説明

遊技機の取付け装置

【課題】遊技機を遊技機島に取付けるにあたり、遊技機に備えられた装着枠の上面を押圧して取付けする場合、装着枠の上面と遊技機島の上架板の間の間隙は僅かであるため、この上架板に穴を穿けるかもしくは後端部を切欠いて押圧部材を通過させる必要があり、工事が困難で、また遊技機島の構造強度が損なわれる原因となっていた。
【解決手段】遊技機の装着枠の上面と遊技機島の上架板との設計上の間隔は3ミリ〜4ミリが一般的であり、この間隙に弾性板よりなる押圧板を配置して、この押圧板の後端側を支点として前端部を降下して装着枠の上面を押圧して遊技機を遊技機島に取付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ台などの遊技機を遊技機島に取付ける遊技機の取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ台などの遊技機1は、図2で示したように裏側に設けた矩形の装着枠2にヒンジ構造3によって開閉自在および取外し自在に取付けられており、遊技機1を図1で示した遊技機島4に取付ける場合、装着枠2を外して遊技機島4の上架板5と下架板6と縦部材7とで形成された区画C内に配置し、この装着枠2の枠上板8と枠下板を9をビス等で止着したり、専用の取り付け器具で固定した状態で遊技機1をヒンジ構造3を介して装着枠2に取付け、遊技機1を遊技機島4に閉じて使用に供する。
【0003】
上記の遊技機の取付け作業は、営業時間の終了後の深夜に行われるものであるため短時間でできることが望ましいものであるが、遊技機より装着枠を外し、装着枠を遊技機島に取付け、そしてこの装着枠に遊技機を取付けるような煩雑な作業は短時間ではできなかった。また遊技機の装着枠の取付けはビス等で止着するか、もしくは専用の取付け器具によって行われ、ビス等で止着する場合は遊技機島を損傷して確実に固定されない場合があり、専用の取り付け器具を利用した場合は装着枠の枠上板を下側より挟んだり、また枠上板の前後端を挟み込んだりするものであり、遊技機の高重量(20kg程度以上)に起因して緩みやガタ付きが生じ易く遊技機の固定に信頼性がなかった
【0004】
これらの問題点を解消するために、遊技機を遊技機島に取付けるにあたり、装着枠に遊技機が装着された一体の状態で区画に配置して、遊技機島の上架板の上方から押圧部材で装着枠の枠上板を押圧して固定する装置が提案されている。(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)また、装着枠は遊技機より取外し分離して取付けをするが取付けにビス等を使用しないものとして(特許文献5)が提案されている。
【0005】
上記の押圧部材で、遊技機島の上架板の上方から装着枠の枠上板を押圧して固定する場合、現実店舗での遊技機島に於いては木製の上架板を通過させるための通過穴を加工形成しなければならない。(特許文献3)また、遊技機の性能を確認するテスト島に於いては、上架板を必要としない場合と、営業店舗の遊技機島と同様に上架板を設けている場合があり、後者は営業店舗と同様に上架板に通過穴を形成する必要がある。(特許文献2、特許文献4)
【0006】
遊技機島の上架板を金属製として、遊技機の取り付け装置を遊技機島の設計段階で織り込んだ場合に於いても押圧部材の通過穴は同様に必要となる。(特許文献1)また、押圧部材を上架板に通過させるには、上架板の後端部を切欠加工することも考慮できる(特許文献5)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2528046号(図6)
【特許文献2】特許第4491383号(図4、図6)
【特許文献3】特許第4514158号(図12)
【特許文献4】特開2009−165759号(請求項1、図7)
