説明

遊技機

【課題】遊技機の製造工程における遊技板部材の損傷を抑制することが可能な遊技機を提供すること。
【解決手段】遊技盤30が、光透過性を有する樹脂よりなる遊技板部材301と裏打部材302とを備え、裏打部材302が、遊技板部材301の端面に沿って前方へ延出する延出部(前側周壁部304B)で遊技板部材301の周囲の大部分を保護し、遊技板部材301の前面が、延出部の延出端よりも前方に突出し、遊技盤30取付時に、遊技板部材301の前面と、遊技機本体(内枠12)において遊技板部材に対向する取付面(右前壁12Rおよび左前壁12L)の裏側面とが当接することにより、遊技機本体に対する遊技盤30の前後位置が定められる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の弾球遊技機に代表される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機は、遊技球が流下する遊技領域が前面に形成された遊技盤を備え、この遊技盤の遊技領域に遊技球を導いて遊技を行うことができるようになっているものが一般的である。この遊技盤としては、従来主としてベニヤ板が用いられているが、近年では光透過性の樹脂よりなるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−183313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊技機の製造工程においては、遊技盤における板状の基体部を構成する遊技板部材が、取扱いや立て置きの際に、外部のなんらかの対象にぶつかったり接触したりして外力を受けると、端面に傷がついたり、さらにはひび割れたりすることがあり、光透過性の樹脂よりなる遊技盤の場合には特にこの傷やひび割れが光の反射等によって目立ちやすく、これにより意匠性が大きく損なわれる虞がある。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みて案出されたものであり、遊技機の製造工程における遊技板部材の損傷を抑制することが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる遊技機は、上記目的を達成するために、
発射装置を備える遊技機本体と、該遊技機本体に背面側から取り付けられる遊技盤とを備える遊技機であって、
前記遊技盤が、
発射球が導かれる遊技領域が前面に設けられ、光透過性を有する樹脂よりなる遊技板部材と、
前記遊技板部材の裏面の少なくとも一部に固定される裏打部材とを備え、
前記裏打部材が、前記遊技板部材の端面に沿って前方へ延出する延出部を有して該延出部で前記遊技板部材の周囲の少なくとも一部を保護し、
前記遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に、前記遊技板部材の前面と前記遊技機本体の取付面とが当接することにより、前記遊技機本体に対する前記遊技盤の前後位置が定められるようになっていることを特徴とする。
【0007】
上記本発明の構成によれば、遊技板部材の裏面および端面の少なくとも一部が裏打部材により覆われるため、遊技機の製造工程において取扱いや立て置きの際になんらかの外力を受けた場合でも、遊技板部材が裏打部材によりこの外力から防護されて損傷し難くなる。
このとき、仮に、裏打部材における延出部の延出端が遊技機本体に当接することにより遊技機本体に対する遊技盤の前後位置が定められるようになっていると、遊技板部材と裏打部材との組付具合が厳密に一定せずこれらの前後方向における相対位置に少しでもズレが生じると、遊技機本体に対する遊技盤の盤面(前面)の前後位置もそのぶんずれることとなり、その結果、発射された遊技球(発射球)が遊技領域に案内される軌道もこれにともなって多少ともずれることになる。
これに対し、上記本発明の構成によれば、遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に、遊技板部材の前面と遊技機本体の取付面とが当接することにより遊技機本体に対する遊技盤の前後位置が定められる構成となっているので、遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に、裏打部材の延出部の延出端が遊技機本体に届くことがなく、したがって遊技板部材と裏打部材との前後方向における相対位置にズレがあったとしても、遊技盤の盤面がこのズレに影響されることなく遊技機本体に対して正確な前後位置にくることとなり、その結果、発射球が遊技領域に安定して正確な軌道で案内されることとなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上述の通り、遊技機の製造工程における遊技板部材の損傷が抑制され、かつ、遊技機本体に対して遊技盤を正確に位置決めして取り付けることが可能な遊技機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パチンコ機の一例を示す正面図。
【図2】図1のパチンコ機の正面側の斜視図。
【図3】図1のパチンコ機の前面枠の斜視図。
【図4】遊技盤の正面図。
【図5】遊技盤の背面図。
【図6】遊技盤の左側面図。
【図7】遊技盤の右側面図。
【図8】遊技盤の平面図。
【図9】遊技盤の底面図。
【図10】遊技盤の正面側の斜視図。
【図11】遊技盤の背面側の斜視図。
【図12】遊技盤の正面側の分解斜視図。
【図13】遊技盤の背面側の分解斜視図。
【図14】裏打部材の上側片の正面側の斜視図。
【図15】裏打部材の上側片の背面側の斜視図。
【図16】裏打部材の下側片の正面側の斜視図。
【図17】裏打部材の下側片の背面側の斜視図。
【図18】裏打部材の左側片の正面側の斜視図。
【図19】裏打部材の左側片の背面側の斜視図。
【図20】裏打部材の左側片の背面側の一部切欠斜視図。
【図21】裏打部材の右側片の正面側の斜視図。
【図22】裏打部材の右側片の背面側の斜視図。
【図23】図4のA−A部矢視断面図。
【図24】図4のB−B部矢視断面図。
【図25】遊技盤の上に別の遊技盤を積み重ねた状況を示す模式部分断面図。
【図26】遊主表示ユニットの斜視図。
【図27】遊技盤を内枠に取り付けた状態を示す模式部分正面図。
【図28】図27のC−C部矢視断面図。
【図29】図27のD−D部矢視断面図。
【図30】図1のパチンコ機の背面の構成を示す分解斜視図。
【図31】パチンコ機の電気的構成の一例を示すブロック図。
【図32】遊技盤を内枠に取り付けた状態の他の例を示す模式横断面図。
【図33】遊技盤を内枠に取り付けた状態の他の例を示す模式部分正面図。
【図34】レール嵌合部の他の例を示す模式図。
【図35】レール嵌合部の他の例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の最良の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、遊技機としてパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を挙げる。
【0011】
(パチンコ機正面側の構成)
図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の斜視図、図3はパチンコ機10の前面枠の斜視図である。図1および図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11の一側部に開閉可能に支持された内枠12とを備えている。以下に、外枠11と内枠12との構成を個別に説明する。
【0012】
上記外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成されていてもよい。このように構成することにより、パチンコ機の軽量化を図ることができるからである。
【0013】
一方、上記内枠12の開閉軸線はパチンコ機10の正面からみてハンドル(後述する遊技球発射ハンドル18)設置箇所の反対側(図1のパチンコ機10の左側)で上下に延びるように設定されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に十分に開放できるようになっている。このような構成とするのは、内枠12の開閉軸線がハンドル設置箇所側(図1のパチンコ機10の右側)で上下方向にあるとすると、内枠12を開放する際に遊技球発射ハンドル18の頭部等が隣なりのパチンコ機やカードユニット(球貸しユニット)に干渉することになり、内枠12を十分に開放できないからである。また、内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂から成る。こうすることで、粘性が高く衝撃に強くでき、低コストで製造できるという利点が発揮される。
【0014】
また、内枠12は、その最下部に下皿ユニット13を有し、内枠12の左側の上下方向の開閉軸線を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、樹脂ベース25(図 参照)と、この樹脂ベース25の後側に取り付けられる後述の遊技盤30とを備えている。これらの各構成を以下に詳細に説明する。
【0015】
上記下皿ユニット13は、前面枠セット14の一部として前面枠ベース部材に固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と演出ボタン79が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、後述の上皿が満タンになった場合等に排出口16より排出される遊技球を停留する役割がある。上記球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に停留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して遊技者の持球貯留箱(ドル箱)に排出することができる。上記遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出するように配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、発射ソレノイドを備えた遊技球発射装置によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。前面枠セット14の上部には、スピーカからの音を出力するための音出力口24が設けられている。
【0016】
一方、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が前面枠セット14と一体的に設けられている。この上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。また、上皿19の左下方には、装飾図柄表示装置42の背景を変える等の操作を遊技者が行なうための演出ボタン79が設けられている。
【0017】
加えて、前面枠セット14にはその周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり遊技状態時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、大当たり遊技状態時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり遊技状態中であることを報知する構成である。
【0018】
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタンと、返却ボタンと、度数表示部とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタンは、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタンは、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置部から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
【0019】
(特徴構成)
次に、遊技盤30の構成を説明する。図4は遊技盤30の正面図、図5は遊技盤30の背面図、図6は遊技盤30の左側面図、図7は遊技盤30の右側面図、図8は遊技盤30の平面図、図9は遊技盤30の底面図、図10は遊技盤30の正面側の斜視図、図11は遊技盤30の背面側の斜視図、図12は遊技盤30の正面側の分解斜視図、図13は遊技盤30の背面側の分解斜視図である。
【0020】
遊技盤30は、概略縦長の長方形における左上の隅部が概略円弧状に角落ちするとともに、右上および左下の隅部が内側に切欠かれた正面形状ならびに十分な形状保持性を有する程度の肉厚を有する板状部材となっている。遊技盤30の前面(正面)には、発射装置から発射された遊技球すなわち発射球が導かれる遊技領域が設けられている。この遊技領域は、遊技盤30の前面(正面)の中央部を含む大部分を占有するように概略わずかに縦長の楕円形状に形成されている。
【0021】
遊技盤30は、図12および図13に示すように、遊技板部材301と裏打部材302とを有して構成されている。遊技板部材301は、透明のアクリル樹脂を成形してなる板状部材であり、遊技盤30の大部分を構成し、遊技盤30の外形にほぼ対応する外形ならびに遊技盤30の全体よりも若干小さい面積およびやや薄い(本実施例では半分程度の)肉厚を有するものとなっている。遊技板部材301の下端縁の中央部はやや下方に延出して、概略横長の直方体状(角棒状)の下側延出部301Eが形成され、遊技板部材301の左側端縁の中央部はやや左方に延出して、概略台形状の左側延出部301Fが形成されている。また、遊技板部材301において遊技領域よりも外側に位置する周縁部の複数個所には、後述する裏打部材302の位置決めボス306T、306B、306L、306Rにそれぞれ対応する位置決め孔が穿設されている。また、図13に示すように、遊技板部材301の右側端縁部の上端近傍には、背面視略コ字形状であって四隅(外側の2つの出隅部および内側の2つの入隅部)が丸く角落ちした形状に凹入して、後述の主表示ユニット371の背面から突出するコネクタを内部に受容した状態で該主表示ユニット371を取り付けるための主表示ユニット取付切欠301Cが形成されている。
【0022】
裏打部材302は、遊技板部材301の上端縁部、下端縁部、左側端縁部および右側端縁部にそれぞれ対応する上側片302T、下側片302B、左側片302Lおよび右側片302Rの4分割片に分割構成され、これら4分割片302T、302B、302L、302Rが個別に遊技板部材301に組み付けられるとともに互いに連結固定されて全体として枠状に構成されるようになっている。上記4分割片302T、302B、302L、302Rはいずれも、遊技板部材301よりも軟質で有色(黒色)の不透明な樹脂よりなる成形体となっている。
【0023】
上記裏打部材302は、遊技盤30の外周部を構成する枠状の部材であってやや大型のものとなっているが、上述のようにこれを4分割片302T、302B、302L、302Rに分割構成してこれらを全体として枠状に構成することで、大型の金型を使用することなく成形することができるようにしている。
【0024】
上側片302Tは、図14に示すように、仮想上で遊技盤30を上端よりやや下方の高さ位置でほぼ水平面に沿って切断し、その前面から、内奥に奥壁を残しながら部分的に切欠くようにして、遊技板部材301の上端縁部に合致する正面形状および深さを有する凹部を形成し、該凹部の奥壁の内側縁(下側縁)を、遊技領域の上端縁部の外形に合致する弧状とし、全体として概略アーチ状の外形を有するものとした仮想の立体にほぼ等しくなるように成形されている。この構成により、上側片302Tには、遊技板部材301の裏面の上端縁部に対応する奥壁部303Tが形成され、該奥壁部303Tの外側縁から、遊技板部材301の上端縁部の端面に対応する前側周壁部304Tが前方へ延出している。上側片302Tの前面における右上部には、内枠12に対して位置決めするための第1位置決めボス305Tが突設され、奥壁部303Tの上端(中央)近傍および右端近傍には、遊技板部材301に対して位置決めするための第2位置決めボス306Tがそれぞれ突設されている。
【0025】
