説明

遊技機装置

【課題】遊技者の獲得遊技媒体の譲渡が行われる可能性が高い状況下であっても、その譲渡が行われる事態を、遊技者側の利便性を損ねることなく適切に防止すること。
【解決手段】遊技者がパチンコ遊技機1での遊技により獲得したパチンコ玉を当該パチンコ遊技機1毎に設けられた計数機ユニット14により計数した状態では、その獲得パチンコ玉数を記憶した計数カードを台間貸出機2から発行できる。台間貸出機2内の制御装置は、隣接するパチンコ遊技機1側からの大当たり信号または確変信号に基づいて、当該パチンコ遊技機1が大当たり状態にある期間及び確変状態にある期間を監視期間として特定し、この監視期間に計数カードの発行操作が行われたときに、その計数カードの発行処理の抑制及び情報表示部10を通じた異常報知動作を異常処理として実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技により遊技者が獲得した遊技媒体を計数するための計数手段が設置された遊技機のための遊技機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パチンコ遊技機やスロットマシンを設置した遊技場では、遊技者が獲得した遊技媒体である例えばパチンコ玉(持玉)の使用を、その遊技者のみについて許容し、他の遊技者に譲渡すること(所謂横流し)を認めていないのが一般的である。しかしながら、実際には、持玉を得た遊技者が、遊技場従業員の目を盗み他の遊技者に持玉を譲渡する行為が横行している。従来、このような持玉譲渡行為の有無を検出するために、特許文献1に見られるように、遊技機の稼動データに基づいて持玉の増減を監視することより、持玉譲渡の防止を図り得るようにしたシステムが考えられている。
【特許文献1】特開2004−97685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年では、遊技機毎に遊技者が獲得した遊技媒体を計数するための計数機(以下、台毎計数機)を設置すると共に、その計数結果を記録した計数カードを持玉の預り券として発行するようにした遊技場が増加しつつあるが、このような台毎計数機を設置した場合には、持玉の譲渡が容易且つ効率的に行われてしまうという問題点がある。
【0004】
即ち、このような遊技場では、持玉を譲渡する場合に、台毎計数機での持玉の計数に応じて発行された計数カードと、持玉の譲渡先遊技者が支払う対価(金銭)とを交換するだけで済むことになり、遊技媒体そのものを譲渡する場合に比べて、持玉譲渡を容易且つ効率的に行い得るようになる。また、計数カードにて持玉数を詳細に特定できるから、持玉の譲渡価額が適正であるか否かを譲渡元及び譲渡先遊技者の双方で容易に確認できることになり、このため、従来は家族や友人などのように互いに面識がある遊技者間で行われていた持玉譲渡が、互いに面識がない遊技者間でも安易に行い得るようになり、持玉譲渡に拍車が掛かっているのが実情である。
【0005】
持玉の譲渡元遊技者が、その持玉譲渡後においても遊技を継続しようとする場合には、ある程度の量の持玉を手元に残す必要がある。この場合、現在提供されている台毎計数機には、持玉の一部のみを記録した計数カードを発行する機能がコストなどを理由して搭載されていないのが実情であるため、上述したような計数カードを利用した持玉譲渡時には、その持玉の全部を譲渡することが前提になり、遊技を継続使用とする際には、新たに遊技媒体の貸し出しを受ける必要が生じてしまう。譲渡元遊技者は、このような状況に対処するために、その後の遊技により遊技媒体をほぼ確実に獲得できる状態(遊技機が大当たり状態や確変状態にある場合)にて、遊技継続に必要な量の遊技媒体を確保した状態で残りの持玉を台毎計数機での計数に供し、これに応じて発行された計数カードを持玉譲渡に使用することが考えられる。
【0006】
このような形態で持玉譲渡が行われたときには、計数カードを受け取った譲渡先遊技者が、その計数カードに基づいて持玉の払い出し(貸し出し)を受けて遊技を開始した場合に、遊技機の稼動データに異変が生ずることなく、このため、特許文献1に見られるシステムのように、稼動データに基づいて持玉の増減監視を行っているだけでは、持玉譲渡の防止を図ることが困難になるものであり、また、計数カードの発行時に持玉数と計数値とを照合したとしても、異常を示すことがない。この場合、計数カードの発行毎に、その計数状態などを遊技場従業員が出向いて逐一確認するようにすれば、持玉譲渡の防止に効果があると考えられるが、このような方法では、遊技場従業員の負担増を招くと共に、遊技者側の利便性が低下するという新たな問題点が出てくる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、台毎計数機能を備えた遊技機のための遊技機装置において、遊技者の獲得遊技媒体の譲渡が行われる可能性が高い状況下であっても、その譲渡が行われる事態を、遊技者側の利便性を損ねることなく適切に防止できるようになる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の遊技機装置によれば、遊技機での遊技者が、遊技により獲得した遊技媒体を当該遊技機毎に設けられた計数手段で計数すると、その計数結果である遊技媒体数が、獲得数特定手段において獲得数として特定される。このように獲得数が特定された状態で所定の再遊技操作が行われると、再遊技手段が、当該特定獲得数、及び受付手段が受け付けた記憶媒体により認識される獲得数の範囲内で遊技媒体を払い出すと共に、その獲得数を、払い出した払出遊技媒体数に対応する数だけ減少させるという再遊技処理を行うようになる。これにより、遊技者は再遊技を行うことができる。
また、上記のように獲得数が特定された状態で、遊技者が所定の発行操作を行うと、その発行操作が発行操作手段により受け付けられるようになり、これに応じて、発行手段が、上記獲得数を認識可能な記憶媒体を発行する発行処理を行うようになる。
【0009】
一方、受信手段は、遊技機において通常遊技状態よりも入賞率が高くなる大当たり状態が発生したことを示す大当たり信号、及び当該遊技機において通常遊技状態よりも大当たり状態が発生しやすい特別遊技状態が発生したことを示す特別状態信号のうち、少なくとも一方を遊技信号として受信するようになる。監視期間特定手段は、上記受信手段が受信した遊技信号に基づいて、遊技機が、大当たり状態及び特別遊技状態の少なくとも一方の状態(つまり、遊技者側に有利な状態)にある期間を、監視期間として特定する。そして、このように特定された監視期間において、前記発行操作手段が発行操作を受け付けた場合には、判定手段が発行異常と判定するようになり、このような判定が行われたときには、異常処理手段が、前記発行手段による前記発行処理の抑制、及び異常報知動作の少なくとも一方を異常処理として実行するようになる。
【0010】
