説明

遊技機

【課題】確変状態等の特定の遊技状態において、遊技が単調になるのを防止するために、変動表示ゲームの実行数が所定の回数になると、遊技性が変化する遊技機を提供する。
【解決手段】第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームを遊技者に有利なゲームにする。確変状態では、変動表示ゲームの実行回数により複数の区間として、4つの区間に分けられるとともに、各区間が遊技者に不利な第1優先区間または遊技者に有利な第2優先区間に振り分けられる。遊技者に第1優先区間になる第1区間および第3区間では、第1変動表示ゲームの変動表示時間が第2変動表示ゲームより短く、第1変動表示ゲームが第2変動表示ゲームより多く行われる。第2優先区間になる第2区間および第4区間では、第2変動表示ゲームの変動表示時間が第1変動表示ゲームより短く、第2変動表示ゲームが第1変動表示ゲームより多く行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店などの遊技場に設置して使用される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なパチンコ遊技機として、所謂デジパチが知られている。デジパチには、様々な機種があり、機種によって、一部構造や設定が異なる。例えば、発射される遊技球が流下する遊技盤上の遊技領域に第1及び第2始動口を備えるとともに、一方の第2始動口に電動チューリップ(電チュー)を備えている。電チューを備えた第2始動口は、電チューが閉じた状態では遊技球が入賞できず、電チューが開放した際に遊技球が入賞可能で、かつ電チューがない場合より遊技球が入賞し易くなる。
【0003】
第1始動口に遊技球が入賞すると第1変動表示ゲームが開始され、第2始動口に遊技球が入賞すると第2変動表示ゲームが開始される。
これら第1変動表示ゲーム、第2変動表示ゲームは、パチンコ遊技機の制御装置における擬似乱数を用いた抽選により大当りまたははずれが決定される。大当りになった場合には、遊技領域に設けられた大入賞口が繰り返し開放され、大入賞口に遊技球が入賞可能な大当り状態になる。
【0004】
変動表示ゲームの進行においては、同時回しと呼ばれる機種があり、第1変動表示ゲームは、第1変動表示ゲーム中でも大当り状態でもない場合に開始可能であり、第2変動表示ゲームは、第2変動表示ゲーム中でも大当り状態でもない場合に開始可能になる。
すなわち、第1変動表示ゲームが行われている際に、第2変動表示ゲームを開始可能であり、第2変動表示ゲームが行われている際に、第1変動表示ゲームを開始可能である。これにより、第1変動表示ゲームと、第2変動表示ゲームとを並行して行うことができる。
【0005】
第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになると、他方の変動表示ゲームが並行して行われている場合に、行われている変動表示ゲームをはずれにして終了させるようになっている。これにより、大当り状態中は、第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームの両方が行われず、開始することもできない。また、大当り状態が2重に行われることもない。
【0006】
変動表示ゲームの大当り確率は、所謂確率変動(確変)状態になった場合に通常状態より例えば10倍程度高くなる。また、電チューの開放は、遊技領域に設けられたスルーチャッカを遊技球が通過した際に開始される普通図柄(普図)変動表示ゲームが当たりになった場合に行われる。上述の確率変動中は、通常状態に比較して、普図変動表示ゲームの変動表示時間が短くなり、また当たり確率が高くなり、さらに当たりになった場合の電チューの開放時間が長くなる。なお、電チューの開放時間を長くする際に、1回の当たりに対して電チューを複数回開放するものとしてもよい。このような電チューが開放し易い状態を、電チューにより遊技球の第2始動口への入賞が支援(アシスト)された状態として、電チューサポート(電サポ)状態と称する。
【0007】
また、確変状態は、大当り状態が発生すると一旦終了し、大当り状態終了後に再び確変状態、通常状態に移行する。また、機種によっては、大当り状態で確変状態が終了するだけではなく、確変状態になってから所定回数の変動表示ゲームが行われた際に通常状態に戻る回数切りと呼ばれる制御方法も知られている。
なお、変動表示ゲームの大当り確率が通常状態と同じで、電サポ状態だけが発生する場合が時間短縮(時短)状態である。時短状態では、基本的に上述の回数切りが適用され、所定の変動表示ゲームが行われた際に時短状態が終了する。なお、大当り状態の発生でも時短状態は終了する。
【0008】
ここで、変動表示ゲームの変動表示時間には、複数が設定されており、複数の変動表示時間から抽選で選択された変動表示時間(だけ)変動表示ゲームが行われる。なお、変動表示ゲームは、例えば、特別図柄(特図)と呼ばれる複数種の識別情報を、複数箇所で変動表示(例えば、複数種の特図を順次切り替えるように移動して表示)させた後に、大当りまたははすれを示す組み合わせの特図を停止表示する。したがって、変動表示時間は、特図を変動表示する変動表示時間と、その後の特図を停止表示する停止表示時間とを合わせたものになる。また、停止表示時間は一定とされているので、変動表示時間の変更は、変動表示時間を変更することになり、変動表示時間の選択(決定)は、変動表示時間を抽選で決定することにより行われる。
【0009】
変動表示時間の抽選には、複数種の変動表示時間が記憶されたデータテーブル(変動テーブル)を用いるようになっているとともに、例えば、平均変動表示時間を変更する場合には、変動テーブルを変えるようになっている。変動テーブルには、複数の変動表示時間と、これら変動表示時間から一つを抽選により選択するための判定値とが関連づけられており、テーブルに記憶された変動表示時間のいずれかが抽選で選択される。なお、変動表示ゲームにおいては、様々な変動表示方法を用いたり、各種キャラクタを表示したり、各種予告用の表示を行ったりするため、変動表示のパターンとして多数の変動パターンが設定され、この変動パターンが抽選で決定されるようになっており、この変動パターンに変動表示時間が含まれている。したがって、変動パターンを決定することによって変動表示時間が決定される。なお、変動テーブルには、複数の変動パターンが記憶されている。
【0010】
記憶されている変動表示時間(変動パターン)が異なる変動テーブルを用いることにより、変動テーブルによって、例えば、選択される変動表示時間の平均が異なるようになっている。なお、変動テーブルによって、選択される変動表示時間が広い範囲にばらついたり、比較的同じような変動表示時間が選択されるようになったりもする。
【0011】
また、機種によっては、同時に実行できる変動表示ゲームが一つとされている。このような機種において、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが行われている間は、第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームの両方とも開始できない。また、大当り状態中は、両方の変動表示ゲームを開始(実行)できない。
【0012】
ここで、上述の同時回しで、かつ、第1変動表示ゲームで大当りになるより、第2変動表示ゲームで大当りになる方が有利な機種において、非電サポ状態中(通常状態)では、第1変動ゲームと、第2変動表示ゲームとで平均変動表示時間が同じとされるが、第2変動表示ゲームを頻繁に行うことが可能になる電サポ状態中は、第1変動表示ゲームの平均変動表示時間が例えば通常時よりかなり長くされ、第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームの方が消化され易いものになっている遊技機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
これにより、電サポ状態中は、常時、第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームが多く行われ、第1変動表示ゲームが大当りになる可能性より、遊技者に有利な第2変動表示ゲームが大当りになる可能性が高くなる。
【0014】
