説明

遊技場装置

【課題】内部当選信号が出力されていないスロットマシンにおいても、内部抽選におけるボーナス当選確率に近い推定ボーナス当選確率を算出する遊技場装置を提供する。
【解決手段】再遊技役の当選確率の異なる複数のゲーム区間が設定され、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率を、このゲーム区間前に比べて高確率又は低確率のいずれかに変動させるスロットマシンを集計対象とする遊技場装置であって、ボーナス遊技の開始を検出するボーナス遊技開始検出手段と、再遊技役の入賞を検出する再遊技入賞検出手段と、再遊技役入賞履歴を記憶する再遊技入賞履歴記憶手段と、ボーナス遊技開始前の再遊技役入賞履歴からボーナス役の当選タイミングを推定する当選タイミング推定手段と、前回のボーナス遊技の終了から当選タイミングまでのゲーム回数を分母とする推定ボーナス当選確率を算出する推定ボーナス当選確率算出手段と、を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置された複数のスロットマシンから出力される各種の遊技信号にもとづいて所定の遊技データを集計する遊技場装置に関し、特に、ボーナス遊技となるボーナス役の当選タイミングを推定する遊技場装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組合せに応じて所定数の遊技媒体が払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンでは、1ゲーム毎にスタートレバーの操作のタイミングで、所定の抽選確率にもとづいて内部抽選が行われる。内部抽選の結果、複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選内容が決定され、当選内容に対応した図柄の組合せで停止表示されるように、停止ボタンの操作タイミングに基づき、各リールが停止制御されるようになっている。
【0004】
内部抽選における抽選対象には、対応するリール上の図柄の組合せの停止表示によって、遊技者に対して遊技価値が付与される抽選対象と、遊技価値が付与されない抽選対象であるハズレがある。遊技者に対して遊技価値が付与される抽選対象は役と呼ばれ、対応するリール上の図柄の組合せの停止表示により(以下、入賞という)、所定数の遊技媒体が付与される「小役」、遊技媒体は付与されないが次回遊技において遊技媒体を投入することなく遊技可能となる「再遊技役」、所定の小役に高確率で連続して当選する特別な遊技状態であるボーナス遊技に移行する条件となる「ボーナス役」などがある。
これらの抽選対象が抽選される抽選確率は、通常、ハズレが頻出するとともに、小役、再遊技役などが時折発生し、ボーナス役が稀に発生するように設定されている。したがって、遊技状態のうちの大半は、ハズレや小役、再遊技役が発生する通常遊技が占めることになり、遊技者は、このような通常遊技において、ボーナス役の当選を期待しつつ、スロットマシン遊技を進行させている。
【0005】
スロットマシンでは、ボーナス役に当選すると、ボーナス役に対応する図柄の組合せ(例えば、「7・7・7」、以下、ボーナス図柄)が表示されない限り、その当選内容は次回ゲームに持ち越されるようになっている。
このようなボーナス役が持ち越されるゲーム区間は、いわゆる大当りフラグ持ち越し中、内部当り中などと称され(以下、本書では、内部当選ゲーム区間という)、新たなボーナス役の内部抽選を行わない特殊なゲーム区間となっている。
そこで、このような内部当選ゲーム区間を利用して、この内部当選ゲーム区間における再遊技役に当選する確率(以下、再遊技役の当選確率という)を、このゲーム区間前のゲーム区間に比べて低確率又は高確率のいずれかに変動させるスロットマシンが普及している。
【0006】
例えば、スロットマシン電源投入後からボーナス役当選まで、又は、ボーナス遊技終了後から次のボーナス役当選までのゲーム区間においては、再遊技役の当選確率を低確率(例えば、約1/7.3)に設定するものの、内部当選ゲーム区間においては、再遊技役の当選確率を高確率(例えば、約1/3)に設定し、内部当選ゲーム区間に再遊技役に対応する図柄の組合せの表示(以下、再遊技入賞という)を頻出させることで、ボーナス図柄が揃うまでに費やす遊技媒体数を抑制させつつ、ボーナス遊技に移行するまでの演出(例えば、音やTV演出)を遊技者に堪能させるスロットマシンがある。
【0007】
また、所定のゲーム区間に亘って再遊技役の当選確率が高い状態(例えば、約1/1.1)が継続するリプレイタイム(RT)と称される遊技状態や、このリプレイタイム(RT)に加えて、液晶TVの表示態様やランプの点灯態様によって内部当選役(特に、小役)に対応する図柄の組合せや押し順を報知(アシスト:AT)するアシスト・リプレイタイム(ART)と称される遊技状態を有するスロットマシン(RT又はART機能搭載スロットマシン)もあり、このようなスロットマシンでは、再遊技役の当選確率が異なる複数のゲーム区間(例えば、低確率、高確率、これらの間にある中確率の三つのゲーム区間)が設定されているものもある。
【0008】
例えば、このようなスロットマシンでは、RT又はART中において、再遊技役の当選確率を高確率(例えば、約1/1.1)に設定するものの、内部当選ゲーム区間においては、中確率(例えば、約1/3)に設定し、それ以外のゲーム区間である通常遊技においては、低確率(例えば、約1/7.3)に設定している。
このため、RT又はART中にボーナス役に当選すると、再遊技役の当選確率は、高確率から中確率に変動し、通常遊技においてボーナス役に当選すると、再遊技役の当選確率は、低確率から中確率に変動することになる。
【0009】
さらに、リプレイタイム(RT)やアシスト・リプレイタイム(ART)などの再遊技役の当選確率が高確率なゲーム区間において、ボーナス役の当選確率を通常遊技よりアップさせる確率変動タイプのスロットマシンの登場も期待されている。
このように、近年のスロットマシンでは、内部当選ゲーム区間、すなわち、ボーナス役当選後から、ボーナス図柄が表示(以下、ボーナス遊技の開始又はボーナス入賞という)されるまでのゲーム区間は、このゲーム区間前のゲーム区間に比べて低確率又は高確率のいずれかに変動させるものが増えてきている。
【0010】
ところで、遊技場では、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機から出力される各種の遊技信号にもとづいて所定の遊技データを集計する遊技場装置(例えば、呼出ランプ、ホールコンピュータなど)があり、このような遊技場装置は、例えば、1ゲーム毎に出力されるスタート信号(スロットマシンでは、遊技媒体の投入数を示す投入信号で代用)と、大当り状態中又はボーナスゲーム中に出力される大当り信号又はボーナス遊技信号とにもとづいて、大当たりやボーナスゲームの発生頻度を示す確率(大当り確率又はボーナス入賞確率)を算出するとともに、遊技者や遊技場管理者に遊技機の特性や性能を把握させるために、算出したこれらの確率を表示している。
【0011】
ところが、スロットマシンの場合、ボーナス入賞確率は、内部抽選においてボーナス役に当選するボーナス当選確率とは掛け離れた値として算出されていた。
ここで、ボーナス入賞確率とは、前回のボーナス遊技終了又は所定の初期状態(スロットマシンの電源投入時、遊技場の開店時、遊技場装置の電源投入時などのゲーム回数が初期値(ゼロ)を示す状態をいう)から次回ボーナス遊技開始までのゲーム回数を分母として算出された算出確率であり、ボーナス当選確率とは、スロットマシンの内部抽選において抽選対象毎に設定された設定確率であってボーナス役に当選する確率をいう。
前述したように、スロットマシンの場合、ボーナス図柄が表示されるまでボーナス役の持ち越しが可能であり、ボーナス遊技の開始タイミングとボーナス役の当選タイミングとが異なるため、ボーナス入賞確率は、内部抽選における設定確率であるボーナス当選確率とは掛け離れた値となっていた。
すなわち、算出されるボーナス入賞確率は、設定確率である内部抽選におけるボーナス当選確率に近い値となることが望ましいが、ボーナス役の持ち越しにより、実際には、ボーナス役に当選しているにもかかわらず、ボーナス図柄が揃えられないがために(これは、専ら遊技者の技量に左右される)、ボーナス役の抽選を行わない空白のゲームが含まれた確率となっていた。
つまり、従来の遊技場装置では、この空白のゲームをボーナスゲーム間のゲーム回数として加算されたボーナス入賞確率を算出していたことから、算出されるボーナス入賞確率は、内部抽選のボーナス当選確率とは一致しない(内部抽選のボーナス当選確率より低く算出される)、遊技者の技量により変動する信憑性の低い遊技データとなっていた。
【0012】
