説明

遊技機用灰皿蓋の開閉構造

【課題】 蓋の閉塞時に飲料容器などの置き場所を確保でき、灰皿を使用する際は各台係数機と干渉することなく蓋を全開でき、さらに蓋を既設の灰皿に後付けできるようにする。
【解決手段】 蓋6は、灰皿3の開口より大径で上面を平坦に形成する。その蓋6の基部を軸が縦向きのヒンジ7で棚台2に対して枢着する。この構成により、蓋6の閉塞時は飲料容器Aを置くことができ、各台係数機の設置で棚台が狭くなっても置き場所を確保できる。また、蓋6を横方向に回動させるから、上方に各台係数機の搬出ライン4aが配管されていても障害とならなず、灰皿3の使い勝手を低下させない。さらに、蓋6のヒンジ7を棚台2に対して取り付けるから、既設の灰皿3に後付けでき、低コストで実施できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の正面の棚台に設けられた灰皿の蓋の開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、遊技場の店員の省力化などのために、既設の遊技機に各台計数機を設置することが行われている。各台計数機は、専用の玉箱を遊技機の棚台に配置し、計数後の玉を搬出する搬出ラインを玉箱の側面から伸びるように配管している。しかし、これらの後付けの設備で棚台が狭くなり、飲料容器などを置く場所が制限されることとなっている。
【0003】
一方、図10に示すように、灰皿13に上面が平坦な蓋16を上下方向に開閉可能に枢着した跳上げ式の蓋付き灰皿が特許文献1,2で公知であり、閉塞した蓋16の上面に飲料容器などの置き場所を確保することができる。図中、11は遊技機、12は棚台、14は玉箱、14aは搬出ライン、15は吸殻回収装置、Tは吸殻である。
【0004】
この技術を前記の各台計数機の設置時に利用すると、開放時に蓋16が搬出ライン14aに接触して全開できないことがあった。また、蓋16は灰皿13に枢着する構造であるから、蓋16を既設の灰皿に後付けすることができず、灰皿そのものを交換する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−155129号公報
【特許文献2】実用新案登録第3091893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、蓋の閉塞時に飲料容器などの置き場所を確保でき、灰皿を使用する際は各台係数機と干渉することなく蓋を全開でき、さらに蓋を既設の灰皿に後付けできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 複数隣設された各遊技機の正面の棚台に設けられたタバコの灰皿の蓋の開閉構造であって、その蓋は上面が平坦な形状で、その蓋の基部を棚台に対して軸を縦向きにして枢着し、その蓋を横方向に回動させて開閉できるようにしたことを特徴とする、遊技機用灰皿蓋の開閉構造
2) 蓋が遊技機側及び手前側いずれの方向にも回動できるように枢着した、前記1)記載の遊技機用灰皿蓋の開閉構造
3) 蓋の外周に飲料容器の支持枠を設けた、前記1)又は2)記載の遊技機用灰皿蓋の開閉構造
4) 複数隣設された各遊技機の正面の棚台に設けられたタバコの灰皿の蓋の開閉構造であって、その蓋は上面が平坦な形状で、その蓋を灰皿の上面に移動可能に配置し、その蓋を水平方向に進退可能に支持するガイド部材を棚台に対して取り付けたことを特徴とする、遊技機用灰皿蓋の開閉構造
5) 灰皿の底面を開口し、その灰皿の開口から落下した吸殻を回収する吸殻回収装置を棚台の下方位置に設けた、前記1)〜4)いずれか記載の遊技機用灰皿蓋の開閉構造
にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
1)蓋の上面が平坦であるから、閉塞時は飲料容器などを置くことができ、各台係数機の設置で棚台が狭くなっても置き場所を確保できる。
2)蓋を横方向に回動又は水平方向に進退させて開閉するから、上方に各台係数機の搬出ラインが配管されていても障害とならなず、灰皿の使い勝手を低下させることがない。
