説明

遊技機

【課題】
遊技者の意図しない遊技媒体の貸し出しを防止する。
【解決手段】
遊技者による貸し出し操作に基づき遊技媒体を貸し出しする遊技媒体貸出手段を備えた遊技機において、遊技者によって、遊技機表面から奥方向へ押し込み操作可能な遊技媒体貸出操作部と、前記遊技媒体貸出操作部が前記遊技機表面に近い位置に位置する出発位置から一定距離以上押し込み操作されたことを検知して、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するために検知信号を出力する遊技媒体貸出スイッチを備えた遊技機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者による貸し出し操作に基づき遊技媒体を貸し出しする遊技媒体貸出手段を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の従来の遊技機は、図16に示されるように遊技者が意図しない球貸しボタンBBの誤操作を防止するため、球貸しボタンの前面を覆う振り子状の板状部材などの誤操作防止手段CCを設けることにより、遊技者が球貸操作を実行するためには、球貸しボタンBBの操作前に、誤操作防止手段CCを操作するという2段階の操作を遊技者に要求するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−210212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の遊技機においては、球貸操作の実行条件として、遊技者に2段階の操作を要求することにより、遊技者の球貸しボタンBBの誤操作を防止するものであるため、遊技者が球貸操作を行うためには常に2段階の操作が必要であり、球貸操作自体が煩わしいものとなるという問題があった。
【0005】
そこで本発明者らは、遊技者による貸し出し操作に基づき遊技媒体を貸し出しする遊技媒体貸出手段を備えた遊技機において、前記遊技媒体貸出スイッチが、前記遊技媒体貸出操作部が前記遊技機表面に近い位置に位置する出発位置から、遊技機表面から奥方向へ一定距離以上押し込み操作されたことを検知して、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するための検知信号を出力するという本発明の技術的思想に着眼して、さらに研究開発を重ねた結果、遊技者が意図しないで前記遊技媒体貸出操作部への誤操作が行なわれた場合において、押し込まれた前記遊技媒体貸出操作部の位置が前記一定距離に到達していない時には、遊技媒体の貸し出しが行われないため、遊技者の意図しない遊技媒体の貸し出しを防止するという目的を達成する本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(請求項1に記載の第1発明)の遊技機は、
遊技者による貸し出し操作に基づき遊技媒体を貸し出しする遊技媒体貸出手段を備えた遊技機において、
遊技者によって、遊技機表面から奥方向へ押し込み操作可能な遊技媒体貸出操作部と、
前記遊技媒体貸出操作部が前記遊技機表面に近い位置に位置する出発位置から一定距離以上押し込み操作されたことを検知して、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するために検知信号を出力する遊技媒体貸出スイッチを備えた
ものである。
【0007】
本発明(請求項2に記載の第2発明)の遊技機は、
前記第1発明において、
押し込まれた前記遊技媒体貸出操作部を、前記出発位置まで復帰力により復帰させるための復帰手段と、
遊技者による押し込み操作により前記遊技媒体貸出スイッチが配設された第1の到達位置に到達する前記遊技媒体貸出操作部が、前記復帰手段の復帰力によりその後第2の到達位置に到達して係止されるための係止機構を備えた
ものである。
【0008】
本発明(請求項3に記載の第3発明)の遊技機は、
前記第2発明において、
前記第2の到達位置で係止された前記遊技媒体貸出操作部が、遊技者によって再び奥方向へ押し込み操作された場合に、前記遊技媒体貸出スイッチが配設された第3の到達位置に到達した後、前記出発位置に復帰するように構成されている
ものである。
【0009】
本発明(請求項4に記載の第4発明)の遊技機は、
前記第3発明において、
前記遊技媒体貸出操作部が到達する前記第3の到達位置が、前記第1の到達位置と同じ位置となるように構成されている
ものである。
【0010】
本発明(請求項5に記載の第5発明)の遊技機は、
前記第2発明ないし第4発明のいずれかにおいて、
さらに遊技媒体を貯留可能な受け皿部を備えた遊技機において、
前記受け皿部に貯留された遊技媒体が一定量以下であることを検知する遊技媒体貯留量検知手段と、
前記遊技媒体貯留量検知手段の検知出力に基づき、前記遊技媒体貸出操作部を前記第2の到達位置に係止する前記係止機構の係止状態を解除することにより、前記第2の到達位置で係止された前記遊技媒体貸出操作部を、前記出発位置に復帰させるための復帰指令を出力する復帰指令手段を備えた
ものである。
【0011】
本発明(請求項6に記載の第6発明)の遊技機は、
前記第2発明ないし第5発明のいずれかにおいて、
一端が前記遊技媒体貸出操作部に回動自在に係止されるとともに、他端が移動可能な移動部材によって構成される位置決め部材と、
前記位置決め部材の他端の移動部材が係合して一方向にのみ移動可能に構成されるとともに、前記遊技媒体貸出操作部の前記第1の到達位置、第2の到達位置および第3の到達位置を決定するための前記移動部材の到達部位を備えた略Mの字状のガイド溝を備えている
ものである。
【0012】
本発明(請求項7に記載の第7発明)の遊技機は、
前記第1発明ないし第6発明のいずれかにおいて、
前記出発位置に位置する前記遊技媒体貸出操作部が、遊技機表面に対して突出した状態となるように構成される
ものである。
【0013】
本発明(請求項8に記載の第8発明)の遊技機は、
前記第1発明ないし第6発明のいずれかにおいて、
前記出発位置に位置する前記遊技媒体貸出操作部が、遊技機表面に対して面一な状態となるように構成される
ものである。
【0014】
本発明(請求項9に記載の第9発明)の遊技機は、
前記第1発明ないし第6発明のいずれかにおいて、
前記出発位置に位置する前記遊技媒体貸出操作部が、遊技機表面に対して埋没した状態となるように構成される
ものである。
【発明の効果】
【0015】
上記構成より成る本発明の遊技機は、遊技者による貸し出し操作に基づき遊技媒体を貸し出しする遊技媒体貸出手段を備えた遊技機において、前記遊技媒体貸出スイッチが、前記遊技媒体貸出操作部が前記遊技機表面に近い位置に位置する出発位置から、遊技機表面から奥方向へ一定距離以上押し込み操作されたことを検知して、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するための検知信号を出力するので、遊技者が意図しないで前記遊技媒体貸出操作部への誤操作が行なわれた場合において、押し込まれた前記遊技媒体貸出操作部の位置が前記一定距離に到達していない時には、遊技媒体の貸し出しが行われないという作用効果を奏するとともに、遊技者の意図しない遊技媒体の貸し出しを防止することが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例ないし第3実施例のパチンコ遊技機の前面を示す正面図である。
【図2】本第1実施例ないし第3実施例のパチンコ遊技機の遊技制御を行う遊技制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本第1実施例のパチンコ遊技機における収容凹部、球貸しボタン、遊技球貸出スイッチの構成を示す拡大斜視図である。
【図4】本第1実施例のパチンコ遊技機における球貸しボタンが出発位置にある時および誤操作された時の、球貸しボタンおよび遊技球貸出スイッチの各状態を示す図3におけるA視点からみた説明図である。
【図5】本第1実施例のパチンコ遊技機における球貸しボタンが一定距離押し込まれた時および出発位置に復帰した時の、球貸しボタンおよび遊技球貸出スイッチの各状態を示す図3におけるA視点からみた説明図である。
【図6】本発明の第2実施例のパチンコ遊技機における球貸装置の構成を示す拡大斜視図である。
【図7】本第2実施例のパチンコ遊技機における略Mの字状の誘導溝を示す拡大斜視図である。
【図8】本第2実施例のパチンコ遊技機における摺動端が第1基点または第2基点にある時の、摺動端と誘導溝の壁頂点との位置関係を示す平面図である。
【図9】本第2実施例のパチンコ遊技機における球貸しボタンが出発位置にある時および誤操作された時の、球貸しボタンおよび摺動端の各状態を示す説明図である。
【図10】本第2実施例のパチンコ遊技機における球貸しボタンが出発位置から一定距離押し込まれた時および第2の到達位置に復帰した時の、球貸しボタンおよび摺動端の各状態を示す説明図である。
【図11】本第2実施例のパチンコ遊技機における球貸しボタンが第2の到達位置から一定距離押し込まれた時および出発位置に復帰した時の、球貸しボタンおよび摺動端の各状態を示す説明図である。
【図12】本発明の第3実施例のパチンコ遊技機における規制ストッパを駆動するソレノイドが未通電状態および通電状態の、誘導溝における摺動端および規制ストッパの各状態を示す説明図である。
【図13】本第3実施例のパチンコ遊技機における摺動端が一つの頂点に移動した時および第2基点に係止される時の、誘導溝における摺動端および規制ストッパの各状態を示す説明図である。
