説明

遊技機用操作部材

【課題】例えば遊技者に大当たりの予感(期待感)を知らせる目的で、手のひらに熱さ、または冷たさを知覚させる場合に、遊技者に最適なタイミングで知覚させる。
【解決手段】遊技機本体12の表面に突出した状態で遊技機本体12に支持され、表面の少なくとも一部に表面材21が配置された表面側カバー部材2と、遊技機本体12に支持されたソレノイド71に、表面側カバー部材2と遊技機本体12とが対向する方向に、表面材21側へ突出した状態と遊技機本体12側へ没入した状態とに移動可能に遊技機本体12に支持された可動部材3とを備え、
可動部材3を表面材21側に位置し、通電可能な状態にあるペルチェ素子5と、ペルチェ素子5の背面に接触した状態で接合された伝熱部材6から構成し、可動部材3を没入時に表面材21と非接触状態にし、突出時に表面材21に接触状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば予め決められた条件の成立により遊技球やコイン等の遊技媒体の払い出しが行われる遊技機に装着され、使用時に人の手が触れる状態にある遊技機用操作部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば第1種と呼ばれるパチンコ遊技機では本体の前面側にガラスを収納した前面枠の下に上皿と下皿が配置され、下皿の脇に遊技盤に遊技球を打ち出すためのハンドルが装着され、上皿、もしくは下皿の一部に大当たり中の演出効果を高めるための演出ボタン等が装着される。
【0003】
ハンドルの操作により遊技球が遊技盤に配置された始動口等に入賞したときには、可変表示装置に図柄が可変表示され、例えば3つの数字が揃った場合のように停止図柄が特定の表示に該当した場合に「大当たり状態」となり、賞球として多数の遊技球が払い出される。同時にランプやフラッシュ等の点灯又は点滅、或いはスピーカ等からの効果音が出力される。可変表示装置では図柄の可変表示に加え、キャラクタ等を表示させる演出表示が行われることもある。
【0004】
いずれも「大当たり状態」を遊技者の視覚と聴覚に訴える演出効果であるが、遊技者に視覚や聴覚以外の刺激を与えることを目的とし、電気的な刺激を発生させる、あるいは温度変化を与えることで、知覚に訴える演出手法も考えられている(特許文献1〜3参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平6−7791号CD−ROM(請求項1、段落0006〜0009、図1、図2)
【特許文献2】特開2001−327748号公報(請求項1、段落0072〜0087、図3、図5)
【特許文献3】特開2005−168824号公報(請求項2、段落0030〜0035、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3の内、特に遊技者が握るハンドルから手に刺激としての温度変化を知覚させる特許文献3では、電流の向きを変えることで冷却と発熱が起こる性質を有するペルチェ素子を利用している。
【0007】
ペルチェ素子は2種類の異種金属、または半導体の両端を金属電極を介して接合し、電流を流したときに接合部分に吸熱と発熱が発生する現象を利用した素子であり、一端が冷却されるときに他端が加熱され、電流の向きを逆にすれば熱の発生と吸収が逆になる性質を有する。
【0008】
特許文献3では始動口への遊技球の入賞時のタイミングで、ハンドルに内蔵されたペルチェ素子を用いた温度調整手段に電力供給(通電)の指令を送信し、その信号に基づいて温度調整手段の表面を加熱、もしくは冷却することにより遊技者の手のひらに熱さ、または冷たさを知覚させている(段落0040、0043、0044)。
【0009】
ペルチェ素子に通電を開始した時点からペルチェ素子の表面が目標温度に到達するまでには数秒〜10数秒の時間を要するが、特許文献3のようにペルチェ素子の表面から熱伝導により「温度体感部」へ熱を伝達させる場合(0044)、ペルチェ素子の表面を目標温度に到達させたとしても、その熱を「温度体感部」の表面に効果的に伝導させることは難しい。
【0010】
ペルチェ素子に温度体感部を予め接触させている場合には、両者間に常に熱の移動が生じているため、ペルチェ素子の表面と温度体感部の背面とに温度差が生じにくい状態になる。またペルチェ素子の表面を加熱する場合、ペルチェ素子への加熱開始と同時に、温度体感部へ熱量が移動するため、温度体感部の背面と表面との温度差は大きくならない。温度差のある物体内を移動する熱量は温度差に比例するから(フーリエの法則)、温度差が大きくならない温度体感部内では温度体感部背面(ペルチェ素子表面)から温度体感部表面への熱の伝達は直ちには行われず、時間を掛けて徐々に行われることになる。このことはペルチェ素子を冷却する場合も同様である。
【0011】
従ってペルチェ素子の表面が目標温度に到達した後、ペルチェ素子の熱が「温度体感部」の表面に伝導した時点が遊技者に刺激を与えるべきタイミングであるとしても、特許文献3ではペルチェ素子が目標温度に到達してから、「温度体感部」の表面から遊技者に温度変化を知覚させることが困難である。
【0012】
本発明は上記背景より、遊技者の知覚に、到来する大当たりの予感を最適なタイミングで知らせることを可能にする遊技機用操作部材を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の遊技機用操作部材は、遊技機本体の表面に突出した状態でこの遊技機本体に支持され、表面の少なくとも一部に表面材が配置された表面側カバー部材と、前記遊技機本体に支持されたソレノイド(支持部材)に、前記表面側カバー部材と前記遊技機本体とが対向する方向に、前記表面材側へ突出した状態と前記遊技機本体側へ没入した状態とに移動可能に前記遊技機本体に支持された可動部材とを備え、
前記可動部材が、前記表面材側に位置し、通電可能な状態にあるペルチェ素子と、このペルチェ素子の背面に接触した状態で接合された伝熱部材からなり、前記可動部材が没入時に前記表面材と非接触状態にあり、突出時に前記表面材に接触状態になることを構成要件とする。
「表面」は遊技者側の面を指し、「背面」は遊技機側の面を指すが、表面は上面を、背面は下面を指すこともある。伝熱部材はペルチェ素子の背面が加熱されるか、冷却されるかに応じて放熱、または吸熱を行う。
【0014】
操作部材は遊技機本体の前面に装着されるハンドルの場合と、遊技機本体前面の上皿、もしくは下皿に装着されるボタンの場合があり、前者の場合には請求項3に記載のように遊技機本体の前面に背面側カバー部材が突出した状態で、遊技機本体に装着され、表面側カバー部材が背面側カバー部材と対向した状態で、この背面側カバー部材に連結される。後者の場合には請求項4に記載のように表面側カバー部材が遊技機本体に対し、可動部材の移動方向に相対移動自在に支持される。
【0015】
ペルチェ素子の表面は直接、表面材に接触する場合と、請求項2に記載のようにペルチェ素子の表面に接合された蓄熱部材を介して間接的に表面材に接触する場合がある。請求項2の場合、ペルチェ素子の表面に蓄熱部材が接触した状態で接合され、可動部材の没入時に蓄熱部材が表面材と非接触状態にあり、突出時に表面材に接触した状態になる。ペルチェ素子に蓄熱部材が接合されない場合には、ペルチェ素子が可動部材の突出時に表面材の背面に接触する。蓄熱部材の「蓄熱」は冷熱と温熱の双方を含み、蓄熱部材は冷却される場合と加熱される場合がある。
【0016】
表面材にペルチェ素子の熱を伝達させる上では、ペルチェ素子を表面材の背面に直接接触させればよいが、請求項2では表面材の形状や大きさに対応した形状と大きさを有し得る蓄熱部材がペルチェ素子に接合されることで、ペルチェ素子の形状や寸法に関係なく、表面材の背面と蓄熱部材との接触面積を最大に確保することができる。このため、表面材の面積、または表面側カバー部材における表面材の配置位置に応じてペルチェ素子の熱を効果的に表面材に伝達させることが可能になる。例えば表面材が曲面を形成し、表面側カバー部材の遊技者側の面に配置される場合には、その曲面と同一曲率の表面形状が蓄熱部材の表面に与えられる。
【0017】
ペルチェ素子には専用の電源装置が接続され、電源装置に、ペルチェ素子への通電開始時期(タイミング)、すなわち表面材側の面への冷却、または加熱開始時期を決定する制御手段が接続される。ペルチェ素子には冷却、または加熱温度を設定(調整)する温度制御手段が接続されることもあるが、冷却、または加熱温度が予め決定されていれば、必ずしも温度制御手段を接続する必要はない。冷却温度、または加熱温度は基本的に端子間電圧によって決まり、通電時間の調整により設定温度の調整も可能である。
【0018】