要するに、遊技機が、大当たり状態及び特別遊技状態の少なくとも一方の状態にある期間、つまり、遊技者が現在の獲得遊技媒体を計数手段により計数して記憶媒体の発行を受けたとしても、手元に残した遊技媒体を使用した遊技により遊技媒体をほぼ確実に獲得できる状態にある期間、つまり遊技者にとっての有利期間については、監視期間として特定されるようになり、この監視期間において記憶媒体の発行操作が行われたときには、発行手段による記憶媒体の発行操作の抑制、及び異常報知動作の少なくとも一方が異常処理として実行されるようになる。このような異常処理が行われる結果、記憶媒体と対価との交換により獲得遊技媒体の譲渡(所謂持玉譲渡)が行われる可能性が高い状況下においては、獲得遊技媒体の譲渡に歯止めが掛けられるものであり、これにより、遊技媒体の譲渡が遊技場側の意に反して行われる事態を、遊技者側の利便性(遊技機毎に設けられた計数手段での獲得遊技媒体の計数機能、この計数に応じて発行される記憶媒体を利用した再遊技機能を含む遊技性など)を損ねることなく適切に防止できるようになり、また、遊技場従業員の負担増を招く事態も未然に防止可能になる。
【0011】
上記のように、監視期間(遊技者にとっての有利期間)において獲得遊技媒体の譲渡に歯止めが掛けられた遊技者にあっては、このような状態を回避するために、例えば、その監視期間の終了後に、獲得遊技媒体の全てを計数手段にて計数して記憶媒体の発行を受け、その記憶媒体を利用した再遊技操作により、再遊技手段から譲渡分の遊技媒体を払い出した状態で、自身の遊技媒体を確保するために記憶媒体を発行させ、さらに、再遊技により払い出した譲渡分の遊技媒体数を計数手段で計数させることにより、新たに記憶媒体を発行させる、という抜け道を考える恐れがある。
【0012】
これに対して、請求項2記載の遊技機装置によれば、遊技機での遊技媒体の使用数、及び遊技機での始動数(始動口への入賞数或いは始動口への入賞に基づいて作動する役物の作動回数)の少なくとも一方である再遊技情報が、再遊技許容値を満たしていない状態(再遊技処理により遊技媒体の払い出しを受けたにも関わらず、実際には、その遊技媒体を使用した再遊技を行っていないと想定される状態)で所定回数の再遊技処理が行われた場合には、再遊技異常判定手段において再遊技異常と判定されるようになる。そして、このような判定状態(再遊技処理に対応する遊技が実際に行われていない状態に相当)において、記憶媒体の発行操作が行われた場合には、判定手段において発行異常と判定されて、異常処理手段による異常処理が行われるものであり、これにより、上記のような抜け道に歯止めを掛けることが可能になる。
【0013】
請求項3記載の手段によれば、再遊技異常判定手段により再遊技異常と判定された状態において記憶媒体の発行操作が行われるのに応じて、判定手段が発行異常と判定した場合には、異常処理手段が、発行手段による記憶媒体の発行処理を禁止する動作を行うようになる。このため、上記発行操作を行った遊技者は、そのまま遊技を継続しなければならないが、このような遊技継続状態(再遊技異常と判定されている状態)で、再遊技情報が再遊技許容値を満たした状態になったときには、再遊技異常判定手段において再遊技異常が解消したと判定されるようになるから、記憶媒体の発行処理が許容されるようになる。
【0014】
この場合、記憶媒体の発行が禁止された遊技者は、いつまで遊技を継続したら遊技媒体の発行が許容された状態になるか不安になり、例えば、その説明或いは助けを求めるために遊技場従業員を呼ぶ可能性が高くなり、結果的に従業員側の負担が増える恐れが出てくる。しかしながら、請求項3記載の手段によれば、記憶媒体の発行操作に伴い再遊技異常と判定された時点で、報知手段が当該再遊技異常を解消するために必要な再遊技情報の値を報知するようになるから、遊技者側では、記憶媒体の発行が許容されるまでの目安期間を知ることができるようになって、その不安を的確に解消可能になり、上記のように遊技場従業員の負担が増える事態を未然に防止できるようになる。
【0015】
請求項4記載の遊技装置によれば、発行手段の発行処理に対応する使用数、及び始動数の少なくとも一方である発行情報により、発行許容値記憶手段に記憶された発行許容値が満たされたと判定していない状態において記憶媒体の発行操作が行われた場合に、判定手段が発行異常と判定する構成となっているから、発行処理に対応した遊技を行われていない状態では遊技媒体の発行に歯止めが掛けられるようになる。
【0016】
一般的に、遊技機毎に計数手段が設けられている遊技場において、ある遊技者が計数手段で遊技媒体の計数を行って記憶媒体の発行を受けた後に、当該計数手段に対応した遊技機で他の遊技者が遊技を行うべく自身の記憶媒体を受付手段で受け付けさせた後に、そこでの遊技を翻意して他の遊技機へ移動するという行動はよくある光景である。このような行動があった場合、前記請求項4記載の手段では、遊技媒体の譲渡の意思がない善意の遊技者であっても、その遊技者が発行操作を行ったときに発行異常と判定されて遊技媒体の発行が禁止されてしまう。これに対して、請求項5記載の遊技機装置では、発行許容判定手段が発行情報により発行許容値が満たされたと判定していない状態で発行操作が行われた場合であっても、発行手段による発行処理後に、受付手段が新たに記憶媒体を受け付けている場合には発行異常と判定されない構成となっているから、善意の遊技者による発行操作に対して発行異常と判定してしまう恐れがなくなる。
【0017】
請求項6記載の遊技機装置の構成によれば、監視期間において獲得遊技媒体の譲渡に歯止めが掛けられた遊技者が、前述したような抜け道による遊技媒体の譲渡を行おうとする場合に、自身の遊技媒体を確保するために記憶媒体の発行処理を行う時点で、遊技者が獲得した理論上の遊技媒体数である理論総数と、獲得数特定手段が特定する獲得数に前記受け付け手段が受け付けた記憶媒体により認識される獲得数を加えた値である獲得総数を利用して発行異常と判定できるようになり、当該抜け道による遊技媒体の譲渡を未然に防止できる。
【0018】
請求項7記載の遊技機装置のように、発行操作が行われた場合に行う異常判定のうち、前記理論総数に対して前記獲得総数が所定数以上足りない場合に判定する前記発行異常を第1異常、その理論総数に対して獲得総数が所定数以上多い場合には第2異常とした場合、第2異常については、他の遊技場からの遊技媒体の持ち込みや、遊技媒体の不正取得などの不正行為があったときに異常判定が行われるので、遊技場従業員の認証が必要になる。一方、第1異常については、不正行為とは言い切れないため、遊技場従業員の認証を必要とせずとも遊技場のルールに従って遊技媒体の発行処理を行えば解決可能な行為であるという事情がある。このような事情があるにも関わらず、第1異常について第2異常と同様に遊技場従業員が対処していたのでは、その負担が無益に増えるばかりか、ルールをたまたま知らなかった遊技者に対して悪いイメージを与えかねないという問題が出てくる。これに対して、請求項7記載の遊技機装置では、判定手段により第1異常及び第2異常と判定された各場合に発行手段による発行処理を禁止する一方、その禁止状態を所定条件の成立に基づいて解除し、その所定条件を第1異常判定時と第2異常判定時とで異なる条件となるよう構成されているから、第1異常については遊技場従業員の認証作業を行う必要があるが、第2異常についてはそのような認証作業を他の条件で置き換えることができ、上記のような問題を未然に解決できる。
