説明

遊技機の発射操作装置

【課題】戻りばねによるハンドル操作者の手への負担を、ハンドルの被操作部分を動かないようにロックすることなく、軽減することが可能で、かつ右打ちする必要がある遊技機において、右打ちを開始するタイミングを指示可能な遊技機の発射操作装置を提供する。
【解決手段】ハンドルリング14を回転すると一体にセンタギア21が回転し、センタギア21に噛み合うボリュームギア22が回転する。ボリュームギア22は、遊技球の発射勢を調整する発射ボリューム11の回転軸11aと一体に回転する。発射ボリューム11により発射勢が調整される。ハンドルリング14には、戻りばね15の第1係止端部28が固定されている。戻りばね15の第2係止端部29は、戻り負荷調整ギア31の第2被係止部34に固定されている。戻り負荷調整ギア31を戻り負荷調整モータ32で回転させることによって、戻りばね15の付勢力が調整可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域に遊技球を発射する発射装置を有する遊技機に備えられ、前記発射装置における遊技球の発射と発射停止および遊技球の発射勢を調整する操作を行うための遊技機の発射操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機等の遊技球を遊技領域に発射して、遊技領域内を流下する遊技球に基づいて、遊技を行う遊技機においては、前面の下部に、操作者(遊技者)が遊技球の発射を操作するための所謂発射操作ハンドルが設けられている。このハンドルには、回転自在なハンドルリングが設けられており、ハンドルリングは、遊技球の発射が停止した状態になっている原点位置からたとえば時計周りに回すことによって、遊技球が発射されるとともに、回転角を大きくすることにより、遊技球の発射勢が強くなる。
【0003】
すなわち、遊技機のハンドルリングは、遊技球の発射および発射停止の操作と、遊技球の発射勢の調整を行うようになっている。
このような発射勢の調整は、遊技球の発射に用いられるたとえばモータ等の駆動装置に供給される電流量をボリューム(可変抵抗器)で調整することにより行われる。
たとえば、ロータリ式のボリュームの回転軸部材に、ハンドルリングの回転を、歯車で伝動させることによって、回転軸部材を回転させて抵抗値を変えるようになっている。なお、遊技球を発射する発射装置は、発射制御装置により制御されており、単位時間当たりの発射数等は、発射制御装置に制御されている。
【0004】
また、遊技機においては、遊技領域に向って左側から遊技球が発射される。この際に、操作者は、通常の遊技球の打ち方として、遊技領域の左上部から左右の略中央の上部ぐらいの範囲で、発射された遊技球の方向が下方に変化するように発射勢を調整することが一般的である。
基本的には、遊技球を入賞させたい入賞口の上部近傍に多くの遊技球が流下するように、遊技球の発射勢を調整する。
【0005】
また、一般的なパチンコ遊技機では、遊技領域に発射された遊技球の好ましい流下経路が略決まっており、その好ましい流下経路に略沿って遊技球が流下すると、遊技球が入賞することが好ましい複数の入賞口(スルーチャッカを含む)の近傍を遊技球が順次通過することになる。したがって、複数の入賞口をそれぞれ狙うために、発射勢を変更する必要がない。
【0006】
このような遊技機の遊技では、操作者は、一度決めた発射勢になるようにハンドルリングを同じ回転角度位置で止まっている状態になるように手で保持することが一般的である。
また、パチンコ遊技機によっては、大当り遊技状態等の特定の遊技状態になった場合にだけ、上述の左上部から略中央の上部を狙うのではなく、発射勢を略最大にして、遊技領域の右側を狙うことによって、多くの遊技球を特定の入賞口に入賞させることが可能になるものが知られている。
【0007】
このようなパチンコ遊技機では、通常時の打ち方は、遊技領域上部の左から中央ぐらいの位置で遊技球が流下を開始するように遊技球の発射勢を調整し、特定の遊技状態になった場合に、発射勢を略最大にして遊技領域の右側を狙う、所謂右打ちを行うことになる。
上述の特定遊技状態が終了すると、右打ちの発射勢から通常時の発射勢に戻すことになる。
【0008】
なお、ハンドルリングには、その回転軸回りに配置されたねじりばねが、戻りばねとして、ハンドリングを原点位置に戻るように付勢している。したがって、ハンドルリングを原点位置に対して大きく回転させればさせるほど、戻りばねのばね荷重が大きくなって操作者の手にかかる負担が大きくなり、例えば、右打ち状態を長く継続すると、通常の打ち方より手が疲れることになる。
【0009】
必ずしも右打ちのためではないが、球飛び強さを調整するハンドルにおいて、球飛び強さを任意の範囲で微調整可能とするとともに、調整した状態でロック可能とする遊技機の発射操作装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、ハンドルがロックされて回転しなくなることにより、手にかかる負担を軽減することができる。
【0010】
また、発射ハンドルの回転を発射勢の調整機構に伝達する歯車機構において、通常の打ち方(弱打ち)の場合のギア比と、それより回転させた右打ちの場合のギア比とを異なるものとした遊技機の発射操作装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この遊技機においては、通常の打ち方では、発射ハンドルの回転量に対して発射勢の調整量が小さく設定され、発射ハンドルを大きく回しても、発射勢の変化が少なくされている。一方、発射ハンドルの右打ちになるような回転範囲では、発射ハンドルの回転量に対して発射勢の調整量が大きく設定され、発射ハンドルを少し回すだけで、発射勢が大きく変化する。すなわち、発射ハンドルを回していくと、最初は回転量に対して発射勢の変化が少なく発射勢の微調整が容易になっているが、さらに発射ハンドルを回すと上述と同じ回転量でも発射勢の変化が大きくなり少し回すだけで直ぐに右打ちの発射勢になる。