また、大入賞口の開放回数が少なく、かつ、開放時間が短い小当たりを有する機種において、小当たりと同様の大入賞口の開放回数および開放時間を有する突然確変(突確)大当りを備える場合に、小当たりと、突確大当りとのあとに、同じ変動テーブルを用いて、通常時と異なる特殊な変動パターンを選択する遊技機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。小当たり後の通常状態と、突確大当り後の確変状態とで同じ特殊な変動パターンが選択することによって、大入賞口が短期間開放した後に特殊なモードに移行するように見せ、通常状態か確変状態かを分かりづらくしている。
【0015】
また、同様に小当たりを有する機種であり、かつ、短縮開放大当りを有し、さらに、短縮開放大当り後に大当り確率が高確率状態になる場合に、いわゆる潜伏確変として、高確率状態であることを分かりづらくしている機種において、小当たり後と、短縮開放大当り後とで同じ変動テーブルを用いて、同様の平均変動表示時間が選択されるようにする遊技機が提案されている(例えば、特許文献3参照)。これにより、小当たり後の通常状態なのか、突確後の潜伏確変なのかを分かりづらくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−110460号公報
【特許文献2】特開2008−48915号公報
【特許文献3】特開2010−5099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
電サポ状態を伴う確変状態および時短状態や、電サポ状態にならない潜伏確変状態およびこの状態に対応する通常状態や、特殊なモードに移行したように見せかえる確変状態およびこの状態に対応する通常状態等においては、基本的に次の大当り状態になるか、上述の回数切りの所定回数になるまで、同様の状態が続くことになる。
【0018】
また、上述の確変状態、潜伏確変状態においては、開始直後であっても、開始後から大きく時間が経過した後であっても、回数切りの場合の終了間際であっても、複数種類の大当りのうちのどの大当りになるかの確率は略同じである。
大当りとして、大入賞口を15回開放する15ラウンド大当りと、大入賞口を7回開放する7ラウンド大当りと、大入賞口を2回開放する2ラウンド大当りとがあり、第1変動表示ゲームでは、7ラウンド大当りと2ラウンド大当りとが発生し、第2変動表示ゲームでは、15ラウンド当たりが行われる場合に、確変状態になってからの経過時間が異なっても、各大当りの出現率は一定である。
【0019】
確変状態では、大当り確率が高くなっているとともに、電サポ状態により遊技球があまり減少せず、獲得できる遊技球を増やすチャンスであるが、ややもすると、大当りが発生するのを待つだけの単調な遊技になってしまう可能性がある。そこで、確変状態等の電サポ状態において、時間の経過や実行した変動表示ゲーム回数の増加に基づいて、状況が変化するような遊技機が求められている。
【0020】
また、確変状態が回数切りの場合には、所定数の変動表示ゲームの実行で、有利な状態が終了してしまうので、時間の経過に対して緊張感が生じることになるが、それでも、遊技自体が単調になってしまう虞がある。すなわち、回数切りの確変状態の終了間際であっても、確変状態の開始直後と遊技性に大きな違いがなく、遊技者があせっても、淡々と、確変状態が終了してしまう。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、確変状態等の特定の遊技状態において、この特定の遊技状態中に遊技が単調になるのを防止するために、変動表示ゲームの実行数が所定の回数になることにより、遊技性が変化する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1の発明は遊技球が流下する遊技領域を備える遊技盤と、前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞する第1始動口および第2始動口と、前記第1始動口及び前記第2始動口への入賞に基づいて当たり又ははずれを抽選により決定する抽選手段と、前記第1始動口への入賞に基づいて前記抽選手段によって決定された抽選結果に応じて行われる第1変動表示ゲームと、前記第2始動口への入賞に基づいて前記抽選手段によって決定された抽選結果に応じて行われる第2変動表示ゲームを表示する表示手段と、前記抽選結果が当たりである場合に当たり状態を発生させる当たり状態制御手段と、前記第1変動表示ゲームと前記第2変動表示ゲームとを並行して開始可能にする変動表示ゲーム開始制御手段と、前記第1変動表示ゲームまたは前記第2変動表示ゲームの変動パターンが記憶された変動テーブルを複数記憶している変動テーブル記憶手段と、前記第1変動表示ゲームまたは前記第2変動表示ゲームの開始に際し、前記変動テーブルに記憶された変動パターンを選択する変動パターン選択手段と、所定条件の成立に応じて、遊技状態を通常状態から特定遊技状態に移行する遊技状態制御手段とを備え、前記第1始動口への入賞に基づいた当たりより、前記第2始動口への入賞に基づいた当たりの方が遊技者に有利に設定されている遊技機において、前記特定遊技状態における前記第1変動表示ゲーム及び前記第2変動表示ゲームの実行される回数を所定条件に応じて複数の区間に区切られており、前記複数の区間を遊技者に第1優先区間と第2優先区間とに振り分ける区間分割手段と、前記変動テーブル記憶手段には、前記特定遊技状態にて用いられる変動テーブルとして、変動表示時間の平均が短い変動パターンが記憶されている短変動テーブルと、短変動テーブルよりも平均が長い変動表示時間の変動パターンが記憶されている長変動テーブルとが記憶され、前記変動パターン選択手段は、前記第1優先区間における前記第1変動表示ゲームには前記短変動テーブル、前記第2変動表示ゲームには前記長変動テーブルを用い、前記第2優先区間における前記第1変動表示ゲームには前記長変動テーブル、前記第2変動表示ゲームには前記短変動テーブルを用いることを特徴とする。
【0023】
第1の発明においては、第1変動表示ゲームと、第2変動表示ゲームとが並行して行われる。しがって、第1変動表示ゲームの開始と終了に関係なく、第2の変動表示ゲームが開始され、同様に第2変動表示ゲームの開始と終了に関係なく、第1の変動表示ゲームが開始される。また、当たりになった場合に、第2変動表示ゲームの方が第1変動表示ゲームより有利になっている。
【0024】
特定の遊技状態になった場合に用いられる変動テーブルには、短い変動表示時間が記憶されている短変動テーブルと、短変動テーブルに記憶されている変動時間の平均より長い変動表示時間が記憶されている長変動テーブルとがある。
【0025】
また、特定の遊技状態は、変動表示ゲームの実行回数により、複数区間に分けられている。各区間は、第1優先区間または第2優先区間に振り分けられている。第1優先区間では、第1変動表示ゲームに対して短変動テーブルが割り当てられ、第2変動表示ゲームに長変動テーブルが割り当てられ、第2優先区間では、第1変動表示ゲームに対して長変動テーブルが割り当てられ、第2変動表示ゲームに対して短変動テーブルが割り当てられる。
【0026】
第1優先区間では、遊技者に有利な第2変動表示ゲームに長変動テーブルが割り当てられ、第1変動表示ゲームに短変動テーブルが割り当てられる。したがって、第1始動口と第2始動口との入賞率に大きな違いがないものとし、第2変動表示ゲームの変動表示時間を30秒、第1変動表示ゲームの変動表示時間を2秒とした場合に、例えば、1分の間に、第2変動表示ゲームが2回行われ、第1変動表示ゲームが途切れなければ30回行われる。
【0027】
この場合に、1分の間に、第1変動表示ゲームでは30回大当りの抽選が行われる可能性がり、第2変動表示ゲームでは2回大当りの抽選が行われる可能性があることになり、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームのぞれぞれの1回の大当り確率が同じならば、上述の1分間における第1変動表示ゲームが大当りになる確率は、第2変動表示ゲームの15倍になる。したがって、第1優先区間では、当たりになった場合に遊技者に有利な第2変動表示ゲームより、第1変動表示ゲームが当たる可能性が高い。
