説明

遊技媒体貸機

【課題】通電状態にあるときは、貸機本体と保持部材との着脱を阻止して、コネクタの抜き差しを不可能にした遊技媒体貸機を提供する。
【解決手段】貸機本体および取付枠に互いの装着状態を保持するロック機構830と、電気的な接続を行なうコネクタ821を備える中継基板821とを設け、ロック機構830は、連動カム831、停止カム、作動カム833、動作杆851、係合片、および係合部853が互いに協動して貸機本体を取り外すことができず中継基板821へ給電可能な第1状態と、貸機本体が着脱可能で給電を停止した第2状態とに変位可能に構成され、着脱操作を給電が停止している第2状態において行ない、動作杆851に中継基板821の給電回路を導通および遮断させるスイッチ860を臨ませた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機島を構成する遊技機の間に設置する遊技媒体貸機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機などの遊技機と遊技機との間に形成される隙間部には、遊技媒体貸機が設置されるようになっており、このように遊技機の間に遊技媒体貸機を設置することにより、客が席を離れて遊技媒体を借りに行く手間を省くことができるようになっている。なお、本明細書では、遊技媒体貸機と称した場合に、貸機本体と周辺機器を含むものとする。
【0003】
そして、貸機本体を遊技機島の保持部材に装着する場合は、貸機本体を前方より保持部材に押し込むことにより、貸機本体に設けられた係脱可能な係止爪を保持部材に形成された係止孔に係止させ、貸機本体を保持部材に装着するようになっている。
【0004】
また、この貸機本体の背面にはコネクタが設けられ、貸機本体の背面に臨む保持部材の内壁面には、このコネクタと接続される他のコネクタが設けられている。そして、貸機本体を保持部材に前方より押し込むと、これらのコネクタが接続され、これにより貸機本体と保持部材とが電気的に接続されるようになっている。
【0005】
そして、このような遊技媒体貸機の一例は、例えば特許文献1によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−33769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の貸機本体と保持部材とに設けたコネクタは、通電状態にあっても抜き差しが可能であった。このため、データが消失したり、電子基板等が損傷する事故が発生していた。また、それぞれの機器をそれぞれのコネクタによって個別に接続するものは、接続に手間が掛かる。さらに、接続箇所が多いと、誤配線の危険性も大きかった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、通電状態にあるときは、貸機本体と保持部材との着脱を阻止して、コネクタの抜き差しを不可能にして、電気的な破損に対する安全性を高めるとともに、着脱を容易にした遊技媒体貸機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、遊技機島を構成する遊技機の間に設置する遊技媒体貸機であって、前記遊技機島に配置した貸機用の取付枠と、該取付枠に対して着脱可能な貸機本体と、を備え、前記貸機本体および前記取付枠には、互いの装着状態を保持するロック機構と、両者の電気的な接続を行なうコネクタを備える中継基板と、を少なくとも設け、前記ロック機構を、前記取付枠に装着した貸機本体を取り外すことができずかつ前記中継基板へ給電可能にする第1状態と、前記貸機本体を着脱することができかつ前記中継基板への給電を停止する第2状態と、に変位可能に構成し、前記貸機本体の前記取付枠からの取り外し操作は、前記ロック機構に設けた操作手段により、前記ロック機構を第1状態から第2状態へ変位させて行ない、一方、前記貸機本体の前記取付枠への取り付け操作は、給電が停止している第2状態において行ない、第1状態で前記中継基板へ給電するとともに、前記貸機本体の前記取付枠への装着状態を保持するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の遊技媒体貸機の構成に加え、前記ロック機構は、前記貸機本体に当接して傾動する連動カムと、前記操作手段を形成する動作杆に連係する停止カムと、前記連動カムと前記停止カムとを連係させる作動カムと、を備え、前記動作杆には、前記貸機本体に設けた係合片に係合可能な係合部を設け、前記連動カム、前記停止カム、前記作動カム、前記動作杆、前記係合片、および前記係合部が互いに協動して、前記第1状態、および第2状態に変位するように構成し、前記動作杆に、前記中継基板の給電回路を導通および遮断させるスイッチを臨ませたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遊技媒体貸機によれば、貸機本体を取付枠に着脱する際に、中継基板に対する給電を停止した状態で行なうので、中継基板が破損したり、データが消失することを確実に防止できる。したがって、遊技媒体貸機の保守点検作業や交換作業を、容易かつ安全に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る遊技媒体貸機の概略を説明するための正面図である。
