説明

遊技機等の梱包箱

【課題】パチンコ機、スロット機等の遊技機やその部品の梱包に使用するに適した梱包箱であって、構造的に簡単で確実に封止でき、しかも不正に開かれたときはその事実を直ちに知ることができる梱包箱を提供すること。
【解決手段】受け箱と蓋箱とで構成され、これら受け箱もしくは蓋箱のいずれか一方に側板から突出する板状突出片が設けられ、他方には、梱包状態においてこの板状突出片が重なり合う重複板部が設けられ、前記受け箱内に物品を入れて蓋箱を被せ、前記板状突出片を重複板部に重ね合わせた状態で、これらに穿孔されている封止孔にリベット状封止具を挿通して固定するように構成された梱包箱。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機やその部品(「遊技機等」とよぶ)の梱包に使用するに適した梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機、スロット機等の遊技機や、その部品を製造場所から遊技店へ納入する場合、これらの物品をダンボール箱に収納して、粘着テープ等で封緘したのち、しかるべき封印を施して、搬送している(例えば特許文献1参照)。しかしながら、ダンボール箱は部分的に開くのが容易であるため、搬送途中や保管中に内部物品を取り出して不正改造されるおそれがあった。ダンボール箱を部分的に開いて物品に不正改造を施した後、再度きちんと梱包しておけば、不正改造がなされたことを認識することができないので、遊技店が不測の損害を受けるおそれがある。
【0003】
このため、遊技機等の物品を梱包した箱を不可逆的に封印して、不正な開封を防止できるようにした梱包箱封印装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−310898号公報
【0005】
【特許文献2】特開2005−245658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に記載のものは、梱包箱の外形に沿って枠辺が設けられた箱状の枠体の上面開口部から梱包箱を該枠体内に嵌めこみ、上記上面開口部に対して開閉可能な矩形状の枠からなる蓋体を閉じて、本体と該蓋体とをワンウエイねじで不可逆的に締結するものである。これにより、梱包箱を確実に封印でき、該封印を解除しようとしたときはそのお痕跡が残るため、不正行為を防止できるとされている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載のものは、本来の梱包箱のほかに、かなりの強度を有する枠体と蓋体とが必要であるから、梱包重量と体積が増えるとともに、梱包費が高くつくという問題点がある。そこで、本発明は、比較的簡単な構造で、部品数も少なくてすみ、梱包を不正に開いた場合は、確実にそれを認識できるような梱包箱を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、請求項1に記載の本発明にかかる梱包箱は、梱包される物品を受ける受け箱と、該受け箱に被せられる蓋箱とを備え、これら受け箱と蓋箱は、底板もしくは天板となる面板と、該面板の周囲に立設された側板とをそれぞれ備え、前記受け箱もしくは蓋箱の少なくとも一方には、その側板から延出する板状突出片が設けられるとともに、他方の側板には該板状突出片が重なり合う重複板部が設けられ、さらに、これら板状突出片と重複板部の互いに重なり合う部分に、封止具挿入用の封止孔がそれぞれ形成されていて、物品を収納した受け箱に蓋箱を被せ、前記板状突出片と重複板部とを重ね合わせた状態で、これらに形成されている封止孔にリベット状封止具を挿入して両者を固定できるように構成されていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2に記載の梱包箱は、上記板状突出片に偏肉加工により補強リブの働きをなす溝状凹部が形成されているものである。さらに、請求項3に記載の梱包箱は、受け箱に収納物品が当接するクッション材が設けられているものである。受け箱に限らず、蓋箱内にもクッション材を設けておくのが好ましい。また、請求項4に記載の梱包箱は、リベット状封止具の頭部に梱包される物品を表す表示部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
この物品梱包箱は、受け箱と蓋箱とで構成され、内部に物品を収納した状態で、蓋箱を受け箱に被せることにより、一方に設けた板状突出片を他方に設けた重複板部に重ね、これらに設けた封止孔を重ね合わせてリベット状封止具を挿通し、両者を固定するものであるから、構成が簡単で軽量化が可能であり、物品の梱包を簡単かつ確実に行うことができる。
【0011】
上記リベット状封止具としては、一旦使用したらそれを破壊しなければ開封できないワンユース式の封止具を使用すればよい。このように再利用不能の封止具を使用すると、不正開封後に再度封止することができないので、不正開封があったことを知ることが可能である。
【0012】
上記梱包状態で、粘着テープや結束バンド等でさらに固定することが可能である。また、蓋箱と受け箱の継ぎ目等に封印シールや封印バンドを用いて封印することで、再利用可能なリベット状封止具を使用することができる。この場合、封印シール等が損傷したり剥がれたり,裂けたりする異常があれば、不正開封を知ることが可能である。