上側片302Tにおける奥壁部303Tの裏側には、図15に示すように、厳密には一定しないが平均しておよそ10mm前後ないし20mm前後程度の間隔で縦横に走る格子状リブ307Tが形成されている。換言すれば、上側片302Tにおける奥壁部303Tよりも後方の部分は、後側面が基本的に開放され、外周が周壁(前記前側周壁部304Tの基端部の外側縁から反対側すなわち後側へ延出する後側周壁および後述の内周壁308T)で包囲され、その内部空間が格子状リブ307Tにより細分するように区画された構成となっている。格子状リブ307Tの後端縁は上側片302Tの後側面の位置に一致している。奥壁部303Tの内側縁(下側縁)は上述の通り弧状となっており、この弧状の内側縁から、正面視弧状に湾曲する内周壁308Tが後方へ延出している。上側片302Tにおける奥壁部303Tよりも後方の空間には、内周壁308Tとの間に所定間隔をおいて、内周壁308Tよりやや大径の第1周状リブ310Tが形成されている。さらに、内周壁308Tと第1周状リブ310Tとの間における格子状リブ307Tは、後端部が所定深さだけ切欠かれた様態、即ち、後端縁が上側片302Tの後側面の位置よりもやや内奥側(前側)へ後退した様態となっている。これにより、内周壁308Tと、第1周状リブ310Tと、これらの間における格子状リブ307Tの後端縁とにより、上側片302Tの後側面から所定深さだけ凹入し正面視弧状に延びる外側溝316Tが構成されている。一方、内周壁308Tは、左側端(図15では右側端)よりやや内側(中央寄り側)の位置で下方へ折れて垂直にやや延び、その後ふたたび左側(図15では右側)へ折れて、上記下方へ折れるまでと同様(同心)の弧状の軌道に沿って、上側片302Tの下端まで延びており、これにより、上側片302Tの左側端部がそれ以外の部位よりも上下に(径方向に)幅広となっている。さらに、内周壁308Tの左側端部より内側の所定間隔の帯域においては、格子状リブ307Tの後端部が所定深さだけ切欠かれ、これにより、内周壁308Tと、内周壁308Tより内側の格子状リブ307Tの後端縁(切欠)とにより、上側片302Tの後側面から所定深さだけ凹入し、上記外側溝316Tと同様(同心)でやや小径の正面視弧状に延びる内側溝315Tが構成されている。この内側溝315Tにおいては、上記外側溝316Tの場合よりも、格子状リブ307Tの後端部が切欠かれる量(深さ)が少なく、したがって外側溝316Tよりも浅くなっている。
【0026】
上側片302Tにおける右端部および左端部の水平な下端縁部の裏側には、図15に示すように、内方(上方)へ向けて略逆U字状(略半円状)に凹入する正面形状をなして延びる周壁に包囲され、中央にネジ挿通孔が穿設されたネジ挿通部319T、320Tがそれぞれ形成されている。
【0027】
下側片302Bは、図16に示すように、仮想上で遊技盤30の下端部を切断し、その前面から、内奥に奥壁を残しながら部分的に切欠くようにして、遊技板部材301の下端縁部に合致する正面形状および深さを有する凹部を形成し、該凹部の奥壁の内側縁(上側縁)を、遊技領域の下端縁部の外形に合致する弧状とし、全体として概略横長の矩形の上辺が内側(下側)へ湾曲状に凹んだ外形を有するものとした仮想の立体にほぼ等しくなるように成形されている。この構成により、下側片302Bには、遊技板部材301の裏面の下端縁部に対応する奥壁部303Bが形成され、該奥壁部303Bの外側縁から、遊技板部材301の下端縁部の端面に対応する前側周壁部304Bが前方へ延出している。奥壁部303Bの左下端近傍および右上端近傍には、遊技板部材301に対して位置決めするための第3位置決めボス306Bがそれぞれ突設されている。また、前側周壁部304Bの下端の中央部は、前記遊技板部材301の下側延出部301Eの幅と等しい間隔で切欠かれて開放されている。
【0028】
下側片302Bにおける奥壁部303Bの裏側には、図17に示すように、前記上側片302Tの格子状リブ307Tと同様にして、格子状リブ307Bが形成されている。したがって、前記上側片302Tの場合と同様に、下側片302Bにおける奥壁部303Bよりも後方の部分は、後側面が基本的に開放され、外周が周壁(前記前側周壁部304Bの基端部の外側縁から反対側すなわち後側へ延出する後側周壁および後述の内周壁308B)で包囲され、その内部空間が格子状リブ307Bにより細分するように区画された構成となっている。奥壁部303Bの内側縁(上側縁)は上述の通り弧状となっており、この弧状の内側縁から、正面視弧状に湾曲する内周壁308Bが後方へ延出している。下側片302Tにおける奥壁部303Bよりも後方の空間には、内周壁308Bとの間に所定間隔をおいて、内周壁308Bよりやや大径の第2周状リブ310Bが形成されている。さらに、内周壁308Bと第2周状リブ310Bとの間における格子状リブ307Bは、後端部が所定深さだけ切欠かれた様態、即ち、後端縁が下側片302Bの後側面の位置よりもやや内奥側(前側)へ後退した様態となっている。これにより、内周壁308Bと、第2周状リブ310Bと、これらの間における格子状リブ307Bの後端縁とにより、下側片302Bの後側面から所定深さだけ凹入し正面視弧状に延びる内側溝315Bが構成されている。さらに、下側片302Bの左端部(図17では右端部)には、上記内側溝315Bとの間に所定間隔をおいて、第2周状リブ310Bより大径の2条の第3周状リブ309Bが形成され、この2条の第3周状リブ309Bの間における格子状リブ307Bが所定深さだけ切欠かれて、2条の第3周状リブ309Bと、これらの間における格子状リブ307Bの後端縁とにより、下側片302Bの後側面から所定深さだけ凹入し正面視弧状に延びる外側溝316Bが構成されている。この外側溝316Bの深さは前記上側片302Tにおける外側溝316Tの深さに等しく、一方、内側溝315Bの深さは前記上側片302Tにおける内側溝315Tの深さに等しくなっている。
【0029】
図16および図17に示すように、下側片302Bにおける中央の所定幅の部位は、上端縁からやや下方まで凹入し、その底部から上方へ延出して前上方へ側面視概略鉤形状に折曲された形状に成形され、これにより、後方へ若干下傾する斜面を上端に有する案内片317Bが形成されている。この案内片317Bは、後述するアウト口36から遊技球を球排出路の方へと案内するためのものである。また、図17に示すように、下側片302Bの裏面側における中央の下端よりやや上方の位置には、正面視横長の矩形の概略溝状に凹入する凹入面部318Bが形成されている。一方、下側片302Bの裏側に配置される球集合板には該凹入面部318Bに嵌入する突起部が形成されており(図示せず)、この突起部が凹入面部318Bに嵌入することで、下側片302Bと球集合板とが縦断面段状をなすようにして当接し合う、即ち嵌合する体勢で配置されるようになっている。遊技機におけるこの中央部においては、下側片302Bと球集合板との間に仮に隙間があると、例えば下方から何らかの不正具をこの隙間を通して内部へ進入させて不正操作がなされる可能性があるが、上記のように下側片302Bと球集合板とが縦断面段状をなして嵌合する構成となっていることで、このような不正具の進入が困難となっている。このとき、凹入面部318Bがあまり深く凹入していると内部で隙間が形成されやすく、また嵌入する突起部が突出長さが大となることから構造的に強度が低下しやすくなるため、凹入面部318B内では内奥面があらためて表面側(後側)へやや迫り出し、これにより凹入面部318Bが浅く凹入する形状となるように成形されている。またこのとき、図16および図17に示すように、この中央部においては、その他の部位(両側部)とは逆に、裏側面(後側面)を壁面としこの壁面より表側(前側)を前方へ開放された空間として、この空間内に格子状リブを形成するようにしている。外観の点からすれば、表側面(前側面)を壁面とし、裏側(後側)を開放してその開放空間内に格子状リブを形成するほうが望ましく、このため下側片302Bを含め裏打部材302の全体では基本的に表側面(前側面)を壁面としているが、上記のように下側片302Bの中央部に限ってはこれを反転させて裏側面(後側面)が壁面となるように成形することにより、下側片302Bと球集合板とを隙間なく面同士で当接させることができて不正具の進入を困難とすることができ、また、前記案内片317Bの傾斜部を均一な肉厚となるように成形することも可能となっている(何故ならば、裏側(後側)を開放側とすると、成形時に金型を離脱させる方向も後方となるため、後方へ下傾する案内片317Bの傾斜部を均一な肉厚となるように成形することは困難となるからである)。
【0030】
図16に示すように、下側片302Bの上側縁は中央から弧形状をなして両側へ次第に高さが増大していく形状となっているが、右側へいく途上でいったん下傾して右下方へ延び、その後水平に延びて右端に達する形状となっている。一方、左側へいく途上では、左端近傍で下傾して左下方へ延び、その後、内側(右側)へ戻るように傾斜しながら右下方へ延び、その途上で垂直に延びて下側片302Bの下端に達する形状となっており、換言すれば、下側片302Bの左上の隅部が、上側縁の弧形状に沿って左上方へやや延出する形状となっている。上記右側の下傾部の裏側には、図17に示すように、内方(図17では右下方)へ向けてU字状に凹入する正面形状をなして延びる周壁に包囲され、中央にネジ挿通孔が穿設されたネジ挿通部319Bが形成され、水平部の右端(図17では左端)近傍にも、下方に垂直に凹入する点以外は同様の構成を有するネジ挿通部319Bが形成されている。一方、上記左側の左下方へ延びる下傾部における下端部の裏側には、やや幅広に形成されている点以外は上記右側の下傾部のネジ挿通部319Bと同様の構成を有するネジ挿通部320Bが形成されている。
【0031】
左側片302Lは、図18に示すように、仮想上で遊技盤30の左側部を切断し、その前面から、内奥に奥壁を残しながら部分的に切欠くようにして、遊技板部材301の左側部に合致する正面形状および深さを有する凹部を形成し、該凹部の奥壁の内側縁(右側縁)を、遊技領域の左側部の外形に合致する弧状とし、全体として上下に長く延びる外形を有するものとした仮想の立体にほぼ等しくなるように成形されている。この構成により、左側片302Lには、遊技板部材301の裏面の左側部に対応する奥壁部303Lが形成され、該奥壁部303Lの外側縁から、遊技板部材301の左側部の端面に対応する前側周壁部304Lが前方へ延出している。左側片302Lの前面における左下部には、内枠12に対して位置決めするための第4位置決めボス305Lが突設され、奥壁部303Lの左上端近傍および左下端近傍には、遊技板部材301に対して位置決めするための第5位置決めボス306Lがそれぞれ突設されている。また、前側周壁部304Lの中央部は、前記遊技板部材301の左側延出部301Fの幅と等しい間隔で切欠かれて開放されている。
【0032】
左側片302Lにおける奥壁部303Lの裏側には、図19、図20および図24に示すように、前記上側片302Tの格子状リブ307Tと同様にして、格子状リブ307Lが形成されている。したがって、前記上側片302Tの場合と同様に、左側片302Lにおける奥壁部303Lよりも後方の部分は、後側面が基本的に開放され、外周が周壁(前記前側周壁部304Lの基端部の外側縁から反対側すなわち後側へ延出する後側周壁および後述の内周壁308L)で包囲され、その内部空間が格子状リブ307Lにより細分するように区画された構成となっている。奥壁部303Lの内側縁(右側縁)は上述の通り弧状となっており、この弧状の内側縁から、正面視弧状に湾曲する内周壁308Lが後方へ延出している。左側片302Lにおける奥壁部303Lよりも後方の空間には、内周壁308Lとの間に所定間隔をおいて、内周壁308Lよりやや大径の第4周状リブ310Lが形成されている。さらに、特に図24から明らかなように、内周壁308Lと第4周状リブ310Lとの間における格子状リブ307Lは、後端部が所定深さだけ切欠かれた様態、即ち、後端縁が左側片302Lの後側面の位置よりもやや内奥側(前側)へ後退した様態となっている。これにより、内周壁308Lと、第4周状リブ310Lと、これらの間における格子状リブ307Lの後端縁とにより、左側片302Lの後側面から所定深さだけ凹入し正面視弧状に延びる内側溝315Lが構成されている。さらに、上記内側溝315Lとの間に所定間隔をおいて、第4周状リブ310Lより大径の第5周状リブ309Lが形成されている。さらにまた、上記第5周状リブ309Lは、上記内周壁308Lおよび第4周状リブ310Lと同様に、左側片302Lの上端部から下端部に達するまで延びているが、これに対し、左側片302Lの下側部には、第5周状リブ309Lとの間に所定間隔をおいて、第5周状リブ309Lより大径の第6周状リブ322Lが局部的に形成されている。特に図24から明らかなように、上記第5周状リブ309Lと第6周状リブ322Lとの間における格子状リブ307Lは所定深さだけ切欠かれるとともに、図19に示すように、この格子状リブ307Lの切欠部が、一定幅を維持しながら第5周状リブ309Lに沿って左側片302Lの上端部まで延びている。換言すれば、第6周状リブ322Lは左側片302Lの下側部に局部的に形成されているが、第5周状リブ309Lおよび格子状リブ307Lの切欠部は左側片302Lの上端部から下端部までのほぼ全長に渡って形成されている。上記第5周状リブ309Lと、第6周状リブ322Lと、格子状リブ307Lの切欠部とにより、左側片302Lの後側面から所定深さだけ凹入し正面視弧状に左側片302Lの上端部から下端部まで延びる外側溝316Lが構成されている。この外側溝316Lの深さは前記上側片302Tにおける外側溝316Tの深さに等しく、一方、内側溝315Lの深さは前記上側片302Tにおける内側溝315Tの深さに等しくなっている。
【0033】
左側片302Lの上端縁部は、前記上側片302Tにおける左端部の下端縁部に対応して水平に成形され、一方、左側片302Lの下端縁部は、前記下側片302Bにおける左側の左下方へ延びる下傾部に対応して、右側端部が右上方へ上傾して延びる形状に成形されている。上記左側片302Lにおける上端縁の端面の中央部には、奥壁部303Lの前面に近い前側端縁から、上方へ正面視略逆U字状(略半円状)の小片が突出し、該小片の周縁から後方に周壁が延出し、中央に延出方向にやや延びる長孔状のネジ挿通孔が穿設されたネジ挿通部320Lが形成され、前記上側片302Tにおける左端部のネジ挿通部320Tに内側から嵌合し得るようになっており、一方、上記左側片302Lの下端部における上傾部の端面の下端部には、やや幅広に形成されている点以外は上記上端部のネジ挿通部320Lと同様の構成を有するネジ挿通部320Lが形成され、前記下側片302Bにおける左端部のネジ挿通部320Bに内側から嵌合し得るようになっている。上記左側片302Lの上端部におけるネジ挿通部320Lの周壁の右側面からは、前後方向に対し垂直な小片が右方へ延出し、該小片の中央部からは前方へ位置合せ突起321Lが突出しており、一方、前記上側片302Tにおける左端部のネジ挿通部320Tの右側には位置合せ穴321Tが穿設されていて(図15参照)、上記位置合せ突起321Lが位置合せ穴321Tに嵌入し得るようになっている。
【0034】
右側片302Rは、図21に示すように、仮想上で遊技盤30の右側部を切断し、その前面から、内奥に奥壁を残しながら部分的に切欠くようにして、遊技板部材301の右側部に合致する正面形状および深さを有する凹部を形成し、該凹部の奥壁の内側縁(左側縁)を、遊技領域の右側部の外形に合致する略弧状とし、全体として上下に長く延びる外形を有するものとした仮想の立体にほぼ等しくなるように成形されている。この構成により、右側片302Rには、遊技板部材301の裏面の右側部に対応する奥壁部303Rが形成され、該奥壁部303Rの外側縁から、遊技板部材301の右側部の端面に対応する前側周壁部304Rが前方へ延出している。右側片302Rにおける奥壁部303Rの上端近傍および下端中央近傍には、遊技板部材301に対して位置決めするための第6位置決めボス306Rがそれぞれ突設されている。また、奥壁部303Rの上端近傍における上記第6位置決めボス306Rより上方の位置には、四隅が丸く角落ちした矩形状の正面形状を有し、前記主表示ユニット取付切欠301Cに合致、連通して後述する主表示ユニット371の配線を挿通するための配線挿通孔323Rが穿設されている。
【0035】
右側片302Rにおける奥壁部303Rの裏側には、図22に示すように、前記上側片302Tの格子状リブ307Tと同様にして、格子状リブ307Rが形成されている。したがって、前記上側片302Tの場合と同様に、右側片302Rにおける奥壁部303Rよりも後方の部分は、後側面が基本的に開放され、外周が周壁(前記前側周壁部304Rの基端部の外側縁から反対側すなわち後側へ延出する後側周壁および後述の内周壁308R)で包囲され、その内部空間が格子状リブ307Rにより細分するように区画された構成となっている。奥壁部303Rの内側縁(左側縁)は上述の通り略弧状となっており、この略弧状の内側縁から、正面視略弧状に湾曲する内周壁308Rが後方へ延出している。右側片302Rの下端部における奥壁部303Rよりも後方の空間には、内周壁308Rとの間に所定間隔をおいて、内周壁308Rよりやや大径の第7周状リブ310Rが形成されている。さらに、内周壁308Rと第7周状リブ310Rとの間における格子状リブ307Rは、後端部が所定深さだけ切欠かれた様態、即ち、後端縁が右側片302Rの後側面の位置よりもやや内奥側(前側)へ後退した様態となっている。これにより、内周壁308Rと、第7周状リブ310Rと、これらの間における格子状リブ307Rの後端縁とにより、右側片302Rの後側面から所定深さだけ凹入し正面視弧状に延びる内側溝315Rが構成されている。この内側溝315Rの深さは前記上側片302Tにおける内側溝315Tの深さに等しくなっている。
【0036】
右側片302Rの上端縁部は、前記上側片302Tにおける右端部の下端縁部に対応して水平に成形され、一方、右側片302Rの下端縁部は、前記下側片302Bにおける右端部の下端縁部に対応して、右端から左方へ水平に延び、左端近傍で上傾して左上方へ延びる形状となっている。上記右側片302Rにおける上端縁の端面の中央部には、奥壁部303Rの前面に近い前側端縁から、上方へ正面視略逆U字状(略半円状)の小片が突出し、該小片の周縁から後方に周壁が延出し、中央に延出方向にやや延びる長孔状のネジ挿通孔が穿設されたネジ挿通部319Rが形成され、前記上側片302Tにおける右端部のネジ挿通部319Tに内側から嵌合し得るようになっており、一方、上記右側片302Rの下端部における水平部および上傾部には、上記上端部のネジ挿通部319Rとほぼ同様の構成を有するネジ挿通部319Rが形成され、前記下側片302Bにおける右端部のネジ挿通部319Bにそれぞれ内側から嵌合し得るようになっている。