【図2】遊技媒体貸機を遊技機島に設置するための取付枠の斜視図である。
【図3】取付枠を示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図である。
【図4】玉貸機本体を示し、(a)は前方から見た斜視図、(b)は後方から見た斜視図である。
【図5】遊技媒体貸機の概略を示し、(a)は側板を外した状態の玉貸機本体の斜視図、(b)は電源ユニットの斜視図、(c)は計数機ユニットおよび玉箱の斜視図である。
【図6】取付枠に対して、玉貸機本体および電源ユニットまたは計数機ユニットを取り付ける方法を説明する図である。
【図7】取付枠に対して、玉貸機本体、電源ユニット、計数機ユニットを取り付ける方法を説明する斜視図である。
【図8】取付枠に、玉貸機本体、電源ユニット、計数機ユニットを取り付けた状態の斜視図である。
【図9】計数機ユニットを取り付けた取付枠に、電源ユニットおよび中継基板ユニットを取り付ける方法を説明する斜視図である。
【図10】中継基板ユニットの斜視図である。
【図11】中継基板ユニットを示し、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は正面図である。
【図12】玉貸機本体を装着した状態における中継基板ユニットを示し、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【図13】玉貸機本体を着脱可能な状態における中継基板ユニットを示し、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【図14】玉貸機本体を取り外した状態における中継基板ユニットを示し、(a)は左側面図、(b)は正面図である。
【図15】他の実施例による取付枠の斜視図である。
【図16】他の実施例による取付枠を示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図である。
【図17】他の実施例による取付枠へ玉貸機本体および電源ユニットまたは計数機ユニットを取り付ける方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る遊技媒体貸機の一例である玉貸機の概略を説明するための正面図であり、遊技機に隣接して配置される。図2は、玉貸機を遊技機島に設置するための取付枠の斜視図である。また、図3は、取付枠の詳細を示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、をそれぞれ示している。さらに、図4は、玉貸機本体を示し、(a)は前方から見た斜視図、(b)は後方から見た斜視図、をそれぞれ示している。
【0014】
先ず、玉貸機本体200を取り付けるための取付枠300について説明する。この取付枠300は、図2および図3に示すように、断面図の形状が、略コ字状になるように形成された部材であって、鉛直方向に延びる支柱部310と、この支柱部310の上端から前方に延びる上止着部320と、支柱部310の下端から前方に延びる下止着部330と、を備えている。
【0015】
支柱部310は、背板311の両側縁に、前方へ向けて延出し、互いに向き合う一対の側片312、312が屈曲形成してある。そして、この一対の側片312、312の間に、後述する玉貸機本体200が位置することになる。また、支柱部310の背板311には、後述する中継基板ユニット800のコネクタ821を通したり、固定用のガイドピン870を挿通したりする種々の開口部341a、341b、341c、341...、あるいはねじ孔342等が、適宜に設けてある。
【0016】
一方、上止着部320には、この取付枠300を遊技機島に固定するための取付片343や、玉の補給路を確保するための開口部341d等が、適宜に設けてある。さらに、下止着部330にも、取付孔344や開口部341e等が、適宜に設けてある。
【0017】
また、遊技者に遊技媒体であるパチンコ玉を貸し出すための玉貸機本体200は、どのようなタイプのものであってもよい。すなわち、紙幣または硬貨を投入する現金玉貸機や、カードあるいはコインなどのプリペイド媒体を必要とするCRユニット玉貸機や、あるいはCRユニットを搭載しているが、非現金媒体(カード、コインなどのプリペイド媒体現金)を必要とすることなく、直接現金で玉貸しが可能なシステムに用いるものであってもよい。
【0018】
ここで、図1以降に示す実施例における玉貸機本体200は、上記直接現金で玉貸しが可能なシステムに対応したものである。次に、この玉貸機本体200を簡単に説明する。先ず、状態表示ランプ211は、異なる色彩で運用状態を表示する。残高・貯玉度数表示部212は、紙幣挿入口213へ紙幣を挿入したときに、預り金残高を表示する。切替スイッチ214は、預り金残高と貯玉度数の表示を切り替える。持玉表示部215は、持玉(計数玉)を表示する。払出スイッチ216は、最低払出玉数/度数以上持っているときに点灯し、押すと持玉→貯玉の順で玉を払い出す。
