遊技機
【課題】不正防止にも優れ、メンテナンス作業性にも優れた遊技機を提供する。
【解決手段】前扉2を、リールを収納する筐体の上部側を覆う上側前扉2aと、メダル払出装置を収納する筐体の下部側を覆う下側前扉2bとに分離し、それぞれ別個に筐体に対して回動可能に取り付け、メダル枚数等の表示と設定値の表示とを兼用する表示器9を、リールを視認する上側前扉に設ける窓部の下方に位置し且つ下側前扉2bの操作パネル上に設け、設定値変更手段を、筐体の内部における上部であって上側前扉2aを開放して操作可能な位置に設けた。
【解決手段】前扉2を、リールを収納する筐体の上部側を覆う上側前扉2aと、メダル払出装置を収納する筐体の下部側を覆う下側前扉2bとに分離し、それぞれ別個に筐体に対して回動可能に取り付け、メダル枚数等の表示と設定値の表示とを兼用する表示器9を、リールを視認する上側前扉に設ける窓部の下方に位置し且つ下側前扉2bの操作パネル上に設け、設定値変更手段を、筐体の内部における上部であって上側前扉2aを開放して操作可能な位置に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技に関する抽選確率の設定を変更する機能を持つ回胴式遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場に設置される、スロットマシンのような回胴式遊技機等の遊技機には、内部抽選の当選に関する確率を複数段階に設定するための設定変更を行う部分が設けられている。この設定値の変更は、通常、取得した乱数に対応する抽選結果の割り当て幅を変化されることによって行われるものであり、店舗側の営業方針によって、遊技機毎に個別に設定可能になっている。この設定値を変化させることにより、店舗側の利益と、集客率とのバランスを図る事で、営業を行うようになっている。
【0003】
一般的に、上記の設定変更を行う部分は、設定変更を許可する設定変更モードに切り替えるためのキースイッチと、設定値を上下させるための変更スイッチなどから構成されている。この設定変更操作には、まず、一旦電源を切った後、キースイッチを設定変更許容位置にして電源を再投入する。この状態で変更スイッチを操作して所望の設定値に変更し、遊技機前面のスイッチにて確定し、キースイッチを戻して通常状態に復帰させる操作が行われる。
【0004】
このため、遊技機のモードを設定変更モードにするためのキースイッチは、遊技機筐体内部の前面下部に設けられ、電源スイッチを有する電源ボックスの付近に設けられていた。また、設定値を上下させるための変更スイッチは、遊技機の前扉内側に設けられる事が多かった。
【0005】
ところで、遊技機の内部抽選の確率を実際に変動させる機能は、遊技機の筐体内部の奥側に取り付けられる主制御基板が搭載しているため、前記キースイッチからの信号及び変更スイッチからの信号を信号線により主制御基板まで配線する必要があった。
【0006】
このような構造となっているため、不正行為を行おうとする遊技者にとっては、上記の信号線の配線上に不正な基板を接続し、信号を入れることによって設定変更操作を擬装して、確率設定を有利な状態にする行為が可能であった。
【0007】
上記の不正行為に対して、下記特許文献1では、キースイッチ及び変更スイッチを主制御基板上に設置することによって、キースイッチ及び変更スイッチと、制御部との間に不正基板の介在する余地を無くす事で当該行為を防止しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−141461号
【0009】
ところで、設定値の変更時、変更した設定値を確認するための設定値表示器が従来、筐体の所定部位に配置されている。この設定値表示器は、利便性向上の為、視認し易い位置に設けられている事が多い。しかしながら、この場合、不正行為中にも設定値表示器が見やすくなるという問題点がある。とはいっても、不正行為を防ぐ目的で、設定値表示器を視認し難い位置に設けた場合、著しく作業効率が低下する。また、上記の不正行為は、目立つ事を避けるために前扉を僅かに開けた状態で行われることが多い。
【0010】
更に、コスト削減の観点から、他の表示器を設定値表示器として兼用する事も行われている。この他の表示器としては、遊技者に払出される遊技媒体の数を表示する払出枚数表示器、遊技機内に電子的に記憶された遊技媒体の数を表示するクレジット表示器などが一般的に用いられている。これらの表示器は、通常の遊技中は本来の表示器としての機能を果たすようになっており、遊技機のモードが設定変更モードになったときのみ設定値を表示するように制御される。これらの表示器は、前扉の前面に、遊技者に視認可能に設けられる事が多く、前扉裏面からは視認できない。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1のような配置構成とした場合、遊技機と前扉の間に立った状態で変更スイッチを操作することにより、設定値を変更しようとした場合に、上記の表示器を視認し難くなり、著しく操作性が低下する虞がある。特に、遊技機の設置台数が多い場合には、営業方針上、多くの台の設定値を変える必要がある場合もあり、このような場合に、変更スイッチを操作する度に前扉を閉めて確認する作業が必要になれば、膨大な時間がかかり、実用性に欠ける。とはいっても、専用の表示器を別に設ける構成にすれば、コストアップとなる事に加えて、配線が複雑になり、製造効率も低下する。更に、多くの配線に隠れて不正基板を接続する行為を助長してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、不正行為を効果的に防止しつつ、設定変更時の作業性を向上できる遊技機を提供せんとするものである。
【0013】
請求項1の発明は、所定数の図柄をもつリール(6a〜6c)及びメダル払出装置(37)を含む各種機器を収納する筐体(1)と、
前記筐体(1)の前側を覆う前扉(2)と、
前記リールの図柄と対応する役の抽選の当選確率を複数通りの設定値の何れかに変更する設定値変更手段(設定変更スイッチ27)と、
遊技時に遊技進行に関する所定情報を表示し、前記設定値変更手段の操作時に設定値を表示する表示器(9)とを含む遊技機において、
前記前扉(2)を、前記リール(6a〜6c)を収納する前記筐体(1)の上部側を覆う上側前扉(2a)と、前記メダル払出装置(37)を収納する前記筐体(1)の下部側を覆う下側前扉(2b)とに分離し、それぞれ別個に前記筐体(1)に対して回動可能に取り付けていると共に、
前記表示器(9)を、前記リール(6a〜6c)を視認する前記上側前扉(2a)に設ける窓部(7)の下方に位置する、前記下側前扉(2b)の操作パネル上に設け、かつ、
前記設定値変更手段を、前記筐体(1)の内部における上部であって、前記上側前扉(2a)を開放して操作可能な位置に設けていることを特徴とする。
【0014】
遊技進行に関する所定情報とは、スロットマシンであれば投入されているメダルの枚数や、払い出されるメダルの枚数情報などを含むものである。
【0015】
以上により、下側前扉2bを閉じた状態、また、僅かに開いた状態で、上側前扉2aを開放して設定変更作業を行うことができる。このため、表示器9を通常の態様で視認したまま作業を行う事が可能となる。
【0016】
請求項2の発明は、前記表示器(9)は、前記上側前扉(2a)及び前記下側前扉(2b)を開放した状態で、これら前扉の裏側となる筐体側の面から前記窓部(7)を通して視認可能な位置に設けていることを特徴とする。
【0017】
これにより、設定変更作業時には、扉を開けた状態で筐体側の面、つまり裏面から視認可能となる為、表面からその都度確認する必要が無く、作業性を向上することができる。
【0018】
請求項3の発明は、前記表示器(9)には、前記上側前扉(2a)及び前記下側前扉(2b)を開放した状態で前記設定値変更手段を操作する時、所定の開放角度条件下で、上下逆転させた態様で設定値を表示する仕様にしていることを特徴とする。
【0019】
これにより、下側前扉2bをも大きく開放した状態で作業をする場合であっても、表示器9への表示態様を上下逆転態様として導出するため、表示内容を容易に確認することができ、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る遊技機(スロットマシン)の斜視図である。
【図2】上側前扉と下側前扉との分離構造を明示する斜視図である。
【図3】(a)は本発明における遊技機に付設される表示器の構成を示した図である。(b)、(c)、(d)は、表示器の表示例を示した図である。
【図4】本発明遊技機の筐体内部を示す図である。
【図5】本発明遊技機の前扉の裏側の構成を示す図である。
【図6】本発明遊技機に用いられる開放角度検出機構の構成を示した図である。
【図7】本発明遊技機の電気的なブロック構成を示した図である。
【図8】本発明遊技機の通常遊技中の制御を示したフローチャートである。
【図9】本発明遊技機のボーナスゲーム中の制御を示したフローチャートである。
【図10】本発明の確率設定値(抽選テーブル)を示した図である。
【図11】本発明遊技機の設定変更操作時の制御を示すフローチャートである。
【図12】本発明遊技機における設定値の表示態様を示した図である。
【図13】本発明遊技機における表示に関するフラグ制御を示した図である。
【図14】本発明遊技機における表示制御を示した図である。
【図15】表示逆転モードにおける設定値の表示態様を示した図である。
【図16】表示逆転モードにおける設定値表示を前扉裏面より視認した状態を示す図である。
【図17】表示器に表示される異常情報の種類と、そのコード表示の表示態様を示した図である。
【図18】表示逆転モードにおける異常情報の表示態様を示した図である。
【図19】本発明における表示器の表示態様の別の一例を示した図である。
【図20】本発明における開放角度検知機構の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明を適用した遊技機の一例としてスロットマシンAを示している。スロットマシンAは、各種器具や各種基板を収納した筐体1に、回動自在に取り付けられた前扉2を有してなる。
【0022】
前扉2を閉めた状態は図1に示すような外観となるが、図2に示すように、前扉2は、リールブロック33より上側を覆う上側前扉2aと、下側を覆う下側前扉2bとに分離しており、それぞれ別個に回動可能に取り付けられている。そして、図では上側前扉2aを取り外した状態の図を示しているが、上側前扉2aは、矢印Sで示したようにヒンジ結合されて取り付けられている。
【0023】
そして、上側前扉2aと、下側前扉2bの接する部分には、一部にフック400と、フック穴401からなるフック係合構造が形成されている。錠装置14を右側に回動させると下側前扉2bを先行させて開放させることができるようになり、錠装置14を左側に回動させると上側前扉2aを先行させて開放することができるようになる。これらの構造により、必要に応じて上側前扉2aと下側前扉2bの開放の仕方を適宜選択することができるようになっている。
【0024】
また、リールブロック載置面BPは、筐体内部の左右にわたって板状に設けられており、リールブロック載置面の前扉2側の端面と、上側前扉2aの接合面FP、及び下側前扉2bの接合面SPの筐体側の端面とはほぼ合致するように形成されている。この為、上側前扉2aを閉じた状態で、下側前扉2bを開いた場合、筐体側のリールブロックより上部は閉鎖状態が保たれるようになっている。一方、下側前扉2bを閉じた状態で、上側前扉2aを開いた場合、筐体側のリールブロックより下側は閉鎖状態が保たれる。
【0025】
図1に示すように、筐体1の上部には、筐体内部で発生した熱を外部に放出するための放熱孔h1〜h3が設けられている。また、この放熱孔h1〜h3の内部には、それぞれに対応して、放熱孔から内部への異物、粉塵等の進入を防ぐためのネットn1〜n3が取り付けられている。また、筐体1は、一定の板厚を有する合成樹脂や木材等、剛性を有する不透明な部材にて、箱形形状に構成されている。
【0026】
前扉2は、その一側にてヒンジ接合等により、筐体1に回動可能に取り付けられている。この前扉2の上部中央には、液晶画面などからなる演出表示装置3が設けられており、遊技の進行に応じてキャラクターや数字などを映し出し、各種表示演出を行いうるようになっている。この演出表示装置3の両側には、上部スピーカー4(左側上部スピーカー4a、右側上部スピーカー4b)が設けられており、演出表示装置3で行われる演出と同調して、各種の効果音等による音響演出を行いうるようになっている。また、エラーの発生などに伴って、適宜、警告音を導出するようになっている。また、演出表示装置3の上部には、内部に複数のLEDやランプ等を有する発光部5が設けられている。そして、上記演出と同調して明滅や順次点灯などの発光演出を行うようになっている。
【0027】
演出表示装置3の下部には、正面パネル面DPが設けられている。この正面パネル面DPには、筐体内部のリールブロック33のリール(回胴)6a〜6cを視認できるように、透明な窓部7が設けられている。リール6a〜6cは、回転可能に取り付けられており、ステッピングモータ(図示せず)により回転されるようになっている。図示していないが、リール6a〜6cには、その表面に所定数の図柄が回転方向に沿って設けられている。窓部7からは、それぞれのリール6a〜6c上の図柄のうち、所定数、例えば3個ずつの図柄が視認可能となっている。そして、リールが回転する事により、窓部7に表示される図柄を変動する事が可能となっている。すなわち、リール6と窓部7にて、図柄変動表示装置を構成している。この例では、リールの表面に図柄を配し、リールの回転によって図柄を変動する構成を示したが、これに限らず、回転体、例えばベルトの表面に図柄を配し、これを回転する事により図柄を変動する構成としてもよい。また、正面パネル面DPには、有効ライン、つまり1遊技機に供するメダル数が設定された場合に入賞とするラインが表されている。そして、図示していないが、どのラインが有効であるかを点灯等により表示する有効ライン表示器も、正面パネル面DPに配されている。
【0028】
図1に示す窓部7の下方(図2に示す下側前扉2bの上部)には、遊技時に遊技者が操作する操作部を設けた操作パネルが設けられている。この操作パネルは、上側操作パネル面PN1と、前側操作パネル面PN2からなっている。そして、上側操作パネル面PN1上には、1遊技に供する遊技媒体としてのメダルの数を設定するための賭け数設定スイッチ8(1ベットスイッチ8a、MAXベットスイッチ8b)、メダル数等に関する表示を行う表示器9、メダルを投入するためのメダル投入口10などが設けられている。1ベットスイッチ8aは、このスイッチを操作する事により、1遊技において賭けるメダル数を1枚ずつ加算する為のものである。MAXベットスイッチ8bは、1遊技において賭けるメダル数として最大数を設定する為のものである。MAXベットスイッチ8bを押下した場合、メダル残数が充分ある場合は、賭け枚数が最大賭け枚数、つまり3枚に設定される。また、メダル残数が最大賭け枚数に満たない場合は、メダル残数全てが賭け枚数に加算される。
【0029】
表示器9は、セグメント表示装置等からなり、遊技中には、払い出されるメダル枚数(払出枚数)や、投入されて電子的に記憶されたメダル枚数(クレジット枚数)などを表示するようになっている。投入口10は、円盤形状のメダルを1枚ずつ投入可能なように形成されている。また、メダル投入口10に至るメダル案内溝は、投入口に向かって昇り傾斜となるように、また、後方に向かって外側に斜めに設けられている。このメダルの案内方向と直交するように投入口の背板が設定されている。
【0030】
前側操作パネル面PN2上には、リール6a〜6cの回転を開始させるための始動スイッチ11、回転したリール6a〜6cを停止させるために、それぞれに対応して設けられる停止スイッチ12(12a〜12c)が設けられている。
【0031】
前側操作パネル面PN2の周辺には、メダル投入口から投入されたメダルを選別するためのメダル選別装置内に残ったメダルを排出させるための返却ボタン13が設けられており、前扉2の開放側端には、前扉2の施錠状態を切り替えるための錠装置14が設けられている。
【0032】
前扉2の下部(下側前扉2b)には、遊技機Aのモチーフなどに基づいた意匠面を形成する意匠パネル15が取り付けられており、内部に設けられた照明により発光するようになっている。また、意匠パネル15の下部には、賞として、あるいは返却操作により払い出されるメダルを排出するためのメダル払出口16が設けられている。このメダル払出口16は、上辺と比較して下辺が短い逆台形形状に設けられている。そして、メダル払出口16の左右には、下部スピーカー17(左側上部スピーカー17a、右側上部スピーカー17b)が設けられている。前扉2の最下部には、灰皿18及び、メダル払出口16から排出されたメダルを貯留するためのメダル貯留皿19が設けられている。
【0033】
次に、スロットマシンAの遊技時の動作について説明する。遊技時には、遊技者はまず、メダル投入口10から所定枚数のメダルを投入した後、始動スイッチ11を操作する。このとき、遊技機内部で抽選を行うとともに、各リール6a〜6cを回転させる。そして、各リールが一定の速度に達した後、停止スイッチ12a〜12cの操作が有効となり、各操作のタイミングと、遊技機内部の抽選結果に基づいて、対応する各リールが停止する。この時に、有効ライン上に特定の図柄配列が成立していれば、所定枚数のメダルの払出を受けられるようになっている。
【0034】
また、スロットマシンAは、メダル投入口10から投入されたメダルの枚数を、所定枚数、例えば50枚を上限として、遊技機内部の記憶部に電子的に記憶し、表示器9にてこの枚数を表示する機能(以下、クレジット機能と称する)を備えている。そして、電子的に記憶された状態において、賭け数設定スイッチを押下する事により、所定枚数ずつ上記記憶部から減算し、同時に次回遊技の賭け数として設定して遊技に供することが可能になっている。
【0035】
クレジット機能を利用して遊技を行う遊技者は、予め所定枚数、例えば50枚のメダルを遊技機に投入した後、上記の記憶部に電子的に記憶した枚数が0枚になるまでは、(1)賭け数設定スイッチ8の操作、(2)始動スイッチ11の操作、(3)停止スイッチ12の操作の(1)〜(3)の動作を繰り返すことにより、新たにメダルを投入する事無く遊技を行う事が可能である。一方、1遊技に供するメダルをその都度投入する事によって、クレジット機能を利用せずに遊技を行うことも可能である。投入枚数が1遊技に供することができる最大枚数以下の場合、投入と同時に賭け枚数として自動的に遊技に供されるため、この場合は、賭け数設定スイッチの操作をする必要がない。
【0036】
