説明

遊技機

【課題】演出実行中において状況に応じて球抜き報知を実行するか否かを判断し、特定演出中の演出ボタン操作有効期間内においては、貯留皿の遊技球が充満状態になった場合でも球抜き報知を実行しない遊技機を提供する。
【解決手段】遊技者に演出ボタン23の操作を求める特定演出表示中において、主制御手段41aから球抜き指令コマンドを受信した場合(S11;Yes)、演出ボタン有効タイマTのタイマ値が0でない場合(ボタン操作有効期間内)(S12;No)、そのタイマTの値が0になり演出ボタン有効フラグがリセットされるまで、演出制御手段43aから液晶表示制御手段44aへ球抜き指令コマンドは出力されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、貯留皿に遊技球が充満状態のとき遊技者に貯留皿から外部へ遊技球を球抜きさせる報知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ機には、特別図柄を表示可能な特別図柄表示手段や、この特別図柄に対応する演出図柄を表示可能な演出表示手段などが設けられている。図柄始動入賞口に遊技球が入賞すると、特別図柄の変動表示に連動して演出図柄が付随的に変動表示され、変動表示中の特別図柄が停止するタイミングで演出図柄も停止表示される。この演出図柄は大当りに対する遊技者の期待感を喚起するために演出目的で表示される数字等からなる複数の図柄列である。
【0003】
ところで、パチンコ機には、所謂チャンスボタンと呼ばれる遊技者が操作可能な演出ボタンが設けられている。例えば、リーチ演出や、大当り遊技状態のときに実行される大当り中演出のときに、遊技者にチャンスボタンの操作を求める特定演出が実行される。例えば、特許文献1の遊技機においては、特別図柄の変動表示がリーチ状態の場合、予め抽選により決定されている当り/外れの当否結果に関連して、遊技者にチャンスボタンの操作を求めるメッセージが表示され、遊技者のチャンスボタン操作により当り/外れの当否が決定したように演出表示する補助ゲームが実行される。
【0004】
この補助ゲームによる特定演出の実行後、特別図柄の変動停止時の確定図柄が大当り態様になった場合、遊技状態が遊技者に有利な利益状態を発生させる大当り遊技状態に移行される。大当り遊技状態では、所定の入賞条件に基づいて大入賞口の開閉動作が繰返し行われるので、短時間で貯留皿に遊技球が充満状態となり、遊技者に対し貯留皿から外部へ遊技球を球抜きするよう報知される。例えば、特許文献2の弾球遊技機においては、貯留皿に遊技球が充満状態のとき、球抜きボタンのランプが点灯して遊技者に球抜きするように報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−334302号公報
【特許文献2】特開2004−24691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2においては、遊技者にチャンスボタンの操作を求める特定演出実行中に貯留皿に遊技球が充満状態になったとき、遊技者に球抜きボタンを操作して貯留皿から外部へ遊技球を球抜きするよう球抜き指令報知(メッセージ表示による報知や音声やランプによる報知)が実行されるため、チャンスボタンの操作を行っているにもかかわらず球抜きボタンの操作を求められた遊技者は、その求めに応じてチャンスボタンを操作しつつ球抜きボタンを操作して球抜きを行うことで混乱してしまう虞がある。
本発明の目的は、演出実行中において状況に応じて球抜き報知を実行するか否かを判断し、特定演出中の演出ボタン操作有効期間内においては、貯留皿の遊技球が充満状態になった場合でも球抜き報知を実行しない遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の遊技機は、遊技球を貯留する貯留皿に遊技球を払い出す払出機構と、遊技に関する演出を出力可能な演出手段と、遊技者が操作可能な演出スイッチとを有する遊技機において、前記払出機構に貯留皿に遊技球が充満状態のときその球詰まりを検出する球詰まり検出手段と、遊技者に前記演出スイッチの操作を促す報知を実行するように前記演出手段を制御する機能と、前記球詰まり検出手段からの球詰まり検出信号に基づいて、遊技者に貯留皿から外部へ遊技球を球抜きさせる報知を実行するように前記演出手段を制御する機能とを有する演出制御手段とを備え、前記演出制御手段は、前記演出スイッチの操作を有効とする所定のスイッチ有効期間内において前記球詰まり検出手段により球詰まりが検出された場合には前記スイッチ有効期間経過後に前記球抜きさせる報知を実行するように前記演出手段を制御することを特徴としている。
