説明

遊技機固定具

【課題】遊技機に部品を取り付けることなく、様々な遊技機の固定に対応することができる遊技機固定具を提供する。
【解決手段】第1,第2取付部材11A,11Bに固定部材12および調整部材13を揺動自在に保持し、調整部材13の軸受け腕部131が上向きで調整部132が固定部材12の固定部122に近接した第1状態となるように調整ネジ14を取付けると、調整ネジ14のネジ頭部141が固定部材12を押圧し、厚い下外枠に固定爪123を押圧して遊技機を固定でき、調整部材13の軸受け腕部131が下向きで調整部132が固定部材12の固定部122から離隔した第2状態となるように調整ネジ14を取付けると、調整ネジ14のネジ頭部141が深い角度で傾動した固定部材12を押圧し、薄い下外枠に固定爪123を押圧して遊技機を固定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機設置島(以下、単に島という)の遊技機収納フレームに収められた遊技機を固定するための遊技機固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、遊技機の傾斜を確認しながら、釘やネジによって遊技機を島に固定していたために、技術が必要であり、遊技場では、コストはかかるが専門の大工に依頼して、遊技機を島に固定していた。
【0003】
そのため、遊技場の従業員によって遊技機を島に設置することが可能な遊技機固定具が開発された。
【0004】
従来の遊技機の設置方法として、取付け台(島)の上・下フレームに金具を取り付け、この金具に設けたボルトを回すことによりパチンコ台(遊技機)の上・下部側フレームを挟着固定する方法がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
また、他の遊技機の固定方法として、パチンコ台(遊技機)の上枠板に調整部材をねじ止めし、この調整部材を介して島に固定するものもある(例えば、特許文献2あるいは特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−020888号公報
【特許文献2】実用新案登録第3130005号公報
【特許文献3】特開平10−080563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近来の遊技機には、様々な制御装置が搭載されており、遊技機裏面側には十分なスペースが確保できない機種もあり、ボルトの一端側を遊技機の外枠に圧着して固定する構造の固定具を遊技機裏面側に配置できないような場合もある。加えて、遊技機の外枠は、メーカーや機種によって厚いものや薄いものが種々あり、外枠の厚さに左右されない全機種対応の固定具とするためには、固定具のネジをある程度長く設定しておく必要があり、狭小な遊技機裏面側に配置することが一層困難となる。
【0008】
また、遊技機に何らかの部材を取り付けることは、遊技機の変更となり、行政に対する手続が必要であるが、その手続が非常に煩雑であり、特に、法改正により、平成18年から、手続をしていない場合や、偽りの手続をした場合の遊技場への行政処分が厳格化されたために、遊技機に何らかの部材を取り付けることを、遊技場が非常に嫌がるという問題がある。更に、遊技機に何らかの部材を取り付けることが、遊技機の性能に影響を及ぼすと判断されると、行政から認められない可能性もある。
【0009】
なお、島のフレームに、予め遊技機固定具等を埋め込んでおけば、遊技機に部材を取り付けることなく、コンパクトな構造で遊技機固定手段を構成できるものの、予め遊技機固定具等を埋め込むことを考慮せずに製造された既存の島や新規の島には、島のフレームのカットなどの改造が必要となり、適用が困難である点で問題である。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、遊技機に部品を取り付けることなく、様々な遊技機の固定に対応することができる、遊技機固定具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、遊技機設置島の遊技機収納フレームに収められた遊技機を固定するための遊技機固定具であって、前記遊技機の後方側にて遊技機設置島に取り付けられる取付部と、該取付部の一側より立ち上がる保持部と、を備える取付部材と、前記取付部材の保持部に揺動自在に軸支されて、支軸に直行するように延出する固定部材用軸受け腕部と、該軸受け腕部の上方延出端に連なるように形成され、調整ネジを導入し得ると共に該調整ネジの一端側に設けられた押圧部を通さないネジ導入孔と、遊技機側へ延出する固定端部側に形成された固定爪と、を有する固定部と、を備える固定部材と、前記固定部材よりも遊技機側にて取付部材の保持部に揺動自在に軸支されて、支軸に直行するように延出する調整部材用軸受け腕部と、該軸受け腕部の端縁に連なるように形成され、調整ネジと螺合し得るネジ受け孔を設けた調整部と、を備える調整部材と、からなり、前記調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合することで、前記調整ネジの一端側に設けられた押圧部により、前記固定部材の固定爪を遊技機の外枠に押圧するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の遊技機固定具において、固定対象である遊技機の外枠が厚い場合には、調整部材の調整部を固定部材の固定部に近接させた第1状態にて、前記調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合することで、前記固定部材の固定爪を遊技機の外枠に押圧し、固定対象である遊技機の外枠が薄い場合には、調整部材の調整部を固定部材の固定部から離隔させた第2状態にて、前記調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合することで、前記固定部材の固定爪を遊技機の外枠に押圧するようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項3に係る発明は、遊技機設置島の遊技機収納フレームに収められた遊技機を固定するための遊技機固定具であって、前記遊技機の後方側にて遊技機設置島に取り付けられる取付部と、該取付部の一側より立ち上がる保持部と、を備える取付部材と、前記取付部材の保持部に揺動自在に軸支されて、支軸に直行するように延出する軸受け腕部と、該軸受け腕部の上方延出端に連なるように形成され、調整ネジを導入し得ると共に該調整ネジの一端側