説明

遊技機の可動装飾装置

【課題】簡単な構造にして変化の態様に意外性を付与することができる遊技機の可動装飾装置を提供する。
【解決手段】可動装飾装置は、クランク12の回動によって連動ロッド22を介して開閉されるシャッター板21(第1装飾部材2)と、これらのクランク12、連動ロッド22、シャッター板21を内蔵する箱形の第2装飾部材3とを有する。シャッター板21はクランク12の上方回動により閉鎖され、クランク12の下方回動により閉鎖される。第2装飾部材3は、連動ロッド22の上端がその天井部38に当接された時に閉鎖されたシャッター板21とともに上方に回動し、連動ロッド22の下端がその底板部39に当接された時には開放されたシャッター板21とともに下方に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、スロットマシンなどの遊技機に用いられる可動装飾装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパチンコ機の遊技盤においてはセンター役物が配置され、このセンター役物には各種の可動装飾装置を備えて遊技の興趣を盛り上げるようにしたものがある。例えば、特許文献1には、駆動手段によって回転される環状の第1の可動装飾体と、第1の可動装飾体に回転可能に配設された第2の可動装飾体と、前記駆動手段によって第1の可動装飾体が動かされたときに第1の可動装飾体の動きに連動して第2の可動装飾体を動かす連動手段と、を備えた可動装飾装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、従来の可動装飾装置は、第1の可動装飾体と第2の可動装飾体が常に連動して駆動されるものであって、動きが単調なものであったために装飾態様の変化を予測することができて、遊技の内容に意外性を付与することができなかった。このため、遊技の盛り上げ効果においてまだ十分でないという問題があった。
【特許文献1】特開2003−79836号公報 (図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑み、簡単な構造にして変化の態様に意外性を付与することができる遊技機の可動装飾装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するためになされた本発明に係る遊技機の可動装飾装置は、駆動装置によって駆動される第1装飾部材と、第1装飾部材と係合した時に第1装飾部材とともに駆動される第2装飾部材とからなることを特徴とするものである。
【0006】
上記した発明において、第1装飾部材は第2装飾部材の内部又は外部に回動可能に軸着され、第2装飾部材は第1装飾部材と係合した時に第1装飾部材と一体に回動可能なものとすることができる。また、第1装飾部材は第2装飾部材の前側又は後側にスライド可能に配設され、第2装飾部材は第1装飾部材と係合した時に第1装飾部材と一体にスライド可能なものとすることができる。可動装飾装置には、さらに、第2装飾部材を押圧して第2装飾部材の駆動に抵抗を付与する駆動抵抗付与手段を備えることができ、また、この駆動抵抗付与手段を、第2装飾部材との係合を係脱可能なものとすることができる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明は、第2装飾部材は第1装飾部材と非係合の時には両者一体に駆動することはできないが、第1装飾部材と係合した時には第1装飾部材と一体に駆動することができるので、装飾態様に意外性を持たせて遊技の興趣を盛り上げることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、第1装飾部材は上下などの方向に回動されるとともに、第2装飾部材は第1装飾部材と係合した時に第1装飾部材とともに上下などの方向に回動することができる。
【0009】
請求項3に係る発明は、第1装飾部材は左右などの方向にスライドされるとともに、第2装飾部材は第1装飾部材と係合した時に第1装飾部材とともに左右などの方向にスライドすることができる。
【0010】
請求項4に係る発明は、駆動抵抗付与手段が第2装飾部材に駆動抵抗をかけるので、第1装飾部材と非係合であるときには、第2装飾部材が共に駆動するのを制止できる。
【0011】