【特許文献5】特開2006−314653号(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、遊技機島の上架板に穴や切り欠き等の加工をしなくとも、押圧部材で遊技機の枠上板を押圧して遊技機を遊技機島に堅固に取付けることにある。遊技機島の上架板は、特別に設計変更する以外は厚み20ミリ前後、取付け有効巾70ミリ〜80ミリと規格化されており、また、押圧部材は遊技機の装着枠が動かないように押圧するにはある程度の接触面積を必要とするため、結果として通過穴や切欠きの範囲が大きくなり上架板の強度、ひいては遊技機島の強度を損なう原因となっている。これらの加工も特に営業中の店舗で行う場合は工事の難度が増加して工事がコスト高になっていた。
【0009】
また、遊技機島の上架板の後端を切り欠いて、この切り欠き内に押圧部材が通過するようにした場合、遊技機の装着枠の枠上板の前後巾の規格寸法は最大70ミリ、最小で50ミリ程度で巾の狭い場合は枠上板の後端は20ミリ前側となり、この巾の狭い場合の枠上板を確実に固定するには遊技機島の上架板の切り欠きは通常よりさらに前側に切り欠く必要がある。遊技機島の上架板の取付け有効部(板水平の箇所)は前述のように後端より70ミリ〜80ミリで規格化されているので、上記の切り欠きは上架板の巾の半分もしくはそれ以上となり、遊技機島全体の強度劣化の原因となる。(特許文献5)
【0010】
また、遊技機島の上架板の下面と遊技機の装着枠の枠上板の上面との間隙は、遊技機の重量等の原因で設計時の基準間隙の3ミリより広がる範囲でバラツキがあり、押圧部材の押圧時の下死点の高さを一定とした装置では、装着枠の枠上板が同じ力で押圧されないので遊技機の取付け状態が一定とならず取付け不良の原因となっている。また、下死点の高さ調整ができる装置を設けた場合、間隙の大小で一台ごとに調整しなければならず取付け作業に時間がかかる。(特許文献2)(特許文献3)(特許文献4)
【0011】
また、遊技機の装着枠の枠上板は、木もしくは比較的薄い厚みの金属であるので、上面を押圧して固定する場合撓んで固定状態が不安定になり、極端な場合は枠上板の下面に支持部材を設けるものもあった。これを防ぐには枠上板の左右の端箇所の枠縦板の上端を押すことができればこの問題は解決できる。しかし装置自体の巾に比較して押圧部材の巾は前述のように制限があるので、該箇所を押圧することは難しくさらに取付け装置の上記の取り付け箇所に障害物がある場合はできないものであった。
【0012】
また、従来の押圧部材の通過穴や切り欠きは前記の遊技機島の強度が劣化するため、大きく形成できないので押圧面も小さな面積に限定され、結果として装着枠の固定力が弱いので木製の被押圧面に喰い込む突起を形成している。この突起は装着枠が金属製の場合は喰い込むことができないので、装着枠の固定状態の信頼性が劣る。
【0013】
また、押圧部材が弾機的に装着枠の枠上板を押圧するのではなく、押圧位置が固定している装置では、遊技機島に遊技機が長期間取付けられたままの場合、装着枠の撓みや遊技機自体の振動等で遊技機の取付けが緩み、点検時の開閉で遊技機島から外れる場合がある。
【0014】
また、遊技機を遊技機島に取付ける場合、装着枠の後端を規制部材に押し付けて行わないと入れ替え前の遊技機の傾きと同様の傾きにならないため、取付けにあたっては遊技機の前面の上部を押付けながら行う必要があり一人で行う作業としては無理があった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明によれば、遊技機島の上架板と下架板間の区画内に遊技機を配置して、遊技機に備えられた装着枠の枠上板の上面を押圧して遊技機を遊技機島に取付ける遊技機の取付け装置であり、遊技機を遊技機島の区画内の下架板上に載置した状態で、遊技機島の上架板と遊技機の装着枠の枠上板との間隙内に設けた押圧板と、この押圧板の後端側を支点として先端部を降下して装着枠の枠上板を押圧する押圧手段と、遊技機の装着枠の枠上板の後端部に当接して遊技機の後方への移動を規制する規制手段とで構成し、押圧手段を操作して押圧板で遊技機の装着枠の枠上板を押圧して遊技機を遊技機島に固定する遊技機の取付け装置を提供した。
【0016】
上記の押圧板は、弾性板とした。
【0017】
上記の押圧板は、押圧面に滑り止めを設けた。
【0018】
上記の押圧板は、先端部の下面をテーパー状とした。
【0019】
上記の押圧手段は、上下位置調整手段を介在して押圧板に接続し、押圧板は遊技機島の上架板と遊技機の装着枠の枠上板との間隙内で上下位置を調整自在とした。