特に、クレジット機能を利用して遊技を行う遊技者にとっては、初めに所定枚数メダルを投入する際、所望の枚数を投入完了したか、あるいは、記憶した枚数がまだ残っているかの情報を知る事が重要になる。従って、メダル投入口10からメダルを投入している状態、及び、上記した(1)〜(3)の動作を繰り返している状態にて、表示器9が容易に視認できる事が必要である。遊技者は、スロットマシンAの前方に着座して各操作スイッチを操作する事から、操作する遊技者の手等は、概ね前後方向に移動する事になる。
【0037】
この観点から、この手等の前後移動によって、表示器9が隠蔽される事が無いよう、表示器9と、メダル投入口10及び賭け数設定スイッチ8とは、左右方向に位相を異ならせて配置されている。また、遊技中は、遊技者はリール6a〜6cを注視した状態で一般的に遊技を行うことから、この状態で容易に視認できるよう、表示器9は、窓部7の前面に位置する上側操作パネル面PN1のほぼ中央に設けられている。
【0038】
また、正面パネル面DPに対して、上側操作パネル面PN1は、180度以下の所定の角度、例えば90〜120度程度の角度を有して設けられている。これは、賭け数設定スイッチ8が上下移動型の押しボタンの形状であり、前側パネル面に設けられる始動スイッチが引き下げ型のレバー構造である事に起因している。始動スイッチの操作と同方向の押し操作で賭け数設定スイッチ8を操作可能とすることで、操作を容易とする目的で、上側パネル面は遊技者に対してほぼ水平面で形成されている。これに対し、正面パネル面DPは、遊技者が正面に着座した場合に、リールを少し見下ろす楽な姿勢で遊技できるよう、所定角度、例えば30度程度筐体側に傾けて設置されている。この為、正面パネルDPと上側操作パネル面PN1は上記の角度に設定される。
【0039】
図3(a)に、表示器9の拡大図を示す。表示器9は、メダル投入口から投入され、遊技機内の記憶部に電子的に記憶されたメダルの枚数(以下、クレジット枚数と称する)を表示するクレジット表示部9a、遊技中に賞による払出を得たときにその枚数(以下、払出枚数と称する)を表示する払出枚数表示部9bを含んで成る。各表示部には、セグメントSGが配置されており、このセグメントSGは、セグメント構成パターンSG1〜SG7から成っている。このセグメント構成パターンは、発光ダイオード等からなり、これらの点灯と消灯を切り替えることによって表示状態を変化可能に構成されている。また、各表示部は、複数のセグメントSGと、その間に配置されたドットSDから成っている。
【0040】
図3(b)〜図3(d)は、クレジット表示部9aの表示様態の例を示す図である。図中、黒く示しているセグメントSGが発光しているセグメントである。以降、発光しているセグメントを黒色で図示するものとする。図3(b)はクレジット枚数が50であることを示す表示である。図3(c)は設定値が6であることを示す表示である。図3(d)は、セレクターのメダル詰まりを示すエラー表示「CJ」を示す表示である。設定値の表示とエラー表示については後述する。
【0041】
図4は、スロットマシンAの内部を正面から見た図である。筐体1は、左側に設けられた軸20a、20bの部分で前扉2に設けられた軸受け(図示せず)と嵌合するようになっており、このため、前扉2は筐体左側を回動軸として筐体1に対して開閉可能になっている。特に、軸20aの一部には、羽根21が設けられており、軸20aは、筐体に対して回動自在に取り付けられている事から、軸20aは前扉2の回動と共に筐体1に対して回動するようになっている。また、この軸20aは、周辺に設けられた部材とともに、前扉2が筐体1に対してどの程度開放されているかを検出する開放角度検知機構22を形成している。この開放角度検知機構22の詳細については後記に詳述する。
【0042】
筐体1内の上部奥側には、遊技制御全般を司る主制御基板(図示せず)を収容する主制御基板ケース23が設けられている。主制御基板ケース23は、透明で剛性を有する合成樹脂等で形成されており、筐体1に取り付けられた金具(図示せず)に螺着することによって付設されている。主制御基板ケース23の一部には、ヒンジ24により回動可能に取り付けられた扉部25が形成されており、左側に向かって水平方向に開放されるようになっている。この扉部25によって被覆される主制御基板ケース23の表面部分には、キースイッチ26、設定変更スイッチ27、打ち止め・精算スイッチ28等を操作するための開口部分が設けられている。キースイッチ26は、スロットマシンAのモードとして、設定変更を許可する設定変更モードに切り替える為のスイッチであり、キーシリンダからなっている。設定変更スイッチ27は、設定変更モードにおいて、設定値を上下させるためのスイッチである。
【0043】
これらのスイッチからの信号は主制御基板に入力され、これをうけて確率設定値が変更されるようになっているが、これらのスイッチと主制御基板との間に不正な基板を接続し、設定値を変更される事を防ぐために、これらのスイッチを主制御基板上に設けている。また、主制御基板が筐体の奥側に配置されることによっても、これらのスイッチにアクセスしにくくなり、上記の不正を防止している。また、通常の店員等による設定操作時以外には、上述の扉部25によってこれらのスイッチが被覆されていることによっても、上記の不正を防止している。扉部25は、締め忘れや不正行為の防止の観点から、閉鎖方向に向かってコイルバネ等で付勢されていてもよい。
【0044】
また、扉部25には、扉部25が開かれた事を検知する扉部開放センサ29が設けられており、また、筐体の所定部位には、扉部開放報知器が設けられている。この構成によって、扉部25が開いている時にはその旨を報知して、扉部25の締め忘れや不正行為を認識する事ができるようになっている。
【0045】
主制御基板ケース23の一端側には、ケースの封印を行うための封印部(図示せず)が設けられており、ケースを開放するためにはこの部分を破壊する事が必要になっている。これは、主制御基板上の実装品等を不正に交換する行為を防ぐためのものである。そして、この封印部を覆う封印部カバー30がこの封印部の前面に位置して設けられている。この封印部カバー30は、取付部材(図示せず)を介して上述の主制御基板を固定する金具に対して固定されるものである。この封印部カバー30は、主制御基板を固定する固定部(図示せず)を被覆するとともに、封印部を被覆することで、主制御基板の固定状態を確保している。また、この封印部カバー30の一端は、上述の扉部25と近接するように設けられている。この封印部カバー30の一端と、扉部25との距離は、間隙に針金等の不正な部材を挿入できない程度、例えば2mm以下に設定されている。この事により、扉の隙間から部材を進入させることによって扉部25を開けようとする不正行為を防止することができる。また、封印部カバー30は、取付部材と複数箇所で螺着される。この螺着は、主制御基板上の実装部品へのノイズを防止するため、樹脂等の非磁性体の螺子にて行われる。この為、螺着部分には、螺着作業の際の螺子の落下を防ぐ為の螺子受けが形成されている。この螺子受けは、直径15〜20mm程度に形成されており、指を掛ける事ができるようになっている。この事により、作業時には、この部分に指を掛けつつ設定変更スイッチ27を押す事ができ、利便性の向上に寄与している。
【0046】
また、主制御基板ケース23には、主制御基板を筐体内の他の機構と接続するための接続端子が設けられており、この接続端子から接続線を出すためのコネクタ開口31(31a〜31c)が設けられている。コネクタ開口31aは、主制御基板と、後述する扉中継基板を接続するための開口である。コネクタ開口31bは、主制御基板に電源を供給するために、後述する電源ボックスと接続するための開口である。コネクタ開口31cは、主制御基板から後述するリール駆動部に向けて、リール駆動信号を送るための接続線を接続するための開口である。扉中継基板からの接続線を接続するためのコネクタ開口31aは、この信号線から操作手段(始動スイッチ、停止スイッチ、メダル検知センサ等)の信号が送信されるため、不正行為を防止する観点から、開放側から最も遠い部分、つまり、主基板上で最もヒンジに近い側に設けられている。
【0047】
筐体内部左側側面には、主制御基板からの信号を受けて、演出表示装置3や、スピーカー4を駆動して、各種演出を行う副制御基板を収容する副制御基板ケース32が取り付けられている。また、筐体内中央部には、前述した如く、図柄を表面に配したリール6a〜6cを有するリールブロック(リールユニット)33が取り付けられている。そして、このリールブロック(リールユニット)33の内部には、リール6a〜6cのそれぞれに対応してステッピングモータが取り付けられている。そして、主制御基板からの信号を受けて、これらのステッピングモータの回転により、リールが回転されるようになっている。
【0048】
筐体内下部左側には、筐体の各部機構に電源を供給するための電源ボックス34が配置されている。そして、その一部には、蓋部35が設けられており、この蓋部35の内部に、電源のON・OFF操作を行うための電源スイッチ(図示せず)が収容されている。筐体内下部中央部には、遊技者がメダル投入口10から投入したメダルを、前扉2側に設けられたメダル選別装置(図示せず)を介して貯留するメダル貯留装置36と、この貯留装置36に貯留されたメダルを、メダル貯留皿19に払い出すためのメダル払出装置37が設けられている。そして、筐体下部右側には、メダル貯留装置が満杯になった際に、収容出来なくなったメダルを貯留する補助メダル貯留容器38が設置されている。また、筐体1の開放側には、前扉2が筐体1に対して開放されている事を検知する前扉開放センサSWも設けられている。
【0049】
図5は前扉2を裏面側(筐体3側)から見た図である。上部には、演出表示装置3を駆動するための液晶ドライバ基板を収容した液晶ドライバ基板ケース39が設けられており、前述の副制御基板からの信号をうけて演出表示装置を駆動するようになっている。そして、その所定部位には、液晶ドライバ基板および演出表示装置で発生した熱を放熱するための放熱口40が設けられており、この内部に放熱を行うためのファンが取り付けられている。この放熱口40から放出された熱は、図1で示した放熱口h1を通して機外に排出される。そして、窓部7からは、上側操作パネル面PN1上に配置された表示器9が視認できるようになっている。窓部7の下部には、扉中継基板41が配置されている。この扉中継基板41は、賭け数設定スイッチ8や、停止スイッチ12、表示器9等と、主制御基板との信号のやりとりを接続端子部42を通じて行うようになっている。スロットマシンAでは、遊技者が操作する賭け数設定スイッチなどの操作スイッチ及び、主制御基板からの情報を表示する表示器9を、上側操作パネル面PN1及び前側操作パネル面PN2に集約して配置したため、扉中継基板41への配線が短くなり、容易となる利点も有している。また、下部には、払出装置37から放出されるメダルをメダル貯留皿に導くための放出通路43も設けられている。また、図示していないが、メダル投入口10から投入されたメダルの真偽を判別し、選別するためのメダル選別装置も前扉2に付設されている。
【0050】
上側前扉2aのヒンジ部分には、次記する開放角度検知機構22(22a)が設けられている。図示していないが、下側前扉2bのヒンジ部分にも、上側前扉2aのヒンジ部分と同様に、開放角度検知機構22(22b)が設けられている。
【0051】
開放角度検知機構22の構成について説明する。図6(a)は、筐体1に前扉2を取り付けた状態で軸20aの部分を水平方向に切断した断面図である。前扉2の一部2’には、軸20aと羽根21が嵌合する嵌合部が設けられている。図6(b)は、筐体前面側から開放角度検知機構の部分を透視した図である。軸20aの下部には、通常は軸20aの支持金具に隠れて見えないが、第1ギア部44が設けられており、軸20aと一部材として構成されている。そして、筐体側に、支軸45を介して第2ギア部46が設けられている。この第1ギア部44と第2ギア部46からなる第1リンク部によって、前扉2の開放による水平方向の回転が垂直方向の回転に変換される。
【0052】
図6(c)に示されるように、第2ギア部46には、隣接して第3ギア部47が設けられている。図6(c)は、図6(b)の機構をZの方向から見た図である。第2ギア部46と第3ギア部47は一部材として構成され、第2ギア部46の回転によって第3ギア部47が回転するようになっている。第3ギア部47は、ラック48と係合するように設けられており、ラック48は、軌道48’の上を移動可能になっている。この第3ギア部47とラック48とによってなる第2リンク部によって垂直方向の回転が上下方向の移動に変換される。
【0053】
上記の第1リンク部と第2リンク部の構成により、前扉2の開放による水平方向の回転が、上下方向の移動動作に変換される。つまり、前扉2を閉鎖状態から順次開放状態に近づけた場合、軸20a及び第1ギア部44はPの方向に回転する。この回転は、第1リンク部の働きにより、第2ギア部46のQの方向の回転として伝達される。そして、第2ギア部46の回転とともに第3ギア部もQの方向に回転する。この回転は、第2リンク部の働きにより、ラック48のR方向の移動として伝達される。
【0054】
そして、ラック48の軌道上には、バネ49等の付勢手段により付勢された係合爪50が設けられており、係合爪50がラック48に接した状態になっている。そして、ラック48には、前扉2を小さく開けて腕あるいは手を内部に差し入れて作業する第1開放角度の状態で係合爪50に接する位置に第1切り欠き部51aが設けられており、第1開放角度の状態となった場合にこの51aの部分に係合爪50が嵌り込んでラック48の移動が仮固定されるようになっている。この仮固定により、軸20aの回転が固定され、前扉が第1開放角度で仮固定される。この仮固定は、更に扉を開放方向に移動させることで解除される。
【0055】
また、前扉2を大きく開けて前扉2と筐体1の間に立って作業する第2開放角度の状態で係合爪50に接する位置に第2切り欠き部51bが設けられており、この第2開放角度の状態となった場合にこの51bの部分に係合爪50が嵌り込んでラック48の移動が仮固定されるようになっている。この仮固定により、上記と同様に前扉が第2開放角度で仮固定される。このバネ49等の付勢手段と、係合爪50、及び切り欠き部51(51a、51b)は、前扉2の開放方向への移動を所定箇所で規制する開放規制手段として働くものである。この開放規制手段の働きにより、作業中に前扉2を仮固定することにより、前扉2を腕等で支持する必要がなくなり、作業効率が向上する。
【0056】
更に、図6(c)に示すように、軌道48’上には、投光部52aと受光部52bからなる第1開放角度センサ52、更に、同じく投光部53aと受光部53bからなる第2開放角度センサ53が設けられている。これらのセンサは、ラック48が所定位置まで移動した場合に、点線で示したように投光部からの光がラック48の一側に反射することにより、受光部に入ってオン状態となるものである。第1開放角度センサ52は、前記第1開放角度の状態になった場合に、ラック48の一端に投光部52aからの光が52bに入ることによりオンとなる。この構成により、第1開放角度に達した事を感知することが可能である。同様に、第2開放角度センサ53は、第2開放角度に達したことを感知している。これら第1開放角度センサ52、第2開放角度センサ53は、前扉2の開放角度を検出する開放角度検出手段として働くものである。
【0057】
なお、上記した第1開放角度としては、作業者が余裕を持って腕を挿入できる程度、つまり筐体1と前扉2の間に15cm程度の間隙がある角度とする事が好ましい。スロットマシンの横幅は45cm程度となっている為、実際の角度としては20〜30度程度とする事が好ましい。一方、第2開放角度としては、作業者の肩幅が余裕を持って入る程度、つまり、筐体1と前扉2の間に50cm程度の間隙がある角度とする事が好ましい。実際の角度としては、60〜100度程度とする事が好ましい。
【0058】
下側前扉2bに設けられる開放角度検知機構22bは、前記第1開放角度センサ52に相当する下側第1開放角度センサ502、前記第2開放角度センサ53に相当する下側第2開放角度センサ503により、開放角度を検出している。上側前扉2aに設けられる開放角度検知機構22aは、前記第2開放角度センサ53に相当する構成を有しておらず、前記第1開放角度センサ52に相当する上側第1開放角度センサ602のみを有してなる。
【0059】
上述の下側第1開放角度センサ502、下側第2開放角度センサ503、上側第1開放角度センサ602からの検知信号は全て主制御部101に入力されるようになっている。
【0060】
図7は、スロットマシンAの電気的なブロック構成を示した図である。スロットマシンAの制御部100は、主制御部101、第1副制御部102、第2副制御部103を含んでなる。主制御部101は、遊技機の遊技動作全般を司る役割をはたすものである。第1副制御部102は演出表示装置等を駆動することにより、遊技中に演出表示を表示するためのものである。第2副制御部103は、上下のスピーカーや、演出ランプを駆動することにより、演出表示装置等における演出と協動して、演出効果を創出するものである。
【0061】
主制御部101は、主制御部の動作全般を司る中央演算処理装置(以下、CPU)105、プログラム等を記憶したリードオンリメモリ(以下、ROM)106、読み出した情報や、状態等を一時的に記憶しておくためのランダムアクセスメモリ(以下、RAM)107を有してなる。CPU105は、後述する確率設定値の変更を行う設定値変更実行手段108、設定値等を表示する様態を変更するための変更制御を行う表示態様変更手段109として働くものである。また、CPU105は、乱数値(0〜65535)を発生可能な乱数発生装置を備えてなり、この乱数により遊技中に抽選を行う抽選手段110としても働くものである。
【0062】
主制御部101のROM106は、上記したCPU105による抽選に用いるために、乱数値と当否結果とを対応付けた抽選テーブルを記憶する抽選テーブル記憶部111を備えている。この抽選テーブル記憶部には、乱数値は同じであるが、当否結果の異なる複数のテーブルを備えてなり、これを確率設定値として記憶している。本実施例では、該抽選テーブル記憶部111には、6通りの抽選テーブルが記憶されており、これを設定値として切り替え可能になっている。この抽選テーブルについては後記する。
【0063】
また、ROM106には、他に、上記の設定値を切り替えるための設定値変更プログラム112、設定値等の表示態様を制御するための表示態様決定プログラム113、遊技機の各所で起こった異常を表示するための異常情報表示プログラム114等を備えている。更に、図示はしていないが、リールの停止位置を決定するための停止データテーブルも備えている。
【0064】
