説明

遊技機の不正防止部材

【課題】透明板の裏面と外側・内側のガイドレールの前端縁との間の隙間から行なわれる不正行為を未然に防止するようにした遊技機の不正防止部材を提供する。
【解決手段】ゴム、エラストマー等の弾性部材によって略帯状に成形され、内枠2に配設される遊技盤3の前面に配置したガイドレール4a,4bの前端縁に所定の範囲に亘り装着される遊技機の不正防止部材23であって、基端側部の長手方向に沿って設けられガイドレール4a,4bの先端縁が嵌入する切込み溝25を凹設した取付条部24bと、先端側部の長手方向に沿って設けられ内枠2の前面に軸着した透明板保持枠12を閉めたとき該透明板保持枠12に装着された透明板14の裏面に圧接する押圧条部24cと、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤面に配置されるガイドレールの前端縁とこれと対向する透明板の裏面との間の隙間から行なわれる不正行為を防止するようにした遊技機の不正防止部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機は、内枠に配設される遊技盤の前面に遊技部を囲うようにして外側のガイドレールと内側のガイドレールとが渦巻状に敷設されている。遊技部には、例えば障害釘、風車、入賞口、大型の入賞装置等の盤面部品が装着される。また、前記内枠の前面には、遊技盤の前面を覆うようにして透明板保持枠が開閉自在に軸着される。透明板保持枠は遊技部が臨む窓開口を有し、該窓開口には該窓開口を塞ぐようにして前後一対の透明板が挿着されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実開平6−80475号公報(第4−5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記特許文献1のパチンコ遊技機にあっては、透明板保持枠を閉めたとき、透明板の裏面と外側・内側のガイドレールの前端縁との間に僅かな隙間が生じる。そこで、パチンコ遊技機の前側であって下部球受皿の球排出口を介して溢れ球通路、ファール球排出通路内にピアノ線または「セル板」と称される合成樹脂製の薄い帯板等の不正具を這わせ、更に、前記透明板の裏面と特に内側のガイドレールの前端縁との間の隙間から遊技部に侵入させ、例えば、入賞装置の球入口を開閉する開閉扉を無理に開かせて故意に多くの入賞球を発生させるといった不正行為が行なわれるという課題がある。
【0004】
そこで、本発明は上記課題を解決すべくなされたもので、透明板の裏面と外側・内側のガイドレールの前端縁との間の隙間から遊技部に不正具が侵入されないようにして、その隙間から行なわれる不正行為を未然に防止するようにした遊技機の不正防止部材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するため本発明に係る遊技機の不正防止部材は、ゴム、エラストマー等の弾性部材によって略帯状に成形され、内枠に配設される遊技盤の前面に配置したガイドレールの前端縁に所定の範囲に亘り装着される遊技機の不正防止部材であって、基端側部の長手方向に沿って設けられ前記ガイドレールの前端縁が嵌入する切込み溝を凹設した取付条部と、先端側部の長手方向に沿って設けられ前記内枠の前面に軸着した透明板保持枠を閉めたとき該透明板保持枠に装着された透明板の裏面に圧接する押圧条部と、を備えた構成からなる。
【0006】
この際、前記先端側部の押圧条部はその長手方向に対し直交する面における断面形状が中空パイプ状に成形されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る遊技機の不正防止部材は、基端側部の長手方向に沿って設けられガイドレールの前端縁が嵌入する切込み溝を凹設した取付条部と、先端側部の長手方向に沿って設けられ内枠の前側に軸着した透明板保持枠を閉めたとき該透明板保持枠に装着された透明板の裏面に圧接する押圧条部と、を備えてなるので、透明板保持枠を閉めたとき透明板の裏面に押圧条部が圧接してガイドレールの前端縁と透明板の裏面との間の隙間を密閉状に塞ぐ。これにより、前記隙間を介して遊技部に不正具を侵入させようとしても不正防止部材により阻まれ、前記隙間を介して行なわれる不正行為が未然に防止されるという効果がある。
【0008】
また、前記透明板と対向する先端側部の押圧条部をその長手方向に対し直交する面における断面形状が中空パイプ状となるように成形すれば、その押圧条部の弾発力が増して透明板の裏面に対する圧接力が高められ、不正防止効果が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る遊技機の不正防止部材(以下、単に「不正防止部材」という。)の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本発明はパチンコ遊技機、アレンジボール機または雀球遊技機等の遊技機に適用されるが、その内、その一例としてパチンコ遊技機について説明する。図1は本発明が適用されるパチンコ遊技機の正面図、図2は透明板保持枠を開いた状態の斜視図である。
【0010】