【図14】本第3実施例のパチンコ遊技機における遊技球貯留検知手段また解除スイッチの検知出力に基づきソレノイドが未通電状態に切り換えられた時の、誘導溝における摺動端および規制ストッパの各状態を示す説明図である。
【図15】本発明の変形例における誘導溝の形状を示す説明図である。
【図16】従来の遊技機における振り子状の板状部材によって球貸しボタンが覆われた状態および球貸しボタンが操作可能な状態を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態について、実施例に基づき図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0018】
本第1実施例のパチンコ遊技機は、図1ないし図5に示されるように遊技者が遊技を行うに際して遊技球を必要とした時に、遊技者がパチンコ遊技機の表面に近い位置に突出して配設された球貸しボタン27を、パチンコ遊技機表面に対して奥方向へ押し込み操作することにより、遊技球貸出スイッチ50SWによって押し込まれた球貸しボタン27が検知されることにより、遊技球の貸し出し操作が行われたことが検知されると、遊技球貸出手段50によって一定量の遊技球(例えば25球)が受け皿部18へ払い出しされるように構成されているものである。
【0019】
そこでまず本第1実施例のパチンコ遊技機の全体構成について、図1に示される正面図を用いて具体的に説明する。
本第1実施例のパチンコ遊技機は、遊技機本体1が外郭となる矩形形状の外枠2を有し、当該外枠2内に納められる図示しない内枠に対して遊技盤3が着脱可能に取り付けられている。
【0020】
前面枠16は、例えば前面主要部を構成する透明なガラス窓17、下端中央の突出部に形成された受け皿部18、右端略中央部に形成された鍵穴19、上部左右および前記図示しない内枠に対して固定されたスピーカ24および前記鍵穴19下方に配設された発射ハンドル25等を備え、前記遊技盤3の前面側に前記外枠2に対して揺動開閉可能に取り付けられている。
【0021】
前記鍵穴19は、前記前面枠16の右端略中央部に配設され、当該鍵穴19に鍵を挿入して左に回すと、前記外枠2に対して前記前面枠16のみが開放され、逆に鍵を右に回すと、前記外枠2に対して前記前面枠16および前記遊技盤3が固定された前記内枠とが一体的に開放されるように構成されている。
【0022】
前記受け皿部18は、前記前面枠16の下部に配設され、前記発射ハンドル25を操作することにより発射される遊技球が貯留されるように構成されている。また、当該受け皿部18は、その上部に、貯留された遊技球の玉抜きを行うための玉抜きレバー26aや、演出やその他の所定の用途に使用される演出ボタン21等を備えた後述する操作部を備える。さらに、前記受け皿部18は、その前面略中央部に、遊技媒体貸出操作部としての遊技球の球貸しボタン27、ICカード等の返却ボタン28および残高表示部29などが配設され、その下部に、玉抜きボタン26bが配設されている。
【0023】
前記発射ハンドル25は、当該発射ハンドル25の軸部に対して相対回転可能に配設され、前記受け皿部18に貯留された遊技球を打ち出すために遊技者が回転操作する発射レバー25aと、当該ハンドル操作を行っている状態で遊技球の発射を一時的に停止させるためのウェイトボタン25bと、前記発射ハンドル25の外周部に施された導電性メッキ部を用いて、当該導電性メッキ部に接している物体の静電気容量の変化を検出することによりハンドル操作が遊技者の手によるものであるか否かを判断するタッチセンサ25cとを備える。
【0024】
前記スピーカ24は、前記前面枠16の上部左右に配設された上スピーカ24aと、図示しない前記内枠に対して配設された下スピーカ24bとを備え、各種の演出音または報知音等を出力する。
【0025】
枠ランプ76は、前記前面枠16の所定の位置に配設され、演出等と連動して点灯・点滅などの態様により各種の発光手段として機能する。
【0026】
次に本第1実施例の遊技盤の具体的構成について説明する。
前記遊技盤3は、図1に示されるように、後述するレールによって囲まれる略円形状の遊技領域3aと、当該遊技領域3aの略中央部に配設されたセンター役物4、当該センター役物4後方に配設された図柄変動装置5と、当該センター役物4下方に配設された上始動入賞口7と、当該上始動入賞口7下方に配設された可変入賞装置6と、当該可変入賞装置6下方に配設された大入賞口10と、前記センター役物左方に配設されたゲート11と、前記遊技領域3aの所定の複数箇所に配設された普通入賞口12と、遊技球を前記遊技領域3aから排出するためのアウト口13等を備える。
【0027】
外レールR1及び内レールR2は、前記遊技盤3の遊技領域3aの周囲に配設され、前記発射ハンドル25の発射レバー25aを操作することにより発射装置から発射された遊技球を前記遊技領域3aの上部に案内する。
【0028】
前記遊技領域3aは、その前面に風車37や図示しない多数の遊技釘が突設され、ここに前記発射ハンドル25を操作することにより前記発射装置によって遊技球が打ち出される。当該遊技領域3aを落下する遊技球は、前記遊技釘によりその落下方向に変化を与えられ、また、前記風車37に絡んだ遊技球は、当該風車37の回転によりその落下の勢いをほとんど妨げられずに随時左右に振り分けられる。これにより、前記遊技領域3aに打ち出された遊技球の落下態様を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
【0029】
前記センター役物4は、前記遊技盤3の略中央部に前方に開口して配設され、ステージ15、図示しない可動役物、可動役物142および図柄変動装置5等を備える。前記ステージ15は、前記センター役物4の下部に左右方向および前後方向に延在して配設され、当該ステージ15上に導かれた遊技球を転動させるための転動面等を備える。
【0030】
前記可動役物は、前記センター役物4の周囲(例えば上方、下方、左方または右方)に可動自在に配設され、各種の演出に対応して、独立してまたは映像や音声と連動して作動するとともに、遊技者の視界の可視容易な位置に可動役物142が移動またはおよび動作を行う形態や、遊技者の視界の可視困難な位置である前記センター役物4の左方後方に配設された図示しない可動役物が移動またはおよび動作することにより遊技者の視界の可視容易な位置である前記図柄変動装置5の前方に出現する形態などの様々な態様で可動することにより出没して演出を盛り上げる。
【0031】
また前記可動役物は、作動時などにおいて一例として白、青、黄、緑、赤または虹色などに発光して、効果的な光飾演出を実現するために、一例としてLED、ランプその他によって構成される発光手段を備える。
【0032】
さらに前記図柄変動装置5は、前記遊技盤3の略中央部に位置する開口部に対して後方から配設され、装飾図柄等の各種の図柄を変動表示および停止表示、停止図柄予告の表示、ステップアップ予告の切り換え表示といったそれぞれの演出や遊技状態に応じた演出画像等を表示する液晶画面90をその前面に備える。
【0033】
ここで前記図柄変動装置5に変動表示される装飾図柄は、上始動入賞口7又は下始動入賞口8への遊技球の入賞を契機として、例えば液晶画面の上方から下方に流れるように変動するなどして、停止図柄が予め定められた図柄の組合せ、例えば「7・7・7」のように同一図柄の組合せや所定の停止図柄態様となった場合等に大当り状態となるように構成されている。
【0034】
なお識別情報としての装飾図柄は、数字図柄、アルファベット図柄、記号図柄等に、装飾用のデザインなどを組み合わせたもの、さらにキャラクターを象った図柄や実写図柄、ムービー演出等の機能を併せ持つ図柄等その他の態様の図柄が適宜使用可能であるとともに、当該装飾図柄を何種類備えた構成とするかは適宜設定可能である。
【0035】
また前記可変入賞装置6は、前記センター役物4の下方であって、前記上始動入賞口7の真下に配設され、前記下始動入賞口8、電動チューリップ9とから構成される。前記上始動入賞口7および下始動入賞口8は、これらに遊技球が入賞すると大当り抽選を行うとともに前記図柄変動装置5の装飾図柄を変動表示させる契機となる。また、前記電動チューリップ9は、前記下始動入賞口8の左右に対向配設され、揺動支持端を支点として揺動自在に開閉動する左右一対の可動片を備え、普通図柄の抽選結果に応じて当該可動片を開閉動させる。
【0036】
さらに前記大入賞口10は、前記可変入賞装置6の下方に配設され、大当り抽選に当選して大当り遊技状態となった場合に複数回開閉動して、前記遊技領域3aを流下する遊技球を入賞させ得るよう構成されている。
【0037】
また前記ゲート11は、前記センター役物4の左側に配設され、遊技球の通過を契機として普通図柄の抽選を行い、その抽選に当選した場合に前記電動チューリップ9の開放を行う。
さらに、前記普通入賞口12は、前記遊技領域3aの所定の複数箇所に配設され、何ら抽選と関係なく、そこに入賞することによって規定個数の遊技球が賞球されるよう構成されている。
【0038】
さらに前記遊技盤3は、図1において拡大して示すように、その右下部に、第1特別図柄表示器32a、第2特別図柄表示器32b、第1特別図柄保留ランプ30a、第2特別図柄保留ランプ30b、普通図柄表示器33、普通図柄保留ランプ31を備え、その他にも右打ち指示部や遊技状態表示部などの各種の表示部を備える。
【0039】