【0020】
上記の押圧板は、先端部を遊技機島の上架板の下面に弾機的に当接した状態で、遊技機の遊技機島への取付けの待機をするようにした。
【0021】
遊技機島の上架板の下面において、上記待機状態の押圧板との対応個所に押圧板を収容する凹部を形成した。
【0022】
上記の押圧手段は、遊技機島の上架板の上面に固定したケース本体と、ケース本体に回転支点部を枢着し下端部を上下位置調整手段を介して押圧板の後端部に接続したリンク部材と、ケース本体に回転自在に立設しリンク部材の他端部と係合するナット部材を螺合し下端部に操作部を形成した操作ボルトとで構成し、この操作ボルトの操作部を回転して押圧板の先端部を降下して遊技機を遊技機島に固定するようにした。
【0023】
上記の押圧手段は、遊技機島の上架板の上面に固定したケース本体と、ケース本体に立て向きとして回転支点部を枢着し下端部を上下位置調整手段を介して押圧板の後端部に接続したリンク部材と、ケース本体に設けたナットに螺合し先端部でリンク部材の上端部を押圧板の前端方向に押圧移動する押しボルトと、この押しボルトの先端部にリンク部材の上端部を介して対向した弾機手段とで構成し、押しボルトの後端に設けた操作部を回転して押圧板の先端部を降下して遊技機を遊技機島に固定するようにした。
【0024】
上記の規制手段は、遊技機の前後方向に移動自在として遊技機の傾きを調節できるようにした。
【0025】
以上の解決手段によって上記の課題が解決される。
【発明の効果】
【0026】
この発明は、上記のように構成したので遊技機島の上架板と遊技機の装着枠の枠上板との間隙内に設けた押圧板が、この先端部から順次に遊技機の装着枠の枠上板を押圧して遊技機を遊技機島に堅固に取付けるので、遊技機島の上架板に押圧部材が移動する通過穴や切り欠きを形成することがなく、遊技機島の上架板の強度の減少や遊技機島の上架板の加工等を原因とする装置自体の取付け作業の難度が解消できる。
【0027】
また、装着枠の枠上板に対する押圧面積が、従来のように遊技機島の上架板の穴や切り欠きの大きさで制限されないので、押圧板を大面積で形成して押圧力を強くでき、特に装着枠の枠上板の左右の端に対応する遊技機島への該装置の取付け箇所に障害物があっても押圧板の巾を広くすることで枠上板の枠縦板との対応箇所を押圧することができ枠上板の撓み等の問題に関係なく堅固に固定できる。
また、押圧板は弾性作用によって遊技機島の上架板と遊技機の装着枠の枠上板との間隙の大小に関係なく枠上板を押圧するので遊技機は遊技機島に堅固に固定され、上記の間隙量に変化が生じても固定状態に影響を受けない。また、遊技機を長期間取付けたままの状態に起因する装着枠の撓みや、遊技機自体の振動による取付け箇所の緩み等は押圧板の弾性によって吸収するので、遊技機は長期間取付けたままでも開閉時に外れたりすることがない。
【0028】
また、押圧板は下面に設けた滑り止めによって上記の弾性作用との相乗効果で、装着枠が金属性の場合においても木製と同様に堅固に固定することができる。
【0029】
また、押圧板は遊技機島の上架板と装着枠の枠上板との間隙内で上下に移動できるようにしたので、上架板の厚みや上記の間隙の大小に対応させて上下に移動することで枠上板を一定の押圧力で押圧でき、枠上板の厚みや間隙の大小で遊技機の固定状態に影響を及ぼさない。
【0030】
また、押圧板は先端部の下面をテーパー状とし、装着枠の取付け待機時には上記のように遊技機島の上架板の下面に上げて先端部を弾機的に当接する状態としたので、装着枠の装着時、即ち遊技機の取付け時に押圧板が装着枠の装着の邪魔となることが無く、且つ装着枠は固定前の段階で仮止めの作用が営まれる。
【0031】
また、遊技機島の上架板の下面で押圧板との対応個所に押圧板を収容する凹部を形成した場合は、押圧板の上記の待機状態において押圧板をこの凹部に収容することで、遊技機島の上架板と装着枠の枠上板との間隙が狭くとも装着枠の装着に支障をきたすことがない。
【0032】