に設けられた押圧部を通さないネジ導入孔と、遊技機側へ延出する固定端部側に形成された固定爪と、を有する固定部と、を備える固定部材と、前記固定部材よりも遊技機側にて取付部材の保持部に揺動自在に支承され、前記調整ネジと螺合し得るネジ受け孔を設けた調整部材と、からなり、前記調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合することで、前記調整ネジの一端側に設けられた押圧部により、前記固定部材の固定爪を遊技機の外枠に押圧するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る遊技機によれば、調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合し、押圧部により、固定部材を押圧し、押圧された固定部材の固定爪で、遊技機を押圧して固定するため、遊技機に部材を取り付けることなく遊技機の固定が可能となり、かつ、コンパクトにすることが可能となる。
【0015】
また、請求項2に係る遊技機によれば、固定対象である遊技機の外枠が厚い場合にも、薄い場合にも、遊技機の固定が可能となる。
【0016】
請求項3に係る遊技機によれば、調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合し、押圧部により、固定部材を押圧し、押圧された固定部材の固定爪で、遊技機を押圧して固定するため、遊技機に部材を取り付けることなく遊技機の固定が可能となり、かつ、コンパクトにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】遊技機側面における固定状態説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る遊技機固定具によって遊技機下外枠を固定した斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る遊技機固定具の外観斜視図である。
【図4】(a)は第1実施形態に係る遊技機固定具の正面図である。(b)は同平面図である。(c)は同裏面図である。
【図5】第1実施形態に係る遊技機固定具の使用状態説明図で、(a)は非使用時の状態、(b)は厚板対応時の状態、(c)は薄板対応時の状態である。
【図6】(a)は図6(d)におけるA−A線矢視断面図である。(b)は図6(d)におけるB−B線矢視断面図である。(c)は図6(d)におけるC−C線矢視断面図である。(d)は薄板対応時の遊技機固定具の平面図である。
【図7】本発明に係る遊技機固定具の状態変更原理説明図である。
【図8】(a)延長用固定爪部材の第1構成例の外観斜視図である。(b)は第1構成例の延長用固定爪部材を第1実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の概略断面図である。
【図9】(a)は第1構成例の延長用固定爪部材を第1実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の俯瞰斜視図である。(b)は第1構成例の延長用固定爪部材を第1実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の仰観斜視図である。
【図10】(a)延長用固定爪部材の第2構成例の外観斜視図である。(b)は第2構成例の延長用固定爪部材を第1実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の概略断面図である。
【図11】(a)は第2構成例の延長用固定爪部材を第1実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の俯瞰斜視図である。(b)は第2構成例の延長用固定爪部材を第1実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の仰観斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具によって遊技機上部外枠を固定した状態の仰観斜視図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具によって遊技機上部外枠を固定した状態の後方側斜視図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具の前方側斜視図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具の分離状態を示す俯瞰斜視図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具の分離状態を示す仰観斜視図である。
【図17】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具による固定状態説明図である。
【図18】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具による前後方向の固定位置調整説明図である。
【図19】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具の第1改変例によって遊技機上部外枠を固定した状態の仰観斜視図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具の第1改変例によって遊技機上部外枠を固定した状態の後方側斜視図である。
【図21】(a)は本発明の第2実施形態に係る遊技機固定部の第2改変例の前面側斜視図である。(b)は本発明の第2実施形態に係る遊技機固定部の第2改変例の正面図である。
【図22】(a)は本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具の第2改変例によって遊技機上部外枠を固定した状態の俯瞰斜視図である。(b)は本発明の第2実施形態に係る遊技機固定具の第2改変例によって遊技機上部外枠を固定した状態の仰観斜視図である。
【図23】本発明の第3実施形態に係る遊技機固定具によって遊技機下外枠を固定した状態の俯瞰斜視図である。
【図24】(a)は第3実施形態に係る遊技機固定具の平面図である。(b)は第3実施形態に係る遊技機固定具の斜視図である。
【図25】(a)は第4実施形態に係る遊技機固定具の平面図である。(b)は第4実施形態に係る遊技機固定具の斜視図である。
【図26】(a)は第5実施形態に係る遊技機固定具の平面図である。(b)は第5実施形態に係る遊技機固定具の斜視図である。
