説明

遊技機固定装置

【目的】 遊技場側で遊技機の傾斜角度を容易に調整することができ、且つ、遊技機の傾斜角度を不正に変える行為を防止することができる遊技機固定装置を提供する。
【解決手段】 遊技場側では、取付ボルト25の捻じ込み操作によって押圧爪部38が外枠を押圧する方向に押圧固定部材23を移動させる際、押圧固定部材23をスライド移動させて支持部34aの位置調整を行う。これにより、遊技機の傾斜角度を容易に調整することができる。これに対して、遊技場に侵入して不正に遊技機の傾斜角度を変えるような場合には、取付部材22に対する押圧固定部材23のスライド移動位置を変更するために、下側遊技機固定装置20による遊技機の固定状態を解除することになり、遊技機の傾斜角度を不正に変える行為を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される設置空間に遊技機の外枠の上辺部分又は下辺部分を固定する遊技機固定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、遊技島台に列設されるパチンコ機等の遊技機は、遊技島台に設けられる長尺板状の上部島枠と下部島枠との間に形成される設置空間に設置され、この上部又は下部の島枠と遊技機を構成する木製の外枠との間で釘が打ち込まれることにより、前後方向への傾斜角度(所謂「ねかせ角度」)を付けて遊技島台に固定されるようになっていた。ところが、近年では、遊技機を機種交換するサイクルが短くなったことで、遊技機の外枠との間で島枠に釘を打ち込む機会が増加しており、島枠には、釘打ちによって生じた無数の穴が残るようになっていた。このため、新しく遊技機を入れ替えようとしても、島枠に無数の穴が残った状態となり、このような無数の穴が邪魔をして、遊技機を正確に島枠に固定することができないという問題が生じていた。
そこで、特許文献1に開示されているように、島枠を遊技機の外枠との間で釘打ちすることなく、遊技機を固定する遊技機固定装置が提案されている。特許文献1に記載の遊技機固定装置は、外枠にネジ止め固定されるスライド調整機構と、該スライド調整機構に取り付けられるスライドボルトと、該スライドボルトに螺合して取り付けられるスライドタップと、該スライドタップが一体的に固定されると共にスライド調整機構に対してスライド移動可能に取り付けられるグリップベースと、該グリップベースに固定されるグリップアームと、を備え、グリップベースとグリップアームとの間で外枠の後端部分を挟持固定するようになっている。そして、特許文献1の遊技機固定装置では、グリップベースとグリップアームとの間で外枠を挟持固定した状態のまま、スライドボルトを回転操作することでスライドタップを前後方向に移動させ、これに伴って、スライドタップと一体的なグリップベース及びグリップアームを前後方向にスライド移動させることで、外枠の後端面の位置調整、言い換えれば遊技機の傾斜角度の調整を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−148486号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技機の傾斜角度は、当該遊技機を構成する遊技領域でのパチンコ玉の流下に大きな影響を与えるものであり、その傾斜角度が若干変わるだけでも、パチンコ玉が遊技領域内の入賞口に入る割合を大きく左右するようになっている。ところが、上記特許文献1の遊技機固定装置によれば、グリップベースとグリップアームとの間で外枠を挟持固定した状態のまま、即ち、外枠の固定状態を解除することなく、スライドボルトを回転操作するだけで簡単に遊技機の傾斜角度を変えることができてしまう。しかしながら、この構成では、遊技客等の遊技場部外者が不正な操作で簡単に遊技機の傾斜角度を変えることができるので、このような操作によって大量の出玉を獲得するという不正行為が行われる虞がある。また、遊技機の傾斜角度を不正に変える行為を防止するために、傾斜角度の調整操作を困難なものにしてしまうと、これに伴って、遊技機を設置する際に遊技場側で行う傾斜角度の調整作業が面倒になってしまうという問題が生じる。
本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、遊技場側で遊技機の傾斜角度を容易に調整することができ、且つ、遊技機の傾斜角度を不正に変える行為を防止することができる遊技機固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、請求項1の発明においては、遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される設置空間に遊技機の外枠の上辺部分又は下辺部分を固定する遊技機固定装置において、前記遊技機固定装置は、前記上部島枠又は前記下部島枠に取り付けられる取付部材と、前記外枠の上辺部分の下面を上方に押圧する、又は前記外枠の下辺部分の上面を下方に押圧することで前記外枠の上辺部分又は下辺部分を固定する押圧固定部材と、該押圧固定部材を前記取付部材の表側に取り付ける螺軸部材と、前記押圧固定部材との間で前記取付部材を挟持する位置に配置されて前記螺軸部材と螺合する螺合部材と、を備え、前記押圧固定部材は、前記外枠の上辺部分の下面又は下辺部分の上面と当接して当該外枠を押圧する押圧部と、前記外枠の上辺部分又は下辺部分の後端面と当接して当該外枠の後端面を支持する支持部と、を備え、前記取付部材は、前記外枠の前後方向に沿って条設されて前記螺軸部材を挿通する長穴形状の挿通穴を備え、前記螺軸部材は、前記螺合部材に対する捻じ込みによって前記押圧部が前記外枠を押圧する方向に前記押圧固定部材を移動させると共に当該押圧固定部材と前記螺合部材とで前記取付部材を挟持して当該押圧固定部材を前記挿通穴に沿ってスライド移動できないようにする一方、前記螺合部材に対する捻じ込み解除によって前記押圧部が前記外枠の押圧を解除する方向に前記押圧固定部材を移動させ、前記押圧部が前記外枠の押圧を解除した状態で前記支持部の位置調整を行うための前記押圧固定部材のスライド移動を前記挿通穴に沿って可能にすることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の発明においては、請求項1記載の遊技機固定装置において、前記押圧部は、前記押圧固定部材の一端側に設けられ、前記押圧固定部材の他端側には、前記押圧部による前記外枠の押圧に伴って前記取付部材と当接する当接部が設けられることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の発明においては、請求項1又は請求項2記載の遊技機固定装置において、前記取付部材は、前記外枠の前後方向に沿った側壁面を有し、前記押圧固定部材は、前記取付部材の前記側壁面を外嵌することで当該押圧固定部材のスライド移動方向を規制する左右の側壁面を備え、該左右の側壁面の前端部分が、それぞれ前記支持部を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明においては、遊技機(外枠)を設置空間内に設置する場合、先ず、螺軸部材の螺合部材に対する捻じ込み解除によって、押圧部が外枠の押圧を解除する方向に押圧固定部材を移動させ、この状態で、外枠を設置空間に対して前方から挿入して、外枠の上辺部分又は下辺部分の後端面を押圧固定部材の支持部と当接させる。そして、この状態から、螺軸部材の螺合部材に対する捻じ込みによって、押圧部が外枠を押圧する方向に押圧固定部材を移動させて、外枠を設置空間に固定する。このとき、遊技機の傾斜角度は、外枠の上辺部分又は下辺部分の後端面を支持する押圧固定部材の支持部の位置、言い換えれば、取付部材に対する押圧固定部材のスライド移動位置によって決定される。このため、遊技場側では、螺軸部材の捻じ込み操作によって押圧部が外枠を押圧する方向に押圧固定部材を移動させる際、即ち、螺軸部材の螺合部材に対する捻じ込み解除状態から螺軸部材を捻じ込む際、当該螺軸部材を取付部材の挿通穴に沿って移動させることで、押圧固定部材をスライド移動させて支持部の位置調整を行うことができる。従って、遊技機の傾斜角度を調整する作業としては、外枠を設置空間に固定するために螺軸部材を捻じ込み操作する際、押圧固定部材をスライド移動させて支持部の位置を調整するだけでよいので、遊技機の傾斜角度を容易に調整することができる。
これに対して、遊技場に侵入して不正に遊技機の傾斜角度を変えるような場合には、取付部材に対する押圧固定部材のスライド移動位置を変更するために、螺軸部材の螺合部材に対する捻じ込みを解除する必要がある。しかしながら、螺軸部材の螺合部材に対する捻じ込みを一旦解除してしまうと、これに伴って、押圧部が外枠の押圧を解除する方向に押圧固定部材を移動させることになり、結果として、遊技機固定装置による遊技機(外枠)の固定状態を解除することになってしまう。このため、遊技機を固定した状態のまま遊技機の傾斜角度だけを変えるような簡単な作業とは違い、遊技機を固定する作業も行う必要があり大掛かりな作業が強いられることになる。従って、不正に遊技機の傾斜角度を変える作業を困難なものとすることができ、ひいては、遊技機の傾斜角度を不正に変える行為を防止することができる。
【0009】
また、請求項2の発明においては、押圧固定部材の押圧部によって外枠を押圧して固定する際、押圧固定部材は、押圧部を介して外枠から強い反力を受けることになるが、このような押圧部による押圧状態で、押圧固定部材の当接部は、取付部材と当接する。このため、押圧固定部材の一端側の押圧部にかかる強い反力は、押圧固定部材の他端側の当接部と当接する取付部材で受けられるので、押圧固定部材が外枠からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0010】
また、請求項3の発明においては、押圧固定部材を構成する左右の側壁面によって取付部材の側壁面を外嵌することで、押圧固定部材のスライド移動方向を規制することができる。このため、押圧固定部材をスライド移動させて支持部の位置調整を行う場合、即ち、遊技機の傾斜角度を調整する場合には、押圧固定部材を左右方向で傾いた状態でスライド移動させることを回避できる。従って、左右の側壁面の前端部分によって構成される支持部の位置が左右方向で傾くことがないので、遊技機の左右方向で傾斜角度が変わってしまうような不具合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】遊技島台の内部構造の一部と玉貸機、外枠、及び間仕切りを示す正面斜視図である。
【図2】上部島枠と下部島枠との間に取り付けられた外枠を示す裏面斜視図である。
【図3】下部島枠に取り付けられた下側遊技機固定装置によって外枠の下辺部分が固定された状態を示す斜視図である。
【図4】上部島枠に取り付けられた上側遊技機固定装置によって外枠の上辺部分が固定された状態を示す斜視図である。
【図5】同図(A)は下側遊技機固定装置を示す斜視図であり、同図(B)は下側遊技機固定装置を示す分解斜視図である。
【図6】同図(A),(B)はそれぞれ下側遊技機固定装置を示す縦断面図である。
【図7】同図(A)は上側遊技機固定装置を示す斜視図であり、同図(B)は上側遊技機固定装置を示す分解斜視図である。
【図8】同図(A)は取付ベースを除いた上側遊技機固定装置を示す上方からの斜視図であり、同図(B)は取付ベースを除いた上側遊技機固定装置を示す下方からの斜視図である。
【図9】同図(A),(B)はそれぞれ上側遊技機固定装置を示す斜視図である。
【図10】同図(A)は第二実施形態における上側遊技機固定装置を示す斜視図であり、同図(B)は第二実施形態における取付ベースを除いた上側遊技機固定装置を示す斜視図である。
【図11】同図(A)は第二実施形態における上側遊技機固定装置を示す斜視図であり、同図(B)は第二実施形態における上側遊技機固定装置を示す分解斜視図である。
