説明

遊技機

【課題】遊技者に対して温度変化を瞬時に体感させることによって、幅の広い演出を可能とし、しかも高い演出効果を実現した遊技機を提供する。
【解決手段】遊技者が操作する操作部材1には、駆動機構4によって移動する熱交換部材5を設ける。この熱交換部材5は制御手段200によって温度を制御される。駆動機構4は、遊技者に対して熱的接触する伝達位置と、この熱的接触が解除される待機位置との間で熱交換部材5を移動させる。制御手段200は、上記熱的接触を開始するとき、待機位置において電流を流して熱交換部材5を設定温度に制御するとともに、駆動機構4を制御して熱交換部材5を伝達位置に移動させる。一方、上記熱的接触を終了するとき、伝達位置において熱交換部材5への通電を停止して熱的接触を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技の進行状況に応じてさまざまな演出を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機においては、遊技者の期待感や意欲を高めるために、ランプ演出、役物演出あるいは音声演出等、さまざまな視覚的演出効果や聴覚的演出効果を施している。そして、近年では、より高い演出効果が要求される傾向にあり、視覚や聴覚のみならず、種々の感覚的演出効果を採用したパチンコ遊技機が開発されている。
こうした感覚的演出効果を採用したものとして、例えば特許文献1に示すように、遊技者に温度変化を体感させるものがある。
【0003】
このパチンコ遊技機は、ハンドル等の操作部材内にペルチェ素子を組み込んでおり、例えば「大当たり」時など、遊技者の期待感を高める演出を行う際に、ペルチェ効果を利用してハンドルを冷却する。このように、ハンドルを冷却すれば、遊技者に対して、通常とは異なる感覚を与えることができ、非常に高い演出効果をもたらして、遊技者の期待感を一層高めることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−168824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のパチンコ遊技機においては、期待感を高める演出を行う際に、ペルチェ素子に電流を流してハンドルを冷却する。
ところが、ペルチェ素子に電流を流して、ハンドルを所定の温度に到達させるまでには、電流を流してからある程度の時間が必要となる。言い換えれば、ペルチェ素子に電流を流しても、瞬時にハンドルを冷却することはできない。
そのため、演出を開始するための信号が入力してから、実際に遊技者が冷たさを感じるまでの間に大きなタイムラグが生じてしまう。つまり、温度変化による演出をタイミングよく開始することが非常に難しい。このように、温度変化による演出をタイミングよく開始することができないので、当該演出を採用できる場面や演出の内容が限られてしまうという問題があった。
【0006】
また、ペルチェ素子に電流を流す場合、ハンドルは、予め設定した温度に到達するまで徐々に冷却されていく。そのため、遊技者は、ハンドルが設定温度に到達する前に、温度変化が起こっていることに気づいてしまい、遊技者が受ける印象が希薄となって、演出効果が損なわれるという問題があった。
【0007】
このように、温度変化による感覚的演出効果を採用するにあたっては、多くの課題が山積しており、いまだ実用化に至っていない。
【0008】
本発明は、遊技者に対して温度変化を瞬時に体感させることによって、幅の広い演出を可能とし、しかも高い演出効果を実現した遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、遊技者が操作する操作部材と、この操作部材に移動可能に設けた熱交換部材と、この熱交換部材を移動させる駆動機構と、上記熱交換部材に電流を流して当該熱交換部材の温度を制御する制御手段とを備え、上記駆動機構は、上記熱交換部材が操作部材を介して遊技者に直接または間接的に熱的接触する伝達位置と、上記熱的接触が解除される待機位置との間で熱交換部材を移動させてなり、上記制御手段は、遊技者に対する熱的接触を開始するとき、待機位置において上記熱交換部材に電流を流して当該熱交換部材を予め設定した温度に制御するとともに、上記駆動機構を制御して上記熱交換部材を伝達位置に移動させる一方、遊技者に対する熱的接触を終了するとき、上記熱交換部材への通電を停止して熱的接触を終了することを特徴とする。
【0010】
なお、この発明における熱的接触とは、操作部材を操作する遊技者の身体部位に対するものをいい、当該身体部位において、遊技者が温度変化を知覚することをいう。したがって、熱的接触を行う伝達位置は、熱交換部材が操作部材に直接接触する位置にかぎらず、熱交換部材と操作部材とが空気や他の部材を介して間接的に熱的接触する位置も含まれる。
また、この発明における熱交換部材とは、ペルチェ素子のように、通電によって温度が変化するものをいう。
【0011】
第2の発明は、上記制御手段が、予め記憶した複数の演出コマンドの中から1の演出コマンドを抽選するとともに、この演出コマンドに基づいて上記駆動機構を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、遊技者に対して大きな温度変化を一瞬で体感させることができるので、非常に高い演出効果を実現することができる。また、最適なタイミングで遊技者に温度変化を体感させることができるので、幅広い演出が可能となる。
【0013】
第2の発明によれば、演出コマンドごとに駆動機構を制御するので、熱的接触の継続時間や開始タイミング等を、演出ごとに設定することができる。したがって、演出の幅が非常に広くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図12を用いて、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る遊技機の正面図である。この遊技機は、遊技機本体100に遊技盤101を設けるとともに、この遊技盤101の下方に、この発明の操作部材であるハンドル1を設けている。このハンドル1は、遊技機本体100の表面に突出した状態で遊技機本体100に支持されており、当該ハンドル1を回動操作することによって、この回動角度に応じて遊技球が遊技盤101に発射される。そして、遊技盤101に発射された遊技球は、レール103a,103b間を上昇した後、遊技盤101の上方から遊技領域104内に落下する。遊技領域104には、不図示の多数の釘や、風車あるいは入賞口が設けられ、遊技領域104に発射された遊技球が、予測不能に落下するようにしている。
【0015】
また、遊技領域104の略中央には、種々の演出画像を表示する図柄表示部105が配置されている。図柄表示部105としては、例えば液晶表示器(LCD)が用いられる。図柄表示部105は、主な演出画像として、3行×3列のマトリックス状に1〜9の数字からなる図柄を表示している。そして、この図柄表示部105には、大当たり抽選を行う度に、左列、中列、右列のそれぞれにおいて、数字が縦方向に数秒間スクロールした後、当該スクロールを停止する演出を行っている。例えば、大当たり確定時には、左列、中列、右列の3列において、数字が次々と数秒スクロールした後、横または斜めにわたる一直線状に同一の数字「5,5,5」や「7,7,7」を並べて表示する。一方、ハズレ確定時(大当たりに確定しなかった時)には、図柄表示部105において、「5,6,5」や「1,1,3」等、一直線上に3つの数字が並ばないようにしている。
【0016】
そして、この抽選を始動させるのが、図柄表示部105の下方に設けた始動入賞口106である。この始動入賞口106は、図柄表示部105の左方に設けた入賞ゲート107によって開放する。
つまり、入賞ゲート107は、遊技球が通過可能な構成としており、当該入賞ゲート107を遊技球が通過したことをセンサが検出するようにしている。遊技球が入賞ゲート107を通過すると、上記始動入賞口106が一定時間だけ開放し、この開放した始動入賞口106に遊技球が入賞するたびに、抽選が行われる。なお、始動入賞口106にもセンサが設けられており、このセンサが遊技球を検出したとき、上記抽選が行われることとなる。
【0017】
上記のようにして抽選が行われた結果、大当たりが確定すると、始動入賞口106の下方に位置する大入賞口108が、所定ラウンド(例えば15ラウンド)開放状態となって、入賞した遊技球に対応した数の賞球が払い出される。
【0018】
また、遊技盤101には、複数の普通入賞口109が配設されている。普通入賞口109に遊技球が入賞すると、普通入賞時の賞球数(例えば10個)の払い出しが行われる。さらに、遊技領域104の最下部には、どの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口110が設けられている。