制御手段は遊技球の始動口への入賞等、予め決められた始動の条件が成立したか否か、及びペルチェ素子、もしくは蓄熱部材(以下、本項目中、ペルチェ素子等と言う)の表面材側の面が目標温度に到達したか否かを判断する。制御手段は前者の判断に基づいて電源装置に指令(信号)を発し、ペルチェ素子の冷却、または加熱を開始し、後者の判断に基づき、可動部材を移動可能に支持し、遊技機本体に支持されたソレノイドに突出の指令を発し、ペルチェ素子等を表面材に接触させる。冷却と加熱の切り換えは電源装置に接続された電流切換スイッチにより行われる。
【0019】
ペルチェ素子が設定した温度に至るまでに少なくとも数秒〜10数秒要することから、ペルチェ素子に電流を流す時期(タイミング)は可動部材を突出状態にさせる時期を見込んで決められる。一例としては、遊技球が始動口等に入賞したとき、またはその後に「大当たり状態」となる可能性が発生した時期にペルチェ素子への通電を開始することが考えられるが、通電開始時期は任意に設定される。
【0020】
ペルチェ素子への通電の開始により、ペルチェ素子に予め決められた向きの電流が流れ、ペルチェ素子等の表面が設定(目標)温度に到達するまで冷却、または加熱される。蓄熱部材が接合される場合には、ペルチェ素子の表面が冷却、または加熱されることで、その熱がペルチェ素子の表面に接合されている蓄熱部材に伝導し、蓄熱部材も冷却、もしくは加熱される。
【0021】
蓄熱部材が接合される場合に、ペルチェ素子の表面が冷却される場合には蓄熱部材の熱がペルチェ素子へ移動することにより蓄熱部材が冷却され、ペルチェ素子の表面が加熱される場合にはペルチェ素子の熱が蓄熱部材へ移動することにより蓄熱部材が加熱される。
【0022】
ペルチェ素子等の表面が設定温度に到達したことは温度センサが検知し、温度センサの検知信号を受けた制御手段の指令により支持部材(ソレノイド)が可動部材を突出させる。蓄熱部材が接合される場合、蓄熱部材には主として熱伝導率の高い、銅、アルミニウム合金その他の金属材料が使用されるが、軽量化の観点ではアルミニウムの使用が適する。温度センサは必ずしも必要ではなく、ペルチェ素子への通電時間からペルチェ素子等の表面温度が一定値に到達したものと判断することで、一定の通電時間の経過時点で電源装置から制御手段に指令を発することもある。ペルチェ素子が一定温度に到達した時点で、蓄熱部材が一定温度に到達したものと判断することもできる。
【0023】
ペルチェ素子等が設定温度に到達したことの温度センサによる検知信号は制御手段に送られ、制御手段が温度センサ等の検知信号に基づき、可動部材を移動可能に支持する支持部材(ソレノイド)に可動部材を突出させるための指令を送る。遊技者に大当たりの到来を予感させるための可動部材の突出の回数は1回であるか、複数回であるかを問わず、単位時間に複数回繰り返されることもある。
【0024】
可動部材の突出のタイミングは始動条件の成立後等の、ペルチェ素子等が設定温度に到達した時点、またはそれ以降であるが、操作部材がハンドルの場合のように遊技者に大当たりの予感(期待感)を知らせる目的で使用される場合には、突出の時期は例えば「大当たり状態」となる以前のいずれかのタイミングになる。
【0025】
本発明では支持部材としてソレノイドを使用することで、ソレノイドの特性として支持部材が制御手段からの指令を受けたときに、ソレノイドへの通電時に瞬時に可動部材を突出させることができるため、ペルチェ素子等を表面材に接触させるべき丁度のタイミングで表面材に接触させることができる利点がある。またソレノイドは小型化が可能であるため、ソレノイドを収納する操作部材の構造が簡素化される上、操作部材単体での軽量化が図られる。
【0026】
遊技者に「大当たり」の到来を知らせるべきタイミングで可動部材が突出し、ペルチェ素子等が操作部材の表面材に接触し、ペルチェ素子等と表面材との温度差に応じた熱量が表面材に伝達されることで、遊技球の始動口への入賞等、「大当たり」前の前提条件の発生後、遊技者に与えるべき最適なタイミングで「大当たり」の到来を示唆する温度変化を認識させることが可能であり、タイムラグを発生させることなく、「大当たり」の予感を遊技者の知覚に訴えることが可能になる。この結果として「大当たり」へ移行する演出制御中、可動部材の突出によるペルチェ素子等と表面材との接触と同時に、あるいは接触後、直ちに操作部材(ハンドル)を通じて遊技者に「冷たさ」または「熱さ」を実感(体感)させることができるため、遊技者に与える期待感を大きく膨らませることができる。
【0027】
特に本発明ではペルチェ素子等の表面材への接触前にペルチェ素子等の冷却・加熱を完了させることが可能であるから、ペルチェ素子等が表面材に接触した時点ではペルチェ素子等と、常温の表面材との間の温度差を大きくしておくことが可能である。
【0028】
同一厚さdの同一材料(熱伝導率κ(W/mK))に、単位時間に高温側から低温側へ流れる単位面積当たりの熱量I(伝熱速度)は高温と低温の温度差ΔTに比例する(I=κΔT/d)(フーリエの法則)。すなわち同一厚さの同一材料の物体に流れる熱量の移動速度は物体の表面と背面の温度差が大きい程、大きい。従って予め表面材との温度差を大きくしておいたペルチェ素子等と表面材との接触により両者間、及び表面材背面と表面との間で急速に熱の移動を起こさせることができ、ペルチェ素子等から表面材への、またはその逆への熱の伝達を瞬時に、または1秒程度以内の短時間に完了させることが可能である。以下、「熱の伝達」は高温側の部材から低温側の部材への伝達と逆の伝達を含む。
【0029】
制御手段からの指令を受けた支持部材による可動部材の突出によりペルチェ素子等が操作部材の表面材の背面に接触、もしくは衝突する。ペルチェ素子等が表面材の背面に接触した状態はペルチェ素子等と表面材との間での熱の移動が完了するまで1/数〜数秒程度、保持される。この保持は後述のように可動部材の一部となる軸部材が先端部と基部とに相対移動自在に分割され、両者間に緩衝材が介在させられることで自動的に行われる。ペルチェ素子等が設定温度に到達した後には、可動部材は突出させられることなく、没入したまま待機状態に置かれることもある。
【0030】
支持部材(ソレノイド)は可動部材を没入位置と表面材に接触する突出位置との間を移動自在に支持し、例えば可動部材に直線運動や回転運動を伝達することにより、または回転運動を直線運動に変換して伝達することにより可動部材を出没方向に移動自在に支持する。支持部材にはこの他、モータが使用されることもある。
【0031】
熱の伝達効果は表面材の肉厚を小さくすることで向上するが、薄肉化に伴い、可動部材の接触、または衝突による衝撃等の影響が問題になる場合には、表面材に弾性変形能力の高い(延性)材料を使用することで、問題は回避される。表面材を薄肉にする場合の薄肉の程度は表面材の背面から表面への熱の伝導が極めて短い時間内に行われる大きさであることの要件と、ペルチェ素子等の接触、または衝突による衝撃に耐えることの要件を満たす範囲で設定される。
【0032】
可動部材が突出し、ペルチェ素子等が表面材に接触したとき、ペルチェ素子等の状態、すなわち冷却状態か加熱状態かに応じて表面材からペルチェ素子等への、またはその逆の熱の移動が起こり、表面材が冷却、または加熱される。
【0033】
表面材の配置位置は表面側カバー部材の少なくとも一部であればよく、遊技者側の前面の他、表面側カバー部材の周面のいずれかの位置に表面材が配置される。表面材の配置位置に応じて可動部材の移動方向が決まり、前面の場合には遊技機と遊技者が対向する方向、すなわち遊技機の奥行き方向になり、周面の場合にはその奥行き方向に傾斜した方向になる。
【0034】
ペルチェ素子等は可動部材が没入状態にあるときから冷却状態か加熱状態に置かれることで、表面材に接触する以前から放熱、または吸熱により表面材にペルチェ素子等の熱が対流や放射により伝達される可能性がある。この問題に対しては、ペルチェ素子等の表面と表面材背面との間の距離を確保しておくことと、ペルチェ素子等の表面温度と常温(表面材の温度)との差を前記距離に応じた範囲内に設定しておくことで、没入状態での対流や放射による表面材への熱の伝達を回避することは可能である。
【0035】
またペルチェ素子等の表面を冷却し、表面材に接触する人の手に冷たい感触を与える場合、ペルチェ素子の背面は加熱状態になるため、操作部材に内蔵されることによる温度上昇がハンドル内の機器(温度センサ、電源装置等)に影響する可能性がある。この問題に対しては、ペルチェ素子の背面に伝熱部材が接合されていることで、伝熱部材の表面からの放熱が行われるため、操作部材内部の温度上昇を抑制することが可能である。ペルチェ素子等の表面を加熱し、人の手に熱い感触を与える場合にも、ペルチェ素子背面の伝熱部材が冷却状態になり、周囲の熱を奪うことで操作部材内部の温度上昇は抑えられる。
【0036】
伝熱部材からの放熱量はペルチェ素子の表面を冷却する場合の吸熱量と冷却に要する消費電力量の和になるが、物体からの放熱量は物体の表面積に比例するから、伝熱部材の体積をペルチェ素子の体積より大きくしておく、または伝熱部材を波形の形状にしておくことで、常温からのペルチェ素子の温度変化(降下)を確保しながら、伝熱部材の温度上昇を抑制することが可能である。