【0008】
演出スイッチを操作可能な所定のスイッチ有効期間において、貯留皿に遊技球が充満状態のとき、球詰まり検出手段により払出機構の遊技球の球詰まりが検出された場合、スイッチ有効期間経過後に、遊技者に貯留皿から外部へ遊技球を球抜きするよう報知される。
【0009】
請求項2の遊技機は、請求項1の発明において、前記球詰まり検出手段から球詰まり検出信号を受信する主制御手段を備え、前記主制御手段は、前記球詰まり検出信号を受信した場合、前記演出制御手段に球抜き指令報知コマンドを送信するように構成され、前記演出制御手段は、前記スイッチ有効期間内に前記球抜き指令報知コマンドを受信した場合でもその球抜き指令報知コマンドに基づく球抜きさせる報知を実行しないように前記演出手段を制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、演出制御手段は、演出スイッチの操作を促す報知を実行するように演出手段を制御する機能と、遊技者に貯留皿から外部へ遊技球を球抜きさせる報知を実行するように演出手段を制御する機能とを有し、スイッチ有効期間内に球詰まりが検出された場合にはスイッチ有効期間経過後に球抜きさせる報知を実行するように演出手段を制御するので、状況に応じて報知の実行を判断する遊技機を実現可能とする。
【0011】
例えば、遊技状態が大当り遊技状態の場合、球詰まり検出手段により払出機構に貯留皿に遊技球が充満状態のときその球詰まりが検出された場合、遊技者に球抜きを求める報知を実行する一方、その大当り遊技状態の途中で実行される単発の大当りから確率変動大当りへ昇格させる確変昇格演出中においては、遊技者が演出スイッチを操作できる期間内に前記の報知を実行しないので、演出スイッチ操作を求める確変昇格演出中は、遊技者は演出スイッチ操作に集中できるため混乱することがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】パチンコ機の斜視図である。
【図2】パチンコ機の側面図である。
【図3】パチンコ機の背面図である。
【図4】(A)検知板が球詰まり非検知位置に移動した状態を示す拡大図である。 (B)検知板が球詰まり検知位置に移動した状態を示す拡大図である。
【図5】パチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図6】パチンコ機の制御系ブロック図である。
【図7】演出制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
本実施例は、遊技球を貯留する貯留皿に遊技球を払い出す払出機構と、遊技に関する演出を出力可能な演出手段と、遊技者が操作可能な演出ボタンとを有するパチンコ機に、本発明を適用した場合の一例である。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、パチンコ機1は、矩形枠状の外枠2と、この外枠2に開閉自在に枢着された前枠3とを有し、カード式球貸し機(図示略)をサンドイッチ状に挟持する状態で、外枠2が島構造体(図示略)に着脱自在に装着されている。前枠3の前側から遊技盤4が着脱自在に装着され、遊技盤4の前側に対応させて、開閉可能な開閉扉5が設けられている。開閉扉5の前面には、遊技盤4の遊技領域16の前側をカバーする透明な窓ガラスからなる窓部6と、複数の装飾ランプ7と、複数のスピーカ8と、発射用の遊技球Pや入賞球を貯留する貯留皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。
