説明

遊技機

【課題】 払い出される遊技媒体をすべて内部的に記憶させることで、外部からの遊技媒体の補給を不要とする遊技機の提供を目的とする。
【解決手段】 機内に投入された遊技媒体と所定の入賞によって払い出された遊技媒体とを規定数まで記憶する第一クレジット領域と、投入された遊技媒体と払い出された遊技媒体のそれぞれの数量を監視し、規定数までは第一クレジット領域に記憶させるとともに、所定の操作にもとづいて第一クレジット領域に記憶されている遊技媒体を遊技に投入する処理を行う制御部と、を備える遊技機であって、払い出された遊技媒体のみを記憶する第二クレジット領域を備え、制御部は、払い出された遊技媒体を、規定数までは第一クレジット領域に優先して記憶させ、規定数を超えるときは第二クレジット領域に記憶させ、投入された遊技媒体を、第二クレジット領域に記憶させない構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場に設置されている遊技機に関し、特に、ゲームに投じる遊技媒体を記憶するクレジット機能を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場には、スロットマシン、パチンコ機などの遊技機が設置され、このような遊技機には、ゲームに投じる遊技媒体を記憶するクレジット機能を有する遊技機がある。
例えば、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダル(コイン)や遊技球(パチンコ球)を投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄が表された複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押されることでリールが停止し、停止したリール上の図柄の組合せに応じて所定数の遊技媒体が払い出される遊技機であり、投入した遊技媒体と払い出された遊技媒体とを規定数(例えば、メダル50枚)まで内部的に記憶するクレジット機能を備え、このクレジットされた遊技媒体は、ベットボタンを操作することによりゲームに投じる(掛ける)ことができるととともに、精算ボタンを操作することにより払い出すことができるようになっている。
【0003】
ところで、近年の遊技場では、遊技媒体の貸出料金(貸出レート)を一律とせずに、遊技機の設置されている遊技機島(コーナー)別に異なる貸出料金を設定するサービスが普及している。例えば、メダル1枚当りの貸出料金が5円のコーナーと、10円のコーナーと、20円のコーナーなどの貸出料金の異なる複数のコーナーを設け、遊技者の資金力に応じて遊技を楽しめるようにしている。
【0004】
このような貸出料金を遊技機毎に個別に設定可能なスロットマシンが提案されている。例えば、特許文献1には、複数の貸出料金の中から一の貸出料金を選択できるとともに、選択した貸出料金に応じて1回の遊技の所要時間を決定するスロットマシンが開示されている。
このスロットマシンでは、貸出料金に応じて1回の遊技の所要時間が変化するので、メダル1枚あたりの貸出料金を低下させたときに遊技の効率を高めることができるとともに、貸出料金の低下による遊技場の営業利益の損失を防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−75346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技者の獲得した遊技媒体は現金と交換可能な金銭的な価値を有することから、貸出料金が異なるとこれに応じて一遊技媒体当りの金銭的な価値も異なることになる。
遊技者の最大の興味は、現時点で獲得した遊技媒体がどの程度の金銭的価値を有するかにあるが、特許文献1記載のスロットマシンでは、貸出料金を遊技機毎に個別に設定することはできるものの、獲得した遊技媒体がいくらになるのかを判別することができなかった。
【0007】
また、遊技機は、遊技媒体をある一定量内部に蓄えて、そこから遊技媒体を払い出すように構成されているが、遊技媒体が払い出されると、その分、蓄えた遊技媒体も減少するので、外部から不足分を補給する必要がある。
ところが、遊技機のうちで特にスロットマシンの場合、外部から遊技媒体を自動的に補給する自動補給システムを導入している遊技場は少なく、その多くは、遊技場の店員による手作業での補給でまかなわれ、店員にとっては煩雑な作業が強いられていた。
また、払い出された遊技媒体は、遊技機に備える受け皿や、玉箱等に保管されるものの、これを窃取される場合があった。
【0008】
また、特許文献1に記載したスロットマシンのように、遊技機別、コーナー別に異なる貸出料金(貸出レート)を設定すれば、遊技者が獲得した遊技媒体を遊技機別やコーナー別に管理する必要性が生じ、遊技者にとっては資金力に応じて遊技が楽しめる反面、遊技場にとっては低貸出料金のコーナーから高貸出料金のコーナーへの遊技媒体の不正な持ち込みを監視するなどの管理負担を強いられデメリットとなっていた。
【0009】
本発明は、このような遊技場が抱える諸問題を解決するために提案されたもので、ゲームに掛ける遊技媒体を記憶するクレジット機能を有する遊技機において、クレジットされた遊技媒体の金銭的価値を金額として表示することで、遊技損益を認識しながら遊技を楽しむことができる遊技機の提供とを目的とする。
また、本発明は、払い出される遊技媒体をすべて内部的に記憶させることで、外部からの遊技媒体の補給を不要とする遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、機内に投入された遊技媒体と所定の入賞によって払い出された遊技媒体とを規定数まで記憶する第一のクレジット部と、前記投入された遊技媒体と前記払い出された遊技媒体のそれぞれの数量を監視し、前記規定数までは第一のクレジット部に記憶させるとともに、所定の操作にもとづいて第一のクレジット部に記憶されている遊技媒体を遊技に投入する処理を行う制御部と、を備える遊技機であって、前記払い出された遊技媒体のみを記憶する第二のクレジット部を備え、前記制御部は、前記払い出された遊技媒体を、前記規定数までは第一のクレジット部に優先して記憶させるとともに、前記規定数を超えるときは第二のクレジット部に記憶させ、前記投入された遊技媒体を、第二のクレジット部に記憶させない構成としてある。
