説明

遊技機

【課題】遊技球が複数列、複数段で球排出装置に流入する場合にも球止め機構が確実に機能し、球止め機構の動作に関連して球排出装置の固定及び固定解除ができる遊技機を提供する。
【解決手段】球貯留タンク31と球排出装置32とを連通する連通口を開放する開放状態と連通口を閉成する閉成状態とに変換可能な開閉部材41を備え、開閉部材を開放状態に変換すると、球貯留タンクから球排出装置への遊技球の流下を許容するとともに、開閉部材が球排出装置に係合して球排出装置が球排出ユニットから離脱することを規制し、開閉部材を閉成状態に変換すると、球貯留タンクから球排出装置への遊技球の流下を規制するとともに、開閉部材と球排出装置との係合状態を解除して球排出装置が球排出ユニットから離脱することを許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を貯留する球貯留タンクと、該球貯留タンクに貯留された遊技球を排出可能な球排出装置とを備えたパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技球を使用して遊技を行う遊技機の代表的なものとしてパチンコ遊技機がある。このパチンコ遊技機の裏面側の上部には、遊技球を貯留する球貯留タンクと遊技球を排出可能な球排出装置とを備えた球排出ユニットが設けられており、遊技球が入賞口へ入賞すると、球排出装置が作動して球貯留タンクに貯留された遊技球を賞球としてパチンコ遊技機前面の上皿に排出するように構成されている。また、球貸し操作が行われた場合にも、球排出部が作動して球貯留部内の遊技球を上皿に排出する。
【0003】
これに関連する技術として、球排出装置に遊技球を送り込む球流下路に、球排出装置への遊技球の送り込みを停止させる球止め機構を設けた遊技機が提案されている。この球止め機構は、球排出装置のメンテナンスや故障時に球排出装置を取り外すと、これと同時に球排出装置によって動きを規制されていた遊技球の流下を阻止する部材が弾性体の力を利用して球流下路内に入り込み、この阻止部材によって球流下路内の遊技球を止めて遊技球が散乱しないようにするものである(特許文献1参照)。
【0004】
また近年、演出効果を増大させるために表示装置を大型化した遊技機が主流になってきている。この表示装置の大型化に対応させるとともに、部品点数を低減して配置スペースやコストを削減するために、例えば、球整列樋を介さずに球排出装置を球貯留タンクに直接付設したものが提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−328379号公報
【特許文献2】特開平8−141175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のような球止め機構では、球排出装置の取り外しによって動作規制が解除されて弾性体の力により球流下路に入り込むような構造であるので、少数列に整列された球流下路には容易に入り込むことができる。しかし、特許文献2のように球貯留タンクに球排出装置を直接付設した形式のものでは、球貯留タンクに貯留された遊技球は整列されることなく複数列、複数段で球排出装置に流入するため、弾性力式の球止め機構では容易に球流路内に入り込むことができず、球の流下を確実に規制することができないことがあった。
【0006】
そこで、弾性力を増加させることも考えられるが、弾性力を増加させるとその周りの部材の強度を強くしなければならず、部品点数の増加やコスト増大を招いてしまう。その結果、球止め機構の動作を規制する球排出装置に加わる力も増加することになり、球排出装置の取り付けもし難くなり、作業性が低下する。
【0007】
また、球排出装置の取り付け及び取り外しは、別途備え付けた固定機構を操作することにより行われるが、固定機構による球排出装置の固定を忘れると、球排出装置の取り付け状態が不安定になって球流下路と球排出装置の球流入口がずれてしまい、球排出装置に球が供給されなくなってしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技球が複数列、複数段で球排出装置に流入する場合であっても、球止め機構が確実に機能するとともに、球止め機構の動作に関連して球排出装置の固定及び固定解除を行うことができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、遊技球を貯留する球貯留タンクと、該球貯留タンクから供給される遊技球を排出可能な球排出装置と、を備えた球排出ユニットを設けた遊技機において、
前記球排出ユニットは、球貯留タンクと球排出装置とを連通する連通口と、球排出装置に係合可能であり、連通口を開放する開放状態と連通口を閉成する閉成状態とに変換可能な開閉部材と、を備え、
前記球排出装置は、球排出ユニットに対して着脱可能な状態で配置され、
前記開閉部材を開放状態に変換すると、球貯留タンクから球排出装置への遊技球の流下を許容するとともに、開閉部材が球排出装置に係合して球排出装置が球排出ユニットから離脱することを規制し、
前記開閉部材を閉成状態に変換すると、球貯留タンクから球排出装置への遊技球の流下を規制するとともに、開閉部材と球排出装置との係合状態を解除して球排出装置が球排出ユニットから離脱することを許容するように構成されたことを特徴とする遊技機である。
【0010】
請求項2に記載のものは、前記球排出ユニットは、連通口を挟んで球排出タンクとは反対側に、球排出装置を上方から下降して装着可能な排出装置装着部を備え、
前記球排出装置は、開閉部材側ヘ向けて突設した係合部を備え、該係合部に開閉部材を上方から係合可能とし、
前記排出装置装着部に球排出装置を装着した状態で開閉部材を開放状態に変換すると、開閉部材が係合部に上方から係合して、球排出装置が排出装置装着部から上方へ離脱することを規制し、
前記排出装置装着部に球排出装置を装着した状態で開閉部材を閉成状態に変換すると、開閉部材が係合部の上方から外れて、球排出装置が排出装置装着部から上方へ離脱することを許容するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【0011】
請求項3に記載のものは、前記開閉部材は、前記連通口を横切るようにスライドすることで当該連通口を開放状態と閉成状態とに変換可能であり、その側端部に先端が尖った球列間挿入部を備え、
該球列間挿入部は、球貯留タンクから球排出装置へ向かう方向に沿って並んだ遊技球の間に挿入可能な位置に配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機である。
【0012】
