説明

遊技機

【課題】可動体の変位に伴い、遊技者の困惑を抑制することができる遊技機を提供する。
【解決手段】可動体は、表示領域の前方に位置するように変位可能である。
統括制御用CPUは、図柄変動ゲーム中において、始動保留球を示す保留画像を表示する保留表示領域の全領域の前方に位置しない状態からその保留表示領域の少なくとも一部の前方に位置するように可動体が変位する可動体演出を実行させる場合に、その保留表示領域に表示されている全ての保留画像を通常時態様とは異なる特殊時態様に制御する一方で、その図柄変動ゲームの終了までに通常時態様に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を変位させる可動体演出を実行させる遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機では、始動入賞口への遊技球の入球を契機に、図柄を変動させて行う図柄変動ゲームが行われ、その結果、大当りとなった場合には、多数の賞球が払い出される機会が与えられる。なお、一般的に、図柄変動ゲームの実行中に始動入賞口へ遊技球が入球された場合、その遊技球の入球に基づく図柄変動ゲームの実行を始動保留球として保留することができるようになっており、その始動保留球を示す保留画像が表示される。
【0003】
また、近年のパチンコ遊技機には、モータやソレノイドなどの駆動源からの動力により変位する可動体が配設されており、可動体を動作させて行う可動体演出を実行している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−215953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなパチンコ機において、表示されていた保留画像が可動体の変位により隠れてしまい、視認できないようになる、又は視認し難くなることがあり、遊技者の困惑を招くおそれがあった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、可動体の変位に伴い、遊技者の困惑を抑制することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技に関する演出画像を表示する表示領域を有する表示手段と、前記表示手段の表示制御を行う表示制御手段と、を備えた遊技機において、遊技球が入球可能な始動手段と、前記始動手段に遊技球が入球したときに図柄を変動させて行う図柄変動ゲームの実行の保留を示す始動保留球を記憶する保留記憶手段と、前記表示手段における前記表示領域の前方に位置するように変位可能な可動体と、を備え、前記表示領域には、始動保留球を示す保留画像を表示する保留表示領域が設定されており、前記表示制御手段は、図柄変動ゲーム中において、前記保留表示領域の全領域の前方に位置しない状態から該保留表示領域の少なくとも一部の前方に位置するように前記可動体が変位する可動体演出を実行させる場合に、該保留表示領域に表示されている全ての保留画像を通常時態様とは異なる特殊時態様に制御する一方で、該図柄変動ゲームの終了までに通常時態様に制御することを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記特殊時態様は、前記保留表示領域に表示されている保留画像を非表示にさせる態様であり、前記通常時態様は、前記保留表示領域における保留画像を表示させる態様であることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の遊技機において、遊技機全体を制御する制御手段を備え、前記制御手段は、図柄変動ゲーム中における前記可動体演出を実行させる場合に、保留画像の表示を非表示にさせるための保留画像非表示コマンドを出力するとともに、該図柄変動ゲームの終了までに、非表示にさせた保留画像を表示させるための保留画像非表示解除コマンドを出力することを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の遊技機において、図柄変動ゲームが大当りとなるか否かを判定する大当り判定手段を備え、前記制御手段は、前記大当り判定手段の判定結果が肯定の場合には、否定の場合よりも高い確率で、前記保留表示領域に表示されている保留画像を前記特殊時態様に制御することを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の遊技機において、前記表示制御手段は、図柄変動ゲーム中において、前記可動体演出の実行が開始されるときに、該保留表示領域に表示されていた保留画像の表示を前記特殊時態様に制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、可動体の変位に伴い、遊技者の困惑を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】パチンコ遊技機の機表側を示す正面図。
【図2】パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図。
【図3】変動パターンを示す説明図。
【図4】(a)〜(h)は、演出表示装置における表示態様と可動体の態様とを説明する模式図。
【図5】保留制御処理を示すフローチャート。
【図6】保留画像表示制御処理を示すフローチャート。
【図7】(a)〜(d)は、各種演出における演出態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施形態]
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した第1の実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、パチンコ遊技機の遊技盤10のほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部GHを有する表示手段としての演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11には、複数の図柄列(本実施形態では3列)を変動表示させて行う図柄変動ゲーム(以下、「変動ゲーム」と示す)を含み、該変動ゲームに関連して実行される各種の表示演出が画像表示される。なお、演出表示装置11の変動ゲームは、表示演出を多様化するための飾り図柄(演出図柄、以下、「飾図」と示す)を用いて行われる。
【0016】
また、演出表示装置11の左下には、複数個(本実施形態では7個)の特図発光部を有する特別図柄表示装置12が配設されている。特別図柄表示装置12では、特別図柄(以下、「特図」と示す)を変動させて表示する変動ゲームが行われる。特図は、大当りか否かの内部抽選(大当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。本実施形態において、変動ゲームは、特別図柄表示装置12において、特図の変動表示が開始されてから確定停止表示される迄を1回として実行される。
【0017】
本実施形態において特別図柄表示装置12には、複数種類(本実施形態では、101種類)の特図の中から、大当り抽選の抽選結果に対応する1つの特図が選択され、その選択された特図が変動ゲームの終了によって個別に確定停止表示される。101種類の特図は、大当りを認識し得る図柄となる100種類の大当り図柄(大当り表示結果)と、はずれを認識し得る図柄となる1種類のはずれ図柄(はずれ表示結果)とに分類される。また、大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される。
【0018】
また、本実施形態において演出表示装置11には、複数の図柄列毎に[1]〜[7]の7種類の数字が飾図として表示されるようになっている。そして、本実施形態において演出表示装置11は、特別図柄表示装置12に比較して大きい表示領域で構成されるとともに、飾図は特図に比較して遥かに大きく表示されるようになっている。このため、遊技者は、演出表示装置11に確定停止表示された図柄から大当り又ははずれを認識し得る。
【0019】
そして、演出表示装置11には、特別図柄表示装置12の表示結果に応じた表示結果が表示される。具体的に言えば、特別図柄表示装置12に大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にも大当り図柄(大当り表示結果)が確定停止表示される。本実施形態において、飾図による大当り図柄としては、全列の図柄が同一図柄となる図柄組み合わせである(例えば、[222][777]など)。
【0020】
また、特別図柄表示装置12にはずれ図柄が確定停止表示される場合には、演出表示装置11にもはずれ図柄(はずれ表示結果)が確定停止表示される。本実施形態において、飾図によるはずれ図柄としては、全列の図柄が異なる図柄となる図柄組み合わせ(例えば、[135][246]など)、又は1列の図柄が他の2列の図柄とは異なる図柄となる図柄組み合わせである(例えば、[121][767]など)。
【0021】
また、演出表示装置11では、遊技者側から見て左列→右列→中列の順に図柄の変動表示が停止するようになっており、特定の2列(本実施形態では左右の2列)に同一の図柄が一旦停止表示された場合、リーチ状態が形成される。ここで、一旦停止表示とは、画像表示部GHにおいてゆれ変動状態で表示されている状態であり、画像表示部GHにおいて図柄が確定停止している確定停止表示とは区別される。本実施形態では、複数の図柄列のうち左列が第1停止列、右列が第2停止列(直前停止列)、中列が第3停止列(最終停止列)となり、左列及び右列がリーチ状態を形成するリーチ形成列となる。
【0022】