【図12】同図(A)〜(F)はそれぞれ第二実施形態における上側遊技機固定装置によって外枠の傾斜角度が調整される状態を示す側面図である。
【図13】第三実施形態における上側遊技機固定装置と賞球補給装置がスライド調整機構を介して上部島枠に取り付けられた状態を示す上方からの斜視図である。
【図14】第三実施形態における上側遊技機固定装置と賞球補給装置がスライド調整機構を介して上部島枠に取り付けられた状態を示す下方からの斜視図である。
【図15】同図(A)は第三実施形態における取付ベースを除いた上側遊技機固定装置を示す上方からの斜視図であり、同図(B)は第三実施形態における取付ベースを除いた上側遊技機固定装置を示す下方からの斜視図である。
【図16】同図(A)は第三実施形態における上側遊技機固定装置及びスライド調整機構を示す縦断面図であり、同図(B)は第三実施形態におけるスライド調整機構を示す縦断面図である。
【図17】第三実施形態における下側遊技機固定装置とアウト玉箱がスライド調整機構を介して下部島枠に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図18】同図(A)は第三実施形態における下側遊技機固定装置を示す斜視図であり、同図(B)は第三実施形態における下側遊技機固定装置を示す分解斜視図である。
【図19】同図(A),(B)はそれぞれ第三実施形態における下側遊技機固定装置を示す縦断面図である。
【図20】第三実施形態における下側遊技機固定装置が隅角補強金具を備えた外枠を固定した状態を示す斜視図である。
【図21】第三実施形態における下側遊技機固定装置が取替え用の押圧固定部材によって隅角補強金具を備えた外枠を固定した状態を示す斜視図である。
【図22】他の実施形態における間仕切りが取り付けられた遊技島台を示す正面斜視図である。
【図23】同図(A),(B)はそれぞれ他の実施形態における間仕切りを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、図1乃至図4を参照して、本実施形態に係る遊技島台1の概略構成について説明する。図1は、遊技島台1の内部構造の一部と玉貸機2、外枠9、及び間仕切り8を示す正面斜視図である。図2は、上部島枠4と下部島枠5との間に取り付けられた外枠9を示す裏面斜視図である。図3は、下部島枠5に取り付けられた下側遊技機固定装置20によって外枠9の下辺部分が固定された状態を示す斜視図である。図4は、上部島枠4に取り付けられた上側遊技機固定装置50によって外枠9の上辺部分が固定された状態を示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、遊技島台1には、複数の遊技機(図示しない)を取り付けるための上部島枠4と、下部島枠5と、がそれぞれ遊技機の高さ寸法とほぼ同一の間隔をあけて当該遊技島台1の長手方向に沿って掛け渡されている。下部島枠5の前端側は、遊技者が玉箱などを載置するためのいわゆるカウンター板6として突設されている。上部島枠4は、遊技機の上方に配置される図示しない補給樋などを覆い隠すための幕板3が取り付けられる固定枠のうちの下側の枠としての機能を兼ね備えている。下部島枠5の下方には、遊技島台1で循環使用されるパチンコ玉を貯留するための図示しない貯留タンクなどを覆い隠すための腰板13が取り付けられる。
【0014】
上部島枠4と下部島枠5との間には、複数の遊技機間で所定の間隔を設けるための複数の間仕切り8が、遊技機の横幅寸法に当該遊技機に隣接されてパチンコ玉の貸し出しを制御する玉貸機2の横幅寸法を加えた値とほぼ同一の間隔をあけて取り付けられている。そして、上部島枠4、下部島枠5、及び隣接する2本の間仕切り8によって区画された空間が1台の遊技機を設置するための設置空間10として構成されている。なお、図1中には、木製材料から形成されて遊技機内枠(図示しない本体枠や遊技盤から構成される部材)の外周部分を覆う矩形状の外枠9と、該外枠9の下辺前端に取り付けられる装飾カバー板11と、上部島枠4の後側上面に取り付けられて遊技機から排出されたパチンコ玉を図示しない回収樋に送り込むアウト玉箱12と、遊技機(外枠9)に隣接して設けられる玉貸機2と、が設置空間10に取り付けられた状態を図示している。また、遊技機は、装飾カバー板11が取り付けられた外枠9と、該外枠9内に取り付けられる遊技機内枠とから構成されるものである。
【0015】
また、設置空間10を区画形成する下部島枠5には、図2及び図3に示すように、遊技機を当該設置空間10内に固定するための下側遊技機固定装置20が左右2箇所に取り付けられている。一方、設置空間10を区画形成する上部島枠4には、図2及び図4に示すように、傾斜角度(ねかせ角度)を調整可能に遊技機を当該設置空間10内に固定するための上側遊技機固定装置50が左右2箇所に取り付けられている。なお、下側遊技遊技機固定装置20は、下部島枠5の後側上面に固定された支承板7の上面にビスで固定されることにより下部島枠5の上方に取り付けられ、上側遊技機固定装置50は、上部島枠4の後端部分にビスで固定されることにより上部島枠4の下方に取り付けられる。
【0016】
次に、下側遊技機固定装置20の構成について、図5及び図6を参照して説明する。図5(A)は、下側遊技機固定装置20を示す斜視図であり、図5(B)は、下側遊技機固定装置20を示す分解斜視図である。図6(A),(B)は、それぞれ下側遊技機固定装置20を示す縦断面図である。図5(A),(B)に示すように、遊技機固定装置としての下側遊技機固定装置20は、支承板7の上面にビス止めされる取付ベース21と、該取付ベース21と一体的に支承板7にビス止めされる取付部材22と、外枠9の下辺部分の上面を下方に押圧して固定する押圧固定部材23と、該押圧固定部材23を取付部材22に対してスライド移動可能に取り付ける螺合部材24、螺軸部材としての取付ボルト25、及び取付ナット26と、上下2つのコイルスプリング27,28と、押圧固定部材23に取り付けられて外枠9の下辺部分を押圧する押圧ボルト29(図3参照)と、を備えている。
【0017】
取付ベース21は、ほぼ正方形状の板材(木製、紙製、あるいは金属製の板材)からなり、その四隅部分の近傍にはそれぞれ取付ベース21を支承板7にビス止めするための取付穴30が穿設されている。取付部材22は、金属板が折曲されて、上壁面31及び左右の側壁面32を備えた形状に形成されている。上壁面31には、取付ボルト25を挿通するための挿通穴31aが長穴形状に穿設されている。左右の側壁面31の下端には、それぞれ取付部材22を取付ベース21上に取り付けるための取付フランジ部33が形成されており、該取付フランジ部33には、取付ベース21に穿設された4つの取付穴30と個々に対応する取付穴33aが穿設されている。そして、取付ベース21及び取付部材22は、それぞれ各取付穴30,33aを介して支承板7の上面に一体的にビス止めして取り付けられる。なお、取付部材22は、長穴形状をなす挿通穴31aの条設方向が設置空間10に設置される遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように取り付けられる。
【0018】
押圧固定部材23は、金属板が折曲されて、左右の側壁面34、上壁面35、及び後壁面36を備えた形状に形成されている。左右の側壁面34は、それぞれ取付部材22の左右の側壁面32を個々に外嵌する形状に形成されており、その前端部分は、設置空間10に設置される外枠9の下辺部分の後端面と当接して該後端面を支持する支持部34aを構成している。上壁面35の後側部分には、取付ボルト25を取り付けるための取付穴37が穿設されている。一方、上壁面35の前端側は、前方に延設されており、その先端部分は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(実施形態中では、3つ)の押圧爪部38(押圧部)が形成されている。また、上壁面35の前側部分には、ボルト取付用のネジ穴39が穿設されている。このネジ穴39は、押圧ボルト29(図3参照)の捻じ込みを可能にして、当該押圧ボルト29の先端部分で外枠9の下辺上面を押え込むようになっている。後壁面36は、側壁面34に比べて高さ寸法が短く設定されている。このため、押圧固定部材23を取付部材22に取り付けた状態で、後壁面36が取付部材22を外嵌することはなく、後壁面36の下端部分(以下、これを当接部36aという)は、押圧固定部材23による外枠9の下辺部分の押圧状態に応じて取付部材22の上壁面31と当接するようになっている。
【0019】
螺合部材24は、左右の側壁面40及び上壁面41を備えた形状に金属板が折曲形成されて、取付部材22の上壁面31と取付ベース21との間の空間内に配置される。上壁面41には、取付ボルト25と螺合するネジ穴42が穿設されている。なお、螺合部材24の上壁面41と取付ベース21との間には、コイルスプリング28が配置される。これにより、螺合部材24は、コイルスプリング28の弾性力によって、上壁面41が取付部材22の上壁面31と当接するように常時付勢されるようになっている。取付ボルト25は、螺合部材24のネジ穴42と螺合する雄ネジ部43と、該雄ネジ部43の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト25を回転操作するための操作部44と、当該取付ボルト25の下端に設けられて取付ナット26を螺着する止めネジ部45と、該止めネジ部45と雄ネジ部43との間でネジ山が設けられない無ネジ部46と、を備えている。
【0020】
そして、図6(A),(B)に示すように、取付ボルト25が、押圧固定部材23の取付穴37、コイルスプリング27、及び取付部材22の挿通穴31aに順次挿通され、この状態から、下端部分の止めネジ部45が、螺合部材24のネジ穴42、次いで、取付ナット26に螺合される。これにより、押圧固定部材23が、螺合部材24、取付ボルト25、及び取付ナット26によって取付部材22に取り付けられて、下側遊技機固定装置20が組み付けられる。また、このような下側遊技機固定装置20の組み付けによって、押圧固定部材23の上壁面35と取付部材22の上壁面31との間には、コイルスプリング27が配置されることになり、該コイルスプリング27は、上壁面35が取付ボルト25の操作部44と当接するように押圧固定部材23を常時付勢する。一方、螺合部材24と取付ベース21との間に配置されたコイルスプリング28は、前述したように上壁面41が取付部材22の上壁面31と当接するように螺合部材24を常時付勢する。また、取付ボルト25の下端部分となる止めネジ部45が螺合された取付ナット26は、螺合部材24と取付ベース21との間に配置されたコイルスプリング28の内部空間に挿入した状態となる。
【0021】
しかして、以上説明した下側遊技機固定装置20によって外枠9の下辺部分を設置空間10内に固定する場合、先ず、外枠9を設置空間10の前方から挿し入れる。このとき、図6(B)に示すように、取付ボルト25の雄ネジ部43が螺合部材24のネジ穴42に対して捻じ込み解除(取付ボルト25の無ネジ部46がネジ穴42に対応)されることで、押圧固定部材23は、コイルスプリング27の付勢力によって取付部材22から遠ざかる方向(上方向)に移動されている。即ち、押圧固定部材23の押圧爪部38と支承板7との間隔が外枠9の下辺部分の厚さ寸法よりも大きくとられることで、外枠9の設置空間10内への挿入を押圧爪部38が阻害しない位置に移動されている。
【0022】
また、このとき、押圧固定部材23は、取付ボルト25(雄ネジ部43)のネジ穴42に対する捻じ込みが解除され、然も、押圧爪部38による外枠9の押圧を解除した状態にあるため、取付部材22の挿通穴31aに対する取付ボルト25の移動方向、言い換えれば、設置空間10に設置される遊技機(外枠9)の前後方向に沿ってスライド移動が可能となっている。これにより、押圧固定部材23のスライド移動位置を調整することで、側壁面34の前端部分である支持部34aが外枠9の下辺後端面を支持する位置、即ち、設置空間10内における外枠9の下側部分の前後方向の設置位置が調整可能となっている。