【図27】(a)は第1構成例の延長用固定爪部材を第3実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の俯瞰斜視図である。(b)は第1構成例の延長用固定爪部材を第3実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の仰観斜視図である。
【図28】(a)は第2構成例の延長用固定爪部材を第3実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の俯瞰斜視図である。(b)は第2構成例の延長用固定爪部材を第3実施形態に係る遊技機固定具に装着した状態の仰観斜視図である。
【図29】スペーサを介して高さ調整した第1実施形態に係る遊技機固定具により遊技機下外枠を固定した状態の斜視図である。
【図30】(a)はスペーサを介して高さ調整した第1実施形態に係る遊技機固定具により遊技機下外枠を固定した状態の側面図である。(b)はスペーサの俯瞰斜視図である。
【図31】スペーサを介して高さ調整した第3実施形態に係る遊技機固定具により遊技機下外枠を固定した状態の斜視図である。
【図32】(a)は第6実施形態に係る遊技機固定具の外観斜視図である。(b)は調整部材の斜視図である。(c1)は固定部を水平にした遊技機固定具の概略断面図である。(c2)は固定部を下向きに傾動させた遊技機固定具の概略断面図である。
【図33】(a)は第7実施形態に係る遊技機固定具の外観斜視図である。(b)は調整部材の斜視図である。(c1)は固定部を水平にした遊技機固定具の概略断面図である。(c2)は固定部を下向きに傾動させた遊技機固定具の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る遊技機の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は、遊技機100の外枠101の下部(下外枠101a)を第1実施形態に係る遊技機固定具10により固定し、遊技機100の外枠101の上部(上外枠101b)を第2実施形態に係る遊技機固定具20により固定した状態を示すもので、遊技機設置島200の膳板201上に位置する下部フレーム202に遊技機固定具10を、上部フレーム203に遊技機固定具20を固定する。なお、膳板には、遊技媒体を収容する容器(所謂ドル箱)等を載置する。
【0019】
先ず、第1実施形態に係る遊技機固定具10について説明する。なお、以下の説明では、遊技機固定具10の取付位置において遊技機100に向う方向を前、その逆を後とし、この前後方向を基準に左右を特定する。図2〜図6に示すように、遊技機固定具10は、第1取付部材11A、第2取付部材11B、固定部材12、調整部材13および調整ネジ14等により構成される。
【0020】
第1取付部材11Aおよび第2取付部材11Bは、左右対称の構造であり、遊技機100の下外枠101aの後方側で下部フレーム202に取り付けられる取付部111と、この取付部111の一側より略鉛直方向(下部フレーム202の上面202aに直行する向き)に立ち上がる保持部112とを備えた、例えば、断面略L字状の金属製厚板材である。第1,第2取付部材11A,11Bの取付部111には、各々前後方向に第1取付孔111a,第2取付孔111b,第3取付孔111cを設け、これら第1〜第3取付孔111a〜111cを適宜に用いて、下部フレーム202にビス止めして取り付ける。また、保持部112の適宜前方寄りには、固定部材用軸受け孔112aと調整部材用軸受け孔112bを前後に適宜離して設けてある(図6(b)を参照)。
【0021】
上記第1,第2取付部材11A,11Bの間で揺動自在に軸支される固定部材12は、保持部112と平行に(支軸に直行するように)上方へ延出する左右一対の軸受け腕部121と、軸受け腕部121の上方延出端に連なるように形成された固定部122とを備えた、例えば、金属製厚板材である。各軸受け腕部121には、軸受け孔121aを設けてあり(図6(c)を参照)、第1,第2取付部材11A,11Bの各固定部材用軸受け孔112aと共に軸部材15により回動可能に軸支される。軸部材15は、軸部151の両端に抜け止め部152を形成したもので、軸部151の径は、第1,第2取付部材11A,11Bの固定部材用軸受け孔112aや固定部材12の軸受け孔121aの開口径よりも小さく設定しておくことで、第1,第2取付部材11A,11Bと固定部材12との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができる。
【0022】
また、固定部122の適所(例えば、固定部122を下部フレーム202と平行に配したとき、調整部材14の直上方となる位置)には、上下に貫通するネジ導入孔122aを開設し、このネジ導入孔122aの上方より調整ネジ14を導入する。なお、ネジ導入孔122aの下部開口径は調整ネジ14のネジ頭部141の最大径よりも小さくすることにより、ネジ頭部141が押圧部として機能し、且つ、調整ネジ14のネジ胴部142よりも大きくなるように設定しておくことにより、調整ネジ14がネジ導入孔122aに導入されたままで、調整ネジ14と固定部材12との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができる。なお、本実施の形態では、ネジ頭部141の形状を上端部が平面の皿ネジとし、ネジ導入孔122aの上部開口径を調整ネジ14のネジ頭部141の最大径よりも大きくし、ネジ頭部の上端部が、固定部122より突出しないようにしている。
【0023】
さらに、固定部122の遊技機側端縁である固定端部122bの左右両側には、下向きに突出する固定爪123を形成してあり、固定部材12を傾動させて固定爪123を遊技機100の下外枠101a上に押圧することで、下外枠101aを固定爪123と下部フレーム202により挟持して、遊技機100を固定する。なお、固定部122の適所(例えば、ねじ導入孔122aの適宜前方側)には、後述する延長用固定爪部材を取付けるためのネジ受け孔122cを設けてある。
【0024】
上記第1,第2取付部材11A,11Bの間で揺動自在に軸支される調整部材13は、保持部112と平行に(支軸に直行するように)延出する左右一対の軸受け腕部131と、軸受け腕部131の延出端に連なるように形成された調整部132とを備えた、例えば、金属製厚板材である。各軸受け腕部131には、軸受け孔131aを設けてあり(図6(c)を参照)、第1,第2取付部材11A,11Bの各調整部材用軸受け孔112bと共に軸部材15により回動可能に軸支される。なお、軸受け孔131aの開口径は、第1,第2取付部材11A,11Bの調整材用軸受け孔112bと同様に、軸部材15の軸部151の軸径よりも適宜大きく設定しておくことで、第1,第2取付部材11A,11Bと調整部材13との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができる。