前記第1特別図柄表示器32aは、前記上始動入賞口7への遊技球の入賞を契機として特別図柄の変動表示を行うものであり、9個の表示窓に所定の態様で点灯表示することにより大当りの抽選結果を表示するものである。大当りに当選した場合には、例えば図中左から2番目の表示窓および図中左から5番目の表示窓にランプを点灯表示する等、複数種類の予め定められた所定の大当り表示態様でそれに対応する大当り種別を報知し、一方小当りやハズレであった場合には、前記大当り表示態様とは異なる態様で点灯表示を行うものである。
【0040】
同様に前記第2特別図柄表示器32bは、前記下始動入賞口8への遊技球の入賞を契機として特別図柄の変動表示を行うものであり、9個の表示窓に所定の態様で点灯表示することにより大当りの抽選結果を表示するものである。当該第2特別図柄表示器32bの大当り表示態様は、前記第1特別図柄表示器32aの大当り表示態様と同一態様であっても異なる態様であっても適宜設定することができる。
【0041】
なお装飾図柄は、これらの特別図柄の変動表示に伴い前記図柄変動装置5において変動表示され、特別図柄の抽選を視覚的に演出するために用いられる。また装飾図柄の最終停止図柄態様は、特別図柄の抽選結果に基づき装飾図柄乱数等を参酌して決定される。
【0042】
前記第1特別図柄保留ランプ30aは、前記上始動入賞口7への入賞を契機とした第1特別図柄の大当り抽選権利の保留数(第1保留数)を点灯表示するものであり、同様に前記第2特別図柄保留ランプ30bは、前記下始動入賞口8への入賞を契機とした大当り抽選権利の保留数(第2保留数)を点灯表示するものである。
【0043】
第1保留数および第2保留数は、それぞれ上限保留数が4個に設定されており、例えば第1保留数が1個の場合には、前記第1特別図柄保留ランプ30aの左側の表示窓にランプが点灯し、第1保留数が2個の場合には、前記第1特別図柄保留ランプ30aの右側の表示窓にランプが点灯する。さらに第1保留数が3個の場合には、前記第1特別図柄保留ランプ30aの左側の表示窓にランプが点滅表示され、第1保留数が4個の場合には、前記第1特別図柄保留ランプ30aの右側の表示窓にランプが点滅表示される。なお、前記第2特別図柄保留ランプ30bによる第2保留数の表示態様もこれと同様である。
【0044】
前記普通図柄表示器33は、前記遊技領域3aを流下する遊技球が前記ゲート11を通過することを契機として普通図柄の変動表示を行うとともに、普通図柄の抽選結果を報知するものである。例えば当たりに当選した場合には、前記普通図柄表示器33の左側の表示窓にランプが点灯し、一方ハズレであった場合には、右側の表示窓にランプが点灯する。
【0045】
前記普通図柄保留ランプ31は、普通図柄の抽選権利の保留数を点灯表示するものであり、その上限保留数および表示態様は、前記第1特別図柄保留ランプ30aおよび前記第2特別図柄保留ランプ30bと同様である。
【0046】
次に本第1実施例のパチンコ遊技機の遊技制御を行う遊技制御装置の構成について、図2に示されるブロック図を用いて説明する。
当該遊技制御装置は、パチンコ遊技機全体の主たる制御を行う主制御基板40を備えるとともに、副制御基板として、遊技の演出全体を制御する演出制御基板50、画像や音声を制御する画像・音声制御基板60、各種の発光手段および可動役物を制御するランプ制御基板70および賞球を制御する払出制御基板80等を備える。
【0047】
以下主制御基板40、演出制御基板50、画像・音声制御基板60、ランプ制御基板70および払出制御基板80のそれぞれの具体的構成について説明する。
【0048】
まず初めに主制御基板について説明する。
前記主制御基板40は、CPU41、ROM42、RAM43および入出力インターフェースI/O(以下、I/Oという)44、45を有し、前記パチンコ遊技機全体の主たる基本的な制御を行う。
前記CPU41は、各種の乱数値を所定の周期ごとに更新処理等している。また、前記ROM42は、前記パチンコ遊技機全体を制御するための主制御プログラムや演出のベースとなる複数種類の変動パターン等を記憶保持している。さらに、前記RAM43は、前記パチンコ遊技機の制御中に随時書き換え等される乱数値などが所定の記憶領域に記憶されるように構成されている。
また前記I/O44は、前記可変入賞装置6の前記上始動入賞口7に設けられた上始動入賞口SW7aや前記下始動入賞口8に設けられた下始動入賞口SW8a、前記ゲート11に設けられたゲートSW11aとが接続される。さらに、当該I/O44は、その他にも前記遊技盤3の前記普通入賞口12に設けられた普通入賞口SW12a、前記大入賞口10に設けられた大入賞口SW10a、前記大入賞口10の開閉扉を開閉動作させるための大入賞口ソレノイド10s、前記可変入賞装置6に備えられた前記電動チューリップ9を開閉動作させるための電チューソレノイド9sなどが接続されている。
一方前記I/O45は、前記演出制御基板50に設けられているI/O55および前記払出制御基板80に設けられているI/O84とが接続され、前記主制御基板40の前記CPU41は、前記演出制御基板50に対して演出制御信号を出力するとともに、前記払出制御基板80との間では互いに各種の制御信号のやりとりをして双方向通信を行う。
【0049】
前記主制御基板40の前記CPU41は、前記ROM42に格納された主制御プログラムに基づいて、メイン処理およびタイマ割込処理を実行する。
【0050】
前記演出制御基板50は、CPU51、ROM52、RAM53およびI/O55、56、57を有し、前記主制御基板40からの制御信号に基づき、前記画像・音声制御基板60および前記ランプ制御基板70を統括的に制御し、演出全体の制御を行う。
前記演出制御基板50の前記CPU51は、各種の乱数値を所定周期毎に更新処理等する。また、前記ROM52は、前記画像・音声制御基板60および前記ランプ制御基板70を統括的に制御するための演出制御プログラム等が記憶されている。さらに、前記RAM53は、前記パチンコ遊技機の制御中に随時書き換え等される乱数値などが所定の記憶領域に記憶されるように構成されている。
【0051】
また前記I/O55は、前記主制御基板40の前記I/O45と前記操作部とが接続され、前記主制御基板40の前記CPU41からの制御信号が入力されるとともに、前記操作部の例えば前記演出ボタン21等が操作されたことを示す検出信号などが入力される。
さらに前記I/O56は、前記画像・音声制御基板60のI/O64が接続され、前記演出制御基板50の前記CPU51は、前記主制御基板40からの制御信号に基づき、前記画像・音声制御基板60に対して画像制御信号および音声制御信号を出力する。
また前記I/O57は、前記ランプ制御基板70のI/O74が接続され、前記演出制御基板50の前記CPU51は、前記主制御基板40からの制御信号に基づき、前記ランプ制御基板70に対してランプ制御信号を出力する。
【0052】
前記演出制御基板50の前記CPU51は、前記RAM53に格納された演出制御プログラムに基づいて、メイン処理およびタイマ割込処理を実行する。
【0053】
次に画像・音声制御基板について説明する。
前記画像・音声制御基板60は、CPU61、ROM62、RAM63およびI/O64,65を有し、前記主制御基板40および前記演出制御基板50からの制御信号に基づき、画像及び音声の制御を行う。
前記ROM62は、前記図柄変動装置5の表示内容を制御するための表示制御プログラムや前記スピーカ24を制御するための音声制御プログラムが記憶されているとともに、各種の画像データや音声データが記憶されている。また、前記RAM63は、前記パチンコ遊技機の制御中に随時書き換え等される各種の情報が所定の記憶領域に記憶されるように構成されている。
さらに、前記I/O65は、前記図柄変動装置5および前記スピーカ24等が接続され、前記画像・音声制御基板60の前記CPU61は、前記主制御基板40および前記演出制御基板50からの制御信号に基づき、前記図柄変動装置5の表示内容や前記スピーカ24の出力態様を制御する。
【0054】
次にランプ制御基板について説明する。
前記ランプ制御基板70は、CPU71、ROM72、RAM73およびI/O74、75を有し、各種のランプ制御を行う。
前記ROM72は、各種の発光手段の発光態様を制御するためのランプ制御プログラムなどが記憶されている。また前記RAM73は、前記パチンコ遊技機の制御中に随時書き換え等される各種の情報が所定の記憶領域に記憶されるように構成されている。
さらに前記I/O75は、各種の発光手段、例えば枠ランプ76、盤ランプ77、発光手段141Lおよび142L、前記演出ボタン21内に配設されたボタンLED79等が接続され、前記ランプ制御基板70の前記CPU71は、前記主制御基板40および前記演出制御基板50からの制御信号に基づき、これらの発光手段の発光態様を制御するとともに、前記可動役物142等の駆動機構を制御するための制御信号を出力するものである。
【0055】
次に払出制御基板について説明する。
前記払出制御基板80は、CPU81、ROM82、RAM83、I/O84、85を有し、前記払出制御基板80の前記CPU81は、前記主制御基板40からの払出制御信号に基づいて、前記I/O85に接続されている払出駆動モータ86の駆動制御を行う。また、当該I/O85は、その他にも定位置検出SW87aや、払出球検出SW87b、玉有り検出SW87c、満タン検出SW87d等が接続され、これらのスイッチの検出信号などが随時入力される。
【0056】
本第1実施例における遊技媒体貸出手段は、一例として前記球貸しボタン27が遊技者によって一定距離以上押し込み操作されたことを検知して前記主制御基板40へ検知信号を出力する遊技球貸出スイッチ50SWと、当該遊技球貸出スイッチ50SWの検知信号を受信して、前記払出制御基板80へ払出制御信号を出力する前記主制御基板40における制御プログラムと、前記払出制御信号を受信して前記払出駆動モータ86へ一定量の遊技球(例えば25球)の払出しを指令する前記払出制御基板80の制御プログラムおよび前記払出駆動モータ86の機能によって実現されるように構成されているものである。