【0023】
そして、外枠9の下辺後端面が支持部34aと当接されて設置空間10内への外枠9の挿入が完了すると、図6(A)に示すように、取付ボルト25の雄ネジ部43を螺合部材24のネジ穴42に捻じ込むことで、コイルスプリング27の付勢力に抗して押圧固定部材23を取付部材22に近づく方向(下方向)に移動し、最終的に、押圧爪部38が外枠9の下辺上面に刺し込まれながら当該下辺上面を下方に押し込む位置まで押圧固定部材23を移動させる。これにより、押圧固定部材23(押圧爪部38)と支承板7との間で外枠9の下辺部分を挟持固定する。また、このとき、押圧固定部材23のネジ穴39に押圧ボルト29を捻じ込むことで、当該押圧ボルト29の先端部分でも外枠9の下辺上面を押え込む。これにより、外枠9が硬質プラスチック等の硬質材料から形成されて硬度の高い外枠9を下側遊技機固定装置20で固定する場合でも、硬質な外枠9による押圧爪部38の押し返し(のけ反り)を抑えることができ、強い押し込み力で外枠9を確実に固定することができる。但し、外枠9がプラスチック製など比較的硬質な材料で形成されている場合には、押圧ボルト29に替えてビスを押圧固定部材23のネジ穴39に捻じ込んでビス止めするようにすれば、より強固に外枠9の固定を行うことができる。なお、このように押圧ボルトに替えてビスを押圧固定部材のネジ穴に捻じ込んで外枠をビス止めする構成は、第三実施形態に限定するものではなく、前述した第一又は第二の実施形態に適用することで、同様の効果を奏するようにしてもよい。
【0024】
また、上記した押圧固定部材23の押圧爪部38によって外枠9を上方から押圧して固定する際、押圧固定部材23は、押圧爪部38を介して外枠9の下辺上面から強い反力を受けることになるが、このような押圧爪部38による押圧状態で、押圧固定部材23の後壁面36の当接部36aは、取付部材22の上壁面31と当接するようになっている。このため、押圧固定部材23の一端部分である押圧爪部38にかかる強い反力は、押圧固定部材23の他端部分である当接部36aと当接する取付部材22の上壁面31で受けられるので、押圧固定部材23が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0025】
ところで、押圧固定部材23の上壁面35と取付部材22の上壁面31との間に配置されるコイルスプリング27は、押圧固定部材23を常時上方に付勢することで、押圧固定部材23の押圧爪部38が外枠9の下辺上面を下方に押し込んでいない状態でも、押圧爪部38が設けられる押圧固定部材23の先端側が自重によって下方に落ち込まない、言い換えれば、支承板7との間隔を狭める方向に移動しないようにしている。このため、外枠9を設置空間10の前方から挿し入れる際に、押圧固定部材23を取付部材22から遠ざかる方向(上方向)に移動させた状態でも、押圧固定部材23の先端側(押圧爪部38側)の落ち込みを抑えて、押圧爪部38が外枠9の設置空間10内への挿入を阻害しないようにできる。
【0026】
一方、螺合部材24の上壁面41と取付ベース21との間に配置されるコイルスプリング28は、螺合部材24を常時上方に付勢することで、図6(B)に示す状態、即ち、取付ボルト25の雄ネジ部43が螺合部材24のネジ穴42に対して捻じ込み解除されてネジ穴42に無ネジ部46が位置した状態でも、螺合部材24の上壁面41が取付部材22の上壁面31と当接するようにしている。このため、ネジ穴42に対する雄ネジ部43の捻じ込みが解除された状態から雄ネジ部43を捻じ込んで外枠9を固定する際でも、ネジ穴42が穿設された螺合部材24を強制的に持ち上げることで、ネジ穴42に対する雄ネジ部43の捻じ込み操作を安定して行わせることができる。
【0027】
また、押圧固定部材23を取付部材22に取り付けるための取付ボルト25の下端には、取付ナット26が取り付けられるようになっている。このため、押圧固定部材23を取付部材22から遠ざかる方向(上方向)に移動させる際に、ネジ穴42に対する雄ネジ部43の捻じ込みを緩め過ぎて、取付ボルト25が抜き取られてしまう不具合を解消することができる。さらに、取付ボルト25には、ネジ穴42と螺合する雄ネジ部43と取付ナット26を螺着するための止めネジ部45との間に無ネジ部46が設けられて、雄ネジ部43の下端(無ネジ部46)が、ネジ穴42と螺合せずに遊回転するようになっている。このため、取付ボルト25下端の取付ナット26がないような場合でも、雄ネジ部43の下端で遊回転するので、一気に取付ボルト25が抜けてしまうことがない。
【0028】
次に、上側遊技機固定装置50の構成について、図7乃至図9を参照して説明する。図7(A)は、上側遊技機固定装置50を示す斜視図であり、図7(B)は、上側遊技機固定装置50を示す分解斜視図である。図8(A)は、取付ベース51を除いた上側遊技機固定装置50を示す上方からの斜視図であり、図8(B)は、取付ベース51を除いた上側遊技機固定装置50を示す下方からの斜視図である。図9(A),(B)は、それぞれ上側遊技機固定装置50を示す斜視図である。図7及び図8に示すように、遊技機固定装置としての上側遊技機固定装置50は、上部島枠4の後端部分にビス止めされる取付ベース51と、該取付ベース51に一体的に取り付け固定される取付部材52と、外枠9の上辺部分の下面を上方に押圧して固定する押圧固定部材53と、該押圧固定部材53を取付部材52に対してスライド移動可能に取り付ける螺合部材54、取付ボルト55、及び取付ナット56と、取付部材52を取付ベース51に取り付け固定するための固定ボルト57と、押圧固定部材53に取り付けられて外枠9の上辺部分を押圧する押圧ボルト58と、を備えている。
【0029】
なお、上側遊技機固定装置50を構成する取付部材52、押圧固定部材53、螺合部材54、及び取付ボルト55は、それぞれ前述した下側遊技機固定装置20を構成する取付部材22、押圧固定部材23、螺合部材24、及び取付ボルト25と同一又は同様の形状に形成されて取り付け状態が上下反対となる。このため、以下の説明では、下側遊技機固定装置20の各種構成部材22〜25の説明で用いた上下関係の表現(例えば、上壁面)を便宜的に用いて説明を行うものである。
【0030】
取付ベース51は、長板状の基板部60を備えた金属板が折曲されて形成されており、基板部60の前端側には、取付ベース51を上部島枠4の後端部分にビス止めするための取付穴61を穿設したビス止めフランジ部62が折曲形成されている。基板部60には、固定ボルト57によって取付部材52を取付ベース51に固定するためのネジ穴63,64が前後2箇所に穿設されている。なお、固定ボルト57は、ネジ穴63,64のいずれか一方と螺合することで取付部材52を取付ベース51に固定するものである。また、基板部60の短手方向の両端には、それぞれ取付部材52の横幅方向の取付位置を規制するための規制フランジ部65が下方に折曲形成されている。即ち、左右一対の規制フランジ部65が形成された基板部60は、後述する取付部材52の左右の側壁面66を内嵌する断面凹形状に形成されている。
【0031】
取付部材52は、金属板が折曲されて、左右の側壁面66、上壁面67、前壁面68、及び後壁面69を備えた形状に形成されている。上壁面67には、取付ボルト55を挿通するための挿通穴70が長穴形状に穿設されている。前壁面68の下端には、上側遊技機固定装置50によって外枠9を固定する際に外枠9の上辺部分の上端面と当接する当接フランジ部71が形成されている。一方、後壁面69の下端には、取付部材52を取付ベース51に取り付けるための取付フランジ部72が形成されており、該取付フランジ部72には、固定ボルト57を挿通するための挿通穴73が穿設されている。そして、取付部材52は、取付フランジ部72(挿通穴73)に挿通された固定ボルト57が、上部島枠4の後端部分にビス止めされた取付ベース51のネジ穴63,64のいずれか一方に捻じ込まれることで、取付ベース51に一体的に取り付け固定される。なお、このような取付部材52の取り付け状態において、上壁面67に穿設された長穴形状の挿通穴70は、その条設方向が設置空間10に設置される遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように配される。
【0032】
押圧固定部材53は、金属板が折曲されて、左右の側壁面74、上壁面75、及び後壁面76を備えた形状に形成されている。左右の側壁面74は、それぞれ取付部材52の左右の側壁面66を個々に外嵌する形状に形成されており、その前端部分は、設置空間10に設置される外枠9の上辺部分の後端面と当接して該後端面を支持する支持部74aを構成している。上壁面75の後側部分には、取付ボルト55を取り付けるための取付穴77が穿設されている。一方、上壁面75の前端側は、前方に延設されており、その先端部分は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(実施形態中では、3つ)の押圧爪部78(押圧部)が形成されている。また、上壁面75の前側部分には、ボルト取付用のネジ穴79が穿設されている。このネジ穴79は、押圧ボルト58の捻じ込みを可能にして、当該押圧ボルト58の先端部分で外枠9の上辺下面を押え込むようになっている。後壁面76は、側壁面74に比べて高さ寸法が短く設定されている。このため、押圧固定部材53を取付部材52に取り付けた状態で、後壁面76が取付部材52を外嵌することはなく、後壁面76の下端部分(以下、これを当接部76aという)は、押圧固定部材53による外枠9の上辺部分の押圧状態に応じて取付部材52の上壁面67と当接するようになっている。
【0033】
螺合部材54は、左右の側壁面80及び上壁面81を備えた形状に金属板が折曲形成されて、取付部材52の上壁面67と取付ベース51の基板部60との間の空間内に配置される。上壁面81には、取付ボルト55と螺合するネジ穴82が穿設されている。取付ボルト55は、螺合部材54のネジ穴82と螺合する雄ネジ部83と、該雄ネジ部83の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト55を回転操作するための操作部84と、当該取付ボルト55の下端に設けられて取付ナット56を螺着する止めネジ部85と、該止めネジ部85と雄ネジ部83との間でネジ山が設けられない無ネジ部86と、を備えている。
【0034】
そして、取付ボルト55が、押圧固定部材53の取付穴77及び取付部材52の挿通穴70に順次挿通され、この状態から、上端部分の止めネジ部85が、螺合部材54のネジ穴82、次いで、取付ナット56に螺合される。これにより、押圧固定部材53が、螺合部材54、取付ボルト55、及び取付ナット56によって取付部材52に取り付けられて、上側遊技機固定装置50が組み付けられる。
【0035】
次に、以上説明した上側遊技機固定装置50によって遊技機(外枠9)を設置空間10内で傾斜角度の調整を可能に固定する手順について説明する。なお、上側遊技機固定装置50による外枠9の固定作業は、遊技機の傾斜角度の調整を考慮すれば、前述した下側遊技機固定装置20による外枠9の固定作業が完了した後に行われることが望ましく、以下の説明では、設置空間10内への外枠9の挿入が完了していることを前提として説明を行う。但し、外枠9を設置空間10の前方から挿し入れる際、取付ボルト55の雄ネジ部83が螺合部材54のネジ穴82に対して捻じ込み解除(取付ボルト55の無ネジ部86がネジ穴82に対応)されることで、押圧固定部材53は、重力によって取付部材52から遠ざかる方向(下方向)に移動されている。即ち、押圧固定部材53の押圧爪部78と上部島枠4の下面との間隔が外枠9の上辺部分の厚さ寸法よりも大きくとられることで、外枠9の設置空間10内への挿入を押圧爪部78が阻害しない位置に移動されている。