特別図柄表示装置12の左上には、複数個(本実施形態では2個)の特図保留発光部を有する特別図柄保留表示装置13が配設されている。特別図柄保留表示装置13は、機内部で記憶した変動ゲームにおける特図用の始動保留球の記憶数を遊技者に報知する。なお、以下、変動ゲームにおける特図用の始動保留球の記憶数を「保留記憶数」と示す。保留記憶数は、遊技盤10に配設した始動手段としての第1始動入賞口14、又は第2始動入賞口15に遊技球が入賞することで「1」加算される一方で、変動ゲームの開始により「1」減算される。したがって、変動ゲーム中に第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15へ遊技球が入賞すると、保留記憶数は更に加算されるとともに、所定の上限数(本実施形態では「4」)まで累積される。なお、この特別図柄保留表示装置13は、常に保留記憶数を示す装置である。
【0023】
また、特別図柄表示装置12の右下には、複数個(本実施形態では2個)の普図発光部を有する普通図柄表示装置20が配設されている。普通図柄表示装置20では、複数種類の普通図柄を変動させて表示する普通図柄変動ゲームが行われる。普通図柄は、普通当りか否かの内部抽選(普通当り抽選)の結果を示す報知用の図柄である。なお、以下、普通図柄を「普図」と示し、普通図柄ゲームを「普図ゲーム」と示す。また、この普図ゲームにおいても変動ゲームと同じように、遊技盤10に配設した作動ゲート19に遊技球が通過(入球)することで普図用の始動保留球(普図始動保留球)が記憶される。この普図始動保留球の記憶数(普図保留記憶数)は、作動ゲート19への遊技球の通過により、所定の上限数(本実施形態では「4」)を上限として「1」加算される一方で、普図ゲームの開始により「1」減算される。また、本実施形態において、変動ゲームと普図ゲームとは同時に実行可能である。
【0024】
演出表示装置11の下方には、遊技球の第1入賞口14aを有する第1始動入賞口14が配設されている。第1始動入賞口14の奥方には入賞した遊技球を検知する始動口スイッチSW1(図2に示す)が配設されている。第1始動入賞口14は、入賞した遊技球を始動口スイッチSW1で検知することにより、変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。
【0025】
また、第1始動入賞口14の右下には、遊技球の第2入賞口15aを有する第2始動入賞口15が配設されている。第2始動入賞口15は普通電動役物とされ、普通電動役物ソレノイドSOL1(図2に示す)の作動により開閉動作を行う開閉手段としての開閉羽根16を備えている。第2始動入賞口15は、開閉羽根16の開動作により入口が拡大されて遊技球が入賞(入球)し易い開状態(第1状態)とされる一方で、開閉羽根16の閉動作により入口が拡大されずに遊技球が入賞し難い閉状態(第2状態)とされる。そして、第2始動入賞口15の奥方には入賞した遊技球を検知する始動口スイッチSW1(図2に示す)が配設されている。第2始動入賞口15は、入賞した遊技球を始動口スイッチSW1で検知することにより、変動ゲームの始動条件と予め定めた個数の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。
【0026】
また、演出表示装置11の右下には、作動ゲート19が配設されている。作動ゲート19の奥方には、通過した遊技球を検知するゲートスイッチSW4(図2に示す)が配設されている。作動ゲート19は、通過した遊技球をゲートスイッチSW4で検知することにより、普図ゲームの始動条件を付与し得る。普図ゲームは、第2始動入賞口15の開閉羽根16を開状態とするか否かの抽選結果を導出するために行われる演出である。即ち、普通当り抽選に当選すると、開閉羽根16の開放によって第2始動入賞口15に遊技球を入賞させ易くなり、遊技者は、第2変動ゲームの始動条件と賞球を容易に獲得できる機会を得ることができる。
【0027】
また、第2始動入賞口15の下方には、大入賞口ソレノイドSOL2(図2に示す)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉17を備えた大入賞口18が配設されている。大入賞口18の奥方には、入賞した遊技球を検知するカウントスイッチSW3(図2に示す)が配設されている。特別入賞口としての大入賞口18は、入賞した遊技球を検知することにより、予め定めた個数(例えば、15個)の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。大入賞口18は、大当り遊技中に大入賞口扉17の開動作によって開放されることで遊技球の入賞が許容される。このため、大当り遊技中、遊技者は、賞球を獲得できる機会を得ることができる。
【0028】
この大当り遊技は、大当り抽選で大当りに当選し、特別図柄表示装置12の変動ゲームで大当り図柄が確定停止表示されて該ゲームの終了後、開始される。大当り遊技が開始すると、最初に大当り遊技の開始を示すオープニング演出が行われる。オープニング演出の終了後には、大入賞口18が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。1回のラウンド遊技は、大入賞口18の開閉が所定回数行われる迄であり、1回のラウンド遊技中に大入賞口18に、規定個数(入賞上限個数)の遊技球が入賞する迄の間、又は規定時間(ラウンド遊技時間)が経過するまでの間、開放される。ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。そして、規定ラウンド数のラウンド遊技が終了すると、大当り遊技の終了を示すエンディング演出が行われ、大当り遊技は終了される。
【0029】
また、本実施形態では、オープニング時間として「9(秒)」が、各ラウンド遊技の最大時間として「25(秒)」が、各ラウンド間のインターバル時間(ラウンド間インターバル)として「2.0(秒)」が、エンディング時間として「11(秒)」がそれぞれ設定されている。また、これらの大当り遊技では、各ラウンド遊技における大入賞口18の開放回数として「1回」が、1回のラウンド遊技の入賞上限個数として「9球」が、それぞれ設定されている。
【0030】
また、本実施形態のパチンコ遊技機では、大当り遊技の終了後に、遊技者に有利な確率変動状態(以下、「確変状態」と示す)が付与される場合がある。確変状態は、確定停止表示された大当り図柄(特図)の種類が予め定めた確変図柄であることを条件として付与される。この確変状態では、大当り遊技終了後に、大当りの当選確率が低確率状態(本実施形態では、221/65536)から高確率状態(本実施形態では、2210/65536)に変動する。本実施形態では、大当り遊技終了後に確変状態が付与される大当りが確変大当りであり、確変状態が付与されない大当りが非確変大当りとなる。
【0031】
なお、本実施形態では、確変大当りとなるか非確変大当りとなるかは、大当り抽選に当選した場合に決定する特図(大当り図柄)に応じて決定されるようになっており、65/100の確率で確変大当りとなり、35/100の確率で非確変大当りとなる。
【0032】
このように、確変状態は、大当り抽選の抽選確率が高確率に変動して大当りが生起され易くなるため、遊技者にとって有利であり、遊技者は、確変大当りになることを期待しつつ遊技を行っている。
【0033】
また、大当り遊技の終了後には、変動短縮状態(以下、「変短状態」と示す)が付与される場合がある。この変短状態では、変短状態が付与されていない非変短状態と比較して、変動ゲームの変動時間が短縮される場合があり(短縮され得る)、特に、はずれ表示結果が確定停止表示される変動ゲームの変動時間が短縮される場合がある。また、変短状態では、開閉羽根16を開動作させるか否かの抽選結果を導出する普図ゲームの変動時間が、非変短状態と比較して短縮される。また、変短状態では、普図ゲームの普通当りの当選確率が低確率状態(本実施形態では、3277/65536)から高確率状態(本実施形態では、65535/65536)に変動する。また、変短状態では、普通当り抽選に当選した際、非変短状態とは異なる動作パターンで開閉羽根16が開閉動作するようになっている。なお、本実施形態において、非変短状態で普通当り抽選に当選する場合には、開閉羽根16が1回開放し、開放してから500ms経過するまで開放状態を維持するようになっている。その一方で、変短状態で普通当り抽選に当選する場合には、開閉羽根16が3回開放するとともに、1回の開放において開放してから800msが経過するまで開放状態を維持するようになっている。つまり、開閉羽根16は、変短状態では、非変短状態と比較して、1回の普通当りに対応する合計開放時間が長く、遊技者にとって有利に動作するように設定されている。このため、変短状態では、開閉羽根16が開放状態に動作し易く、第1変動ゲームよりも第2変動ゲームが実行され易くなる。
【0034】
なお、普通当りとなった場合に開閉羽根16が開放されるが、閉鎖する前であっても、入賞上限個数(例えば、10球)の遊技球が入賞したときには、開閉羽根16は閉鎖するようになっている。同様に、所定回数開放していなくても、入賞上限個数の遊技球が入賞したときには、開閉羽根16は閉鎖するようになっている。また、変短状態は、確変大当りに当選した場合、大当り遊技の終了後には、大当り抽選の当選時における遊技状態を問わず、次回の大当り遊技が付与されるまで(「次回まで」と示す)付与される一方で、非確変大当りに当選した場合、予め定めた回数(本実施形態では、100回)の変動ゲームが行われるまでの間、付与される。
【0035】