また、押圧板は押圧手段で遊技機の装着枠の枠上板の後端側を支点として先端部を降下して装着枠の枠上板を押圧するので、枠上板は遊技機島の下架板方向に押圧されて固定される過程で、枠上板の後端部方向にも押圧されて後端部を規制手段で位置決めされる。よって遊技機は遊技機島への取付け作業において、前面の上部を後方へ押し付けて行うような無理な作業をすることが無く、遊技機の傾きも入れ替え前の遊技機と略同様の傾きとして取付けすることができる。
【0033】
また、押圧板は螺子を利用した押圧手段で所定の圧力にいたるまで枠上板を連続的に押圧するので、遊技機島の上架板と装着枠の枠上板の間隙の距離に関係無く装着枠を堅固に固定することができる。
【0034】
また、押圧手段の操作部を遊技機島の上架板の下方向に設けた場合は、上架板の後端と他の機器類との設置間隔が狭い場合でも操作に支障をきたすことがない。
【0035】
また、上架板の後端個所が押圧操作するに充分な余地が有る場合は、押圧手段の操作部を該個所に設けることができる。
【0036】
また、遊技機の取り付けにあたり規制手段によって遊技機の傾きを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の一実施例を示す遊技機島の正面図
【図2】遊技機と装着枠の開閉状態を示す斜視図
【図3】図1のA−A線に沿う遊技機の取付け装置を設置した遊技機島の断面図
【図4】同上、遊技機の取り付け装置の側面図
【図5】遊技機の取り付け装置の押圧手段の動作を示す側面図
【図6】図4のB−B線に沿う断面図
【図7】図4のC−C線に沿う断面図
【図8】遊技機の取り付け装置の分解図
【図9】上下位置調整手段の動作状態を示す断面図
【図10】押圧板の待機状態を示す断面図
【図11】押圧板の待機状態を示す断面図
【図12】図11のD−D線に沿う断面図
【図13】押圧板の押圧状態を示す断面図
【図14】装着枠の取付け状態を示す背面図
【図15】同上、他の実施例を示す背面図
【図16】装着枠の枠下板の取付け装置を示す側面図
【図17】同上、他の実施例図
【図18】同上、他の実施例図
【図19】遊技機の取付け装置の他の実施例図
【図20】図19のE−E線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明を図面に基づいて説明する。
【0039】
この発明の遊技機の取付け装置Aは図1で示した遊技機島4の区画Cに対応し左右一対として上架板5に取付けられている。遊技機島4はこの上架板5と下架板6と通常サンドと称する玉供給用のケース等を含む縦部材7で区画Cが形成されている。この区画Cに遊技機1が配置されて使用に供する。
【0040】
遊技機1は図2で示したように装着枠2がヒンジ構造3を介して機体の裏側に閉じた状態で上記の区画C内に取付けられる。区画C内に配置された遊技機1は図3で示したように装着枠2の枠下板9が下架板6上に載置され且つ、枠上板8が上架板5の下方で適宜な間隙Bを保持して対向するようにして装着枠2が取付けられ、結果として遊技機1が遊技機島4に開閉自在として取付けられる。
【0041】
この発明の取付け装置Aは装着枠2の上部の取付け、即ち枠上板8に対する取付け装置に関するもので、一方、枠下板9の取付けは、釘やビスもしくは図16に示した螺子による取付け装置(特開2011−24979)または図17で示したトグルクランプによる取付け装置(特開2009−148486)等、枠下板9の取付け手段は特に限定するものではない。また、この取付け装置Aは枠上板8を下方に押圧して固定するものであるので、枠上板8の取付けにおいて枠下板9も同様に下架板6を押圧して固定されるので上記のような固定手段を利用しなくとも堅固に固定される。図18は枠下板9の後端の位置決めをする位置決め装置10を示し、この位置決め装置によって枠下板9の後方への移動を制限して設置位置を決定する。また、下架板6上にゴムや凸凹状の滑り止め(図示せず)を設けて固定を一層堅固にする手段も考えられる。
【0042】
位置決め装置10は、遊技機島4の下架板6に止着されネジ11でナット12を内部に固着したケース13と、このナット12に螺合した径大な頭部を有する位置決めボルト14とで構成している。ナット15を弛めて位置決めボルト14の頭部の位置を移動して装着枠2の枠下板9の前後の位置を決定しナット15を締めて弛み防止を計る。一般的には枠下板9の位置は一度決定すれば変えることがないのでこれ以降は操作する必要がない。
