説明

遊技機

【課題】データ記憶手段を内蔵したメダルに時間情報を読み込ませて、特定の不正行為を検知でき、ホッパーのメダル無しエラーも検知可能な遊技機を提供する。
【解決手段】遊技メダルとしてデータ記憶手段を埋設したメダルを用い、メダル投入口14から判別装置44及びメダル払い出し装置5を経てメダル払い出し口10Cに至るメダルの搬送経路中に、時間情報書き込み手段150と時間情報読み出し手段160とを設け、時間情報読み出し手段160がメダルのデータ記憶手段に書き込まれた時間情報を読み出した時点での現在時間情報と、データ記憶手段から読み出した読み出し時間情報とを対比して、その差に係る時間情報が規定値に達していない場合には、遊技機の異常を知らせるエラー信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定のデータを書き込み可能なメダルを用いて遊技を行う遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンなどのメダル遊技機に用いるメダルにICタグを内蔵し、所定の情報、例えば店舗情報、遊技機情報、貸出機情報などを読み込ませて、遊技場の管理や不正防止に用いるものは種々存在する。例えば特許文献1に記載のメダル循環システムは、情報書き込み手段と情報読み出し手段を遊技機とメダル貸出機に設け、メダルに遊技機情報を記憶させて、台移動の禁止や遊技状況の把握に役立てようというものである。あるいは、特許文献2に示すように、メダルに店舗情報を記憶させ、遊技機やメダル計数機に設けた情報読み取り手段により当該情報を監視して不正防止に役立てようというものがある。
【特許文献1】特許第3536024号公報
【特許文献1】特開2004−89462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、メダルに記憶させた情報によって、当該遊技機において行われている不正、例えばメダルセレクターのメダル出口を板などで塞ぎ投入メダル(メダルセンサを通過したもの)を下皿に返却させることにより、少ないメダルで大量のメダル投入をしようといういわゆる「メダル返却ゴト」を防止したり、ホッパー内部のメダルが少なくなったことを検知しようというものは無かった。
そこで、各請求項に記載の発明は、上記したような問題点を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、以下の点にある。
すなわち、請求項1及び2記載の発明は、データ記憶手段を内蔵したメダルに時間情報を読み込ませてこれを監視することにより、特定の不正行為(メダル返却ゴト)を検知でき、ホッパーのメダル無しエラーも検知可能な遊技機を提供することを目的とし、請求項3記載の発明は、上記した目的に加え、エラー検知を効率的に行うことを目的とする。
【0004】
また、請求項4記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の目的に加え、ホッパーのメダル無しエラーを検知可能な遊技機を提供することを目的とし、請求項5記載の発明は、上記した請求項4記載の発明の目的に加え、エラー検知を効率的に行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1記載の発明は、メダルを投入するためのメダル投入口(14)と、遊技機がメダル受付状態にない場合に前記メダル投入口から投入されるメダルを遊技機外部に排出させるための流路変更手段(キャンセル装置44)を少なくとも有する判別装置(メダルセレクター4)と、前記判別装置(4)を通過したメダルを貯留する貯留部(メダルタンク50)及びこの貯留部(50)に貯留されているメダルを排出するためのメダル送り装置(51)を少なくとも有するメダル払い出し装置(ホッパーユニット5)と、前記メダル払い出し装置(5)から払い出されたメダルを遊技機外部に払い出すためのメダル払い出し口(10C)と、遊技機の作動及び入賞の判定を行うための制御装置(20)とを少なくとも備え、メダルの投入により遊技が開始可能となり、遊技が終了した時点で入賞と判定された際には、前記メダル払い出し装置(5)から前記メダル払い出し口(10C)にメダルが払い出され、前記メダル払い出し口(10C)に払い出されたメダル又は前記流路変更手段(44)によって前記判別装置(4)から排出されたメダルを再度前記メダル投入口(14)に投入可能な遊技機に係る。
【0006】
本発明は、スロットマシンなどのメダル遊技機に適しており、遊技機としては、上記構成の他に、複数の図柄を表示した回転リール(60)を有するリールユニット(6)などの遊技装置や、遊技装置を作動させるための操作スイッチ(スタートスイッチ18等)などを有していてもよい。
ここで、前記判別装置(4)は、メダル投入口(14)から投入されたメダルを前記メダル払い出し装置(5)の貯留部(50)に誘導するためのメダル誘導路(43)を備えており、メダル誘導路(43)を通過するメダルを検知するための投入検知手段(メダルセンサ15)を有していてもよい。また、前記流路変更手段(44)は、遊技機の状態に応じてメダル投入を制限するための排出装置であって、例えばメダル誘導路(43)の側壁から障害突起を突出させてメダルの移送を阻止したり、メダル誘導路(43)の底面を開放させてメダルを落下させたりするものとすることができる。
【0007】
またここで、前記メダル払い出し装置(5)のメダル送り装置(51)は、払い出し円板(52)を駆動モータ(ホッパーモータ(53))で回転させる回転ディスク式のメダル送り装置(51)とすることができるが、これに限られるものではなく、貯留部(50)に貯留されているメダルを一枚ずつ排出可能なものであれば、いかなる形態のものであっても構わない。なお、メダル払い出し装置(5)は、メダル送り装置(51)が排出するメダルを検知するための検知手段(払い出しセンサ55)を有していてもよい。
前記メダル払い出し口(10C)は、遊技機の正面側に設けられた開口部とすることができる。なお、遊技機としては、メダル払い出し口(10C)から払い出されたメダルを受け入れ可能な受け皿(下皿10B)を備えていてもよい。また、前記流路変更手段(44)が作動して判別装置(4)から排除されたメダルを、メダル払い出し口(10C)に払い戻すようにしてもよく、前記メダル送り装置(51)から排出されたメダルや、前記判別装置(4)から排除されたメダルをメダル払い出し口(10C)に誘導するための通路(メダル通路80)を備えていてもよい。
【0008】
さらに、この遊技機は、前記メダルとして、コイルとICモジュールとから構成されるデータ記憶手段を埋設したメダルを用い、前記メダル投入口(14)から前記判別装置(4)及び前記メダル払い出し装置(5)を経て前記メダル払い出し口(10C)に至る遊技機内部のメダルの搬送経路中に、特定の電磁波を発生して前記データ記憶手段に時間情報を書き込み可能な時間情報書き込み手段(150)と、特定の電磁波を検知して前記データ記憶手段に書き込まれた時間情報を読み出し可能な時間情報読み出し手段(160)とを設けてある。そして、前記制御装置(20)は、前記時間情報読み出し手段(160)が前記メダルのデータ記憶手段に書き込まれた時間情報を読み出した時点での現在時間情報と、前記データ記憶手段から読み出した読み出し時間情報とを対比して、前記読み出し時間情報と前記現在時間情報との差に係る時間情報が、あらかじめ定められた規定値に達していない場合には、遊技機の異常を知らせるエラー信号を出力可能に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明を実施するための技術としては、電磁誘導方式IDシステムを用いることができる。具体的には、特に図示しないが、内部にデータ記憶手段を埋設したメダルを用い、このメダルのデータ記憶手段に、時間情報書き込み手段(150)が所定の電磁信号を送出する。データ記憶手段はそれらの信号を時間情報として記憶し、時間情報読み出し手段(160)がそのデータを読み出すものである。
ここで、「時間情報」とは、月、日、時、分、秒の単位で表される時間を数値情報に置き換えたものとすることができ、必ずしも暦や標準時刻に即したもの(現時点での時刻に基づく情報)でなくともよい。例えば、遊技機の電源投入時や手動のタイマー起動時からの経過時間であってもよい。
【0010】