次に、パチンコ遊技機の制御構成について図2を参照して説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機の機裏側には、パチンコ遊技機全体を制御する主制御基板30が配設されている。主制御手段(制御手段)としての主制御基板30は、パチンコ遊技機全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、統括制御基板31と表示制御基板32とが配設されている。演出制御手段(制御手段)としての統括制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、表示制御基板32を制御する。表示制御手段としての表示制御基板32は、主制御基板30と統括制御基板31が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいて、演出表示装置11の表示態様(図柄、保留画像、各種背景画像、文字、キャラクタなどの表示画像など)を制御する。
【0036】
ここで、主制御基板30、統括制御基板31及び表示制御基板32の具体的構成について以下に説明する。
まず、主制御基板30について図2を参照して以下に説明する。
【0037】
主制御基板30には、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU30aと、主制御用CPU30aのメイン制御プログラムを格納する主制御用ROM30bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM30cが設けられている。そして、主制御用CPU30aには、各種スイッチSW1,SW3,SW4が遊技球を検知して出力する検知信号を入力可能に接続されている。また、主制御用CPU30aには、特別図柄表示装置12、特別図柄保留表示装置13、普通図柄表示装置20、普通電動役物ソレノイドSOL1、及び大入賞口ソレノイドSOL2が接続されている。
【0038】
また、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数、特図振分乱数、及びリーチ判定用乱数の値などの各種乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。当り判定用乱数は、大当り抽選(大当り判定)で用いる乱数である。特図振分乱数は、大当り図柄となる特図の決定で用いる乱数である。リーチ判定用乱数は、大当り抽選で大当りに当選しなかった場合、すなわちはずれの場合にリーチを形成するか否かのリーチ抽選(リーチ判定)で用いる乱数である。また、主制御用RAM30cには、パチンコ遊技機の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。例えば、主制御用RAM30cには、普図ゲームにおいて普通当りとなるか否かを判定する場合に用いる普通当り判定用乱数が記憶されている。
【0039】
主制御用ROM30bには、メイン制御プログラム、各種の判定値(大当り判定値、及びリーチ判定値など)が記憶されている。大当り判定値は、大当り抽選で用いる判定値であり、当り判定用乱数の取り得る数値(0〜65535までの全65536通りの整数)の中から定められている。本実施形態では、非確変状態では大当り判定値として221個の値が設定されており、大当り抽選で当選する確率は65536分の221となり、その一方で、確変状態では大当り判定値として2210個の値が設定されており、大当り抽選で当選する確率は65536分の2210となる。また、リーチ判定値は、はずれを決定する場合にリーチを形成するか否かの内部抽選(リーチ判定)で用いる判定値であり、リーチ判定用乱数の取り得る数値(0〜240までの全241通りの整数)の中から定められている。
【0040】
また、主制御用ROM30bには、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、変動ゲームが開始してから変動ゲームが終了するまでの間の演出(遊技演出)のベースとなるパターンであって、変動ゲームの変動内容(演出内容)及び変動時間(演出時間)を特定(指定)し得る。本実施形態において、複数種類の変動パターンは、大当り変動用の変動パターン、はずれリーチ変動用の変動パターン、及びはずれ変動用の変動パターンに分類できる。大当り変動は、大当り遊技が付与されると決定された場合に行われる変動であり、演出表示装置11では、リーチ演出を経て、変動ゲームが最終的に大当り図柄を確定停止表示させるように展開される演出が実行される。はずれリーチ変動は、大当り遊技が付与されないと決定された場合に行われる変動であり、演出表示装置11では、リーチ演出を経て、変動ゲームが最終的にはずれ図柄を確定停止表示させるように展開される演出が実行される。はずれ変動は、大当り遊技が付与されないと決定された場合に行われる変動であり、演出表示装置11では、リーチ演出を経ないで、変動ゲームが最終的にはずれ図柄を確定停止表示させるように展開される演出が実行される。
【0041】
次に、統括制御基板31について図2を参照して以下に説明する。
統括制御基板31には、制御動作を所定の手順で実行する統括制御用CPU31aと、統括制御用CPU31aの統括制御プログラムを格納する統括制御用ROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる統括制御用RAM31cが設けられている。統括制御用RAM31cには、パチンコ遊技機の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。また、統括制御用CPU31aには、表示制御基板32が接続されている。統括制御用CPU31aは、各種制御コマンドを入力すると、統括制御プログラムに基づいて各種制御を実行する。
【0042】
また、統括制御用CPU31aには、透過性の低い材質から形成された可動体Kを変位させるためのモータ60(可動体駆動手段)が接続されており、駆動信号を出力することによって、モータ60が駆動し、可動体Kを変位させることができるようになっている。つまり、統括制御用CPU31aは、可動体Kの駆動制御を行うこととなる。
【0043】
次に、表示制御基板32について図2を参照して以下に説明する。
表示制御基板32には、表示制御動作を所定の手順で実行する表示制御用CPU32aと、表示制御用CPU32aの表示制御プログラムを格納する表示制御用ROM32bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる表示制御用RAM32cが設けられている。表示制御用ROM32bには、各種の画像データ(図柄、保留画像、各種背景画像、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。表示制御用RAM32cには、パチンコ遊技機の表示動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。また、表示制御用CPU32aには、演出表示装置11が接続されている。表示制御用CPU32aは、各種制御コマンドを入力すると、表示制御プログラムに基づいて各種制御を実行する。
【0044】
ここで、本実施形態のパチンコ遊技機における変動パターンについて図3を参照して以下に説明する。
本実施形態では、図3に示すように、変動パターンとして、変動ゲームの変動時間を指定する変動パターンが設定されている。具体的な一例としては、変動時間として、変動パターンP11が12(秒)に、変動パターンP31が56(秒)に、それぞれ規定されている。
【0045】
これら変動パターンは、主に、大当り遊技が付与されるか否か、はずれとなる場合においてリーチ演出を実行するか否かによって選択される。具体的には、変動パターンP31,P32が大当り変動用の変動パターンとして規定されている。また、変動パターンP21,P22がはずれリーチ変動用の変動パターンとして、変動パターンP11,P12がはずれ変動用の変動パターンとして規定されている。
【0046】
また、変動パターンP12は、変動パターンP11の変動時間を短縮させる変動パターンであり、変動パターンP11と比較して、左列及び右列の図柄(飾図)が一旦停止表示されるまでの時間を短縮された変動パターンであり、右列の図柄が一旦停止表示されてから変動ゲームが終了するまでは同じ演出が実行されることとなる。なお、変動パターンP11,P12は、変短状態であるか否かと保留記憶数とに応じて何れかが決定される変動パターンであり、変短状態であると、変動時間が短縮される変動パターンP12が決定され易く、保留記憶数が大きくなるにつれて、変動パターンP12が決定され易くなる。
【0047】
また、大当り変動とはずれリーチ変動とには、ノーマルリーチ(以下、「NR」と示す)演出を実行する変動パターンとして、変動パターンP21,P31が規定されている。また、NR演出が実行された後にスーパーリーチ(以下、「SR」と示す)演出を実行する変動パターンとして、変動パターンP22,P32が規定されている。
【0048】
また、変動パターンP21,P31よりも、変動パターンP22,P32のほうが、大当り期待度が高く規定されている。この大当り期待度とは、大当りに当選する場合の出現率と大当りに当選しない場合の出現率を合算した全体出現率に対し、大当りに当選する場合の出現率の割合を示すものである。このため、NR演出が実行された後に、SR演出に発展し、SR演出が実行されるときには、大当り期待度が高まることとなる。
【0049】
次に、主制御基板30の主制御用CPU30aが、メイン制御プログラムに基づいて実行する特別図柄入力処理、特別図柄開始処理などの各種処理について以下に説明する。本実施形態において主制御用CPU30aは、所定の制御周期(本実施形態では、4ms)毎に各種処理を実行する。なお、本実施形態では、以下に説明する各種処理を実行する主制御用CPU30aが大当り判定手段、変動内容決定手段、遊技状態制御手段として機能し、主制御用RAM30cが保留記憶手段として機能する。
【0050】
まず、特別図柄入力処理について以下に説明する。
