説明

遊技機の検査装置

【課題】遊技球の試射を行いながら入賞異常や遊技球の球詰りなどを、効率よく検査することができる遊技機の検査装置を提供する。
【解決手段】撮影装置2は、パチンコ遊技機20の遊技盤20aに遊技球を発射して試射を行う間、遊技盤20aを撮影し、撮影した動画データを出力する。検査装置1のRAM12は、撮影装置2が撮影した動画データを一時記憶する。遊技盤20aに発射された遊技球に関する異常を検出した遊技機の異常検出手段から異常信号が送られたとき、検査装置1の中央処理装置10は、撮影装置2から出力されRAM12に一時記憶されていた動画データについて、当該異常信号の入力時点から所定時間前までの動画データと、異常信号の入力時点から所定時間後までの動画データとを、異常信号と共に記憶装置19に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機の遊技盤において発射された遊技球が、どのような経緯で、どのような役物や障害釘の箇所で、球詰りなどの異常を生じるかを、効率よく検査することができる遊技機の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、図柄表示装置を備えたパチンコ遊技機では、遊技球が始動入賞口に入賞したとき、主制御基板において大当り抽選が行われ、その抽選結果に応じて大当り、リーチ或はハズレなどが決定され、図柄表示装置には複数の図柄の変動表示が開始される。そして、複数の図柄が予め決められた大当り図柄に揃って確定停止したとき、遊技者に有利な大当り状態が発生し、大入賞口の開閉部材が所定時間、所定回数開放動作し、多くの遊技球が大入賞口に入賞可能となる。
【0003】
ところで、このような始動入賞口や大入賞口を有したパチンコ遊技機では、遊技球が入賞口や障害釘との間に挟まって球詰りを発生させ、或いは入賞口に一旦進入した遊技球が飛出す現象などが発生することがある。発射された遊技球の入賞の如何により、賞球払出数が左右されるため、遊技盤上に発射された遊技球の球詰りや入賞口からの飛出し現象などの異常発生は、製品開発の段階で発見し、改善する必要がある。
【0004】
このために、パチンコ遊技機の製品開発時には、試作されたパチンコ遊技機を動作させ、長時間にわたって試射試験を実施し、球詰りなどの発生の有無を検査している。このようなパチンコ遊技機の試射試験は、長時間にわたるため、通常、自動で打球発射装置を動作させて遊技球を発射しながら、遊技盤の状態を正面からビデオカメラで自動撮影し、その後、そこで録画された映像を再生しながら、検査員が長時間かけて画像を検視し、球詰りなどの異常がないか否かをチェックしていた。このため、パチンコ遊技機の試射試験の検査には、多くの時間、工数、人手を必要とする課題があった。
【特許文献1】特開2001−58077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、従来、パチンコ遊技機の製造時の検査において、遊技盤上に配設された回動する球受け部材などの羽根の動作を検査する検査装置が、上記特許文献1により提案されている。
【0006】
かかる従来の検査装置は、検査しようとする遊技機の遊技盤をCCDカメラにより撮影しながら羽根の動きを撮像して、予めその画像データをティーチングデータとして登録する。その後、実際の検査を実施し、被検査遊技機の遊技盤の羽根を動作させた状態で、CCDカメラによりその画像を撮像し、撮像された画像データを、予め登録された画像のティーチングデータと比較する。そして、検査時に撮像された画像データとティーチング画像のデータが一致した場合、正常と判定し、一致しない場合、不良と判定するように検査が行なわれる。
【0007】