請求項4に記載のものは、前記球排出ユニットは、閉成状態に変換した開閉部材の球列間挿入部を嵌合する挿入受部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の遊技機である。
【0013】
請求項5に記載のものは、前記球排出ユニットは、球貯留タンク内の遊技球に当接可能な移動規制部材を備え、
該移動規制部材は、連通口に上方から近づいて遊技球の球排出装置への移動を規制する規制状態と、連通口から上方に遠ざかって規制状態を解除する規制解除状態と変換可能であり、
前記規制状態では、移動規制部材が開放状態の開閉部材に係合して、開閉部材が閉成状態へ変換することを規制し、
前記規制解除状態では、移動規制部材が開放状態の開閉部材から外れて、開閉部材が閉成状態へ変換することを許容するように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の遊技機である。
【0014】
請求項6に記載のものは、前記開閉部材に移動規制部材を揺動可能な状態で係合する規制部材係合機構を備えたことを特徴とする請求項5に記載の遊技機である。
【0015】
請求項7に記載のものは、前記移動規制部材は、連通口の幅方向に沿って並んだ櫛歯状に形成され、当該移動規制部材の先端を球貯留タンク側へ向けて配置したことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
即ち、請求項1に記載の発明によれば、球貯留タンクと球排出装置とを連通する連通口を開放する開放状態と、連通口を閉成する閉成状態とに変換可能な開閉部材を備えているので、この開閉部材を手動操作することによって、遊技球が複数列、複数段で球排出装置に流入する場合であっても、球供給路内に確実に開閉部材を侵入させることができ、確実に球止めを行うことができる。また、開閉部材の動作に関連して球排出装置の固定及び固定解除を行うことができるので、球排出装置の着脱作業が非常に簡単であり、球止めを確実で行った上で球排出装置を取り外すことになり、したがって、遊技球の散乱を防止することができる。そして、開閉部材だけで球止め及び球排出装置の固定を兼ねることができるので、余計な部材を必要とせず、製造コストの削減を図ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、開閉部材を開放状態に変換すると、開閉部材が係合部に上方から係合して、球排出装置が排出装置装着部から上方へ離脱することを規制するので、外れ防止のための構造が簡単である。また、開閉部材を閉成状態に変換すると、開閉部材が係合部の上方から外れて、球排出装置が排出装置装着部から上方へ離脱することを許容するので、球排出装置と開閉部材との係合状態を解除するのに余計な操作を必要とせず、操作性が良い。さらに、球排出装置が確実に装着されていないと、開閉部材が開放状態に変換し得ないので、球排出装置の装着ずれを防止することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、開閉部材の側端部に先端が尖った球列間挿入部が形成されているので、球貯留タンクから球排出装置へ向かう方向に沿って並んだ遊技球の球列に容易に侵入させることができ、遊技球が複数列、複数段で球排出装置に流入する場合であっても開閉部材を確実に閉成状態へと変換することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、球排出ユニットは、閉成状態に変換した開閉部材の球列間挿入部を嵌合する挿入受部を備えているので、該挿入受部により開閉部材の側端部が固定され、遊技球の圧力が開閉部材に加わっても該開閉部材が球排出装置側へ撓むことがなくなり、球排出装置の着脱を円滑に行うことができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、開閉部材の移動規制を移動規制部材により行っているので、衝撃や振動等による意図しない開閉部材の移動を規制することができる。また、開閉部材を固定するために別途固定部材を設ける必要がなく、製造コストを削減できるとともに、固定部材の配置スペースも必要としない。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、開閉部材に移動規制部材を揺動可能な状態で係合する規制部材係合機構を備えているので、遊技球の流下量に合わせて移動規制部材が揺れ動くことになり、球ならし効果が優れたものとなる。また、移動規制部材の位置規制を開閉部材により行うことができるので、別途位置規制部材を必要とせず製造コストを削減でき、位置規制部材の配置スペースも必要としない。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、移動規制部材が連通口の幅方向に沿って並んだ櫛歯状に形成されているので、移動規制部材に弾性力をもたせることができ、遊技球の流下量に応じて変形することが可能となり、遊技球が球止まりを起こすことがなくなって球ならし効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の最良の形態を図面に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機の背面図である。
図1に示すように、パチンコ遊技機1の裏面側、詳しくは前面枠3の裏面側に大きな枠状の裏機構盤5を備え、該裏機構盤5の中央部分に略矩形状の開口部6を開設し、遊技機1の前面側に配置された遊技盤(図示せず)の裏側から突出したセンターケース(図示せず)の後部、遊技制御装置10、および外部端子盤11などが裏機構盤5に干渉しないように構成されている。なお、遊技盤は、センターケースに表示装置や演出役物を備え、このセンターケースの後部、すなわち開口部6から後方へ臨む部分をカバー体13で後方から覆っている。
【0024】
そして、裏機構盤5のうち開口部6の上方に球排出ユニット15を配置し、開口部6の側方には、球排出ユニット15から排出された遊技球を流下させる球流下路、具体的には、球排出ユニット15内の遊技球を賞球あるいは貸球として流下させる球流下路である排出流下路18と、球排出ユニット15内の遊技球を遊技機島設備内の下部の球回収樋(図示せず)へ案内する球流下路である球抜流下路19を備えている。また、開口部6の下方には、球流下路から流下した遊技球を誘導する球誘導部21を形成し、球誘導部21の後方に取付ベース23を配置し、該取付ベース23の一側(図1中右側)に回動軸23aを設けて裏機構盤5に回動自在な状態で軸着し、取付ベース23の他側(図1中左側)には、裏機構盤5に着脱可能な状態で止着する止着部23bを備えている。そして、取付ベース23の後部(裏機構盤5に対向する部分とは反対側の部分)には、排出制御装置25、電源装置26、中継基板27を配置している。