最初に、主制御用CPU30aは、始動口スイッチSW1から検知信号を入力しているか否かに基づいて、第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15に遊技球が入賞したか否かを判定する。この判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数が上限数の「4」未満であるか否かを判定する。保留記憶数が「4」未満である場合、主制御用CPU30aは、保留記憶数を「1」加算する。保留記憶数を更新(「1」加算)した主制御用CPU30aは、更新後(加算後)の保留記憶数を表示するように特別図柄保留表示装置13の表示内容を制御する。次に、主制御用CPU30aは、各種乱数の値(本実施形態では当り判定用乱数の値など)を主制御用RAM30cから読み出して取得し、該値を保留記憶数に対応する主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定する。また、主制御用CPU30aは、保留記憶数を指定する保留指定コマンドを統括制御基板31に出力する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。
【0051】
その一方で、第1始動入賞口14及び第2始動入賞口15に遊技球が入賞しない場合、又は第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15に遊技球が入賞したが保留記憶数が「4」未満でない場合、主制御用CPU30aは、特別図柄入力処理を終了する。
【0052】
次に、特別図柄開始処理について以下に説明する。
最初に、主制御用CPU30aは、変動ゲームの実行中、又は大当り遊技中か否かの実行条件を判定する。この判定結果が肯定(変動ゲーム中、又は大当り遊技中である)の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
【0053】
その一方で、この判定結果が否定(変動ゲーム中ではなく、かつ大当り遊技中ではない)の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数が「0」よりも大きいか否かを判定する保留判定処理を実行する。保留記憶数が「1」以上の場合、保留記憶数を「1」減算し、更新後(減算後)の保留記憶数を表示するように特別図柄保留表示装置13の表示内容を制御する。また、主制御用CPU30aは、保留記憶数を指定する保留指定コマンドを統括制御基板31に出力する。そして、主制御用CPU30aは、大当り判定処理を実行する。
【0054】
大当り判定処理において、主制御用CPU30aは、保留記憶数に対応付けられて主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている当り判定用乱数の値を読み出す。続いて、主制御用CPU30aは、保留記憶数に対応付けられた当り判定用乱数の値と大当り判定値を比較し、両値が一致するか否かの大当り判定をする。なお、本実施形態において、主制御用CPU30aは、変動ゲームの大当りの当選確率を、非確変状態では低確率状態(本実施形態では、221/65536)で、確変状態では高確率状態(本実施形態では、2210/65536)で大当り判定を行うこととなる。
【0055】
この大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、大当りとなる変動ゲームであることを示す大当りフラグに「1」を設定し、大当りとなる変動ゲームを実行させるための大当り時変動処理を実行する。大当り時変動処理において主制御用CPU30aは、保留記憶数に対応付けられた特図振分乱数の値を主制御用RAM30cから読み出し、該特図振分乱数の値に基づいて、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特図(最終停止図柄)として大当り図柄を決定する。続いて、主制御用CPU30aは、決定した大当り図柄から大当り遊技の種類を特定し、確変フラグ及び作動フラグから値を読み出し、該値に基づいて、その大当り遊技の種類に対応する変動パターンを決定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
【0056】
その一方で、上記大当り判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数の値が大当りとなる値ではないことからはずれを特定する。このため、主制御用CPU30aは、保留記憶数に対応付けられたリーチ判定用乱数の値を読み出すとともに、リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値を比較し、両値が一致するか否かのリーチ判定を行う。なお、リーチ判定値としては、確変状態や変短状態が付与されているか否か、減算後の合算保留記憶数によって異なる値が定められており、リーチ演出を実行させるか否かを決定する確率が異なる場合がある。
【0057】
このリーチ判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、リーチ判定に当選したことから、はずれリーチ変動となる変動ゲームを実行させるためのリーチ時変動処理を実行する。リーチ時変動処理において主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特図としてはずれ図柄を決定するとともに、確変フラグ及び作動フラグから値を読み出し、該値に基づいて、はずれリーチ変動用の変動パターンの中から何れかを選択し、決定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
【0058】
その一方で、リーチ判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、リーチ判定に当選しなかったことから、はずれ変動となる変動ゲームを実行させるためのはずれ時変動処理を実行する。はずれ時変動処理において主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特図としてはずれ図柄を決定する。続いて、主制御用CPU30aは、確変フラグ及び作動フラグから値を読み出し、該値に基づいて、はずれ変動用の変動パターンの中から何れかを選択し、決定する。その後、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。
【0059】
その後、特別図柄開始処理とは別の処理において、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理において決定した決定事項にしたがって生成した制御コマンドを所定のタイミングで統括制御基板31(統括制御用CPU31a)に出力する。具体的に、主制御用CPU30aは、変動パターンを指示するとともに変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを変動ゲームの開始に際して最初に出力する。また、主制御用CPU30aは、特図を指定する特図用の特図指定コマンドを変動パターン指定コマンドの出力後、次に出力する。また、主制御用CPU30aは、特図の確定停止表示に際して全図柄停止コマンドを統括制御基板31に出力する。
【0060】
このように、主制御用CPU30aは、大当りを決定した場合、決定した変動パターンに基づく変動ゲームの終了後、最終停止図柄に基づいて特定された種類の大当り遊技の制御を開始し、統括制御基板31の統括制御用CPU31aに対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する。主制御用CPU30aは、変動ゲームが終了すると、オープニングコマンドを出力する。また、主制御用CPU30aは、ラウンドの開始毎にラウンドコマンドを出力する。また、主制御用CPU30aは、最後のラウンドのラウンド遊技が終了すると、インターバル時間の経過後にエンディングコマンドを出力する。そして、主制御用CPU30aは、エンディング時間の経過後、大当りフラグに「0」を設定し(クリアし)、大当り遊技を終了させる。なお、主制御用CPU30aは、当りに当選した場合、大入賞口18を開放させるときに、開放信号を出力し、大入賞口18を閉鎖させるときに、閉鎖信号を出力する。
【0061】
また、主制御用CPU30aは、確変フラグ、作動フラグ、又は作動回数の制御により、確変状態、変短状態に関する遊技状態の制御を行うこととなる。
具体的には、主制御用CPU30aは、大当り遊技の種類に拘わらず、大当り遊技の開始時に、確変フラグ、作動フラグ、及び作動回数をクリアする(「0」を設定する)。この作動回数は、変短状態が付与された回数を計数するためのカウンタである。
【0062】
また、主制御用CPU30aは、大当り遊技の終了後に、確変状態を付与する場合には、確変フラグに「1」を設定する一方、確変状態を付与しない場合には、確変フラグに「0」を設定する。
【0063】
また、主制御用CPU30aは、大当り遊技の終了後に、変短状態を付与する場合には、変短状態を付与することを示す作動フラグに「1」を設定する一方、変短状態を付与しない場合には、作動フラグに「0」を設定する。また、主制御用CPU30aは、変動ゲーム毎に(変動ゲームの終了時に)作動回数を「1」減算し、値が「0」となると、作動フラグをクリアする(「0」を設定する)。
【0064】
次に、普図ゲームに関する普通図柄入力処理について以下に説明する。
普通図柄入力処理において、主制御用CPU30aは、遊技球が作動ゲート19を通過したと判定した場合、主制御用RAM30cに記憶されている普図保留記憶数が上限数の「4」未満であるか否かを判定する。そして、その判定結果が肯定(普図保留記憶数<「4」)の場合、主制御用CPU30aは、普図保留記憶数を「1」加算し、普図保留記憶数を書き換える。続いて、主制御用CPU30aは、普通当り判定用乱数の値を主制御用RAM30cから読み出して取得し、該値を普図保留記憶数に対応付けられた主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定し、普通図柄入力処理を終了する。