しかしながら、従来のこの種の検査装置では、遊技盤をCCDカメラにより撮影して入賞動作に関わる羽根の動きの検査を行なうものであるが、この検査は、実際に遊技球を発射して行なう試射試験ではなく、一時的に羽根を動作させて行なう検査である。このため、上記検査装置は、基本的に、発射された遊技球の球詰りや飛び出し現象などの検査を厳密に行なうことができず、実際の遊技中に羽根と障害釘との間、或いは他の入賞口などに遊技球が詰まってしまう異常現象を発見できないという課題があった。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、遊技球の試射を行いながら入賞異常や遊技球の球詰りなどを、効率よく検査することができる遊技機の検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る遊技機の検査装置は、遊技球の試射を行いながら遊技球の動きに関する検査を行う遊技機の検査装置において、遊技機の遊技盤に遊技球を発射して試射を行う間、該遊技盤を撮影し、撮影した動画データを出力する撮影装置と、撮影装置が撮影した動画データを一時記憶する動画一時記憶手段と、該遊技盤に発射された遊技球に関する異常を検出した遊技機の異常検出手段から異常信号が送られたとき、該撮影装置から出力され、該動画一時記憶手段に一時記憶されていた動画データについて、当該異常信号の入力時点から所定時間前までの動画データと該異常信号の入力時点から所定時間後までの動画データとを該異常信号と共に保存する動画保存手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
ここで、上記検査装置においては、上記動画保存手段が異常時の動画を保存したとき、表示器に異常検出の表示を行なう異常検出表示手段をさらに備えるように構成することができる。
【0011】
また、上記検査装置において、上記遊技機の異常検出手段として、所定の入賞口に進入した遊技球の数と該入賞口から入賞して排出口から排出される遊技球の数をカウントし、両方のカウント値が一致しないときに異常検出を行う入賞数異常検出手段を、遊技機に設けることができる。
【0012】
また、上記遊技機の異常検出手段として、所定の入賞口に入賞した遊技球の数が所定時間内に予め設定された最大入賞数を超えたとき、異常検出を行う最大入賞数異常検出手段を、遊技機に設けることができる。
【0013】
さらに、上記遊技機の異常検出手段として、入賞口の開閉部材における1回の開放時間が予め設定された最大開放時間を超えたとき、異常検出を行う開放時間異常検出手段を、遊技機に設けることができる。
【0014】
なお、上述の入賞口は、可変入賞装置における開閉部材を有した大入賞口、開閉部材として羽根を有した始動入賞口、その他開閉する羽根を備えた入賞口を含む概念である。
【0015】
また、上記遊技機の異常検出手段として、遊技盤に配設された球詰りセンサが遊技球の詰り(滞留)を検出したとき、異常検出を行う球詰り異常検出手段を、遊技機に設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
上記構成の遊技機の検査装置によれば、遊技球の試射を行いながら遊技球の動きに関する検査を行う際、撮影装置により遊技盤を撮影し、撮影した動画データを動画一時記憶手段に記憶していく。このとき、動画データは長時間記憶する必要はなく、例えば入賞口の開閉部材が開く時点から閉じる時点まで撮影する、或いは、撮影装置は連続して遊技盤を撮影し、動画データを出力するが、動画データの一時記憶は、所定時間(例えば1分間)の動画記憶とする。これにより、動画データを記憶する記憶領域では、その動画の記憶を所定時間毎に更新させるように処理され、これによって、検査装置の記憶装置の容量を少なくすることができる。
【0017】
検査中に、例えば、遊技盤に配設された入賞数異常検出手段が遊技球の入賞数の異常を検出したとき、入賞数異常検出手段から異常検出が出力される。このとき、当該異常信号が検査装置に入力され、動画一時記憶手段に一時記憶されていた動画データについて、当該異常信号の入力時点から所定時間(例えば30秒)前までの動画データと該異常信号の入力時点から所定時間(例えば30秒)後までの動画データとが動画保存手段に異常信号と共に保存される。そして、検査装置の表示器に、その異常を示す「入賞数異常」などの文字とその発生時刻などが表示される。
【0018】
