説明

遊技機

【課題】回転リールを照明する光源をもって、第1フロントパネルと区画された第2フロントパネルの裏面をも照明することができるようにする。
【解決手段】前扉3は、回転リール5の前方に配置され、識別情報を透視可能な第1フロントパネル6と、第1フロントパネル6に隣接する第2フロントパネル7と、第1フロントパネル6と第2フロントパネル7とを区画し、前扉3の剛性向上に寄与するフランジ12を有する。フランジ12は、透光性材で形成される。回転リール5を照明する光源11の光は、フランジ12を通過して第2フロントパネル7の裏面側を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転リールの外周面を照明可能な光源を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンにおいては、外周面に複数の識別情報が付記された回転リールを収容した筐体と、この筐体の前面に設けられる前扉とを備えている。前扉には、回転リールの識別情報を前方から透視可能な第1フロントパネルが設けられ、また、第1フロントパネルの上方には、各種遊技情報や絵柄等が描かれた透光性の第2フロントパネルが設けられている。さらに、前扉の後面には、遊技時に回転リールの外周面を照明する横長の冷陰極管等で構成される光源が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−167018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような遊技機においては、前扉の裏面側における第1フロントパネルと第2フロントパネルとの境界部分に、後方へ所定量突出し、前扉の剛性を保つためのフランジを形成して、第1フロントパネルと第2フロントパネルとが区画されている。そのため、回転リール側を照明する光源をもって、第2フロントパネルの裏面側をも照明しようとした場合、フランジが光源の光を遮り、第2フロントパネル側の裏面を照明することはできない。従って、この場合には、第2フロントパネルの裏面側を照明するための光源を別途設ける必要があり、部品数の増加、コスト高を招くこととなる。
【0004】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、回転リールを照明する光源をもって、第1フロントパネルと区画された第2フロントパネルの裏面をも照明することができるようにした遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)外周面に複数の識別情報が付記された回転リールを収容した筐体と、前記筐体の前面に設けられる前扉と、前記前扉の後側に設けられ、前記回転リールの外周面を照明可能な光源とを備え、前記前扉には、前記回転リールの前方に配置され、前記識別情報を透視可能な第1フロントパネルと、前記第1フロントパネルに隣接する第2フロントパネルと、前記第1フロントパネルと前記第2フロントパネルとを区画し、前記前扉の剛性向上に寄与するフランジを設けた遊技機において、前記フランジを透光性材で形成し、前記光源の光を前記フランジを通過させて前記第2フロントパネルの裏面側を照明可能とする。
【0006】
(2)上記(1)項において、前記フランジの前方にあって、前記前扉の表面に露出する部分に、前記光源の光の漏光を遮蔽する不透過部を設ける。
【0007】
(3)上記(1)または(2)項において、前記フランジを、着色透光性材で形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、次のような効果が奏せられる。
(a)請求項1記載の発明によると、前扉の剛性向上に寄与するフランジが、第1フロントパネルと第2フロントパネルとを区画するように、前扉の裏面側に形成される遊技機であっても、第1フロントパネルの後方に配置される回転リールを照明するための光源により、第2フロントパネルの裏面側をも同時に照明することができる。
【0009】
(b)請求項2記載の発明によると、照明する必要性がない部分への漏光を遮蔽することができる。
【0010】
(c)請求項3記載の発明によると、回転リールを照明する光の色と第2フロントパネルの後側に照明する光の色とを異ならせることができ、変化に富んだ照明を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明を適用した遊技機の斜視図、図2〜図5は、本発明における各実施例の要部を示す遊技機の概略縦断面図である。なお、以下の説明においては、図1の左斜め下方、図2〜図5の左方を「前方」とし、図1の右斜め上方、図2〜図5の右方を「後方」とする。