【0025】
次に、球排出ユニット15について説明する。図2は開閉部材を開放状態にした球排出ユニットの斜視図である。図3において、(a)は球排出ユニットの平面図、(b)は断面図である。図4は球排出装置の分解斜視図である。図5は球排出装置および球検出装置の下面図である。
【0026】
球排出ユニット15は、補給装置から補給された遊技球を貯留するとともに、この貯留した遊技球を排出可能なユニットである。この球排出ユニット15は、図2および図3に示すように、横長な板状の取付ベース30と、遊技球を貯留可能な球貯留タンク31と、球貯留タンク31に貯留された遊技球を排出流下路18あるいは球抜流下路19へ排出可能な球排出装置32と、球貯留タンク31と球排出装置32とを連通する連通口40と、球排出装置32に係合可能であり、前記連通口を横切るようにスライドすることで当該連通口40を開放する開放状態と連通口40を閉成する閉成状態とに変換可能な開閉部材41とを備えて構成されている。
【0027】
球貯留タンク31は、パチンコ遊技機1の外部、具体的には遊技機設置島設備の補給装置から供給(補給)される遊技球を貯留するためのものである。球貯留タンク31は、裏機構盤5に固定されている取付ベース30の長手方向(裏機構盤5の左右方向)両側に形成されるボス孔状からなる止着部29に、止着部材(図示は省略するが、例えば、ビスやワンタッチで着脱可能なグロメット等)を用いて固定される。この球貯留タンク31は、上面を開口した横長な有底箱体状に形成され、上面開口を球受入口として補給装置の下方に配置している。また、球貯留タンク31の底部には、遊技球を転動可能な遊技球流路35を形成し、球貯留タンク31の長手方向の一側寄り(図3中右寄り)には、遊技球流路35から流下してきた遊技球を球排出装置32へ流下させる連通口40を開設している。
【0028】
遊技球流路35は、図3に示すように、球貯留タンク31内の取付ベース30側(前側)に配置され、連通口40側とは反対側へ向けて(すなわち球排出装置32側から反対側へ向けて)下り傾斜した第1流路45と、球貯留タンク31内の後側、且つ第1流路45よりも低い位置に配置され、連通口40へ向けて(すなわち球排出装置32側へ向けて)下り傾斜した第2流路46と、第1流路45の下端部と第2流路46の上端部とを接続し、第1流路45の下端部から第2流路46の上端部へ向けて下り傾斜した接続流路47とから構成されている。また、第1流路45、第2流路46および接続流路47と、球貯留タンク31の内部空間を区画形成する起立壁31aとの間には、遊技球よりも狭い開口幅の開口部48を複数開設し、球貯留タンク31の隅部に残り易い埃等の異物を球貯留タンク31の外へ排出し易いように構成されている。
【0029】
そして、第2流路46には、その下流側へ臨ませた段差開口部57を開設し、該段差開口部57から後述する球検出機構50の変位片51を突出できるように構成されている。すなわち、第2流路46の途中には、踏板式の球検出機構50を配置し、該球検出機構50上に遊技球が載っているか否かを検出することにより球貯留タンク31内の遊技球の有無(球不足状態であるか否か)を検出できるように構成されている。
【0030】
球検出機構50は、図3および図5に示すように、球貯留タンク31内に配置される変位片51と、取付ベース30に設けられ、変位片51の状態変換を検出可能な変位センサ52とを備えて構成され、球排出ユニット15の下部、具体的には球貯留タンク31の下部の略中央部分に配置されている。
【0031】
変位片51は、球貯留タンク31の下部に設けられた回動軸55を介して回動自在な状態で軸着され、当該変位片51の先端を段差開口部57から第2流路46の下流部へ向けて突出するとともに、上下方向へ回動可能な状態で配置されている。また、変位片51の基部(軸着部)から変位片51の先端とは反対側にカウンターウェイト部58を備え、該カウンターウェイト部58を球貯留タンク16の下方に配置している。そして、カウンターウェイト部58の取付ベース30側には、変位センサ52が検出可能な検出突起59を取付ベース30へ向けて突出している(図5参照)。
【0032】
このような構成を備えた球検出機構50において、変位片51は、遊技球が載っている状態では、この遊技球の重さにより下方へ回動して第1変位状態(図10参照)に変換する。この第1変位状態では、変位片51が第2流路46に係合し、検出突起59がカウンターウェイト部58とともに上方へ移動して変位センサ52に検出される。この変位センサ52が検出突起59を検出することに基づいて、球検出機構50は、球貯留タンク31内に遊技球が貯留されている状態を検出することができる。また、遊技球が載っていない状態では、変位片51は、カウンターウェイト部58により上方へ回動して第2変位状態(図3参照)に変換する。この第2変位状態では、変位片51が第2流路46から離れ、検出突起59がカウンターウェイト部58とともに下方へ移動して変位センサ52から外れる。この変位センサ52が検出突起59を検出しないことに基づいて、球検出機構50は、球貯留タンク31内に遊技球が不足している状態を検出することができる。
【0033】
なお、第2流路46および連通口40は、2個の遊技球が横に並んで通過できる程度の幅に設定されている。これは、球貯留タンク31内に貯留した大量の遊技球が後述する球排出装置32へ一度に流入することを避け、球排出装置32の駆動系に負荷が掛かり過ぎる不具合を抑えるためである。
【0034】
次に、球排出装置32について説明する。
球排出装置32は、球貯留タンク31の側方(図3中右側方)に着脱可能な状態で配置され、球貯留タンク31の底部の傾斜下端に開口した連通口40に連通可能な装置である。この球排出装置32は、図4に示すように、球貯留タンク31の連通口40に連通して球貯留タンク31内の遊技球を受け入れ可能な球受部65と、該球受部65の底部を下方へ凹ませた状態で形成された略円筒状のスプロケット収容部67と、該スプロケット収容部67の下部に配置された排出ステージ部材68と、スプロケット収容部67内に回動可能な状態で収容されたスプロケット69と、該スプロケット69の上部に接続されてスプロケット69を回転駆動する排出駆動モータ70(図2および図3参照)と、スプロケット69を覆う状態で球受部65の上方に配置され、上面に排出駆動モータ70を取り付けるモータホルダ71とから構成されている。