このようなスロットマシンが有する特性に着目して、特許文献1には、ボーナス役当選に係る内部当選信号をスロットマシンから出力させるとともに、この信号を検知及び管理する管理装置の発明が開示されており、初心者などのボーナス図柄を揃えることが困難な遊技者に対して店員がボーナス入賞をサポートできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−208923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、一般的にスロットマシンからは内部当選に係る信号は出力されていないので、内部当選ゲーム区間を外部から識別することは不可能であった。
そこで、本願発明者らは、前述したような内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率をこのゲーム区間前のゲーム区間に比べて低確率又は高確率のいずれかに変動させるというスロットマシンの特徴に着目し、再遊技入賞の履歴から、ボーナス役の当選タイミングを推定する本発明に想到するに至ったものである。
【0015】
すなわち、本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、スロットマシンから出力される所定の遊技信号にもとづいて再遊技入賞を検出するとともに、この再遊技入賞の履歴とボーナス遊技の開始から、ボーナス役の当選タイミングを推定し、これ以降のゲーム区間を除いた推定ボーナス当選確率を算出することで、内部抽選におけるボーナス当選確率に近い遊技データとなる推定ボーナス当選確率を集計する遊技場装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため本発明の遊技場装置は、所定のボーナス遊技となるボーナス役と遊技媒体を投入することなく次回遊技可能となる再遊技役とをゲーム毎に行う内部抽選の抽選対象に含むとともに、再遊技役の当選確率のそれぞれ異なる複数のゲーム区間が設定され、ボーナス役当選後からボーナス遊技が開始されるまでの内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率を、この内部当選ゲーム区間前のゲーム区間に比べて高確率又は低確率のいずれかに変動させるスロットマシンを集計対象とし、前記スロットマシンから出力される所定の遊技信号にもとづいて遊技データを集計する遊技場装置であって、前記スロットマシンから前記ボーナス遊技中に出力されるボーナス遊技信号にもとづいて前記ボーナス遊技の開始を検出するボーナス遊技開始検出手段と、前記スロットマシンから出力される所定の遊技信号にもとづいて再遊技役の入賞を検出する再遊技入賞検出手段と、この検出結果を再遊技役入賞履歴として記憶する再遊技入賞履歴記憶手段と、ボーナス遊技開始前の前記再遊技役入賞履歴にもとづいて当該ボーナス遊技に係るボーナス役の当選タイミングを推定する当選タイミング推定手段と、前回のボーナス遊技の終了又は所定の初期状態から推定した前記当選タイミングまでのゲーム回数を分母とする推定ボーナス当選確率を算出する推定ボーナス当選確率算出手段と、を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、内部当選信号が出力されていないスロットマシンにおいても、内部抽選におけるボーナス当選確率に近い推定ボーナス当選確率を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技場システムの構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る遊技場システムにおいて各装置間の信号の流れを示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る台コンピュータの内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る遊技信号にもとづいて作成される履歴データを示す説明図であり、(a)は、スロットマシンから出力される遊技信号のタイムチャートであり、(b)は、再遊技入賞履歴を含む履歴データであり、(c)は、今回ゲームから過去に所定ゲーム回数遡ったゲームまでの再遊技役の入賞確率を示す再遊技入賞確率履歴PAであり、(d)は、今回ゲームから過去に1ゲームずつ遡ったそれぞれのゲームまでの再遊技役の入賞確率を示す再遊技入賞確率履歴PBである。
【図5】本発明の一実施形態に係る当選タイミングの推定方法の説明図であり、(a)は、ノーマルタイプのスロットマシンにおけるボーナス当選パターンを示すタイムチャートであり、(b)は、再遊技に連続入賞したときの推定方法を示す図であり、(c)は、再遊技入賞確率履歴PAにもとづく推定方法を示す図であり、(d)は、再遊技役入賞確率履歴PBにもとづく推定方法を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る1ゲーム進行する度に再遊技役の当選確率の変動タイミングを検出する検出方法の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る推定ボーナス当選確率算出処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る遊技データの構成を示す図表である。
【図9】本発明の一実施形態に係るART機能を搭載したスロットマシンのボーナス当選パターンを示すタイムチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る当選パターン1を推定するときの説明図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る当選パターン2を推定するときの説明図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る変動タイミング記憶処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態に係る当選時遊技状態推定処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態に係るボーナス確率変動機能を搭載したスロットマシンのボーナス当選パターンとボーナス遊技終了後の確率変動パターンを示すタイムチャートである。
【図15】本発明の一実施形態に係るボーナス遊技終了後の再遊技入賞確率履歴PAから遊技状態を推定する方法の説明図であり、(a)は、ボーナス遊技終了後に低確率ゲーム区間となる場合の推定方法を示す図であり、(b)は、ボーナス遊技終了後に高確率ゲーム区間となる場合の推定方法を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る各ゲーム区間毎の推定ボーナス当選確率を項目に含む遊技データの構成を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る遊技場装置の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
まず、本発明の遊技場装置を備える遊技場システムについて、図1及び2を参照して説明する。
各図に示すように、遊技場システム1は、メダルを遊技媒体とする複数のスロットマシン10と、スロットマシン10毎に設けられた呼出ランプ20と、この呼出ランプ20に接続された台コンピュータ30と、スロットマシン10の設置される遊技機島単位に設けられた島コンピュータ40と、島コンピュータ40に接続されたホールコンピュータ50とで構成され、これらは、所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介して、スロットマシン10からの所定の遊技信号と各装置で生成される遊技データなどを送受可能に接続されている。
【0021】
呼出ランプ20は、電球やLEDなどのランプを点灯又は点滅させることで、ボーナス入賞などを遊技者に告知するとともに、ボーナス回数、ボーナス間のゲーム回数、推定ボーナス当選確率などの遊技に関する遊技データを表示する表示装置である。さらに、呼出ランプ20は、スロットマシン10から出力された遊技信号を受信して、台コンピュータ30へ送信するとともに、台コンピュータ30が集計した遊技データを受信して、上記の遊技データを表示するように構成されている。
【0022】
台コンピュータ30及び島コンピュータ40は、それぞれ情報中継処理装置であり、ホールコンピュータ50との間で所定の遊技データを送受する。
ホールコンピュータ50は、所定の遊技データを集計する情報処理装置であって、台コンピュータ30で集計された各スロットマシン10の遊技データを収集して、スロットマシン10毎、スロットマシン10の機種毎、遊技機島毎、遊技場全体などの単位で遊技データ(例えば、総投入数、総払出数、推定ボーナス当選確率、売上げ、粗利、割数など)を集計する。
