説明

遊技機

【課題】球送り流路を流下する遊技球が球送り部材に与える負荷を軽減することができ、球送り部材の駆動力が弱い場合であっても、球送り部材による球送り動作を円滑に行い易い遊技機を提供する。
【解決手段】遊技球を1個ずつ供給可能な球送り部材53と、遊技球を貯留可能な皿部材33と、皿部材33内の遊技球を蛇行しながら流下させる蛇行流路52と、該蛇行流路52の下流側に連通し、蛇行流路52を流下してきた遊技球を球送り部材53側へ向けて流下可能な球送り流路50とを備え、該球送り流路50は、当該球送り流路50の両側に球支持突条部57を下流側へ下り傾斜した状態で備え、両球支持突条部57に遊技球の側部を支持して遊技球の下部を両球支持突条部57の間の球嵌合空間部58に沈ませ、この状態で遊技球を回転しながら流下するように構成され、球嵌合空間部58の下流側端部を球送り部材53側へ向けて開放した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を1個ずつ球発射位置へ供給可能な球送り部材と、該球送り部材側へ向けて遊技球を整列した状態で流下可能な球送り流路とを備えたパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機、例えば、パチンコ遊技機においては、球排出装置から排出された賞球あるいは貸球としての遊技球を貯留皿に貯留し、該貯留皿内の遊技球を発射装置の球発射位置に1個ずつ供給し、発射操作ハンドルが操作されたことに基づいて球発射位置の遊技球を打球発射杵で弾発して遊技領域へ向けて発射するように構成されている。また、貯留皿と球発射位置との間には、遊技球を1列に整列して流下する球送り流路(整列樋)と、該球送り流路を流下する遊技球を1個ずつ球発射位置へ供給可能な球送り部材(球送り装置)とを備えている。
【0003】
そして、特許文献1に開示されたパチンコ遊技機では、発射操作ハンドルの回動レバーにより可変抵抗器の抵抗値を操作して発射駆動源の出力を調整し、この出力に基づいて遊技者の所望する弾発力で遊技球を弾発(発射)できるように構成されている。また、球送り部材には、発射駆動源とは別個の球送り駆動源を接続し、この球送り駆動源を所定のタイミングで駆動して球発射位置に遊技球を供給して遊技球の発射準備を行うように構成されている。なお、可変抵抗器および発射駆動源を介して発射操作ハンドルと発射装置とを電気的に接続すると、発射操作ハンドルおよび発射装置のレイアウトの自由度を増すことができる。例えば、特許文献2に開示されたパチンコ遊技機では、発射操作ハンドルをパチンコ遊技機の一側に配置し、発射装置をパチンコ遊技機の他側に配置している。
【特許文献1】特開平5−123434号公報
【特許文献2】特開2004−194881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した特許文献のパチンコ遊技機は、発射駆動源と球送り駆動源とを別個に備えているため、パチンコ遊技機の部品点数や制御系統の削減、ひいてはパチンコ遊技機の製造コストの低減に改善の余地を残している。そこで、球送り駆動源を備えず、その代りに発射駆動源あるいは打球発射杵と球送り部材とをリンク機構で接続して、発射駆動源の駆動力(あるいは打球発射杵の移動力)により球送り部材を駆動するように構成することが考えられる。しかしながら、駆動源と間接的に接続された状態では、球送り部材は、その駆動力が弱くなりがちであり、さらには、球送り流路を流下する遊技球から受ける負荷に抗して駆動しなければならず、球送り動作を円滑に行えない虞がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、球送り流路を流下する遊技球が球送り部材に与える負荷を軽減することができ、球送り部材の駆動力が弱い場合であっても、球送り部材による球送り動作を円滑に行い易い遊技機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、遊技球を1個ずつ球発射位置へ供給可能な球送り部材と、遊技球を貯留可能な貯留皿と、該貯留皿内の遊技球を整列した状態で蛇行しながら流下させる蛇行流路と、該蛇行流路の下流側に連通し、蛇行流路を流下してきた遊技球を整列した状態で球送り部材側へ向けて流下可能な球送り流路と、を備え、
該球送り流路は、当該球送り流路の両側に球支持突条部を下流側へ下り傾斜した状態で備え、両球支持突条部の間を球嵌合空間部とし、両球支持突条部に遊技球の側部を転動可能な状態で支持して遊技球の下部を球嵌合空間部に沈ませ、この沈ませた状態で遊技球の側部を転動することにより遊技球を回転しながら流下するように構成され、
前記球嵌合空間部の下流側端部を球送り部材側へ向けて開放したことを特徴とする遊技機である。
【0007】
請求項2に記載のものは、前記球支持突条部の間隔を球送り部材側へ向けて次第に狭めたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機である。
【0008】
請求項3に記載のものは、前記球支持突条部は、遊技球の側部を載置する載置部を傾斜面で形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、遊技球を1個ずつ球発射位置へ供給可能な球送り部材と、遊技球を貯留可能な貯留皿と、該貯留皿内の遊技球を整列した状態で蛇行しながら流下させる蛇行流路と、該蛇行流路の下流側に連通し、蛇行流路を流下してきた遊技球を整列した状態で球送り部材側へ向けて流下可能な球送り流路とを備えたので、蛇行流路により貯留皿内の遊技球の球圧が球送り流路内の遊技球、ひいては球送り部材に掛かることを抑えることができる。したがって、球送り部材が遊技球に押圧されて損傷する虞を抑えることができ、遊技球の球送り動作(球発射位置への供給動作)を安定して行わせることができる。