【0019】
請求項8記載の手段によれば、前記判定手段による異常判定を行うか否か、つまり、持玉譲渡の監視を行うか否かを、設定手段による設定状態により選択できる。この場合、遊技場の営業形態の如何によっては、その稼動促進のために持玉譲渡を奨励するという形態を採用する場合もあるが、このような状況下において遊技場に対し同一の遊技機装置を提供したとしても、上記のような設定を行うだけで、遊技場のニーズに応じて持玉譲渡の監視を行うか否かを選択可能になる。これにより、遊技機装置のコストを量産効果により低減させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には遊技場のシステム構成が概略的に示されている。この図1において、遊技場内に多数台ずつ設置されたパチンコ遊技機1及び台間貸出機2(遊技機装置、貸出手段に相当)は、互いに隣接して配置されており、図示しないが、パチンコ遊技機1の上方には周知構成の呼出ランプユニットが設けられている。
【0021】
パチンコ遊技機1は、所謂デジパチとして周知構成のものであり、遊技媒体であるパチンコ玉を使用しての遊技中において、盤面1a(遊技領域に相当)に設けられた始動口1bへの入賞に応じて行われる抽選機能により大当たりに当選したときに、通常遊技状態よりも入賞率を高めた大当たり状態を呈する。また、大当たりに当選したときには、その大当たりの内容に応じた所定の確率で、大当たりの当選確率を通常遊技状態よりも高めた確変状態(特別遊技状態に相当)を呈する。尚、大当たり状態となったときには、盤面1aに設置された大入賞口1c(役物に相当)が所定期間だけ作動するものであり、これに応じて入賞率が大幅に高められる構成となっている。さらに、盤面1aには、抽選結果の表示を含む種々の演出表示を行うため表示ユニット1dが設けられている。
【0022】
パチンコ遊技機1においては、賞球としてのパチンコ玉を上皿3へ放出するようになっており、この上皿3が満杯となったときにはオーバーフローしたパチンコ玉が下皿4内へ流入する。尚、上皿3内のパチンコ玉は、レバー3aのスライド操作によっても下皿4内へ落下させ得るようになっている。一方、下皿4にもレバー4aが設けられており、このレバー4aがスライド操作されたときには、下皿4の底部に形成された落下口(図示せず)が開放されて内部のパチンコ玉が可動玉受皿5aを備えた案内管5内に流入する構成となっている。
【0023】
パチンコ遊技機1には、これに付随してアウト玉回収装置及びセーフ玉補給装置(何れも図示せず)が設置されており、アウト玉回収装置からは、パチンコ遊技機1での遊技に使用されたパチンコ玉数である使用数に相当したアウト玉数(打込玉数)を示すアウト信号(使用信号に相当)が遊技信号として出力され、セーフ玉補給装置からは、セーフ玉数(払出玉数)を示すセーフ信号(払出信号に相当)が遊技信号として出力される構成となっている。また、パチンコ遊技機1は、始動口1bへの入賞数或いは始動口1bへの入賞に基づいて作動する大入賞口1cの作動回数(大当たり状態時の所定期間の作動を1回とカウントする)である始動数を特定可能なスタート信号(始動信号に相当)、大当たり状態にあることを示す大当たり信号、確変状態にあることを示す確変信号(特別状態信号に相当)などの遊技信号も出力するように構成されている。尚、上記大当たり信号及び確変信号は、それぞれパチンコ遊技機1が大当たり状態にある期間及び確変状態にある期間に継続的に出力されるレベル信号である。尚、アウト信号、及びセーフ信号を遊技機から出力する構成や、スタート入賞口4aへの入賞数を示す信号をスタート信号として出力する構成や、特別遊技状態信号として所謂時短状態を示す状態信号を出力する構成も想定できる。
【0024】
パチンコ遊技機1、台間貸出機2、図示しない呼出ランプユニットとの各間で信号の授受を行うように接続された中継装置6は、コンピュータにより構成された管理装置7に店内LAN8を介して接続されており、これにより管理装置7は、遊技場内の全てのパチンコ遊技機1、台間貸出機2、呼出ランプユニットとの間で各種信号及びデータの送受信を行い得るようになっている。尚、図示しないが、店内LAN8には、周知構成の遊技場用端末装置(遊技者向けの種々のデータを表示するための集中情報公開端末(例えばデータロボ(登録商標))、遊技者の獲得パチンコ玉を計数するためのパチンコ玉計数機、景品交換に使用するためのPOS端末など)も接続される。
【0025】
台間貸出機2は、硬貨投入口9への硬貨の投入に応じてパチンコ玉の放出(貸出)を行う基本機能を備えたものであるが、特に、硬貨の投入により放出したパチンコ玉数である貸出玉数(貸出数に相当)を特定可能な売上信号を遊技信号として出力するように構成されている。尚、有価価値を受け付け、貸出玉を払い出す構成であれば、紙幣などの貨幣を受け付ける構成も想定できる。尚、後述する再遊技処理による再遊技玉を払い出した場合には、その再遊技玉数を特定可能な再遊技信号を出力する。
【0026】
この台間貸出機2は、CPU(獲得数特定手段、監視期間特定手段、判定手段、異常処理手段、再遊技情報特定手段、再遊技許容判定手段、再遊技異常判定手段、発行情報特定手段、発行許容判定手段、理論数特定手段、設定手段に相当)、RAM、ROM及びハードディスクドライブなどを含んで構成された記憶部(再遊技許容値記憶手段、発行許容値記憶手段に相当)、入出力インタフェース(受信手段に相当)を含んで構成された制御装置(図示せず)を内蔵しており、この制御装置により本発明の要旨に関係した後述のような種々の制御を実行するようになっている。
【0027】
台間貸出機2の前面側には、前記硬貨投入口9の他に、表示領域の全面に所定の発行操作を含む操作入力を受け付けるタッチスイッチパネル(図示せず)が形成された情報表示部10(発行操作手段、異常処理手段、報知手段に相当)、玉貸ボタン11、パチンコ玉放出用のノズル12、カードスロット13、前記案内管5の基部が連結された計数機ユニット14(計数手段に相当)が設けられている。
【0028】
この場合、ノズル12は、台間貸出機2内に設けられた玉放出機構(図示せず)及び前記制御装置に内蔵されたCPUと共に本発明でいう再遊技手段を構成するものであり、先端がパチンコ遊技機1の上皿3に上方から臨む通常位置(玉放出機構から放出されたパチンコ玉を上皿3内に導く位置)と、前方に回動された退避位置との間で往復回動可能に設けられており、常時においては図示しないばね手段によって通常位置へ付勢されている。
【0029】
また、計数機ユニット14は、案内管5を通じて流入するパチンコ玉(計数玉)を検知して計数する玉計数機(図示せず)を内蔵しており、その計数結果、つまり遊技者がパチンコ遊技機1での遊技により獲得したパチンコ玉である持玉の数が、前記制御装置の記憶部に対して当該遊技者の持分として特定可能な獲得数として記憶される構成となっている。尚、案内管5は、先端側の可動玉受皿5aがパチンコ遊技機1の下皿4に形成された図示しない落下口に下方から臨む通常位置(下皿4から落下するパチンコ玉を可動玉受皿5aにより受け止める位置)と、前方に回動された退避位置との間で往復回動可能に設けられており、常時において通常位置に固定されている。
