説明

遊技機

【課題】遊技者の不安を抑制すること。
【解決手段】天井カウント値の値が天井回数に達するまで所定回数以内であることを報知演出により報知可能に構成した。これにより、途中のペナルティの付与に起因し、見た目上の実ゲーム数が天井回数となるはずの回数に到達して天井特典が付与されなくても、天井回数の所定回数前に天井カウント値の値が達していれば、天井報知演出が実行され得る。このような天井報知演出の実行により、少なくとも所定回数分の遊技を経れば天井回数に天井カウント値の値が達するということを報知して遊技者を安心させることができるようになる。その結果、遊技者の不安を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者による開始操作が行われることに基づいて複数列の図柄を変動させて行う1回の遊技が図柄表示手段で開始される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技機の一種であるパチンコ式スロットマシン(回胴式遊技機、以下「パチスロ」と示す)では、遊技媒体(以下「メダル」と示す)が用いられ、パチスロへのメダルの投入により遊技を開始するようにしている。このようなパチスロとしては、例えば、特許文献1に記載のようなものが挙げられる。このパチスロでは、ボーナス遊技とは異なる遊技者にとって有利な状態での遊技を行わせるようにしている。このような有利な状態での遊技では、メダルを増やし易くするために遊技のアシストを行うようにすることで、遊技者にとって有利になるようにしている。
【0003】
また、このパチスロでは、遊技が行われる状態に応じて遊技者によるストップスイッチの操作が禁止される禁止操作手順を設定するようにしている。そして、禁止操作手順となるストップスイッチの操作が行われる場合には、予め設定された回数分の遊技を対象としてペナルティ期間を付与するようにしている。このペナルティ期間の付与によっては、有利な状態での遊技を行わせることが内部的に決定されても該有利な状態での遊技には該ペナルティ期間の消化後でなければ移行させないようにしている。
【0004】
このようにして特許文献1のパチスロでは、禁止操作手順を行う遊技者に対してはペナルティを付与するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−20904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このようなパチスロには、有利な状態に移行されないで行われた遊技回数が予め定めた規定消化回数(所謂、「天井回数」)へ到達することで上記有利な状態に移行させる特典を付与するといった機能(所謂、「天井機能」)を備えるようにしたものもある。このような機能を備えたパチスロでは、上述したペナルティ期間中に遊技が行われてもその間の遊技に関しては遊技回数をカウントしないで、該遊技回数が規定消化回数に近づかないようにすることもできる。すなわち、このようなパチスロでは、遊技回数が規定消化回数に到達するまでの間に上記ペナルティ期間が付与されていることもあることから、該遊技回数が規定消化回数となるはずの回数に到達しても上記のような特典が付与されないかもしれないという不安を遊技者に与えてしまう可能性があった。
【0007】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、遊技者の不安を抑制することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、遊技者による開始操作が行われることに基づいて複数列の図柄を変動させて行う1回の遊技が図柄表示手段で開始され、1回の遊技の開始に基づき各列の図柄の変動が開始された後、遊技者による停止操作に基づいて対応する列の図柄が停止される遊技機において、所定の計数開始時から連続して行われた遊技回数が予め定めた規定消化回数に達することを契機として遊技者に有利な状態での遊技となる有利遊技状態に制御する遊技制御手段と、遊技が行われても前記遊技回数の計数の対象としない遊技とするペナルティを遊技者の停止操作に基づいて付与可能なペナルティ付与手段と、前記規定消化回数の所定回数前に前記遊技回数が達したかを判定する判定手段と、前記判定手段が前記規定消化回数の所定回数前に前記遊技回数が達したと判定している場合に前記遊技回数が前記規定消化回数に達するまで前記所定回数以内であることを報知する報知演出を実行可能な報知手段と、を備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記遊技制御手段は、前記有利遊技状態とは異なるボーナス遊技状態を付与するボーナス役を所定確率で抽選する役抽選を実行するようになっており、前記役抽選