説明

遊技機

【課題】遊技機の複数の異常を示す信号を簡単確実に送信できる方式を提供する。
【解決手段】遊技機に設けられた扉の開放及び閉鎖を検知する第1センサ、前記遊技に関する処理に係る設定を変更するための第1スイッチ、前記遊技に関する処理に係る現在の設定を参照するための第2スイッチ、遊技機への遊技媒体の投入を検知する第2センサ、及び、遊技機からの遊技媒体の払い出しを検知する第3センサを備え、それらのいずれかが検出しているときにオンになる信号をセキュリティ信号の信号としてホールコンピュータへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スロットマシンやパチンコ機などの遊技機に関し、特に、ホールコンピュータへ複数種類の信号を伝送する集中端子板を備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコホール等の遊技場では、島設備と称される遊技機の集合用設備によって、複数の遊技機が整列して効率よく収容されている。遊技場に設置される遊技機には、パチンコ機(弾球遊技機)と、スロットマシン(回胴式遊技機)が知られている。遊技場のフロアは複数の島設備によって区画され、来場者及び従業員が歩行でき、遊技者が遊技を行うのに十分な空間が確保される。島設備には、遊技機に隣接して球貸機又はメダル貸機等の関連機器が設けられ、遊技者の便宜を図っている。島設備に整列された遊技機は、遊技の配当の払い出しと特定の遊技状態を監視するホールコンピュータにそれぞれ接続されている。ホールコンピュータは、遊技機から払い出された配当や特定の遊技状態となった回数を島設備ごとに集計する。これにより、島設備に設置された遊技機がどのような遊技状態に推移しているかを概ね把握でき、遊技機に異常が発生していないかどうかがわかる。
【0003】
遊技機から払い出された配当や特定の遊技状態となった回数、遊技機の異常信号をホールコンピュータへ送信するために、各遊技機又は島設備は集中端子板を備えている。集中端子板は公知のものであり、例えば日本電動遊技機工業協同組合が販売する外部集中端子板がよく知られている。集中端子板は、標準品でありどのメーカーの遊技機又は島設備でもほぼ同じものを備えている。
【0004】
集中端子板は、遊技機のCPU(メイン基板)からデジタル信号を受け、当該デジタル信号で駆動されるリレーを備える。当該リレーの接点信号がホールコンピュータへ送られる。集中端子板は、例えば、7つのリレーを備えるので、最大7種類の信号を中継して遊技機からホールコンピュータへ送ることができる。前記リレーはデジタル信号のL/Hに応じてオン/オフするという単純な動作を行うのみであり、パルス信号のような複雑な(つまり情報量の大きい)信号を扱うものではなかった。遊技機からホールコンピュータへ送る信号の種類が少なく、しかも当該信号は頻繁にL/H(オン/オフ)を繰り返すものではないので、リレーが用いられている。
【0005】
ところで、上記7種類の信号に加えて、ホールコンピュータへ遊技機の異常を示す信号を送信することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−188142号公報
【特許文献2】特開2009−268650号公報
【特許文献3】特開2009−247387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献では、送信の回数(リレーのオンオフ回数)により情報を伝達するものであった。しかし、このやり方では情報がホールコンピュータなどの設備に正しく伝わらないことがあった。そこで、情報を簡単確実に送信することが求められていた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、遊技機の異常を示す信号を簡単確実に送信できる方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、遊技に関する処理を行う処理部と、前記処理部の出力信号により駆動されるリレーを含む集中端子板と、遊技機に設けられた扉の開放及び閉鎖を検知する第1センサ、前記遊技に関する処理に係る設定を変更するための第1スイッチ、前記遊技に関する処理に係る現在の設定を参照するための第2スイッチ、遊技機への遊技媒体の投入を検知する第2センサ、及び、遊技機からの遊技媒体の払い出しを検知する第3センサのうちの2つ以上のものと、を備える遊技機において、
前記処理部は、
前記第1センサの出力に基づく前記扉の開放の発生又はその解除を示す扉開放信号、前記第1スイッチの出力に基づく前記設定の変更の発生又はその解除を示す設定変更信号、前記第2スイッチの出力に基づく前記設定の参照の発生又はその解除を示す設定参照信号、前記第2センサの出力に基づく前記遊技媒体の投入に係るエラーの発生又はその解除を示す遊技媒体投入エラー信号、及び、前記第3センサの出力に基づく前記遊技媒体の払い出しに係るエラーの発生又はその解除を示す遊技媒体払い出しエラー信号のうちで、前記遊技機が備えるセンサ又はスイッチに対応する2以上の状態信号を監視し、