【0019】
一方、遊技機本体100であって、遊技盤101の上方および下方には、演出ライト111(ランプユニット)が設けられている。この演出ライト111は、それぞれ、複数のライト111aを備えており、これらライト111aを図示しないモータによって駆動し、光の照射方向を上下に移動させるようにしている。具体的には、演出ライト111aは、遊技機の正面に着席した遊技者を、頭上から腹部に沿って移動しながら照射するようにしている。
また、演出ライト111には、光の照射方向を上下に移動するモータとは別のモータをさらに設けている。そして、このモータを駆動することによって、各ライト111aが、遊技機を基準にして円をなすように、光の照射方向を回転させるようにしている。これにより演出ライト111は、光の照射方向を3次元に変更することができる。
【0020】
この演出ライト111における光の照射方向は、例えば、大当たり状態となった場合に変更される。つまり、大当たり状態となった場合に、演出ライト111が遊技者および遊技機の周囲を順次照射することによって、当該遊技機が大当たり状態となっていることを周囲に知らしめる。このようにすれば、大当たり状態となった遊技者の注目度を高めることができ、遊技者に対して、周囲から注目されていることによる高揚感を与えることができる。そして、遊技者に高揚感を与えれば、本実施形態の遊技機を継続あるいは繰り返し利用させて、遊技機の稼働率の向上を図ることができる。
【0021】
また、遊技機本体100であって、遊技盤101の下方には、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン112が設けられている。チャンスボタン112の操作は、たとえば、遊技中における特定のリーチ演出に際し、図柄表示部105に、チャンスボタン112の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
このチャンスボタン112を操作すると、図柄表示部105にて種々の演出画像が表示され、この演出画像によって遊技者の期待感を高めるようにしている。
【0022】
さらに、図1からは明らかでないが、遊技機本体100には、演出効果を高める効果音、音楽、音声等を出力するスピーカーが組み込まれている。このスピーカーは高音・中音・低音の領域を出力できるタイプのもので、通常演出時は高音・中音・低音がバランス良く出力されるが、後述する特別演出時には、周りに良く聞こえるように高音領域を出力するように制御されている。
【0023】
そして、遊技機本体100であって、上記遊技盤101の下方には、この発明の操作部材を構成するハンドル1が設けられている。このハンドル1の構造について、図2〜図4を用いて詳細に説明する。
図2に示すように、ハンドル1は、少なくとも一部に表面材2aが固定された表面側カバー部材2と、その背面側に出没自在に収納される可動部材3と、この可動部材3をハンドル1内で移動させる駆動機構4とを備えている。
【0024】
上記可動部材3は、この発明の熱交換部材を構成するペルチェ素子5と、このペルチェ素子5の表面(表面材2a側)に接触した状態で接合された蓄熱部材6と、上記ペルチェ素子5の背面に接触した状態で接合された伝熱部材7とから構成される。この可動部材3は、表面側カバー部材2内部において、表面材2a側に突出した伝達位置と、この伝達位置よりも没入した位置である待機位置との間を相対移動自在に支持されている。
なお、ペルチェ素子5は表面材2aに直接接触させてもよいが、本実施形態においてはペルチェ素子5からの熱の伝達効率を高める目的で、表面材2aの背面形状に対応した表面形状を有する蓄熱部材6を設けている。したがって、ペルチェ素子5の熱は、蓄熱部材6を介して表面材2aに伝達されることとなる。
【0025】
上記ペルチェ素子5の表面と背面のいずれか一方は、電源装置(第1電源装置300(図5参照))に接続されており、当該電源装置による通電で一方の面が冷却され、他方の面が加熱される。ただし、冷却面と加熱面とは、電源装置に接続された電流切換スイッチで電流の向きを変えることで逆にすることができる。
蓄熱部材6には銅、アルミニウム等、熱伝導率の高い金属材料等が主に使用されるが、駆動機構4に移動可能状態に支持されることを考慮すれば、軽量なアルミニウムの使用が適切である。また蓄熱部材6に設定される冷却温度、または加熱温度によってはプラスチックの使用も可能であり、プラスチックの使用により一層の軽量化が図られる。
伝熱部材7は、蓄熱部材6を冷却する場合に、ペルチェ素子5の背面が発生する熱を放熱し、蓄熱部材6を加熱する場合には、ペルチェ素子5の背面が冷却されるときに吸熱をする役目を持つ。したがって、伝熱部材7にも蓄熱部材6と同様、熱伝導率の高い材料を用いるのが望ましい。
【0026】
また、物体からの放熱量と吸熱量は物体の表面積に応じて変化し、物体の表面積が大きい程、放熱量と吸熱量が多くなるので、蓄熱部材6を冷却するときの伝熱部材7による放熱と、蓄熱部材6を加熱するときの伝熱部材7による吸熱の効果を上げる上では、伝熱部材7の質量を蓄熱部材6に対して相対的に大きくすることが合理的である。図面では伝熱部材7に蓄熱部材6の質量の5倍程度の質量を与えている。伝熱部材7の質量が同一の場合には、伝熱部材7を中空にする、または表面に多数の凹凸(ヒレ)を形成することが表面積の確保上、有利である。
【0027】
一方、表面側カバー部材2に固定される表面材2aは蓄熱部材6が接触したときに蓄熱部材6との間で熱の移動が行われ、蓄熱部材6が冷却されている場合には表面材2aから蓄熱部材6に熱が移動し、蓄熱部材6が加熱されている場合にはその熱が表面材2aに移動するので、表面材2aにも熱伝導率の高い金属材料、またはプラスチックを使用するとよい。
上記表面材2aは、表面側カバー部材2のいずれかの、人の手が触れる部分に配置され、背面から伝達される熱を表面に接触している人の手のひらに伝達させる働きを有するため、肉厚は可能な限り、小さい方がよい。また蓄熱部材6の接触時、または衝突時に蓄熱部材6から衝撃を受けることが想定されることから、表面材2aにはこの衝撃に耐え得る材質の材料が使用される。蓄熱部材6が表面材2aに衝突するときの衝撃を緩和させるために、蓄熱部材6が表面材2aに接触するときの両者間にゴムや合成樹脂等の緩衝材を介在させることもある。
【0028】
なお、上記ハンドル1は、図3、図4に示すように、背面側カバー部材8を介して遊技機本体100に装着される。ハンドル1は、背面側カバー部材8の表面側に固定されるハンドル本体部9と、これに復帰の向きに付勢された状態で回転自在に支持されるレバー10と、レバー10に保持されるベース部材11と、ベース部材11に接合される表面側カバー部材2とを備えている。そして、表面側カバー部材2は背面側カバー部材8に対向した状態で連結されている。
【0029】
背面側カバー部材8とハンドル本体部9との間、ハンドル本体部9と表面側カバー部材2との間にはハンドルの一部を発光させる等、ハンドル自体の演出効果を発生させるための各種の基板、及びそれを支持するための部品等が収納される。なお、図3、図4は、本発明の操作部材であるハンドル1に、可動部材3が内蔵されていない一般的なハンドルの構成を示している。
【0030】
そして、上記可動部材3を相対移動自在に支持するのが、駆動機構4であるが、この駆動機構4は、上記表面材2aに対して可動部材3を直線運動自在に、または円運動自在に支持する。図2においては、表面材2aを表面側カバー部材2の遊技者側の前面に固定していることに対応し、可動部材3を直線運動自在に支持している。
本実施形態においては、可動部材3を直線運動させるための駆動機構4を、ソレノイド12で構成している。このソレノイド12には、プランジャー13が設けられるとともに、このプランジャー13に、可動部材3を直接支持する軸部材14が接続される。軸部材14は、可動部材3側に接続される先端部14aと、プランジャー13に接続される基部14bとに分割され、先端部14aと基部14bとの間に緩衝のためのバネ等の緩衝材15が介在させられる。なお、軸部材14は移動方向が軸方向に規制されるよう、遊技機本体のガイド部材16に囲から拘束される。
【0031】
また、軸部材14は、その先端部14aを伝熱部材7に一体的に接合する一方、基部14bが、先端部14aを相対移動自在に包囲するようにして、先端部14aと基部14bとを接続している。
プランジャー13のストロークは、可動部材3の待機位置と伝達位置との間の距離以上であればよいが、蓄熱部材6から表面材2aへの熱の伝達を確実にするために、蓄熱部材6が表面材2aに接触した状態から更に蓄熱部材6が表面材2aを押圧することができるように、待機位置と伝達位置との間の距離より大きめに設定される。プランジャー13のストロークが前記距離以上であることによる、プランジャー13突出時の、すなわち蓄熱部材6と表面材2aとの衝突時の衝撃は、上記緩衝材15と、表面材2aと蓄熱部材6との間に介在させる緩衝材によって緩和、あるいは吸収される。