の抽選結果に基づいて前記ボーナス役の当選期待度の高低を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出手段を備え、前記報知手段は、前記判定手段が前記規定消化回数の所定回数前に前記遊技回数が達したと判定している場合にあっては前記ボーナス役に非当選のときの前記ボーナス役の当選期待度の高いことを示唆する前記示唆演出の実行に伴って前記報知演出を実行可能に構成されたことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の遊技機において、前記報知手段は、前記判定手段が前記規定消化回数の所定回数前に前記遊技回数が達したと判定している場合にあっては抽選に当選することで前記報知演出を実行させることになる実行抽選を特定の遊技で行うように構成されたことを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の遊技機において、前記報知手段は、前記特定の遊技を複数設定し、前記規定消化回数に近い前記特定の遊技ほど前記実行抽選での当選確率を高く設定するように構成されたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、遊技者の不安を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】パチスロの機表側を示す正面図。
【図2】入賞ラインを示す模式図。
【図3】賞態様を示す模式図。
【図4】パチスロの電気的構成を示すブロック図。
【図5】(a)〜(c)は当選役決定テーブルを示す模式図。
【図6】遊技状態の移行の態様を示す模式図。
【図7】演出状態の移行の態様を示す模式図。
【図8】(a)〜(c)は表示演出を示す模式図。
【図9】継続率決定抽選の抽選態様を示す模式図。
【図10】天井機能を示す模式図。
【図11】(a)はペナルティの仕様を示す模式図、(b)はペナルティの制御の内容を示す模式図。
【図12】天井報知演出の報知態様を示す模式図。
【図13】報知実行抽選の抽選態様を示す模式図。
【図14】(a),(b)は天井報知演出の実行態様を示す模式図。
【図15】(a)〜(c)は天井報知演出の実行態様を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を遊技機の一種であるパチンコ式スロットマシン(回胴式遊技機、以下、「パチスロ」と示す)に具体化した一実施形態を図1〜図15に基づいて説明する。
図1には、本実施形態のパチスロ10の機表側が略示されており、パチスロ10は、前面を開口した直方体状の本体11と、当該本体の左側縁側に対して回動開閉可能に軸支された前面扉12とを備えている。前面扉12の前面上部には、遊技中(変動ゲーム中)に表示演出を行う液晶表示装置からなる演出装置としての演出表示装置14が配設されている。また、前面扉12には、各種の演出効果光を発する枠用ランプRと演出用ランプERとが設けられている。枠用ランプRは、前面扉12を囲うように設けられている。また、演出用ランプERは、前面扉12の上部であって演出表示装置14の上方に設けられている。また、前面扉12の左右上部には、音声演出を行うスピーカSPが配設されている。
【0015】
前面扉12の前面中央には、中央パネル15が設けられているとともに、当該中央パネル15には、機内部に配設される図柄表示手段としてのドラムユニット13を透視可能な透視窓16が設けられている。透視窓16は、中央パネル15と一体形成された合成樹脂板から構成されている。ドラムユニット13は、各種の図柄が印刷された投光性を有する帯状のリールシートが外周に巻装された左リール13Lと、中リール13Cと、右リール13Rとから構成されている。そして、透視窓16には、左リール13Lを第1図柄列として、該第1図柄列が配置される隣には第2図柄列としての中リール13Cが配置し、該第2図柄列が配設される隣には第3図柄列としての右リール13Rが配置している。ドラムユニット13の各リール(左リール13L、中リール13C、及び右リール13R)に印刷される各図柄は、予め定められた順に各図柄がそれぞれに配列されている。ドラムユニット13の左リール13Lには、図柄L00〜図柄L20の21個の図柄が配列されている。また、中リール13Cには、図柄C00〜図柄C20までの21個の図柄が配列されている。また、右リール13Rには、図柄R00〜図柄R20までの21個の図柄が配列されている。そして、変動ゲームにおいて左リール13Lでは、図柄L00、図柄L01・・・図柄L20、図柄L00の順に透視窓16に表示されるように変動する。また、変動ゲームにおいて中リール13Cでは、図柄C00、図柄C01・・・図柄C20、図柄C00の順に透視窓16に表示されるように変動する。また、変動ゲームにおいて右リール13Rでは、図柄R00、図柄R01・・・図柄R20、図柄R00の順に透視窓16に表示されるように変動する。
