が間近に有り扉の開け閉めにより気温が上下し易い配置場所については集客効果が低くなるおそれがある。
【0004】
配置場所に応じた集客効果の違いを十分に考慮していない前記特許文献1の管理装置による遊技データに基づいて配置替を計画すると、配置替に起因して稼動率が予想外に増減するおそれがある。また、配置場所に応じた集客効果の違いを管理することも困難である。そこで、配置場所毎に遊技データを管理する遊技場用管理装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかしながら、上記従来の遊技場用管理装置では、次のような問題がある。すなわち、単に配置場所毎の遊技データを集計するのみでは、遊技機の機種に応じた集客効果の違いや、新台入替により導入されてからの経過期間に応じた集客効果の低下等による影響が包含されてしまうため、配置場所の違いによる集客効果を正しく判断できないおそれがある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−65686号公報
【特許文献2】特開平6−71035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、遊技場における配置場所に応じた集客効果を適切に把握し得る遊技場用管理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、遊技の進行に応じて遊技機側から出力される遊技信号を受信する受信手段と、
遊技場における遊技機の配置場所を表す遊技機IDに対応付けて、遊技機の機種を表す機種情報を記憶する機種情報記憶手段と、
前記遊技機IDの集合である配置グループを表すグループ情報を前記遊技機IDに対応付けて記憶するグループ情報記憶手段と、
前記受信手段による前記遊技信号の受信回数を基にして所定の演算処理により得られた遊技データを前記遊技機IDに対応付けて営業日毎に管理する遊技データ管理手段と、
遊技機の機種別の遊技データであって、所定の単位期間毎の基準となる遊技データである機種別遊技データを取り込む機種別遊技データ取込手段と、を備えた遊技場用管理装置であって、
遊技機の配置場所を変更する配置替が実施された際、配置替が実施された遊技機の機種について、当該機種が新台入替により導入されてから当該配置替が実施されるまでの期間を特定可能な期間情報と共に、配置替の実施前の遊技機ID及び配置替の実施後の遊技機IDの組み合わせを表す配置替情報を記憶する配置替情報記憶手段と、
前記機種情報記憶手段が記憶する前記機種情報、前記グループ情報記憶手段が記憶する前記グループ情報、前記配置替情報記憶手段が記憶する前記配置替情報、及び前記遊技データ管理手段が管理する前記遊技データに基づいて、配置替が実施された機種について、配置替の実施前の所定期間における遊技データである第1の配置替データ及び配置替の実施後の所定期間における遊技データである第2の配置替データを生成する配置替データ生成手段と、
前記配置替情報記憶手段が記憶する期間情報に基づいて前記配置替の実施前の所定期間に対応する単位期間を特定すると共に、当該単位期間について前記機種別遊技データ取込手段が取り込んだ機種別遊技データに基づいて前記配置替の実施前の所定期間において想定される遊技データである第1の基準データを生成する一方、
前記配置替情報記憶手段が記憶する期間情報に基づいて前記配置替の実施後の所定期間に対応する単位期間を特定すると共に、当該単位期間について前記機種別遊技データ取込手段が取り込んだ機種別遊技データに基づいて前記配置替の実施後の所定期間において想定される遊技データである第2の基準データを生成する基準データ生成手段と、
前記第1の配置替データに基づく前記第2の配置替データの変化度合いである第1の変化度合いと、前記第1の基準データに基づく前記第2の基準データの変化度合いである第2の変化度合いとを対比可能な比較データを出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用管理装置にある(請求項1)。
【0009】
本発明の遊技場用管理装置は、配置替の実施前の所定期間の前記第1の配置替データ及び配置替の実施後の所定期間の前記第2の配置替データを抽出する前記配置替データ生成手段と、前記配置替の実施前の所定期間に対応する前記第1の基準データ、及び前記配置替の実施後の所定期間に対応する前記第2の基準データを抽出する前記基準データ生成手段とを備えている。
【0010】
そして、本発明の遊技場用管理装置における出力手段は、前記第1の変化度合いと前記第2の変化度合いとを対比可能な前記比較データを出力する。ここで、前記第2の変化度合いは、配置替の対象の遊技機の機種についての遊技場での稼動期間(新台入替による導入後の期間)に応じた集客効果の変動による遊技データの変動度合いを表している。一方、前記第1の変化度合いは、遊技機の機種についての遊技場での導入期間に応じた集客効果の変動に加えて、配置替による配置場所の変更に伴う集客効果の変動に基づく遊技データの変動度合いを表している。したがって、前記第1の変化度合いと前記第2の変化度合いとを対比可能な前記比較データに基づけば、配置替の実施前後における遊技データの変化度合いの中から配置替が実施された遊技機の機種についての遊技場での稼動期間に応じた集客効果の変動度合いを排除しつつ、配置替による効果を正しく把握可能になる。
【0011】
以上のように、本発明の遊技場用管理装置は、配置場所に応じた集客効果を適切に把握し得るという優れた特性を備えた管理装置である。
【0012】
本発明の遊技場用管理装置が管理対象とする遊技機としては、パチンコ玉の入賞に応じてパチンコ玉を払い出すパチンコ機や、停止表示された図柄の組合せに応じてメダルを払い出すスロットマシン等がある。さらに、スロットマシンとしては、遊技媒体がメダルである遊技機には限定されず、パチンコ玉を遊技媒体としたパロット(R)等であっても良い。
【0013】
また、前記比較データとしては、前記各配置替データ及び前記各基準データの具体的な数値であっても良く、これらのデータを加工した2次データであっても良い。経験を積んだ遊技場の管理者等であれば、前記具体的な数値よりなる比較データに基づいて配置場所に応じた集客効果を精度高く把握し得る。一方、2次データよりなる比較データは、配置場所に応じた集客効果の度合いを示す指標となり得る。
【0014】