【0025】
また、調整部材13の調整部132の略中央には、調整ネジ14のネジ胴部142のネジ溝と嵌合するネジ溝が形成されたネジ受け孔132aを設けてあり、上記固定部材12の固定部122のネジ導入孔122aから導入された調整ネジ14を螺合することで、固定部材12の傾動状態を変化させることができる。
【0026】
例えば、図5(a)に示すように、調整部材13の軸受け腕部131が上向きで調整部132が固定部材12の固定部122に近接した第1状態となるように調整ネジ14を取付けて、調整ネジ14を締め付ける方向に回転させると、調整部132が固定部122に当接するまでの浅い角度の範囲でしか、調整部材12を傾動させられないため(図5(b)を参照)、遊技機100の下外枠101aがより薄い場合には対応できないが、調整ネジ14を緩める方向に回転させると、軸受け腕部131が上向きの状態で固定部122と調整部132とを離隔することが可能となり、遊技機100の下外枠101aに固定爪123を押圧可能な範囲で、遊技機100の下外枠101aが厚い場合でも対応できる。
【0027】
一方、調整部材13の軸受け腕部131が下向きで調整部132が固定部材12の固定部122から離隔した第2状態となるように調整ネジ14を取付けると、深い角度で調整部材12を傾動させ(図5(c)を参照)、遊技機100の下外枠101aに固定爪123を押圧することができ、遊技機100の下外枠101aが薄い場合に有効である。よって、遊技機固定具10を用いれば、様々なタイプの遊技機100の固定に対応することができる。
【0028】
このように、第1状態でも第2状態でも調整ネジ14を取り付けることが可能なのは、固定部材12と調整部材13と調整ネジ14との相対的位置関係が高い自由度で変えられるようにしたからである。例えば、図7(a1),(a2)に示す第1状態においては、固定部材12の回動基準点αと調整部材13の回動基準点βの離隔距離は、固定部122のネジ導入孔122aと調整部132のネジ受け孔132aが一直線状に並ぶときよりも、調整ネジ14をねじ込んで調整部132を固定部122に近づけてゆくと、固定部材12の回動基準点αと調整部材13の回動基準点βの離隔距離が長くなるが、第1,第2取付部材11A,11Bの固定部材用軸受け孔112aおよび固定部材12の軸受け孔121aは軸部材15の軸部151よりも大きく設定し、第1,第2取付部材11A,11Bの調整部材用軸受け孔112bおよび調整部材13の軸受け孔131aは軸部材15の軸部151よりも大きく設定し、固定部12のネジ導入孔122aは調整ネジ14のネジ胴部142よりも大きく設定することで、調整ネジ14が螺着された状態の調整部13と固定部材12との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができ、回動基準点α,βの離隔変化分を吸収することができるのである。なお、図7(a3)に示すように、調整ネジ14を緩めて固定部122と調整部132を離隔させることもできるので、下外枠101aが非常に厚く形成された遊技機100を固定することも可能である。
【0029】
また、図7(b1),(b2)に示す第2状態においても同様に、固定部材12の回動基準点αと調整部材13の回動基準点βの離隔距離は、固定部122のネジ導入孔122aと調整部132のネジ受け孔132aが一直線状に並ぶときよりも、調整ネジ14をねじ込んで調整部132を固定部122に近づけてゆくと、固定部材12の回動基準点αと調整部材13の回動基準点βの離隔距離が長くなるが、第1,第2取付部材11A,11Bの固定部材用軸受け孔112aおよび固定部材12の軸受け孔121aは軸部材15の軸部151よりも大きく設定し、第1,第2取付部材11A,11Bの調整部材用軸受け孔112bおよび調整部材13の軸受け孔131aは軸部材15の軸部151よりも大きく設定し、固定部12のネジ導入孔122aは調整ネジ14のネジ胴部142よりも大きく設定することで、調整ネジ14が螺着された状態の調整部13と固定部材12との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができ、回動基準点α,βの離隔変化分を吸収することができるのである。なお、本実施の形態では、ネジ導入孔122aの上部開口径を調整ネジ14のネジ頭部141の最大径よりも大きくしているが、調整ネジ14と固定部材12との相対的位置関係を高い自由度で変化させるためには、ネジ導入孔122aの上部開口径は、ネジ胴部142よりも大きく設定すればよく、ネジ導入孔122aの下部開口径と同じでもよい。
【0030】
上述した本実施形態の遊技機用固定具10は、遊技機100の下外枠101aの後端部に固定爪123で固定するものであるが、下外枠101aの後端部に固定爪231を噛み込ませることができない事情があるような場合、下外枠101aの後端部よりも前側を固定するために、延長用固定爪部材310を装着できるようにしてある。
【0031】
第1構成例として示す延長用固定爪部材310は、図8,9に示すように、遊技機用固定具10の固定部12の固定端部122bにおける左右の固定爪123の間に収まる横幅の略板状体である延長基体311の一方端に下向きに突出する爪部312を形成したもので、爪部312を形成していない他方端側にネジ受け孔313を設け、固定部材12の固定部122の延長用固定爪部材を取付けるためのネジ受け孔122cと共に固着ネジ314により取り付ける。
【0032】
上述した第1構成例の延長用固定爪部材310は、遊技機用固定具10に装着したときに延長される爪部312の位置を変更できないが、その位置を細かく微調整できるようにしたのが、第2構成例として示す延長用固定爪部材320である。延長用固定爪部材320は、図10,11に示すように、遊技機用固定具10の固定部12の横幅に略等しい延長基体321の左右両側に下方に延出する側壁部322を設け、側壁部322の一方端に下向きに突出する爪部322を形成したもので、固定部材12の固定部122上に延長用固定爪部材320を乗せた状態で前後にスライド可能である。また、延長基体321には、爪部322aを形成していない他方端側より前後方向のネジ受溝323を設けてあり、このネジ受溝323を介して固定部材12の延長用固定爪部材を取付けるためのネジ受け孔122cに固着ネジ324によって固定できる。すなわち、固着ネジ324をゆるめて延長用固定爪部材320の延出量を適宜に調整した後、再び固着ネジ324で固定すれば、遊技機用固定具10による固定位置を自在に調整できるのである。