【0010】
また、球送り流路は、当該球送り流路の両側に球支持突条部を下流側へ下り傾斜した状態で備え、両球支持突条部の間を球嵌合空間部とし、両球支持突条部に遊技球の側部を転動可能な状態で支持して遊技球の下部を球嵌合空間部に沈ませ、この沈ませた状態で遊技球の側部を転動することにより遊技球を回転しながら流下するように構成されたので、球送り流路の底面上を転動して流下する場合に比べて遊技球の流下勢を小さく抑えることができる。したがって、球送り流路を流下する遊技球が球送り部材に与える負荷を軽減することができ、球送り部材の駆動力が弱い場合であっても、球送り部材による球送り動作を円滑に行い易い。さらに、球嵌合空間部の下流側端部を球送り部材側へ向けて開放したので、球送り流路を流下する遊技球が球嵌合空間部に引っ掛かって球止まりを生じてしまう不都合を抑えることができ、遊技球をスムーズに球送り部材へ供給することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、球支持突条部の間隔を球送り部材側へ向けて次第に狭めたので、遊技球の球支持突条部間への沈み具合を球送り部材側へ向けて次第に浅くすることができ、球支持突条部に接触する遊技球の側部と遊技球の回転中心との距離、すなわち遊技球の転がり半径が球送り部材に近づくに連れて次第に大きくなるように設定することができる。したがって、球送り流路の上流側と下流側とで遊技球の流下速度を異ならせて、球送り流路内に遊技球を前後に間隔を空けた状態で流下するように調整し易い。このことから、遊技球を球送り部材へ円滑に流下させることができ、遊技球を球発射位置へ滞りなく供給し易い。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、球支持突条部のうち、遊技球の側部を載置する載置部を傾斜面で形成したので、載置部を角部で形成した場合に比べて、載置部の摩耗等の損傷を抑制することができる。したがって、球送り流路内の遊技球を一層円滑に転動し易く、遊技球の球発射位置への供給に悪影響を及ぼし難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて本発明の実施の最良の形態を図面に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機の斜視図、図2は透明部材保持枠および貯留皿ユニットを開放した状態のパチンコ遊技機の斜視図である。
パチンコ遊技機1は、外枠(機枠あるいは本体枠)2に前面枠(内枠)3を開閉可能に軸着し、この前面枠3のベースとなる略額縁状の前面枠本体4に矩形状の遊技盤5を収納可能とし、遊技盤5の表面には、区画部材(サイドケース)7を配置して略円形状の遊技領域8を区画形成し、該遊技領域8内に表示装置や入賞口等の役物(いずれも図示せず)を配設している。また、前面枠3の前面側には、一側(図1中、左側)が軸着された透明部材保持枠9を開閉(回動)可能に設け、該透明部材保持枠9に透視可能な透明部材10を収納し、透明部材保持枠9の裏面側には、遊技球を遊技領域8内へ案内するための縦長な発射案内路12を形成し、透明部材保持枠9を閉じると、遊技盤5が透明部材保持枠9により覆われるとともに、透明部材10が遊技領域8の前方に配置され、透明部材10を通して遊技領域8を前方から視認できるように構成している。さらに、透明部材保持枠9の下方には、一側(図1中、左側)が軸着された横長な貯留皿ユニット14を開閉(回動)可能に備え、該貯留皿ユニット14の側方(図1中、右側方)には、後述する発射装置17を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)18を備えている。
【0014】
前面枠本体4は、矩形状の開口部を上寄りに開設した合成樹脂製枠体であり、開口部の周縁に額縁状の遊技盤収納部23を備え、遊技盤収納部23内に遊技盤5を着脱可能な状態で収納するように構成されている。また、遊技盤収納部23の下方にボード部24を備え、該ボード部24の上端に遊技盤載置部(図示せず)を設け、該遊技盤載置部に遊技盤5の下端を載置することで、遊技盤5の上下方向の位置を規制できるように構成されている。さらに、ボード部24の前面側の一側寄り(図2中、左寄り)の上部には、前面枠本体4の裏側の球排出装置(図示せず)から供給される賞球あるいは貸球としての遊技球を貯留皿ユニット14へ排出する球排出口29を開設している。そして、ボード部24の他側寄り(図2中、右寄り)、すなわち発射操作ユニット18寄りの位置には、貯留皿ユニット14の自由端部を係止可能なロック係止受部30を設け、該ロック係止受部30に貯留皿ユニット14の自由端部を係止して貯留皿ユニット14を前面枠本体4に対して閉状態に維持できるように構成されている。
【0015】