【0012】
遊技機(スロットマシン)1は、各種遊技機器を収容した筐体2と、筐体2の前面に開閉可能に設けられた合成樹脂製の前扉3を備え、遊技媒体をなす円板状のメダル(コインも含む)を、前扉3の右側に設けたメダル投入部4に投入することにより、後述のような所定のゲームが行われるものである。
【0013】
筺体2内には、外周面に複数種類の図柄等で構成される識別情報が描かれた左、中、右3個の回転リール5、メダルを貯留及び払出可能なホッパーユニット(図示略)、遊技全体を統括的に制御する主制御基板(図示略)、入賞形態に応じてメダルを払い出すホッパーユニット等の遊技機器が収容されている。
【0014】
前扉3における前面のほぼ中央には、各回転リール5の識別情報を3こまずつ視認可能な透視窓61を有する透明アクリル樹脂製の第1フロントパネル6が嵌め込まれ、また、同じく第1フロントパネル6の上側には、遊技情報や絵柄等が描写された透明アクリル樹脂製の第2フロントパネル7が嵌め込まれている。
【0015】
さらに、前扉3における第1フロントパネル6の下方には、メダルを遊技に投資するときに操作されるベットボタン8、各回転リール5を回転させるときに操作されるスタートレバー9、及び各回転リール5の回転を停止させるときに操作されるストップボタン10等が設けられている。
【0016】
前扉3における裏面側には、各回転リール5の外周面を斜め前上方から照明可能な横長の冷陰極管等で構成される光源11、メダル投入部4に投入されたメダルの真偽を判別可能なメダルセレクター(図示略)等が設けられている。さらに、前扉3における第2フロントパネル7の後方には、必要に応じて、遊技の演出情報窓を表示可能な液晶画面等で構成される表示装置(図示略)が設けられる。
【0017】
前扉3における第1フロントパネル6の上縁と第2フロントパネル7の下縁との境界部分には、前扉3の剛性を高めるため、後方へ所定量突出するフランジ12(図5においては13)が設けられている。このフランジ12、13は、第1フロントパネル6と第2フロントパネル7とを区画するように、光源11の上面に沿って左右方向へ延設されている。
【0018】
遊技機1の遊技は、遊技者がメダルをメダル投入部4に投入した後、ベットボタン8によりメダルの賭数を設定した後、スタートスイッチレバー9を操作して、全ての回転リール5を回転させることによって開始される。このとき、回転リール5における識別情報を含む外周面は光源11により照明されることにより、遊技者は識別情報を明視することができる。
【0019】
回転リール5が回転して所定時間が経過した後、3個のストップスイッチボタン10を順次操作して、各回転リール5の回転を停止させ、停止した3個の回転リール5の図柄の組み合わせにより、入賞の有無、及び賞の大小に応じたメダルの配当枚数が確定され、入賞した場合には、予め定めた入賞枚数のメダルがホッパーユニットから前扉3の下部に設けたメダル受皿31に払い出される。
【0020】
(実施例1)
図2に示すように、実施例1における第2フロントパネル7は、その表面に遊技情報及び絵柄が描写されて、一部が透光性または全体が半透明に形成され、前扉3の上部に嵌め込み固定された前扉3の一部を形成する額縁状の飾り枠14内に嵌め込まれる。飾り枠14は、下部に補強用のフランジ12を形成するとともに、母材が光透過性の透明アクリル樹脂板等により形成される。また、前扉3の表面に露出する飾り枠14の下部表面(フランジ12の前側に位置する部分)には、不透光部15が設けられる。不透光部15は、例えば、塗装、隠蔽幕と樹脂との同時成型(インサート成型又はインモールド成型)により形成される。なお、不透光部15は、前扉3の表面に露出する飾り枠14の表面全周に施しても良い。
【0021】
上述により、回転リール5の表面を照明する光源11の光は、透光性のフランジ12を通過して、第2フロントパネル7の後方空間に漏光して、第2フロントパネル7の裏面をも照明することができる。また、飾り枠14の表面には不透光部15が形成されているため、不必要な箇所への漏光を遮蔽して、必要な箇所のみを照明することができる。
【0022】
(実施例2)
図3に示すように、実施例2における飾り枠14は、透光性樹脂と不透光性樹脂により二重成型される。フランジ12は、透光性樹脂により成型され、また、前扉3の表面に露出する飾り枠14の表面部分は、不透光性樹脂により成型されて、不透光部16を形成する。他の構成については、前記実施例1と同一であるので、同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0023】