また、前記遊技場用管理装置は、遊技機の機種毎の遊技場への導入時期を含む導入情報、及び前記機種情報が関係付けられた状態の遊技データを管理対象とする複数の遊技場から取り込み、新台入替により当該機種が遊技場に導入されてから前記単位期間毎の所定数の遊技機当たりの遊技データを遊技機の機種毎に管理すると共に、当該遊技データを前記複数の遊技場に向けて送信可能なように構成された場外サーバ装置と通信可能な状態で接続されており、
前記機種別遊技データ取込手段は、前記場外サーバ装置から送信される機種毎の平均の遊技データを前記機種別遊技データとして取り込む手段であることが好ましい(請求項2)。
この場合には、前記機種別遊技データが大規模な母集団に基づくものとなり、精度が向上し得る。それ故、前記比較データの精度を一層、高めることが可能になる。
【0015】
また、前記第2の配置替データに対する前記第1の配置替データの割合である抽出変化率を前記第1の変化度合いとして算出する抽出変化率算出手段と、
前記第2の基準データに対する前記第1の基準データの割合である基準変化率を前記第2の変化度合いとして算出する基準変化率算出手段と、を備え、
前記出力手段が出力する前記比較データは、前記抽出変化率及び前記基準変化率を含むことが好ましい(請求項3)。
この場合には、配置替の対象の遊技機の機種自体の集客効果の変動に起因した遊技データの変動度合いを前記基準変化率として確実性高く把握できる。一方、遊技機の機種自体の集客効果の変動、及び配置替に起因した遊技データの変動度合いについては、前記抽出変化率として把握できる。したがって、前記抽出変化率と前記基準変化率との対比により、前記配置場所による集客効果の違いを把握できるようになる。
【0016】
また、前記基準変化率に対する前記抽出変化率の割合である配置変化率を算出する配置変化率算出手段を備え、前記出力手段が出力する前記比較データは、前記配置変化率を含むことが好ましい。この場合には、前記抽出変化率と前記基準変化率との相対関係を前記配置変化率として指標化できるようになる。
【0017】
また、前記基準変化率に対する前記抽出変化率の割合である配置変化率を算出する配置変化率算出手段と、
配置替の実施により異なる配置グループから特定の配置グループに配置替された際の配置変化率の平均値を、当該特定の配置グループについての配置グループ期待値として算出する期待値算出手段と、を備え
前記出力手段が出力する前記比較データは、前記配置グループ期待値を含むことが好ましい(請求項4)。
【0018】
この場合には、配置場所に応じた集客効果を前記配置グループ期待値として把握できるようになる。当該配置グループ期待値によれば、前記配置グループ毎の集客効果を精度良く把握できるようになる。前記配置グループ毎の集客効果を指標化し得るため、集客効果の判断に当たって経験等の必要性を低減できる。
【0019】
特に、前記配置グループ期待値に基づけば、前記配置グループに対する外的な要因を検討可能になる。例えば、配置グループ期待値が低い配置グループについては、何らかのマイナス要因の存在が考えられ、そのマイナス要因を排除すれば配置グループ期待値を向上できる可能性があることを把握できる。一方、配置グループ期待値が高い配置グループについては、何らかのプラス要因の存在を把握し得る。そのプラス要因を明確に把握できれば、当該プラス要因を他の配置グループに適用できるか否かの具体的な検討が可能になる。
【0020】
また、前記配置替データ生成手段は、前記遊技データ管理手段が管理する遊技データの中から前記配置替の実施前の所定期間、及び前記配置替の実施後の所定期間における遊技データを抽出し、当該遊技データから算出される当該各所定期間における所定数の遊技機当たりの平均遊技データを、当該所定数の遊技機により想定される前記第1及び第2の配置替データとして生成するように構成され、
前記基準データ生成手段は、前記機種別遊技データとして、前記所定期間に対応する単位期間に渡る遊技機1台当たりの遊技データを抽出すると共に、
当該機種別遊技データに対して前記所定数を乗じることにより、上記各所定期間において前記所定数の遊技機により想定される前記第1及び第2の基準データを生成することが好ましい(請求項5)。
【0021】
一般に遊技場において配置替えを行った場合、最も留意すべき点は、配置替えに伴って増台、あるいは減台された遊技機の台数を考慮した上で遊技データを算出しなければならない点にある。上記のように構成する場合には、遊技機の台数を前記所定数とした場合に仮想される累計の遊技データを特定するので、複数の配置替えのデータを統合する場合にも、配置替え前後の遊技機の台数を配置替え毎に特に考慮せずとも、前記配置替えにより変更された台数を考慮した配置替データ及び基準データを生成可能である。また、前記機種別遊技データとしては、遊技機1台当たりの遊技データを特定できる遊技データであれば良いので、その汎用性も高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技機2が設置された遊技場を管理する遊技場用管理装置1に関する例である。この内容について、図1〜図8を用いて説明する。
本例の遊技場用管理装置1は、図1に示すごとく、遊技の進行に応じて遊技機2側から出力される遊技信号を受信する受信手段131と、遊技場における遊技機2の配置場所を表す遊技機IDに対応付けて、遊技機2の機種を表す機種情報を記憶する機種情報記憶手段121と、遊技機IDの集合である配置グループ(以下、コースという。)を表すグループ情報を遊技機IDに対応付けて記憶するグループ情報記憶手段122と、受信手段131による遊技信号の受信回数を基にして所定の演算処理により得られた遊技データを遊技機IDに対応付けて営業日毎に管理する遊技データ管理手段111と、遊技機2の機種別の遊技データであって、所定の単位期間毎の基準となる遊技データである機種別遊技データを取り込む機種別遊技データ取込手段132と、を備えた管理装置である。
【0023】