貯留皿ユニット14は、遊技球を貯留し、この貯留した遊技球を弾発して遊技盤5の遊技領域8へ発射するためのユニットである。貯留皿ユニット14は、図3に示すように、横長なベースパネル(開閉部材)31を備え、該ベースパネル31の一端部(図3(b)中、右端部)には、ベースパネル31を前面枠本体4に対して開閉可能な状態で軸着する軸着部(ヒンジ部)31aを配置し、他側部(図3(b)中、左側部)には、ロック係止受部30に係止可能なロック係止部31bを配置している。また、ベースパネル31の前面側には、遊技球を貯留可能な皿部材33(本発明における貯留皿に相当)と、該皿部材33の前側部およびベースパネル31の前面側全体を覆うカバー部材34とを配置している。さらに、ベースパネル31の後面側には、球排出口29から排出された遊技球(賞球または貸球)、あるいは発射装置17から発射されたが遊技領域8まで到達せずに発射案内路12を逆流してきた遊技球(ファール球)を流下させる横長な球流下樋35と、該球流下樋35の下流端(図3(b)中、左端)に接続され、球流下樋35を流下する遊技球を貯留皿ユニット14の下方へ抜き出す球抜機構36と、皿部材33に貯留された遊技球を遊技領域8へ向けて発射する発射装置17とを配置している。そして、ベースパネル31の軸着部31a寄り(図3(b)中、右寄り)に略矩形状の大きなベース開口31dを開設し、カバー部材34の裏側のうちベース開口31dに対向する部分には、後方を開放した箱状の発射支持部34aを形成し(図4参照)、該発射支持部34aに発射装置17をその前側部がベース開口31dへ遊嵌する状態で支持している。
【0016】
なお、球流下樋35は、その上流部(図3(b)中、右側部)を発射装置17の上方に配置し、この上流部の前後幅を下流部の前後幅よりも広く設定して略箱状の球受部37を形成し、該球受部37の後部に球受開口37aを開設して、球受開口37aと球排出口29とが連通、すなわち球流下樋35と球排出口29とが連通するように構成されている。また、球受部37の上部を開放して発射案内路12の下端に連通し、発射案内路12を逆流してきたファール球を球受部37に受け入れるように構成されている。さらに、球受部37の底部には、発射装置17と発射案内路12とを連通(接続)する発射接続路38を上下に貫通する状態で配置している。
【0017】
また、球抜機構36は、カバー部材34の中央部分に設けられた球抜操作部(球抜ボタン)39を押し込み操作することで、球流下樋35内の遊技球を貯留皿ユニット14から抜き出すことを許容する抜き出し状態と、貯留皿ユニット14からの抜き出しを規制する抜き出し規制状態とに変換できるように構成されている。
【0018】
そして、図3(a)に示すように、ベースパネル31の上側のうちロック係止部31b寄り(図3(a)中、右寄り)の部分には、前後に貫通する流下開口31cを開設し、球流下樋35をベースパネル31の自由端側へ下り傾斜した状態、言い換えると球排出口29の前方から流下開口31cへ向けて下り傾斜した状態で設定し、流下開口31cを介して皿部材33の内側(詳しくは皿部材33の内側の上部)と球流下樋35の下流端とを連通している。また、皿部材33の底面を流下開口31cからベース開口31dへ向けて下り傾斜する状態に設定し、発射装置17のうちベース開口31dから前方へ臨ませた部分と、皿部材33の内側(詳しくは皿部材33の内側の下部)とを連通している。したがって、貯留皿ユニット14は、球排出口29から排出された遊技球(賞球あるいは貸球)を球流下樋35、流下開口31c、皿部材33を経て発射装置17へ供給するように構成されている。なお、皿部材33は、図4に示すように、発射装置17に連通する下流部を次第に絞り込まれた形状に形成して球整列部33aを構成し、該球整列部33aにより当該皿部材33の下流側(図4中、右側)、言い換えると発射装置17との連通部分の近傍で遊技球を1列に整列し、この整列状態で発射装置17へ供給できるように構成されている。
【0019】
次に、発射装置17について説明する。
発射装置17は、図5から図7に示すように、当該発射装置17の基部となる発射ベース40に、当該発射装置17に供給された遊技球を回動動作(揺動動作)により弾発する打球発射杵(発射部材)41と、該打球発射杵41を駆動するロータリーソレノイド42等の回動駆動源(揺動駆動源)と、打球発射杵41の回動範囲を規制する回動規制部43と、該回動規制部43へ衝突して撃力を発生可能なノック部材44と、打球発射杵41やノック部材44等を連動させるリンク機構45とを備えて構成され、後方の前面枠本体4のボード部24に対向する状態で配置されている。
【0020】
発射ベース40は、発射装置17をベースパネル31へ取り付けるための部材であり、後方および上方が開放された略箱形状に形成され、その内部に打球発射杵41、回動規制部43、ノック部材44およびリンク機構45を収容している。また、発射ベース40の四隅から係合突部46を後方の前面枠本体4へ向けて突設し、係合突部46をボード部24に設けられた係合受部47へ係合して発射装置17を前面枠本体4の前方に位置決めできるように構成されている。さらに、発射ベース40の前側には矩形状のベース基部48を備え、ベース基部48の前面側にロータリーソレノイド42を配置し(図6(a)参照)、該ロータリーソレノイド42の出力軸(発射回動軸)49をベース基部48の中央部分よりも上寄りの位置を貫通して後方へ向けて突出し、発射回動軸49の先端(後端)に後述の打球発射杵41を軸着している。また、ベース基部48の後面側のうち発射回動軸49の突出部分よりも上方には、遊技球を1列に整列した状態で流下可能な球送り流路(整列路)50を一側(図5(a)中、右側)へ下り傾斜した姿勢で配置している。さらに、該球送り流路50の上流端(図5(a)中、左端部)には、ベース基部48を前後に貫通する貫通流路51を球送り流路50へ連通した状態で備えている。そして、該貫通流路51の前端部をベース開口31dから前方へ突出して皿部材33の傾斜下端、すなわち球整列部33aの下端部に接続して、球整列部33a、貫通流路51および球送り流路50の上流部でクランク状の蛇行流路52を形成し、この蛇行流路52を介して皿部材33内の遊技球を整列した状態で蛇行しながら流下させて、球送り流路50へ導入できるように構成されている(図4参照)。