前記「現在時間情報」とは、時間情報読み出し手段(160)がメダルのデータ記憶手段から時間情報を読み出したときの時刻に係る時間情報であり、換言すれば、メダルの搬送経路中において時間情報読み出し手段(160)の設置してある場所をメダルが通過したときの時間情報のことである。また、前記「読み出し時間情報」とは、メダルのデータ記憶手段に記憶されていた時間情報のことである。
ここで、前記制御装置(20)は、CPUやROM、RAM等の種々の電子部品を搭載したプリント基板を基板ケースに収納したものであって、遊技の制御及び遊技に付随する演出の制御を行うことができる。また制御装置(20)は、時間情報書き込み手段(150)及び時間情報読み出し手段(160)の情報書き込み及び読み出しを制御するとともに、時間情報読み出し手段(160)によって読み出された時間情報に基づいて遊技機の異常を検知するものである。制御装置(20)としては、「現在時間情報」を把握するための手段(計時手段171)や「読み出し時間情報」を記憶するための手段(時間情報記憶手段172)、演算手段、判定手段などを備えている。
【0011】
(作用)
本発明においては、遊技機内部のメダルの搬送経路中に、時間情報書き込み手段(150)と時間情報読み出し手段(160)をどのように配置するかは問わない。時間情報書き込み手段(150)を時間情報読み出し手段(160)よりも搬送経路の上流(メダル投入口(14)側)に配置してもよいし、下流(メダル払い出し口(10C)側)に配置してもよい。ただし、時間情報書き込み手段(150)を時間情報読み出し手段(160)よりも搬送経路間の上流に配置する場合には、時間情報書き込み手段(150)のある位置をメダルが通過したときから時間情報読み出し手段(160)のある位置にメダルが到達するまでに、ある程度時間がかかるような場合でないと意味がない。
【0012】
時間情報書き込み手段(150)を時間情報読み出し手段(160)よりも搬送経路の下流に配置した場合には、まずメダル投入口(14)から投入されたメダルのデータ記憶手段に書き込まれている時間情報を時間情報読み出し手段(160)が読み出す。この時間情報は、当該メダルが投入される以前に時間情報書き込み手段(150)を通過した時間である。例えば前日の時間情報や一週間前の時間情報である場合もある。
そして、読み出した時間情報と、現在時間情報との差が規定値を超えている場合には、エラー信号は出されない。時間情報を読み出されたメダルは、下流に移動し、時間情報書き込み手段(150)によって時間情報を書き込まれる。
【0013】
一方、読み出し時間情報と現在時間情報との差が規定値以下の場合、すなわち、時間情報書き込み手段(150)と時間情報読み出し手段(160)をメダルが通過する時間が、普通に遊技を行っていたら経過するであろうと想定される時間よりもはるかに短い場合には、エラー信号が出力される。これは、メダル払い出し口(10C)から払い出されたメダルやキャンセルメダルがすぐにメダル投入口(14)に投入されたということであり、いわゆるメダル返却ゴトや、メダル払い出し装置(5)のメダル切れが想定される。
なお、エラー信号の出力により、遊技機の表示部に所定の警告表示がなされたり、判別装置(4)の流路変更手段(44)が作動したり、ホールコンピュータに通報されたりするように形成することができる。
【0014】
時間情報書き込み手段(150)を時間情報読み出し手段(160)よりも搬送経路の上流に配置した場合には、メダル投入口(14)から投入されたメダルのデータ記憶手段に通過時の時間情報が書き込まれる。そして、下流にある時間情報読み出し手段(160)が、前記メダルに記憶されている時間情報を読み出す。この読み出し時間情報と現在時間情報との差が規定値を超えている場合には、エラー信号は出されないが、読み出し時間情報と現在時間情報との差が規定値以下の場合にはエラー信号が出力される。これは、メダル投入口(14)に投入されたメダルがすぐにメダル払い出し口(10C)から払い出されたということであり、メダル払い出し装置(5)のメダル切れが想定される。
【0015】
このように、本発明によれば、遊技機内部でメダルの通過時間を監視することにより、不自然な通過を検知して不正行為を発見したり、メダル払い出し装置(5)のメダル切れを発見したりすることができる。
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項2記載の発明は、前記時間情報書き込み手段(150)を、前記流路変更手段(44)から前記貯留部(50)までの間に設け、前記時間情報読み出し手段(160)を、前記時間情報書き込み手段(150)よりもメダル投入口(14)側に設け、前記制御装置(20)は、前記読み出し時間情報と前記現在時間情報との差に係る時間情報が、あらかじめ定められた規定値に達していない場合には、遊技機に対して不正操作が行われたことを知らせるエラー信号又は前記メダル払い出し装置(5)の貯留部(50)のメダルが残り少ないことを知らせるエラー信号を出力可能に形成されているたことを特徴とする。
【0016】
本発明以下は、時間情報書き込み手段(150)と時間情報読み出し手段(160)の設置位置を特定したものである。
本発明は、前記時間情報書き込み手段(150)が、投入されたメダルのうちメダル払い出し装置(5)の貯留部(50)に移送されるメダル(キャンセルメダル、メダル払い出し装置(5)から払い出されるメダルは含まない)に時間情報を書き込み、時間情報読み出し手段(160)が時間情報書き込み手段(150)よりも上流でそれを読み出すようにしたものである。すなわち、本発明では、時間情報書き込み手段(150)及び時間情報読み出し手段(160)の双方を判別装置(4)に設けることができ、あるいは時間情報書き込み手段(150)を判別装置(4)と貯留部(50)との間に設けて時間情報読み出し手段(160)を判別装置(4)に設けることができる。
【0017】
時間情報読み出し手段(160)は、時間情報書き込み手段(150)よりも上流に設置されていれば、流路変更手段(44)より上流にあっても流路変更手段(44)の下流にあってもよい。
(作用)
本発明によれば、読み出し時間情報と現在時間情報との差時間が極端に短い場合(規定値を例えば30秒に係る時間情報値に設定した場合)には、いわゆるメダル返却ゴトが行われていると想定でき、ある程度の時間差である場合には、メダル払い出し装置(5)のメダル切れと判断することができる。
(請求項3)
(特徴点)
請求項3記載の発明は、上記した請求項2記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項3記載の発明は、前記時間情報読み出し手段(160)を、前記流路変更手段(44)と前記時間情報書き込み手段(150)との間に設け、前記制御装置(20)は、前記時間情報読み出し手段(160)の時間情報読み出しを投入メダルの検知としてカウント可能に形成されていることを特徴とする。
本発明は、時間情報読み出し手段(160)を判別装置(4)の投入検知手段(メダルセンサ15)として機能させるものである。
本発明においては、時間情報読み出し手段(160)が所定の時間情報を読み出せない(時間情報が書き込まれていない)場合には、メダル投入と見なされないので、正規のメダルでないメダルを用いての遊技を禁止できる。また、判別装置(4)に上記したようなメダルの真贋の監視や投入枚数のカウントを行うための検知部を別に設ける必要が無くなるので、部品点数の削減、経費節約にもつながる。
【0019】
(請求項4)
(特徴点)
請求項4記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項4記載の発明は、前記メダル送り装置(51)のメダル排出部(51A)から前記メダル払い出し口(10C)までの間に、前記時間情報書き込み手段(150)、又は前記時間情報読み出し手段(160)のいずれか一方を設け、前記メダル送り装置(51)のメダル排出部(51A)から前記メダル払い出し口(10C)までの間に前記時間情報書き込み手段(150)を設けた場合には、前記時間情報読み出し手段(160)を前記時間情報書き込み手段(150)よりもメダル投入口側に設け、前記メダル送り装置(51)のメダル排出部(51A)から前記メダル払い出し口(10C)までの間に前記時間情報読み出し手段(160)を設けた場合には、前記時間情報書き込み手段(150)を前記メダル投入口(14)から前記貯留部(50)までの間に設け、前記制御装置(20)は、前記読み出し時間情報と前記現在時間情報との差に係る時間情報が、あらかじめ定められた規定値に達していない場合には、前記メダル払い出し装置(5)の貯留部(50)のメダルが残り少ないことを知らせるエラー信号を出力可能に形成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明は、前記時間情報書き込み手段(150)がメダル払い出し装置(5)から払い出されるメダル(メダル送り装置(51)によってこれから排出されるメダル及び既に排出されたメダルを含む)に時間情報を書き込み、時間情報読み出し手段(160)はメダル投入口(14)に投入されたメダルの時間情報を読み出すように形成するか、あるいは、前記時間情報書き込み手段(150)が、メダル投入口(14)に投入されたメダルに時間情報を書き込み、時間情報読み出し手段(160)は、メダル払い出し装置(5)から払い出されるメダル(メダル送り装置(51)によってこれから排出されるメダル及び既に排出されたメダルを含む)の時間情報を読み出すように形成し、時間情報書き込み手段(150)によって書き込まれた時間と現在時間とを対比するようにしたものである。