【0033】
また、調整部材13の軸受け腕部131が上向きで調整部132が固定部材12の固定部122に近接した第1状態となるように調整ネジ14を取付けて、調整ネジ14を緩める方向に回転させ、固定部122と調整部132とを離隔すると、下外枠101aが非常に厚くなると、固定部122の長さが不足して、遊技機100の下外枠101aに固定爪123を押圧できなくなるが、延長用固定爪部材310、延長用固定爪部材320を用いることにより、爪部312、爪部322aを、遊技機100の下外枠101aに押圧することができ、下外枠101aがより厚い場合でも対応可能となる。
【0034】
なお、本実施の形態では、膳板201と下部フレーム202とを設けたが、下部フレーム202を設けずに、膳板201に下部フレーム202の機能を持たせ、膳板201に遊技機100を戴置し、膳板201に遊技機固定具10を取り付けてもよい。また、膳板201を設けずに、下部フレーム202を前方に延長して、下部フレーム202に膳板201の機能を持たせてもよい。
【0035】
次に、第2実施形態に係る遊技機固定具20について説明する。図12〜図17に示すように、遊技機固定具20は、遊技機100の上外枠101bの後方側で上部フレーム203に取り付けられるもので、上述した遊技機固定具10とは異なり、遊技機固定位置を前後左右に調整可能な構造を備えている。斯くするために、遊技機固定具20は、第1スライドベース部材21、固定部材22、調整部材23、調整ネジ24、軸部材25、第2スライドベース部材26、取付ベース部材27等により構成される。
【0036】
第1スライドベース部材21は、前後方向に長いスライド部211の両側方より略鉛直下方(上部フレーム203の下面203aに直行する向き)に延出する保持部212とを備えた金属製厚板材である。第1スライドベース部材21のスライド部211は、直接上部フレーム203に取り付けられるものではなく、後述する第2スライドベース部材26に対して前後にスライドし、この第2スライドベース部材26は取付ベース部材27に対して左右にスライドする。すなわち、本実施形態においては、遊技機設置島200に取り付けられる取付ベース部材27に対して第1スライドベース部材21の位置調整が可能になるので、第1,第2スライド部材21,26と取付ベース部材27が協働することで、取付部材における取付部としての機能を実現するのである。
【0037】
なお、第1スライドベース部材21の前端部側(側方に保持部212のない部分)は、挟持部211aである。下部フレーム202の場合、遊技機100を戴置するため、下部フレーム202と下外枠101aとの間には殆ど隙間がないが、上部フレームの下面203aと上外枠101bの上面との間にはクリアランスのために数ミリの隙間があるので、挟持部211aを上部フレームの下面203aと上外枠101bとの隙間に挿入し、挟持部211aと固定部材22とにより、遊技機100の上外枠101bを挟持している。
【0038】
上記第1スライドベース部材21における左右の保持部212の間で揺動自在に軸支される固定部材22は、保持部212と平行に(支軸に直行するように)下方へ延出する左右一対の軸受け腕部221と、軸受け腕部221の下方延出端に連なるように形成された固定部222とを備えた、例えば、金属製厚板材である。各軸受け腕部221には軸受け孔を設けてあり、第1スライドベース部材21の各固定部材用軸受け孔と共に軸部材25により回動可能に軸支される。軸部材25は、軸部の両端に抜け止め部を形成したもので、軸部の径は、第1スライドベース部材21の固定部材用軸受け孔や固定部材22の軸受け孔の開口径よりも小さく設定しておくことで、第1スライドベース部材21と固定部材22との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができる。
【0039】
また、固定部222の適所(例えば、固定部222を上部フレーム203と平行に配したとき、調整部材24の直上方となる位置)には、上下に貫通するネジ導入孔222aを開設し、このネジ導入孔222aの下方より調整ネジ24を導入する。なお、ネジ導入孔222aの上部開口径は調整ネジ24のネジ頭部241の最大径よりも小さくすることにより、ネジ頭部241が押圧部として機能し、且つ、調整ネジ24のネジ胴部242よりも大きくなるように設定しておくことにより、調整ネジ24がネジ導入孔222aに導入されたままで、調整ネジ24と固定部材22との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができる。
【0040】
さらに、固定部222の遊技機側端縁である固定端部222bの左右両側には、上向きに突出する固定爪223を形成してあり、固定部材22を傾動させて固定爪223を遊技機100の上外枠101b下面に押圧することで、固定爪223と挟持部211aとで遊技機100を挟持することにより固定する。なお、固定部222の適所(例えば、ねじ導入孔222aの適宜前方側)には、前述した延長用固定爪部材310,320を取付けるためのネジ受け孔222cを設けてある。
【0041】
上記第1スライドベース部材21の間で揺動自在に軸支される調整部材23は、保持部212と平行に(支軸に直行するように)延出する左右一対の軸受け腕部231と、軸受け腕部231の延出端に連なるように形成された調整部232とを備えた、例えば、金属製厚板材である。各軸受け腕部231には、軸受け孔を設けてあり、第1スライドベース部材21の各調整部材用軸受け孔と共に軸部材25により回動可能に軸支される。なお、調整部材23の軸受け孔の開口径は、第1スライドベース部材21の調整部材用軸受け孔と同様に、軸部材25の軸部の軸径よりも適宜大きく設定しておくことで、第1スライドベース部材21と調整部材23との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができる。
【0042】
また、調整部材23の調整部232の略中央には、調整ネジ24のネジ胴部242のネジ溝と嵌合するネジ溝が形成されたネジ受け孔232aを設けてあり、上記固定部材22の固定部222のネジ導入孔222aから導入された調整ネジ24を螺合することで、固定部材22の傾動状態を変化させることができる。