【0021】
さらに、図7に示すように、球送り流路50の下流部(図7(a)中、右側部)を下方へ屈曲し、この屈曲部に球送り部材53を回動自在な状態で配置して、球送り流路50内の遊技球が球送り部材53側へ向けて流下するように構成されている。また、球送り流路50の下流端の側方(図7(a)中、右側方)には、球送り流路50から供給された遊技球を1個保持可能な弾発球保持部54を備え、該弾発球保持部54に保持される遊技球(すなわち打球発射杵41に弾発される遊技球)の配置空間部を球発射位置55としている。そして、該弾発球保持部54の下部を開放して後述する打球発射杵41の一部を球発射位置55へ下方から進入可能とし、弾発球保持部54および球発射位置55の上方には、発射接続路38の下端と球発射位置55とを上下に連通可能な発射連通路56を備え、遊技球が球発射位置55から発射連通路56および発射接続路38を介して透明部材保持枠9の発射案内路12へ飛翔できるように構成されている。
【0022】
なお、球送り流路50は、図6(b)に示すように、ベース基部48に設けられ、後方へ向けて開放された断面コ字状を呈する樋状の流路基部50aと、該流路基部50aの開放部分を後方から閉塞する流路蓋部50bとを前後に重ねて構成されている。また、球送り流路50の前後両側には、直線状の球支持突条部57を球送り流路50の傾斜方向に沿って傾斜した状態、すなわち球送り流路50の下流側へ下り傾斜した状態で備えている。具体的には、流路基部50aのベース基部48側(すなわち前側)のうち、球送り部材53よりも上流側に位置する部分から第1球支持突条部57aを球送り流路50の内側(すなわち後方)へ向けて突設し(図5(a)参照)、流路蓋部50bの前面側のうち球送り部材53よりも上流側に位置する部分から第2球支持突条部57bを球送り流路50の内側(すなわち前方)へ向けて突設している(図5(b)参照)。そして、第1球支持突条部57aおよび第2球支持突条部57bを球送り流路50と同じ傾斜角度でベース基部48の一側(図5(a)中、右側)へ下り傾斜した姿勢に設定している。さらに、図6に示すように、第1球支持突条部57aと第2球支持突条部57bとの間を球嵌合空間部58とし、該球嵌合空間部58の幅、すなわち第1球支持突条部57aと第2球支持突条部57bとの間隔を遊技球(詳しくは不正な小径球ではない正規寸法の遊技球)の直径よりも僅かに狭く設定している。したがって、球送り流路50は、遊技球の前側部を第1球支持突条部57aに支持するとともに、後側部を第2球支持突条部57bに支持し、この支持状態、言い換えると遊技球の下部を球嵌合空間部58に沈ませた状態で遊技球の側部を球支持突条部57上に転動することにより、遊技球を回転しながら球送り部材53側へ流下させる(図6(b)参照)。なお、球支持突条部57は、遊技球の側部が当接する載置部(当接部)57cを遊技球の接線方向に延設された傾斜面で形成し、遊技球が当該球支持突条部57の角部分に引っ掛からないように構成されている。さらに、球嵌合空間部58の下流側端部(図4中、右端部)を球送り部材53側、詳しくは球送り部材53の直上へ向けて開放している。そして、球送り流路50内における遊技球の流下状態(挙動)については、後で詳細に説明する。
【0023】
また、球送り部材53は、球送り流路50を流下する遊技球を球発射位置55へ1個ずつ供給するための部材であり、図7に示すように、球送り軸59を介して前方のベース基部48および後方の流路蓋部50bに回動自在な状態で軸着され、球送り軸59の上方に遊技球を1個保持可能な球保持部(切欠部)60を形成している。そして、球送り軸59を中心にして後方から見て反時計方向へ回動して球保持部60を屈曲部よりも上流側へ向けて開放すると(図7(b)参照)、球保持部60に遊技球を1個保持した状態で球送り流路50を遮断し、遊技球を球発射位置55へ供給することを停止する状態(球供給停止状態)に変換する。一方、後方から見て時計方向へ回動して球保持部60を屈曲部よりも下流側へ向けて開放すると(図7(a)参照)、球保持部60に保持した遊技球のみを球送り流路50の下流端へ流下して球発射位置55に供給するが、屈曲部よりも上流側に配置された遊技球の流下を球送り部材53の先端部分で阻止する状態(球供給状態)に変換する。
【0024】
打球発射杵41は、図5(a)および図7に示すように、ロータリーソレノイド42の発射回動軸49に止着される軸着部分から縦長な杵部62を球発射位置55側(図7(a)中、右側)へ僅かに屈曲した状態で延設し、該杵部62の先端部には、遊技球を弾発する弾発部63を球発射位置55側(右側)へ突設している。そして、発射回動軸49を揺動中心にして、弾発部63を球発射位置55へ向けて移動(回動)する第1動作と、球発射位置55から離れる第2動作とを行って揺動するように構成されている。具体的に説明すると、ロータリーソレノイド42を駆動(励磁)して発射回動軸49を図7(b)に示す回転方向Aへ回転すると第1動作を行い、杵部62を横向き姿勢にして弾発部63を弾発球保持部54の内部へ下方から進入させ、弾発球保持部54上に保持された遊技球を上方へ弾発する弾発状態に変換する(図7(b)参照)。一方、ロータリーソレノイド42の駆動を停止(すなわち消磁)して打球発射杵41の自重により発射回動軸49を図7(a)に示す回転方向Bへ回転すると第2動作を行い、弾発部63を球発射位置55および弾発球保持部54の下方へ移動して杵部62を縦向き姿勢に変えて、次の遊技球を弾発するための弾発準備状態に変換する(図7(a)参照)。さらに、打球発射杵41のうち軸着部分(発射回動軸49)を挟んで杵部62と反対側には、後述する回動規制部43に衝突可能な発射ストッパー64を杵部62の延設方向とは異なる方向(杵部62の延設方向から「へ」字状に屈曲した方向)へ向けて突設し、発射ストッパー64および杵部62を回動規制部43に係合(当接)することで、打球発射杵41の回動範囲を規制するように構成されている。なお、打球発射杵41の回動範囲の規制状態については、後で詳細に説明する。