【0032】
可動部材3の没入状態すなわち待機位置では、冷却、または加熱されている蓄熱部材6と表面材2aとの間で対流による熱の移動が生じない程度のクリアランス(空隙)が確保される。このクリアランスは、「大当たり」の予感を与える演出が開始する前に、遊技者に、ハンドルが冷却、または加熱され始めていることを知覚されないために確保される。クリアランスの大きさは蓄熱部材6と表面材2aとの温度差、及び表面材2aと人の体温との温度差にもよるが、例えば蓄熱部材6を10数〜10°C程度に冷却した場合には、少なくとも1.5mm程度以上であれば足りる。
【0033】
上記ソレノイド12には、後述する制御手段200と専用の電源装置(第2電源装置301(図5参照))が接続されており、制御手段200からの指令を受けた上記電源装置によって、プランジャー13が可動部材3と共に突出する。したがって、可動部材3は、待機位置から伝達位置へ移動して、蓄熱部材6を表面材2aに接触させる。蓄熱部材6と表面材2aとの接触は、制御手段200からの演出コマンドに基づいて行われるが、少なくても、遊技者が「冷たい」「熱い」との感覚を与えられるまでの時間に設定される。
【0034】
また、制御手段200が蓄熱部材6を表面材2aに接触させるべき時期(タイミング)は、演出コマンドに応じて任意に設定されるが、蓄熱部材6が目標温度に到達した時点の他、目標温度に達した状態が10数秒〜数10秒を超えて継続しない時間の範囲内のタイミングで決定される。蓄熱部材6が設定温度に到達した後、表面材2aに接触させるまでの時間は、伝熱部材7からの放熱量が過剰にならず、蓄熱部材6が過熱されないようにする観点から決められる。
【0035】
上記の構成からなる本実施形態の遊技機内部には、遊技の進行を制御する制御手段200が組み込まれている。この制御手段について、以下に詳細に説明する。
【0036】
(制御手段の内部構成)
図5は、遊技の進行や演出を制御する制御手段200の内部構成を示すブロック図である。制御手段200は、複数の制御基板により構成されている。図示の例では、主制御基板201と、演出制御基板202と、賞球制御基板203と、図柄制御基板204と、音声制御基板205と、ランプ制御基板206と、温度制御基板207とで構成されている。
【0037】
主制御基板201は、遊技の基本動作を制御する。この主制御基板201は、遊技の進行プログラムを記憶したROM201aと、このROM201aに記憶したプログラムに基づいて、遊技の進行処理を実行するCPU201bと、このCPU201bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM201cとを備えている。
【0038】
そして、主制御基板201の入力側には、始動入賞口検出部106a、ゲート検出部107a、大入賞口検出部108a、普通入賞口検出部109aが接続されている。
始動入賞口検出部106aは、上記始動入賞口106に設けたセンサで構成されており、始動入賞口106に遊技球が入賞したことを検出している。ゲート検出部107aは、入賞ゲート107に設けたセンサで構成されており、入賞ゲート107に遊技球が入賞したことを検出している。大入賞口検出部108aは、大入賞口108に設けたセンサで構成されており、大入賞口108に遊技球が入賞したことを検出している。普通入賞口検出部109aは、普通入賞口109に設けたセンサで構成されており、普通入賞口109に遊技球が入賞したことを検出している。
【0039】
そして、主制御基板201は、ゲート検出部107aから信号を受信すると、始動入賞口106に設けたソレノイド等からなるアクチュエータを作動して、一定時間始動入賞口106を開放するように制御する。
一方、上記ゲート検出部107aを除く各検出部106a〜109aから信号を受信すると、ROM201aに記憶されたプログラムを作動するとともに、賞球制御基板203に、所定の賞球を払い出すように賞球制御コマンドを送信する。
【0040】
また、始動入賞口検出部106aから信号を受信すると、CPU201bは、ROM201aに記憶されたプログラムを作動して、乱数発生手段を用いた大当たりの抽選を行う。そして、このCPU201bは、大当たりの抽選結果を、演出制御基板202に送信する。
【0041】
一方、主制御基板201の出力側には、大入賞口108を開閉動作するソレノイド等のアクチュエータからなる大入賞口開閉部108bが接続されている。この大入賞口開閉部108bは、主制御基板201が抽選を行った結果、大当たりが確定したとき、ROM201aに記憶したプログラムによって一定時間開放する。
【0042】
また、上記主制御基板201には賞救制御基板203が双方向にて送信可能に接続されている。賞球制御基板203は、ROM203aに記憶されたプログラムに基づいて賞球制御をおこなう。また、賞球制御基板203は、賞球制御の処理を実行するCPU203bと、CPU203bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM203cとを備えている。
【0043】
上記賞球制御基板203には、払出部208が接続されている。この払出部208は、遊技機本体100内に設けた貯留部から遊技球を所定数払い出すためのモータ等で構成されており、賞球制御基板203が払出部208に対して、入賞時の賞球数を払い出す制御をおこなっている。つまり、賞球制御基板203は、払出部208に対して、遊技球の入賞した入賞口(始動入賞口106、大入賞口108、普通入賞口109、)に対応する賞球数を払い出す制御をおこなう。
【0044】
また、上記主制御基板201には、発射検出部209が接続されている。この発射検出部209は、ハンドル1に設けられ、遊技者による遊技操作(回転角度)を検出するセンサ、および、遊技球を発射させるためのソレノイド等を備えている。主制御基板201は、発射検出部209のセンサが遊技操作を検出すると、当該遊技操作に応じてソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域104に遊技球を送り出す。
【0045】
一方、主制御基板201の出力側には、演出制御基板202が接続されている。この演出制御基板202は、ROM202a、CPU202b、およびRAM202cを備えている。上記ROM202aは、主制御基板201より送信される制御コマンドに基づいて演出に関する制御を行うプログラム、あるいは過去の演出パターン等を記憶している。また、このROM202aには、240通りの演出パターンが記憶されている。CPU202bは、ROM202aに記憶されたプログラムに基づいて抽選や演出処理を実行する。そして、RAM202cは、CPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0046】
上記演出制御基板202のCPU202bは、主制御基板201から送信された大当たりの抽選結果に基づいて、演出コマンドを抽選する。この演出コマンドは、ROM202aに240通り記憶されており、この240通りの演出の中には、大当たり時に行われる大当たり演出と、ハズレ時に行われるハズレ演出とがある。さらに、上記ハズレ演出には、完全ハズレ演出とリーチ演出とがある。
上記大当たり演出というのは、図柄表示部105に表示される上記左列、中列、右列上の数字が、スクロールした後、横または斜めにわたる一直線上において、「7,7,7」のように同一の数字が揃った状態でスクロールが停止する演出のことである。この大当たり演出は、全240通りの演出のうち140通り用意されている。
【0047】
一方、完全ハズレ演出というのは、図柄表示部105に表示される上記左列、中列、右列上の数字が、スクロールした後、横または斜めにわたる一直線上において、「5,4,7」のようにバラバラの状態でスクロールが停止する演出のことである。こうした完全ハズレ演出は、全240通りの演出のうち10通り用意されている。
これに対して、リーチ演出というのは、次のような演出のことである。すなわち、上記3つの列において数字がスクロールした後、まず、左列と右列が、横または斜めにわたるいずれかの一直線上に、「7,―,7」のように同一の数字を表示して停止する。その後、中列のスクロール速度を遅くして、3つの数字が揃うのではないかという期待感を遊技者に与えるが、最終的には「7,6,7」のように、数字が揃わないでスクロールが停止する演出のことである。このリーチ演出は、全240通りの演出のうち90通り用意されており、このリーチ演出の中には、最後の列のスクロールが停止するまでの間に、さまざまなキャラクターが戦闘などを行っている映像を図柄表示部105に表示するいわゆる「熱いリーチ演出」が複数用意されている。
【0048】