【0065】
次に、主制御用CPU30aは、以下のような処理を所定の制御周期(本実施形態では、4ms)毎に実行する。主制御用CPU30aは、まず、普図が変動表示中又は普通当り遊技中ではない場合において、読み出した普図保留記憶数が「0」よりも大きいときには、普図保留記憶数の数を「1」減算し、当該普図保留記憶数に対応付けられて主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている普通当り判定用乱数の値を取得する。そして、主制御用CPU30aは、取得した普通当り判定用乱数の値が主制御用ROM30bに記憶されている普通当り判定値と一致するか否かを判定して普通当り判定を行い、判定結果に対応する普図を、普通図柄表示装置20にて確定停止表示される最終停止図柄として決定する。そして、主制御用CPU30aは、普図の変動表示を開始させるように普通図柄表示装置20の表示内容を制御するなど、普図ゲームに関する各種処理を実行する。
【0066】
そして、主制御用CPU30aは、普通当りを決定した場合、普図ゲームの終了後、普通当り遊技に関する制御を実行する。また、主制御用CPU30aは、普図ゲームが開始したときに変短状態が付与されているか否かによって異なる開放態様にて、開閉羽根16を開放させるよう普通電動役物ソレノイドSOL1を制御する。
【0067】
なお、本実施形態において、主制御用CPU30aは、普図ゲームの普通当りの当選確率を、非変短状態では低確率状態(本実施形態では、3277/65536)で、変短状態では高確率状態(本実施形態では、65535/65536)で普通当り判定を行うこととなる。また、主制御用CPU30aは、変短状態が付与されているか否かに応じた普図ゲームの変動パターンを選択し、決定する。これにより、主制御用CPU30aは、変短状態では、非変短状態よりも普図ゲームの変動時間を短くさせるよう制御するとともに、1回の普通当りに対応する合計開放時間を長く開放させるよう制御する。
【0068】
次に、各種演出を含む変動ゲームを実行させるために統括制御用CPU31aが実行する制御内容について以下に説明する。
主制御用CPU30aから所定の制御コマンドを所定のタイミングで入力すると、統括制御用CPU31aは、統括制御プログラムに基づいて、入力した制御コマンドに応じた制御を行う。具体的には、統括制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、該変動パターン指定コマンドを表示制御基板32に出力する。また、統括制御用CPU31aは、オープニングコマンド、ラウンドコマンド及びエンディングコマンドを入力すると、当該オープニングコマンド、ラウンドコマンド及びエンディングコマンドを表示制御基板32に出力する。
【0069】
また、統括制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンド及び特図指定コマンドを入力すると、当該変動パターン指定コマンドにより指定された変動パターン及び当該特図指定コマンドにより指定された最終停止図柄に基づいて、演出表示装置11に表示させる飾図を決定する。より詳しくは、統括制御用CPU31aは、大当り遊技が付与される大当り図柄の場合、飾図を大当り図柄[111][222][333][444][555][666][777]の中から決定する。
【0070】
また、統括制御用CPU31aは、指定された最終停止図柄が、はずれ図柄の場合であって、はずれリーチ変動用の変動パターンが指定された場合、リーチ状態を形成するはずれ図柄の中から飾図を決定する。また、統括制御用CPU31aは、指定された最終停止図柄が、はずれ図柄の場合であって、はずれ変動用の変動パターンが指定された場合、飾図をはずれ図柄の中から決定する。そして、統括制御用CPU31aは、決定した飾図を指定する飾図柄指定コマンドを表示制御基板32に出力する。また、統括制御用CPU31aは、全図柄停止コマンドを入力すると、当該コマンドを表示制御基板32に出力する。
【0071】
また、統括制御用CPU31aは、大当りとなる変動ゲームの開始時に特図指定コマンドを入力すると、大当り遊技の種類が特定可能である。また、統括制御用CPU31aは、その大当り遊技の種類に基づいて、確変状態、変短状態が付与されるか否か、変短回数が特定可能である。そして、統括制御用CPU31aは、確変状態が付与された場合には、次回の大当りが生起されるまでの間、確変状態が付与されることを示すデータを統括制御用RAM31cに設定する。また、統括制御用CPU31aは、変短状態が付与された場合には、次回の大当りが生起されるまでの間、変短状態が付与されることを示すデータを統括制御用RAM31cに設定するか、統括制御用RAM31cに割り当てられた作動回数に特定した変短回数を設定する。この作動回数は、変短状態が付与された回数を計数するためのカウンタである。そして、統括制御用CPU31aは、作動回数が「0」となるまで、変動ゲームが実行される毎に作動回数を「1」減算する。
【0072】
次に、表示制御基板32の表示制御用CPU32aが表示制御プログラムに基づいて実行する各種処理について以下に説明する。
表示制御用CPU32aは、統括制御基板31(統括制御用CPU31a)から制御コマンドを入力すると、表示制御プログラムに基づいて、入力した制御コマンドに応じた制御を行う。具体的には、表示制御用CPU32aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、変動パターン指定コマンドにて指定された変動パターンで飾図を変動表示させて変動ゲームを開始させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。そして、表示制御用CPU32aは、全図柄停止コマンドを入力すると、飾図柄指定コマンドで指定された飾図を確定停止表示させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。この制御により、演出表示装置11では変動ゲームが行われる。
【0073】
次に、表示制御用CPU32aは、大当り遊技の種類、遊技状態に対応するオープニングコマンドを入力すると、該コマンドに対応するオープニング演出を実行させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、表示制御用CPU32aは、ラウンドコマンドを入力すると、各ラウンド演出を実行させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。また、表示制御用CPU32aは、エンディングコマンドを入力すると、エンディング演出を実行させるように演出表示装置11の表示内容を制御する。
【0074】
また、本実施形態では、演出表示装置11の画像表示部GHでは、遊技に関する演出画像が表示されるが、その中でも、保留記憶数を示す保留画像が表示される。特に、変動ゲーム中では、画像表示部GHにおいて、主に、可動体Kが元の位置から変位する可動体演出が実行される場合には、保留画像が非表示となり、その変動ゲームの終了までには、非表示設定が解除され、保留画像が表示される。つまり、この保留画像HGは、特別図柄保留表示装置13とは別体である演出表示装置11に表示され、特別図柄保留表示装置13とは保留記憶数を非表示とする点で異なる。
【0075】
また、本実施形態において演出表示装置11では、特別図柄保留表示装置13に比較して大きい保留表示領域GH1(図4参照)に保留画像が表示されるように構成されるとともに、保留画像は特別図柄保留表示装置13における特図保留発光部に比較して遥かに大きく表示されるようになっている。このため、遊技者は、主に演出表示装置11に表示された保留画像から保留記憶数を認識し得る。また、演出表示装置11における保留表示領域GH1の位置は、特別図柄保留表示装置13に比較して、遊技球の発射の目安となる遊技盤10の上部や第1始動入賞口14及び第2始動入賞口15に近い位置であり、遊技者によって視認し易くなっている。
【0076】
このような保留画像の表示態様について図4を参照して以下に説明する。
画像表示部GHには、図4(a)に示すように、飾図を表示させるための図柄表示領域GHZと、保留画像を表示させるための保留表示領域GH1が含まれている。
【0077】
変動ゲームが開始されると、図4(a)に示すように、図柄表示領域GHZにおいて飾図が変動表示される。そして、変動ゲームの実行中において、第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15に遊技球が入賞した場合には、変動ゲームにおける保留記憶数が「0」から「1」となり、図4(b)に示すように、保留表示領域において保留画像HG1が表示される。このように保留画像が表示されることとなるが、変動ゲームにおける保留記憶数が「3」となった場合を一例とすると、図4(c)に示すように、保留表示領域GH1に保留画像HG1〜HG3が表示されることとなる。
【0078】
また、画像表示部GHにおいて、左列、右列の飾図が一旦停止表示され、図4(c)に示すように、リーチ状態が形成された場合には、最初にNR演出が実行される。そして、NR演出からSR演出に発展する場合には、発展確定後に、図4(d)及び図4(e)に示すように、扇が広がるように可動体Kが変位するリーチ発展演出が実行される。この可動体Kは、SR演出に発展する前には、保留表示領域GH1の前方に位置しなかったが(元の位置)、SR演出に発展した後には、保留表示領域GH1の前方に位置するように変位する。このため、可動体Kにより、保留表示領域GH1の全領域が視認し難くなる。この場合、図4(c)に示すように、可動体Kの変位より前に保留表示領域GH1に表示されていた保留画像HG1〜HG3の全ては、可動体Kの変位に伴い、図4(d)及び図4(e)に示すように非表示となる。