【0025】
回動規制部43は、該打球発射杵41と衝突して打球発射杵41の回動範囲(言い換えると回動動作)を規制するための厚肉な円筒状の部材であり、衝撃を吸収し易い材料、例えばゴム材等の弾性体で形成されている。また、ベース基部48の後面側のうち杵部62の回動範囲と発射ストッパー64の回動範囲との間に位置する部分に、ホルダ部67に保持された状態で配置されている。そして、回動規制部43の中心軸と発射回動軸49との距離を杵部62の延出長さおよび発射ストッパー64の延出長さよりも短く設定し、杵部62および発射ストッパー64が回動規制部43の外周部に係合できるように構成されている。さらに、回動規制部43を保持したホルダ部67の後端には規制カバー70(図5参照)を止着し、回動規制部43がホルダ部67から後方へ脱落する不具合を阻止するように構成されている。
【0026】
また、回動規制部43の外周部には、図8に示すように、打球発射杵41が衝突可能な発射衝突領域72と、ノック部材44が衝突可能なノック衝突領域73とを備えている。発射衝突領域72は、回動規制部43の外周部のうち打球発射杵41に対向する部分、具体的には外周部の上部から球発射位置55側(図8中、右側)に亘って設定され、当該発射衝突領域72の上側部分に発射ストッパー64を衝突可能とし、当該発射衝突領域72の球発射位置55側(右側)の部分に杵部62を衝突可能としている。一方、ノック衝突領域73は、回動規制部43の外周部のうちノック部材44に対向する部分、具体的には外周部の下部から球発射位置55とは反対側(図8中、左側)に亘って設定され、当該ノック衝突領域73の下側部分にノック部材44の一部である第1ノック部78を衝突可能とし、当該ノック衝突領域73の球発射位置55とは反対側(左側)の部分にノック部材44の一部である第2ノック部80を衝突可能としている。
【0027】
ノック部材44は、回動規制部43へ衝突して撃力を発生可能な部材であり、回動規制部43を挟んで打球発射杵41とは反対側に配置されている。具体的に説明すると、ノック部材44の回動中心となるノック回動軸84を、ベース基部48の後面側のうち回動規制部43を挟んで発射回動軸49とは反対側から後方へ向けて延設し、該ノック回動軸84に回動自在な状態で軸着されている。さらに、ノック回動軸84に軸着される軸着部分から球発射位置55側(図7(a)中、右側)へ向けて第1ノック部78を延設し、軸着部分(ノック回動軸84)を挟んで第1ノック部78とは反対側には、杵部62よりも短い第2ノック部80を上方へ向けて延設している。そして、第1ノック部78の延出長さおよび第2ノック部80の延出長さをノック回動軸84と回動規制部43の中心軸との距離よりも短く設定し、第1ノック部78および第2ノック部80が回動規制部43の外周部に係合できるように略L字状に構成されている。なお、ノック部材44を軸着したノック回動軸84の後端には規制カバー70の下部を止着し、規制カバー70によりノック部材44がノック回動軸84から脱落する不具合を阻止している。
【0028】
リンク機構45は、打球発射杵41、ノック部材44および球送り部材53を連動させるための機構であり、図5(a)および図7に示すように、打球発射杵41とノック部材44とを連動させるノックリンク部88と、打球発射杵41と球送り部材53とを連動させる球送りリンク部89とから構成されている。ノックリンク部88は、打球発射杵41に設けられた第1リンク部材90と、ノック部材44に設けられた第2リンク部材91と、第1リンク部材90と第2リンク部材91とを連結するリンクアーム92とを備えている。具体的に説明すると、第1リンク部材90のうち発射回動軸49から回動規制部43とは反対側(図7(a)中、右側)へ外れた位置にリンクアーム92の一端(上端)を回動自在に軸着し、第2リンク部材91のうちノック回動軸84から回動規制部43側(図7(a)中、右側)へ外れた位置にリンクアーム92の他端(下端)を回動自在に軸着して、リンクアーム92を介して第1リンク部材90と第2リンク部材91とを連結している。したがって、打球発射杵41の回動(揺動)に連動してノック部材44がノック回動軸84を中心にして回動(揺動)するように構成されている。
【0029】
また、球送りリンク部89は、第1リンク部材90の球送り部材53側(図7(a)中、右側)に設けられた縦長なカム溝部98と、球送り部材53の球送り軸59を挟んで球保持部60とは反対側に設けられたカムフォロワ99とから構成されている。そして、カムフォロワ99を後方へ向けて延設された円筒状の回動ころで形成し、カム溝部98内にカムフォロワ99を嵌合した状態で転動することで打球発射杵41と球送り部材53とを連動するように構成されている。
【0030】