【0030】
この場合、台間貸出機2内の制御装置は、記憶部に獲得数が記憶されている状態では、玉貸ボタン11が操作される毎に所定個数(例えば、獲得数が125個以上ある場合には125個、獲得数が125個未満の場合には当該獲得数)のパチンコ玉を前記玉放出機構からノズル12を通じて放出させると共に、上記獲得数を当該放出パチンコ玉に応じた数だけ減算するという持玉払出制御を行う構成となっている。
【0031】
図示しないが、台間貸出機2内における前記カードスロット13と対応した位置には、計数カード(記憶媒体に相当)を発行するためのカードユニット(発行手段に相当)及びカードスロット13を通じて挿入された計数カードにアクセス可能なリーダライタ(受付手段に相当)が設けられている。尚、上記計数カードは、例えば磁気カード或いはICカードのようなデータ書き換え可能な記憶媒体により構成されたものであり、後述の説明によって明らかとなるように、計数機ユニット14による計数結果(獲得数)を認識可能な獲得数情報が記憶される構成となっている。
【0032】
上記カードユニットは、前記計数カードを所定枚数(例えば5枚程度)だけ保管可能なカードストッカ(図示せず)を備えた構成となっている。この場合、制御装置は、常時において、情報表示部10上にメインメニュー画面(図示せず)を表示すると共に、このメニュー画面上に前記図示しないタッチスイッチパネルを利用したカード発行スイッチを形成しており、記憶部に獲得数が残存している状態で当該カード発行スイッチのタッチ操作(発行操作に相当)が行われたときには、その獲得数(つまり、残存獲得数)の全部を計数カードに対し獲得数情報として記憶した上で、当該計数カードをカードスロット13から排出(発行)すると共に、記憶部中の獲得数を初期化するという発行処理を行う構成となっている。
【0033】
また、制御装置は、カードスロット13に計数カードが挿入されたときに、その計数カードに前記リーダライタを通じてアクセスすることにより受け付け、その計数カードに記憶されている獲得数情報を発行数として特定すると共に、当該発行数を記憶部に記憶されている獲得数に加算すると共に、計数カードをリーダライタにより初期化した後に前記カードストッカに回収する。このように獲得数が記憶部に記憶された状態では、玉貸ボタン11の操作(所定の再遊技操作に相当)に応じた前述の持玉払出制御を再遊技処理として実行させること可能になるから、結果的に計数カードを利用した再遊技が可能になるものである。尚、前記POS端末は、計数カードに記憶されている獲得数情報を読み取り可能に構成されており、その読み取り結果に基づいた景品交換及び当該計数カードの初期化・回収を実施可能な構成とされている。
【0034】
管理装置7は、RAM、ROM及びハードディスクドライブなどを含んで構成された記憶部、CPU、入出力インタフェースを含んで構成された本体ユニット7aを備え、この本体ユニット7aに、モニタ7b、キーボード7c及び図示しないプリンタなどを接続した形態のものである。
【0035】
この場合、管理装置7は、パチンコ遊技機1及び台間貸出機2などの遊技機側から出力される遊技信号(アウト信号、セーフ信号、スタート信号、大当たり信号、売上信号など)に基づいて、遊技場内の全部のパチンコ遊技機1についての遊技情報(アウト玉数、セーフ玉数、スタート数、大当たり数、差玉数、稼動率、出玉率、ベースなど)、並びに遊技場内の全部の台間貸出機2についての貸出高データ(売上金額、割数など)を集計して格納するという周知のデータ集計機能を備えたものである。
【0036】
ここで、アウト(セーフ)信号は、アウト(セーフ)玉数10個毎に出力されるため、信号受信回数に10を乗じた数値をアウト(セーフ)玉数として特定し、スタート信号は大当たり抽選毎、或いはスタート入賞口4aへの入賞毎に出力されるため、信号受信回数をスタート数として特定し、大当たり信号は大当たり期間中に出力され続けるため、その受信回数を大当たり回数として特定し、売上信号は100円毎に出力されるため、その受信回数に100(25)を乗じた数値を売上金額(売上玉数)として特定する。尚、信号数に乗ずる数値は、遊技機側から出力される信号に応じて適宜変更すれば良い。
【0037】
また、管理装置7側では、キーボード7cを通じた入力操作により、持玉譲渡検知を行うのに必要となる図2に示すような判定項目「モード」、「加算アウト」、「回数判定値」、「持玉許容値」を設定するようになっており、それらの設定情報は、中継装置6などを介して台間貸出機2内の制御装置へ転送される構成となっている。
【0038】
この場合、「モード」は、持玉譲渡検知モードを決めるためのもので、持玉譲渡検知を行わない非検知モードの設定値を「0」、パチンコ遊技機1が大当たり状態または確変状態にあるときのみ持玉譲渡検知を行う第1検知モードの設定値を「1」、第1検知モードによる持玉譲渡検知に加えて後述する判定アウトに基づいた持玉譲渡検知も行う第2検知モードの設定値を「2」、第1検知モードによる持玉譲渡検知に加えて後述する理論持玉数に基づいた持玉譲渡検知も行う第3検知モードの設定値を「3」としている(図2には第2検知モードに対応した「2」を設定した例を示す)。
【0039】
「加算アウト」は、1回の再遊技に対応する判定アウトをリセットする処理に必要な加算値として使用されるアウト数(図2の例では「100」)である。「回数判定値」は、計数カードの発行時に再遊技異常と判断する際に使用される再遊技回数(図2の例では「3」)である。「持玉許容値」は、獲得数の照合時に、計数カードの発行を許容する最大差異値(図2の例では「500」)である。
【0040】
さて、以下においては、台間貸出機2内の制御装置による制御内容のうち、本発明の要旨に直接関係した内容について、これに関連した構成などと共に説明する。
制御装置の記憶部には、図3のようなフォーマットの異常判定用記憶領域が設けられている。この記憶領域には、管理装置7から転送された前記判定項目に係る設定情報(図2参照)が設定値として記憶されると共に、持玉譲渡検知に必要な監視項目である「照合アウト」、「判定アウト」、「判定再遊技数」、「獲得玉」、「理論持玉」、「異常フラグ」が更新値として順次更新記憶される構成となっている。
【0041】
この更新値において、「照合アウト」(再遊技許容値に相当)は、再遊技操作毎に「加算アウト」の設定値(図3の例では「100」)が加算される値である。「判定アウト」(再遊技情報に相当)は、再遊技開始後のアウト数(使用数)に対応するもので、後述の説明にて明らかとなるように、加算後の「照合アウト」と照合され、「判定アウト」が「照合アウト」以上となった場合には、当該「照合アウト」が初期化される。「判定再遊技数」は、再遊技が行われる毎に「1」ずつ加算される値、「獲得玉」は、計数カードに記憶可能なパチンコ玉数(受け付けた計数カードにより認識される獲得数+計数機ユニット14による計数結果−再遊技に供されたパチンコ玉数:獲得総数に相当)である。「理論持玉」は、遊技者の理論上の獲得玉数である理論数(貸出玉数+セーフ玉数−アウト玉数)に計数カードの受付計数玉数(発行数)を加えた理論持玉数(理論総数に相当)、「異常フラグ」は、「判定再遊技数」が「回数判定値」以上となった場合に「1」にセットされ、計数カードの発行操作時に異常判定のために参照されるフラグである。