主制御部のRAM107には、変更途中で確定を行う前の設定値を一時的に記憶するための設定値一時記憶部115、設定値等の表示態様の状態フラグ等を一時的に記憶するための表示態様一時記憶部116、投入されたメダル数を電子的に記憶するクレジット枚数記憶部117等を備えている。
【0065】
主制御部101には、インターフェイス118を介して操作部119からの信号が入力されるようになっている。操作部119は、遊技中に遊技者によって操作される部分であり、この部分からの信号は、図5で示す前扉側に設けられた扉中継基板41に集合させられたのち、接続端子部42を介して主制御部101に向かって送られる。操作部119には、前述の停止スイッチ12a〜12c、賭け数設定スイッチ8、始動スイッチ11が含まれる。また、メダル投入口10から投入されたメダルを検知し、選別するメダル選別装置(図示せず)内に設置されるメダル検出センサ120からの信号も、同様に、主制御部101に対して入力され、この信号により、クレジット枚数記憶部117の記憶枚数を更新するようになっている。また、始動スイッチ11は、後述する設定値変更時において、設定値を確定する確定操作手段としても用いられる。
【0066】
また、主制御部101には、インターフェイス118を介して、主基板上に設けられるキースイッチ26、設定変更スイッチ27からなる設定変更部121からの信号が入力されるようになっている。主制御部では、これらからの信号を受けて、設定値の変更を行うようになっている。また、前扉開放センサSW、第1開放角度検出センサ52(下側第1開放角度センサ502、上側第1開放角度センサ602)、第2開放角度検出センサ53(下側第2開放角度センサ503)からなる前扉開放検知部122からの信号も、インターフェイス118を介して主制御部101に入力されるようになっている。
【0067】
更に、主基板上に設けられる打ち止め選択スイッチ28a、精算選択スイッチ28b、扉部開放センサ29からの信号もインターフェイス118を介して入力されるようになっている。
【0068】
また、主制御部101は、ドライバ回路123を介して表示器9、リール駆動部124、払出装置37、扉部開放報知器125、異常報知ランプ126等を駆動するようになっている。前述したように、表示器9には、遊技中にはクレジット枚数が表示されるが、設定変更モードでは設定値が表示されるようになっている。また、この表示器9には、遊技機の各部で起こった異常の情報がエラーとしてコード表示されるようになっており、異常が起こった際には、前記クレジット枚数や設定値の表示に優先してエラーコードの表示が行われるように、主制御部によって制御されている。表示装置9への駆動信号は、図5に示す接続端子部42から扉中継基板41を介して伝達される。
【0069】
リール駆動部124は、リール6a〜6cにそれぞれ対応して設けられる左リール駆動部124a、中リール駆動部124b、右リール駆動部124cを含んでなる。各リール駆動部124a〜124cは、ステッピングモータをそれぞれ有してなり、始動スイッチの操作に応じてリールを回転させ、停止スイッチの操作に応じてリール上の所定の図柄を窓部7に表示した状態で停止するように、このステッピングモータを駆動するようになっている。扉部開放報知器125は、主基板23に設けられた扉部25が開いている事を報知するためのものであって、LED等からなる。この扉部開放報知器125により、扉部25の締め忘れ等を防止できる。異常報知ランプ126は、LED等からなり、遊技機内で起こった制御上の異常あるいは遊技状態の異常を報知するためのものである。
【0070】
第1副制御部102は、中継基板104を介して主制御部101に接続されており、主制御部101からの信号をうけて、演出表示装置3等の制御を行う部分である。第1副制御部102は、第1副制御部102全体の動作を制御するCPU127、演出データ等を記憶したROM128、実行中の演出の状態を一時的に記憶するRAM129等を含んでなる。この第1副制御部102には、ドライバ回路130を介して演出表示装置3が接続されており、演出表示装置3は、第1副制御部102からの駆動信号をうけて、液晶に表示するフレームを順次読み出すように制御される。この制御により、主制御部の抽選結果に関連した演出表示を行うようになっている。
【0071】
第2副制御部103は、中継基板104、第1副制御部102を介して主制御部101に接続されており、主制御部101からの信号を受けて、スピーカーやランプ等の制御を行う機能を有している。第2副制御部103は、第2副制御部103全体の動作を制御するCPU131、演出データ等を記憶したROM132、実行中の演出の状態を一時的に記憶するRAM133等を含んでなる。この第2副制御部103には、ドライバ回路134を介して上部スピーカー4、下部スピーカー17、演出ランプ135等が接続されており、第2副制御部103は、これらを駆動して演出を行う。
【0072】
次に、スロットマシンの遊技時の動作について以下説明する。図8は、通常遊技時の主制御部の制御を示すフローチャートである。
【0073】
まず、遊技が開始されると、ステップS100で賭け数設定処理を行う。賭け数が設定されていない場合は、始動スイッチの操作が有効とならない。賭け数が設定されていない状態から、新たにメダルを投入した場合は、このメダルがメダルセンサ120によって検知され、投入したメダル枚数が3枚まで自動的に賭け数として設定される。また、前回の遊技によって再遊技役が入賞している場合は、賭け数が自動的に設定されているので、賭け数設定処理は行われない。上記以外の場合は、遊技者が賭け数設定スイッチ8を押下する事によって、クレジット枚数記憶部から操作した分のメダル枚数が減算されるとともに、この枚数分が賭け数として設定される。そして、残りのクレジット枚数が表示器9に表示される。同時に、賭け枚数に応じた入賞ラインが有効になり、その旨が有効ライン表示器にて表示される。賭け枚数の変更は、始動スイッチの操作までは可能となっている。
【0074】
そして、ステップS101で始動スイッチ11の操作を待機する。始動スイッチ11が操作された場合は、ステップS102の抽選処理、ステップS103のリール回転処理を行う。ステップS102の抽選処理は、主制御部のCPUが有する乱数発生器によって発生した乱数を始動スイッチ11の操作タイミングで抽出し、主制御部のROMの抽選テーブル記憶部111に記憶されている抽選テーブルに基づいて当否を判定する処理である。この抽選テーブルとしてどの抽選テーブルを用いるかは、設定値一時記憶部115の値によって異なるようになっている。この抽選テーブルに基づいて決定される抽選結果としては、所定枚数のメダルを払い出す小役、新たな遊技媒体の投入を行わずに次ゲームを実行可能となる再遊技役、次ゲームから所定ゲーム数小役の当選確率を上昇させるボーナスゲームを開始するボーナス役、及びはずれが含まれる。そして、それぞれの役に応じて、有効ライン上に整列させる図柄組み合わせが定められている。なお、以下の記述では、抽選によりそれぞれの役が決定されることを「当選」、定められた有効ライン上に役に応じた図柄組み合わせが整列することを「入賞」と呼ぶことにする。
【0075】
ステップS103のリール回転処理は、リール駆動部124に駆動信号を送信することにより、各リール6a〜6cを回転させる処理である。このリール回転処理により、リールの回転速度が一定となった後に、停止スイッチ操作が有効となる。
【0076】
続いて、ステップS104で停止スイッチ12に操作が行われたかどうかを検出する。そして、操作が行われた場合は、ステップS105で対応するリールを停止する停止制御処理を行う。この停止制御処理は、各リールについて停止操作を行った位置である停止操作位置と、前述の抽選処理にて決定された結果に基づいて、ROM106内に記憶されたリール停止テーブルを参照し、該当位置(以下、リール停止位置)でリールの回転を停止させる事により行われる。このリール停止位置は、停止操作位置からみて、図柄の駒数で所定の駒数、この場合は4駒以内で停止するように決定される。そして、停止操作位置から4駒以内に抽選結果に対応する図柄が有る場合は、この図柄を有効ライン上に整列させるようになっている。この停止制御処理では、有効ライン上に整列させる役の優先順位は、再遊技、ボーナス、小役の順番で行われる。再遊技役が当選している場合は、再遊技役が必ず有効ライン上に整列するように制御される。抽選による重複当選、または後述するボーナスの持ち越しによって、ボーナスフラグの成立と小役の当選が同時に起こった場合は、ボーナスを優先的に整列させるように制御される。但し、4駒以内で停止可能な場合に限られる。
【0077】
次に、ステップS106で全てのリール6a〜6cが停止したかどうかを判定する。NOの場合、ステップS104に戻り、停止制御処理を行う。全てのリールが停止している場合は、ステップS107で、有効ライン上に当選した図柄が入賞しているかどうかを判定する。YESの場合、ステップS108で成立役を判定し、成立役が小役の場合、払出装置37を駆動して所定枚数のメダルを払い出す。一方、成立役が再遊技役の場合は、今回ゲームで設定されていた賭け数を、次回ゲームの賭け数として自動的に再設定する自動賭け数設定処理がステップS112で行われる。この場合は、クレジットからの枚数減算は行われないため、新たな遊技媒体の投入(クレジットの消費も含む)を行うことなしに、次ゲームを行う事が可能になる。そして、この場合は、自動的に次ゲームの賭け数設定処理が行われるため、次ゲームにおいては賭け数設定処理は行われない。成立役がボーナスの場合、ボーナスゲームモードを設定し、次ゲームからボーナスゲームに移る。
【0078】
ステップS107の判定がNOの場合は、ステップS110において抽選でボーナスが当選している場合、つまり、抽選ではボーナスが当選しているが停止制御の結果有効ライン上に整列しなかった場合を判定し、YESの場合、ステップS111にて持ち越し処理を行う。この持ち越し処理は、主制御部のRAMにボーナスフラグの成立を記憶することによって行われ、ボーナスフラグ成立中のゲームでは、ボーナスが当選してもボーナスフラグの成立数が加算される事は無い。このボーナスフラグの記憶は、ボーナス役が入賞するまで継続される。本実施例では、ボーナスフラグが複数成立する事が無い場合を示しているが、これに限らず、ボーナスフラグの成立状態におけるボーナス当選によって、複数フラグが蓄積される構成とするとともに、ボーナスフラグに対応するボーナス役の入賞を、ゲーム中の所定条件成立、例えば特定の小役の入賞まで前記停止制御により回避する構成としてもよい。
【0079】
ボーナスゲームモードは、ステップS102に用いる抽選テーブルを変化させる事によって、小役に対応する乱数幅を変化させたモードである。この変更により、抽選による小役の当選確率が10倍程度に上昇している。また、このモード中は、ボーナス役の抽選は行われないか、あるいは当選したとしても無効とされる。このボーナスゲームは、上述したように小役が頻繁に当選するため、遊技者にとってはメダルを多量に獲得できる有利な状態である。
【0080】
次に、ボーナスゲーム中の処理について図9を用いて説明する。ステップS113からステップS119までの処理は、図8のステップS100からステップ106までの処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。ステップ119の判定がYESの場合、ステップ120で、抽選に応じた入賞が有効ライン上に成立しているかどうかを判定する。入賞役が無い場合、ステップS113に戻って次ゲームを行う。入賞があった場合は、ステップ121にて成立役を判定し、再遊技の場合は、ステップS122で自動賭け数設定処理を行ってステップS113に戻り、次ゲームを行う。小役の場合、ステップ123で払出装置37を駆動して相当する枚数のメダルの払出を行い、ステップ124でボーナスゲームの終了契機かどうかを判定する。このボーナスゲームの終了契機は、ここでは払出枚数の加算値が一定枚数、例えば345枚に達した事による。このため、小役の成立毎に、主制御部のRAMでは払出枚数をカウントし、一定枚数に達した時点で、上記のボーナスゲームを解除し、通常ゲームに戻るようになっている。ボーナスゲームとしては、例えば払出枚数345枚のBB1、125枚のBB2など、複数を備えている。また、ここでは、ボーナスゲーム終了後直ちに通常ゲームに戻る例を示しているが、ボーナスゲームの終了後、所定ゲーム数のリプレイタイム(以下、RTゲーム)を行った後、通常ゲームに戻る構成としてもよい。また、ボーナスゲームの終了契機を、払出枚数が所定枚数に達した事とする事に代えて、特定小役が所定回数成立した事等、他の条件としてもよい。また、ボーナスの種類は、1種類でも良く、3種以上でもよい。
【0081】
RTゲームは、抽選テーブルの乱数幅を切り替えることによって、抽選によって再遊技が当選する確率が上昇したRTゲームモードを設定したゲームである。再遊技の確率は、通常ゲームでは1/7.3程度に設定されているが、RTゲームにおいては、1/1.3程度に上昇する。この場合、再遊技以外の役、ボーナス、小役の確率は変わらないが、はずれに割り当てられていた乱数域が、再遊技に割り当てられる。また、RTゲームを開始する契機を、ボーナスゲームの終了後とせず、通常ゲーム中に特定の小役が入賞した時としてもよい。このRTゲーム中は、高確率で再遊技が当選するため、メダル消費が少ない状態で、ボーナス当選を期待することができる。
【0082】
また、スロットマシンAは、通常ゲーム中に用いる抽選テーブルとして、6種類の抽選テーブル(設定)を有している。図10に、抽選テーブルの一部を示す。この表では、乱数値の割り当てによる抽選役の確率を模式的に示している。表の縦の列が各設定を表し、横の列が各設定における役の確率を示している。この1〜6で表される設定の値を一般的に設定値と呼ぶ。表に明らかなように、ボーナス(BB1、BB2)の確率は、設定値毎に異なるようになっている。BB1の確率は、設定1では1/596であるのに対し、設定6では1/345と高くなっている。このため、メダルが多量に払い出されるボーナスゲーム状態となる確率が設定値毎に異なっている。また、設定値毎に異なる確率となる、例えば小役2のような小役を、RTゲーム突入役とした場合、RTゲームモードとなる確率が設定値毎に異なる。このため、店舗側では営業上の利益や、遊技台の客付きなどを見て、各台の設定値を設定するようになっている。
【0083】
なお、設定値として、各設定値間でボーナスの当選確率が異なるものを示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各設定値間で遊技媒体の獲得に関し有利状態となる確率が異なるものであれば良い。この有利状態としては、前述するボーナスゲーム状態の他に、RTゲーム等の再遊技高確率状態、当選役あるいは停止操作順序が報知されるATゲーム等が例示できる。また、有利状態としては、複数ゲームに跨るものであってもよいし、1ゲームで終了する有利状態であってもよい。つまり、ボーナスゲーム状態、再遊技高確率状態、ATゲーム等への突入契機となる役、あるいは所定の遊技媒体の払出が行われる役の確率が設定値間で異なるものであれば、本発明の概念に含まれるものである。
【0084】
次に、この設定値の変更操作について説明する。図11は、設定値の変更操作時の主制御部の制御を示すフローチャートである。まず、ステップS200で設定変更モードが設定されているかどうかを確認する。通常モードから設定変更モードへの移行は、主基板上のキースイッチ26を右に回動した状態で、電源を入れ直すことによる。ステップS200では、電源オンとなった状態で、キースイッチが回動されているかどうかを確認して、YESなら設定変更モードに移行する。そして、ステップS201で表示禁止状態が設定されているかどうかを確認する。そして、表示禁止状態が解除されるまでは表示器9に表示を行わずに待機する。そして、表示禁止状態が解除されている場合は、ステップS202で表示モードを読み込んで、ステップS203で設定値の表示処理を行う。各設定値1〜6の通常表示状態の表示態様は、図12に示されるような態様で表示器9に表示される。
【0085】
そして、ステップS204で設定変更スイッチ27が操作された場合、ステップS205で現在の設定値が6の場合は、ステップ206で設定値を1に変更する。そして、6以外の場合には、ステップS207で設定値の値に+1する。例えば、設定値が4の場合は設定値5に変更する。そして、ステップS208で表示器9に表示している設定値の表示を変更後の値に更新する。つまり、主制御部101では、図12の設定値1〜6の表示を、セグメントの点灯・消灯の制御により順次切り替え表示する事になる。これらの変更は、ROM106の設定値変更プログラムにより行われる。ステップ204〜ステップS208の処理は、設定変更スイッチ27が操作されるたびに行われる。そして、ステップS209にて始動スイッチ11が操作されると、変更後の設定値を確定し、RAM107の設定値一時記憶部115に設定値を記憶する処理が行われる。前記した設定変更スイッチ27の操作は、始動スイッチ11が操作されるまでは有効に受け付けられる。そして、この後、キースイッチ26が左に回動されて元の位置に戻される事に応じて通常モードに復帰する。これらの設定値の表示は、表示器9が上下逆に視認されている状態においては、確認が困難になる。特に、設定変更スイッチ27を操作して連続的に設定値を変化させている状況下では更に困難である。従って、本発明では後述するような逆転表示制御を行う。
【0086】
続いて、設定値を表示器9に表示するにあたって主制御部で行われる表示モードの設定について、以下説明する。
【0087】
図13は、主制御部において、ROM113の表示態様決定プログラムと、RAM116の表示態様一時記憶部を用いて行われる、表示器9への表示態様に関するフラグ処理を示したフローチャートである。
【0088】
まず、ステップS700にて、上側前扉2aあるいは下側前扉2bが開放されているかどうかを確認する。上側前扉2a及び下側前扉2bには、それぞれ開放を検出するセンサが設けられており、これらの信号によりこの判定が行われる。そして、いずれかが開放されている場合は、ステップS701にて表示許可フラグF0の値として0を設定する。そして、続いてステップS702にて上側第1開放角度センサ602がオンとなっているかどうかを確認する。そして、この判定がNOの場合計時を開始し、ステップS703にうつり、F0=0の状態で所定時間経過したかどうかを判定する。そして、F0=0の状態で所定時間経過した場合、ステップS704にて異常報知処理を行う。これは、扉を僅かに開けて行う不正行為が行われている可能性が大きいからである。そして、YESの場合、ステップS705にうつり、下側第1開放角度センサ502が一度オンとなったかどうかを確認する。そして、NOの場合上記と同様に計時を開始し、ステップS703の判定処理を行う。これは、設定値変更を行う場合、電源を一旦操作する必要があることから、電源を収容した下側前扉2bを一端操作可能な角度まで開く事が必要な為である。そして、この一端開く操作が無かったと判断した場合、不正行為が行われている可能性が大きいことから、異常報知を行う。このステップS705の判定処理は、下側第1開放角度センサ502がオンの状態が所定時間(例えば1秒以上)続いた事を判定する事をも含むものである。この判定により、ノイズなどの瞬間的な立ち上がりによる後検出を防止できる。