次に、発射装置17の作用について説明する。なお、球発射位置55および球送り流路50には、予め遊技球が配置されているものとする。
まず、ロータリーソレノイド42の駆動を停止した常態では、発射装置17は、図7(a)に示すように、打球発射杵41をその自重により弾発準備状態に設定し、杵部62を回動規制部43の発射衝突領域72に当接する。また、ノックリンク部88を介して打球発射杵41に接続されたノック部材44を、第2ノック部80が縦向き姿勢に設定されて回動規制部43のノック衝突領域73に当接した状態(第2ノック状態)に設定する。さらに、カム溝部98の上部にカムフォロワ99を嵌合して球送り部材53を球供給状態(球保持部60を球発射位置55側へ向けた状態)に維持するとともに、球送り部材53の回動を阻止する。
【0031】
この状態からロータリーソレノイド42を駆動して打球発射杵41が第1動作(すなわち弾発部63を球発射位置55へ向けて移動する動作)を行うと、ノックリンク部88のリンクアーム92が打球発射杵41の第1動作により発生した回動力をノック部材44へ伝達する。すると、ノック部材44は、この伝達力により第1ノック部78が回動規制部43のノック衝突領域73に近づくとともに第2ノック部80がノック衝突領域73から遠ざかる方向、すなわち図7(b)に示す矢印Cの方向への回動動作(第1ノック回動動作)を行う。さらに、球送りリンク部89のカム溝部98が上昇してカムフォロワ99を案内し、この案内により球送り部材53を回動して球供給状態から球供給停止状態(球保持部60を球送り流路50の上流側へ向けた状態)へ変換する。すると、球送り部材53は、球保持部60に球送り流路50から流下した遊技球を1個保持し、この保持状態で球送り流路50および球保持部60内の遊技球が球発射位置55へ流下することを阻止する。そして、この保持状態になると、その後は打球発射杵41が更に回動しても球送り部材53は動かない。したがって、打球発射杵41に対する球送り部材53の負荷が軽減され、この負荷の軽減によりその後における打球発射杵41の角速度が増速する。
【0032】
また、球送り部材53が球保持部60に遊技球を保持すると、球送り流路50内の遊技球が下流の球送り部材53側へ向けて遊技球1個分だけ流下する。このとき、球送り流路50を流下する遊技球は、図6(b)および図9に示すように、その側部を第1球支持突条部57aおよび第2球支持突条部57bに支持され、この支持状態で回転しながら流下する。具体的には、遊技球の上部を球送り部材53側(球送り流路50の下流側)へ移動するとともに、下部を貫通流路51側(球送り流路50の上流側)へ移動する状態で回転する。そして、球送り流路50の上流部においては、流路床面上に載って下端の一点で支持された状態で転動してきた遊技球が左右の球支持突条部57により当該遊技球の側部をそれぞれ支持された状態で転動することになる。したがって、遊技球が球支持突条部57よりも上流側から球支持突条部57へ流下する際には、遊技球が支持される箇所と遊技球の回転中心との距離、すなわち遊技球の転がり半径Rが小さくなる。さらに、両球支持突条部57により遊技球を2点で支持することから、遊技球が受ける摩擦力は、下部の1点で支持されている場合よりも大きくなる。このため、遊技球の転動速度(流下速度)が遅くなり、遊技球の回転数、具体的には遊技球が単位距離を流下する間に回転する回転数が多くなる。このことから、球送り流路50の底面上を転動して流下する場合に比べて遊技球の流下勢を小さく抑えることができる。したがって、球送り流路50を流下する遊技球が球送り部材53に与える負荷を軽減することができ、球送り部材53の駆動力が弱い場合であっても、球送り部材53による球送り動作を円滑に行い易い。
【0033】
また、球嵌合空間部58の下流側端部を球送り部材53側へ向けて開放しているので、球嵌合空間部58の下流側に遊技球の流下を阻止する部材、例えば、遊技球の底部に当接可能な部材を配置しない。したがって、球送り流路50を流下する遊技球が球嵌合空間部58の下流側に引っ掛かって球止まりを生じてしまう不都合を抑えることができる。これにより、球送り流路50を流下した遊技球をスムーズに球送り部材53へ供給することができる。
【0034】
さらに、両球支持突条部57の載置部57cを傾斜面で形成しているので、載置部57cを角部で形成した場合に比べて、載置部57cの摩耗等の損傷を抑制することができる。したがって、球送り流路50内の遊技球を一層円滑に転動し易く、遊技球の球発射位置55への供給に悪影響を及ぼし難い。
【0035】
引き続き打球発射杵41が第1動作を行って弾発部63を球発射位置55へ進入させると、弾発部63は球発射位置55に配置された遊技球に衝突する。弾発部63により衝突(弾発)された遊技球は、発射連通路56を上昇し、透明部材保持枠9の発射案内路12へ向けて勢いよく飛翔する。このようにして発射装置17は遊技球を発射する。さらに打球発射杵41が第1動作を続けると、図7(b)に示すように、発射ストッパー64が回動規制部43の発射衝突領域72に衝突し、打球発射杵41の第1動作が規制される。また、この衝突と同時あるいは略同時に、第1ノック回動動作を行っていたノック部材44が第1ノック部78を回動規制部43のノック衝突領域73へ衝突して撃力を発生する。この結果、発射装置17は、ノック部材44の第1ノック部78を打球発射杵41の発射ストッパー64とは反対側から回動規制部43へ衝突して、ノック部材44の撃力により打球発射杵41と回動規制部43との衝突で生じた振動を減衰する。したがって、打球発射杵41の発射動作に基づいて貯留皿ユニット14が規則的に振動する不具合を抑えることができる。このことから、遊技者が貯留皿ユニット14に手を置いて楽な姿勢で遊技を行っていたとしても、遊技者が打球発射杵41から生じた振動を感じることを抑えることができ、振動による不快感で遊技の興趣が低減する不都合を抑制することができる。