【0019】
テンキー217は、暗証番号を入力するときに使用する。返却ランプ218は、コイン/会員カード返却時に点滅し、取り忘れがないように注意を喚起する。また、ICタグタッチ部219は、メンテナンス時に従業員がテンキー217と併用して使用する。
【0020】
一方、玉貸機本体200の内部は、例えば、図5(a)に示すように、種々の部品が収設してある。すなわち、図5(a)は、玉貸機本体200の側板221を外して内部を視認可能にした前方から見た斜視図である。なお、側板221の着脱は、例えば、図4に示すように、係止爪222を、側板221に設けた切欠溝の側縁に係止させて行なっている。このようにして、側板221を係止爪222によって着脱自在に構成すると、ねじ止めなどに比べて、着脱に要する手間を大幅に削減することができ、側板221の着脱がきわめて容易になる。したがって、メンテナンス作業や組立作業時に便利であり、作業の効率化が図れる。
【0021】
紙幣識別機231では、紙幣挿入口213から挿入された紙幣の真贋を判別し、正規の紙幣を図示していない紙幣搬送装置へ受け渡す。玉切りユニット232は、図示していない補給樋から玉通路を介して流入する玉をカウントして、必要数量を貸出しノズル233から遊技機100の上皿110へ供給する。コアモジュール234は、セキュリティ基板であり、制御基板235は、玉貸機全体の制御を行なう。コイン・カードユニット236は、コインが最大9枚までストック可能で、情報の読み込みや書き込みを行なう。また、会員カードへ情報の読み込みや書き込みを行なう。なお、図中、符号237は、コイン挿入口、238はコイン返却口、239は会員カード挿入口である。
【0022】
玉貸機本体200の下方には、通常、電源ユニット400を配置するが、図示の実施例においては、電源ユニット400と後述する計数機ユニット500とを選択して配置するように構成している。例えば、図6に示す実施例では、電源ユニット400を選択して、取付枠300に取り付けようとしている。なお、電源ユニット400と計数機ユニット500とは、外形および寸法を同一に形成してある。
【0023】
そこで、先ず、電源ユニット400を選択して取付枠300に配置する場合を説明する。すなわち、各台計数機を持たない場合を説明する。電源ユニット400は、略矩形のケース410に収納されており、背面側から図示していないケーブル、例えばAC接続ケーブル、電源スイッチケーブル、DC出力ケーブルが延出している。また、ケース410の上縁には、例えば図5(b)に示すように、一対のレール片421、421を当該ケース410の長手方向に沿って起立させてレール部420を設けている。さらに、ケース410の前面には、装飾用の化粧部材430が取り付けてある。
【0024】
この電源ユニット400を、取付枠300の下止着部330に前方から挿入して、取付孔344等を利用してねじ等で固定する。そして、この電源ユニット400の上方領域において、玉貸機本体200の下縁に形成したレール受部250を、電源ユニット400のレール部420に嵌合させて取付枠300の奥へ向けてスライドさせるとともに、取付枠300の上止着部320に玉貸機本体200の上縁部分を挿入して、取付孔344等を利用して固定する。
【0025】
このようにして、玉貸機本体200と電源ユニット400を取付枠300に固定すれば、玉貸機本体200と電源ユニット400とを一体化して設置することができ、統一された意匠とすることもできる。
【0026】
一方、計数機ユニット500を選択して、獲得した出玉をその場で計数可能な各台計数機を形成することも、きわめて容易にできる。すなわち、図7に示すように、計数機ユニット500を選択した場合には、前記電源ユニット400と同一形状、同一サイズに形成した計数機ユニット500を、取付枠300の下止着部330に、前方から挿入して、取付孔344等を利用して固定する(図7参照)。次に、この計数機ユニット500の上に、玉貸機本体200の下面を載せるとともに、取付枠300の上止着部320に玉貸機本体200の上縁部分を挿入して、取付孔344等を利用して、玉貸機本体200を取付枠300に固定する(図8参照)。すなわち、前記電源ユニット400の場合と同様に、計数機ユニット500の上方領域において、玉貸機本体200の下縁に形成したレール受部250を、計数機ユニット500のレール部520に嵌合させて取付枠300の奥へ向けてスライドさせるとともに、取付枠300の上止着部320に玉貸機本体200の上縁部分を挿入して、取付孔344等を利用して固定する。なお、計数機ユニット500もケース510に収納され、一対のレール片521、521でレール部520を構成している。
【0027】
また、後述するが、計数機ユニット500には、玉通路を形成するための玉樋部材600の一端を接続するとともに、玉樋部材600の他端を遊技機100の前面側に配置した玉箱700の側面に接続する。