【0042】
さて、台間貸出機2内の制御装置は、判定項目「モード」が非検知モードに対応した設定値「0」以外であった場合、つまり、第1検知モード、第2検知モード及び第3検知モードの何れかであった場合に、以下に述べるような持玉譲渡検知を実行する構成となっている。
【0043】
(a)第1検知モード(設定値「1」)
この第1検知モードでは、パチンコ遊技機1側から出力される遊技信号のうち、大当たり信号または確変信号を受信した状態にある期間を監視期間として特定し、この監視期間において、情報表示部10のタッチスイッチパネルを通じた発行操作を受け付けた場合に発行異常と判定し、カードユニットによる計数カードの発行処理の抑制及び情報表示部10を通じた異常報知動作(例えば、遊技者に対して、大当たり状態または確変状態の終了後に計数カードの発行操作が許容される旨の内容を含む報知動作)を異常処理として実行する。
【0044】
ここで、台間貸出機2においては、計数カードの分割発行(記憶部に記憶された獲得数の一部のみを記録した計数カードを発行する処理)ができない構成となっている。従って、持玉譲渡を行おうとする遊技者にあっては、計数カードを利用した持玉譲渡後においても自身が遊技を継続しようとする場合に、ある程度の量のパチンコ玉を手元に残す必要があるため、パチンコ遊技機1が大当たり状態若しくは確変状態にある期間(その後の遊技によりパチンコ玉をほぼ確実に獲得できるという遊技者にとっての有利期間)に計数カードの発行操作を行い、これに応じて発行された計数カードを持玉譲渡に使用することが考えられる。
【0045】
これに対して、第1検知モードが設定されている状態では、パチンコ遊技機1が大当たり状態や確変状態にある期間が監視期間として特定されるようになり、この監視期間において計数カードの発行操作が行われたときには、上述したような計数カードの発行処理の抑制及び情報表示部10を通じた異常報知動作の双方が異常処理として実行されるようになる。このような異常処理が行われる結果、計数カードと対価との交換により持玉の譲渡が行われる可能性が高い状況下では、計数カードを利用した持玉の譲渡が禁止されるものであり、これにより、持玉譲渡が遊技場側の意に反して行われる事態を、遊技者側の利便性(パチンコ遊技機1毎に設けられた計数機ユニット14での獲得パチンコ玉の計数機能、この計数に応じて発行される計数カードを利用した再遊技機能を含む遊技性など)を損ねることなく適切に防止できるようになり、また、遊技場従業員の負担増を招く事態も未然に防止可能になる。さらに、上記異常報知動作として、大当たり状態または確変状態の終了後に計数カードの発行操作が許容される旨の内容を含む報知動作を行うようにした場合には、遊技者に対して、どのように対処すれば計数カードの発行を受けることができるかガイドできるようになり、遊技者側の利便性が向上するようになる。
【0046】
(b)第2検知モード(設定値「2」)
図4〜図6のフローチャートには、第2検知モードでの制御装置による処理内容が示されている。
図4の再遊技処理ルーチンでは、カードスロット13を通じて計数カードを受け付けるまで、または、再遊技操作(玉貸ボタン11の操作)が行われるまで待機し(A1、A3)、計数カードを受け付けたときには、その計数カードに記憶されている獲得数を記憶部に記憶されている獲得数に加算し(A2)、この後に前記待機ループ(A3)へ戻る。
再遊技操作が行われた場合には、玉放出機構を通じて所定個数(125個)のパチンコ玉を再遊技玉として払い出すと共に、記憶部に記憶されている獲得数を払い出しパチンコ玉数に応じた数だけ減算する(A4、A5)、という持玉払出制御を行う。
【0047】
このようにして再遊技操作に応じた持玉払出制御を実行した後には、「加算アウト」に係る設定値(本実施例では「100」)を、更新値である「照合アウト」に加算するステップA6、同じく更新値である「判定再遊技数」に「1」を加算するステップA7を順次実行した後に、「判定遊技数」が「回数判定値」に係る設定値(本実施例では「3」)以上になったか否かを判断する(A8)。
このステップA8で「NO」と判断した場合には前記待機ループ(A1)へ戻るが、「YES」と判断した場合には、異常フラグを「1」にセットするステップA9を実行した後に上記待機ループへ戻る。
【0048】
要するに、異常フラグは、監視項目「判定再遊技数」により示される再遊技回数(再遊技玉の払出回数)が、判定項目「回数判定値」に設定されている3回以上となった場合に「1」にセットされるものである。また、監視項目「照合アウト」は、1回の再遊技操作に応じた持玉払出制御が実行される毎に設定値(=100)ずつ増えるものであり、従って、再遊技回数が1回の状態では「100」、2回の状態では「200」、3回の状態では「300」になる。
【0049】
図5の判定アウト更新処理ルーチンでは、パチンコ遊技機1側から出力されるアウト信号を受信するまで待機し(B1)、アウト信号を受信したときには、更新値である「判定アウト」を10だけ加算し(B2)、この後に、当該「判定アウト」が前記「照合アウト」以上になったか否かを判断する(B3)。
【0050】
このステップB3で「NO」と判断したときにはステップB1へ戻るが、「YES」と判断したときには、「照合アウト」、「判定アウト」、「判定再遊技数」を初期化するステップB4、異常フラグを「0」にリセットするステップB5を順次実行した後にステップB1へ戻る。
【0051】
要するに、異常フラグは、再遊技操作に応じて払い出されたパチンコ玉がパチンコ遊技機1での遊技に使用されるのに応じて「判定アウト」が「照合アウト」以上となったとき、つまり、遊技者が再遊技時において所定数(再遊技回数が1回のときは「100」、2回のときは「200」、3回のときは「300」)以上のパチンコ玉を使用したときに、再遊技情報である「判定アウト」により再遊技許容値である「照合アウト」が満たされたと判定されて「0」に戻されるものである。
【0052】
図6の計数カード発行処理ルーチンでは、計数機ユニット14において計数玉を検知するまで、または、計数カードの発行操作が行われるまで待機し(C1、C3)、計数玉を検知したときには、計数機ユニット14による計数値を記憶部に記憶されている獲得数に加算し(C2)、この後に前記待機ループ(C3)へ戻る。
【0053】
計数カードの発行操作が行われたときには、大当たり信号または確変信号を受信中か否かを判断し(C4)、受信中であった場合、つまり、パチンコ遊技機1が大当たり状態や確変状態にある監視期間であった場合には、前記第1検知モードと同様の異常処理を実行し(C5)、この後に前記待機ループ(C1)へ戻る。