【0036】
また、上側遊技機固定装置50の組み付けにおいて、取付部材52は、取付ベース51に対して2通りの取り付け状態のうちいずれか一方の状態で取り付けが行われる。即ち、取付部材52の取付フランジ部72に螺合された固定ボルト57を取付ベース51の基板部60に穿設された後側のネジ穴64に捻じ込んで、取付部材52を取付ベース51に取り付け固定した場合には、図9(A)に示すように、取付ベース51に対して取付部材52が後側に取り付けられることで、取付ベース51がビス止めされる上部島枠4に対して押圧固定部材53が後側に配置される。このため、外枠9の奥行き寸法が大きく設定されているとき、言い換えれば、外枠9の後端面が後方に入り込んで設置されるときには、図9(A)に示す状態で押圧固定部材53を後側に配置することにより、奥行き寸法が大きい外枠9に対応した固定作業が行える。
【0037】
一方、取付部材52の取付フランジ部72に螺合された固定ボルト57を取付ベース51の基板部60に穿設された前側のネジ穴63に捻じ込んで、取付部材52を取付ベース51に取り付け固定した場合には、図9(B)に示すように、取付ベース51に対して取付部材52が前側に取り付けられることで、取付ベース51がビス止めされる上部島枠4に対して押圧固定部材53が前側に配置される。このため、外枠9の奥行き寸法が小さく設定されているとき、言い換えれば、外枠9の後端面が後方に入り込まずに設置されるときには、図9(B)に示す状態で押圧固定部材53を前側に配置することにより、奥行き寸法が小さい外枠9に対応した固定作業が行える。
【0038】
そして、外枠9の上辺上面が取付部材52の当接フランジ部71と当接された状態で設置空間10内に外枠9が挿入されると、取付ボルト55の雄ネジ部83を螺合部材54のネジ穴82に捻じ込むことで、重力に抗して押圧固定部材53を取付部材52に近づく方向(上方向)に移動する。なお、このとき、押圧固定部材53は、押圧爪部78による外枠9の押圧を解除した状態にあるため、取付部材52の挿通穴70に対する取付ボルト55の移動方向、言い換えれば、設置空間10に設置される遊技機(外枠9)の前後方向に沿ってスライド移動が可能となっている。これにより、押圧固定部材53のスライド移動位置を調整することで、側壁面74の前端部分である支持部74aが外枠9の上辺後端面を支持する位置、即ち、設置空間10内における外枠9の傾斜角度を調整する。
【0039】
その後は、取付ボルト55の雄ネジ部83をさらに捻じ込むことで、最終的に、押圧爪部78が外枠9の上辺下面に刺し込まれながら当該上辺下面を上方に押し込む位置まで押圧固定部材53を移動させ、これによって、押圧固定部材53(押圧爪部78)と取付部材52の当接フランジ部71との間で外枠9の上辺部分を挟持固定する。また、このとき、押圧固定部材53のネジ穴79に押圧ボルト58を捻じ込むことで、当該押圧ボルト58の先端部分でも外枠9の上辺下面を押え込む。これにより、外枠9が硬質プラスチック等の硬質材料から形成されて硬度の高い外枠9を上側遊技機固定装置50で固定する場合でも、硬質な外枠9による押圧爪部78の押し返し(のけ反り)を抑えることができ、強い押し込み力で外枠9を確実に固定することができる。
【0040】
また、押圧固定部材53の押圧爪部78によって外枠9を下方から押圧して固定する際、押圧固定部材53は、前述した下側遊技機固定装置20の押圧固定部材23と同様に、押圧爪部78を介して外枠9の上辺下面から強い反力を受けることになるが、このような押圧爪部78による押圧状態で、押圧固定部材53の後壁面76の当接部76aは、取付部材52の上壁面75と当接するようになっている。このため、押圧固定部材53の一端部分である押圧爪部78にかかる強い反力は、押圧固定部材53の他端部分である当接部76aと当接する取付部材52の上壁面75で受けられるので、押圧固定部材53が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0041】
なお、上側遊技機固定装置50は、下側遊技機固定装置20とは反対に、取付部材52、押圧固定部材53、及び螺合部材54が下側から上側に向けた各ボルト55,57の締結によって取付ベース51の下方位置に取り付けられるようになっている。このため、押圧固定部材53及び螺合部材54は、それぞれ常時重力によって下方に付勢された状態で組み付けられることになる。従って、上側遊技機固定装置50では、下側遊技機固定装置20のようにコイルスプリング27を設けなくても、押圧固定部材53を常時下方に付勢することができるので、押圧爪部78が設けられる押圧固定部材53の先端側が自重によって当接フランジ部71との間隔を狭める方向に移動しないようになっており、押圧爪部78が外枠9の設置空間10内への挿入を阻害しない。また、上側遊技機固定装置50では、下側遊技機固定装置20のようにコイルスプリング28を設けなくても、螺合部材54を常時下方に付勢して螺合部材54の上壁面81を取付部材52の上壁面67と当接させることができるので、ネジ穴82に対する雄ネジ部83の捻じ込みが解除された状態から雄ネジ部83を捻じ込んで外枠9を固定する際でも、ネジ穴82に対する雄ネジ部83の捻じ込み操作を安定して行える。
【0042】
また、上側遊技機固定装置50の取付ボルト55は、前述した下側遊技機固定装置20の取付ボルト25と同様に、その上端に取付ナット56が取り付けられることで、ネジ穴82に対する雄ネジ部83の捻じ込みを緩め過ぎて、取付ボルト55が抜き取られてしまう不具合を解消するようになっている。また、取付ボルト55には、ネジ穴82と螺合する雄ネジ部83と取付ナット56を螺着するための止めネジ部85との間に無ネジ部86が設けられているので、取付ボルト25と同様に、雄ネジ部43の下端(無ネジ部86)が遊回転して一気に取付ボルト55が抜けてしまうことがない。
【0043】
また、以上説明した上側遊技機固定装置50の構成によれば、押圧固定部材53の押圧爪部78との間で外枠9の上辺部分を挟持する当接フランジ部71が取付部材52に形成されている。このため、設置空間10内への設置状態で上部島枠4との間で多少の隙間が生じる外枠9の上辺部分においても、上側遊技機固定装置50を構成する取付部材52と押圧固定部材53との間での強い挟持力によって確実に外枠9の上辺部分を固定することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態の構成によれば、遊技機(外枠9)を設置空間10内に設置する場合、先ず、取付ボルト25(55)の螺合部材24(54)に対する捻じ込み解除によって、押圧爪部38(78)が外枠9の押圧を解除する方向に押圧固定部材23(53)を移動させ、この状態で、外枠9を設置空間10に対して前方から挿入して、外枠9の上辺部分又は下辺部分の後端面を押圧固定部材23(53)の支持部34a(74a)と当接させる。そして、この状態から、取付ボルト25(55)の螺合部材24(54)に対する捻じ込みによって、押圧爪部38(78)が外枠9を押圧する方向に押圧固定部材23(53)を移動させて、外枠9を設置空間10に固定する。このとき、遊技機の傾斜角度は、外枠9の上辺部分又は下辺部分の後端面を支持する押圧固定部材23(53)の支持部34a(74a)の位置、言い換えれば、取付部材22(52)に対する押圧固定部材23(53)のスライド移動位置によって決定される。このため、遊技場側では、取付ボルト25(55)の捻じ込み操作によって押圧爪部38(78)が外枠9を押圧する方向に押圧固定部材23(53)を移動させる際、即ち、取付ボルト25(55)の螺合部材24(54)に対する捻じ込み解除状態から取付ボルト25(55)を捻じ込む際、当該取付ボルト25(55)を取付部材22(52)の挿通穴31a(70)に沿って移動させることで、押圧固定部材23(53)をスライド移動させて支持部34a(74a)の位置調整を行うことができる。従って、遊技機の傾斜角度を調整する作業としては、外枠9を設置空間10に固定するために取付ボルト25(55)を捻じ込み操作する際、押圧固定部材23(53)をスライド移動させて支持部34a(74a)の位置を調整するだけでよいので、遊技機の傾斜角度を容易に調整することができる。
【0045】
これに対して、遊技場に侵入して不正に遊技機の傾斜角度を変えるような場合には、取付部材22(52)に対する押圧固定部材23(53)のスライド移動位置を変更するために、取付ボルト25(55)の螺合部材24(54)に対する捻じ込みを解除する必要がある。しかしながら、取付ボルト25(55)の螺合部材24(54)に対する捻じ込みを一旦解除してしまうと、これに伴って、押圧爪部38(78)が外枠9の押圧を解除する方向に押圧固定部材23(53)を移動させることになり、結果として、下側遊技機固定装置20(上側遊技機固定装置50)による遊技機の固定状態を解除することになってしまう。このため、遊技機を固定した状態のまま遊技機の傾斜角度だけを変えるような簡単な作業とは違い、遊技機を固定する作業も行う必要があり大掛かりな作業が強いられることになる。従って、不正に遊技機の傾斜角度を変える作業を困難なものとすることができ、ひいては、遊技機の傾斜角度を不正に変える行為を防止することができる。
【0046】
また、押圧固定部材23(53)の押圧爪部38(78)によって外枠9を押圧して固定する際、押圧固定部材23(53)は、押圧爪部38(78)を介して外枠9から強い反力を受けることになるが、このような押圧爪部38(78)による押圧状態で、押圧固定部材23(53)の当接部36a(76a)は、取付部材22(52)と当接する。このため、押圧固定部材23(53)の一端側の押圧爪部38(78)にかかる強い反力は、押圧固定部材23(53)の他端側の当接部36a(76a)と当接する取付部材22(52)で受けられるので、押圧固定部材23(53)が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0047】
また、押圧固定部材23(53)を構成する左右の側壁面34(74)によって取付部材22(52)の側壁面32(66)を外嵌することで、押圧固定部材23(53)のスライド移動方向を規制することができる。このため、押圧固定部材23(53)をスライド移動させて支持部34a(74a)の位置調整を行う場合、即ち、遊技機の傾斜角度を調整する場合には、押圧固定部材23(53)を左右方向で傾いた状態でスライド移動させることを回避できる。従って、左右の側壁面34(74)の前端部分によって構成される支持部34a(74a)の位置が左右方向で傾くことがないので、遊技機の左右方向で傾斜角度が変わってしまうような不具合を回避することができる。
【0048】
ところで、上記した実施形態は、遊技機の傾斜角度を変える場合、遊技機の固定状態を解除することで、遊技機の傾斜角度を不正に変える行為を防止する遊技機固定装置の構成を例示しているが、以下に示す第二実施形態の構成によって、遊技機の傾斜角度を不正に変える行為を防止するようにしてもよい。以下、第二実施形態における遊技機固定装置(上側遊技機固定装置100)の構成について、図10乃至図12を参照して説明する。図10(A)は、第二実施形態における上側遊技機固定装置90を示す斜視図であり、図10(B)は第二実施形態における取付ベース101を除いた上側遊技機固定装置100を示す斜視図である。図11(A)は、第二実施形態における上側遊技機固定装置100を示す斜視図であり、図11(B)は、第二実施形態における上側遊技機固定装置100を示す分解斜視図である。図12(A)〜(F)は、それぞれ第二実施形態における上側遊技機固定装置100によって外枠9の傾斜角度が調整される状態を示す側面図である。なお、以下の説明では、上側遊技機固定装置50の説明と同様に、下側遊技機固定装置20の各種構成部材22〜25の説明で用いた上下関係の表現(例えば、上壁面)を便宜的に用いて説明を行うものである。また、以下の説明では、外枠9の上辺部分を固定する上側遊技機固定装置100を例示するが、これに限らず、第二実施形態における遊技機固定装置を、外枠9の下辺部分を固定する下側遊技機固定装置に適用してもよい。