【0011】
また、本発明の遊技機は、機内に投入された遊技媒体と所定の入賞によって払い出された遊技媒体とを規定数まで記憶するクレジット部と、前記投入された遊技媒体と前記払い出された遊技媒体のそれぞれの数量を監視し、前記規定数まではクレジット部に記憶させるとともに、所定の操作にもとづいてクレジット部に記憶されている遊技媒体を遊技に投入する処理を行う制御部と、を備える遊技機であって、一の遊技媒体の金銭的価値を示す所定のレートが複数通り設定されるとともに、前記複数のレートのうちの一のレートを所定の選択操作にもとづき選択可能なレート選択部を備え、前記制御部は、前記クレジット部に記憶されている遊技媒体を、一の遊技媒体の金銭的価値を示す所定のレートにもとづいて金額に換算し、所定の表示手段を制御して前記金額を表示させるとともに、遊技媒体の投入と払い出しによる前記クレジット部に記憶されている遊技媒体数の増減に伴い、選択されたレートを参照して前記金額を変動表示させる構成としてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の遊技機によれば、クレジットされた遊技媒体の金銭的価値を金額として表示することで、遊技者は遊技損益を認識しながら遊技を楽しむことができる。
また、本発明の遊技機によれば、払い出される遊技媒体をすべて内部的に記憶させることで、外部からの遊技媒体の補給を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御部及びその周辺構成の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るスロットマシンの制御部が行う貯留メダルの記憶処理を模式的に示した説明図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るスロットマシンの制御部が行う金額の表示処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
ゲームに投じる(掛ける)遊技媒体を内部的に記憶するクレジット機能を有する遊技機には、スロットマシンをはじめとしてパチンコ機など様々な種類の遊技機があるが、以下に示す各実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
【0015】
[第一実施形態]
[スロットマシン本体]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第一実施形態に係るスロットマシン本体の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す概略正面図であり、図2は、同じくスロットマシンの内部構成を示す概略斜視図であり、図3は、スロットマシンの制御部及びその周辺構成の概略を示すブロック図である。
これらの図に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、従来のスロットマシンと同様に、スロットマシン1に備えられた複数のリール21a,21b,21cを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得することができるととともに、投入されたメダルと払い出されたメダルを内部的に規定数(例えば、メダル50枚)まで記憶するクレジット機能を備える回胴式遊技機を構成しているものの、規定数を超える払い出しに係る入賞メダルを内部的に記憶するクレジット機能を有している。また、このように内部的に記憶されたメダルの金銭的価値を金額に換算し、これを表示する金額表示機能を備えている。
以下、本実施形態に係るスロットマシン本体の構成について詳述する。
【0016】
本実施形態のスロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された制御部10及び必要な機械,装置等を収納可能な前面側が開口された筐体1bと、前面側を開閉可能に覆う前扉1aとからなる筐体状に構成されている。
前扉1aは、図1及び図2に示すように、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉自在に取り付けられる扉体で、この前扉1aに前面パネル2とその他各部が備えられてスロットマシン1の正面部を構成している。
【0017】
前扉1aの最上部には、表示器Lと、この表示器Lの左右両脇にはスピーカSが備えられている。
表示器Lは、液晶表示ディスプレイなどの表示装置であり、その画面に所定の動画や静止画を表示して、視覚的な演出を行う演出手段として構成されている。
例えば、表示器Lでは、内部的に記憶された貯留メダルの金銭的価値を示す金額を表示することもできる。
スピーカSは、遊技者に対してメロディ音やメッセージ音等の各種の音声を発生することで、聴覚的な演出を行う演出手段として構成されている。
これらの表示器LとスピーカSは、演出制御部40によって駆動制御されるようになっている(図3参照)。
【0018】
前面パネル2には、ほぼ中央部分に表示窓3が設けられ、筐体内の各リール21a〜21cが外部から視認可能となっている。
表示窓3は、スロットマシン1内部に配設された三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21c(図2参照)の視認用の窓部で、三つの各リール21の外周面に表された複数の図柄のうち、縦方向に連続して隣接する三つの図柄をそれぞれ視認,識別できるようになっている。
【0019】
前面パネル2の表示窓3の下側には、貯留枚数表示部2aと、状態表示部2bと、獲得枚数表示部2cとが配置され、前面パネル2の表示窓3の上側には、金額表示部2dが配置されている。
貯留枚数表示部2a,状態表示部2b,獲得枚数表示部2c及び金額表示部2dは、それぞれ7セグメントLED等からなり、所定の数値が表示されるようになっている。