【0028】
このようにして、玉貸機本体200と計数機ユニット500とを、取付枠300に一体化して配置すると、計数機能を玉貸機の下方に付加して各台計数機を形成することができ、遊技客の利便性が著しく向上する。また、遊技店にとっても、遊技者が獲得した出玉を、店内の一隅に設けた景品カウンターや各遊技機島に設置した計数機へ運ぶ手間がなくなり、きわめて有効である。また、遊技機島内を循環する玉が不足したり、偏ることがなくなるので、メリットが大きい。
【0029】
そして、取付枠300には、玉貸機本体200の下方のスペースに、電源ユニット400または計数機ユニット500のいずれか一方を取り付けることができる。したがって、当初は電源ユニット400を取り付けて計数機能のない玉貸機を構成しておき、後日、電源ユニット400を計数機ユニット500に交換すれば、計数機能を容易に追加することが可能である。このとき、電源ユニット400は、取付枠300の背面側に配置している。このため、従来の玉貸機を配置した遊技機島において、各台計数機の機能を追加する場合には、玉貸機の交換が必要であったが、この実施例によれば、玉貸機本体200を交換する必要がない。したがって、この実施例による玉貸機本体200を配置した遊技機島に、各台計数機の機能を追加したとしても、遊技機島を大幅に改修する必要がない。
【0030】
ところで、従来、玉貸機の電源ユニット400が配置されていた位置に、計数機ユニット500を配置した場合には、電源の確保に支障が出る。そこで、図示の実施例では、電源ユニット400を、取付枠300の支柱部310の背面側に取り付けて、玉貸機本体200および各台計数機に電源を供給している。
【0031】
そして、この実施例では、例えば、図9の分解した斜視図に示すように、取付枠300の支柱部310の背面に、中継基板ユニット800を取り付けて、この中継基板ユニット800を介して種々の電気的な接続、および玉貸機本体200の取付枠300に対する着脱を行なうように構成している。
【0032】
この中継基板ユニット800は、図10および図11に示すような構成を備え、玉貸機本体200および電源ユニット400と、遊技店の諸設備との電気的な接続を中継するとともに、玉貸機本体200の取付枠300に対する取り付け状態を保持する。
【0033】
また、上記中継基板ユニット800は、縦長で浅い箱状のケース体810の中に、電気的な中継を行なう中継基板820と、後述するロック機構830とを備えている。
【0034】
中継基板820は、前面側(図10では右側)に、すなわち玉貸機本体200側に、唯一のコネクタ821を備えている。一方、背面側(例えば、図11(b)参照)には、電源スイッチ接続コネクタ、DC電源接続コネクタ842、シリアルインターフェイス接続コネクタ843、LAN接続コネクタ844、計数機接続コネクタ845、紙幣搬送装置接続コネクタ846、ホールコンピュータ接続コネクタ847、などが設けてある。
【0035】
このように、中継基板820を介して電気的な接続を行なうと、玉貸機本体200の保守点検作業を行なう場合や、玉貸機本体200を交換するために玉貸機本体200を着脱する際、それぞれの配線を外し、接続する手間を大幅に削減することができる。また、誤配線を防止することができるので、信頼性も向上する。
【0036】
ところで、玉貸機本体200を着脱するときに、中継基板820が通電状態にあると、すなわち中継基板820に給電されていると、この中継基板820が破損したり、台番号などのデータが消失する事故が発生する。そこで、この実施例では、中継基板820が通電状態にあるときは、玉貸機本体200を着脱できないようにするロック機構830が中継基板ユニット800に設けてある。
【0037】
このロック機構830は、玉貸機本体200を取付枠300に装着して取り外すことができず、かつ中継基板820へ給電可能にした第1状態と、玉貸機本体200を着脱することができて、かつ中継基板820への給電を停止した第2状態と、中継基板820への給電が停止され、かつ玉貸機本体200を取り外した第3状態と、に変位可能に構成してある。
【0038】
具体的に説明すると、ロック機構830には、玉貸機本体200の背面側の所定位置に当接して傾動する連動カム831が設けてある。また、遊技店員あるいは作業員が操作するための操作手段850が設けてあり、この操作手段850は、中継基板ユニット800のケース体810に沿って、鉛直方向に摺動可能に設けた動作杆851によって形成され、この動作杆851の上端に操作部852が設けてある。さらに、ロック機構830には、動作杆851に連係する停止カム832と、この停止カム832と前記連動カム831とを連係させる作動カム833とが設けてある。
【0039】
一方、動作杆851には、玉貸機本体200に設けた係合片260に係合可能な係合部853が形成してある。すなわち、この係合部853が、玉貸機本体200の背面から突出させた係合片260に係脱して、玉貸機本体200を保持または解除することになる。
【0040】