それに対して、第2優先区間では、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとの変動表示時間の違いが、第1優先区間と逆になるので、遊技者に有利な第2変動表示ゲームが当たる可能性が第1変動表示ゲームが当たりになる可能性より高くなる。
【0028】
以上のことから、第1優先区間では、有利な当たりが発生し難いのに比較して、第2優先区間では有利な当たりが発生し易いことになる。したがって、遊技者は、第1優先区間より第2優先区間で当たりが発生することを望むことになる。特定の遊技状態中であっても、第1優先区間か第2優先区間かにより、遊技者が当たり強く望まない状態と、当たりを強く望む状態とが発生し、遊技が単調になるのを防止することができる。
【0029】
第2の発明は前記特定遊技状態において前記第1変動表示ゲーム及び前記第2変動表示ゲームが実行された回数が規定回数となった場合に、前記遊技状態を前記特定遊技状態から前記通常状態へ移行することを特徴とする。
【0030】
第2の発明においては、特定遊技状態中に第1変動表示ゲーム及び第2変動表示ゲームの実行回数が規定回数となった場合には通常状態へ移行されてしまうので、規定回数までに遊技者は大当りすることを望み、変動表示ゲームが実行された回数が規定回数に近づくと特定遊技状態が終了してしまうため焦燥感を煽ることができる効果がある。
【0031】
第3の発明は複数の区間の内、前記規定回数目の変動表示ゲームを含む区間は前記第2優先区間であることを特徴とする。
【0032】
第3の発明において、特定遊技状態が規定回数の変動表示ゲームの実行で終了する場合に、規定回数目の変動表示ゲームを含む区間が第2優先区間となるため、特定遊技状態の終了間際に大当りになれば、遊技者に有利な大当りになり、特定遊技状態の終了と、遊技者に有利な大当りの発生とのいずれになるかといった期待感と焦燥感とが入り混じった感覚を遊技者に与えることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームが並行して行われる場合に、確変状態などの特定の遊技状態中に変動表示ゲームの実行回数によって、遊技者に有利な状態と不利な状態と切り替えることを可能にすることによって、遊技が単調になるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ遊技機の遊技盤上の遊技領域を示す正面図である。
【図2】前記パチンコ遊技機の制御係を示すブロック図である。
【図3】確率変動状態の区間分けを説明するための図である。
【図4】前記パチンコ遊技機の主制御装置による確変状態における変動表示時間決定処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
遊技盤1の盤面上の遊技領域2内には、表示手段として、可変表示装置3や第1および第2特図表示器4a,4bが設けられている。可変表示装置3は遊技領域内の略中央部に設けられている。また、可変表示装置3は液晶表示装置からなるもので、抽選手段として機能する後述の主制御装置14で行われる抽選の各種大当りおよびはずれの抽選結果を表示するものであり、抽選結果の表示に際し、識別情報としての装飾図柄の変動表示ゲームを表示し、この変動表示ゲームの大当りおよびはずれによって抽選結果を報知するようになっている。
【0036】
遊技領域2の下部には、第1および第2特図表示器4a,4bが設けられている。第1および第2特図表示器4a,4bは、例えば、7セグ等のセグメント型のLED表示装置からなる。第1および第2特図表示器4a,4bは、後述の変動パターンの一部として設定される変動表示時間だけ変動表示(一部のセグメントを点滅表示)した後に特図を停止表示する。
【0037】
ここで、第1および第2特図表示器4a,4bの前記点滅表示後に特図を停止表示する変動表示ゲームを表示する。また、変動表示ゲームには、第1特図表示器4aで行われる第1変動表示ゲームと、第2特図表示器4bで行われる第2変動表示ゲームとがある。第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとは、並行して行うことが可能である。
【0038】
可変表示装置3では、画面を分割したり、画面中に画面を表示したりすることによって、2つの変動表示ゲームを同時に表示することが可能になっている。可変表示装置3に表示される変動表示ゲームは、実行されている第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームにそれぞれ対応したものである。第1特図表示器4aに表示されている第1変動表示ゲームが可変表示装置3に同時に表示され、第2特図表示器4aに表示されている第2変動表示ゲームが可変表示装置3に同時に表示される。
【0039】
前記可変表示装置3の直ぐ下には、第1始動口52が設けられている。
また、第1始動口52の直ぐ下には第2始動口54を備えた所謂電チューと呼ばれる普通可変入賞装置5が設けられている。
この普通可変入賞装置5は、開閉動作自在な1対の可動片51,51を備え、第2始動口54に遊技球が入賞できないように可動片51,51が閉じた状態(閉状態)と、遊技球が入賞し易くなるように可動片51,51が開いた状態(開状態)との間で可変するようになっている。
【0040】
第1始動口52には、遊技球の入賞を検知する第1始動入賞球検知センサ53a(図2に図示)が設けられており、第1始動入賞球検知センサ53aは、主制御装置14に、遊技球が第1始動口52に入賞した際に第1始動入賞信号を出力する。また、第2始動口54には、遊技球の入賞を検知する第2始動入賞球検知センサ53b(図2に図示)が設けられており、第2始動入賞球検知センサ53bは、主制御装置14に、遊技球が第2始動口54に入賞した際に第2始動入賞信号を出力する。主制御装置14は、第1始動入賞信号の入力(所定の乱数取得条件の成立)に基づいて第1変動表示ゲームの各大当りおよびはずれを決める乱数を取得し、第2始動入賞信号の入力(所定の乱数取得条件の成立)に基づいて第2変動表示ゲームの各大当りおよびはずれを決める乱数の取得を行う。
【0041】
また、可変表示装置3には、画面の周縁部分に後述の保留数の表示が行われる保留数表示領域31a、31bが設定されている。主制御装置14では、第1始動入賞球検知センサ53aから始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(例えば4)の範囲内で第1保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて変動表示ゲームおよび変動表示ゲームが開始される場合に、保留数から1減算する。この第1保留数が保留数表示領域31aにマークの数として表示される。同様に、主制御装置14では、第2始動入賞球検知センサ53bから始動入賞信号が入力した場合に、上限になる数値(例えば4)の範囲内で第2保留数に1加算し、この始動入賞に基づいて変動表示ゲームおよび変動表示ゲームが開始される場合に、保留数から1減算する。この第2保留数が保留数表示領域31bにマークの数として表示される。
【0042】
可変表示装置3の下方に、大入賞口61を有する特別可変入賞装置6が設けられている。この特別可変入賞装置6には、大入賞口61を開閉する可動扉62が備えられ、通常遊技状態では可動扉62が遊技球を大入賞口61に流入させないように立って閉じた閉状態になり、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームの結果が各大当りとなり大当り状態が発生した場合に遊技球が流入し易いように前に略水平に倒れて開いた開状態になる。また、大入賞口61に入賞した遊技球を検知する大入賞球検知センサ63が設けられている。
【0043】
大当り状態として、特別可変入賞装置6が閉状態から開状態になって再び閉状態になる開閉動作としての1ラウンドの動作を、所定ラウンド数だけ行うようになっている。パチンコ遊技機によって異なる場合があるが、所定ラウンド数が2〜16程度になっている。なお、ラウンド数は、大当りの種類によって異なる場合がある。
また、特別可変入賞装置6は、いわゆる突確、突時、潜確等の大当りに対応する大当り状態では、2ラウンドだけの動作を行うものとなっており、これらを2ラウンド当たりと称する。大当り状態における特別可変入賞装置6の制御は、当たり状態制御手段としての主制御装置14が行う。