前記状態信号の少なくともひとつが変化したと判定したときに、当該状態信号に対応する状態が発生したのかそれとも解除されたのかを判定し、
前記状態が発生したと判定したとき、予め定められたセキュリティ信号の信号を前記集中端子板を通じて外部へ送信し、
前記状態が解除されたと判定したとき、他の前記状態信号に対応する状態が発生しているときは前記セキュリティ信号の送信を継続し、そうでないときは前記セキュリティ信号の送信を停止する、ものである。
例えば、前記セキュリティ信号の信号は、前記第1センサの出力に基づく前記扉の開放、前記第1スイッチの出力に基づく前記設定の変更、前記第2スイッチの出力に基づく前記設定の参照、前記第2センサの出力に基づく前記遊技媒体の投入に係るエラー、又は、前記第3センサの出力に基づく前記遊技媒体の払い出しに係るエラー、のいずれかが発生していることを示すオンオフ信号である。
【0010】
この発明は、遊技に関する処理を行う処理部と、前記処理部の出力信号により駆動されるリレーを含む集中端子板と、発生条件及び解除条件がそれぞれ異なる複数の状態を監視するための複数のセンサ又はスイッチとを備える遊技機において、
前記処理部は、
前記複数のセンサ又はスイッチからの信号に基づき前記複数の状態を監視し、
前記複数の状態の少なくともひとつが変化したと判定したときに、当該状態が発生したのかそれとも解除されたのかを判定し、
前記状態が発生したと判定したとき、予め定められたセキュリティ信号の信号を前記集中端子板を通じて外部へ送信し、
前記状態が解除されたと判定したとき、他の状態が発生しているときは前記セキュリティ信号の送信を継続し、そうでないときは前記セキュリティ信号の送信を停止する、ものである。
さらに、表示装置を備え、
前記処理部は、前記状態が発生したときに当該状態に対応する表示を前記表示部に行う、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、複数のセキュリティ信号を合成して集中端子板を通じて外部へ出力することにより、複数のセキュリティ信号を簡単かつ確実に外部へ送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図2】前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
【図3】スロットマシンのブロック図である。
【図4】集中端子板のブロック図である。
【図5】発明の実施の形態に係る集中端子板信号一覧と信号送信契機の一覧である。
【図6】発明の実施の形態に係る不正情報(セキュリティ信号)のタイミングチャートである。
【図7】発明の実施の形態に係る処理部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
【0014】
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0015】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の右側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
【0016】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回転リールからなるリールユニット203が設置されている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の上側のリールユニット203との間には電源部205が設けられている。
【0017】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0018】
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0019】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0020】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0021】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0022】
メイン基板10にはスタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0023】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2、扉開閉検知センサGS、設定値を変更するための設定変更スイッチSW1と現在の設定値を表示させるための設定参照スイッチSW2が接続されている。