この実施例2においても、回転リール5の表面を照明する光源11の光を、光透過性のフランジ12を通過させて、第2フロントパネル7の裏面を照明することができ、また、不透光部16により不必要な箇所への漏光を防ぐことができる。
【0024】
(実施例3)
図4に示すように、実施例3における第2フロントパネル7は、全体が透明又は一部が不透明(半透明も含む)に形成される。そして、第2フロントパネル7の後方には、第2フロントパネル7を透して見ることができる役物17、例えば、遊技状況に応じて動く演出体等が設けられる。他の構成については、前記実施例1と同一であるので、同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0025】
この実施例3においては、回転リール5の表面を照明する光源11の光を、光透過性のフランジ12を通過させて、第2フロントパネル7の裏面及び役物17の表面を同時に照明することができる。また、フランジ12を透光性の着色樹脂により成型することによって、光源11を白色光とした場合であっても、役物17を着色光により照明することができ、変化に富んだ照明を行うことができる。
【0026】
(実施例4)
図5に示すように、実施例4における第2フロントパネル7は、前扉3の上部に嵌め込み固定された前扉3の一部を形成する額縁状の飾り枠18の前面に一体成型される。飾り枠18全体は、光透過性の透明アクリル樹脂板等により形成される。飾り枠18の下部には、補強用のフランジ13が一体成型される。また、前扉3の表面に露出する飾り枠18の表面における第2フロントパネル7以外の箇所には、実施例1と同様な不透光部15が設けられる。他の構成については、前記実施例1と同一であるので、同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0027】
この実施例4においても、回転リール5の表面を照明する光源11の光を、光透過性のフランジ12を通過させて、第2フロントパネル7の裏面及び第2フロントパネル7の後方に配置した役物17も同時に照明することができ、また、不透光部15により不必要な箇所への漏光を遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明を適用した遊技機の斜視図である。
【図2】実施例1の要部を示す遊技機の概略縦断面図である。
【図3】実施例2の要部を示す遊技機の概略縦断面図である。
【図4】実施例3の要部を示す遊技機の概略縦断面図である。
【図5】実施例4の要部を示す遊技機の概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 遊技機(スロットマシン)
2 筐体
3 前扉
4 メダル投入部
5 回転リール
6 第1フロントパネル
7 第2フロントパネル
8 ベットボタン
9 スタートレバー
10 ストップボタン
11 光源
12、13 フランジ
14、18 飾り枠
15、16 不透光部
17 役物
31 メダル受皿
61 透視窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数の識別情報が付記された回転リールを収容した筐体と、前記筐体の前面に設けられる前扉と、前記前扉の後側に設けられ、前記回転リールの外周面を照明可能な光源とを備え、前記前扉に、前記回転リールの前方に配置され、前記識別情報を透視可能な第1フロントパネルと、前記第1フロントパネルに隣接する第2フロントパネルと、前記第1フロントパネルと前記第2フロントパネルとを区画し、前記前扉の剛性向上に寄与するフランジを設けた遊技機において、
前記フランジを透光性材で形成し、前記光源の光を前記フランジを通過させて前記第2フロントパネルの裏面側を照明可能としたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記フランジの前方にあって、前記前扉の表面に露出する部分に、前記光源の光の漏光を遮蔽する不透過部を設けたことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記フランジを、着色透光性材で形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−228747(P2008−228747A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67962(P2007−67962)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】