【0057】
次に本第1実施例のパチンコ遊技機の遊技媒体の貸し出しに関する遊技媒体貸出操作部としての前記球貸しボタン27、遊技球貸出スイッチ50SW等の構成の一例について、図3を用いて具体的に説明する。
【0058】
前記球貸しボタン27は、図3ないし図5に示されるように立方体状部材によって構成され、パチンコ遊技機表面Sから奥方向(図中下方向)に介挿自在となるように形成された直方体状の収容凹部27Sに収容され、図4(a)に示されるように遊技者に押し込み操作されていない状態においては、表面が前記収容凹部27Sの上端(すなわちパチンコ遊技機の表面S)に対して一部突出した状態に維持されるとともに、裏面には当該球貸しボタン27の位置を出発位置に維持するための復帰手段としてのバネ52の一端が係止される。
【0059】
前記バネ52の他端は、前記収容凹部27Sの下端に形成された底面Bに係止される。
【0060】
前記収容凹部27Sの底面Bの中央部分には、一定長さの幅を有した高台部550に形成された接点部材55によって前記遊技球貸出スイッチ50SWが構成されるとともに、当該遊技球貸出スイッチ50SWは、遊技者の前記球貸しボタン27の表面への押圧押し込み操作に基づいて、前記球貸しボタン27が前記収容凹部27Sの奥方向(図中下方向)へと摺動した場合に、前記球貸しボタン27の裏面に押圧されることにより前記球貸しボタン27への遊技者の押し込み操作があったことを検知する。
【0061】
前記遊技球貸出スイッチ50SWは、図3に示されるように一端が固着されたバネ材より成る薄板状矩形部材の片持梁構造の揺動部材54と、前記揺動部材54の自由端の他端に回転自在に配設されたローラ状部材53とから成り、図5(a)に示されるように遊技者の押し込み操作により前記球貸しボタン27が前記収容凹部27Sの図中下方へ一定距離L以上移動した際に、前記球貸しボタン27の裏面によって押圧され前記ローラ部材53が下方に揺動するので、前記ローラ部材53に連動して前記揺動部材54が図中反時計方向に揺動するため、上方に突出している接点部材55と揺動した前記揺動部材54の下面とが当接することにより、遊技者の前記球貸しボタン27への一定距離L以上の押し込み操作がされたことを検知する。
【0062】
次に本第1実施例のパチンコ遊技機において、遊技者が行う球貸しのための押し込み操作による前記球貸しボタン27の移動および前記遊技球貸出スイッチ50SWによる球貸し操作の検知の流れについて具体的に説明する。
【0063】
最初に遊技者による前記球貸しボタン27への球貸し操作が行なわれていない時は、図4(a)に示されるように復帰手段としての前記バネ52の復帰力により、前記球貸しボタン27は、下部の突起部27Pが前記収容凹部27Sの上部に突出形成された突起部27SPと係合することによって、出発位置としての遊技者が操作する表面が前記パチンコ遊技機表面Sに対して突出した状態に維持されるとともに、前記遊技球貸出スイッチ50SWの揺動部材54と接点部材55は非接触状態であるため、遊技球の球貸しは行われない状態である。
【0064】
ここで一例として遊技球の球貸しを意図していない遊技者の腕が触れてしまうことまたは遊技者の球貸しを意図しない誤操作などにより、前記球貸しボタン27が図中下方へ押圧された場合においては、図4(b)に示されるように前記球貸しボタン27は前記収容凹部27S内において図中下方に移動することになるが、当該移動距離が前記遊技球貸出スイッチ50SWが遊技者の球貸しのための押し込み操作を検知する一定距離Lに到達しないため、前記遊技球貸出スイッチ50SWの揺動部材54と接点部材55は非接触状態であり、遊技者の意図しない遊技球の球貸しは行われない。
【0065】
次に遊技球の球貸しを必要とした遊技者が、前記球貸しボタン27を一定距離L以上押し込み操作することにより、遊技球の球貸しが実行される場合においては、図5(a)に示されるように前記バネ52の復帰力に逆らって前記球貸しボタン27が前記収容凹部27S内の図中下方に少なくとも一定距離L移動することにより、前記遊技球貸出スイッチ50SWの揺動部材54と接点部材55とが接触状態となり、検知信号が出力されることによって遊技球の球貸しが実行される。
【0066】
遊技球の球貸しが行われた後、遊技者が前記球貸しボタン27への押し込み操作を解除すると、前記球貸しボタン27に対する図中下方への押圧力が無くなるため、前記球貸しボタン27は、前記バネ52の付勢力による復帰力により図5(b)に示されるように、前記球貸しボタン27が押し込み操作される前の出発位置に復帰する。
【0067】
以下上記構成より成る本第1実施例のパチンコ遊技機の作用および効果について説明する。
【0068】
本第1実施例のパチンコ遊技機は、遊技者の押し込み操作によって、前記受け皿部18の表面Sに対して若干突出した出発位置に係止される前記球貸しボタン27が、前記一定距離L以上押し込み操作されたことが、前記遊技球貸出スイッチ50SWによって検知されると、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するための検知信号を出力するので、遊技球の貸し出しを実現するという作用効果を奏するとともに、遊技者が意図しないで前記球貸しボタン27への誤操作が行なわれた場合において、押し込まれた前記球貸しボタン27の位置が前記一定距離Lに到達していない時には、遊技球の貸し出しが行われないため、遊技者の意図しない遊技球の貸し出しを防止することが出来るという効果を奏する。
【0069】
本第1実施例のパチンコ遊技機は、遊技者が遊技球の貸し出しを望んで前記球貸しボタン27への押し込み操作を行う場合には、遊技機表面Sに対して突出した状態の前記出発位置に位置する前記球貸しボタン27を押し込めばよいので、前記球貸しボタン27への遊技者の貸し出し操作を容易にするという効果を奏する。
【0070】
本第1実施例のパチンコ遊技機は、遊技者によって押し込み操作された前記球貸しボタン27が、前記バネ52の復帰力によって遊技者にとって次回の球貸し操作が容易となる前記出発位置まで復帰するため、遊技者の必要に応じて常に球貸し操作が行ない易いパチンコ遊技機を提供出来るという効果を奏する。
【実施例2】
【0071】
本第2実施例のパチンコ遊技機は、図6ないし図11に示されるように遊技者が遊技を行うに際して遊技球を必要とした時に、遊技者がパチンコ遊技機の表面に近い位置に面一な状態となるように配設された球貸しボタン227を、パチンコ遊技機表面から奥方向へ押し込み操作することにより、遊技球貸出スイッチ250SWによって、前記球貸しボタン227と位置決め部材としての連結部材201によって繋がれた移動部材としての摺動端202が2つの頂点のいずれかに移動したことが検知されることにより、遊技球の貸し出し操作が行われたことが検知されると、前記遊技球貸出手段50によって一定量の遊技球(例えば125球)が前記受け皿部18へ払い出しされるように構成されているものである。
【0072】
また本第2実施例における球貸装置220は、遊技媒体貸出操作部を構成するもので、図6に示されるように前記球貸しボタン227と、前記連結部材201と、前記摺動端202と、前記摺動端202の移動経路を誘導する略Mの字状の誘導溝203と、一端が前記誘導溝203が形成されたガイド部材204に係止されるとともに、他端が前記球貸しボタン227の裏面(遊技者が押し込み操作する面を表面とする)に係止されることにより、前記球貸しボタン227を出発位置または第2の到達位置に係止するために前記球貸しボタン227に対して図中右上方向への付勢力を付加するバネ252を備える。
【0073】
前記球貸しボタン227は、図6に示されるように遊技者の押し込み操作によって押圧される操作面227Hと、前記球貸装置220の両壁面の上部に形成された凹部に係合して、遊技者によって押し込み操作された際に、当該球貸しボタン227の位置を調整するためのスライド部材228から構成される。
【0074】
前記誘導溝203は、図7に示されるように図中左回りの一方向にのみ前記摺動端202を移動させるために、溝の深さが異なる前記球貸しボタン227の出発位置に対応する第1基点と、前記摺動端202の移動に伴い溝の深さが徐徐に浅くなる第1移動部位と、前記球貸しボタン227の第1の到達位置に対応する図示しない前記遊技球貸出スイッチ250SWが配設された一つの頂点T1を含む第2移動部位と、前記球貸しボタン227の第2の到達位置に対応する第2基点と、前記球貸しボタン227の第3の到達位置に対応する図示しない前記遊技球貸出スイッチ250SWが配設されたもう一つの頂点T2を含む第3移動部位とから構成される。
【0075】
前記誘導溝203の深さは、前記第1基点および第3移動部位、第2基点、第2移動部位の順序で深いものであり、前記第1移動部位は前記第1基点および第3移動部位と同じ深さから、少なくとも前記第2移動部位の深さよりも浅くなる深さまで徐徐に溝が浅くなるように形成される。
略Mの字状の前記誘導溝203は、上述した前記誘導溝203の深さの違いにより、前記摺動端202の前記第2移動部位から第1移動部位への移動、前記第2基点から第2移動部位への移動、前記第3移動部位から第2基点への移動を干渉して前記摺動端202の移動方向を図中左回りの一方向へと誘導するように構成される。
【0076】