【0021】
すなわち、本発明では、まず第一に、時間情報書き込み手段(150)を、メダル払い出し装置(5)又はメダル払い出し装置(5)からメダル払い出し口(10C)に至るメダルの搬送経路中に設けるとともに、時間情報読み出し手段(160)を、メダル投入口(14)又は判別装置(4)又はメダル払い出し装置(5)、又はそれらの間にあるメダルの搬送経路中に設けることができる。
また、第二に、時間情報書き込み手段(150)を、メダル投入口(14)又は判別装置(4)又はそれらの間にあるメダルの搬送経路中、又は判別装置(4)とメダル払い出し装置(5)の間にあるメダルの搬送経路中に設けるとともに、時間情報読み出し手段(160)を、メダル払い出し装置(5)又はメダル払い出し装置(5)からメダル払い出し口(10C)までの搬送経路中に設けることができる。
【0022】
ここで、「メダル送り装置(51)のメダル排出部(51A)」とは、メダル送り装置(51)が送り出すメダルが装置外に排出される部分のことである。具体例を示すと、メダル送り装置(51)として、複数のメダル孔(52A)を有し駆動モータ(53)によって回転する送り出し円板(52)を設けた場合には、「メダル排出部(51A)」とは、メダル孔(52A)に嵌入しているメダルが送り出し円板(52)の外に排出される部分であって、当該排出されるメダルに書き込まれている情報を時間情報読み出し手段(160)が読み取り可能な場所のことである。これには、送り出し円板(52)のメダル排出部分から、メダル払い出し装置(5)の外装に設けられたメダル排出口(54)までのメダル搬送経路も含まれる。
【0023】
なお、メダル送り装置(51)のメダル排出部(51A)には、メダル払い出し装置(5)から払い出されるメダルを検知するための払い出し検知手段(払い出しセンサ55)が設けられていてもよく、時間情報読み出し手段(160)は、前記払い出し検知手段(55)の上流側に設けても下流側に設けてもいずれでもよい。
本発明によれば、読み出し時間情報と現在時間情報との差時間が短い場合には、投入されたメダル又は再投入された払い出しメダルが貯留部(50)に溜まっている間もなく、またすぐに払い出されているということが想定でき、メダル払い出し装置(5)のメダル切れを検知することができる。
【0024】
(請求項5)
(特徴点)
請求項5記載の発明は、上記した請求項4記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項5記載の発明は、前記時間情報読み出し手段(160)を、前記メダル送り装置(51)のメダル排出部(51A)に設け、前記制御装置(20)は、前記時間情報読み出し手段(160)の時間情報読み出しを払い出しメダルの検知としてカウント可能に形成されていることを特徴とする。
【0025】
本発明は、時間情報読み出し手段(160)をメダル払い出し装置(5)の払い出し検知手段(払い出しセンサ55)として機能させるものである。
本発明においては、メダル払い出し装置(5)に払い出し枚数のカウントを行うための検知部を別に設ける必要が無くなるので、部品点数の削減、経費節約につながるとともに、従来の、揺動部材の揺動で排出メダルの通過を検知するカウントアームを用いた払い出し検知手段に対して行われていた、カウントアームに針金等を引っ掛けてメダルをカウントよりも余計に抜き取る不正行為を防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1及び2記載の発明によれば、主として特定の不正行為(メダル返却ゴト)を検知でき、ホッパーのメダル無しエラーも検知可能な遊技機を提供することができ、請求項3記載の発明によれば、上記した効果に加え、エラー検知を効率的に行うことができる。
また、請求項4記載の発明によれば、上記した請求項1記載の発明の効果に加え、主としてホッパーのメダル無しエラーを検知可能な遊技機を提供することができ、請求項5記載の発明によれば、上記した請求項4記載の発明の効果に加え、エラー検知を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を表す好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、第一の実施の形態から第三の実施の形態に分けて、図面に基づき説明する。
(第一の実施の形態)
(図面の説明)
図1乃至図5は、本発明の第一の実施の形態を示すものである。
図1はスロットマシンの入力、制御及び出力のブロック図、図2及び図3はスロットマシンを示す図、図4はメダルセレクターの概略図、図5は時間情報に基づくエラー検知処理を示す流れ図である。
【0028】
ここで、本発明に係るスロットマシン1においては、遊技に際し特殊な加工を施したメダルを使用する。このメダルは、特に図示しないが、内部にデータ記憶手段を埋設することにより、メダル自体が情報を保持できるよう形成したものである。このデータ記憶手段は、コイルとICモジュールとから構成される直径約20ミリ、厚さ約2ミリのコイン型の部品であり、交流磁界を受けることにより、送信されたデータを記憶したり記憶しているデータを伝送したりするものである。
データ記憶手段は、書き換え可能なデータとして、時間情報を記憶可能に形成されているが、書き換え不能なデータとして、例えば遊技店の識別情報などを記憶していてもよい。
【0029】
(スロットマシン1)
スロットマシン1は、図2及び図3に示すように、正面側が開口する方形箱状の筐体11と、この筐体11の正面開口を開閉自在かつロック可能な前扉10を有している。
前記筐体11の内部には、図3に示すように、開口上部には3個の回転リール60を有するリールユニット6が設置され、開口下部には、前記メダルセレクター70を通過したメダルを貯留するとともに入賞時等にメダルを払い出すためのホッパーユニット5が設けられている。また、前記リールユニット6の上方には、スロットマシン1の全体の動作を制御するための制御装置20が配置されている。
【0030】
前記前扉10の上方には、図2に示すように、遊技者側に向かって臨む四角窓状の上パネル12が形成されており、上パネル12の中央には、3個の回転リール60の図柄を視認可能な図柄表示窓13が形成されている。そして、この図柄表示窓13の下側は、スロットマシン1を作動させるための操作スイッチ類が設けられた操作部10Aとなっており、操作部10Aの右端にはメダル投入口14が設けられている。また、メダル投入口14の下方であって前扉10の裏側には、投入メダルを検知しメダルを判別するためのメダルセレクター4が設けられている。
ここで、メダルセレクター4は、図4に示すように、基体40の上面部にメダル受け口41、側面部にメダル出口42を有する箱形の部材であり、基体40の内部には、メダル受け口41から受け入れたメダルをメダル出口42に誘導するための略L字型のメダル誘導路43が形成されている。また、このメダル誘導路43の出口側には、メダルの通過を検知するためのメダルセンサ15が設けられているとともに、メダルセンサ15よりも上流側(メダル受け口41側)には、所定の場合に投入メダルをキャンセルするためのキャンセル装置44が設けられている。なお、本実施の形態においては、メダルセレクター4に、メダルに内蔵されたデータ記憶手段に時間情報を書き込む時間情報書き込み手段150と、データ記憶手段に記憶された時間情報を読み出す時間情報読み出し手段160とが設けられているが、これについては後述する。
【0031】