【0011】
また、発射操作ハンドルで、可変抵抗器を操作し、抵抗値の変化により発射勢を調整する発射操作装置において、可変抵抗器とは別に、右打ちになる発射勢とする抵抗値の抵抗を配置し、スイッチで可変抵抗器と、右打ち用の抵抗とを切り替えることにより、このスイッチ操作で通常の打ち方と、右打ちの打ち方とを切替可能な遊技機の発射操作装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−19283号公報
【特許文献2】特開2005−34542号公報
【特許文献3】特開平09−206427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、パチンコ遊技機等の弾球遊技機において、ハンドルに設けられた被操作部分を回転操作する場合に、手を離したらハンドルの操作部分を原点位置に戻す構成とするには、一般的に戻りばねが用いられる。
被操作部分を原点位置に戻すのにばねが用いられることから、被操作部分の回転位置が原点位置の角度位置から離れるほど、すなわち回転角が大きくなるほど戻りばねの付勢力が大きくなり、その回転位置で被操作部分の回転角を保持するのに必要な力が大きくなる。
【0014】
被操作部分を回転操作する際には、この付勢力の変化が、操作者に対して操作量の違いを感覚的に示す操作感を与え、馴れることによって操作を円滑にする可能性がある。しかし、被操作部分の回転角を維持する上では、操作者の手が付勢力に抗して被操作部分の回転角を維持している必要がある。そのため、遊技時間が長くなると手が疲れることになり、戻りばねの付勢力の変化により操作感が多少変わっても手への負担が軽減される方が操作者としての遊技者に好まれる可能性が高い。
【0015】
また、遊技球の発射装置において、遊技球の発射勢が何らかの要因で少しだけずれる可能性がある。また、遊技機の球貯留タンクや、上皿、下皿といった遊技球が貯留される部分における遊技球の絶対量、あるいは相対量の変化などにより、遊技球の最適な発射勢が変わる場合がある。すなわち、略一定の発射勢で遊技球を発射していても、遊技球の入賞率が大きく変化する場合がある。
【0016】
そのため、操作者によっては、発射勢の微調整のために、比較的頻繁に被操作部分を回転させる場合がある。ここで、特許文献1の場合のようにハンドルの被操作部分を最適と思われる回転角度でロックすることにより、被操作部分が戻りばねの付勢力によって回転することがなくなり、操作者の手に対する負担を軽減することができるが、被操作部分がロックされると微調整ができなくなる。
【0017】
また、上述の右打ちを必要とするパチンコ遊技機においては、遊技状態の変化に対応して右打ちを開始し、かつ、遊技状態の変化に対応して右打ちを終了する必要がある。すなわち、操作者は、遊技機での遊技中に、常時、遊技状態の変化に気を使っていなければならない。遊技機では、遊技状態が変化した場合、すなわち、右打ちが必要な場合に、表示装置の表示の変化または表示を用いた右打ちの指示や、音声出力装置における音声の変化または音声(言葉)による右打ちの指示などで知らせる場合が多い。
【0018】
しかし、たまたま操作者が遊技に集中せず、表示も見ずにうわのそらだったり、操作者が初心者で右打ちする遊技についての知識がなかったりすると、上述の表示や音声に気づかなかったり、表示や音声による指示を理解できなかったりして、右打ちするのが遅れてしまい、右打ちすることにより得られる利益を得られない場合がある。
【0019】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、戻りばねによるハンドル操作者の手への負担を、ハンドルの被操作部分を動かないようにロックすることなく、軽減することが可能で、かつ、右打ちする必要がある遊技機において、右打ちを開始するタイミングを指示可能な遊技機の発射操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の遊技機の発射操作装置は、遊技機に設けられるハンドルを備え、
かつ、当該ハンドルの操作に基づき遊技機に設けられる遊技盤への遊技球の発射を可能にし、前記ハンドルの操作量に応じた発射勢とするように遊技球の発射勢を調整する発射勢調整手段を備える遊技機の発射操作装置において、
前記ハンドルに設けられ、遊技球の発射停止状態を原点位置とし、発射勢最大値に該当する位置まで可変操作される操作子と、
当該操作子の操作量を前記発射勢調整手段に伝達する操作量伝達手段と、
前記操作子の発射勢増大操作に反して当該操作子を原点位置方向に付勢する戻りばねと、
当該戻りばねの付勢力を遊技の進行に伴って変更する付勢力調整制御手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
請求項1に記載の発明においては、操作子を操作することにより発射勢調整手段により遊技球の発射勢が調整される。この際に、操作子は、戻りばねにより、原点位置方向に付勢されているので、例えば、遊技球の発射が停止状態になっている原点位置から発射勢増大方向に操作子を移動することにより、遊技球の発射勢が大きくなっていくとともに、戻りばねの付勢力が大きくなっていくことになる。
この発射操作装置には、戻りばねの付勢力を調整する付勢力調整制御手段が設けられており、遊技機における遊技の進行に伴って付勢力を調整するようになっている。
【0022】