したがって、検査員は、検査の終了後などに、検査装置の表示器に「異常表示」があった場合、動画保存手段に保存された動画データを読み出して表示器にその動画を再生し、異常信号が発生するまでの所定時間における遊技球の動きの経緯と、異常信号が発生した後、所定時間の遊技球の変化を、その再生画像を見ながらチェックすることができる。よって、検査員は、長時間にわたって検査時の撮影画像をチェックする必要はなく、遊技球の入賞口からの飛出し、球詰りなど不具合が生じる個所やその状態を容易に認識し、球詰りなどの検査を非常に効率よく行うことができる。
【0019】
さらに、異常検出手段として、所定の入賞口に進入した遊技球の数と入賞口から入賞して排出口から排出される遊技球の数をカウントし、両方のカウント値が一致しないときに異常検出を行う入賞数異常検出手段を、遊技機に設けた場合には、入賞口に一旦進入した遊技球が入賞口から飛び出してしまう現象を、検査員は動画データを再生しながら容易に認識することができる。
【0020】
また、異常検出手段として、所定の入賞口に入賞した遊技球の数が所定時間内に予め設定された最大入賞数を超えたとき、異常検出を行う最大入賞数異常検出手段を、遊技機に設けた場合には、例えば入賞口で球詰まりが発生し、それが自然に解消されたような異常現象を、検査員は動画データを再生しながら容易に認識することができる。
【0021】
さらに、異常検出手段として、入賞口の開閉部材における1回の開放時間が予め設定された最大開放時間を超えたとき、異常検出を行う開放時間異常検出手段を、遊技機に設けた場合には、例えば大入賞口の開放した開閉部材に遊技球が挟まり、開放時間が異常に長くなる現象を、検査員は動画データを再生しながら容易に認識することができる。
【0022】
また、異常検出手段として、遊技盤に配設された球詰りセンサが遊技球の詰り(滞留)を検出したとき、異常検出を行う球詰り異常検出手段を、遊技機に設けた場合には、球詰りが発生しやすい役物の入賞口或いは役物と障害釘との間などで発生する球詰り現象を、検査員は動画データを再生しながら容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1はパチンコ遊技機20の検査装置1の概略構成図を示し、図2はその検査装置1の構成ブロック図を示し、図3は検査装置1の機能ブロック図を示し、図4はパチンコ遊技機20の主制御基板21の構成ブロック図を示している。
【0024】
先ず、パチンコ遊技機20の概略を説明すると、図1に示すように、前面枠の正面上部に遊技盤20aが取り付けられ、前面枠の下部に、打球発射装置の打球発射ハンドル20bが設けられる。前面枠の正面上部に取り付けられた遊技盤20aの遊技領域の中央に、カラー液晶表示器等などの表示器を有した図柄表示装置20cが配設される。図柄表示装置20cは、例えば3列に配置された複数の図柄(始動条件成立時の抽選に基づいて変動する図柄)を順に上から下に循環移動させて変動表示する。また、大当りやリーチの際の予告演出画面、及び大当り演出画面などが図柄表示装置20cに表示される。
【0025】
図柄表示装置20cの下側中央に、始動入賞口ソレノイド27bにより開閉する羽根を有した始動入賞口27が配設される。始動入賞口27は、例えば遊技盤上の何れかの箇所に配設された通過ゲートを遊技球が通過すると、普通図柄表示装置の図柄表示が変動表示され、その変動図柄が予め設定した図柄で停止したとき、始動入賞口の羽根が所定時間(例えば0.5秒)開き、始動入賞口27に遊技球が入り易くするように動作する。始動入賞口27には、図4のように、入賞した入賞球を検出するための始動入賞検出器27aが設けられ、始動入賞口ソレノイド27bが羽根を開閉するために設けられている。
【0026】
始動入賞口27の下側に、開閉部材付の大入賞口を有した可変入賞装置26が設けられる。可変入賞装置26には大入賞口を開閉動作する開閉部材26aが、大入賞口ソレノイド26b(図4)により開閉可能に設けられる。さらに、大入賞口に入賞した球を検出する大入賞口検出器26cが設けられている。また、可変入賞装置26の大入賞口内にはVゾーンと呼ばれる継続入賞口が設けられ、継続入賞口に入賞した球を検出するための継続入賞口検出器26dがその内側に設けられる。さらに、大入賞口通路の排出側には入賞した遊技球の排出を検出するための排出球検出器26eが設けられる。図4に示すように、上記始動入賞検出器27a、大入賞口検出器26c、継続入賞口検出器26d、排出球検出器26e、及び始動入賞口ソレノイド27b、大入賞口ソレノイド26bは、遊技機の主制御基板21の入出力回路25に接続される。