【0054】
前記大当たり信号または確変信号の非受信状態(C4で「NO」)、つまり監視期間でない状態では、異常フラグが「0」であるか否かを判断する(C6)。この異常フラグは、前述したように、再遊技回数が3回以上となったときに「1」にセットされ、遊技者が再遊技時において所定数以上のパチンコ玉を使用したときに「0」にリセットされるものであり、これが「1」の場合、つまり、遊技者が、再遊技時において前記所定数以上のパチンコ玉を使用しなかった場合には、前記ステップC5へ移行することにより、計数カードの発行処理の抑制などを行う異常処理を実行した後に待機ループ(C1)へ戻る。
これに対して、異常フラグが「0」であった場合には、記憶部に記憶されている獲得数を獲得数情報として記憶した計数カードを発行するステップC7、当該記憶部中の獲得数を初期化するステップC8を順次実行した後に前記待機ループへ戻る。
【0055】
第2検知モードにおいて上述のような処理が行われる結果、以下に述べるような効果を奏することができる。即ち、今、パチンコ遊技機1が大当たり状態や確変状態にある監視期間において計数カードの発行を抑制された遊技者(つまり、持玉譲渡に歯止めが掛けられた遊技者)が、そのような状態を回避するために、その獲得パチンコ玉(説明の便宜上、10000個とする)を、自身の遊技継続に必要な分を確保して残りを他の遊技者へ譲渡しようとする場合を想定する。
【0056】
この場合、遊技者は、監視期間が終了して計数カードの発行が許容された後に、獲得パチンコ玉を計数機ユニット14で計数させて記憶部に獲得数として記憶させ、その獲得数相当のパチンコ玉を持玉譲渡用に分割(例えば、自身の遊技継続用の持玉7500個と譲渡用の持玉2500個に分割)するために、譲渡分の2500個のパチンコ玉を再遊技操作により払い出してパチンコ遊技機1の上皿3などに貯めた状態とし、残りのパチンコ玉(7500個)を記憶した計数カードを発行させ、その後に上皿3などに貯めたパチンコ玉を再計数すると共に、その計数結果を獲得数として記憶した2枚目の計数カードを発行させることを行う場合がある。従って、この場合には、計数カードを使用して持玉譲渡を容易に行い得るという抜け道ができることになる。
【0057】
これに対して、第2検知モードが設定されていた場合には、図4〜図6のような処理が実行されるのに応じて、上記7500個のパチンコ玉を獲得数として記憶した計数カードの発行操作を行った時点で、再遊技後のアウト玉数(判定アウト)が所定数(照合アウト)に達していないので、異常フラグが「1」にセットされるようになり、これに応じて実行される異常処理により計数カードの発行が抑制されることになる。
【0058】
尚、この第2検知モード設定時には、再遊技後のアウト玉数があとどれだけ増えたときに所定数(照合アウト)に達した状態(つまり、計数カードの発行が許容された状態)になるのか、という目安を情報表示部10で表示することにより報知することが望ましい。遊技者側では、このように報知内容に従い遊技を継続してアウト玉数を所定数まで増やすようにすれば、異常フラグが「0」にリセットされ、計数カードの発行が許容されるようになる。つまり、計数カードの発行が禁止された遊技者は、いつまで遊技を継続したら計数カードの発行が許容された状態になるか不安になり、例えば、その説明或いは助けを求めるために遊技場従業員を呼ぶ可能性が高くなり、結果的に従業員側の負担が増える恐れが出てくる。しかしながら、上記のような目安が情報表示部10で表示される構成であった場合には、その不安を的確に解消可能になり、遊技場従業員の負担が増える事態を未然に防止できるようになる。
【0059】
(c)第3検知モード(設定値「3」)
図7〜図9のフローチャートには、第3検知モードでの制御装置による処理内容が示されている。
図7の再遊技処理ルーチンでは、前記第2検知モードでの再遊技処理ルーチン(図4参照)と同様に、カードスロット13を通じて計数カードを受け付けるまで、または、再遊技操作(玉貸ボタン11の操作)が行われるまで待機する(A1、A3)。計数カードを受け付けたときには、その計数カードに記憶されている獲得数及び更新値である「理論持玉」を記憶部に記憶されている獲得数に加算し(A2´)、この後に前記待機ループ(A3)へ戻る。この後には、前記第2検知モードでの再遊技処理ルーチンと同様のステップA3、A4、A5を順次実行した後に待機ループ(A1)へ戻る。
【0060】
図8の理論持玉更新処理ルーチンでは、パチンコ遊技機1側から出力されるアウト信号を受信するまで待機し(ステップD1)、アウト信号を受信したときには、「理論持玉」を「10」だけ減算し(ステップD2)、この後に、硬貨投入口9へ投入された貨幣(硬貨)を受け付けたか否かを判断する(ステップD3)。
【0061】
このステップD3で「YES」と判断したときには、投入硬貨に見合った数のパチンコ玉(貸出玉)を払い出すステップD4、これにより貸し出されたパチンコ玉数を示す貸出を「理論持玉」に加算するステップD5を順次実行した後にステップD1へ戻る。また、ステップD3で「NO」と判断したときには、パチンコ遊技機1側から出力されるセーフ信号の受信の有無を判断する(ステップD6)。セーフ信号の非受信状態ではステップD1へ戻るが、受信したときには、「理論持玉」に「10」を加算するステップD7を実行した後にステップD1へ戻る。
【0062】
図9の計数カード発行処理ルーチンでは、前記第2検知モードでの計数カード発行処理ルーチン(図6参照)と同様のステップC1〜C5を実行するようになっており、ステップC4で「NO」と判断したとき(大当たり信号または確変信号の非受信状態であったとき)には、更新値として記憶されている「理論持玉」から記憶部に記憶されている獲得数を差し引いた値が、判定項目「持玉許容値」の設定値(本実施例では「500」)以下であるか否かを判断する(C6´)。
【0063】
このステップC6´で「NO」と判断したときには、異常処理ステップC5を実行した後に待機ループ(C1)へ戻る。また、ステップC6´で「YES」と判断したときには、記憶部に記憶されている獲得数を獲得数情報として記憶した計数カードを発行するステップC7、当該記憶部中の獲得数及び前記「理論持玉」を初期化するステップC8´を順次実行した後に前記待機ループへ戻る。
【0064】
第3検知モードにおいて上述のような処理が行われる結果、監視期間において持玉譲渡に歯止めが掛けられた遊技者が、前記第2検知モードに係る説明で述べたような抜け道による持玉譲渡を行おうとする場合に、自身の持玉を確保するために計数カードの発行処理を行う時点で、遊技者が獲得した理論上のパチンコ玉数である理論数を利用して発行異常と判定できるようになり、これにより当該抜け道による持玉譲渡を未然に防止できる。
【0065】
このように発行異常と判定した場合には、異常報知に加えて、計数機ユニット14にて持玉の全てを計数すれば計数カードの発行が許容される旨、或いは計数カードの発行が許容されるのに必要な計数値を報知することが望ましい。遊技者側では、このような報知に従い持玉を計数すれば、理論持玉と獲得数との差異が解消し計数カードの発行が許容されることになる。