【0079】
そして、NR演出からSR演出に発展し、SR演出が実行されている場合、図4(f)に示すように、可動体Kが元の位置に戻るように変位し、保留表示領域GH1の全領域が視認可能となるが、保留画像HGの非表示が維持される。そして、再度、図4(g)に示すように、保留表示領域GH1の一部が視認し難くなるように可動体Kが変位する大当り確定演出が実行されると、図4(h)に示すように、大当り図柄として飾図が確定停止表示され、変動ゲームが終了する。この場合、飾図が確定停止表示されるまでには、保留表示領域GH1に保留画像HGが表示される。なお、保留画像HGが表示されていない間に、第1始動入賞口14又は第2始動入賞口15に遊技球が入賞した場合には、保留記憶数が増加することとなり、変動ゲームの終了前などの保留画像HGの非表示が解除された場合には、図4(h)に示すように、保留記憶数の増加が反映され、保留画像HG1〜HG4が表示される。
【0080】
なお、本実施形態において、リーチ発展演出や、大当り確定演出が、変動ゲーム中において、保留表示領域GH1の全領域の前方に位置しない状態から保留表示領域GH1の一部の前方に位置するように可動体Kが変位する「可動体演出」に相当する。また、本実施形態において、保留画像HGの全てを非表示にさせる態様が「特殊時態様」に、保留画像を表示させる態様が「通常時態様」に、それぞれ相当する。
【0081】
ここで、統括制御用CPU31aによって実行される保留制御処理について図5を参照して以下に説明する。保留制御処理は、保留記憶数に関する制御を行うための処理である。統括制御用CPU31aは、保留制御処理を所定周期毎に実行するようになっている。
【0082】
最初に、統括制御用CPU31aは、図5に示すように、保留指定コマンドを入力したか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101の判定結果が否定の場合(保留指定コマンドを入力していない)、統括制御用CPU31aは、ステップS102を実行することなく、ステップS103に移行する。その一方で、ステップS101の判定結果が肯定の場合(保留指定コマンドを入力した)、統括制御用CPU31aは、入力した保留指定コマンドに基づいて、保留記憶数を示すデータを特定し、統括制御用RAM31cにおいて保留記憶数を示すデータを更新する保留記憶数データ更新処理を実行し(ステップS102)、ステップS103に移行する。
【0083】
ステップS104において、統括制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力したか否かを判定する。ステップS103の判定結果が否定の場合(変動パターン指定コマンドを入力していない)、統括制御用CPU31aは、ステップS104、S105を実行することなく、保留制御処理を終了する。その一方で、ステップS103の判定結果が肯定の場合(変動パターン指定コマンドを入力した)、統括制御用CPU31aは、ステップS104に移行する。
【0084】
ステップS104において、統括制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドにより特定された変動パターンに対応する可動体制御データを統括制御用RAM31cに設定する。この可動体制御データには、変動パターン指定コマンドに対応して規定されている規定時間と、その規定時間が経過したときに可動体Kを可動させるようにモータ60を駆動させるためのデータとが含まれている。その後、統括制御用CPU31aは、ステップS105に移行する。
【0085】
そして、ステップS105において、統括制御用CPU31aは、変動パターンに対応する保留画像制御データを統括制御用RAM31cに設定する。この保留画像制御データには、変動パターンに対応して保留画像を非表示にさせることを示すデータや、少なくとも非表示にさせた保留画像を表示させることを示すデータが含まれており、それらを特定可能にするコマンドを表示制御用CPU32aに出力するタイミングも更に含まれている。なお、本実施形態において、全ての保留画像を非表示にさせるタイミングとしては、可動体演出としてのリーチ発展演出や大当り確定演出の実行が開始され、可動体Kが変位するタイミングが該当する。また、保留画像を表示させるタイミングとしては、全ての保留画像を非表示させた同じ変動ゲームの終了前であり、中列の飾図が一旦停止表示されるタイミングが該当する。その後、統括制御用CPU31aは、保留制御処理を終了する。
【0086】
保留制御処理とは別の処理において、統括制御用CPU31aは、ステップS104において統括制御用RAM31cに設定された可動体制御データに基づいて、可動体Kを変位させるための駆動信号をモータ60に出力する。これによって、可動体Kは、保留表示領域GH1の全領域を隠さない元の位置(第1位置)と、保留表示領域GH1の全領域を隠す位置(第2位置)との間を変位することとなる。
【0087】
また、保留制御処理とは別の処理において、統括制御用CPU31aは、ステップS105において統括制御用RAM31cに設定された保留画像制御データに基づいて、保留画像HGの表示態様を指定するコマンドを表示制御用CPU32aに出力する。特に、統括制御用CPU31aは、変動ゲーム中における可動体演出を実行させる場合に、全ての保留画像を非表示にさせるための保留画像非表示コマンドを表示制御用CPU32aに出力する。また、統括制御用CPU31aは、ステップS105において統括制御用RAM31cに設定された保留画像制御データに基づいて、同じ変動ゲームの終了までには、保留画像を表示させるための保留画像非表示解除コマンドを表示制御用CPU32aに出力する。
【0088】
ここで、表示制御用CPU32aによって実行される保留画像表示制御処理について図6を参照して以下に説明する。保留画像表示制御処理は、保留画像の表示に関する制御を行うための処理である。表示制御用CPU32aは、保留画像表示制御処理を所定周期毎に実行するようになっている。
【0089】
最初に、表示制御用CPU32aは、図6に示すように、保留指定コマンドを入力したか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201の判定結果が否定の場合(保留指定コマンドを入力していない)、表示制御用CPU32aは、ステップS202〜S204を実行することなく、ステップS205に移行する。その一方で、ステップS201の判定結果が肯定の場合(保留指定コマンドを入力した)、表示制御用CPU32aは、入力した保留指定コマンドに基づいて、保留記憶数を示すデータを特定し、表示制御用RAM32cにおいて保留記憶数を示すデータを更新する保留記憶数データ更新処理を実行し(ステップS202)、ステップS203に移行する。
【0090】
ステップS203において、表示制御用CPU32aは、表示制御用RAM32cにおける保留画像表示フラグから値を読み出し、保留画像HGを非表示に制御する保留画像非表示設定中であるか否かを判定する。なお、この保留画像表示フラグは、保留画像が表示可能であるか非表示であるかを示すフラグである。ステップS203の判定結果が肯定の場合(保留画像非表示設定中である)、表示制御用CPU32aは、ステップS204を実行することなく、保留画像表示制御処理を終了する。その一方で、ステップS203の判定結果が否定の場合(保留画像非表示設定中ではない)、表示制御用CPU32aは、保留表示領域GH1に表示されている保留画像HGを更新する保留画像更新処理を実行し(ステップS204)、ステップS205に移行する。これによって、表示制御用CPU32aは、保留指定コマンドに基づいて保留記憶数を特定して表示制御用RAM32cに記憶するとともに、保留画像HGが非表示設定されていない場合には、保留画像HGの表示を更新することとなる。
【0091】
ステップS205において、表示制御用CPU32aは、保留画像非表示コマンドを入力したか否かを判定する。ステップS205の判定結果が否定の場合(保留画像非表示コマンドを入力していない)、表示制御用CPU32aは、ステップS206を実行することなく、ステップS207に移行する。その一方で、ステップS205の判定結果が肯定の場合(保留画像非表示コマンドを入力した)、表示制御用CPU32aは、保留表示領域GH1に表示されている全ての保留画像HGを非表示にさせる制御を行う保留画像非表示処理を実行する(ステップS206)。そして、表示制御用CPU32aは、表示制御用RAM32cにおける保留画像表示フラグに保留画像非表示を示す値を設定し、ステップS207に移行する。
【0092】
ステップS207において、表示制御用CPU32aは、保留画像非表示解除コマンドを入力したか否かを判定する。ステップS207の判定結果が否定の場合(保留画像非表示解除コマンドを入力していない)、表示制御用CPU32aは、ステップS208を実行することなく、保留画像表示制御処理を終了する。その一方で、ステップS207の判定結果が肯定の場合(保留画像非表示解除コマンドを入力した)、表示制御用CPU32aは、表示制御用RAM32cに記憶されている保留記憶数を参照し、保留表示領域GH1に保留画像HGを表示させる制御を行う保留画像表示処理を実行する(ステップS208)。特に、保留画像HGを非表示にした場合には、表示制御用CPU32aは、その非表示にした保留画像HGが少なくとも表示させることとなるが、保留画像HGが非表示である間に保留記憶数が増加した場合には、その増加した保留記憶数に対応する保留画像HGも表示させることとなる。そして、表示制御用CPU32aは、表示制御用RAM32cにおける保留画像表示フラグに保留画像表示を示す値を設定し、保留画像表示制御処理を終了する。
【0093】