【0089】
表示許可フラグF0は、値が0の時には設定値の表示を不許可とし、値が1の時には設定値表示許可とするものである。異常報知処理は異常報知ランプ126、上部スピーカー4、下部スピーカー17等により行われる。
【0090】
そして、ステップS705の判定がYESの場合、ステップS706にて表示許可フラグF0=1を設定すると同時に、ステップS707にて表示逆転フラグF1の値として0を設定する。そして、ステップS708にて下側第2開放角度センサがオンとなったかどうかを確認する。この処理は、表示器9が配置されている下側前扉2bの開放角度が前記第2開放角度以上になったことを検出する為の処理である。そしてオンとなった場合には、ステップS709にて表示逆転フラグF1=1を設定する。
【0091】
表示逆転フラグF1は、表示器9の表示モードとして逆転表示モードを設定するためのものであり、値が0の時には通常表示モードを、1の時には逆転表示モードを設定するものである。
【0092】
図14は、主制御部において、ROM113の表示態様決定プログラムと、RAM116の表示態様一時記憶部を用いて、前述のフラグ処理を受けて行われる表示モード設定処理を示したものである。
【0093】
まず、ステップS400では、表示許可フラグF0の状態を確認し、0の場合はステップS401にて表示禁止状態を設定する。この表示禁止状態では、表示器9への設定値の表示は行われない。従って、前扉2を僅かに開放し、設定変更スイッチ等を操作して設定値を不正に変えようとする行為が行われた場合には、現在の設定値を視認できないため、所望の設定値に変えることができず、これらの行為を防止することができる。そして、F0の値が1の場合、ステップS400の判断はNOになり、続いてステップS402にて表示逆転フラグF1の状態を確認する。そして、F1の値が0の時にはステップS403で通常表示モードが設定され、図12に示した通常の状態の設定値表示が行われる。F1の値が1の場合、ステップ402の判断はNOとなり、ステップS404で逆転表示モードが設定される。これらの処理によって設定された表示モードを、図11のステップS202で読み込むことにより、表示モードに従った設定値の表示が行われる。
【0094】
図15に、逆転表示モードで表示器9に表示される設定値表示を示す。図示するように、図12の表示様態と同一の意味を有するが、上下逆の様態で、設定値1〜6を表示するようになっている。この状態で設定値6の表示を見ると、図16のようになり、設定値が6であることが容易に確認できる。このため、前扉2を大きく開放して、筐体内で設定変更スイッチを操作している場合においても、表示器9の設定値を順次変更する変更表示が容易に確認できるため、その度に前扉前面から見て確認する必要がなくなり、作業性が向上する。
【0095】
上側前扉2aと下側前扉2bとを分離した態様において特徴となる点は、下側前扉2bについて、一旦内部の操作が可能な開放角度まで開放したことを検知して、表示許可状態とする点である。この制御によって、一旦電源を操作した後は、下側前扉2bを閉じた状態、また、僅かに開いた状態で、上側前扉2aを開放して設定変更作業及び異常状態解除作業を行う事ができる。この為、表示器9を通常の態様で視認したまま作業を行う事が可能となる。また、下側前扉2bをも大きく開放した状態で作業をする場合であっても、表示器9への表示態様を上下逆転態様として導出するため、表示内容を容易に確認することができ、作業効率が向上する。
【0096】
また、スロットマシンAは、遊技中、あるいはメンテナンス作業中などに起こった遊技機の異常について、表示器9にコード表示として表示する機能を備えている。図17に、表示器9に表示される異常情報の種類とコード、その表示器9への表示状態を示している。スロットマシンAは、主制御部101のCPUの割込単位で、各所の状態を監視しており、以下に記載する異常を検出する機能を備えている。これらのコード情報の表示は、主制御部のROM106に設けられた異常情報表示プログラム114によって為される。
【0097】
コード「CJ」は、メダルがメダル選別装置内で詰まった「セレクタメダル詰まり」を示すものであり、メダル選別装置のメダル検出センサ部にメダルが所定時間以上滞留している事により判定される。コード「Cr」は、メダル投入時にメダル検出センサによりメダルの通過状態が異常である事が判定される「投入時のメダル通過異常」によるものであり、原因としては不正行為、あるいはメダル検出センサの故障が考えられる。コード「CC」は、メダル投入不可時にメダル検出センサによりメダルの通過状態が異常であることが判定される「投入不可時のメダル通過異常」によるものであり、原因としては不正行為、あるいはメダル検出センサの故障が考えられる。
【0098】
コード「HE」は、払出装置37によって払い出されるメダルが不足している「メダル不足」を示すものであり、メダル貯留装置36内のメダルが欠乏していることによる。コード「HJ」は、払出装置37の払出口でメダルが詰まる「払出装置メダル詰まり」を示すものである。コード「HC」は、払出装置の払出口に、メダルが所定数払い出されたことを確認するために設けられる払出センサの状態が異常となった「払出センサ異常」を示すものであり、所定時間幅未満の払出センサ信号の検出を所定回数検出したときに判定される。原因としていは、不正行為あるいは払出センサの故障が考えられる。コード「HA」は、払出装置37の状態が異常である「払出装置異常」を示すものであり、メダル払出装置駆動電源がOFFとなっている場合にメダルが払い出された事で判定される。原因としては、不正行為、あるいは払出センサの故障が考えられる。
【0099】
コード「FL」は、補助メダル貯留容器38が満杯となった「補助メダル貯留容器満杯」を示すものである。コード「AE」は、「プログラムの異常」を示すものであり、抽選結果と異なる図柄の組み合わせが有効ラインに停止したとき、始動スイッチの操作受付時に投入された枚数が異常(例えば3枚の賭け枚数を受け付ける機種において4枚となったとき)、電源投入時に設定値が異常となった場合などに判定される。これらの原因としては、各部分の故障あるいは不正行為などが考えられる。異常情報は、図17に表示態様として示したように、表示器9に表示される。この表示は、遊技中のクレジット枚数を表示している場合においても、設定変更中に設定値を表示している場合においても、これらに優先して表示が行われる。また、これらの異常の場合には、異常表示とともに直ちに遊技機のプログラム進行を停止するか、現在進行中のゲームの終了後、遊技機のプログラム進行を停止する。
【0100】
各種コードで示される異常のうち、コード「AE」以外の異常については、異常の原因を解消した後、錠装置14を鍵により左に回動させるか、あるいは設定変更スイッチ27を操作することにより、通常状態に復帰する事ができる。コード「AE」については、設定変更スイッチ27を操作した状態で電源をOFF−ON操作するか、あるいは、一端設定変更モードにモード変更し、設定確定操作を再び行うことによって復帰することができる。これらの異常の多くを解除するためには、前扉2を開いた状態で、筐体1内部への操作が必要となる。また、これらの異常は単独で発生するとは限らないことから、通常状態に復帰させる作業状態中にも、表示器9を視認しつつ、各異常状態が解消されたかどうかを確認する必要がある。つまり、図5(b)の状態で表示器9を視認しつつ作業を行う事になる。
【0101】
上述の観点から、スロットマシンAにおいては、これらの異常情報をコード表示する場合においても、前記した設定値表示における制御と同様の制御を行うことによって、表示器9に表示するコード情報を上下逆転表示態様とする。逆転表示モードにおける上記異常情報のコード表示を、図18に示す。各表示態様の示す意味は図17と同様であるが、態様が異なり、180度回転すると図17の表示態様とほぼ同様になる。
【0102】
また、上記の設定値及び異常情報のコード表示においては、図19に示すように、ドットSDの点灯により、通常表示を行っているか、逆転表示を行っているかを区別してもよい。この制御により、現在の設定値あるいは現在発生中の異常が明確に認識でき、作業効率がより向上する。上記では、スロットマシン等の遊技機の内部制御状態に関する異常を列挙したが、遊技機毎に隣接して設けられ、遊技機と電気的に接続される遊技媒体貸出装置(以下、台間機)との接続状態をもコード表示する構成としてもよい。台間機は、スロットマシンと電気的に接続され、貨幣や紙幣、プリペイドカードなどの有価価値を受け付けて、この有価価値に対応する分のメダルの払出を、スロットマシンの払出装置37を通じて行うようになっている。また、台間機とスロットマシンが接続されていない場合には、スロットマシンは遊技の進行が不能となるように制御される。これらの構成によれば、接続不良などによって遊技が進行できない場合に、異常を迅速に特定して解消することができ、営業上有益である。
【0103】
上記した実施形態によれば、遊技中に遊技媒体にかかる表示器を共用して確率設定値の表示、あるいは異常情報の表示を行う。これにより、確率設定値あるいは異常情報の表示の為の専用の表示器を設けることや、複数の表示器を設ける必要が無い。このことにより、遊技機本体のコストダウンを図る事ができるとともに、不正行為を効果的に防止し、なおかつ設定値変更時や、異常解除時の作業効率を向上させることができる。
【0104】
また、上記した実施形態によれば、開放角度の検知を固定された二つの角度を検知する検知手段により行う構成を示しているが、この検知手段の検知角度を複数段階、あるいは連続的な値に調整可能なものとしてもよい。
【0105】
この構成によれば、店舗側において、作業に最適な角度に検知角度を調整することができるため、より作業性の高い遊技機とすることができる。また、検知手段の検知角度だけでなく、前扉を仮固定する角度も同時に調整可能とする事が好ましい。
【0106】
上記した実施形態では第1開放角度検出センサ52と第2開放角度検出センサ53の双方を設置した例を示したが、これに代えて、第1開放角度検出センサ52のみを設置した構成としてもよい。この場合、第1の開放角度までは設定値等の情報を非表示状態とする。この事により、前扉2を僅かにあけて行う不正行為を抑止する事が可能となる。また、この開放角度により設定値表示を非表示とする構成は、設定値表示器と遊技媒体数にかかる表示器を兼用する構成に限らず、設定値表示器として専用のものを設ける場合にも適用でき、同様の効果を奏することができる。
【0107】
また、第2開放角度センサ53のみを設置した構成としてもよい。この場合、第2の開放角度Yを検知して表示器9の態様を変化させるので、作業中に表示器9の状態が確認し易くなり、作業効率が向上する。上記した主制御部の制御は、表示器9の表示状態を制御する表示制御手段として働くものである。また、本発明は、上記したような各構成に限定されず、この表示制御手段による制御方法を適用した場合、上述の如く、作業性を向上させる効果を奏するものである。
【0108】
なお、上記各実施形態においては、開放角度検知機構22を、水平方向の回転をリンク機構によって上下動に変換し、この動きを検出するものとして示したが、本発明はこれに限らず、開放角度が所定位置に達した事を検出可能なものであれば適用可能である。例えば、図20(a)に示すような、ディスク面に設けられたスリットを検出することにより回転角度を検出するものや、図20(b)に示すような、半導体磁気抵抗素子を用いるものであってもよい。
【0109】
図20(a)はディスク面に設けられたスリットにより回転角度を検出する例である。軸20aには筐体の一部(ヒンジ部分)1’の内部に設けられるディスク701が回転軸700を介して接続されており、前扉2の開放とともに、軸20aとディスク701が回転するようになっている。なお、図20(a)の左側の図は、このヒンジ部分を正面から見た図面であり、図20(b)はディスク701の部分の断面図(M−M’断面図)を示している。筐体の一部1’の内部には、センサ配置部702が付きだして設けられており、この部分に投光部52a、受光部52bからなる第1開放角度センサ52、投光部53a、受光部53bからなる第2開放角度センサ53が設置されている。
【0110】
そして、右側の図に示すように、ディスク701には、開放角度がXとなった点から最大開放角度までの間、第1開放角度センサの投光部52aからの光を通過させるためのスリット703と、開放角度がYとなった点から最大開放角度までの間第2開放角度センサの投光部53bからの光を通過させるためのスリット704が設けられている。この構造により、開放角度がXに達した後は第1開放角度センサ52がオンとなり、一方、開放角度がYに達した後は、第2開放角度センサ53がオンとなるようになっている。これらの構成において、各実施形態と同様の制御を行うことにより、同様の効果を得ることができる。
【0111】
図20(b)は、半導体磁気抵抗素子により回転角度を検出する例である。軸20aには筐体の一部(ヒンジ部分)1’の内部に設けられ、磁性体からなるギア705が回転軸706を介して接続されており、前扉2の開放とともに、軸20aとギア705が回転するようになっている。なお、図20(b)の左側の図は、このヒンジ部分を正面から見た図面であり、図20(b)はこのヒンジ部分の内部を下側から見た図(N−N’断面図)である。筐体の一部1’からは磁石707と半導体磁気抵抗素子708からなるセンサ部が設けられており、ギア705との距離の遠近変化により変化する磁界を検出することにより開放角度を検出するようになっている。この磁界の変化回数をカウントすることによって、開放角度がどの程度かを知ることが出来る為、この演算を行うことによって、各実施形態と同様の制御を実現することができる。
【0112】
なお、開放角度の検知に用いるセンサの種類は上記に限定されず、反射型のセンサや導通スイッチ等、開放角度を検知しうるものであれば他の種類のセンサも使用可能である。
【0113】
なお、上記実施形態においては、表示器9のクレジット枚数表示部を、設定値表示部あるいは異常情報表示部として共用する例を示したが、本発明はこれに限らず、遊技機の前面に配置され、遊技中に所定の情報を表示する表示器であれば良く、例えば、表示器9の払出枚数表示部を設定値表示部あるいは異常情報表示部として共用する構成としてもよい。
【0114】
また、上記実施形態においては、表示器9の構成を、複数の7セグメント表示器を有してなる構成として示したが、これに限らず、一個の7セグメントや、7セグメント以外のセグメント表示器を用いても良い。また、液晶やEL等からなる表示器を用いても良い。
【0115】
更に、上記実施形態においては、表示器9の表示態様を、通常の表示状態と、上下逆転の表示状態の二つの状態に切り替える例を示したが、これに限らず、作業時の視認状態によって表示角度を他段階に切り替える構成としてもよい。特に、液晶やEL等、表示態様の微細な変化が可能な表示器を、共通の表示器として用いた場合には、開放角度検知機構の構成を、連続的に開放角度を検知可能な構成とし、前扉2の開放角度の増加と、表示器9の表示の回転角度の増加を連続的に対応させる構成としてもよい。
【0116】
上記の実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した例を示したが、これに限らず、各種作業中に開くことが必要になる扉の前面に位置し、扉と共に回動する表示器を有する遊技機であれば、本発明を適用する事が可能である。スロットマシンであれば、上記実施例で例示したようなメダルを遊技媒体として用いるものに限らず、遊技球を遊技媒体として用いるものであっても適用可能である。
【0117】
なお、上記の各実施形態は、本発明を適用した一例を示したものであり、本発明はこれにより限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能なものである。
【符号の説明】
【0118】
A,A’’ 遊技機(スロットマシン)
1 筐体
2 前扉
2a 上側前扉
2b 下側前扉
6a,6b,6c リール
7 窓部
9 表示器(クレジット枚数表示器、設定値表示器)
22 開放角度検知機構
26 キースイッチ
27 設定変更スイッチ(設定値変更手段)
33 リールブロック(リールユニット)
37 メダル払出装置
52 第1開放角度検出センサ
53 第2開放角度検出センサ
101 主制御部(表示制御手段)
108 CPU(設定値変更実行手段、表示態様変更手段、抽選手段)
109 ROM(記憶媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技に関する抽選確率の設定を変更する機能を持つ回胴式遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技場に設置される、スロットマシンのような回胴式遊技機等の遊技機には、内部抽選の当選に関する確率を複数段階に設定するための設定変更を行う部分が設けられている。この設定値の変更は、通常、取得した乱数に対応する抽選結果の割り当て幅を変化されることによって行われるものであり、店舗側の営業方針によって、遊技機毎に個別に設定可能になっている。この設定値を変化させることにより、店舗側の利益と、集客率とのバランスを図る事で、営業を行うようになっている。
【0003】
一般的に、上記の設定変更を行う部分は、設定変更を許可する設定変更モードに切り替えるためのキースイッチと、設定値を上下させるための変更スイッチなどから構成されている。この設定変更操作には、まず、一旦電源を切った後、キースイッチを設定変更許容位置にして電源を再投入する。この状態で変更スイッチを操作して所望の設定値に変更し、遊技機前面のスイッチにて確定し、キースイッチを戻して通常状態に復帰させる操作が行われる。
【0004】
このため、遊技機のモードを設定変更モードにするためのキースイッチは、遊技機筐体内部の前面下部に設けられ、電源スイッチを有する電源ボックスの付近に設けられていた。また、設定値を上下させるための変更スイッチは、遊技機の前扉内側に設けられる事が多かった。
【0005】