貯留枚数表示部2aは、6桁の7セグメントLEDで構成され、制御部10のRAM11bにおける第一クレジット領域(第一のクレジット部)に記憶されたメダル数が下2桁の7セグメントLEDに表示され、同じくRAM11bにおける第二クレジット領域(第二のクレジット部)に記憶されたメダル数が上4桁の7セグメントLEDに表示される。
状態表示部2bは、ボーナス遊技におけるメダルの払出総数や消化ゲーム数が表示され、獲得枚数表示部2cは、入賞時の払出数が表示される。
金額表示部2dは、第一クレジット領域と第二クレジット領域に記憶されたメダル数の合計数を所定のレートで換算した金額(円)が表示される。
上記各表示部2a〜2dは、制御部10によって駆動制御される(図3参照)。
【0020】
前面パネル2の下側の前扉1aのほぼ中央部分には、スタートレバー4,停止ボタン5,メダル投入口6,精算ボタン6b,ベットボタン7、レート切替ボタン8等の遊技者が操作するためのボタン類が備えられている。
スタートレバー4は、三つの各リール21の回転を開始させる遊技スタート手段であり、このスタートレバー4が遊技者の操作によって押下されることで、制御部10にスタート信号が出力され(図3参照)、本体内部の各リール21a〜21cが一斉に回転するようになっている。
また、このスタートレバー4の押下によりスタート信号が入力されることで、制御部10において内部抽選が行われ、当選内容が決定されるようになっている。
【0021】
停止ボタン5は、回転するリール21を停止させる停止手段であり、三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21cに対応して設けられた三つの停止ボタン(左)5a,停止ボタン(中)5b,停止ボタン(右)5cが備えられている。この各停止ボタン5a,5b,5cが遊技者の任意のタイミングで押下操作されることで、制御部10にストップ信号が出力され(図3参照)、対応する各リール21a,21b,21cの回転が停止されるようになっている。
【0022】
メダル投入口6は、スロットマシン遊技に使用される遊技媒体となるメダルの受け入れ口であり、このメダル投入口6から投入されたメダル数に応じて遊技が行えるようになっている。
メダル投入口6の本体内部側には、図2に示すようにメダルセレクタ6aが備えられ、投入されたメダル数がカウントされ、そのメダル数を示すメダル信号が、本体内部の制御部10に出力されるようになっている。
【0023】
また、メダル投入口6から投入されるメダルは、ゲームに投入される貯留メダルとして制御部10内のRAM11bの第一クレジット領域(第一のクレジット部)に記憶されるようになっており、遊技の開始に先立って、予め複数のメダルを投入することで、ゲームに投入される貯留メダルとして貯留,記憶(以下、クレジットという)できるようになっている。
具体的には、ゲーム可能となるメダル(例えば、3枚)が投入されている状態で、さらにメダル投入口6からメダルが投入されると、それ以降のメダルは貯留メダルとして、規定数(例えば、最大50枚)までがクレジットされる。また、入賞時の払い出しがあった場合、入賞メダルは、この規定数までゲームに投入される貯留メダルとしてクレジットされる。
この貯留メダルは、後述のBETボタン7が押下されることで、第一クレジット領域からゲームに使用する分のメダルが投入(減算)される。
このように第一クレジット領域に記憶された貯留メダルは、従来のスロットマシンと同様、予めクレジットされてゲームに投入される貯留メダルとなっている。
また、第一クレジット領域に記憶された貯留メダル数は前面パネル2の貯留枚数表示部2aにおける下2桁の7セグメントLEDに数値として表示される。
【0024】
また、本実施形態のスロットマシン1では、入賞時の払い出しがあった場合において、既に規定数の貯留メダルが第一クレジット領域にクレジットされているときには、規定数を超える分の入賞メダルは、制御部10内のRAM11bの第二クレジット領域(第二のクレジット部)に記憶されるようになっている。
この第二クレジット領域に記憶された貯留メダルは、第一クレジット領域に記憶された貯留メダル数がゲーム可能となるメダル(例えば、3枚)に満たないときに後述のBETボタン7が押下されると、規定数まで第一クレジット領域に振り替えられ(移送され)、その結果、第一クレジット領域に記憶された貯留メダルの中からゲームに使用するメダルが投入されるようになっている。
【0025】
具体的には、例えば、第二クレジット領域に記憶された貯留メダルが「60枚」あり、第一クレジット領域に記憶された貯留メダルがゲーム可能となるメダル数「3枚」に満たない「0〜2枚」のときに、BETボタン7が押下されると、第二クレジット領域に記憶された貯留メダル「60枚」から規定数「50枚」までが第一クレジット領域に振り替えられると同時に、第一クレジット領域に振り替えられた貯留メダルの中からゲームに使用するメダル数「3枚」が投入されることになる。
つまり、第一クレジット領域から貯留メダルをゲームに投入する場合において、ゲーム可能となるメダル数よりも第一クレジット領域の貯留メダル数が少なくなり、第二クレジット領域に貯留メダルが記憶されているときには、第二クレジット領域に記憶された貯留メダルを第一クレジット領域に振り替えてから投入されるようになっている。
この第二クレジット領域に記憶された貯留メダル数は、前面パネル2の貯留枚数表示部2aにおける上4桁の7セグメントLEDに数値として表示される。
なお、この場合において、第一クレジット領域に振り替えられることなく、第二クレジット領域に記憶されている貯留メダルの中からゲームに使用するメダルを直接投入することもできる。
【0026】
精算ボタン6bは、精算部の一例であり、遊技の終了時等に貯留メダルを精算するためのスイッチである。
この精算ボタン6bが押下操作されることで、貯留メダル分(第一クレジット領域及び第二クレジット領域に記憶された貯留メダル)のメダルがメダル払出装置30から遊技メダル払出口9に排出され、RAM11bに記憶された各貯留メダル数のデータも消去される。
また、貯留メダルが精算されることで貯留枚数表示部2aの6桁の数値もゼロ表示となる。
【0027】