【0015】
貯留皿9の前面には、所定金額分の球貸しを指示する球貸しボタン11と、遊技終了時にプリペイドカードの返却を指示する返却ボタン12と、遊技者が操作可能な演出ボタン13であって所謂チャンスボタンと呼ばれる正面視にて楕円形状の演出ボタン13と、遊技球Pを貯留皿9から外部へ球抜きする為の球抜きボタン14とが設けられている。
【0016】
図5に示すように、鉛直な盤面を形成する遊技盤4には、ガイドレール15がほぼ環状に設けられ、ガイドレール15の内側に遊技領域16が形成され、遊技者の発射ハンドル10の回動操作により発射された遊技球Pが遊技領域16に案内される。遊技領域16には、多数の障害釘(図示略)、風車17、センターケース18、このセンターケース18に一体的に設けられた液晶ディスプレイ(演出表示手段)19、ゲート式の普通図柄始動口21、普通入賞口22、特別図柄表示部23、普通図柄表示部24、複数の普通図柄始動保留ランプ25、第1始動口26と開閉式の第2始動口27とを備えた特別図柄始動入賞口28、開閉式の大入賞口29や球排出口30などが配設されている。尚、複数の装飾ランプ7と、複数のスピーカ8と、液晶ディスプレイ19が演出手段に相当する。
【0017】
遊技領域16の上部へ発射された遊技球Pは、複数の障害釘や風車17に当たって方向を換えながら落下していき、普通図柄始動口21、普通入賞口22、特別図柄始動入賞口28の第1,第2始動口26,27、大入賞口29の何れかに入賞するか、最下端まで落下して球排出口30から排出される。普通入賞口22、特別図柄始動入賞口28、大入賞口29の何れかに遊技球Pが入賞した場合には、各入賞口22,28,29に応じて予め定められた遊技球Pが入賞球として払い出される。
【0018】
特別図柄始動入賞口28に入賞した遊技球Pを検出した場合、特別図柄表示部23の特別図柄が変動表示される。特別図柄は、7セグメントLED表示器により可変表示される数字や数字以外の文字又は記号(例えば、「3」,「−」等)からなる図柄である。この特別図柄の変動表示に連動して液晶ディスプレイ19の表示画面にリーチや大当りに対する遊技者の期待感を喚起するために演出目的で表示される複数の図柄列からなる演出図柄が付随的にスクロール方式で変動表示される。
【0019】
演出図柄の変動表示が開始されてから所定時間経過後、特別図柄の変動停止タイミングに合わせて演出図柄も変動停止するので、遊技者は、演出図柄の停止態様を見て特別図柄表示部23の特別図柄の停止態様が当りか否かを認識することができる。例えば、特別図柄の変動停止時の確定図柄が大当り態様(例えば、「333」)になったとき、演出図柄も大当り態様(例えば、「777」)で停止表示される。なお、特別図柄変動中に、特別図柄始動入賞口28に遊技球Pが入賞した場合、その入賞数が最大4個まで保留球として記憶され、その保留数が液晶ディスプレイ19の表示画面に表示される。
【0020】
大当り発生後、遊技状態が大当り遊技状態へ移行された場合、大当り中は、例えば、大入賞口29は最大で設定ラウンド数(作動数)(例えば、15ラウンド)まで作動し、複数ラウンドに亙って開閉動作を繰返し行う。大入賞口29の各作動は、その大入賞口29に所定数(例えば、10個)の遊技球Pが入球するか、その開放時から所定時間(例えば、30秒間)経過するまで維持される。また、発生した大当りが単発の大当りでなく、確率変動大当り(以下、確変大当り)の場合、大当り遊技状態終了後、次に大当り図柄態様が成立するまでの間の遊技状態が確率変動状態となる。この確率変動状態においては、遊技状態が、大当たり当選確率が通常確率(例えば抽選用乱数を0〜299とした場合、1/300)から高確率(例えば1/30)へ設定される高確率状態、特別図柄の変動時間が短縮される時短状態や、特別図柄始動入賞口28の第2始動口27の開放時間が延長される開放延長状態になる。
【0021】