【0035】
排出ステージ部材68は、スプロケット69の下方にいずれかの球保持部73と連通して遊技球を排出可能な球排出口74および球抜口75を開設した部材であり、略シャーレ状に形成されたステージ本体80と、該ステージ本体80の上部開口を塞ぐ蓋部材81と、球排出口74を通過する遊技球を1個宛検出可能な通過センサ(図示せず)とから構成されている。なお、球排出口74は、賞球あるいは貸球としての遊技球を排出するための球出口であり、球抜口75は、パチンコ遊技機1の外部へ案内される遊技球を排出するための球出口である。
【0036】
ステージ本体80は、その底部の略中央に蓋部材81の中央部分を支持する支持部85を突設し、該支持部85よりも外周側には、球排出口74の下流側開口となる排出開口86と、球抜口75の下流側開口となる球抜開口87とを開設してある。また、排出開口86の周囲にセンサ収容部88を形成し、該センサ収容部88の内側に通過センサを収容する。なお、通過センサは、遊技球が該センサのスルーホールを通過した際に検出信号を出力して、球排出口74を通過する遊技球を検出できるように構成されている。
【0037】
蓋部材81は、その上面の略中央に軸受孔90を開設し、該軸受孔90にスプロケット69の下部から突設された回転軸突起(図示せず)を挿通してスプロケット69を回動可能な状態で支持するように構成されている。また、軸受孔90の周囲には平坦な摺動ステージ92を形成し、スプロケット69に保持された遊技球がスプロケット69の回転に伴って摺動できるように構成されている。さらに、摺動ステージ92の周縁部には、球排出口74の上側開口となる露出穴93を排出開口86に連通する状態で開設し、露出穴93のうちスプロケット69の正転方向Lの両側および奥側(摺動ステージ92側とは反対側)には、遊技球の移動方向を規制する規制壁部95を露出穴93を囲繞する状態で立設して、遊技球を球排出口74(露出穴93、スルーホール、排出開口86)へ誘導できるように構成されている。
【0038】
なお、上記した正転方向Lは、本実施形態において球保持部73を球排出口74へ連通させて遊技球を球排出口74から排出するとき、換言すると、遊技球を球排出口74へ案内するときのスプロケット69の回転方向(排出回転方向)である。
【0039】
また、摺動ステージ92の周縁部であって露出穴93から正転方向Lへ位相をずらした位置には、球抜口75の上側開口となる球抜穴(図示せず)を球抜開口87に連通する状態で開設し、スプロケット69が逆転方向R(本実施形態において遊技球を球抜口75から排出するときのスプロケット69の回転方向)へ回転したときに、スプロケット69に保持された遊技球が球抜穴を介して球抜開口87に流入するように構成されている。さらに、球抜穴の上方には、先端部を正転方向Lへ向けた球抜案内部97を延設し、摺動ステージ92上を逆転方向Rへ移動する遊技球を球抜口75(球抜穴、球抜開口87)へ案内できるように構成されている。
【0040】
このように構成された排出ステージ部材68は、摺動ステージ92を上に向けた状態で、スプロケット収容部67の下部に配置され、この状態でステージ本体80の外周部に設けられた止着片100をスプロケット収容部66の外周に設けられたステージ止着部105へビス等の止着部材(図示せず)により止着することで、スプロケット収容部67の下部開口を塞いで固定される。そして、排出ステージ部材68をスプロケット収容部67の下部に配置すると、摺動ステージ92がスプロケット収容部67の内側に臨むとともに、スプロケット収容部67の底部として機能する。また、球排出口74は、摺動ステージ92の中央(すなわちスプロケット69の回転中心)を挟んで球貯留タンク31の底部とは反対側に配置される。
【0041】
スプロケット69は、球貯留タンク31から供給される遊技球を、回転しながら球排出口74あるいは球抜口75へ誘導可能な部材であり、回転軸を縦向きに配置した姿勢でスプロケット収容部67内に収容されている。また、スプロケット69の上部には、山高帽状を呈した回転軸部材108を固着し、スプロケット69の外周縁部には、遊技球を受け入れて保持可能な球保持部73を複数(本実施形態では10箇所)備えている。
【0042】
この球保持部73は、平面視において遊技球の外形に倣った円弧状の切欠によって構成され、スプロケット69の周方向に沿って等間隔に形成されている。また、スプロケット69の回転軸に対して傾斜した方向、具体的には縦向きの回転軸から15°傾斜した方向に沿って縦長に形成され、当該球保持部73の下部を上部よりもスプロケット69の正転方向Lの上流側へ配置している。この結果、球保持部73を区画する側壁を正転方向の上流側から下流側へ向けて下り傾斜させている。そして、球保持部73の上縁部を遊技球の取込口とし、この上縁部から遊技球を取り込めるように構成され、取り込んだ遊技球を球保持部73とスプロケット収容部67の内周面との間に複数個(本実施形態では2個)積み重なった状態(縦方向へ並べた状態)で保持できるように構成されている。なお、球保持部73の上縁部は、上方へ向けて拡開する状態で形成されている。また、球案内路110の傾斜下端よりも僅か下方に配置されるとともに、球保持部73内に保持される遊技球のうち最も上段に位置する遊技球の上端部と略同じ高さに配置されている。
【0043】
そして、スプロケット69が収容されるスプロケット収容部67のうち、球保持部73と対向する内壁面(内周面)には、球保持部73内の遊技球の流下を阻止可能な球流下阻止部(図示せず)をスプロケット収容部67の内側、言い換えると球保持部73側へ向けて突設している。球流下阻止部は、球排出口74および球抜口75の上方に、球排出口74および球抜口75(あるいは摺動ステージ92)から遊技球の直径と略同じ距離を隔てて配置され、スプロケット収容部67の内壁面の周方向に沿って円弧状に形成されている。
【0044】
排出駆動モータ70(例えば、ステップモータ)は、下方へ延出した出力軸70aをスプロケット69の回転軸上に位置する回転軸部材108に接続している(図3(b)参照)。そして、排出制御装置25による制御に基づいて出力軸70aを回動し、スプロケット69を所望の角度だけ回転(正転あるいは逆転)させるように構成されている。また、モータホルダ71は、その略中央に貫通孔76を開設し、この貫通孔76に排出駆動モータ70の出力軸70aを通してスプロケット69に接続した状態で、当該モータホルダ71の上面に排出駆動モータ70を取り付けている。そして、モータホルダ71の側部から突出した止着片77を球受部65の縁部に設けられたホルダ止着部115へビス等の止着部材(図示せず)により止着することで、スプロケット収容部67を上方から覆う状態で固定される。