この精算ボタン6bの押下操作にもとづいて各クレジット領域に記憶されている貯留メダルを現物のメダルとして排出する場合において、遊技者の操作にもとづいて以下に示すように、予め区分けされた所定の単位ごとにメダルを排出することができる。
例えば、貯留メダルを、第一クレジット領域に記憶されているものと第二クレジット領域に記憶されているものとに区分けし、精算ボタン6bの一回の押下操作で、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダルを優先して排出し、次の押下操作で、第二クレジット領域に記憶されている貯留メダルを排出することもできる。
また、各クレジット領域に記憶されている貯留メダルを所定数単位(例えば、100枚単位)に区分けし、一回の操作ごとに所定数(100枚)のメダルを排出することもでき、この場合、さらに、精算ボタン6bの長押し(例えば、1秒)により、貯留メダルの全ての排出を選択することもできる。
このように、遊技者の操作にもとづいて予め区分けされた所定の単位ごとに現物のメダル排出することで、特に大量のメダルが第二クレジット領域に記憶されているようなときには、大量のメダルが一度に排出されることにより遊技メダル払出口9付近に発生するメダル詰まりを回避できるとともに、店員によるメダルの補給も分散して行なうことができる。
【0028】
メダルのBETボタン(投入ボタン)7は、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダルがある場合に、第一クレジット領域からゲームに使用するメダルを投入(掛ける)するメダル投入用のスイッチである。
具体的には、一回の押下によってゲーム可能となる掛け数(例えば、3枚)のメダルを第一クレジット領域に記憶されている貯留メダルから一度に投入するMAXBETボタン7aと、一回の押下で1枚のメダルを第一クレジット領域に記憶されている貯留メダルから投入する1BETボタン7bとが備えられている。
なお、本実施形態では、ゲーム可能となる掛け数を常に3枚としてあるが、遊技状態に応じて変えることもできる。例えば、ボーナス遊技では2枚、それ以外のゲーム区間(通常遊技中)では3枚とすることもできる。
【0029】
そして、これらの各BETボタン7が押下されると、投入されたメダル数(掛け数)に応じたメダル信号が制御部10に出力され(図3参照)、投入されたメダル数(掛け数)と同数のメダルが、RAM11bの第一クレジット領域に記憶されている貯留メダルからゲームに投入されることになる。
その結果、貯留メダルが投入されると、RAM11bの第一クレジット領域から投入数だけ減算され、貯留枚数表示部2aにおける下2桁の表示数値も投入数だけ減ることになる。
また、第二クレジット領域に貯留メダルが記憶されている場合において、第一クレジット領域に記憶された貯留メダル数がゲーム可能となるメダルに満たないときにBETボタン7が押下されると、第二クレジット領域に記憶された貯留メダルが規定数まで第一クレジット領域に加算され、貯留枚数表示部2aにおける下2桁の表示数値も加えられた数分だけ増えることになる。このとき、第二クレジット領域に記憶された貯留メダルは減算され、貯留枚数表示部2aにおける上4桁の表示数値も減算された数分だけ減ることになる。
【0030】
また、各BETボタン7が押下されると、金額表示部2dに表示された金額(円)も変動する。
例えば、後述のレート切替ボタン8によりメダル1枚当りのレート(金額)が「20円」と設定され、第一クレジット領域に「20枚」のメダルが記憶され、第二クレジット領域に「60枚」のメダルが記憶されている場合を例に挙げて説明すると、金額表示部2dには、貯留メダルの金銭的価値として表示金額「1600円([20枚+60枚]×20円)」が表示される。
ここで、MAXBETボタン7aが押下され、例えば、「3枚」のメダルが第一クレジット領域に記憶されている貯留メダルからゲームに投入されると、金額表示部2dの表示金額は、「1600円」からメダル3枚分の金額となる「60円」を減算した「1540円」に変動表示されることになる。
【0031】
さらに、入賞によるメダルの払い出しに伴い、金額表示部2dの表示金額(円)が変動する。
例えば、上記のメダルを「3枚」投入したゲームにおいて、所定の小役に入賞し、「5枚」のメダルが払い出されたときには、金額表示部2dの表示金額は、「1540円」にメダル5枚分の金額となる「100円」を加算した「1640円」に変動表示されることになる。
このように、金額表示部2dには、クレジットされている貯留メダルの金銭的価値が金額として表示されるので、遊技者が遊技における損益を直接的に把握できる。
【0032】
レート切替ボタン8は、メダル1枚あたりの所定のレート(例えば、貸出レート又は交換レート)を選択可能なレート選択部であり、本実施形態では、3通り(5円、10円、20円)のレートが設定され、その押下操作ごとに5円、10円、20円、5円・・・の順でメダル1枚あたりのレートが切り替わる。選択中のレートは、例えば、状態表示部2bなどに表示され、所定時間の操作放置により、選択したレートが確定する。
確定したレートはRAM11bのレート記憶領域に記憶され、制御部10が金額表示部2dを制御して金額を表示させるときに参照される。
なお、スロットマシン電源投入時におけるレートの初期値は、例えば、20円となっており、この初期値を選択可能な所定の操作手段(ディップスイッチ等)が制御部10に設けられ、遊技場毎に固有の値に設定することができる。
【0033】
スロットマシン1の筐体内部には、図2に示すように、三個のリール21a〜21cを回転及び停止駆動するドラムユニット20や、メダルを払い出すメダル払出装置30、その他の機械,装置等が備えられている。
ドラムユニット20は、三つのリール21a,21b,21cと、三つのリール21a〜21cを回転自在に保持し、各リール21a〜21cに対応するステッピングモータを回転駆動することで各リール21a〜21cの回転の始動,定速回転及び停止の制御を行うモータ駆動回路と、各リール21a〜21cが一回転する毎に各リール21a〜21cの基準位置を検出してマーカー信号として制御部10に出力する回胴位置検出部と、を備えている(いずれも不図示)。
【0034】