前記誘導溝203は、図8に示されるように前記摺動端202が前記第1基点に位置する時には、前記摺動端202の中心が前記誘導溝203の壁頂点L1より右側に位置するので、遊技者の押し込み操作によって前記摺動端202が図中上方へ付勢されると、前記摺動端202は図中右方向すなわち前記誘導溝203を左回りに移動するように構成されている。
【0077】
同様に前記誘導溝203は、図8に示されるように前記摺動端202が前記第2基点に位置する時には、前記摺動端202の中心が前記誘導溝203の壁頂点L2より左側に位置するので、遊技者の押し込み操作によって前記摺動端202が図中上方へ付勢されると、前記摺動端202は図中左方向すなわち前記誘導溝203を左回りに移動するように構成されている。
【0078】
次に本第2実施例のパチンコ遊技機において、遊技者が行う球貸しのための押し込み操作による前記球貸しボタン227の移動、当該球貸し操作に基づく前記摺動端202の前記誘導溝203内での移動位置および前記遊技球貸出スイッチ250SWによる球貸し操作の検知の流れについて具体的に説明する。
【0079】
最初に遊技者による前記球貸しボタン227への球貸し操作が行なわれていない時は、図9(a)に示されるように復帰手段としての前記バネ252の復帰力により、前記球貸しボタン227は、奥部の突起部227Pが前記球貸装置220が収容される収容凹部227Sの開口部に突出形成された突起部227SPと係合することによって、出発位置としての遊技者が操作する表面が前記パチンコ遊技機表面S(具体的には前記受け皿部18の一部の表面)に対して面一の状態に維持されるとともに、前記摺動端202は前記誘導溝203の前記第1基点に位置しているため、遊技球の球貸しは行われない状態である。
【0080】
ここで一例として遊技球の球貸しを意図していない遊技者の腕が触れてしまうことまたは遊技者の球貸しを意図しない誤操作などにより、前記球貸しボタン227が図中上方へ押圧された場合においては、図9(b)に示されるように前記球貸しボタン227は前記収容凹部227S内において図中上方に移動することになるが、当該移動距離が前記遊技球貸出スイッチ50SWが遊技者の球貸しのための押し込み操作を検知する一定距離L(すなわち前記摺動端202が前記誘導溝203の一つの頂点T1に移動した時の距離)に到達しないため、遊技者の意図しない遊技球の球貸しは行われないとともに、前記球貸しボタン227は、前記バネ252の復帰力により図9(a)に示される出発位置まで復帰する。
【0081】
次に遊技球の球貸しを必要とした遊技者により、前記球貸しボタン227へ十分な押し込み操作がされると、図10(a)に示されるように前記球貸しボタン227が、前記バネ252の付勢力に抗して前記収容凹部227S内を図中上方に一定距離L移動することにより第1の到達位置に到達するとともに、前記摺動端202が前記誘導溝203の前記一つの頂点T1まで移動したことが前記遊技球貸出スイッチ250SWとの接触によって検知されて検知信号が出力されることによって遊技球の球貸しが実行される。
【0082】
図10(a)の状態において遊技球の球貸しが行われた後、遊技者が前記球貸しボタン227への押し込み操作を解除すると、前記球貸しボタン227および前記摺動端202に対する図中上方への押圧力が無くなるため、前記球貸しボタン227および前記摺動端202は、前記バネ252の付勢力による復帰力により図中下方へ付勢されるが、上述したように前記摺動端202は、前記誘導溝203の前記第1移動部位と第2移動部位との異なる深さから生じる段差によって前記第2移動部位から第1移動部位への移動を干渉されるため、図10(b)に示されるように前記摺動端202は、前記第1移動部位へと移動することなく前記第2基点へと移動して係止するとともに、当該摺動端202が前記第2基点に係止することに伴い前記球貸しボタン227は第2の到達位置において係止される。
【0083】
次に遊技球の球貸しを必要とした遊技者が、前記遊技機表面Sに対して凹状態である前記球貸しボタン227の操作面227Hを再び押し込み操作すると、図11(a)に示されるように前記球貸しボタン227が第3の到達位置に到達するとともに、前記摺動端202は、係止状態が解除されて前記誘導溝203を左回りに移動して前記もう一つの頂点T2まで移動して、当該摺動端202の前記もう一つの頂点T2までの移動が前記遊技球貸出スイッチ250SWとの接触によって検知されて検知信号が出力されることによって、再び遊技球の球貸しが実行される。
【0084】
上述したように図11(a)に示される状態において遊技球の貸し出しが実行された後、遊技者が前記球貸しボタン227への押し込み操作を止めると、図11(b)に示されるように前記球貸しボタン227は前記バネ252の復帰力により、前記出発位置まで復帰して係止されるとともに、同様に前記摺動端202は前記誘導溝203の前記第1基点まで戻って係止される。
【0085】
以下上記構成より成る本第2実施例のパチンコ遊技機の作用および効果について説明する。
【0086】
本第2実施例のパチンコ遊技機は、遊技者の押し込み操作によって、前記受け皿部18の表面Sに対して面一となる出発位置に係止される前記球貸しボタン227が、前記一定距離L以上押し込み操作されたことが、前記遊技球貸出スイッチ250SWによって検知されると、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するための検知信号を出力するので、遊技球の貸し出しを実現するという作用効果を奏するとともに、遊技者が意図しないで前記球貸しボタン227への誤操作が行なわれた場合において、押し込まれた前記球貸しボタン227の位置が前記一定距離Lに到達していない時には、遊技球の貸し出しが行われないため、遊技者の意図しない遊技球の貸し出しを防止することが出来るという効果を奏する。
【0087】
本第2実施例のパチンコ遊技機は、遊技者によって押し込み操作された前記球貸しボタン227の移動に応じて移動する前記摺動端202が、前記遊技球貸出スイッチ250SWが配設された前記一つの頂点T1に到達した後、前記バネ252の復帰力に基づいて前記係止機構としての前記誘導溝203の前記第2の移動部位を辿って前記第2基点に係止されることにより、前記球貸しボタン227が前記第2の到達位置に係止されるので、遊技者による押し込み操作により遊技球の貸し出しが行われた後、前記球貸しボタン227が前記出発位置と前記第1の到達位置の中間の前記第2の到達位置に係止されることにより、遊技者の前記球貸しボタン227への誤操作を防止することにより、遊技者の意図しない遊技球の貸し出しを防止するという効果を奏する。
【0088】
本第2実施例のパチンコ遊技機は、前記第2の到達位置で係止された前記球貸しボタン227が、遊技者によって再び奥方向へ押し込み操作された場合に、前記球貸しボタン227の移動に応じて移動する前記摺動端202が、前記遊技球貸出スイッチ250SWが配設された前記誘導溝203の前記もう一つの頂点T2まで移動して遊技球の球貸しが行われた後、前記バネ252の復帰力によって前記球貸しボタン227が前記出発位置に復帰するので、遊技球の貸し出しを意図しない遊技者の前記第2の到達位置(すなわち前記遊技機表面Sに対して奥方向へ進入した位置)で係止された前記球貸しボタン227への誤操作を防止し、前記出発位置への自動的復帰を可能にするとともに、遊技媒体の貸し出しを意図している遊技者の前記出発位置まで復帰した前記球貸しボタン227への押し込み操作を可能にするという効果を奏する。
【0089】
本第2実施例のパチンコ遊技機は、一端が前記球貸しボタン227に回動自在に係止された前記連結部材201の他端の前記摺動端202が、前記球貸しボタン227の前記第1の到達位置、第2の到達位置および第3の到達位置を決定するための前記摺動端202の到達部位を備えた略Mの字状の前記誘導溝203に係合して一方向にのみ移動するので、前記略Mの字状の誘導溝203によってガイドされた前記摺動端202の移動に応じて前記球貸しボタン227が移動することにより、前記球貸しボタン227の移動動作および到達位置を確実なものとして、前記出発位置から再び前記出発位置に戻るまでの1サイクルにおいて、前記球貸しボタン227の2回の押し込み操作に基づき、前記球貸しボタン227が前記第1の到達位置または第3の到達位置に移動して、前記遊技球貸出スイッチ250SWによって当該球貸しのための押し込み操作が検知されることにより行われる2回の遊技球の貸し出しを確実に実行することが出来るという効果を奏する。
【0090】
本第2実施例のパチンコ遊技機は、前記球貸しボタン227が前記出発位置にある状態において、遊技者が遊技球の貸し出しを望んで前記球貸しボタン227への押し込み操作を行う場合においても、遊技機表面Sに対して面一な状態の前記出発位置に位置する前記球貸しボタン227を押し込むものであるので、遊技者による前記球貸しボタン227への意図しない貸し出し操作の可能性を低下させるため、遊技球の貸し出しを意図しない遊技者の誤操作を防止することが出来るという効果を奏する。
【実施例3】
【0091】
本第3実施例のパチンコ遊技機は、図12ないし図14に示されるように遊技者が遊技を行うに際して遊技球を必要とした時に、遊技者がパチンコ遊技機の表面に近い位置に収納した状態となるように配設された球貸しボタン327を、パチンコ遊技機表面から奥方向へ押し込み操作することにより、前記球貸しボタン327と位置決め部材としての連結部材301によって繋がれた移動部材としての摺動端302が誘導溝303の第1の溝3031に沿って頂点T3に移動したことが遊技球貸出スイッチ350SWによって検知されることにより、遊技者による遊技球の貸し出し操作が行われたことが検知されると、前記遊技球貸出手段50によって一定量の遊技球(例えば200球)が前記受け皿部18へ払い出しされるとともに、前記受け皿部18に貯留されている遊技球の貯留量が一定量以上有る状態においては、前記球貸しボタン327が出発位置からさらに奥部において係止されることにより、球貸し操作を困難として、無駄な球貸しを防止するための機構を備えるものである。