そして、連動カム831と、停止カム832と、作動カム833と、動作杆851と、係合片、および係合部853は、互いに協動して、前記第1状態、第2状態および第3状態に変位する。なお、連動カム831、停止カム832、作動カム833、動作杆851は、図示していないバネ等の付勢手段によって、所定の位置となるように付勢してある。
【0041】
さらに、前記動作杆851には、中継基板820の給電回路を導通および遮断させるスイッチ860が臨ませてあり、このスイッチ860を、動作杆851が「オン」、「オフ」することによって、中継基板820への給電を行なったり、停止したりする。
【0042】
ここで、玉貸機本体200の着脱方法を簡単に説明する。先ず、図12は、図示を省略した玉貸機本体200を装着した状態における中継基板ユニット800を示している。この装着状態では、動作杆851が上昇して、動作杆851の係合部853と玉貸機本体200の係合片260とが係合している。また、スイッチ860の作動レバー861の先端受圧部861aが、動作杆851の下端に形成した切欠部854に嵌入し、スイッチ860がオン状態になる。このとき、中継基板820へ給電可能となっている。すなわち、ロック機構830は、第1状態にある。
【0043】
次に、図13に示すように、操作手段850である動作杆851の上端に設けた操作部852を、下方に押圧して動作杆851を下方へ摺動させると、動作杆851の係合部853と玉貸機本体200の係合片260との係合が解除される。また、スイッチ860の作動レバー861が下降した動作杆851の側面によって押圧されるため、スイッチ860がオフ状態になり、中継基板820への給電が停止される。すなわち、ロック機構830は、第2状態にある。
【0044】
そして、図14に示すように、玉貸機本体200を取り外すと、連動カム831に対する玉貸機本体200による押圧が解除されるため、連動カム831が戻り傾動し、停止カム832および作動カム833を連係するが、動作杆851は依然として下降状態を保持している。このため、スイッチ860は、作動レバー861の先端受圧部861aが、動作杆851の切欠部上限855に当接して、オフ状態を保持している。したがって、中継基板820への給電は停止された状態にある。すなわち、ロック機構830は、第3状態にある。
【0045】
一方、玉貸機本体200の取り付けは、中継基板820への給電が停止された状態、すなわち第2状態で行なう。このため、中継基板820が電気的に破損したり、データが消失する虞れがない。
【0046】
なお、中継基板ユニット800には、玉貸機本体200に向けて突出するガイドピン870および係止部880が設けてあり、玉貸機本体200には、前記ガイドピン870および係止部880に対応する、受孔および係止受部が設けてある。このため、装着時に、玉貸機本体200を所定の位置に案内するとともに、装着状態を確実に保持することができる。
【0047】
また、この実施例における中継基板ユニット800では、スイッチ860がオフになると、給電を停止させるばかりではなく、台番号等のデータのバックアップを開始するように設定してある。さらに、この実施例では、操作手段850を手動によって作動させているが、ソレノイド等の電気的駆動源を利用するようにしてもよい。
【0048】
このような中継基板ユニット800を備える実施例によれば、玉貸機本体200を取付枠300に着脱する際に、中継基板820の給電を停止しているので、中継基板820が破損したり、データが消失することがない。また、種々の配線の接続を、一つのコネクタ821に集約しているので、接続作業が容易になるばかりではなく、誤配線の防止にも役立つ。さらに、不正な基板の追加もきわめて困難になるので、不正遊技に対する安全面でも有効である。
【0049】
図15ないし図17は、他の実施例を示している。すなわち、図15は、他の実施例による取付枠300の斜視図、図16(a)は同上の平面図、図16(b)は左側面図、図16(c)は正面図、図16(d)は右側面図、図16(e)は底面図である。また、図17は、この実施例における取付枠300への玉貸機本体200および電源ユニット400または計数機ユニット500の取り付けに関する説明図である。
【0050】
この実施例は、投入された紙幣を貯留可能に構成した玉貸機本体200に対応するように形成したものである。すなわち、この実施例では、玉貸機本体200の後方へ突出する紙幣貯留部290を収める膨出部390を、取付枠300の上方部分に形成している点で、前記した実施例と相違している。そこで、前記した実施例と同じ機能を有する部材には、同一符号を付して、個々の説明を省略する。
【0051】
この実施例によれば、玉貸機本体200に投入された紙幣を貯留することができる。また、玉貸機本体200を取付枠300に着脱する際に、中継基板820の給電を停止しているので、中継基板820が破損したり、データを消失することがない。さらに、取付枠300には、玉貸機本体200の下方のスペースに、電源ユニット400または計数機ユニット500のいずれか一方を取り付けることができる。したがって、本発明の玉貸機を遊技機島に設置しておけば、計数機能のない既存の玉貸機として使用することができるとともに、計数機能が必要となった場合には、電源ユニット400を例えば取付枠300の背面側に配置し、電源ユニット400が以前あった場所に計数機ユニット500を設置することで、計数機能を容易に追加することができる。ゆえに、遊技機島の大幅な改修が不要となる。なお、電源ユニット400は取付枠300の背面側ばかりではなく、遊技機島の他の部位に配置してもよい。