【0044】
本実施形態では、第1変動表示ゲームで大当りになると、2ラウンド確変大当り、2ラウンド通常大当り、7ラウンド確変大当り、7ラウンド通常大当りが発生する。第2変動表示ゲームでは、15ラウンド大当りが発生する。
【0045】
可変表示装置3の左側方には、普通図柄(普図と略す)ゲート(スルーチャッカ)7が設けられている。また、普図ゲート7内を通過した遊技球を検知する通過球検知センサ71が設けられ、通過球検知センサ71は遊技球を検知すると主制御装置14に通過球検知信号を出力する。当該通過球検知信号の入力に基づいて主制御装置14は、普通可変入賞装置5を開状態とする当たりと、普通可変入賞装置5を閉状態のままとするはずれとを抽選する普図抽選を行う。なお、この普図抽選の結果は、普図の変動表示ゲーム(普図ゲーム)を普図用のLED表示装置8で表示することにより報知される。普図用のLED表示装置8の下には、普図保留数表示ランプ9が設けられており、保留数と同様に求められる普図保留数が表示される。
【0046】
普図ゲームが当たりになった場合に、普通可変入賞装置5が開放し、第2始動口への遊技球の入賞率が高まり、変動表示ゲームの開始機会が増加するようになっている。また、遊技領域2の左側部には、複数の一般入賞口10,10が設けられている。また、一般入賞口10,10に対応して、一般入賞口10,10に入賞した遊技球を検知する一般入賞球検知センサ11がそれぞれ設けられている。
【0047】
また、特別可変入賞装置6の下方の遊技領域2の最下端部には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域2の外部になる遊技盤1裏面に排出させるアウト口12が設けられている。また、遊技盤1の前面には、遊技球の流下方向を規制するとともに流下方向を転換する遊技釘81(一部だけ図示)や風車(図示略)等の流下規制転換部材が設けられている。
【0048】
次に、パチンコ遊技機の制御系を図2に示されるブロック図を参照して説明する。パチンコ遊技機の制御系は、大きく分けて主制御部(主基板の制御装置としての主制御手段)15と、副制御部(副基板側の制御装置としての副制御手段)16と、これら主制御部15および副制御部16に電力を供給する電源供給装置とから構成されている。主制御部15には、例えば、遊技機用のワンチップマイコン等で構成される主制御装置14が備えられ、主制御装置14には、プログラムを実行するCPU14a、プログラムやプログラムで使用するデータを記憶したROM14bや、プログラムに基づいて発生したデータやROM14bから読み出した各種データ等を記憶するRAM14cや周波数発生回路部14d等が備えられている。
【0049】
主制御装置14(CPU14a)には、パチンコ遊技機に設けられた各種センサからの信号が入力可能になっており、前述の第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53b、大入賞球検知センサ63、通過球検知センサ71、一般入賞球検知センサ11が接続されるとともに、遊技球の入賞に対応して賞球を払出す遊技球払出装置17から払い出された賞球を検知する遊技球払出検知センサ18、パチンコ遊技機におけるエラーを検知するエラー検知センサ19等が接続されている。
【0050】
また、主制御装置14は、パチンコ遊技機の各種装置を動作させるため各種信号を出力するようになっている。例えば、主制御装置14には、遊技店において設置された各遊技機のデータを集計管理するためのホールコンピュータ20が払出制御装置22から外部情報端子板40を介してデータを入力可能に接続されている。また、主制御装置14には、副制御部16に設けられている副制御装置30、払出制御装置22等が接続され、これらに対してコマンド(制御指令)を出力可能とされている。
また、副制御装置30に図柄制御装置23、ランプ制御装置24、音声制御装置25が接続され、副制御装置30からこれらに対してコマンドを出力可能とされている。
【0051】
なお、ここで、払出制御装置22は実質的に賞球を払出すためのパチンコ遊技機における遊技の主要な制御を行うことから主制御部15に含まれるものとし、遊技の演出に係わる図柄制御装置23、ランプ制御装置24、音声制御装置25は副制御部16に含まれるものになっている。
【0052】
また、主制御装置14には、第1および第2特図表示器4a,4bが接続され、主制御装置14が第1および第2特図表示器4a,4bにおける特図の表示制御を行う。
また、主制御装置14には、普通可変入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通変動ソレノイド55が接続されるとともに、特別可変入賞装置6の可動扉62を駆動する特別変動ソレノイド64が接続され、主制御装置14が、普通可変入賞装置5および特別可変入賞装置6の開閉動作を制御する。
【0053】
また、払出制御装置22には、払出制御装置22により制御されて賞球および貸球を払出す遊技球払出装置17が接続されるとともに、プリペードカード(記録媒体)26のデータを読み込で遊技球の貸出制御を行うためのCRユニット27が球貸信号制御装置28を介して接続されている。払出制御装置22は、主制御装置14からのコマンドに基づいて賞球を払出すとともに、CRユニット27から球貸信号制御装置28を介して入力される球貸信号に基づいて貸球を払出す制御を行う。
【0054】
また、払出制御装置22には、遊技球を遊技領域2に発射する打球発射装置(図示略)の発射駆動装置29を制御する発射制御装置29aが設けられ、発射制御装置29aには、遊技球の発射を操作するための回転式操作ハンドル29b、発射停止釦29c、タッチセンサ29dが接続されている。
【0055】
主制御部15の主制御装置14は、パチンコ遊技機における遊技の進行を制御するもので、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53b、大入賞球検知センサ63、一般入賞球検知センサ11から遊技球の検知信号が入力された場合、すなわち、各入賞口に遊技球が入賞した場合に、払出制御装置22にコマンドを出力して、賞球として遊技球の排出を行なう。
【0056】
また、主制御装置14は、通過球検知センサ71から遊技球の検知信号が入力した場合に、普図保留数が上限未満ならば、上述の普図保留数を加算する処理を行うとともに、普図ゲームの当たり外れを決定する抽選処理で用いられる各種乱数を取得し、乱数を記憶する。また、所定の開始条件として、前の普図ゲームのはずれでの終了もしくは当たり後の普通可変入賞装置5の開閉動作の終了の際に普図ゲームを開始するとともに、普図ゲームが行われていない状態で、通過球検知センサ71から遊技球の検知信号が入力して普図保留数が1になった場合に普図ゲームを開始し、普図保留数を1減算する。この際に乱数による抽選処理によって、普図ゲームの当たり外れを決定し、普図ゲームの表示や結果の報知や演出のために必要に応じて図柄制御装置23やランプ制御装置24や音声制御装置25にコマンドを出力する。
【0057】
また、主制御装置14は、第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力に基づいて、第1及び第2の特図の保留数が上限未満の場合に、上述の保留数の加算処理を行い、変動表示ゲームが開始される際に減算処理を行う。また、変動表示ゲームの大当り外れを決定する抽選処理で用いられる抽選決定情報としての各種乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を取得し、当該乱数をRAM14cに記憶する。なお、前記抽選処理によって、当たり判定乱数に基づいて第1および第2変動表示ゲームの大当りおよびはずれを決定し、第1および第2特図表示器4a,4bを制御して第1および第2変動表示ゲームを表示するとともに、可変表示装置3における装飾図柄の変動表示ゲームの表示や結果の報知や演出のために副制御装置30に指定コマンドを出力し、副制御装置30から図柄制御装置23やランプ制御装置24や音声制御装置25等に開始コマンドを出力する。
【0058】