リール21は、外周に複数(通常21個)の絵柄や文字等の図柄が表された円筒状部分からなり、縦方向(図面上から下方向)に回転する三つのリール(左)21a,リール(中)21b,リール(右)21cが横方向(図面左右方向)に一列に並んで配設されている(図2参照)。
各リール21a〜21cに表された図柄は、リール21毎に等間隔で配設され、例えば、「ベル」や「7」,「リプレイ」等の絵柄や文字が、所定の順番で表示されており、各リール21に21個ずつの図柄が表示されるようになっている。
【0035】
このように各図柄が配置された三つのリール21a〜21cは、制御部10とドラムユニット20のモータ駆動回路及び回胴位置検出部によって駆動制御及び停止制御される。制御部10では、前述の回胴位置検出部から入力される基準位置を示すマーカー信号に基づき、各リール21a〜21cの現在の回転位置を常時監視するようになっている。
ドラムユニット20では、スタートレバー4及び停止ボタン5a〜5cが押下操作されることで、制御部10からモータ駆動回路にパルス(駆動)信号が入力され、ステッピングモータを駆動して、対応するリール21a〜21cの回転の始動,定速回転及び停止の制御が行われる。
【0036】
そして、遊技者が停止ボタン5を押下したタイミングに基づき、制御部10で行われる内部抽選における当選内容に応じてリール21の停止位置が制御されて、各リール21a〜21cの現在の停止可能な回転位置から所定の図柄送り数の範囲内(0〜4図柄の範囲内)に当選内容に対応する図柄があるときは、当該図柄を所定の有効ラインに停止するように、リール21が停止制御されることになる。
これにより、スタートレバー4からのスタート信号を契機として制御部10で内部抽選が行われ、制御部10からのパルス信号によりドラムユニット20が制御されることで、停止ボタン5が押下されるタイミングに基づく所定の図柄送り数の範囲内で、当選内容に応じた図柄の組合せが有効ライン上に停止表示されるよう、各リール21a,21b,21cが停止制御されることになる。
【0037】
メダル払出装置30は、筐体内のドラムユニット20の下側に配設されるメダル払出用の装置であり、払出用のメダルを収納するホッパー31と、ホッパー31に設けられたメダル払出モータを駆動制御して所定数のメダルを排出させるホッパー駆動回路と、排出されたメダルの枚数を所定のセンサによって検出して払出信号として制御部10に出力するメダル検出部と、を備えている(いずれも不図示)。
そして、このメダル払出装置30から排出されるメダルが、前扉1aの遊技メダル払出口9からスロットマシン前面に払い出されて遊技者に提供されることになる。
なお、本実施形態では、このメダル払出装置30は、第一クレジット領域又は第二クレジット領域に貯留メダルが記憶され、精算ボタン6bが押下されたときのみ作動するようになっている。
【0038】
[制御部]
次に、以上のように構成されたスロットマシン1全体を制御する制御部10について、図3を参照して説明する。
本実施形態の制御部10は、上述したスロットマシン1の各部を制御する、IC,メモリ,各種電子部品を備えたマイクロコンピュータを有する制御基板として構成され、筐体1bの後部に配設されている(図2参照)。
具体的には、制御部10は、一般的に主基板と呼ばれ、CPU11と、当該CPU11に内蔵され記憶手段であるROM11a及びRAM11b、基準クロックを発生する本体クロック発生回路、乱数発生のための基準クロックを生成する乱数クロック発生回路、内部抽選用の乱数を生成する乱数カウンタ、表示部2a〜2dを駆動する表示部駆動回路等を備えている。
そして、制御部10では、ROM11aに記憶されたプログラムやデータに基づき、スロットマシン1全体を制御する処理が実行されるようになっている。
【0039】
具体的には、制御部10において、メダル投入を監視して、投入されたメダル数に応じてゲーム可能な状態とし、スタートレバー4の操作のタイミングで、各リールを回転制御するとともに、複数の抽選対象の中から今回ゲームの当選内容を抽選で決定する内部抽選を行い、遊技者による停止ボタン5の停止操作のタイミングと当選内容とに基づいて当選内容の抽選対象に対応する図柄の組合せで停止するよう、各リール21を停止制御する。
さらに、停止した図柄の組合せにもとづいて入賞と判定すると、図柄の組合せに応じた所定数のメダルの払い出しを決定する。
【0040】
また、制御部10は、上記のようなスロットマシン遊技の基本制御の他に、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数と、この第一クレジット領域に記憶可能な貯留メダル数の最大数を示す規定数と、第二クレジット領域に記憶されている貯留メダル数と、メダル投入口6から投入される投入メダル数と、入賞により払い出される入賞メダル数とを、それぞれ監視し、図4に示すような貯留メダルの記憶制御を行う。
【0041】
具体的には、制御部10は、メダルセレクタ6aからメダル信号が入力されると、図4(a)に示すように、メダル信号が示すメダル数の投入メダルをRAM11bの第一クレジット領域(第一のクレジット部)に記憶する。
ところが、制御部10は、図4(b)に示すように、この投入メダルを記憶することで第一クレジット領域が規定数(50)超えるときはその超過分を、又は、既に第一クレジット領域が規定数(50)に達しているときにはその投入メダルのすべてを、メダルセレクタ6aに備える所定の流路切替手段(不図示)を制御して、遊技メダル払出口9から排出する。すなわち、メダル投入口6から投入される投入メダルは規定数までしか記憶されないようになっている。
【0042】
また、制御部10は、入賞と判定し停止した図柄の組合せに応じた所定数のメダルの払い出しを決定すると、第一クレジット領域が規定数(50)を超えるまでは、図4(a)に示すように、入賞メダルを第一クレジット領域に優先して記憶させる。
ところが、図4(b)に示すように、入賞メダルを第一クレジット領域に記憶させることで規定数(50)を超過するときはその超過分を、又は、既に第一クレジット領域が規定数(50)に達している(満杯)ときにはその入賞メダルのすべてを、RAM11bの第二クレジット領域(第二のクレジット部)に記憶する。
