説明

遊技機、及び遊技システム

【課題】不正を防止しつつ、遊技者に不利益を生じさせないようにする。
【解決手段】遊技球を用いた遊技により所定の払出契機である入賞が成立するごとに前記遊技球の賞球払出指示信号Shを出力する遊技機メイン基板40と、前記遊技機メイン基板40の賞球払出指示信号Shに基づいて前記遊技球の払出を制御する払出制御基板41と、を備え、前記遊技機メイン基板40、及びは前記払出制御基板41の動作に基づいて動作異常を検知した場合、前記遊技機メイン基板40、及び前記払出制御基板41に動作を保留した状態で待機させるパチンコ機5を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に対する不正防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技媒体を投入して行われる遊技によって所定の入賞契機が成立するごとに所定数の遊技媒体を払い出すことで、遊技者が遊技媒体を獲得するようにした遊技機が知られている。また、この種の遊技機では、遊技を通じて所定の抽選契機が成立するごとに当落抽選を行い、当選を契機に遊技状態を、遊技媒体を獲得し易くなる特別遊技状態(いわゆる、大当り遊技状態)に移行するものがある。
【0003】
一方、入賞契機を不正に誘発させて遊技媒体を獲得する、いわゆるゴト行為と呼ばれる不正行為が知られている。このような不正行為を検知する技術が従来から各種提案されており、例えば、入賞契機成立の発生と、実際に払い出された遊技媒体個数とを監視することで、不正な払い出しを検知する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−213700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、不正な払い出しが検知された場合、その旨を外部に報知する構成であるため、例えば報知手段たるスピーカやランプを不正に破壊等された場合、不正の発見が遅れる、という問題がある。
そこで、不正検知に伴い遊技を強制的に中断させる事が考え得る。しかしながら、玉詰まり等の、不正とは言えない機械的なトラブルを不正として誤検知されてしまった場合には、遊技者が不正行為を行っていないにもかかわらず、例えば特別遊技状態での遊技が中断される等、遊技者が遊技を獲得する契機を損なってしまう虞がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、不正を防止しつつ、遊技者に不利益を生じさせることがない遊技機、及び遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、遊技媒体を用いた遊技により所定の払出契機が成立するごとに前記遊技媒体の払出指示を出力する遊技機メイン基板と、前記遊技機メイン基板の払出指示に基づいて前記遊技媒体の払出を制御する払出制御基板と、を備え、前記遊技機メイン基板、及び/又は前記払出制御基板の動作に基づいて動作異常を検知した場合、前記遊技機メイン基板、及び前記払出制御基板に動作を保留した状態で待機させたことを特徴とする遊技機を提供する。
【0008】
また本発明は、上記遊技機において、前記遊技機メイン基板が前記払出に係る情報を外部に通知するために出力する外部出力情報と、前記払出制御基板が前記遊技媒体の払出の結果を外部に通知するために出力する払出結果情報との間の不整合に基づいて動作異常を検知することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記遊技機において、前記動作異常を検知する検知手段を備え、前記遊技機メイン基板、及び前記払出制御基板のそれぞれごとに、前記検知手段に前記外部出力情報、及び前記払出結果情報を入力する専用の通信経路を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記遊技機において、前記通信経路を通じて送受するデータを暗号化したことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記遊技機において、前記検知手段は、前記遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と通信可能に接続され、前記外部出力情報、及び前記払出結果情報を前記遊技媒体貸出装置に出力するとともに、前記動作異常を検知した場合、その旨を前記遊技媒体貸出装置に出力することを特徴とする。
【0012】
また上記目的を達成するために、本発明は、遊技媒体を用いた遊技により所定の払出契機が成立するごとに前記遊技媒体の払出指示を出力する遊技機メイン基板と、前記遊技機メイン基板の払出指示に基づいて前記遊技媒体の払出を制御する払出制御基板と、を備えた遊技機と、前記遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と、を有し、前記遊技機は、前記遊技機メイン基板、及び/又は前記払出制御基板の動作に基づいて動作異常を検知した場合、その旨を前記遊技媒体貸出装置に出力し、前記遊技機メイン基板、及び前記払出制御基板に動作を保留した状態で待機させたことを特徴とする遊技システムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、遊技機メイン基板、及び/又は払出制御基板の動作に基づいて動作異常を検知した場合には、前記遊技機メイン基板、及び前記払出制御基板に動作を保留した状態で待機させる構成としたため、動作異常検知時には遊技媒体の払い出しを速やかに停止して不正を防止できる。これに加え、動作異常解消時には、動作を保留した時点から再開できるため、動作異常が不正とは関係ない要因によって発生した場合には、遊技者は、動作保留により中断された遊技を当該中断された時点から再開することができ、中断による不測の不利益を被ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る遊技サービスシステムの全体構成を示す図である。
【図2】遊技システムの機能的構成を示す図である。
【図3】遊技システムの基板間暗号通信の説明図である。
【図4】動作監視の説明図である。
【図5】遊技システムの動作異常検知のシーケンス図である。
【図6】本発明の変形例に係るパチンコ機の要部構成を示す模式図である。
【図7】遊技機搭載暗号基板の動作異常検知時の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の他の変形例に係るパチンコ機の要部構成を示す模式図である。
【図9】遊技機搭載暗号基板の動作異常検知時の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技サービスシステム1の構成を示す図である。
遊技サービスシステム1は、遊技店舗2に導入されている遊技管理システム3と、サービス提供サーバー群4とを備えている。遊技管理システム3は、遊技機の一例たるパチンコ機5から遊技情報を取得して管理するシステムであり、複数台のパチンコ機5及びCR(Card Reader)ユニット(遊技球貸出装置)6等を備えて構成されている。サービス提供サーバー群4は、遊技管理システム3に対して各種サービスを提供するサーバー群である。
【0016】
サービス提供サーバー群4には、大別すると、ベンダー系に属するベンダー系サーバー群4Aと、データセンター系に属するデータセンター系サーバー群4Bとが含まれており、それぞれがインターネット等の広域網11を介して遊技管理システム3と通信可能に接続されている。
ベンダー系サーバー群4Aには、遊技機メーカーサーバー12Aと、販社・中古機業者サーバー12Bと、カード会社サーバー12Cと、コンテンツプロバイダーサーバー12Dとが含まれている。
遊技機メーカーサーバー12Aは、パチンコ機5を製造する遊技機メーカーが所有するサーバーであり、販社・中古機業者サーバー12Bは、パチンコ機5を販売する販売会社や中古のパチンコ機5を販売する中古機業者が所有するサーバーである。これら遊技機メーカーサーバー12A、及び販社・中古機業者サーバー12Bからは、製造、或いは販売したパチンコ機5の識別情報(例えば製造番号)と、後述する基板間認証に供される認証用情報としての遊技機ID(例えば、遊技機メイン基板40のCPU固有ID61(図2))と、出荷先とが後述する遊技機ID管理センターサーバー13Dに送信され、当該遊技機ID管理センターサーバー13Dで管理される。
カード会社サーバー12Cは、遊技球の貸し出しに供する後述するプリペイド媒体14を製造販売するカード会社によって利用され、プリペイド媒体の製造番号やシリアル番号の照会サービスを提供するサーバーである。遊技店舗側は、かかる照会サービスを利用することで、偽造等された不正なプリペイド媒体を発見できる。
コンテンツプロバイダーサーバー12Dは、コンテンツを配信するプロバイダーによって利用され、各種コンテンツを配信するサーバーである。コンテンツの例としては、例えば遊技機メーカーによって登録されたパチンコ機5のPR(Public Relations)コンテンツや、遊技性能、遊技方法等の説明コンテンツなどが挙げられる。かかるコンテンツは、遊技管理システム3の例えば各CRユニット6に配信され、後述のタッチ液晶モジュール27などに表示されて遊技者に提供される。
【0017】
データセンター系サーバー群4Bには、コンテンツ配信データセンターサーバー13Aと、プリペイド管理データセンターサーバー13Bと、第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cと、遊技機ID管理センターサーバー13Dと、不正情報監視センターサーバー13Eとが含まれている。
コンテンツ配信データセンターサーバー13Aは、TVや映画などの動画や音楽等のエンターテイメントコンテンツを配信するサーバーであり、かかるコンテンツは、遊技管理システム3の各CRユニット6に配信されタッチ液晶モジュール27などに表示される。
プリペイド管理データセンターサーバー13Bは、遊技店舗2で利用されている各プリペイド媒体14の残価値の記録・照会サービスを提供するサーバーである。また第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cは、遊技店舗2の会員となった遊技者ごとに遊技球の貯玉数の記録・照会サービスを提供するサーバーである。遊技店舗側は、これらプリペイド管理データセンターサーバー13B、及び第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cが記録しているデータと遊技管理システム3で管理しているデータとの間の整合性を検証可能になっている。
【0018】
遊技機ID管理センターサーバー13Dは、パチンコ機5の識別情報と、上記遊技機IDと、当該パチンコ機5の出荷先の遊技店舗2とを対応付けたデータを管理し、また照会可能にするサーバーである。すなわち、どの遊技機IDのどのパチンコ機5がどの遊技店舗2に設置されているかが遊技機ID管理センターサーバー13Dで管理され、また各遊技店舗2から参照可能になる。かかるデータは、遊技機メーカー、販社、或いは中古機業者がパチンコ機5を出荷するごとに遊技機メーカーサーバー12A、及び販社・中古機業者サーバー12Bから登録され、また遊技店舗2がパチンコ機5を撤去するごとに、対応するパチンコ機5のデータが抹消される。また、データ登録者以外にデータを参照できる者を出荷先の遊技店舗2に限定するために、出荷先の遊技店舗2には、当該出荷先に対応付けられた遊技機IDを参照するためのデータアクセスID及びパスワードが付与されている。遊技店舗2側は、これらを用いて遊技機ID管理センターサーバー13Dにアクセスすることで、当該遊技店舗2のみが遊技機IDを取得可能になる。
なお、遊技機ID管理センターサーバー13Dの管理データには、他に任意の情報を含めることができ、例えば遊技機メーカー名やパチンコ機5の機種名の情報等を含めても良い。
不正情報監視センターサーバー13Eは、何らかの理由で不正と認められたパチンコ機5の識別情報を照会可能に管理するサーバーである。遊技店舗側は、不正情報監視センターサーバー13Eに問い合わせることで、所有のパチンコ機5が不正なものでないかを確認できる。
【0019】
次いで、遊技管理システム3を構成する各装置について詳述する。
遊技管理システム3は、複数台のパチンコ機5及びCR(Card Reader)ユニット(遊技球貸出装置)6と、精算機7と、管理コンピュータ群8とを備え、CRユニット6、精算機7及び管理コンピュータ群8のそれぞれが店内LAN9、或いは専用通信線10により通信可能に接続されている。
パチンコ機5は、遊技球を遊技媒体に使用する遊技機である。このパチンコ機5は、遊技者が、価値を記録した記録媒体たるプリペイド媒体14を購入、或いは、プリペイド媒体14に現金をチャージし、該プリペイド媒体14の残価値を対価として遊技球を借りて遊技する、いわゆるCR機と呼ばれる遊技機であり、パチンコ機5と、当該パチンコ機5と暗号通信可能に接続され、プリペイド媒体14を読み取る上記CRユニット6とを備えて遊技システム15が構成され、パチンコ機5は、CRユニット6と電気的に接続されている(通電状態である)事を条件に遊技球を発射可能に構成されている。
【0020】
パチンコ機5は、遊技盤(ゲージ盤)16の前面に前面ガラス17を設け、該前面ガラス17を通じて遊技盤16の遊技領域を視認可能に構成したパチンコ機本体18を備えている。遊技盤16の遊技領域には、遊技球通過時に賞球が得られる始動口19や入賞口20、常閉状態の大入賞口(いわゆるアタッカー)21と、これら始動口19、入賞口20及び大入賞口21のいずれにも入賞しなかった遊技球(いわゆる外れ玉)を遊技領域から遊技盤16の裏側に導いて回収するアウト口22と、多数の障害釘23と、始動口19への遊技球の入賞(通過)に伴い図柄を変動表示する図柄表示ユニットとしての遊技機液晶表示器24とが設けられている。
【0021】
パチンコ機本体18の正面には、遊技球の貸出操作用の貸出スイッチ25A、プリペイド媒体14の返却(遊技終了の指示)操作用の返却スイッチ25B、遊技機液晶表示器24での表示演出時などに操作入力するプッシュボタン25C等の各種操作ボタンが設けられている。