またここで、ホッパーユニット5は、図3に示すように、箱形のメダルタンク51の底部に、複数のメダル孔52Aを有する送り出し円板52及び送り出し円板52を回転させるためのホッパーモータ53からなるメダル送り装置51を備えている。そして、ホッパーモータ53の駆動で送り出し円板52が回転することにより、メダル孔52Aに嵌入したメダルが順次1枚ずつメダル排出口54から排出されるようになっている。
さらに、前扉10の下部には、ホッパーユニット6から払い出されるメダルを排出するためのメダル払い出し口10Cと、メダル払い出し口10Cから排出されたメダルを受け入れる下皿10Bが形成されている。また、前扉10の裏面には、メダルセレクター4からキャンセルされるメダル及びホッパーユニット6から払い出されるメダルを前記メダル払い出し口10Cに誘導するための中空箱形のメダル通路80が設けられている。このメダル通路80は、図3に示すように、上方開口80Aでメダルセレクター4からキャンセルされたメダルを受け入れるとともに、側方開口80Bでホッパーユニット6のメダル排出口54から排出されたメダルを受け入れることができ、これらのメダルはメダル払い出し口10Cと連通する下方開口80Cに落下するようになっている。
【0032】
(制御装置20)
制御装置20は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。ここでCPUは、一個に限定されず、二個以上のCPUで制御するようにしてもよい。また、CPU、ROM、RAM及びI/O等は一体化されてワンチップを構成してもよい。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、主制御装置21及び副制御装置22を構成する。
主制御装置21は、主としてスロットマシン1の遊技に関わる制御を行うためのものである。また副制御装置22は、前記主制御装置21からの諸信号を受信して、主として遊技に付随する演出を制御するためのものである。なお、制御装置20を、主制御装置21と副制御装置22とにより形成することにより、主制御装置21の遊技制御に関するメモリ容量を削減することなく多様な演出を行うことが可能となる。
【0033】
(入力段)
上記制御装置20の入力段には、図1に示すように、次のパーツが接続されている。
(1)ベットスイッチ16
(2)精算スイッチ17
(3)スタートスイッチ18
(4)ストップスイッチ19
(5)メダルセンサ15
(6)払い出しセンサ55
(7)時間情報読み出し手段160
なお、入力段としては、上記した(1)乃至(7)のパーツに限定されるものではない。
【0034】
(ベットスイッチ16)
ベットスイッチ16は、図2に示すように、回転リール40の下方に位置するスイッチであって、クレジットメダルをメダル投入に代えるためのものである。ここで、クレジットとは、投入メダルを所定枚数、遊技機内部に貯留しておくことであり、クレジット数は、特に図示しないが上パネル12に設けられた所定のクレジット表示部に表示される。そして、ベットスイッチ16を操作するとクレジット表示が減算され、その分のメダルが投入されたものと扱われて遊技が開始可能となるものである。
(精算スイッチ17)
精算スイッチ17は、図2に示すように、回転リールの斜め下方に位置するスイッチであって、クレジットメダルを払い戻すためのものである。
【0035】
(スタートスイッチ18)
スタートスイッチ18は、図2に示すように、回転リール60の斜め下方に位置するレバーであって、メダルの投入若しくはベットスイッチ16の投入を条件に、または、「再遊技(Replay)」時には前遊技から所定時間経過を条件に、リールユニット6のリールモータの駆動を開始させるためのものである。
なお、ここで、「再遊技(Replay)」とは、入賞抽選手段110の抽選により、「再遊技(Replay)」のフラグが成立し、「再遊技(Replay)」の図柄が有効入賞ライン上に揃うことにより、次の遊技において、遊技メダルを新たに投入することなく、再度、遊技を行うことができるものである。
【0036】
(ストップスイッチ19)
ストップスイッチ19は、リールユニット6のリールモータの駆動を停止させるためのものである。具体的には、ストップスイッチ19は、図2に示すように、各回転リール60に対応した3個のスイッチから構成され、各回転リール60の下方に1個ずつ配置されているものである。そして、回転リール60に対応したストップスイッチ19の操作により、当該対応した回転リール60が回転を停止するように設定されているものである。
(メダルセンサ15)
メダルセンサ15は、図2及び図4に示すように、メダルセレクター4に設けられた遮光センサなどの検知手段であって、メダル投入口14から投入されたメダルを検知するためのものである。
【0037】
(払い出しセンサ55)
払い出しセンサ55は、ホッパーユニット5のメダル排出口54の近傍に設けられた遮光センサなどの検知手段であって(第二の実施の形態を示す図6参照)、ホッパーユニット5が払い出すメダルを検知するためのものである。
(時間情報読み出し手段160)
時間情報読み出し手段160は、メダルセレクター4に設けられたデータ受信装置であって、特定の電磁波を検知してメダルに内蔵されたデータ記憶手段の時間情報を読み出すためのものである。具体的には、図4に示すように、時間情報読み出し手段160は、メダル誘導路43においてキャンセル装置44の突出爪45よりも上流に位置して配置されている。
【0038】
(出力段)
前記制御装置20の出力段には、図1に示すように、次のパーツが接続されている。
(1)リールユニット6(リールモータ)
(2)ホッパーモータ53
(3)キャンセル装置44
(4)時間情報書き込み手段150
(5)表示装置70(画像表示部71、ランプ72、スピーカ73)
なお、出力段としては、上記した(1)乃至(5)のパーツに限定されるものではない。
【0039】
(リールユニット6)
リールユニット6は、図2に示すように、枠体に固定或いは支持された3個のリールモータ(図示せず)と、各々のリールモータの出力軸に固定された3個の回転リール60とから構成されている。そして、各回転リール60は、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、複数個(例えば21個)の図柄が表示されている。
(ホッパーモータ53)
ホッパーモータ53は、ホッパーユニット6のメダル送り出し装置51であって、送り出し円板54を回転させるための駆動モータである。
【0040】
(キャンセル装置44)
キャンセル装置44は、メダルセレクター4に設けられたメダル流路変更手段であって、スロットマシン1がメダル受付状態にないと判断した場合に主制御装置21から出力されるキャンセル信号に基づき作動するものである。
具体的には、キャンセル装置44は、ソレノイドの通電によって、メダル誘導路43を通過するメダルが落下しないように表面を押さえているメダル押さえ(図示せず)を外すとともに、これと連動してメダル誘導路43の側壁からブロッカーと呼ばれる突出爪45(図4参照)を突出させて、メダル誘導路43を通過中のメダルを、メダルセンサ15により検知される前に、基体40の下側に設けられたキャンセル開口(図示せず)から落下させるものである。
【0041】
なお、「スロットマシン1がメダル受付状態にない」場合とは、クレジットメダルが所定枚数(50枚)を超えた場合、回転リール60の回転中、ホッパーユニット5からのメダル払い出し中、所定のエラー時などである。後述するエラー検知手段170がエラー判定をした場合にも、キャンセル装置44が作動するように形成してもよい。
(時間情報書き込み手段150)
時間情報書き込み手段150は、図4に示すように、メダルセレクター4のメダルセンサ15とホッパーユニット5との間に設けられたデータ送信装置であって、特定の電磁波を発生してメダル誘導路43を通過するメダルのデータ記憶手段に時間情報を書き込むためのものである。
【0042】
具体的には、時間情報書き込み手段150は、メダルセレクター4のメダル出口42に取り付けられたシューター81に設けられている。シューター81は、メダル出口42から排出されるメダルをホッパーユニット5のメダルタンク50に誘導するための樋状の通路である。
ここで、時間情報書き込み手段150が書き込む時間情報は、時、分、秒を表す情報であって、必要に応じて1/10秒や1/100秒単位まで書き込むようにしてもよい。また、年月日を書き込み可能であってもよい。さらに、時間情報は、必ずしも暦や標準時間に即したものでなくてもよく、例えば遊技店の開店時や、スロットマシン1の電源投入時からの経過時間であってもよい。