【0043】
上架板5と枠上板8の間隙Bは装着枠2が自在に出入りできるように設計上3mm程度の間隔が保たれており、この取り付け装置Aは上記の間隙B内に押圧板16を配置してこの枠上板8の上面を押圧して装着枠2を固定するものである。しかしながら押圧板16は装着枠2の出入りの邪魔にならない1mmから2mm程度の厚みに限定される上に、押圧板16を単に水平降下させて枠上板8を押圧したとしても、押圧板16の先端部が枠上板8の上面より上方に反り上がり後端部のみが枠上板8の後端部上面を押圧することになる。この不安定な取付け状態では高重量の遊技機1を堅固に固定することはできないので、点検等で遊技機1を前方に開いた場合、遊技機1の左側上部の取付け部に全体の荷重が掛かると、枠上板8の上面の前側が押圧板16で押圧されていないため前方に動いて遊技機1は脱落する。
【0044】
また、枠上板8の規格巾は70mmであるが特殊な場合は50mm程度の物もあり、枠上板8は前端の位置を基準として取り付けられるため巾が狭い場合、押圧板16は先端部の上方に反り上がった個所のみで押圧することになり遊技機1の固定状態は尚一層悪くなる。この取付け装置Aは上記の観点より押圧板16をこの後端側を支点として先端側を降下させて押圧板16の先端部で枠上板8の前側の上面を押圧するようにして上記の問題を解決したものである。
【0045】
図3より図8で示した取付け装置Aは、遊技機島4の上架板5と装着枠2の枠上板8との間隙B内に設けた押圧板16と、上下位置調整手段17を介して押圧板16を設けた押圧手段18と、規制手段19とで構成している。
【0046】
押圧板16は、鉄板のSK材を焼き入れしたバネ板等のバネ作用を有する弾性板であり、下面の押圧面20にゴム等の焼付けや凹凸の滑り止め塗装や滑り止め作用を有する滑り止めテープを貼る等の手段で滑り止め21を設け、この下面の先端部をテーパー状22としている。
【0047】
上記の押圧手段18は、ケース本体23に回転支点部を枢着した逆L型のリンク部材24と、このリンク部材24の下端側に設けられ押圧板16を接続する上下位置調整手段17と、リンク部材24の他端に係合したナット部材26およびこのナット部材26に螺合した操作ボルト27とで構成している。
【0048】
押圧板16は図8に示したように、後端部28の上面に取付け金具29を止着している。取付け金具29は透穴30を形成した凸形状の頂部の下面にナット31を固着し、基底部32に螺子穴33と押圧板16の取付け穴34によって螺子35で押圧板16に止着している。
【0049】
リンク部材24は左右一対の腕部37と、この下端側に一体で設けた上記の取付け金具29を上下方向スライド自在に収容する収容部36とで構成している。収容部36の内部には下端に6角穴38を備えた調整螺子39が回転自在に設けられている。調整螺子39は上部の径小部40を収容部36の天板41の軸穴42に挿通して突出端にワッシャー43を介してピン穴44にピン45を止着して回転自在としている。
【0050】
取付け金具29を上記の収容部36内に入れて調整螺子39の下端の6角穴38を押圧板16の穴46より6角レンチで回し、調整螺子39に取付け金具29のナット31に螺合すると取付け金具29は収容部36内で回転を規制されて止着している押圧板16を上昇し逆回転で下降する。押圧板16は上記の構成による上下位置調整手段17によってリンク部材24の下端に接続される。
【0051】
ケース本体23の内部には両側にカム47を一体に形成したナット部材26を螺合した操作ボルト27が回転自在に設けられている。ナット部材26のカム47はケース本体23の左右の案内溝48内に移動自在として架設されている。操作ボルト27は上端部に形成した径小な空転部49をケース本体23の天井部の軸穴50に配置し、後端の径小部51をケース本体23の内部下側に止着した支持板52の軸穴53に挿通してケース本体23内で回転自在に立設されている。操作ボルト27は径小部51より連続して形成した6角の操作部54をレンチ等で回すとナット部材26はカム47が案内溝48によって回転を規制されるのでケース本体23の上下方向に移動する。支持板52は左右の取付け部55とケース本体23との双方の止着穴56および止着穴57に径大な頭部を有する支軸58を挿通して本体ケース23よりの突出端のピン穴59にピン60を嵌入して本体ケース23内に止着されている。