この第二クレジット領域は2バイトのRAM領域が確保され、最大65536枚の貯留メダルを記憶することができる。
【0043】
このように、第二クレジット領域を設けることで、現物のメダルを払い出す必要がなくなるので、機外からメダルを補給する店員の作業負担が軽減されるとともに、メダルの窃取も防止できる。
また、第二クレジット領域には、払い出しに係る入賞メダルのみを貯留させ、メダル投入口6から投入される投入メダルを貯留させないようになっている。これにより、メダル投入口6から異物を挿入することで不正にメダル信号を発生させたとしても、規定数以上の貯留メダルは記憶されないことから、不正行為を抑制することができる。
【0044】
また、制御部10は、図4(c)に示すように、第二クレジット領域に貯留メダルが記憶されている場合において、第一クレジット領域に記憶された貯留メダル数がゲーム可能となるメダル数に満たないときにBETボタン7が押下操作されると、第二クレジット領域に記憶された貯留メダルを規定数まで第一クレジット領域に移送するとともに、移送された第一クレジット領域に記憶された貯留メダル数から不足分のメダル数を減算してゲーム可能な状態にする。
これにより、第一クレジット領域に記憶された貯留メダル数が不足しても、第二クレジット領域に貯留メダルが記憶されている限りにおいて、円滑なゲームの進行が図られる。
【0045】
なお、第二クレジット領域から第一クレジット領域への貯留メダルの移送は、BETボタン7の押下操作のみならず、例えば、図示しない移送用操作ボタンをスロットマシン1の外装に設けるとともに、この移送用操作ボタンの操作にもとづき任意のタイミングで移送させることもできる。
また、第一クレジット領域から貯留メダルがゲームに投入される毎に、又は、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数が所定メダル数以下になると、自動的に第二クレジット領域から貯留メダルを移送させることもできる。
【0046】
さらに、制御部10は、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数と、第二クレジット領域に記憶されている貯留メダル数と、レート記憶領域に記憶されたレートにもとづき、金額表示部2dを駆動制御して、図5に示すように、貯留メダルの金銭的価値を金額表示させる。
具体的には、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数と、第二クレジット領域に記憶されている貯留メダル数とを合計し、この合計数をレート記憶領域に記憶されたレートにもとづき、金額に換算するとともにRAM11bの金額記憶領域に記憶し、その金額を金額表示部2dに表示させる。
例えば、図5(a)に示すように、RAM11bのレート記憶領域に初期値として記憶されたレートを「20円/メダル1枚」とすると、遊技開始時にメダル投入口6から「20枚」のメダルが投入され、第一クレジット領域に記憶されると、制御部10は、RAM11bのレート記憶領域に記憶されたレートに第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数を乗じた貯留メダルの金銭的価値としての金額を算出するとともに、金額表示部2dを駆動制御して、この算出された金額となる「400円(20枚×20円)」を表示させる。
【0047】
また、制御部10は、メダルの投入と払い出しによる各クレジット領域に記憶されている貯留メダルの増減に伴い、レート記憶領域に記憶されたレートを参照して金額表示部2dに表示されている金額を変動表示させる。
例えば、上記の「400円」が表示されている状態で、MAXBETボタン7aが押下され、「3枚」のメダルが第一クレジット領域からゲームに投入されて減少すると、制御部10は、レート記憶領域に記憶されているレートを参照し、金額表示部2dの表示金額を変動させる。具体的には、金額表示部2dの表示金額は、図5(b)に示すように、「400円」からメダル3枚分の金額となる「60円(3枚×20円)」を減算した「340円」に変動表示されることになる。
【0048】
さらに、制御部10は、所定の小役に入賞すると、入賞によるメダルの払い出しに伴い、金額表示部2dの表示金額を変動表示させる。
例えば、上記の「3枚」のメダルを投入したゲームで、「5枚」の払い出しとなる小役に入賞し、「5枚」のメダルが第一クレジット領域に払い出されて増加すると、金額表示部2dの表示金額は、図5(c)に示すように、「340円」にメダル5枚分の金額となる「100円(5枚×20円)」を加算した「440円」に変動表示されることになる。
【0049】
また、レート切替ボタン8が操作され、メダル1枚あたりレートが変更されると、制御部10は、レート記憶領域に記憶されたレートを参照しながら、メダルの投入と払い出しによる各クレジット領域に記憶されている貯留メダルの増減に伴い、金額表示部2dに表示されている金額を変動表示させる。
例えば、上記の「440円」が表示されている状態で、レート切替ボタン8の操作にもとづいてレートが選択(変更)され、「10円/メダル1枚」がレート記憶領域に記憶されるとともに、MAXBETボタン7aが押下されると、「3枚」のメダルが第一クレジット領域からゲームに投入されて減少する。そうすると、制御部10は、レート記憶領域に記憶されているレート「10円」を参照し、金額表示部2dの表示金額を変動させる。
具体的には、金額表示部2dの表示金額は、図5(d)に示すように、「440円」からメダル3枚分の金額となる「30円(3枚×10円)」を減算した「410円」に変動表示されることになる。
【0050】
さらに、この「3枚」のメダルを投入したゲームで、「5枚」払い出しの小役に入賞し、「5枚」のメダルが払い出しにより増加し、第一クレジット領域に記憶されると、金額表示部2dの表示金額は、図5(e)に示すように、「410円」にメダル5枚分の金額となる「50円(5枚×10円)」を加算した「460円」に変動表示されることになる。
【0051】
また、特に図示はしないが、上記の各状態において、第二クレジット領域に貯留メダルが記憶されているときには、この記憶されている分の留メダル数にレート記憶領域に記憶されたレートを乗じた金額が金額表示部2dの表示金額に加算されて表示される。