【発明の効果】
【0037】
操作部材の一部に固定された表面材の背面側に、ペルチェ素子とその背面に接合された伝熱部材、またはペルチェ素子の表面に接合された蓄熱部材からなる可動部材を配置しておくため、可動部材の没入状態においてペルチェ素子への通電によりペルチェ素子、もしくは蓄熱部材を冷却、または加熱しておき、ペルチェ素子、もしくは蓄熱部材が設定温度に到達した時点で、可動部材を突出させることで、ペルチェ素子との温度差が大きい状態にある表面材にペルチェ素子の温度を短時間内に伝達させることができる。従って遊技者の知覚に最適なタイミングで大当たりの予感(期待感)を確実に知らせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0039】
図1は遊技機本体12の表面に突出した状態で遊技機本体12に支持され、表面の少なくとも一部に表面材21が配置された表面側カバー部材2を有する遊技機用操作部材(以下、操作部材)1の構成例を示す。操作部材1は表面側カバー部材2と、その背面側に出没自在に収納される可動部材3を備え、可動部材3の表面材21側に位置し、通電可能な状態にあるペルチェ素子5と、このペルチェ素子5の背面に接触した状態で接合された伝熱部材6から、またはペルチェ素子5の表面に接触した状態で接合された蓄熱部材4から構成される。可動部材3は遊技機本体12に支持された支持部材7としてのソレノイド71に支持される。操作部材1は後述のハンドルと演出ボタンを含む。
【0040】
ペルチェ素子5は直接表面材21に接触することもあるが、図面ではペルチェ素子5からの熱の伝達効率を高める目的で、表面材21の背面形状に対応した表面形状を有し、ペルチェ素子5からの熱が伝達される蓄熱部材4をペルチェ素子5の表面に接合し、蓄熱部材4を介して表面材21を冷却、または加熱するようにしている。この場合、蓄熱部材4と表面材21との間で熱の伝達が行われる。
【0041】
図7では遊技機としてパチンコ遊技機を示しているが、本発明は操作部材1を有する遊技機全般を対象とし、遊技機はこの他、スロットマシン、パチスロ機を含む。以下、遊技機をパチンコ遊技機に代表させる。遊技機本体12の前面にはガラス板を収納した前面枠12aが遊技機本体12に対して開閉自在に支持され、前面枠12a背面の本体側の遊技盤12bに複数の釘と、種々の役物が配置され、中央部の下方に始動口12c及び大入賞口12dが配置される。
【0042】
前面枠12aの下には出玉を受ける上皿12eと下皿12fが配置され、下皿12fの脇に遊技盤12bに向けて遊技球を打ち出すための、操作部材1としてのハンドルが装着される。上皿12e、もしくは下皿12fの一部には大当たりへの移行過程で演出効果を高めるための演出ボタン等が装着されることもある。操作部材1はこのハンドル、または演出ボタンに該当する。
【0043】
遊技盤12bの中央部には、各種の図柄や背景等を表示する液晶表示装置等からなる図柄表示手段82が配置され、図柄は例えば始動口12cに遊技球が入賞する等の始動条件の成立時に可変表示させられる。「大当たり」状態まで発展した場合には図柄表示手段82に特定の図柄が停止表示され、同時に大入賞口12dが設定されたタイミングで、一定時間、開放させられる制御が制御手段としてのメイン基板81によって行われる。
【0044】
遊技機本体12の背面側には、図7に示すように主たる制御手段としてのメイン基板81、図柄表示手段82を制御する図柄制御基板83の他、ランプ制御基板84、音声制御基板85及び温度制御基板86(温度制御手段)が配置され、各基板は合成樹脂からなる独立したケース内に収容された状態で、他の基板の素子と電気的に接続される。
【0045】
メイン基板81と、図柄制御基板83及び温度制御基板86とは、メイン基板81の出力信号や制御信号が図柄制御基板83及び温度制御基板86にそれぞれ送信可能に接続され、図柄制御基板83とランプ制御基板84及び音声制御基板85とは図柄制御基板83の出力信号や制御信号がランプ制御基板84及び音声制御基板85にそれぞれ送信可能に接続される。
【0046】
メイン基板81は主にCPUとCPUに接続されたROM及びRAM等から構成され、遊技機全般に亘る遊技内容を制御する。CPUは始動口12cへの入賞を検出する始動スイッチと始動口12cを開閉動作させるための始動口ソレノイド、大入賞口12dへの入賞を検出する大入賞口スイッチと継続スイッチ、及び大入賞口12dを開閉動作させる大入賞口ソレノイド、並びに普通入賞口SW1、SW2とそれぞれI/Oを介して接続されている。
【0047】
図柄制御基板83はメイン基板81と同様に主にCPUとCPUに接続されたROM及びRAM、更にはフラッシュROM等から構成され、図柄表示手段82を制御してその画面に所定の図柄や背景或いは演出のためのキャラクタ等を表示させる。図柄制御基板83のCPUはI/Oを介してメイン基板81のCPUと接続される一方、図柄表示手段82とも接続される。
【0048】
ランプ制御基板84は上記各基板と同様、CPU及びROMやRAM等で構成され、装飾LED、ガラス枠ランプ及びサイドランプ等とI/Oを介して接続され、これらの点灯又は点滅動作を制御する。音声制御基板85はROM及びRAMと接続されたCPUからなり、CPUがI/Oを介してスピーカ12gと接続され、スピーカ12gからの出力が所定のタイミングで行われるように制御する。図柄制御基板83による図柄表示手段82への表示と併せ、ランプ制御基板84と音声制御基板85の制御により視覚的・聴覚的演出効果が発揮される。
【0049】
温度制御基板86も主にCPUとCPUに接続されたROM及びRAM等から構成され、CPUがメイン基板81のCPUとI/Oを介して電気的に接続されることで、操作部材1を構成する蓄熱部材4の設定温度を制御する。メイン基板81には蓄熱部材4に接続された温度センサが接続され、温度センサからの検知信号を受けてメイン基板81がペルチェ素子5に接続された電源装置51を制御する。
【0050】
メイン基板81にはまた、可動部材3を出没自在に支持する支持部材(ソレノイド(駆動機構))7専用の電源装置73が接続され、メイン基板81は蓄熱部材4が目標温度に到達したことの、温度センサからの検知信号を受けることにより、その時点以降に電源装置73に通電(電源ON)の指令を発する。メイン基板81からの通電指令の時期は蓄熱部材4が目標温度に到達した時点以降であればよく、例えばある遊技球が始動口12cに入賞した後、続く遊技球が立て続けに始動口12cに入賞したような場合、後の遊技球が入賞した時点の信号を捕えて指令が発せられる。通電時間は蓄熱部材4が表面材21に接触している時間でもあるから、表面材21の表面に蓄熱部材4からの熱の移動が終了する一定時間の経過後には電源がOFFに切り換えられる。
【0051】
操作部材1がハンドルの場合、図10、図11に示すようにハンドルは背面側カバー部材8を介して遊技機本体12に装着される。ハンドルは背面側カバー部材8の表面側に固定されるハンドル本体部9と、これに復帰の向きに付勢された状態で回転自在に支持されるレバー10と、レバー10に保持されるベース部材11と、ベース部材11に接合される表面側カバー部材2から主に構成される。表面側カバー部材2は背面側カバー部材8に対向した状態でこれに連結される。
【0052】
背面側カバー部材8とハンドル本体部9との間、ハンドル本体部9と表面側カバー部材2との間にはハンドルの一部を発光させる等、ハンドル自体の演出効果を発生させるための各種の基板、及びそれを支持するための部品等が収納される。図10、図11は本発明の操作部材1に内蔵される可動部材3を含まない一般的なハンドルの構成を示している。
【0053】
操作部材1を構成する可動部材3は図1に示すように表面側カバー部材2に対向する蓄熱部材4とその背面に一体的に接合され、専用の電源装置51が接続されたペルチェ素子5と、その背面に一体的に接合された伝熱部材6からなり、表面側カバー部材2内部の、没入位置と突出位置との間を移動自在に支持部材(ソレノイド)7に支持される。
【0054】
ペルチェ素子5の表面と背面のいずれか一方は電源装置51による通電により冷却され、他方が加熱されるが、冷却と加熱は電源装置51に接続された電流切換スイッチにより電流の向きを変えることで逆になる。
【0055】
蓄熱部材4には銅、アルミニウム等、熱伝導率の高い金属材料等が主に使用されるが、支持部材7に移動可能状態に支持されることを考慮すれば、軽量なアルミニウムの使用が適切である。また蓄熱部材4に設定される冷却温度、または加熱温度によってはプラスチックの使用も可能であり、プラスチックの使用により一層の軽量化が図られる。
【0056】