このように、戻りばねの付勢力を調整可能なことから、例えば、右打ちするような場合に、操作子を発射勢増大方向に大きく動かすことにより、操作子を原点位置方向に戻す戻りばねの付勢力が大きくなる際に、付勢力調整制御手段により戻りばねの付勢力を弱くする方向に調整する。これにより、右打ち時に戻りばねの付勢力が大きくなること、および、操作者の手の負担が大きくなることを防止できる。また、例えば、右打ちを必要とする遊技機において、遊技の進行に基いて右打ちすべき状態が発生した場合に、上述のように付勢力を小さくすると、操作子を、例えば、遊技球の発射勢が一定になるように抑えている操作者の手に対する戻りばねによる負荷が減少することになる。
【0023】
この場合に、手にかかる戻りばねの付勢力が減衰することから、操作者が自身の触覚を通してそれに気づく可能性が極めて高く、戻りばねの付勢力を下げることを操作者への右打ちの指示としたときに、遊技に集中していない場合であっても、表示や音声より確実に操作者に気づかせることができる。
また、操作子から手にかかる力が急に減衰した場合に、操作者の力が余った状態になり、遊技進行に則った操作に誘導する報知演出の一環として自然(意識せずに)に操作子を発射勢増大方向に移動させる可能性が高い。
【0024】
この場合に、右打ちすることについてよく理解していない初心者に対して、右打ちするきっかけを付与することができる。例えば、遊技盤の右側に設けられた開閉する入賞装置が閉から開になった際に、上述のように戻りばねの付勢力が小さくなって、操作子を発射勢増大方向に移動させると、遊技球が付勢力の減少まえより遊技盤の右側を流下するようになって、入賞しない閉状態から開放した入賞装置に遊技球が入賞し易くなる。
【0025】
これにより、遊技の初心者である操作者が右打ちする必要性を理解する可能性が高い。したがって、表示や音声による視聴覚を介在させた右打ちの指示よりも、蝕覚を介在させた指示、すなわち戻りばねの付勢力を低下させることの方が遊技者に取って分り易い指示になる。
【0026】
また、上述のように戻りばねの付勢力を変化させた場合に、操作者がそれに気づく可能性が高いことから、右打ちの指示だけではなく、それ以外の指示にも有効に利用することができる。なお、この場合には、上述のように戻りばねの付勢力を小さくするものとしてもよいが、大きくするもの、あるいは、付勢力調整の大小を取り混ぜて強弱を付けたものとしてもよい。
例えば、リーチ予告、大当たり予告等に戻りばねの付勢力低下を用いることができる。この発射操作装置を用いた予告を行うと、周囲の操作者には気付かれないように操作者だけに予告を行うことができることから、操作者に私だけわかっているというような優越感を与えることができる。例えば、同じ予告表示でも、発射操作装置における戻りばねの付勢力による予告が伴う場合の大当たりになる確率と、伴わない場合に大当たりになる確率に大きな差を付けることによって、操作者だけが結果を知っている状態とすることが可能になる。
【0027】
請求項2に記載の遊技機の発射操作装置は、遊技球の発射が停止された状態から所定の発射勢の範囲内で最大になる最大発射勢により遊技球が発射される状態まで、遊技機の遊技球発射装置における遊技球の発射勢を調整する発射勢調整手段を操作するための遊技機の発射操作装置において、
遊技機に固定される固定部材と、
前記固定部材に回転自在に支持され、所定の回転角度範囲内の最小回転角度になる原点位置から最大回転角度になる終点位置まで回転することによって、遊技球の発射が停止している状態から遊技球の発射勢が所定の発射勢になるまで操作者による前記発射勢調整手段における発射勢の操作を可能にしている操作子と、
前記操作子の回転角を前記発射勢調整手段に伝達する回転伝達手段と、
前記操作子に前記終点位置から前記原点位置に向う回転方向に付勢力を付与する戻りばねと、
前記戻りばねの付勢力の大きさを調整する付勢力調整手段と、
前記付勢力調整手段を制御して、戻りばねの付勢力を変更させる付勢力調整制御手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
請求項2に記載の発明においては、操作子が回転操作されることになるが、基本的に戻りばねの付勢力を調整できることにより、請求項1に記載の作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
請求項3に記載の遊技機の発射操作装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、
前記遊技機は、複数の遊技状態を備え、これら遊技状態が変更されるのに対応して前記付勢力調整制御手段が、前記戻りばねの付勢力を変更させることを特徴とする。
【0030】
請求項3に記載の発明においては、上述のように遊技球の右打ちを必要する遊技状態になった場合に、右打ちを指示できるとともに、右打ち時の操作者の手の負担を軽減することができる。また、右打ちするか否かに関わらず、遊技状態が変わったことを操作者に指示することができる。
【0031】
請求項4に記載の遊技機の発射操作装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記付勢力調整制御手段は、前記操作子の前記原点位置からの移動量が多くなっていくのに対応して、前記戻りばねの付勢力が小さくなっていく方向に制御することを特徴とする。
【0032】