パチンコ遊技機Pは、縦長方形状の外枠1の前側に内枠2が開閉自在に装着され、該内枠2に遊技盤3が配設されている。遊技盤3の前面には、外側・内側のガイドレール4a,4bが渦巻状に敷設して配置され、外側・内側のガイドレール4a,4bにより囲まれて遊技部3aが成形されている。
【0011】
前記遊技部3aには、遊技部3aを流下する遊技球の流れ方向をランダムに変化させ興趣のあるゲーム性を与える多くの障害釘5や風車6、一回の入賞により所定個数(例えば、13個)の賞球が払い出される一般入賞口7、一度に多くの入賞球が発生し沢山の賞球が得られる大型の入賞装置8等の所謂盤面部品が配置される。内枠2の下部前面には、その一側に打球発射レール9が装着され、また、その先端がファール球排出口10を介して前記外側のガイドレール4aの基端側部と連なっている。打球発射レール9の発射部9aには、発射装置に組み込まれた打球槌11の先端が臨むようになっている。
【0012】
一方、前記内枠2の前側に遊技盤3の前面を覆う透明板保持枠12が開閉自在に軸着される。透明板保持枠12は、その中央に前記遊技盤3前面の遊技部3aが臨む窓開口13が開設され、該窓開口13に透明板である一対の合成樹脂製の透明板14が装着される。なお、前記透明板14はガラス製であっても良い。透明板保持枠12の下方に同じく前板16が開閉自在に装着される。この前板16の前面には、前記打球発射レール9の発射部9aに供給される賞球または貸し球としての遊技球を貯留するための上部球受皿17が装着される。
【0013】
前記内枠2の下部前面に、前記上部球受皿17から溢れる遊技球を貯留するための下部球受皿18が装着される。また、その一側に前記打球槌11による打球の発射力を調整するための操作ハンドル19が装着される。図示は省略するが、前記内枠2に開設され上部球受皿17に賞球または貸し球としての遊技球を払い出す球払出口20と下部球受皿18に溢れ球を排出する球排出口21とは溢れ球排出通路により連なっており、しかも、前記ファール球排出口10はファール球排出通路を介して前記溢れ球排出通路と連通している。
【0014】
そこで、発射部9aから発射された打球は外側のガイドレール4aと内側のガイドレール4bとの間の球飛走通路22を通って遊技部3aに打ち込まれることになる。その内、一般入賞口7に打球が入賞すると、球払出装置(図示せず。)から所定量の賞球としての遊技球が払い出される。これら賞球は球払出口20を介して上部球受皿17に貯留される。一方、打ち出されても前記遊技部3aに到達しなかった打球は、ファール球として球飛走通路22を戻りファール球排出口10からファール球排出通路に落下し、溢れ球通路、球排出口21を介して下部球受皿18に排出される。
【0015】
このように、球排出口21とファール球排出口10とは繋がっている。また、外側・内側のガイドレール4a,4bの前端縁とこれと対向する透明板保持枠12の透明板14裏面との間には僅かな隙間tが生じている。そこで、例えば、パチンコ遊技機Pの前側からピアノ線またはセル板といった不正具を前記球排出口21内に挿入し、溢れ球通路、ファール球排出通路を介してファール球排出口10から上方へ這わせ、更に、前記内側のガイドレール4bの前端縁と透明板14の裏面との間の隙間tから遊技部3a内に不正具を侵入させて不正行為を行なうおそれがある。
【0016】
そこで、本発明は、前記不正行為を防止すべく前記内側のガイドレール4bの前端縁に不正防止部材23を装着するようにした。この不正防止部材23は例えばエラストマー製であって比較的強い弾力性を有し、図3、図4に示すように所定の長さを有し略帯状に成形される。更に詳しく説明すると、自然の状態で幅寸法が前記内側のガイドレール4bの前端縁と透明板14裏面との間の隙間tよりも長く設定される。ただ、不正防止部材23は内側のガイドレール4bに装着されるほか、外側のガイドレール4aに装着するようにしても良いことから、前記不正防止部材23はその幅寸法が、外側・内側のガイドレール4a,4bの一側面に沿って転動する遊技球の支障にならないような範囲で設定される。
【0017】
不正防止部材23は、平板帯状の胴部24aの後側にその長手方向に沿って前記内側のガイドレール14bの先端縁が嵌入する取付条部24bが一体に設けられ、前記胴部24aの前側にその長手方向に沿って透明板14の裏面に圧接する押圧条部24cが一体に設けられる。もう少し詳しく説明すると、前記基端側部である取付条部24bは、後端面に内側のガイドレール4bの前端縁が嵌入する切込み溝25が凹設される。一方、先端側部である押圧条部24cは、その長手方向に対し直交する面における断面形状が中空円パイプ状に成形され、その外径寸法は胴部24aの厚み寸法よりも長く設定される。このように、押圧条部24cを中空円パイプ状に成形したのは透明板14の裏面に不正防止部材23が強く圧接される必要があることから、その弾発力を高めるためである。
【0018】
また、不正防止部材23は切込み溝25を内側のガイドレール4bの前端縁に嵌合するのみで装着でき、また、その取外しも容易に行なえることから、取付・取外作業、更には交換作業が簡単に行なえる。
【0019】