【0027】
主制御基板21は、これらの大入賞口検出器26c、継続入賞口検出器26d、排出球検出器26eなどの遊技球検出信号を入力し、入賞口に入賞した入賞球の数をカウントするカウンタを、例えばRAMの特定メモリ領域等に設けている。大入賞口検出器26cの遊技球のカウント値が例えば9個になると、可変入賞装置26の開閉部材26aは閉じられる。開閉部材26aの1回の開放が1ラウンドとされ、所定時間内に継続入賞口に入賞して継続入賞口検出器26dが球技球を検出するとラウンドが更新され、最大で16ラウンド、つまり16回、開閉部材26aが開放される。
【0028】
主制御基板21は、上記のように、各検出器からの遊技球の検出信号を入力してカウントするが、大入賞口検出器26cが検出した遊技球の入賞数と、排出球検出器26eが検出した遊技球の排出数とが一致しない場合、遊技球の球詰りや飛び出しなどの異常が発生したものとして、異常信号を発生させる。また、大入賞口検出器26cが検出した遊技球の入賞数が、予め設定した所定時間内に最大入賞数を超える入賞数になったとき、主制御基板21は大入賞口における遊技球の異常として異常信号を発生する。
【0029】
さらに、可変入賞装置26には、その開閉部材26aの開閉動作を検出するための開閉検出器26fが光電スイッチなどを用いて装着される。開閉検出器26fは、開閉部材26aの開閉状態を検出してその検出信号を出力するが、この信号を入力する主制御基板21が、開閉部材26aの開放時間をカウントし、その開放時間が予め設定した時間を超えたとき、異常信号を出力する。
【0030】
なお、可変入賞装置26、始動入賞口27などの電動役物の入賞口、或いは入賞口と障害釘との間などの球詰りが発生しやすい箇所に、球詰りを検出する球詰りセンサ32(図4)を配設することができる。この場合、入賞口や障害釘で遊技球の球詰りが発生した場合、その検出信号を主制御基板21に送り、主制御基板21から異常信号を発生することになる。
【0031】
パチンコ遊技機の制御系の主要部を構成する主制御基板21は、図4に示す如く、予め記憶されたプログラムに基づきパチンコゲームに伴う制御処理を実施するCPU22、そのゲームのプログラムを記憶する読み出し専用のROM23、データを一時的に記憶し、CPU22のワークエリアとして機能するRAM24、及び入出力回路25を有して構成される。RAM24には、遊技球が入賞した際の入賞数のカウンタとして入賞球をカウントし記憶する領域、排出数をカウントし記憶する領域などが設定される。
【0032】
さらに、主制御基板21には、大当り抽選を行うための乱数発生器が設けられ、CPU22は、遊技中に、始動入賞口27に遊技球が入賞すると、乱数発生器からサンプリング回路を動作させてその時点の乱数を取得する。そして、その乱数について予めROM23に記憶した乱数テーブルを参照して大当り抽選を行い、図柄表示装置20cにおいて図柄変動を開始する。
【0033】
また、主制御基板21のCPU22は、大当り抽選の抽選結果に基づき、図柄変動コマンドを、図4に示す図柄制御基板30、ランプ音声制御基板31に出力する。これらの図柄変動コマンドを入力した図柄制御基板30、ランプ音声制御基板31は、予め記憶されたリーチ、リーチ予告、外れ、大当りなどの各種演出プログラムを選択・決定して実行するように構成される。
【0034】
検査装置1は、試射試験を行うパチンコ遊技機20の遊技盤20aの正面を撮像するために撮影装置2を設置し、遊技球の試射を行いながら遊技球の動きに関する検査を行う際、撮影装置2により遊技盤20aを撮影し、撮影した動画データを所定時間だけRAM12などの一時記憶装置に記憶し、その記憶を所定時間毎に更新する。そして、例えば、可変入賞装置26において入賞球の数に異常が生じ、主制御基板21から異常信号が出力されたとき、異常信号が中継ファームウエア3を通して検査装置1に入力され、RAM12に一時記憶されていた動画データについて、異常信号の入力時点から所定時間(例えば30秒間)前までの動画データと、異常信号の入力時点から所定時間(例えば30秒間)後までの動画データとが、記憶装置19に異常信号と共に保存されるように構成される。