また、普通図柄始動口21に入球した遊技球Pを検出した場合、普通図柄表示部24の当りランプ表示部24aと外れランプ表示部24bのランプが交互に点灯点滅表示される。そして、当りの場合には当りランプ表示部24aが点灯表示され、特別図柄始動入賞口28の第2始動口27の開閉部材27aが所定回数開閉される。なお、当り/外れランプ表示部24a,24bが点灯点滅中に、普通図柄始動口21に遊技球Pが入球した場合、その入球数が最大4個まで保留球として記憶され、その保留数が普通図柄始動保留ランプ25にて表示される。
【0022】
ところで、特別図柄始動入賞口28に遊技球Pが入賞したことを検出した場合、液晶ディスプレイ19の表示画面には、単に複数の演出図柄が変動表示されるだけでなく、キャラクタ(例えば、人間や動物など)を用いて図柄変動表示にストーリー性を持たせ、リーチや大当りへの期待感を高めるリーチ演出や大当り予告演出等が実行される。また、大当り発生後の大当り遊技状態の場合には、大当り中演出等が実行される。
【0023】
例えば、リーチ大当り演出では、リーチ大当り演出実行途中において液晶ディスプレイ19の表示画面に遊技者に演出ボタン13の操作を求めるメッセージが表示され、遊技者がその求めに応じて演出ボタン13を操作すると、予め抽選により決定されている当り/外れの当否結果と同等の結果を導く特定演出が実行される。即ち、抽選結果が当りの場合、遊技者に大当りになることを期待させるため、遊技者の演出ボタン13の操作に連動して演出画像が変化していき、最終的に演出ボタン13操作により大当りが決定したように見せる特定演出が実行される。
【0024】
また、大当り遊技状態移行後に実行される大当り中演出においては、予め抽選により確変大当りが決定している場合、遊技者に確変大当りが発生したことを知らせずに、液晶ディスプレイ19の表示画面には単発の大当りが発生したように見せかける演出表示が実行される。この大当り中演出開始後、大入賞口29の作動が5ラウンド目に突入したとき、表示画面において、遊技者に単発の大当りから確率変動大当りへの昇格を期待させるため、遊技者に演出ボタン13の操作を求めるメッセージが表示される。遊技者がその求めに応じて演出ボタン13を操作すると、その操作に応じて演出画像が変化するように表示され、最終的に演出ボタン13操作により確変大当りへの昇格が決定したように見せる確変昇格演出(特定演出)が実行される。なお、抽選結果が単発の大当りの場合でも、確変昇格演出は実行され、この場合、遊技者が演出ボタン13を操作することで、その操作に応じて演出画像が変化して表示されるが、最終的に確変大当りには昇格しない。
【0025】
図2,図3に示すように、パチンコ機1の外枠2の裏側には、裏機構板30が着脱自在に装着され、その上部側に、外部から遊技球Pが供給される球補給タンク31と、球補給タンク31から延びるタンクレール32が設けられている。裏機構板30の左部に払出機構35が設けられ、この払出機構35の上端がタンクレール32に接続され、下端が払出し通路36に接続されている。遊技球Pを貸し出す場合や払い出す場合に、払出機構35から払い出された遊技球Pは、払出し通路36を経由して貯留皿9に払い出される。
【0026】
払出し通路36の途中部には、球詰まり検出手段38が配設されている。図4に示すように、この球詰まり検出手段38は、検知板39と、球抜き検知スイッチ40を有し、払出し通路36に滞留した遊技球Pの球詰まりを検知するものである。図4(A),(B)に示すように、検知板39は、揺動自在に裏機構盤3に枢支されている。例えば、大当り遊技状態に移行されると、短時間で貯留皿9に入賞球が払い出されるので、貯留皿9の遊技球Pが充満状態となり、さらに、払出しモータ37の駆動により大入賞口29への入賞による賞球の払出しが続く場合、払出し通路36に遊技球Pが滞留し始める。払出し通路36の途中部まで遊技球Pが滞留して球詰まり状態となり、それらの遊技球Pにより検知板39が図4(A)の位置から図4(B)の払出し通路36の外側へ押されるように揺動する。
【0027】