請求項4に記載の発明においては、操作子を原点位置から離れるように操作することによって、戻りばねの付勢力が大きくなっていくが、この際に付勢力調整制御手段が、付勢力が小さくなる方向に制御する。これにより、付勢力増加が抑制され、操作子を大きく操作しても、付勢力が大きくならない。このようにした場合に、操作子の操作に関わらず、戻りばねの操作子にかかる付勢力を例えば略一定に制御したり、付勢力の増加を低く抑えたり、逆に操作子にかかる付勢力を原点位置より低くなるようにしたりすることができる。したがって、例えば、少し強めの発射勢になる位置で操作子を保持する場合でも、操作者の手にかかる負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、例えば、右打ちになる遊技状態が発生した場合に、右打ちするように指示することができるとともに、右打ち時に戻りばねによって操作者にかかる負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊技機の発射操作装置を備える遊技機を示す斜視図である。
【図2】前記遊技機のガラス扉を開放して遊技盤を露出させた斜視図である。
【図3】前記発射操作装置を示す斜視図である。
【図4】前記発射操作装置を示す正面図である。
【図5】前記発射操作装置を示す分解斜視図である。
【図6】フェースカバーを外した前記発射操作装置を示す正面図である。
【図7】フェースカバーとハンドルリングを外した前記発射操作装置を示す正面図である。
【図8】フェースカバー、ハンドルリング、タッチセンサ、戻り負荷調整ギアおよびジョインタ等を外した前記発射操作装置を示す正面図である。
【図9】ハンドルリングを途中まで回転させて、フェースカバーを外した前記発射操作装置を示す正面図である。
【図10】ハンドルリングを途中まで回転させるとともに第2被係止部を旋回移動させて、フェースカバーを外した前記発射操作装置を示す正面図である。
【図11】ハンドルリングを最後まで回転させて、フェースカバーを外した前記発射操作装置を示す正面図である。
【図12】ハンドルリングを最後まで回転させるとともに第2被係止部を旋回移動させて、フェースカバーを外した前記発射操作装置を示す正面図である。
【図13】ハンドルリングを回転させずに第2被係止部を旋回移動させて、フェースカバーを外した前記発射操作装置を示す正面図である。
【図14】発射操作装置の付勢力調整制御手段になる遊技機の制御系の一部を示すブロック図である。
【図15】付勢力調整制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、この実施の形態の遊技機の発射操作装置9は、遊技機としてのパチンコ遊技機に設けられるものである。
【0036】
この発射操作装置9を有するパチンコ遊技機は、図1および図2に示すように、遊技店の島設備に設置される縦長の矩形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2に収納された遊技盤3(図2に図示)と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部5が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部5に取り付けられた透明な二重ガラス板6と、前記ガラス扉4の前面の前記二重ガラス板6の下に設けられ、遊技球を収容する上皿7および上皿7から溢れる遊技球を収容する下皿8と、前記ガラス扉4の上皿7および下皿8の向かって右側に設けられる発射操作装置(ハンドル)10とを備える。前記ガラス扉4の上皿7の向かって右側には、貸球の払出操作等を行う操作部10が設けられている。
【0037】
この発射操作装置9は、パチンコ遊技機に内蔵される遊技球の発射装置のモータ等の駆動源に通電される電流値を図5に示す発射ボリューム(可変抵抗器:発射勢調整手段)11で調整することにより、遊技球の発射および発射停止と、遊技球の発射時の発射勢とを調整する操作を行うためのものである。
【0038】
発射操作装置9は、図3〜図13に示すように、遊技機に固定される固定部材12と、固定部材12の先端部に取り付けられるフェースカバー13と、固定部材12の先端部と、フェースカバー13のとの間に所定角度範囲内で回転自在に配置されるハンドルリング(操作子)14とを備えている。
【0039】
発射操作装置9は、基本的にハンドルリング14の回転を、回転式の可変抵抗である発射ボリューム11の回転自在な軸に伝達する歯車機構(操作量伝達手段、回転伝達手段)を備えたものである。この実施形態では、歯車機構を最も簡略化したものになっており、ハンドルリング14とジョインタ20を介して一体に回転するセンタギア21と、発射ボリューム11の回転軸11aに一体に回転可能に取り付けられたボリュームギア22とが直接噛みあって、ハンドルリング14の回転を発射ボリューム11に伝えるようになっている。
【0040】
固定部材12には、基端からフェースカバー13側に向って延出する複数の円筒状のボス24がハンドルリング14の回転中心からそれぞれ等距離の位置に設けられ、フェースカバー13には、前記ボス24に対向する部分に、フェースカバー13のドーム状の部分の裏面から固定部材12の基端側に向って突出する図示しない嵌合軸部が形成されている。これらの嵌合軸部の先端部がそれぞれ円筒状のボス24の先端部の内部に挿入されて嵌合するとともにビス止めされることによって、固定部材12の先端部にフェースカバー13が取り付けられている。
【0041】
ハンドルリング14は、固定部材の外周部分の先端部分と、フェースカバー13の後端部分との間に回転自在に配置されている。
また、ハンドルリング14には、フェースカバー13側に突出する円筒状の回転軸23を有するとともに、ハンドルリング14にビス止めされるジョインタ20を介して取り付けられる円筒状のセンタギア21を有する。ハンドルリング14、回転軸23、およびセンタギア21は、同軸上に配置されており、この軸がハンドルリング14の回転中心になる。また、フェースカバー13の内側には、回転軸23が挿入されて滑り軸受として機能する円筒状の軸受(図示略)が設けられ、固定部材12には、上述の円筒状のセンタギア21が挿入されて滑り軸受として機能する円筒状の軸受(図示略)が設けられている。