【0037】
遊技盤30には、図4および図10に示すように、遊技球発射装置から発射された遊技球(発射球)を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて所定の遊技領域に案内されるようになっている。レールユニット50は、図12および図13にも示すように、リング状をなす金属板にて構成されており、内外二重に構成された同一幅の内レール51と外レール52とを有する。内レール51および外レール52の後側端縁(遊技盤30に対向する端縁)は、一端部から他端部まで間隔をおいて複数個所で留金56(図4および図10参照;図12および図13では図示省略)により遊技盤30に取り付けられている。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略部分円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51、52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0038】
内レール51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51および外レール52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。
【0039】
尚、遊技領域は、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領城が従来よりもはるかに大きく構成されている。
【0040】
次に、遊技盤30の組立手順の概略を説明する。
(1)まず、遊技板部材301に裏打部材302を組み付ける。
具体的には、まず、裏打部材302の上側片302Tおよび下側片302Bを、第2位置決めボス306Tおよび第3位置決めボス306Bを遊技板部材301の位置決め孔に挿入しながら、遊技板部材301の上端縁部および下端縁部にそれぞれ位置決めして配置する。ついで、上記裏打部材302の上側片302Tおよび下側片302Bの上から、左側片302Lおよび右側片302Rを、第5位置決めボス306Lおよび第6位置決めボス306Rを遊技板部材301の位置決め孔に挿入するとともに、左側片302Lのネジ挿通部320Lおよび右側片302Rのネジ挿通部319Rを上側片302Tのネジ挿通部319T、320Tおよび下側片302Bのネジ挿通部319B、320Bにそれぞれ嵌合させるようにしながら、遊技板部材301の左側端縁部および右側端縁部にそれぞれ位置決めして配置し、左側片302Lのネジ挿通部320Lおよび右側片302Rのネジ挿通部319Rからネジを螺入して、裏打部材302の上側片302T、下側片302B、左側片302Lおよび右側片302Rを遊技板部材301に固定する。
【0041】
こうして、裏打部材302の上側片302T、下側片302B、左側片302Lおよび右側片302Rが、互いに連結固定されながら遊技板部材301の裏面に個別に組み付けられ、図5および図11に示すように全体として遊技領域に対応して中央部分が概略僅かに縦長の楕円形状に開口した枠状に構成される。
【0042】
またこれにともない、裏打部材302における上側片302Tの内側溝315T、左側片302Lの内側溝315L、下側片302Bの内側溝315Bおよび右側片302Rの内側溝315Rが均一な深さおよび幅で一本に連通し、全体として、レールユニット50の内レール51全体に対応する略部分円環状の内側溝315が構成されるとともに、裏打部材302における上側片302Tの外側溝316T、左側片302Lの外側溝316Lおよび下側片302Bの外側溝316Bが均一な深さおよび幅で一本に連通し、全体として、レールユニット50の外レール52全体に対応する略部分円環状の外側溝316が構成される。このとき、図25に示すように、内側溝315の深さD315は外側溝316の深さD316よりも小(D315<D316)、即ち内側溝315が外側溝316より浅く、また、内側溝315の幅方向中央と外側溝316の幅方向中央との間隔は内レール51と外レール52との間隔に等しく、かつ、内側溝315の幅W315は外側溝316の幅W316よりも小(W315<W316)となっている。
【0043】
上述のように、裏打部材302の上側片302Tおよび下側片302Bを遊技板部材301上に位置決めして配置し、この上から、左側片302Lおよび右側片302Rを位置決めし配置して、上側片302Tおよび下側片302Bごと遊技板部材301にネジ固定するようになっていることで、裏打部材302の上側片302Tおよび下側片302Bを遊技板部材301に対して正確に位置決めして配置することができる。即ち、このように、上側片302Tおよび下側片302Bよりなる先の一組を配置してから、この上に左側片302Lおよび右側片302Rよりなる後の一組を配置して遊技板部材301に固定するという2段階式の配置工程の場合には、後の一組は、遊技板部材301に対して、先の一組を間に介在させるようにして間接的に配置されるため、遊技板部材301に対して正確に位置決めすることが容易でないが、これに対し、先の一組は、遊技板部材301に対して直接的に配置されるので、正確に位置決めすることが比較的に容易である。裏打部材302の4分割片302T、302B、302L、302Rのなかでも、下側片302Bは、遊技盤30の位置決めの上からしても不正防止の上からしても、特に組付位置の正確性が要求されるものであるから、上述のようにこの下側片302Bを遊技板部材301に直接的に配置固定することが望ましい。例えば、下側片302Bの位置が所定位置よりもある程度以上に下方にずれると、遊技盤30がこの下側片302Bで内枠12に当接して上下位置が定められることとなり、遊技板部材301の上下位置が一定しなくなって発射球の軌道に影響する惧れがある。一方、下側片302Bの位置が所定位置よりも上方にずれると、該下側片302Bの下の隙間が広がって不正具をより進入させやすくなる惧れがある。
【0044】
またこのとき、左側片302Lのネジ挿通部320Lおよび右側片302Rのネジ挿通部319Rは、いずれも前述の通り、延出方向にやや延びる長孔状のネジ挿通孔が穿設された構成となっているので、上側片302Tないし下側片302Bに多少の位置ズレがあっても、この位置ズレを吸収しながら左側片302Lおよび右側片302Rを配置固定することができる。
【0045】
(2)ついで、遊技板部材301にレールユニット50を取り付ける。
レールユニット50を構成する内レール51および外レール52は、前述の通り留金56により複数個所で遊技板部材301に取り付けられる。留金56は、長U字形状(ヘアピン状)に折曲成形された金具であり、内レール51および外レール52の後側端縁部に穿設された小孔から挿通して該内レール51および外レール52を屈曲部の内側に掛止させて支持しながら、先端部を遊技板部材301に打ち付けることにより、該内レール51および外レール52を遊技板部材301に固着するようになっている。留金56を打ち付けると、その先端部が遊技板部材301を貫通して裏面からやや突出するが、裏打部材302の上側片302T、下側片302B、左側片302Lおよび右側片302Rには、留金56の先端部を受容する挿通孔が、対応する位置にそれぞれ形成されている。このように留金56の先端部が遊技板部材301を貫通して裏面からやや突出することで、例えばこの部分における遊技板部材301と裏打部材302との間に外側から薄板状の不正具を進入させようとした場合に、留金56の先端部により阻害されてこれ以上の進入を困難とすることができるという利点もある。
【0046】
パチンコ機10の製造工程においては、上述のようにしてレールユニット50が敷設され、この後、釘や各種入賞装置等が全て取り付けられて完成する前のいずれかの段階にある遊技盤30が、複数積み重ねるようにして置いておかれることがあるが、本パチンコ機10の遊技盤30の構成によれば、複数の遊技盤30を安定して積み重ねておくことができる。この場合、レールユニット50の上に別の遊技盤30が支持されるようにして複数の遊技盤30が積み重ねられるが、このとき仮に、単にレールの上に遊技盤が載置されているだけであったとすると、レールと遊技盤とが盤面方向に沿ってずれることがあり、特に、本パチンコ機10の遊技盤30のように樹脂よりなる遊技盤の場合にはレールと遊技盤とが滑ってずれやすく、このため複数の遊技盤を安定して積み重ねておくことが難しい。これに対し、本パチンコ機10の遊技盤30の構成によれば、裏打部材302の裏側面に、レールユニット50の内レール51に対応する略部分円環状の内側溝315と、外レール52に対応する略部分円環状の外側溝316が配設されているので、これら内側溝315および外側溝316に下方から別の遊技盤30のレールユニット50の内レール51および外レール52をそれぞれ嵌合させるようにして複数の遊技盤30を積み重ねることができ、この内側溝315および外側溝316と内レール51および外レール52との嵌合により、当該(上側の)遊技盤30と別の(下側の)遊技盤30との盤面方向における相対的な移動が規制されることで、これら遊技盤30が盤面方向に沿ってずれることが抑制され、したがって複数の遊技盤30が安定して積み重ねられ得ることとなる。このように、溝とレールとを嵌合させて相対的な移動を規制することによって盤面方向のズレを抑制するようにした構造は、レールに対して滑りやすい樹脂等の材質よりなる遊技盤の場合に特に有用であり、あるいは換言すれば、上述のように溝とレールとを嵌合させる構造とすることにより、複数の遊技盤を積み重ねたときの安定性を確保しながら、遊技盤の材質として、レールに対する滑りやすさの度合いを考慮することなく、任意の材質を用いることができることとなる。
【0047】
さらにこのとき、本パチンコ機10の遊技盤30の構成によれば、前述の通り、内側溝315が外側溝316よりも浅くなっている(D315<D316)ので、図25に模式的に示すように、ある1枚の遊技盤(以下、「下側遊技盤」とも称す)30Lの上に別の遊技盤(以下、「上側遊技盤」とも称す)30Hを積み重ねると、上側遊技盤30Hの外側溝316の内奥面(底面)と下側遊技盤30Lの外レール52とが当接しない状態で、上側遊技盤30Hの内側溝315の内奥面(底面)と下側遊技盤30Lの内レール51とが優先的に当接するため、上側遊技盤30Hが内側溝315の内奥面(底面)で下側遊技盤30Lの内レール51の上に載って支持され、一方、外側溝316の内奥面(底面)は下側遊技盤30Lの外レール52との間に間隔をおいた(浮いた)体勢に保持されることとなり、したがって下側遊技盤30Lの内レール51のみが上側遊技盤30Hの荷重を受けることとなる。レールユニット50においては、遊技球発射装置から発射された遊技球(発射球)は、直接的には内レール51ではなく外レール52によって案内されるので、例えば仮に外レール52に何らかの変形等が生じたとすると、内レール51の場合よりも、発射球の軌道に与える影響が直接的で断然大きい。そこで、上記のように上側遊技盤30Hの荷重が内レール51のみにかかって外レール52にはかからない構成とすることにより、外レール52に変形等がより生じ難いようにすることができる。
【0048】
またこのとき、前述の通り、内側溝315の幅方向中央と外側溝316の幅方向中央との間隔は内レール51と外レール52との間隔に等しいため、図25に模式的に示すように内レール51と外レール52とがそれぞれ内側溝315の幅方向中央と外側溝316の幅方向中央とに位置するように嵌合することができ、かつ、内側溝315の幅W315は外側溝316の幅W316よりも小(W315<W316)となっているから、上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとが内側溝315の幅W315方向(ないし外側溝316の幅W316方向)に相対的に移動し(ずれ)ようとする場合には、内レール51が内側溝315内で幅W315方向に移動し得る範囲でしか上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとは相対移動し得ない。即ち、上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとの、内側溝315の幅W315方向における相対移動が、内レール51と内側溝315との嵌合構造により規制されるようになっている。一方、このように内レール51が内側溝315内で幅W315方向に移動し得る範囲内で上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとが内側溝315の幅W315方向において最大限に相対移動しても、外レール52は外側溝316の両側面に当接することはなく、外側溝316の両側面との間に間隔をおいた体勢に保持される。換言すれば、上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとが盤面方向に相対的にずれようとすると、上側遊技盤30Hの外側溝316の一方側面と下側遊技盤30Lの外レール52とが当接しない状態で、上側遊技盤30Hの内側溝315の一方側面と下側遊技盤30Lの内レール51とが優先的に当接するようになっている。したがって、例えば下側遊技盤30L上への上側遊技盤30Hの積み重ねの作業時や作業後などに、上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとを盤面方向に沿ってずれさせるような何らかの外力が加わった場合、この外力は内レール51と内側溝315との間のみで伝達(作用)し、外レール52と外側溝316との間では伝達(作用)しないので、この盤面方向における外力によっても、外レール52が影響を受けることがなく、変形等が生じ難いようになっている。
【0049】
なお、内側溝315の幅W315方向ないし外側溝316の幅W316方向は、それ自体では、一直線に沿った単一の方向(一方向)であるが、内側溝315および外側溝316は、前述の通り内レール51および外レール52に対応して略部分円環状に形成されているから、内側溝315および外側溝316の全体としてみれば、これらの幅W315、W316方向は、総体的には遊技盤30の盤面に平行な状態でほぼ全周(360°)方向を指向している。したがってここでは、内側溝315の幅W315方向ないし外側溝316の幅W316方向は遊技盤30の盤面方向に一致するものと考えられる。
【0050】
上記構成においては、上述の通り、上側遊技盤30Hの荷重すなわち重力方向の外力と、上側遊技盤30Hおよび下側遊技盤30Lを盤面方向にずれさせるように働く外力とが、いずれも内レール51と内側溝315との間のみで伝達(作用)され、外レール52は外側溝316に対し、内奥面(底面)および両側面のいずれの面でも当接することなく、常に内側に離れた(間隔をおいた)体勢に保持されるようになっている。即ち、上記構成においては、前述の通り、内側溝315および外側溝316と内レール51および外レール52との嵌合により、上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとの盤面方向における相対的な移動が規制されるのであるが、より厳密には、下側遊技盤30Lの上に上側遊技盤30Hを支持するのも、上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとの盤面方向における相対的な移動を規制するのも、いずれも専ら内レール51と内側溝315との嵌合によりなされ、外レール52と外側溝316との嵌合はいずれにも関与しないようになっている。換言すれば、上述のような支持および規制を目的として内レール51と内側溝315とを嵌合させるのにともない、外レール52も内レール51と同寸法で突出していることから必然的に上側遊技盤30Hに裏側(下側)から抵触する(こだわる)こととなるため、この外レール52が抵触しないようにするためのクリアランスとして、いずれの面においても外レール52に接触することのない外側溝316を併せて敷設するようにしたということもできる。
【0051】
(3)この後、遊技板部材301の前面に、以下にあらためて記述する主表示ユニット371、可変表示装置ユニット35、釘、各種入賞装置等の部品ないし部材を取り付け、図4ないし図11に示す遊技盤30を得る。
【0052】
上記遊技盤30の遊技領域には、図4および図10に示すように、一般入賞口を備える一般入賞装置31、可変入賞装置32、上始動口33aと下始動口33b(作動チャッカ33bで構成)とから成る第1の始動入賞装置33、第2の始動口を備える第2の始動入賞装置34(スルーゲートで構成)、主表示ユニット371、装飾図柄表示装置42を備える可変表示装置ユニット35等が配置されている。これらの一般入賞装置31、可変入賞装置32、第1の始動入賞装置33、第2の始動入賞装置34、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30に穿設された貫通孔にそれぞれに配設され、遊技盤30の前面側からネジ等により取り付けられている。また、下始動口33bの入口には、一対の開閉羽根60が設けられており、遊技球を案内する開放位置と、下始動口33b内に遊技球が入りにくくなる閉塞位置を採りうる。開閉羽根60は、遊技盤30の裏面側に配設されたソレノイドSL1によって駆動される。また、下始動口33bの下方には、大入賞口(収容部の入口)61が配置されている。大入賞口61については、後に言及する。大入賞口61内には、入球検出スイッチSW1が設けられている。