検知板39が払出し通路36の外側へ揺動すると、球詰まり検出スイッチ40が検知板39の上端の突片部39aを検出してオン状態となり、遊技球Pの球詰まり状態が検出される。球詰まりスイッチ40により球詰まりが検出されると、払出制御基板42に球詰まり検出信号が出力され、その検出信号に基づいて払出モータ37が停止する。このとき、液晶ディスプレイ19の表示画面には、遊技者に遊技球Pを貯留皿9から外部へ球抜きするようメッセージが表示される。
【0028】
次に、パチンコ機1の制御系について説明する
図3,図6に示すように、パチンコ機1の外枠2の裏機構板30には、パチンコ機1を制御する各制御手段(主制御手段41a、払出制御手段42a、演出制御手段43a、液晶表示制御手段44a、電源手段)が装備された基板として、主制御基板41、払出制御基板42、演出制御基板43、液晶表示制御基板44、電源基板45が夫々所定位置に配設されている。これら制御基板41〜44は、夫々、別体に構成されて電気的に接続され、各制御基板41〜44には、CPUとROMとRAMとからなるワンチップマイコンと入出力インターフェースとが設けられている。
【0029】
図6に示すように、主制御基板41には、普通入賞口SW46、特別図柄始動入賞口SW47、普通図柄始動口SW48、大入賞口SW49、特別図柄始動入賞口28の開閉部材27aの開閉SOL50、大入賞口29の開閉SOL51、払出制御基板42、演出制御基板43、特別図柄表示基板52、普通図柄表示基板53などが接続されている。なお、SWはスイッチを意味し、SOLはソレノイドアクチュエータのことである。
【0030】
主制御基板41上に装備された主制御手段41aは、予め格納した制御プログラムにより達成される種々の機能(手段)を有し、乱数抽選手段と、この乱数抽選手段により取得された抽選用乱数値から当り/外れを判定する判定手段と、特別図柄決定手段と、演出制御手段43aに送信する演出パターンコマンドを決定するコマンド決定手段と、大当りの場合に所定の入賞条件に基づいて大入賞口22を開閉して、遊技者に有利となる利益状態を発生させる利益状態発生手段とを有する。
【0031】
主制御手段41aは、遊技全体を総括的に制御し、各SW46〜49からのSW信号に基づいて、特別図柄始動入賞口28の開閉部材27aの開閉SOL50、大入賞口29の開閉SOL51、特別図柄表示基板52の特別図柄表示部23、普通図柄表示基板53の普通図柄表示部24及び普通図柄始動保留ランプ25を直接的に制御すると共に、払出制御基板42の払出制御手段42aと、演出制御基板43の演出制御手段43aに遊技状態に応じて複数の制御コマンドを送信し、これら制御基板42,43の制御手段42a,43aを介して他の制御機器を間接的に制御する。
【0032】
ここで、主制御手段41aから演出制御手段43aへ送信される制御コマンドは、通常コマンドの分類を識別するための識別子である1バイト長のデジタルデータであるモード(MODE)と、実行される制御コマンドの内容(機能)を1バイト長のデジタルデータであるイベント(EVENT)との2バイトの組み合わせで構成されている。主制御手段41aは、複数の制御コマンド(演出パターンコマンド、演出図柄決定指示コマンド、演出停止コマンドなど)を演出制御手段43aに順次送信する。
【0033】
演出制御基板43には、装飾ランプ7、スピーカ8、演出SW54、液晶表示制御基板44などが接続されている。演出制御基板43上に装備された演出制御手段43aは、主制御手段41aから受信する種々の制御コマンドに基づいてスピーカ8からのBGMや遊技効果音の出力や装飾ランプ7の点灯点滅出力を直接的に制御すると共に、主制御手段41aからの演出に関する制御コマンドや演出SW54からの検出信号(オン信号)の入力に基づいて、液晶表示制御基板44に演出表示指令コマンドやエラー表示指令コマンドなどを出力して間接的に液晶ディスプレイ19での演出表示の出力を制御する。液晶表示制御基板44上に装備された液晶表示制御手段44aは、演出制御手段43aからの制御コマンドに基づいて液晶ディスプレイ19を有する液晶ディスプレイユニットへ駆動制御信号を出力する。
【0034】