【0024】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0025】
図3の遊技機は、扉開閉検知センサGSを備える。扉開閉検知センサGSは、扉130が閉じられたことを検知するセンサであり、例えばマイクロスイッチや接点などの電気的スイッチである。当該スイッチは扉130が閉じられたときに、扉130の裏側にスイッチの作用部が当接することでオン(又はオフ)になり、扉130が開放されると作用部が離れてオフ(又はオン)になるものである。扉開閉検知センサGSは、フォトインタラプタのような光学式のものでもよい。
【0026】
図3の遊技機は、設定値を変更するための設定変更スイッチSW1と現在の設定値を表示させるための設定参照スイッチSW2とを備える。なお、スイッチSW1とSW2をひとつのスイッチ(例えばキースイッチ)で実現してもよい。この場合、両者の機能の違いは他のスイッチ(例えば図示しない設定スイッチ)との組み合わせの有無などで達成される。
【0027】
設定値について簡単に説明を加える。スロットマシンは、基本的に絵柄が揃ったときに賞品としてメダルを払い出すものであるが、絵柄が揃うかどうかは内部のコンピュータによる抽選の結果に従う。また、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、小役などのさまざまな賞も内部のコンピュータによる抽選の結果に従う。抽選の処理の内容(内部動作)は所定の範囲内で設定変更が可能であり、遊技機が設置されるホールなどにおいて店側により設定作業が行われる。
【0028】
通常のスロットマシンは、BB,RB、小役等の抽選確率の異なる複数の抽選テーブルを予め備える。スロットマシンの抽選では、それら複数の抽選テーブルの中から1つが設定され、この設定された抽選テーブルに基づいて抽選による当たり/ハズレの判定がなされる。複数の抽選テーブルのうちどれを使用するかに関する設定を変更することを、設定変更と称している。抽選テーブルを指定するための数値が設定値である。言い換えれば、設定変更は設定値を所望の数値に変更することである。
【0029】
スロットマシンのような遊技機では、設定値(通常1〜6)を変更する場合、遊技機の扉を開け、電源部205に設けられた設定キースイッチ(図示せず)に設定キーを挿入して当該キースイッチをオンにした状態で遊技機の電源を投入して設定変更可能な状態にし、設定変更スイッチ(図示せず)を1回押下するごとに、7セグメント表示器などに表示される設定値がインクリメントされて1〜6までの値を循環的に変化させ、所望する設定値が表示器に表示されたところでスタートスイッチ134を操作することで、所望する設定値を確定させていた。
【0030】
設定キースイッチ及び設定スイッチが、設定変更スイッチSW1に相当する。設定キースイッチをオンにすることで設定値が前記表示器に表示されるので、設定キースイッチが、設定参照スイッチSW2に相当する。
【0031】
また、メイン基板10には、メイン基板10からの信号を中継して図示しないホールコンピュータへ送る集中端子板30が接続されている。集中端子板30については、さらに後述する。
【0032】
メダル検出部82、扉開閉検知センサGS、メダルセンサS1及びS2、設定変更スイッチSW1、及び、設定参照スイッチSW2の出力はメイン基板10に入力される。これらの出力を受け、メイン基板10は、集中端子板30を通じて所定の信号(詳細は後述)を図示しないホールコンピュータへ送る。
【0033】
図3では示していないが、液晶制御基板200には図1に示された液晶表示装置LCDが接続されている。
【0034】
上述のように、メイン基板10及びサブ基板20は、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。そして、CPUが遊技者の操作を受けてROMに記憶されたプログラムを読み込むことで所定の動作を行う。具体的には、スタートスイッチ134及びストップボタン140の操作に基づきリールユニット203に内蔵される3つの回転リールの回転及び停止を制御するとともに、ランプやスピーカ等の表示を制御する。CPUが動作する際に必要な一時的なデータなどはRAM(一般にRAMは揮発性メモリであり、その電源断によりデータは原則失われるが、スロットマシンにおいてはその一部又は全部についてバッテリなどのバックアップ電源が用意されていることがあり、この場合は電源断でもデータは失われない)に記憶される。CPUはROMに記録されたプログラムに従って所定の動作を行うとともに、処理に必要な一時的なデータをRAMに記録するとともに記録されたデータを必要に応じて読み出して参照する。
【0035】