請求項5に係る発明は、駆動抵抗付与手段と第2装飾部材との係合を解除した時には、支軸の摺動摩擦により第2装飾部材の駆動を第1装飾部材に連動させることができるので、係脱の切り替えによって装飾態様にさらに変化を付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1〜3は、本発明の第1の実施形態である可動装飾装置を示す図であって、1は駆動装置であるモータ、2は第1装飾部材、3は第2装飾部材であって、これらは取付ベース4の所要位置に取り付けられている。第1装飾部材2は、左右の二つが連結部5によって接続されており、それぞれの第2装飾部材3の内部に第1装飾部材2が内装されている。(図1)。
【0013】
第1装飾部材2は、第2装飾部材3の内壁に支軸20を介して上下3段に軸着されたシャッター板21と、シャッター板21が上下方向に回動可能に軸着されたシャッター連動ロット22とからなる。支軸20は第2装飾部材3の内部側面に回転可能に嵌挿されている。また、シャッター板21は、その背面(遊技者との対向面の裏側)に支軸21aを有し、シャッター連動ロッド22の突起の係合孔22aに嵌着されている。シャッター連動ロッド22は、中央部に孔部22bを有し、この孔部22bに、クランク軸11の一端に設けられたクランク12のクランクピン13が装入されている。クランクピン13はクランク軸11により回動される。
【0014】
第2装飾部材3は、概略形状箱形であって、モータ1側の側面31に、クランク軸11が遊嵌される支軸32を有し、この支軸32はブラケット33に回転可能に支承されている。側面31とブラケット33との間にはブレーキパッド40が介在されている。クランク軸11はモータ軸11aと接続しモータによって回転される。また、第2装飾部材3のモータ1とは反対の側面34には支軸35が突設され、この支軸35は、コイルバネ36が内装されたブラケット37に支承されている。第2装飾部材3は、コイルバネ36の弾発力によりその側面31がブレーキパッド40に押圧されている。なお、第1装飾部材2の後方にはレンズLとLED10が配置されている。
【0015】
本可動装飾装置の変化の態様を図3〜6により説明する。
図3においては、クランク12の時計回り方向の回転により連動ロッド22が上方に持ち上げられ、これによって支軸20を中心として支軸21aが上昇されることによりシャッター板21が閉鎖されている。そして、連動ロッド22の上端が第2装飾部材3の天井部38に当接して第2装飾部材3が水平状態に回動された状態となっている。
【0016】
図3の状態からモータ1が反転された場合には、クランク12の反時計回り方向の回転により連動ロッド22が下方に押し下げられ、これによって支軸21aの下降によりシャッター板21が水平状態に開放されるとともに、連動ロッド22の下端が第2装飾部材3の底板部39に当接される(図4)。図3から図4の状態に移行する間は、コイルバネ36の押圧による摩擦抵抗により第2装飾部材3はその回動を制止されている。
【0017】
連動ロッド22の下端が第2装飾部材3の底板部39に当接されている図4の状態から引き続いて、クランク12が反時計回り方向に回転されると、連動ロッド22の下端は、コイルバネ36の押圧による摩擦抵抗に抗して、第2装飾部材3を回動させて、図5の状態に至る。
【0018】
図5の状態に至ると、モータ1の逆転により今度はクランク12が時計回り方向に回転されるので、連動ロッド22が持ち上げられることとなって、これによりシャッター板21が再び閉鎖される。そして連動ロッド22の上端が第2装飾部材3の天井部38に当接されるので(図6)、モータ1のさらなる回転により第2装飾部材は時計回り方向に回転されて、元の図3の状態に戻る。以上の図3〜図6の状態を繰り返すことによって、遊技機に意外性のある装飾を施すことができる。
【0019】
なお、図3〜4の状態を繰り返すことにより、第1装飾部材2のみを動かすことができる。これにより、第2装飾部材3を回動させずに、シャッター板21を繰り返し開閉させることが可能となり、前記図3〜図6の状態を繰り返すのとは異なった装飾態様が行える。
【0020】
図7〜9に、第2の実施形態の可動装飾装置を示す。この装飾装置は眼球の動きを模したものであって、モータ1と、モータ1によって駆動される第1装飾部材2と、第1装飾部材2と係合して回動する第2装飾部材3とからなる。
【0021】
この実施形態において、眼球を模した第1装飾部材2は、モータ軸11aに接続された支軸32aがブラケット33に回転可能に支承されている。第1装飾部材2の他方の側面には、ブラケット37に差し込まれた支軸35aを有し、この支軸35aにはコイルバネ36が装着されている。