【0016】
なお、本実施形態において各リールでは、「REPLAY」の文字が装飾された図柄(リプレイ図柄)、「ベル」を模した図柄(ベル図柄)、「7」を模した図柄(セブン図柄)、「スイカ(すいか)」を模した図柄(スイカ図柄)、「チェリー」を模した図柄(チェリー図柄)などが配列されている。以下では、各図柄を、「図柄」を省いて、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「セブン」、「チェリー」という場合もある。
【0017】
そして、各リールは、各々に対応して設けられたステッピングモータ(図示しない)により独立して縦方向に回転及び停止するように構成されており、各リールが回転することによって透視窓16には各種図柄が連続的に変化しつつ表示(変動)されるようになっている。そして、各リールの回転が停止した場合、透視窓16には、各リールのリールシートに印刷された複数の図柄のうち、連続する3つの図柄が上段、中段、下段の位置に停止表示されるようになっている。このため、透視窓16は、各リールにおいて3つの図柄が表示可能な大きさで形成されている。また、各リールには、該各リールの回転位置を検出するためのリールセンサSE1,SE2,SE3(図4に示す)が各リールにそれぞれ対応するように設けられている。
【0018】
また、パチスロ10には、図2に示すように、透視窓16から透視可能な図柄の表示領域において、停止表示される図柄の組み合わせ(図柄組み合わせ)を規定する複数(本実施形態では5本)の図柄停止ラインが形成されている。本実施形態のパチスロ10では、図柄停止ラインとして、停止表示される図柄の組み合わせを入賞と判定し得る入賞ラインL1(実線で示す)と、停止表示される図柄の組み合わせを入賞と判定し得ない非入賞ラインL2〜L5(破線で示す)が形成されている。
【0019】
入賞ラインL1は、図柄停止ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが賞を付与する態様である場合、該図柄の組み合わせに応じた賞を付与することとして有効と判定する有効ラインとなる。以下の説明で、単に「入賞ライン」という場合には、入賞ラインL1を意味する。
【0020】
また、非入賞ラインL2〜L5は、これら図柄停止ライン上に停止表示された図柄の組み合わせが賞を付与する態様と同一態様であったとしても、該図柄の組み合わせに応じた賞を付与しないこととして無効と判定する無効ラインとなる。以下の説明で、単に「非入賞ライン」という場合には、非入賞ラインL2〜L5を意味する。
【0021】
具体的に説明すると、本実施形態の透視窓16では、図2に示すように9つの図柄停止位置D1〜D9に各列の図柄が停止表示されるようになっている。これら9つの図柄停止位置D1〜D9は、縦方向に上段、中段、下段に対応するとともに、横方向に左リール13L、中リール13C、右リール13Rに対応するよう3列に配置されている。そして、遊技者側から見て左側の上に位置する左リール用上停止位置D1と、遊技者側から見て左側の中央に位置する左リール用中停止位置D2と、遊技者側から見て左側の下に位置する左リール用下停止位置D3は、左リール13Lに対応する図柄停止位置とされ、左リール13Lの図柄配列において連続する3個の図柄が表示されるようになっている。また、遊技者側から見て中側の上に位置する中リール用上停止位置D4と、遊技者側から見て中側の中央に位置する中リール用中停止位置D5と、遊技者側から見て中側の下に位置する中リール用下停止位置D6は、中リール13Cに対応する図柄停止位置とされ、中リール13Cの図柄配列において連続する3個の図柄が表示されるようになっている。また、遊技者側から見て右側の上に位置する右リール用上停止位置D7と、遊技者側から見て右側の中央に位置する右リール用中停止位置D8と、遊技者側から見て右側の下に位置する右リール用下停止位置D9は、右リール13Rに対応する図柄停止位置とされ、右リール13Rの図柄配列において連続する3個の図柄が表示されるようになっている。
【0022】
そして、透視窓16では、左リール用中停止位置D2、中リール用中停止位置D5、及び右リール用中停止位置D8によって入賞ラインL1(有効)が形成される。また、透視窓16では、左リール用上停止位置D1、中リール用上停止位置D4、及び右リール用上停止位置D7によって入賞ラインL2(無効)が形成される。また、透視窓16では、左リール用下停止位置D3、中リール用下停止位置D6、及び右リール用下停止位置D9によって入賞ラインL3(無効)が形成される。また、透視窓16では、左リール用上停止位置D1、中リール用中停止位置D5、及び右リール用下停止位置D9によって入賞ラインL4(無効)が形成される。また、透視窓16では、左リール用下停止位置D3、中リール用中停止位置D5、及び右リール用上停止位置D7によって入賞ラインL5(無効)が形成される。