【0092】
また本第3実施例のパチンコ遊技機は、前記受け皿部18に貯留されている遊技球が一定量(例えば受け皿部18に貯留可能な遊技球の最大量の半分の量)存在するかどうかを検知する遊技球貯留量検知手段318と、該遊技球貯留量検知手段318または前記遊技球貸出スイッチ350SWの検知出力に基づき、前記誘導溝303の第2の溝3032における前記摺動端302の球貸しが可能になる第1基点への移動を規制する規制ストッパ319と、前記遊技球貯留量検知手段318からの引力によりコントローラからの駆動出力により前記規制ストッパ319を軸方向に移動すべく駆動するソレノイド319Sと、前記摺動端302の移動経路を誘導する略Mの字状の前記誘導溝303の第3の溝3033を備えた点などが、上述の第1実施例または第2実施例との相違点であり、以下相違点を中心に説明して、同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
なお前記受け皿部18において貯留可能な遊技球の最大量は、一例として300球であるものとして説明する。
【0093】
遊技球貯留量検知手段318は、前記受け皿部18の遊技球が貯留される領域の底面の略中央部に配設された電磁誘導法を用いたコイル式センサーなどの金属感知センサーによって構成され、当該金属感知センサーの磁場変化の感知状態によって、遊技球が所定方向に偏って貯留されるように、所定方向に傾斜して形成された前記受け皿部18の遊技球が貯留される領域の、おおよそ中央位置まで遊技球が存在するかどうかを検知することにより、前記受け皿部18において貯留可能な遊技球の最大量の約半分の量の遊技球が貯留されているかどうかを検知可能に構成される。
【0094】
本第3実施例の前記誘導溝303は、図12(a)および(b)に示されるように第3移動部位の形状および当該第3移動部位において進退動作を行うことによって、前記球貸しボタン327に対する押し込み操作に応じて移動する前記摺動端302の前記誘導溝303内における第1の基点への移動を規制する前記規制ストッパ319を備えた点が上述した第2実施例において説明した前記誘導溝203との主な相違点であり以下相違点を中心に説明する。
【0095】
前記誘導溝303の第3移動部位は、図12(b)に示されるように前記規制ストッパ319を駆動する前記ソレノイド319Sが通電状態においては、前記規制ストッパ319が前記摺動端302の移動経路に突出することにより、前記第2基点に到達した前記摺動端302が前記第2基点において係止されるように構成される。
【0096】
前記ソレノイド319Sは、前記遊技球貯留量検知手段318によって、前記受け皿部18に貯留されている遊技球の貯留量が貯留可能数の概ね半数以上であることが検知されている状態、および前記球貸しボタン327への一定距離L以上の押し込み操作に基づき、一つの頂点T3に前記摺動端302が到達することにより、前記遊技球貸出スイッチ350SWにおいて球貸し操作が検出された時刻から一定時間(例えば10000ms)が経過するまでの状態において電流が印加され、前記規制ストッパ319を前記誘導溝303の第3移動部位に突出させるように駆動するように構成される。
【0097】
前記規制ストッパ319は、大径円柱状のロッド部3191と、小径円柱状のロッド部3192とが直列に一体的に形成されるとともに、前記大径円柱状のロッド部3191の前記小円柱状のロッド部3192との臨界面には後述するコイルスプリング352が係止されて、当該コイルスプリング352の付勢力によって前記誘導溝303の第3移動部位から離間する方向に付勢されるように構成されている。
【0098】
前記コイルスプリング352は、他端が前記誘導溝303の第3移動部位の外側の側壁に他端が係止され、前記規制ストッパ319を前記誘導溝303の第3移動部位から離間する方向へ付勢力を付加するように構成される。
【0099】
前記ソレノイド319Sが通電して前記摺動端302が前記第2基点に係止された状態において、前記遊技球貯留量検知手段318によって前記受け皿部18に貯留されている遊技球の貯留量が約半分に満たないことが検出されると、前記コントローラからの駆動出力が零になり前記ソレノイド319Sは、図12(a)に示されるように未通電状態に切り換えられるので前記規制ストッパ319が、前記コイルスプリング352の付勢力によって図中左上方向に付勢されて退避することにより、前記摺動端302は、図14(a)に示されるように前記バネ352の復帰力による図中下方向への付勢力に従い前記誘導溝303の第3の溝3033に沿って第3移動部位の移動経路を辿って第1基点へと移動する。
【0100】
また前記ソレノイド319Sが前記コントローラからの駆動出力が通電され前記摺動端302が前記第2基点に係止された状態において、遊技者により前記球貸しボタン327が再び押し込み操作されると、図14(b)に示されるように前記摺動端302がもう一つの頂点T4に移動することにより、後述する解除スイッチ351SWと接触するため、前記ソレノイド319Sは、図12(a)に示されるように未通電状態に切り換えられて前記規制ストッパ319が、前記コイルスプリング352の付勢力によって図中左上方向に付勢されて退避することにより、前記摺動端302は、前記バネ352の復帰力による図中下方向への付勢力に従い前記誘導溝303の第3の溝3033に沿って第3移動部位の移動経路を辿って第1基点へと移動する。
【0101】
前記解除スイッチ351SWは、第2の到達位置に位置する前記球貸しボタン327が遊技者によって再び押し込み操作されることにより、前記誘導溝303の第4の溝3034に沿って第2基点に位置している前記摺動端302がもう一つの頂点T4に移動したことを検出するとともに、当該検知出力に基づき前記ソレノイド319Sを未通電状態へと切り換えることにより、前記球貸しボタン327を出発位置に復帰させて、球貸しを要求する遊技者の前記球貸しボタン327への球貸し操作を可能にするように構成される。
【0102】
次に本第3実施例のパチンコ遊技機において、遊技者が行う球貸しのための押し込み操作に基づく前記摺動端302の前記誘導溝303内での移動位置、前記遊技球貸出スイッチ350SWによる球貸し操作の検知、前記解除スイッチ351SWによる球貸し準備操作の検知または前記ソレノイド319Sの駆動力に基づく前記規制ストッパ319の移動の流れについて具体的に説明する。
【0103】
最初に遊技者による前記球貸しボタン327への球貸し操作が行なわれていない時は、図示しないが復帰手段としての前記バネ352の復帰力により、前記球貸しボタン327は、奥部の突起部が球貸装置が収容される収容凹部の開口部に突出形成された突起部と係合することによって、出発位置としての遊技者が操作する表面が前記パチンコ遊技機表面S(具体的には受け皿部18の一部の表面)に対して埋没した状態に維持されるとともに、前記摺動端302は前記誘導溝303の前記第1基点に位置しているため、遊技球の球貸しは行われない状態である。
【0104】
本第3実施例の球貸しボタン327は、当該球貸しボタン327が出発位置に位置する場合には、遊技者が押し込み操作を行なう操作面が前記パチンコ遊技機表面Sに対して若干埋没した状態に維持されるので、遊技球の球貸しを意図していない遊技者の誤操作を防止出来るものである。
【0105】
加えて本第3実施例の球貸装置は、仮に遊技球の球貸しを意図していない遊技者の腕が触れてしまうことまたは遊技者の球貸しを意図しない誤操作などにより、前記パチンコ遊技機表面Sに対して埋没した状態の前記球貸しボタン327が奥方向へ押し込まれた場合においても、押し込まれて移動した当該移動距離が前記遊技球貸出スイッチ350SWが遊技者の球貸しのための押し込み操作を検知する一定距離L(すなわち前記摺動端302が前記誘導溝303の一つの頂点T3に移動した時の距離)に到達しない場合には、遊技球の球貸しは行われないため、遊技球の球貸しを意図していない遊技者による誤操作をさらに防止出来るものである。
【0106】
次に遊技球の球貸しを必要とした遊技者により、前記球貸しボタン327への十分な押し込み操作がされると、前記球貸しボタン327が、一定距離L移動することにより第1の到達位置に到達するとともに、前記摺動端302が前記誘導溝303の前記一つの頂点T3まで移動したことが前記遊技球貸出スイッチ350SWとの接触によって検知されて検知信号が出力されることによって遊技球の球貸しが実行されるとともに、前記遊技球貸出スイッチ350SWの検知信号に基づき、図13(a)に示されるように前記ソレノイド319Sが通電状態となり前記規制ストッパ319が第3移動部位の移動経路に進出して当該移動経路の一部を遮断する。
【0107】
遊技球の球貸しが行われた後、遊技者が前記球貸しボタン327への押し込み操作を解除すると、図13(b)に示されるように前記摺動端302は、前記バネ352の付勢力による復帰力により前記第2基点へと移動するとともに、前記第2基点から繋がる前記第3の移動部位に進出した前記規制ストッパ319によって移動を規制されて係止するとともに、当該摺動端302が前記第2基点に係止することに伴い前記球貸しボタン327は第2の到達位置において係止される。