【0045】
さらに、モータホルダ71の一側縁(球貯留タンクの上流寄りの側縁)には、横長な矩形状の遮蔽壁79を球貯留タンク31の前後幅(パチンコ遊技機1の前後方向に沿った幅)に亘って立設し、遮蔽壁79の上部を球貯留タンク31の第1流路45の上端部よりも上方へ突出し、球貯留タンク31内の遊技球がモータホルダ71上に乗り上げる不都合を阻止するように構成されている。
【0046】
球排出ユニット15は、連通口40を挟んで球排出タンク31とは反対側に、球排出装置32を上方から下降して装着可能な排出装置装着部119を備えており、排出装置装着部119は、球排出装置32のスプロケット69を収容するスプロケット収容部67を下方から覆うようにD字状の枠体として形成されている(図5および図6参照)。本実施形態では、図5に示すように、排出装置装着部119の取付ベース側には、取付ベース30に臨んで軸方向に沿った溝部121を有する当接受部120が形成されている。他方、取付ベース30の上記当接受部120に対応する位置には、上記溝部121内に嵌入可能な当接突部125が設けられている。そして、排出装置装着部119を軸方向にスライドさせることによって、当接突部125がスプロケット収容部67の外壁に形成された当接受部120の溝部121に嵌脱可能に構成され、排出装置装着部119および球排出装置32が取付ベース30に支持されることにより、遊技球の重量によって球貯留タンク31が撓まないように工夫されている。
【0047】
このような構成を備えた球排出ユニット15は、球貯留タンク31の一側に球排出装置32を直結しているので、球貯留タンク31内の遊技球を球排出装置32へ案内するための案内樋を設ける必要がない。したがって、遊技球を貯留し、且つ排出可能な装置をコンパクトに抑えることができる。これにより、パチンコ遊技機1の裏面側のスペースを有効活用することができ、大型化した表示装置等の配置スペースを確保することができる。
【0048】
次に、開閉部材41について説明する。図6において、(a)は開放した状態の開閉部材の斜視図、(b)は閉成した状態の開閉部材の斜視図である。図7は開閉部材の取付構造を説明する斜視図である。
【0049】
上述したように、球貯留タンク31と球排出装置32とを連通する連通口40には、球排出装置32に係合可能に開閉部材41が備えられている。開閉部材41は、連通口40に横断してこれを閉成可能な板状部材であって、連通口40の幅よりも大きな長さを有しており、上記モータホルダ71の遮蔽壁79の球貯留タンク側に配置され、該遮蔽壁79に沿って開閉動作するように構成されている。この開閉部材41は、連通口40を閉塞する遮蔽壁部131と、遮蔽壁部131の上部に一体形成された角棒状の開閉摺動部132と、開閉摺動部132の後方側端部に一体形成され、遮蔽壁部131と垂直に設けられた操作部133とからなっている。開閉摺動部131は、取付ベース30に後方へ向けて突設され、球排出装置側に長孔状の開口部138を有する矩形筒体状の摺動ガイド部137内に挿入され、該摺動ガイド部137の長手方向(前後方向)に沿って往復摺動するようになっている。
【0050】
開閉部材41は、上記操作部133を指で摘んで手動操作することにより、連通口40を開放する開放状態と連通口40を閉成する閉成状態とに変換可能に構成されており、開閉部材41の開放状態において、開閉部材41が球排出装置32の一部に係合するようになっている。上述したように、排出装置装着部119内には球排出装置32が上方から装着されるが、開閉部材41が球排出装置32の一部に係合することにより、球排出装置32の離脱を防止するようになっている。具体的には、図6(b)に示すように、球排出装置32のスプロケット収容部67の上端周囲に形成された球受部65の取付ベース側に、開閉部材側ヘ向けて突設した矩形の係合部141が形成され、該係合部141上に開閉部材41が上方から係合可能に構成されている。すなわち、図6(a)に示すように、排出装置装着部119に球排出装置32を装着した状態で開閉部材41を開放状態に変換すると、開閉部材41の遮蔽壁部131が係合部141に上方から係合して、球排出装置32が排出装置装着部119から上方へ離脱することを規制する。他方、図6(b)に示すように、排出装置装着部119に球排出装置32を装着した状態で開閉部材41を閉成状態に変換すると、開閉部材41が係合部141の上方から外れて、球排出装置32が排出装置装着部119から上方へ離脱することを許容する。したがって、開閉部材41を手動により開放操作するだけで、開閉部材41の遮蔽壁部131が係合部141から離脱するので、球排出装置32と開閉部材41との係合状態を解除するのに余計な操作を必要とせず、操作性が良い。さらに、排出装置装着部119に球排出装置32が確実に装着されていないと、開閉部材41の開放操作を行うことができないので、球排出装置32の装着ずれを防止することができる。
【0051】
開閉部材41の遮蔽壁部131の側端部(設置状態において連通口40側に位置する後端部)には凹凸部144が形成されており、開閉部材41を閉成したときに、球貯留タンク31の内部空間を区画形成する起立壁31aに上記遮蔽壁部131の側端部に当接する部位には、上記凹凸部144の凸部144aが進入して係合する矩形孔状の係合受部145が開設されている。この係合受部145は、上記凹凸部144の凸部144aに対応する数だけ上下に配列され、図示例では3つの凸部144aに対応するように開設されている。開閉部材41の遮蔽壁部131により球止めする遊技球の個数が多いと、遮蔽壁部131が球排出装置側へ撓み易くなるが、遮蔽壁部131の凹凸部144の凸部144aを起立壁31aの係合受部145に係合させることにより、遮蔽壁部131の撓みを防止することができ、これにより球排出装置32の脱着をスムーズに行うことができる。
【0052】
また、上記遮蔽壁部131の側端部に形成された凹凸部144の凸部144aは先端が尖るようにテーパ状に形成されており、球貯留タンク31から球排出装置32へ向かう方向に沿って並んだ遊技球の間に挿入可能な位置に配置された球列間挿入部としても機能する。この球列間挿入部(凸部)144aの先端は尖っているので、球貯留タンク31から球排出装置32へ向かう方向に沿って並んだ遊技球の球列に容易に侵入し、遊技球が複数列、複数段で球排出装置32に流入する場合であっても、開閉部材41を確実に閉成状態へと変換し、該球列間挿入部(凸部)144aを上記係合受部145へと係合させることができる。
【0053】