【0022】
そして、第1装飾部材2を覆うようにまぶたを模した第2装飾部材3が配設されている。第2装飾部材3のモータ側側面にはブレーキパッド40が介在されている。また前記コイルバネ36は、ソレノイド6のプランジャ61に装着されているので、プランジャ61が開放突出した時にはコイルバネ36の押圧により第2装飾部材3に回動抵抗を付与することができる。プランジャ61を吸引後退させてコイルバネ36による第2装飾部材3との押圧係合を解除したときには、第2装飾部材3に回動抵抗は付与されない。この場合には、第2装飾部材3は、支軸32a、35aとの摩擦力により第1装飾部材2とともに不規則に回動することができる。すなわち、支軸32a、35aはそれぞれ第2装飾部材3の孔に遊嵌されているので、第1装飾部材2と一体に回動したり、ずれを生じながら回動したり、或いはまた回動されなかったりする。
【0023】
第2の実施形態の可動装飾装置の変化態様を、図10〜12により説明する。
図10は支軸32aが時計回り方向に回転されて第1装飾部材2,第2装飾部材3ともに最大上向きに回動された状態である。この状態から支軸32aが反時計回り方向に回転されると、図11に示す如く先ず第1装飾部材2のみが下向きに回動される。プランジャ61が突出した状態では、第2装飾部材3に回動抵抗が掛かっているので、第2装飾部材3の回動は制止される。しかし、図11の状態に至って第1装飾部材2の下端が第2装飾部材の内側下部に当接する状態になった場合には、回動抵抗に抗して第2装飾部材3は第1装飾部材2とともに回動される。したがって、図12に示すように眼を閉じた状態となる。この状態でモータ1が逆転されると再び図10の状態に戻る。したがって、眼球の動きとまぶたの開閉という二つの動きを連続して行うことができる。
【0024】
なお、図13、14に示すように、ソレノイド6に替えてコイルバネ36のみを用いたばあいには、常にコイルバネ36が第2装飾部材3を一方に(図では右方に)押圧するので、第2装飾部材3には回動に対する抵抗力が負荷された状態が維持される。
【0025】
以上の実施形態においては、第1装飾部材2、第2装飾部材3を上下方向に回動されるものとしたが、これらの装飾部材2,3を左右方向或いは斜め方向に回動されるものとすることもできる。
【0026】
図15には第3の実施形態の可動装飾装置を示す。この装飾装置は中央付近に表示用開口部7aを有する薄い箱形形状の筐体7と、モータギア112によって左右に移動される第1装飾部材2と、その前方に配置され第1装飾部材2と係合した時に左右に移動される第2装飾部材3とからなる。筐体7は左右に下向きのストッパー71を有する。第2装飾部材3には、移動抵抗を付与するための弾性バネ50が当接されている。
【0027】
第1装飾部材2は外形が横長の凸形であって、左右の肩部に角形の切込み部24を有し、底辺にはモータギア112と噛合するラックギア25を備えている。第1装飾部材2は複数の図柄表示部26を備えている。
【0028】
第2装飾部材3は外形が略長方形であって、その左右両端の上部には後方(遊技者と反対側)に突出し前記切込み部24に衝突可能な突板30を備えている。また、第2装飾部材3は複数の図柄表示部27と、その中間に第1装飾部材2の図柄を表示する開口部3aを備えている。図15の状態では、第1装飾部材2の図柄表示部26と第2装飾部材3の図柄表示部27は正対して重なった位置にあり、第2装飾部材3の開口部3aに対応した第1装飾部材2の図柄が表示される。
【0029】
第1装飾部材2と第2装飾部材3は、それぞれ左右方向に伸びる長孔91、92を有し、この長孔91、92に、筐体7に設けた支軸72が差し込まれて筐体7に支承されている。
【0030】
図15の状態では、右側の切込み部24と突板30とは離間しているが、モータ1の駆動によりモータギア112に噛合されたラックギア25が右方に移動し、図16のように切込み部24が突板30に当接する位置まで移動すると、第1装飾部材2の別の図柄が表示される。更にラックギア25を移動すると第1装飾部材2と第2装飾部材3とは共に右方に移動し、突板30が右側のストッパー71に衝突して停止する(図17)。この場合は第2装飾部材3の図柄表示部が筐体7の開口部7aに対応し表示される。
【0031】