このように、制御部10は、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数と、第二クレジット領域に記憶されている貯留メダル数と、レート記憶領域に記憶されたレートにもとづき、金額表示部2dを駆動制御して、貯留メダルの金銭的価値を金額表示させるとともに、メダルの投入と払い出しによる各クレジット領域に記憶されている貯留メダルの増減に伴い、レート記憶領域に記憶されたレートを参照して金額表示部2dに表示されている金額を変動表示させるので、遊技者は、現時点で獲得したメダル数がどの位の金銭的価値を有するのか即座に確認でき、遊技損益を認識しながら遊技を楽しむことができる。
また、貯留メダルを金額として記憶するので、レートを変更しても金額は変わらないことから、従来の遊技場のように、遊技機をレート別に管理する必要がなくなり、管理負担が軽減できる。
【0052】
なお、上記の図5の説明において、レート切替ボタン8の操作にもとづいてレートが変更されたときには、この変更に伴い、第一クレジット領域と第二クレジット領域の各々に記憶されている貯留メダルの数量が変動する。
例えば、「20円/メダル1枚」のレートで、「20枚」の貯留メダルが第一クレジット領域に記憶され、金額表示部2dに「400円」が表示されている、図5(a)の例において、レートが「10円/メダル1枚」に変更されたときには、金額表示部2dに表示されている金額は「400円」のままで変化しないものの、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数は、「40枚」に変動する。
【0053】
さらに、レートが「5円/メダル1枚」に変更されたときには、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数は、「80枚」に変動し、この場合には、規定枚数である「50枚」を超過してしまうことになる。
このように、レートの変更に伴い、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数が規定枚数を超過してしまう場合があるため、このような場合、制御部10は、その超過分を第二クレジット領域に移送するか、又は遊技メダル払出口9から払い出すようになっている。
【0054】
そして、移送するときには、金額表示部2dの表示金額は「400円」のままであるが、遊技メダル払出口9から払い出すときには、制御部10は、払い出される超過分を表示金額「400円」から減算する。例えば、上記の場合では、「30枚」、すなわち「150円(30枚×5円)」分を払い出すことになるので、表示金額は、「250円」となる。
一方、超過分を第二クレジット領域に移送するときには、制御部10は、「30枚」分の貯留メダルを第二クレジット領域に加算して記憶させる。ただし、このように規定枚数を超える超過分を第二クレジット領域に移送することは、メダル投入口6から投入した投入メダルを第二クレジット領域に記憶することを間接的に許容することになり、メダル投入口6から異物を挿入してメダル信号を発生させる不正行為によって第二クレジット領域の許容貯留数まで貯留メダルを貯留させることができ、好ましいことではない。そこで、本実施形態では、制御部10は、超過分の貯留メダルを遊技メダル払出口9から払い出すようなっている。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、払い出されるメダルをすべて内部的に記憶させるので、外部からの遊技媒体の補給を不要とすることができる。
また、クレジットされたメダルの金銭的価値を金額として表示するので、遊技損益を認識しながら遊技を楽しむことができる。
【0056】
[第二実施形態]
つぎに、本発明の第二実施形態に係るスロットマシン1について説明する。
本発明の第二実施形態に係るスロットマシン1は、貯留メダルを記憶する第二クレジット領域は有していないことが第一実施形態のスロットマシン1とは異なるものの、従来のスロットマシンと同様にゲームに投入される貯留メダルを規定数まで記憶する第一クレジット領域を有すること、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数とレート切替ボタン8の操作により選択されたレートとにもとづいて金額表示部2dに貯留メダルの金銭的価値を金額表示すること、メダルの投入と払い出しによる貯留メダルの増減に伴い、レート記憶領域に記憶されたレートを参照して金額表示部2dに表示されている金額を変動表示させること、及び他の構成は第一実施形態と同様である。
【0057】
すなわち、本実施形態のスロットマシン1は、貯留メダルを記憶するクレジット領域としては、第一クレジット領域のみしか存在しないことから、第一実施形態のように、クレジット領域間の貯留メダルの移送や、金額表示部2dに各クレジット領域に記憶された貯留メダルを合計した金額を表示することはできないものの、図5を参照して説明したように、第一クレジット領域に記憶されている貯留メダル数とレート切替ボタン8の操作により選択されたレートとにもとづいて金額表示部2dに貯留メダルの金銭的価値を金額表示させるとともに、メダルの投入と払い出しによる貯留メダルの増減に伴い、レート記憶領域に記憶されたレートを参照して金額表示部2dに表示される金額を変動表示させるようになっている。
このように構成された本実施形態のスロットマシン1により、クレジットされた貯留メダルの金銭的価値を金額として表示するので、遊技損益を認識しながら遊技を楽しむことができる。
【0058】
以上、本発明のスロットマシンの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係るスロットマシンは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0059】