【0043】
上記のように、遊技機固定具10と同様な構造を採用した遊技機固定具20においても、調整部材23の軸受け腕部231が下向きで調整部232が固定部材22の固定部222に近接した第1状態となるように調整ネジ24を取り付けると、調整部232が固定部222に当接するまでの浅い角度の範囲で調整部材22を傾動させ、遊技機100の上外枠101bに固定爪223を押圧し、固定爪223と挟持部211aとで上外枠101bを挟持させることができ、遊技機100の上外枠101bが比較的厚い場合に有効である。また、調整部材23の軸受け腕部231が上向きで調整部232が固定部材22の固定部222から離隔した第2状態となるように調整ネジ24を取り付けると、深い角度で調整部材22を傾動させ、遊技機100の上外枠101bに固定爪223を押圧し、固定爪223と挟持部211aとで上外枠101bを挟持させることができ、遊技機100の上外枠101bが薄い場合に有効である。よって、遊技機固定具20を用いても、様々なタイプの遊技機100の固定に対応することができる。
【0044】
また、遊技機固定具20の第1スライドベース部材21のスライド部211の上面には、前後方向に適宜な長さを有するガイド孔213を開設してあり、第2スライドベース部材26の下面に螺着するガイドネジ261がガイド孔213に沿って前後にスライド可能に保持される。さらに、スライド部211の上面におけるガイド孔213の両側方の適所には、移動規制体214を各々設け、各移動規制体214の上面の前後方向に定間隔で連続的に形成された凹凸が、第2スライドベース部材26の下面へ前後方向の帯状に形成した規制受部262の凹凸に丁度嵌まった状態で、第1スライドベース部材21と第2スライドベース部材26が安定する。この安定状態から力を加えて、第1スライドベース部材21を第2スライドベース部材26から前後に動かすと、移動規制体214の凹凸が規制受部262の凹凸から外れるが、次の凹凸で再び嵌合する。すなわち、第1スライドベース部材21と第2スライドベース部材26は、移動規制体214と規制受部262の凹凸形成間隔が最小移動量となるように移動が規制されるのである。このように、遊技機100の上部を固定した状態で第1スライド部材21の前後位置を調整すると、遊技機100の傾斜角度を簡便に調整することができる。なお、第1スライドベース部材21の適正位置が決まると、スライド部211の下面よりガイド孔213を通して第2スライドベース部材26のネジ受け孔263に螺着されるネジ部を備えた第1調整ハンドル28を締めて固定する。
【0045】
一方、遊技機固定具20の取付ベース部材27は、上部フレーム203の後面203bに当着される第1取付部271と、その下縁部の左右側端部より各々前方へ延出して上部フレーム203の下面203aに当着される第2取付部272,第3取付部273を備え、これら第1取付部271および第2,第3取付部272,273の内から、取付部を適宜選択して、上部フレーム203にネジ止めすることで強固に取り付けることができる。そして、取付ベース部材27の第1取付部271の上縁には、後方へ延出する保持ガイド部274を設けてあり、この保持ガイド部274に形成した左右方向に長いガイド孔274aを通して第2スライドベース部材26に螺着されるネジ部を備えた第2調整ハンドル29によって、第2スライドベース部材26を取付ベース部材27に固定できる。すなわち、第2調整ハンドル29をゆるめれば、第2スライドベース部材26を左右にスライド移動することができ、適正位置にて第2調整ハンドル29を締めれば、第2スライドベース部材27を固定できる。
【0046】
上記のように構成した第2実施形態に係る遊技機固定具20によれば、第1スライドベース部材21を前後動させることで、固定部21の前後位置を適宜に調整できる。例えば、図18(a)に示すように、上外枠101bの左右両端部側に、ある程度の前後幅が有る遊技機100を固定する場合には、第2スライドベース部材26に対して第1スライドベース部材21を標準的な位置に固定したままで十分であるが、図18(b)に示すように、上外枠101bの左右両端部側の前後幅が非常に小さい枠(例えばアルミ枠)101cを備える遊技機100を固定する場合には、第2スライドベース部材26に対して第2スライドベース部材21を前方へ移動させた状態で使用することで対応可能となる。
【0047】
また、第2実施形態に係る遊技機固定具20は、上部フレーム203に取り付ける取付ベース部材27が左右に広い取付スペースを要することから、遊技機100の上方から遊技球を補給する補給機構などが障害となって遊技機固定具20を取り付けることが困難な場合も想定される。このような場合には、図19,20に示す遊技機固定具20′のように、第2,第3取付部272,273の一方(遊技機の中央側)を切除した取付ベース部材27′を用いることができる。この遊技機固定具20′でも、固定部材22の固定部222を前後左右に調整する機能を損なうことはない。
【0048】
また、上部フレーム203の前後幅があまりなく、上部フレーム203の後面203bと上外枠101bの後面との距離が殆どない場合、上部フレームの下面203aと上外枠101bの上面との間の隙間に、第2,第3取付部272,273が挿入されるが、上外枠101bの左右両端部には、外枠を補強する金具があり、金具の形状によっては、第2,第3取付部272,273と干渉することがある。そのような場合には、第2,第3取付部272,273の一方(遊技機の左右端部側)を切除した取付ベース部材27′を用いれば、対応することができる。また、図21,22に示す遊技機固定具20″のように、第2,第3取付部272,273の両方を切除した取付ベース部材27″を用いれば、両方に対応することが可能である。
【0049】
なお、遊技機固定具20″の場合、上部フレーム203に取付ベース部材27をネジ止めする場合、前後方向(上部フレーム203の後面203bに直行する向き)にしかネジ止めできないが、上下方向(上部フレーム203の上面203cに直行する向き)にネジ止めが必要な場合には、例えば、一方を上部フレーム203の上面203cに載置し、他方を上部フレーム203の後面203bに当着した、取付孔を設けた断面略L字状の金属製厚板を設け、一方を取付孔を用いて上部フレーム203の上面203cに上下方向にネジ止めし、他方の取付孔と第1取付部271の取付孔を用いて、上部フレーム203の後面203bに遊技機固定具20″を前後方向にネジ止めしてもよい。また、他方の取付孔を、取付ネジのネジ溝と嵌合するネジ溝が形成されたネジ受け孔にして、取付ネジを取付ベース部材27の第1取付部271の取付孔に挿入して、取付ネジをネジ受け孔に螺着することにより、取付ベース部材27を金属製厚板に取り付けてもよい。なお、上部フレームの上下方向の厚みは、島メーカーによってまちまちのため、第1取付部271の取付孔は長孔となっている。また、取付ベース部材27を金属製厚板に溶接してもよい。また、他方を上部フレーム203の後面203bに当着せず、後面203bと離隔してもよい。