【0013】
なお、請求項2に記載の発明のように、板状突出片に偏肉加工による溝状凹部を形成しておけば、補強リブとしての効果が得られ、板状突出片の強度が向上するので好ましい。さらに、請求項3に記載の発明のように、受け箱に梱包物品が当接する緩衝用のクッション材を配しておけば、梱包部品の保護上好ましい。このクッション材は、受け箱のみならず、蓋箱にも設けておくのが効果的である。また、請求項4に記載の発明のように、リベット状封止具の頭部に梱包物品を表す表示部を設けておけば、梱包をしたままで内部の物品の内容を知ることができるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を表す分解図である。
【図2】その梱包状態を表す斜視図である。
【図3】その平面図(a)、正面図(b)、側面図(c)である。
【図4】リベット状封止具の封止状態を表す平面図(a)および封止具の表示部を表わす外観図(b),(c)である。
【図5】上記と異なる実施形態を表す分解図である。
【図6】その梱包状態を表す斜視図である。
【図7】その平面図(a)、正面図(b)、側面図(c)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について具体的に説明する。図1,図 2,図 3は本発明にかかる梱包箱の1例を表すもので、この縦型の梱包箱1は、受け箱2と蓋箱3を備えてなる。受け箱2と蓋箱3の材質としては、適度の強度を備えた材料、例えばPC、PP、PET、PA6、PA66、POM、PVC、ABS等の樹脂や、アルミニウム、マグネシウム、ジュラルミン等の軽金属を採用することができる。
【0016】
受け箱2は、底板としての面板4の周囲に4枚の側板6を立設した箱体であり、相対する側板6、6には、板状突出片7が一体に形成されている。板状突出片7は、側板6から上向きに伸びる板体で、その板面には、偏肉加工による溝状凹部8が形成されている。このため、溝状凹部の裏面側は、溝状凹部の深さ相当分だけ外側に膨出している。なお、板状突出片7の上端部付近には、封止具を挿通する封止孔9が適当数(図示例では2個であるが、場合によっては1個でもよく、3個以上でもよい)ずつ穿孔されている。
【0017】
蓋箱3は、天板としての面板10の周囲に4枚の側板12を設けた箱体であり、相対する側板12,12には、前記板状突出片7が重なり合う重複板部14が形成されている。この重複板部14には、受け箱2に被せたとき前記溝状凹部の裏面側の膨出部(凸部)が嵌合する溝状凹部16が形成されている。側板12の上端部は、天板10よりも若干上方に突出していて、前記重複板部14の上端部に相当する部分に封止孔9が2個ずつ穿孔されている。
【0018】
受け箱2の底板である面板4上には、収納する物品Pが当接するクッション材20が配置されている。このクッション材20は、発泡ウレタン等公知のクッション材であり、図示例では、面板4の両端部に配置されているが、物品の形状等に応じて、適当な位置に適当な大きさのものを配置すればよい。また、蓋箱3にもクッション材20を取り付けておくのが好ましい。このクッション材20も天板10の両端部に取り付けておくが、これも、物品の形状等に応じて、適当な位置に適当な大きさのものを配置すればよい。
【0019】
図4は、上記リベット状封止具を表すもので、この封止具30は、弾性を有するプラスチック材等で作られたもので、頭部31と軸部32と、アンカー状に開いた脚部33とを備えている。頭部31につながる軸部32の付け根部は、封止孔とほぼ同径の拡径部34となっている。
【0020】
この封止具30は、受け箱2と蓋箱3に設けられた封止孔9に挿通され、両者を封止するもので、これを封止孔9に挿入する時は、脚部33が押し狭められて縮径した状態で封止孔9を通過するが、一旦通過したら、弾力で再度開いて封止孔9よりも大きくなり、抜き取ることは不能となる。すなわち、これで封止した梱包を開封するときは、この封止具30の頭部31、軸部32、脚部33等をニッパ等で切り離して抜き取る必要がある。このため、不正に開封した場合は、封止具30の損傷により、それを検知できるのである。
【0021】
封止具30の頭部には、梱包される物品の内容を示すラベルICタグ等が貼着される表示部50が設けられている。このように、梱包されている物品の内容を表すラベル、ICタグ等の表示手段を表示部50に貼着しておけば、梱包を開封しなくても、これを読み取ることにより(ICタグの場合はICタグリーダが必要)、物品の種類、ロット番号、履歴等を簡単に知ることができるので便利である。なお、物品の内容を記載したラベルやICタグの代わりに、文字や記号を書き込むことのできる白紙のラベルを貼着しておき、梱包の都度、このラベルに必要な事項を書き込むようにしてもよい。
【0022】
この種のラベルやICタグを受け箱2もしくは蓋箱3に直接貼着しておいてもよいが、これらの箱体は、繰り返し再利用されるのが普通であるから、封止具30に表示しておくのが好ましい。封止具30は安価であるから、表示手段を貼着した封止具30を、その都度取り替えても経済的な負担は少なくてすむ。
【0023】