伝熱部材6は蓄熱部材4を冷却する場合に、ペルチェ素子5の背面が発生する熱を放熱し、蓄熱部材4を加熱する場合には、ペルチェ素子5の背面が冷却されるときに吸熱をする役目を持つから、伝熱部材6にも蓄熱部材6と同様、アルミニウム等、熱伝導率の高い材料が使用される。
【0057】
物体からの放熱量と吸熱量は物体の表面積に応じて変化し、物体の表面積が大きい程、放熱量と吸熱量が多くなるから、蓄熱部材4を冷却するときの伝熱部材6による放熱と、蓄熱部材4を加熱するときの伝熱部材6による吸熱の効果を上げる上では、伝熱部材6の質量を蓄熱部材4に対して相対的に大きくすることが合理的である。図面では伝熱部材6に蓄熱部材4の質量の5倍程度の質量を与えている。伝熱部材6の質量が一定の場合には、伝熱部材6を中空にする、または表面に多数の凹凸(ヒレ)を形成することが表面積の確保上、有利である。
【0058】
表面側カバー部材2に固定される表面材21は蓄熱部材6が接触したときに蓄熱部材6との間で熱の移動が行われ、蓄熱部材6が冷却されている場合には表面材21から蓄熱部材6に熱が移動し、蓄熱部材6が加熱されている場合にはその熱が表面材21に移動するから、表面材21にも熱伝導率の高い金属材料、またはプラスチックが使用される。
【0059】
表面材21は表面側カバー部材2のいずれかの、人の手が触れる部分に配置され、表面側カバー部材2には固定、または着脱自在に固定される。表面材21は背面から伝達される熱を表面に接触している人の手のひらに伝達させる働きを有するため、肉厚は可能な限り、小さい方がよい。具体的には1/数〜数mm程度が適切である。表面材21の肉厚は一様である必要はない。
【0060】
また蓄熱部材4の接触時、または衝突時に蓄熱部材4から衝撃を受けることが想定されることから、表面材21にはこの衝撃に耐え得る材質の材料が使用される。蓄熱部材4が表面材21に衝突するときの衝撃を緩和させるために、蓄熱部材4が表面材21に接触するときの両者間にゴムや合成樹脂等の緩衝材を介在させることもある。
【0061】
可動部材3を移動自在に支持する支持部材7は表面側カバー部材2の表面の少なくとも一部に固定された表面材21との関係で可動部材3を直線運動自在に、または円運動自在に支持する。図面では表面材21を表面側カバー部材2の遊技者側の前面に固定していることに対応し、可動部材3を直線運動自在に支持している。
【0062】
図1は可動部材3を直線運動させるための駆動機構としての支持部材7がソレノイド71である場合を示している。ソレノイド71には励磁によって往復動するプランジャー72が付属し、プランジャー72に可動部材3を直接支持し、可動部材3の一部となる軸部材31が接続される。軸部材31は可動部材3側に接続される先端部32とプランジャー72に接続される基部33とに分割され、先端部32と基部33は軸部材31の軸方向に相対移動自在に接続される。先端部32と基部33は互いに分離しようとする向きに係止しており、先端部32と基部33との間には相対移動時の緩衝のための、ばね等の緩衝材34が介在させられる。軸部材31は移動方向が軸方向に規制されるよう、遊技機本体12のガイド部材35に周囲から拘束される。
【0063】
軸部材31の先端部32は伝熱部材6に一体的に接合、もしくは任意の軸回りに回転自在に連結される。伝熱部材6に回転自在に連結される場合には、軸部材31の移動方向に対して可動部材4が自由に回転変位することができるため、支持部材7による可動部材3の突出時に表面側カバー部材2の内部の形状に応じ、可動部材3を追従させることができる利点がある。図1ではプランジャー72のストロークを直接、軸部材31に直線運動として伝達していることから、軸部材31の基部33をプランジャー72にナット33aにより接合し、基部33が先端部32を相対移動自在に包囲するように先端部32と基部33を接続している。
【0064】
プランジャー72のストローク(L2)は可動部材3の没入位置と突出位置との間の距離以上であればよいが、蓄熱部材4から表面材21への熱の伝達を確実にするために、蓄熱部材4が表面材21に接触した状態から更に蓄熱部材4が表面材21を押圧することができるよう、没入位置と突出位置との間の距離より大きめに設定される。可動部材3の没入位置と突出位置との間の距離は表面材21の背面と蓄熱部材4の表面との間の距離(L1)に相当する。プランジャー72のストロークが前記距離以上であることによる、プランジャー72突出時の、すなわち蓄熱部材4と表面材21との衝突時の衝撃は先端部32と基部33が相対移動自在であることと、両者間の緩衝材34及び前記のゴム等の緩衝材によって緩和、あるいは吸収される。
【0065】
軸部材31の先端部32と基部33とは、可動部材3と表面材21との間の距離以上に相対移動自在であり、この先端部32と基部33との間に緩衝材34が介在させられる。支持部材7による可動部材3と軸部材31の突出時にはまず、蓄熱部材4が表面材21に衝突(接触)し、停止するが、支持部材7に直接接続された基部33は可動部材3を表面材21側へ押し出そうとする。
【0066】
先端部32と基部33との相対移動距離と、可動部材3と表面材21との間の距離の差分、蓄熱部材4が表面材21に接触した後、基部33が先端部32を押し続けようとするため、接触(密着)とその状態の保持による熱の伝達効果が期待される。緩衝材34は蓄熱部材4が表面材21に衝突(接触)するときの衝撃を吸収する。緩衝材34には復元力を期待することがあるため、図1では緩衝材34にばね(コイルスプリング)を使用しているが、この他、ゴム、合成樹脂等の弾性を有する材料が使用される。ばねは先端部32の回りに巻かれた状態で、基部33との間に配置され、双方に係止する。先端部32は先端部32側が開放した筒形の形状をした基部33に入り込むことで、基部33にガイドされながら、基部33に対して相対移動自在になる。
【0067】
可動部材3の没入状態では、冷却、または加熱されている蓄熱部材4と表面材21との間で対流や放射による熱の移動が生じない程度のクリアランス(空隙)が確保される。クリアランスは「大当たり状態」となる可能性が発生した後、遊技者に「大当たり」の予感を与えるべき時期以前に遊技者に、ハンドルが冷却、または加熱され始めていることを知覚されないために確保される。クリアランスの大きさは蓄熱部材4と表面材21との温度差、及び表面材21と人の体温との温度差にもよるが、例えば蓄熱部材4を10数〜10°C程度に冷却した場合には、少なくとも1.5mm程度以上であれば足りる。ペルチェ素子等と表面材との間での熱の伝達を確実に回避する上では、両者間の距離を2.0mm程度以上、確保しておくことが適切である。
【0068】
ソレノイド71等の支持部材7には制御手段81と専用の電源装置73が接続され、電源装置73は前記の通り、蓄熱部材4の表面材21側の面が目標温度に到達したことを判断した制御手段81からの指令を受け、通電によりプランジャー72を可動部材3と共に突出させ、蓄熱部材4を表面材21に接触させる。蓄熱部材4が表面材21に接触した状態は熱の伝達が完了するまで保持される。蓄熱部材4が表面材21に接触した状態を保持する時間は遊技者に「冷たい」、または「熱い」の感覚を与えられるまでの時間であり、1/数秒〜数秒程度の短時間に設定される。
【0069】
遊技者に「冷たい」、または「熱い」の感覚を与えた後は制御手段81の指令を受けて電源装置73はOFFに切り換えられ、プランジャー72が没入位置に復帰して可動部材3は没入状態に戻される。プランジャー72の復帰により軸部材31の基部33が原位置に復帰し、それに伴い、基部33に係止する先端部32が復帰し、蓄熱部材4が表面材21と非接触状態になる。
【0070】
制御手段81が蓄熱部材4を表面材21に接触させるべき時期(タイミング)は任意に設定され、蓄熱部材4が目標温度に到達した時点の他、その後、目標温度に達した状態が10数秒〜数10秒を超えて継続しない時間の範囲内のタイミングで決定される。蓄熱部材4が設定温度に到達した後、表面材21に接触させるまでの時間は、蓄熱部材4を冷却した場合の伝熱部材6からの放熱量が過剰にならず、蓄熱部材4が過剰に冷却されないようにする観点から決められる。
【0071】
図2はソレノイド71以外の支持部材7の使用例として、支持部材7にステッピングモータ74と、その出力軸74aに固定された原動カム74bに係止する従動カム36aを有する軸部材3を使用した例を示す。この場合、軸部材31(基部33)のステッピングモータ74側には出力軸74aからの力を受けるためのロッド36が接合され、このロッド36に従動カム36aが接続される。
【0072】
図2−(b)に示すようにステッピングモータ74の出力軸74aは制御手段81からの指令を受けた電源装置73がONになったとき(ステッピングモータ74がパルス信号を受けたとき)に、一定角度(例えば180°)回転し、原動カム74bが回転しながら従動カム36aに接触することにより軸部材31を突出側へ押し、軸部材31を可動部材3と共に突出させる。このとき、蓄熱部材4は表面材21に接触する。
【0073】