【0042】
これら軸受によりハンドルリング14は、固定部材12と、固定部材12に取り付けられるフェースカバー13とに回転自在に支持されている。
また、ハンドルリング14には、上述のように固定部材12とフェースカバー13とを固定するための複数(3つ)のボス24のうちの2つのボス24が貫通する円弧状開口部25と、残りの一つのボス24が貫通する円弧状の開口部26とが設けられている。
【0043】
これら円弧状の開口部25,26は、ハンドルリング14の回転中心を中心とする同じ半径の円弧状に形成されている。
ハンドルリング14は、操作者の指をかける構造を有し、本体になる環状の外周部分と、上述の回転軸23およびジョインタ20が取り付けられる中央部分との間に、上述の2つの円弧状の開口部25,26が形成され、これら2つの開口部25,26は、ハンドルリング14の中央部の周りに配置されるとともに、2つの開口部25,26を合わせると略円環状になる。しかし、開口部25,26同士の間には間隔が開けられており、これらの間隔部分がスポーク状にハンドルリング14の外周部と中央部とを繋いでいる。
【0044】
ハンドルリング14を回転すると、ボス24に上述の円弧状の開口部25,26が案内された状態になるとともに、ハンドルリング14の回転範囲を規制する状態になる。すなわち、各開口部25,26に挿入された状態のボス24が、開口部25,26の円弧の端に接触することにより、ハンドルリング14の回転範囲が規制される。これにより、遊技球の発射が停止する状態に対応する原点位置から、遊技球の発射勢が最大になる終点位置まで、ハンドルリング14が回転自在になっている。なお、ハンドルリング14は、その回転動作に対応して回転するボリュームギア22にもストッパ22aが設けられ、図8、図11、図12に示すように、固定部材12に設けられた二つの規制部材22b間で回転範囲を規制されている。
【0045】
また、発射操作装置9は、フェースカバー13に略対応する部分に、ハンドルリング14を付勢する戻りばね15と、筒状に形成され、戻りばね15の内側に配置されるとともに、ハンドルリング14の回転軸23が回転自在に挿入されるハンドルリングスライダ16とが設けられている。戻りばね15は、ねじりコイルばねであり、コイル部分に円筒状のハンドルリングスライダ16が挿入されており、回転するハンドルリング14とハンドルリング14の回転に伴って弾性変形する戻りばね15とが接触しないようになっている。
【0046】
戻りばね15は、コイル部分の一端側からハンドルリング14に係止される第1係止端部28と、後述の戻り負荷調整ギア31に係止される第2係止端部29とがある。第1係止端部28は、ハンドルリング14の開口部26の内側に設けられた第1被係止部30に固定されている。第2係止端部29が固定される戻り負荷調整ギア31は、ジョインタ(図5参照)20とセンタギア21との接続部に回転自在に取り付けられている。すなわち、戻り負荷調整ギア31は、ジョインタ20とセンタギア21に回動自在に挟まれた状態になっている。
また、戻り負荷調整ギア31は、センタギア21の中心軸、すなわち、ハンドルリング14の回転中心を回転中心として回転するようになっている。
【0047】
また、図5に示すように戻り負荷調整ギア31の歯車部分は、ウォームホイールになっており、戻り負荷調整モータ32の回転軸32aに設けられたウォーム33と噛み合っている。これにより、戻り負荷調整モータ32が回転してウォーム33が回転すると、ウォームホイールとしての戻り負荷調整ギア31が回転する。この戻り負荷調整ギア31には、上述の戻りばね15の第2係止端部29が係止される第2被係止部34が設けられている。この第2被係止部34は、ハンドルリング14の回転中心からの距離が、第1被係止部30と略同じとされている。
【0048】
戻り負荷調整ギア31が回転すると、戻りばね15の第2係止端部29が係止されている第2被係止部34が、ハンドルリング14の回転中心回りに旋回移動する。
ここで、戻りばね15のハンドルリング14に固定される第1係止端部28は、ハンドルリング14と同様に原点位置から終点位置までハンドルリング14と同じ回転角度範囲内でハンドルリング14と一体に回転するようになっている。この実施形態では、ハンドルリング14の第1被係止部30(第1係止端部28)の移動方向は、原点位置a(図6に図示)から終点位置b(図11,図12に図示)までが時計回りで、終点位置bから原点位置aまでが反時計回りになっている。
【0049】
同様に、戻り負荷調整モータ32に駆動される戻り負荷調整ギア31の回転による戻りばね15の第2係止端部29(第2被係止部34)の旋回の移動において、第2係止端部29(第2被係止部34)は、その移動可能範囲の原点位置c(図6,図11に図示)から終点位置d(図12,図13に図示)まで時計回りに旋回移動し、終点位置dから原点位置cに反時計回りに旋回移動する。
【0050】
この実施形態では、戻り負荷調整ギア31の回転範囲がハンドルリング14の回転範囲と略同じに設定されており、ハンドルリング14と一体に移動する第1係止端部28の移動範囲になる角度範囲の大きさと、戻り負荷調整ギア31と一体に移動する第2係止端部29の移動範囲になる角度範囲の大きさが略同じになっている。
【0051】