【0023】
本実施形態では、透視窓16での変動ゲームに合わせて演出表示装置14にて演出が行われる。このため、変動ゲーム中、透視窓16のみだけでなく演出表示装置14にも遊技者は視界を向けて注目することになる。このため、本実施形態のように透視窓16の上方に演出表示装置14を配置すると、透視窓16から演出表示装置14を視認するためには遊技者が視界を上方に向ける必要がある。このように透視窓16から演出表示装置14へと遊技者の視界が向けられると、この視界には演出表示装置14のさらに上方にある演出用ランプERが飛び込み得るようになっている。すなわち、演出用ランプERは、変動ゲーム中の遊技者の視界に飛び込み得るように配置されている。
【0024】
また、中央パネル15には、変動ゲームに関わる情報を報知する各種情報表示部19が構成されている。各種情報表示部19には、投入可能表示用ランプ、再遊技表示用ランプ、ウェイト表示用ランプ、状態ランプ、賭数表示部、貯留枚数表示部、賞枚数表示部、ゲーム情報表示部が形成されている。
【0025】
投入可能表示用ランプは、変動ゲームのベット数を設定可能な状態、又は機本体に遊技媒体としてのメダルを投入可能な状態である時に点灯し、変動ゲームが開始される、又は最大のベット数(MAXBET)が設定され且つ貯留データ(クレジット)がクレジット上限枚数に達した場合に消灯する。再遊技表示用ランプは、変動ゲームにおいて再遊技役としてのリプレイ役が入賞した場合に点灯する。ウェイト表示用ランプは、ウェイトタイム中にスタート操作が検出された場合に点灯し、ウェイトタイムが経過した後に消灯する。ウェイトタイムは、変動ゲームがあまり速く進行し過ぎてしまうことを規制するために設定された最短遊技時間であり、このウェイトタイム中にスタート操作が検出されると、ウェイトタイムが経過した後に各リールの回転動作が開始するように設定されている。状態ランプは、変動ゲームの進行に合わせて点灯/消灯をする。
【0026】
また、賭数表示部は、図示しない3つのランプから構成されており、変動ゲームのベット数に応じてランプが点灯する。1ベット(1BET)で1つのランプが点灯し、2ベット(2BET)で2つのランプが点灯し、3ベット(3BET)で全てのランプが点灯する。貯留枚数表示部は、機内部で貯留しているクレジット数を表示する。賞枚数表示部は、変動ゲーム中に入賞が発生した場合に、当該入賞に基づいて遊技者に付与される賞メダルの枚数が表示される。ゲーム情報表示部では、ボーナス遊技中の払出枚数の総数を表示する。
【0027】
また、前面扉12の前面において中央パネル15の右下方位置には、メダル投入口27が配設されている。メダル投入口27の奥方には、メダルの通過を検知するメダルセンサSE4(図4に示す)が配設されている。また、前面扉12の前面において中央パネル15の左下方位置には、左から順にBETボタン28とMAXBETボタン29とが設けられている。BETボタン28は、機内部で貯留記憶されているクレジットから1ベット分(1枚分)を変動ゲームのベット数(賭数)としてベットする(賭ける)際に押圧(操作)するボタンである。また、MAXBETボタン29は、1回の変動ゲームにおいて許容されるベット数の最大ベット数(本実施例では3ベット分(3枚分))を変動ゲームのベット数としてベットする(賭ける)際に押圧(操作)するボタンである。
【0028】
また、前面扉12の前面において各BETボタン28,29の左下方位置には、精算スイッチ31が設けられている。精算スイッチ31は、変動ゲームの開始に伴ってベットされたメダル(遊技媒体)、又は機内部に貯留記憶されているクレジットを払い戻すときに使用(操作)するスイッチである。また、精算スイッチ31の右方位置には、変動ゲームを開始する際に操作するスタートレバー32が設けられている。そして、パチスロ10では、ベット数の設定終了後にスタートレバー32を操作することにより、各リールの回転動作が開始されるようになっている。
【0029】
スタートレバー32の右方位置には、遊技者により操作されるストップボタン33L,33C,33Rが設けられている。ストップボタン33L,33C,33Rは、回転しているリールを停止させるためのボタンであり、各リールに対応して3個のストップボタンがある。
【0030】
また、前面扉12の前面における下部中央部にはメダル排出口36が形成されている。また、前面扉12の前面における下部には、メダル排出口36から排出されたメダルを受ける受皿37が配設されている。
【0031】