【0049】
図10及び図11に示すように、上側遊技機固定装置100は、上部島枠4の後端部分にビス止めされる取付ベース101と、該取付ベース101に対してスライド移動可能に取り付けられるスライド取付部材102と、外枠9の上辺部分の下面を上方に押圧して固定する押圧固定部材103と、該押圧固定部材103をスライド取付部材102に取り付ける螺合部材104、取付ボルト105、及び取付ナット106と、スライド取付部材102を取付ベース101に取り付けるための固定ボルト107と、押圧固定部材103に取り付けられて外枠9の上辺部分を押圧する押圧ボルト(図示しない)と、を備えている。
【0050】
取付ベース101は、長板状の基板部110を備えた金属板が折曲されて形成されており、基板部110の前端側には、取付ベース101を上部島枠4の後端部分にビス止めするための取付穴111を穿設したビス止めフランジ部112が折曲形成されている。基板部110には、固定ボルト107によってスライド取付部材102を取付ベース101に固定するためのネジ穴113が穿設されている。また、基板部110の短手方向の両端には、それぞれスライド取付部材102の横幅方向の取付位置を規制するための規制フランジ部115が下方に折曲形成されている。即ち、左右一対の規制フランジ部115が形成された基板部110は、後述するスライド取付部材102の左右の側壁面116を内嵌する断面凹形状に形成されている。
【0051】
スライド取付部材102は、金属板が折曲されて、左右の側壁面116、上壁面117、前壁面118、及び後壁面119を備えた形状に形成されている。上壁面117には、取付ボルト105を挿通するための挿通穴120が穿設されている。なお、上壁面117に穿設された挿通穴120は、前記実施形態の取付部材52に穿設された長穴形状の挿通穴70とは違い、取付ボルト105を丁度挿通し得る程度の円形状に形成されている。前壁面118の下端には、上側遊技機固定装置100によって外枠9を固定する際に外枠9の上辺部分の上端面と当接する当接フランジ部121が形成されている。また、前壁面118は、上側遊技機固定装置100によって外枠9を固定する際、当該外枠9の上辺部分の後端面と当接して支持する支持部を構成するようになっている。
【0052】
一方、後壁面119の下端には、スライド取付部材102を取付ベース101に取り付けるための取付フランジ部122が形成されており、該取付フランジ部122には、固定ボルト107を挿通するための挿通穴123が穿設されている。そして、スライド取付部材102は、取付フランジ部122(挿通穴123)に挿通された固定ボルト107が、上部島枠4の後端部分にビス止めされた取付ベース101のネジ穴113に捻じ込まれることで、取付ベース101に取り付けられる。なお、取付フランジ部122に穿設された挿通穴123は、前記実施形態の取付フランジ部72に穿設された挿通穴73とは違い、長穴形状に形成されている。そして、スライド取付部材102の取り付け状態において、取付フランジ部122に穿設された長穴形状の挿通穴123は、その条設方向が設置空間10に設置される遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように配される。
【0053】
押圧固定部材103は、金属板が折曲されて、左右の側壁面124、上壁面125、及び後壁面126を備えた形状に形成されている。左右の側壁面124は、それぞれスライド取付部材102の左右の側壁面116を個々に外嵌する形状に形成されている。上壁面125には、取付ボルト105を取り付けるための取付穴127が穿設されている。また、上壁面125の前端側は、前方に延設されており、その先端部分は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(実施形態中では、3つ)の押圧爪部128(押圧部)が形成されている。また、上壁面125の前側部分には、ボルト取付用のネジ穴129が穿設されている。このネジ穴129は、押圧ボルト(図示しない)の捻じ込みを可能にして、当該押圧ボルトの先端部分で外枠9の上辺下面を押え込むようになっている。一方、後壁面126は、側壁面124に比べて高さ寸法が長く設定されており、上側遊技機固定装置100として組み付けられた状態で、後壁面126の下端部分(以下、これを当接部126aという)は、押圧固定部材103による外枠9の上辺部分の押圧状態に応じてスライド取付部材102の取付フランジ部122の後端部分と当接するようになっている。即ち、押圧固定部材103は、被覆部としての左右の側壁面124、上壁面125、及び後壁面126によって、取付フランジ部122の固定ボルト107(厳密には、固定ボルト107の一端に一体的に設けられて当該固定ボルト107を回転操作するための操作部107a)を覆い隠すようにスライド取付部材102に取り付けられる。
【0054】
螺合部材104は、左右の側壁面130及び上壁面131を備えた形状に金属板が折曲形成されて、スライド取付部材102の上壁面117と取付ベース101の基板部110との間の空間内に配置される。上壁面131には、取付ボルト105と螺合するネジ穴132が穿設されている。取付ボルト105は、螺合部材104のネジ穴132と螺合する雄ネジ部133と、該雄ネジ部133の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト105を回転操作するための操作部134と、当該取付ボルト105の下端に設けられて取付ナット106を螺着する止めネジ部135と、該止めネジ部135と雄ネジ部133との間でネジ山が設けられない無ネジ部136と、を備えている。
【0055】
そして、取付ボルト105が、押圧固定部材103の取付穴127及びスライド取付部材102の挿通穴120に順次挿通され、この状態から、取付ボルト105の止めネジ部135が、螺合部材104のネジ穴132、次いで、取付ナット106に螺合される。これにより、押圧固定部材103が、螺合部材104、取付ボルト105、及び取付ナット106によってスライド取付部材102に取り付けられて、上側遊技機固定装置100が組み付けられる。
【0056】
次に、以上説明した上側遊技機固定装置100によって遊技機(外枠9)を設置空間10内で傾斜角度の調整を可能に固定する手順について説明する。先ず、外枠9の上辺上面がスライド取付部材102の当接フランジ部121と当接された状態で設置空間10内に外枠9が挿入されると、スライド取付部材102の取付フランジ部122(挿通穴123)に取り付けられた固定ボルト107を、取付ベース101のネジ穴113に捻じ込むことで、スライド取付部材102を取付ベース101に取り付ける。なお、このとき、固定ボルト107を完全に捻じ込む前に、取付ベース101に対するスライド取付部材102のスライド移動位置を調整することで、スライド取付部材102の前壁面118が外枠9の上辺後端面と当接する位置、即ち、設置空間10内における外枠9の傾斜角度を調整し、このような傾斜角度の調整が完了した時点で固定ボルト107を完全に捻じ込んでスライド取付部材102を取付ベース101に固定する。
【0057】
そして、取付ボルト105の雄ネジ部133を螺合部材104のネジ穴132に捻じ込むことで、重力に抗して押圧固定部材103をスライド取付部材102に近づく方向(上方向)に移動し、最終的に、押圧爪部128が外枠9の上辺下面に刺し込まれながら当該上辺下面を上方に押し込む位置まで押圧固定部材103を移動させ、これによって、押圧固定部材103(押圧爪部128)とスライド取付部材102の当接フランジ部121との間で外枠9の上辺部分を挟持固定する。また、このとき、押圧固定部材103のネジ穴129に押圧ボルト58を捻じ込むことで、当該押圧ボルト58の先端部分でも外枠9の上辺下面を押え込む。これにより、外枠9が硬質プラスチック等の硬質材料から形成されて硬度の高い外枠9を上側遊技機固定装置100で固定する場合でも、硬質な外枠9による押圧爪部128の押し返し(のけ反り)を抑えることができ、強い押し込み力で外枠9を確実に固定することができる。
【0058】
また、押圧固定部材103の押圧爪部128によって外枠9を下方から押圧して固定する際、押圧固定部材103は、前述した上側遊技機固定装置50の押圧固定部材53と同様に、押圧爪部128を介して外枠9の上辺下面から強い反力を受けることになるが、このような押圧爪部128による押圧状態で、押圧固定部材103の後壁面126の当接部126aは、スライド取付部材102の取付フランジ部122と当接するようになっている。このため、押圧固定部材103の一端部分である押圧爪部128にかかる強い反力は、押圧固定部材103の他端部分である当接部126aと当接するスライド取付部材102の取付フランジ部122で受けられるので、押圧固定部材103が外枠9からの反力を受けて変形するという事態を回避することができる。
【0059】
次に、上記した上側遊技機固定装置100によって固定された遊技機(外枠9)の傾斜角度を調整する手順について、図12を参照して説明する。先ず、図12(A)に示すように、取付ボルト105の捻じ込みによって押圧固定部材103をスライド取付部材102に近づく方向(上方向)に移動させ、押圧爪部128で外枠9の上辺下面を上方に押し込んだ状態から、図12(B)に示すように、一旦、取付ボルト105の捻じ込みを解除して、押圧固定部材103をスライド取付部材102から遠ざかる方向(下方向)に移動させる。これにより、押圧爪部128による外枠9の押圧状態は解除される。その後、図12(C)に示すように、取付ボルト105を中心として押圧固定部材103をほぼ90度回転させる。これにより、押圧爪部128による外枠9の押圧状態(図12(A)の状態)で、押圧固定部材103の側壁面124、上壁面125、及び後壁面126によって覆い隠されていた固定ボルト107の操作部107aが完全に外部に露出され、当該操作部107aの操作、即ち、固定ボルト107の捻じ込み解除操作が可能となる。
【0060】
そして、固定ボルト107の捻じ込みを解除することで、図12(D)に示すように、スライド取付部材102を取付ベース101に対して前後方向にスライド移動させる。このとき、押圧固定部材103は、スライド取付部材102と一体的にスライド移動する。また、スライド取付部材102の前壁面118は、外枠9の上辺後端面との当接状態が維持され、これに伴って、外枠9の上辺後端面の位置、即ち、設置空間10内における外枠9の傾斜角度が調整される。その後は、図12(E)に示すように、取付ボルト105を中心として押圧固定部材103をほぼ90度逆回転させ、次いで、図12(F)に示すように、取付ボルト105の捻じ込みによって押圧固定部材103をスライド取付部材102に近づく方向(上方向)に移動させ、押圧爪部128で外枠9の上辺下面を上方に押し込んだ状態、即ち、上側遊技機固定装置100によって外枠9を固定した状態に戻す。
【0061】