スロットマシンで遊技を楽しもうとする遊技者は、まずメダル貸機(図示しない)等から遊技媒体であるメダルを借り、メダル投入装置のメダル投入口132に直接メダルを入れることができる。スタートスイッチ134は回転リールの斜め下方に位置するレバーであって、遊技メダルの投入を条件に、リールユニット203の駆動を開始させる。リールユニット203は、ストップボタン140によりその駆動が停止される。リールユニット203は、三個の回転リールから構成されている。そして、各回転リールは、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、複数個(例えば21個)の図柄が表示されている。
【0036】
図4は集中端子板30のブロック図を示す。図4は標準的な集中端子板30を示すものである。集中端子板30は、遊技機本体側より出力されるメダル投入信号、メダル払出信号、大当たり信号、小当たり信号などを中継してホールコンピュータへ送るものである。集中端子板30は、統一した規格に基づき製作されることで、ホールで遊技機が入れ替えられた場合にも島設備の電気配線などに変更を加えることなく使用することができるものである。日本電動遊技機工業協同組合が販売する外部集中端子板がよく知られている。
【0037】
31はメイン基板10からの信号を受ける入力コネクタ、32はメイン基板10からの信号で駆動されるリレーコイル、33はリレーコイル32によりオンオフする接点、34はホールコンピュータへオンオフ信号を送るための出力コネクタである。リレーコイル32とその接点33がリレーを構成する。図4の集中端子板30は合計7個のリレーを含む。これらを、その符号に−1乃至−7を付すことで区別する。接点33−1乃至33−7の一方の端子は全部共通の端子(出力コネクタ34の端子6)に接続され、他方の各端子は出力コネクタ34の別々の端子に接続されている。端子6が共通端子(コモン)となり、各接点33のオンオフは、ホールコンピュータから見れば、出力コネクタ34の端子1乃至5、6及び8のいずれかと端子6との導通の有無を意味する。なお、入力コネクタには接地(グランド)端子も含まれるが、図4ではその表示を省略している。
【0038】
例えば、メイン基板10から入力コネクタ31の端子1にメダル投入信号(Lレベル)を受けると、当該信号によりリレーコイル32−1が磁力を発生し、接点33−1を引き寄せることで当該接点がオンになる。したがって、出力コネクタ34の端子1と端子6が導通する。これをホールコンピュータで検出することで、メダルが投入されたと判定することができる。
【0039】
なお、図4では、リレーコイル32が駆動されたときにオンになる接点33の出力がホールコンピュータへ送られているが、本発明はこれに限定されず、オフになる接点33の出力が送られるようにしてもよい。ホールコンピュータは、リレーの接点のオン又はオフ信号のどちらも受けることができる。
【0040】
図5に集中端子板を通じてホールコンピュータへ送信する信号のリストを示す。同図(a)は、図4の入力コネクタ31の端子1乃至7にそれぞれ割り当てられている信号のリストである。メダル投入信号〜外部信号出力4は従来のものと同じであるので、それらの説明は省略する。外部信号出力5は、セキュリティ信号を送るものであり、その形式は、メダル投入信号〜外部信号出力4と同様のオンオフ信号である。
【0041】
図5(b)は、外部信号出力5、つまりセキュリティ信号の内容と、その送信契機のリストである。この例では、セキュリティ信号として、ドア開放信号(ドアは扉130のことである、以下の説明において「ドア」と「扉」を同じ意味で用いる)、設定変更情報、投入エラー情報(E−1)、払い出しエラー情報(E−4)の4つがある。E−1,E−4はエラーの符号である。設定変更情報には、設定変更と設定参照がある。設定変更は、遊技機が設定値を変更するモードになったことを示すものであり、設定参照は、遊技機が現在の設定値を表示するモードになったことを示すものである。
【0042】
ドア開放信号、設定変更情報、投入エラー情報及び払い出しエラー情報は、それぞれ、発生のタイミングと解除のタイミングが規定されている。例えば、ドア開放情報であれば、扉開閉検知センサGSでドア開放を検知したときに発生し、ドアが閉鎖されたことを検知したときに解除される。図5(a)のセキュリティ信号(「不正情報」と呼ぶこともある)は、ドア開放信号、設定変更情報、投入エラー情報及び払い出しエラー情報のいずれかが発生したときにオン(検出、送信開始)となり、ドア開放信号、設定変更情報、投入エラー情報及び払い出しエラー情報の全てが解除されたときにオフ(非検出、送信停止)となる。
なお、セキュリティ信号が出力されているとき、同時に表示装置(例えば、液晶表示装置や7セグメント表示器など)に検出されたセキュリティ信号の種類が表示される。例えば、投入エラー情報の場合は「E−1」と表示され、払出エラー情報の場合は「E−2」と表示される。また、ドア開放情報の場合は「E−7」と表示される。設定変更開始と設定変更参照開始の場合は、「設定変更開始」「設定変更参照開始」のようなその状態を意味する表示がなされる。表示装置におけるセキュリティ信号の表示とその消去は、各セキュリティ信号の検出値タイミング、解除タイミングにそれぞれ同期する。