変動表示ゲーム開始制御手段としての主制御装置14で設定されている第1変動表示ゲームの開始条件は、前の第1変動表示ゲームがはずれで終了した際と、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになったことにより、特別可変入賞装置6を開放する大当り状態になり、この大当り状態が終了した際とのいずれかにおいて、第1保留数が1以上になっている場合と、第1変動表示ゲーム、大当り状態のいずれでもない場合に、第1始動入賞信号が入力して第1保留数が1になった場合である。
【0059】
変動表示ゲーム開始制御手段としての主制御装置14で設定されている第2変動表示ゲームの開始条件は、前の第2変動表示ゲームがはずれで終了した際と、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが大当りになったことにより、特別可変入賞装置6を開放する大当り状態になり、この大当り状態が終了した際とのいずれかにおいて、第2保留数が1以上になっている場合と、第2変動表示ゲーム、大当り状態のいずれでもない場合に、第2始動入賞信号が入力して第2保留数が1になった場合である。
【0060】
また、主制御装置14は、普図ゲームが当たりになった場合に、普通可変入賞装置5の可動片51,51を駆動する普通変動ソレノイド55を制御して普通可変入賞装置5を閉状態から開状態とする制御を行う。また、主制御装置14は、第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームが各大当りになった場合には、特別可変入賞装置6の可動扉62の特別変動ソレノイド64を制御して所定の条件に基づいて特別可変入賞装置6を閉状態から開状態に可変させて大当り状態を発生させる制御を行う。
【0061】
また、抽選手段としての主制御装置14は、前述の始動入賞信号に基づいて第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになるかはずれになるかを決める抽選処理を行う。また、遊技状態制御手段としての主制御装置14は、大当りとはずれとのいずれかを示す第1変動表示ゲームまたは第2変動表示ゲームを順次表示する際に、確変大当り等の発生に基づいて前記抽選処理により第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになる確率を低確率状態より高い高確率状態へ移行し、通常大当り等の発生に基づいて前記抽選処理により第1変動表示ゲームおよび第2変動表示ゲームが大当りになる確率を高確率状態より低い低確率状態と移行制御を行う。なお、高確率状態としての確変状態では、電サポ状態になる。なお、本発明の遊技機は、所謂回数切りの遊技機であり、確変状態になってから変動表示ゲームが所定回数(例えば、第1変動表示ゲームの実行回数と第2変動表示ゲームの実行回数との和)行われた場合に、確変状態を終了する。この実施形態では、確変状態になってから、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとを合わせて変動表示ゲームが80回実行されると確変状態が終了して非電サポ状態でかつ低確率状態である通常状態が開始される。
【0062】
また、副制御部16の表示制御手段としての図柄制御装置23は、可変表示装置3を制御するものであり、可変表示装置3がビデオディスプレイプロセッサ35を介して接続されている。主制御装置14により決定された各大当りおよびはずれと、変動パターンとしての変動表示時間等に基づいて、図柄制御装置23により装飾図柄の変動表示ゲームの可変表示装置3における表示が制御される。また、図柄制御装置23は、主制御装置14において、算出される保留数に基づいて、可変表示装置3の保留数表示領域31a,31bにおける保留数のマークの表示を制御する。また、パチンコ遊技機の遊技盤1を支持する前面枠等に設けられたボタンスイッチ23aを遊技者等が操作した場合に、ボタンスイッチ23aからの外部入力信号が副制御装置30へ送られ、副制御装置30から図柄制御装置23へ入力され、可変表示装置を制御するようになっている。
【0063】
副制御部16のランプ制御装置24は、遊技盤1の盤面に設けられた盤面関係の電飾(LED等の光源)24aと、パチンコ遊技機の遊技盤1を支持する前面枠に設けられ、遊技盤1の前面を覆うガラス枠等の枠扉関係の電飾(LED等の光源)24bとが接続され、LEDやランプ等による演出を制御する。
【0064】
音声制御装置25には、サウンドプロセッサ、アンプ、スピーカ等からなる音声発生装置25aが接続されており、音声制御装置25は、演出用の効果音、音声、音楽等の出力を制御する。
【0065】
主制御装置14では、上述のように第1始動入賞信号が入力された場合、または、第2始動入賞信号が入力された場合に、乱数の取得処理が行われる。主制御装置14は、所定範囲内の数値からなる乱数(擬似乱数)を生成する。例えば、0から所定数まで高速にカウントアップし、所定数に達したら再び0とする処理を行い、この数値を擬似乱数とする。なお、乱数の生成に際して、周期性のある擬似乱数の周期性を乱すような処理を加えてもよい。また、主制御装置14とは、別に乱数生成手段を設けてもよい。
【0066】
乱数取得手段としての主制御装置14が第1および第2始動入賞球検知センサ53a,53bからの始動入賞信号の入力時に生成された乱数を取得する。なお、始動入賞信号が入力された際に、上述の対応する保留数(記憶された3つ一組の乱数の組数)が上限未満の場合に乱数を取得するが、対応する保留数が上限の場合には、乱数を取得しない。
【0067】
また、乱数記憶手段としての主制御装置14は、上述のように取得した乱数をRAM14cに記憶し、この乱数に対応する変動表示ゲームの開始条件が成立し、記憶された乱数による抽選処理が行われた場合に乱数消去条件が成立したものとして乱数を消去し、変動表示ゲームに用いた特図の保留数が一つ減算される。
【0068】
抽選手段としての主制御装置14は、変動表示ゲーム開始の際に、上述のように取得された3つずつの乱数(当たり判定乱数、図柄乱数、演出乱数)を用いて第1および第2変動表示ゲームを表示するための抽選処理を行う。抽選処理においては、まず、当否抽選処理として、当たり判定乱数と、設定されている当たり判定テーブル(低確率判定テーブルまたは高確率判定テーブル)に記憶された当たり判定値とを比較する。主制御装置14のROM14bには、当たり判定テーブルが記憶されている。
【0069】
当たり判定値は、当たり判定乱数になる所定範囲の数値(整数)のうちから予め決められた数値であり、大当り確率は、(当たり判定値の数)/(当たり判定乱数になる所定範囲の数値の個数)になる。また、当たり判定値には、当たり確率が低確率になる通常時の低確率判定テーブルに記憶された当たり判定値と、確変大当り後の高確率時の高確率判定テーブルに記憶された当たり判定値とがあり、通常時(低確率時)の当たり判定値の数に対して、高確率時の当たり判定値の数が約10倍多く設けられている。これにより、低確率時に対して高確率時の大当り確率が約10倍に設定されている。
【0070】
取得された当たり判定乱数の数値と、当たり判定値とが一致した場合に、大当りになり、一致しない場合にはずれになる。
また、低確率判定テーブルを用いるか、高確率判定テーブルを用いるかは、上述のように制御される確率状態が高確率状態か低確率状態かにより、主制御装置14で決定される。
大当りと判定された場合には、当たり状態制御手段として主制御装置14により、変動表示ゲーム終了後に大当り状態が発生する。
【0071】
当否判定処理の次に、停止図柄抽選処理が行われる。図柄乱数は、第1および第2特図表示器4a,4bに停止表示される停止図柄(特図)の種類を決定するものであるが、変動表示ゲームがはずれの場合には、はずれに対応した特図が決定される。大当りの場合には、各大当りの種類毎、例えば、15ラウンド通常大当り、15ラウンド確変大当り、7ラウンド通常大当り、7ラウンド確変大当り、2ラウンド通常大当り、2ラウンド確変大当りのそれぞれに対して複数種類ずつの特図が設定されている。
【0072】
停止図柄の抽選に際しては、図柄抽選用のデータテーブルとしての図柄テーブルが用いられ、図柄テーブルには、各大当りに対応してそれぞれ複数の図柄が記憶されるとともに、各図柄に関連付けて抽選確率に対応した数の判定値が記憶されている。抽選に際しては、図柄乱数と一致する判定値に対応する図柄が選択される。また、図柄テーブルには、第1変動表示ゲーム用と第2変動表示ゲーム用とがある。
【0073】