【0023】
スロットマシン10は、ボーナス遊技となるボーナス役、メダルを投入することなく次回遊技可能となる再遊技役、所定数(例えば、10枚)のメダルが払出される小役、これらにハズレを加えた複数の抽選対象が設定され、1ゲーム毎にこれらの抽選対象の中から所定の抽選確率で今回ゲームの当選内容を決定する内部抽選を行うように構成されるとともに、再遊技役の当選確率のそれぞれ異なる複数のゲーム区間が設定されている。
特に、ボーナス役当選後からボーナス遊技が開始されるまでの内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率は、この内部当選ゲーム区間前のゲーム区間に比べて高確率又は低確率のいずれかに変動されるように設定されている。
具体的には、本実施形態の遊技場システム1には、それぞれ変動の態様の異なる、ノーマルタイプ(いわゆるAタイプ)のスロットマシンと、ART(アシスト・リプレイタイム)機能を搭載したスロットマシンと、ボーナス確率変動機能を搭載したスロットマシンとが設置されている。
【0024】
ノーマルタイプのスロットマシン10は、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率が、この内部当選ゲーム区間前のゲーム区間より高く設定されるとともに、この内部当選ゲーム区間以外は一律の値に設定されている。
ART機能を搭載したスロットマシン10は、再遊技役の当選確率が内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率より高く設定された再遊技高確率ゲーム区間を有するように設定されている。
ボーナス確率変動機能を搭載したスロットマシン10は、ボーナス役の当選確率と再遊技役の当選確率をボーナス遊技終了後から所定のゲーム区間まで(本実施形態では、次回ボーナス役当選までだが、既定のゲーム回数までとすることもできる)所定の低確率又はこれより確率の高い高確率のいずれかに変動させる確率変動ゲーム区間を有するように設定されている。
【0025】
これらのスロットマシン10は、図2に示すように、所定の遊技信号として、ゲームに投入されるメダルの投入数を示すメダル投入信号、ゲームの入賞に応じて払い出されたメダルの払出数を示すメダル払出信号、ボーナス遊技状態を示すボーナス信号(ボーナス1信号、ボーナス2信号)などが出力される。
メダル投入信号は、図4(a)に示すように、スロットマシン遊技が1ゲーム進行する毎に、投入数に応じた数を示す一群のパルス波形として出力される。
スロットマシン10では、各ゲーム間の間隔(tn)は、必ず所定の時間(tmin)以上空くように設定されていることから、所定の時間(tmin)以内に出力される一群のパルス波形を1ゲームとしてゲーム毎に累積することで、例えば、ボーナス遊技間のゲーム回数を集計することができる。
【0026】
また、メダル払出信号は、小役又は再遊技役に入賞したゲーム毎に、払出数に応じた数を示す一群のパルス波形として出力される。
本実施形態に係るスロットマシン10は、投入数と払出数とが同一となる小役が設定されていないことから、メダル投入信号に係るパルス数とメダル払出信号に係るパルス数が同じゲームを検出することで、再遊技入賞を特定することができる。
ボーナス信号は、ボーナス遊技の開始によりオフからオンに変化し、ボーナス遊技の終了によりオンからオフに変化する、ボーナス遊技中にオン出力される状態信号である。
本実施形態では、ボーナス遊技中に獲得可能なメダル数の違いに応じて二種類のボーナス役が設定され、入賞したボーナス役に対応したボーナス信号(ボーナス1信号又はボーナス2信号)が出力される。
【0027】
台コンピュータ30は、本発明に係る遊技場装置として動作して、スロットマシン10から出力される所定の遊技信号にもとづいて遊技データを集計し、集計した遊技データを島コンピュータ40を介してホールコンピュータ50に送信するとともに、呼出ランプ20に送信するようになっている。
台コンピュータ30は、一又は二以上のスロットマシン10に対して設けられ、図3に示すように、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有している。
【0028】
通信部31は、呼出ランプ20や島コンピュータ40に接続されており、これら呼出ランプ20や島コンピュータ40との間で所定の遊技データを送受信する。
例えば、通信部31は、スロットマシン10から出力されたメダル投入信号、メダル払出信号、ボーナス信号などの遊技信号を受信する。また、通信部31は、遊技信号にもとづいて生成した遊技データを呼出ランプ20とホールコンピュータ50に送信する。なお、通信部31は、スロットマシン10から出力された遊技信号を、呼出ランプ20を介さず、スロットマシン10から直接受信することもできる。
【0029】
記憶部32は、本発明に係る再遊技入賞履歴記憶手段として動作し、台コンピュータ30の有する各種機能を実行するためのプログラムやデータ、通信部31で受信された遊技信号の示すデータ、後述のしきい値及び変動タイミングなどを記憶する。この記憶部32が記憶するデータとしては、履歴データ32a、遊技データ32bなどがある。以下、履歴データ32aについて図4を参照して説明し、遊技データ32bについては後述する。
履歴データ32aは、図4に示すように、過去50ゲームに亘る遊技に関する情報を記憶したものである。
この履歴データ32aは、通信部31が受信した図4(a)に示すような遊技信号にもとづいて生成され、図4(b)〜図4(d)に示すように、「ゲーム」「投入数」、「払出数」、「再遊技入賞履歴」、「ボーナス間ゲーム回数」、「再遊技入賞確率履歴PA」、「再遊技入賞確率履歴PB」を項目として、ゲーム毎に過去50ゲーム分を記録したデータベースとなっている。
【0030】
「ゲーム」は、1ゲーム前から50ゲーム前までのゲームを特定する番号を示す。
「投入数」は、メダル投入信号に含まれるパルス数から特定される、そのゲームにおけるメダルの投入数を示し、「払出数」は、メダル払出信号に含まれるパルス数から特定される、そのゲームにおけるメダルの払出数を示す。
例えば、図4(a)に示す50ゲーム前〜48ゲーム前までの遊技信号からは、50ゲーム前〜48ゲーム前までの「投入数」は「3」、「払出数」は、50ゲーム前は「0」、49ゲーム前は「10」、48ゲーム前は「3」と特定できる。
また、「再遊技入賞履歴R」は、ゲーム毎の再遊技入賞の有無の履歴を示し、「入賞あり」を「1」で、「入賞なし」を「0」で示したもので、例えば、50ゲーム前〜48ゲーム前までの遊技信号からは、48ゲーム前が「入賞あり」、すなわち「1」となっている。このような再遊技入賞の有無の判定は、制御部33において行われ、前述したように、「投入数」と「払出数」とが同数のときのゲームのみを再遊技入賞ありと判定し、それ以外を再遊技入賞なしと判定する(再遊技入賞検出手段)。
【0031】
「ボーナス間ゲーム回数」は、スロットマシン10の電源投入などの初期状態から又は前回のボーナス遊技終了からのゲーム回数を示し、制御部33においてメダル投入信号の一群のパルス波形を1ゲームとしてゲーム毎に累積した値である。このようにゲーム毎に累積することにより、ボーナス遊技が開始したときの「ボーナス間ゲーム回数」の値は、前回ボーナス遊技終了から今回ボーナス遊技の開始までのゲーム回数を示すことになる。
なお、ボーナス遊技終了は、制御部33がボーナス信号におけるオンからオフへの変化のタイミングを検出することで特定できる。
【0032】
「再遊技入賞確率履歴PA」は、今回ゲームから過去に所定ゲーム回数遡ったゲームまでの再遊技役の入賞確率を過去50ゲーム分示したもので、図4(c)に示す例では、今回ゲームから過去4ゲームに亘る計5ゲーム間の「再遊技入賞履歴R」から今回ゲームの再遊技役の入賞確率を1ゲーム進行する度に算出したものである。
例えば、1ゲーム前を今回ゲームとすると、1ゲーム前〜5ゲーム前までの再遊技役の入賞確率は、このゲーム間における「再遊技入賞履歴R」は、4ゲーム前が「0」(入賞なし)で、それ以外は全て「1」(入賞あり)であることから、「4/5」と算出される。
【0033】
「再遊技入賞確率履歴PB」は、今回ゲームから過去に1ゲームずつ遡ったそれぞれのゲームまでの再遊技役の入賞確率を過去50ゲーム分示したもので、図4(d)に示す例では、「再遊技入賞履歴R」において1ゲーム前を今回ゲームとすると、1ゲーム前から1ゲーム進行する度に過去49ゲームそれぞれのゲームまでの再遊技役の入賞確率を算出したものである。