【0066】
尚、遊技者の行為として、パチンコ遊技機1での大当たり終了後に譲渡持玉分を上皿3などに残した状態で、自身の持玉を確保するために計数カードの発行操作を行い、その後に上皿3などに残した状態の持玉を譲渡分として計数機ユニット14にて計数して、計数カードの発行を受けることも想定される。このような行為があった場合、第3検知モードであれば発行異常があったと判定できるが、第2検知モードでは判定できない。よって、計数カードの発行処理後に、所定数のアウトがない状態で計数カードの発行処理が再度行われた場合に、異常処理を行う構成としても良い。
【0067】
このような構成とした場合、善意の遊技者がパチンコ遊技機1に対応した計数機ユニット14にて通常の計数を行い、この後、当該パチンコ遊技機1での他の遊技者が計数カードを用いて再遊技玉の払い出しを行ったものの、そのパチンコ遊技機1での遊技を翻意して台移動するため、再遊技玉を計数して計数カードの発行を受けた場合にも異常処理が行われてしまう恐れがある。よって所定数のアウトを計数しなくとも、新たに計数カードを受け付けた場合に異常処理の実施を見合わせる構成としても良い。
また、大当たり開始時から計数玉が所定値(大当たりに対応する出玉)に達しないまま行われる計数カード発行操作に対して異常処理を行うようにすれば、最初の計数カード発行処理の時点で計数カードの発行を抑制できるようになる。
【0068】
(その他の実施の形態)
本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限定されるものではなく、例えば以下に述べるような変形或いは拡大が可能である。
台間貸出機2内の制御装置は、パチンコ遊技機1側からの大当たり信号または確変信号を受信した期間を監視期間として、その監視期間に持玉譲渡検知を行う構成としたが、大当たり信号及び確変信号の何れか一方の受信期間中のみを監視期間とする構成としても良い。
【0069】
「理論持玉」から獲得数を差し引いた値が所定値(例えばマイナス値)である場合の持玉譲渡検知を第2異常検知とし、前記実施例の持玉譲渡検知を第1異常検知として、それら各異常検知時において異なる内容の異常報知動作(異常処理)を行う構成としても良い。即ち、第2異常検知は、遊技場側の被害が大きくなるので遊技場従業員側で認証を行うことが望ましく、また、第1異常検知は、遊技者側で異常処理による計数カードの発行抑制状態を解除して、正規の計数カード発行操作を行えば済むものであって必ずしも遊技場従業員側の認証を得る必要がないものであり、従って、両者を区別して報知することが、遊技場従業員の負担を軽減する上で有益になる。
【0070】
異常処理による計数カードの発行抑制状態の解除方法として、遊技場従業員が携帯する従業員リモコンからの解除信号により行う方法を採用しても良い。また、異常報知動作後に再度の計数カード発行操作を行うことにより、計数カードの発行処理を許容する構成としても良い。上記実施例では、異常処理として、計数カードの発行処理の抑制、及び異常報知動作の双方を行う構成としたが、このような計数カードの発行処理の抑制、及び異常報知動作は少なくとも一方を実行すれば良いものである。
【0071】
「判定アウト」の対象となる再遊技情報としてアウト数(使用数)を例にしたが、再遊技情報としてスタート数(始動数)を特定する構成としても良い。また、再遊技1回に対応させずに、再遊技毎に「判定アウト」を初期化し、設定値以上となるかを判定する構成にしても良い。
【0072】
記憶媒体の例として計数カードを挙げたが、これ以外に、コインや携帯電話機などの媒体を利用しても良い。また、既存、或いは新規に記憶させた媒体のIDに対応付けて獲得パチンコ玉数を管理装置7側で管理しても良い。即ち、この場合には、獲得パチンコ玉数を特定可能な獲得数情報を記憶した媒体と、獲得パチンコ玉数とを対応付ける処理を本発明でいう発行処理と定義することになる。
【0073】
上記実施例では、持玉数を特定可能な獲得数情報を計数カードに直接的に記憶する構成としたが、計数カードには固有のカードIDのみを記憶し、獲得数情報の記憶及びこれに基づいたパチンコ玉の払出に係る処理及び管理を、管理装置7側で当該カードIDと対応付けた状態で行う構成としても良い。再遊技のために計数カードを利用する構成としたが、暗証番号のような固有の秘密情報、或いは指紋、掌紋や虹彩などの遊技者の生体情報を管理装置7側に事前に登録しておき、それらの登録情報に基づいて実施例同様の再遊技のための再遊技処理を行う構成としても良い。
【0074】
店内LAN8に接続された図示しない呼出ランプユニットや中継装置6などの端末装置に、CPUなどを含んで構成された制御回路を内蔵し、台間貸出機2内の制御装置での処理を、これら呼出ランプユニットや中継装置6、或いは管理装置7にて行う構成としても良い。即ち、本願発明の遊技機装置は、台間貸出機2に限らない広義の遊技機装置を意味するものである。
対象となる遊技機は、パチンコ遊技機に限らず、遊技媒体としてコインを使用するスロットマシンにも適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施例を示す遊技場のシステム構成図
【図2】判定項目の内容を示す図
【図3】異常判定用記憶領域のフォーマット例を示す図
【図4】台間貸出機内の制御装置による制御内容を示すフローチャートその1
【図5】同制御装置による制御内容を示すフローチャートその2
【図6】同制御装置による制御内容を示すフローチャートその3
【図7】同制御装置による制御内容を示すフローチャートその4
【図8】同制御装置による制御内容を示すフローチャートその5
【図9】同制御装置による制御内容を示すフローチャートその6
【符号の説明】
【0076】
1はパチンコ遊技機、1aは盤面(遊技領域)、1bは始動口、1cは大入賞口(役物)、2は台間貸出機(遊技機装置、貸出手段、獲得数特定手段、監視期間特定手段、判定手段、異常処理手段、再遊技情報特定手段、再遊技許容判定手段、再遊技異常判定手段、発行情報特定手段、発行許容判定手段、理論数特定手段、設定手段、再遊技許容値記憶手段、発行許容値記憶手段、受信手段)、7は管理装置、10は情報表示部(発行操作手段、異常処理手段、報知手段)、12はノズル、13はカードスロット、14は計数機ユニット(計数手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場側から貸し出された遊技媒体を使用して遊技を行う遊技機毎に設けられ当該遊技機での遊技者が獲得した遊技媒体を計数する計数手段と、
この計数手段が計数した遊技媒体数を獲得数として特定する獲得数特定手段と、
所定の発行操作を受け付ける発行操作手段と、
この発行操作手段が発行操作を受け付けた場合に、前記獲得数特定手段が特定した獲得数を認識可能な記憶媒体を発行する発行処理を行う発行手段と、