【0108】
ここで本第3実施例のパチンコ遊技機は、遊技者が前記球貸しボタン327を押し込み操作に基づき、前記摺動端302が前記遊技球貸出スイッチ350SWと接触することにより検知出力が出力されると、当該検知出力に従い200球の遊技球の貸し出しが開始されるとともに、当該200球の遊技球の貸し出しは一定時間(例えば10000ms)以内に完了するように構成されている。
【0109】
遊技球の貸し出しが開始された時刻から一定時間が経過した時刻において、前記受け皿部18の遊技球の貯留量が、最大可能貯留量の約半数である150球以上であることが前記遊技球貯留量検知手段318によって検知された場合には、前記ソレノイド319Sは通電状態を維持して前記規制ストッパ319は前記第3移動部位の移動経路の一部を遮断した状態を維持する。
【0110】
遊技球の貸し出しが開始された時刻から一定時間以上が経過した状態においては、前記受け皿部18の遊技球の貯留量が、最大可能貯留量の約半数である150球未満であることが前記遊技球貯留量検知手段318によって検知されると、図14(a)に示されるように前記コントローラからの駆動出力が零となり、前記ソレノイド319Sは未通電状態へと切り換わるため、前記規制ストッパ319は前記第3移動部位の移動経路から退避して、前記第2の基点に係止されている前記摺動端302は前記バネ352の復帰力により前記第1の基点に移動するとともに、前記第2の到達位置に係止されている前記球貸しボタン327は前記バネ352の復帰力により前記出発位置に移動する。
【0111】
また遊技球の貸し出しが開始された時刻から一定時間以上が経過した状態において、前記受け皿部18に貯留された遊技球が150球以上である場合においても、遊技者が再び前記球貸しボタン327を押し込み操作すると、図14(b)に示されるように前記摺動端302が前記誘導溝303のもう一つの頂点T4へ移動したことが前記解除スイッチ351SWによって検知されることにより、当該解除スイッチ351SWの検知出力に基づき前記コントローラからの駆動出力が零となり、前記規制ストッパ319が未通電状態に切り換えられる。
【0112】
前記規制ストッパ319の位置を決める前記ソレノイド319Sへの前記コントローラへの通電または未通電の切り換え駆動指令は、一例として前記解除スイッチ351SWの検知出力に基づく切り換え駆動指令、前記遊技球貸出スイッチ350SWの検知出力に基づく切り換え駆動指令、前記遊技球貯留量検知手段318の検知出力に基づく切り換え駆動指令の順に優先されるように制御処理される。
【0113】
すなわち本第3実施例のパチンコ遊技機は、前記遊技球貸出スイッチ350SWまたは前記遊技球貯留量検知手段318の検知出力に基づき、遊技者にとって遊技球の貸し出しの必要性が比較的少ない状態においては、前記球貸しボタン327を前記第2の到達位置に係止することにより、遊技球の球貸しを意図しない遊技者の誤操作を防止出来るものであるとともに、当該遊技球の貸し出しの必要性が比較的少ないと予想される状態においても、遊技者が前記第2の到達位置に係止された前記球貸しボタン327を再び押し込み操作することにより、前記解除スイッチ351SWの検知出力に基づき前記ソレノイド319Sを未通電状態に切り換えられるので、前記球貸しボタン327を次回押し込み操作した場合に球貸しが実行される前記出発位置まで復帰させることが可能であるので、遊技球を必要とする遊技者の球貸し要求を優先出来るように構成されているものである。
【0114】
以下上記構成より成る本第3実施例のパチンコ遊技機の作用および効果について説明する。
【0115】
本第3実施例のパチンコ遊技機は、遊技者の押し込み操作によって、前記受け皿部18の表面Sに対して若干埋没した出発位置に係止される前記球貸しボタン327が、前記一定距離L以上押し込み操作されたことが、前記遊技球貸出スイッチ350SWによって検知されると、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するための検知信号を出力するので、遊技球の貸し出しを実現するという作用効果を奏するとともに、遊技者が意図しないで前記球貸しボタン327への誤操作が行なわれた場合において、押し込まれた前記球貸しボタン327の位置が前記一定距離Lに到達していない時には、遊技球の貸し出しが行われないため、遊技者の意図しない遊技球の貸し出しを防止することが出来るという効果を奏する。
【0116】
本第3実施例のパチンコ遊技機は、遊技者によって押し込み操作された前記球貸しボタン327の移動に応じて移動する前記摺動端302が、前記遊技球貸出スイッチ350SWが配設された前記一つの頂点T3に到達した後、前記バネの復帰力に基づいて前記誘導溝303の前記第2の溝3032に沿って移動して前記係止機構としての前記規制ストッパ319に係止されることにより、前記球貸しボタン327が前記第2の到達位置に係止されるので、遊技者による押し込み操作により遊技球の貸し出しが行われた後、前記球貸しボタン327が前記出発位置と前記第1の到達位置の中間の前記第2の到達位置に係止されることにより、遊技者の前記球貸しボタン327への誤操作を防止することにより、遊技者の意図しない遊技球の貸し出しを防止するという効果を奏する。
【0117】
本第3実施例のパチンコ遊技機は、前記受け皿部18に貯留された遊技球が一定量(例えば150球)以下であることを検知する前記遊技球貯留量検知手段318の検知出力に基づき、前記ソレノイド319Sを未通電状態に切り換えて、前記球貸しボタン327を前記第2の到達位置に係止する前記規制ストッパ319の係止状態を解除することにより、前記第2の到達位置で係止された前記球貸しボタン327を、前記出発位置に復帰させるので、前記受け皿部18に貯留された遊技球が一定量以下となった場合に、前記球貸しボタン327を前記第2に到達位置に係止された状態から、前記出発位置に自動的に復帰させるため、遊技球の貸し出しを必要とする遊技者の前記球貸しボタン327を前記出発位置へ戻すための操作を不要にするという効果を奏する。
【0118】
本第3実施例のパチンコ遊技機は、一端が前記球貸しボタン327に回動自在に係止された前記連結部材の他端の前記摺動端302が、前記球貸しボタン327の前記第1の到達位置、第2の到達位置および第3の到達位置を決定するための前記摺動端302の到達部位を備えた略Mの字状の前記誘導溝303に係合するので、前記略Mの字状の誘導溝303によってガイドされた前記摺動端302の移動に応じて前記球貸しボタン327が移動することにより、前記球貸しボタン327の移動動作および到達位置を確実なものとして、前記球貸しボタン327の押し込み操作に基づき、前記球貸しボタン327が前記第1の到達位置に移動して、前記遊技球貸出スイッチ350SWによって当該球貸しのための押し込み操作が検知されることにより行われる遊技球の貸し出しを確実に実行することが出来るという効果を奏する。
【0119】
本第3実施例のパチンコ遊技機は、遊技者が遊技球の貸し出しを望んで前記球貸しボタン327への押し込み操作を行う場合には、遊技機表面Sに対して埋没した状態の前記出発位置に位置する前記球貸しボタン327を押し込むものであるので、遊技者による前記球貸しボタン327への意図しない貸し出し操作の可能性をさらに低下させるため、遊技球の貸し出しを意図しない遊技者の誤操作をさらに防止することが出来るという効果を奏する。
【0120】
上述の実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0121】
上述の実施例においては、遊技者による前記一定距離L以上の押し込み操作に基づいて遊技球の貸し出しを行う球貸装置がパチンコ遊技機に配設される形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、パチンコ遊技機または回胴式遊技機等に付設される付設装置において、遊技者の操作に基づき遊技媒体の貸し出しを行うための遊技媒体貸出操作部が一定距離以上押し込み操作された場合に、前記パチンコ遊技機、回胴式遊技球または付設装置に備えられた遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力して遊技媒体の貸し出しを行う形態を採用することが出来るとともに、会員カードなどの所定の磁気媒体に遊技媒体量に関するデータを記憶することにより予め貯められた遊技媒体から一定量(例えば125球、50枚など)の遊技媒体を差し引いて貸し出しするための、パチンコ遊技機、回胴式遊技機、付設装置または遊技機に接続されない球貸装置に配設される再プレイボタンに本発明を適用することも出来るものである。
【0122】
上述の第3実施例においては、前記遊技球貯留量検知手段318として金属感知センサーを用いる形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、LEDなどの発光素子とフォトトランジスタ、フォトダイオードまたは硫化カドミウムなどの受光素子を対向して配設するとともに、発光素子から受光素子への光が遊技球により遮断されるか否かにより遊技球を検知する光センサーを用いた形態や、前記受け皿部18の遊技球が貯留される領域に電源部材と電極部材を離して配設するとともに、導電性を有する遊技球によって電源部材から電極部材までの導通路が形成されているか否かにより、前記受け皿部18の遊技球が貯留される領域における遊技球の有無を検知する電流検知センサーを用いる形態を採用することが出来るものである。
【0123】