次に、移動規制部材151について説明する。図8は移動規制部材の斜視図である。図9は開閉部材および移動規制部材の動作を説明する斜視図である。図10は移動規制部材に案内規制される遊技球の動きを説明する斜視図である。
【0054】
図8および図9(a)に示すように、球貯留タンク31の球排出装置側には、球貯留タンク31から球排出装置32へと移動する遊技球に当接可能な短冊状の移動規制部材(球案内部材)151が備えられている。この移動規制部材151は、その上端部の円筒体状の軸挿通部152が上記モータホルダ71の遮蔽壁79の後部側に設けられた軸着部155に回動可能に軸着されて(図4参照)、連通口40に上方から近づいて遊技球の球排出装置32への移動を案内するとともに規制する規制状態と(図9(a)参照)、連通口40から上方に遠ざかって規制状態を解除する規制解除状態と変換可能に構成されている(図9(b)参照)。移動規制部材151の箱体状の本体部153には、上記開閉部材41の操作部133に開設された遊嵌孔160に係合部162を係合する規制部材係合機構161が収容されている。規制部材係合機構161は、本体部153の後部側には前方側が閉塞された矩形挿入孔165が形成され、該挿入孔165の後端側は上面が開口された矩形溝部165aとして形成されている。この矩形挿入孔165内には、コイルスプリング166を介して上部に摘み部172を備えたT字状の操作部材171が挿入され、該操作部材171の前端部には上記係合部162が一体形成されている。そして、矩形挿入孔165内にコイルスプリング166を介して操作部材171の後端側を挿入し、コイルスプリング166を圧縮した状態で、上記矩形溝部165aの上面開口後端部を覆うように門型状の固定部材175をビス等の止着部材(図示せず)を用いて本体部153上に装着固定することにより、係合部162を備えた操作部材171を矩形挿入孔165内に収容することができる。操作部材171の摘み部172は上記矩形溝部165aの上面開口から上方へ突き出しており、この摘み部172を指で摘んで操作部材171を矩形挿入孔165の閉塞側へ進入させてコイルスプリング166を圧縮することにより、係合部162は後方へと後退する。他方、摘み部172を放すと、コイルスプリング166が元の長さに戻ろうとする付勢力により、係合部162は前方へと進出する。
【0055】
すなわち、図9(a)に示す規制状態では、移動規制部材151が回動軸周りに下方へと回動して、上記規制部材係合機構161の係合部162が開放状態の開閉部材41の操作部133に開設された遊嵌孔160に係合し、移動規制部材151が障害となって開閉部材41が閉成状態へ変換することを規制する。他方、規制解除状態では、上記規制部材係合機構161の摘み部172を指で摘んで操作部材171とともに係合部162を後退させることにより、該係合部162が開閉部材41の上記遊嵌孔160から解除され、移動規制部材151が開放状態の開閉部材41から外れて、開閉部材41が閉成状態へ変換することを許容することになる。このように移動規制部材151により開閉部材41の移動を規制したので、衝撃や振動等によって開閉部材41が不用意に移動することがない。また、開閉部材41の固定のために別途固定部材を設ける必要がないので、いたずらに部品点数が増大せず、製造コストを削減できるとともに、固定部材の配置スペースも必要としない。
【0056】
また、移動規制部材151には短冊状の球案内部178が設けられ、球案内部178は、その先端を球貯留タンク31の上流側へ向けて突設させた状態で配設されている。すなわち、この球案内部178は連通口40の上方に配置されており、該球案内部178と球貯留タンク31の底部との間に形成される空間(案内流路)を区画するように配設される。球案内部178は、基端から先端へ向かうにつれて徐々に上方へ反らせた状態で形成してある。これにより、球案内部178と球貯留タンク31の底部との間に形成される空間(案内流路)は、球排出装置側へ向かうにしたがって次第に高さが低くなる。すなわち、図10に示すように、球案内部178は、上記空間(案内流路)の高さを規制しつつ遊技球Bを球排出装置32へと案内するようになっている。これにより、一度に多くの遊技球Bが連通口40側へ流れ込んで幾重にも重なった状態でスプロケット69の上方へ溜まることを防止することができる。
【0057】
さらに、開閉部材41の操作部133に開設された遊嵌孔160は、上記規制部材係合機構161の係合部162の外径よりも余裕をもたせて大きく形成されている。したがって、移動規制部材151を揺動可能な状態で係合する開閉部材41の遊嵌孔160に係合させることができ、遊技球の流下量に合わせて移動規制部材151が揺れ動くことになり、球ならし効果が優れたものとなる。また、移動規制部材151の位置規制を開閉部材41に開設した遊嵌孔160により行うことができるので、別途位置規制部材を設ける必要がないので、いたずらに部品点数が増大せず、製造コストを削減できるとともに、位置規制部材の配置スペースも必要としない。
【0058】
図11は、移動規制部材の変形例の斜視図である。なお、図11において、図8と同一の符号を付した部材は同一の構成を有している。この変形例の移動規制部材181は、その先端を球貯留タンク側へ向けて配置した短冊状の球案内部188(188a〜188e)が、球貯留タンク31と球排出装置32とを連通する連通口40の幅方向に沿って並んだ櫛歯状の複数の案内部188a〜188eによって形成されている。このように球貯留タンク31の底部との間で遊技球Bを案内するとともに、規制する球案内部188を櫛歯状の複数の案内部188a〜188eで形成することにより、球案内部188に弾性力をもたせることができ、遊技球Bの流下量に応じて球案内部188が変形することが可能となり、又、各案内部188a〜188eの間隙に沿って遊技球Bが案内されるので、球止まりを起こすことがなくなって球ならし効果を向上させることができる。
【0059】
次に、球排出ユニット15の作用について説明する。
遊技機設置島設備の補給装置が球排出ユニット15の球貯留タンク31へ遊技球を供給(補給)すると、遊技球Bは、球貯留タンク31の第1流路45の上流側端部に落下する。第1流路45に落下した遊技球は、接続流路47および第2流路46を介して球排出装置32へ向けて流下する。そして、図10に示すように、球排出ユニット15内に遊技球が貯留されて変位片51に載り、変位片51が第1変位状態に変換すると、変位センサ52が変位片51の第1変位状態への変換、すなわち球貯留タンク31に遊技球が貯留された状態を検出する。
【0060】