また、図1に破線で示すように、パチスロ10本体においてドラムユニット13の下方となる位置には、パチスロ10内部において、投入されたメダルを貯留するためのホッパー38が配置されている。このホッパー38の下方側にはメダル排出口36が位置し、図柄の組み合わせが遊技者に賞メダルを付与する予め定める賞態様(役)になった場合には、ホッパー38に貯留されたメダルがメダル排出口36へと払出されるようになっている。前面扉12の裏面側においてメダル投入口27の下方位置には、該メダル投入口27とホッパー38とを繋ぐようにメダルセレクター39が配設されている。
【0032】
次に、遊技者が遊技(変動ゲーム)を行うための操作や、この操作に伴う各種装置の作動状況を説明する。
遊技(変動ゲーム)を開始させることが可能な状態において、ベット数を設定するには、BETボタン28、又はMAXBETボタン29の何れかを操作する。BETボタン28が操作された場合には、貯留記憶されているクレジットから1ベット分の枚数(メダル1枚)相当分のクレジットがベット数(賭数)として設定される。また、MAXBETボタン29が操作された場合には、貯留されているクレジットから対象とする遊技(変動ゲーム)で設定可能な最大ベット数分のクレジットがベット数(賭数)として設定される。なお、本実施形態のパチスロ10では、3ベットによる変動ゲームを許容するようになっている。
【0033】
また、パチスロ10では、メダル投入口27からベット数に相当する枚数のメダルを投入することで各ベット数を設定することが可能であって、メダル1枚を投入するとき1ベット分のベット数が設定されるとともに、メダル3枚を投入するとき3ベット分のベット数が設定される。なお、対象とする遊技で設定可能な最大ベット数(本実施形態では3ベット)を超える分のメダルがメダル投入口27から投入される場合、クレジット機能を使用している時にはクレジットとして記憶される一方で、クレジット機能を使用していない時には図示しない経路を辿ってメダル排出口36から遊技者に払出される(返却される)ようになっている。
【0034】
本実施形態のパチスロ10では、図2に示すように1本の入賞ラインを定めている。そして、遊技者によりBETボタン28、及びMAXBETボタン29が操作されると、それぞれのベット数が設定されるとともに1本の入賞ラインが有効となるように設定される。入賞ラインが有効になるとは、当該入賞ライン上に表示された図柄の組み合わせが有効となることで、有効な入賞ライン上に表示された図柄の組み合わせに応じた制御(賞メダルの払出しなど)が行われる。本実施形態における変動ゲームでは常に1本の入賞ラインが有効となるよう構成されている。
【0035】
上記のようにベット数が設定され、スタートレバー32の操作が受付可能な状態、すなわち、ゲーム開始可能な状態で遊技者がスタートレバー32を操作する開始操作を行えば、ドラムユニット13の各リールが回転し、透視窓16には複数種類の図柄が連続的に変化するように表示される。その後、各リールが回転して所定時間が経過すると、各ストップボタン33L,33C,33Rの操作が受付可能になる。そして、遊技者により各ストップボタン33L,33C,33Rが操作されると、対応する各リールが停止され、透視窓16からは対応する列の上段、中段及び下段に図柄が表示される。
【0036】
そして、各リールの全てが停止された時点で、有効化された入賞ラインに停止表示された図柄の組み合わせが予め定めた賞態様を形成する場合に入賞となり、入賞した賞態様に応じた賞が遊技者に付与される。例えば、賞として賞メダルを付与する場合には、入賞した賞態様に応じた枚数のメダルが賞メダルとして遊技者に付与される。また、特に予め定められた図柄の組み合わせが表示されてボーナス役(BN役)が入賞した場合にあっては、一般遊技とは異なり、遊技者にとって有利な、すなわち大量の賞メダルを獲得できるボーナス遊技が発生し、ボーナス遊技が遊技者に付与される。なお、一般遊技とは、ボーナス遊技でない遊技(変動ゲーム)を示している。
【0037】
本実施形態のパチスロ10では、スタートレバー32の開始操作を開始契機として1回の変動ゲーム(遊技)が開始し、ストップボタン33L,33C,33Rの停止操作により図柄の組み合わせが停止表示(停止)されることを1回とする変動ゲーム(遊技)が行われる。なお、図柄の組み合わせに応じて賞メダルが払出される場合には、賞メダルの払出しが完了したことを終了契機として1回の変動ゲーム(遊技)が終了する。
【0038】
本実施形態のパチスロ10において、入賞ライン上に停止表示される図柄の組み合わせについて図3に基づき説明する。
図3には、内部で決定される当選役に基づき入賞ライン上に停止表示する図柄の組み合わせ(停止結果)と、該図柄の組み合わせに対応する賞とを示した役構成が示されている。