払出制御基板42には、払出機構35や発射制御基板55等が接続されている。払出制御基板42上に装備された払出制御手段42aは、主制御手段41aから受信した賞球に関する制御コマンドに基づいて、払出機構35の払出モータ37へ駆動制御信号を出力する。主制御手段41aは、払出制御手段42aを介して払出機構35の球詰まり検出SW40からの球詰まり検出信号を受信すると、演出制御手段43aに球抜き指令コマンドを出力し、演出制御手段43aは液晶表示制御手段44aに球抜き指令表示コマンド(球抜き指令報知コマンド)を出力する。
【0035】
遊技領域16へ遊技球Pを発射する発射機構56が設けられ、遊技者が発射ハンドル10を握って発射SW58をオンすると、発射制御基板55の発射制御手段を介して発射機構56の発射SOL57へ駆動制御信号が出力される。ここで、発射機構56において、発射制御手段から発射許可信号が入力された場合にだけ、発射SOL57への駆動制御信号の出力が許可される。
【0036】
次に、演出制御手段43aが実行する演出制御プログラムについて、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。但し、図中の符号Si(i=1,2,・・・)は各ステップである。尚、この演出制御プログラムは、演出制御手段43aのROMに予め格納されている。
ホール側の従業員が電源スイッチを操作してパチンコ機1に電源が投入されると、RAMの記憶エリアの初期化処理等が実行されて演出制御がスタートされる。先ず、主制御手段41aから制御コマンドを受信したか否かが判定される(S1)。制御コマンドを受信していない場合(S1;No)、主制御手段41aから制御コマンドを受信するまでS1の処理が繰り返し実行される。
【0037】
主制御手段41aから制御コマンドを受信した場合(S1;Yes)、受信したコマンドが大当り中演出パターンコマンドであるか否かが判定される(S2)。この大当り中演出パターンコマンドは、大当り発生後の大当り遊技状態中に実行される演出パターンの変動時間を指定したコマンドである。
【0038】
S2において、受信したコマンドが大当り中演出パターンコマンドでなく(S2;No)、その他の演出パターンコマンドである場合(S3;Yes)、その受信コマンドに応じた演出パターン指令コマンドが出力される(S4)。例えば、リーチ演出パターンコマンド、大当り予告演出パターンコマンドを受信した場合、指定された変動時間に応じたリーチ演出内容や大当り予告演出内容を指定する演出パターン指令コマンドが液晶表示制御手段44aに出力された後、S1へリターンされる。
【0039】
受信したコマンドが演出パターンコマンドでない場合(S3;No)、受信したコマンドに応じて種々の演出処理が実行される(S5)。例えば、演出図柄決定指示コマンド、演出停止コマンド、客待ちデモンストレーション表示コマンド、エラー表示コマンド等を受信した場合、液晶表示制御手段44aにデモ画面表示指令コマンドやエラー表示指令コマンドなどが出力された後、S1へリターンされる。
【0040】
他方、S2において、主制御手段41aから受信したコマンドが、大当り中演出パターンコマンドの場合(S2;Yes)、その大当り中演出パターンコマンドが確変大当り昇格演出用演出パターンコマンドであるか否かが判定される(S6)。この確変大当り昇格演出用演出パターンコマンドは、大当り中演出パターン実行中の途中で実行される遊技者の演出ボタン13操作による確変大当り昇格を演出する特定演出パターンを指定するコマンドである。
【0041】
確変大当り昇格演出用演出パターンコマンドを受信した場合(S6;Yes)、昇格演出用演出パターンコマンドで指定された変動時間に応じた大当り中演出パターンと確変昇格演出パターンの内容が決定され、液晶表示制御手段44aに昇格演出用パターン指令コマンドが出力される(S7)。
【0042】