【0052】
リンク部材24は一対の腕板37をケース本体23の外側に配置して収容部36の他端に形成したカム溝61にナット部材26のカム47を係合し、回転支点部の支点穴62とケース本体23の軸穴63に支軸64を挿通してこの突出端のピン穴65にピン66を嵌入してケース本体23に取付けられている。
上記の操作ボルト27の操作部54を回すとナット部材26の移動にともなってリンク部材24の下端部に接続した押圧板16は接続個所となる後端側を支点として先端部が降下もしくは上昇する。
【0053】
ケース本体23は、下端部の水平取付け部67を上架板5上に配置し、一体の垂下片68が上架板5の後端に当接した状態で、上架板5の下側より先端に螺子形成機能を有するビス69で上架板5を貫通しさらに水平取付け部67の止着穴70に螺子を切りながら貫通してケース本体23を堅固に固定する。
【0054】
規制手段19は、支持板52の一側に曲折形成した案内板71と、この案内板71に上下移動自在として止着した規制板72および規制板72に螺合した規制ボルト73とで構成している。規制板72はボルト74を固着し案内板71の長穴93にボルト74を挿通してナット75によって上下位置を固定する。規制板72は上下移動にあたり曲接部76が案内板71の外縁に係合して移動案内する。規制板72の下端後側には規制ボルト73を螺合するナット77が止着している。規制ボルト73を回して枠上板8の後端に径大な頭部79を当接して枠上板8の位置決めをし、螺合したナット78を締めて固定する。
【0055】
上記の取付け装置Aによって遊技機1を取付けるには、操作部54を回して押圧板16を図9で示したように間隙B内で水平の姿勢とし、ついで押圧板16の下側より調整螺子39を回して上架板5の下面方向に上昇させる。このさい押圧板16は図10で示したように上架板5の下面より多少の間隙Dを保持して上下の位置決めをし、次いで操作部54を押圧板16の先端部が上昇する向きに回転してこの先端部を上架板5の下面に押圧当接する。押圧板16は先端部の下面をテーパー状22としているので、上記の待機状態で遊技機島4の区画Cに遊技機1の装着枠2が導入される際に枠上板8が押圧板16の先端に当たってもテーパー状22の案内で衝突することが無く、また押圧板16は弾機作用で上架板5の下面に当接しているので先端部が下がって導入の障害となることが無い。
【0056】
次に遊技機1を装着枠2が備え、且つ遊技機1に閉じた状態で区画C内に導入する。この際に枠上板8は後端を規制ボルト73の頭部79に当接して後方の移動を規制される。規制ボルト73は枠上板8の上下位置に対応してナット75を緩めて上下位置を調整する。遊技機1は上部が後方に傾いた姿勢で遊技機島4に取付けられるものであり、この傾きは規制ボルト73を回して事前に設定する。
【0057】
上記の遊技機1の区画Cへの導入にあたり、枠下板9も同様にして位置決め装置10で位置決めが行われる。
【0058】
次に操作部54を押圧板16の先端部が下降する向きに回して、図13で示したように押圧板16の下面で先端部より順次に枠上板8を押圧して装着枠2を堅固に固定する。この時、押圧板16の先端部は後方に移動しながら枠上板8を降下押圧するので枠上板8は同様に規制手段19の規制ボルト73の頭部79を押し付けて位置決めされる。操作部54は電動ドライバーもしくは手動レンチ等で操作するが、締め付けトルクを設定することで装着枠2の固定力を一定とすることができる。
【0059】
遊技機1を取外す場合は、操作部54を上記と逆向きに回して押圧板16の先端部を前述の待機姿勢にまで上昇して取外しに供する。
【0060】
また、押圧板16は下面の滑り止め21によって装着枠2の上面を堅固に固定するものであるが、上面が金属面である場合、該箇所にアルミテープや両面粘着テープもしくは滑り止めテープを貼り付けることで、固定状態を尚一層堅固にすることができる。