出力軸74aが図2−(b)の状態から更に一定角度(例えば180°)回転し、(c)の状態になったときには、軸部材31のロッド36の回りに配置され、基部33と従動カム36aの双方に係止しているコイルスプリング等の付勢部材36cが復元力を発生することで、軸部材31が可動部材3と共に没入位置に復帰し、蓄熱部材4が表面材21と非接触状態になる。
【0074】
従動カム36aの周囲には軸部材31の移動量を制限し、軸部材31の突出時の位置と没入時の位置を規制する位置検出センサ37が配置される。位置検出センサ37は軸部材31が突出位置にあるときと没入位置にあるときに、従動カム36aに接続されているピン36bを検出することにより軸部材31を停止させる。駆動装置としての支持部材7はこの他、図3に示すようにラチェット機構を利用することで、ソレノイド71のプランジャー72が直線運動をする毎に可動部材3を突出状態に保持し、再度直線運動したときに可動部材3を没入させる機構にすることもできる。
【0075】
図3では図4に示すように伝熱部材6に接続されている先端部32の背面に複数個の歯32aを円弧状に配列させて形成する一方、筒状に形成した基部33の内部に、決まった向きに回転可能で、歯32aに接触する爪38aを持ち、先端部32と基部33のいずれからも分離している円板38を配置すると共に、基部33の内部に、爪38aが歯32aに接触することにより円板38を一定角度だけ回転させるガイドリング39を固定することにより、直線運動毎に可動部材3の出没状態を切り換える機構を構成している。
【0076】
この場合、軸部材31の基部33がプランジャー72に押されることで、基部33内部の一部に形成された係止部33bと円板38との間に介在するばね38bによって表面側カバー部材側2へ付勢されている円板38がガイドリング39に沿って一定角度だけ回転し、軸部材31を収縮させた状態と伸長させた状態とに切り換える。ガイドリング39は基部33の内周に固定され、円板38は基部33の、円板38の下に形成される係止部33bに対し、基部33の往復動に伴って往復する。ばね38bは図1における緩衝材34を兼ねる。
【0077】
図5−(a)、(b)、(c)に軸部材31の先端部32に一体化した歯32aと、基部33に一体化しているガイドリング39による円板38の回転の様子を展開図として示す。(a)は基部33の一部に形成された係止部33bがばね38bによって円板38に対してプランジャー72側へ後退し、基部33が先端部32に対して後退した軸部材31の伸長状態を示す(図3−(b))。(b)は基部33を先端部32側へ押している状態であり、このとき歯32aと爪38aの接触面の傾斜により円板38は矢印の向きに回転する。
【0078】
図5−(b)の状態から基部33を手放し、係止部33bがばね38bにより円板38に対して後退したときに、(c)に示すように係止部33bと共に後退するガイドリング39のガイド部39aの溝39bに爪38aが嵌まり込み、爪38aがガイドリング39に固定された、軸部材31の収縮状態になる(図3−(a))。
【0079】
可動部材3の没入時には基部33は図3−(a)、図5−(c)に示す状態にあり、円板38がガイドリング39に拘束されることで軸部材31は収縮した状態を維持する。図5−(c)の状態からは、基部33が再度先端部32側へ押されたときに爪38aが歯32aに基部33側へ押されてガイド部39aの溝39bから離脱し、ばね38bによって円板38から係止部33bが基部33側へ押されて後退し、基部33が図3−(b)、図5−(a)の状態に復帰する。
【0080】
ここで、ペルチェ素子3への通電開始から、蓄熱部材4の表面材72への接触までの制御例の流れを図9により説明する。まず、制御手段(メイン基板)81が例えば遊技球の始動口12cへの入賞等、始動の条件が成立したことを始動口スイッチが検知すると(S1)、その信号が制御手段81に送信され、その信号に基づいて制御手段81がペルチェ素子3に接続された電源装置51に入力の信号を送信し、電源の投入によりペルチェ素子3の冷却、または加熱が開始される(S2)。始動口スイッチ12cが遊技球を検知しない限り、電源装置51による通電は開始されない。
【0081】
ペルチェ素子3の冷却、または加熱開始後、ペルチェ素子3、または蓄熱部材4が一定温度に到達したことを温度センサが検知すると(S3)、その信号が制御手段81に送信され、制御手段81は温度センサからの信号を受けて出没を制御する支持部材7(ソレノイド)の電源装置73に通電の指令を送信し、支持部材7(ソレノイド)が可動部材3を突出させる(S4)。
【0082】
可動部材3の突出により蓄熱部材4が一定時間、例えば表面材21に接触した状態に置かれ、蓄熱部材4からの熱が表面材21に伝達されるだけの時間が経過した時点で(S5)、制御手段81が電源装置73に電源をOFFにする指令を発し、支持部材(ソレノイド)7は可動部材3を没入させ、蓄熱部材4と表面材21を非接触状態に戻す(S6)。ここで、蓄熱部材4を表面材21に接触させている時間は1/数秒〜数秒程度であり、予め設定される。
【0083】
可動部材3の没入後、冷却、または加熱されている蓄熱部材4を早期に常温に復帰させる場合には、電源装置51の切換スイッチを切り換え、電流の向きを逆にすることが行われる。蓄熱部材4を冷却させていた場合には、伝熱部材6からの放熱量が大きくなることが想定されるため、操作部材1の内部に熱が籠る事態を回避するために、蓄熱部材4を加熱することが行われる。
【0084】
図6は操作部材1がボタン(演出ボタン)である場合の操作部材1の構成例を示す。演出ボタンは「大当たり状態」に移行した後の演出効果を高める目的で上皿12e、もしくは下皿12fに設置され、上皿12e、もしくは下皿12fの上面には表面側カバー部材2のみが露出する。
【0085】
この場合、表面側カバー部材2は上皿12e、もしくは下皿12f(遊技機本体12)の上板に形成された開口13から突出し、開口13の縁と蓄熱部材4の外周にガイドされながら、コイルスプリング等の付勢部材14によって原位置に復帰自在に支持されることにより上板に昇降自在に支持される。表面側カバー部材2は周囲にフランジ2aを有し、このフランジ2aが遊技機本体12の上板に付勢の向きに係止することで、付勢部材14に付勢された状態で安定する。表面側カバー部材2が付勢部材14に付勢されながらフランジ2aが遊技機本体12に係止しているときの、表面側カバー部材2と遊技機本体12表面との間には、表面側カバー部材2が昇降可能な距離(L3)が確保されている。
【0086】
図6では遊技機本体12の内部に支持フレーム15を固定し、この支持フレーム15に、可動部材3が接続された支持部材7を支持させている。ここでは支持部材7にソレノイド71を使用しているが、支持部材7にはモータその他の駆動装置も使用される。可動部材3の構成は可動の方向が鉛直方向、またはそれに傾斜した方向になるだけで、図1〜図3の場合と同様である。
【0087】
図6ではソレノイド71のプランジャー72にコ字形等に屈曲した金物16の一方を接続すると共に、他方に可動部材3の伝熱部材6を接続し、プランジャー72の出没により可動部材3を出没自在に支持している。伝熱部材6の背面側には支持フレーム15に形成された案内孔15aに挿通するガイドピン15bが突出し、ガイドピン15bが案内孔15a内に挿通したまま昇降することにより可動部材3が安定した状態で出没する。
【0088】
平常時、可動部材3は遊技機本体12の内部に没入した状態で保持され、ハンドルの場合と同様に制御手段81から一定の指令を受けることによりソレノイド71が通電状態になってプランジャー72の突出により可動部材3が突出する。図6はプランジャー72が表面側カバー部材2側へ突出した状態を示している。プランジャー72のストローク(L2)は伝熱部材6の背面と支持フレーム15との間の距離になる。可動部材3が突出しているときの表面側カバー部材2の表面材21と蓄熱部材4との間には、両者間での熱の伝達が生じない程度(1.5mm程度以上)の空隙(クリアランス)が確保されている。
【0089】
プランジャー72の没入時には伝熱部材6の背面が支持フレーム15に接触(当接)するまで可動部材3が後退し、蓄熱部材4と表面材21との間のクリアランスが拡大する。このときの蓄熱部材4と表面材21との間のクリアランスは可動部材3の突出時に確保されている前記空隙とプランジャー72のストローク(L2)の和になる。
【0090】
プランジャー72のストローク(L2)は表面側カバー部材2の昇降可能な距離(L3)より大きく、可動部材3が没入状態にあるときには、表面側カバー部材2が押されて(叩かれて)降下しても表面側カバー部材2が蓄熱部材4に接触しないだけのクリアランスが確保されている。すなわち、表面側カバー部材2は可動部材3が突出状態になり、且つ表面側カバー部材2が押されて(叩かれて)降下したときにのみ、蓄熱部材4に接触することができる状態に置かれている。