このように、表示制御用CPU32aは、可動体演出の実行が開始されることを契機として、保留画像非表示コマンドを入力することとなり、保留表示領域GH1に表示されている保留画像HGを非表示に制御することとなる。特に、可動体演出としてはリーチ発展演出や大当り確定演出が該当するため、表示制御用CPU32aは、大当りに当選する場合には、当選しない場合よりも高い確率で、可動体演出を実行させ、保留表示領域GH1に表示されている保留画像HGを非表示に制御することとなる。その一方で、表示制御用CPU32aは、可動体演出が実行された同じ変動ゲームの終了前には、保留画像非表示解除コマンドを入力することとなり、保留表示領域GH1に保留画像HGを表示させる制御することとなる。
【0094】
ここで、具体的な一例について図7を参照して以下に説明する。
例えば、変動パターンP21を示す変動パターン指定コマンドが入力された場合には、図7(a)に示すように、左列、右列の飾図が一旦停止表示されたタイミングで、NR演出が実行され、はずれとなる。
【0095】
この場合、可動体Kは元の位置から変位することなく、保留表示領域GH1の全領域を可動体Kで隠すことはない。また、保留画像非表示コマンド(図中では「非表示C」と示す)や保留画像非表示解除コマンド(図中では「非表示解除C」と示す)が統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力されることがなく、全ての保留画像HGが表示された状態を維持することとなる。
【0096】
また、変動パターンP31を示す変動パターン指定コマンドが入力された場合には、図7(b)に示すように、左列、右列の飾図が一旦停止表示されたタイミングで、NR演出が実行され、大当りとなる。
【0097】
この場合、中列の飾図が一旦停止表示される直前であり、変動パターンP21における中列の飾図の一旦停止表示と同じタイミングで、可動体Kが元の位置から変位する大当り確定演出が実行され、保留表示領域GH1の全領域を可動体Kで隠すこととなる。そして、大当り確定演出の実行が開始されることを契機に、保留画像非表示コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力され、保留表示領域GH1に表示されていた保留画像HGが非表示に制御される。
【0098】
また、可動体Kが元の位置に変位して大当り確定演出の実行が終了されるタイミングで、中列の飾図が一旦停止表示されるとともに、保留画像非表示解除コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力される。このため、保留画像HGを非表示に制御した同じ変動ゲームの終了前であり、大当り確定演出の実行が終了されたことを契機に、保留表示領域GH1における保留画像HGが表示されることとなる。
【0099】
また、変動パターンP22を示す変動パターン指定コマンドが入力された場合には、図7(c)に示すように、左列、右列の飾図が一旦停止表示されたタイミングで、NR演出が実行され、SR演出に発展した後にSR演出が実行され、はずれとなる。また、変動パターンP32を示す変動パターン指定コマンドが入力された場合には、図7(d)に示すように、左列、右列の飾図が一旦停止表示されたタイミングで、NR演出が実行され、SR演出に発展した後にSR演出が実行され、大当りとなる。
【0100】
この場合、NR演出が終了し、SR演出に発展するタイミングで、可動体Kが元の位置から変位するリーチ発展演出が実行され、保留表示領域GH1の全領域を可動体Kで隠すこととなる。そして、リーチ発展演出の実行が開始されることを契機に、保留画像非表示コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力され、保留表示領域GH1に表示されていた保留画像HGが非表示に制御される。
【0101】
また、可動体Kが元の位置に変位してリーチ発展演出の実行が終了されるタイミングでは、保留画像非表示解除コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力されることがなく、保留画像HGが非表示に制御された状態を維持することとなる。
【0102】
そして、変動パターンP32を示す変動パターン指定コマンドが入力された場合には、図7(d)に示すように、中列の飾図が一旦停止表示される直前に、可動体Kが元の位置から変位する大当り確定演出が実行され、保留表示領域GH1の全領域を可動体Kで隠すこととなる。そして、可動体Kが元の位置に変位して大当り確定演出の実行が終了されるタイミングで、中列の飾図が一旦停止表示されるとともに、保留画像非表示解除コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力される。このため、保留画像HGを非表示に制御した同じ変動ゲームの終了前であり、大当り確定演出の実行が終了されたことを契機に、保留表示領域GH1における保留画像HGが表示されることとなる。
【0103】
その一方で、変動パターンP22を示す変動パターン指定コマンドが入力された場合には、図7(c)に示すように、中列の飾図が一旦停止表示される直前に、大当り確定演出が実行されない。そして、変動パターンP32における大当り確定演出の実行開始と同じタイミングで、中列の飾図が一旦停止表示されるとともに、保留画像非表示解除コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力される。このため、保留画像HGを非表示に制御した同じ変動ゲームの終了前であり、中列の飾図が一旦停止表示されたことを契機に、保留表示領域GH1における保留画像HGが表示されることとなる。
【0104】
本実施形態では、変動パターンP21,P31が決定された場合には、図7(a)及び図7(b)に示すように、変動ゲームの開始から、変動パターンP21における中列の飾図が一旦停止表示されるまで、又は変動パターンP31における大当り確定演出が実行されるまで、同種の演出態様で演出画像が表示される。また、変動パターンP22,P32が決定された場合も同じように、図7(c)及び図7(d)に示すように、変動ゲームの開始から、変動パターンP22における中列の飾図が一旦停止表示されるまで、又は変動パターンP32における大当り確定演出が実行されるタイミングまで、同種の演出態様で演出画像が表示される。
【0105】
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)変動ゲーム中において、保留表示領域GH1の全領域の前方に位置するように可動体Kが変位する可動体演出を実行させる場合に、その保留表示領域GH1に表示されている保留画像HGを非表示にさせる制御を行う一方で、その変動ゲームの終了までに、非表示にさせた保留画像HGを表示させる。このため、可動体Kの変位が行われる可動体演出を実行させる場合に、意図して保留画像HGを非表示にさせることにより、可動体Kにより保留画像HGの少なくとも一部が隠れるという状況を提供することなく、可動体Kの変位に伴い、遊技者の困惑を抑制することができる。
【0106】
(2)しかも、保留表示領域GH1の全領域の前方に可動体Kが位置する場合であっても、保留画像HGを非表示にさせることによって、始動保留球の誤認を防止することができ、可動体Kの変位に伴い、遊技者の困惑を抑制することができる。
【0107】
(3)また、変動ゲームの終了までには保留表示領域GH1に保留画像HGを表示させるため、保留画像HGを表示させた状態で次の変動ゲームを開始させることができ、可動体Kの変位に伴い、遊技者の困惑を抑制することができる。
【0108】
(4)可動体演出が大当り期待度の高い演出であり、その大当り期待度の高い状況において保留画像HGを非表示にさせるため、大当りに対する期待感を損ねることを抑制することができるとともに、可動体Kの変位に伴い、遊技者の困惑を抑制することができる。
【0109】
尚、上記実施形態は、次のような別の実施形態(別例)にて具体化できる。
・上記実施形態において、統括制御用CPU31aは、大当りとなる変動ゲームの開始時に特図指定コマンドに基づいて、大当り遊技の種類が特定可能であるが、これに限らず、例えば、特図を指定する特図指定コマンドでなくても、付与される大当り遊技の種類を指定するコマンドであればよい。
【0110】
・上記実施形態において、保留表示領域GH1の全領域を覆うように可動体Kが変位するときに、保留画像HGを非表示に制御したが、これに限らず、例えば、保留画像を表示させる保留表示領域GH1の一部の領域を覆うように可動体Kが変位するときであってもよい。つまり、保留画像を表示させる保留表示領域GH1の少なくとも一部を覆うように可動体Kが変位したときに、保留画像HGを非表示に制御すればよい。
【0111】
・上記実施形態において、複数の可動体を備えてもよい。また、例えば、保留画像の一部又は全部を覆う第1の可動体と、保留画像の全部を覆わない第2の可動体とを含む複数の可動体を備えてもよい。この場合、第1の可動体の変位に応じて、保留画像を非表示にする制御する一方で、第2の可動体の変位に拘わらず、保留画像を非表示にしない制御を行ってもよい。
【0112】
・上記実施形態において、可動体演出の実行開始を契機に保留画像を非表示に制御したが、これに限らず、例えば、可動体演出の実行開始を基準として所定時間が経過した後に保留画像を非表示に制御してもよい。また、例えば、可動体演出の実行開始を基準として所定時間前に保留画像を非表示に制御してもよい。
【0113】
・上記実施形態において、保留画像を表示させるタイミングとしては、中列の飾図が一旦停止表示されるタイミングでなくても、全ての保留画像を非表示させる同じ変動ゲームの終了前であればよい。もちろん、全ての保留画像を非表示させる同じ変動ゲームの終了後であっても問題ない。
【0114】
・上記実施形態において、可動体Kを変位させる可動体駆動手段としてモータ60を採用したが、可動体Kを変位させるものであればこれに限らない。