3)蓋の軸又はガイド部材を棚台に対して取り付けるから、既設の灰皿に後付けでき、低コストで実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の蓋の取り付け状態を示す斜視図である。
【図2】実施例1の蓋の分解斜視図である。
【図3】実施例1の蓋の使用状態を示す説明図である。
【図4】実施例1の蓋の取り付け向きを示す平面図である。
【図5】実施例1の他の例の蓋の分解斜視図である。
【図6】実施例1の他の例の蓋の回動方向を示す平面図である。
【図7】実施例1の他の例の蓋の斜視図である。
【図8】実施例2の蓋の分解斜視図である。
【図9】実施例2の蓋の使用状態を示す説明図である。
【図10】従来の蓋の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を各実施例と図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例】
【0011】
(実施例1)図1〜4に示す実施例1はスイング式の例である。図1は実施例1の蓋の取り付け状態を示す斜視図、図2は実施例1の蓋の分解斜視図、図3は実施例1の蓋の使用状態を示す説明図、図4は実施例1の蓋の取り付け向きを示す平面図である。図中、1は遊技機、2は棚台、3は灰皿、4は玉箱、4aは搬出ライン、5は吸殻回収装置、6は蓋、7はヒンジ、7aはベース板、7bは固定板、7cはネジ(軸)、7dは取付ネジ、Aは飲料容器、Tは吸殻である。
【0012】
図1,2に示すように、複数隣設された各遊技機1の正面に有する棚台2に底面が開口された灰皿3が各台毎に埋設されている。棚台2には各台係数機の玉箱4が各台毎に配置され、その玉箱4の左側面から伸びる搬出ライン4aが灰皿3の付近を通過するように配管されている。棚台2の下方位置には灰皿3の開口から落下した吸殻Tを回収する吸殻回収装置5が設置されている。
【0013】
蓋6は灰皿3より大径の円形板で、上面は平坦に形成されている。ヒンジ7は、ベース板7aと、ベース板7aを棚台2に固定して蓋6を枢着する固定板7bとで構成され、軸となるネジ7cと取付ネジ7dで蓋6とともに棚台2に対してネジ止めしている。この構成により、蓋6を横向きの姿勢で遊技機1側の方向に回動できるようになっている。また、ヒンジ7は棚台2に対して取り付けるから、既設の灰皿3はそのまま使用できる。
【0014】
飲料容器Aを置く場合は、図3(a)に示すように、蓋6を閉塞させてその上面に置く。よって、玉箱4や搬出ライン4aで棚台2が狭くなっていても、飲料容器Aの置き場所を確保できる。また、喫煙しない場合は蓋6を閉塞しておくことで、吸殻回収装置5を通じて灰皿3の開口から立ち昇る煙を遮断できる。喫煙する場合は、図3(b)に示すように、蓋6を開放させて灰皿3を使用する。このとき、蓋6は横方向に回動するから、上方の搬出ライン4aと干渉することがなく、灰皿3の使い勝手を低下させない。また、開放した蓋6の上面に飲料容器Aを置くこともできる。
【0015】
また、図4(a),(b)に示すように、ヒンジ7の取り付け向きを変えることで、蓋6の回動方向を任意に選択できる。特に、図4(b)に示すように、蓋6を手前側に回動できる向きに取り付けると、開放させた状態の蓋6に飲料容器Aを置くことで、灰皿3と飲料容器Aの物置きを両用でき、棚台2に置き場所がほとんど無い場合に有用である。
【0016】
図5,6に示すのは実施例1の他の例である。図5は実施例1の他の例の蓋の分解斜視図、図6は実施例1の他の例の蓋の回動方向を示す平面図である。図5に示すヒンジ7は、固定板7bの取付ネジ7d側を肉厚に形成し、その固定板7bをベース板7aから張り出させて取付ネジ7dで棚台2に直接固定している。ベース板7aはネジ7cのみで固定するが、灰皿3に密接しているから、蓋6の回動時に動くことはない。この構成により、図6(a)〜(c)に示すように、ヒンジ7の取り付け向きを変えることなく、蓋6が遊技機1側と手前側いずれの方向にも回動できる。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【0017】