例えば、1ゲーム前の再遊技役の入賞確率は「再遊技入賞履歴R」において「1」であることから「1/1」となり、1ゲーム前〜2ゲーム前までの再遊技役の入賞確率は「再遊技入賞履歴R」において2ゲームとも「1」であることから「2/2」となり、1ゲーム前〜3ゲーム前までの再遊技役の入賞確率は「再遊技入賞履歴R」において3ゲームとも「1」であることから「3/3」というように、1ゲームずつ遡ったそれぞれのゲームまでの再遊技役の入賞確率を1ゲーム進行する度に算出する。
このような「再遊技入賞確率履歴PA」と「再遊技入賞確率履歴PB」における再遊技の入賞確率の算出は、スロットマシン遊技が1ゲーム進行する度に制御部33において実行される(再遊技入賞確率算出手段)。
【0034】
制御部33は、CPUを備えるコンピュータで構成され、記憶部32に記憶されているプログラムを読み込んで実行することにより、ボーナス遊技開始検出手段、再遊技入賞検出手段、再遊技入賞確率算出手段、当選タイミング推定手段、推定ボーナス当選確率算出手段として動作する。
例えば、制御部33は、受信した遊技信号からメダルの投入数、払出数を特定し、ゲーム毎に記憶部32に記憶させる。
また、制御部33は、再遊技入賞検出手段として動作し、投入数と払出数が同数のゲームを再遊技入賞あり、それ以外を再遊技入賞なしと判定し、その結果を「再遊技入賞履歴R」としてゲーム毎に記憶部32に記憶させる。
また、制御部33は、再遊技入賞確率算出手段として動作し、「再遊技入賞履歴R」から再遊技役の入賞確率(「再遊技入賞確率履歴PA」、「再遊技入賞確率履歴PB」)をゲーム毎に算出し、記憶部32に記憶させる。
【0035】
また、制御部33は、ボーナス遊技開始検出手段として動作し、ボーナス信号のオフからオンに変化するタイミングを検出することで、ボーナス遊技の開始を検出するとともに、オンからオフに変化するタイミングを検出することで、ボーナス遊技の終了を検出する。
さらに、制御部33は、当選タイミング推定手段として動作し、ボーナス遊技開始前の再遊技役入賞履歴R(再遊技入賞確率履歴を含む)にもとづいて当該ボーナス遊技に係るボーナス役の当選タイミングを推定する。以下、制御部33の当選タイミング推定手段として動作について図5、図6を参照して説明する。
【0036】
最初に、ノーマルタイプのスロットマシン10を集計対象とした場合における、制御部33の当選タイミング推定手段として動作について説明する。
ノーマルタイプのスロットマシン10では、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率が、この内部当選ゲーム区間前のゲーム区間より高く設定されるとともに、この内部当選ゲーム区間以外は一律の値に設定されている。
【0037】
具体的には、本実施形態に係るノーマルタイプのスロットマシン10では、再遊技役の当選確率の異なる二つのゲーム区間があり、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率は高確率(1/3)に設定され、この内部当選ゲーム区間以外のゲーム区間における再遊技役の当選確率は低確率(1/7.3)に設定されている。すなわち、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率は、内部当選ゲーム区間前のゲーム区間より高く設定されている。なお、ボーナス遊技中の再遊技役の当選確率は通常ほぼゼロに設定されており、ボーナス遊技中の再遊技役の当選確率を含めると、厳密には再遊技役の当選確率の異なる三つのゲーム区間が存在するが、以下の説明において(ART機能及びボーナス確率変動機能搭載スロットマシンも含む)、ボーナス遊技中の再遊技役の当選確率を便宜上低確率(1/7.3)として扱う。
【0038】
このようなノーマルタイプのスロットマシン10では、図5(a)に示すタイムチャート1のように、ボーナス役に当選すると(A:8ゲーム前)、当選したゲームの次のゲームから再遊技役の当選確率が低確率(1/7.3)から高確率(1/3)に変動することになり、その後、ボーナス遊技に入賞するゲーム(B)まで高確率(1/3)が継続する内部当選ゲーム区間となる。
図5(b)は、このようなタイムチャート1に従って再遊技役の当選確率が変動するスロットマシン10で遊技を進行させたときの実測データであり、内部当選ゲーム区間の再遊技役の当選確率を1/3とし、内部当選ゲーム区間前のゲーム区間の再遊技役の当選確率を1/7.3としたときの、ボーナス遊技に入賞する1つ前のゲームから15ゲーム前までの再遊技入賞履歴Rを示した図で、図5(c)は、この再遊技入賞履歴Rから算出した再遊技入賞確率履歴PAとその推移を表した推移グラフAであり、図5(d)は、再遊技入賞履歴Rから算出した再遊技入賞確率履歴PBとその推移を表した推移グラフBである。
【0039】
制御部33は、このような再遊技入賞履歴R(再遊技入賞確率履歴PA,PBも含む)から以下に示すような三通りの推定方法のうちのいずれかの推定方法でボーナス役の当選タイミングを推定する。
第一の推定方法では、図5(b)に示すように、制御部33は、ボーナス信号のオフからオンへの変化からボーナス遊技の開始を検出すると、ボーナス遊技開始まで再遊技役に連続して入賞したときは、一連の再遊技役の入賞が始まる一つ前のゲームを、ボーナス役の当選タイミングとする推定を行う。
【0040】
具体的には、第一の推定方法は、再遊技入賞履歴Rにおいて、ボーナス遊技開始まで再遊技役に連続して(例えば、2回以上)入賞したときは、ボーナス遊技に入賞する1つ前のゲームから1ゲームずつ過去のゲームに遡りながら、再遊技入賞なしのゲームを探索する処理を実行し、最初に探索された再遊技入賞なしのゲームをボーナス役の当選ゲームと推定する推定方法である。
例えば、図5(b)に示す再遊技入賞履歴Rにおいては、ボーナス遊技の開始する1ゲーム前から3ゲーム前までは、全て再遊技入賞あり(「1」)で、4ゲーム前になって初めて再遊技入賞なし(「0」)となるので、一連の再遊技入賞ありが始まる一つ前のゲームである4ゲーム前をボーナス役の当選タイミングと推定する(推定1)。
このような推定方法は、内部当選ゲーム区間の再遊技役の当選確率がほぼ1に近く、内部当選ゲーム区間前のゲーム区間の再遊技役の当選確率(1/7.3)との差があるときに有用な推定方法である。
【0041】
第二の推定方法及び第三の推定方法は、図5(c)及び図5(d)に示すように、再遊技の入賞確率がボーナス遊技開始前に前後のゲーム間で所定のしきい値を跨いで変動した前のゲームを、ボーナス役の当選タイミングと推定する推定方法である。
具体的には、第二の推定方法では、制御部33は、ボーナス信号のオフからオンへの変化からボーナス遊技の開始を検出すると、再遊技入賞確率履歴PAにおいて、ボーナス遊技の開始する1つ前のゲームから1ゲームずつ過去のゲームに遡りながら、再遊技役の入賞確率がしきい値A(1/5)を超える値からしきい値A(1/5)以下となるゲームを探索し、しきい値A(1/5)以下となった最初のゲームをボーナス役の当選タイミングとする推定を行う。
【0042】
例えば、図5(c)に示す再遊技入賞確率履歴PAにおいては、再遊技役の入賞確率は、ボーナス遊技の開始する1ゲーム前から7ゲーム前まで全てしきい値A(1/5)を超える値であり、8ゲーム前で初めてしきい値A(1/5)以下となることから、8ゲーム前と7ゲーム前の前後のゲーム間で所定のしきい値Aを跨いで変動したものとみなし、前のゲームである8ゲーム前を、ボーナス役の当選タイミングと推定する(推定2)。
再遊技入賞確率履歴PAは、過去5ゲーム間に亘る再遊技役の入賞確率が反映された値であるため、ボーナス役の当選タイミングとの確実な一致は困難なものの、推移グラフAに示すように、再遊技役の入賞確率の変動の推移からボーナス役の当選タイミングが推定できるため、ほぼ当選タイミングに近いゲームを抽出できる。
【0043】
第三の推定方法では、制御部33は、ボーナス信号のオフからオンへの変化からボーナス遊技の開始を検出すると、再遊技入賞確率履歴PBにおいて、ボーナス遊技に入賞する1つ前のゲームから1ゲームずつ過去のゲームに遡りながら、再遊技役の入賞確率がしきい値B(60%)以上からしきい値B(60%)を下回るゲームを探索し、下回った最初のゲームをボーナス役の当選タイミングとする推定を行う。
【0044】
例えば、図5(d)に示す再遊技入賞確率履歴PBにおいては、再遊技役の入賞確率は、ボーナス遊技の開始する1ゲーム前から8ゲーム前まで全てしきい値B(60%)以上であり、9ゲーム前で初めてしきい値B(60%)を下回ることから、9ゲーム前と8ゲーム前の前後のゲーム間で所定のしきい値Bを跨いで変動したものとみなし、前のゲームである9ゲーム前を、ボーナス役の当選タイミングと推定する(推定3)。
再遊技入賞確率履歴PBは、各ゲームから過去に1ゲームずつ遡ったそれぞれのゲームまでの再遊技役の入賞確率が反映された値であるため、ボーナス役の当選タイミングとの確実な一致は困難なものの、推移グラフBに示すように、再遊技役の入賞確率の変動の推移からボーナス役の当選タイミングが推定できるため、ほぼ当選タイミングに近いゲームを抽出できる。