【0053】
前述の一般入賞装置31、可変入賞装置32および第1の始動入賞装置33に遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ等)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、各種部材(役物)が配設されている。
【0054】
主表示ユニット371は、図4に示すように、右上の隅部が直角でその対辺が左上から右下へ延びる斜辺となっている、やや上下に長い概略直角三角形の各隅部(角部)が丸く角落ちするとともに、斜辺が遊技領域の右上部に沿って弧状に内側へ湾曲する正面形状を有し、図26に示すように前後にやや厚みを有する立体状の外形を有する部品となっている。主表示ユニット371における右上の背面側にはネジ挿通孔を有するフランジ371Fが形成され、右下の隅部には、前面側から後面壁まで凹入し該後面壁にネジ挿通孔(図示せず)を有する正面視概略U字状のネジ挿通部371Nが形成され、図4に示すように、フランジ371Fおよびネジ挿通部371Nにネジが螺入されて主表示ユニット371が遊技板部材301の前面における右上部に固定されている。主表示ユニット371における左上の上面部は左下方へやや下傾するように形成され、その中央部は、図4に示すように、遊技球の最大飛翔部分に対応する外レール52の先端部に近接し、この部位の上に、図26に示すようにゴム板よりなる返しゴム371Rが取り付けられている。この返しゴム371Rにより、所定以上の勢いで発射された遊技球が当たって跳ね返されるようになっている。主表示ユニット371の前面部には、左上端近傍からネジ挿通部371Nに隣接するまで斜辺に沿って弧状に延びる正面形状を有して内奥側へ段状に凹入する表示部371Mが形成されている。
【0055】
上記表示部371Mには、4個の表示装置371A、371B、371C、371Dが上から弧状に並ぶようにして順に配置されている。上から1番目の表示装置371Aは、左右2個のLEDで構成され、一方のみあるいは両方を点灯することにより3通りに点灯表示し、これにより大当たりとなる確率が低確率、中確率および高確率のいずれであるかを表示するようになっている。上から2番目の表示装置371Bは、数個(7ないし9個)のLEDのセグメントから構成され、特別図柄の種類を表示するようになっている。この上から2番目の表示装置371Bの表示内容は、装飾図柄表示装置42によっても表示される。上から3番目の表示装置371Cは、左右2個のLEDで構成され、これらの点灯状態に点滅状態を加えて組み合わせることにより、特別図柄に関する保留球の個数を表示するようになっている。なお、台枠421の下部には、装飾図柄表示装置42の下辺に沿って右端部に配列された4個のランプよりなる保留ランプ800aが配置されており(図4および図10参照)、この保留ランプ800aによっても上記特別図柄に関する保留球の個数が表示されるようになっている。上から4番目の表示装置371Dは、同じく数個のLEDのセグメントから構成され、当りのラウンド数を表示するようになっている。上から5番目の表示装置371Eは、左列6個、右列3個の計9点のLEDで構成され、このうち左上3個のLEDが、青または赤に点灯して当り外れを表示する普通図柄表示装置となっており、右3個および左下3個のLEDが、点灯状態と点滅状態との組み合わせにより、普通図柄に関する保留球の個数を表示するようになっている。
【0056】
主表示ユニット371は、前記主表示ユニット取付切欠301Cを前側から覆うようにして遊技板部材301の前面に取付固定されている。主表示ユニット371の背面にはコネクタが突設されており、このコネクタが主表示ユニット取付切欠301Cの内部に受容され、該主表示ユニット取付切欠301Cの裏側に連通する前記裏打部材302の配線挿通孔323Rを通して、遊技盤30の裏側の制御装置からの配線が主表示ユニット371に接続されるようになっている。
【0057】
このとき、主表示ユニット取付切欠301Cは、遊技板部材301の右側端縁部が略コ字形状に凹入した切欠となっているので、例えば、裏打部材302を遊技板部材301から取り外す場合、主表示ユニット371は、フランジ371Fおよびネジ挿通部371Nでのネジ固定を解除すれば、配線を接続したままでも主表示ユニット取付切欠301Cから側方へ取り出すことで容易に遊技板部材301から除去することができ、さらにまた、再度遊技板部材301に取り付ける場合にも、配線を接続したままで主表示ユニット取付切欠301Cに側方から嵌め入れることで容易に取り付けることができ、したがって、例えば遊技板部材301のみを新品ないし別構成のものに取り替えるような場合に、取り外しおよび取付の作業が容易となっている。
【0058】
上記のように略コ字形状の主表示ユニット取付切欠301Cとすることにより主表示ユニット371の着脱を容易とすることで、例えば上述のように遊技板部材301の交換が容易となってリサイクルの上でも有利であるが、さらにまた、遊技板部材301の着脱が容易となることで、例えば遊技板部材301のみを取り外して洗浄したりする上でも有利となる。遊技板部材301は遊技球の接触により汚れやすく、この汚れが樹脂製の遊技板部材301では特に目立つので、洗浄しやすい構成となっていることが望ましい。
【0059】
上記特別図柄表示装置は、第1の始動入賞装置33への入賞をトリガとして識別情報としての特別図柄を変動表示し、上記装飾図柄表示装置42は特別図柄の変動表示に対応した装飾図柄を変動表示し、上記普通図柄表示装置は第2の始動入賞装置34の通過をトリガとして普通図柄を変動表示する。
【0060】
上記特別図柄表示装置は、後にも言及する表示装置371Aにおける第1表示部の9個のLEDセグメントで構成されており、後述する主制御装置261により表示内容が制御される。
【0061】
上記普通図柄表示装置は、後述する表示装置371B内に配置された普通図柄用の2個のランプ(以下、第1ランプおよび第2ランプとも称す)を備えている。この実施例では、普通図柄用の第1ランプは、その外観形状は「○」形状となっている一方、第2ランプは、第1ランプの右側に隣接して設けられ、その外観形状は「×」形状となっている。普通図柄表示装置は、遊技球が第2の始動入賞装置34を通過する毎に例えば第1および第2ランプによる表示図柄(普通図柄)が変動し、具体的には、第1および第2ランプが交互に光り、第1ランプで停止した場合に第1の始動入賞装置33の下始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動入賞装置34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。なお、第1および第2ランプは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される複数個の表示部としても良い。
【0062】
可変表示装置ユニット35は、図4、図5、図10および図11に示すように、遊技領域の中央部に配置され、遊技領域内の大きな面積を占める大型の役物となっており、電動役物ユニットあるいはセンター役物とも称される。この可変表示装置ユニット35は、表示部として装飾図柄表示装置42を中央に備え、該装飾図柄表示装置42の上辺部、下辺部、左辺部および右辺部をセンターフレーム43で包囲するようにして構成されている。
【0063】
センターフレーム43は、装飾図柄表示装置42が配置される概略横長の長方形状の開口を内側に包含する枠状の部材となっていて、外周にはネジ孔を有するフランジ43Fが設けられており、ネジにより遊技盤30上に前方側から固定されるようになっている。
【0064】
図10に示すように、センターフレーム43の左側部には、上下端がそれぞれ右上方および右下方へやや延出して正面視略C字形状を有し内部に遊技球が流下する球通路を有する左側ワープ通路部43Lが形成され、該左側ワープ通路部43Lの右上端部および右下端部にはそれぞれ入球部431Lおよび袖開口部432Lが形成されている。センターフレーム43の右側部には、上記左側ワープ通路部43Lと左右対称の右側ワープ通路部43Rが形成されている。センターフレーム43の下側部には、正面視全体的に下方に丸く湾曲し中央部でやや隆起していて遊技球が左右に往復するように転動し得るステージ43Sが形成され、ステージ43Sの中央部の内奥側には入球口が設けられ、該入球口から、ステージ43Sの中央部の下を経て前面部の排球口へと至る球通路が形成されている。
【0065】
センターフレーム43の上端中央部の上方には、遊技球の径より小さい間隔で正面視山状に配列するようにして多数の釘が植設されており、センターフレーム43の上方に飛来した遊技球は、まずこの山状に配列された釘により左右に振り分けられ、このうち左下に流下した遊技球は、大部分が左側ワープ通路部43Lの上を流下してセンターフレーム43の左下方へと流下していくが、このうちの一部の遊技球が入球部431Lに入球し、左側ワープ通路部43L内を流下して袖開口部432Lからステージ43S上へ排球される。一方、センターフレーム43の上方で釘により右に振り分けられて右下に流下した遊技球は、左側の場合と同様に、大部分が右側ワープ通路部43Rの上を流下してセンターフレーム43の右下方へと流下していき、一部の遊技球が右側ワープ通路部43R内を経てステージ43S上へ排球される。左側ワープ通路部43Lまたは右側ワープ通路部43Rを経てステージ43S上へ両側から案内された遊技球は、ステージ43S上を左右に往復するように転動し、その途上で多くは前方へ転落していき、一部は中央部で首尾よく入球口に入球して前面部の排球口から前方へ排球されて落下し、直下の第1の始動入賞装置33に高確率で入球することとなる。
【0066】
装飾図柄表示装置42は、液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。装飾図柄表示装置42には、例えば上、中、及び下の3箇所に識別情報としての図柄が表示される。これら図柄がスクロールされて装飾図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本形態では、装飾図柄表示装置42(液晶表示装置)は例えば10インチ或いは12インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備えている。
【0067】
上記可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるようになっているが、その具体的な構成については後述する。簡略に触れれば、特別図柄表示装置が特定の表示態様となった場合(装飾図柄表示装置42の停止後の確定図柄が予め設定した特定の図柄の組み合せとなった場合)に特別遊技状態が発生する。そして、可変入賞装置32が受球状態となり、遊技球の入賞を許す。具体的には、所定時間(例えば30秒)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の受球状態が所定回数繰り返し開放される。遊技球が第1の始動入賞装置33を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ800aは、装飾図柄表示装置42の一部で変動表示される構成等であっても良い。
【0068】
遊技盤30は、内枠12に後方から嵌着するようにして取付固定される。このとき、本実施形態の遊技盤30においては、前記裏打部材302の第1位置決めボス305Tおよび第4位置決めボス305Lによりパチンコ機10本体側のおよその取付位置に案内され、遊技板部材301の下面および前面が内枠12に当接することにより、パチンコ機10本体に対する遊技盤30の上下位置および前後位置が定められるようになっている。
【0069】
図27ないし図29は、遊技盤30を内枠12に取り付けた状態を示す模式図である。同図に示すように、内枠12(図では鎖線で示す)は、遊技盤30の周縁部(四周部)を支持する枠状に構成され、したがって遊技盤30に対応する概略矩形状の部分の大部分が開放されており、該開放部より下方は前記下皿ユニット13を備える最下部まで延びる前面パネル12Fとなっている。図29に示すように、前面パネル12Fの前面は遊技盤30の盤面と同一面上に位置し、厚さは遊技盤30の厚さよりやや大で、上端面が遊技盤30を支承する支承面12Bとなっている。図27ないし図29に示すように、前面パネル12Fの前面における右側部には、右下端部に配設された遊技球発射装置(図示省略)から左上方に位置する外レール52の下端部に向けて上傾するように発射レール38Rが配置固定されている。前面パネル12Fの前面における右側の上端部は、図29に示すように一段前方へ膨出し、図27に示すように、正面視概略矩形状に上方へ延び、左上の隅部を内レール51に沿って弧状に角落ちさせる(切欠く)ようにして、右前壁12Rが一体的に形成されている。右前壁12Rの左端は、遊技盤30のアウト口36より右方であって、遊技板部材301における下側延出部301Eの右端よりもやや左方の位置となっている。一方、前面パネル12Fの前面における左側の上端部は、上記右前壁12Rの場合と同様に一段前方へ膨出し(図示せず)、図27に示すように、正面視概略横長の長方形状をなして外レール52の下端に近接する位置まで上方へ延びて、左前壁12Lが一体的に形成されている。左前壁12Lの右端は、遊技盤30の外レール52の右下端の位置にほぼ一致し、遊技板部材301における下側延出部301Eの左端よりもやや右方の位置となっている。上記右前壁12Rと左前壁12Lとは、したがって、遊技板部材301における下側延出部301Eの両端よりもやや中央寄りの位置を両端とするとともに発射レール38Rから外レール52へと飛行する遊技球に抵触しない十分な横幅を有する切欠部を中央に形成している。
【0070】
遊技盤30の裏打部材302における下側片302Bの前側周壁部304Bの下端の中央部は前述の通り開放されており、この開放部に、遊技板部材301の下側延出部301Eがほぼ隙間なく嵌入している。このとき、図27に示すように、該下側延出部301Eの下端は裏打部材302の下端よりもやや下方に延出するようにやや長めに形成されている。したがって、この遊技板部材301の下側延出部301Eの下端が、遊技盤30全体の最下端となっており、図27および図29に示すように、遊技盤30を内枠12の支承面12Bの上に支承させると、遊技板部材301の下側延出部301Eの下端面が該支承面12B上に当接して支承され、該下側延出部301Eの右側および左側には、該支承面12Bと裏打部材302の下端面との間に、間隙39R、39Lがそれぞれ形成される。なお、遊技板部材301の下側延出部301Eと内枠12の支承面12Bとの当接位置T11を図では便宜的に×印で指示しているが、言うまでもなくここでの当接は面同士による面接触である。
【0071】
また一方、図28および図29に示すように、遊技盤30の遊技板部材301は、裏打部材302の前側端すなわち前側周壁部304T、304B、304L、304Rの延出端よりもやや前方にやや突出するような厚みを有するものとなっている。換言すれば、裏打部材302の前側周壁部304T、304B、304L、304Rが、遊技板部材301の前面に達しない位置まで延出するように成形されている。したがって、遊技盤30を内枠12に後方から押し当てるようにすると、遊技盤30の遊技板部材301の前面が内枠12の右前壁12Rおよび左前壁12Lの裏側面に当接して遊技盤30の前後位置が定められ、遊技板部材301の下側延出部301Eの右側および左側には、内枠12の右前壁12Rおよび左前壁12Lの裏側面と裏打部材302の前面すなわち下側片302Bの前側周壁部304Bの延出端面との間に、間隙41R、41Lがそれぞれ形成される。なお、遊技板部材301の前面と内枠12の右前壁12Rおよび左前壁12Lの裏側面との当接位置T12、T13を図では便宜的に×印で指示しているが、言うまでもなくここでの当接は面同士による面接触である。
【0072】