【0091】
最後に制御手段81による遊技機全体の制御例を図12〜図14により説明する。
【0092】
(制御手段の内部構成)
図12は遊技の進行や演出を制御する、図9より詳細な制御手段200の内部構成を示すブロック図である。制御手段200は主制御基板201と、演出制御基板202と、賞球制御基板203と、図柄制御基板204と、音声制御基板205と、ランプ制御基板206と、温度制御基板207とで構成され、ここでは本発明の操作部材1の制御を演出制御基板202によって行う構成にしている。
【0093】
主制御基板201は遊技の基本動作を制御する。主制御基板201は遊技の進行プログラムを記憶したROM201aと、このROM201aに記憶したプログラムに基づいて遊技の進行処理を実行するCPU201bと、このCPU201bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM201cとを備える。
【0094】
主制御基板201の入力側には、始動入賞口検出部106a、ゲート検出部107a、大入賞口検出部108a、普通入賞口検出部109aが接続されている。始動入賞口検出部106aは上記始動入賞口106に設けたセンサで構成され、始動入賞口106に遊技球が入賞したことを検出する。ゲート検出部107aは入賞ゲート107に設けたセンサで構成され、入賞ゲート107に遊技球が入賞したことを検出する。大入賞口検出部108aは大入賞口108に設けたセンサで構成され、大入賞口108に遊技球が入賞したことを検出する。普通入賞口検出部109aは普通入賞口109に設けたセンサで構成され、普通入賞口109に遊技球が入賞したことを検出する。
【0095】
主制御基板201はゲート検出部107aから信号を受信すると、始動入賞口106に設けたソレノイド等からなるアクチュエータを作動させて一定時間始動入賞口106を開放する制御をする一方、各検出部106a〜109aから信号を受信すると、ROM201aに記憶されたプログラムを作動させると共に、賞球制御基板203に所定の賞球を払い出す賞球制御コマンドを送信する。また始動入賞口検出部106aから信号を受信すると、CPU201bはROM201aに記憶されたプログラムを作動させ、乱数発生手段を用いた大当たりの抽選を行う。このCPU201bは大当たりの抽選結果を演出制御基板202に送信する。
【0096】
主制御基板201の出力側には、大入賞口108を開閉動作するソレノイド等のアクチュエータからなる大入賞口開閉部108bが接続され、大入賞口開閉部108bは主制御基板201が抽選を行った結果、大当たりが確定したとき、ROM201aに記憶したプログラムによって一定時間開放する。
【0097】
上記主制御基板201には賞救制御基板203が双方向にて送信可能に接続されている。賞球制御基板203は賞球制御の処理を実行するCPU203bと、CPU203bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM203cとを備え、ROM203aに記憶されたプログラムに基づいて賞球制御を行う。賞球制御基板203には遊技機本体100内に設けた貯留部から遊技球を所定数払い出すためのモータ等で構成された払出部208が接続され、賞球制御基板203が払出部208に対して入賞時の賞球数を払い出す制御を行う。
【0098】
主制御基板201には、ハンドル1に設けられ、遊技者による遊技操作(回転角度)を検出するセンサ、及び遊技球を発射させるためのソレノイド等を備えた発射検出部209が接続されている。主制御基板201は発射検出部209のセンサが遊技操作を検出すると、当該遊技操作に応じてソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域104に遊技球を送り出す。
【0099】
主制御基板201の出力側にはまた、ROM202a、CPU202b、およびRAM202cを備えた演出制御基板202が接続されている。ROM202aには主制御基板201より送信される制御コマンドに基づいて演出に関する制御を行うプログラム、あるいは過去の演出パターンを含め、約240通りの演出パターンが記憶されている。CPU202bはROM202aに記憶されたプログラムに基づいて抽選や演出処理を実行し、演出制御基板202はCPU202bが演出の抽選を行うと、この抽選によって決定された演出コマンドや処理データを後述する図柄制御基板204、音声制御基板205、ランプ制御基板206および温度制御基板207のそれぞれに送信する。RAM202cはCPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0100】
演出制御基板202の入力側には、演出ボタン(チャンスボタン)112が操作されたことを検出するセンサ等からなる演出ボタン検出部112aが接続されている。上記約240種類の演出の中には、例えば、図柄表示部105に「チャンスボタンを押せ」というメッセージを表示するような、演出ボタン112の操作を促す内容が含まれている。演出ボタン112の操作を促す演出が確定すると、演出ボタン112が有効となる。演出ボタン112が有効になった状態で、遊技者が当該演出ボタン112を操作し、演出ボタン検出部112aから信号が送信されると、この信号に基づいて、演出制御基板202は更なる演出を行う制御をする。
【0101】
演出制御基板202には図柄表示部105に図柄等の画像を表示させる図柄制御基板204が双方向送信で接続されている。図柄制御基板204は背景画像、図柄画像、キャラクタ画像など各種画像データを記憶するROM204aと、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき演出処理を実行するCPU204bと、CPU204bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM204cと、図柄表示部105に表示させる画像データを書き込むVRAM204dとを備えている。
【0102】
CPU204bがROM204aに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示/変動処理、キャラクタ画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM204aから読み出して、VRAM204dに書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクタ画像は、表示画面上において図柄表示部105に重畳表示される。すなわち、図柄画像やキャラクタ画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。この場合、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM204dに記憶させる。
【0103】
演出制御基板202の出力側には音声制御基板205が接続されている。音声制御基板205は各種音声データを記憶するROM205aと、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき音声処理を実行するCPU205bと、CPU205bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM205cとを備えている。この音声制御基板205にはスピーカ210が接続されており、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づいてCPU205bがROM205aに記憶されたプログラムを読み込み、演出効果音処理等の各種音声出力処理を実行し、スピーカ210より音声出力を行う。
【0104】
演出制御基板202にはまた、ランプ制御基板206が接続されている。ランプ制御基板206は各種演出パターンデータを記憶するROM206aと、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき演出処理を実行するCPU206bと、CPU206bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM206cとを備えている。ランプ制御基板206は演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき、遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ211に対する点灯制御、上記演出ライト111における複数のライト111aに対する点灯制御、及び各ライト111aからの光の照射方向を変更するためのモータに対する駆動制御等を行う。
【0105】