なお、上記140通りの大当たり演出の中には、出現率が極めて低いいわゆる「檄熱リーチ演出」が用意されている。また、この「檄熱リーチ演出」以外の大当たり演出の中には、基本的に上記「熱いリーチ演出」と同じ内容のものが多数含まれている。
すなわち、「大当たり演出」も「熱いリーチ演出」も、まず、左列と右列が、横または斜めにわたるいずれかの一直線上に、「7,―,7」のように同一の数字を表示して停止する。その後、中列のスクロールが停止するまでの間に、遊技者に対して3つの数字が揃うかもしれないという期待感を抱かせるような映像を図柄表示部105に表示する。そして、「大当たり演出」は、最終的に横または斜めにわたるいずれかの一直線上に、「7,7,7」のように同一の数字を揃えて停止し、「熱いリーチ演出」は、「7,6,7」のように同一の数字を揃えずに停止する。つまり、最終的に3列の数字が揃うか、揃わないかといった点のみ両者で異なり、それ以外は同様の演出内容である。したがって、抽選の結果ハズレが確定していても、「熱いリーチ演出」が行われると、大当たりが確定しているのではないかという期待感が非常に高くなり、演出が行われている間中、遊技者は当該演出を楽しむことができる。
【0049】
そして、演出制御基板202は、CPU202bが演出の抽選を行うと、この抽選によって決定された演出コマンドや処理データを、後述する図柄制御基板204、音声制御基板205、ランプ制御基板206および温度制御基板207のそれぞれに送信する。
【0050】
また、演出制御基板202の入力側には、チャンスボタン112が操作されたことを検出するセンサ等からなるチャンスボタン検出部112aが接続されている。上記約240種類の演出の中には、例えば、図柄表示部105に「チャンスボタンを押せ」というメッセージを表示するような、チャンスボタン112の操作を促すものが含まれている。チャンスボタン112の操作を促す演出が確定すると、チャンスボタン112が有効となる。そして、チャンスボタン112が有効になった状態で、遊技者が当該チャンスボタン112を操作し、チャンスボタン検出部112aから信号が送信されると、この信号に基づいて、演出制御基板202は更なる演出を行うように制御する。
【0051】
そして、演出制御基板202には、図柄表示部105に図柄等の画像を表示させる図柄制御基板204が双方向送信で接続されている。
図柄制御基板204は、背景画像、図柄画像、キャラクター画像など各種画像データを記憶するROM204aと、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき演出処理を実行するCPU204bと、CPU204bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM204cと、図柄表示部105に表示させる画像データを書き込むVRAM204dとを備えている。
【0052】
そして通常、CPU204bがROM204aに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示/変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM204aから読み出して、VRAM204dに書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクター画像は、表示画面上において図柄表示部105に重畳表示される。すなわち、図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。
この場合、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM204dに記憶させる。
【0053】
また演出制御基板202の出力側には、音声制御基板205を接続している。この音声制御基板205は、各種音声データを記憶するROM205aと、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき音声処理を実行するCPU205bと、CPU205bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM205cとを備えている。この音声制御基板205には、スピーカー210を接続しており、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づいて、CPU205bがROM205aに記憶されたプログラムを読み込んで、演出効果音処理などの各種音声出力処理を実行して、スピーカー210より音声出力を行う。
【0054】
さらに、演出制御基板202には、ランプ制御基板206が接続されている。このランプ制御基板206は、各種演出パターンデータを記憶するROM206aと、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき演出処理を実行するCPU206bと、CPU206bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM206cとを備えている。ランプ制御基板206は、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき、遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ211に対する点灯制御、上記演出ライト111における複数のライト111aに対する点灯制御、および各ライト111aからの光の照射方向を変更するためのモータに対する駆動制御等を行う。
【0055】
また、ランプ制御基板206には、役物部212が接続されている。この役物部212は、遊技盤101に設けた風車や各入賞口等の役物に設けたライトを、演出制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づいて点灯、点滅させたり、あるいはこれら各役物に設けたアクチュエータを作動させて、演出役物を動作させたりしている。
【0056】
そして、演出制御基板202の出力側には、温度制御基板207を接続している。この温度制御基板207は、各種プログラムを記憶するROM207aと、演出制御基板202より送信された演出コマンドに基づいて、第1電源装置300、第2電源装置301の電流制御を実行するCPU207bと、CPU207bの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM207cとを備えている。
【0057】
上記温度制御基板207は、演出制御基板202から送信された演出コマンドに基づいて、第1電源装置300の電流値を制御するが、この電流値が大きくなるほど、上記ペルチェ素子5は冷却される。つまり、温度制御基板207は、第1電源装置300の電流を制御することによって、ペルチェ素子5の温度を制御することとなる。
具体的には、第1電源装置300からペルチェ素子5に流れる電流が、演出制御基板202の演出コマンドごとにROM207aに記憶されている。そして、演出制御基板202から演出コマンドが送信されると、CPU207bがプログラムを作動して、ペルチェ素子5に所定の電流を流す。
なお、本実施形態においては、ペルチェ素子5を、5℃、10℃、15℃の3段階に制御するように、演出コマンドごとにROM207aに記憶されている。
【0058】
また、既に説明したとおり、上記可動部材3は、ペルチェ素子5の熱が遊技者に伝達しない待機位置と、当該熱が遊技者に伝達する伝達位置との間を移動する。この可動部材3を移動させるのが上記した駆動機構4であるが(図2参照)、この駆動機構4は、ソレノイド12に通電することによって駆動する。そして、このソレノイド12に電流を流すのが第2電源装置301であり、この第2電源装置301を制御しているのが、温度制御基板207である。
すなわち、温度制御基板207は、演出制御基板202から受信した演出コマンドに基づいて、上記第2電源装置301を制御し、ソレノイド12に所定の電流を流す。このように、ソレノイド12に電流を流せば、プランジャー13に推力が作用するとともに、この推力が軸部材14を介して可動部材3に作用する。したがって、可動部材3、つまりペルチェ素子5が待機位置から伝達位置へ移動する。
【0059】
なお、ソレノイド12に電流を流さない状態では、可動部材3(ペルチェ素子5)が、遊技者に対して熱的接触を行わない位置、すなわち、ペルチェ素子5の熱を遊技者が体感しない待機位置に保持されている。この待機位置では、表面材2aと蓄熱部材6との間の間隔を2.0mmに設定しているが、この2.0mmという間隔では、ペルチェ素子5の熱が、表面材2aを介して遊技者に伝達することはない。
【0060】