次に、S8において、大当り遊技が開始されてから予め設定された大当りラウンド(15ラウンド)のうちの所定の大当りラウンド(4ラウンド)が経過した否かが判定される。例えば、大当り遊技を開始してから大入賞口29の作動が4ラウンド終了して5ラウンド目に突入したか否かが判断される。所定の大当りラウンドが経過していない場合(S8;No)、所定の大当りラウンドが経過するまでS8の処理が繰り返し実行される。一方、所定の大当りラウンド経過した(4ラウンド経過)場合(S8;Yes)、演出ボタン有効フラグがセットされると共に、演出ボタン操作有効タイマTがセットされてその減算処理が開始される(S9)。液晶表示制御手段44aにボタン操作指令コマンドが出力される(S10)。液晶表示制御手段44aが操作指令コマンドを受信すると、液晶ディスプレイの19の表示画面に演出ボタン13の操作を求めるメッセージが表示される。
【0043】
S11において、主制御手段41aから球抜き指令コマンドを受信したか否かが判定される。球抜き指令コマンドを受信した場合(S11;Yes)、S9で計時が開始され減算されたタイマTの値が読み込まれ、そのタイマTの値が0になったか否かが判定される(S12)。判定の結果、減算されたタイマTの値が0でない場合(S12)、タイマTの値が0に減算されるまでS12の処理が繰り返し実行される。即ち、主制御手段41aから球抜き指令コマンドを受信しても、遊技者が演出ボタン13を操作可能な有効期間内においては、主制御手段41aから球抜き指令表示コマンドを受信しても直ちに、液晶表示制御手段44aに球抜き指令表示コマンドは出力されない。
【0044】
一方、タイマTの値が0になったと判定された場合(S12;Yes)、即ち、演出ボタン操作有効期間経過後に演出ボタン有効フラグがリセットされ(S13)、液晶表示制御手段44aに球抜き指令表示コマンドが出力される(S14)。
【0045】
他方、S11において、主制御手段41aから球抜き指令コマンドを受信していない場合(S11;No)、S9で計時が開始され減算されたタイマTの値が読み込まれ、そのタイマTの値が0になったか否かが判定される(S15)。判定の結果、タイマTの値が0でない場合(S15;No)、タイマTの値が0に減算されるまでS11、S15の処理が繰り返し実行される。一方、タイマTの値が0になったと判定された場合(S15;Yes)、ボタン有効フラグがリセットされ、S1へリターンされる。
【0046】
ところで、S6において、主制御手段41aから確変大当り昇格演出用以外の演出パターンコマンドを受信した場合(S6;No)、受信したコマンドで指定された変動時間に応じた大当り中演出パターンの内容が決定され、液晶表示制御手段44aに昇格演出用以外の大当り中演出パターン指令コマンドが出力される(S17)。大当り中演出パターンが実行開始されてから、主制御手段41aから球抜き指令コマンドを受信したか否かが判定される(S18)。判定の結果、指令コマンドを受信していない場合(S18;No)、S18の処理が繰り返し実行され、指令コマンドを受信した場合(S18;Yes)、液晶表示制御手段44aに球抜き指令表示コマンドが出力され(S19)、S1へリターンされる。
【0047】
以上説明した実施例のパチンコ機1の作用効果について説明する。
遊技領域16に遊技球Pが発射され、特別図柄始動入賞口28に遊技球Pが入賞すると、特別図柄の変動表示に連動して、液晶ディスプレイ19の表示画面に演出図柄が付随的に変動表示される。変動停止時の演出図柄の確定図柄が大当り態様になったとき、遊技状態が通常の遊技状態から大当り遊技状態へ移行される。
【0048】
抽選により決定した大当りが確変大当りの場合、大当り遊技状態に移行された後、液晶ディスプレイ19の表示画面においては、遊技者に確変大当りが発生したことを知らせずに、単発の大当りが発生したように見せかける特定演出が実行される。大当り中において、貯留皿9の遊技球Pが充満状態となり球詰まり検出手段38の球抜き検知スイッチ40により払出し通路36に滞留した遊技球Pの球詰まりが検知された場合、表示画面に遊技者に球抜きボタンの操作を求めるメッセージが表示され、遊技者はその求めに応じて球抜きボタン14を操作して貯留皿9から外部へ遊技球Pを球抜きする。
【0049】