ところで、遊技機の内部抽選の確率を実際に変動させる機能は、遊技機の筐体内部の奥側に取り付けられる主制御基板が搭載しているため、前記キースイッチからの信号及び変更スイッチからの信号を信号線により主制御基板まで配線する必要があった。
【0006】
このような構造となっているため、不正行為を行おうとする遊技者にとっては、上記の信号線の配線上に不正な基板を接続し、信号を入れることによって設定変更操作を擬装して、確率設定を有利な状態にする行為が可能であった。
【0007】
上記の不正行為に対して、下記特許文献1では、キースイッチ及び変更スイッチを主制御基板上に設置することによって、キースイッチ及び変更スイッチと、制御部との間に不正基板の介在する余地を無くす事で当該行為を防止しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−141461号
【0009】
ところで、設定値の変更時、変更した設定値を確認するための設定値表示器が従来、筐体の所定部位に配置されている。この設定値表示器は、利便性向上の為、視認し易い位置に設けられている事が多い。しかしながら、この場合、不正行為中にも設定値表示器が見やすくなるという問題点がある。とはいっても、不正行為を防ぐ目的で、設定値表示器を視認し難い位置に設けた場合、著しく作業効率が低下する。また、上記の不正行為は、目立つ事を避けるために前扉を僅かに開けた状態で行われることが多い。
【0010】
更に、コスト削減の観点から、他の表示器を設定値表示器として兼用する事も行われている。この他の表示器としては、遊技者に払出される遊技媒体の数を表示する払出枚数表示器、遊技機内に電子的に記憶された遊技媒体の数を表示するクレジット表示器などが一般的に用いられている。これらの表示器は、通常の遊技中は本来の表示器としての機能を果たすようになっており、遊技機のモードが設定変更モードになったときのみ設定値を表示するように制御される。これらの表示器は、前扉の前面に、遊技者に視認可能に設けられる事が多く、前扉裏面からは視認できない。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1のような配置構成とした場合、遊技機と前扉の間に立った状態で変更スイッチを操作することにより、設定値を変更しようとした場合に、上記の表示器を視認し難くなり、著しく操作性が低下する虞がある。特に、遊技機の設置台数が多い場合には、営業方針上、多くの台の設定値を変える必要がある場合もあり、このような場合に、変更スイッチを操作する度に前扉を閉めて確認する作業が必要になれば、膨大な時間がかかり、実用性に欠ける。とはいっても、専用の表示器を別に設ける構成にすれば、コストアップとなる事に加えて、配線が複雑になり、製造効率も低下する。更に、多くの配線に隠れて不正基板を接続する行為を助長してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、不正行為を効果的に防止しつつ、設定変更時の作業性を向上できる遊技機を提供せんとするものである。
【0013】
請求項1の発明は、所定数の図柄をもつリール(6a〜6c)及びメダル払出装置(37)を含む各種機器を収納する筐体(1)と、
前記筐体(1)の前側を覆う前扉(2)と、
前記リールの図柄と対応する役の抽選の当選確率を複数通りの設定値の何れかに変更する設定値変更手段(設定変更スイッチ27)と、
遊技時に遊技進行に関する所定情報を表示し、前記設定値変更手段の操作時に設定値を表示する表示器(9)とを含む遊技機において、
前記前扉(2)を、前記リール(6a〜6c)を収納する前記筐体(1)の上部側を覆う上側前扉(2a)と、前記メダル払出装置(37)を収納する前記筐体(1)の下部側を覆う下側前扉(2b)とに分離し、それぞれ別個に前記筐体(1)に対して回動可能に取り付けていると共に、
前記表示器(9)を、前記リール(6a〜6c)を視認する前記上側前扉(2a)に設ける窓部(7)の下方に位置する、前記下側前扉(2b)の操作パネル上に設け、かつ、
前記設定値変更手段を、前記筐体(1)の内部における上部であって、前記上側前扉(2a)を開放して操作可能な位置に設けていることを特徴とする。
【0014】
遊技進行に関する所定情報とは、スロットマシンであれば投入されているメダルの枚数や、払い出されるメダルの枚数情報などを含むものである。
【0015】
以上により、下側前扉2bを閉じた状態、また、僅かに開いた状態で、上側前扉2aを開放して設定変更作業を行うことができる。このため、表示器9を通常の態様で視認したまま作業を行う事が可能となる。
【0016】
請求項2の発明は、前記表示器(9)は、前記上側前扉(2a)及び前記下側前扉(2b)を開放した状態で、これら前扉の裏側となる筐体側の面から前記窓部(7)を通して視認可能な位置に設けていることを特徴とする。
【0017】
これにより、設定変更作業時には、扉を開けた状態で筐体側の面、つまり裏面から視認可能となる為、表面からその都度確認する必要が無く、作業性を向上することができる。
【0018】
請求項3の発明は、前記表示器(9)には、前記上側前扉(2a)及び前記下側前扉(2b)を開放した状態で前記設定値変更手段を操作する時、所定の開放角度条件下で、上下逆転させた態様で設定値を表示する仕様にしていることを特徴とする。
【0019】
これにより、下側前扉2bをも大きく開放した状態で作業をする場合であっても、表示器9への表示態様を上下逆転態様として導出するため、表示内容を容易に確認することができ、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る遊技機(スロットマシン)の斜視図である。
【図2】上側前扉と下側前扉との分離構造を明示する斜視図である。
【図3】(a)は本発明における遊技機に付設される表示器の構成を示した図である。(b)、(c)、(d)は、表示器の表示例を示した図である。
【図4】本発明遊技機の筐体内部を示す図である。
【図5】本発明遊技機の前扉の裏側の構成を示す図である。
【図6】本発明遊技機に用いられる開放角度検出機構の構成を示した図である。
【図7】本発明遊技機の電気的なブロック構成を示した図である。
【図8】本発明遊技機の通常遊技中の制御を示したフローチャートである。
【図9】本発明遊技機のボーナスゲーム中の制御を示したフローチャートである。
【図10】本発明の確率設定値(抽選テーブル)を示した図である。
【図11】本発明遊技機の設定変更操作時の制御を示すフローチャートである。
【図12】本発明遊技機における設定値の表示態様を示した図である。
【図13】本発明遊技機における表示に関するフラグ制御を示した図である。
【図14】本発明遊技機における表示制御を示した図である。
【図15】表示逆転モードにおける設定値の表示態様を示した図である。
【図16】表示逆転モードにおける設定値表示を前扉裏面より視認した状態を示す図である。
【図17】表示器に表示される異常情報の種類と、そのコード表示の表示態様を示した図である。
【図18】表示逆転モードにおける異常情報の表示態様を示した図である。
【図19】本発明における表示器の表示態様の別の一例を示した図である。
【図20】本発明における開放角度検知機構の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明を適用した遊技機の一例としてスロットマシンAを示している。スロットマシンAは、各種器具や各種基板を収納した筐体1に、回動自在に取り付けられた前扉2を有してなる。
【0022】
前扉2を閉めた状態は図1に示すような外観となるが、図2に示すように、前扉2は、リールブロック33より上側を覆う上側前扉2aと、下側を覆う下側前扉2bとに分離しており、それぞれ別個に回動可能に取り付けられている。そして、図では上側前扉2aを取り外した状態の図を示しているが、上側前扉2aは、矢印Sで示したようにヒンジ結合されて取り付けられている。
【0023】
そして、上側前扉2aと、下側前扉2bの接する部分には、一部にフック400と、フック穴401からなるフック係合構造が形成されている。錠装置14を右側に回動させると下側前扉2bを先行させて開放させることができるようになり、錠装置14を左側に回動させると上側前扉2aを先行させて開放することができるようになる。これらの構造により、必要に応じて上側前扉2aと下側前扉2bの開放の仕方を適宜選択することができるようになっている。
【0024】
また、リールブロック載置面BPは、筐体内部の左右にわたって板状に設けられており、リールブロック載置面の前扉2側の端面と、上側前扉2aの接合面FP、及び下側前扉2bの接合面SPの筐体側の端面とはほぼ合致するように形成されている。この為、上側前扉2aを閉じた状態で、下側前扉2bを開いた場合、筐体側のリールブロックより上部は閉鎖状態が保たれるようになっている。一方、下側前扉2bを閉じた状態で、上側前扉2aを開いた場合、筐体側のリールブロックより下側は閉鎖状態が保たれる。
【0025】
図1に示すように、筐体1の上部には、筐体内部で発生した熱を外部に放出するための放熱孔h1〜h3が設けられている。また、この放熱孔h1〜h3の内部には、それぞれに対応して、放熱孔から内部への異物、粉塵等の進入を防ぐためのネットn1〜n3が取り付けられている。また、筐体1は、一定の板厚を有する合成樹脂や木材等、剛性を有する不透明な部材にて、箱形形状に構成されている。
【0026】
前扉2は、その一側にてヒンジ接合等により、筐体1に回動可能に取り付けられている。この前扉2の上部中央には、液晶画面などからなる演出表示装置3が設けられており、遊技の進行に応じてキャラクターや数字などを映し出し、各種表示演出を行いうるようになっている。この演出表示装置3の両側には、上部スピーカー4(左側上部スピーカー4a、右側上部スピーカー4b)が設けられており、演出表示装置3で行われる演出と同調して、各種の効果音等による音響演出を行いうるようになっている。また、エラーの発生などに伴って、適宜、警告音を導出するようになっている。また、演出表示装置3の上部には、内部に複数のLEDやランプ等を有する発光部5が設けられている。そして、上記演出と同調して明滅や順次点灯などの発光演出を行うようになっている。
【0027】
演出表示装置3の下部には、正面パネル面DPが設けられている。この正面パネル面DPには、筐体内部のリールブロック33のリール(回胴)6a〜6cを視認できるように、透明な窓部7が設けられている。リール6a〜6cは、回転可能に取り付けられており、ステッピングモータ(図示せず)により回転されるようになっている。図示していないが、リール6a〜6cには、その表面に所定数の図柄が回転方向に沿って設けられている。窓部7からは、それぞれのリール6a〜6c上の図柄のうち、所定数、例えば3個ずつの図柄が視認可能となっている。そして、リールが回転する事により、窓部7に表示される図柄を変動する事が可能となっている。すなわち、リール6と窓部7にて、図柄変動表示装置を構成している。この例では、リールの表面に図柄を配し、リールの回転によって図柄を変動する構成を示したが、これに限らず、回転体、例えばベルトの表面に図柄を配し、これを回転する事により図柄を変動する構成としてもよい。また、正面パネル面DPには、有効ライン、つまり1遊技機に供するメダル数が設定された場合に入賞とするラインが表されている。そして、図示していないが、どのラインが有効であるかを点灯等により表示する有効ライン表示器も、正面パネル面DPに配されている。
【0028】
図1に示す窓部7の下方(図2に示す下側前扉2bの上部)には、遊技時に遊技者が操作する操作部を設けた操作パネルが設けられている。この操作パネルは、上側操作パネル面PN1と、前側操作パネル面PN2からなっている。そして、上側操作パネル面PN1上には、1遊技に供する遊技媒体としてのメダルの数を設定するための賭け数設定スイッチ8(1ベットスイッチ8a、MAXベットスイッチ8b)、メダル数等に関する表示を行う表示器9、メダルを投入するためのメダル投入口10などが設けられている。1ベットスイッチ8aは、このスイッチを操作する事により、1遊技において賭けるメダル数を1枚ずつ加算する為のものである。MAXベットスイッチ8bは、1遊技において賭けるメダル数として最大数を設定する為のものである。MAXベットスイッチ8bを押下した場合、メダル残数が充分ある場合は、賭け枚数が最大賭け枚数、つまり3枚に設定される。また、メダル残数が最大賭け枚数に満たない場合は、メダル残数全てが賭け枚数に加算される。
【0029】
表示器9は、セグメント表示装置等からなり、遊技中には、払い出されるメダル枚数(払出枚数)や、投入されて電子的に記憶されたメダル枚数(クレジット枚数)などを表示するようになっている。投入口10は、円盤形状のメダルを1枚ずつ投入可能なように形成されている。また、メダル投入口10に至るメダル案内溝は、投入口に向かって昇り傾斜となるように、また、後方に向かって外側に斜めに設けられている。このメダルの案内方向と直交するように投入口の背板が設定されている。
【0030】
前側操作パネル面PN2上には、リール6a〜6cの回転を開始させるための始動スイッチ11、回転したリール6a〜6cを停止させるために、それぞれに対応して設けられる停止スイッチ12(12a〜12c)が設けられている。
【0031】
前側操作パネル面PN2の周辺には、メダル投入口から投入されたメダルを選別するためのメダル選別装置内に残ったメダルを排出させるための返却ボタン13が設けられており、前扉2の開放側端には、前扉2の施錠状態を切り替えるための錠装置14が設けられている。
【0032】
前扉2の下部(下側前扉2b)には、遊技機Aのモチーフなどに基づいた意匠面を形成する意匠パネル15が取り付けられており、内部に設けられた照明により発光するようになっている。また、意匠パネル15の下部には、賞として、あるいは返却操作により払い出されるメダルを排出するためのメダル払出口16が設けられている。このメダル払出口16は、上辺と比較して下辺が短い逆台形形状に設けられている。そして、メダル払出口16の左右には、下部スピーカー17(左側上部スピーカー17a、右側上部スピーカー17b)が設けられている。前扉2の最下部には、灰皿18及び、メダル払出口16から排出されたメダルを貯留するためのメダル貯留皿19が設けられている。
【0033】
次に、スロットマシンAの遊技時の動作について説明する。遊技時には、遊技者はまず、メダル投入口10から所定枚数のメダルを投入した後、始動スイッチ11を操作する。このとき、遊技機内部で抽選を行うとともに、各リール6a〜6cを回転させる。そして、各リールが一定の速度に達した後、停止スイッチ12a〜12cの操作が有効となり、各操作のタイミングと、遊技機内部の抽選結果に基づいて、対応する各リールが停止する。この時に、有効ライン上に特定の図柄配列が成立していれば、所定枚数のメダルの払出を受けられるようになっている。
【0034】
また、スロットマシンAは、メダル投入口10から投入されたメダルの枚数を、所定枚数、例えば50枚を上限として、遊技機内部の記憶部に電子的に記憶し、表示器9にてこの枚数を表示する機能(以下、クレジット機能と称する)を備えている。そして、電子的に記憶された状態において、賭け数設定スイッチを押下する事により、所定枚数ずつ上記記憶部から減算し、同時に次回遊技の賭け数として設定して遊技に供することが可能になっている。
【0035】
クレジット機能を利用して遊技を行う遊技者は、予め所定枚数、例えば50枚のメダルを遊技機に投入した後、上記の記憶部に電子的に記憶した枚数が0枚になるまでは、(1)賭け数設定スイッチ8の操作、(2)始動スイッチ11の操作、(3)停止スイッチ12の操作の(1)〜(3)の動作を繰り返すことにより、新たにメダルを投入する事無く遊技を行う事が可能である。一方、1遊技に供するメダルをその都度投入する事によって、クレジット機能を利用せずに遊技を行うことも可能である。投入枚数が1遊技に供することができる最大枚数以下の場合、投入と同時に賭け枚数として自動的に遊技に供されるため、この場合は、賭け数設定スイッチの操作をする必要がない。
【0036】
特に、クレジット機能を利用して遊技を行う遊技者にとっては、初めに所定枚数メダルを投入する際、所望の枚数を投入完了したか、あるいは、記憶した枚数がまだ残っているかの情報を知る事が重要になる。従って、メダル投入口10からメダルを投入している状態、及び、上記した(1)〜(3)の動作を繰り返している状態にて、表示器9が容易に視認できる事が必要である。遊技者は、スロットマシンAの前方に着座して各操作スイッチを操作する事から、操作する遊技者の手等は、概ね前後方向に移動する事になる。
【0037】
この観点から、この手等の前後移動によって、表示器9が隠蔽される事が無いよう、表示器9と、メダル投入口10及び賭け数設定スイッチ8とは、左右方向に位相を異ならせて配置されている。また、遊技中は、遊技者はリール6a〜6cを注視した状態で一般的に遊技を行うことから、この状態で容易に視認できるよう、表示器9は、窓部7の前面に位置する上側操作パネル面PN1のほぼ中央に設けられている。
【0038】
また、正面パネル面DPに対して、上側操作パネル面PN1は、180度以下の所定の角度、例えば90〜120度程度の角度を有して設けられている。これは、賭け数設定スイッチ8が上下移動型の押しボタンの形状であり、前側パネル面に設けられる始動スイッチが引き下げ型のレバー構造である事に起因している。始動スイッチの操作と同方向の押し操作で賭け数設定スイッチ8を操作可能とすることで、操作を容易とする目的で、上側パネル面は遊技者に対してほぼ水平面で形成されている。これに対し、正面パネル面DPは、遊技者が正面に着座した場合に、リールを少し見下ろす楽な姿勢で遊技できるよう、所定角度、例えば30度程度筐体側に傾けて設置されている。この為、正面パネルDPと上側操作パネル面PN1は上記の角度に設定される。
【0039】
図3(a)に、表示器9の拡大図を示す。表示器9は、メダル投入口から投入され、遊技機内の記憶部に電子的に記憶されたメダルの枚数(以下、クレジット枚数と称する)を表示するクレジット表示部9a、遊技中に賞による払出を得たときにその枚数(以下、払出枚数と称する)を表示する払出枚数表示部9bを含んで成る。各表示部には、セグメントSGが配置されており、このセグメントSGは、セグメント構成パターンSG1〜SG7から成っている。このセグメント構成パターンは、発光ダイオード等からなり、これらの点灯と消灯を切り替えることによって表示状態を変化可能に構成されている。また、各表示部は、複数のセグメントSGと、その間に配置されたドットSDから成っている。
【0040】