【0045】
なお、第二の推定方法で推定するボーナス役の当選タイミングは、ボーナス入賞側に、第三の推定方法で推定するボーナス役の当選タイミングは、ボーナス入賞から過去側にそれぞれずれる傾向があることから、これらの傾向を多数の実測データから把握するとともに、ずれるゲーム数を補正値(経験値)として取得し、各推定方法で推定したボーナス役の当選タイミングをこの補正値で補正することもできる。
例えば、第三の推定方法では、補正値を1ゲームとし、ボーナス役の当選タイミングと推定したゲームより1ゲーム後をボーナス役の当選タイミングと推定することもできる。
【0046】
また、制御部33は、以下に示す第四の推定方法により、ボーナス役の当選タイミングを推定することもできる。
具体的には、前述の第一〜第三の推定方法では、ボーナス遊技の開始を検出してから、各履歴(R,PA,PB)を過去に遡りながら探索して、ボーナス役の当選タイミングを推定したが、第四の推定方法は、1ゲーム進行する度に、再遊技役の当選確率の変動タイミングを各履歴(R,PA,PB)から推定するとともに、推定したゲームを変動タイミングとして予め記憶部32に記憶しておき、ボーナス遊技の開始の検出と同時に、記憶した変動タイミングをボーナス役の当選タイミングと推定する方法である。
【0047】
図6は、図5(a)〜(c)を過去側にさらに数ゲーム拡張した図である。
第四の推定方法では、制御部33は、1ゲーム進行する度に、再遊技入賞確率履歴PAにおいて、今回ゲームで算出される再遊技役の入賞確率と前回ゲームの再遊技役の入賞確率を比較し、今回ゲームで算出した再遊技役の入賞確率が前回ゲームの再遊技役の入賞確率に対してしきい値Aを跨いで変動したときには、前回ゲームを変動タイミングとして記憶部32に記憶させる処理を実行する。そして、このような変動が検出される度に変動タイミングを上書きして記憶し、ボーナス遊技の開始の検出と同時に、記憶した変動タイミングをボーナス役の当選タイミングとする推定を行う。なお、変動タイミングとして記憶部32に記憶される前回ゲームとは、スロットマシン10の電源投入から又は前回ボーナス遊技終了からのゲーム回数を示す「ボーナス間ゲーム回数」となっている(図4(b)参照)。
【0048】
例えば、図6に示す例では、15ゲーム前を今回ゲームとすると、制御部33は、今回ゲームで算出した再遊技役の入賞確率(2/5)が、前回ゲームである16ゲーム前の再遊技役の入賞確率(1/5)に対してしきい値A(1/5)を跨いで変動したものとみなし、16ゲーム前を変動タイミング(1)として記憶部32に記憶する。
さらに、ゲームが進行して7ゲーム前を今回ゲームとすると、制御部33は、今回ゲームで算出した再遊技役の入賞確率(2/5)が、前回ゲームである8ゲーム前の再遊技役の入賞確率(1/5)に対してしきい値A(1/5)を跨いで変動したものとみなし、8ゲーム前を新たな変動タイミング(2)として記憶部32に上書き記憶する。
そして、制御部33は、ボーナス遊技の開始を検出した今回ゲームで、記憶部32に記憶された8ゲーム前(変動タイミング2)をボーナス役の当選タイミングと推定する。
これにより、ゲームの進行と同時にボーナス役の当選タイミングがリアルタイムで推定できるため、推定の高速化が図られる。
なお、記憶部32に一時的に記憶した変動タイミング(1)は、単に再遊技入賞が偶発的に集中したことに起因したものであるが、この変動タイミング(1)を記憶した時点では、単なる偶発的な集中かボーナス役の当選タイミングかは不明であるものの、ボーナス役の当選タイミングの可能性がある限り記憶する必要がある。そして、このような変動タイミングが発生する度に上書きして記憶することで、ボーナス遊技の開始を検出したときに初めて、最終的に記憶された変動タイミングが当該ボーナス入賞に係るボーナス役の当選タイミングと推定することができるのである。
【0049】
なお、上記の第四の推定方法では、再遊技入賞確率履歴PAを用いて変動タイミングを検出したが、再遊技入賞確率履歴PBを用いることもできる。
また、第一の推定方法において探索方向を反対にした以下に示す推定方法(第五の推定方法)によりボーナス役の当選タイミングを推定することもできる。
具体的には、再遊技入賞履歴Rにおいて、今回ゲームが再遊技入賞ありで前回ゲームも再遊技入賞ありのときの前々回ゲーム(ボーナス間ゲーム回数)を記憶するとともに、その後のゲームの進行において、再遊技入賞ありが継続するときは記憶した前々回ゲームを更新することなく保持し、再遊技入賞なしゲームが出現したときは記憶した前々回ゲームを消去する処理を繰り返す。その後、ボーナス遊技の開始を検出したゲームで、記憶部32に記憶された上記の前々回ゲームをボーナス役の当選タイミングと推定することもできる。
また、上記の第二〜四の推定方法におけるしきい値は、再遊技役の当選確率に応じて任意の値に設定できる。
【0050】
また、制御部33は、推定ボーナス当選確率算出手段として以下のように動作する。
制御部33は、前述した第一〜第四の推定方法で、ボーナス役の当選タイミングを推定すると、推定したゲームの一つ後のゲームからボーナス遊技開始までのゲーム回数を除外して推定ボーナス当選確率を算出する。
具体的には、制御部33は、図7に示す推定ボーナス当選確率算出処理に係るフローチャートにもとづいて推定ボーナス当選確率を算出する。以下、推定ボーナス当選確率算出処理について説明する。
【0051】
図7に示すように、制御部33は、ボーナス遊技の開始を検出すると、図4(b)に示す履歴データ32aにおける「ボーナス間ゲーム回数」から今回ゲーム(ボーナス遊技の開始ゲーム)におけるボーナス間ゲーム回数(例えば、299+1=300)を取得するとともに(S10)、前述した第一〜第四のいずれかの推定方法で、ボーナス役の当選タイミングを推定する(S11)。次いで推定したゲームから内部当選ゲーム回数を算出する(S12)。例えば、第一の推定方法では、図5(b)に示すように、推定1のゲームの一つ後のゲームからボーナス遊技開始までのゲーム回数(7ゲーム)を算出する。そして、ボーナス間ゲーム回数から内部当選ゲーム回数を減算する(例えば、300−7=293)とともに(S13)、これを分母とし、1を分子とする推定ボーナス当選確率(例えば、1/293)を算出する(S14)。すなわち、前回のボーナス遊技の終了又は所定の初期状態から推定した当選タイミングまでのゲーム回数を分母とする推定ボーナス当選確率が算出されることになる。そして、制御部33は、他の遊技データとともに算出した推定ボーナス当選確率を、通信部31を介して呼出ランプ20とホールコンピュータ50に送信する。
このように算出される推定ボーナス当選確率は、ボーナス役の当選に係る推定タイミングにもとづいた値となり、従来のボーナス入賞確率に比べてよりボーナス当選確率に近似した値とすることができ、遊技データの信憑性が向上する。
【0052】
ここで、制御部33が集計した遊技データについて図8を参照して説明する。
制御部33は、ボーナス遊技の終了毎に、上記の推定ボーナス当選確率の算出に加えて、図8に示す各項目のボーナス遊技に関する遊技データを算出するとともに、これらを遊技データ32bとして記憶部32に記憶する。
例えば、ボーナス遊技の発生順に番号付けされた「ボーナス遊技NO」、ボーナス遊技中の投入数の累計を示す「投入累計」、ボーナス遊技中の払出数の累計を示す「払出累計」、ボーナス遊技終了から次回ボーナス遊技開始までのゲーム回数を示す「ボーナス間ゲーム回数」(図4(b)の「ボーナス間ゲーム回数」に相当)、算出した「内部当選ゲーム回数」、ボーナス間のゲーム回数を分母とする従来のボーナス入賞確率を示す「ボーナス入賞確率」、内部当選ゲーム回数を除いた「推定ボーナス抽選確率」、推定ボーナス当選確率を合計した「推定合成確率」などが算出され、これらを遊技データ32bとして記憶部32に記憶するとともに、呼出ランプ20とホールコンピュータ50に送信する。
呼出ランプ20とホールコンピュータ50は、これらをそれぞれの記憶部に記憶し、例えば、呼出ランプ20では、推定ボーナス当選確率を表示することで、遊技者に対して従来に比べてよりボーナス役の当選確率に近い正確な遊技データを提供する。
【0053】
次に、ART機能搭載タイプのスロットマシン10を集計対象とした場合における、制御部33の当選タイミング推定手段としての動作について説明する。
ART機能搭載タイプのスロットマシン10では、再遊技役の当選確率が内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率より高く設定された再遊技高確率ゲーム区間を有するように設定されている。
【0054】