またパチンコ機本体18の右下には、遊技球を遊技盤16の遊技領域に1発ずつ所定の時間間隔で発射する遊技球発射ハンドル26が設けられている。遊技球発射ハンドル26の操作に伴って発射された遊技球が始動口19を通過したことを契機にパチンコ機5は特賞の当落抽選を行うとともに、遊技機液晶表示器24に図柄を後述する表示演出を伴って変動表示し、停止図柄により当落抽選結果を遊技者に通知する。また当選時には、パチンコ機5は、大入賞口21を開放して遊技球が入賞し易い状態とすることで遊技者に持玉を増やす機会を与える。
【0022】
ここで、このパチンコ機5は、所定個数の遊技球をパチンコ機本体18に封入し、これらの遊技球をパチンコ機本体18の中で循環利用する封入球式の遊技機として構成されている。具体的には、パチンコ機5は、遊技盤16に発射され、入賞口20等に入賞した遊技球(いわゆるセーフ玉)及びアウト口22に回収された遊技球(いわゆる外れ玉)をそれぞれ遊技盤16の裏側に回収し、発射位置に還流する循環流路(図示せず)を有し、当該循環流路内に所定個数の遊技球を封入して、封入した遊技球を繰り返して遊技領域に発射することで遊技を行うように構成されている。封入球式のパチンコ機5においては、パチンコ機本体18の外部から遊技球を補充する必要がないため、パチンコ機本体18の正面に、遊技球を一時的に貯留するいわゆる上皿や、上皿からパチンコ機本体18の内部に遊技球を捕球する捕球口、上皿に賞球を排出する排出口等は設けられておらず、かかる上皿等が従来配設された箇所(すなわち、前面ガラス17の下)には、タッチ液晶モジュール27が設けられている。
タッチ液晶モジュール27は、パチンコ機本体18の台枠に組み込まれたタッチ操作可能な表示ユニットであり、CRユニット6の操作部及び表示部として機能し、かかる構成については、後に詳述する。
【0023】
CRユニット6は、各パチンコ機5の片側に配置され互いに通信可能に接続されており、プリペイド媒体14の残価値がゼロでない事を条件に、貸出スイッチ25Aの操作を示す貸出スイッチ押下信号をパチンコ機5から受信した場合に遊技球の貸出(払出)指示情報を含む貸出(払出)指示信号Skaを出力する。プリペイド媒体14の残価値は、管理コンピュータ群8(より正確には後述するプリペイド管理サーバー35B)に管理されており、CRユニット6は、玉貸完了時に、管理コンピュータ群8との間で貸出玉数に応じてプリペイド媒体14の残価値を減じる処理を行う。なお、CRユニット6は、玉貸時における残価値の使用単位(例えば100円単位、500円単位など)や、1個の遊技球あたりの貸出単価(例えば4円/玉、1円/玉など)を予め設定可能に構成されており、遊技場側が営業形態に応じて適宜に設定・変更可能に成されている。
【0024】
プリペイド媒体14にはICを内蔵した硬貨形状のICコイン14A及びカード型の会員カード14Bが用いられている。会員カード14Bは、遊技店に会員登録している顧客に貸与される記録媒体であり、ICコイン14Aは、それ以外の顧客(いわゆる、ビジター)に貸与される記録媒体である。プリペイド媒体14には、カード会社によって付された、一意に特定するための識別情報が付与されており、この識別情報と残価値とが対応付けられて管理コンピュータ群8により管理されている。
【0025】
このCRユニット6は、プリペイド媒体14の発行機能を有し、紙幣(例えば、「一万円」、「五千円」や「二千円」などの紙幣)を挿入する紙幣挿入口28、ICコイン14Aを投入するコイン投入口29、ICコイン14Aを排出するコイン排出口30、会員カード14Bを挿入する会員カード挿入口31が設けられている。
CRユニット6は、紙幣挿入口28に紙幣が挿入された場合、管理コンピュータ群8と通信して紙幣の額面に応じた価値をプリペイド媒体14に付与する処理を行う。具体的には、CRユニット6は、プリペイド媒体14として会員カード14Bが挿入されている場合には、会員カード14Bの残価値を管理する管理コンピュータ群8に対し、会員カード14Bの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード14Bへのプリペイド残高のチャージが行われる。また、会員カード14Bが挿入されていない場合には、CRユニット6は、新規にICコイン14Aを発行するとともに、ICコイン14Aの残価値を管理する管理コンピュータ群8に対し、このICコイン14Aの識別情報に投入金額分の価値を付与する旨を通知する。これにより、会員カード14Bを持たない遊技者に、プリペイド媒体14としてのICコイン14Aが新規に発行される。
【0026】
CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されている間、その残価値をタッチ液晶モジュール27に表示し、貸出スイッチ25Aの操作により玉貸が行われるごとに、残価値を減算更新し、また更新後の残価値をタッチ液晶モジュール27に表示する。また、CRユニット6は、返却スイッチ25Bが操作されたときには、プリペイド媒体14を排出するとともに、プリペイド媒体14の識別情報と残価値とを管理コンピュータ群8に送信し、これにより、CRユニット6から排出されたときのプリペイド媒体14の最終的な残価値が管理コンピュータ群8に記録される。
精算機7は、プリペイド媒体14の残価値を精算する装置であり、この精算機7には、ICコイン14Aのコイン投入口32及び会員カード14Bのカード挿入口33が設けられている。精算機7は、プリペイド媒体14が投入された場合、残価値を上記管理コンピュータ群8に問い合わせ、残価値に応じた金額を払い出す。精算機7は、金額払出完了後に、その旨を管理コンピュータ群8に通知し、管理コンピュータ群8が、そのプリペイド媒体14の残価値として記録している値をクリアすることで精算が完了する。
【0027】
この遊技管理システム3においては、パチンコ機5ごとにデータ表示器34を備えている。データ表示器34は、対応するパチンコ機5の過去営業日の大当たり情報や、当日の大当たり回数、前回大当たりからの図柄変動回数(スタート回数)といった遊技情報を表示する表示パネル34Aを有する。またデータ表示器34には、表示パネル34Aの他にも、遊技場のホールスタッフを呼び出す呼出ボタンや、パチンコ機5の大当たり状態や確率変動遊技状態、時短遊技状態等の所定の遊技状態を報知するランプ等が設けられている。各データ表示器34は、対応するパチンコ機5と通信するCRユニット6に接続され、パチンコ機5が出力する遊技情報をCRユニット6から取得して表示パネル34Aに表示する。
【0028】
管理コンピュータ群8は、遊技台計数管理装置35Aと、プリペイド管理サーバー35Bと、持玉管理サーバー35Cと、会員・景品管理サーバー35Dと、コンテンツサーバー35Eと、遊技機ID管理サーバー35Fとを備えている。
遊技台計数管理装置35Aは、いわゆるホールコンピュータ(図示では「ホールコン」)と呼ばれる装置であり、各パチンコ機5での出球や大当たり回数、エラー状況、パチンコ機5のパチンコ機本体18が備える扉の開放等の遊技機に係る遊技情報、並びに、各CRユニット6への入金や再プレイ、プリペイド残価値の消費等に関する情報をCRユニット6から取得して中枢的に管理する。遊技台計数管理装置35Aは、かかる各種の情報を、パチンコ機5からではなくCRユニット6から取得する。すなわち、遊技台計数管理装置35AとCRユニット6とはパラレル信号線10A、及び/或いはホールコンI/F装置36を中継器に備えたシリアル信号線10Bを介して接続されており、CRユニット6がパチンコ機5から逐次情報を受信して遊技台計数管理装置35Aに出力する。
【0029】
プリペイド管理サーバー35Bは、プリペイド媒体14としてのICコイン14A及び会員カード14Bの各識別情報と残価値を対応付けて記憶し、これらの残価値を管理するサーバーである。CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されたときには、当該プリペイド媒体14の識別情報に対応する残価値をプリペイド管理サーバー35Bに問い合わせ、応答により得られた残価値をタッチ液晶モジュール27に度数表示する。
プリペイド媒体14の残価値は、CRユニット6でのチャージによって増加し、また玉貸によって減少し、プリペイド管理サーバー35Bは、これらチャージ及び玉貸しに応じて残価値を更新する。すなわち、CRユニット6が残価値をプリペイド媒体14にチャージした場合には、プリペイド管理サーバー35Bは、チャージされた残価値を識別情報とともに取得して残価値を加算更新する。貸出スイッチ25Aの操作に応じてCRユニット6が玉貸を行った場合には、プリペイド管理サーバー35Bは、かかる玉貸の代償価値をプリペイド媒体14の識別情報とともに取得して残価値を減算更新する。
このプリペイド管理サーバー35Bには、上述した精算機7が店内LAN9を介して接続されており、精算機7にプリペイド媒体14が投入されると、精算機7がプリペイド媒体14の残価値をプリペイド管理サーバー35Bに問い合わせて、残価値に応じた金額払い出し等の精算を行う。
【0030】
持玉管理サーバー35Cは、遊技者の持玉数を管理するサーバーである。具体的には、持玉管理サーバー35Cは、遊技者の持玉数を、投入されているプリペイド媒体14の識別情報とともに店内LAN9を介してCRユニット6から取得して管理する。遊技者は、獲得当日に限り、持玉を遊技に使用することができ、CRユニット6は、プリペイド媒体14が投入されたときには、当該プリペイド媒体14の識別情報に対応する持玉数を持玉管理サーバー35Cに問い合わせ、応答により得られた持玉数をタッチ液晶モジュール27に表示する。このときCRユニット6は、持玉を使って遊技球の払い出しを受けるための持玉使用ボタン(図示せず)をタッチ液晶モジュール27に表示し、当該持玉使用ボタンが操作された場合には、所定玉数の遊技球の貸出(払出)指示信号Skaをパチンコ機5に出力するとともに、持玉管理サーバー35Cに対してプリペイド媒体14の識別情報とともに使用持玉数を送信する。持玉管理サーバー35Cは、使用持玉数を取得すると、対応するプリペイド媒体14の持玉数を減算更新する。また、CRユニット6は、プリペイド媒体14の排出時には、持玉管理サーバー35Cに対してプリペイド媒体14の識別情報とともに最終的な持玉数を送信し、この持玉数が持玉管理サーバー35Cに記録される。なお、持玉管理サーバー35CとCRユニット6との間の通信障害に備え、遊技者の持玉数をプリペイド媒体14にも記録する構成としても良い。
【0031】
会員・景品管理サーバー35Dは、顧客会員と景品交換の管理をするサーバーである。顧客会員の管理について詳述すると、顧客の氏名や年齢、性別、職業、携帯電話番号、会員番号、サービス利用のための暗証番号、会員カード14Bの識別情報、顧客が遊技場に預けている再遊技可能な遊技媒体数(いわゆる貯玉数)、遊技履歴に係る情報が管理される。顧客会員には、氏名や年齢等を通知して会員登録を済ました顧客のみならず、会員登録をせずに遊技を行う顧客、いわゆるビジター会員も含まれる。すなわち、ビジター会員には当日限り有効の専用の会員カード14Bが発行され、当該会員カード14BをCRユニット6に挿入して遊技を行うこととなる。
CRユニット6は、会員カード14Bが挿入された場合、タッチ液晶モジュール27に暗証番号入力画面を表示して入力を促し、入力された暗証番号及び会員カード14Bの識別情報の正当性を会員・景品管理サーバー35Dに問い合わせる。ただし、会員カード14Bがビジター会員用である場合には、かかる問い合わせは省略しても良い。CRユニット6は、これらの正当性が会員・景品管理サーバー35Dによって認められた場合に限り、当該会員・景品管理サーバー35Dから貯玉数を取得し、タッチ液晶モジュール27に表示する。またCRユニット6は貯玉が使用されるごとに会員・景品管理サーバー35Dに貯玉使用数を送信し、これにより会員・景品管理サーバー35Dが当該顧客の貯玉数を減算更新する。
【0032】
また、この遊技管理システム3においては、遊技者が持玉を景品や貯玉に交換可能になされており、会員・景品管理サーバー35Dは、この景品交換の管理機能を有する。
すなわち、遊技者が景品カウンター(図示せず)等で持玉を景品に交換した場合、当該景品カウンターに設置されたPOS端末を含むPOSシステム37から持玉を交換した旨が、プリペイド媒体14の識別情報とともに持玉管理サーバー35Cに入力され、持玉管理サーバー35Cがプリペイド媒体14の識別情報に対応する持玉数を減算更新することで交換が完了する。このとき、会員カード14Bを利用して遊技を行った顧客会員が景品交換した場合に、当該顧客会員が交換した景品を会員・景品管理サーバー35Dに記録して管理するようにしても良い。
また、顧客会員が持玉を貯玉に交換するときには、会員・景品管理サーバー35Dに、貯玉数がプリペイド媒体14の識別情報とともに送信され、顧客会員の会員カード14Bに対応付けて管理されている貯玉数が加算更新され、また同様に第3者貯玉データ管理センターサーバー13Cが管理する貯玉数のデータも更新される。
なお、遊技場の営業日の終了時に、持玉がゼロでない会員カード14Bが持玉管理サーバー35Cに記録されている場合に、当該持玉管理サーバー35Cが会員・景品管理サーバー35Dに記録を転送し、当該会員・景品管理サーバー35Dが管理する会員カード14Bの貯玉に持玉を加算することで、自動で振り替えるようにしても良い。
【0033】
コンテンツサーバー35Eは、上記コンテンツプロバイダーサーバー12D、及び上記コンテンツ配信データセンターサーバー13Aのそれぞれから各種コンテンツを取得し、各CRユニット6に配信する。
遊技機ID管理サーバー35Fは、所定のデータアクセスIDとパスワードを用いて遊技機ID管理センターサーバー13Dにアクセスし、パチンコ機5の識別情報(製造番号等)、遊技機ID、及び出荷先情報を上記遊技機ID管理センターサーバー13Dから取得して管理する。
【0034】
図2は、遊技システム15の機能的構成を示す図である。
パチンコ機5は、図2に示すように、主基板に分類される遊技機メイン基板40及び払出制御基板41と、主基板に対する周辺基板である演出用サブ基板42及び発射制御基板43とを備えている。主基板は、当落抽選及び遊技球の獲得に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する回路を実装した基板である。