次に、第三実施形態における上側遊技機固定装置140及び下側遊技機固定装置200について、図13乃至図21を参照して説明する。図13は、第三実施形態における上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14がスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す上方からの斜視図である。図14は、第三実施形態における上側遊技機固定装置140と賞球補給装置14がスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられた状態を示す下方からの斜視図である。図15(A)は、第三実施形態における取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す上方からの斜視図であり、図15(B)は、第三実施形態における取付ベース141を除いた上側遊技機固定装置140を示す下方からの斜視図である。図16(A)は、第三実施形態における上側遊技機固定装置140及びスライド調整機構180を示す縦断面図であり、図16(B)は、第三実施形態におけるスライド調整機構180を示す縦断面図である。図17は、第三実施形態における下側遊技機固定装置200とアウト玉箱12がスライド調整機構180を介して下部島枠5に取り付けられた状態を示す斜視図である。図18(A)は、第三実施形態における下側遊技機固定装置200を示す斜視図であり、図18(B)は、第三実施形態における下側遊技機固定装置200を示す分解斜視図である。図19(A),(B)は、それぞれ第三実施形態における下側遊技機固定装置200を示す縦断面図である。図20は、第三実施形態における下側遊技機固定装置200が隅角補強金具9aを備えた外枠9を固定した状態を示す斜視図である。図21は、第三実施形態における下側遊技機固定装置200が取替え用の押圧固定部材230によって隅角補強金具9aを備えた外枠9を固定した状態を示す斜視図である。
【0062】
第三実施形態における上側遊技機固定装置140は、図13及び図14に示すように、賞球補給装置14と共にスライド調整機構180を介して上部島枠4に取り付けられる。なお、賞球補給装置14は、補給樋から送り込まれるパチンコ玉を分岐装置及びスプリングホース(共に図示しない)を介して受け入れて、各遊技機の背面上部に設けられる賞球タンクに供給するものであり、金属板からなる支持基板15、該支持基板15に固着されると共にパチンコ玉を一列に整列して流下させる整列通路16、該整列通路16と連通すると共にその先端が賞球タンク内に臨む補給筒(図示しない)、該補給筒との間で二又状に形成された作動腕17、等の各種構成部材から構成されている。また、スライド調整機構180は、賞球補給装置14及び上側遊技機固定装置140をそれぞれ上部島枠4に対してスライド調整可能に固定するものであり、その詳細については後述する。
【0063】
上側遊技機固定装置140は、図15及び図16に示すように、スライド調整機構180に取り付けられる取付ベース141と、該取付ベース141に一体的に取り付け固定される取付部材142と、外枠9の上辺部分の下面を上方に押圧して固定する押圧固定部材143と、該押圧固定部材143を取付部材142に対してスライド移動可能に取り付ける螺合部材144及び取付ボルト145と、取付部材142内に配置されて螺合部材144を付勢するコイルスプリング146と、取付部材142を取付ベース141に取り付け固定するための固定ボルト147と、押圧固定部材143に取り付けられて外枠9の上辺部分を押圧する押圧ボルト148と、を備えている。なお、以下に示す上側遊技機固定装置140における各種構成部材の説明においても、前述した上側遊技機固定装置50と同様に、下側遊技機固定装置20の各種構成部材の説明で用いた上下関係の表現(例えば、上壁面)を便宜的に用いて説明を行うものである。
【0064】
取付ベース141は、長板状の基板部150を備えた金属板が折曲されて形成されており、基板部150の前端側には、取付ベース141を上部島枠4に設けられるスライド調整機構180に取り付けるための取付穴151を穿設した取付フランジ部152が折曲形成されている。基板部150には、固定ボルト147によって取付部材142を取付ベース141に固定するためのネジ穴153,154が前後2箇所に穿設されている。なお、固定ボルト147は、ネジ穴153,154のいずれか一方と螺合することで取付部材142を取付ベース141に固定するものである。また、基板部150の短手方向の両端には、それぞれ取付部材142の横幅方向の取付位置を規制するための規制フランジ部155が下方に折曲形成されている(図13及び図14参照)。即ち、左右一対の規制フランジ部155が形成された基板部150は、後述する取付部材142の左右の側壁面156を内嵌する断面凹形状に形成されている。
【0065】
取付部材142は、金属板が折曲されて、左右の側壁面156、上壁面157、前壁面158、及び後壁面159を備えた形状に形成されている。上壁面157には、取付ボルト145を挿通するための挿通穴160が長穴形状に穿設されている。前壁面158の下端には、上側遊技機固定装置140によって外枠9を固定する際に外枠9の上辺部分の上端面と当接する当接フランジ部161が形成されている。一方、後壁面159の下端には、取付部材142を取付ベース141に取り付けるための取付フランジ部162が形成されており、該取付フランジ部162には、固定ボルト147を挿通するための挿通穴163が穿設されている。そして、取付部材142は、取付フランジ部162(挿通穴163)に挿通された固定ボルト147が、上部島枠4の後端部分にビス止めされた取付ベース141のネジ穴153,154のいずれか一方に捻じ込まれることで、取付ベース141に一体的に取り付け固定される。なお、このような取付部材142の取り付け状態において、上壁面157に穿設された長穴形状の挿通穴160は、その条設方向が設置空間10に設置される遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように配される。
【0066】
押圧固定部材143は、金属板が折曲されて、左右の側壁面164、上壁面165、及び後壁面166を備えた形状に形成されている。左右の側壁面164は、それぞれ取付部材142の左右の側壁面156を個々に外嵌する形状に形成されており、その前端部分は、設置空間10に設置される外枠9の上辺部分の後端面と当接して該後端面を支持する支持部164aを構成している。上壁面165の後側部分には、取付ボルト145を取り付けるための取付穴167が穿設されている。一方、上壁面165の前端側は、前方に延設されており、その先端部分は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(実施形態中では、3つ)の押圧爪部168(押圧部)が形成されている。また、上壁面165の前側部分には、ボルト取付用のネジ穴(図示しない)が穿設されている。このネジ穴は、押圧ボルト148の捻じ込みを可能にして、当該押圧ボルト148の先端部分で外枠9の上辺下面を押え込むようになっている。後壁面166は、側壁面164に比べて高さ寸法が短く設定されている。このため、押圧固定部材143を取付部材142に取り付けた状態で、後壁面166が取付部材142を外嵌することはなく、後壁面166の下端部分(以下、これを当接部166aという)は、押圧固定部材143による外枠9の上辺部分の押圧状態に応じて取付部材142の上壁面157と当接するようになっている。
【0067】
螺合部材144は、前壁面169、後壁面170、及び上壁面171を備えた形状に金属板が折曲形成されて、取付部材142の上壁面157と取付ベース141の基板部150との間の空間内に配置される。上壁面171には、取付ボルト145と螺合するネジ穴172が穿設されている。取付ボルト145は、螺合部材144のネジ穴172と螺合する雄ネジ部173と、該雄ネジ部173の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト145を回転操作するための操作部174と、を備えている。そして、取付ボルト145の雄ネジ部173が、押圧固定部材143の取付穴167及び取付部材142の挿通穴160に順次挿通され、この状態から、螺合部材144のネジ穴172に螺合される。これにより、押圧固定部材143が、螺合部材144及び取付ボルト145によって取付部材142に取り付けられて、上側遊技機固定装置140が組み付けられる。
【0068】
なお、上側遊技機固定装置140の取付ボルト145は、前述した上側遊技機固定装置50の取付ボルト55とは異なり、取付ボルトの下端に設けられて取付ナットを螺着する止めネジ部と、該止めネジ部と雄ネジ部との間でネジ山が設けられない無ネジ部と、を備えない構成となっているが、これに限定するものではなく、取付ボルト55と同様に、止めネジ部及び無ネジ部を備えるものであってもよい。また、コイルスプリング146は、その一端が取付部材142の後壁面159と当接する一方、他端が螺合部材144の後壁面170と当接するように取付部材142内に配置されて、螺合部材144を常時前方に付勢するようになっている。
【0069】
次に、上記した上側遊技機固定装置140及び賞球補給装置14をそれぞれ上部島枠4に対してスライド調整可能に固定するスライド調整機構180について説明する。なお、以下の説明では、便宜的に、上側遊技機固定装置140をスライド調整可能に固定するスライド調整機構180についてのみ説明を行う。スライド調整機構180は、図16(A),(B)に示すように、上部島枠4にビス止めされるスライドベース181と、上側遊技機固定装置140を構成する取付ベース141の取付フランジ部152に蝶ボルト182で取り付け固定されるスペーサ183及びスライド板184と、該スライド板184に取り付けられる蝶ボルト185及びワッシャー186と、から構成されている。
【0070】
スライドベース181は、断面が「L」字状に形成されると共に、その全長が外枠9の横幅寸法とほぼ同一に設定されている。上部島枠4の上端面と面接触して固定されるスライドベース181の上壁片187には、ビス止め用の取付穴188が複数穿設され、スライドベース181の側壁片189には、スペーサ183及びスライド板184と係合するスライド溝191が上下一対の溝形成壁190によってスライドベース181の全長に亘って条設されている。
【0071】
スペーサ183は、ほぼ正方形状の平板からなり、その平板面には蝶ボルト182と螺合するネジ穴192が穿設されている。一方、スライド板184は、スペーサ183に比べて若干大きめとなる横長方形状の平板からなり、その平板面には蝶ボルト182,185と個々に螺合するネジ穴193,194が長手方向に沿って穿設されている。そして、スペーサ183及びスライド板184は、それぞれネジ穴192,193を介して蝶ボルト182で取付ベース141の取付フランジ部152(取付穴151)に取り付け固定される。また、スペーサ183の横長寸法は、取付フランジ部152の横幅寸法とほぼ同一に設定されており、スライド板184の横長寸法は、取付フランジ部152の横幅寸法に比べて長めに設定されている。このため、スペーサ183は、取付フランジ部152の左右両側端から突出することなく取付ベース141に固定される。これに対して、スライド板184は、取付ベース141との間にスペーサ183を挟持した状態で且つその一端側(ネジ穴194が穿設された側)が取付フランジ部152の一側端から突出した状態で固定される。そして、取付フランジ部152から突出したスライド板184の一端側部分(ネジ穴194が穿設された部分)は、蝶ボルト185及びワッシャー186の取付部195を構成するようになっている。
【0072】
しかして、上記したスライド調整機構180を構成するスライドベース181は、遊技島台1に設置される各遊技機毎に各取付穴188を介して上部島枠4にビス止めして取り付けられる。次いで、このように上部島枠4に固定されたスライドベース181のスライド溝191に、上側遊技機固定装置140の取付ベース141が蝶ボルト182で固定されたスライド調整機構180のスペーサ183及びスライド板184を側方からスライド挿入することで、上側遊技機固定装置140が上部島枠4に固定されたスライドベース181に対してスライド可能に取り付けられる。そして、遊技機を構成する外枠9の上辺部分を固定する位置に上側遊技機固定装置140をスライド移動させ、この状態でスライド板184の取付部195に取り付けられた蝶ボルト185を締め付ける。これにより、スライド板184とワッシャー186との間で、スライド溝191を形成するスライドベース181の溝形成壁190を挟持することになり、結果として、上側遊技機固定装置140が外枠9を固定する所望の位置に固定される。