【0043】
なお、時間情報書き込み手段150は、メダルに内蔵されているデータ記憶手段の記憶データを消去して現在の時間情報を新たに書き込むのであってもよいし、既に記憶されている記憶データに現在の時間情報を上書きするのであってもよい。
(表示装置70)
表示装置70は、後述する演出制御手段180の制御により、遊技者に入賞等を報知させるなど、種々の演出を行うものである。具体的には、表示装置70は、画像表示部71及びランプ72及びスピーカ73から構成されている。
画像表示部71は、図2に示すように、回転リール60の上方に設けられた窓部であり、LED、ドットマトリックス、液晶画面等を用いて、入賞の報知その他の演出を表示するためのものである。なお、画像表示部71としては上記のものに限られず、例えば演出専用の回転リールを設け、リールの図柄や文字等により演出を表示するようにしても良い。
【0044】
ランプ72及びスピーカ73は、発光体の点灯又は点滅、入賞音の発生により入賞等を報知するためのものである。
(主制御装置21)
次に、主制御装置21について、図1に基づき詳述する。
主制御装置21は、スタートスイッチ18及びストップスイッチ19の操作により、回転リール60の回転及び停止を制御するためのものである。そして、この主制御装置21は、次の(1)乃至(7)の手段として機能する。
(1)遊技実行制御手段100
(2)当選抽選手段110
(3)リール制御手段120
(4)ホッパー制御手段130
(5)入賞判定手段140
(6)エラー検知手段170
なお、主制御装置21としては、上記した手段に限定されるものではなく、他の手段を含んでいても良い。
【0045】
(遊技実行制御手段100)
遊技実行制御手段100は、通常行われる通常遊技と、特定の当選又は抽選結果に基づいて開始される特別遊技を行わせるためのものである。前記特別遊技とは、通常遊技よりも大きな利益を遊技者に付与可能な遊技であって、ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)やレギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)を含むものである。
(当選抽選手段110)
当選抽選手段110は、予め定めた抽選確率に基づいて当選か否かの当選判定の抽選を行うものである。そして、当選抽選手段110による抽選の結果、所定の当選役に当選した場合に当選フラグが成立し、この当選フラグ成立中に、回転リール60の停止図柄の組み合わせが予め定められた当選図柄と一致したことを条件に入賞し、遊技者にメダルの払い出しや、特別遊技等の利益が付与されるように設定されている。
【0046】
具体的には、当選抽選手段110は、スタートスイッチ18の操作タイミングで、カウント抽出手段がループカウンターの数値を読み取り、この数値と、前記ループカウンターがカウントする数値を全領域として各当選項目の当選領域を規定した当選判定テーブルとを比較して、抽出カウントデータが属する当選領域に対応する当選を決定する。
なお、ループカウンターは、一定範囲の数字、例えば、0〜16383の範囲の数字を、1秒間に700万回程度順次繰り返すようにしたカウンターとすることができ、上記のようにしてカウント抽出手段が読み取るループカウンターの数値は、あたかも乱数のような分布をとるものとなる。このように、結果として乱数のような分布を示す数字が得られるものとして、ループカウンターは「乱数発生手段」、カウント抽出手段は「乱数抽出手段」として位置づけられる。
【0047】
(リール制御手段120)
リール制御手段120は、スタートスイッチ18の操作信号に基づいて回転リール60を回転させると共に、特に図示しないがリール回転検知センサの検知信号に基づいて図柄の現在位置を認識しつつ、当選抽選手段110の抽選結果及びストップスイッチ19操作タイミングに基づいて、回転リール60の停止を制御するためのものである。
具体的には、リール制御手段120は、回転リール60を停止させる際、当選抽選手段110の抽選結果がハズレの場合には、3個の回転リール60の図柄が如何なる入賞の態様にも揃わないように蹴飛ばし制御を行い、抽選結果が所定の当選役に当選の場合には、3個の回転リール60の図柄が極力当該当選に係る入賞の態様となるように蹴飛ばし及び引き込み制御を行う。これらの制御は、ストップスイッチ19の操作信号受信とストップ信号出力のタイミングをずらして、回転リール60が停止するまでの時間を遅らせることにより行われる。
【0048】
(ホッパー制御手段130)
ホッパー制御手段130は、入賞判定手段140からのメダル払い出し信号や、精算スイッチ17の操作信号に基づいて、ホッパーユニット5のホッパーモータ53の駆動を開始させるとともに、払い出しセンサ55の検知信号に基づいてホッパーモータ53の駆動を停止させるためのものである。
具体的には、メダル払い出しを伴う入賞時には、所定の入賞信号に基づいて入賞に係るメダルが払い出されるまでホッパーモータ53を駆動させる。また精算スイッチ17が操作された場合には、その操作信号に基づいてクレジットされている枚数のメダルが払い出されるまでホッパーモータ53を駆動させる。
【0049】
(入賞判定手段140)
入賞判定手段140は、入賞したかどうかの判定を行うとともに、入賞の場合には所定の入賞処理を行わせるためのものである。
すなわち、入賞判定手段140は、当選判定の抽選結果が当選の場合に、ストップスイッチ19の操作で3個の回転リール60の当選図柄を入賞の態様に停止させることができたかどうかを判断し、当選図柄を入賞の態様に停止させることができた場合には入賞を決定する。そして、入賞がメダル払い出しを伴う払い出し入賞である場合には、ホッパー制御手段130に遊技メダルの払い出し信号を出力し、リプレイなどの非払い出し入賞である場合には、遊技実行制御手段100に遊技開始信号を出力し、メダル投入又はベットスイッチ16の操作なしで次遊技を開始可能とさせる。またボーナスゲーム入賞などの特別入賞の場合には、特別遊技への移行信号を出力し、時別遊技を開始させる。
【0050】
(エラー検知手段170)
エラー検知手段170は、メダルに書き込まれた時間情報に基づいて、エラーの検知を行うためのものであり、次の(1)乃至(3)の手段を備えている。
(1)計時手段171
(2)時間情報記憶手段172
(3)エラー判定手段173
なお、エラー検知手段170としては、上記以外の手段を有していてもよい。
(計時手段171)
計時手段171は、時間情報判定の基礎となる現在の時間情報を把握するためのものであり、特に図示しないが制御装置20の内部に設けられたパルス発信回路の発信パルスをカウントするパルスカウンターである。このカウンターは、デジタル時計と同様に年月日時分秒をカウントするものであってもよいし、所定の数値(例えば24時間を秒数で表す0〜86399の数字)を繰り返してカウントするものであってもよい。後者の場合、始動時から継続的にカウントを行うものであってもよいし、例えばスロットマシン1の電源投入時や手動によるタイマーセット時にカウントを開始し、スロットマシン1の電源切断時や手動によるタイマーリセット時にカウントを終了(クリア)するように形成してもよい。
【0051】
また、計時手段171のカウントは、メダルが時間情報書き込み手段150を通過した時点で時間情報書き込み手段150によってメダルのデータ記憶手段に書き込まれる時間情報と同一のものである。時間情報は、標準時刻を所定の数値に変換したもの(例えば2007年6月20日13時10分30秒ならば07620131030)でもよいし、カウント初期値からの累積数値(例えば1秒ずつカウントする場合にはカウント開始後3時間10分30秒経過時なら11430)が記憶されるようにしてもよい。
なお、計時手段171のカウントを所定の計測開始契機(例えば電源投入時)からスタートして計測終了時(電源切断時)にリセットするように形成した場合には、メダルに書き込まれている時間情報をクリアする必要がある。例えば、メダル貸出機から貸し出されたメダルの過去に書き込まれた時間情報を読み込んだ場合に、不正行為やホッパーのメダル切れでなくても現在時間との関係でエラー扱いとなったり、過去の時間情報が現在の時間情報よりも遅い(カウント数が多い)という不都合が生じたりする場合があるからである。従って、この場合には、メダルを集計するジェットカウンター又はメダル貸出機の払い出し口にデータ消去手段を設け、ジェットカウンター又はメダル貸出機を通過したメダルのデータ記憶手段の記憶情報を消去しておくのが望ましい。