例えば、第一実施形態に係るスロットマシン1を、このスロットマシン1に併設され現金を投入可能な台間機(例えば、遊技媒体貸出機)から投入された金額を示す金額情報を受信可能に構成し、制御部10が、この金額情報にもとづいて、台間機に投入された金額を金額表示部2dに直接表示、又は、台間機に投入された金額と、各クレジット領域に記憶された貯留メダル数により換算される金額とを合計した合計金額を金額表示部2dに表示させることもできる。
これにより、スロットマシン遊技を行なうにあたり、現物のメダルをメダル投入口6から投入する必要をなくすことができる。
【0060】
このような構成に加え、さらに、精算ボタン6bの操作により、現物のメダルの払い出しを行なわず、各クレジット領域に記憶された貯留メダル数の合計値を示す情報として、上記の台間機に出力することもできる。合計値が入力された台間機は、所定の記録媒体(レシート、ICカード、磁気カードなど)にこの合計値を記録して遊技者に発行することもできる。また、スロットマシン1に前記記録媒体を発行する発行手段(カードリーダ/ライタ、プリンタなど)を設け、精算ボタン6bの操作に伴い合計値が記録された記録媒体を発行するように構成することもできる。
これにより、メダルの投入から払い出しまで現物のメダルを用いないメダルレス遊技を行うことができ、このようにスロットマシン1を構成する場合には、メダル投入口6、メダルセレクタ6a、遊技メダル払出口9、メダル払出装置30などのメダルの機内への投入及び機外への払い出しに係る流路、装置などを一切不要とすることができ、製造コストの低減が図られる。
また、各実施形態において本発明をスロットマシンに適用して説明したが、遊技盤に発射される遊技球を記憶可能に構成されたパチンコ機に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、ゲームに投じる遊技媒体を記憶するクレジット機能を有する遊技機に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 スロットマシン
2 前面パネル
3 表示窓
4 スタートレバー
5(5a,5b,5c) 停止ボタン
6 メダル投入口
6b 精算ボタン(精算部)
7 BETボタン
8 レート切替ボタン(レート選択部)
9 遊技メダル払出口
S スピーカ
10 制御部
11a ROM
11b RAM(第一クレジット部、第二クレジット部)
20 ドラムユニット
21(21a,21b,21c) リール
30 メダル払出装置
40 演出制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機内に投入された遊技媒体と所定の入賞によって払い出された遊技媒体とを規定数まで記憶する第一のクレジット部と、前記投入された遊技媒体と前記払い出された遊技媒体のそれぞれの数量を監視し、前記規定数までは第一のクレジット部に記憶させるとともに、所定の操作にもとづいて第一のクレジット部に記憶されている遊技媒体を遊技に投入する処理を行う制御部と、を備える遊技機であって、
前記払い出された遊技媒体のみを記憶する第二のクレジット部を備え、
前記制御部は、
前記払い出された遊技媒体を、前記規定数までは第一のクレジット部に優先して記憶させるとともに、前記規定数を超えるときは第二のクレジット部に記憶させ、
前記投入された遊技媒体を、第二のクレジット部に記憶させないことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
一の遊技媒体の金銭的価値を示す所定のレートが複数通り設定されるとともに、前記複数のレートのうちの一のレートを所定の選択操作にもとづき選択可能なレート選択部を備え、
前記制御部は、
前記各クレジット部に記憶されている遊技媒体を、選択されたレートにもとづいて金額に換算し、所定の表示手段を制御して前記金額を表示させるとともに、
遊技媒体の投入と払い出しによる前記各クレジット部に記憶されている遊技媒体数の増減に伴い、選択されたレートを参照して前記金額を変動表示させることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記制御部は、
第一のクレジット部に記憶している遊技媒体がないとき又は前記規定数に満たない遊技媒体が第一のクレジット部に記憶されているときであって、第二のクレジット部に遊技媒体が記憶されているときに、第二のクレジット部に記憶されている遊技媒体を、前記規定数を超えない数量まで第一のクレジット部へ移送させることを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
所定の操作にもとづき前記各クレジット部に記憶されている遊技媒体を精算して機外に排出する精算部を備え、
前記精算部は、所定の操作にもとづいて、遊技媒体を予め区分けされた所定の単位ごとに排出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
機内に投入された遊技媒体と所定の入賞によって払い出された遊技媒体とを規定数まで記憶するクレジット部と、前記投入された遊技媒体と前記払い出された遊技媒体のそれぞれの数量を監視し、前記規定数まではクレジット部に記憶させるとともに、所定の操作にもとづいてクレジット部に記憶されている遊技媒体を遊技に投入する処理を行う制御部と、を備える遊技機であって、
一の遊技媒体の金銭的価値を示す所定のレートが複数通り設定されるとともに、前記複数のレートのうちの一のレートを所定の選択操作にもとづき選択可能なレート選択部を備え、
前記制御部は、
前記クレジット部に記憶されている遊技媒体を、一の遊技媒体の金銭的価値を示す所定のレートにもとづいて金額に換算し、所定の表示手段を制御して前記金額を表示させるとともに、
遊技媒体の投入と払い出しによる前記クレジット部に記憶されている遊技媒体数の増減に伴い、選択されたレートを参照して前記金額を変動表示させることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−105807(P2012−105807A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256725(P2010−256725)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【Fターム(参考)】