たとえば、第1係止端部28と、第2係止端部29とが原点位置にある状態から第1係止端部28は、ハンドルリング14の回転により終点位置に移動する。この際に、戻りばね15の付勢力は、戻り負荷調整ギア31を移動させなかった場合の最小値から最大値になる。この状態で、戻り負荷調整ギア31の回転により第2係止端部29を原点位置から終点位置に移動すると、戻りばね15の付勢力が上述の最小値になる。すなわち、ハンドルリング14を最大限回して右打ち状態とした際に、ハンドルリング14を原点位置から回し始めた際の戻りばね15の付勢力と同じにすることができる。
【0052】
また、戻り負荷調整モータ32のウォーム33と、ウォームホイールである戻り負荷調整ギア31とにおいて、ウォーム33のねじり角が安息角(摩擦角)より小さくなっている。これにより、戻り負荷調整ギア31の回転方向に戻りばね15の付勢力が作用していても、ウォーム33に噛み合っている戻り負荷調整ギア31は回転できない。すなわち、戻り負荷調整ギア31には、基本的に常時戻りばね15から回転するように力がかかっていても、それによってウォーム33が回転することがなく、戻り負荷調整モータ32側で戻り負荷調整ギア31の回転を止める方向の力を作用させる必要がない。これにより、回転を止める方向に負荷するための部材を省略できるため、コストの増大を防ぐとともに、構造が複雑になることを抑止できる。
【0053】
また、戻り負荷調整モータ32は、回転角(回転数)を制御可能なステッピングモータやサーボ制御モータなどが用いられており、後述の主制御装置41により回転角が制御されている。
【0054】
また、フェースカバー13は、その内部にハンドルリング14に対する操作者の手の接触を検知するタッチセンサ17が備えられている。なお、図示しないが固定部材12には、遊技球の発射を停止する停止ボタンが備えられている。タッチセンサ17および停止ボタンは、例えば、発射制御装置に接続され、操作者の手をタッチセンサ17が検知できない場合と、停止ボタンが押された場合に、ハンドルリング14の回転角に関係なく遊技球の発射を停止するようになっている。
【0055】
このような発射操作装置9においては、ハンドルリング14の原点位置からの回転角が大きく、終点位置の方向に回転させるにつれて、戻りばね15による付勢力が大きくなる。また、戻り負荷調整モータ32の回転により戻り負荷調整ギア31を原点位置から終点位置の方向に回転させると、戻りばね15の付勢力が小さくなる方向に制御される。したがって、ハンドルリング14を終点位置まで回しても、戻り負荷調整ギア31を終点位置まで回転させれば、戻りばね15の付勢力を原点位置と同様の付勢力まで下げることができる。
【0056】
また、ハンドルリング14が原点位置にある状態で、戻り負荷調整ギア31を原点位置から終点位置の方向に回転させると、戻りばね15の付勢力を、上述の原点位置にある場合(戻り負荷調整ギア31が原点位置の場合)の値より下げることができる。なお、この実施形態では、ハンドルリング14が原点位置にある状態で、戻り負荷調整ギア31を終点位置まで回転させても、付勢力が0にならないように設定されている。
【0057】
この実施形態においては、ハンドルリング14が原点位置で、戻り負荷調整ギア31が原点位置の場合の戻りばね15の付勢力と、ハンドルリング14が終点位置で、戻り負荷調整ギア31が終点位置の場合の戻りばね15の付勢力が略同じになる設定になっている。したがって、ハンドルリング14を終点位置まで回して右打ちした状態でも、戻り負荷調整ギア31を終点位置まで回すことで、戻りばね15の付勢力をハンドルリング14が原点位置の場合(但し戻り負荷調整ギア31は原点位置)と、同じ付勢力とすることができる。
なお、戻りばね15の付勢力の最小値は、図13に示すようにハンドルリング14が原点位置で、戻り負荷調整ギア31が終点位置の場合になり、戻りばね15の付勢力の最大値は、ハンドルリング14が終点位置で、戻り負荷調整ギア31が原点位置の場合である。
戻りばね15の付勢力の最大値は、従来と同様仕様とすることができ、戻り負荷調整ギア31を終点位置とした場合の戻りばね15の付勢力の最小値は、基本的に従来の付勢力の最小値より小さなものとされる。
【0058】
ここで、遊技者がハンドルリング14を回転させて、通常の打ち方(弱打ち)をしている場合には、例えば、ハンドルリング14の回転角は、0〜最大値の間の例えば中央部分になる。この状態で、戻り負荷調整モータ32により、戻り負荷調整ギア31を原点位置から終点位置側に回転させると、ハンドルリング14にかかる戻りばね15の付勢力が低下する。
【0059】
この付勢力の低下が、操作者の手に伝わる。この付勢力の変化は、比較的少ない変化であっても、操作者が気づく可能性が高く、戻り負荷調整ギア31を例えば原点位置から終点位置まで回した場合には、確実に操作者が気づくものになる。また、上述のように大きく付勢力を変化させた場合に、操作者が付勢力の変化に対応して手の力を弱める前に、力が余ってハンドルリング14を終点位置側に向けて回転させてしまう可能性が高い。この場合に、遊技球の発射勢が強まって、遊技球は遊技盤3の遊技領域の右側を流下する状態になり易くなる。
【0060】
次に、この発射操作装置の上述の戻り負荷調整モータ32の制御系を図14のブロック図を参照して説明する。
例えば、パチンコ遊技機には、各入賞口への遊技球の入賞に基いて遊技球の払出数を決定して払出装置を制御する払出制御装置にコマンドを出力する主制御装置41が設けられている。
【0061】