【0052】
(時間情報記憶手段172)
時間情報記憶手段172は、時間情報読み出し手段160が読み出した時間情報と、時間情報読み出し手段160が時間情報を読み出したときの現在時間に係る時間情報を記憶するためのものである。すなわち、時間情報記憶手段172は、時間情報読み出し手段160から送信されるメダルのデータ記憶手段からの読み出し情報と、その読み出し情報を受信したときの計時手段171のタイムカウントとを記憶するものである。
(エラー判定手段173)
エラー判定手段173は、前記時間情報記憶手段172の記憶した時間情報に基づいて、メダル投入に関する不正が行われているかどうかを判断するためのものである。
【0053】
具体的には、エラー判定手段173は、特に図示しないが、演算手段を有するとともに、あらかじめ定められた一定の時間(規定値)を記憶しており、時間情報記憶手段172が記憶した読み出し情報に係る時間情報(読み出し時刻)と、計時手段171のタイムカウントに係る時間情報(現在時刻)との差(差時間)を計測し、当該差時間が規定値を超えているか否かを判断するものである。
そして、読み出し時刻と現在時刻との差時間が規定値を超えている場合には、エラー無しと判断する。一方、差時間が規定値に達していない場合にはエラーと判定し、所定のエラー信号を出力する。
【0054】
ここで、前記規定値を短めに設定(例えば60秒)した場合には、同一のメダルについて、そのメダルが時間情報書き込み手段150(メダルセレクター4のメダル出口42付近)を通過してから、時間情報読み出し手段160(メダルセンサ15の手前)を通過するまでの時間が、普通に遊技を行った場合ではありえないほど短い場合に、エラーの判定が行われることとなる。このような場合には、メダルセレクター4に細工をしたりシューター81の出口を塞いだりして、メダルセンサ15を通過したメダルを人為的にメダル払い出し口10Cに落下させる、いわゆる「メダル返却ゴト」が行われていることが想定されるので、エラー信号によってメダルセレクター4のキャンセル装置44が作動してメダル投入をストップさせたり、後述するエラー表示制御手段190によって警告表示が行われるようにするとよい。
【0055】
一方、規定値を長めに設定(例えば5〜10分)した場合には、上記したようなゴト行為による場合もあるが、メダルセレクター4を経てホッパーユニット5のメダルタンク50に移送されたメダルが入賞により払い出されて、そのメダルを再びメダル投入口14に投入したということもあり得る。すなわち、メダルタンク50内部にメダルが残り少ないということが想定される。この場合には、エラー信号によって所定のホッパーエンプティエラーが表示されるようにするとよい。ちなみに、ホッパーエンプティエラーが出たので前扉10を開放してみたがホッパーが空でなかった場合には、前述した「メダル返却ゴト」が行われたということを認知することもできる。
【0056】
なお、あらかじめ設定される規定値として、短いものと長いものの二種類を設けておき、差時間が短い規定値に満たない場合には不正警告エラーを発し、差時間が短い規定値を超えてはいるが長い規定値には満たない場合にはホッパーエンプティエラーが発せられるように形成してもよい。また、エラー信号は、副制御装置22に出力されるだけでなく、ホールコンピュータに出力されるようにしてもよい。
(副制御装置22)
副制御装置22は、主制御装置21からの諸信号を受信して、表示装置70の表示を制御するためのものである。そして、この副制御装置22は、図1に示すように、演出制御手段180と、エラー表示制御手段190とを少なくとも有している。
【0057】
(演出制御手段180)
演出制御装置220は、遊技制御装置21からの出力信号、スタートスイッチ30その他の操作手段の操作信号等に基づいて、遊技に付随する演出を行わせるためのものであり、特に図示しないが、表示装置66に所定の演出表示を行わせるための複数の演出データを記憶した記憶手段、複数の演出データの中から所定条件に応じて実行する演出データを選択する演出決定手段などが設けられている。
そして、遊技状態に応じて抽選等により実行が決定された演出データに基づいて、画像表示部71に動画や静止画像を表示させたり、ランプ72を所定のパターンで点滅させたり、スピーカ73から音声を出力させたりするものである。
【0058】
(エラー表示制御手段190)
エラー表示制御手段190は、前記表示装置70に、演出以外の表示を行わせるためのものであり、具体的には、エラー検知手段170からエラー信号を受信した場合に、前記演出制御手段180の制御に基づいて表示装置70に表示されている表示を中断させ、所定のエラー表示を行わせるものである。
エラー表示としては、画像表示部71に警告画面を表示させたり、ランプ72を点滅させたり、スピーカ73から警報音を出力させたりするものが含まれる。
なお、表示装置70として、エラー表示専用の表示部、例えばエラー報知ランプなどを設け、エラー表示制御手段190がこの表示の制御を行うようにしてもよい。
【0059】
(スロットマシン1の作動の概略)
上記構成を有するスロットマシン1の作動の概略を説明する。
スロットマシン1は、メダルの投入若しくはベットスイッチ16の操作を条件に、または、「再遊技(Replay)」時には前遊技から所定時間経過を条件に、スタートスイッチ18を操作すると、リールユニット6のリールモータが駆動開始し、3個の回転リール60が回転を開始する。
その後、ストップスイッチ19の1個を操作すると、当該ストップスイッチ19に対応する回転リール60の回転が停止する。
【0060】
そして、ストップスイッチ19を3個全て操作し終わり、3個の回転リール60の回転が全て停止したとき、入賞と判定されれば、ホッパーユニット5を介してメダル払い出し口10Cから所定枚数のメダルが払い出される。なお、払い出しメダルをホッパーユニット5から払い出す代わりに、一定枚数を限度にクレジットに加算されるようにしてもよい。
当選には、遊技メダルの払い出しを伴い、遊技者に利益を付与する小役当選と、この小役当選よりもさらに大きな利益を遊技者に付与する特別当選と、遊技メダルの払い出しは無いが、遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行うことができる「再遊技(Replay)」とを備えている。
【0061】
そして、当選判定の抽選結果がいずれかの当選役に当選となった場合、その当選に対応した当選フラグが成立する。また、抽選結果が特別当選である場合には、特別当選フラグが成立し、この特別当選フラグ成立中に、回転リール60の停止図柄の組み合わせが、予め定められた所定の特別当選図柄(例えば、入賞有効ライン上に「7」が三個揃うもの)と一致したことを条件に入賞し、遊技者に有利な特別遊技を行わせるように形成されている。一方、抽選により特別当選フラグが成立したが、回転リール60の停止図柄の組み合わせが特別当選図柄と一致していない場合には、それ以後の遊技に特別当選フラグ成立の権利が持ち越されるように設定されている。なお、小役当選フラグは、当選フラグが成立した遊技で入賞させられない場合、当選フラグ成立の権利の次遊技への持ち越しはない。
【0062】
また、いずれかの当選フラグが成立中に、対応する当選図柄を入賞ライン上に揃えることができるか否かは、回転リール60の回転速度が一定の場合、ストップスイッチ19の操作タイミングによるものである。具体的には、ストップスイッチ19を操作した後、190ms以内に回転リール40が停止するように設定されているため、ストップスイッチ19を操作した後、そのまま停止させるか、或いは190ms以内に停止可能な回転リール60の円周上の引き込み可能図柄、例えば停止図柄から連続する4個の引き込み可能図柄の中に、対応する当選図柄が含まれているような場合には、停止するまでの時間を遅らせて、回転リール60は入賞ライン上にその当選図柄を引き込んで停止する。一方、かかる4個の引き込み可能図柄の中に、対応する当選図柄が含まれていないような場合には、入賞ライン上にその図柄を引き込んで停止することができない。
【0063】
(エラー検知手段170による時間情報に基づくエラー検知)
次に、エラー検知手段170によるエラー検知処理について、図5のフローをもとに説明する。
まず、図5のステップ100において、メダルセレクター4のメダルセンサ15の下流にある時間情報書き込み手段150が、メダルに内蔵されたデータ記憶手段に時間情報を書き込む。そして、次のステップ101に進む。