【0050】
前述した遊技機100の下外枠101aを固定する第1実施形態の遊技機固定具10も、左右に広い取付スペースを要するものであるため、遊技機100の機種によっては、遊技球回収機構などが邪魔になって取り付け難いケースも考えられる。そこで、狭小な取り付けスペースに対応可能な第3実施形態に係る遊技機固定具30を、図23,24に基づき説明する。なお、遊技機固定具30は、第1実施形態の遊技機固定具10とほぼ同様の構成で、同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
この遊技機固定具30が遊技機固定具10と大きく違うのは、第1,第2取付部材11A,11Bである。遊技機固定具10においては、取付部111が左側方に延出している第1取付部材11Aを左側に、取付部111が右側方に延出している第2取付部材11Bを右側に各々用いているが、遊技機固定具30においては、取付部111が左側方に延出している第1取付部材11Aを右側に、取付部111が右側方に延出している第2取付部材11Bを左側に用いることで、左右の取付部111が共に内向きとなり、左右幅を抑えることができる。なお、本実施形態のように、第1,第2取付部材11A,11Bを用いるようにすれば、第1実施形態の遊技機固定具10と同じパーツを流用して遊技機固定具30を製造できるという利点があるが、これに限定されず、第1,第2取付部材11A,11Bを一体にした断面コ字状の厚板金具を取付部材として用いても良い。なお、第1取付部材11A,第2取付部材11Bに設けられた、第1取付孔111a,第2取付孔111b,第3取付孔111cのうち、第1取付孔111a、第2取付孔111bが固定部材に遮られ、下部フレーム202にビス止めする際に、使用しにくくなる。
【0052】
また、図25に示す第4実施形態の遊技機固定具40は、一対の第1取付部材11Aを用いるもので、取付部111が右側方に延出しないので、右側方にのみ取付を困難にする障害がある場合に好適である。なお、右側の取付部111と異なり、左側の取付部111の第1取付孔111a、第2取付孔111bは、固定部材12に遮られない。
【0053】
逆に、図26に示す第5実施形態の遊技機固定具50は、一対の第2取付部材11Bを用いるもので、取付部111が左側に延出しないので、左側方にのみ取付を困難にする障害がある場合に好適である。なお、左側の取付部111と異なり、右側の取付部111の第1取付孔111a、第2取付孔111bは、固定部材12に遮られない。
【0054】
上述した第3〜第5実施形態の遊技機固定具30〜50は、第1実施形態の遊技機固定具10と同様な構造の固定部材12を備えるので、図27に示すように第1構成例の延長用固定爪部材310を取り付けたり、図28に示すように第2構成例の延長用固定爪部材320を取り付けたりして、固定位置を微調整できる。
【0055】
また、上述した第1,3〜5実施形態の遊技機固定具10,30〜50は、遊技機100の下外枠101aの厚薄には柔軟に対応できるものの、スケールの異なる遊技機に対応させることは難しい。例えば、大スケールの遊技機100(所謂関西枠の遊技機)に対応した島300に小スケールの遊技機(所謂関東枠の遊技機)を装着する場合には、上下フレーム間に生ずる隙間を埋めるように補助フレーム204を介在させて遊技機の下外枠101aを上方に位置させるため、遊技機固定具10等を取り付けようとすると、補助フレーム204が障害となってしまう。そこで、図29,30に示すように、スペーサ400を介在させることで遊技機固定具10等を取り付ける位置を補助フレーム204の上面に揃えれば、問題なく取り付けることが可能となる。
【0056】
上記スペーサ400の上面である固定具載置面401は、補助フレーム204と略々面一となる高さに形成され、この固定具載置面401には、第1,第2取付部材11A,11Bの第1〜第3取付孔111a〜111cと同じピッチで前後・左右に複数の固定ネジ導入孔402を設けてある。このように、第1,第2取付部材11A,11Bの第1〜第3取付孔111a〜111cに合わせたピッチで固定ネジ導入孔402を設けておけば、図31に示すように、第3実施形態の遊技機固定具30を取り付ける場合にもスペーサ400を流用することができる。
【0057】
上述した第1〜第5実施形態の遊技機固定具10〜50は、対応可能な下外枠101aや上外枠101bの厚さの範囲を広くするために、調整部材13の調整部132を軸受け腕部131によって支軸から離隔させ、調整ネジ14を第1状態もしくは第2状態で螺着可能としたが、対応可能な下外枠101aや上外枠101bの厚さの範囲が狭くても良い場合、すなわち、標準的な厚さに対して多少の微調整が可能な程度で良い場合には、より簡易な構造の遊技機固定具で実現できる。
【0058】
図32に示す第6実施形態の遊技機固定具60は、第1実施形態の遊技機固定具10における調整部材13に代えて、略角柱状の調整部材63を備えるものである。この調整部材63は、左右両側に被支持孔631を設けてあり、取付ネジ65によって第1,第2取付部材11A,11Bの保持部112に揺動自在に取り付けられ、調整ネジ14のネジ胴部142と螺合し得るネジ受け孔632を備える。そして、取付ネジ65の軸径は、第1,第2取付部材11A,11Bに設けた調整部材用軸受け孔の開口径よりも小さく設定しておくことで、第1,第2取付部材11A,11Bと調整部材63との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができる。従って、本実施形態の遊技機固定具60においても、調整ネジ14を調整部材63のネジ受け孔632に螺合させる量を調整することで、図32(c1),(c2)に示すように、固定部材12の傾動状態を変化させることができ、遊技機の外枠の厚さにある程度のバラツキがあっても対応できる。
【0059】