表示装置に上記表示を行うことにより、遊技機において具体的なエラーの種類を知ることができる。セキュリティ信号によりホールコンピュータで遊技機を監視することができるが、実際にどのようなエラーが発生したのかはわからない。そこで、ホール店員が当該遊技機に赴くようにすることで、エラーの種類を容易に知ることができる。
【0043】
図6のタイミングチャートを例にとり説明すれば、時刻t1において、ドア開放信号、設定変更情報、投入エラー情報又は払い出しエラー情報のいずれかが検出されることでセキュリティ信号がオンになり、時刻t2においてドア開放信号、設定変更情報、投入エラー情報及び払い出しエラー情報のすべてが非検出となることでセキュリティ信号がオフになる。
【0044】
図7(a)は、発明の実施の形態に係るセキュリティ信号を発生する処理部のブロック図である。同図の処理部は、メイン基板10に設けられている(例えば、メイン基板のCPUがROMに予め記憶されているプログラムを実行することで実現される)。
【0045】
10Aは、扉開閉検知センサGSからの信号に基づきドア開放情報を生成するドア開放情報生成部である。ドア開放情報生成部10Aは、例えば扉開閉検知センサGSのドア開放を示す信号が所定時間(例えば50ms以上)継続したときにドア開放情報を発生し、図示しないリセットスイッチによりそれ(ドア開放エラー)が解除されたときに解除する。
【0046】
10Bは、設定変更スイッチSW1、設定参照スイッチSW2からの信号に基づき設定キー情報を生成する設定キー情報生成部である。設定キー情報生成部10Bは、設定変更スイッチSW1を使用した設定値の切り替え開始時又は設定参照スイッチSW2を使用した設定値の確認開始時に設定キー情報を発生し、設定値の切り替え終了時又は設定値の確認終了時に解除する。
【0047】
10Cは、メダルセンサS1,S2からの信号に基づきメダルの不正投入情報(投入エラー情報)を生成する不正投入情報生成部である。不正投入情報生成部10Cは、遊技メダル逆流エラー検出時、メダル滞留エラー検出時、又は、図示しないメダルブロッカー閉塞中の遊技メダル滞留エラー検出時に不正投入情報を発生し、遊技メダル逆流エラー解除時又は遊技メダル滞留エラー解除時に解除する。
・遊技メダル逆流エラーは、メダルブロッカーが開放している状態(メダルの投入を受け付けている状態)で、逆方向にメダルが通過したことを検出したときに発生する。
・メダル滞留エラーは、メダルブロッカーが開放している状態で、所定時間以上(例えば、131ms以上)メダルセンサの検知が継続したときに発生する。
・メダルブロッカー閉塞中の遊技メダル滞留エラーは、メダルブロッカーが閉塞している状態であり、かつ閉塞後から所定時間(例えば269ms以上)経過後にメダルセンサが検知したときに発生する。
なお、これらのエラーは、図示しないリセットスイッチの操作により解除される。
【0048】
10Dは、メダル検出器82からの信号に基づき不正払出情報(払出エラー情報)を生成する不正払出情報生成部である。不正払出情報生成部10Dは、メダル検出部82による異常検出時(例えば、メダル検出部82が規定枚数以上の払出を検知したり、検知状態が連続して所定時間継続した場合、あるいはメダルが払い出し中となっている以外のときにメダル検出部がメダルの払出を検知した場合)に不正払出情報を発生し、当該異常が解除されたときに解除する。メダル検出部82による異常検出は公知であるので、その詳細説明は省略する。
【0049】
10Eは、上記10A〜10Dの出力を合成してセキュリティ信号を生成し、集中端子板30へ送る不正情報合成部である。
【0050】
不正情報合成部10Eは、上記10A〜10Dの出力の少なくともひとつが変化したと判定したときに、セキュリティ信号(ドア開放情報、設定キー情報、不正投入情報、不正払出情報)のいずれが発生したのかそれとも解除されたのかを判定し、それが発生したと判定したとき、ドア開放情報、設定キー情報、不正投入情報、不正払出情報を「まとめたセキュリティ信号」を集中端子板30を通じて外部へ送信する。すなわち、集中端子板30のリレー32−7をオンにする。
【0051】
他方、解除されたと判定したとき、他のセキュリティ信号が発生しているときは前記まとめたセキュリティ信号の送信を継続し、そうでないときは前記まとめたセキュリティ信号の送信を停止する。
【0052】
図7(b)は、不正情報合成部10Eの内部ブロック図である。不正情報合成部10Eは、上記10A〜10Dの出力でセット/リセットされるレジスタ(フラグ)R−A〜R−Dと、レジスタ(フラグ)R−A〜R−Dの論理和を求めるゲート(ORゲート)とを備える。集中端子板30のリレー32−7は、ゲート(ORゲート)の出力により駆動される。
【0053】