一方、第2電源装置301を制御してソレノイド12に電流を流すと、可動部材3は表面材2aに衝突する。この可動部材3が表面材2aに衝突した状態では、ペルチェ素子5の熱が、蓄熱部材6および表面材2aを介して、ハンドル1を操作する遊技者の身体部位(手もしくは指)に伝達する。したがって、遊技者は、ペルチェ素子5の熱を体感して「冷たい」と知覚することとなる。
【0061】
また、温度制御基板207のROM207aには、可動部材3を伝達位置に保持する時間が、演出コマンドごとに設定されており、CPU207bは、可動部材3を伝達位置に移動した後、所定時間経過したら当該可動部材3を再び待機位置に移動させる。
【0062】
なお、具体的には図示していないが、ハンドル1には、表面材2aの温度を検出するセンサからなる温度検出部302を設けており、この温度検出部302に温度制御基板207を接続している。そして、温度制御基板207のCPU207bは、温度検出部302が検出する温度に基づいて、上記第1電源装置300を制御するようにしている。つまり、温度制御基板207は、温度検出部302が検出する表面材2aの温度と、制御すべき温度との差を検出しており、この検出温度と、制御すべき温度との間に差がある場合には、第1電源装置300を制御して、表面材2aを所定の温度に維持するようにしている。
【0063】
(遊技の進行)
次に、上記の構成からなる遊技機の進行と演出の制御について説明する。
図5に示すように、遊技機の電源を入れると、主制御基板201のCPU201bが、ROM201aに記憶されたプログラムを起動するとともに、各基板に制御コマンドを送信する。そして、図柄表示部105、演出ライト111、ランプ211、役物部212等の演出を、待機時の演出モードに制御する。
【0064】
遊技者が遊技球を購入すると、この購入した遊技球が遊技機本体100の上皿(図示せず)に払い出されるとともに、この上皿に払い出された遊技球がハンドル1に導かれる。この状態で遊技者がハンドル1を把持して回動操作すると、ハンドル1の回動角度を発射検出部209のセンサが検出するとともに、この検出した回動角度に基づいて、主制御基板201がソレノイドを制御して、遊技球を遊技盤101に発射する。
発射された遊技球は、レール103a、103bにガイドされながら遊技領域104の上方に導かれるとともに、遊技領域104の上方から、釘に当たって方向を変えながら落下する。
【0065】
遊技領域104を落下する過程で、遊技球が普通入賞口109に入賞すると、この普通入賞口109に設けたセンサからなる普通入賞口検出部109aが、遊技球の入賞を検出するとともに、当該検出信号を主制御基板201が受信する。この検出信号を受信した主制御基板201は、賞球制御基板203に制御コマンドを送信するとともに、払出部208から遊技球を所定数払い出すように制御する。
【0066】
また、遊技球が遊技領域104を落下する過程で、入賞ゲート107に入賞すると、この入賞ゲート107に設けたセンサからなるゲート検出部107aが、遊技球の通過を検出するとともに、当該検出信号を主制御基板201に送信する。この検出信号を受信した主制御基板201は、上記したとおり、始動入賞口106に設けたアクチュエータを制御して、当該始動入賞口106を一定時間開放する。
【0067】
そして、遊技球が始動入賞口106に入賞すると、この始動入賞口106に設けたセンサからなる始動入賞口検出部106aが、遊技球の入賞を検出するとともに、当該検出信号を主制御基板201に送信する。この検出信号を受信すると制御手段200は、図6に示すようにして制御を行う。
【0068】
(ステップS1)(ステップS2)
図6は、始動入賞口106に遊技球が入賞した際の制御を簡略的に示したフローである。
始動入賞口検出部106aから入賞信号を受信すると、主制御基板201のCPU201bが大当たりの抽選を行う。この大当たりの抽選は、乱数発生手段を用いて行われ、大当たりの抽選確率を315分の1に設定している。
【0069】
(ステップS3)
そして、ステップS2において大当たりの抽選を行ったら、この大当たりの抽選結果を演出制御基板202に送信する。大当たりの抽選結果を受信した演出制御基板202は、当該抽選結果に基づいて、CPU202bを作動して、乱数発生手段を用いた演出の抽選を行う。この演出の抽選は、大当たりが確定したかあるいはハズレであったかという抽選結果を、どのように遊技者に知らせるかを決定するもので、図7、図8に示すテーブルに基づいて行われる。
【0070】
すなわち、ROM202aには、図7、図8に示すテーブルが記憶されており、CPU202bは、このテーブルに基づいて乱数発生手段を用いて演出の抽選を行う。
図7に示すように、大当たり時の抽選テーブルには、「101」〜「240」のコードが付された演出コマンドが記憶されている。この「101」〜「240」のコードが付された演出コマンドは、最終的に、横または斜めにわたるいずれかの一直線上に「7,7,7」のように同一の数字が揃うものである。
【0071】
主制御基板201の抽選結果が大当たりであった場合、演出制御基板202のCPU202bは、図7に示すテーブルに基づいて、乱数発生手段を用いた演出の抽選を行う。図からも明らかなように、この演出の抽選確率は、演出コマンドによって異なり、大当たり時に出現しやすい演出と、出現しにくい演出とが設けられている。なお、「239」および「240」のコードが付された演出コマンドは、大当たりが確定した際に0.1%の確率でしか出現しない、いわゆる「檄熱リーチ演出」である。
【0072】
一方、主制御基板201の抽選結果がハズレであった場合、演出制御基板202のCPU202bは、図8に示すテーブルに基づいて、乱数発生手段を用いた演出の抽選を行う。この演出の抽選確率も、上記と同様、演出コマンドによって異なり、ハズレ時に出現しやすい演出と、出現しにくい演出とが設けられている。なお、図8に示す100通りの演出のうち、「001」〜「010」のコードが付された演出が上記完全ハズレ演出であり、「011」〜「100」のコードが付された演出が上記リーチ演出である。
【0073】
なお、上記各演出は、図柄表示部105に表示される画像、スピーカー210から出力する音声、音楽、効果音、演出ライト111やランプ211あるいは役物部212の演出がそれぞれ異なる。したがって、CPU202bが演出の抽選を行ったら、当該抽選によって決定された演出コマンドを、図柄制御基板204、音声制御基板205、ランプ制御基板206にそれぞれ送信する。
【0074】
(ステップS4)〜(ステップS6)
上記のようにして演出コマンドが送信されたら、図柄制御基板204、音声制御基板205、ランプ制御基板206は、それぞれ送信された演出コマンドに基づいて、図柄表示部105、スピーカー210、ランプ211、演出ライト111、役物部212を制御して、種々の演出を行う。
なお、ステップS2における大当たりの抽選結果がハズレであった場合、図柄表示部105には、最終的に3つの数字が揃わない状態(「7、7、6」等)が表示される。一方、ステップS2における大当たりの抽選結果が大当たり確定であった場合、図柄表示部105には、最終的に3つの数字が揃った状態(「7、7、7」等)が表示される。
【0075】
(ステップS7)
また、上記ステップS3において決定された演出コマンドは、演出制御基板202から温度制御基板207にも送信される。温度制御基板207は、受信した演出コマンドに基づいて、第1電源装置300および第2電源装置301を制御するが、この温度制御基板207の制御は次のようにして行われる。
すなわち、温度制御基板207は、遊技者に温度変化を体感させる感覚的演出を制御しており、各演出コマンドには、図9に示すように、第1電源装置300や第2電源装置301の各制御が対応づけて記憶されている。
【0076】
例えば、演出制御基板202のCPU202bが演出の抽選をした結果、コード「100」の演出を決定したとする。演出制御基板202は、このコード「100」に対応する演出コマンドを、温度制御基板207に送信する(ステップS3)。
【0077】
(ステップS101)(ステップS102)
上記のように演出コマンドが送信されると、図10に示すように、温度制御基板207が、当該演出コマンドを解析する。解析の結果、第1電源装置300および第2電源装置301の少なくてもいずれかを制御するコマンドであった場合には、ステップS103に進み、いずれも制御しないコマンドの場合には、ステップS109に進んで待機状態となる。
なお、コード「100」に対応する演出は、1分の演出時間であり、図柄制御基板204が、図柄表示部105に1分間の映像を表示する。
【0078】
(ステップS103)