【0061】
上記の遊技機の取付け操作は遊技機1を区画Cに収容した状態で遊技機1を前方へ開き、装着枠2の枠上板8と枠下板9を後方へ押し付けて前後の位置がズレないようにして行うものであるが、遊技機1より装着枠2を外し、装着枠2を先に取付けてこの取付け後に装着枠2に遊技機1を装着してもよい。この時、図10で示したように押圧板16は下面が後方へ降下した状態で待機しているので、枠上板8はこの降下個所に係合して仮止め作用が営まれ、取付け操作時に装着枠2を後方へ押し付ける必要がない。
【0062】
図11および図12は、遊技機島4の上架板5と装着枠2の枠上板8との間隙Bが極端に狭い場合を例示し、上架板5の下面の押圧板16との対応個所に押圧板16を収容する凹部80を形成して、押圧板16を待機状態でこの凹部80に収容するようにして装着枠2の干渉を防止する。
【0063】
図14および図15は押圧板16の押圧個所を示している。この取付け装置Aは装着枠2の枠上板8の左右の2個所を上方より押圧して固定するが、図14で示したように枠上板8の左右の枠縦板92、即ち左右の端の個所を押圧することで枠上板8の撓み等の影響を受けず堅固に固定することができる。従来の取付け装置では前述のように押圧部材は装置の直下にのみ設けられており、また、上架板5の上部は区画Cと同様個所に補強仕切りが立設しているので枠縦板92の真上に取付け装置を設置することは装置の巾に制限があり現実にはできない。この取り付け装置Aでは押圧板16の巾を可変することで取付け位置に制限されずに枠縦板92の真上より押圧することができる。
【0064】
図15は取付け装置Aの設置位置に障害物Eがある場合の設置手段を例示している。従来の取付け装置ではこのような場合、障害物を撤去するか木製の場合は切削等をする必要があるが、この取り付け装置Aでは押圧板16の巾を装置の中心より枠縦板92方向に延長して枠縦板92の真上を押圧するようにしている。また、枠上板8の後端に当接する規制ボルト73の頭部79の位置を変える必要がある場合、支持板52は案内版71を左右に一対として形成して図15で示した他方の案内板71aに規制板72を装着して同様に行うことができる。
【0065】
図19および図20は押圧手段18の他の実施例を示している。押圧板16に接続した上下位置調整手段17を備えたリンク部材81は、ケース本体82の内部で縦向きに設けられ支軸83で回転支点部を枢着され、上端部には押しボルト84の先端が当接している。押しボルト84はケース本体82に固着したナット85に螺合して後端に備えた回転ノブ等の操作部86を回してリンク部材81の上端部を前後に移動し、押圧板16の先端部を降下もしくは上昇させて前述と同様にして遊技機1の取付けが行われる。87はリンク部材81の上端部を介して押しボルト84の先端部に対向して設けた弾機手段を示している。
【0066】
この弾機手段87は、ケース本体82にビス88で止着した支持板89と、支持板89の垂下部に止着されコイルバネ90を装着したピン91とで構成している。コイルバネ90は操作部86の回転操作において押しボルト84の前進移動に弾機的に抗してリンク部材81の上端部を支え、後退移動には弾機的に付勢して押圧板16の先端部を上昇する。この押圧手段18は上架板5の後端方向に操作スペースがある場合は有効に利用でき、操作部86は6角形状として同様のレンチ等で操作するようにしても良い。
【0067】
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明の遊技機の取付け装置はパチンコ台の取付け以外にスロットマシーンの取付けにおいても同様に利用できる。
【符号の説明】
【0069】
A・・・取付け装置
B・・・間隙
C・・・区画
D・・・間隙
1・・・遊技機
2・・・装着枠
4・・・遊技機島
5・・・上架板
6・・・下架板
7・・・縦部材
8・・・枠上板
9・・・枠下板
10・・・位置決め装置
16・・・押圧板
17・・・上下位置調整手段
18・・・押圧手段
19・・・規制手段
20・・・押圧面
21・・・滑り止め