ランプ制御基板206には役物部212が接続されている。役物部212は遊技盤101に設けた風車や各入賞口等の役物に設けたライトを演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づいて点灯、点滅させたり、あるいはこれら各役物に設けたアクチュエータを作動させ、演出役物を動作させたりする。
【0106】
演出制御基板202の出力側にはまた、温度制御基板207が接続されている。温度制御基板207は各種プログラムを記憶するROM207aと、演出制御基板202より送信された演出コマンドに基づいて第1電源装置300、第2電源装置301の電流制御を実行するCPU207bと、CPU207bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM207cとを備えている。
【0107】
温度制御基板207は演出制御基板202から送信された演出コマンドに基づいて第1電源装置300の電流値、あるいは通電時間を制御する。この電流値を大きくする、または通電時間を長くするほど、ペルチェ素子5の冷却の度合いを強めることが可能であり、第1電源装置300の制御によって温度制御基板207がペルチェ素子5の温度を制御することとなる。具体的には例えば第1電源装置300からペルチェ素子5に流すべき電流が演出制御基板202の演出コマンド毎にROM207aに記憶されており、演出制御基板202から演出コマンドが送信されると、CPU207bがプログラムを作動させてペルチェ素子5に所定の電流を流す。なお、本実施形態においてはペルチェ素子5を、5°C、10°C、15°Cの3段階に制御するように演出コマンド毎にROM207aに記憶されている。
【0108】
既に説明したとおり、上記可動部材3はペルチェ素子5の熱が遊技者に伝達しない待機位置と、当該熱が遊技者に伝達する伝達位置との間を支持部材(駆動機構)7によって移動させられる。支持部材(駆動機構)7は例えばソレノイド71に通電することによって駆動する。図12では温度制御基板207が第2電源装置301を制御し、第2電源装置301がソレノイド71に通電している。温度制御基板207は演出制御基板202から受信した演出コマンドに基づいて第2電源装置301を制御し、ソレノイド71に所定の電流を流す。
【0109】
ソレノイド12に電流を流さない状態では、可動部材3(ペルチェ素子5)が遊技者に対して熱的接触を行わない位置、すなわち、ペルチェ素子5の熱を遊技者が体感しない待機位置に保持されている。この待機位置では、表面材2aと蓄熱部材6との間の間隔を2.0mmに設定しているが、この2.0mmという間隔では、ペルチェ素子5の熱が表面材2aを介して遊技者に伝達することはない。
【0110】
一方、第2電源装置301を制御してソレノイド12に電流を流すと、可動部材3は表面材2aに衝突する。この可動部材3が表面材2aに衝突した状態では、ペルチェ素子5の熱が、蓄熱部材6および表面材2aを介して、ハンドル1を操作する遊技者の身体部位(手もしくは指)に伝達する。このとき、遊技者はペルチェ素子5の熱を体感して「冷たい」と知覚することとなる。
【0111】
温度制御基板207のROM207aには、可動部材3を伝達位置に保持する時間が、演出コマンドごとに設定されており、CPU207bは、可動部材3を伝達位置に移動させた後、所定時間経過したら当該可動部材3を再び待機位置に移動させる。これによって、遊技者が温度変化を体感する時間が制御される。
【0112】
なお、具体的には図示していないが、ハンドル1には、表面材2aの温度を検出するセンサからなる温度検出部302を設けており、この温度検出部302に温度制御基板207を接続している。温度制御基板207のCPU207bは温度検出部302が検出する温度に基づいて上記第1電源装置300を制御するようにしている。つまり、温度制御基板207は温度検出部302が検出する表面材2aの温度と、制御すべき温度との差を検出しており、この検出温度と制御すべき温度との間に差がある場合には、第1電源装置300を制御して表面材2aを所定の温度に維持するようにしている。
【0113】
(ステップS1)(ステップS2)
図13は始動入賞口106に遊技球が入賞した際の制御を簡略的に示したフローである。始動入賞口検出部106aから入賞信号を受信すると、主制御基板201のCPU201bが大当たりの抽選を行う。大当たりの抽選は乱数発生手段を用いて行われる。大当たりの抽選確率は例えば315分の1に設定される。
【0114】
(ステップS3)
ステップS2において大当たりの抽選を行ったら、この大当たりの抽選結果を演出制御基板202に送信する。大当たりの抽選結果を受信した演出制御基板202は当該抽選結果に基づいてCPU202bを作動させ、乱数発生手段を用いた演出の抽選を行う。この演出の抽選は大当たりが確定したかあるいはハズレであったかという抽選結果をどのように遊技者に知らせるかを決定するもので、一定のテーブルに基づいて行われる。すなわち、ROM202aには予め複数のテーブルが記憶されており、CPU202bはこのテーブルに基づいて乱数発生手段を用いて演出の抽選を行う。
【0115】
抽選結果が大当たりであった場合、演出制御基板202のCPU202bは前記のテーブルに基づいて乱数発生手段を用いた演出の抽選を行い、抽選結果がハズレであった場合には、他のテーブルに基づいて乱数発生手段を用いた演出の抽選を行う。これらの演出の抽選によって図柄表示部105に表示される画像、スピーカ210から出力する音声、音楽、効果音、演出ライト111やランプ211あるいは役物部212の演出がそれぞれ異なる。CPU202bが演出の抽選を行ったら、当該抽選によって決定された演出コマンドを、図柄制御基板204、音声制御基板205、ランプ制御基板206にそれぞれ送信する。
【0116】
(ステップS4)〜(ステップS6)
演出コマンドが送信されたら、図柄制御基板204、音声制御基板205、ランプ制御基板206はそれぞれ送信された演出コマンドに基づいて図柄表示部105、スピーカ210、ランプ211、演出ライト111、役物部212を制御して種々の演出を行う。なお、ステップS2における大当たりの抽選結果がハズレであった場合、図柄表示部105には、最終的に3つの数字が揃わない状態(「7、7、6」等)が表示される。一方、ステップS2における大当たりの抽選結果が大当たり確定であった場合、図柄表示部105には、最終的に3つの数字が揃った状態(「7、7、7」等)が表示される。
【0117】
(ステップS7)
ステップS3において決定された演出コマンドは演出制御基板202から温度制御基板207にも送信される。温度制御基板207は受信した演出コマンドに基づいて第1電源装置300及び第2電源装置301を制御するが、この温度制御基板207の制御は次のようにして行われる。
【0118】
すなわち、温度制御基板207は遊技者に温度変化を体感させる感覚的演出を制御しており、各演出コマンドには、第1電源装置300や第2電源装置301の各制御が対応付けて記憶されている。例えば、演出制御基板202のCPU202bが演出の抽選をした結果、コード「200」の演出を決定したとする。演出制御基板202はこのコード「200」に対応する演出コマンドを、温度制御基板207に送信する(ステップS3)。コード「200」に対応する演出は例えば1分の演出時間であり、図柄制御基板204が図柄表示部105に1分間の映像を表示する。
【0119】
(ステップS101)(ステップS102)
演出コマンドが送信されると、図14に示すように温度制御基板207が当該演出コマンドを解析する。解析の結果、第1電源装置300及び第2電源装置301の少なくともいずれかを制御するコマンドであった場合には、ステップS103に進み、いずれも制御しないコマンドの場合には、ステップS109に進んで待機状態となる。
【0120】
(ステップS103)
ステップS103においては、温度制御基板207が第1電源装置300に対する制御を行うか否かを判定する。第1電源装置300に対する制御は遊技者に対して「冷たさ」を体感させる演出を行う場合であり、演出コマンドごとに「0」〜「3」の冷却レベルが記憶されている。例えば冷却レベル「0」は温度変化による演出を行わない場合であり、第1電源装置300を制御しないことを意味している。冷却レベル「1」〜「3」は温度変化による演出を行う場合であり、この冷却レベルに応じてペルチェ素子の制御温度を異にしている。本実施形態においては、冷却レベル「1」は15°Cに、「2」は10°Cに「3」は5°Cにペルチェ素子を制御する。例えば冷却レベルが「3」の場合にはステップS104に進み、冷却レベルが「0」の場合にはステップS105に進む。
【0121】
(ステップS104)