本発明に係る不正防止部材23は上記構成からなり、例えば、透明板保持枠12を開けた状態で、図5(イ)に示すように取付条部24bの切込み溝25に内側のガイドレール4bの前端縁を嵌入させることにより、図2に示すように内側のガイドレール4bの前端縁に所定の範囲すなわち下部3分の2の範囲に亘って装着される。そして、透明板保持枠12を閉じた状態では、図5(ロ)に示すように不正防止部材23の先端側部の押圧条部24cが潰れたように変形して透明板14の裏面に圧接する。これにより、内側のガイドレール4bと透明板14の裏面との間の隙間tが隙間なくしっかりと塞がれる。よって、図5(ロ)に示すように前記隙間tを介して遊技部3aへ不正具Hを侵入させようとしても、不正防止部材23により阻まれ、前記隙間tを介して行なわれる不正行為が未然に防止される。
【0020】
この際、特に、不正防止部材23の押圧条部24cがその長手方向に沿って中空円パイプ状に成形されていることから、透明板14の裏面に圧接したときもその弾発力が増して圧接力が高められ、不正防止効果が向上する。
【0021】
本発明においては、内側のガイドレール4bの下部3分の2の範囲に亘り不正防止部材23を装着するようにしたがこれに限られるものではなく、外側のガイドレール4aに装着しても良く、その範囲も自由に選択できる。所定範囲に亘りとは、不正行為を行なうため不正具Hが侵入するであろうとする範囲であって予め予測して決められる。よって、その範囲が時と共に変われば、その範囲を変更しても良い。
【0022】
ここで、他の実施の形態に係る不正防止部材を説明する。図6(イ)の不正防止部材23aは、押圧条部24cの断面形状が菱形をなす中空パイプ状に成形されている。図6(ロ)の不正防止部材23bは、押圧条部24cの断面形状が正六角形をなす中空パイプ状に成形され、しかも、その先端面26が不正防止部材23bの短手方向に対し直交するように位置している。よって、このような構成とすることにより、透明板14の裏面にその先端面26が圧接することになり密閉性が強まる。
なお、前記中空状の断面形状は例示したものに限らず他の形状であっても良い。
【0023】
図6(ハ)の不正防止部材23cは、押圧条部24cの断面形状が中空パイプ状ではなく、押圧条部24c先端に上下一対の突出片27,27が先端に向かて突設されている。また、両突出片27,27の先端には、対向する面が互いに対称となるように内側へ傾斜する傾斜面28,28が設けられる。この場合は、前記上下の傾斜面28,28が共に透明板14の裏面に圧接することとなるので、これにより透明板14裏面との接触面積が広くなり密閉性が高まる。
【0024】
以上説明した不正防止部材23,23a乃至23cは、いずれも構成が簡単であって押出し成形により成形することができるので、成形が容易であるばかりか製品コストも低廉になし得、しかも外側・内側のガイドレール4a,4bに対する取付・取外作業も容易に行なえる。また、不正防止部材23,23a乃至23cの材質は、比較的強い弾力性を備えていれば、他に天然ゴムまたは合成ゴムを素材に使用しても良いこと勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明が適用されるパチンコ遊技機の正面図。
【図2】同透明板保持枠を開いた状態の斜視図。
【図3】不正防止部材の斜視図。
【図4】図3のX−X拡大線断面図。
【図5】(イ)は不正防止部材を装着する状態を示す要部の側面断面図、(ロ)は同装着した状態を示す要部の側面断面図。
【図6】(イ)(ロ)(ハ)は他の実施の形態に係る不正防止部材の横断面図。
【符号の説明】
【0026】
2 内枠
3 遊技盤
4a 外側のガイドレール
4b 内側のガイドレール
12 透明板保持枠
14 透明板
23 不正防止部材
23a〜23c 不正防止部材
24b 取付条部
24c 押圧条部
25 切込み溝
P 遊技機(パチンコ遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム、エラストマー等の弾性部材によって略帯状に成形され、内枠に配設される遊技盤の前面に配置したガイドレールの前端縁に所定の範囲に亘り装着される遊技機の不正防止部材であって、
基端側部の長手方向に沿って設けられ前記ガイドレールの前端縁が嵌入する切込み溝を凹設した取付条部と、先端側部の長手方向に沿って設けられ前記内枠の前面に軸着した透明板保持枠を閉めたとき該透明板保持枠に装着された透明板の裏面に圧接する押圧条部と、を備えてなることを特徴とする遊技機の不正防止部材。
【請求項2】
前記先端側部の押圧条部はその長手方向に対し直交する面における断面形状が中空パイプ状に成形されている請求項1記載の遊技機の不正防止部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−37800(P2007−37800A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225978(P2005−225978)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(593045053)株式会社内藤商会 (112)
【Fターム(参考)】