上述のように、遊技盤30は、内枠12に対し、上下位置および前後位置のいずれにおいても、遊技板部材301で当接することにより位置決めして取り付けられ、裏打部材302は内枠12に当接せず位置決めには関与しない構成となっている。このとき、仮に、遊技板部材と裏打部材とを下面や前面において同一面をなすように成形して、該遊技板部材および裏打部材の両者が下面や前面で内枠に対して同時に当接するような構成とした場合、両者を完全に正確に同一面をなすように構成することは困難であり、成形や組付の工程における誤差等により、多少とも両者の間に位置ズレが生じるのは避け難い。したがって、遊技板部材および裏打部材の両者のうちのいずれが内枠に当接するかも一定せず、このため遊技板部材と内枠との相対位置も一定しないこととなる。発射装置から発射された遊技球は遊技板部材の前面に沿って遊技領域に案内され流下するから、遊技板部材の内枠に対する相対位置のズレは遊技球の軌道に直接的に影響することとなる。特に、発射レールから射出された発射球は、まず遊技板部材上の外レールの上に着地し、該外レールに沿って上方へ案内されて遊技領域に誘導されるので、このとき遊技板部材が内枠に対して上下方向ないし前後方向にずれていると、そのぶん外レール上での発射球の着地点も上下方向ないし前後方向にぶれることとなる。これに対し、本パチンコ機10の遊技盤30においては、上述の通り、遊技板部材301の下端が裏打部材302の下端よりも下方にやや突出するとともに、遊技板部材301の前面が裏打部材302の前面よりも下方にやや突出するように構成されているので、成形や組付の工程における誤差等によって遊技板部材301と裏打部材302との間に多少の位置ズレが生じても、内枠12に対して上下位置および前後位置のいずれにおいても必ず遊技板部材301で当接することができる。換言すれば、遊技板部材301を裏打部材302よりも下方および前方にやや突出させることで、遊技板部材301と裏打部材302との間に生じる多少の位置ズレを吸収し、これにより、意図せず裏打部材302が内枠12に当接して位置決めに関与するということがないようにした構成となっている。したがって、内枠12に対する遊技盤30の盤面の相対位置がずれることもなく、発射球をぶれることなく安定して外レール52の上に着地させ遊技板部材301上を遊技領域へと案内すること、即ち発射球の軌道をずれることなく常に安定かつ正確に正規の位置に保持することができる。
【0073】
また、例えば仮に、裏打部材の下端が内枠に当接して遊技盤が裏打部材で内枠の上に支承されることがあると、遊技板部材で支承される場合に比して、遊技盤が斜めになったりして姿勢が変わってくることともなりやすい。加えて、遊技板部材の下端と内枠との間に隙間が形成されると、前面側からこの隙間を通して薄板状の不正具等を進入させて遊技盤の裏側で不正操作がなされるといった惧れもある。これに対し、本パチンコ機10の遊技盤30においては、上述の通り、必ず遊技板部材301(下側延出部301E)の下端面が内枠12の支承面12B上に当接して支承されるようになっているので、遊技盤30を常に安定して正しい姿勢で設置することができ、また、遊技板部材301(下側延出部301E)の下端面と内枠12の支承面12Bとの間に、不正具等の進入を可能とする隙間を形成され難くすることができる。なおこの場合、前述の通り下側延出部301Eの両側には間隙39R、39Lが形成されるが、下側延出部301Eは第1の始動入賞装置33の直下に位置していて特に不正具等の進入が図られやすい部位であるから、この部位に隙間を形成され難くすることがとりわけ有効である。
【0074】
また、上記取付構造においては、遊技盤30の下端部中央では遊技板部材301の下側延出部301Eが内枠12に接して連続し、間に裏打部材302が介在していないので、余分な段差が形成されておらず、したがって発射レール38Rから発射球を遊技板部材301上へより支障なく送達することができる。
【0075】
また、上記取付構造によれば、遊技盤30が、透明な遊技板部材301の周縁が前記下側延出部301Eおよび左側延出部301Fを除いておおむね黒色の不透明な裏打部材302により包囲するようにして保護され、より具体的には、裏打部材302が、遊技盤30の裏面において遊技領域に対応する中央部分の周囲の領域を覆うとともに、前側周壁部304T、304B、304L、304Rが前方に延出することにより、遊技盤30の稜部のほぼ全部(遊技盤30の全稜部のうち、前側周縁において下側延出部301Eおよび左側延出部301Fにより構成される一部の稜部を除く)が裏打部材302で構成されているので、遊技板部材301が外力から効果的に防護されるだけでなく、遊技盤30に配設された各種発光手段からの光が周囲に漏洩することが効果的に抑止され、したがって例えば不必要な部位にまで光が照射されないようにすることができるという一つの発光演出上の効果も得られる。
【0076】
(パチンコ機の背面構成)
次に、パチンコ機10の背面の構成を説明する。図30はパチンコ機10の背面の構成を示す分解斜視図である。
【0077】
先ず、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12および遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにしてまたは前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の裏カバー(保護カバー)等が取り付けられている。本形態では、各種制御基板を3つの取付台に分けて搭載して3つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12または遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主制御基板、電源監視基板、これら基板を収容する基板ボックスおよび該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される主制御装置261を一つにユニット化し、表示制御基板、該表示制御基板を収容する基板ボックスおよび装飾図柄表示装置42から構成される表示制御装置45とサブ制御基板および該サブ制御基板を収容する基板ボックスから構成されるサブ制御装置262とを後述する外包部材82に搭載してユニット化し、さらに払出制御基板、該払出制御基板を収容する基板ボックス(払出制御基板ケース)および該基板ボックスを封印する封印ユニットから構成される払出制御装置311と電源基板、発射制御基板およびこれら基板を収容する基板ボックス(電源・発射制御基板ケース203A)から構成される電源・発射制御装置とを1つの取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、各ユニットを上記の順に「第1制御基板ユニット201」、「第2制御基板ユニット202」および「第3制御基板ユニット203」と称することとする。
【0078】
また、払出機構および裏カバー(保護カバー)も上記第3制御基板ユニット203に一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここでは第3制御基板ユニット203を「裏パックユニット203」とも称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
【0079】
第1制御基板ユニット201は、後述するように、取り外す場合には工具で封止状態を解除する必要があるが取付はネジ等の締結具も工具も何ら要することなく行い得るよう構成されており、第2制御基板ユニット202および裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されている。更に、これに加え、各ユニット201〜203は、一部に支軸部を設けて内枠12または遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0080】
上述した第1制御基板ユニット201は、その遊技の進行を統括する主制御基板及び電源の監視を司る電源監視基板を有する。上記主制御基板と電源監視基板とは透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて構成されている。この基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
【0081】
尚、封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用でき、また、封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期にかつ容易に発見可能とするものである。
【0082】
第2制御基板ユニット202は、主制御基板からの指示に従い前記装飾図柄表示装置42の表示制御を司る表示制御装置45と主制御基板からの指示に従い音声ランプ制御を司るサブ制御基板とを有する。上記表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42および表示制御基板がユニットとして構成され、透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容されて後述する外包部材82の背面側に取り付けられている。上記サブ制御基板は透明樹脂材料等よりなる基板ボックスに収容され、上記表示制御装置45の背面側に取り付けられている。
【0083】
次に、前記第3制御基板ユニット(裏パックユニット)203は、払出制御基板、電源基板、発射制御基板及びカードユニット接続基板を有している。上記払出制御基板により賞品球や貸出球の払出が制御され、上記電源基板および発射制御基板により各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力されるとともに遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射ソレノイドの制御が行われる。また、上記カードユニット接続基板は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)および図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御基板に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板は不要である。
【0084】
上記払出制御基板は、透明樹脂材料等よりなる払出制御基板ケース(図示せず)内に収納されており、上記電源基板および発射制御基板は、透明樹脂材料等よりなる電源・発射制御基板ケース203A内に収納されている。また、上記カードユニット接続基板は透明樹脂材料等よりなるカードユニット接続基板ケース(図示せず)内に収納されている。特に、払出制御基板では、前述した主制御基板と同様、基板ケース(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結されることにより、基板ボックスが封印される。
【0085】
上記払出制御基板は状態復帰スイッチと電気的に接続されており、例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチが押下されると、払出モータがゆっくりと正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0086】
裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
【0087】
裏パック351は例えばABS樹脂により成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機後方に突出し横長の略直方体形状をなす裏カバー部(保護カバー部)354とを有する。裏カバー部354は左右側面および上面が閉鎖されかつ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも電動役物ユニット(センター役物)を囲むのに十分な大きさを有する(但し本形態では、前述のサブ制御基板も合わせて囲む構成となっている)。裏カバー部354の背面には多数の通気孔が設けられている。この通気孔は各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔が比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0088】
また、ベース部353には、裏カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。すなわち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図示しない払出通路等を通じて前記上皿19に供給される。
【0089】
タンクレール356と、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ359とが一体化するようにユニット化されており、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ359が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
【0090】
上記払出機構部352には、前記払出制御基板から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチの切替操作により電源ONまたは電源OFFとされるようになっている。
【0091】
なお、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。また、上記内枠開検出スイッチの左方には、前面枠開検出スイッチ(図示せず)が設けられており、前面枠セット14が開かれると、前面枠開検出スイッチからホール内(パチンコ店内)用コンピュータヘ出力されるようになっている。
【0092】
(パチンコ機の電気的構成及び各種制御処理)
次に、図31を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。パチンコ機10は、電源装置313と、電源監視装置540と、主制御装置261と、サブ制御装置262と、払出制御装置311と、表示制御装置45等を備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。尚、電源監視装置540と主制御装置261とは、上記したように封印ユニットで封印されている。
【0093】
次いで、主制御装置261の構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0094】
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
【0095】
なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0096】
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、電源監視装置540内のRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、特別図柄保留表示装置800、普通図柄保留表示装置801や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。なお、特別図柄表示装置は上記したように9個のLEDセグメントで構成されており、普通図柄表示装置は上記したように普通図柄用の第1および第2ランプで構成されており、特別図柄保留表示装置800は上記したように特別図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ800aで構成されており、普通図柄保留表示装置801は上記したように普通図柄に関する保留球の個数を表示する保留ランプ801aで構成されている。
【0097】
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0098】
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのエリアが備えられている。
【0099】
なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電時の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0100】
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、払出モータ358aがそれぞれ接続されている。
【0101】
発射制御装置312は、発射ソレノイドによる遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射ソレノイドは、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311からカードユニットとの接続状態であることを示す接続信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射制御装置312は発射許可信号を主制御装置261に出力する。発射許可信号を入力した主制御装置261は、発射ソレノイド制御信号を発射制御装置312に出力する。これにより発射制御装置312は発射ソレノイド制御信号に応じて発射ソレノイドを駆動し、その結果、遊技球発射ハンドルの操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
【0102】