上記ステップS103において、冷却レベルが「1」〜「3」のいずれかであった場合には、温度制御基板207が第1電源装置300を制御してペルチェ素子5に通電する。このとき、第1電源装置300の制御電流は冷却レベルに応じて適宜決定される。なお、上記ステップS103において、冷却レベルが「0」以外の場合には、信号の演出コマンドの受信後、即座に温度制御基板207が第1電源装置300の電流制御を開始する。なお、コード「200」の演出は、冷却レベルが「3」なので、ペルチェ素子5が5°Cになるように第1電源装置300が制御される。
【0122】
(ステップS105)
温度制御基板207は第2電源装置301の制御を開始する。第2電源装置301は駆動機構4を制御して可動部材3を待機位置から伝達位置へ移動させるが、伝達位置への移動を開始するタイミングが演出コマンドごとに設定されている。ここでは、演出が開始してから何秒後に可動部材3を伝達位置へ移動させるか、また演出が開始してから何秒後に可動部材3を待機位置へ復帰させるかが設定されている。例えばコード「200」の演出の場合、演出が開始して5秒後に可動部材3を伝達位置に移動させ、30秒後に可動部材3を待機位置に復帰させる。つまり、コード「200」の演出は、映像が1分表示される間に、遊技者にレベル3(5°C)の温度を約25秒間体感させることを意味している。
【0123】
上記のようにして駆動機構7(ソレノイド71の電流)を制御して可動部材3が伝達位置へ移動すると、蓄熱部材6が表面材2aに接触するので、ハンドル1を介して遊技者に5°Cの熱が伝達し、遊技者は「冷たさ」を体感することができる。なお、本実施形態においては、ペルチェ素子5への通電を開始して5秒後には、当該ペルチェ素子5を設定温度に到達させることができる。したがって、可動部材3が伝達位置へ移動するときには、ペルチェ素子5および蓄熱部材4が予め設定温度に到達しており、可動部材3が伝達位置へ移動すると、表面材21を介して遊技者に瞬時に「冷たさ」を伝達することができる。
【0124】
(ステップS106)
温度制御基板207は演出が開始してからの経過時間をカウントしており、予め設定された時間を経過したか否かを検出している。温度制御基板207が所定時間経過したと判定すると、ステップS107に進む。コード「200」の演出においては、演出が開始してから(演出コマンドを受信してから)30秒経過すると、ステップS107に進む。
【0125】
なお、コード「200」の演出においては、図柄表示部105の演出時間が1分であるのに対し、遊技者が冷たさを感じる時間を25秒と短くしている。つまり、演出が開始すると直ぐに、遊技者は冷たさを感じるが、演出の途中で遊技者は冷たさを感じなくなる。これに対し、コード「198」の演出は図柄表示部105の演出時間が30秒であるのに対し、遊技者が冷たさを感じる時間を25秒に設定して演出が終了するまで遊技者が「冷たさ」を感じるようにしている。遊技者が温度変化を体感する時間を長くしたり、短くしたりするのは、遊技者の期待感に変化をもたせて演出効果を高めることにある。
【0126】
(ステップS107)(ステップS108)
温度制御基板207は演出が開始してから所定の時間が経過したと判定すると、ステップS107において、第2電源装置301の制御すなわち駆動機構4の制御(ソレノイド12への通電)を終了する。これにより可動部材3は伝達位置から待機位置へ復帰することとなり、遊技者への熱的接触が終了となる。温度制御基板207は第2電源装置301の制御を終了すると同時に、第1電源装置300の制御も終了する。
【0127】
(ステップS109)
第1電源装置300及び第2電源装置301の制御が終了したら、温度制御基板207は次の演出コマンドが入力されるまで待機状態となる。
【0128】
(ステップS8)
以上のようにして各演出が終了したら、図13に示すようにステップS8において、大当たりが確定したか否かを判定し、大当たりでなかった場合には、ステップS1に戻って、始動入賞口検出部106aが入賞信号を検出するのを待機する。
【0129】
(ステップS9)〜(ステップS11)
一方、大当たりが確定した場合には、主制御基板201が大入賞口開閉部108bを開放する。そして、大入賞口108に遊技球が入賞すると、大入賞口検出部108aが遊技球の入賞を検出すると共に、この検出信号に基づいて主制御基板201が賞球制御基板203に制御コマンドを送信し、払出部208から遊技球を所定数払い出す。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】支持部材としてソレノイドを使用した場合の操作部材の構成例を示した、可動部材の移動方向に平行な断面図である。
【図2】(a)は支持部材を含む操作部材の全体を示した平面図、(b)は支持部材としてステッピングモータを使用した場合に、可動部材が表面材側へ移動したときの操作部材の構成例を示した、可動部材の移動方向に平行な断面図、(c)は可動部材が没入位置に復帰したときの様子を示した断面図である。
【図3】(a)は支持部材としてラチェット機構付きのソレノイドを使用した場合の操作部材の構成例を示した、可動部材の移動方向に平行な断面図、(b)は可動部材が表面材側へ移動したときの断面図である。
【図4】図3におけるラチェット機構の例を示した斜視図である。
【図5】(a)〜(c)は図4に示す機構の動きを示した展開図である。
【図6】操作部材がボタンの場合の操作部材の構成例を示した断面図である。
【図7】遊技機を示した正面図である。
【図8】遊技機の遊技内容を制御する各種の基板の関係を示したブロック図である。
【図9】本発明の操作部材を構成する可動部材の制御例を示した流れ図である。
【図10】一般的なハンドルを示した斜視図である。
【図11】図10に示すハンドルの分解斜視図である。
【図12】制御手段の全体構成を示すブロック図である。
【図13】制御手段の制御手順を示す流れ図である。
【図14】温度制御基板の制御手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0131】
1……操作部材、
2……表面側カバー部材、2a……フランジ、21……表面材、
3……可動部材、31……軸部材、32……先端部、32a……歯、33……基部、 33a……ナット、33b……係止部、34……緩衝材、35……ガイド部材、36……ロッド、36a……従動カム、36b……ピン、36c……付勢部材、37……位置検出センサ、38……円板、38a……爪、38b……ばね、39……ガイドリング、
4……蓄熱部材、
5……ペルチェ素子、51……電源装置、
6……伝熱部材、
7……支持部材、71……ソレノイド、72……プランジャー、73……電源装置、74……ステッピングモータ、74a……出力軸、74b……原動カム、
8……背面側カバー部材、
9……ハンドル本体、10……レバー、11……ベース部材、
12……遊技機本体、12a……前面枠、12b……遊技盤、12c……始動口、12d……大入賞口、12e……上皿、12f……下皿、12g……スピーカ、
13……開口、14……付勢部材、15……支持フレーム、15a……案内孔、15b……ガイドピン、16……金物
81……制御手段(メイン基板)、82……図柄表示手段、83……図柄制御基板、84……ランプ制御基板、85……音声制御基板、86……温度制御基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機本体の表面に突出した状態でこの遊技機本体に支持され、表面の少なくとも一部に表面材が配置された表面側カバー部材と、前記遊技機本体に支持されたソレノイドに、前記表面側カバー部材と前記遊技機本体とが対向する方向に、前記表面材側へ突出した状態と前記遊技機本体側へ没入した状態とに移動可能に支持された可動部材とを備え、
前記可動部材は、前記表面材側に位置し、通電可能な状態にあるペルチェ素子と、このペルチェ素子の背面に接触した状態で接合された伝熱部材からなり、
前記可動部材は没入時に前記表面材と非接触状態にあり、突出時に前記表面材に接触状態になることを特徴とする遊技機用操作部材。
【請求項2】
前記ペルチェ素子の表面に蓄熱部材が接触した状態で接合され、前記可動部材の突出時に前記蓄熱部材が前記表面材に接触状態になることを特徴とする請求項1に記載の遊技機用操作部材。
【請求項3】
前記遊技機本体の前面に背面側カバー部材が突出した状態で遊技機本体に装着され、前記表面側カバー部材は前記背面側カバー部材と対向した状態で、この背面側カバー部材に連結されていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の遊技機用操作部材。
【請求項4】
前記表面側カバー部材は前記遊技機本体に対し、前記可動部材の移動方向に相対移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1、もしくは請求項2に記載の遊技機用操作部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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