第1変動表示ゲーム用の図柄テーブルでは、15ラウンド大当り(通常、確変)が発生せずに、7ラウンド大当り(通常、確変)および2ラウンド大当り(通常、確変)が発生するようになっている。また、第2変動表示ゲーム用の図柄テーブルでは、7ラウンド大当りおよび2ラウンド大当りが発生せずに、15ラウンド大当りが発生するようになっている。これによって、大当り状態になった際のラウンド数、すなわち、大入賞口の開放回数が多い15ラウンド当たりが発生する第2変動表示ゲームの方が、第1変動表示ゲームより遊技者に有利なゲームになる。
【0074】
なお、第1変動表示ゲームでは、15ラウンド当たり、7ラウンド当たり、2ラウンド当たりが全て発生可能になっていてもよい。この場合に、15ラウンド当たりになれば、第2変動表示ゲームに対して不利な状態にならないが、7ラウンド当たりや2ラウンド当たりが発生することにより、遊技者に対して第2変動表示ゲームの方が第1変動表示ゲームより有利になる確率が高いものになる。
【0075】
また、遊技者に有利な状況としては、大当り状態後の確変状態または時短状態が所定回数の変動表示ゲームの実施で終了する場合に、前記所定回数が第1変動表示ゲームでの大当りになった場合よりも第2変動表示ゲームでの大当りになった方が確変状態や時短状態が終了するまでに実施できる変動表示ゲームの回数が多くなっているようにしてもよい。また、第1変動表示ゲームで大当りになった場合に開放する大入賞口と、第2変動表示ゲームで大当りになった場合に開放する大入賞口とをそれぞれ設け、大入賞口によって、単位時間当たりの入賞率が異なるように設定してもよい。すなわち、第2変動表示ゲーム用の大入賞口の方が第1変動表示ゲーム用の大入賞口より遊技球が入賞しやすい構造としてもよい。
【0076】
停止図柄抽選処理の次に、変動パターン抽選処理が行われる。
上述の演出乱数は、変動表示ゲームの変動表示時間を含む変動パターンを決定するものであり、はずれの場合にリーチになるか否か、また、リーチの場合に変動表示時間が短いノーマルリーチか、変動表示時間の長いスーパーリーチになるかを決定するものである。また、大当りの場合は、ノーマルリーチかスーパーリーチやプレミアムリーチなどのリーチの演出の種類を決定するものになる。なお、変動パターン選択手段としての主制御装置14は、変動パターンの選択に際して、複数の変動パターンと、複数の変動パターンそれぞれに抽選確率の数に対応して関連付けられている判定値との組み合わせからなる変動テーブルに従って選択を行い、変動パターンを選択する。
【0077】
変動テーブルは、例えば、大当り用と、はずれ用とがあり、変動テーブル記憶手段としての主制御装置14のROM14bに記憶されている。各変動テーブルでは、各変動パターン毎に判定値が割り当てられており、各変動パターンに割り当てられた判定値の個数で、抽選確率が決定される。各判定値は、演出乱数になる数値の範囲に含まれる整数であり、抽選確率は、演出乱数になる数値の範囲に含まれる全ての整数の個数を分母とし、各変動パターンに割り当てられた判定値の個数を分子とした数値である。
【0078】
変動テーブルは、さらに、通常状態用と、時短状態や確変状態などの電サポ状態(特定遊技状態)用とがある。基本的には、はずれの通常状態用の変動テーブルに比較して、はずれの電サポ状態用の変動テーブルには変動表示時間が短い変動パターンが記憶されている。
この実施形態においては、電サポ状態用の変動テーブルとして、主に2秒程度の変動表示時間の平均が短い変動パターン記憶している短変動テーブルと、短変動テーブルに記憶されている変動表示時間より長く設定され、平均時間が44秒程度の変動表示時間の平均が長い変動パターンを記憶している長変動テーブルとがROM14b等に記憶されている。
【0079】
基本的にリーチの変動パターンにならなければ、短変動テーブル変動表示時間が2秒程度の変動パターンが選択され、長変動テーブルでは変動表示時間が44秒程度の変動パターンが選択される。また、特図の停止時間は、変動表示時間にかかわらず1秒程度とされる。
【0080】
確変状態(電サポ状態、特定の遊技状態)においては、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとのうちの一方の変動表示ゲームの変動パターンの抽選に短変動テーブルを用い、他方の変動表示ゲームの変動パターンの抽選に長変動テーブルを用いる。
また、確変状態の開始から第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームを合わせて所定数の変動表示ゲームが行われた場合に、使用する変動テーブルが逆になるように切り替える。
【0081】
図3に示すように、確変状態開始時に、第1変動表示ゲームに短変動テーブルを割り当て、第2変動表示ゲームに長変動テーブルを割り当て、所定回数目として20回の変動表示ゲームが行われた後に、21回目以降の変動表示ゲームから第1変動表示ゲームに長変動テーブルを割り当て、第2変動表示ゲームに短変動テーブルを割り当てるようになっている。
また、41回目と、61回目の変動表示ゲームが行われる際とにおいても、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとで短変動テーブルと、長時間テーブルの割り当てを変更するようになっている。
【0082】
ここで、80回の変動表示ゲームの実行で終了する確変状態が、1回目から20回目までの変動表示ゲームが行われる第1区間と、21回目から40回目までの変動表示ゲームが行われる第2区間と、41回目から60回目までの変動表示ゲームが行われる第3区間と、61回目から80回目までの変動表示ゲームが行われる第4区間と所定回数毎に区切られ分けられていることになる。
【0083】
本実施形態では、確変状態が80回の変動表示ゲームの実行により終了となり通常状態に移行し、電サポ状態用の短変動テーブルおよび長変動テーブルではなく、通常の変動テーブルが用いられる。
【0084】
また、確変状態においては、第1変動表示ゲームに短変動テーブルが割り当てられ、第2変動表示ゲームに長変動テーブルが割り当てられた場合に、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームが途切れることなく連続的に行われた場合に、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームが同時に開始されれば1回の第2変動表示ゲームが行われる間に15回の第1変動表示ゲームが行われることになる。
【0085】
この場合に、大当り状態が終了して確変状態が開始されてから20回の変動表示ゲームが行われる第1区間の場合に、1回の第2変動表示ゲーム(2回目の第2変動表示ゲームが開始されるが終了しない状態)と、19回の第1変動表示ゲームが実行される状態になる。なお、第1変動表示ゲームが途切れるような場合には、例えば、数回の第2変動表示ゲームと、第2変動表示ゲームと合わせて20回になる十数回の第1変動表示ゲームとが行われる。
【0086】
この区間においては、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームの大当りになる抽選確率が同じ場合に、ゲームの実行回数から第1変動表示ゲームの方が第2変動表示ゲームより19倍程度当たり易い状態になる。従って、第1区間において大当りが発生する場合に、上述のように第1変動表示ゲームが大当りになることによって、15ラウンド大当りが発生せずに、7ラウンド大当りか2ラウンド大当りが発生する可能性が高い。
【0087】
21回目から40回目の変動表示ゲームが行われる第2区間においては、第2変動表示ゲームに短変動テーブルが割り当てられ、第1変動表示ゲームに長変動テーブルが割り当てられることになり、上述の状態と逆に、第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームが大当りになる確率が高くなる。但し、21回目の変動表示ゲームが実行される際に、未だ、第1区間からの第2変動表示ゲームが終了しておらず、3秒の短い第2変動表示ゲームが直ぐに開始されない可能性が高い。それに対して第1変動表示ゲームでは、20回目の変動表示ゲームになる短い第1変動表示ゲームが終了して、すぐに長い第1変動表示ゲームが開始される可能性が高い。
【0088】