この遊技場用管理装置1は、遊技機2の配置場所を変更する配置替が実施された際、配置替が実施された遊技機2の機種について、当該機種が新台入替により導入されてから当該配置替が実施されるまでの期間を特定可能な期間情報と共に、配置替の実施前の遊技機ID及び配置替の実施後の遊技機IDの組み合わせを表す配置替情報を記憶する配置替情報記憶手段123と、機種情報記憶手段121が記憶する機種情報、グループ情報記憶手段122が記憶するグループ情報、配置替情報記憶手段123が記憶する配置替情報、及び遊技データ管理手段111が管理する遊技データに基づいて、配置替が実施された機種について、配置替の実施前の所定期間における遊技データである第1の配置替データ及び配置替の実施後の所定期間における遊技データである第2の配置替データを生成する配置替データ生成手段112と、配置替情報記憶手段123が記憶する期間情報に基づいて前記配置替の実施前の所定期間に対応する単位期間を特定すると共に、当該単位期間について機種別遊技データ取込手段132が取り込んだ機種別遊技データに基づいて前記配置替の実施前の所定期間において想定される遊技データである第1の基準データを生成する一方、配置替情報記憶手段123が記憶する期間情報に基づいて前記配置替の実施後の所定期間に対応する単位期間を特定すると共に、当該単位期間について機種別遊技データ取込手段132が取り込んだ機種別遊技データに基づいて前記配置替の実施後の所定期間において想定される遊技データである第2の基準データを生成する基準データ生成手段113と、第1の配置替データに基づく第2の配置替データの変化度合いである第1の変化度合いと、第1の基準データに基づく第2の基準データの変化度合いである第2の変化度合いとを対比可能な比較データを出力する出力手段103と、を備えている。
以下、この内容について詳しく説明する。
【0024】
本例の遊技場用管理装置1(以下、単に管理装置1という。)は、図1に示すごとく、遊技場に設置された遊技機2を管理するための装置である。管理装置1は、遊技機2及び貸出機21等が接続された通信ネットワーク20に接続されている。各遊技機2は、個別に設置された貸出機21と共に中継器22を介して通信ネットワーク20に接続されている。本例では、図1に示すごとく、通信ネットワーク20としてCAN(Controller Area Network)を採用している。なお、通信ネットワーク20としては、本例のCANに代えて、MOSTやイーサネット(R)などのLAN規格等、様々な仕様のものを採用することができる。
【0025】
さらに、本例の管理装置1は、遊技場外に設置された場外サーバ装置5と公衆通信回線50を介して通信可能な状態で接続されている。場外サーバ装置5に対しては、遊技場毎に設置された複数の遊技場用管理装置が接続されている。なお、インターネット等の公衆通信回線50を採用する場合には、例えば、VPN(Virtual Private Network)技術等を利用することで、セキュリティレベルを高く確保可能である。さらに、公衆通信回線50としては、INS回線(Information Network System)や、INDS回線や、電話回線等、他の公衆回線を採用することもできる。
【0026】
管理装置1を含む遊技場側のシステムの構成を説明する前に、まず、場外サーバ装置5が管理する遊技データ等について説明する。
場外サーバ装置5は、図1及び図2に示すごとく、管理する各遊技場に設置された管理装置1と通信可能な状態で接続されている。場外サーバ装置5は、図2に示すごとく、遊技場毎の遊技機の導入情報を管理している。場外サーバ装置5は、遊技場に導入(新台入替)された遊技機の機種毎に、種別、配置場所を表す遊技機ID(いわゆる台番)、導入時期(稼動期間情報)を管理している。同図は、遊技場Xについて場外サーバ装置5が管理する遊技機の導入情報を例示している。場外サーバ装置5は、他の遊技場についても図2と同様の導入情報を管理している。
【0027】
さらに、場外サーバ装置5は、図1及び図3に示すごとく、遊技機2の機種毎に新台導入後の遊技データの推移を表す稼動推移情報を管理している。場外サーバ装置5は、各遊技場から受信した遊技データを集計して同図のような遊技データを生成している。本例の場外サーバ装置5が管理する機種別遊技データは、営業日1日遊技機1台当たりの平均の遊技データである。
【0028】
場外サーバ装置5は、該当機種が新台導入された時点を起点として遊技データを管理している。新台導入の時点は、遊技場毎にばらつきが生じる可能性がある。例えば、遊技場Xが機種Aを2006年10月5日に新台導入し、遊技場Yが機種Aを2006年10月15日に新台導入したようなケースでは、場外サーバ装置5は、遊技場Xにおける同年10月5日の週の機種Aの遊技データ、及び遊技場Yにおける同年10月15日の週の機種Aの遊技データを図3の1週目の遊技データとして集計する。本例では、場外サーバ装置5が図3に示すごとく管理する機種毎の遊技データが前記機種別遊技データとなっている。
【0029】
次に、遊技場側のシステムの構成について説明する。遊技機2、貸出機21、及び中継器22を説明してから管理装置1の構成を説明する。
本例の遊技機2は、図1に示すごとく、大当たり抽選の結果に応じて大当たりを発生させる、いわゆるセブン機と呼ばれるパチンコ機である。遊技機2は、払出玉10玉ごとのセーフ信号(払出信号)、役物動作(本例のごとく特定の入賞口(始動口)への入賞に応じて大当たり抽選を実施し、その大当たり抽選に基づいて図柄変動を行うセブン機が管理対象であれば、特定の入賞口への入賞に伴う大当たり抽選、あるいは図柄変動等。)を行ったことを表すスタート信号(役物動作信号)、大当たり状態(本例のセブン機では、大当たり図柄が表示されると共に特定の入賞口を開放し、出玉率が高くなる遊技状態。)であることを表す大当たり信号、高確率で大当たり抽選に当選し得る確変状態であることを表す確変信号(特別遊技状態信号)等を出力する。さらに、遊技機2に対応して設置した玉回収装置(図示略。)がアウト信号(打込信号)を出力する。玉回収装置は、遊技に使用されて回収された回収玉10玉毎にアウト信号(打込信号)を1回ずつ出力する。
【0030】
なお、本例の遊技機2に代えて、遊技者が打ち込んだ玉数を表すアウト信号を直接出力する遊技機を採用することもできる。この場合には、上記玉回収装置を省略することができる。さらになお、上記遊技機2としては、本例のパチンコ機に限定されるものではなく、スロットマシン等の遊技機であっても良い。さらに、セーフ信号を出力しない遊技機2については、遊技機2に遊技媒体を補給する補給装置が出力する補給信号をセーフ信号として取り込むことが可能である。また、始動口への入賞数を示す信号をスタート信号として受信したり、始動口への入賞率が高まるいわゆる時短状態等の確変状態以外の特別遊技状態であることを表す状態信号を特別遊技状態信号として受信することも良い。
【0031】
貸出機21は、図1に示すごとく、各遊技機2に対応して隣り合う遊技機2との台間スペースに設置された装置である。貸出機21は、貨幣を投入する貨幣投入口211と、遊技媒体としてのパチンコ玉を遊技機2に供給する貸玉ノズル210と、演出表示等を実施する液晶パネル212等を備えている。貸出機21は、遊技媒体の対価として100円が投入される毎に1回ずつ売上信号を発生し、中継器22を介して通信ネットワーク20に出力する。