遊技機メイン基板40は、主制御基板とも呼ばれ、入賞に伴う賞球の払出指示や特賞の当落を抽選する主制御CPU40Aを備えた基板である。具体的には、パチンコ機5は、始動口19、入賞口20及び大入賞口21のそれぞれに遊技球の入賞を検知する入賞検知センサ44を備え、それぞれから検知信号が遊技機メイン基板40に出力される。遊技機メイン基板40は、始動口19、入賞口20及び大入賞口21ごとに賞球数を対応付けて記憶する入賞口別賞球数記憶部45を備え、入賞口への入賞が検知されるごとに、当該入賞口に応じた数の賞球の払い出しを指示する賞球(払出)指示信号Skaを払出制御基板41に出力し、また遊技盤16に賞球数別に設けた賞球通知灯46を点灯する。
【0035】
また遊技機メイン基板40は、始動口19への入賞の検知を契機として特賞の当落抽選を行い、当落抽選結果を図柄表示部(いわゆる、特別図柄表示器)47に表示する。特賞当選時には、遊技機メイン基板40は遊技状態を特別遊技状態(いわゆる大当たり遊技状態や確率変動状態、時間短縮遊技状態など)に移行させ、特別遊技状態の終了条件成立に伴って通常の遊技状態に移行する。図柄表示部47は、遊技盤16に視認可能に設けられ、例えば7セグメント表示器や多数のLEDランプにより構成されており、表示図柄(7セグ表示や点灯LEDランプの組み合わせ)によって当落抽選結果を表示する。図柄表示部47では、当落抽選結果を示す表示図柄が、遊技機メイン基板40が都度決定する時間の変動表示を経て表示される。また、遊技機メイン基板40は、遊技機液晶表示器24や音源、ランプ等により当落抽選結果に応じた遊技演出を行うべく、どういった演出を行うかを指定し、また図柄の変動時間(当落抽選結果の表示タイミング)等を指定する演出指示信号を、当落抽選結果を示す大当たり発生信号とともに演出用サブ基板42に出力する。
【0036】
さらに遊技機メイン基板40は、パチンコ機5の外部の器機に出力する信号として、外部端子出力信号Sout、及び汎用信号を出力する。外部端子出力信号Soutは、遊技の進行に伴う自身の動作に係る情報を外部に通知するための外部出力情報を出力するものである。特に、この外部出力情報には、当落抽選に関する当落抽選関連情報、賞球発生に関する賞球関連情報、及び遊技状態に関する遊技状態情報のそれぞれが含まれている。
当落抽選関連情報には、当落抽選契機となる始動口19への入賞を示す始動入賞信号、パチンコ機5での大当たり発生(当選)を示す大当り信号、当落抽選の結果表示のために図柄を変動表示させている最中であることを示す図柄回転中信号、図柄の変動停止を示す図柄停止信号(いわゆる、スタート信号)が含まれる。
また賞球関連情報には、大入賞口21への入賞を示す大入賞口入賞信号、及び他の入賞口20への入賞を示す周辺入賞信号が含まれている。
遊技状態情報には、パチンコ機5が遊技中に移行した遊技状態(例えば、確率変動遊技状態や時短遊技状態、通常遊技状態、大当たり遊技中である特別遊技状態)を示す遊技状態信号が含まれている。
CRユニット6等の外部の器機にあっては、当該外部端子出力信号Soutを受信することで、出玉関連情報などに基づいて遊技者の持球やパチンコ機5の差玉を管理できる。
なお、後述するファウル玉(戻り玉)検知センサ50A及びアウト玉検知センサ50Eを遊技機メイン基板40に設けた場合には、ファウル玉の発生を示すファウル玉信号、及びアウト玉の発生を示す外れ玉信号も外部端子出力信号Soutに含めて出力される。
【0037】
遊技機メイン基板40には、パチンコ機本体18に設けられた前面扉の開放等の各種異常情報が払出制御基板41から入力されるように構成されており、これらの異常も上記外部端子出力信号Soutに含めて外部に送信される。その一方で、異常が入力された場合には、遊技機メイン基板40は、音声やランプ、遊技機液晶表示器24などの演出に供する各種の手段を適宜用いて異常を報知する。
【0038】
この外部端子出力信号Soutは、遊技機メイン基板40から払出制御基板41を経て後述する遊技機搭載暗号基板56に至る第1経路R1を通じて当該遊技機搭載暗号基板56に入力される。この第1経路R1は、シリアル伝送経路であり、外部端子出力信号Soutは遊技機メイン基板40で暗号化されて第1経路R1に出力され、払出制御基板41を通過して遊技機搭載暗号基板56に入力され、この遊技機搭載暗号基板56からCRユニット6に送信される。
【0039】
汎用信号は、パチンコ機5の状態を外部の既設の器機(例えばデータ表示器34や管理コンピュータ等)に知らせる汎用的な信号であり、パラレル信号線により伝送される。この汎用信号は、遊技機メイン基板40から払出制御基板41を経て後述する外部端子板54に至る第2経路R2に出力される。この第2経路R2は、パラレル伝送経路であり、第2経路R2の汎用信号は、第1経路R1とは異なり、暗号化せずに出力される。
【0040】
払出制御基板41は、遊技機メイン基板40の賞球払出指示信号Shに基づいて遊技球を払い出す制御を行い、さらに当該遊技球の発射を管理する基板であり、払出制御CPU41Aを備えている。また、払出制御基板41は、CRユニット6との通電状態に基づいて接続状態を監視し、正常に接続されていない(非導通状態)の場合は、遊技球の発射を禁止し、遊技を不能にする。
ここで、このパチンコ機5は、上述の通り、封入球式の遊技機として構成されているため、遊技中にパチンコ機5の外から遊技球が投入されることはなく、当該遊技球の実際の投入に代えて、発射可能な遊技球の投入がデジタルデータ上で行われる。すなわち、払出制御基板41は、遊技者が発射可能な遊技球の残数(以下、「発射可能玉数」と言う)を記憶する遊技機管理発射可能玉数記憶部48を備え、発射可能玉数が「ゼロ」でない事を条件に、遊技球の発射を許可する発射許可信号を後述する発射制御基板43に出力する。払出制御基板41は、CRユニット6から貸出(払出)指示信号Skaが後述する遊技機搭載暗号基板56を介して入力された場合、所定貸玉個数の遊技球の投入に代えて、当該所定貸玉個数分を発射可能玉数に加算し、加算結果を示す貸出(払出)結果情報を含む貸出(払出)結果信号SkbをCRユニット6に返信して通知する。
【0041】
また、払出制御基板41には、発射可能玉数の増減を管理可能にすべく、ファウル玉(戻り玉)検知センサ50A、外れ玉検知センサ50B、発射玉検知センサ50C、玉抜き玉検知センサ50D、及びアウト玉検知センサ50Eの検知信号が入力される。
ファウル玉(戻り玉)検知センサ50Aは、ファウル玉を検知する。ファウル玉とは、発射装置(図示略)の発射台に送り込まれて弾発された後、遊技盤16の遊技領域に到達することなく発射レール(図示略)を逆走し、ファウル経路(図示略)を経由して遊技盤16の裏側に回収された遊技球を指す。換言すれば、ファウル玉は、打ち損じにより遊技に供されなかった遊技球とも言える。このファウル玉(戻り玉)検知センサ50Aは、ファウル経路を通過する遊技球を検知する通過センサとして構成される。
【0042】
外れ玉検知センサ50Bは、外れ玉を検知する。外れ玉とは、発射装置(図示略)による弾発によって遊技盤16の遊技領域に投入された後、いずれの入賞口20、21及び始動口19にも入賞せずに、遊技盤16の盤面最下部の上記アウト口22(いわゆる、アウト穴)を通過した遊技球を指す。外れ玉検知センサ50Bは、アウト口22を通過する遊技球を検知する通過センサとして構成される。
【0043】
発射玉検知センサ50Cは、遊技球が発射装置(図示略)の発射台に送り出された遊技球(発射玉)として検知するセンサであり、発射台に至る経路を通過する通過センサとして構成されている。発射玉検知センサ50Cが遊技球を検知するごとに、当該遊技球が発射されるものとして、払出制御基板41は発射可能玉数を減算する。
【0044】
玉抜き玉検知センサ50Dは、発射台に送り出された後、遊技中断によって弾発される事なく発射台に残留し、図示せぬ玉抜き機構によって、所定の玉抜き経路(図示略)を通じてパチンコ機本体18の裏側に回収された遊技球(玉抜き玉)を検知するセンサであり、玉抜き経路を通過する遊技球を検知する通過センサとして構成される。
アウト玉検知センサ50Eは、各入賞口から回収された遊技球及びアウト口22から回収された外れ玉を称したアウト玉を検知する。パチンコ機5では、図示を省略するが、各入賞口から回収された遊技球及びアウト口22から回収された外れ玉は、遊技盤16の裏側で合流して下端側の回収部に所定の経路を通じて導かれており、この所定の経路に遊技球P(アウト玉)を検知する通過センサとしてアウト玉検知センサ50Eが設けられている。
【0045】
アウト玉は、遊技盤16の遊技領域を経て回収された遊技球及び外れ玉のいずれかであることから、発射台にセットされた後、実際に遊技に供された遊技球と言える。
これに対して、上記ファウル玉及び玉抜き玉は、発射台に送り込まれたものの、打ち損じ、或いは遊技中断によって遊技に供されなかった遊技球であることから、これらは総称して「戻り玉」とも呼ばれる。戻り玉検知時には、払出制御基板41は発射可能玉数を加算更新して、戻り玉を発射可能玉数に戻す。
払出制御基板41が発射可能玉数を加算更新する契機としては、戻り玉の発生時の他に、遊技機メイン基板40から賞球払出指示信号Shを受けたとき、及びCRユニット6から貸出指示信号が入力されたときがある。
【0046】
払出制御基板41は、これら賞球発生やセンサ検知によって発射可能玉数を増減するごとに遊技球の増減結果を示す貸出(払出)結果信号Skbを後述する遊技機搭載暗号基板56を通じてCRユニット6に出力し、また、増減結果の発射可能玉数を遊技機管理発射可能玉数表示灯52に外部から視認可能に常時表示する。遊技中の発射可能玉数は、CRユニット6の制御の下、パチンコ機5に設けられたタッチ液晶モジュール27にも表示される。これに加え、遊技機管理発射可能玉数表示灯52を外部から視認可能に設けることで、タッチ液晶モジュール27が故障などしても、遊技者は遊技中の持玉数を把握することができるようになっている。なお、ファウル玉(戻り玉)検知センサ50Aや外れ玉検知センサ50B等の各検知センサの出力を遊技機メイン基板40に入力し、当該遊技機メイン基板40から払出制御基板41に出力する構成としても良い。また、上記貸出指示は、プリペイド媒体14の残価値を対価とした貸出に限らず、貯玉を用いた再プレイ、持玉の払い出しの利用に基づく指示も含む。このとき、不正防止を目的に1回の貸出あたりの玉数に上限をCRユニット6等に設定することもできる。
【0047】
払出制御基板41が管理する上記発射可能玉数は、遊技終了時に決済される。すなわち、遊技者が遊技を終了すべく、会員カード14Bの返却スイッチ25Bを操作すると、CRユニット6から発射可能玉数移行要求コマンドが払出制御基板41に出力される。払出制御基板41は、この発射可能玉数移行要求コマンドを受信した場合、発射可能玉数をCRユニット6に価値移行する処理(決済処理)を行い、発射可能玉数をゼロにクリアする。CRユニット6に移行した価値は、当該CRユニット6から持玉管理サーバー35Cに持玉数として出力され、そのパチンコ機5に設定された遊技球の貸出単価とともに記録される。
【0048】
上記発射制御基板43は、発射許可信号が払出制御基板41から入力されている事を条件に遊技球の発射を制御する基板であり、また遊技球の発射が可能か否かを示す発射状態信号を払出制御基板41に出力する。この発射制御基板43により、図示せぬ発射装置が制御され、遊技球発射ハンドル26の操作量に応じた弾発力で遊技球が発射される。
また払出制御基板41には、球磨制御基板53が接続されている。球磨制御基板53は、パチンコ機5に封入されている遊技球の玉磨機構を制御する基板である。払出制御基板41は、遊技球発射時に打ち出し可能な遊技球が無くならないように球磨制御基板53から玉磨状態を取得しながら制御する。
さらに、払出制御基板41には、パチンコ機本体18に設けられた各種センサ(前面扉開放センサ、玉数異常検知センサ等)の検知信号が入力され、当該検知信号が遊技機メイン基板40に出力されて異常が判定される。
【0049】
演出用サブ基板42は、遊技機メイン基板40の演出指示信号に基づいて、遊技機液晶表示器24や図示せぬ音源、台枠ランプを制御して、当落抽選結果に応じた遊技演出を行う回路を搭載した基板であり、遊技機メイン基板40に対して信号を出力することはなく、その動作が遊技機メイン基板40の当落抽選結果に影響を及ぼす事がないように構成されている。演出用サブ基板42は、各表示演出に用いる画像データを記憶し、遊技機メイン基板40の演出指示信号及び演出の進行に合わせて画像データを順次読み出し、この画像データに基づく画像信号を遊技機液晶表示器24に出力して、遊技機液晶表示器24に表示させる。
【0050】
またパチンコ機5は、上述した部材の他にも、図2に示すように、外部端子板54と、CR基板55と、遊技機搭載暗号基板56とを備え、さらに、パチンコ機本体18には上述したタッチ液晶モジュール27が組み込まれている。
外部端子板54は、遊技機メイン基板40が出力する上記外部端子出力信号Sout及び汎用信号をCRユニット6等に一方向に出力する端子板であり、CRユニット6等の外部から外部端子板54への信号入力は禁止されている。CRユニット6にあっては、外部端子出力信号Soutを取得することで、大当たり信号及び図柄変動停止信号に基づいて大当たり発生や大当たり発生回数、図柄変動回数(スタート回数)を特定し、また、外れ玉信号、ファウル玉信号及び賞球信号に基づいて、払出制御基板41とは別に差玉を管理し、また、それらの情報を遊技台計数管理装置35Aに出力する。
【0051】
CR基板55は、上記貸出スイッチ25A及び返却スイッチ25Bのスイッチ操作信号をCRユニット6に出力する基板である。また、このCR基板55には、度数表示器57及び貸出可能ランプ58が接続されており、CR基板55は、CRユニット6から入力されたプリペイド媒体14の残価値を示す度数を度数表示器57に7セグメント等で表示するとともに、CRユニット6からの貸出許可信号の有無に応じて貸出可能ランプ58を点灯する。
【0052】