この場合に、開始された長い第1変動表示ゲームが終了する前に第1区間から行われている長い第2変動表示ゲームが終了して、短い第2変動表示ゲームが開始される。したがって、長い第1変動表示ゲームが終了して、次の長い第1変動表示ゲームが開始して終了する前に、19回の第2変動表示ゲームが行われる可能性が高い。特に、電サポ状態で第2始動口54の普通可変入賞装置5が頻繁に開放して第2変動表示ゲームの入賞率が高いことから、第2変動表示ゲームが途切れることなく連続して行われる可能性が高い。したがって、21回目から40回目までは、主に第2変動表示ゲームが行われることになり、第1変動表示ゲームが当たりになる可能性に対して第2変動表示ゲームが大当りになる可能性が10数倍程度になる。
第2区間においては、第2変動表示ゲームが大当りになって、2ラウンドでも7ラウンドでもない15ラウンド大当りが発生する可能性が高くなる。
【0089】
上述のことから、41回目から60回目の変動表示ゲームにおいては、第1変動表示ゲームが当たりになる可能性が高く、61回目から確変状態の最後になる80回目までの変動表示ゲームにおいては、第2変動表示ゲームが当たりになる可能性が高くなる。以上のことから確変状態においては、上述の第1区間および第3区間では、2ラウンドまたは7ラウンド大当りが発生し易く、第2区間および第4区間では、15ラウンド大当りが発生し易くなる。したがって、遊技者としては、第2区間または第4区間で大当りが発生することを望むことになる。言い換えれば、遊技者にとっては、第1区間および第3区間より第2区間および第4区間が有利な区間になる。また、第1区間が第2変動表示ゲームより第1変動表示ゲームがより多く行われる第1優先区間になり、第2区間が第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームがより多く行われる第2優先区間になり、第3区間は第1優先区間になり、第4区間は第2優先区間になる。
【0090】
なお、第1変動表示ゲームを開始させる第1始動口52には、普通可変入賞装置5としての電チューのアシストがないので、第1変動表示ゲームに短い変動表示時間が割り当てられた場合に、第1変動表示ゲームが途切れる可能性が高い。すなわち、電チューのアシストを受ける第2変動表示ゲームは、短い変動表示時間が割り当てられても途切れる可能性が低く、確変状態全体では、第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームの方が少しだけ大当りになる確率が高くなる。
【0091】
次に、上述のように確変状態中に第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとで、変動表示時間の長短を変更する確変中の主制御装置14における変動表示時間決定処理を、フローチャートを参照して説明する。なお、この処理は、リアルタイム処理において、メインフローの処理が繰り返し行われる際に、同様に繰り返し行われる処理である。
【0092】
確変状態における処理なので、確変状態か否かが判定される(ステップS1)。確変状態でなければ、処理を終了する。
確変状態の場合に、ここで、確変状態における変動表示ゲームの実行回数に基づいて処理を行うので、変動表示ゲームの実行回数をカウントする処理として、第1変動表示ゲームが終了か否かを判定する(ステップS2)。第1変動表示ゲームが終了するタイミングの場合には、変動表示ゲームの実行回数を計数するためのゲームカウントの値を1だけ増加させる(ステップS3)。
【0093】
第1変動表示ゲームの終了か否かにかかわらずに、第2変動表示ゲームが終了か否かを判定する(ステップS4)。第2変動表示ゲームが終了の場合には、ゲームカウンタの値を1増加させる(ステップS5)。
次に、ゲームカウンタの値、すなわち、確変状態になってからの変動表示ゲームの実行回数が20以下か否かを判定する(ステップS6)。20以下の場合には、上述の第1区間になる。
次に、第1変動表示ゲームが開始されるか否かを判定する(ステップS7)。
【0094】
第1変動表示ゲームが開始される場合には、上述の大当りまたははずれの抽選および停止図柄の抽選とともに、上述の演出乱数を用いた変動パターンを決定する処理を行うことになるが、第1区間においては、第1変動表示ゲームの変動パターンの抽選に対して短変動テーブルを用い、変動パターンを選択することで変動表示時間を選択する(ステップS8)。
【0095】
次に、第1変動表示ゲームの開始か否かにかかわらずに、第2変動表示ゲームが開始されるタイミングか否かを判定する(ステップS9)。第2変動表示ゲームが開始される場合には、第1変動表示ゲームの場合と同様に変動パターンを抽選で決定するが、第1区間おいては、第2変動表示ゲームの変動パターンの抽選に対して長変動テーブルを用い、変動パターンを選択し(ステップS10)、処理を終了する。
【0096】
また、ステップS6において、確変状態が開始されてからの特図の実行回数であるゲームカウントの値が20以下でないと判定された場合は、ゲームカウントの値が21以上になる。この場合には、ゲームカウントの値が40以下か否かを判定する(ステップS11)。
ゲームカウントの値が40以下の場合には、変動表示ゲームの実行回数が21から40の第2区間になる。
【0097】
次に、第1変動表示ゲームが開始されるか否かを判定する(ステップS12)。
第1変動表示ゲームが開始される場合には、上述の場合と同様に変動パターンを決定する処理を行うことになるが、第2区間においては、第1変動表示ゲームの変動パターンの抽選に対して長変動テーブルを用い、変動パターンを選択する(ステップS13)。
【0098】
次に、第1変動表示ゲームの開始か否かにかかわらずに、第2変動表示ゲームが開始されるタイミングか否かを判定する(ステップS14)。第2変動表示ゲームが開始される場合には、第1変動表示ゲームの場合と同様に変動パターンを抽選で決定するが、第2区間おいては、第2変動表示ゲームの変動パターンの抽選に対して短変動テーブルを用い、変動パターンを選択し(ステップS15)、処理を終了する。
【0099】
ステップS11では、ゲームカウントの値が40以下ではないと判定された場合に、変動表示ゲームの実行回数が41以上になる。この場合に、ゲームカウントの値が60以下か否かを判定する(ステップS16)。60以下の場合には、変動表示ゲームの実行回数が41〜60までの第3区間になる。この場合には、上述の第1区間の場合と同様に、ステップS7からステップS10までの処理を行う。この場合には、第1変動表示ゲームの変動パターンの選択に短変動テーブルを用い、第2変動表示ゲームの変動パターンの選択に長変動テーブルを用いて選択する。
【0100】
ステップS16では、ゲームカウントの値が61以上と判定された場合には、ゲームカウントの値が80か否かを判定する(ステップS17)。80でない場合には、変動表示ゲーム実行回数が61〜79(終了してゲームカウントの値が80になる前の80回目の変動表示ゲームを含む)の第4区間になり、上述の第2区間の場合と同様に、ステップS12〜ステップS15までの処理を行う。この場合には、第1変動表示ゲームの変動パターンの選択に長変動テーブルを用い、第2変動表示ゲームの変動パターンの選択に短変動テーブルを用いて選択する。
ステップS17において、ゲームカウントの値が80の場合には、確変状態が終了になるので、確変状態終了処理を行う(ステップS18)。この際には、ゲームカウントの値をリセットして0にする。
【0101】
このような遊技機においては、確変状態や時短状態において、これらが終了する前に、遊技者に対する有利さを変更することができる。上述のように遊技者に有利な第2変動表示ゲームが大当りになり易い状況と、第2変動表示ゲームより遊技者に不利な第1変動表示ゲームが大当りになり易い状況とを予め設定された変動表示ゲームの実行回数になった場合に切り替えることが可能になる。
【0102】
また、第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとが並行して行われることにより、どちらかを優先的に実行するような構成になっていないにもかかわらず、変動パターンの設定を第1変動表示ゲームと第2変動表示ゲームとで変更することにより、短い変動表示時間が割り当てられた変動表示ゲームを大当りし易いものにできる。この場合に、第1変動表示ゲームより第2変動表示ゲームの方が上述のように遊技者に有利になっている場合に、有利な第2変動表示ゲームが大当りになり易い状況が遊技者に有利な状況になる。