以上のように、この発明の実施の形態によれば、複数のセキュリティ信号を合成部により合成し、その出力を集中端子板を通じて外部へ出力することにより、複数のセキュリティ信号を簡単かつ確実に外部へ送信することができる。パルスでセキュリティ信号を送信する方式と比べて、受信側の処理は簡単になり、そのためのプログラム作成の労力を軽減することができる。
従来技術ではパルス信号によってホールコンピュータでセキュリティ信号の種類を特定できるようにしていたが、この場合でも具体的な不正の状態の確認及びセキュリティ信号の解除を行うために遊技機に赴く必要があり、結局、ホールコンピュータによる監視だけでは足りず、ホール店員を派遣する必要があった。本発明の実施の形態によれば、セキュリティ信号を確実に送信でき、その後の手間は従来技術の場合と異ならない。
【0054】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
10 メイン基板(処理部)
10A ドア開放情報生成部
10B 設定キー情報生成部
10C 不正投入情報生成部
10D 不正払出情報生成部
10E 不正情報合成部
30 集中端子版
82 メダル検出部(第3センサ)
GS 扉開閉検知センサ(第1センサ)
S1、S2 メダルセンサ(第2センサ)
SW1 設定変更スイッチ(第1スイッチ)
SW2 設定参照スイッチ(第2スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する処理を行う処理部と、前記処理部の出力信号により駆動されるリレーを含む集中端子板と、遊技機に設けられた扉の開放及び閉鎖を検知する第1センサ、前記遊技に関する処理に係る設定を変更するための第1スイッチ、前記遊技に関する処理に係る現在の設定を参照するための第2スイッチ、遊技機への遊技媒体の投入を検知する第2センサ、及び、遊技機からの遊技媒体の払い出しを検知する第3センサのうちの2つ以上のものと、を備える遊技機において、
前記処理部は、
前記第1センサの出力に基づく前記扉の開放の発生又はその解除を示す扉開放信号、前記第1スイッチの出力に基づく前記設定の変更の発生又はその解除を示す設定変更信号、前記第2スイッチの出力に基づく前記設定の参照の発生又はその解除を示す設定参照信号、前記第2センサの出力に基づく前記遊技媒体の投入に係るエラーの発生又はその解除を示す遊技媒体投入エラー信号、及び、前記第3センサの出力に基づく前記遊技媒体の払い出しに係るエラーの発生又はその解除を示す遊技媒体払い出しエラー信号のうちで、前記遊技機が備えるセンサ又はスイッチに対応する2以上の状態信号を監視し、
前記状態信号の少なくともひとつが変化したと判定したときに、当該状態信号に対応する状態が発生したのかそれとも解除されたのかを判定し、
前記状態が発生したと判定したとき、予め定められたセキュリティ信号の信号を前記集中端子板を通じて外部へ送信し、
前記状態が解除されたと判定したとき、他の前記状態信号に対応する状態が発生しているときは前記セキュリティ信号の送信を継続し、そうでないときは前記セキュリティ信号の送信を停止する、ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記セキュリティ信号の信号は、前記第1センサの出力に基づく前記扉の開放、前記第1スイッチの出力に基づく前記設定の変更、前記第2スイッチの出力に基づく前記設定の参照、前記第2センサの出力に基づく前記遊技媒体の投入に係るエラー、又は、前記第3センサの出力に基づく前記遊技媒体の払い出しに係るエラー、のいずれかが発生していることを示すオンオフ信号であることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
遊技に関する処理を行う処理部と、前記処理部の出力信号により駆動されるリレーを含む集中端子板と、発生条件及び解除条件がそれぞれ異なる複数の状態を監視するための複数のセンサ又はスイッチとを備える遊技機において、
前記処理部は、
前記複数のセンサ又はスイッチからの信号に基づき前記複数の状態を監視し、
前記複数の状態の少なくともひとつが変化したと判定したときに、当該状態が発生したのかそれとも解除されたのかを判定し、
前記状態が発生したと判定したとき、予め定められたセキュリティ信号の信号を前記集中端子板を通じて外部へ送信し、
前記状態が解除されたと判定したとき、他の状態が発生しているときは前記セキュリティ信号の送信を継続し、そうでないときは前記セキュリティ信号の送信を停止する、ことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
さらに、表示装置を備え、
前記処理部は、前記状態が発生したときに当該状態に対応する表示を前記表示部に行う、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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