具体的には、本実施形態に係るART機能搭載タイプのスロットマシン10では、再遊技役の当選確率の異なる三つのゲーム区間があり、ART中のゲーム区間(以下、高確率ゲーム区間という)における当選確率は高確率(1/1.1)に設定され、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率は中確率(1/3)に設定され、それ以外のゲーム区間(以下、低確率ゲーム区間という)における再遊技役の当選確率は低確率(1/7.3)に設定されている。すなわち、ART中のゲーム区間(高確率ゲーム区間)における再遊技役の当選確率は、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率より高く設定されている。
【0055】
このようなART機能搭載タイプのスロットマシン10では、ART中においてもボーナス役の抽選も行われるので、図9に示すタイムチャート3のように、低確率ゲーム区間でボーナス役に当選する当選パターン1と、高確率ゲーム区間で、ボーナス役に当選する当選パターン2とがある。
具体的には、当選パターン1とは、低確率ゲーム区間でボーナス役に当選すると(A1)、当選したゲームの次のゲームから再遊技役の当選確率が低確率(1/7.3)から中確率(1/3)に変動し、その後ボーナス遊技に入賞するゲーム(B1)まで中確率(1/3)が継続するパターンで、当選パターン2とは、所定のタイミングS(ボーナス遊技終了や特定の小役入賞など)で突入したART中にボーナス役に当選すると(A2)、当選したゲームの次のゲームから再遊技役の当選確率が高確率(1/1.1)から中確率(1/3)に変動し、その後ボーナス遊技に入賞するゲーム(B2)まで中確率(1/3)が継続するパターンである。
本実施形態では、制御部33は、再遊技役入賞確率履歴PAにもとづいて各当選パターン1,2における当選タイミングを以下のように推定する。
【0056】
図10と図11は、それぞれ当選パターン1と当選パターン2において当選タイミングの推定方法を説明する説明図であり、本実施形態では、前述した第四の推定方法により、当選タイミングの推定を行うものとする。
本実施形態に係る再遊技入賞確率履歴PAは、各図に示すように、今回ゲームから過去6ゲームに亘る計7ゲーム間の再遊技入賞履歴Rから今回ゲームの再遊技役の入賞確率を1ゲーム進行する度に算出したものとなっている。前記の再遊技入賞確率履歴PAでは、5ゲーム間の再遊技役の入賞確率を算出したが、本実施形態の集計対象となるスロットマシン10では、低確率と中確率と高確率の間に大きな差が無いことから、再遊技役の当選確率の変動を捉えるには、長いゲーム区間に亘って再遊技役の入賞確率の推移を観察する必要があるためである。
【0057】
制御部33は、1ゲーム進行する度に、再遊技入賞確率履歴PAにおいて、今回ゲームで算出される再遊技役の入賞確率と前回ゲームの再遊技役の入賞確率を比較し、今回ゲームで算出した再遊技役の入賞確率が前回ゲームの再遊技役の入賞確率に対してしきい値a又はしきい値bを跨いで変動したときには、前回ゲームを変動タイミングとして記憶部32に記憶させる変動タイミング記憶処理を実行する。
このとき、しきい値a(2.1/7=0.3)を低確率側から高確率側に跨いだ前回ゲームを高変動タイミングとして記憶し、しきい値b(5.6/7=0.8)を高確率側から低確率側に跨いだ前回ゲームを低変動タイミングとして記憶する。そして、このような変動が検出される度に高低の変動タイミングを上書きして記憶し、ボーナス遊技の開始の検出と同時に、記憶した変動タイミングをボーナス役の当選タイミングと推定する。
さらに、制御部33は、このときボーナス役当選時の遊技状態(確率状態)の推定を行う当選時遊技状態推定処理を実行する。
具体的には、制御部33は、記憶した変動タイミングが高変動タイミングであれば、当該ボーナス遊技に係るボーナス役は、低確率ゲーム区間で当選したものと推定し、記憶した変動タイミングが低変動タイミングであれば、当該ボーナス遊技に係るボーナス役は、高確率ゲーム区間で当選したものと推定する。
【0058】
例えば、図10に示す例では、ボーナス遊技の開始する4ゲーム前を今回ゲームとすると、制御部33は、今回ゲームで算出した再遊技役の入賞確率(3/7)が、前回ゲームである5ゲーム前の再遊技役の入賞確率(2/7)に対してしきい値aを跨いで変動したものとし、5ゲーム前を高変動タイミング1として記憶部32に記憶する。
そして、制御部33は、ボーナス遊技の開始を検出した今回ゲーム(B1)で、記憶部32に記憶された5ゲーム前(高変動タイミング1)をボーナス役の当選タイミングと推定する。
さらに、制御部33は、ボーナス遊技の開始時において記憶部32に記憶された変動タイミングが高変動タイミングであるので、当該ボーナス遊技に係るボーナス役は、低確率ゲーム区間でボーナス役に当選する当選パターン1と推定する。
このように推定するのは、本実施形態に係るスロットマシン10では、しきい値a(2.1/7)を低確率側から高確率側に跨いだ後に、ボーナス遊技が開始されるのは、低確率ゲーム区間でボーナス役に当選する当選パターン1以外にあり得ないからである。
【0059】
また、図11に示す例では、ボーナス遊技の開始する16ゲーム前を今回ゲームとすると、制御部33は、今回ゲームで算出した再遊技役の入賞確率(3/7)が、前回ゲームである17ゲーム前の再遊技役の入賞確率(2/7)に対してしきい値aを跨いで変動したものとし、17ゲーム前を高変動タイミング1として記憶部32に記憶する。
さらに、ゲームが進行してボーナス遊技の開始する8ゲーム前を今回ゲームとすると、制御部33は、今回ゲームで算出した再遊技役の入賞確率(5/7)が、前回ゲームである9ゲーム前の再遊技役の入賞確率(6/7)に対してしきい値bを跨いで変動したものとし、9ゲーム前を新たな低変動タイミング1として記憶部32に上書きして記憶する。
そして、制御部33は、ボーナス遊技の開始を検出した今回ゲーム(B2)で、記憶部32に記憶されている9ゲーム前(低変動タイミング1)をボーナス役の当選タイミングと推定する。
さらに、制御部33は、ボーナス遊技の開始時において記憶部32に記憶された変動タイミングが低変動タイミングであるので、当該ボーナス遊技に係るボーナス役は、高確率ゲーム区間でボーナス役に当選する当選パターン2と推定する。
これは、本実施形態に係るスロットマシン10では、しきい値b(5.6/7)を高確率側から低確率側に跨いだ後に、ボーナス遊技が開始されるのは、高確率ゲーム区間でボーナス役に当選する当選パターン2以外にあり得ないからである。
【0060】
このように、再遊技役の当選確率の異なる三つのゲーム区間があるスロットマシン10を集計対象とする場合であっても、再遊技役の入賞確率の推移からボーナス役の当選タイミングをリアルタイムに推定することができるのみならず、ボーナス役当選時の遊技状態も推定することができるので、算出される推定ボーナス当選確率の遊技状態を区分できる。
以上のような制御部33の動作は、図12と図13に示すフローチャートにもとづいて実行される。図12は、変動タイミング記憶処理を示すフローチャートであり、図13は、当選時遊技状態推定処理を示すフローチャートである。
以下、変動タイミング記憶処理と当選時遊技状態推定処理について各フローチャートを参照して説明する。
【0061】
変動タイミング記憶処理は、1ゲーム進行する度に、再遊技入賞確率履歴PAにおいて、今回ゲームで算出される再遊技役の入賞確率と前回ゲームの再遊技役の入賞確率を比較し、今回ゲームで算出した再遊技役の入賞確率が前回ゲームの再遊技役の入賞確率に対してしきい値a又はしきい値bを跨いで変動したか否かの判定を行う(S20)。
跨いで変動したときには(S20−Yes)、しきい値aを低確率側から高確率側に跨いだか否かの判定を行う(S21)。しきい値aを低確率側から高確率側に跨いだと判定したときには(S21−Yes)、前回ゲームを高変動タイミングとして記憶部32に記憶する(S22)。
一方、S21においてNoのときは、次いでしきい値bを高確率側から低確率側に跨いだか否かの判定を行う(S23)。しきい値bを高確率側から低確率側に跨いだと判定したときには(S23−Yes)、前回ゲームを低変動タイミングとして記憶部32に記憶する(S24)。
S23においてNoのときは、当選パターン1と当選パターン2のいずれにも該当しない変動タイミングなので、処理を終了する。
このような処理を1ゲーム進行する度に実行することで、その後のボーナス遊技の開始の検出と同時に、当該ボーナス遊技に係るボーナス役の当選タイミングをリアルタイムに推定できる。
【0062】
次に、当選時遊技状態推定処理は、ボーナス遊技の開始を検出した後に実行される処理で、制御部33は、ボーナス遊技の開始時において記憶部32に記憶されている変動タイミングを取得するとともに(S30)、取得した変動タイミングが低変動タイミングか否かの判定を行う(S31)。低変動タイミングと判定したときには(S31−Yes)、制御部33は、当該ボーナス遊技に係るボーナス役は、高確率ゲーム区間において当選したものとし、前述の推定ボーナス当選確率算出処理において推定ボーナス当選確率を高確率ゲーム区間における推定ボーナス当選確率として算出する(S32)。