【0103】
これにより、変動表示ゲームの実行回数によって、遊技者に有利な区間と、遊技者に不利な区間とを創りだすことができる。遊技者は、確変状態や時短状態などで、速く大当りが発生するように大当りの発生を待つような遊技状況から、遊技者に不利な区間では、大当りが発生しないように思い、遊技者に有利な区間では、大当りがすぐに発生するように思うことになる。これにより、遊技に減り張りが生じ、確変状態のような特定の遊技状態において、遊技者が大当りの発生を待つだけの単調な遊技に陥ってしまうのを防止することができる。
【0104】
上記実施形態では、80回等の所定回数で終了する確変状態を変動表示ゲームの20回の実行ずつの4つの区間分け、上述のように遊技者に不利な状態と有利な状態とが交互に発生するようにし、特に最後の区間を遊技者に有利な状態になるようにしているが、例えば、回数切りではなく、次の大当り状態まで、確変状態が継続する遊技機や大当り後必ず確変状態へ移行する遊技機に本発明を用いてもよい。
【0105】
この場合に、上述のように、変動表示ゲームの実行回数が設定された複数個の各実行回数になる毎に、上述のように遊技者に有利な状態と不利な状態とが切り替わる構成としてもよい。
また、確変状態において、500回以上の回数を所定の回数として、大当り確率と比較して変動表示ゲームの実行回数が多くなったのにかかわらず未だ大当りにならない場合に、遊技者に不利な区間から遊技者に有利な区間としてもよい。この場合に、一般的な確変状態での大当りの発生時期より、大当りの発生が遅くなって、遊技者が苛立つのを緩和することができるとともに、遊技者には不利でしかなかった確変状態での回転数の増加に対して、遊技者に有利となる状態を与えることができる。
【0106】
また、回数切りの確変状態においても、変動表示ゲームの80回の実行で確変状態が終了するものとした場合に、70回までの最初の区間を遊技者に不利な状態とし、最後の10回を遊技者に有利な区間としてもよい。この場合に、遊技者は、遊技者に有利な最後の変動表示ゲームが10回の区間で大当りになることを望むが、この場合に確変状態が終了するまで大当りが発生しない状況になる確率がとても高くなる。したがって、確変状態が終わりそうになったときに、大当りにならないで確変状態が終わりそうだというあせりと、今、大当りが発生すれば通常より有利な状態になるという思いが錯綜して興趣が高められる。
【0107】
以上のように、変動表示ゲームの実行回数が所定の回数になった場合に、上述のように遊技者に有利な状態と不利な状態を切り替える構成になっていれば、一回だけ有利な状態と不利な状態を切り替えるものとしても、複数回切り替えるものとしてもよい。
【0108】
上述の実施形態では、各区間における変動表示ゲームの実行回数を同じとしたが、それぞれ異なるものとしてもよい。例えば、多くの期間に渡って遊技者に有利な区間になっているのに比較して、少ない期間だけ遊技者に不利な区間になっていたり、逆に、多くの期間に渡って遊技者に不利な区間になっているのに比較して、少ない期間だけ遊技者に有利な区間になっていたりしてもよい。
【0109】
また、上述の実施形態では、普通可変入賞装置5を備え、確変状態等の電サポ状態において、遊技球の入賞率が高くなる第2始動口54に遊技球が入賞することにより開始される第2変動表示ゲームを遊技者に有利なゲームとし、それに対して電サポ状態になっても通常状態と略同じ入賞率になる第1始動口に遊技球が入賞することにより開始される第1変動表示ゲームを遊技者に不利なゲームとしたが、逆に第2変動表示ゲームを遊技者に不利なゲームとし、第1変動表示ゲームを遊技者に有利なゲームとしてもよい。
【0110】
この場合に、遊技者に有利な第1変動表示ゲームは、電チューのアシストがないため遊技者に有利な区間で、第2変動表示ゲームより第1変動表示ゲームが多く行われる場合に、第1始動口の入賞率が高くないことと変動表示時間が短いことにより、第1変動表示ゲームが連続的に行われずに途切れ途切れに行われる状態になる可能性がある。この場合に、遊技者は、第1始動口52に遊技球をなるべく入賞させるように、遊技球の発射を止めることなく、発射し続ける可能性が高い。すなわち、遊技者が遊技球の発射を停止する期間を短くして、遊技機の稼働率を高くすることができる。なお、上述のように第2変動表示ゲームが有利な場合には、電チューによりアシストされる第2変動表示ゲームの保留数が上限の4になった場合に、遊技球の発射を停止する可能性がある。
【符号の説明】
【0111】
1 遊技盤
2 遊技領域
3 可変表示装置
4a 第1特図表示器
4b 第2特図表示器
5 普通可変入賞装置(可変入賞手段)
14 主制御装置(抽選手段、当たり状態制御手段、変動表示ゲーム開始制御手段、変動テーブル記憶手段、変動パターン選択手段、変動表示ゲーム終了制御手段、遊技状態制御手段、区間分割手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を備える遊技盤と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞する第1始動口および第2始動口と、
前記第1始動口及び前記第2始動口への入賞に基づいて当たり又ははずれを抽選により決定する抽選手段と、
前記第1始動口への入賞に基づいて前記抽選手段によって決定された抽選結果に応じて行われる第1変動表示ゲームと、
前記第2始動口への入賞に基づいて前記抽選手段によって決定された抽選結果に応じて行われる第2変動表示ゲームを表示する表示手段と、
前記抽選結果が当たりである場合に当たり状態を発生させる当たり状態制御手段と、
前記第1変動表示ゲームと前記第2変動表示ゲームとを並行して開始可能にする変動表示ゲーム開始制御手段と、
前記第1変動表示ゲームまたは前記第2変動表示ゲームの変動パターンが記憶された変動テーブルを複数記憶している変動テーブル記憶手段と、
前記第1変動表示ゲームまたは前記第2変動表示ゲームの開始に際し、前記変動テーブルに記憶された変動パターンを選択する変動パターン選択手段と、
所定条件の成立に応じて、遊技状態を通常状態から特定遊技状態に移行する遊技状態制御手段とを備え、
前記第1始動口への入賞に基づいた当たりより、前記第2始動口への入賞に基づいた当たりの方が遊技者に有利に設定されている遊技機において、
前記特定遊技状態における前記第1変動表示ゲーム及び前記第2変動表示ゲームの実行される回数を所定条件に応じて複数の区間に区切られており、前記複数の区間を遊技者に第1優先区間と第2優先区間とに振り分ける区間分割手段と、
前記変動テーブル記憶手段には、前記特定遊技状態にて用いられる変動テーブルとして、変動表示時間の平均が短い変動パターンが記憶されている短変動テーブルと、短変動テーブルよりも平均が長い変動表示時間の変動パターンが記憶されている長変動テーブルとが記憶され、
前記変動パターン選択手段は、前記第1優先区間における前記第1変動表示ゲームには前記短変動テーブル、前記第2変動表示ゲームには前記長変動テーブルを用い、前記第2優先区間における前記第1変動表示ゲームには前記長変動テーブル、前記第2変動表示ゲームには前記短変動テーブルを用いることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記特定遊技状態において前記第1変動表示ゲーム及び前記第2変動表示ゲームが実行された回数が規定回数となった場合に、前記遊技状態を前記特定遊技状態から前記通常状態へ移行することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記複数の区間の内、前記規定回数目の変動表示ゲームを含む区間は前記第2優先区間であることを特徴とする請求項2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103084(P2013−103084A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250896(P2011−250896)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】