主制御装置41の機能は、機種によって異なるが、上述の賞球数の決定に加えて、例えば、テジパチと呼ばれるパチンコ遊技機では、始動入賞口への遊技球の入賞に基いて、変動表示ゲームの大当たりまたははずれを決定するとともに、この抽選結果に基づく変動表示ゲームを表示させる機能を有するものが知られている。また、各種パチンコ遊技機において、主制御装置41は、大当たりが発生した場合に、アタッカ等の変動入賞装置を開放状態として、遊技球が変動入賞装置の入賞口に入賞しやすい遊技状態を発生させる。この場合に、遊技領域の右側に変動入賞装置を設け、この変動入賞装置が開放した場合に、右打ちをすることにより、この変動入賞装置への遊技球の入賞率が高くなる遊技状態を発生させるものがある。
【0062】
この実施形態の発射操作装置においては、前記主制御装置41に戻り負荷調整モータ32のモータ駆動回路42が接続されている。ここで、主制御装置41は、例えば、上述の遊技領域の右側に設けられた変動入賞装置を閉状態に維持する通常遊技状態から抽選結果が大当たりになり、それに基いて上述の右打ちを必要とするように、変動入賞装置を開状態とする大当たり遊技状態を発生させる。また、主制御装置41は、例えば、変動入賞装置の開放時間や、遊技球の変動入賞装置への入賞数などからなる終了条件が成立した際に、変動入賞装置を閉状態として、大当たり遊技状態から通常遊技状態に戻る制御を行う。この大当たり遊技状態では、上述のように右打ちを行うと変動入賞装置に遊技球が入賞し易くなり、遊技者に有利になる。また、右打ちを行わずに通常の打ち方を行うと、大当たり遊技状態が終了するまでの間の変動入賞装置への遊技球の単位時間当たりの入賞率が大きく低下し、かつ、大当たり遊技状態中の遊技球の入賞数も少なくなり、遊技者に不利になる。
【0063】
この際に、主制御装置41は、モータ駆動回路42を介して上述の戻り負荷調整モータ32を制御し、戻りばね15の付勢力を変化させる付勢力調整制御処理を行うようになっている。
この付勢力調整制御処理を図15に示すフローチャートを参照して説明する。なお、この付勢力調整制御処理は、主制御装置41で例えば4μ秒毎に繰り返し行われるリアルタイム処理である。
【0064】
まず、右打ちフラグがセットされているか否かを判定する(ステップS1)。この右打ちフラグは、上述の右打ちを行うと遊技者に有利になる大当たり遊技状態中であることを示すフラグである。
右打ちフラグがセットされていない場合には、大当たり遊技状態が発生(開始)したか否かを判定し(ステップS2)、大当たり遊技状態が発生していない場合には、処理を終了する。大当たり遊技状態が発生している場合(開始した場合)には、右打ちフラグをセットする(ステップS3)。
【0065】
次に、戻り負荷調整モータ32を作動させ、戻り負荷調整ギア31を原点位置から終点位置に向かって回転移動させるための右打ち開始モータ駆動制御処理を開始させて(ステップS4)、処理を終了する。
なお、右打ち開始モータ駆動制御処理は、戻り負荷調整ギア31を原点位置から設定された所定回転角度(例えば、終点位置になる回転角度)まで移動させるものであり、戻り負荷調整モータ32を作動させ、次いで、戻り負荷調整モータ32の回転数が戻り負荷調整ギア31が所定回転角度になる回転数になったところで、戻り負荷調整モータ32を停止する処理である。
【0066】
ここでは、例えば、図6に示すハンドルリング14が原点位置の状態から、図9に示すように、操作者がハンドルリング14を原点位置と終点位置との間の途中位置に回して通常の遊技球の発射勢で遊技球を発射している。この状態から右打ち開始モータ駆動制御処理により、戻り負荷調整ギア31が原点位置から所定回転角度になるまで戻り負荷調整モータ32を回転させる。これにより、戻りばね15の第2係止端部29が図9に示す原点位置cから図10に示す終点位置dに移動する。
【0067】
この場合に、上述のように操作者は、その手で戻りばね15による付勢力が低下したことを感じることになり、これが右打ちをすると有利になる大当たり遊技状態発生を指示するものになる。この場合に、上述のように操作者の力が余って自然にハンドルリング14が時計回りに回転する。これに促されて初心者であっても、図12に示すようにハンドルリング14をさらに時計回りに終点位置まで回転させて、ハンドルリング14を右打ち状態とする可能性が高まる。この際に、上述のように戻りばね15の付勢力は、例えばハンドルリング14が原点位置の場合の付勢力と同等レベルまで低下しているので、右打ちを続けることによる操作者の手の負担を減少させ、手が疲れるのを抑制することができる。
【0068】
また、右打ちフラグがセットされている場合には、大当たり遊技状態が終了したか否かを判定する(ステップS5)。大当たり遊技状態が終了していない場合には処理を終了する。
大当たり遊技状態が終了している場合には、右打ちフラグをリセットし(ステップS6)、右打ち終了モータ駆動制御処理を開始させて(ステップS7)、処理を終了する。
なお、右打ち終了モータ駆動制御処理は、図11に示すように、戻り負荷調整ギア31を現状の位置(例えば終点位置)から原点位置まで回転移動させるものである。戻り負荷調整モータ32を上述の場合と逆に回転するように作動させ、戻り負荷調整モータ32の回転数が戻り負荷調整ギア31が原点位置に戻る回転数になったところで、戻り負荷調整モータ32を停止する処理である。
【0069】
この場合には、上述の場合と逆に戻りばね15の付勢力が上昇し、操作者がそれに気づいて、ハンドルリング14を右打ち状態から通常の打ち方の状態に調整することになる。この場合は、遊技者がハンドルリング14を把持する力を基準とする戻りばね15の付勢力の増大により、自然にハンドルリング14が反時計回りに回り始める状態になる可能性があり、それに示唆されて遊技者がハンドルリング14を通常の打ち方の位置に戻すことになる。
【0070】