【0032】
中継器22は、遊技機2側から取り込むアウト信号やセーフ信号や、貸出機21の売上信号等の遊技信号を通信ネットワーク20上の通信データに変換する装置である。この中継器22は、各遊技機2の遊技機IDを関連付けた状態で、アウト信号等の遊技信号を通信ネットワーク20に向けて送出する。
【0033】
次に、管理装置1は、図1に示すごとく、液晶ディスプレイを含む出力手段103と、各種の計算処理を実行する装置本体101と、キーボード及びマウスを含む入力手段102とを備えている。装置本体101は、演算処理を実行するCPU11のほか、ハードディスクドライブ、RAM、ROM等の記憶手段12、及び外部機器との入出力を行うI/O部13を備えている。装置本体101は、内蔵する通信ポートを介して通信ネットワーク20に接続されている。装置本体101は、通信ポートを介して各遊技機2のアウト信号等を受信する。
【0034】
記憶手段12は、図1に示すごとく、遊技場内に設置された遊技機のグループ情報を記憶するグループ情報記憶手段122、遊技場内に設置された遊技機の機種情報を記憶する機種情報記憶手段121、前記配置替情報を配置替の実施日と共に記憶する配置替情報記憶手段123、及び遊技データを記憶する遊技データ記憶手段124としての機能を備えている。
【0035】
グループ情報記憶手段122は、図1及び図4に示すごとく、遊技場内の遊技機の配置場所を表す遊技機IDの集合であるコース(配置グループ)を表すコースID(グループ情報)を遊技機IDに対応付けて記憶する手段である。図4は、例えば、遊技機ID:1〜16の遊技機2が、コースID:1のコース1に配置されていることを示している。
【0036】
機種情報記憶手段121は、図1、図5及び図6に示すごとく、遊技場内に設置された遊技機の機種を表す機種情報を遊技機ID毎に記憶する手段である。機種情報記憶手段121は、パチンコ機であるかパチスロ機であるかを表す種別、遊技機ID、導入時期、コースIDを、機種毎に記憶している。なお、図5は、機種情報及びグループ情報に基づいて作成された遊技場のレイアウト図である。同図は、各コースに設置された遊技機2の機種を示している。同図によれば、コースID:1、2、3・・・は、それぞれ、コース1、2、3・・・に対応し、例えば、コース1には、遊技機IDが1〜16の遊技機2が配置されている。
【0037】
図6は、遊技場に導入された機種毎の種別、遊技機ID、導入時期、コースIDを例示する図である。同図によれば、例えば、コースID:1であるコース1の中で、遊技機ID:1〜8に機種Aが配置され、遊技機ID:9〜16に機種Bが配置されている。また、機種Aの導入時期が2007年9月6日であり、機種Bの導入時期が2007年9月20日である。種別に示された「P」は、その機種がパチンコ機であることを表している。
【0038】
配置替情報記憶手段123は、図1及び図7に示すごとく、配置替の実施前後の配置替情報を機種毎に記憶する手段である。配置替情報とは、配置替の実施前後の遊技機IDの組み合わせを表す情報である。配置替情報記憶手段123は、遊技機の配置場所を変更する配置替が実施された際、機種毎に配置替の実施日と共に配置替情報を記憶する。
遊技データ記憶手段124は、遊技機IDが対応付けされた営業日毎の遊技データを記憶する手段である。
【0039】
図7は、遊技場Xにおける機種毎の配置替情報を例示している。同図では、配置替の実施前の設置台数、遊技機ID、配置日(配置替の実施日)、配置替の実施前の営業日の日数が機種毎に図示されている。例えば、機種Aについては、配置替の実施前では遊技機ID:1〜8(コースID:1)に設置されていたが、2007年10月4日に配置替が実施されて遊技機ID:65〜72(コースID:5)に設置されている。同図中、配置替の実施前営業日の欄は、配置替の実施前の営業日の日数を表している。例えば、機種Aの遊技機については、配置替の実施前の営業期間である2007年9月6日から2007年10月4日までの営業日が24日間となっている。なお、図7では、配置替が実施された順番で配置替情報を示している。
【0040】
I/O部13は、図1に示すごとく、遊技機から遊技信号を受信する受信手段131、及び場外サーバ装置5から機種別遊技データを取り込む機種別遊技データ取込手段132としての機能を備えている。
受信手段131は、遊技情報に対応する遊技信号を遊技機側から受信する手段である。受信手段131は、アウト信号、セーフ信号、スタート信号、大当たり信号、貸出信号等を受信する。
【0041】
機種別遊技データ取込手段132は、図1に示すごとく、場外サーバ装置5が格納する単位期間毎の機種別遊技データ(図3参照。)を取り込む手段である。本例では、単位期間として1週間が設定されている。また、本例の機種別遊技データ取込手段132が取り込む機種別遊技データとしては、営業日1日遊技機1台当たりの平均の使用玉数である平均アウトが設定されている。機種別遊技データ取込手段132は、配置替の実施前及び実施後の各所定期間の開始日が属する開始週、及び最終日が属する終了週の平均アウトを機種別遊技データとして取り込む。なお、機種別遊技データとして、遊技機単位の遊技データを特定できれば、単位期間当たりの累計アウト等を設定することもできる。
【0042】
出力手段103は、図1に示すごとく、第1の配置替データに基づく第2の配置替データの変化度合いである第1の変化度合いと、第1の基準データに基づく第2の基準データの変化度合いである第2の変化度合いとを対比可能な比較データ(図9を参照して後述する。)を出力する手段である。ここで、前記第1及び第2の配置替データは、遊技データ管理手段111が管理する遊技データ(図8を用いて後述する。)に基づいて、配置替データ生成手段112が生成する遊技データである。前記第1及び前記第2の基準データは、機種別遊技データ取込手段132が取り込む機種別遊技データ(図3参照。)に基づいて、基準データ生成手段113が生成する遊技データである。
【0043】
装置本体101は、図1に示すごとく、ソフトウェアプログラムの実行により、上述のごとく、遊技データ記憶手段124が記憶する遊技データを管理する遊技データ管理手段111、第1の配置替データ及び第2の配置替データを生成する配置替データ生成手段112、前記第1及び第2の基準データを生成する基準データ生成手段113、抽出変化率を算出する抽出変化率算出手段114、基準変化率を算出する基準変化率算出手段115、配置変化率を算出する配置変化率算出手段116としての各機能を実現している。
【0044】