図3(b)〜図3(d)は、クレジット表示部9aの表示様態の例を示す図である。図中、黒く示しているセグメントSGが発光しているセグメントである。以降、発光しているセグメントを黒色で図示するものとする。図3(b)はクレジット枚数が50であることを示す表示である。図3(c)は設定値が6であることを示す表示である。図3(d)は、セレクターのメダル詰まりを示すエラー表示「CJ」を示す表示である。設定値の表示とエラー表示については後述する。
【0041】
図4は、スロットマシンAの内部を正面から見た図である。筐体1は、左側に設けられた軸20a、20bの部分で前扉2に設けられた軸受け(図示せず)と嵌合するようになっており、このため、前扉2は筐体左側を回動軸として筐体1に対して開閉可能になっている。特に、軸20aの一部には、羽根21が設けられており、軸20aは、筐体に対して回動自在に取り付けられている事から、軸20aは前扉2の回動と共に筐体1に対して回動するようになっている。また、この軸20aは、周辺に設けられた部材とともに、前扉2が筐体1に対してどの程度開放されているかを検出する開放角度検知機構22を形成している。この開放角度検知機構22の詳細については後記に詳述する。
【0042】
筐体1内の上部奥側には、遊技制御全般を司る主制御基板(図示せず)を収容する主制御基板ケース23が設けられている。主制御基板ケース23は、透明で剛性を有する合成樹脂等で形成されており、筐体1に取り付けられた金具(図示せず)に螺着することによって付設されている。主制御基板ケース23の一部には、ヒンジ24により回動可能に取り付けられた扉部25が形成されており、左側に向かって水平方向に開放されるようになっている。この扉部25によって被覆される主制御基板ケース23の表面部分には、キースイッチ26、設定変更スイッチ27、打ち止め・精算スイッチ28等を操作するための開口部分が設けられている。キースイッチ26は、スロットマシンAのモードとして、設定変更を許可する設定変更モードに切り替える為のスイッチであり、キーシリンダからなっている。設定変更スイッチ27は、設定変更モードにおいて、設定値を上下させるためのスイッチである。
【0043】
これらのスイッチからの信号は主制御基板に入力され、これをうけて確率設定値が変更されるようになっているが、これらのスイッチと主制御基板との間に不正な基板を接続し、設定値を変更される事を防ぐために、これらのスイッチを主制御基板上に設けている。また、主制御基板が筐体の奥側に配置されることによっても、これらのスイッチにアクセスしにくくなり、上記の不正を防止している。また、通常の店員等による設定操作時以外には、上述の扉部25によってこれらのスイッチが被覆されていることによっても、上記の不正を防止している。扉部25は、締め忘れや不正行為の防止の観点から、閉鎖方向に向かってコイルバネ等で付勢されていてもよい。
【0044】
また、扉部25には、扉部25が開かれた事を検知する扉部開放センサ29が設けられており、また、筐体の所定部位には、扉部開放報知器が設けられている。この構成によって、扉部25が開いている時にはその旨を報知して、扉部25の締め忘れや不正行為を認識する事ができるようになっている。
【0045】
主制御基板ケース23の一端側には、ケースの封印を行うための封印部(図示せず)が設けられており、ケースを開放するためにはこの部分を破壊する事が必要になっている。これは、主制御基板上の実装品等を不正に交換する行為を防ぐためのものである。そして、この封印部を覆う封印部カバー30がこの封印部の前面に位置して設けられている。この封印部カバー30は、取付部材(図示せず)を介して上述の主制御基板を固定する金具に対して固定されるものである。この封印部カバー30は、主制御基板を固定する固定部(図示せず)を被覆するとともに、封印部を被覆することで、主制御基板の固定状態を確保している。また、この封印部カバー30の一端は、上述の扉部25と近接するように設けられている。この封印部カバー30の一端と、扉部25との距離は、間隙に針金等の不正な部材を挿入できない程度、例えば2mm以下に設定されている。この事により、扉の隙間から部材を進入させることによって扉部25を開けようとする不正行為を防止することができる。また、封印部カバー30は、取付部材と複数箇所で螺着される。この螺着は、主制御基板上の実装部品へのノイズを防止するため、樹脂等の非磁性体の螺子にて行われる。この為、螺着部分には、螺着作業の際の螺子の落下を防ぐ為の螺子受けが形成されている。この螺子受けは、直径15〜20mm程度に形成されており、指を掛ける事ができるようになっている。この事により、作業時には、この部分に指を掛けつつ設定変更スイッチ27を押す事ができ、利便性の向上に寄与している。
【0046】
また、主制御基板ケース23には、主制御基板を筐体内の他の機構と接続するための接続端子が設けられており、この接続端子から接続線を出すためのコネクタ開口31(31a〜31c)が設けられている。コネクタ開口31aは、主制御基板と、後述する扉中継基板を接続するための開口である。コネクタ開口31bは、主制御基板に電源を供給するために、後述する電源ボックスと接続するための開口である。コネクタ開口31cは、主制御基板から後述するリール駆動部に向けて、リール駆動信号を送るための接続線を接続するための開口である。扉中継基板からの接続線を接続するためのコネクタ開口31aは、この信号線から操作手段(始動スイッチ、停止スイッチ、メダル検知センサ等)の信号が送信されるため、不正行為を防止する観点から、開放側から最も遠い部分、つまり、主基板上で最もヒンジに近い側に設けられている。
【0047】
筐体内部左側側面には、主制御基板からの信号を受けて、演出表示装置3や、スピーカー4を駆動して、各種演出を行う副制御基板を収容する副制御基板ケース32が取り付けられている。また、筐体内中央部には、前述した如く、図柄を表面に配したリール6a〜6cを有するリールブロック(リールユニット)33が取り付けられている。そして、このリールブロック(リールユニット)33の内部には、リール6a〜6cのそれぞれに対応してステッピングモータが取り付けられている。そして、主制御基板からの信号を受けて、これらのステッピングモータの回転により、リールが回転されるようになっている。
【0048】
筐体内下部左側には、筐体の各部機構に電源を供給するための電源ボックス34が配置されている。そして、その一部には、蓋部35が設けられており、この蓋部35の内部に、電源のON・OFF操作を行うための電源スイッチ(図示せず)が収容されている。筐体内下部中央部には、遊技者がメダル投入口10から投入したメダルを、前扉2側に設けられたメダル選別装置(図示せず)を介して貯留するメダル貯留装置36と、この貯留装置36に貯留されたメダルを、メダル貯留皿19に払い出すためのメダル払出装置37が設けられている。そして、筐体下部右側には、メダル貯留装置が満杯になった際に、収容出来なくなったメダルを貯留する補助メダル貯留容器38が設置されている。また、筐体1の開放側には、前扉2が筐体1に対して開放されている事を検知する前扉開放センサSWも設けられている。
【0049】
図5は前扉2を裏面側(筐体3側)から見た図である。上部には、演出表示装置3を駆動するための液晶ドライバ基板を収容した液晶ドライバ基板ケース39が設けられており、前述の副制御基板からの信号をうけて演出表示装置を駆動するようになっている。そして、その所定部位には、液晶ドライバ基板および演出表示装置で発生した熱を放熱するための放熱口40が設けられており、この内部に放熱を行うためのファンが取り付けられている。この放熱口40から放出された熱は、図1で示した放熱口h1を通して機外に排出される。そして、窓部7からは、上側操作パネル面PN1上に配置された表示器9が視認できるようになっている。窓部7の下部には、扉中継基板41が配置されている。この扉中継基板41は、賭け数設定スイッチ8や、停止スイッチ12、表示器9等と、主制御基板との信号のやりとりを接続端子部42を通じて行うようになっている。スロットマシンAでは、遊技者が操作する賭け数設定スイッチなどの操作スイッチ及び、主制御基板からの情報を表示する表示器9を、上側操作パネル面PN1及び前側操作パネル面PN2に集約して配置したため、扉中継基板41への配線が短くなり、容易となる利点も有している。また、下部には、払出装置37から放出されるメダルをメダル貯留皿に導くための放出通路43も設けられている。また、図示していないが、メダル投入口10から投入されたメダルの真偽を判別し、選別するためのメダル選別装置も前扉2に付設されている。
【0050】
上側前扉2aのヒンジ部分には、次記する開放角度検知機構22(22a)が設けられている。図示していないが、下側前扉2bのヒンジ部分にも、上側前扉2aのヒンジ部分と同様に、開放角度検知機構22(22b)が設けられている。
【0051】
開放角度検知機構22の構成について説明する。図6(a)は、筐体1に前扉2を取り付けた状態で軸20aの部分を水平方向に切断した断面図である。前扉2の一部2’には、軸20aと羽根21が嵌合する嵌合部が設けられている。図6(b)は、筐体前面側から開放角度検知機構の部分を透視した図である。軸20aの下部には、通常は軸20aの支持金具に隠れて見えないが、第1ギア部44が設けられており、軸20aと一部材として構成されている。そして、筐体側に、支軸45を介して第2ギア部46が設けられている。この第1ギア部44と第2ギア部46からなる第1リンク部によって、前扉2の開放による水平方向の回転が垂直方向の回転に変換される。
【0052】
図6(c)に示されるように、第2ギア部46には、隣接して第3ギア部47が設けられている。図6(c)は、図6(b)の機構をZの方向から見た図である。第2ギア部46と第3ギア部47は一部材として構成され、第2ギア部46の回転によって第3ギア部47が回転するようになっている。第3ギア部47は、ラック48と係合するように設けられており、ラック48は、軌道48’の上を移動可能になっている。この第3ギア部47とラック48とによってなる第2リンク部によって垂直方向の回転が上下方向の移動に変換される。
【0053】
上記の第1リンク部と第2リンク部の構成により、前扉2の開放による水平方向の回転が、上下方向の移動動作に変換される。つまり、前扉2を閉鎖状態から順次開放状態に近づけた場合、軸20a及び第1ギア部44はPの方向に回転する。この回転は、第1リンク部の働きにより、第2ギア部46のQの方向の回転として伝達される。そして、第2ギア部46の回転とともに第3ギア部もQの方向に回転する。この回転は、第2リンク部の働きにより、ラック48のR方向の移動として伝達される。
【0054】
そして、ラック48の軌道上には、バネ49等の付勢手段により付勢された係合爪50が設けられており、係合爪50がラック48に接した状態になっている。そして、ラック48には、前扉2を小さく開けて腕あるいは手を内部に差し入れて作業する第1開放角度の状態で係合爪50に接する位置に第1切り欠き部51aが設けられており、第1開放角度の状態となった場合にこの51aの部分に係合爪50が嵌り込んでラック48の移動が仮固定されるようになっている。この仮固定により、軸20aの回転が固定され、前扉が第1開放角度で仮固定される。この仮固定は、更に扉を開放方向に移動させることで解除される。
【0055】
また、前扉2を大きく開けて前扉2と筐体1の間に立って作業する第2開放角度の状態で係合爪50に接する位置に第2切り欠き部51bが設けられており、この第2開放角度の状態となった場合にこの51bの部分に係合爪50が嵌り込んでラック48の移動が仮固定されるようになっている。この仮固定により、上記と同様に前扉が第2開放角度で仮固定される。このバネ49等の付勢手段と、係合爪50、及び切り欠き部51(51a、51b)は、前扉2の開放方向への移動を所定箇所で規制する開放規制手段として働くものである。この開放規制手段の働きにより、作業中に前扉2を仮固定することにより、前扉2を腕等で支持する必要がなくなり、作業効率が向上する。
【0056】
更に、図6(c)に示すように、軌道48’上には、投光部52aと受光部52bからなる第1開放角度センサ52、更に、同じく投光部53aと受光部53bからなる第2開放角度センサ53が設けられている。これらのセンサは、ラック48が所定位置まで移動した場合に、点線で示したように投光部からの光がラック48の一側に反射することにより、受光部に入ってオン状態となるものである。第1開放角度センサ52は、前記第1開放角度の状態になった場合に、ラック48の一端に投光部52aからの光が52bに入ることによりオンとなる。この構成により、第1開放角度に達した事を感知することが可能である。同様に、第2開放角度センサ53は、第2開放角度に達したことを感知している。これら第1開放角度センサ52、第2開放角度センサ53は、前扉2の開放角度を検出する開放角度検出手段として働くものである。
【0057】
なお、上記した第1開放角度としては、作業者が余裕を持って腕を挿入できる程度、つまり筐体1と前扉2の間に15cm程度の間隙がある角度とする事が好ましい。スロットマシンの横幅は45cm程度となっている為、実際の角度としては20〜30度程度とする事が好ましい。一方、第2開放角度としては、作業者の肩幅が余裕を持って入る程度、つまり、筐体1と前扉2の間に50cm程度の間隙がある角度とする事が好ましい。実際の角度としては、60〜100度程度とする事が好ましい。
【0058】
下側前扉2bに設けられる開放角度検知機構22bは、前記第1開放角度センサ52に相当する下側第1開放角度センサ502、前記第2開放角度センサ53に相当する下側第2開放角度センサ503により、開放角度を検出している。上側前扉2aに設けられる開放角度検知機構22aは、前記第2開放角度センサ53に相当する構成を有しておらず、前記第1開放角度センサ52に相当する上側第1開放角度センサ602のみを有してなる。
【0059】
上述の下側第1開放角度センサ502、下側第2開放角度センサ503、上側第1開放角度センサ602からの検知信号は全て主制御部101に入力されるようになっている。
【0060】
図7は、スロットマシンAの電気的なブロック構成を示した図である。スロットマシンAの制御部100は、主制御部101、第1副制御部102、第2副制御部103を含んでなる。主制御部101は、遊技機の遊技動作全般を司る役割をはたすものである。第1副制御部102は演出表示装置等を駆動することにより、遊技中に演出表示を表示するためのものである。第2副制御部103は、上下のスピーカーや、演出ランプを駆動することにより、演出表示装置等における演出と協動して、演出効果を創出するものである。
【0061】
主制御部101は、主制御部の動作全般を司る中央演算処理装置(以下、CPU)105、プログラム等を記憶したリードオンリメモリ(以下、ROM)106、読み出した情報や、状態等を一時的に記憶しておくためのランダムアクセスメモリ(以下、RAM)107を有してなる。CPU105は、後述する確率設定値の変更を行う設定値変更実行手段108、設定値等を表示する様態を変更するための変更制御を行う表示態様変更手段109として働くものである。また、CPU105は、乱数値(0〜65535)を発生可能な乱数発生装置を備えてなり、この乱数により遊技中に抽選を行う抽選手段110としても働くものである。
【0062】
主制御部101のROM106は、上記したCPU105による抽選に用いるために、乱数値と当否結果とを対応付けた抽選テーブルを記憶する抽選テーブル記憶部111を備えている。この抽選テーブル記憶部には、乱数値は同じであるが、当否結果の異なる複数のテーブルを備えてなり、これを確率設定値として記憶している。本実施例では、該抽選テーブル記憶部111には、6通りの抽選テーブルが記憶されており、これを設定値として切り替え可能になっている。この抽選テーブルについては後記する。
【0063】
また、ROM106には、他に、上記の設定値を切り替えるための設定値変更プログラム112、設定値等の表示態様を制御するための表示態様決定プログラム113、遊技機の各所で起こった異常を表示するための異常情報表示プログラム114等を備えている。更に、図示はしていないが、リールの停止位置を決定するための停止データテーブルも備えている。
【0064】
主制御部のRAM107には、変更途中で確定を行う前の設定値を一時的に記憶するための設定値一時記憶部115、設定値等の表示態様の状態フラグ等を一時的に記憶するための表示態様一時記憶部116、投入されたメダル数を電子的に記憶するクレジット枚数記憶部117等を備えている。
【0065】
主制御部101には、インターフェイス118を介して操作部119からの信号が入力されるようになっている。操作部119は、遊技中に遊技者によって操作される部分であり、この部分からの信号は、図5で示す前扉側に設けられた扉中継基板41に集合させられたのち、接続端子部42を介して主制御部101に向かって送られる。操作部119には、前述の停止スイッチ12a〜12c、賭け数設定スイッチ8、始動スイッチ11が含まれる。また、メダル投入口10から投入されたメダルを検知し、選別するメダル選別装置(図示せず)内に設置されるメダル検出センサ120からの信号も、同様に、主制御部101に対して入力され、この信号により、クレジット枚数記憶部117の記憶枚数を更新するようになっている。また、始動スイッチ11は、後述する設定値変更時において、設定値を確定する確定操作手段としても用いられる。
【0066】
また、主制御部101には、インターフェイス118を介して、主基板上に設けられるキースイッチ26、設定変更スイッチ27からなる設定変更部121からの信号が入力されるようになっている。主制御部では、これらからの信号を受けて、設定値の変更を行うようになっている。また、前扉開放センサSW、第1開放角度検出センサ52(下側第1開放角度センサ502、上側第1開放角度センサ602)、第2開放角度検出センサ53(下側第2開放角度センサ503)からなる前扉開放検知部122からの信号も、インターフェイス118を介して主制御部101に入力されるようになっている。
【0067】
更に、主基板上に設けられる打ち止め選択スイッチ28a、精算選択スイッチ28b、扉部開放センサ29からの信号もインターフェイス118を介して入力されるようになっている。
【0068】
また、主制御部101は、ドライバ回路123を介して表示器9、リール駆動部124、払出装置37、扉部開放報知器125、異常報知ランプ126等を駆動するようになっている。前述したように、表示器9には、遊技中にはクレジット枚数が表示されるが、設定変更モードでは設定値が表示されるようになっている。また、この表示器9には、遊技機の各部で起こった異常の情報がエラーとしてコード表示されるようになっており、異常が起こった際には、前記クレジット枚数や設定値の表示に優先してエラーコードの表示が行われるように、主制御部によって制御されている。表示装置9への駆動信号は、図5に示す接続端子部42から扉中継基板41を介して伝達される。