ステップ101において、メダルセンサ15よりも上流にある時間情報読み出し手段160が、メダル内のデータ記憶手段に記憶されている時間情報を読み出す。そして、次のステップ101に進む。
【0064】
ステップ101において、時間情報読み出し手段160が読み出した時間情報が記憶される。そして、次のステップ102に進む。
ステップ102において、時間情報読み出し手段160が時間情報を読み出した時刻に係る時間情報(現在時刻の時間情報)が記憶される。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、記憶された二つの時間情報が対比される。具体的には、現在時刻の時間情報に係る数値から読み出し時間情報に係る数値を減算する処理が行われる。そして、次のステップ104に進む。
ステップ104において、読み出し時間情報と現在時刻の時間情報との差時間が一定時間以上あるかどうかの判断がなされる。差時間が一定時間以上ある場合には、時間情報に基づくエラー検知を終了する。差時間が一定時間以上ない場合には、次のステップ105に進む。
【0065】
ステップ105において、エラー信号が出力される。そして、エラー検知処理を終了する。なお、エラー信号の出力によって、表示装置70によるエラー表示や、ホールコンピュータへの通報や、メダルセレクター4のキャンセル装置44の作動など、所定のエラー処理がおこなわれるものである。
このように、本実施の形態によれば、メダルに時間情報を書き込み、それを監視することにより、不正行為やホッパーユニット5のメダル切れなどを検知することができる。
なお、上記した実施の形態においては、時間情報読み出し手段160をメダルセンサ15の上流に設けてあるが、時間情報読み出し手段160をメダルセンサ15の位置(すなわちキャンセル装置44よりも下流)に配置し、時間情報読み出し手段160の読み出し信号をメダル投入信号としても扱い、制御装置21においてカウントするように形成してもよい。このように形成した場合には、時間情報読み出し手段160によって、時間情報に基づくエラー検知ができると同時に、メダルの真贋、つまりデータ記憶手段が埋め込まれた正規のメダルかどうか、についても検知することができる。換言すれば、時間情報読み出し手段160をメダルセンサ15として機能させることができる。このように形成することにより、少ない検知部で効率的にメダル検知を行うことができる。
【0066】
(第二の実施の形態)
第二の実施の形態は、ホッパーユニット5から払い出されたメダルに時間情報を書き込み可能な場所に時間情報書き込み手段150を設け、ホッパーユニット5から払い出されるメダルの時間情報を読み取り可能な場所に時間情報読み出し手段160を設けたものである。なお、第二の実施の形態におけるスロットマシン1の基本的構成と、エラー検知手段170によるエラー判定制御の方法は、第一の実施の形態と同様であるので説明を省略し、本実施の形態の特徴点のみ述べる(以下、第三の実施の形態において同じ)。
ただし、第二の実施の形態では、計時手段171のカウントを所定の計測開始契機からスタートして計測終了時にリセットするように形成した場合には、ホッパーユニット5に残留しているすべてのメダルに書き込まれている時間情報をクリアする必要があるが、このようなことを実施するのは極めて困難であるので、計時手段171のカウントはデジタル時計形式とするのが好ましい。
【0067】
図6は、第二の実施の形態を示す図であって、ホッパーユニット5のメダル排出口54の部分平面図である。
ここで、ホッパーユニット5のメダル排出機構を詳述する。メダル排出口54と送り出し円板52の間にはカウントアーム57が設けられているとともに、送り出し円板52の底部には係止突起56が設けられている。前記カウントアーム57は、固定軸57Cと、固定軸57Cに固定された略L字型の揺動板57Bと、揺動板57Bに固定された当接突起57Aとを有し、当接突起57Aがメダルの通過に伴い位置移動することにより揺動板57Bが固定軸57Cを中心に揺動するようになっている。
【0068】
送り出し円板52のメダル孔52Aに嵌入して送り出し円板52の回転に伴い移動しているメダルは、係止突起56に当接すると移動を阻まれ、送り出し円板52の側面に設けられたメダル排出スリット(図示せず)から送り出し円板52の外側に押し出される。押し出されたメダルは、カウントアーム57の当接突起57Aを押し広げてメダル押さえ58と当接突起57Aの間を通過し、メダル排出口54へと排出される。この際、当接突起57Aの位置移動に伴う揺動板57Bの揺動を払い出しセンサ55が検出して、メダル排出が検知されるものである。
なお、前記メダル排出スリット、メダル排出スリットからメダル排出口54までの通路、及びメダル排出口54を含めて、メダル送り装置51のメダル排出部51Aという。
【0069】
そして、本実施の形態においては、時間情報書き込み手段150をメダル排出口54に設け、時間情報読み出し手段160を送り出し円板52の底部に設けてある。すなわち、カウントアーム57によって払い出しの検出がなされたメダルに時間情報が書き込まれ、これから払い出されようとしているメダルの時間情報が読み取られることとなる。
このように時間情報書き込み手段150及び時間情報読み出し手段160を配置した場合には、時間情報読み出し手段160の読み出した時間情報と、読み出し時の時間情報との差時間が少ない場合には、払い出されたメダルが投入され、またすぐに払い出されるという状況を想定でき、メダルタンク50の内部のメダルが少なくなっているということを検知することができる。
【0070】
なお、図示した例では、時間情報読み出し手段160を係止突起56の近くに設け、まさに送り出し円板52から押し出されようとしているメダルの時間情報を読み取るようにしてあるが、時間情報読み出し手段160の設置場所としては、他のメダル孔52Aの底部であってもよい。あるいは、メダル投入口14(メダル投入口14からメダルセレクター4への通路も含む)や、メダルセレクター4に設置してもよい。要は、時間情報読み出し手段160が、遊技におけるスロットマシン1内部のメダル循環経路において、払い出しセンサ55よりも手前側(メダル投入口14からカウントアーム57を通過するまでの間)に設置されていればよい。
【0071】
また、時間情報読み出し手段160を図6に示す位置に設置した場合、払い出しセンサ55を無くして、時間情報読み出し手段160の時間情報の読み取り回数をホッパー制御手段130でカウントすることにより、時間情報読み出し手段160を払い出しセンサ55として機能させることができる。このように形成した場合には、少ない検知部で効率的にメダル検知を行うことができるとともに、メダルの払い出し時にカウントアーム57を針金などで操作して払い出しセンサ55の検知回数を少なくし実際の払い出し枚数よりも多いメダルを抜き取る不正行為を防止することもできる。
(第三の実施の形態)
第三の実施の形態は、メダルセンサ15を通過したメダル(つまりキャンセルされずに投入されたメダル)に時間情報を書き込み可能な場所に時間情報書き込み手段150を設け、ホッパーユニット5から払い出されるメダル、もしくはホッパーユニット5から払い出されたメダルの時間情報を読み取り可能な場所に時間情報読み取り手段160を設けたものである。なお、本実施の形態におけるホッパーユニット5のメダル排出機構は、第二の実施の形態と同様であるので説明を省略し、本実施の形態の特徴点のみ述べる。
【0072】
本実施の形態では、図7に示すように、メダルセレクター4のメダル出口42に時間情報書き込み手段150を設け(図4参照)、スロットマシン1のメダル排出部(ホッパーユニット5のメダル排出口54又は下皿10Bへのメダル払い出し口10C)に時間情報読み取り手段160を設けてある。
図7(A)は、ホッパーユニット5のメダル排出口54に時間情報読み取り手段160を設けた例を示すものである。ここで、時間情報読み取り手段160は、第二の実施の形態を示す図6において時間情報書き込み手段150が設置されている位置、すなわち、まさにメダル排出口54から排出されるメダルの時間情報を読み取り可能な位置に設けてもよいし、図6に示すようにカウントアーム57を通過する前のメダルの時間情報を読み取り可能な位置に設けてもよい。またこの場合、前述したように、時間情報読み取り手段160を払い出しセンサ55として機能させるように形成することもできる。
【0073】