ステップS103においては、温度制御基板207が、第1電源装置300に対する制御を行うか否かを判定する。第1電源装置300を制御する場合というのは、遊技者に対して「冷たさ」を体感させる演出を行う場合であり、演出コマンドごとに「0」〜「3」の冷却レベルが記憶されている。図9において、冷却レベル「0」というのは、温度変化による演出を行わない場合を示しており、第1電源装置300を制御しないことを意味している。一方、冷却レベル「1」〜「3」というのは、温度変化による演出を行う場合であり、この冷却レベルに応じてペルチェ素子の制御温度を異にしている。本実施形態においては、冷却レベル「1」は15℃に、「2」は10℃に「3」は5℃にペルチェ素子を制御する。コード「100」の演出においては、冷却レベルが「3」なので、ステップS104に進む。ただし、冷却レベルが「0」の場合には、ステップS105に進む。なお、本実施形態においては、140通りの大当たり演出の中に、冷却レベルが「1」〜「3」の演出が約半分用意されており、90通りのリーチ演出の中にも、冷却レベルが「1」〜「3」の演出が約半分用意されている。
【0079】
(ステップS104)
上記ステップS103において、冷却レベルが「1」〜「3」のいずれかであった場合には、温度制御基板207が第1電源装置300を制御して、ペルチェ素子5に通電する。このとき、第1電源装置300の制御電流は、冷却レベルに応じて適宜決定される。なお、上記ステップS103において、冷却レベルが「0」以外の場合には、当該信号の演出コマンドの受信後、即座に温度制御基板207が第1電源装置300の電流制御を開始する。
なお、コード「100」の演出は、冷却レベルが「3」なので、ペルチェ素子5が5℃になるように第1電源装置300が制御される。
【0080】
(ステップS105)
次に、温度制御基板207は、第2電源装置301の制御を開始する。第2電源装置301は、駆動機構4を制御して可動部材3を待機位置から伝達位置へ移動させるが、図9に示すように、伝達位置への移動を開始するタイミングが、演出コマンドごとに設定されている。ここでは、演出が開始してから何秒後に可動部材3を伝達位置へ移動させるか、また、演出が開始してから何秒後に可動部材3を待機位置へ復帰させるかが設定されている。例えば、コード「100」の演出の場合、演出が開始して5秒後に可動部材3を伝達位置に移動させ、30秒後に可動部材3を待機位置に復帰させる。つまり、コード「100」の演出は、映像が1分表示される間に、遊技者にレベル3(5℃)の温度を約25秒間体感させることを意味している。
【0081】
上記のようにして駆動機構4(ソレノイド12の電流)を制御して、可動部材3が伝達位置へ移動すると、蓄熱部材6が表面材2aに接触するので、ハンドル1を介して遊技者に5℃の熱が伝達し、遊技者は「冷たさ」を体感することができる。
なお、本実施形態においては、ペルチェ素子5への通電を開始して5秒後には、当該ペルチェ素子5を設定温度に到達させることができる。したがって、可動部材3が伝達位置へ移動するときには、ペルチェ素子5および蓄熱部材6が予め設定温度に到達しており、可動部材3が伝達位置へ移動すると、表面材2aを介して遊技者に瞬時に「冷たさ」を伝達することができる。
【0082】
(ステップS106)
そして、温度制御基板207は、演出が開始してからの経過時間をカウントしており、予め設定された時間を経過したか否かを検出している。温度制御基板207が所定時間経過したと判定すると、ステップS107に進む。コード「100」の演出においては、演出が開始してから(演出コマンドを受信してから)30秒経過すると、ステップS107に進む。
なお、コード「100」の演出においては、図柄表示部105の演出時間が1分であるのに対して、遊技者が冷たさを感じる時間を25秒と短くしている。つまり、演出が開始するとすぐに、遊技者は冷たさを感じるが、演出の途中で遊技者は冷たさを感じなくなる。これに対して、コード「238」の演出は、図柄表示部105の演出時間が1分であり、このうち、前半の30秒は遊技者が冷たさを感じないが、演出の途中から遊技者が冷たさを感じるようにしている。このように、遊技者が温度変化を体感する時間を長くしたり、短くしたりするのは、遊技者の期待感に変化をもたせて演出効果を高めることにある。
【0083】
(ステップS107)(ステップS108)
温度制御基板207は、演出が開始してから所定の時間が経過したと判定すると、ステップS107において、第1電源装置300の制御すなわちペルチェ素子5への通電を停止する。ペルチェ素子5への通電が停止すると、ハンドル1を把持する遊技者の体温によって、蓄熱部材6の温度が徐々に高まるとともに、遊技者の体感する温度変化が徐々に弱まっていく。このようにして熱的接触が終了したら、温度制御基板207が第2電源装置301を制御して、駆動機構4の制御(ソレノイド12への通電)を終了し、可動部材3を待機位置へ復帰させる。
【0084】
(ステップS109)
このようにして、第1電源装置300および第2電源装置301の制御が終了したら、温度制御基板207は、次の演出コマンドが入力されるまで待機状態となる。
ここで、例えば、ハズレ演出であるコード「100」と、大当たり演出であるコード「238」とで、最終的に図柄表示部105に表示される数字以外の演出を全く同じにしておき、温度制御基板207の制御を図9に示す表のとおりにしたとする。
コード「100」の演出と、コード「238」の演出とは、どちらも演出時間や遊技者の体感温度が同じであるが、コード「100」の演出は、演出開始後すぐに遊技者が「冷たさ」を体感するが、演出の途中で「冷たさ」を感じなくなる。一方、コード「238」の演出は、演出開始後しばらくは「冷たさ」を感じないが、演出開始後30秒が経過してから遊技者が「冷たさ」を体感する。このように、温度変化を体感するタイミングを異にすることで、遊技者にさまざまな期待感を与えることが可能となり、演出の幅を非常に広くすることができる。
【0085】
すなわち、コード「100」の演出は、3つの数字が確定する前に遊技者が冷たさを感じなくなるため、演出の途中で大当たりへの期待感が減退する。一方、コード「238」の演出は、例えば、最初は一般的なリーチ演出だと思わせておき、あまり高い期待感を抱かせないようにしながら、他の役物や図柄表示部105の演出と組み合わせて徐々に期待感を高めたところで、遊技者に一気に冷たさを感じさせる。すると、徐々に高まる遊技者の期待感が一気に高揚することとなり、最終的に大当たりが確定するまでの約30秒の演出を遊技者は固唾をのんで見守ることとなる。
【0086】
そして、大当たりの際に、他の役物や図柄表示部105の演出と同時に、上記のような冷たさによる演出を体験すると、当該役物演出や図柄表示部105の演出に対するインパクトも非常に強くなる。その結果、コード「238」の演出を体験した遊技者は、コード「100」の演出がなされた際に、当然のことながら非常に高い期待感を抱くようになる。このとき、遊技者は、演出の最初に体感する「冷たさ」が持続するように切望しながら演出を見守るようになり、リーチ演出時の遊技者の期待感や楽しみも幅広くなる。
【0087】
また、例えば、コード「032」の演出は、ペルチェ素子5を10℃(レベル2)に制御して、遊技者が「冷たい」と知覚するレベルを若干弱くしている。このように、温度変化を体感する時間だけではなく、温度変化の大きさを変えることでも、遊技者にさまざまな期待感を抱かせることができる。
さらに、いわゆる「檄熱リーチ演出」であるコード「239」、「240」の演出は、ペルチェ素子5を徐々に冷たくしていく演出である。この演出は以下のようにして行われる。
【0088】
すなわち、温度制御基板207は、コード「239」、「240」の演出コマンドを受信したとき、即座に第1電源装置300を制御してペルチェ素子5を15℃に制御する。そして、演出コマンドを受信して5秒後に、第2電源装置301を制御して、可動部材3を伝達位置に移動させ、蓄熱部材6を表面材2aに接触させる。したがって、遊技者は演出が開始して5秒後に15℃の温度を体感することとなる。さらに、温度制御基板207は、上記演出コマンドを受信して30秒後に第1電源装置300を制御して、ペルチェ素子5を10℃に制御するとともに、60秒後に当該ペルチェ素子5を5℃に制御する。このように、可動部材3を伝達位置に移動させた状態で、第1電源装置300の電流を可変制御することによって、遊技者の体感温度を徐々に低くすることができる。
【0089】
また、本実施形態においては、冷却レベルを「1」〜「3」の3段階にしている。そのため、レベル「1」やレベル「2」の冷却レベルに設定した演出時には、遊技者が温度変化の発生に疑いをもつことになるが、このような疑いを遊技者に抱かせることによっても、大当たりへの期待感を遊技者にもたせるようにしている。
【0090】
また、演出の中には、チャンスボタン112の操作を促すものが含まれている。このような演出が抽選によって確定すると、図柄表示部105に「チャンスボタンを押せ」といったメッセージを表示する演出コマンドが、図柄制御基板204に送信される。これと同時に、主制御基板201は、チャンスボタン112を有効にするとともに、有効化されたチャンスボタン112が操作されると、当該操作信号がチャンスボタン検出部112aから演出制御基板202に送信される。操作信号を受信した演出制御基板202は、この操作信号に基づいて更なる演出を制御することとなるが、このとき、温度制御基板207に演出コマンドを送信して、遊技者に温度変化を体感させるようにしてもよい。