サブ制御装置262は、主制御装置261からのコマンドに基づいて装飾図柄の変動表示に応じた演出用スピーカ810等の鳴動制御及び演出用ランプ811の点灯(点滅)制御、並びに、主制御装置261からのコマンドに基づいて表示制御装置45へのコマンドを編集して表示制御装置45に送信する機能を果たすものである。サブ制御装置262のMPU550には、そのMPU550により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM551と、ワークメモリ等として使用されるRAM552とを備えている。MPU550には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン553を介して入出力ポート554が接続されている。入出力ポート554には、スピーカ、ランプ、装飾図柄表示装置42における変動表示中において所定の表示演出を実行させるための演出用ボタン79、及び主制御装置261がそれぞれ接続されている。演出用ボタン79としては、例えば所定のキャラクタが順次出現する態様によって大当たり状態の可能性が大きいことを予告するステップアップ予告等の表示演出用ボタン等が挙げられる。なお、演出用ボタン79が押されると、所定の演出実行のための演出指定コマンドが生成されて、装飾図柄表示装置42に送信されようになっている。
【0103】
表示制御装置45は、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置45は、ワークRAM等として使用されるRAM523を有するMPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529とを備えている。
【0104】
MPU521は、サブ制御装置262から送信されてくる図柄表示コマンド(停止図柄コマンド、変動パターンコマンド、確定コマンド等)を入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し、又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行って画像コントローラ526の制御(具体的には画像コントローラ526に対する内部コマンドの生成)を実施する。プログラムROM522は、MPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値を記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。RAM523は、MPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
【0105】
画像コントローラ526は、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)で構成されている。VDPは、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路であり、ICチップ化されているため、「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は描画処理専用のソフトウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。画像コントローラ526は、MPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して、出力ポート529を介して装飾図柄表示装置42に出力して表示させる。
【0106】
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRAM524の内容を書き換えることにより装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM525には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。特に、ビットマップ形式の図柄画像データにはそれぞれ図柄コード(図柄番号)が付与されており、コマンドレベルでは各図柄画像を図柄コードだけで管理可能としている。なお、キャラクタROM525を複数設け、各キャラクタROM525に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、プログラムROM522に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM525に記憶する構成とすることも可能である。
【0107】
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541を備えている。この電源部541は、電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を、電源監視装置540、サブ制御装置262、払出制御装置311、表示制御装置45等に対して供給する。なお、主制御装置261に対しては、電源監視装置540を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。また、発射制御装置312に対しては、主制御装置261を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
【0108】
電源監視装置540は、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、リセット信号を出力するリセット回路544と、を備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
【0109】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチが押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。なお、払出制御装置311への信号の送信は、主制御装置261を介して行われる。
主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
【0110】
リセット回路544は、主制御装置261、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45を初期化するため、リセット信号を出力する回路である。なお、リセット回路544からのリセット信号は、主制御装置261に対しては直接与えられるが、払出制御装置311、サブ制御装置262、及び表示制御装置45に対しては、電源装置313を介して与えられるようになっている。
【0111】
ここで、特別図柄表示装置、普通図柄表示装置、及び装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。なお、本実施形態のパチンコ機10においては、大当たりの発生を遊技者に示すための図柄として特別図柄表示装置で表示される特別図柄と、装飾図柄表示装置42で表示される装飾図柄との2種類が設けられている。装飾図柄は、特別図柄と同期して変動が行われる図柄であり、特別図柄の変動開始と同時に(又はほぼ同時期に)変動を開始し、また特別図柄の変動停止と同時に(またはほぼ同時期に)変動を停止するものである。この装飾図柄は、遊技者に多種多様な表示演出を行って飽きにくい遊技性を備えるために設けられている。
【0112】
先ず、特別図柄表示装置の表示内容について説明する。特別図柄の変動表示は、9個のLEDセグメントの点灯パターンの変化により表現される。この特別図柄の変動表示は遊技球の始動入賞装置33への入賞に基づいて開始され、一定時間後に特別図柄の変動表示が同時に停止する。その停止後に、大当たりを示す点灯パターンあるいは外れを示す点灯パターンが表示され、外れの場合は、始動入賞装置33への入賞に基づいて再度の変動表示が行われる。遊技球が始動入賞装置33に入賞した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が特別図柄保留表示装置800の保留ランプ800aにて点灯表示されるようになっている。
【0113】
次いで、装飾図柄表示装置42の表示内容について説明する。装飾図柄表示装置42の表示画面には、例えば、上段・中段・下段に区分けされた3つの表示領域に3つの装飾図柄列Z1〜Z3が表示される。これら装飾図柄列Z1〜Z3は、右から左にスクロール表示される。装飾図柄は、例えば「1」〜「9」の数字からなる主図柄と、主図柄より小さい副図柄とにより構成され、これら各主図柄および副図柄によって装飾図柄の図柄列が形成される。装飾図柄で形成される各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間にそれぞれ副図柄が配列されている。始動入賞装置33への入賞すなわち始動入賞が発生すると、装飾図柄の変動表示が行われ、変動パターンに応じた一定時間の経過後に変動表示が停止し、装飾図柄表示装置42には縦3×横3の9個の装飾図柄が表示結果として表示される。大当たり抽選に当選した変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めの一直線上に同一の主図柄が3つ揃って停止するように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に大当たりの発生が示される。一方、大当たり抽選に外れた変動表示においては、9個の装飾図柄のうち垂直あるいは斜めのいずれにも同一の主図柄が3つ揃って停止しないように表示制御装置45により制御が行われ、遊技者に外れの発生が示される。
【0114】
次いで、普通図柄表示装置の表示内容について説明する。普通図柄の変動表示は、第1ランプ(外観が○形状)と、第2ランプ(外観が×形状)とが交互に点灯することにより表現される。この普通図柄の変動表示は遊技球が第2の始動入賞装置34を通過することを条件として開始され、一定時間後に普通図柄の変動表示が停止する。そして、第1ランプで停止した場合に第1の始動入賞装置33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動入賞装置34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が普通図柄保留表示装置801の保留ランプ801aにて点灯表示されるようになっている。
【0115】
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。本形態では、主制御装置261内のMPU501は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選や特別図柄表示装置の図柄表示の設定などを行うこととしている。具体的には、特別図柄に関連するカウンタ群と、普通図柄に関連するカウンタ群とを備えている。先ず、特別図柄に関連するカウンタ群について説明する。特別図柄に関連するカウンタ群としては、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、特別図柄表示装置の大当たり図柄の選択に使用する大当たり図柄カウンタC2と、特別図柄表示装置が外れ変動する際の停止パターンの選択(装飾図柄の変動においてはリーチとするか完全外れとするかのリーチ抽選に相当する)に使用する停止パターン選択カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する種別を決定する変動種別カウンタCS1〜CS3とを備えている。
【0116】
ここで、変動パターンとは、変動表示の特徴が共通するものを区分した場合における各パターン(形態)を意味している。
【0117】
上記カウンタC1〜C3,CINI1,CS1〜CS3、は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア700が設けられており、これらの各エリアには、始動入賞装置33への遊技球の入賞タイミングに合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり図柄カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
【0118】
次いで、各カウンタの具体的な内容について詳述する。
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINI1の値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINI1は、大当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,577,631,683,733」である。なお、高確率時とは、特別図柄の組み合せが予め定められた確率変動図柄である特定図柄の組み合せによって大当たりになり付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確変の時をいい、通常時(低確率時)とはそのような確変状態でない場合をいう。
【0119】
大当たり図柄カウンタC2は、大当たりの際、特別図柄表示装置における特別図柄の変動停止時の図柄を決定するものであり、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。例えば、大当たり図柄カウンタC2の値が「0」、「1」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは非特定図柄(通常の大当たり図柄)を意味する。
【0120】
大当たり図柄カウンタC2の値が「2」、「3」、「4」の場合の停止図柄は、9個のLEDセグメントが上記とは別の特定の点灯パターンで停止し、この場合の停止図柄の組み合せは特定図柄(確率変動図柄)を意味する。
【0121】
大当たり図柄カウンタC2は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
【0122】
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本形態では、特別図柄の変動表示は、9つのLEDセグメントで表現するように構成されているので、特別図柄の場合にはリーチという概念はなく、リーチに相当する停止パターンを停止パターン選択カウンタC3によって、決定することとしている。一方、装飾図柄の場合は、3つの装飾図柄が停止するので、リーチが存在する。従って、装飾図柄の場合は、リーチ抽選を、停止パターン選択カウンタC3によって決定している。即ち、装飾図柄の場合では、リーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。例えば、停止パターン選択カウンタC3=0〜201が完全外れに該当し、停止パターン選択カウンタC3=202〜208が前後外れリーチに該当し、停止パターン選択カウンタC3=209〜238が前後外れ以外リーチに該当する。
【0123】
ここで、リーチとは、装飾図柄表示装置42の表示画面に表示される装飾図柄が変動表示を開始した後、先に停留する図柄の組み合せが同一図柄(複数の有効ラインがある装飾図柄においてはいずれかの有効ライン上で同一図柄)であって大当たりの条件を満たしており、変動表示が続いている図柄の表示結果如何によっては大当たりとなることを遊技者に示唆して大当たりの図柄の組み合せを遊技者に期待させる表示であり、興趣演出の1種である。興趣演出とは、変動表示の途中で装飾図柄表示装置42の表示画面にリーチに代表される所定の図柄を現出させたり、スピーカから特定の音声を出力したり、或いは、振動用のモータによって遊技球発射ハンドル18を振動させる等、通常とは異なる態様を変動表示に伴わせて変動表示後の表示結果が大当たりとなることを遊技者に期待させる演出である。
【0124】
なお、停止パターン選択カウンタC3は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が始動入賞装置33に入賞したタイミングでRAM503の保留球格納エリア700に格納される。
【0125】
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS3は、例えば0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後0に戻る構成となっている。
変動種別カウンタCS1によって、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチの種別のような大まかな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばノーマルリーチA、ノーマルリーチB等のようにさらに細かな図柄変動態様が決定され、変動種別カウンタCS2によって、例えばすべり停止変動の場合の変動時間の加減算が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1〜CS3を組み合わせることで、変動パターンの多種多様性を容易に実現できる。
【0126】
カウンタCS1〜CS3は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、特別図柄表示装置による特別図柄及び装飾図柄表示装置42による装飾図柄の変動開始時における変動パターン決定に際してカウンタCS1〜CS3のバッファ値が取得される。
【0127】
次いで、普通図柄に関連するカウンタ群について説明する。普通図柄に関連するカウンタ群としては、当たりの抽選に使用する当たり乱数カウンタC4と、当たり乱数カウンタC4の初期値設定に使用する初期値乱数カウンタCINI2とを備えている。
【0128】