また、図33に示す第7実施形態の遊技機固定具70は、上記第6実施形態の遊技機固定具60における略角柱状の調整部材63に代えて、略円筒状の調整部材73を備えるものである。この調整部材73は、左右両側に被支持孔731を設けてあり、取付ネジ75によって第1,第2取付部材11A,11Bの保持部112に揺動自在に取り付けられ、調整ネジ14のネジ胴部142と螺合し得るネジ受け孔732を備える。なお、調整部材73は、ネジ受け孔732の開口する一方に平坦面733を形成するものとしたが、ネジ受け孔732の開口する両側に平坦面を設けても良いし、平坦面733を設けずに完全な円柱状としても良い。そして、取付ネジ75の軸径は、第1,第2取付部材11A,11Bに設けた調整部材用軸受け孔の開口径よりも小さく設定しておくことで、第1,第2取付部材11A,11Bと調整部材73との相対的位置関係を高い自由度で変化させることができる。従って、本実施形態の遊技機固定具70においても、調整ネジ14を調整部材73のネジ受け孔732に螺合させる量を調整することで、図33(c1),(c2)に示すように、固定部材12の傾動状態を変化させることができ、遊技機の外枠の厚さにある程度のバラツキがあっても対応できる。
【0060】
なお、遊技機固定具60,70においては、調整部材63,73に被支持孔631,731を設け、取付ネジ65,75により揺動自在に支承するものとしたが、これに限定されるものではなく、調整部材の両側より突出する回動軸を設けておき、これを第1,第2取付部材11A,11Bの調整部材用軸受孔に通して揺動自在に支承するようにしても構わないし、その他の適宜な方法によって揺動自在に支承しても良い。また、調整部材の形状も角柱や円柱に限らず、厚板状のものなど、調整ネジ41を適宜な強度で固着できるネジ受け孔を形成できれば、どのような形状でも構わない。
【0061】
以上本発明をいくつかの実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態は全て例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものではなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 遊技機用固定具(第1実施形態)
11A 第1取付部材
11B 第2取付部材
111 取付部
111a〜111c 第1〜第3取付孔
112 保持部
112a 固定部材用軸受け孔
112b 調整部材用軸受け孔
12 固定部材
121 軸受け腕部
121a 軸受け孔
122 固定部
122a ネジ導入孔
122b 固定端部
122c ネジ受け孔
123 固定爪
13 調整部材
131 軸受け腕部
131a 軸受け孔
132 調整部
132a ネジ受け孔
14 調整ネジ
141 ネジ頭部
142 ネジ胴部
15 軸部材
151 軸部
152 抜け止め部
100 遊技機
101a 下外枠
101b 上外枠
200 遊技機設置島
201 膳板
202 下部フレーム
203 上部フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機設置島の遊技機収納フレームに収められた遊技機を固定するための遊技機固定具であって、
前記遊技機の後方側にて遊技機設置島に取り付けられる取付部と、
該取付部の一側より立ち上がる保持部と、
を備える取付部材と、
前記取付部材の保持部に揺動自在に軸支されて、支軸に直行するように延出する固定部材用軸受け腕部と、
該軸受け腕部の上方延出端に連なるように形成され、調整ネジを導入し得ると共に該調整ネジの一端側に設けられた押圧部を通さないネジ導入孔と、遊技機側へ延出する固定端部側に形成された固定爪と、を有する固定部と、
を備える固定部材と、
前記固定部材よりも遊技機側にて取付部材の保持部に揺動自在に軸支されて、支軸に直行するように延出する調整部材用軸受け腕部と、
該軸受け腕部の端縁に連なるように形成され、調整ネジと螺合し得るネジ受け孔を設けた調整部と、
を備える調整部材と、
からなり、
前記調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合することで、前記調整ネジの一端側に設けられた押圧部により、前記固定部材の固定爪を遊技機の外枠に押圧するようにしたことを特徴とする遊技機固定具。
【請求項2】
固定対象である遊技機の外枠が厚い場合には、調整部材の調整部を固定部材の固定部に近接させた第1状態にて、前記調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合することで、前記固定部材の固定爪を遊技機の外枠に押圧し、
固定対象である遊技機の外枠が薄い場合には、調整部材の調整部を固定部材の固定部から離隔させた第2状態にて、前記調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合することで、前記固定部材の固定爪を遊技機の外枠に押圧するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機固定具。
【請求項3】
遊技機設置島の遊技機収納フレームに収められた遊技機を固定するための遊技機固定具であって、
前記遊技機の後方側にて遊技機設置島に取り付けられる取付部と、
該取付部の一側より立ち上がる保持部と、
を備える取付部材と、
前記取付部材の保持部に揺動自在に軸支されて、支軸に直行するように延出する軸受け腕部と、
該軸受け腕部の上方延出端に連なるように形成され、調整ネジを導入し得ると共に該調整ネジの一端側に設けられた押圧部を通さないネジ導入孔と、遊技機側へ延出する固定端部側に形成された固定爪と、を有する固定部と、
を備える固定部材と、
前記固定部材よりも遊技機側にて取付部材の保持部に揺動自在に支承され、前記調整ネジと螺合し得るネジ受け孔を設けた調整部材と、
からなり、
前記調整ネジを固定部材から調整部材へ導入してネジ受け孔に螺合することで、前記調整ネジの一端側に設けられた押圧部により、前記固定部材の固定爪を遊技機の外枠に押圧するようにしたことを特徴とする遊技機固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−10919(P2011−10919A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158630(P2009−158630)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(397054716)光ナノテック株式会社 (17)
【出願人】(390025601)株式会社西陣 (107)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】