上記遊技機搭載暗号基板56は、パチンコ機5が備える各基板の中で、いわゆる主基板に分類される上記遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれの基板との間で相互認証し、また、上記遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41ごとに出力信号の整合性を判定し、さらに、上記遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の出力信号の間での整合性を判定する基板である。相互認証により、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41が不正改造されていない正規のものである事が確認され、また整合性判定により、異常な動作をしていないかが確認されてゴト行為等の不正行為が検知される。
【0053】
この遊技機搭載暗号基板56は、基板外部から内部の処理動作、処理内容等を特定不可能な、いわゆるブラックボックスとして構成されている。すなわち、遊技機搭載暗号基板56は、監視制御CPU56Aを備え、更に、この監視制御CPU56Aと独立して動作して各基板との間で相互認証を実行するセキュリティチップ(遊技機側認証手段)60Aを備えている。セキュリティチップ60Aは、例えばFIFOバッファ付きの専用の半導体チップであり、遊技機ID管理センターサーバー13Dで管理されている遊技機IDを認証キーに用いて各基板との間で相互認証を実行する。本実施形態では、相互認証の認証キーに遊技機IDを用いることとしているが、認証キーには、相互認証処理中に基板間で共有可能な値(データ)であれば、上記遊技機IDの他にも任意の値を用いることができる。
【0054】
この遊技機搭載暗号基板56は、さらに、パチンコ機5とCRユニット6とのシリアル通信インターフェース機能を備え、またセキュリティチップ60Aは、監視制御CPU56Aと独立して動作し、所定の暗号キー生成アルゴリズムに基づいて遊技機IDに基づいて暗号キーを生成する機能と、当該暗号キーを用いて所定の暗号通信方式で通信データを暗号化/復号化する機能とを備える。これによりパチンコ機5とCRユニット6の間の通信データがセキュリティチップ60Aにより暗号化/復号化されて暗号通信が行われる。CRユニット6側では、遊技機ID管理サーバー35Fから取得した遊技機IDに基づいて暗号キーが生成される。
【0055】
CRユニット6とパチンコ機5との間で遊技機搭載暗号基板56を通じて送受される通信データは、主として、改ざん等により出球に影響を及ぼす虞れがあるデータであり、例えば、CRユニット6がパチンコ機5に入力する貸出指示信号(持玉使用時にあっては払出指示信号)や上記遊技機ID、払出制御基板41が出力する、玉貸し/払出しが正常に完了したか否かを示す貸出(払出)結果信号Skb、CR基板55がCRユニット6に出力する貸出スイッチ25A及び返却スイッチ25Bのスイッチ押下信号などである。
【0056】
また遊技機搭載暗号基板56は、セキュリティチップ60Aの暗号通信機能を用いて、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の間でも暗号通信を行う。すなわち、遊技機搭載暗号基板56は、遊技機メイン基板40との間で、暗号化された上記外部端子出力信号Soutを受信し、また払出制御基板41の間では、暗号化された貸出(払出)指示信号Ska、及び貸出(払出)結果信号Skbを送受する。
外部端子出力信号Soutについては、遊技機搭載暗号基板56で復号化された後、非暗号化状態でCRユニット6にシリアル通信路を通じて送信される。
なお、遊技機搭載暗号基板56と上記外部端子板54を1つの中継基板の上に設けてもよい。
遊技者の貯玉或いは持玉の払出操作はタッチ液晶モジュール27に対するタッチ操作により行われてCRユニット6に入力される。
【0057】
上記遊技機IDは、パチンコ機5ごとに固有に割り振られたIDであり、本実施形態では、遊技機メイン基板40に搭載されている主制御CPU40AのCPU固有ID61を用いることとしている。
遊技機メーカーは、パチンコ機5の製造出荷時に、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれに、認証キーたる遊技機ID(CPU固有ID61)を記録したセキュリティチップ60A、60B、60Cを実装して出荷し、また、遊技機ID管理センターサーバー13Dに、パチンコ機5の識別情報、出荷先、及び遊技機IDを送信して記録し、出荷先の遊技店舗2の遊技機ID管理サーバー35Fから参照可能にする。これらセキュリティチップ60B、60Cは、それぞれ上記遊技機搭載暗号基板56に設けたセキュリティチップ60Aと同じく、遊技機IDに基づいて暗号キーを生成し、当該暗号キーを用いてセキュリティチップ60A、60B、60Cの間の通信を暗号化/復号化して暗号通信する機能を備えている。
なお、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれが認証キーに基づいて生成した暗号キーを暗号通信に用いるのではなく、他の共通の情報から暗号キーを生成しても良い。この場合、遊技機搭載暗号基板56とCRユニット6との間の暗号通信を可能にするために、暗号キーを生成するための情報を、遊技機メーカーが遊技機ID管理センターサーバー13D、及び遊技機ID管理サーバー35Fを通じてCRユニット6が取得可能にする。
このように、パチンコ機5に設けた各セキュリティチップ60A、60B、60Cが遊技機IDに基づいて生成される暗号キーで暗号通信し、またCRユニット6に設けたセキュリティチップ60Dは遊技機ID管理サーバー35Fから受け取った遊技機IDに基づいて暗号キーを生成する構成とすることで、暗号キー自体がパチンコ機5及びCRユニット6の外に出ることがない。
【0058】
パチンコ機5の基板間の相互認証について具体的には、例えばパチンコ機5の毎回の電源投入時に、遊技機搭載暗号基板56のセキュリティチップ60Aが主導的に相互認証を行う。すなわち、セキュリティチップ60Aは遊技機メイン基板40のセキュリティチップ60B、及び払出制御基板41のセキュリティチップ60Cのそれぞれに対して認証開始要求を出力する。この認証開始要求を受けて、セキュリティチップ60Bがセキュリティチップ60A、60Cのそれぞれと遊技機IDを交換し、各セキュリティチップ60A、60B、60Cが受け取った遊技機IDと自身の遊技機IDとに基づいて認証を行うことで相互認証を行う。またセキュリティチップ60Cも同様に、セキュリティチップ60A、60Bと遊技機IDを交換し、各セキュリティチップ60A、60B、60Cが受け取った遊技機IDと自身の遊技機IDとに基づいて認証を行うことで相互認証を行う。これにより遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の各基板間で相互認証が行われる。そして各セキュリティチップ60B、60Cは認証結果をセキュリティチップ60Aに出力し、当該セキュリティチップ60Aは、セキュリティチップ60A、60B、60Cのそれぞれの認証結果の不成立の有無に基づいてパチンコ機5における基板間の相互認証結果(成立/不成立)を判定しCRユニット6に出力する。このように相互認証においては、遊技機搭載暗号基板56が主導的に行うことで、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の不正改造などを発見し易くできる。
また、遊技機搭載暗号基板56は、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のいずれかが不正に交換される等して相互認証が不成立となった場合には、払出制御基板41とCRユニット6の導通状態を遮断する等して遊技球の発射を禁止することで強制的に遊技不能状態にする。これにより、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のいずれかが不正交換された状態での遊技を禁止できる。
【0059】
遊技機搭載暗号基板56からCRユニット6に出力された相互認証結果は、遊技台計数管理装置35A及びタッチ液晶モジュール27に出力されるとともに、パチンコ機5に設けたLEDランプ等に直接出力される。このように、相互認証結果をパチンコ機5の外部のみならずパチンコ機5のLEDランプ等にも出力することで、外部との通信線に対する不正行為により、相互認証結果が正常に出力されない場合でも、LEDランプの点灯等で遊技場の管理者にパチンコ機5の相互認証結果を通知することができる。
【0060】
またパチンコ機5においては、遊技機メイン基板40を遊技盤16に取り付け、払出制御基板41をパチンコ機本体18の本体枠に取り付けて構成されている。この構成においては、パチンコ機本体18の本体枠を機種毎に共通に使用し、遊技盤16を機種毎に設けることで複数の機種が構成されており、実際に、遊技店舗2においてパチンコ機5を入れ替える時には、遊技盤16だけを取り替えるという運用が一般的である。このような場合に、パチンコ機本体18に、本来とは異なる他の遊技盤16を誤って取り付けてしまったときであっても、遊技機搭載暗号基板56により遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の相互認証が不成立となることから、作業者は、上記のような誤取付を容易に察知することができ、誤った組み合わせでのパチンコ機5の稼働を防止できる。
【0061】
パチンコ機本体18に組み込まれたタッチ液晶モジュール27は、CRユニット6により制御されて当該CRユニット6の表示部及び操作部として機能する。すなわち、CRユニット6が遊技球貸出装置の装置本体に、タッチ液晶モジュール27が遊技球貸出装置の表示部及び操作部にそれぞれ相当し、これらによって遊技球貸出装置65が構成される。
【0062】
タッチ液晶モジュール27は、遊技球貸出装置65の装置本体たるCRユニット6に互いに通信可能に接続されており、タッチパネルを備えた液晶表示部66を備え、この液晶表示部66の表示画像を制御する画像表示制御信号SgがCRユニット6から入力されている。液晶表示部66に対するタッチ操作は、CRユニット6にタッチ操作入力信号Stとして出力され、当該CRユニット6にタッチ操作が入力される。すなわち、このタッチ液晶モジュール27は、パチンコ機5に組み込まれているものの、その表示動作はCRユニット6によって制御され、なおかつ、入力操作はCRユニット6に出力されており、CRユニット6の表示部及び操作部として構成されている。
【0063】
また、CRユニット6からタッチ液晶モジュール27には、当該タッチ液晶モジュール27の電力供給線67を介して動作電力が供給されている。すなわち、タッチ液晶モジュール27は、CRユニット6との間でパチンコ機5を介さずに直接的に通信し、また、動作電力もCRユニット6から供給を受ける構成であるため、パチンコ機5が備える電気回路を変更する必要が無く、製造等が容易となる。
【0064】
CRユニット6は、貸出装置制御基板68と、プリペイド媒体14を読み書きする価値媒体R/W69と、所定の遊技者に対してコンテンツを配信等のサービスを提供すべく遊技者IDを記録した例えば電子決済機能付き携帯電話等に対し遊技者IDを読み書きするID識別媒体R/W70と、紙幣識別機71と、リモコン操作を受け付けるためのリモコン受光部72と、各種異常等を検知するためのセンサ類73と、貸出装置搭載暗号基板74と、電源モジュール75とを備えている。
電源モジュール75は、CRユニット6の各部に電源を供給するとともに、上記のように、タッチ液晶モジュール27にも電力を供給する。また、この電源モジュール75の電力が貸出I/F用電源として、パチンコ機5の遊技機搭載暗号基板56、払出制御基板41、及びCR基板55のそれぞれに出力されている。遊技機搭載暗号基板56、及びCR基板55は、この貸出I/F用電源を駆動電源とし駆動し、また、払出制御基板41は貸出I/F用電源の入力を検知することでCRユニット6との導通状態を検知する。すなわち、払出制御基板41への貸出I/F用電源の入力を遮蔽することでパチンコ機5とCRユニット6とが非導通状態となり、パチンコ機5での遊技球の発射が禁止される。なお、遊技機搭載暗号基板56、及びCR基板55は、貸出I/F用電源の供給を検知していれば、パチンコ機5が備える電源を駆動電源として駆動しても良い。
【0065】
このCRユニット6には、パチンコ機5との接続コネクタとして、外部端子板54及び遊技機搭載暗号基板56との間の通信線を接続するコネクタCAと、タッチ液晶モジュール27との間の通信線を接続するコネクタCBとが、それぞれ別々に設けられている。
【0066】
貸出装置制御基板68は、制御手段として、各部を制御する主制御用のCPU76Aと、高速I/O(Input/Output)用のCPU76Bとを、それぞれに別々に有している。CPU76Bは、主としてタッチ液晶モジュール27に各種情報を表示するための画像処理や、当該タッチ液晶モジュール27に対するタッチ操作の受付処理といった、高速なデータのI/Oを要求される処理の制御を主に実行するものである。すなわち、貸出装置制御基板68には、高速I/O部品として、コンテンツサーバー35Eとの通信インターフェースである高速I/F77と、ワンセグ放送(ワンセグ:携帯電話・移動体端末向けの1セグメント部分受信サービス)を受信してタッチ液晶モジュール27に表示するワンセグユニット78と、画像や動画のキャッシュとして機能する画像・動画一時記憶部79と、タッチ液晶モジュール27との間で画像表示制御信号Sgを送受する通信I/Fとである高速通信I/F80と、当該タッチ液晶モジュール27からのタッチ操作信号の入力インターフェースであるシリアル通信I/F81とが設けられており、これらがCPU76Bによって制御される。このように画像処理等のデータの高速I/Oが要求される処理用に専用のCPU76Bを設けることで処理の遅延が防止される。
【0067】
2つのCPU76AとCPU76Bとは、それぞれCPU間通信I/F82A、82Bによって相互にデータ通信可能に接続され、連携が図られている。
主制御用のCPU76Aは、プリペイド媒体14や会員カード14Bのデータの読み書き、管理コンピュータ群8、及びデータ表示器34とのデータ送受等の制御、パチンコ機5に対する玉貸制御の他、さらに遊技中におけるプリペイド媒体14の残価値、持玉及び再プレイ可能玉数(貯玉数)を管理する。