一方、低変動タイミングでない判定したときには(S31−No)、制御部33は、取得した変動タイミングを高変動タイミングとみなし、当該ボーナス遊技に係るボーナス役は、低確率ゲーム区間において当選したものとし、前述の推定ボーナス当選確率算出処理において推定ボーナス当選確率を低確率ゲーム区間における推定ボーナス当選確率として算出する(S33)。
【0063】
ここで、ART機能及びボーナス確率変動機能搭載タイプのスロットマシン10を集計対象としたときの遊技データについて図16を参照して説明する。
図16に示す遊技データ32bは、既に図9に示した遊技データに、「低確率推定ボーナス当選確率」、「高確率推定ボーナス当選確率」、「ART」を新たな項目として加えた遊技データとなっている。
「低確率推定ボーナス当選確率」は、上記当選時遊技状態推定処理において、ボーナス役当選時のゲーム区間が低確率ゲーム区間と推定されたボーナス遊技の推定ボーナス当選確率を示し、「高確率推定ボーナス当選確率」は、ボーナス役当選時のゲーム区間が高確率ゲーム区間と推定されたボーナス遊技の推定ボーナス当選確率を示し、「ART」は、ボーナス役当選時の遊技状態が高確率ゲーム区間と推定されたボーナス遊技に所定のマーク(例えば、星印)を付して区別する項目である。
【0064】
制御部33は、推定ボーナス当選確率算出処理において算出した推定ボーナス当選確率を上記当選時遊技状態推定処理において推定したボーナス役当選時の遊技状態毎に区分けし、ボーナス役当選時の遊技状態が低確率ゲーム区間と推定されたボーナス遊技に係る推定ボーナス当選確率は、「低確率推定ボーナス当選確率」の項目に記憶し、ボーナス役当選時の遊技状態が高確率ゲーム区間と推定されたボーナス遊技に係る推定ボーナス当選確率は、「高確率推定ボーナス当選確率」の項目に記憶する。
例えば、「ボーナス遊技NO.1」に係るボーナス遊技は、低確率ゲーム区間においてボーナス役に当選したボーナス遊技と推定されたもので、推定ボーナス当選確率算出処理において算出した推定ボーナス当選確率は、「低確率推定ボーナス当選確率」の項目に記憶される。また、「ボーナス遊技NO.2」に係るボーナス遊技は、高確率ゲーム区間においてボーナス役に当選したボーナス遊技と推定されたもので、推定ボーナス当選確率算出処理において算出した推定ボーナス当選確率は、「高確率推定ボーナス当選確率」の項目に記憶されるとともに、「ART」には、ボーナス役当選時の遊技状態が高確率ゲーム区間と推定されたボーナス遊技であることを示す所定のマーク(例えば、星印)が付されて記憶される。
そして、制御部33はこの遊技データ32bを呼出ランプ20とホールコンピュータ50に送信する。これにより、呼出ランプ20とホールコンピュータ50は、ゲーム区間毎の推定ボーナス当選確率を表示したり、取捨選択を行いどちらかのゲーム区間(例えば、低確率推定ボーナス当選確率)のみを表示することもできる。
【0065】
次に、ボーナス確率変動機能を搭載したスロットマシン10を集計対象とした場合における、制御部33の当選タイミング推定手段として動作について説明する。
ボーナス確率変動機能搭載タイプのスロットマシン10では、再遊技役の当選確率が内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率より高く設定された再遊技高確率ゲーム区間を有するように設定されており、この再遊技高確率ゲーム区間は、同時にボーナス役の当選確率がそれ以外のゲーム区間に比べて高く設定された確率変動ゲーム区間となっている。
【0066】
具体的には、本実施形態に係るボーナス確率変動機能搭載タイプのスロットマシン10では、再遊技役の当選確率の異なる三つのゲーム区間があり、ボーナス確率変動中のゲーム区間(以下、高確率ゲーム区間という)における再遊技役の当選確率は高確率(1/1.1)に設定され、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率は中確率(1/3)に設定され、それ以外のゲーム区間(以下、低確率ゲーム区間という)における再遊技役の当選確率は低確率(1/7.3)に設定されている。すなわち、ボーナス確率変動中のゲーム区間における再遊技役の当選確率は、内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率より高く設定されている。
そして、高確率ゲーム区間(ボーナス確率変動中)は、同時にボーナス役の当選確率がそれ以外のゲーム区間に比べて高く設定されている(例えば、ボーナス確率変動中1/40,それ以外1/400)。
また、この高確率ゲーム区間は、所定の特定図柄(例えば、ボーナス図柄「7・7・7」)の停止表示によりボーナス入賞したボーナス遊技終了後のみに移行し、それ以外の非特定図柄(例えば、ボーナス図柄「BAR・BAR・BAR」)の停止表示によりボーナス入賞したボーナス遊技終了後は、低確率ゲーム区間となる。
【0067】
このようなボーナス確率変動機能搭載タイプのスロットマシン10では、ボーナス確率変動中においてもボーナス役の抽選も行われるので、図14に示すタイムチャート4のように、低確率ゲーム区間でボーナス役に当選する当選パターン1と、高確率ゲーム区間でボーナス役に当選する当選パターン2とがある。
具体的には、タイムチャート4に示すように、低確率ゲーム区間でボーナス役に当選すると(A1)、当選したゲームの次のゲームから再遊技役の当選確率が低確率(1/7.3)から中確率(1/3)に変動し、その後ボーナス遊技に入賞するゲーム(B1)まで中確率(1/3)が継続する当選パターン1と、高確率ゲーム区間にボーナス役に当選すると(A3)、当選したゲームの次のゲームから再遊技役の当選確率が高確率(1/1.1)から中確率(1/3)に変動し、その後ボーナス遊技に入賞するゲーム(B3)まで中確率(1/3)が継続する当選パターン2の二通りがある。
このような当選パターンは、前述したART機能搭載タイプのスロットマシン10における当選パターン1,2と全く同一である。そこで、制御部33は、確率変動機能搭載タイプのスロットマシン10では、ART機能搭載タイプのスロットマシン10を集計対象としたときと同じ推定方法により、ボーナス役の当選タイミングを推定するとともに、各当選パターン1,2の推定を行うことができるので、ここでは、その推定の説明を省略する。
【0068】
一方、ボーナス確率変動機能搭載タイプのスロットマシン10の場合、ボーナス遊技終了後に、次回ボーナス当選まで高確率ゲーム区間となる確変ありパターンと、低確率ゲーム区間となる確変なしパターンとがある。このような確率状態の差異は、例えば、呼出ランプ20において高確率ゲーム区間としてランプ等の点灯態様で報知する必要があるが、高確率ゲーム区間を特定可能な遊技信号はスロットマシン10から直接的に出力されていない。
そこで、制御部33は、ボーナス遊技終了後からの再遊技入賞確率履歴PAにもとづいて遊技状態の推定を以下のように行う。
【0069】
図15は、タイムチャート4におけるボーナス遊技終了後のタイムチャートと再遊技入賞履歴Rと再遊技入賞確率履歴PAを示した図で、(a)は、確変なしパターンを推定するときの説明図であり、(b)は、確変ありパターンを推定するときの説明図である。
各図における再遊技入賞確率履歴PAは、ボーナス遊技終了後において、今回ゲームから過去6ゲームに亘る計7ゲーム間(ボーナス遊技中のゲームを除く)の再遊技入賞履歴Rから今回ゲームの再遊技役の入賞確率を1ゲーム進行する度に算出したものとなっている。
【0070】
制御部33は、ボーナス遊技終了後の8ゲーム目から1ゲーム進行する度に、再遊技入賞確率履歴PAにおいて、今回ゲームで算出される再遊技役の入賞確率が所定のしきい値(例えば、4/7)を超えるか又は下回るかの判定を行い、所定ゲーム数(例えば、3ゲーム)連続してしきい値(例えば、4/7)を下回るときには、ボーナス遊技終了後の当該ゲーム区間を確変なしパターンと推定し、所定ゲーム数(例えば、3ゲーム)連続してしきい値(例えば、4/7)を超える(上回る)ときには、ボーナス遊技終了後の当該ゲーム区間を確変ありパターンと推定する。
【0071】
この推定結果は、呼出ランプ30とホールコンピュータ50に送信されるともに、例えば、確変ありパターンと推定されたときは、図16における「ART」の項目にマーク(星印)を付して記憶部32に記憶される。これにより、呼出ランプ20は、ボーナス遊技終了後の確率状態に対応した態様でランプ等を点灯する。すなわち、呼出ランプ20は、確変ありパターンを受信したときには、確変状態を示す点灯態様で、確変なしパターンを受信したときには、低確率状態を示す点灯態様でボーナス遊技終了後の確率状態を報知することができる。