【0069】
リール駆動部124は、リール6a〜6cにそれぞれ対応して設けられる左リール駆動部124a、中リール駆動部124b、右リール駆動部124cを含んでなる。各リール駆動部124a〜124cは、ステッピングモータをそれぞれ有してなり、始動スイッチの操作に応じてリールを回転させ、停止スイッチの操作に応じてリール上の所定の図柄を窓部7に表示した状態で停止するように、このステッピングモータを駆動するようになっている。扉部開放報知器125は、主基板23に設けられた扉部25が開いている事を報知するためのものであって、LED等からなる。この扉部開放報知器125により、扉部25の締め忘れ等を防止できる。異常報知ランプ126は、LED等からなり、遊技機内で起こった制御上の異常あるいは遊技状態の異常を報知するためのものである。
【0070】
第1副制御部102は、中継基板104を介して主制御部101に接続されており、主制御部101からの信号をうけて、演出表示装置3等の制御を行う部分である。第1副制御部102は、第1副制御部102全体の動作を制御するCPU127、演出データ等を記憶したROM128、実行中の演出の状態を一時的に記憶するRAM129等を含んでなる。この第1副制御部102には、ドライバ回路130を介して演出表示装置3が接続されており、演出表示装置3は、第1副制御部102からの駆動信号をうけて、液晶に表示するフレームを順次読み出すように制御される。この制御により、主制御部の抽選結果に関連した演出表示を行うようになっている。
【0071】
第2副制御部103は、中継基板104、第1副制御部102を介して主制御部101に接続されており、主制御部101からの信号を受けて、スピーカーやランプ等の制御を行う機能を有している。第2副制御部103は、第2副制御部103全体の動作を制御するCPU131、演出データ等を記憶したROM132、実行中の演出の状態を一時的に記憶するRAM133等を含んでなる。この第2副制御部103には、ドライバ回路134を介して上部スピーカー4、下部スピーカー17、演出ランプ135等が接続されており、第2副制御部103は、これらを駆動して演出を行う。
【0072】
次に、スロットマシンの遊技時の動作について以下説明する。図8は、通常遊技時の主制御部の制御を示すフローチャートである。
【0073】
まず、遊技が開始されると、ステップS100で賭け数設定処理を行う。賭け数が設定されていない場合は、始動スイッチの操作が有効とならない。賭け数が設定されていない状態から、新たにメダルを投入した場合は、このメダルがメダルセンサ120によって検知され、投入したメダル枚数が3枚まで自動的に賭け数として設定される。また、前回の遊技によって再遊技役が入賞している場合は、賭け数が自動的に設定されているので、賭け数設定処理は行われない。上記以外の場合は、遊技者が賭け数設定スイッチ8を押下する事によって、クレジット枚数記憶部から操作した分のメダル枚数が減算されるとともに、この枚数分が賭け数として設定される。そして、残りのクレジット枚数が表示器9に表示される。同時に、賭け枚数に応じた入賞ラインが有効になり、その旨が有効ライン表示器にて表示される。賭け枚数の変更は、始動スイッチの操作までは可能となっている。
【0074】
そして、ステップS101で始動スイッチ11の操作を待機する。始動スイッチ11が操作された場合は、ステップS102の抽選処理、ステップS103のリール回転処理を行う。ステップS102の抽選処理は、主制御部のCPUが有する乱数発生器によって発生した乱数を始動スイッチ11の操作タイミングで抽出し、主制御部のROMの抽選テーブル記憶部111に記憶されている抽選テーブルに基づいて当否を判定する処理である。この抽選テーブルとしてどの抽選テーブルを用いるかは、設定値一時記憶部115の値によって異なるようになっている。この抽選テーブルに基づいて決定される抽選結果としては、所定枚数のメダルを払い出す小役、新たな遊技媒体の投入を行わずに次ゲームを実行可能となる再遊技役、次ゲームから所定ゲーム数小役の当選確率を上昇させるボーナスゲームを開始するボーナス役、及びはずれが含まれる。そして、それぞれの役に応じて、有効ライン上に整列させる図柄組み合わせが定められている。なお、以下の記述では、抽選によりそれぞれの役が決定されることを「当選」、定められた有効ライン上に役に応じた図柄組み合わせが整列することを「入賞」と呼ぶことにする。
【0075】
ステップS103のリール回転処理は、リール駆動部124に駆動信号を送信することにより、各リール6a〜6cを回転させる処理である。このリール回転処理により、リールの回転速度が一定となった後に、停止スイッチ操作が有効となる。
【0076】
続いて、ステップS104で停止スイッチ12に操作が行われたかどうかを検出する。そして、操作が行われた場合は、ステップS105で対応するリールを停止する停止制御処理を行う。この停止制御処理は、各リールについて停止操作を行った位置である停止操作位置と、前述の抽選処理にて決定された結果に基づいて、ROM106内に記憶されたリール停止テーブルを参照し、該当位置(以下、リール停止位置)でリールの回転を停止させる事により行われる。このリール停止位置は、停止操作位置からみて、図柄の駒数で所定の駒数、この場合は4駒以内で停止するように決定される。そして、停止操作位置から4駒以内に抽選結果に対応する図柄が有る場合は、この図柄を有効ライン上に整列させるようになっている。この停止制御処理では、有効ライン上に整列させる役の優先順位は、再遊技、ボーナス、小役の順番で行われる。再遊技役が当選している場合は、再遊技役が必ず有効ライン上に整列するように制御される。抽選による重複当選、または後述するボーナスの持ち越しによって、ボーナスフラグの成立と小役の当選が同時に起こった場合は、ボーナスを優先的に整列させるように制御される。但し、4駒以内で停止可能な場合に限られる。
【0077】
次に、ステップS106で全てのリール6a〜6cが停止したかどうかを判定する。NOの場合、ステップS104に戻り、停止制御処理を行う。全てのリールが停止している場合は、ステップS107で、有効ライン上に当選した図柄が入賞しているかどうかを判定する。YESの場合、ステップS108で成立役を判定し、成立役が小役の場合、払出装置37を駆動して所定枚数のメダルを払い出す。一方、成立役が再遊技役の場合は、今回ゲームで設定されていた賭け数を、次回ゲームの賭け数として自動的に再設定する自動賭け数設定処理がステップS112で行われる。この場合は、クレジットからの枚数減算は行われないため、新たな遊技媒体の投入(クレジットの消費も含む)を行うことなしに、次ゲームを行う事が可能になる。そして、この場合は、自動的に次ゲームの賭け数設定処理が行われるため、次ゲームにおいては賭け数設定処理は行われない。成立役がボーナスの場合、ボーナスゲームモードを設定し、次ゲームからボーナスゲームに移る。
【0078】
ステップS107の判定がNOの場合は、ステップS110において抽選でボーナスが当選している場合、つまり、抽選ではボーナスが当選しているが停止制御の結果有効ライン上に整列しなかった場合を判定し、YESの場合、ステップS111にて持ち越し処理を行う。この持ち越し処理は、主制御部のRAMにボーナスフラグの成立を記憶することによって行われ、ボーナスフラグ成立中のゲームでは、ボーナスが当選してもボーナスフラグの成立数が加算される事は無い。このボーナスフラグの記憶は、ボーナス役が入賞するまで継続される。本実施例では、ボーナスフラグが複数成立する事が無い場合を示しているが、これに限らず、ボーナスフラグの成立状態におけるボーナス当選によって、複数フラグが蓄積される構成とするとともに、ボーナスフラグに対応するボーナス役の入賞を、ゲーム中の所定条件成立、例えば特定の小役の入賞まで前記停止制御により回避する構成としてもよい。
【0079】
ボーナスゲームモードは、ステップS102に用いる抽選テーブルを変化させる事によって、小役に対応する乱数幅を変化させたモードである。この変更により、抽選による小役の当選確率が10倍程度に上昇している。また、このモード中は、ボーナス役の抽選は行われないか、あるいは当選したとしても無効とされる。このボーナスゲームは、上述したように小役が頻繁に当選するため、遊技者にとってはメダルを多量に獲得できる有利な状態である。
【0080】
次に、ボーナスゲーム中の処理について図9を用いて説明する。ステップS113からステップS119までの処理は、図8のステップS100からステップ106までの処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。ステップ119の判定がYESの場合、ステップ120で、抽選に応じた入賞が有効ライン上に成立しているかどうかを判定する。入賞役が無い場合、ステップS113に戻って次ゲームを行う。入賞があった場合は、ステップ121にて成立役を判定し、再遊技の場合は、ステップS122で自動賭け数設定処理を行ってステップS113に戻り、次ゲームを行う。小役の場合、ステップ123で払出装置37を駆動して相当する枚数のメダルの払出を行い、ステップ124でボーナスゲームの終了契機かどうかを判定する。このボーナスゲームの終了契機は、ここでは払出枚数の加算値が一定枚数、例えば345枚に達した事による。このため、小役の成立毎に、主制御部のRAMでは払出枚数をカウントし、一定枚数に達した時点で、上記のボーナスゲームを解除し、通常ゲームに戻るようになっている。ボーナスゲームとしては、例えば払出枚数345枚のBB1、125枚のBB2など、複数を備えている。また、ここでは、ボーナスゲーム終了後直ちに通常ゲームに戻る例を示しているが、ボーナスゲームの終了後、所定ゲーム数のリプレイタイム(以下、RTゲーム)を行った後、通常ゲームに戻る構成としてもよい。また、ボーナスゲームの終了契機を、払出枚数が所定枚数に達した事とする事に代えて、特定小役が所定回数成立した事等、他の条件としてもよい。また、ボーナスの種類は、1種類でも良く、3種以上でもよい。
【0081】
RTゲームは、抽選テーブルの乱数幅を切り替えることによって、抽選によって再遊技が当選する確率が上昇したRTゲームモードを設定したゲームである。再遊技の確率は、通常ゲームでは1/7.3程度に設定されているが、RTゲームにおいては、1/1.3程度に上昇する。この場合、再遊技以外の役、ボーナス、小役の確率は変わらないが、はずれに割り当てられていた乱数域が、再遊技に割り当てられる。また、RTゲームを開始する契機を、ボーナスゲームの終了後とせず、通常ゲーム中に特定の小役が入賞した時としてもよい。このRTゲーム中は、高確率で再遊技が当選するため、メダル消費が少ない状態で、ボーナス当選を期待することができる。
【0082】
また、スロットマシンAは、通常ゲーム中に用いる抽選テーブルとして、6種類の抽選テーブル(設定)を有している。図10に、抽選テーブルの一部を示す。この表では、乱数値の割り当てによる抽選役の確率を模式的に示している。表の縦の列が各設定を表し、横の列が各設定における役の確率を示している。この1〜6で表される設定の値を一般的に設定値と呼ぶ。表に明らかなように、ボーナス(BB1、BB2)の確率は、設定値毎に異なるようになっている。BB1の確率は、設定1では1/596であるのに対し、設定6では1/345と高くなっている。このため、メダルが多量に払い出されるボーナスゲーム状態となる確率が設定値毎に異なっている。また、設定値毎に異なる確率となる、例えば小役2のような小役を、RTゲーム突入役とした場合、RTゲームモードとなる確率が設定値毎に異なる。このため、店舗側では営業上の利益や、遊技台の客付きなどを見て、各台の設定値を設定するようになっている。
【0083】
なお、設定値として、各設定値間でボーナスの当選確率が異なるものを示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各設定値間で遊技媒体の獲得に関し有利状態となる確率が異なるものであれば良い。この有利状態としては、前述するボーナスゲーム状態の他に、RTゲーム等の再遊技高確率状態、当選役あるいは停止操作順序が報知されるATゲーム等が例示できる。また、有利状態としては、複数ゲームに跨るものであってもよいし、1ゲームで終了する有利状態であってもよい。つまり、ボーナスゲーム状態、再遊技高確率状態、ATゲーム等への突入契機となる役、あるいは所定の遊技媒体の払出が行われる役の確率が設定値間で異なるものであれば、本発明の概念に含まれるものである。
【0084】
次に、この設定値の変更操作について説明する。図11は、設定値の変更操作時の主制御部の制御を示すフローチャートである。まず、ステップS200で設定変更モードが設定されているかどうかを確認する。通常モードから設定変更モードへの移行は、主基板上のキースイッチ26を右に回動した状態で、電源を入れ直すことによる。ステップS200では、電源オンとなった状態で、キースイッチが回動されているかどうかを確認して、YESなら設定変更モードに移行する。そして、ステップS201で表示禁止状態が設定されているかどうかを確認する。そして、表示禁止状態が解除されるまでは表示器9に表示を行わずに待機する。そして、表示禁止状態が解除されている場合は、ステップS202で表示モードを読み込んで、ステップS203で設定値の表示処理を行う。各設定値1〜6の通常表示状態の表示態様は、図12に示されるような態様で表示器9に表示される。
【0085】
そして、ステップS204で設定変更スイッチ27が操作された場合、ステップS205で現在の設定値が6の場合は、ステップ206で設定値を1に変更する。そして、6以外の場合には、ステップS207で設定値の値に+1する。例えば、設定値が4の場合は設定値5に変更する。そして、ステップS208で表示器9に表示している設定値の表示を変更後の値に更新する。つまり、主制御部101では、図12の設定値1〜6の表示を、セグメントの点灯・消灯の制御により順次切り替え表示する事になる。これらの変更は、ROM106の設定値変更プログラムにより行われる。ステップ204〜ステップS208の処理は、設定変更スイッチ27が操作されるたびに行われる。そして、ステップS209にて始動スイッチ11が操作されると、変更後の設定値を確定し、RAM107の設定値一時記憶部115に設定値を記憶する処理が行われる。前記した設定変更スイッチ27の操作は、始動スイッチ11が操作されるまでは有効に受け付けられる。そして、この後、キースイッチ26が左に回動されて元の位置に戻される事に応じて通常モードに復帰する。これらの設定値の表示は、表示器9が上下逆に視認されている状態においては、確認が困難になる。特に、設定変更スイッチ27を操作して連続的に設定値を変化させている状況下では更に困難である。従って、本発明では後述するような逆転表示制御を行う。
【0086】
続いて、設定値を表示器9に表示するにあたって主制御部で行われる表示モードの設定について、以下説明する。
【0087】
図13は、主制御部において、ROM113の表示態様決定プログラムと、RAM116の表示態様一時記憶部を用いて行われる、表示器9への表示態様に関するフラグ処理を示したフローチャートである。
【0088】
まず、ステップS700にて、上側前扉2aあるいは下側前扉2bが開放されているかどうかを確認する。上側前扉2a及び下側前扉2bには、それぞれ開放を検出するセンサが設けられており、これらの信号によりこの判定が行われる。そして、いずれかが開放されている場合は、ステップS701にて表示許可フラグF0の値として0を設定する。そして、続いてステップS702にて上側第1開放角度センサ602がオンとなっているかどうかを確認する。そして、この判定がNOの場合計時を開始し、ステップS703にうつり、F0=0の状態で所定時間経過したかどうかを判定する。そして、F0=0の状態で所定時間経過した場合、ステップS704にて異常報知処理を行う。これは、扉を僅かに開けて行う不正行為が行われている可能性が大きいからである。そして、YESの場合、ステップS705にうつり、下側第1開放角度センサ502が一度オンとなったかどうかを確認する。そして、NOの場合上記と同様に計時を開始し、ステップS703の判定処理を行う。これは、設定値変更を行う場合、電源を一旦操作する必要があることから、電源を収容した下側前扉2bを一端操作可能な角度まで開く事が必要な為である。そして、この一端開く操作が無かったと判断した場合、不正行為が行われている可能性が大きいことから、異常報知を行う。このステップS705の判定処理は、下側第1開放角度センサ502がオンの状態が所定時間(例えば1秒以上)続いた事を判定する事をも含むものである。この判定により、ノイズなどの瞬間的な立ち上がりによる後検出を防止できる。
【0089】
表示許可フラグF0は、値が0の時には設定値の表示を不許可とし、値が1の時には設定値表示許可とするものである。異常報知処理は異常報知ランプ126、上部スピーカー4、下部スピーカー17等により行われる。
【0090】
そして、ステップS705の判定がYESの場合、ステップS706にて表示許可フラグF0=1を設定すると同時に、ステップS707にて表示逆転フラグF1の値として0を設定する。そして、ステップS708にて下側第2開放角度センサがオンとなったかどうかを確認する。この処理は、表示器9が配置されている下側前扉2bの開放角度が前記第2開放角度以上になったことを検出する為の処理である。そしてオンとなった場合には、ステップS709にて表示逆転フラグF1=1を設定する。
【0091】
表示逆転フラグF1は、表示器9の表示モードとして逆転表示モードを設定するためのものであり、値が0の時には通常表示モードを、1の時には逆転表示モードを設定するものである。
【0092】
図14は、主制御部において、ROM113の表示態様決定プログラムと、RAM116の表示態様一時記憶部を用いて、前述のフラグ処理を受けて行われる表示モード設定処理を示したものである。
【0093】
まず、ステップS400では、表示許可フラグF0の状態を確認し、0の場合はステップS401にて表示禁止状態を設定する。この表示禁止状態では、表示器9への設定値の表示は行われない。従って、前扉2を僅かに開放し、設定変更スイッチ等を操作して設定値を不正に変えようとする行為が行われた場合には、現在の設定値を視認できないため、所望の設定値に変えることができず、これらの行為を防止することができる。そして、F0の値が1の場合、ステップS400の判断はNOになり、続いてステップS402にて表示逆転フラグF1の状態を確認する。そして、F1の値が0の時にはステップS403で通常表示モードが設定され、図12に示した通常の状態の設定値表示が行われる。F1の値が1の場合、ステップ402の判断はNOとなり、ステップS404で逆転表示モードが設定される。これらの処理によって設定された表示モードを、図11のステップS202で読み込むことにより、表示モードに従った設定値の表示が行われる。