【0036】
打球発射杵41の第1動作を規制したならば、ロータリーソレノイド42を消磁して、自重により打球発射杵41に球発射位置55から離れる第2動作を行わせる(図7(a)参照)。打球発射杵41が第2動作を行うと、リンクアーム92が打球発射杵41の第2動作により発生した回動力をノック部材44へ伝達する。すると、ノック部材44は、この伝達力により第1ノック部78が回動規制部43から遠ざかるとともに第2ノック部80が回動規制部43に近づく回動動作(第2ノック回動動作)を行う。さらに、球送りリンク部89のカム溝部98が下降してカムフォロワ99を案内し、この案内により球送り部材53が球供給停止状態から球供給状態へ戻る。すると、球送り部材53は、球供給停止状態時に保持した遊技球1個を球送り流路50の下流側へ流下して球発射位置55へ供給する。これにより、次回発射する遊技球を球発射位置55へ配置して発射準備を行う。また、球送り部材53の一部(球保持部60の側部)により球送り流路50の屈曲部を遮断し、球送り流路50の上流側の遊技球が球発射位置55へ流下することを阻止する。
【0037】
さらに、打球発射杵41が第2動作を続けると、杵部62が回動規制部43の発射衝突領域72に衝突し、打球発射杵41の第2動作が規制される。また、この衝突と同時あるいは略同時に、第2ノック回動動作を行っていたノック部材44が第2ノック部80を回動規制部43のノック衝突領域73へ衝突して撃力を発生する。この結果、発射装置17は、ノック部材44の第2ノック部80を打球発射杵41の杵部62とは反対側から回動規制部43へ衝突して、ノック部材44の撃力により打球発射杵41と回動規制部43との衝突で生じた振動を減衰する。したがって、打球発射杵41を弾発準備状態へ戻す動作、すなわち遊技球を発射する準備段階においても、打球発射杵41の動作および回動範囲を規制することができるとともに、この動作規制により発生する振動を減衰することができる。この結果、打球発射杵41の発射準備動作においても、貯留皿ユニット14が規則的に振動する不具合を抑えることができる。このことから、遊技者が打球発射杵41から生じた振動を、貯留皿ユニット14を通じて感じることを抑えることができ、振動による不快感で遊技の興趣が低減する不都合を抑制することができる。
【0038】
そして、打球発射杵41の発射動作と発射準備動作とを繰り返し行って複数の遊技球を連続して発射すると、皿部材33内の遊技球がクランク状の蛇行流路52(球整列部33a、貫通流路51および球送り流路50の上流部)を通過して蛇行しながら流下し、直線状の流路、例えば、蛇行流路52よりも上流側の皿部材33の底面上を流下するよりも遅い速度で球送り流路50へ流入する。また、蛇行流路52内に遊技球が停留した状態では、蛇行流路52の側壁、詳しくは貫通流路51のうち球送り部材53側(図4中、右側)を区画する側壁が球整列部33a内の遊技球の球圧、ひいては皿部材33内に貯留された遊技球の球圧を受ける。したがって、蛇行流路52により皿部材33内の遊技球の球圧が球送り流路50内の遊技球、ひいては球送り部材53に掛かることを抑えることができる。したがって、球送り部材53が遊技球に押圧されて損傷する虞を抑えることができ、遊技球の球送り動作(球発射位置55への供給動作)を安定して行わせることができる。
【0039】
ところで、上記実施形態では、前後両側の球支持突条部57の間隔を場所に拘らず一定に設定したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示すように、第1球支持突条部57aの前後幅を傾斜下端へ向かうにつれて次第に後方へ広げるとともに、第2球支持突条部57bの前後幅を傾斜下端へ向かうにつれて次第に前方へ広げて、球支持突条部57の間隔、すなわち第1球支持突条部57aと第2球支持突条部57bとの間隔を球送り流路50の下流側となる球送り部材53側へ向けて次第に狭めて設定してもよい。このようにして遊技球の下部が沈み込む球嵌合空間部58を狭めれば、図11に示すように、遊技球の球支持突条部57間への沈み具合を球送り部材53側(図11中、右側)へ向けて次第に浅くすることができ、球支持突条部57に接触する遊技球の側部と遊技球の回転中心との距離、すなわち遊技球の転がり半径Rが球送り部材53に近づくに連れて次第に大きくなるように設定することができる。したがって、球送り流路50の上流側と下流側とで遊技球の流下速度を異ならせること、具体的には、球送り流路50の下流側へ向かうにしたがって遊技球の流下速度を大きくすることができ、球送り流路50内に遊技球を前後に間隔を空けた状態で流下することができる。このことから、遊技球を球送り部材53へ円滑に流下させることができ、遊技球を球発射位置55へ滞りなく供給し易い。さらに、両球支持突条部57の載置部57cを傾斜面で形成しているので、載置部57cを角部で形成した場合に比べて、載置部57cの摩耗等の損傷を抑制することができる。したがって、球送り流路50内の遊技球を一層円滑に転動し易く、遊技球の球発射位置55への供給に悪影響を及ぼし難い。
【0040】