【0073】
なお、以上説明した上側遊技機固定装置140による遊技機(外枠9)の固定方法は、前述した上側遊技機固定装置50と同様であるので、便宜的にその説明を省略する。但し、上側遊技機固定装置140は、上側遊技機固定装置50とは異なり、取付部材142内に配置されて螺合部材144を前方に付勢するコイルスプリング146を備えた構成となっている。このため、取付ボルト145を介して螺合部材144と一体的に取り付けられる押圧固定部材143も同様に、コイルスプリング146の弾性力によって前方に付勢されるようになっている。
【0074】
従って、上側遊技機固定装置140で遊技機(外枠9)を固定する場合、外枠9の上辺部分の後端面を支持する押圧固定部材143の支持部166aは、常に外枠9の上辺部分を前方に押圧する方向、言い換えれば、外枠9の上辺部分の後端面との隙間をなくす方向に移動することになる。その結果、押圧固定部材143の支持部166aと外枠9の上辺部分の後端面とを密着させることで、外枠9を確実に支持した状態で上側遊技機固定装置140による遊技機(外枠9)の固定を行うことができる。なお、このように螺合部材を前方に付勢するコイルスプリングを備えた上側遊技機固定装置の構成は、第三実施形態に限定するものではなく、前述した第一又は第二の実施形態に適用することで、同様の効果を奏するようにしてもよい。
【0075】
なお、遊技機の固定作業をやり慣れない作業員の場合、押圧固定部材143の支持部166aと外枠9の上辺部分の後端面との間で隙間が生じてしまい、外枠9の支持状態が不安定のまま遊技機を固定してしまうようなこともあり得るが、上記した構成であれば、固定作業の熟練度合いに関わらず確実な支持状態で遊技機を固定することができる。また、コイルスプリング146の弾性力によって押圧固定部材143を前方に付勢する構成とすることで、遊技機を固定していない状態で、常に押圧固定部材143をスライド移動可能な最前方位置に移動させておくことができる。このため、設置空間10への遊技機の取り付け及び取り外し作業毎で押圧固定部材143を後方位置から前方に戻すような些細な作業が不要になる。
【0076】
一方、第三実施形態における下側遊技機固定装置200は、図17に示すように、アウト玉箱12と共にスライド調整機構180を介して下部島枠5に取り付けられる。なお、スライド調整機構180は、前述した上側遊技機固定装置140を上部島枠4に対してスライド調整可能に固定するものと同様であり、便宜的に同一の構成部材については同一の符号を付すと共にその詳細な説明を省略して以下の説明を行う。
【0077】
下側遊技機固定装置200は、図18及び図19に示すように、スライド調整機構180に取り付けられる取付ベース201と、該取付ベース201と一体的にスライド調整機構180に取り付けられる取付部材202と、外枠9の下辺部分の上面を下方に押圧して固定する押圧固定部材203と、該押圧固定部材203を取付部材202に対してスライド移動可能に取り付ける螺合部材204、取付ボルト205、及び取付ナット206と、3つのコイルスプリング207,208,209と、押圧固定部材203に取り付けられて外枠9の下辺部分を押圧する押圧ボルト(図示しない)と、を備えている。
【0078】
取付ベース201は、ほぼ正方形状の金属板からなり、その四隅部分の近傍にはそれぞれ取付ベース201をスライド調整機構180のスペーサ183及びスライド板184にビス止めするための取付穴210が穿設されている。但し、実際にビス止めされる取付穴210は、取付ベース201の前端側に穿設された2つの取付穴210である。取付部材202は、金属板が折曲されて、上壁面211、左右の側壁面212a、及び後壁面212bを備えた形状に形成されている。上壁面211には、取付ボルト205を挿通するための挿通穴211aが長穴形状に穿設されている。左右の側壁面212aの下端には、それぞれ取付部材202を取付ベース201上に取り付けるための取付フランジ部213が形成されており、該取付フランジ部213には、取付ベース201に穿設された4つの取付穴210と個々に対応する取付穴213aが穿設されている。そして、取付ベース201及び取付部材202は、それぞれ各取付穴210,213aを介してスライド調整機構180のスペーサ183及びスライド板184に一体的にビス止めして取り付けられる。なお、取付部材202は、長穴形状をなす挿通穴211aの条設方向が設置空間10に設置される遊技機(外枠9)の前後方向と並行になるように取り付けられる。
【0079】
押圧固定部材203は、金属板が折曲されて、左右の側壁面214、上壁面215、及び後壁面216を備えた形状に形成されている。左右の側壁面214は、それぞれ取付部材202の左右の側壁面212aを個々に外嵌する形状に形成されており、その前端部分は、設置空間10に設置される外枠9の下辺部分の後端面と当接して該後端面を支持する支持部214aを構成している。上壁面215の後側部分には、取付ボルト205を取り付けるための取付穴217が穿設されている。一方、上壁面215の前端側は、前方に延設されており、その先端部分は、下方にほぼ直角に折曲されて複数(実施形態中では、3つ)の押圧爪部218(押圧部)が形成されている。また、上壁面215の前側部分には、ボルト取付用のネジ穴219が穿設されている。このネジ穴219は、押圧ボルト(図示しない)の捻じ込みを可能にして、当該押圧ボルトの先端部分で外枠9の下辺上面を押え込むようになっている。後壁面216は、側壁面214に比べて高さ寸法が短く設定されている。このため、押圧固定部材203を取付部材202に取り付けた状態で、後壁面216が取付部材202を外嵌することはなく、後壁面216の下端部分(以下、これを当接部216aという)は、押圧固定部材203による外枠9の下辺部分の押圧状態に応じて取付部材202の上壁面211と当接するようになっている。
【0080】
螺合部材204は、前壁面220a、後壁面220b、及び上壁面221を備えた形状に金属板が折曲形成されて、取付部材202の上壁面211と取付ベース201との間の空間内に配置される。上壁面221には、取付ボルト205と螺合するネジ穴222が穿設されている。なお、螺合部材204の上壁面221と取付ベース201との間には、コイルスプリング208が配置される。これにより、螺合部材204は、コイルスプリング208の弾性力によって、上壁面221が取付部材202の上壁面211と当接するように常時付勢されるようになっている。また、螺合部材204の後壁面220bと取付部材202の後壁面212bとの間には、コイルスプリング209が配置される。これにより、螺合部材204は、コイルスプリング209の弾性力によって、常時前方に付勢されるようになっている。取付ボルト205は、螺合部材204のネジ穴222と螺合する雄ネジ部223と、該雄ネジ部223の上端に一体的に設けられて当該取付ボルト205を回転操作するための操作部224と、当該取付ボルト205の下端に設けられて取付ナット206を螺着する止めネジ部225と、該止めネジ部225と雄ネジ部223との間でネジ山が設けられない無ネジ部226と、を備えている。
【0081】
そして、取付ボルト205が、押圧固定部材203の取付穴217、コイルスプリング207、及び取付部材202の挿通穴211aに順次挿通され、この状態から、下端部分の止めネジ部225が、螺合部材204のネジ穴222、次いで、取付ナット206に螺合される。これにより、押圧固定部材203が、螺合部材204、取付ボルト205、及び取付ナット206によって取付部材202に取り付けられて、下側遊技機固定装置200が組み付けられる。また、このような下側遊技機固定装置200の組み付けによって、押圧固定部材203の上壁面215と取付部材202の上壁面211との間には、コイルスプリング207が配置されることになり、該コイルスプリング207は、上壁面215が取付ボルト205の操作部224と当接するように押圧固定部材203を常時付勢する。一方、螺合部材204と取付ベース201との間に配置されたコイルスプリング208は、前述したように上壁面221が取付部材202の上壁面211と当接するように螺合部材204を常時付勢する。また、螺合部材204の後壁面220bと取付部材202の後壁面212bとの間に配置されたコイルスプリング209は、螺合部材204を常時前方に付勢する。また、取付ボルト205の下端部分となる止めネジ部225が螺合された取付ナット206は、螺合部材204と取付ベース201との間に配置されたコイルスプリング208の内部空間に挿入した状態となる。
【0082】
また、上記した下側遊技機固定装置200は、前述した上側遊技機固定装置140と同様に、スライド調整機構180を介して下部島枠5に取り付けられる。具体的な取り付け方法としては、下側遊技機固定装置200の取付ベース201及び取付部材202をスライド調整機構180のスペーサ183及びスライド板184にビス止めして、当該スペーサ183及びスライド板184を下部島枠5に固定されたスライドベース181のスライド溝191に側方からスライド挿入する。そして、遊技機を構成する外枠9の下辺部分を固定する位置に下側遊技機固定装置200をスライド移動させ、この状態でスライド板184の取付部195に取り付けられた蝶ボルト185を締め付ける。これにより、スライド板184とワッシャー186との間で、スライド溝191を形成するスライドベース181の溝形成壁190を挟持することになり、結果として、下側遊技機固定装置200が外枠9を固定する所望の位置に固定される。
【0083】
なお、以上説明した下側遊技機固定装置200による遊技機(外枠9)の固定方法は、前述した下側遊技機固定装置20と同様であるので、便宜的にその説明を省略する。但し、下側遊技機固定装置200は、下側遊技機固定装置20とは異なり、取付部材202内に配置されて螺合部材204を前方に付勢するコイルスプリング209を備えた構成となっている。このため、取付ボルト205を介して螺合部材20と一体的に取り付けられる押圧固定部材203も同様に、コイルスプリング209の弾性力によって前方に付勢されるようになっている。
【0084】
従って、下側遊技機固定装置200においても前述した上側遊技機固定装置140と同様に、遊技機(外枠9)を固定する場合、外枠9の下辺部分の後端面を支持する押圧固定部材203の支持部214aは、常に外枠9の下辺部分を前方に押圧する方向、言い換えれば、外枠9の下辺部分の後端面との隙間をなくす方向に移動することになり、結果として、外枠9を確実に支持した状態で下側遊技機固定装置200による遊技機(外枠9)の固定を行うことができ、さらには、設置空間10への遊技機の取り付け及び取り外し作業毎で押圧固定部材203を後方位置から前方に戻すような些細な作業が不要になる。なお、このように螺合部材を前方に付勢するコイルスプリングを備えた下側遊技機固定装置の構成は、第三実施形態に限定するものではなく、前述した第一又は第二の実施形態に適用することで、同様の効果を奏するようにしてもよい。
【0085】
ところで、上記したようにスライド調整機構180を介して上部島枠4に下側遊技機固定装置200を取り付けることで、下側遊技機固定装置200を上部島枠4に対してスライド調整可能に設ける構成は、隅角部分に補強金具9aを備えたタイプの外枠9に対応した遊技機の固定を可能にする。具体的には、図20に示すように、矩形状に組み付けられる外枠9の強度を向上するために、L字状に折曲された補強金具9aを隅角部分に設けた外枠9の場合、下側遊技機固定装置200が外枠9の隅角側に位置すると、押圧固定部材203の押圧爪部218が補強金具9aの下辺上面を押圧することになり、押圧爪部218による外枠9の押し込みが弱まってしまう。そこで、スライド調整機構180によって補強金具9aと干渉しない位置に下側遊技機固定装置200をスライド移動させることで、押圧爪部218による外枠9の押し込みを強固に行うことができる。