【0052】
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。例えば、遊技機としてパチンコ機について説明したが、他の遊技機に適用することも可能である。また、上述のように本実施例ではパチンコ玉を貸し出す玉貸機について説明したが、例えばスロットマシン等の遊技機に用いるメダルを貸し出すメダル貸機に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
100 遊技機
110 上皿
200 玉貸機本体
211 状態表示ランプ
212 残高・貯玉度数表示部
213 紙幣挿入口
214 切替スイッチ
215 持玉表示部
216 払出スイッチ
217 テンキー
218 返却ランプ
219 タグタッチ部
221 側板
222 係止爪
231 紙幣識別機
232 玉切りユニット
233 貸出しノズル
234 コアモジュール
235 制御基板
236 コイン・カードユニット
237 コイン挿入口
238 コイン返却口
239 会員カード挿入口
250 レール受部
260 係合片
290 紙幣貯留部
300 取付枠
310 支柱部
311 背板
312 側片
320 上止着部
330 下止着部
341 開口部
342 ねじ孔
343 取付片
344 取付孔
390 膨出部
400 電源ユニット
410 ケース
420 レール部
421 レール片
430 化粧部材
500 計数機ユニット
510 ケース
520 レール部
521 レール片
600 玉樋部材
700 玉箱
800 中継基板ユニット
810 ケース体
820 中継基板
821 コネクタ
830 ロック機構
831 連動カム
832 停止カム
833 作動カム
842 電源接続コネクタ
843 シリアルインターフェイス接続コネクタ
844 LAN接続コネクタ
845 計数機接続コネクタ
846 紙幣搬送装置接続コネクタ
847 ホールコンピュータ接続コネクタ
850 操作手段
851 動作杆
852 操作部
853 係合部
854 切欠部
855 切欠部上限
860 スイッチ
861 作動レバー
861a 先端受圧部
870 ガイドピン
880 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機島を構成する遊技機の間に設置する遊技媒体貸機であって、
前記遊技機島に配置した貸機用の取付枠と、該取付枠に対して着脱可能な貸機本体と、を備え、
前記貸機本体および前記取付枠には、互いの装着状態を保持するロック機構と、両者の電気的な接続を行なうコネクタを備える中継基板と、を少なくとも設け、
前記ロック機構を、前記取付枠に装着した貸機本体を取り外すことができずかつ前記中継基板へ給電可能にする第1状態と、前記貸機本体を着脱することができかつ前記中継基板への給電を停止する第2状態と、に変位可能に構成し、
前記貸機本体の前記取付枠からの取り外し操作は、前記ロック機構に設けた操作手段により、前記ロック機構を第1状態から第2状態へ変位させて行ない、
一方、前記貸機本体の前記取付枠への取り付け操作は、給電が停止している第2状態において行ない、第1状態で前記中継基板へ給電するとともに、前記貸機本体の前記取付枠への装着状態を保持するようにしたことを特徴とする遊技媒体貸機。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記貸機本体に当接して傾動する連動カムと、前記操作手段を形成する動作杆に連係する停止カムと、前記連動カムと前記停止カムとを連係させる作動カムと、を備え、
前記動作杆には、前記貸機本体に設けた係合片に係合可能な係合部を設け、
前記連動カム、前記停止カム、前記作動カム、前記動作杆、前記係合片、および前記係合部が互いに協動して、前記第1状態、および第2状態に変位するように構成し、
前記動作杆に、前記中継基板の給電回路を導通および遮断させるスイッチを臨ませたことを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体貸機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−233869(P2010−233869A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86102(P2009−86102)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(501005966)大都販売株式会社 (110)
【Fターム(参考)】