球貯留タンク31は、第1流路45を球排出装置32側から反対側へ向けて下り傾斜させるとともに、第2流路46を球排出装置32側へ向けて下り傾斜させ、第1流路45の下端部と第2流路46の上端部とを接続流路47により接続するので、球貯留タンク31内に貯留された遊技球のうち、第2流路46上に位置する遊技球のみの球圧が球排出装置32に掛かり、球貯留タンク31内の全ての遊技球の球圧が球排出装置32へ掛かることを防ぐことができる。したがって、球排出装置32の駆動源(排出駆動モータ70)に対する負荷を軽減することができる。
【0061】
そして、遊技中に入賞口への入賞が検出されて入賞検出信号が送信されたり、特別遊技において大当たりが発生して大当り検出信号が送信されたり、あるいは、遊技者により貸球操作が実施されて貸球信号が送信されたりすると、球排出装置32は、排出駆動モータ70を回転駆動してスプロケット69を正転方向Lへ予め設定された回数だけ回転して、球貯留タンク31内の遊技球を排出流下路18へ所定数だけ排出する。排出流下路18へ流下した遊技球は、パチンコ遊技機1の前面に配置された上皿あるいは下皿(何れも図示せず)へ賞球あるいは貸球として供給される。
【0062】
一方、メンテナンス作業時において、作業員により球貯留タンク31内の遊技球の球抜操作、例えば、球抜操作ボタン(図示せず)が操作されると、球排出装置32は、この操作に基づいて排出駆動モータ70を回転駆動してスプロケット69を逆転方向Rへ連続回転し、球貯留タンク31内の遊技球を球抜流下路19へ連続して抜き出して流下させる。球抜流下路19へ流下した遊技球は、パチンコ遊技機1の外部、例えば、遊技機設置島設備の球回収樋(図示せず)に回収される。
【0063】
図10に示すように、球貯留タンク31と球排出装置32とを連通させる連通口40を通って、遊技球Bは球貯留タンク31から球排出装置32へと移動するが、連通口40の手前上方には移動規制部材151の球案内部178が設けられており、球案内部178は、該球案内部178と球貯留タンク31の底部との空間(案内流路)の高さを規制しつつ遊技球Bを球排出装置32へと案内する。したがって、この球案内部178によって、一度に多くの遊技球Bが連通口40側へ流れ込んで幾重にも重なった状態でスプロケット69の上方へ溜まるのが防止される。特に、移動規制部材151は揺動可能な状態で上記係合部162が開閉部材41の遊嵌孔160に係合しているので、遊技球の流下量に合わせて移動規制部材151が揺れ動くことになり、球ならし効果が優れたものとなる。さらに、図11の変形例のように、上記移動規制部材181の球案内部188を櫛歯状の複数の案内部188a〜188eにより構成すれば、球案内部188に弾性力を付与することができ、球ならし効果をさらに向上させることができる。
【0064】
この連通口40の前方側には、開閉部材41が連通口40を横断するように往復移動可能に設けられており、開閉部材41は連通口40を開放する開放状態と、連通口40を閉塞する閉成状態とに変換可能に形成されており、閉成状態では球止めとして機能する。
【0065】
すなわち、球排出装置32のメンテナンス作業時等の理由で球排出装置装着部119から球排出装置32を取り外す場合には、図9(a)に示す開閉部材41の規制状態から、上記規制部材係合機構161の摘み部172を指で摘んで操作部材171とともに係合部162を後退させ、該係合部162を開閉部材41の上記遊嵌孔160から解除する。これにより、図9(b)に示すように、移動規制部材151が開放状態の開閉部材41から外れて、開閉部材41を閉成状態へ変換することが許容されることになる。
【0066】
そして、開閉部材41の操作部133を指で摘んで、図9(b)の矢印の方向へ移動させることにより、開閉部材41の遮蔽壁部131で連通口40を閉塞することができる。すなわち、開閉部材41を閉成状態に変換すると、球貯留タンク31と球排出装置32との間の連通口40が閉塞され、球貯留タンク31から球排出装置32への遊技球の流下を規制するとともに、開閉部材41と球排出装置32との係合状態を解除して球排出装置32が球排出ユニット15から離脱することを許容する。開閉部材41の遮蔽壁部131により連通口40を閉塞する際、遮蔽壁部131の側端部には先端の尖った球列間挿入部(凸部)144aが形成されているので、遊技球Bの球間に分け入って、球貯留タンク31の起立壁31aの係合受部145に球列間挿入部(凸部)144aを確実に係合させることができる。遮蔽壁部131の球列間挿入部(凸部)144aを起立壁31aの係合受部145に係合させることにより、遮蔽壁部131の撓みを防止することができ、これにより球排出装置32の脱着をスムーズに行うことができる。
【0067】
この開閉部材41の閉成操作に関連して、球排出装置32の球受部65の前方側の矩形係合部141上から開閉部材41の遮蔽壁部131が移動するので、該係合部141が解除されて上記球排出装置装着部119から球排出装置32を上方へ取り外すことが可能となる。
【0068】
他方、球排出装置32のメンテナンス作業等の終了後は、上記球排出装置装着部119に上方から球排出装置32を装着した後、開閉部材41の操作部133を指で摘んで、図9(b)の矢印と反対方向へ移動させることにより、連通口40を開放して球貯留タンク31と球排出装置32とを連通させることができる。すなわち、開閉部材41を開放状態に変換すると、球貯留タンク31と球排出装置32との間の連通口40が連通され、球貯留タンク31から球排出装置32への遊技球の流下を許容するとともに、開閉部材41の遮蔽壁部131が球排出装置32の係合部141上に係合して球排出装置32が球排出ユニット15から離脱することを規制することになる。
【0069】
そして、図9(b)に示すように、移動規制部材151を回動軸周りに下方へと回動させることにより、開閉部材41の操作部133に開設された遊嵌孔160に移動規制部材151の係合部162を係合させることにより、図10のように球貯留タンク31と球排出装置32との間の連通口40を遊技球Bが通過し得る状態となる。
【0070】
以上のように構成された本実施形態の遊技機1によれば、球貯留タンク31と球排出装置32とを連通する連通口40の前方側に備えられた開閉部材41が、連通口40を開放する開放状態と、連通口40を閉成する閉成状態とに変換可能に構成されている。したがって、この開閉部材41の操作部133を手動操作することによって、遊技球Bが複数列、複数段で球排出装置側に流入する場合であっても、上記凸部(球列間挿入部)144aを球間に分け入らせて球供給路である連通口40内に確実に開閉部材41を侵入させることができ、確実に球止めを行うことができる。また、開閉部材41の閉成操作したときに球受部65の前側方の係合部141を開放することにより、球排出装置32の固定及び固定解除を容易に行うことができるので、球排出装置32の着脱作業が非常に簡単である。さらに、球止めを確実に行った上で球排出装置32を取り外すことになるので、遊技球Bの散乱を防止することができる。そして、開閉部材41だけで球止め及び球排出装置32の固定を兼ねることができるので、余計な部材を必要とせず、製造コストの削減を図ることができるものである。