【0039】
本実施形態では、図3に示される当選役に対応する図柄の組み合わせのいずれも有効とされる入賞ライン上に停止表示されていない場合には、1枚以上の賞メダルが遊技者に付与されないようになっている。なお、以下では、図3に示される何れにも対応しない図柄の組み合わせにより入賞ラインを形成している場合の図柄の組み合わせを「はずれ停止目」という。
【0040】
また、[ANY・チェリー・ANY]が入賞ライン上に停止表示される場合には、遊技状態に応じて3枚又は9枚の賞メダルを払出すことを定めている。なお、この場合には、入賞ラインを形成する左リール13L及び右リール13Rの停止位置に停止表示される図柄は何れの図柄(「ANY」)でもよい。以下では、[ANY・チェリー・ANY]により入賞ラインを形成している場合の図柄の組み合わせを「チェリー停止目」という。そして、チェリー停止目は、内部抽選で当選役として「チェリー役」が決定されている場合に入賞する賞態様に定められている。
【0041】
また、[スイカ・スイカ・スイカ]が入賞ライン上に停止表示される場合には、遊技状態に応じて3枚又は9枚の賞メダルを払出すことを定めている。以下、[スイカ・スイカ・スイカ]により入賞ラインを形成している場合の図柄の組み合わせを「スイカ停止目」という。そして、スイカ停止目は、内部抽選で当選役として「スイカ役」が決定されている場合に入賞する賞態様に定められている。
【0042】
また、[ベル・ベル・ベル]が入賞ライン上に停止表示される場合には、遊技状態に応じて9枚の賞メダルを払出すことを定めている。以下、[ベル・ベル・ベル]により入賞ラインを形成している場合の図柄の組み合わせを「ベル停止目」という。そして、ベル停止目は、内部抽選で当選役として「左正解ベル役」、「中正解ベル役」、及び「右正解ベル役」の何れかが決定されている場合に入賞する賞態様に定められている。
【0043】
このため、本実施形態における「チェリー役」、「スイカ役」、「左正解ベル役」、「中正解ベル役」、「右正解ベル役」は、入賞ライン上に停止表示される図柄の組み合わせに基づいて賞メダルを払出すことを定める当選役(払出役)となる。また、以下の説明で、単に「ベル役」という場合には、「左正解ベル役」、「中正解ベル役」、及び「右正解ベル役」を意味する。
【0044】
また、[リプレイ・リプレイ・リプレイ]が入賞ライン上に停止表示される場合には、遊技者がベット数をベットすることなく内部で自動的にベット数が設定されることで次の変動ゲームを行う再遊技を付与することを定めている。以下、[リプレイ・リプレイ・リプレイ]により入賞ラインを形成している場合の図柄の組み合わせを「リプレイ停止目」という。そして、リプレイ停止目は、内部抽選で当選役として「通常リプレイ役」が決定されている場合に入賞する賞態様に定められている。
【0045】
また、[リプレイ・リプレイ・スイカ]が入賞ライン上に停止表示される場合には、再遊技を付与することを定めている。以下、[リプレイ・リプレイ・スイカ]により入賞ラインを形成している場合の図柄の組み合わせを「突入リプレイ停止目」という。そして、突入リプレイ停止目は、「中正解突入リプレイ役」、及び「右正解突入リプレイ役」の何れかが決定されている場合に入賞する賞態様に定められている。
【0046】
このため、本実施形態における「通常リプレイ役」、「中正解突入リプレイ役」、及び「右正解突入リプレイ役」は、入賞ライン上に停止表示される図柄の組み合わせに基づいて再遊技を付与することを定める当選役(以下、「リプレイ役」という)となる。再遊技が付与される場合、遊技者はベット数をベットすることなく次の変動ゲームを行うことができる。そして、再遊技によりベット数が設定される場合には、再遊技が付与される契機となった変動ゲームで設定されたのと同一ベット数を設定することになる。なお、リプレイ役では、リプレイ役が停止表示した変動ゲームが行われたベット数と同じベット数で次の変動ゲームを行うことができるのみであって、賞としてメダルが遊技者に払い出されるわけではない。すなわち、遊技者は、リプレイ役の入賞によっては賞メダルを獲得するわけではない。以下の説明で、単に「突入リプレイ役」という場合には、「中正解突入リプレイ役」及び「右正解突入リプレイ役」を意味する。
【0047】
本実施形態では、上述した「チェリー役」、「スイカ役」、「ベル役」、「リプレイ役」が小役となる。
また、[セブン・セブン・セブン]が入賞ライン上に停止表示される場合には、ボーナス遊技が開始(生起)されて「ボーナスゲーム(以下、「BN遊技」という)」を付与することを定めている。以下、[セブン・セブン・セブン]により入賞ラインを形成している場合の図柄の組み合わせを「BN停止目」と示す。そして、BN停止目は、内部抽選で当選役として「BN役」が決定されている場合に入賞する賞態様に定められている。