遊技データ管理手段111は、図1及び図8に示すごとく、遊技機ID毎の遊技データを営業日毎に管理する手段である。遊技データ管理手段111は、遊技機ID毎にアウト、セーフ、スタート、大当り、差数、出玉率、売上金額、粗利金額等の遊技データを管理している。アウトは、遊技機に使用されたパチンコ玉(遊技媒体)の玉数を表している。アウトは、アウト信号の受信回数に10玉を乗じて算出される。セーフは、遊技機が払い出したパチンコ玉の玉数を表している。セーフは、セーフ信号の受信回数に10玉を乗じて算出される。スタートは、遊技機における役物作動数を表している。スタートは、スタート信号の受信回数を集計して算出される。大当りは、特別遊技状態発生回数を表している。大当りは、大当り信号の受信回数を集計して算出される。差数は、(アウト−セーフ)、つまり差引遊技媒体数を表している。出玉率は、払出率(セーフ÷アウト)を表している。売上金額は、貸出機21に投入された金額を表している。売上金額は、100円毎の貸出信号の受信回数に100円を乗じて算出される。粗利金額は、遊技場側の利益(売上金額−(売上金額÷貸出単価−差数)×交換単価)を表している。なお、本例の貸出単価は4円/1玉であり、交換単価は3円/1玉である。図8は、遊技場Xに設置された機種Aの各遊技機2について、ある営業日に実測された遊技データを例示している。
【0045】
配置替データ生成手段112は、図1及び図9に示すごとく、配置替の実施前後の所定期間の遊技データである第1及び第2の配置替データを生成する手段である。本例の第1の配置替データは、配置替の実施前の所定期間における遊技機2の遊技データである。第2の配置替データは、配置替の実施後の所定期間における遊技機2の遊技データである。なお、図9におけるホールデータ中の後述する平均アウト、累計アウト、及び対象アウトが前記各配置替データに相当している。
【0046】
基準データ生成手段113は、図1及び図9に示すごとく、前記配置替の実施前の所定期間において想定される第1の基準データ、及び前記配置替の実施後の所定期間において想定される第2の基準データを生成する手段である。基準データ生成手段113は、機種別遊技データ取込手段132が取り込んだ機種別遊技データ(営業日1日遊技機1台当たりの平均アウト)に基づいて、前記第1及び第2の基準データを生成する。なお、図9におけるサーバデータ中の後述する平均アウト、及び対象アウトが前記各基準データに相当している。
【0047】
抽出変化率算出手段114は、図1及び図9に示すごとく、前記第1の配置替データに対する前記第2の配置替データの変化度合い(第1の変化度合い)である抽出変化率を算出する手段である。抽出変化率算出手段114は、第2の配置替データを第1の配置替データにより除算することにより抽出変化率を算出する。なお、図9では、ホールデータ中の変化率として抽出変化率を示している。
【0048】
基準変化率算出手段115は、図1及び図9に示すごとく、前記第1の基準データに対する前記第2の基準データの変化度合い(第2の変化度合い)である基準変化率を算出する手段である。基準変化率算出手段115は、第2の基準データを第1の基準データにより除算することにより基準変化率を算出する。なお、図9では、サーバデータ中の変化率として基準変化率を示している。
【0049】
配置変化率算出手段116は、図1及び図9に示すごとく、基準変化率に対する抽出変化率の割合である配置変化率を算出する手段である。配置変化率算出手段116は、抽出変化率を基準変化率により除算することにより配置変化率を算出する。なお、図9では、コース変化率として配置変化率を示している。
【0050】
次に、以上のように構成された本例の管理装置1が出力する遊技デ−タについて、図9を用いて説明する。
同図には、配置替の実施前後の所定期間の機種毎の第1及び第2の配置替データ、及び当該所定期間に対応する第1及び第2の基準データが表示されている。同図中、左側のホールデータは、遊技場Xにおいて実測された遊技データである。また、同図中、右側のサーバデータは、機種別遊技データに基づいて想定される遊技データである。
【0051】
同図中の「種別」欄は、配置替の実施前であるか、配置替の実施後であるかを示している。台数は、集計対象の遊技機2の台数を示し、コースは、コースIDを示している。
ホールデータ中の平均アウトは、所定期間における営業日1日遊技機1台当たりの平均のアウトである。サーバデータ中の平均アウトは、所定期間に対応する期間(図6参照。)における営業日1日遊技機1台当たりの平均のアウトである。
【0052】
対象日は、開始日から終了日までの営業日数であり、所定期間に属する営業日の日数を示している。累計アウトは、集計対象期間における対象の遊技機の総アウト数を示している。対象アウトは、配置替の実施前後の平均アウトに基づいた集計対象遊技機の台数が所定数(本例では、8台。)であった場合の理論累計アウトを示している。対象アウト(理論累計アウト)は、平均アウト×対象日×所定数で算出される。なお、累計アウト÷台数×所定数により求めても良いし、台数=所定数である場合には、累計アウトをそのまま採用しても良い。ホールデータ中の変化率は、前記抽出変化率を示している。サーバデータ中の変化率は、前記基準変化率を示している。コース変化率は、前記配置変化率を示している。なお、平均アウトは、累計アウト÷対象日(24日間)÷台数により算出される。また、本例の抽出変化率及び基準変化率は、平均アウトについての変化率を示している。
【0053】
図9における開始日及び終了日は、前記所定期間の初日あるいは末日を表している。開始日及び終了日は、新台入替日からの営業日数を表している。例えば、開始日が1日であれば新台入替日からの営業日数が1日目であることを表し、終了日が24日であれば新台入替日からの営業日数が24日目であることを表している。本例では、配置替の実施前後の所定期間が一致するように開始日及び終了日を設定している。なお、配置替の実施後、配置替の実施前の設置期間を経過する前に再度、配置替が実施された場合には、その配置替の日が終了日として設定される。
【0054】
例えば、図9中のNo.9では、配置替の実施後から11日しか経過してないため、配置替の実施前の対象日が11日となるように配置替の実施前の開始日が設定されている。配置替の実施後の対象日が配置替の実施前の対象日に達することなく撤去、あるいは減台された場合も同様に開始日が設定される(No.3参照)。このような開始日の調整が必要ない場合には、新台入替日となる1日目が配置替の実施前の開始日となる。また、配置替の実施後の開始日は、配置替の実施前の終了日の翌営業日となる。