また、このようにボーナス遊技終了後に遊技状態の推定を行うことで、次回ボーナス役に当選するときの遊技状態を事前に推定できるので、次回のボーナス遊技開始で行われる前述の当選時遊技状態推定処理を実行する必要がなくなり、算出される推定ボーナス当選確率を、図16に示す「低確率推定ボーナス当選確率」又は「高確率推定ボーナス当選確率」の区分けに従って直接記憶することができる。
なお、上記の推定において、再遊技入賞確率履歴PAに代えて、再遊技入賞確率履歴PBもとづいて遊技状態の推定を行うこともできる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の遊技場装置及び遊技場システムによれば、内部当選信号が出力されていないスロットマシンにおいても、内部抽選におけるボーナス当選確率に近い推定ボーナス当選確率を算出することができる。
遊技者は遊技を行うスロットマシンを選定する際に、ボーナス入賞確率により設定確率(6段階設定確率)の良し悪しを判断することが多いが、従来方法のボーナス入賞確率によると、せっかく遊技場がスロットマシンの設定確率を高出玉率の設定確率に設定したとしても、それより低い確率で提示されるため、当該スロットマシンが遊技者に見過ごされてしまうおそれがあった。しかしながら、本発明では、内部抽選におけるボーナス当選確率に近い確率が提示されることから、遊技場と遊技者の双方にメリットがある。
【0073】
以上、本発明の遊技場装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技場装置は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、台コンピュータ30を遊技場装置として動作させたが、呼出ランプ20、島コンピュータ40、ホールコンピュータ50を遊技場装置として動作させることもできる。
さらに、本実施形態では、台コンピュータ30が、ボーナス遊技開始検出手段、再遊技入賞検出手段、再遊技入賞確率算出手段、当選タイミング推定手段、推定ボーナス当選確率算出手段など各種手段として機能したが、これらの機能を呼出ランプ20、島コンピュータ40、ホールコンピュータ50に分担させるとともに、相互通信により、算出結果、検出結果、推定結果のやり取りを行うことで、遊技場システムを一の遊技場装置として動作させることもできる。
また、再遊技入賞確率履歴PAにおいて再遊技役の当選確率を算出するときの今回ゲームから過去に遡る所定ゲーム回数は、再遊技役の当選確率の変動の程度によって定めることができ、上述の実施形態に限定されるものではない。
また、再遊技役の当選確率が内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率より高く設定された再遊技高確率ゲーム区間を有するスロットマシンとして、ART(アシスト・リプレイタイム)機能を搭載したスロットマシンを例に挙げて説明したが、RT(リプレイタイム)機能を搭載したスロットマシン10としてもよい。
【0074】
また、当選タイミング及び変動タイミングの推定に用いるしきい値は、予め台コンピュータ30の記憶部32に記憶されているものとして扱ったが、しきい値をホールコンピュータ50にて入力・設定するとともに、これを台コンピュータ30に送信して記憶部32に記憶させることもできる。さらに、例えば、新たにリモコンを設け、このリモコンの入力部でしきい値を入力し、これを呼出ランプ20の本体に無線送信するように構成するとともに、呼出ランプ20から台コンピュータ30に送信させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、遊技場に設置された複数のスロットマシンから各種の遊技信号を収集して集計する遊技場装置において利用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 遊技場システム
10 スロットマシン
20 呼出ランプ
30 台コンピュータ(遊技場装置)
40 島コンピュータ
50 ホールコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のボーナス遊技となるボーナス役と遊技媒体を投入することなく次回遊技可能となる再遊技役とをゲーム毎に行う内部抽選の抽選対象に含むとともに、再遊技役の当選確率のそれぞれ異なる複数のゲーム区間が設定され、ボーナス役当選後からボーナス遊技が開始されるまでの内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率を、この内部当選ゲーム区間前のゲーム区間に比べて高確率又は低確率のいずれかに変動させるスロットマシンを集計対象とし、前記スロットマシンから出力される所定の遊技信号にもとづいて遊技データを集計する遊技場装置であって、
前記スロットマシンから前記ボーナス遊技中に出力されるボーナス遊技信号にもとづいて前記ボーナス遊技の開始を検出するボーナス遊技開始検出手段と、
前記スロットマシンから出力される所定の遊技信号にもとづいて再遊技役の入賞を検出する再遊技入賞検出手段と、
この検出結果を再遊技役入賞履歴として記憶する再遊技入賞履歴記憶手段と、
ボーナス遊技開始前の前記再遊技役入賞履歴にもとづいて当該ボーナス遊技に係るボーナス役の当選タイミングを推定する当選タイミング推定手段と、
前回のボーナス遊技の終了又は所定の初期状態から推定した前記当選タイミングまでのゲーム回数を分母とする推定ボーナス当選確率を算出する推定ボーナス当選確率算出手段と、を備える
ことを特徴とする遊技場装置。
【請求項2】
前記再遊技役入賞履歴にもとづいて所定のゲーム間に亘る再遊技の入賞確率を算出する再遊技入賞確率算出手段を備え、
前記再遊技入賞履歴記憶手段は、
前記再遊技の入賞確率を再遊技役入賞確率履歴として記憶し、
前記当選タイミング推定手段は、
前記再遊技の入賞確率が前記ボーナス遊技開始前に前後のゲーム間で所定のしきい値を跨いで変動した前のゲームを、前記ボーナス役の当選タイミングと推定する請求項1記載の遊技場装置。
【請求項3】
前記再遊技役の当選確率が前記内部当選ゲーム区間における再遊技役の当選確率より高く設定された高確率ゲーム区間を有する前記スロットマシンを集計対象とする場合において、
前記当選タイミング推定手段は、
前記再遊技の入賞確率が前記ボーナス遊技開始前に前後のゲーム間で所定のしきい値を跨いで高確率から低確率に変動した前のゲームを、前記ボーナス役の当選タイミングと推定する請求項2記載の遊技場装置。
【請求項4】
前記再遊技役の当選確率をボーナス遊技終了後から所定のゲーム区間まで所定の低確率又はこれより確率の高い高確率のいずれかに変動させるスロットマシンを集計対象とする場合において、
前記当選タイミング推定手段は、前記ボーナス遊技終了後において、
前記再遊技の入賞確率が所定のゲーム回数に亘って連続して所定のしきい値を超えるときは、そのボーナス遊技終了後のゲーム区間を高確率ゲーム区間と推定し、
前記再遊技の入賞確率が所定のゲーム回数に亘って連続して所定のしきい値を超えないときは、そのボーナス遊技終了後のゲーム区間を低確率ゲーム区間と推定する請求項2又は3記載の遊技場装置。
【請求項5】
再遊技入賞確率算出手段は、
今回ゲームから過去に1ゲームずつ遡ったそれぞれのゲームまでの、
又は、今回ゲームから過去に所定ゲーム回数遡ったゲームまでの、
前記いずれかのゲーム間に亘る前記再遊技役の入賞確率を算出し、
前記再遊技入賞記憶手段は、
算出した前記再遊技役の入賞確率を再遊技役の入賞確率履歴として記憶する請求項2〜4のいずれか一項に記載の遊技場装置。
【請求項6】
再遊技入賞確率算出手段は、
今回ゲームから過去に所定ゲーム回数遡ったゲームまでの前記再遊技役の入賞確率を1ゲーム進行する度に算出し、
前記再遊技入賞記憶手段は、
算出した前記再遊技役の入賞確率を前記再遊技役の入賞確率履歴として記憶し、
前記当選タイミング推定手段は、
前記再遊技役の入賞確率履歴において、前回ゲームの前記再遊技役の入賞確率に対して今回ゲームの前記再遊技役の入賞確率が所定のしきい値を跨いで変動したときは、前回ゲームを前記再遊技役の当選率の変動タイミングとして記憶するとともに、ボーナス遊技の開始が検出されたときに、前記変動タイミングとして記憶された前記前回ゲームを、当該ボーナス遊技に係るボーナス役の当選タイミングと推定する請求項2〜5のいずれか一項に記載の遊技場装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−50696(P2012−50696A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195823(P2010−195823)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】