【0035】
本検査装置1は、図3に示すように、例えば汎用のパーソナルコンピュータから構成され、遊技球の動きに関する検査を実施するCPU等からなる中央処理装置10、検査装置1に必要な各種プログラムデータ、固定データを格納するROM11、中央処理装置10のワークエリアを構成すると共に、動画データなどを一時記憶するRAM12、入出力回路を介して中央処理装置10に接続されるキーボード等の入力機器13a、中継ファームウエア3、撮影装置2等が接続されるUSB接続装置13b、表示コントローラに接続され画像を表示する表示器13c、及びオペレーションシステム、検査用のアプリケーションプログラム、異常時の動画データなどを保存記憶するハードディスク装置等からなる記憶装置19が設けられている。このように、上記動画一時記憶手段は上記RAM12により構成し、上記動画保存手段は上記記憶装置19により構成することができる。
【0036】
検査装置1のUSB接続装置13bには、CCDカメラ、CMOS撮像素子などから構成される撮影装置2がUSBケーブルを介して接続され、撮影装置2は、撮影した遊技盤20a正面の動画データを検査装置1に送り、検査装置1はそれをMPEG方式などでRAM12または記憶装置19に格納する。撮影装置2は、図1に示すように、検査するパチンコ遊技機20の遊技盤20aに向けて配置される。
【0037】
上記構成の検査装置1は、図3に示すように、機能的には、検査時に所定の短時間だけ撮影画像(動画)を記録し、その記録を時間経過と共にする更新する撮影画像一時記録機能14、主制御基板21から異常信号が出力されたとき、その異常信号と共に、一時記録されていた撮影画像を、その時点から前に所定時間とその時点から後に所定時間だけ記憶装置19に保存する撮影画像保存機能15、及び試験端子番号と異常信号との関係を登録して記憶する試験端子番号登録機能16を備えている。
【0038】
主制御基板21には、パチンコ遊技機20を市場に流通させる前に、検定機関で実施される検定試験に使用され試験端子が設けられ、入賞球の入賞数の異常信号や球詰りの異常信号をこの試験端子から中継ファームウエア3を介して検査装置1に送るように接続される。中継ファームウエア3から検査装置1に出力される信号はUSB用のシリアル信号として出力され、異常信号は、データ信号として、開閉時間異常検出手段によって検出された異常信号、最大入賞数異常検出手段によって検出された異常信号、入賞数異常検出手段によって検出された異常信号であるかなど、異常状態を示す信号として主制御基板21から検査装置1に送出される。
【0039】
次に、上記構成の検査装置の動作を図5のフローチャートにより説明する。検査装置1は、図1〜図3に示す如く、撮影装置2と中継ファームウエア3の出力側を、USBケーブルを介して検査装置1に接続し、中継ファームウエア3の入力側を、パチンコ遊技機20の主制御基板21の試験端子に接続し、検査は、パチンコ遊技機20の打球発射装置を動作させ、自動により遊技球の試射を行いながら、撮影装置2を動作させて実施される。
【0040】
パチンコ遊技機20において、遊技球の試射を行なう間、発射された遊技球が始動入賞口27に入賞し、図柄表示装置20cの3列の図柄が変動表示を開始し、所定時間後に予め決められた図柄に揃って停止した場合、大当りが発生し、可変入賞装置26の大入賞口ソレノイド26bが動作して、開閉部材26aが所定時間だけ開放される。
【0041】
この開閉部材26aが開放された時点で、検査装置1の中央処理装置10は、図5のステップ100からステップ110に進み、撮影装置2から送られる撮影画像の動画データを取り込み、遊技盤20aの盤面の録画を開始する。検査装置1に取り込まれた動画データは一時、RAM12(または記憶装置19)に記憶される。そして、開閉部材26aの開放が終了して閉鎖されたとき、中央処理装置10はステップ120からステップ130に進み、主制御基板21から異常信号が送られたか否かを判定する。このステップ130で、異常信号は受信されない、と判定したとき、検査装置1の中央処理装置10は、ステップ130からステップ150に進み、録画動作を停止し、それまで一時記憶していた動画データをRAM12または記憶装置19から消去する。