なお、梱包の封止には、上記のようなワンユース式の封止具ではなく、再利用可能な封止具を使用することもできる。その場合は、例えば蓋箱3と受け箱2の継ぎ目部分を粘着テープや結束バンド等で封止し、その上に封印シール等を貼り付けて封印すればよい。封印バンドで封印することも可能である。不正開封があったときは、これら封印シール等が損傷するので、すぐに検知することができる。
【0024】
この梱包箱を用いて遊技機やその部品等の物品Pを梱包する場合は、図1に示すように、クッション材を配置した受け箱2内に物品P(図示例では「セル板」と呼ばれる部品であるが、遊技機製品でも同様である)を上から立てた状態で収納し、その上から蓋箱3を被せて封止具30で封止する。これにより、受け箱2と蓋箱3が固定され、開封できなくなる。この梱包作業は極めて簡単である。なお、このように封止した梱包箱を、さらに粘着テープや結束バンドで封止しておくと、高強度の梱包状態を得ることができる。
【0025】
つぎに、図5乃至図7は、上記と異なる実施形態を表すもので、上記実施形態が物品Pを縦向きに保持する縦型の箱であるのに対し、この実施形態のものは、物品Pを寝かせて保持する横型の梱包箱となっている。
【0026】
この実施形態でもこの梱包箱1‘は受け箱2’と蓋箱3‘を備えてなる。この実施形態では、受け箱2’が内箱2aと外箱2bによる二重構造の箱となっており、内箱2aの側板6aに重複板部14‘が設けられている。また、その部分では外箱2bの側板6b上部が下向きに湾状に切り込まれており、さらにその下部には矩形の窓状開口部15が形成されている。このため、外箱の側板6bは、この部分では、重複板部14’の一部を覆うベルト部17となっており、この部分に封止孔9が穿孔されている。
【0027】
また、蓋箱3‘は天板10’と側板6‘を備えた箱体であり、対向する側板6’に下向きに垂下する板状突出片7‘が一体形成されている。この蓋箱3’を受け箱2‘に被せた状態では、板状突出片7’が受け箱2‘の内箱2aの重複板部14’と重なり合い、外箱2bの上記ベルト部17の裏側を通って、前記窓状開口部15に現れる。封止は、ベルト部17と板状突出片7‘および内箱2aに設けた封止孔9に封止具30を挿通することによっておこなわれる。
【0028】
この横型梱包箱1‘を用いて遊技機等の物品を梱包する場合は、図5に示すように、受け箱2’内に物品Pを寝かせて入れ、その上から蓋箱3‘を被せて、封止具30で封止する。なお、この実施形態では、クッション材20が受け箱2’(蓋箱3‘にも同様に配置されているが、図示を省略の四隅部にそれぞれは位置されているが、この場合も物品Pの形状等に応じて、適当な形状のものを適当な位置に配置しておけばよい。この場合は、板状突出片7’がベルト部17によって外側から押えられるので、さらに封止が確実である。
【0029】
この梱包箱1,1‘は、受け箱内に梱包される物品を入れ、蓋箱を被せて封止具で封止することにより、梱包されるので、構造的に簡単で重量的にも比較的軽量とすることができる。封止具によって封止され、受け箱と蓋箱とが固定された状態で、さらに粘着テープ、結束バンド等を用いて補強することは可能である。この場合も邪魔な外枠等がないので、補強操作も簡単である。
【0030】
なお、以上の説明では、遊技機製品やその部品の梱包について説明したが、この梱包箱を他の用途にしようすることができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0031】
1 梱包箱
2 受け箱
3 蓋箱
4 底板(面板)
6 側板
10 天板(面板)
20 クッション材
30 封止具
31 頭部
50 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包される物品を受ける受け箱と、該受け箱に被せられる蓋箱とを備え、これら受け箱と蓋箱は、底板もしくは天板となる面板と、該面板の周囲に立設された側板とをそれぞれ備え、前記受け箱もしくは蓋箱の少なくとも一方には、その側板から延出する板状突出片が設けられるとともに、他方の側板には該板状突出片が重なり合う重複板部が設けられ、さらに、これら板状突出片と重複板部の互いに重なり合う部分に、封止具挿入用の封止孔がそれぞれ形成されていて、物品を収納した受け箱に蓋箱を被せ、前記板状突出片と重複板部とを重ね合わせた状態で、これらに形成されている封止孔にリベット状封止具を挿入して両者を固定できるように構成されていることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
板状突出片にリブとして機能する溝状凹部が偏肉加工により形成されている請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
梱包される物品が当接する緩衝用クッション材が受け箱もしくは蓋箱に配置されている請求項1又は2に記載の梱包箱。
【請求項4】
リベット状封止具の頭部に梱包物品を表す表示部が設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−100117(P2013−100117A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177238(P2011−177238)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(505212588)株式会社スターベックス (7)
【Fターム(参考)】