このような発射操作装置にあっては、遊技者である操作者に右打ちの開始と、右打ちの終了とをハンドルリング14を持つ手を介して確実に指示することが可能なる。この際に戻りばねの付勢力の変化により、自然にハンドルリングが時計回りまたは反時計回りに回転する可能性が高く、この回転により初心者であっても右打ちの開始または終了を示唆していることに気づくことになる。
【0071】
なお、このような戻りばねの付勢力の変化は、操作者の手に直接的に感じられることになり、このような発射操作装置を備える遊技機における遊技経験がない遊技者には、例えば戸惑いを伴って大きなインパクトを与えることができる。したがって、これを例えば大当たりやリーチの発生の予告に用いることにより、遊技者の興趣を高めることができる。予告処理は、たとえば、従来周知と同様の可動役物の動きによる予告処理と同様に戻り負荷調整モータ32を作動させること、例えば、周期的に付勢力を増減するなど、触覚を介在させた報知演出により行うことができる。
【0072】
すなわち、大当たりの発生が決まっている状態で、未だ大当たりを発生していない場合に、上述のように戻り負荷調整モータ32を作動させて、一時的に戻りばね15の付勢力を低下させればよい。この場合に、既にこのような遊技機で遊技を行ったことがある遊技者でも、周囲の遊技者に知られることなく、自分だけが手の感触により大当たりが発生する可能性が高いことを知っていることにより優越感を得られることができる。
【0073】
また、ハンドルリング14の回転角を検出可能なセンサを設け、このセンサでハンドルリング14の回転角を計測するか、発射ボリューム11における抵抗値の変化からハンドルリング14の回転角を検出し、ハンドルリング14の回転角に対応して戻り負荷調整ギア31を戻り負荷調整モータ32により回転させることによって、ハンドルリング14の回転角に関わらずに戻りばね15の付勢力を略一定としてもよい。基本的に、第1被係止部30(第1係止端部28)と、第2被係止部34(第2係止端部29)との距離が一定になるようにハンドルリング14の回転に対して戻り負荷調整モータ32を制御すれば、戻りばね15の付勢力は常時一定になる。これにより、右打ちの場合を含めて、ハンドルリング14を操作する操作者の手の負担を軽減することができる。
【0074】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0075】
10 発射操作装置(ハンドル)
11 ボリューム(発射勢調整手段)
12 固定部材
14 ハンドルリング(操作子)
15 戻りばね
21 センタギア(操作量伝達手段、回転伝達手段)
22 ボリュームギア(操作量伝達手段、回転伝達手段)
31 戻り負荷調整ギア(付勢力調整制御手段、付勢力調整手段)
32 戻り負荷調整モータ(付勢力調整制御手段、付勢力調整手段)
34 第2被係止部(付勢力調整制御手段、付勢力調整手段)
41 主制御装置(付勢力調整制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に設けられるハンドルを備え、
かつ、当該ハンドルの操作に基づき遊技機に設けられる遊技盤への遊技球の発射を可能にし、前記ハンドルの操作量に応じた発射勢とするように遊技球の発射勢を調整する発射勢調整手段を備える遊技機の発射操作装置において、
前記ハンドルに設けられ、遊技球の発射停止状態を原点位置とし、発射勢最大値に該当する位置まで可変操作される操作子と、
当該操作子の操作量を前記発射勢調整手段に伝達する操作量伝達手段と、
前記操作子の発射勢増大操作に反して当該操作子を原点位置方向に付勢する戻りばねと、
当該戻りばねの付勢力を遊技の進行に伴って変更する付勢力調整制御手段とを備えることを特徴とする遊技機の発射操作装置。
【請求項2】
遊技球の発射が停止された状態から所定の発射勢の範囲内で最大になる最大発射勢により遊技球が発射される状態まで、遊技機の遊技球発射装置における遊技球の発射勢を調整する発射勢調整手段を操作するための遊技機の発射操作装置において、
遊技機に固定される固定部材と、
前記固定部材に回転自在に支持され、所定の回転角度範囲内の最小回転角度になる原点位置から最大回転角度になる終点位置まで回転することによって、遊技球の発射が停止している状態から遊技球の発射勢が所定の発射勢になるまで操作者による前記発射勢調整手段における発射勢の操作を可能にしている操作子と、
前記操作子の回転角を前記発射勢調整手段に伝達する回転伝達手段と、
前記操作子に前記終点位置から前記原点位置に向う回転方向に付勢力を付与する戻りばねと、
前記戻りばねの付勢力の大きさを調整する付勢力調整手段と、
前記付勢力調整手段を制御して、戻りばねの付勢力を変更させる付勢力調整制御手段とを備えることを特徴とする遊技機の発射操作装置。
【請求項3】
前記遊技機は、複数の遊技状態を備え、これら遊技状態が変更されるのに対応して前記付勢力調整制御手段が、前記戻りばねの付勢力を変更させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機の発射操作装置。
【請求項4】
前記付勢力調整制御手段は、前記操作子の前記原点位置からの移動量が多くなっていくのに対応して、前記戻りばねの付勢力が小さくなっていく方向に制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊技機の発射操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−103041(P2013−103041A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250319(P2011−250319)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】