【0042】
このような動作が繰り返されて、パチンコ遊技機の入賞球の動きと球詰りの検査が行なわれ、上記の如く、可変入賞装置26の開閉部材26aが開放される間、撮影装置2により撮影された遊技盤20aの動画データが一時、RAM12または記憶装置19に記憶されるが、開閉部材26aの開閉動作が終了し、異常がない場合、動画データは消去されるため、検査を長時間にわたって行なう場合でも、動画データを格納する記憶装置の記憶容量は非常に少なくなる。
【0043】
一方、パチンコ遊技機20の主制御基板21は、開閉部材26aが一旦開放されてから閉鎖されるまでの時間をカウントしており、この間の時間が予め設定された所定時間以内であれば、上記のように、正常と判断するが、開閉部材26aの開放から閉鎖までの時間が所定時間を超えた場合、異常と判断し、異常信号を発生する。
【0044】
また、可変入賞装置26の開閉部材26aが開放されると、その大入賞口には発射された遊技球の殆どが入賞するが、このとき入賞した遊技球の数は、大入賞口検出器26c、継続入賞口検出器26dにより検出され、カウントされる。そして、この開閉部材26aの開放から閉鎖までの間に、カウントされた遊技球の入賞数が予め設定された最大入賞数を超えた場合、発射された遊技球が何れかの箇所で球詰りを生じ、その後、自然解消してそれらの遊技球が全て大入賞口に入賞するなどして最大入賞数を超えた異常時であると、遊技機の主制御基板21のCPU22は判断し、異常信号を発生する。
【0045】
さらに、可変入賞装置26の開閉部材26aの開放時、その大入賞口に入賞した遊技球の数は、大入賞口検出器26c、継続入賞口検出器26dにより検出されてカウントされ、さらに、入賞球がその後、通路を通って排出されるとき、排出球検出器26eによって検出され、その排出球数がカウントされる。このとき、主制御基板21のCPU22は、開閉部材26aの開放時、大入賞口検出器26c、継続入賞口検出器26dにより検出されてカウントされた遊技球の入賞数と排出球検出器26eにより検出されカウントされた排出球数とを比較する。このとき、遊技球の入賞数と排出球数が一致すれば正常であり、一致しない場合、球詰りや遊技球の飛び出しの異常が生じたとして、主制御基板21のCPU22は異常信号を発生する。
【0046】
このように、遊技球の動きに関する異常が検出されたとき、上記異常検出手段か異常信号が発生し、発生した異常信号は、異常状態を示すデータ信号として主制御基板21から中継ファームウエア3を通して検査装置1に送られる。検査装置1の中央処理装置10はこの異常信号を入力したとき、ステップ130からステップ140に進み、その時点から所定時間後(例えば30秒後)に動画データの取り込みを停止し、異常信号が入力される前の動画データ(開閉部材が開放されたときから異常信号が入力されるまでの間の動画データ)と異常信号の入力時点から所定時間後までの動画データが記憶装置19の撮影画像保存機能15に保存される。
【0047】
パチンコ遊技機20の主制御基板21に、異常信号が発生した場合、主制御基板21は遊技動作を停止する機能を設けてある場合、パチンコ遊技機は動作を停止するが、検査装置1の表示器13cには、上記で検出された異常を示す文字、異常信号の種類、異常発生時の時刻などが表示されるため、無人で検査を実施した場合でも、検査員は停止したパチンコ遊技機20と検査装置1の表示器13cを見れば、異常が発生しその異常がどのような異常であるのかを直に認識することができる。
【0048】
この後、検査員は、検査装置1を操作して、記憶装置19に保存された動画データ(異常信号の発生時点から所定時間前までの動画データと異常信号の発生時点から所定時間後までの動画データ)を読み出して再生する。このような異常信号の発生時点前の遊技盤20aの画像を見ることにより、例えば、可変入賞装置26の大入賞口への入賞数が所定時間内に最大入賞数を超えた場合、開閉部材26aの不具合によるものか、或いは球詰りが発生しその後球詰りが自然解消して異常となったか、などの現象を、検査員は容易に認識することができる。