22・・・テーパー状
23・・・ケース本体
24・・・リンク部材
26・・・ナット部材
27・・・操作ボルト
47・・・カム
48・・・案内溝
54・・・操作部
73・・・規制ボルト
79・・・頭部
80・・・凹部
81・・・リンク部材
82・・・ケース本体
84・・・押しボルト
85・・・ナット
87・・・弾機手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機島の上架板と下架板間の区画内に遊技機を配置して、遊技機に備えられた装着枠の枠上板の上面を押圧して遊技機を遊技機島に取付ける遊技機の取付け装置であり、遊技機を遊技機島の区画内の下架板上に載置した状態で、遊技機島の上架板と遊技機の装着枠の枠上板との間隙内に設けた押圧板と、この押圧板の後端側を支点として先端部を降下する押圧手段と、遊技機の装着枠の枠上板の後端部に当接して遊技機の後方への移動を規制する規制手段とで構成し、押圧手段を操作して押圧板で遊技機の装着枠の枠上板を押圧して遊技機を遊技機島に固定することを特徴とする遊技機の取付け装置。
【請求項2】
上記の押圧板は、弾性板としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機の取付け装置。
【請求項3】
上記の押圧板は、押圧面に滑り止めを設けたことを特徴とする請求項1と請求項2に記載の遊技機の取付け装置。
【請求項4】
上記の押圧板は、先端部の下面をテーパー状としたことを特徴とする請求項1と請求項2および請求項3に記載の遊技機の取付け装置。
【請求項5】
上記の押圧手段は、上下位置調整手段を介在して押圧板に接続し、押圧板は遊技機島の上架板と遊技機の装着枠の枠上板との間隙内で上下位置を調整自在としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機の取付け装置。
【請求項6】
上記の押圧板は、先端部を遊技機島の上架板の下面に弾機的に当接した状態で、遊技機の遊技機島への取付けの待機をするようにしたことを特徴とする請求項1と請求項2と請求項4および請求項5に記載の遊技機の取付け装置。
【請求項7】
遊技機島の上架板の下面において、上記待機状態の押圧板との対応個所に押圧板を収容する凹部を形成したことを特徴とする請求項6に記載の遊技機の取付け装置。
【請求項8】
上記の押圧手段は、遊技機島の上架板の上面に固定したケース本体と、ケース本体に回転支点部を枢着し下端部を上下位置調整手段を介して押圧板の後端部に接続したリンク部材と、ケース本体に回転自在に立設しリンク部材の他端部と係合するナット部材を螺合し下端部に操作部を形成した操作ボルトとで構成し、この操作ボルトの操作部を回転して押圧板の先端部を降下して遊技機を遊技機島に固定することを特徴とする請求項1に記載の遊技機の取付け装置。
【請求項9】
上記の押圧手段は、遊技機島の上架板の上面に固定したケース本体と、ケース本体に立て向きとして回転支点部を枢着し下端部を上下位置調整手段を介して押圧板の後端部に接続したリンク部材と、ケース本体に設けたナットに螺合し先端部でリンク部材の上端部を押圧板の前端方向に押圧移動する押しボルトと、この押しボルトの先端部にリンク部材の上端部を介して対向した弾機手段とで構成し、押しボルトの後端に設けた操作部を回転して押圧板の先端部を降下して遊技機を遊技機島に固定することを特徴とする請求項1に記載の遊技機の取付け装置。
【請求項10】
上記の規制手段は、遊技機の前後方向に移動自在として遊技機の傾きを調節できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機の取り付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−254268(P2012−254268A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142272(P2011−142272)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(504191246)
【Fターム(参考)】