詳述すると、CPU76Aは、キャッシュメモリを備え、当該キャッシュメモリを、プリペイド残価値記憶部83、貸出装置管理持玉数記憶部84、再プレイ可能玉数記憶部85、遊技機管理残玉数記憶部86として機能させる。
プリペイド残価値記憶部83は、プリペイド媒体14の残価値を記憶するものであり、プリペイド媒体14の投入時、或いは発行時にプリペイド管理サーバー35Bから取得した残価値を初期値として記憶し、玉貸操作に伴って残価値を減算更新し、またチャージ操作に伴って加算更新する。
【0068】
貸出装置管理持玉数記憶部84は、遊技者の持玉数を記憶する。すなわち、プリペイド媒体14がCRユニット6に投入されたときに、持玉管理サーバー35Cで管理されている持玉数が読み出されて貸出装置管理持玉数記憶部84に貸出装置管理持玉数として格納され、またタッチ液晶モジュール27に表示される。この貸出装置管理玉数は、遊技者が持玉を使用するごとに減算更新される。また、この貸出装置管理玉数は、パチンコ機5に記録されている遊技機管理発射可能玉数をパチンコ機5から持玉に移行する操作を遊技者が行った事を契機に加算更新される。本実施形態では、遊技終了のための返却スイッチ25Bの操作を移行操作とみなし、プリペイド媒体14の返却時に、貸出装置管理玉数を遊技機管理発射可能玉数で加算更新し、更新後の貸出装置管理玉数を持玉管理サーバー35Cに通知し、またプリペイド媒体14に記録する。この移行操作に伴い、遊技機管理発射可能玉数は「ゼロ」にクリアされる。
なお、持玉管理サーバー35Cで管理されている持玉数を貸出装置管理持玉数記憶部84に格納する構成に限らず、例えばプリペイド媒体14に記録されている持玉数や会員・景品管理サーバー35Dで管理されている貯玉数を貸出装置管理持玉数記憶部84に格納しても良い。
また、遊技機管理発射可能玉数から持玉への移行の契機としては、上記の他にも、例えばタッチ液晶モジュール27に設けた移行操作のためのボタンに対するタッチ操作や、休憩時にパチンコ機5をロックするための休憩ボタンが操作されたときなどが挙げられる。休憩ボタン操作時のパチンコ機5のロックについて簡単に説明すると、ロック時には、CRユニット6が貸出指示信号を送信しないようにすることでパチンコ機5での遊技球の貸出動作が行われないようになり、また遊技機管理発射可能玉数が持玉に移行して「ゼロ」にクリアされることで、遊技球を用いた遊技ができない状態(ロック状態)に維持される。
【0069】
再プレイ可能玉数記憶部85は、遊技者の貯玉数を記憶するものであり、会員カード14Bの挿入後パスワード認証正常終了時に、会員・景品管理サーバー35Dから取得した貯玉数を初期値として記憶し、貯玉の払出操作に伴って貯玉数を減算更新する。この貯玉数は、タッチ液晶モジュール27に再プレイ可能玉数として表示され、返却スイッチ25Bの操作時に、再プレイ可能玉数記憶部85に記憶されている貯玉数が会員・景品管理サーバー35Dに送信されて記録される。なお、このキャッシュメモリは、その他、各種情報の記憶部87としても用いられる。
【0070】
またCPU76Aは、上記CPU76Bが高速I/O部品を制御したのに対して、それよりも低速で良いI/O部品を制御する。すなわち、貸出装置制御基板68には、店内LAN9を介した管理コンピュータ群8との通信インターフェースであるシリアル通信I/F88と、ホールコンI/F装置36を介した遊技台計数管理装置35Aとの通信インターフェースであるシリアル通信I/F89と、パチンコ機5の外部端子板54との通信インターフェースである入力専用のシリアル通信I/F90と、後述する貸出装置搭載暗号基板74との通信インターフェースであるシリアル通信I/F91とを備え、これらがCPU76Aによって制御されている。
また、貸出装置制御基板68には、パラレル信号線10Aを介して遊技台計数管理装置35Aと接続するためのパラレルポート92が設けられており、パラレルポート92からの出力が光MOSリレー等の駆動回路を備えた信号変換器93で信号変換され、パラレル出力用コネクタ94に接続されたパラレル信号線10Aを介して遊技台計数管理装置35Aに出力される。
【0071】
上記貸出装置搭載暗号基板74は、貸出装置制御基板68との間で相互認証するとともに、パチンコ機5の遊技機搭載暗号基板56を介して入出力される通信データを、当該遊技機搭載暗号基板56のセキュリティチップ60Aと同様のアルゴリズムで生成した暗号キーで暗号化/復号化する基板であり、セキュリティチップ(貸出装置側認証手段)60Dと、汎用CPU95とを備えている。すなわちセキュリティチップ60Dは、遊技機ID管理サーバー35Fからパチンコ機5の遊技機IDを取得し、当該遊技機IDに基づいてパチンコ機5と暗号通信するための暗号キーを生成し、この暗号キーを用いて遊技機搭載暗号基板56との間で暗号通信する。また、貸出装置制御基板68にもセキュリティチップ60Eが搭載されており、これらセキュリティチップ60D、60Eはそれぞれ、相互認証するための所定の認証キーを予め保持する。この認証キーはパチンコ機5の認証キーと同じである必要はない。この貸出装置搭載暗号基板74のセキュリティチップ60Eは、汎用CPU95と独立して動作し、基板外部から内部の処理動作、処理内容等を特定不可能な、いわゆるブラックボックスとして構成されている。
【0072】
貸出装置搭載暗号基板74と遊技機搭載暗号基板56とは、それぞれCRユニット6の電源モジュール75とパチンコ機5の電源とによって駆動されるが、相互間の通信路の電気的ノイズを低減するために、貸出装置搭載暗号基板74、及び遊技機搭載暗号基板56をCRユニット6、及びパチンコ機5から電気的に絶縁する構成としても良い。すなわち、貸出装置搭載暗号基板74、及び遊技機搭載暗号基板56の通信路用に供される専用の所定電圧の直流電源をCRユニット6に設ける構成としても良い。また、専用の直流電源に対して、所定電圧を生成するための電力をパチンコ機5側から電力線PLを介して供給する構成としても良い。
【0073】
そして、CRユニット6の電源投入時等の所定のタイミングで、貸出装置搭載暗号基板74のセキュリティチップ60Dが主導的にセキュリティチップ60Eと相互認証を行う。すなわち、セキュリティチップ60Dは貸出装置制御基板68のセキュリティチップ60Eに対して認証開始要求を出力する。この認証開始要求を受けて、セキュリティチップ60Eがセキュリティチップ60Dと認証キーを交換し、セキュリティチップ60D、60Eの両者が受け取った認証キーと自身の認証キーとに基づいて認証を行うことで相互認証を行い、貸出装置搭載暗号基板74が認証結果を遊技台計数管理装置35A及びタッチ液晶モジュール27に出力する。このとき、貸出装置搭載暗号基板74は、貸出装置制御基板68が不正に交換される等して相互認証が不成立となった場合には、パチンコ機5への貸出指示信号の出力を遮断する等して強制的に貸出不能状態にする。これにより、貸出装置制御基板68が不正交換された状態での貸出を禁止できる。また、貸出装置搭載暗号基板74が主導的に相互認証を開始することで、貸出装置制御基板68に対する不正が発見し易くなる。
【0074】
ここで、上述の通り、パチンコ機5においても、遊技機搭載暗号基板56の主導によって遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれが他の2つの基板間で相互認証を行い、当該相互認証の結果が遊技機搭載暗号基板56からCRユニット6の貸出装置搭載暗号基板74に出力される。
そしてCRユニット6では、貸出装置搭載暗号基板74と貸出装置制御基板68の間の相互認証結果が成立し貸出可能状態になっているとき、パチンコ機5から相互認証結果として相互認証成立の旨が入力されたことを条件に、貸出装置搭載暗号基板74、及び遊技機搭載暗号基板56が装置間の相互認証を行う。このときの装置間の相互認証には、例えば上記遊技機ID(CPU固有ID61)を認証キーに用いることができる。すなわち、貸出装置搭載暗号基板74のセキュリティチップ60Dは、遊技機ID管理サーバー35Fから取得して保持している遊技機IDを遊技機搭載暗号基板56のセキュリティチップ60Aに送信し、当該セキュリティチップ60Aは自身に格納されている遊技機IDを貸出装置搭載暗号基板74のセキュリティチップ60Dに送信し、各セキュリティチップ60A、60Dは、受信した遊技機IDと、自身が保持する遊技機IDとに基づいて相互に認証する。そして、装置間の相互認証が成立した場合にだけ、遊技球の貸出動作が可能になる。すなわち、貸出装置搭載暗号基板74が遊技機搭載暗号基板56の認証を認めなかった場合(パチンコ機5に不正改造の疑いがある場合)、貸出装置搭載暗号基板74は、パチンコ機5への貸出指示信号の出力を禁止し、或いはパチンコ機5との導通状態を非導通状態にするなどして、貸出動作を実行不能にする。一方、遊技機搭載暗号基板56が貸出装置搭載暗号基板74の認証を認めなかった場合(CRユニット6に不正改造の疑いがある場合)、遊技機搭載暗号基板56は、CRユニット6への貸出スイッチ25Aのスイッチ押下信号の出力を禁止するなどして貸出動作を実行不能にする。
【0075】
これにより、パチンコ機5、及びCRユニット6のそれぞれでの基板間の相互認証で不正が検知されなかった場合でも、さらにパチンコ機5、及びCRユニット6が装置間で相互に認証することで、不正を確実に見つけ出すことができる。また、パチンコ機5、及びCRユニット6の相互認証が不成立の場合には、遊技球の貸出動作が不能となり、封入球式であるパチンコ機5では遊技機を行うことができなくなるから、パチンコ機5又はCRユニット6に不正改造が行われた状態での遊技を確実に防止することができる。
【0076】
上述したように本実施形態では、パチンコ機5の遊技機メイン基板40、払出制御基板41、及び遊技機搭載暗号基板56と、CRユニット6の貸出装置制御基板68、及び貸出装置搭載暗号基板74は、それぞれセキュリティチップ60A〜60Eの暗号化/復号化機能を用いて、基板間の通信データを暗号化して送受しており、この暗号通信について図3を参照して説明する。
【0077】
図3は、基板間暗号通信の説明図である。
パチンコ機5では、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の各セキュリティチップ60A、60B、60Cが相互に暗号通信ラインLSで接続されている。暗号通信ラインLSでは、各セキュリティチップ60A、60B、60Cが相互に遊技機ID(CPU固有ID61)から所定のアルゴリズムで生成した暗号キーを用いて送受データを暗号化して通信するように構成されている。また同様に、CRユニット6では、貸出装置搭載暗号基板74、及び貸出装置制御基板68のセキュリティチップ60D、60Eの間が相互に暗号通信ラインLSで接続されている。
パチンコ機5、及びCRユニット6のそれぞれでは、基板間の相互認証は暗号通信ラインLSを通じて暗号化データを送受することで行われる。
【0078】
また、パチンコ機5では、遊技機メイン基板40と、遊技機搭載暗号基板56との間には、それぞれのセキュリティチップ60A、60Bにより基板間で直接暗号化通信する上記第1経路R1が設けられており、この第1経路R1を通じて、遊技機メイン基板40が出力する上記外部端子出力信号Soutが遊技機搭載暗号基板56に暗号化された状態で出力される。この第1経路R1は、上述の通り、払出制御基板41を経由する信号経路であることから、この払出制御基板41が不正改造された基板に交換された場合には、外部端子出力信号Soutが改ざんされる虞がある。これに対して、このパチンコ機5では、遊技機メイン基板40と、遊技機搭載暗号基板56との間で外部端子出力信号Soutを暗号化して送受することから、払出制御基板41が不正改造基板に交換されても、外部端子出力信号Soutの改ざんを防止できる。
【0079】
遊技機搭載暗号基板56に入力された外部端子出力信号Soutは、当該遊技機搭載暗号基板56にて復号化された後、非暗号化状態でCRユニット6に出力される。具体的には、遊技機搭載暗号基板56とCRユニット6の貸出装置制御基板68とが非暗号化のシリアル通信経路である第4経路R4により接続されており、この第4経路R4を通じて外部端子出力信号Soutが貸出装置制御基板68に出力される。
【0080】
また、パチンコ機5では、払出制御基板41と、遊技機搭載暗号基板56との間に、それぞれのセキュリティチップ60A、60Cにより基板間で直接暗号化通信する第3経路R3が設けられている。この第3経路R3を通じて、払出制御基板41と遊技機搭載暗号基板56との間で、貸出(払出)指示信号Ska及び貸出(払出)結果信号Skbが暗号化された状態で送受される。
なお、遊技機メイン基板40と払出制御基板41の間での賞球払出指示信号Sh等の送受は、基板間に設けられた既存のデータ通信線D1を通じて行われる。
【0081】
一方、パチンコ機5の遊技機搭載暗号基板56と、CRユニット6の貸出装置搭載暗号基板74の間には、それぞれのセキュリティチップ60A、60Dにより基板間で直接暗号化通信する第5経路R5が設けられており、この第5経路R5を通じて、貸出(払出)指示信号Ska及び貸出(払出)結果信号Skbが暗号化された状態で送受される。
これにより、CRユニット6からパチンコ機5に入力される貸出(払出)指示信号Skaの不正な改ざんが防止されることとなる。
【0082】
このように、パチンコ機5にあっては、遊技機メイン基板40、払出制御基板41、及び遊技機搭載暗号基板56が相互に認証することで、正規の基板であることが確認されることから、不正に改造された基板の発見が容易となる。
【0083】
ただし、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のいずれか、若しくは両方が万が一に不正に改造された基板に交換されているにもかかわらず相互認証で検知できなかった場合も想定し得る。また、遊技機メイン基板40や払出制御基板41に誤動作を誘発する不正な信号を入力し、或いは、正規な信号(例えば貸出指示信号や賞球払出指示信号Shなど)に成りすました信号を入力することで、遊技球を不正に払い出させる行為については相互認証だけでは検知することができない。
【0084】