【0055】
例えば、図9中のNo.1では、配置替の実施前の対象日が24日であるので、配置替の実施後の対象日が24日となるように配置替の実施後の終了日が設定される。なお、配置替の実施後の対象日が配置替の実施前の対象日に達することなく撤去、あるいは減台された場合には、その時点が配置替の実施後の終了日として設定される。
なお、サーバデータにおける開始週及び終了週としては、ホールデータにおける開始日の対応週あるいは終了日の対応週が設定されている。
【0056】
以上のように、本例の管理装置1が出力する遊技データに基づけば、配置場所に応じた集客効果を適切に把握し得る。遊技場内の配置場所に応じた集客効果を適切に把握できれば、遊技機の配置替による効果を未然に予測でき、失敗のない配置替を実施できるようになる。
【0057】
なお、本例の機種別遊技データ取込手段132は、場外サーバ装置5から機種別遊技データを取り込むように構成されている。機種別遊技データ取込手段としては、本例に代えて、例えば、遊技機メーカ等が提供する稼動推移情報を参照して遊技場の従業員がキーボード入力した機種別遊技データを取り込む手段であっても良く、CD等の記録媒体に記憶された稼動推移情報に含まれる機種別遊技データを取り込む手段であっても良い。
【0058】
なお、本例では、配置替の実施前後における平均アウトに基づいて配置変化率(図9中のコース変化率)を算出したが、前記配置替データ及び前記基準データとして、スタート回数や、大当り数、あるいは売上金額等を採用して配置変化率を算出しても良い。もちろん、対象アウトや累計アウトに基づいて配置変化率を算出しても良い。さらに、簡易的に、平均アウトの変化率を配置変化率とすることも可能である。
またなお、場外サーバ装置5が機種毎の遊技データを管理する単位期間としては、本例の1週単位に代えて、3日単位、10日単位等、どのような単位期間を設定しても良い。
【0059】
なお、本例における遊技データのデータ項目や、数値等は全て例示であり、本例のほか、どのようなデータ項目を設定しても良い。
なお、本例では、遊技機としてパチンコ機を管理対象としているが、パチンコ機には限定されず、スロットマシン等、他の遊技機を管理対象としても良い。
なお、中継器22と管理装置1との間に介設される図示しない中継装置に、本例の管理装置1の機能を持たせることも良い。すなわち、本例の遊技場用管理装置とは、中継装置等を含めた広義の遊技場用管理装置を意味している。
【0060】
(実施例2)
本例は、実施例1の管理装置に基づいて、コース(配置グループ)の集客効果を表す指標値である配置グループ期待値の出力機能を追加した例である。この内容について、図1、図9及び図10を用いて説明する。
【0061】
本例の管理装置1は、実施例1で説明した構成に加えて、図示しない期待値算出手段を備えている。この期待値算出手段は、配置グループ(本例では、コース。)が発揮する集客効果の指標値である配置グループ期待値を算出する手段である。配置グループ期待値(本例では、コース期待値。)は、配置替の実施により異なるコースから特定のコースに配置替された際の配置変化率の平均値である。
【0062】
本例では、図10に示すごとく、配置変化率(本例では、コース変化率)を集計している。同図では、縦方向の欄に配置替の実施後の移動先のコースのコースIDを表すコース番号が規定され、横方向の欄に配置替の実施前の移動元のコースのコースIDを表すコース番号が規定されている。実施例1で説明したように図9のごとく算出されたコース変化率(配置変化率)は、図10における対応する欄のコース変化率としてそのまま集計される。例えば、図9におけるNo.5のコース変化率79.3%は、図10におけるコース3→2の場合のコース変化率としてそのまま集計されている。
【0063】
一方、同じ経路の配置替によるコース変化率の実績値が2件以上ある場合には、図10のコース変化率が次のように算出される。例えば、コース1→5は、図9中のNo.1及び6の2件ある。この場合、これら2件を通算した抽出変化率及び基準変化率が必要となる。抽出変化率の算出には、前記2件(No.1及び6)の配置替の実施前後の平均アウトが必要となる。図9のホールデータにおける配置替の実施前の平均アウトの集計は、2件の累計アウトの合計(7,084,800+23,100,560=30,185,360)を、対象日の合計(24+98=122)と台数の平均値((8+8)÷2=8)にて除した値(30,185,360÷122÷8=30,927.6)である。同様に、配置替の実施後の平均アウトは、((6,685,640+20,672,520)÷122÷8=28,030.9)である。これにより、抽出変化率は、配置替の実施前の平均アウトに対する配置替の実施後の平均アウトであるので、28,030.9÷30,927.6=90.6%となる。
【0064】
同様に、基準変化率は、配置替の実施前の平均アウト((7,870560+18,968,880)÷122÷8=27,499.4)に対する配置替の実施後の平均アウト((5,412,432+12,954,816)÷122÷8=18,818.9)であるから、18,818.9÷27,499.4=68.4%となる。
そして、図9中のNo.1及び6を通算したコース変化率は、図10のごとく、90.6%(抽出変化率)÷68.4%(基準変化率)=132.4%として算出される。
なお、これに代えて、図9中No.1のコース変化率137.2%と、No.6のコース変化率131.0%との平均値である134.1%を、コース1→5へのコース変化率として算出しても良い。なお、基準変化率を算出する際には、累計アウトの代わりに対象アウトを参照する必要があるが、抽出変化率を算出する場合に、累計アウトの代わりに対象アウトを参照すれば、台数の平均値を参照せずに、所定数(8台)で除算するだけ、あるいは配置替の実施前後で相殺されるので、台数を計算対象から除外することも可能となる。
【0065】
一方、図9のごとく算出された実績のコース変化率が存在しない場合のコース変化率の算出パターンには、次の2つのパターンがある。
第1のパターンは、コース変化率の逆数を利用して算出するパターンである。図9のごとくコース2→3へのコース変化率の実績値は存在していない一方、コース3→2のコース変化率の実績値が存在している(No.5)。そこで、コース2→3への配置替は、コース3→2への配置替の逆の効果が得られると仮定すれば、No.5のコース変化率の逆数126.0%がコース2→3のコース変化率として算出可能である。なお、ここまでの算出方法により求められるコース変化率を実績値、あるいは実績値に準じた値として区別可能な様にハッチングしている。また、これ以降、コース変化率の実績値の逆数についても実績値として説明する。