図7(B)は、メダル払い出し口10Cに時間情報読み取り手段160を設けた例を示すものである。これは、正確には、図3に示すメダル通路80の側面開口80Bよりも下側からメダル払い出し口10Cまでの間に時間情報読み取り手段160を設けたものであり、この配置によれば、ホッパーユニット5のメダル排出口54から下皿10Bまでのメダル移送経路を通過中のメダルの時間情報が、時間情報読み取り手段160によって読み取られることとなる。
本実施の形態によれば、ホッパーユニット5に投入されたメダルがホッパーユニット5から払い出されるまでの時間を検出することができるので、経過時間を正確に把握することができるという利点がある。
【0074】
以上のように、本発明によれば、データ記憶手段を内蔵したメダルに時間情報を読み込ませ、これを監視することにより、特定の不正行為やホッパーユニット5のメダル切れを検知することができる。すなわち、時間情報読み出し手段160ひとつで、不正防止とメダル切れの双方を検知でき、さらには、時間情報読み出し手段160をメダルセンサ15又は払い出しセンサ55として機能させることにより、より少ない検知部でメダル検知を行うことができるようになる。
なお、本発明は、一台の遊技機内部でメダルが循環するように形成された遊技機であればスロットマシン以外の遊技機にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第一の実施の形態であって、スロットマシンの入力、制御及び出力を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態であって、スロットマシンの外観正面図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態であって、前扉を開いたスロットマシンの斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態であって、メダルセレクターを示す概略図である。
【図5】本発明の第一の実施の形態であって、時間情報に基づくエラー検知処理を示す流れ図である。
【図6】本発明の第二の実施の形態であって、ホッパーユニットのメダル排出口を示す図である。
【図7】本発明の第三の実施の形態であって、時間情報書き込み手段及び時間情報読み出し手段の設置場所を示すスロットマシンの概略正面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 スロットマシン
10 前扉 10A 操作部
10B 下皿 10C メダル払い出し口
11 筺体 12 上パネル
13 図柄表示窓 14 メダル投入口
15 メダルセンサ 16 ベットスイッチ
17 精算スイッチ 18 スタートスイッチ
19 ストップスイッチ 20 制御装置
21 主制御装置 22 副制御装置
4 メダルセレクター
40 基体 41 メダル受け口
42 メダル出口 43 メダル誘導路
44 キャンセル装置 45 突出爪
5 ホッパーユニット
50 メダルタンク 51 メダル送り装置
51A メダル排出部
52 送り出し円板 53 ホッパーモータ
54 メダル排出口 55 払い出しセンサ
56 係止突起 57 カウントアーム
57A 当接突起 57B 揺動板
57C 固定軸 58 メダル押さえ
6 リールユニット
60 回転リール
70 表示装置 71 画像表示部
72 ランプ 73 スピーカ
80 メダル通路 80A 上部開口
80B 側面開口 81 シューター
90 通常遊技制御手段 100 特別遊技制御手段
110 当選抽選手段 120 リール制御手段
130 ホッパー制御手段 140 入賞判定手段
150 時間情報書き込み手段 160 時間情報読み出し手段
170 エラー検知手段 171 時間情報記憶手段
172 エラー判定手段
180 演出制御手段 190 エラー表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダルを投入するためのメダル投入口と、
遊技機がメダル受付状態にない場合に前記メダル投入口から投入されるメダルを遊技機外部に排出させるための流路変更手段を少なくとも有する判別装置と、
前記判別装置を通過したメダルを貯留する貯留部及びこの貯留部に貯留されているメダルを排出するためのメダル送り装置を少なくとも有するメダル払い出し装置と、
前記メダル払い出し装置から払い出されたメダルを遊技機外部に払い出すためのメダル払い出し口と、
遊技機の作動及び入賞の判定を行うための制御装置とを少なくとも備え、
メダルの投入により遊技が開始可能となり、遊技が終了した時点で入賞と判定された際には、前記メダル払い出し装置から前記メダル払い出し口にメダルが払い出され、前記メダル払い出し口に払い出されたメダル又は前記流路変更手段によって前記判別装置から排出されたメダルを再度前記メダル投入口に投入可能な遊技機において、
前記メダルとして、コイルとICモジュールとから構成されるデータ記憶手段を埋設したメダルを用い、
前記メダル投入口から前記判別装置及び前記メダル払い出し装置を経て前記メダル払い出し口に至る遊技機内部のメダル搬送経路中に、特定の電磁波を発生して前記データ記憶手段に時間情報を書き込み可能な時間情報書き込み手段と、特定の電磁波を検知して前記データ記憶手段に書き込まれた時間情報を読み出し可能な時間情報読み出し手段とを設け、
前記制御装置は、
前記時間情報読み出し手段が前記メダルのデータ記憶手段に書き込まれた時間情報を読み出した時点での現在時間情報と、前記データ記憶手段から読み出した読み出し時間情報とを対比して、前記読み出し時間情報と前記現在時間情報との差に係る時間情報が、あらかじめ定められた規定値に達していない場合には、遊技機の異常を知らせるエラー信号を出力可能に形成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記時間情報書き込み手段を、前記流路変更手段から前記貯留部までの間に設け、
前記時間情報読み出し手段を、前記時間情報書き込み手段よりもメダル投入口側に設け、
前記制御装置は、前記読み出し時間情報と前記現在時間情報との差に係る時間情報が、あらかじめ定められた規定値に達していない場合には、遊技機に対して不正操作が行われたことを知らせるエラー信号、又は前記メダル払い出し装置の貯留部のメダルが残り少ないことを知らせるエラー信号を出力可能に形成されているたことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記時間情報読み出し手段を、前記判別装置の流路変更手段と前記時間情報書き込み手段との間に設け、前記制御装置は、前記時間情報読み出し手段の時間情報読み出しを投入メダルの検知としてカウント可能に形成されていることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項4】
前記メダル送り装置のメダル排出部から前記メダル払い出し口までの間に、前記時間情報書き込み手段、又は前記時間情報読み出し手段のいずれか一方を設け、
前記メダル送り装置のメダル排出部から前記メダル払い出し口までの間に前記時間情報書き込み手段を設けた場合には、前記時間情報読み出し手段を前記時間情報書き込み手段よりもメダル投入口側に設け、
前記メダル送り装置のメダル排出部から前記メダル払い出し口までの間に前記時間情報読み出し手段を設けた場合には、前記時間情報書き込み手段を前記メダル投入口から前記貯留部までの間に設け、
前記制御装置は、前記読み出し時間情報と前記現在時間情報との差に係る時間情報が、あらかじめ定められた規定値に達していない場合には、前記メダル払い出し装置の貯留部のメダルが残り少ないことを知らせるエラー信号を出力可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項5】
前記時間情報読み出し手段を、前記メダル送り装置のメダル排出部に設け、前記制御装置は、前記時間情報読み出し手段の時間情報読み出しを払い出しメダルの検知としてカウント可能に形成されていることを特徴とする請求項4記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−11479(P2009−11479A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174982(P2007−174982)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】