そこで本実施形態では、遊技機搭載暗号基板56は、パチンコ機5の電源が投入された後、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれの動作を監視し、異常な動作(不正行為によって誘発された動作(特に不正な払出動作))を検出した場合に、暗号化経路である上記第5経路R5を通じてCRユニット6にエラーを通知するとともに、これら遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41に動作を保留した状態で待機させる待機指示信号Ssを出力することとしている。
遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の動作の監視は、それぞれが出力する信号に基づいて行われ、また監視項目としては、図4に示すように、通信状態監視と、整合性監視とが設けられている。
【0085】
通信状態監視は、遊技機搭載暗号基板56と遊技機メイン基板40及び払出制御基板41との間の通信状態を監視して異常な動作を判定する。この判定項目としては、図4に示すように、通信異常判定、及び相互認証異常判定が設定されている。
通信異常判定では、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40及び払出制御基板41が備えるセキュリティチップ60A、60B、60Cを通じて暗号化通信が可能かどうかの判定が遊技機搭載暗号基板56によって行われる。暗号化通信が不可能な場合、遊技機メイン基板40及び/又は払出制御基板41が不正な基板に交換されている、或いは暗号通信ラインLSが切断している等の異常があることを示す。
相互認証異常判定では、遊技機搭載暗号基板56、遊技機メイン基板40及び払出制御基板41が備えるセキュリティチップ60A、60B、60Cのそれぞれの間での相互認証が成立したか否かの判定が遊技機搭載暗号基板56によって行われる。相互認証が不成立の場合には、遊技機メイン基板40及び/又は払出制御基板41が不正な基板に交換されていることを示す。
【0086】
整合性監視は、遊技機メイン基板40の外部端子出力信号Sout、及び貸出(払出)結果信号skbに基づいて、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41が正規な動作をしているか否かを監視して、動作を停止すべき異常な動作を検知するものである。すなわち、この整合性監視では、遊技機搭載暗号基板56は、監視制御CPU56Aにより、図4に示すように、遊技機メイン基板40が出力する外部端子出力信号Soutに含まれる各種情報の時系列的な推移と正規な動作(推移)とに基づく整合性(以下、「遊技機メイン基板出力整合性」と称する)、払出制御基板41が出力する貸出(払出)結果信号Skbに含まれる各種情報の時系列的な推移と正規な動作(推移)とに基づく整合性(「払出制御基板出力整合性」と称する)、及び外部端子出力信号Soutと貸出(払出)結果信号Skbとの因果関係に基づく整合性(以下、「基板間出力整合性」と称する)のそれぞれを判定する。さらに、本実施形態では、遊技機搭載暗号基板56は、CRユニット6の貸出状態と貸出(払出)結果信号Skb及び貸出(払出)指示信号との整合性(以下、「貸出状態整合性」と称する)も判定する。
【0087】
(1)遊技機メイン基板出力整合性
遊技機メイン基板出力整合性の判定としては、図4に示すように、不正抽選判定、及び不正大入賞口入賞判定が行われる。不正抽選判定は、不正な当落抽選の発生を判定するものであり、この不正抽選判定では、遊技機搭載暗号基板56は、外部端子出力信号Soutにより図柄回転信号を受信するごとに、当該図柄回転の契機となった始動入賞信号が、その前に入力されていたか否かを判定する。すなわち、正規な動作では、始動口19への入賞を契機に、当落抽選に伴う図柄回転が行われることから、この判定を通じて、始動口19への入賞を契機としない不正な図柄変動が検知されることとなる。
【0088】
また不正大入賞口入賞判定は、遊技状態との対比において、正規な動作では発生し得ない賞球の発生を検知するものである。すなわち、この不正大入賞口入賞判定では、遊技機搭載暗号基板56は、外部端子出力信号Soutにより大入賞口21への入賞を受信するごとに、遊技状態が大当たりを示す特別遊技状態か否かを判定する。正規動作では、特別遊技状態でない場合には大入賞口21への入賞が発生し得ず、不正に大入賞口21への入賞が誘発されている事を示すことになる。
なお、正規動作では、図柄の回転後は必ず図柄停止が行われることから、外部端子出力信号Soutに含まれている図柄回数中信号と図柄停止信号とが必ず対になっているか否かを判定することで、図柄変動表示の動作異常を検知することもできる。
【0089】
(2)払出制御基板出力整合性
払出制御基板出力整合性の判定としては、図4に示すように、発射可能玉数の異常な増加を判定する持玉増加異常判定が行われる。すなわち、払出制御基板41が出力する貸出(払出)結果信号Skbは、発射可能玉数(いわゆる出玉)が増減するごとに出力され、この貸出(払出)結果信号Skbには、発射可能玉数の増減に関する情報として、総アウト数、総発射数、総賞球、総戻り玉、及び払出制御基板41が管理する発射可能玉数が含まれている。
【0090】
総アウト数は、発射装置に弾発されて遊技盤16の遊技領域に投入された後、入賞口20、大入賞口21、始動口19、或いはアウト口22を通じて回収された遊技球の総数、すなわち遊技に供されて最終的に遊技が完了した遊技球の総数である。
総発射数は、発射可能玉数が「ゼロ」より大きい事を条件に、発射装置の発射台に送り出された遊技球の総数である。
パチンコ機5が封入球式であることから、玉詰まりや発射台での遊技球の残留等の何らかの異常が無い限り、遊技盤16に投入された遊技球が当該遊技盤16から回収されるのに十分な時間が経過すれば、これら総アウト数、及び総発射数は一致する。
総賞球は、払出賞球数の累計値であり、総戻り玉は、上記戻り玉(ファウル玉と玉抜き玉の総称)の総数である。
【0091】
持玉増加異常判定においては、遊技機搭載暗号基板56は、貸出(払出)結果信号Skbを受信するごとに、前回受信からの変化分(差分)である発射可能玉数変化分、総賞球数増分、総戻り玉増分、及び総発射増分をそれぞれ求め、次式が成り立つか否かを判定する。この式が成り立たない場合には、正規な動作、或いは正常な状態では発生し得ない不自然な発射可能玉数の変化を示すこととなる。
【0092】
発射可能玉数変化分=
総賞球数増分+総戻り玉増分−総発射増分+全CRユニット払出指示
(ただし、全CRユニット払出指示は、CRユニット6からの貸出(払出)指示信号Skaに基づいて払い出された遊技球の総数)
【0093】
なお、正規動作或いは正常な動作状態においては、貸出(払出)結果信号Skbのうち、総アウト数、総発射数、総払出賞球数、及び総戻り玉数は、遊技の間、減少することはなく、単調増加関数的に増えることとなるから、これらの増減を監視することで異常を検知することもできる。
【0094】
(3)基板間出力整合性
基板間出力整合性の判定としては、図4に示すように、差分判定と、不正賞球指示判定と、不正大入賞口賞球指示判定とが行われる。
【0095】
(3−1)差分判定
差分判定では、賞球数の異常発生を検知する入賞差分判定、入賞回数の異常を検知する賞球差分判定、及び、遊技球の滞留を検知するアウト差分判定が行われ、遊技機搭載暗号基板56は、外部端子出力信号Soutを受信するごとに次の各値をカウントする。
すなわち、始動口19への入賞(始動入賞信号)発生の累計値である始動入賞累計値、他の入賞口20への入賞(入賞信号)発生の累計値である周辺入賞累計値、大入賞口21への入賞(大入賞口入賞信号)発生の累計値である大入賞口入賞累計値、これら始動入賞累計値と周辺入賞累計値と大入賞口入賞累計値の合計値である全入賞口入賞累計値、賞球払出指示信号Shを出力した回数の累計値を始動口19、大入賞口21、他の入賞口20ごとに示す入賞口別賞球指示回数累計値、図柄停止信号の累計値である図柄停止回数累計値、図柄回数中信号の累計値である図柄回転回数累計値、大当たり信号の累計値である大当たり回数累計値、確変・時短への移行回数の累計値である確変・時短回数、始動口入賞数と図柄停止回数等から推定される始動保留数である。始動保留数とは、始動口19への入賞に対する図柄の変動表示が保留されている数を示す。
また、遊技機搭載暗号基板56は、貸出(払出)結果信号Skbを受信するごとに、アウト玉(アウト玉検知信号)の累計値である総アウト累計値、及び外れ玉(外れ玉検知信号)の累計値である総外れ玉数累計値を計数する。
【0096】
入賞差分判定においては、遊技機搭載暗号基板56は、外部端子出力信号Sout及び貸出(払出)結果信号Skbのいずれかを受信するごとに次式を求める。この式の値は、正規な動作では「ゼロ」となり、値が「ゼロ」でない場合には、不正な電波等により始動口19に実球入賞が無いにもかかわらず入賞検知センサ44が入賞を検知している事を示す。
【0097】
入賞差分=全入賞口入賞累計値−(総アウト増分−総外れ玉数増分)
【0098】
賞球差分判定においては、遊技機搭載暗号基板56は、外部端子出力信号Sout及び貸出(払出)結果信号Skbのいずれかを受信するごとに次式を求める。この式の値は、正規な動作では「ゼロ」であり、「ゼロ」でない場合には、入賞が無いにもかかわらず賞球の払い出しが発生している事を示す。
【0099】
賞球差分=総賞球増分−入賞口別賞球指示回数累計値に基づく全賞球数
【0100】
アウト差分判定においては、遊技機搭載暗号基板56は、外部端子出力信号Sout及び貸出(払出)結果信号Skbのいずれかを受信するごとに次式を求める。この式の値は、遊技球が遊技盤16から正常に回収されている場合には所定の値を超える事が無く、玉詰まりや、盤面の障害釘や役物に多数の遊技球が引っ掛かって落下が滞る、いわゆる「ぶどう」が発生して遊技球の回収が滞った場合に所定の値を超えることになる。
【0101】
アウト差分=総発射増分−総アウト増分
【0102】
(3−2)不正賞球指示判定
不正賞球判定は、外部端子出力信号Soutと、貸出(払出)結果信号Skbとの対比に基づいて、入賞が無い状態で発生した賞球の払出指示を検知するものである。すなわち、図4に示すように、遊技機搭載暗号基板56は、外部端子出力信号Sout及び貸出(払出)結果信号Skbのいずれかを受信するごとに、始動入賞累計値と入賞口別賞球指示回数との大小関係、大入賞口入賞累計値と入賞口別賞球指示回数との大小関係、及び周辺入賞累計値と入賞口別賞球指示回数(その他の入賞口)との大小関係を判定する。正規な動作では、いずれにおいても指示回数が累積値を超えることはなく、いずれかが超えた場合には、入賞が無い状態で発生した賞球の払出指示があった事を示す。
【0103】
(3−3)不正大入賞口賞球指示判定
不正大入賞口賞球指示判定は、遊技状態との対比において、正規な動作では発生し得ない賞球の払出指示を検知するものである。すなわち、この不正大入賞口賞球指示判定では、遊技機搭載暗号基板56は、貸出(払出)結果信号Skbにより、払出制御基板41が大入賞口21の入賞の賞球払出指示信号Shを受けた旨を受信するごとに、外部端子出力信号Soutに基づいて遊技状態が大当たりを示す特別遊技状態か否かを判定する。特別遊技状態でない場合には、大入賞口21の入賞賞球払出指示が出力される事はないから、不正な賞球払出指示が出力されている事を示す。
【0104】
(4)貸出状態整合性
貸出状態整合性の判定としては、図4に示すように、不正発射判定、及び不正貸出判定が行われる。不正発射判定は、CRユニット6がパチンコ機5に接続されていない状態で遊技球の発射(遊技球の発射装置への繰り出し)を検知するものである。すなわち、この不正発射判定では、遊技機搭載暗号基板56は、払出制御基板41から貸出(結果)指示信号を受信するごとに、CRユニット6と通信を試みる等して接続状態(導通状態)を確認する。CRユニット6と接続されていない場合には、遊技球が不正に発射されている事を示す。この場合、CRユニット6が接続されていないため、遊技機搭載暗号基板56は、エラーを出力する際には、外部端子板54を通じた汎用信号により外部の器機にエラーを出力する。
【0105】
また不正貸出判定は、CRユニット6に会員カードやプリペイド媒体が装着されていない等して遊技球の貸出不可能(不許可)状態での遊技球の貸し出しを検知するものである。すなわち、この不正貸出判定では、遊技機搭載暗号基板56は、CRユニット6から貸出(払出)指示信号Skaを受信するごとに、当該CRユニット6が遊技球の貸出不可能(不許可)状態で無いかを当該CRユニット6に問い合わせて確認し、或いはCRユニット6が別途に状態信号(貸出可能な状態かを示す信号)を別途に出力している場合には当該状態信号に基づいて確認する。CRユニット6が貸出不可能(不許可)状態である場合には、不正な貸出指示がパチンコ機5に入力された事を示す。
【0106】
これらの判定項目のいずれかにおいて、遊技機搭載暗号基板56が異常を検知した場合、上述したように、遊技機搭載暗号基板56は、CRユニット6に対してエラーを出力するとともに、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の両者に待機指示信号Ssを出力する。
CRユニット6に出力されたエラーは、当該CRユニット6の表示部たる例えば上記タッチ液晶モジュール27に表示される。このようにエラーをCRユニット6に出力する構成としたため、CRユニット6の接続が遊技動作に必須のパチンコ機5にあっては、必ず接続される機器に異常が出力されることとなり、確実に異常を外部に通知(報知)できる。さらに、パチンコ機5の各種表示部(例えば遊技機液晶表示器24)に異常を表示する構成に比べ、簡単かつ確実に異常を通知(報知)できる。
【0107】
上記待機指示信号Ssは、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41に動作を保留した状態で待機させる指示をする信号である。かかる待機指示信号Ssは、例えば、遊技機搭載暗号基板56の監視制御CPU56Aから遊技機メイン基板40の主制御CPU40A、及び払出制御基板41の払出制御CPU41Aに一方的に割り込みをかけるCPU間割込信号により実現可能である。