・上記実施形態において、保留画像を非表示にさせるタイミングで保留画像非表示コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力され、非表示にした保留画像を表示させるタイミングで保留画像非表示解除コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力される。しかし、これに限らず、例えば、変動ゲームの開始時に、保留画像非表示コマンドや保留画像非表示解除コマンドが統括制御用CPU31aから表示制御用CPU32aに出力されてもよい。また、これら保留画像非表示コマンドや保留画像非表示解除コマンドは、演出内容を特定可能な変動パターン指定コマンドとは別に規定されていてもよく、変動パターン指定コマンドと共用のコマンドとして規定されていてもよい。この場合、表示制御用CPU32aは、統括制御用CPU31aから変動パターン指定コマンドを入力し、保留画像を消去する演出内容を特定した場合には、表示制御用ROM32bに予め規定されたタイミングで、保留画像を非表示に制御し、規定されたタイミングで保留画像を表示させる制御を行う。
【0115】
・上記実施形態において、主制御基板30、統括制御基板31、表示制御基板32を別体で形成し、それぞれを各種コマンドにより制御したが、これに限らず、例えば、主制御基板30と統括制御基板31とが一体に形成されていてもよい。また、統括制御基板31と表示制御基板32とが一体に形成されていてもよい。もちろん、主制御基板30、統括制御基板31、表示制御基板32を一体に形成してもよい。これにより、各種コマンドが出力されなくてもよい。
【0116】
・上記実施形態において、可動体Kを透過性の低い材質から形成したが、これに限らず、可動体の背後に保留画像が表示されていると視認し難くなるため、例えば、磨りガラスや透明の材質等、透過性が高い材質から形成されていてもよい。
【0117】
・上記実施形態において、1つの変動ゲームが実行されたが、これに限らず、例えば、複数の変動ゲームが実行されてもよい。そして、この場合、複数の変動ゲームに対応する保留表示領域の少なくとも一部の領域が可動体Kで隠れるような可動体演出が実行される場合に、保留画像を非表示に制御するようにする。具体的には、第1変動ゲームと第2変動ゲームとがあり、第2変動ゲームが第1変動ゲームより優先的に実行されるようにしてもよい。また、例えば、第1始動入賞口14、第2始動入賞口15への入賞順序にしたがって、第1変動ゲーム、第2変動ゲームを実行させてもよい。また、この場合において、第1変動ゲームにおける保留画像と第2変動ゲームにおける保留画像とが混在するように表示してもよい。また、第1変動ゲーム、第2変動ゲームを同時に実行可能としてもよい。
【0118】
・上記実施形態において、保留画像を表示させる保留表示領域GH1の少なくとも一部を覆うように可動体Kが変位する可動体演出が実行される場合に限り、保留画像を非表示に制御した。しかし、これに限らず、例えば、可動体演出と同じ種類の演出態様で演出画像が表示されるが、可動体Kが元の位置から変位しないような演出を実行させる場合にも、保留画像を非表示に制御してもよい。これによって、保留画像の非表示から、可動体Kが変位するか否かが容易に特定できず、可動体Kの変位に対する期待感を高揚させることができる。もちろん、可動体演出と同じ種類の演出態様で演出画像が表示されなくても、保留画像を非表示に制御してもよく、可動体演出の実行時に保留画像を非表示に制御しなくてもよい。つまり、単に特殊演出を実行する場合に、保留画像を非表示に制御してもよく、特に、大当り期待度の高い特殊演出を実行する場合に、保留画像HGを非表示に制御してもよい。これは、従来においては、保留画像が視認可能に表示される反面、大当り期待度の高い特殊演出が実行される場合には、保留画像が前面に表示される関係上、特殊演出における演出画像の表示領域が狭くなる、その演出画像が視認し難くなる等、保留画像の表示により演出効果を向上させることなく、遊技に対する興趣の減退を招くおそれがあった。このため、特殊演出が実行されている場合に、保留画像を非表示にすることによって、特殊演出の実行による演出効果の向上を図ることができ、遊技に対する興趣の向上を図ることができる。
【0119】
・上記実施形態において、可動体Kが変位する可動体演出が実行された場合には、保留画像を非表示としたが、これに限らず、保留画像を非表示とするとともに、可動体Kにより隠れない別の保留表示領域(第2保留表示領域)に保留画像が表示されてもよい。この場合、統括制御用CPU31aは、保留画像を移動させるための保留画像移動コマンドや、移動させた保留画像を表示させるための保留画像移動解除コマンドを表示制御用CPU32aに出力することとなる。また、言い換えると、統括制御用CPU31aは、全ての保留画像の表示を、通常時態様とは異なる特殊時態様にさせるための特殊時態様コマンド、特殊時態様から通常時態様にさせるための通常時態様コマンドを表示制御用CPU32aに出力する。これによって、可動体演出が実行されている場合であっても、保留表示領域GH1とは別であり、可動体Kにより隠れない第2保留表示領域に保留画像HGを移動させて表示させることができ、保留画像HGの表示を遊技者に視認させることができ、可動体Kの変位に伴い、遊技者の困惑を抑制することができる。
【0120】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記表示制御手段は、図柄変動ゲーム中において、前記保留表示領域の少なくとも一部の前方に位置するように前記可動体が変位する可動体演出を実行させる場合に、該保留表示領域に表示されていた保留画像の表示を非表示にさせる制御を行うとともに、前記表示領域のうち該保留表示領域とは別であり、前記可動体が前方に位置するようには変位しない第2保留表示領域に、非表示にさせた保留画像を示す画像を表示させる制御を行う請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の遊技機。
【0121】
(ロ)遊技に関する演出画像を表示する表示領域を有する表示手段と、前記表示手段の表示制御を行う表示制御手段と、を備えた遊技機において、遊技球が入球可能な始動手段と、前記始動手段に遊技球が入球したときに前記図柄変動ゲームの実行の保留を示す始動保留球を記憶する保留記憶手段と、を備え、前記表示領域には、始動保留球を示す保留画像を表示する保留表示領域が設定されており、前記表示制御手段は、図柄変動ゲーム中において、特殊演出を実行させる場合に、該保留表示領域に表示されている保留画像を通常時態様とは異なる特殊時態様に制御する一方で、該図柄変動ゲームの終了までに通常時態様に制御する遊技機。
【符号の説明】
【0122】
11…演出表示装置(表示手段)、14…第1始動入賞口(始動手段)、15…第2始動入賞口(始動手段)、16…開閉羽根、30…主制御基板、30a…主制御用CPU、30c…主制御用RAM(保留記憶手段)、31…統括制御基板、31a…統括制御用CPU(演出制御手段)、31b…統括制御用ROM、31c…統括制御用RAM、32…表示制御基板、32a…表示制御用CPU(表示制御手段)、60…モータ、GH…画像表示部(表示領域)、GH1…保留表示領域、HG…保留画像、K…可動体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関する演出画像を表示する表示領域を有する表示手段と、前記表示手段の表示制御を行う表示制御手段と、を備えた遊技機において、
遊技球が入球可能な始動手段と、
前記始動手段に遊技球が入球したときに図柄を変動させて行う図柄変動ゲームの実行の保留を示す始動保留球を記憶する保留記憶手段と、
前記表示手段における前記表示領域の前方に位置するように変位可能な可動体と、を備え、
前記表示領域には、始動保留球を示す保留画像を表示する保留表示領域が設定されており、
前記表示制御手段は、図柄変動ゲーム中において、前記保留表示領域の全領域の前方に位置しない状態から該保留表示領域の少なくとも一部の前方に位置するように前記可動体が変位する可動体演出を実行させる場合に、該保留表示領域に表示されている全ての保留画像を通常時態様とは異なる特殊時態様に制御する一方で、該図柄変動ゲームの終了までに通常時態様に制御する遊技機。
【請求項2】
前記特殊時態様は、前記保留表示領域に表示されている保留画像を非表示にさせる態様であり、
前記通常時態様は、前記保留表示領域における保留画像を表示させる態様である請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技機全体を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、図柄変動ゲーム中における前記可動体演出を実行させる場合に、保留画像の表示を非表示にさせるための保留画像非表示コマンドを出力するとともに、該図柄変動ゲームの終了までに、非表示にさせた保留画像を表示させるための保留画像非表示解除コマンドを出力する請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
図柄変動ゲームが大当りとなるか否かを判定する大当り判定手段を備え、
前記制御手段は、前記大当り判定手段の判定結果が肯定の場合には、否定の場合よりも高い確率で、前記保留表示領域に表示されている保留画像を前記特殊時態様に制御する請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記表示制御手段は、図柄変動ゲーム中において、前記可動体演出の実行が開始されるときに、該保留表示領域に表示されていた保留画像の表示を前記特殊時態様に制御する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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