【0091】
そして、ハズレ演出の抽選の結果、温度変化を体感させない演出コマンドが決定された場合には、温度制御基板207は、第1電源装置300を制御せず、ペルチェ素子5は常温に保たれる。
ただし、本実施形態のハンドル1は、温度変化による感覚的演出のみならず、振動による感覚的演出をも行うようにしている。したがって、温度変化を体感させない演出コマンドであっても、当該演出コマンドが振動を体感させるというものであった場合には、温度制御基板207が第2電源装置301を制御して可動部材3を移動させる。
【0092】
すなわち、演出制御基板202が演出の抽選を行った結果、コード「033」の演出が決定されたとする。このコード「033」の演出は、冷却レベルが「0」なので、遊技者に温度変化を体感させることはないが、振動が「あり」なので、遊技者に振動を体感させるというものである。この振動が「あり」の演出においては、第1電源装置300の制御にかかわらず、第2電源装置301を制御することとなる。
したがって、温度制御基板207は、上記ステップS102において、「制御あり」と判定し、ステップS103に進む。このステップS103においては、冷却レベルが「0」なので、第1電源装置300を制御せずにステップS105に進む。
【0093】
そして、温度制御基板207は、このステップS105において、第2電源装置301の制御を開始して、可動部材3を移動させる。このとき、温度制御基板207のCPU207bは、可動部材3が待機位置と伝達位置との間を何度も往復運動するように第2電源装置301の電流を制御する。これにより、可動部材3は、表面材2aへの衝突を何度も繰り返すこととなり、当該表面材2aおよびハンドル1が振動して、遊技者は振動を体感することとなる。
【0094】
なお、遊技者に対して温度変化と振動とを同時に体感させたい場合には、上記のように第2電源装置301を制御しつつ、第1電源装置300も同時に制御すればよい。したがって、上記コード「100」の演出の場合には、可動部材3が表面材2aに衝突を繰り返すように電流を制御することとなる。ここで、上記のように、可動部材3が待機位置と伝達位置との間を往復運動した場合であっても、表面材2aと可動部材3との総接触時間を考慮することによって、温度変化を遊技者にしっかりと伝達することができる。
【0095】
(ステップS8)
以上のようにして各演出が終了したら、図6に示すように、ステップS8において、大当たりが確定したか否かを判定し、大当たりでなかった場合には、ステップS1に戻って、始動入賞口検出部106aが入賞信号を検出するのを待機する。
【0096】
(ステップS9)〜(ステップS11)
一方、大当たりが確定した場合には、主制御基板201が、大入賞口開閉部108bを開放する。そして、大入賞口108に遊技球が入賞すると、大入賞口検出部108aが遊技球の入賞を検出するとともに、この検出信号に基づいて、主制御基板201が賞球制御基板203に制御コマンドを送信し、払出部208から遊技球を所定数払い出す。
【0097】
上記した本実施形態の遊技機によれば、待機位置においてペルチェ素子5を設定温度に制御しておき、所定の演出コマンドが入力されたときに、当該ペルチェ素子5を熱的接触可能な伝達位置まで移動させるので、遊技者に対して所定の「冷たさ」を瞬時に体感させることができる。
【0098】
なお、操作部材に設ける駆動機構の構成は上記実施形態に限らず他の実施形態として、例えば、駆動機構4を、図11に示すステッピングモータ20によって構成してもよい。
すなわち、駆動機構4を構成するステッピングモータ20は、その出力軸20aに原動カム20bを固定している。一方、このステッピングモータ20の動力を上記可動部材3に伝達する軸部材14は、その基部14b(ステッピングモータ20側)に、出力軸20aからの力を受けるためのロッド21が接合されている。そして、このロッド21には、上記原動カム20bに係止する従動カム21aが固定されている。
【0099】
なお、従動カム21aにピン21bが固定されており、このピン21bを位置検出センサ22が検出するようにしている。この位置検出センサ22は、上記温度制御基板207に電気的に接続されており、位置検出センサ22がピン21bを検出したとき、可動部材3がストロークエンドにあると判断してステッピングモータ20を停止させる安全装置として機能する。
【0100】
そして、温度制御基板207からの指令を受けた第2電源装置301がONになると、ステッピングモータ20が一定角度回転するとともに、原動カム20bが出力軸20aと一体となって回転しながら従動カム21aに接触する。これにより、従動カム21aは、スプリング23の弾性力に抗してロッド21および軸部材14と一体となって突出側へ押し出され、可動部材3が伝達位置へ移動する。可動部材3が伝達位置へ移動する。
一方、温度制御基板207に演出終了の信号が入力されると、当該温度制御基板207が第2電源装置301を再度制御して、ステッピングモータ20を元の位置まで回転させる。すると、スプリング23の弾性力によって、従動カム21aが原動カム20bに追従しながら没入位置へ復帰するとともに、これと一体となって可動部材3が待機位置に復帰することとなる。
【0101】
上記のように、ステッピングモータ20は、その出力軸20aに接続されるカム(原動カム20b)の回転を、力を伝達すべき相手のカム(従動カム21a)を介し、回転運動を直線運動に変換して伝達するため、ソレノイド12を使用する場合に比べて、振動が小さい。したがって、可動部材3の蓄熱部材6を表面材2aに接触させる際の衝撃を抑制することができ、振動による演出効果を行う必要がない場合には、上記ソレノイド12を用いた場合に比べて特に利点が大きい。また衝撃が軽減されるので、蓄熱部材6が表面材2aに接触するときの反発が小さく、出力軸20aが回転しようとする限り、カムを通じて蓄熱部材6を表面材2aに押圧する力を与えるため、蓄熱部材6を表面材2aに面接触させた状態を維持し易く、その確実性が高い。
このように、ステッピングモータ20を用いた場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
【0102】
また、上記実施形態においては、ハンドル1によってこの発明の操作部材を構成したが、操作部材は、ハンドル1に限らず、遊技者が遊技中に操作する部材であれば、本発明の操作部材になりうる。したがって、図12に示すように、演出ボタン112によってこの発明の操作部材を構成してもよい。
すなわち、遊技機本体100の表面(着席した遊技者に対抗する面)には、上板113を設け、この上板113に形成した開口113aから、表面側カバー部材2のみを露出させている。
【0103】
上記表面側カバー部材2は、開口113aの縁と蓄熱部材6の外周面にガイドされながら、コイルスプリング等の付勢部材114によって、原位置に復帰自在に支持されている。そして、遊技者が上記表面側カバー部材2を押圧操作すると、上記付勢部材114の弾性力に抗して当該表面側カバー部材2が上板113から没入する。
一方、可動部材3の構成は可動の方向が鉛直方向、またはそれに傾斜した方向になるだけで、その構造は図2と同様である。表面側カバー部材2は周囲にフランジ2bを有し、このフランジ2bが遊技機本体100の上板113に付勢の向きに係止することで、付勢部材114に付勢された状態で安定する。なお、表面側カバー部材2は、図示の距離(L3)の範囲内で出没可能である。
【0104】
図12では遊技機本体100の内部に支持フレーム30を固定し、この支持フレーム30に、可動部材3を接続した駆動機構4を支持させている。ここでは駆動機構4にソレノイド12を使用しているが、駆動機構4には上記したステッピングモータ20やその他の駆動装置を用いても構わない。
【0105】
図12においては、ソレノイド12のプランジャー13にコ字形等に屈曲した金物31の一方を接続すると共に、他方に可動部材3の伝熱部材7を接続し、プランジャー13の出没により可動部材3を出没自在に支持している。上記伝熱部材7の背面側には、ガイドピン7aを突出させて固定しており、このガイドピン7aが、支持フレーム30に形成された案内孔30a内に挿通したまま昇降するようにしている。これにより、可動部材3は、安定した状態で出没することとなる。なお、可動部材3は、図示のL2の範囲内で移動可能である。
【0106】
そして、表面側カバー部材2は、通常、付勢部材114の弾性力によって原位置にあるが、この原位置においては、可動部材3が突出して伝達位置にあっても、当該可動部材3の蓄熱部材6と表面材2aとの間に、1.5mm程度以上のクリアランスが確保されるようにしている。