遊技機メイン基板40の主制御CPU40A、及び払出制御基板41の払出制御CPU41Aは、待機指示信号Ssが入力された場合、動作保留状態で待機する。動作保留状態での待機とは、主制御CPU40A、及び払出制御CPU41Aに電力が供給されて動作可能な状態でありつつ、待機指示信号Ssが入力されたときの処理状態をメモリ等に保持してプログラム処理(動作)の進行を停止することで、停止時点から処理を再開可能に中断している状態である。この動作保留状態では、主制御CPU40A、及び払出制御CPU41は、遊技機搭載暗号基板56からの待機解除信号Srを待ち受け、当該待機解除信号Srが入力されると、処理を停止した時点から処理を再開する。
【0108】
遊技機搭載暗号基板56と、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41との間には、非暗号化状態でデータを双方向に通信可能な双方向通信路R6が設けられており、この双方向通信路R6を通じて遊技機搭載暗号基板56から待機指示信号Ss及び待機解除信号Srが出力される。また、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41は、待機指示信号Ss及び待機解除信号Srが入力されるごとに、応答を遊技機搭載暗号基板56に双方向通信路R6を通じて返信する。遊技機搭載暗号基板56は、かかる返信の有無に基づき、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41が待機指示信通りに待機情報に移行し、また待機解除指示にしたがって待機状態を解除して動作を再開したかを判断できる。
【0109】
図5は、パチンコ機5及びCRユニット6を備える遊技システム15の上記の動作異常検知時の動作を示すシーケンス図である。
パチンコ機5にあっては、パチンコ機本体18の電源が投入されると、遊技機搭載暗号基板56が上述の基板間相互認証の処理を行うとともに、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の動作監視を開始する(ステップS1)。この動作監視は、前掲図4を参照して説明した監視項目を監視することで行われる。
遊技機搭載暗号基板56は、パチンコ機本体18の電源が投入されている間、動作監視を繰り返し実行し、この動作監視において動作異常を検知した場合には(ステップS2:Yes)、動作異常を検知した旨を示すエラーをCRユニット6に出力し(ステップS3)、また待機指示信号Ssを遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の両方に出力する(ステップS4)。なお、先に待機指示信号Ssを出力した後、エラーを出力しても良いことは勿論である。
【0110】
ステップS3におけるエラーは、遊技機搭載暗号基板56から外部端子板54を通じてCRユニット6に入力される。CRユニット6は、エラーが入力されると、動作異常のエラーが発生したことを示すエラー発生表示を例えばパチンコ機5に一体に組み込まれたタッチ液晶モジュール27に表示して報知する(ステップS5)。なお、かかるエラーは、CRユニット6に限らず、例えば遊技店舗2が備える遊技台計数管理装置(いわゆる、ホールコン)35Aに出力しても良い。
【0111】
またステップS4における待機指示信号Ssは、上述の通り、遊技機搭載暗号基板56の監視制御CPU56Aから遊技機メイン基板40の主制御CPU40A、及び払出制御基板41の払出制御CPU41Aのそれぞれに双方向通信路R6を通じて入力される。
主制御CPU40A及び払出制御CPU41Aのそれぞれは、待機指示信号Ssが入力されると、制御動作(特に入賞、当落抽選、及び賞球の払出に係る制御動作)を停止し、停止時点から当該制御動作を再開可能にするために必要なデータをメモリ(図示略)に退避する退避処理を実行する(ステップS6)。この退避処理により、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41が動作を保留して待機した状態となる。主制御CPU40A及び払出制御CPU41Aのそれぞれは、退避処理を完了して動作保留状態に移行したときには、その旨を示す待機完了応答信号を遊技機搭載暗号基板56に出力し(ステップS7)、その後、待機解除信号Srの待ち受けるループ処理を実行し、当該待機解除信号待受状態で待機する(ステップS8)。
【0112】
遊技機搭載暗号基板56は、ステップS4で待機指示信号Ssを出力した後、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の両方から待機完了応答信号を所定時間内に受信したか否かを判断する(ステップS9)。いずれか一方でも待機完了応答信号を受信できなかった場合(ステップS9:No)、待機完了応答信号を出力していない方の基板が動作保留状態で待機せずに動作を継続していることを示す。この場合、遊技機搭載暗号基板56は、パチンコ機5の動作の中断が不能である旨を示すエラーをCRユニット6に出力し(ステップS10)、処理を終了する。
またCRユニット6は、かかるエラーが入力されると、パチンコ機5の動作を中断できない旨を示す中断不能表示を表示して報知する(ステップS11)。
【0113】
ステップS9の判断において、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の両方から待機完了応答信号が受信されている場合には(ステップS9:Yes)、遊技機搭載暗号基板56は、ステップS1で検知した動作異常が解消されているか否かを判定する(ステップS12)。
例えば、ステップS1で検知された動作異常が、図4に示す差分判定のアウト差分で検知された例えば玉詰まりといったようなパチンコ機5の機械的なトラブル、或いは一時的な信号ノイズ等による通信不良といったように、不正とは言えないトラブルに起因する場合には、遊技店舗2のスタッフが玉詰まりを解消する等し、或いはノイズが収まる等して動作異常が解消されることとなる。
これに対して、それ以外の要因で動作異常が検知されている場合には、不正行為が行われている可能性が高い。この場合、パチンコ機5にあっては、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の動作を停止しているため、不正行為が行われたままでの遊技を速やかに停止でき、不正行為の影響を最小に抑えられる。
【0114】
玉詰まりやノイズなどの動作異常が解消した場合、或いは遊技店舗2のスタッフ等により動作異常の検知結果が強制的にクリアされた場合には(ステップS12:Yes)、遊技機搭載暗号基板56は、エラーを解除する旨を示すエラー解除信号をCRユニット6に出力し(ステップS13)、また待機解除信号Srを遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の両方に出力する(ステップS14)。なお、待機解除信号Srをエラー解除信号よりも先に出力しても良いことは勿論である。
【0115】
CRユニット6は、エラー解除信号が入力されると、ステップS5で表示したエラー発生表示を表示停止する(ステップS15)。
また遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41にあっては、待機解除信号Srが入力されると、ステップS6の退避処理でメモリに退避していた各種データを読み込み、停止時点から動作(各CPUが処理していたプログラムのステップから処理)を再開するための復帰処理を実行し(ステップS16)、復帰処理が完了したときに復帰完了応答信号を遊技機搭載暗号基板56に出力する(ステップS17)。その後、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41は、停止時点から動作を再開することで(ステップS18)、中断されていた遊技が中断時点から再開される。このように、不正行為とは言えない動作異常検知時には、動作異常検知によって遊技が中断された時点から再開できることから、遊技者が不測の不利益をこうむることがない。
【0116】
遊技機搭載暗号基板56は、ステップS14で待機解除信号Srを出力すると、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の両方から待機完了応答信号を所定時間内に受信したか否かを判断しており(ステップS19)、両方から復帰完了応答信号を受信できている場合(ステップS19:Yes)、処理をステップS1に戻して、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の動作を継続して監視する。
また、いずれか一方でも復帰完了応答信号を受信できなかった場合(ステップS19:No)、復帰完了応答信号を出力していない方の基板が動作を再開できないことを示す。この場合、遊技機搭載暗号基板56は、パチンコ機5の動作の再開が不能である旨を示すエラーをCRユニット6に出力し(ステップS20)、処理を終了する。CRユニット6は、かかるエラーが入力されると、パチンコ機5の動作が再開できない旨を示す再開不能表示を表示して報知する(ステップS20)。
【0117】
このように、本実施形態によれば、パチンコ機5は、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の動作に基づいて動作異常を検知した場合、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41に動作を保留した状態で待機させる遊技機搭載暗号基板56を備える構成とした。
この構成により、パチンコ機5の動作異常検知時には、賞球の払い出しを含む各種の遊技の進行に係る制御動作を速やかに停止して不正による遊技進行を阻止できる。
これに加え、動作異常解消時には、動作保留させた時点から再開できるため、動作異常が不正とは関係ない要因(例えば玉詰まり等の機械的なトラブルや一時的なノイズによる信号トラブル)によって発生した場合、遊技者は、動作保留により中断された遊技を、当該中断された時点から再開することができ、遊技が中断されても不測の不利益を被ることがない。
【0118】
また本実施形態によれば、動作異常の検知を、遊技機メイン基板40が出力する外部端子出力信号Soutと、払出制御基板41が出力する貸出(払出)結果信号Skbとの間の不整合を判定することにより行う構成としたため、これらの信号の間の不整合を検知することで、不正な払い出しを確実、かつ速やかに検知できる。
【0119】
また本実施形態によれば、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれごとに、遊技機搭載暗号基板56に外部端子出力信号Sout、及び貸出(払出)結果信号Skbを入力する専用の通信経路として第1経路R1及び第3経路R3を備える構成とした。
この構成により、外部端子出力信号Sout、及び貸出(払出)結果信号Skbを既存の通信線や通信経路を通じて遊技機搭載暗号基板56に入力する構成と比べ、遊技機搭載暗号基板56に入力される信号の改ざんを防止できる。
特に、本実施形態では、これら第1経路R1及び第3経路R3を通じて送受するデータを暗号化する構成としたため、外部端子出力信号Sout、及び貸出(払出)結果信号Skbの改ざんをより確実に防止できる。
【0120】
また本実施形態によれば、遊技媒体貸出装置としてのCRユニット6に遊技機搭載暗号基板56を通信可能に接続し、遊技機搭載暗号基板56が動作異常を検知した場合には、その旨をCRユニット6に出力する構成とした。これにより、CRユニット6の接続が遊技動作に必須のパチンコ機5にあっては、必ず接続される機器に異常が出力されるため、確実に異常を外部に通知(報知)できる。さらに、パチンコ機5の各種表示部(例えば遊技機液晶表示器24)に異常を表示する構成に比べ、簡単かつ確実に異常を通知(報知)できる。
【0121】
また本実施形態によれば、遊技機メイン基板40、払出制御基板41、及び遊技機搭載暗号基板56がそれぞれ他の2つの基板と相互認証する構成としたため、パチンコ機5やCRユニット6の内蔵の基板が不正に交換されたとしても、これを確実に検知することができ、その時点で速やかに動作を停止し、遊技を禁止することができる。
また、遊技機メイン基板40、或いは払出制御基板41が不正交換された場合に、万が一に相互認証で不正交換が検知できなかったときでも、遊技機搭載暗号基板56による動作異常検知により、不正交換や動作異常を速やかに検知し遊技を停止(禁止)することができる。
【0122】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0123】
(変形例1)
上述した実施形態では、遊技機搭載暗号基板56が遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれに、双方向通信路R6を通じて待機指示信号Ssを通信により入力することで、これらを保留状態で待機させる構成とした。
しかしながら、これに限らず、遊技機メイン基板40の主制御CPU40A、及び払出制御基板41の払出制御CPU41Aのそれぞれに、入力信号レベルに応じて動作を保留状態とする信号端子を設け、当該信号端子の信号レベルをアクティブ/インアクティブに遊技機搭載暗号基板56の監視制御CPU56Aが可変して、これら遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の動作保留状態での待機、及び復帰を制御する構成としても良い。
この場合、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41への待機指示、及び復帰指示に係る制御は、上記双方向通信路R6を通じた双方向通信ではなく、遊技機搭載暗号基板56から各基板40、41に一方向(片方向)に出力される信号に基づいて行われる。
【0124】
上記信号端子には、いわゆるリセット入力端子を用いることができる。