上述の第3実施例においては、前記規制ストッパ319を駆動する駆動源としてソレノイド319Sを用いる形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記遊技球貯留量検知手段318、前記遊技球貸出スイッチ350SWまたは前記解除スイッチ351SWの検知出力に基づき所定条件を満たした場合に駆動するモータやその他の駆動手段によって前記摺動端302の移動を規制する形態を採用することが出来るものである。
【0124】
さらに上述の第3実施例においては、遊技球の貯留量が一定量以下になると電気的信号を出力して、ソレノイド319Sのような電気的駆動手段によって前記摺動端302の移動規制を行う例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球の貯留量に対応する重量に応じてスプリングのような機械的に変位する変化検出機構により、貯留量が一定量以下になったら、重量バランスから反転する機械的反転機構によって前記摺動端302の移動を規制する機械的な実施形態を採用することが出来る。
【0125】
また上述の第2実施例は、前記出発位置においては球貸しボタン227が操作面に面一に配設される例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述の第3実施例のように誤操作防止を一層確実にするために操作面に対して、一定距離内面に設定する実施形態を採用可能である。
【0126】
上述の第2および第3実施例においては、略Mの字状の誘導溝203の第1ないし第3移動部位に沿って前記連絡部材201の前記摺動端202が摺動する例について説明したが、本発明としては、それに限定されるものではなく、例えば図15に示されるようにギリシャ文字の小文字のオメガ(ω)の一部を変形した誘導溝403の段階的に一段ずつ溝が深くなるとともに、移動に伴い少しずつ深くなる第1ないし第4移動路4031〜4034に沿って前記連絡部材201の前記摺動端202が摺動するようにして、第1の移動位置T1と第2の移動位置T2を押し込み方向および押し込み方向の左右方向において同一位置とする点に特徴がある実施形態を採用することができる。すなわち球貸しボタン227が押し込まれると第1の移動路4031を移動する摺動端202は、センサが配設されている第1の移動位置T1に到達した後一段低い第2の移動路4032を介して第2基点に到達するとともに、球貸しボタン227がさらに押し込まれると第3の移動路4032に沿って移動する摺動端202は、センサが配設されている第1の移動位置T1と同一の移動位置T2に到達した後、一段低い第4の移動路4034に沿って第1基点T0に戻る。
【0127】
前記摺動端202の回動可能に構成された下部には、進行方向に直角な方向の幅が異なる部分が形成されていて、第1および第2移動路を移動する時は広幅状態で選択的に移動し、第2基点に到達した時に強制的に前記下部が回動されることにより狭幅状態に変更され、第3および第4移動路を移動する時は狭幅状態で選択的に移動する様に構成されており、第1の移動路4031から第4の移動路4034への移行および第3の移動路4033から第2の移動路4032への移行が発生しないように設定されている。
【0128】
上記構成より成る本変形例の実施形態は、第1および第2の移動位置T1、T2が同一であり、前記摺動端202到達を検知するセンサが1個であるため、第2および第3実施例に比べてセンサコストを低減できるメリットを有する。
【0129】
また上述した実施例においては、略Mの字状の誘導溝を用いて遊技媒体貸出操作部が、出発位置、第1の到達位置、第2の到達位置および第3の到達位置を移動する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明においてノック式ボールペンに用いられる往復タイプまたはロータリータイプのラチェット機構を適用して往復部材が出発位置、第1の到達位置、第2の到達位置を直線的に往復移動する形態を採用することが出来るものである。
【0130】
また本発明は、明細書に記載された全ての特徴事項について、一つの項目内において複数の特徴事項が組み合わされて記載されている場合であっても、常にその全ての特徴事項を一緒に採用しなければならないものではなく、その一部の特徴事項のみを取り出して採用したり、項目の枠組みを越えて各特徴事項を適宜組み合わせて採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0131】
遊技者による貸し出し操作に基づき遊技媒体を貸し出しする遊技媒体貸出手段を備えた遊技機において、前記遊技媒体貸出スイッチが、前記遊技媒体貸出操作部が前記遊技機表面に近い位置に位置する出発位置から、遊技機表面から奥方向へ一定距離以上押し込み操作されたことを検知して、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するための検知信号を出力するので、遊技者が意図しないで前記遊技媒体貸出操作部への誤操作が行なわれた場合において、押し込まれた前記遊技媒体貸出操作部の位置が前記一定距離に到達していない時には、遊技媒体の貸し出しが行われないため、遊技者の意図しない遊技媒体の貸し出しを防止するという用途に適用できる。
【符号の説明】
【0132】
1 遊技機本体
2 外枠
3 遊技盤
5 図柄変動装置
27、227、327 球貸しボタン
40 主制御基板
50 演出制御基板
51 CPU
60 画像・音声制御基板
70 ランプ制御基板
80 払出制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者による貸し出し操作に基づき遊技媒体を貸し出しする遊技媒体貸出手段を備えた遊技機において、
遊技者によって、遊技機表面から奥方向へ押し込み操作可能な遊技媒体貸出操作部と、
前記遊技媒体貸出操作部が前記遊技機表面に近い位置に位置する出発位置から一定距離以上押し込み操作されたことを検知して、前記遊技媒体貸出手段へ貸出指令を出力するために検知信号を出力する遊技媒体貸出スイッチを備えた
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1において、
押し込まれた前記遊技媒体貸出操作部を、前記出発位置まで復帰力により復帰させるための復帰手段と、
遊技者による押し込み操作により前記遊技媒体貸出スイッチが配設された第1の到達位置に到達する前記遊技媒体貸出操作部が、前記復帰手段の復帰力によりその後第2の到達位置に到達して係止されるための係止機構を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2の到達位置で係止された前記遊技媒体貸出操作部が、遊技者によって再び奥方向へ押し込み操作された場合に、前記遊技媒体貸出スイッチが配設された第3の到達位置に到達した後、前記出発位置に復帰するように構成されている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項3において、
前記遊技媒体貸出操作部が到達する前記第3の到達位置が、前記第1の到達位置と同じ位置となるように構成されている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかにおいて、
さらに遊技媒体を貯留可能な受け皿部を備えた遊技機において、
前記受け皿部に貯留された遊技媒体が一定量以下であることを検知する遊技媒体貯留量検知手段と、
前記遊技媒体貯留量検知手段の検知出力に基づき、前記遊技媒体貸出操作部を前記第2の到達位置に係止する前記係止機構の係止状態を解除することにより、前記第2の到達位置で係止された前記遊技媒体貸出操作部を、前記出発位置に復帰させるための復帰指令を出力する復帰指令手段を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれかにおいて、
一端が前記遊技媒体貸出操作部に回動自在に係止されるとともに、他端が移動可能な移動部材によって構成される位置決め部材と、
前記位置決め部材の他端の移動部材が係合して一方向にのみ移動可能に構成されるとともに、前記遊技媒体貸出操作部の前記第1の到達位置、第2の到達位置および第3の到達位置を決定するための前記移動部材の到達部位を備えた略Mの字状のガイド溝を備えている
ことを特徴とする遊技機。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
前記出発位置に位置する前記遊技媒体貸出操作部が、遊技機表面に対して突出した状態となるように構成される
ことを特徴とする遊技機。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
前記出発位置に位置する前記遊技媒体貸出操作部が、遊技機表面に対して面一な状態となるように構成される
ことを特徴とする遊技機。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
前記出発位置に位置する前記遊技媒体貸出操作部が、遊技機表面に対して埋没した状態となるように構成される
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−234889(P2011−234889A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108809(P2010−108809)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】