【0049】
このように、パチンコ遊技機の検査員は、試射試験の際などに、長時間にわたって検査時の撮影画像をチェックする必要はなく、遊技球の入賞口での球詰り、入賞口からの飛出し、開閉部材と障害釘との間の球詰りなど、遊技球の動きに関して不具合が生じる箇所やその状態を容易に認識し、球詰りなど遊技球の動きに関する検査を非常に効率よく行うことができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、パチンコ遊技機の検査に適用したが、パチンコ遊技機以外の遊技球を使用する遊技機であっても、その遊技球の動きに関する検査を行なう検査装置に、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態を示す遊技機の検査装置の概略構成図である。
【図2】同検査装置の構成ブロック図である。
【図3】検査装置の機能ブロック図である。
【図4】パチンコ遊技機の主制御基板の構成ブロック図である。
【図5】検査装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 検査装置
2 撮影装置
11 ROM
12 RAM(動画一時記憶手段)
19 記憶装置(動画保存手段)
20 パチンコ遊技機
21 主制御基板
22 CPU
26 可変入賞装置
26a 開閉部材
26c 大入賞口検出器
26d 継続入賞口検出器
26e 排出球検出器
26f 開閉検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の試射を行いながら遊技球の動きに関する検査を行う遊技機の検査装置において、
該遊技機の遊技盤に遊技球を発射して試射を行う間、該遊技盤を撮影し、撮影した動画データを出力する撮影装置と、
該撮影装置が撮影した動画データを一時記憶する動画一時記憶手段と、
該遊技盤に発射された遊技球に関する異常を検出した該遊技機の異常検出手段から異常信号が送られたとき、該撮影装置から出力され、該動画一時記憶手段に一時記憶されていた動画データについて、当該異常信号の入力時点から所定時間前までの動画データと該異常信号の入力時点から所定時間後までの動画データとを該異常信号と共に保存する動画保存手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機の検査装置。
【請求項2】
前記遊技機の異常検出手段から異常信号が出力され、前記動画保存手段が異常時の動画を保存したとき、表示器に異常検出の表示を行うことを特徴とする請求項1記載の遊技機の検査装置。
【請求項3】
前記遊技機の異常検出手段として、所定の入賞口に進入した遊技球の数と該入賞口から入賞した後、排出される遊技球の排出数をカウントし、両方のカウント値が一致しないときに異常検出を行う入賞数異常検出手段が、該遊技機に設けられることを特徴とする請求項1記載の遊技機の検査装置。
【請求項4】
前記遊技機の異常検出手段として、所定の入賞口に入賞した遊技球の数が所定時間内に予め設定された最大入賞数を超えたとき、異常検出を行う最大入賞数異常検出手段が、該遊技機に設けられることを特徴とする請求項1記載の遊技機の検査装置。
【請求項5】
前記遊技機の異常検出手段として、入賞口の開閉部材における1回の開放時間が予め設定された最大開放時間を超えたとき、異常検出を行う開放時間異常検出手段が、該遊技機に設けられることを特徴とする請求項1記載の遊技機の検査装置。
【請求項6】
前記遊技機の異常検出手段として、遊技盤に配設された球詰りセンサが遊技球の詰りを検出したとき、異常検出を行う球詰り異常検出手段が、遊技機に設けられることを特徴とする請求項1記載の遊技機の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−55034(P2008−55034A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−237670(P2006−237670)
【出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】