すなわち、遊技機搭載暗号基板56は、動作監視にて動作異常を検知した場合、遊技機メイン基板40の主制御CPU40A、及び払出制御基板41の払出制御CPU41Aのそれぞれのリセット入力端子の信号レベルをアクティブレベルに変えて(負論理の場合HiからLoに信号レベルを変えて)、それぞれに待機指示を出力する。主制御CPU40A、及び払出制御CPU41Aは、リセット入力端子がアクティブに遷移すると、ワークエリアとして使用しているメモリの内容の保持し、かつ内蔵するプログラムカウンタを進めない、いわゆるフリーズ状態に遷移し、リセット入力端子がアクティブに維持されている間は、このフリーズ状態を維持して動作を保留した状態で待機する。ただし、リセット入力端子がアクティブに遷移するときに、メモリ内容の初期化を指示する、いわゆるRAMクリア信号が入力されている場合、主制御CPU40A、及び払出制御CPU41Aは、従前のパチンコ機と同様に、メモリ内容を初期化して、いわゆるリセット状態に移行する。
また動作異常の要因が遊技店舗2のスタッフ等により除去された場合、遊技機搭載暗号基板56はリセット入力端子の信号レベルをインアクティブレベルに変化させて(負論理の場合LoからHiに信号レベルを変えて)、待機解除指示を出力する。主制御CPU40A、及び払出制御CPU41Aでは、リセット入力端子の信号レベルがインアクティブに変化したところでリセットされ、リセット入力端子の信号レベルがアクティブレベルにされた時点の内部状態からプログラムを再開する。
【0125】
(変形例2)
また、遊技機搭載暗号基板56から遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41のそれぞれに待機指示を入力する構成に関し、停電等による電源遮断時に遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41が動作を保留し、保留状態をメモリ等にバックアップするように構成されている場合には、かかる構成を用いて、遊技機搭載暗号基板56から待機指示を入力することも可能である。
【0126】
図6は、本変形例に係るパチンコ機105の要部構成を示す模式図である。
パチンコ機105は、各部に電源を供給するための電源部196Aと、停電等による電源遮断を監視する電源遮断監視回路196Bとを有した電源基板196を備えている。
電源部196Aは、遊技機搭載暗号基板156、遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141等に対して各々に必要な動作電源を供給する。また、また電源部196Aは、電源遮断の間、遊技機搭載暗号基板156、遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141の各々のメモリのデータ保持用のバックアップ電源を生成し、それぞれに供給する。
【0127】
電源遮断監視回路196Bは、電源部196Aの電源出力を監視し、この電源出力が第1所定電圧を下回ったときに電源遮断と判断して電源遮断検出信号Ssaを出力し、また第2所定電圧を超えたときには電源復帰と判断して電源復帰信号Sra(いわゆる、リセット信号)を出力する。これら電源遮断検出信号Ssa及び電源復帰信号Sraは、従来、遊技機メイン基板140(主制御CPU140A)、及び払出制御基板141(払出制御CPU141A)に直接入力されるが、本変形例のパチンコ機105では、遊技機搭載暗号基板156(の監視制御CPU(図示略))に入力されている。
【0128】
遊技機搭載暗号基板156は、電源遮断検出信号Ssaと待機指示信号Ssの論理和を出力する第1OR回路156Xと、電源復帰信号Sraと待機解除信号Srの論理和を出力する第2OR回路156Yとを備え、これら第1OR回路156X、及び第2OR回路156Yの出力は、遊技機メイン基板140の主制御CPU140A、及び払出制御基板141の払出制御CPU141Aの専用の端子である第1及び第2ポート197A、197Bにそれぞれ入力される。
遊技機メイン基板140の主制御CPU140A、及び払出制御基板141の払出制御CPU141Aは、第1ポート197A及び第2ポート197Bの信号レベルがアクティブレベルか否かを監視し、電源遮断時の退避処理(図5のステップS6に相当)、及び復帰処理(図5のステップS16に相当)を行うように構成されている。
【0129】
かかる構成の下、遊技機搭載暗号基板156は、動作異常検知時に、図7に示すように、信号レベルをアクティブレベルに変化させた待機指示信号Ssを第1OR回路156Xを通じて出力することで、遊技機メイン基板140の主制御CPU140A、及び払出制御基板141の払出制御CPU141Aが退避処理を行った後、電源復帰信号Sra又は待機解除信号Srを待ち受けループ処理に入り、動作保留状態で待機する。
また、動作異常解除時には、遊技機搭載暗号基板156は、待機指示信号Ssの信号レベルをインアクティブレベルに変化させた後、アクティブレベルの待機解除信号Srを第2OR回路156Yに出力することで、遊技機メイン基板140の主制御CPU140A、及び払出制御基板141の払出制御CPU141Aが復帰処理を開始し、動作保留時点から動作(プログラム)を再開する。
【0130】
本変形例によれば、停電等による電源遮断時に遊技をバックアップし電源復旧時にバックアップ時点から遊技を再開可能にするためにパチンコ機105に従来から設けられている構成を用いて待機指示、及び待機解除を遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141に出力することができる。
なお、本変形例において、遊技機搭載暗号基板156が、電源遮断検出信号Ssa、待機指示信号Ss、電源復帰信号Sra、及び待機解除信号Srをそれぞれ、第1OR回路156X、及び第2OR回路156Yを通さずに個別の経路で出力する構成としても良い。
【0131】
(変形例3)
また、上記変形例2において、遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141のそれぞれに供給する電源のオン/オフを遊技機搭載暗号基板156で制御する構成としても良い。
図8は本変形例に係るパチンコ機205の要部構成を示す模式図であり、図9はパチンコ機205が備える遊技機搭載暗号基板256の異常動作検知時の動作を示すタイミングチャートである。なお、これら図8及び図9において、第2変形例と同様のものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0132】
図8に示すように、このパチンコ機205では、遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141のそれぞれに供給する電源のオン/オフを制御する電源制御回路298を遊技機搭載暗号基板256が備える点で第2変形例と構成を大きく異にする。
電源制御回路298は、図9に示すように、遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141が待機指示信号Ssの入力により退避処理を行って待機状態になった後、これら遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141への電源入力を遮断する。このように電源入力を遮断することで、待機状態の間、遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141が確実に動作不能な状態にすることができる。
また電源制御回路298は、動作異常が解除されて待機指示信号Ssがインアクティブとなったときには、遊技機メイン基板140、及び払出制御基板141のそれぞれに速やかに電源入力を開始し、待機解除信号Srの入力による復帰処理の実行を可能にする。
【0133】
(変形例4)
上述した実施形態、及び各変形例では、遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41の両方の動作を遊技機搭載暗号基板56が監視して動作異常を検知する構成としたが、これに限らず、いずれか一方だけを監視して動作異常を検知しても良い。
例えば、遊技機搭載暗号基板56が、前掲図4に示す遊技機メイン基板出力整合性判定、或いは払出制御基板出力整合性判定のいずれかのみを行って動作異常を検知しても良い。
【0134】
(変形例5)
上述した実施形態、及び各変形例では、遊技機メイン基板40、払出制御基板41、及び遊技機搭載暗号基板56のそれぞれに、独立して動作するセキュリティチップ60B、60C、及び60Aを設け、通信の暗号化/復号化、及び基板間の認証を行う構成とした。
しかしながら、これに限らず、これら通信の暗号化/復号化、及び認証の機能をモジュールとして搭載したCPUを、遊技機メイン基板40、払出制御基板41、及び遊技機搭載暗号基板56の主制御CPU40A、払出制御CPU41A、及び監視制御CPU56Aとして搭載する構成としても良い。
このように、主制御CPU40A、払出制御CPU41A、及び監視制御CPU56Aとして、セキュリティチップの機能が取り込まれたCPUを用いた場合、当該CPUのメモリに格納されたユーザープログラムによる動作制御では、通信相手との接続が認証成立状態か否かを当該CPUのステータスレジスタ等で認識し、相手先との認証が成立した状態においては、通信データの暗号化/復号化を別途のモジュールやプログラム等を介することなく送受信をする事ができる。この場合、各基板40、41、56の間だけではなく、基板40、41、56内においても平文(非暗号化状態のデータ)が流れる事が無いので、よりセキュリティを高める事ができる。
【0135】
(変形例6)
上述した実施形態、及び各変形例では、パチンコ機5が遊技機メイン基板40、及び払出制御基板41とは別に、遊技機搭載暗号基板56を備え、当該遊技機搭載暗号基板56が遊技機メイン基板40、及び/又は払出制御基板41の動作に基づいて動作異常を検知する構成とした。
しかしながら、これに限らず、パチンコ機5が遊技機搭載暗号基板56を備える代わりに、上記動作異常を検知する機能を払出制御基板41に設けても良い。
遊技機搭載暗号基板56に代えて払出制御基板41が動作異常を検知することで、遊技機搭載暗号基板56の分だけコストダウンが図られる。
【0136】
(変形例7)
また例えば上述した実施形態、及び各変形例では、遊技機の一例としてパチンコ機5を例示したが、これに限らず、遊技媒体の投入を条件に、所定の抽選契機成立時に当落抽選を行う遊技機であれば、任意の遊技機に本発明を適用することができる。かかる遊技機には、例えば、遊技メダルを遊技媒体に使用し、遊技メダルの投入を条件に、操作レバーが操作された時に当落抽選を行うパチスロ機などが挙げられる。この場合には、本発明の遊技媒体貸出装置が遊技メダルをパチスロ機に貸し出す遊技メダル貸出装置に適用される。
【符号の説明】
【0137】
5、105、205 パチンコ機(遊技機)
6 CRユニット
15 遊技システム
16 遊技盤
18 パチンコ機本体
27 タッチ液晶モジュール
40、140 遊技機メイン基板
41、141 払出制御基板
48 遊技機管理発射可能玉数記憶部
56、156、256 遊技機搭載暗号基板(検知手段)
60A〜60E セキュリティチップ
65 遊技球貸出装置(遊技媒体貸出装置)
156X 第1OR回路
156Y 第2OR回路
196 電源基板
196A 電源部
196B 電源遮断監視回路
298 電源制御回路
Sh 賞球払出指示信号
Skb 貸出(払出)結果信号
Sout 外部端子出力信号
Sr 待機解除信号
Sra 電源復帰信号
Ss 待機指示信号
Ssa 電源遮断検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を用いた遊技により所定の払出契機が成立するごとに前記遊技媒体の払出指示を出力する遊技機メイン基板と、
前記遊技機メイン基板の払出指示に基づいて前記遊技媒体の払出を制御する払出制御基板と、を備え、
前記遊技機メイン基板、及び/又は前記払出制御基板の動作に基づいて動作異常を検知した場合、前記遊技機メイン基板、及び前記払出制御基板に動作を保留した状態で待機させたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技機メイン基板が前記払出に係る情報を外部に通知するために出力する外部出力情報と、前記払出制御基板が前記遊技媒体の払出の結果を外部に通知するために出力する払出結果情報との間の不整合に基づいて動作異常を検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記動作異常を検知する検知手段を備え、
前記遊技機メイン基板、及び前記払出制御基板のそれぞれごとに、前記検知手段に前記外部出力情報、及び前記払出結果情報を入力する専用の通信経路を備えることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記通信経路を通じて送受するデータを暗号化したことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記検知手段は、
前記遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と通信可能に接続され、前記外部出力情報、及び前記払出結果情報を前記遊技媒体貸出装置に出力するとともに、
前記動作異常を検知した場合、その旨を前記遊技媒体貸出装置に出力する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の遊技機。
【請求項6】
遊技媒体を用いた遊技により所定の払出契機が成立するごとに前記遊技媒体の払出指示を出力する遊技機メイン基板と、
前記遊技機メイン基板の払出指示に基づいて前記遊技媒体の払出を制御する払出制御基板と、を備えた遊技機と、
前記遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出装置と、を有し、
前記遊技機は、
前記遊技機メイン基板、及び/又は前記払出制御基板の動作に基づいて動作異常を検知した場合、その旨を前記遊技媒体貸出装置に出力し、前記遊技機メイン基板、及び前記払出制御基板に動作を保留した状態で待機させた
ことを特徴とする遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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