この発行手段により発行された記憶媒体を受け付ける受付手段と、
所定の再遊技操作が行われた場合に、前記獲得数特定手段が特定した獲得数、及び前記受付手段が受け付けた記憶媒体により認識される獲得数の範囲内で遊技媒体を払い出すと共に、当該獲得数を払い出した払出遊技媒体数に対応する数だけ減少させる再遊技処理を行う再遊技手段と、
を備えた遊技機装置において、
前記計数手段に対応する遊技機の遊技情報を特定可能な遊技信号であって、その遊技機が通常遊技状態よりも入賞率が高くなる大当たり状態であることを特定可能な大当たり信号、及び当該遊技機が通常遊技状態よりも大当たり状態が発生しやすい特別遊技状態であることを示す特別状態信号のうち、少なくとも一方を受信する受信手段と、
この受信手段が受信した遊技信号に基づいて、前記遊技機が大当たり状態及び特別遊技状態の少なくとも一方の状態にある期間を監視期間として特定する監視期間特定手段と、
この監視期間特定手段が特定した監視期間において、前記発行操作手段が発行操作を受け付けた場合に発行異常と判定する判定手段と、
この判定手段が発行異常と判定した場合に、前記発行手段による前記発行処理の抑制、及び異常報知動作の少なくとも一方を異常処理として実行する異常処理手段と、
を備えたことを特徴とする遊技機装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記計数手段に対応する遊技機の遊技情報を特定可能な遊技信号として、当該遊技機において使用された遊技媒体数である使用数を特定可能な使用信号、及び遊技機の遊技領域に設けられた始動口への入賞数或いは始動口への入賞に基づいて作動する役物の作動回数である始動数を特定可能な始動信号のうち、少なくとも一方を受信するように構成された遊技機装置であって、
前記再遊技手段が行う再遊技処理及び前記受信手段が受信した遊技信号に基づいて、当該再遊技手段の再遊技処理に対応する使用数、及び始動数の少なくとも一方である再遊技情報を特定する再遊技情報特定手段と、
前記再遊技情報についての許容値である再遊技許容値を記憶する再遊技許容値記憶手段と、
前記再遊技情報特定手段が特定した再遊技情報と、前記再遊技許容値記憶手段が記憶する再遊技許容値とを照合し、再遊技情報により再遊技許容値が満たされたか否かを判定する再遊技許容判定手段と、
この再遊技許容判定手段が、再遊技情報により再遊技許容値が満たされたと判定していない状態で、前記再遊技手段が所定回数の再遊技処理を行った場合に再遊技異常と判定する再遊技異常判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記再遊技異常判定手段により再遊技異常と判定された状態で、前記発行操作手段が発行操作を受け付けた場合に発行異常と判定することを特徴とする請求項1記載の遊技機装置。
【請求項3】
前記再遊技異常判定手段は、再遊技異常と判定した状態で、前記再遊技許容判定手段が再遊技情報により再遊技許容値が満たされたと判定した場合に、再遊技異常が解消したと判定するように構成され、
前記異常処理手段は、前記異常処理として前記発行手段による発行処理を禁止する動作を行うように構成され、
前記再遊技異常判定手段が再遊技異常と判定した状態で、当該再遊技異常を解消するために必要な再遊技情報の値を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の遊技機装置。
【請求項4】
前記発行手段が行う発行処理及び前記受信手段が受信した遊技信号に基づいて、当該発行手段の発行処理に対応する使用数、及び始動数の少なくとも一方である発行情報を特定する発行情報特定手段と、
前記発行情報についての許容値である発行許容値を記憶する発行許容値記憶手段と、
前記発行情報特定手段が特定した発行情報と、前記発行許容値記憶手段が記憶する発行許容値とを照合し、発行情報により発行許容値が満たされたか否かを判定する発行許容判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記発行許容判定手段が発行情報により発行許容値が満たされたと判定していない状態で、前記発行操作手段が発行操作を受け付けた場合に発行異常と判定することを特徴とする請求項2記載の遊技機装置。
【請求項5】
前記異常処理手段は、異常処理として前記発行手段による発行処理を禁止する動作を行うように構成され、
前記判定手段は、前記発行許容判定手段が発行情報により発行許容値が満たされたと判定していない状態で前記発行操作手段が発行操作を受け付けた場合であっても、前記発行手段による発行処理後に、前記受付手段が新たに前記記憶媒体を受け付けている場合には発行異常と判定しないことを特徴とする請求項4記載の遊技機装置。
【請求項6】
前記受信手段は、前記計数手段に対応する遊技機の遊技情報を特定可能な遊技信号として、当該遊技機において使用された遊技媒体数である使用数を特定可能な使用信号、及び遊技機において払い出された遊技媒体数である払出数を特定可能な払出信号を受信するように構成された遊技機装置であって、
前記受信手段が受信した遊技信号に基づき使用数及び払出数を特定すると共に、前記計数手段に対応する遊技機での遊技者に対して遊技媒体を貸し出す貸出手段から貸し出された遊技媒体数である貸出数を特定し、その特定した貸出数に前記払出数を加え、さらに前記使用数を除くことで遊技者が獲得した理論上の遊技媒体数である理論数を特定する理論数特定手段を備え、
前記判定手段は、前記発行操作手段が発行操作を受け付けた場合に、前記理論数特定手段が特定する理論数に前記受付手段が受け付けた記憶媒体により認識される獲得数を加えた値である理論総数と、前記獲得数特定手段が特定する獲得数に前記受け付け手段が受け付けた記憶媒体により認識される獲得数を加えた値である獲得総数とを照合し、理論総数に対して獲得総数が所定数以上足りない場合に発行異常と判定することを特徴とする請求項1記載の遊技機装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記発行操作手段が発行操作を受け付けた場合に行う異常判定として、前記理論総数に対して獲得総数が所定数以上足りない場合に判定する前記発行異常を第1異常として判定する一方、前記理論総数に対して獲得総数が所定数以上多い場合には第2異常と判定するように構成され、
前記異常処理手段は、前記判定手段により第1異常及び第2異常と判定された各場合に前記発行手段による発行処理を禁止する一方、その禁止状態を所定条件の成立に基づいて解除し、その所定条件を第1異常判定時と第2異常判定時とで異なる条件となるようすることを特徴とする請求項6記載の遊技機装置。
【請求項8】
前記判定手段による異常判定を行うか否かを設定する設定手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の遊技機装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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