上記当たり乱数カウンタC4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM503の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM503には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア701が設けられており、これらの各エリアには、第2の始動入賞装置34への遊技球の通過に合わせて、当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
【0129】
次いで、上記当たり乱数カウンタC4,初期値乱数CINI2の具体的な内容について詳述する。当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻る構成となっている。そして、当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の当たり初期値乱数カウンタCINI2の値が当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。なお、初期値乱数カウンタCINI2は、当たり乱数カンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込毎に1回更新されると共に通常処理の残余時間内で繰り返し更新される。当たり乱数カウンタC4は定期的に(本形態ではタイマ割込毎に1回)更新され、遊技球が第2の始動入賞装置34を通過したタイミングでRAM503の保留球格納エリア701に格納される。当たり乱数カウンタC4の当たりとなる乱数の値の数は149で、その値は「5〜153」である。
【0130】
なお、各カウンタの大きさや範囲は一例にすぎず任意に変更できる。但し、不規則性を重視すれば、大当たり乱数カウンタC1、停止パターン選択カウンタC3、当たり乱数カウンタC4、変動種別カウンタCS1〜CS3の大きさは何れも異なる素数とし、いかなる場合にも同期しない数値としておくのが望ましい。
【0131】
尚、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理の詳細については、ここでは詳細説明を省く。
しかし、要約すれば、上述のように、始動入賞装置33への入賞により、主制御装置261において所定の確率の当否抽選がなされ、当たりに際しては、特別遊技状態に移行するのであり、これに伴って可変入賞装置32が入賞球の受球状態となるものである。
【0132】
(可変入賞装置と捕集部)
この実施例においては、上記の可変入賞装置32は、次のように構成されている。
この可変入賞装置32の基本構成は、遊技盤30の横方向に複数の遊技球を通過させることのできる幅を持つ大入賞口61からの入球を収容部(図示せず)に収容し、該収容部に設けた排出部から検出センサ(図示せず)に至って検出するように構成されている。
【0133】
そして、前記遊技盤30の遊技領域に、窓部101と遊技盤30との間の流下空間を流下する遊技球を入球させる始動入賞装置33(33a及び33b:図4および図10参照)が設けられ、前記始動入賞装置33への入球により、主制御装置261によって、所定の確率の当否抽選が行われ、該当たり抽選によって遊技状態が特別遊技状態に移行し、該特別遊技状態において、少なくとも1回、前記可変入賞装置32が、非受球状態から受球状態に切り替わり、前記受球状態において、前記大入賞口61から収容部に収容された規定数の入賞球を、前記検出センサにより検出することによって規定数の賞球を払い出すように構成してある。
【0134】
(作用)
上述の通り、本パチンコ機10は、発射装置を備える遊技機本体と、該遊技機本体に背面側から取り付けられる遊技盤30とを備える構成において、上記遊技盤30が、発射球が導かれる遊技領域が前面に設けられ、光透過性を有する樹脂よりなる遊技板部材301と、上記遊技板部材301の裏面の一部に固定される裏打部材302とを備え、上記裏打部材302が、上記遊技板部材301の端面に沿って前方へ延出する延出部として前側周壁部304T、304B、304L、304Rを有して該前側周壁部304T、304B、304L、304Rで遊技板部材301の周囲の大部分(下側延出部301Eおよび左側延出部301Fを除く)を保護し、上記遊技盤30を遊技機本体の側にある内枠12に取り付ける際に、上記遊技板部材301の前面と、上記内枠12において上記遊技板部材に対向する取付面すなわち右前壁12Rおよび左前壁12Lの裏側面とが当接することにより、上記遊技機本体に対する上記遊技盤30の前後位置が定められる構成となっている。
【0135】
上記パチンコ機10の構成によれば、遊技板部材301の裏面および端面の少なくとも一部が裏打部材302により覆われるため、パチンコ機10の製造工程において取扱いや立て置きの際になんらかの外力を受けた場合でも、遊技板部材301が裏打部材302によりこの外力から防護されて損傷し難くなっている。
【0136】
このとき、仮に、裏打部材における延出部の延出端が遊技機本体に当接することにより遊技機本体に対する遊技盤の前後位置が定められるようになっていると、遊技板部材と裏打部材との組付具合が厳密に一定せずこれらの前後方向における相対位置に少しでもズレが生じると、遊技機本体に対する遊技盤の盤面(前面)の前後位置もそのぶんずれることとなり、その結果、発射された遊技球(発射球)が遊技領域に案内される軌道もこれにともなって多少ともずれることになる。
【0137】
これに対し、上記パチンコ機10の構成によれば、遊技盤30を遊技機本体すなわち内枠12に取り付ける際に、遊技板部材301の前面と内枠12の取付面すなわち右前壁12Rおよび左前壁12Lの裏側面とが当接することにより遊技機本体に対する遊技盤30の前後位置が定められる構成となっているので、遊技盤30を内枠12に取り付ける際に、裏打部材302の延出部である前側周壁部304T、304B、304L、304Rの延出端が内枠12に届くことがなく、したがって遊技板部材301と裏打部材302との前後方向における相対位置にズレがあったとしても、遊技盤30の盤面がこのズレに影響されることなく遊技機本体に対して正確な前後位置にくるようになっており、その結果、発射球が遊技領域に安定して正確な軌道で案内されるようになっている。
【0138】
また、上記遊技板部材301の前面が、上記前側周壁部304T、304B、304L、304Rの延出端よりも前方に突出しているので、簡単な構成によって効果的に、遊技盤30を遊技機本体すなわち内枠12に取り付ける際に遊技板部材301の前面と内枠12の取付面すなわち右前壁12Rおよび左前壁12Lの裏側面とが当接することにより遊技機本体に対する遊技盤30の前後位置が定められるようにすることができる。
【0139】
また、上記遊技板部材301における下端部の一部である下側延出部301Eが裏打部材302の下端よりも下方に延出し、上記遊技盤30を遊技機本体の側にある内枠12に取り付ける際に、上記下側延出部301Eの下端が内枠12の支承面12Bに当接することにより上記遊技機本体に対する上記遊技盤30の上下位置が定められる構成となっているので、遊技板部材301と裏打部材302との上下方向における相対位置にズレがあったとしても、遊技盤30の盤面がこのズレに影響されることなく遊技機本体に対して正確な上下位置にくるようになっており、この結果、発射球が遊技領域に安定して正確な軌道で案内されるようになっている。また、上記下側延出部301Eの下端と内枠12との間に、不正具等の進入を可能とする隙間が形成され難くなっている。
【0140】
また、上記遊技板部材301の下端部における内枠12との当接部である下側延出部301Eが第1の始動入賞装置33の下方に位置しているので、特に不正具等の進入が図られやすい部位において隙間が形成され難いようになっている。
【0141】
また、上記裏打部材302の裏面における下端中央部と、該裏打部材302の裏側に配置される球集合板の前面とのうちの一方である裏打部材302の裏面における下端中央部に凹入部として凹入面部318Bが形成され、他方である球集合板の前面に上記凹入面部318Bに対応する突起部が形成され、上記凹入面部318Bに突起部が嵌入した状態で裏打部材302の裏側に球集合板が取り付けられるようになっているので、例えば裏打部材302と球集合板との間に下方から不正具を進入させようとした場合、その進入経路上に突起部が位置するため、不正具の進入が該突起部により阻まれて困難となっている。
【0142】
また、上記裏打部材302の全体が、基本的に表側面(前側面)を壁面とし、裏側(後側)を開放してその開放空間内に格子状リブを形成した構成を有し、裏打部材302(下側片302B)の下端中央部においては裏側面(後側面)を壁面とし、表側(前側)を開放してその開放空間内に格子状リブを形成した構成となっているので、特に不正具等の進入が図られやすい下端中央部において、裏打部材302(下側片302B)と球集合板とが隙間なく面同士で当接して不正具が進入し難いようになっている。
【0143】
また、本パチンコ機10は、図25に示すように、発射装置から発射された遊技球を案内する、内レール51および外レール52を有するレールユニット50と、該レールユニット50に案内された遊技球が流下する遊技領域とを前面に有する遊技盤30を備える構成において、ある1枚の遊技盤(上側遊技盤)30Hが、該上側遊技盤30Hとは別の遊技盤(下側遊技盤)30Lのレールユニット50の少なくとも一部に嵌合し得るレール嵌合部として内側溝315および外側溝316を裏面に備え、上記上側遊技盤30Hの内側溝315および外側溝316と上記下側遊技盤30Lの内レール51および外レール52とが嵌合することにより、上記上側遊技盤30Hと上記下側遊技盤30Lとの盤面方向における相対的な移動が規制される構成となっている。
【0144】
上記本パチンコ機10の構成によれば、パチンコ機10の製造工程において複数の遊技盤30すなわち例えば図25に示す上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとが積み重ねられた場合に、上側遊技盤30Hのレール嵌合部である内側溝315および外側溝316と下側遊技盤30Lの内レール51および外レール52の少なくとも一部とが嵌合することにより、当該上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとの盤面方向における相対的な移動が規制されることで、これら遊技盤30H、30Lが盤面方向に沿ってずれることが抑制され、これにより複数の遊技盤30が安定して積み重ねられ得るようになっている。このとき、樹脂よりなる遊技盤の場合には特にレールと遊技盤とが滑ってずれやすいが、本パチンコ機10のように内側溝315および外側溝316と内レール51および外レール52とを嵌合させて相対的な移動を規制することによって盤面方向のズレを抑制するようにしたことにより、複数の遊技盤30を積み重ねたときの安定性を確保しながら、遊技盤30の材質として、レールに対する滑りやすさの度合いを考慮することなく、任意の材質を用いることもできるようになっている。
【0145】
また、下側遊技盤30Lの上に上側遊技盤30Hを積み重ねると、上側遊技盤30Hの外側溝316の内奥面(底面)と下側遊技盤30Lの外レール52とが当接しない状態で、上側遊技盤30Hの内側溝315の内奥面(底面)と下側遊技盤30Lの内レール51とが優先的に当接するようになっているので、上側遊技盤30Hが内側溝315の内奥面(底面)で下側遊技盤30Lの内レール51の上に載って支持され、一方、外側溝316の内奥面(底面)は下側遊技盤30Lの外レール52との間に間隔をおいた(浮いた)体勢に保持され、したがって下側遊技盤30Lの内レール51のみが上側遊技盤30Hの荷重を受けるようになっている。これにより、上側遊技盤30Hの荷重が内レール51のみにかかり、発射球の軌道に与える影響が直接的で断然大きい外レール52には荷重がかからず変形等がより生じ難いようになっている。
【0146】
また、上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとが盤面方向に相対的にずれようとすると、上側遊技盤30Hの外側溝316の一方側面と下側遊技盤30Lの外レール52とが当接しない状態で、上側遊技盤30Hの内側溝315の一方側面と下側遊技盤30Lの内レール51とが優先的に当接するようになっているので、例えば下側遊技盤30L上への上側遊技盤30Hの積み重ねの作業時や作業後などに、上側遊技盤30Hと下側遊技盤30Lとを盤面方向に沿ってずれさせるような何らかの外力が加わった場合、この外力は内レール51と内側溝315との間のみで伝達(作用)し、外レール52と外側溝316との間では伝達(作用)することがなく、したがって、この盤面方向における外力によっても、外レール52が影響を受けることがなく、変形等が生じ難いようになっている。
【0147】
また、上記遊技盤30が樹脂よりなるものとなっている。樹脂よりなる遊技盤の場合には特にレールと遊技盤とが滑ってずれやすいので、本パチンコ機10のように内側溝315および外側溝316と内レール51および外レール52とを嵌合させて相対的な移動を規制することによって盤面方向のズレを抑制するようにした構造が有用である。
【0148】
(変更態様)
上記パチンコ機10には、例えば以下に列挙するように様々な変更を加えることが可能である。
【0149】
(1)前記実施形態においては、遊技板部材301の前面が裏打部材302の前側周壁部304T、304B、304L、304Rの延出端よりも前方に突出する構成となっていたが、これにかえて、あるいはこれとあわせて、遊技機本体において遊技板部材に対向する取付面(即ち前記実施形態の場合には内枠12の右前壁12Rおよび左前壁12Lの裏側面)の少なくとも一部が遊技板部材に向かって突出する構成としてもよい。図32は後者の構成の一例を示す模式横断面図である。同図に示す例においては、遊技板部材471(図では下側延出部471E)の前面と、裏打部材472の前面(即ち前側周壁部474Bの延出端)とが同一面をなすようにして遊技盤47が構成されている。一方、遊技機本体側の内枠48の右前壁48Rおよび左前壁48Lは、全体的に前記実施形態の場合よりもやや前方に迫り出すように形成され、内枠48の右前壁48Rおよび左前壁48Lの裏側面が、内枠48の前面パネル(図示せず)の前面すなわち発射レール38取付面の位置よりもやや前方に位置するように形成されている。内枠48において遊技板部材471に対向する部位である、右前壁48Rの左側端縁部および左前壁48Lの右側端縁部はそれぞれ後方へやや延出して、右当接リブ481Rおよび左当接リブ481Lが形成されている。
【0150】
上記遊技盤47を遊技機本体の側にある内枠48に取り付ける際には、上記遊技板部材471の前面(図では下側延出部471Eの両側端縁部)と、上記内枠48において上記遊技板部材471に対向する取付面である右当接リブ481Rおよび左当接リブ481Lの延出端面とが当接することにより、上記遊技機本体に対する上記遊技盤47の前後位置が定められる。このとき、右前壁48Rの裏側面における右当接リブ481Rより右方部ならびに左前壁48Lの裏側面における左当接リブ481Lより左方部と、裏打部材472の前面(即ち前側周壁部474Bの延出端)との間には、間隙49R、49Lがそれぞれ形成される。また、遊技板部材471の前面(図では下側延出部471Eの両側端縁部)と内枠48の右当接リブ481Rおよび左当接リブ481Lの延出端面との当接位置T14、T15を図では便宜的に×印で指示しているが、言うまでもなくここでの当接は面同士による面接触である。なお、例えば、当接リブの延出端および遊技板部材の前面のいずれか一方を線状(稜線状)、1または複数の点状(錐状、半球状等)等に形成して、両者の当接を線と面との線接触、点と面との点接触等としてもよい。また、図における48Bは内枠48において遊技盤47を支承する支承面である。
【0151】
本変更態様においては、内枠48の右当接リブ481Rおよび左当接リブ481Lが遊技板部材471の下側延出部471Eの前面に当接する構成となっているが、例えば内枠の少なくとも一部が遊技板部材471の下側延出部471E以外の部位に当接する構成としてもよい。
【0152】
(2)前記実施形態においては、遊技板部材301における下端部の一部である下側延出部301Eが裏打部材302の下端よりも下方に延出する構成となっていたが、これにかえて、あるいはこれとあわせて、遊技機本体において遊技板部材の下面に対向する部位(即ち前記実施形態の場合には内枠12の支承面12B)の少なくとも一部が遊技板部材に向かって上方に突出する構成としてもよい。図33は後者の構成の一例を示す模式部分正面図である。同図に示す例においては、遊技板部材571(図では下側延出部571E)の下面と、裏打部材572の下面とが同一面をなすようにして遊技盤57が構成されている。一方、遊技機本体側の内枠58において遊技板部材571の下面に対向する面の中央部が、下側延出部571Eの下端面に向けて上方へ段状に突出して当接段部581Eが形成されている。
【0153】