【0094】
図15に、逆転表示モードで表示器9に表示される設定値表示を示す。図示するように、図12の表示様態と同一の意味を有するが、上下逆の様態で、設定値1〜6を表示するようになっている。この状態で設定値6の表示を見ると、図16のようになり、設定値が6であることが容易に確認できる。このため、前扉2を大きく開放して、筐体内で設定変更スイッチを操作している場合においても、表示器9の設定値を順次変更する変更表示が容易に確認できるため、その度に前扉前面から見て確認する必要がなくなり、作業性が向上する。
【0095】
上側前扉2aと下側前扉2bとを分離した態様において特徴となる点は、下側前扉2bについて、一旦内部の操作が可能な開放角度まで開放したことを検知して、表示許可状態とする点である。この制御によって、一旦電源を操作した後は、下側前扉2bを閉じた状態、また、僅かに開いた状態で、上側前扉2aを開放して設定変更作業及び異常状態解除作業を行う事ができる。この為、表示器9を通常の態様で視認したまま作業を行う事が可能となる。また、下側前扉2bをも大きく開放した状態で作業をする場合であっても、表示器9への表示態様を上下逆転態様として導出するため、表示内容を容易に確認することができ、作業効率が向上する。
【0096】
また、スロットマシンAは、遊技中、あるいはメンテナンス作業中などに起こった遊技機の異常について、表示器9にコード表示として表示する機能を備えている。図17に、表示器9に表示される異常情報の種類とコード、その表示器9への表示状態を示している。スロットマシンAは、主制御部101のCPUの割込単位で、各所の状態を監視しており、以下に記載する異常を検出する機能を備えている。これらのコード情報の表示は、主制御部のROM106に設けられた異常情報表示プログラム114によって為される。
【0097】
コード「CJ」は、メダルがメダル選別装置内で詰まった「セレクタメダル詰まり」を示すものであり、メダル選別装置のメダル検出センサ部にメダルが所定時間以上滞留している事により判定される。コード「Cr」は、メダル投入時にメダル検出センサによりメダルの通過状態が異常である事が判定される「投入時のメダル通過異常」によるものであり、原因としては不正行為、あるいはメダル検出センサの故障が考えられる。コード「CC」は、メダル投入不可時にメダル検出センサによりメダルの通過状態が異常であることが判定される「投入不可時のメダル通過異常」によるものであり、原因としては不正行為、あるいはメダル検出センサの故障が考えられる。
【0098】
コード「HE」は、払出装置37によって払い出されるメダルが不足している「メダル不足」を示すものであり、メダル貯留装置36内のメダルが欠乏していることによる。コード「HJ」は、払出装置37の払出口でメダルが詰まる「払出装置メダル詰まり」を示すものである。コード「HC」は、払出装置の払出口に、メダルが所定数払い出されたことを確認するために設けられる払出センサの状態が異常となった「払出センサ異常」を示すものであり、所定時間幅未満の払出センサ信号の検出を所定回数検出したときに判定される。原因としていは、不正行為あるいは払出センサの故障が考えられる。コード「HA」は、払出装置37の状態が異常である「払出装置異常」を示すものであり、メダル払出装置駆動電源がOFFとなっている場合にメダルが払い出された事で判定される。原因としては、不正行為、あるいは払出センサの故障が考えられる。
【0099】
コード「FL」は、補助メダル貯留容器38が満杯となった「補助メダル貯留容器満杯」を示すものである。コード「AE」は、「プログラムの異常」を示すものであり、抽選結果と異なる図柄の組み合わせが有効ラインに停止したとき、始動スイッチの操作受付時に投入された枚数が異常(例えば3枚の賭け枚数を受け付ける機種において4枚となったとき)、電源投入時に設定値が異常となった場合などに判定される。これらの原因としては、各部分の故障あるいは不正行為などが考えられる。異常情報は、図17に表示態様として示したように、表示器9に表示される。この表示は、遊技中のクレジット枚数を表示している場合においても、設定変更中に設定値を表示している場合においても、これらに優先して表示が行われる。また、これらの異常の場合には、異常表示とともに直ちに遊技機のプログラム進行を停止するか、現在進行中のゲームの終了後、遊技機のプログラム進行を停止する。
【0100】
各種コードで示される異常のうち、コード「AE」以外の異常については、異常の原因を解消した後、錠装置14を鍵により左に回動させるか、あるいは設定変更スイッチ27を操作することにより、通常状態に復帰する事ができる。コード「AE」については、設定変更スイッチ27を操作した状態で電源をOFF−ON操作するか、あるいは、一端設定変更モードにモード変更し、設定確定操作を再び行うことによって復帰することができる。これらの異常の多くを解除するためには、前扉2を開いた状態で、筐体1内部への操作が必要となる。また、これらの異常は単独で発生するとは限らないことから、通常状態に復帰させる作業状態中にも、表示器9を視認しつつ、各異常状態が解消されたかどうかを確認する必要がある。つまり、図5(b)の状態で表示器9を視認しつつ作業を行う事になる。
【0101】
上述の観点から、スロットマシンAにおいては、これらの異常情報をコード表示する場合においても、前記した設定値表示における制御と同様の制御を行うことによって、表示器9に表示するコード情報を上下逆転表示態様とする。逆転表示モードにおける上記異常情報のコード表示を、図18に示す。各表示態様の示す意味は図17と同様であるが、態様が異なり、180度回転すると図17の表示態様とほぼ同様になる。
【0102】
また、上記の設定値及び異常情報のコード表示においては、図19に示すように、ドットSDの点灯により、通常表示を行っているか、逆転表示を行っているかを区別してもよい。この制御により、現在の設定値あるいは現在発生中の異常が明確に認識でき、作業効率がより向上する。上記では、スロットマシン等の遊技機の内部制御状態に関する異常を列挙したが、遊技機毎に隣接して設けられ、遊技機と電気的に接続される遊技媒体貸出装置(以下、台間機)との接続状態をもコード表示する構成としてもよい。台間機は、スロットマシンと電気的に接続され、貨幣や紙幣、プリペイドカードなどの有価価値を受け付けて、この有価価値に対応する分のメダルの払出を、スロットマシンの払出装置37を通じて行うようになっている。また、台間機とスロットマシンが接続されていない場合には、スロットマシンは遊技の進行が不能となるように制御される。これらの構成によれば、接続不良などによって遊技が進行できない場合に、異常を迅速に特定して解消することができ、営業上有益である。
【0103】
上記した実施形態によれば、遊技中に遊技媒体にかかる表示器を共用して確率設定値の表示、あるいは異常情報の表示を行う。これにより、確率設定値あるいは異常情報の表示の為の専用の表示器を設けることや、複数の表示器を設ける必要が無い。このことにより、遊技機本体のコストダウンを図る事ができるとともに、不正行為を効果的に防止し、なおかつ設定値変更時や、異常解除時の作業効率を向上させることができる。
【0104】
また、上記した実施形態によれば、開放角度の検知を固定された二つの角度を検知する検知手段により行う構成を示しているが、この検知手段の検知角度を複数段階、あるいは連続的な値に調整可能なものとしてもよい。
【0105】
この構成によれば、店舗側において、作業に最適な角度に検知角度を調整することができるため、より作業性の高い遊技機とすることができる。また、検知手段の検知角度だけでなく、前扉を仮固定する角度も同時に調整可能とする事が好ましい。
【0106】
上記した実施形態では第1開放角度検出センサ52と第2開放角度検出センサ53の双方を設置した例を示したが、これに代えて、第1開放角度検出センサ52のみを設置した構成としてもよい。この場合、第1の開放角度までは設定値等の情報を非表示状態とする。この事により、前扉2を僅かにあけて行う不正行為を抑止する事が可能となる。また、この開放角度により設定値表示を非表示とする構成は、設定値表示器と遊技媒体数にかかる表示器を兼用する構成に限らず、設定値表示器として専用のものを設ける場合にも適用でき、同様の効果を奏することができる。
【0107】
また、第2開放角度センサ53のみを設置した構成としてもよい。この場合、第2の開放角度Yを検知して表示器9の態様を変化させるので、作業中に表示器9の状態が確認し易くなり、作業効率が向上する。上記した主制御部の制御は、表示器9の表示状態を制御する表示制御手段として働くものである。また、本発明は、上記したような各構成に限定されず、この表示制御手段による制御方法を適用した場合、上述の如く、作業性を向上させる効果を奏するものである。
【0108】
なお、上記各実施形態においては、開放角度検知機構22を、水平方向の回転をリンク機構によって上下動に変換し、この動きを検出するものとして示したが、本発明はこれに限らず、開放角度が所定位置に達した事を検出可能なものであれば適用可能である。例えば、図20(a)に示すような、ディスク面に設けられたスリットを検出することにより回転角度を検出するものや、図20(b)に示すような、半導体磁気抵抗素子を用いるものであってもよい。
【0109】
図20(a)はディスク面に設けられたスリットにより回転角度を検出する例である。軸20aには筐体の一部(ヒンジ部分)1’の内部に設けられるディスク701が回転軸700を介して接続されており、前扉2の開放とともに、軸20aとディスク701が回転するようになっている。なお、図20(a)の左側の図は、このヒンジ部分を正面から見た図面であり、図20(b)はディスク701の部分の断面図(M−M’断面図)を示している。筐体の一部1’の内部には、センサ配置部702が付きだして設けられており、この部分に投光部52a、受光部52bからなる第1開放角度センサ52、投光部53a、受光部53bからなる第2開放角度センサ53が設置されている。
【0110】
そして、右側の図に示すように、ディスク701には、開放角度がXとなった点から最大開放角度までの間、第1開放角度センサの投光部52aからの光を通過させるためのスリット703と、開放角度がYとなった点から最大開放角度までの間第2開放角度センサの投光部53bからの光を通過させるためのスリット704が設けられている。この構造により、開放角度がXに達した後は第1開放角度センサ52がオンとなり、一方、開放角度がYに達した後は、第2開放角度センサ53がオンとなるようになっている。これらの構成において、各実施形態と同様の制御を行うことにより、同様の効果を得ることができる。
【0111】
図20(b)は、半導体磁気抵抗素子により回転角度を検出する例である。軸20aには筐体の一部(ヒンジ部分)1’の内部に設けられ、磁性体からなるギア705が回転軸706を介して接続されており、前扉2の開放とともに、軸20aとギア705が回転するようになっている。なお、図20(b)の左側の図は、このヒンジ部分を正面から見た図面であり、図20(b)はこのヒンジ部分の内部を下側から見た図(N−N’断面図)である。筐体の一部1’からは磁石707と半導体磁気抵抗素子708からなるセンサ部が設けられており、ギア705との距離の遠近変化により変化する磁界を検出することにより開放角度を検出するようになっている。この磁界の変化回数をカウントすることによって、開放角度がどの程度かを知ることが出来る為、この演算を行うことによって、各実施形態と同様の制御を実現することができる。
【0112】
なお、開放角度の検知に用いるセンサの種類は上記に限定されず、反射型のセンサや導通スイッチ等、開放角度を検知しうるものであれば他の種類のセンサも使用可能である。
【0113】
なお、上記実施形態においては、表示器9のクレジット枚数表示部を、設定値表示部あるいは異常情報表示部として共用する例を示したが、本発明はこれに限らず、遊技機の前面に配置され、遊技中に所定の情報を表示する表示器であれば良く、例えば、表示器9の払出枚数表示部を設定値表示部あるいは異常情報表示部として共用する構成としてもよい。
【0114】
また、上記実施形態においては、表示器9の構成を、複数の7セグメント表示器を有してなる構成として示したが、これに限らず、一個の7セグメントや、7セグメント以外のセグメント表示器を用いても良い。また、液晶やEL等からなる表示器を用いても良い。
【0115】
更に、上記実施形態においては、表示器9の表示態様を、通常の表示状態と、上下逆転の表示状態の二つの状態に切り替える例を示したが、これに限らず、作業時の視認状態によって表示角度を他段階に切り替える構成としてもよい。特に、液晶やEL等、表示態様の微細な変化が可能な表示器を、共通の表示器として用いた場合には、開放角度検知機構の構成を、連続的に開放角度を検知可能な構成とし、前扉2の開放角度の増加と、表示器9の表示の回転角度の増加を連続的に対応させる構成としてもよい。
【0116】
上記の実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した例を示したが、これに限らず、各種作業中に開くことが必要になる扉の前面に位置し、扉と共に回動する表示器を有する遊技機であれば、本発明を適用する事が可能である。スロットマシンであれば、上記実施例で例示したようなメダルを遊技媒体として用いるものに限らず、遊技球を遊技媒体として用いるものであっても適用可能である。
【0117】
なお、上記の各実施形態は、本発明を適用した一例を示したものであり、本発明はこれにより限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能なものである。
【符号の説明】
【0118】
A,A’’ 遊技機(スロットマシン)
1 筐体
2 前扉
2a 上側前扉
2b 下側前扉
6a,6b,6c リール
7 窓部
9 表示器(クレジット枚数表示器、設定値表示器)
22 開放角度検知機構
26 キースイッチ
27 設定変更スイッチ(設定値変更手段)
33 リールブロック(リールユニット)
37 メダル払出装置
52 第1開放角度検出センサ
53 第2開放角度検出センサ
101 主制御部(表示制御手段)
108 CPU(設定値変更実行手段、表示態様変更手段、抽選手段)
109 ROM(記憶媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定数の図柄をもつリール及びメダル払出装置を含む各種機器を収納する筐体と、
前記筐体の前側を覆う前扉と、
前記リールの図柄と対応する役の抽選の当選確率を複数通りの設定値の何れかに変更する設定値変更手段と、
遊技時に遊技進行に関する所定情報を表示し、前記設定値変更手段の操作時に設定値を表示する表示器とを含む遊技機において、
前記前扉を、前記リールを収納する前記筐体の上部側を覆う上側前扉と、前記メダル払出装置を収納する前記筐体の下部側を覆う下側前扉とに分離し、それぞれ別個に前記筐体に対して回動可能に取り付けていると共に、
前記表示器を、前記リールを視認する前記上側前扉に設ける窓部の下方に位置する、前記下側前扉の操作パネル上に設け、かつ、
前記設定値変更手段を、前記筐体の内部における上部であって、前記上側前扉を開放して操作可能な位置に設けていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記表示器は、前記上側前扉及び前記下側前扉を開放した状態で、これら前扉の裏側となる筐体側の面から前記窓部を通して視認可能な位置に設けていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記表示器には、前記上側前扉及び前記下側前扉を開放した状態で前記設定値変更手段を操作する時、所定の開放角度条件下で、上下逆転させた態様で設定値を表示する仕様にしていることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【請求項1】
所定数の図柄をもつリール及びメダル払出装置を含む各種機器を収納する筐体と、
前記筐体の前側を覆う前扉と、
前記リールの図柄と対応する役の抽選の当選確率を複数通りの設定値の何れかに変更する設定値変更手段と、
遊技時に遊技進行に関する所定情報を表示し、前記設定値変更手段の操作時に設定値を表示する表示器とを含む遊技機において、
前記前扉を、前記リールを収納する前記筐体の上部側を覆う上側前扉と、前記メダル払出装置を収納する前記筐体の下部側を覆う下側前扉とに分離し、それぞれ別個に前記筐体に対して回動可能に取り付けていると共に、
前記表示器を、前記リールを視認する前記上側前扉に設ける窓部の下方に位置する、前記下側前扉の操作パネル上に設け、かつ、
前記設定値変更手段を、前記筐体の内部における上部であって、前記上側前扉を開放して操作可能な位置に設けていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記表示器は、前記上側前扉及び前記下側前扉を開放した状態で、これら前扉の裏側となる筐体側の面から前記窓部を通して視認可能な位置に設けていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記表示器には、前記上側前扉及び前記下側前扉を開放した状態で前記設定値変更手段を操作する時、所定の開放角度条件下で、上下逆転させた態様で設定値を表示する仕様にしていることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−205953(P2012−205953A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−170681(P2012−170681)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【分割の表示】特願2007−181508(P2007−181508)の分割
【原出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000169477)高砂電器産業株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【分割の表示】特願2007−181508(P2007−181508)の分割
【原出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000169477)高砂電器産業株式会社 (294)
【Fターム(参考)】
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