【0048】
本実施形態において、BN役は、遊技状態としてBN遊技を作動(開始)させる契機となる当選役(ボーナス役)である。
また、本実施形態のパチスロ10には、リプレイ役(通常リプレイ役、突入リプレイ役)の当選確率を変動させて、遊技状態としてBN遊技以外における一般遊技を制御するRT機能(再遊技役確率変動機能)が搭載されている。本実施形態における一般遊技は、RT機能の作動態様に応じた状態に制御されるとともに、RT機能の作動中にはその種類に応じた状態に制御される。そして、RT機能により一般遊技では、一般遊技でリプレイ役(合算)の当選確率が低確率抽選状態に設定されるRT機能の非作動となるNRT遊技に制御される場合と、一般遊技でリプレイ役(合算)の当選確率が高確率抽選状態に設定されるRT機能の作動となるRT遊技に制御される場合とがある。以下の説明で、単に「NRT遊技」という場合には、NRT遊技に制御される一般遊技を意味し、単に「RT遊技」という場合には、RT遊技に制御される一般遊技を意味する。
【0049】
次に、パチスロ10の電気的構成を図4にしたがって説明する。
パチスロ10の機裏側には、遊技機全体を制御する主制御基板40が装着されている。主制御基板40は、遊技機全体を制御するための各種処理を実行し、該処理結果に応じて各種の制御信号(制御コマンド)を演算処理し、該制御信号を出力する。また、機裏側には、遊技状態に応じた演出制御等を実行するサブ制御基板41が装着されている。そして、サブ制御基板41は、主制御基板40が出力した各種の制御信号を入力し、該制御信号に基づき所定の制御を実行する。
【0050】
主制御基板40には、ドラムユニット13を構成する各リール(左リール13L、中リール13C、及び右リール13R)、リールセンサSE1〜SE3、メダルセンサSE4、サブ制御基板41、ホッパー38が接続されている。また、主制御基板40には、中央パネル15に設けられた各種情報表示部19が接続されている。また、主制御基板40には、BETボタン28と、MAXBETボタン29と、精算スイッチ31と、スタートレバー32と、各ストップボタン33L,33C,33Rとが接続されている。また、サブ制御基板41には、演出表示装置14が接続されている。また、サブ制御基板41には、スピーカSPや、各種ランプR,ERが接続されている。
【0051】
以下、主制御基板40について説明する。
主制御基板40は、主制御用CPU40aを備えており、該主制御用CPU40aには、主制御用ROM40b及び主制御用RAM40cが接続されている。主制御用CPU40aは、当選役決定乱数などの各種乱数の値を所定の周期毎に順次更新し、更新後の値を主制御用RAM40cの設定領域に設定して更新前の値を書き換えている。当選役決定乱数は、主制御用CPU40aが当選役決定テーブルに従い役(当選役)を決定する際に使用する乱数である。
【0052】
また、主制御用CPU40aには、接続されるリールセンサSE1〜SE3から透視窓16で表示されている図柄(回転中の各リールの回転位置)に応じて第1〜第3の位置信号が入力されるようになっている。第1の位置信号には左リール13Lが対応し、第2の位置信号には中リール13Cが対応し、第3の位置信号には右リール13Rが対応するようになっている。そして、主制御用CPU40aは、第1〜第3の位置信号により各リールの回転位置及び停止位置を把握し、該第1〜第3の位置信号に基づき各リールの回転及び停止の制御を行う。また、主制御基板40(主制御用CPU40a)には、接続されるメダルセンサSE4から該メダルセンサSE4でメダルを検知する毎に、メダルを検知したことを示すメダル検知信号が入力されるようになっている。
【0053】
また、主制御用CPU40aには、接続されるBETボタン28、MAXBETボタン29、精算スイッチ31、スタートレバー32及びストップボタン33L,33C,33Rが操作されると、各ボタンが操作されたことを示す各種操作信号が入力されるようになっている。また、主制御用CPU40aには、ホッパー38が接続されている。
【0054】
また、主制御用ROM40bには、パチスロ10を制御するためのメイン制御プログラムが記憶されている。また、主制御用ROM40bには、遊技状態別、並びに当選役別の内部当選確率が、当選役決定乱数の値の割り当て範囲として定められた複数の当選役決定テーブルが記憶されている。また、主制御用ROM40bには、役毎に図柄の組み合わせの停止テーブルが予め定められている。停止テーブルとは、各ストップボタン33L,33C,33Rを遊技者が操作した時の操作のタイミングによって停止表示させる図柄を役毎に定めたものである。また、主制御用RAM40cには、パチスロ10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)されるようになっている。