【0071】
なお、上記の実施形態では、球排出ユニット15を取付ベース30の裏面に配設したが、これに限るものではなく、裏機構盤5に配設してもよい。
【0072】
前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【0073】
また、本発明に係る遊技機は、パチンコ遊技機に限らず、雀球式遊技機、アレンジボール式遊技機などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】パチンコ遊技機の背面図である。
【図2】開閉部材を閉成した状態の球排出ユニットの斜視図である。
【図3】(a)は球排出ユニットの平面図、(b)は断面図である。
【図4】球排出装置の分解斜視図である。
【図5】球排出装置および球検出装置の下面図である。
【図6】(a)は開放した状態の開閉部材の斜視図、(b)は閉成した状態の開閉部材の斜視図である。
【図7】開閉部材の取付構造を説明する斜視図である。
【図8】移動規制部材の斜視図である。
【図9】開閉部材および移動規制部材の動作を説明する斜視図である。
【図10】移動規制部材に案内規制される遊技球の動きを説明する斜視図である。
【図11】移動規制部材の変形例の斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1 遊技機
15 球排出ユニット
30 取付ベース
31 球貯留タンク
32 球排出装置
35 遊技球流路
40 連通口
41 開閉部材
50 球検出機構
51 変位片
52 変位センサ
55 回動軸
67 スプロケット収容部
68 排出ステージ部材
69 スプロケット
70 排出駆動モータ
71 モータホルダ
119 排出装置装着部
133 操作部
137 摺動ガイド部
138 開口部
141 係合部
144 凹凸部
144a 凸部(球列間挿入部)
145 係合受部
151 移動規制部材
160 遊嵌孔
161 規制部材係合機構
165 矩形挿入孔
165a 矩形溝部
166 コイルスプリング
171 操作部材
172 摘み部
175 固定部材
178 球案内部
181 移動規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を貯留する球貯留タンクと、該球貯留タンクから供給される遊技球を排出可能な球排出装置と、を備えた球排出ユニットを設けた遊技機において、
前記球排出ユニットは、球貯留タンクと球排出装置とを連通する連通口と、球排出装置に係合可能であり、連通口を開放する開放状態と連通口を閉成する閉成状態とに変換可能な開閉部材と、を備え、
前記球排出装置は、球排出ユニットに対して着脱可能な状態で配置され、
前記開閉部材を開放状態に変換すると、球貯留タンクから球排出装置への遊技球の流下を許容するとともに、開閉部材が球排出装置に係合して球排出装置が球排出ユニットから離脱することを規制し、
前記開閉部材を閉成状態に変換すると、球貯留タンクから球排出装置への遊技球の流下を規制するとともに、開閉部材と球排出装置との係合状態を解除して球排出装置が球排出ユニットから離脱することを許容するように構成されたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記球排出ユニットは、連通口を挟んで球排出タンクとは反対側に、球排出装置を上方から下降して装着可能な排出装置装着部を備え、
前記球排出装置は、開閉部材側ヘ向けて突設した係合部を備え、該係合部に開閉部材を上方から係合可能とし、
前記排出装置装着部に球排出装置を装着した状態で開閉部材を開放状態に変換すると、開閉部材が係合部に上方から係合して、球排出装置が排出装置装着部から上方へ離脱することを規制し、
前記排出装置装着部に球排出装置を装着した状態で開閉部材を閉成状態に変換すると、開閉部材が係合部の上方から外れて、球排出装置が排出装置装着部から上方へ離脱することを許容するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記開閉部材は、前記連通口を横切るようにスライドすることで当該連通口を開放状態と閉成状態とに変換可能であり、その側端部に先端が尖った球列間挿入部を備え、
該球列間挿入部は、球貯留タンクから球排出装置へ向かう方向に沿って並んだ遊技球の間に挿入可能な位置に配置されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記球排出ユニットは、閉成状態に変換した開閉部材の球列間挿入部と嵌合する挿入受部を備えたことを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記球排出ユニットは、球貯留タンク内の遊技球に当接可能な移動規制部材を備え、
該移動規制部材は、連通口に上方から近づいて遊技球の球排出装置への移動を規制する規制状態と、連通口から上方に遠ざかって規制状態を解除する規制解除状態と変換可能であり、
前記規制状態では、移動規制部材が開放状態の開閉部材に係合して、開閉部材が閉成状態へ変換することを規制し、
前記規制解除状態では、移動規制部材が開放状態の開閉部材から外れて、開閉部材が閉成状態へ変換することを許容するように構成されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
前記開閉部材に移動規制部材を揺動可能な状態で係合する規制部材係合機構を備えたことを特徴とする請求項5に記載の遊技機。
【請求項7】
前記移動規制部材は、連通口の幅方向に沿って並んだ櫛歯状に形成され、当該移動規制部材の先端を球貯留タンク側へ向けて配置したことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−175220(P2007−175220A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376121(P2005−376121)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000132747)株式会社ソフィア (2,465)
【Fターム(参考)】