その後モータギア112の逆転により、図15の状態に戻った後、図18のように切込み部24が突板30に衝突されるので、第1装飾部材2と第2装飾部材3とは共に左方に移動することとなる。移動は突板30が左側のストッパー71に衝突して停止する(図19)。以上のような第1装飾部材2のみの単独移動と、第1装飾部材2と第2装飾部材3との一体移動との繰り返しにより、各々の図柄表示部を別個に表示することができるので、装飾態様に意外性を付与して遊技板を装飾することができる。
【0032】
また、以上の実施形態においては、第1装飾部材2、第2装飾部材3を左右方向にスライドされるものとしたが、これらの装飾部材2,3を上下方向或いは斜め方向にスライドされるものとすることもできる。
【0033】
以上に説明したように、本発明は、第2装飾部材3を第1装飾部材2と係合したときのみ移動させることができるので、第1装飾部材2のみの移動、第1装飾部材2と第2装飾部材3との一体移動とを繰り返し切り替えて行うことができるので、例えば、大当たりの信頼度に合わせて動作を使い分けることによって、装飾態様に意外性を持たせて遊技の興趣を盛り上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態の可動装飾装置の平面断面図である。
【図2】図1の可動装飾装置の正面断面図である。
【図3】第2装飾部材が水平で、シャッター板が閉鎖された状態の断面図である。
【図4】第2装飾部材が水平で、シャッター板が開放された状態の断面図である。
【図5】第2装飾部材が斜めで、シャッター板が開放された状態の断面図である。
【図6】第2装飾部材が斜めで、シャッター板が閉鎖された状態の断面図である。
【図7】第2の実施形態の可動装飾装置の平面断面図である。
【図8】図7の可動装飾装置の正面断面図である。
【図9】図7の可動装飾装置の側面断面図である。
【図10】第1装飾部材、第2装飾部材ともに上方に回動された状態の断面図である。
【図11】第1装飾部材が下方に回動途中である状態の断面図である。
【図12】第1装飾部材、第2装飾部材ともに下方に回動された状態の断面図である。
【図13】第2の実施形態の可動装飾装置の変更型を示す平面断面図である。
【図14】図13の可動装飾装置の正面断面図である。
【図15】第3の実施形態の可動装飾装置を透視して示す、(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図である。
【図16】第1装飾部材が第2装飾部材の右側突板に衝突した状態の、(a)平面図、(b)正面図である。
【図17】第2装飾部材の右側突板がストッパー71に衝突した状態の、(a)平面図、(b)正面図である。
【図18】第1装飾部材が第2装飾部材の左側突板に衝突した状態の、(a)平面図、(b)正面図である。
【図19】第2装飾部材の左側突板がストッパー71に衝突した状態の、(a)平面図、(b)正面図である。
【符号の説明】
【0035】
2 第1装飾部材、3 第2装飾部材、12 クランク、21 シャッター板、22 連動ロッド、38 第2装飾部材の天井部、39 第2装飾部材の底板部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置によって駆動される第1装飾部材と、第1装飾部材と係合した時に第1装飾部材とともに駆動される第2装飾部材とからなることを特徴とする遊技機の可動装飾装置。
【請求項2】
第1装飾部材は第2装飾部材の内部又は外部に回動可能に軸着され、第2装飾部材は第1装飾部材と係合した時に第1装飾部材と一体に回動可能なものである請求項1に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項3】
第1装飾部材は第2装飾部材の前側又は後側にスライド可能に配設され、第2装飾部材は第1装飾部材と係合した時に第1装飾部材と一体にスライド可能なものである請求項1に記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項4】
さらに、第2装飾部材を押圧して第2装飾部材の駆動に抵抗を付与する駆動抵抗付与手段を備えた請求項1〜3の何れかに記載の遊技機の可動装飾装置。
【請求項5】
駆動抵抗付与手段を、第2装飾部材との係合を係脱可能なものとした請求項4に記載の遊技機の可動装飾装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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