【0086】
また、上記したような補強金具9aを備えた外枠9の構成において、図21に示すように、アウト玉箱12の固定位置あるいは大きさによって下側遊技機固定装置200のスライド移動が規制されてしまい、押圧固定部材203の押圧爪部218が補強金具9aと干渉してしまうような場合には、下側遊技機固定装置200の押圧固定部材203を押圧固定部材230に取り替えることで、補強金具9aとの干渉を回避するようにしてもよい。押圧固定部材230の上壁面215の前端側は、押圧固定部材203と同様に、前方に延設されるが、その延設形状(以下、これを延設部231という)が押圧固定部材203と異なっている。具体的に、押圧固定部材230の延設部231は、上壁面215から前方に向けて延設された後、その延設部分の一側端(外枠9の中央側となる側端)から側方に向けて延設されることで、ほぼL字状の形状に形成されている。そして、延設部231において側方に向けて延設された部分の前端には、下方にほぼ直角に折曲された複数の押圧爪部232が形成されている。
【0087】
しかして、押圧固定部材230を備えた下側遊技機固定装置200は、アウト玉箱12の固定位置によってスライド移動が規制されてしまい、押圧固定部材230が外枠9の横幅方向において補強金具9aと重なり合う位置となってしまう場合でも、延設部231が外枠9の中央側に向けて折曲されたL字状に形成されることで、該延設部231の前端の押圧爪部232が補強金具9aとの干渉を避けた位置で外枠9の押し込みを強固に行うようになっている。
【0088】
なお、図21中には、外枠9の下辺部分を固定する左右一対の下側遊技機固定装置200のうち、外枠9の裏面側から見た右側の押圧固定部材230を図示しており、これに伴って同図中には、延設部231が前方に向かうにつれて左方向に折曲されたものを図示しているが、外枠9の裏面側から見た左側の押圧固定部材230においては、延設部231が前方に向かうにつれて右方向に折曲されたものとなる。また、以上説明した補強金具9aを備えた外枠9に対応する構成は、下側遊技機固定装置200に限定するものではなく、前述した上側遊技機固定装置140においても同様に、スライド調整機構180によって外枠9の上方隅角部に取り付けられる補強金具9aと干渉しない位置に上側遊技機固定装置140をスライド移動させることで、押圧爪部168による外枠9の押し込みを強固に行うことができる。さらに、賞球補給装置14の固定位置あるいは大きさによってスライド移動が規制されてしまう場合でも、外枠9の中央側に向けて折曲されたL字状の延設部231を備えた押圧固定部材230に取り替えることで、補強金具9aとの干渉を避けた位置で外枠9の押し込みを強固に行うことができる。
【0089】
次に、他の実施形態における間仕切り300の構成について、図22及び図23を参照して説明する。図22は、他の実施形態における間仕切り300が取り付けられた遊技島台1’を示す正面斜視図である。図23は、(A),(B)は、それぞれ他の実施形態における間仕切り300を示す側面図である。なお、以下の説明では、前述した遊技島台1と同様の構成については、同一の符号を付すと共にその詳細な説明を省略する。
【0090】
図22に示すように、遊技島台1’には、遊技島台1と同様に、複数の遊技機(図示しない)を取り付けるための上部島枠4及び下部島枠5が設けられ、この上部島枠4と下部島枠5との間には、各遊技機間で所定の間隔を設けるための間仕切り300が玉貸機2と隣接して設けられている。なお、下部島枠5の後側上面には、アウト玉箱12等を取り付ける支承板7が一体的に設けられている。
【0091】
間仕切り300は、図23(A),(B)に示すように、縦長方形状の被覆板部材301と、該被覆板部材301を各島枠4,5間に着脱自在に取り付ける上下一対の取付金具302,303と、を備えている。被覆板部材301の上端側には、当該被覆板部材301を上側の取付金具302にビス304及びワッシャー305で取り付けるための取付穴310が穿設される一方、被覆板部材301の下端裏面には、下側の取付金具303と係合する係合凹部311が設けられている。被覆板部材301のほぼ中央位置には、被覆板部材301の長手方向に沿って伸びる縦長の開口312が穿設されており、該開口312の裏面側には、その裏面空間(以下、これを収納空間313aという)を全体的に被覆するように所定の奥行き寸法で収納空間形成部313が設けられている。また、被覆板部材301の表面側における開口312の上方位置には、当該被覆板部材301を着脱操作するための取手部314が設けられている。
【0092】
被覆板部材301を着脱自在に取り付ける取付金具302,303は、それぞれL字状に折曲形成されている。このうち上側の取付金具302は、当該取付金具302を上部島枠4にビス306で取り付けるための取付穴315が一辺部分に穿設されており、取付金具302の他辺部分には、被覆板部材301をビス304及びワッシャー305で取り付けるためのネジ穴316が穿設されている。一方、下側の取付金具303は、当該取付金具303を下部島枠5上の支承板7にビス307で取り付けるための取付穴317が一辺部分に穿設されており、取付金具303の他辺部分は、被覆板部材301の係合凹部311と係合する係合凸部318として形成されている。
【0093】
そして、上側の取付金具302は、ネジ穴316が穿設された他辺部分を前方に対向させた状態で、取付穴315を介して上部島枠4にビス306で固定される。一方、下側の取付金具303は、係合凸部318である他辺部分を前方に対向させた状態で、取付穴317を介して下部島枠5上の支承板7にビス307で固定される。これに対して、被覆板部材301は、先ず、下側部分における係合凹部311が支承板7に固定された取付金具303の係合凸部318に係合され、次いで、この状態から、上側部分における取付穴310が上部島枠4に固定された取付金具302のネジ穴316にビス304及びワッシャー305で固定される。そして、最後に、被覆板部材301の上側部分を固定するビス304の頭部に、装飾用のキャップ部材308が取り付けられることで、上部島枠4と下部島枠5との間への間仕切り300の取り付けが完了する。なお、このような間仕切り300の取り付け状態において、被覆板部材301に設けられた収納空間313aは、当該間仕切り300に隣接して設置された遊技機の機種紹介用のポップ等を開口312から挿入して収納しておく空間として利用することができる。
【0094】
また、上記した間仕切り300の被覆板部材301を取り外す際には、ビス304の頭部を外部に露出すべくキャップ部材308を取り外し、次いで、ビス304の捻じ込みを解除することで、被覆板部材301の上側部分の固定を解除する。そして、この状態から、係合凹部311と係合凸部318との係合を解除するように被覆板部材301を上方へ引き抜くことで、被覆板部材301を取り外すことができる。
【0095】
ところで、従来の間仕切りの構成によれば、各遊技機間を被覆する板部材(本実施形態の被覆板部材に相当)の裏面側の上端及び下端にそれぞれ取付片部が一体的に設けられ、該上下の取付片部を個々に上部島枠4及び下部島枠5(支承板7)にビス止めすることで、間仕切りの取り付けが行われるようになっていた。しかしながら、このような構成では、間仕切りの取り付け及び取り外しを行う場合、隣接される遊技機が設置空間10から取り外された状態でないと各作業を行うことができなかった。これに対して、間仕切り300の構成によれば、各島枠4,5(支承板7)に固定された取付金具302,303に対して被覆板部材301が着脱可能となっており、然も、被覆板部材301をビス304で止める箇所が当該被覆板部材301の表面部分に露出するようになっている。このため、隣接される遊技機が設置空間10に取り付けられた状態であっても、間仕切り300の取り付け及び取り外しの各作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0096】
1 遊技島台
2 玉貸機
4 上部島枠
5 下部島枠
7 支承板
8 間仕切り
9 外枠
10 設置空間
11 装飾カバー体
20 下側遊技機固定装置(遊技機固定装置)
21 取付ベース
22 取付部材
23 押圧固定部材
24 螺合部材
25 取付ボルト(螺軸部材)
26 取付ナット
27,28 コイルスプリング
29 押圧ボルト
31 上壁面
31a 挿通穴
34 側壁面
34a 支持部
36 側壁面
36a 当接部
38 押圧爪部(押圧部)
50 上側遊技機固定装置(遊技機固定装置)
51 取付ベース
52 取付部材
53 押圧固定部材
54 螺合部材
55 取付ボルト
56 取付ナット
57 固定ボルト
58 押圧ボルト
67 上壁面
70 挿通穴
74 側壁面
74a 支持部
76 側壁面
76a 当接部
78 押圧爪部(押圧部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技島台に設けられる上部島枠と下部島枠との間に形成される設置空間に遊技機の外枠の上辺部分又は下辺部分を固定する遊技機固定装置において、
前記遊技機固定装置は、
前記上部島枠又は前記下部島枠に取り付けられる取付部材と、
前記外枠の上辺部分の下面を上方に押圧する、又は前記外枠の下辺部分の上面を下方に押圧することで前記外枠の上辺部分又は下辺部分を固定する押圧固定部材と、
該押圧固定部材を前記取付部材の表側に取り付ける螺軸部材と、
前記押圧固定部材との間で前記取付部材を挟持する位置に配置されて前記螺軸部材と螺合する螺合部材と、を備え、
前記押圧固定部材は、
前記外枠の上辺部分の下面又は下辺部分の上面と当接して当該外枠を押圧する押圧部と、
前記外枠の上辺部分又は下辺部分の後端面と当接して当該外枠の後端面を支持する支持部と、を備え、
前記取付部材は、前記外枠の前後方向に沿って条設されて前記螺軸部材を挿通する長穴形状の挿通穴を備え、
前記螺軸部材は、前記螺合部材に対する捻じ込みによって前記押圧部が前記外枠を押圧する方向に前記押圧固定部材を移動させると共に当該押圧固定部材と前記螺合部材とで前記取付部材を挟持して当該押圧固定部材を前記挿通穴に沿ってスライド移動できないようにする一方、前記螺合部材に対する捻じ込み解除によって前記押圧部が前記外枠の押圧を解除する方向に前記押圧固定部材を移動させ、前記押圧部が前記外枠の押圧を解除した状態で前記支持部の位置調整を行うための前記押圧固定部材のスライド移動を前記挿通穴に沿って可能にすることを特徴とする遊技機固定装置。
【請求項2】
前記押圧部は、前記押圧固定部材の一端側に設けられ、前記押圧固定部材の他端側には、前記押圧部による前記外枠の押圧に伴って前記取付部材と当接する当接部が設けられることを特徴とする請求項1記載の遊技機固定装置。
【請求項3】
前記取付部材は、前記外枠の前後方向に沿った側壁面を有し、
前記押圧固定部材は、前記取付部材の前記側壁面を外嵌することで当該押圧固定部材のスライド移動方向を規制する左右の側壁面を備え、該左右の側壁面の前端部分が、それぞれ前記支持部を構成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−115294(P2012−115294A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264925(P2010−264925)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000150051)株式会社竹屋 (389)
【Fターム(参考)】