【0066】
第2のパターンは、コース変化率の実績値がなく、かつ、コース変化率の逆数も利用できない場合の算出パターンである。このパターンでは、移動元のコースが一致しており、移動先のコースが異なるコース変化率の実績値を利用してコース変化率を算出する。例えば、コース3→1へのコース変化率は、図10中で実績値が存在するコース5→1、及びコース5→3のコース変化率を利用して算出可能である。すなわち、コース5→1、コース5→3のコース変化率はそれぞれ75.5%、90.0%となっている。コース5を基準として考えたとき、コース1への配置替の期待値は75.5%であり、コース3への配置替の期待値は90.0%となる。したがって、コース3への配置替に対して、コース1への配置替の期待値の割合は、75.5%÷90.0%=83.9%となる。この期待値の割合が、コース3→1のコース変化率として算出可能である。
【0067】
また、異なる移動先コースに対して、複数の移動元コースが重複する実績値があれば、より精度高くコース変化率を算出可能である。例えば、図10では、移動先コース2及び5に対して各々、移動元コース3及び6の実績値が存在している。すなわち、移動元コース3及び6からコース2へのコース変化率はそれぞれ79.3%、88.3%であり、コース5へのコース変化率はそれぞれ111.1%、119.6%である。ここで、前者の平均(合計)値83.8%(167.6%)を移動元コース3及び6からコース2へ配置替した場合の期待値とし、後者の平均(合計)値115.4%(230.7%)を移動元コース3及び6からコース5へと配置替した場合の期待値として、両者の割合をコース2から5への期待値137.6%(115.4%÷83.8%)として算出する。すなわち、重複する複数の移動元コース(コース3及び6)から、異なる移動先コース(コース2及び5)へと移動した場合の各期待値の割合を、上述したコース3から1へのコース変化率の算出方法と同様にコース変化率として算出する。
【0068】
なお、それ以外のコース変化率については、上述の算出方法により算出されたコース変化率を利用して算出することも可能である。本例では、これによりコース変化率を全て算出し、移動先のコース毎のコース変化率の平均値を配置グループ期待値(本例では、コース期待値)として算出している。
【0069】
以上のように、本例の管理装置1は、対象となるコースを特定し、対応する遊技データを抽出して、上述したような所定の演算を実行して図10の集計データを算出する。このように算出された配置グループ期待値(コース期待値)に基づけば、コース毎の集客効果を定量的に把握することが可能になる。配置グループ期待値に基づいて、コース毎の外的な要因等を検討できるようになる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0070】
なお、次の手順により、コース変化率を算出する際の遊技データの母数を増加させることも可能である。例えば、コース2→4への配置替はNo.9(図9参照。)のみであるが、No.8のコース4→2への配置替時のコース変化率の逆数を算出すれば、コース2→4のコース変化率を集計する際に利用可能である。No.8のコース4→2のコース変化率の逆数は、(配置替の実施前後のサーバデータにおける対象アウト合計値の割合)÷(配置替の実施前後のホールデータにおける対象アウト合計値の割合)から算出可能である。これをNo.9のコース変化率である(配置替の実施前後のホールデータにおける対象アウト合計値の割合)÷(配置替の実施前後のサーバデータにおける対象アウト合計値の割合)に組み合わせると、コース2→4のコース変化率を次式により算出できる。
【0071】
すなわち、((No.8の配置替の実施後のサーバデータにおける対象アウト(4,316,824)+No.9の配置替の実施後のホールデータにおける対象アウト(2,408,384))÷(No.8の配置替の実施前のサーバデータにおける対象アウト(4,812,336)+No.9の配置替の実施前のホールデータにおける対象アウト(2,504,920)))÷((No.8の配置替実施後のホールデータにおける対象アウト(4,434,040)+No.9の配置替の実施後のサーバデータにおける対象アウト(1,638,912))÷(No.8の配置替の実施前のホールデータにおける対象アウト(7,330,560)+No.9の配置替の実施前のサーバデータにおける対象アウト(2,594,504)))という計算式により、コース2→4のコース変化率として150.2%が算出される。
【0072】
なお、配置変化率(コース変化率)や配置グループ期待値(コース期待値)に基づいて遊技データのシミュレーションを行うことも良い。例えば、コース1→5の配置替のシミュレートにおいて、コース1におけるアウトが30000である場合には、コース変化率(132.4%)に基づいてコース5におけるアウトを39720と算出したり、コース1のコース期待値(83.1%)に対するコース5のコース期待値(117.7%)の割合(141.6%)に基づきコース5のアウトを算出しても良い。さらになお、遊技データのシミュレーションを実施するに当たって、アウトに代えて、スタート回数や、大当り数、あるいは売上金額等についてのシミュレーションを実施することもできる。
【0073】
なお、図10中においてハッチングにより示す実績のコース期待値のみを管理対象としても良い。
さらになお、本例では、コース変化率(配置変化率)の平均値としてコース期待値(配置グループ期待値)を算出しているが、これに代えて、各コース変化率を算出する際の基礎となった平均アウトあるいは対象アウトに基づいてコース期待値を算出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例1における、遊技場用管理装置の構成を示すシステム図。
【図2】実施例1における、場外サーバ装置が遊技場毎に管理する遊技機の導入情報を示す説明図。
【図3】実施例1における、場外サーバ装置が機種毎に管理する稼動推移情報を示す説明図。
【図4】実施例1における、遊技場用管理装置が管理するグループ情報を示す説明図。
【図5】実施例1における、遊技場用管理装置が管理するグループ情報及び機種情報に基づく遊技場のレイアウト図。
【図6】実施例1における、遊技場用管理装置が管理する遊技機の導入情報を示す説明図。
【図7】実施例1における、遊技場用管理装置が管理する配置替情報を示す説明図。