上記遊技盤57を遊技機本体の側にある内枠58に取り付ける際には、上記遊技板部材571の下側延出部571Eの下面が、上記内枠58の当接段部581Eの上端面に上方から当接してこの上に支承されることにより、上記遊技機本体に対する上記遊技盤57の上下位置が定められる。このとき、内枠58の当接段部581Eの右側および左側には、内枠58の前面パネル58Fの上端面と裏打部材572の下端面との間に、間隙59R、59Lがそれぞれ形成される。なお、遊技板部材571の下側延出部571Eの下面と内枠58の当接段部581Eの上端面との当接位置T16を図では便宜的に×印で指示しているが、言うまでもなくここでの当接は面同士による面接触である。なお、例えば、当接段部の上端および遊技板部材の下端のいずれか一方を線状(稜線状)、1または複数の点状(錐状、半球状等)等に形成して、両者の当接を線と面との線接触、点と面との点接触等としてもよい。
【0154】
(3)前記実施形態においては、裏打部材302の裏面における下端中央部に凹入部として凹入面部318Bが形成され、該裏打部材302の裏側に配置される球集合板の前面に上記凹入面部318Bに対応する突起部が形成され、上記凹入面部318Bに突起部が嵌入した状態で裏打部材302の裏側に球集合板が取り付けられるようになっていたが、これにかえて、裏打部材302の裏面における下端中央部に突起部を形成し、球集合板の前面に上記突起部に対応する凹入部を形成するようにしてもよい(図示省略)。
【0155】
(4)前記実施形態においては、裏打部材302の内側溝315が外側溝316より浅く形成されていたが、例えば、内側溝および外側溝の深さを同一とし、内レールの遊技盤からの突出幅を外レールの突出幅より大としてもよく、これによっても、下側遊技盤の上に上側遊技盤を積み重ねると、上側遊技盤の外側溝の内奥面(底面)と下側遊技盤の外レールとが当接しない状態で、上側遊技盤の内側溝の内奥面(底面)と下側遊技盤の内レールとが優先的に当接することができる。
【0156】
(5)前記実施形態においては、レールユニット50の少なくとも一部に嵌合し得るレール嵌合部として内側溝315および外側溝316が裏打部材302に形成されていたが、レール嵌合部としては、例えば図34に模式的に示すように、別の遊技盤のレールユニット65の外周に対応する略部分円環状の正面形状を有して遊技盤66の裏面から凹入し、内部にレールユニット65の全体を嵌入させ得る穴67としてもよい。またあるいは、例えば、別の遊技盤のレールの少なくとも一部に当接し得る突起、リブ等としてもよい。図35は、レール嵌合部としてリブを形成した例を示す模式図であり、この例における遊技盤68では、レールユニット69の内周に沿って間隔をおいて複数個所に嵌合リブ71が形成され、該嵌合リブ71がレールユニット69の内周面に当接して嵌合することにより、積み重ねた遊技盤同士の間の盤面方向における相対的な移動が規制される。また、上記溝としては、前記実施形態における内側溝315および外側溝316のように遊技盤の裏面から内方へ凹入するようにして形成されたもの以外にも、例えば遊技盤の裏面から外方へ2条の突条が突出し、両突条の間にレールが嵌入するようにしたもの等であってもよい(図示省略)。ただし、上記リブや突条のように遊技盤の裏面から突出する構造物とすると、例えばレールの全体に対応して形成せずに局部的に形成するようにしてもレール嵌合部として機能することができるため、遊技盤の裏面上においてよりレイアウトしやすくなるという利点もある反面、遊技盤の保管、収納、取扱等の際に邪魔になりやすく、また破損もしやすいといった難点があるため、この観点からは、遊技盤の裏面から内方へ凹入するようにして形成された溝、穴等のほうが好ましい。
【0157】
(6)前記実施形態においては、遊技盤30が樹脂よりなるものとなっていたが、遊技盤の材質は樹脂に限定されるものではなく、例えば従来一般的に使用されているベニヤ板のような木材等も使用することができる。ただし、前述の通り、樹脂よりなる遊技盤の場合には特にレールと遊技盤とが滑ってずれやすいので、本パチンコ機10のように内側溝315および外側溝316と内レール51および外レール52とを嵌合させて相対的な移動を規制することによって盤面方向のズレを抑制するようにした構造が有用となる。さらにまた、光透過性の樹脂よりなる遊技盤の場合には特に傷やひび割れが光の反射等によって目立ちやすいという問題があるので、本パチンコ機10のように遊技板部材301の裏面および端面の少なくとも一部を裏打部材302により覆って防護するようにした構造が有用となる。
【0158】
なお本明細書は、次に掲げる発明をいずれも開示している。
【0159】
本発明にかかる遊技機は、手段A1として、
発射装置を備える遊技機本体と、該遊技機本体に背面側から取り付けられる遊技盤とを備える遊技機であって、
前記遊技盤が、
発射球が導かれる遊技領域が前面に設けられ、光透過性を有する樹脂よりなる遊技板部材と、
前記遊技板部材の裏面の少なくとも一部に固定される裏打部材とを備え、
前記裏打部材が、前記遊技板部材の端面に沿って前方へ延出する延出部を有して該延出部で前記遊技板部材の周囲の少なくとも一部を保護し、
前記遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に、前記遊技板部材の前面と前記遊技機本体の取付面とが当接することにより、前記遊技機本体に対する前記遊技盤の前後位置が定められるようになっていることを特徴とする。
【0160】
本発明において、「遊技板部材」とは、遊技盤における遊技領域が形成される盤面(前面)を含む、板状の基体部をなす部材であり、この遊技板部材に、可変表示装置ユニット(センター役物)取付用の貫通孔、各種入賞口、釘、レール等が配設されることにより遊技盤が構成される。
また、「裏打部材」とは、遊技板部材の被覆、保護、裏張、背景面の付設等の各種の目的で遊技板部材の裏面の少なくとも一部に配置固定される部材である。
【0161】
上記手段A1の構成によれば、遊技板部材の裏面および端面の少なくとも一部が裏打部材により覆われるため、遊技機の製造工程において取扱いや立て置きの際になんらかの外力を受けた場合でも、遊技板部材が裏打部材によりこの外力から防護されて損傷し難くなる。
【0162】
このとき、仮に、裏打部材における延出部の延出端が遊技機本体に当接することにより遊技機本体に対する遊技盤の前後位置が定められるようになっていると、遊技板部材と裏打部材との組付具合が厳密に一定せずこれらの前後方向における相対位置に少しでもズレが生じると、遊技機本体に対する遊技盤の盤面(前面)の前後位置もそのぶんずれることとなり、その結果、発射された遊技球(発射球)が遊技領域に案内される軌道もこれにともなって多少ともずれることになる。
【0163】
これに対し、上記手段A1の構成によれば、遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に、遊技板部材の前面と遊技機本体の取付面とが当接することにより遊技機本体に対する遊技盤の前後位置が定められる構成となっているので、遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に、裏打部材の延出部の延出端が遊技機本体に届くことがなく、したがって遊技板部材と裏打部材との前後方向における相対位置にズレがあったとしても、遊技盤の盤面がこのズレに影響されることなく遊技機本体に対して正確な前後位置にくることとなり、その結果、発射球が遊技領域に安定して正確な軌道で案内されることとなる。
【0164】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A2として、手段A1の遊技機において、
前記遊技板部材の前面が、前記延出部の延出端よりも前方に突出するか、あるいは、前記遊技機本体において前記遊技板部材に対向する取付面の少なくとも一部が前記遊技板部材に向かって突出していることを特徴とする。
【0165】
上記手段A2の構成によれば、簡単な構成によって効果的に、遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に遊技板部材の前面と遊技機本体の取付面とが当接することにより遊技機本体に対する遊技盤の前後位置が定められるようにすることができる。
【0166】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A3として、手段A1または手段A2の遊技機において、
前記遊技板部材における下端部の少なくとも一部が裏打部材の下端よりも下方に延出するか、あるいは、遊技機本体において前記遊技板部材の下面に対向する部位の少なくとも一部が前記遊技板部材に向かって上方に突出し、前記遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に、前記遊技板部材の下端と遊技機本体とが当接することにより遊技機本体に対する前記遊技盤の上下位置が定められるようになっていることを特徴とする。
【0167】
上記手段A3の構成によれば、遊技板部材と裏打部材との上下方向における相対位置にズレがあったとしても、遊技盤の盤面がこのズレに影響されることなく遊技機本体に対して正確な上下位置にくることとなり、この結果、発射球が遊技領域に安定して正確な軌道で案内されることとなる。また、遊技板部材の下端と遊技機本体との間に、不正具等の進入を可能とする隙間が形成され難いようにすることができる。
【0168】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A4として、手段A3の遊技機において、
前記遊技板部材の下端と遊技機本体との当接部が始動入賞装置の下方に位置していることを特徴とする。
【0169】
上記手段A4の構成によれば、特に不正具等の進入が図られやすい部位において隙間が形成され難いようにすることができる。
【0170】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A5として、手段A1から手段A4のいずれかの遊技機において、
前記裏打部材の裏面における下端中央部と、該裏打部材の裏側に配置される球集合板の前面とのうちの一方に凹入部が形成され、他方に前記凹入部に対応する突起部が形成され、前記凹入部に前記突起部が嵌入した状態で前記裏打部材の裏側に前記球集合板が取り付けられるようになっていることを特徴とする。
【0171】
上記手段A5の構成によれば、例えば裏打部材と球集合板との間に下方から不正具を進入させようとした場合、その進入経路上に突起部が位置するため、不正具の進入が該突起部により阻まれて困難となる
【0172】
また、本発明にかかる遊技機は、手段A6として、手段A1から手段A5のいずれかの遊技機において、
前記裏打部材の全体が表側面を壁面とし、裏側を開放してその開放空間内に格子状リブを形成した構成を有し、前記裏打部材の下端中央部においては裏側面を壁面とし、表側を開放してその開放空間内に格子状リブを形成した構成となっていることを特徴とする。
【0173】
上記手段A6の構成によれば、特に不正具等の進入が図られやすい下端中央部において、裏打部材と球集合板とが隙間なく面同士で当接して不正具が進入し難いようにすることができる。
【0174】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B1として、
発射装置から発射された遊技球を案内するレールと、該レールに案内された遊技球が流下する遊技領域とを前面に有する遊技盤を備える遊技機であって、
前記遊技盤が、該遊技盤とは別の遊技盤のレールの少なくとも一部に嵌合し得るレール嵌合部を裏面に備え、
前記遊技盤のレール嵌合部と前記別の遊技盤のレールの少なくとも一部とが嵌合することにより、前記遊技盤と前記別の遊技盤との盤面方向における相対的な移動が規制されるようになっていることを特徴とする。
【0175】
本発明において、「レール嵌合部」は、例えば、別の遊技盤のレールの少なくとも一部に嵌合し得る溝、穴や、あるいは、別の遊技盤のレールの少なくとも一部に当接し得る突起、リブ等をいずれも含意する。また、上記溝には、遊技盤の裏面から内方へ凹入するようにして形成されたもの以外にも、例えば遊技盤の裏面から外方へ2条の突条が突出するようにして形成されたもの等であってもよい。
【0176】
上記手段B1の構成によれば、遊技機の製造工程において複数の遊技盤が積み重ねられた場合に、遊技盤のレール嵌合部と別の遊技盤のレールの少なくとも一部とが嵌合することにより、当該遊技盤と別の遊技盤との盤面方向における相対的な移動が規制されることで、これら遊技盤が盤面方向に沿ってずれることが抑制され、したがって複数の遊技盤が安定して積み重ねられ得ることとなる。このとき、例えば樹脂よりなる遊技盤の場合には特にレールと遊技盤とが滑ってずれやすいが、手段B1のようにレール嵌合部とレールとを嵌合させて相対的な移動を規制することによって盤面方向のズレを抑制することにより、複数の遊技盤を積み重ねたときの安定性を確保しながら、遊技盤の材質として、レールに対する滑りやすさの度合いを考慮することなく、任意の材質を用いることもできることとなる。
【0177】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B2として、手段B1の遊技機において、
前記レールが外レールと内レールとを有して構成されるとともに、前記レール嵌合部が前記外レールおよび内レールにそれぞれ対応する外側溝と内側溝とを有して構成され、前記遊技盤を前記別の遊技盤の上に積み重ねると、上側の遊技盤における外側溝の内奥面と下側の遊技盤における外レールとが当接しない状態で、上側の遊技盤における内側溝の内奥面と下側の遊技盤における内レールとが優先的に当接するようになっていることを特徴とする。
【0178】
上記手段B2の構成によれば、上側の遊技盤が内側溝の内奥面で下側の遊技盤の内レールの上に載って支持され、一方、外側溝の内奥面は下側の遊技盤の外レールとの間に間隔をおいた(浮いた)体勢に保持され、したがって下側の遊技盤の内レールのみが上側の遊技盤の荷重を受けることとなる。これにより、上側の遊技盤の荷重が内レールのみにかかり、発射球の軌道に与える影響が直接的で断然大きい外レールには荷重がかからず変形等がより生じ難くなる。
【0179】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B3として、手段B1または手段B2の遊技機において、
前記レールが外レールと内レールとを有して構成されるとともに、前記レール嵌合部が前記外レールおよび内レールにそれぞれ対応する外側溝と内側溝とを有して構成され、前記遊技盤を前記別の遊技盤の上に積み重ねた際に上側の遊技盤と下側の遊技盤とが盤面方向に相対的にずれようとすると、上側の遊技盤における外側溝の一方側面と下側の遊技盤における外レールとが当接しない状態で、上側の遊技盤における内側溝の一方側面と下側の遊技盤における内レールとが優先的に当接するようになっていることを特徴とする。
【0180】
上記手段B3の構成によれば、例えば下側の遊技盤上への上側の遊技盤の積み重ねの作業時や作業後などに、上側の遊技盤と下側の遊技盤とを盤面方向に沿ってずれさせるような何らかの外力が加わった場合、この外力は内レールと内側溝との間のみで伝達(作用)し、外レールと外側溝との間では伝達(作用)することがなく、したがって、発射球の軌道に与える影響が直接的で断然大きい外レールが盤面方向における外力によって影響を受けることがなく変形等が生じ難くなる。
【0181】
また、本発明にかかる遊技機は、手段B4として、手段B1から手段B3のいずれかの遊技機において、
前記遊技盤が樹脂よりなるものとなっていることを特徴とする。
【0182】
上記手段B4の構成によれば、樹脂よりなる遊技盤の場合には特にレールと遊技盤とが滑ってずれやすいので、本発明のようにレール嵌合部とレールとを嵌合させて相対的な移動を規制することによって盤面方向のズレを抑制するようにした構造が有用となる。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に好適に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0184】
30:遊技盤
301:遊技板部材
302:裏打部材
304B:前側周壁部(延出部)
12:内枠(遊技機本体)
12R:右前壁(取付面)
12L:左前壁(取付面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置を備える遊技機本体と、該遊技機本体に背面側から取り付けられる遊技盤とを備える遊技機であって、
前記遊技盤が、
発射球が導かれる遊技領域が前面に設けられ、光透過性を有する樹脂よりなる遊技板部材と、
前記遊技板部材の裏面の少なくとも一部に固定される裏打部材とを備え、
前記裏打部材が、前記遊技板部材の端面に沿って前方へ延出する延出部を有して該延出部で前記遊技板部材の周囲の少なくとも一部を保護し、
前記遊技盤を遊技機本体に取り付ける際に、前記遊技板部材の前面と前記遊技機本体の取付面とが当接することにより、前記遊技機本体に対する前記遊技盤の前後位置が定められるようになっていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−5641(P2012−5641A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143846(P2010−143846)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】