なお、図10および図11に示す第2実施形態における球支持突条部57は、その勾配を調整して、遊技球の球支持突条部57間への沈み具合が球送り部材53側へ向けて次第に浅くなっても、遊技球の回転中心(あるいは重心)の軌跡Lが球送り部材53側へ向けて下り傾斜するように設定されている。したがって、球支持突条部57に支持される遊技球が球送り流路50に滞留する虞がなく、発射装置17内で球詰まりが発生する虞をなくそうとすることができる。
【0041】
ところで、上記実施形態では、球送り流路50および球送り部材53を発射装置17に設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、発射装置17とは別個に球送り装置を設け、該球送り装置に球支持突条部が配置された球送り流路と、該球送り流路の下流側に配置された球送り部材とを備え、球送り流路の下流端と発射装置17の球発射位置55とを連通して、球送り装置から遊技球を1個ずつ球発射位置55へ供給できるようにしてもよい。
【0042】
また、球支持突条部57は、直線状の突条で構成されることに限定されず、例えば、上下方向に湾曲した突条で構成してもよい。このように上下方向に湾曲した球支持突条部で支持すれば、球送り流路50内における遊技球の流下勢を球送り流路50の場所(部分あるいは位置の違い)によって変化させることができる。これにより、球送り流路50内における球詰まりの発生をなくすように遊技球の流下勢を設定し易くなり、好適である。
【0043】
また、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、遊技球を1個ずつ球発射位置へ供給可能な球送り部材と、該球送り部材側へ向けて遊技球を整列した状態で流下可能な球送り流路とを備えた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、内部に封入した遊技球を循環させる封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。
【0044】
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】パチンコ遊技機の斜視図である。
【図2】前面枠の前側を開放したパチンコ遊技機の斜視図である。
【図3】貯留皿ユニットの説明図であり、(a)は斜視図、(b)は背面図である。
【図4】図3における貯留皿ユニットのX−X断面図である。
【図5】(a)は流路蓋部を外した状態の発射装置の後方から見た斜視図、(b)はは流路蓋部の前方から見た斜視図である。
【図6】(a)は図3における発射装置のY−Y断面図、(b)は球送り流路の拡大断面図である。
【図7】(a)は打球発射杵を弾発準備状態に変換した発射装置の背面図、(b)は打球発射杵を弾発状態に変換した発射装置の背面図である。
【図8】回動規制部の拡大図である。
【図9】球送り流路を流下する遊技球の挙動を示す概略図である。
【図10】第2実施形態における球送り流路の上方から見た断面図である。
【図11】第2実施形態における球送り流路を流下する遊技球の挙動を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 パチンコ遊技機
3 前面枠
14 貯留皿ユニット
17 発射装置
31 ベースパネル
33 皿部材
33a 球整列部
35 球流下樋
40 発射ベース
41 打球発射杵
43 回動規制部
44 ノック部材
45 リンク機構
48 ベース基部
50 球送り流路
50a 流路基部
50b 流路蓋部
51 貫通流路
52 蛇行流路
53 球送り部材
55 球発射位置
57 球支持突条部
57a 第1球支持突条部
57b 第2球支持突条部
57c 載置部
58 球嵌合空間部
60 球保持部
63 弾発部
64 発射ストッパー
78 第1ノック部
80 第2ノック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を1個ずつ球発射位置へ供給可能な球送り部材と、遊技球を貯留可能な貯留皿と、該貯留皿内の遊技球を整列した状態で蛇行しながら流下させる蛇行流路と、該蛇行流路の下流側に連通し、蛇行流路を流下してきた遊技球を整列した状態で球送り部材側へ向けて流下可能な球送り流路と、を備え、
該球送り流路は、当該球送り流路の両側に球支持突条部を下流側へ下り傾斜した状態で備え、両球支持突条部の間を球嵌合空間部とし、両球支持突条部に遊技球の側部を転動可能な状態で支持して遊技球の下部を球嵌合空間部に沈ませ、この沈ませた状態で遊技球の側部を転動することにより遊技球を回転しながら流下するように構成され、
前記球嵌合空間部の下流側端部を球送り部材側へ向けて開放したことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記球支持突条部の間隔を球送り部材側へ向けて次第に狭めたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記球支持突条部は、遊技球の側部を載置する載置部を傾斜面で形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−29545(P2008−29545A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205467(P2006−205467)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000132747)株式会社ソフィア (2,465)
【Fターム(参考)】