【図8】実施例1における、遊技データ管理手段が管理する遊技機毎の遊技データを示す説明図。
【図9】実施例1における、出力手段が出力する遊技データを示す説明図。
【図10】実施例2における、コース毎のコース期待値を示す説明図。
【符号の説明】
【0075】
1 遊技場用管理装置(管理装置)
103 出力手段
111 遊技データ管理手段
112 配置替データ生成手段
113 基準データ生成手段
114 抽出変化率算出手段
115 基準変化率算出手段
116 配置変化率算出手段
121 機種情報記憶手段
122 グループ情報記憶手段
123 配置替情報記憶手段
124 遊技データ記憶手段
131 受信手段
132 機種別遊技データ取込手段
2 遊技機
21 貸出機
22 中継器
5 場外サーバ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行に応じて遊技機側から出力される遊技信号を受信する受信手段と、
遊技場における遊技機の配置場所を表す遊技機IDに対応付けて、遊技機の機種を表す機種情報を記憶する機種情報記憶手段と、
前記遊技機IDの集合である配置グループを表すグループ情報を前記遊技機IDに対応付けて記憶するグループ情報記憶手段と、
前記受信手段による前記遊技信号の受信回数を基にして所定の演算処理により得られた遊技データを前記遊技機IDに対応付けて営業日毎に管理する遊技データ管理手段と、
遊技機の機種別の遊技データであって、所定の単位期間毎の基準となる遊技データである機種別遊技データを取り込む機種別遊技データ取込手段と、を備えた遊技場用管理装置であって、
遊技機の配置場所を変更する配置替が実施された際、配置替が実施された遊技機の機種について、当該機種が新台入替により導入されてから当該配置替が実施されるまでの期間を特定可能な期間情報と共に、配置替の実施前の遊技機ID及び配置替の実施後の遊技機IDの組み合わせを表す配置替情報を記憶する配置替情報記憶手段と、
前記機種情報記憶手段が記憶する前記機種情報、前記グループ情報記憶手段が記憶する前記グループ情報、前記配置替情報記憶手段が記憶する前記配置替情報、及び前記遊技データ管理手段が管理する前記遊技データに基づいて、配置替が実施された機種について、配置替の実施前の所定期間における遊技データである第1の配置替データ及び配置替の実施後の所定期間における遊技データである第2の配置替データを生成する配置替データ生成手段と、
前記配置替情報記憶手段が記憶する期間情報に基づいて前記配置替の実施前の所定期間に対応する単位期間を特定すると共に、当該単位期間について前記機種別遊技データ取込手段が取り込んだ機種別遊技データに基づいて前記配置替の実施前の所定期間において想定される遊技データである第1の基準データを生成する一方、
前記配置替情報記憶手段が記憶する期間情報に基づいて前記配置替の実施後の所定期間に対応する単位期間を特定すると共に、当該単位期間について前記機種別遊技データ取込手段が取り込んだ機種別遊技データに基づいて前記配置替の実施後の所定期間において想定される遊技データである第2の基準データを生成する基準データ生成手段と、
前記第1の配置替データに基づく前記第2の配置替データの変化度合いである第1の変化度合いと、前記第1の基準データに基づく前記第2の基準データの変化度合いである第2の変化度合いとを対比可能な比較データを出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用管理装置。
【請求項2】
前記遊技場用管理装置は、遊技機の機種毎の遊技場への導入時期を含む導入情報、及び前記機種情報が関係付けられた状態の遊技データを管理対象とする複数の遊技場から取り込み、新台入替により当該機種が遊技場に導入されてから前記単位期間毎の所定数の遊技機当たりの遊技データを遊技機の機種毎に管理すると共に、当該遊技データを前記複数の遊技場に向けて送信可能なように構成された場外サーバ装置と通信可能な状態で接続されており、
前記機種別遊技データ取込手段は、前記場外サーバ装置から送信される機種毎の平均の遊技データを前記機種別遊技データとして取り込む手段であることを特徴とする請求項1に記載の遊技場用管理装置。
【請求項3】
前記第2の配置替データに対する前記第1の配置替データの割合である抽出変化率を前記第1の変化度合いとして算出する抽出変化率算出手段と、
前記第2の基準データに対する前記第1の基準データの割合である基準変化率を前記第2の変化度合いとして算出する基準変化率算出手段と、を備え、
前記出力手段が出力する前記比較データは、前記抽出変化率及び前記基準変化率を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技場用管理装置。
【請求項4】
前記基準変化率に対する前記抽出変化率の割合である配置変化率を算出する配置変化率算出手段と、
配置替の実施により異なる配置グループから特定の配置グループに配置替された際の配置変化率の平均値を、当該特定の配置グループについての配置グループ期待値として算出する期待値算出手段と、を備え
前記出力手段が出力する前記比較データは、前記配置グループ期待値を含むことを特徴とする請求項3に記載の遊技場用管理装置。
【請求項5】
前記配置替データ生成手段は、前記遊技データ管理手段が管理する遊技データの中から前記配置替の実施前の所定期間、及び前記配置替の実施後の所定期間における遊技データを抽出し、当該遊技データから算出される当該各所定期間における所定数の遊技機当たりの平均遊技データを、当該所定数の遊技機により想定される前記第1及び第2の配置替データとして生成するように構成され、
前記基準データ生成手段は、前記機種別遊技データとして、前記所定期間に対応する単位期間に渡る遊技機1台当たりの遊技データを抽出すると共に、
当該機種別遊技データに対して前記所定数を乗じることにより、上記各所定期間において前記所定数の遊技機により想定される前記第1及び第2の基準データを生成するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の遊技場用管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−183646(P2009−183646A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29752(P2008−29752)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】