また、これと同様に、表面側カバー部材2が押圧操作されて没入状態となっても、可動部材3が没入して待機位置にあれば、蓄熱部材6と表面材2aとの間に、1.5mm程度以上のクリアランスが確保される。
一方、表面側カバー部材2が押圧操作されて没入位置にあり、かつ、可動部材3が突出して伝達位置にある場合には、表面材2aと蓄熱部材6とが接触する。したがって、表面側カバー部材2が押圧操作され、かつ、可動部材3が伝達位置にある場合にのみ、遊技者の身体部位(手もしくは指)に対して熱的接触がなされ、それ以外の場合には、熱的接触が一切なされないこととなる。
【0107】
そして、演出ボタン112に駆動機構4を設けた場合にも、当該駆動機構4は、上記と同様、温度制御基板207が第2電源装置301を制御することによって駆動される。
ただし、演出ボタン112は、上記ハンドル1とは異なり、抽選によって所定の演出が決定された場合にのみ有効となる。具体的には、既に説明したとおり、演出ボタン112は、遊技中における特定のリーチ演出に際し、図柄表示部105に、演出ボタン112の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
したがって、演出制御基板202が抽選を行い、演出ボタン112を有効にするという演出コマンドが決定された場合のみ、温度制御基板207が、第1電源装置300および第2電源装置301を制御して、遊技者に温度変化を体感させることとなる。しかも、遊技者に温度変化を体感させるのは、演出ボタン112を有効にする全ての演出コマンドではない。つまり、演出ボタン112を有効にする演出コマンドの中には、遊技者に温度変化を体感させる演出コマンドと、当該温度変化を体感させない演出コマンドとがあり、このうち、前者の演出コマンドが決定された場合のみ、遊技者に温度変化を体感させるようにしている。
【0108】
そして、演出制御基板202が、遊技者に温度変化を体感させるという演出コマンドを抽選により決定すると、温度制御基板207が、第1電源装置300を制御してペルチェ素子5を所定の温度に制御した後、第2電源装置301を制御してソレノイド12を通電し、可動部材3を伝達位置に移動させる。
可動部材3が伝達位置へ移動するのとほぼ同じタイミングで、演出制御基板202が演出ボタン112を有効化するとともに、図柄制御基板204が図柄表示部105に「演出ボタン112を押せ」というメッセージを表示する。
【0109】
可動部材3が伝達位置へ移動しても、演出ボタン112が押圧操作されていない状態では、いまだ表面材2aと蓄熱部材6との間に1.5mm程度以上のクリアランスが存在するので、表面材2aに触れたとしても、遊技者が温度変化を体感することはない。そして、この状態で遊技者が演出ボタン112を押圧操作すると、表面側カバー部材2が上板113から没入するとともに、表面材2aが蓄熱部材6に接触し、遊技者に温度変化を体感させることができる。
なお、温度変化による演出を終了する場合には、温度制御基板207が上記と同様の制御を行う。
このように、本発明の操作部材は、ハンドル1に限らず、例えば演出ボタン112のように、遊技者が何らかの操作を行う部材に広く適用することが可能である。
【0110】
なお、上記各実施形態においては、始動入賞口106に遊技球が入賞したときに、演出制御基板202が抽選を行い、この抽選結果に基づいて、温度制御基板207がペルチェ素子5に電流を流すようにしている。このように、必要なときのみ電流を流すことによって、省エネ効果を高めるようにしている。また、例えば、図9に示すように、可動部材3を伝達位置へ移動させるタイミングが、例えば、演出が開始して30秒後である場合には、演出開始後、25秒経過したところで第1電源装置301を制御してもよい。このようにすれば、より一層省エネ効果を高めることができる。
【0111】
一方、常時ペルチェ素子5に通電しておけば、演出開始と同時に可動部材3を伝達位置に移動させることによって、瞬時に遊技者に温度変化を体感させることができる。
また、第1電源装置300の制御を、演出制御基板202における演出の抽選結果に基づいて開始するのではなく、それ以前の何らかの信号に基づいて開始すれば、省エネを実現しながらも、演出開始と同時に、瞬時に温度変化を体感させることができる。このように、熱交換部材を操作部材に移動可能に設けた本発明によれば、所定の温度に到達するまでの温度変化を遊技者に悟られることなく、大きな温度変化を一気に、かつ、瞬時に体感させることが可能である。したがって、温度変化による演出の開始あるいは終了を遊技者に瞬時に認識させることができ、演出効果をタイミングよく発揮させることができる。
【0112】
しかも、上記各実施形態においては、熱交換部材をペルチェ素子で構成したが、熱交換部材は、ペルチェ素子に限らず、温度を制御することができるものであればよい。
さらに、上記各実施形態においては、遊技者に冷たさを体感させることによって、感覚的演出効果をもたらせたが、これとは逆に、熱さを体感させることによって、感覚的演出効果をもたらすようにしてもよい。いずれにしても、遊技者に対して温度変化を体感させるものであれば、その制御温度等は特に限定されるものではない。
また、上記各実施形態においては、パチンコ遊技機を用いた場合について説明したが、本発明はパチンコ遊技機に限らず、パチスロ等の他の遊技機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本実施形態の遊技機の正面図である。
【図2】(a)は駆動機構としてソレノイドを使用した場合の操作部材の構成例であり、可動部材の移動方向に平行な断面図、(b)は可動部材が伝達位置へ移動したときの断面図、(c)は可動部材が待機位置に移動したときの断面図である。
【図3】本発明の操作部材であるハンドルであって、可動部材が内蔵されていない一般的なハンドルの構成を示す斜視図である。
【図4】図3の分解図である。
【図5】制御手段の構成を示す概念図である。
【図6】制御手段の制御手順を示す図である。
【図7】大当たり演出のテーブルの一例を示す図である。
【図8】ハズレ演出のテーブルの一例を示す図である。
【図9】温度変化による演出の内容を示した図である。
【図10】温度制御基板の制御手順を示す図である。
【図11】(a)は駆動機構としてステッピングモータを使用した場合の操作部材の構成例であり、可動部材の移動方向に平行な断面図、(b)は可動部材が表面材側へ移動したときの断面図、(c)は可動部材が待機位置に移動したときの断面図である。
【図12】本発明の操作部材を演出ボタンで構成した場合の構成例である。
【符号の説明】
【0114】
1…本発明の操作部材を構成するハンドル
2…表面側カバー部材
2a…表面材
3…可動部材
4…駆動機構
5…本発明の熱交換部材を構成するペルチェ素子
6…蓄熱部材
7…伝熱部材
12…本発明の駆動機構を構成するソレノイド
13…プランジャー
14…軸部材
20…本発明の駆動機構を構成するステッピングモータ
20a…出力軸
20b…原動カム
21…ロッド
21a…従動カム
112…本発明の操作部材を構成する演出ボタン
200…制御手段
201…主制御基板
202…演出制御基板
203…賞球制御基板
204…図柄制御基板
205…音声制御基板
206…ランプ制御基板
207…温度制御基板
201a〜207a…ROM
201b〜207b…CPU
201c〜207c…RAM
300…第1電源制御部
301…第2電源制御部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が操作する操作部材と、この操作部材に移動可能に設けた熱交換部材と、この熱交換部材を移動させる駆動機構と、上記熱交換部材に電流を流して当該熱交換部材の温度を制御する制御手段とを備え、
上記駆動機構は、上記熱交換部材が操作部材を介して遊技者に直接または間接的に熱的接触する伝達位置と、上記熱的接触が解除される待機位置との間で熱交換部材を移動させてなり、
上記制御手段は、
遊技者に対する熱的接触を開始するとき、待機位置において上記熱交換部材に電流を流して当該熱交換部材を予め設定した温度に制御するとともに、上記駆動機構を制御して上記熱交換部材を伝達位置に移動させる一方、
遊技者に対する熱的接触を終了するとき、上記熱交換部材への通電を停止して熱的接触を終了することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
上記制御手段は、予め記憶した複数の演出コマンドの中から1の演出コマンドを抽選するとともに、この演出コマンドに基づいて上記駆動機構を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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