大当り遊技開始後、大当りラウンドが予め設定された15ラウンドのうちの5ラウンド目に突入したとき、液晶ディスプレイ19の表示画面に遊技者に演出ボタン13の操作を求めるメッセージが表示され、遊技者の演出ボタン13操作により確変大当りが決定したように見せる確変昇格演出が実行される。確変昇格演出実行中においては、球詰まり検出手段38の球抜き検知スイッチ40により遊技球Pの球詰まりが検知された場合でも表示画面には遊技者に球抜きボタン14の操作を求めるメッセージが表示されないので、演出ボタン13の操作を求める確変昇格演出中は、遊技者は演出ボタン13の操作にだけ集中できるため混乱することがない。
【0050】
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1〕実施例では、演出ボタン操作有効期間内においては、液晶ディスプレイ19の表示画面に球抜き指令のメッセージが表示されないように構成したが、球抜き報知がスピーカ8や装飾ランプ7による球抜き報知も同様に実行されないように構成することは勿論のことである。
【0051】
2〕実施例では、演出ボタン13の操作を求める確変昇格演出中において本発明を適用した場合の一例を示したに過ぎず、その他、演出ボタン13の操作を求める特定演出中に本発明を適用してもよい。例えば、遊技中において演出ボタン13の操作を求める特定演出時に、新たに遊技球Pの球貸しが実行され、貯留皿9の遊技球Pが充満状態となり払出し通路36の遊技球Pが球詰まり状態になっても、表示画面に球抜き指令のメッセージは表示されない。
【0052】
3〕その他、当業者であれば、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更された種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0053】
P 遊技球
7 装飾ランプ
8 スピーカ
9 貯留皿
13 演出ボタン
19 液晶ディスプレイ
43a 演出制御手段
28 特別図柄始動入賞口
35 払出し機構
38 球詰まり検出手段
40 球抜き検知スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を貯留する貯留皿に遊技球を払い出す払出機構と、遊技に関する演出を出力可能な演出手段と、遊技者が操作可能な演出スイッチとを有する遊技機において、
前記払出機構に貯留皿に遊技球が充満状態のときその球詰まりを検出する球詰まり検出手段と、
遊技者に前記演出スイッチの操作を促す報知を実行するように前記演出手段を制御する機能と、前記球詰まり検出手段からの球詰まり検出信号に基づいて、遊技者に貯留皿から外部へ遊技球を球抜きさせる報知を実行するように前記演出手段を制御する機能とを有する演出制御手段とを備え、
前記演出制御手段は、前記演出スイッチの操作を有効とする所定のスイッチ有効期間内において前記球詰まり検出手段により球詰まりが検出された場合には前記スイッチ有効期間経過後に前記球抜きさせる報知を実行するように前記演出手段を制御する、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記球詰まり検出手段から球詰まり検出信号を受信する主制御手段を備え、
前記主制御手段は、前記球詰まり検出信号を受信した場合、前記演出制御手段に球抜き指令報知コマンドを送信するように構成され、
前記演出制御手段は、前記スイッチ有効期間内に前記球抜き指令報知コマンドを受信した場合でもその球抜き指令報知コマンドに基づく球抜きさせる報知を実行しないように前記演出手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−255223(P2011−255223A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210721(P2011−210721)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【分割の表示】特願2008−136562(P2008−136562)の分割
【原出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】