図7に示すのは実施例1の他の例である。図7は実施例1の他の例の蓋の斜視図である。図中、6aは支持枠である。図7に示す例では、蓋6の外周に高さの低い環状の支持枠6aを設けている。この構成により、蓋6に飲料容器Aを置いた際、飲料容器Aの滑り落ちが防止され、こぼれても支持枠6aで塞き止めて棚台2に流れ難くなる。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【0018】
(実施例2)図8,9に示す実施例2はスライド式の例である。図8は実施例2の蓋の分解斜視図、図9は実施例2の蓋の使用状態を示す説明図である。図中、8は蓋、9はガイド部材、9aはベース体、9bはガイド部、9cは固定体、9dは取付ネジである。
【0019】
図8に示すように、蓋8は灰皿3の開口より大きい寸法の四角形板で、上面は平坦に形成されている。ガイド部材9は、左右にガイド部9bを備えた枠状のベース体9aと固定体9cで構成されている。このベース体9aを灰皿3を囲むように配置して蓋8の両端をガイド部9bに配置し、その上面に固定体9cを重ね合わせて取付ネジ9dで棚台2に対してネジ止めしている。この構成により、蓋8を前後方向にスライドできるようになっている。また、ガイド部材9は棚台2に対して取り付けるから、既設の灰皿3はそのまま使用できる。
【0020】
喫煙する場合は、図9に示すように、蓋8を開放させて灰皿3を使用する。このとき、蓋8は水平にスライドするから、上方に障害物があっても干渉しない。飲料容器Aを置く場合は、蓋8を閉塞させてその上面に置く。その際、ガイド部材9が支持枠となり、飲料容器Aの滑り落ちが防止される。ガイド部材9の取り付け向きは左右方向や前後方向いずれでもよい。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の技術は、灰皿の上方に障害物がある場合に有用である。
【符号の説明】
【0022】
1 遊技機
2 棚台
3 灰皿
4 玉箱
4a 搬出ライン
5 吸殻回収装置
6 蓋
6a 支持枠
7 ヒンジ
7a ベース板
7b 固定板
7c ネジ(軸)
7d 取付ネジ
8 蓋
9 ガイド部材
9a ベース体
9b ガイド部
9c 固定体
9d 取付ネジ
11 遊技機
12 棚台
13 灰皿
14 玉箱
14a 搬出ライン
15 吸殻回収装置
16 蓋
A 飲料容器
T 吸殻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数隣設された各遊技機の正面の棚台に設けられたタバコの灰皿の蓋の開閉構造であって、その蓋は上面が平坦な形状で、その蓋の基部を棚台に対して軸を縦向きにして枢着し、その蓋を横方向に回動させて開閉できるようにしたことを特徴とする、遊技機用灰皿蓋の開閉構造。
【請求項2】
蓋が遊技機側及び手前側いずれの方向にも回動できるように枢着した、請求項1記載の遊技機用灰皿蓋の開閉構造。
【請求項3】
蓋の外周に飲料容器の支持枠を設けた、請求項1又は2記載の遊技機用灰皿蓋の開閉構造。
【請求項4】
複数隣設された各遊技機の正面の棚台に設けられたタバコの灰皿の蓋の開閉構造であって、その蓋は上面が平坦な形状で、その蓋を灰皿の上面に移動可能に配置し、その蓋を水平方向に進退可能に支持するガイド部材を棚台に対して取り付けたことを特徴とする、遊技機用灰皿蓋の開閉構造。
【請求項5】
灰皿の底面を開口し、その灰皿の開口から落下した吸殻を回収する吸殻回収装置を棚台の下方位置に設けた、請求項1〜4いずれか記載の遊技機用灰皿蓋の開閉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−170572(P2012−170572A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34374(P2011−34374)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000108247)株式会社ジェッター (42)
【Fターム(参考)】