【0055】
次に、主制御用ROM40bに記憶される当選役決定テーブルT1,T2,T3について、図5(a)〜(c)に基づき説明する。
主制御用ROM40bには、抽選対象となる当選役の種類と、抽選対象となる各当選役の当選確率(抽選対象となる各当選役に振分けられる乱数値(乱数の値の範囲に基づく個数))を遊技状態毎にテーブル化したものが記憶されている。そして、各当選役決定テーブルは、遊技状態に応じて主制御用CPU40aにより用いられる。
【0056】
そして、一般遊技であればNRT遊技に当選役決定テーブルT1が対応付けられているとともに、RT遊技に当選役決定テーブルT2が対応付けられている。また、BN遊技であれば当選役決定テーブルT3が対応付けられている。
【0057】
このため、本実施形態において、図5(a)に示すように、一般遊技では、リプレイ役の合算の当選確率がRT遊技(当選役決定テーブルT2)で、NRT遊技(当選役決定テーブルT1)に比して大きく高まるように当選役決定乱数が振分けられている。また、このRT遊技(当選役決定テーブルT2)では、通常リプレイ役の当選確率がNRT遊技(当選役決定テーブルT1)に比して大きく高まるように当選役決定乱数が振分けられている。また、一般遊技では、NRT遊技(当選役決定テーブルT1)でのみ突入リプレイ役に当選可能となるように、当選役決定乱数が振分けられている。なお、NRT遊技(当選役決定テーブルT1)では、中正解突入リプレイ役及び右正解突入リプレイ役の各当選確率が同一確率となるように当選役決定乱数が振分けられている。また、BN遊技(当選役決定テーブルT3)では、リプレイ役を抽選対象としないように当選役決定乱数が振分けられている。
【0058】
このようにしてRT遊技では、リプレイ役の合算の当選確率が高確率抽選状態に設定される。すなわち、このRT遊技では、通常リプレイ役の当選確率が高確率抽選状態に設定されることになる。また、NRT遊技では、リプレイ役の合算の当選確率が低確率抽選状態に設定される。すなわち、このNRT遊技では、通常リプレイ役の当選確率が低確率抽選状態に設定されることになる。
【0059】
その結果、本実施形態のパチスロ10では、リプレイ役の合算の当選確率が高確率抽選状態に設定されるRT遊技において、再遊技が付与され易い分、遊技者の保有するメダルの消費(投入)する場面を減少させることができるといった利益を遊技者に付与することができる。さらに、このRT遊技では、遊技者の保有するメダルの消費(投入)を抑えつつ、BN役の抽選を受けてメダルを増加させ得るチャンスを遊技者に付与することができる。このようなRT遊技は、一般遊技における遊技者に有利となる遊技状態(制御状態)である。
【0060】
また、本実施形態において、図5(b)に示すように、BN遊技(当選役決定テーブルT3)では、ベル役の合算の当選確率が一般遊技(当選役決定テーブルT1,T2)に比して大きく高まるように当選役決定乱数が振分けられている。また、各遊技状態(当選役決定テーブルT1,T2)では、左正解ベル役、中正解ベル役、及び右正解ベル役の各当選確率が同一遊技状態であれば同一確率となるように当選役決定乱数が振分けられている。また、BN遊技(当選役決定テーブルT3)では、ベル役を主な抽選対象とするように当選役決定乱数が振分けられている。
【0061】
本実施形態のパチスロ10では、ベル役の合算の当選確率が一般遊技に比して大きく高まるBN遊技において、ベル役に当選し易く賞メダルを獲得し易い分、遊技者の保有するメダルを増加させることができるといった利益を遊技者に付与することができる。その結果、BN遊技では、遊技者の保有するメダルを増加させるチャンスを遊技者に付与することができる。
【0062】
また、本実施形態において、図5(c)に示すように、一般遊技及びBN遊技(当選役決定テーブルT1〜T3)では、チェリー役とスイカ役の当選確率が同一確率となるように当選役決定乱数が振分けられている。
【0063】
なお、一般遊技(当選役決定テーブルT1,T2)では、BN役の当選確率を所定確率に定めている。本実施形態では、例えば、BN役の当選確率を1/300(300分の1)に定めている。また、BN遊技(当選役決定テーブルT3)では、BN役やリプレイ役を役抽選の抽選対象としないことを定めている。また、後述するボーナス待機状態における当選役決定テーブルにおいては、小役の当選確率を所定確率に定めている。そして、後述するボーナス待機状態における当選役決定テーブルにおけるBN役の当選時には、その当選を他の当選役(小役又ははずれ役)の当選に置き換える(書き換える)。
【0064】
以下、サブ制御基板41について説明する。
サブ制御基板41は、サブ制御用CPU41aを備えており、該サブ制御用CPU41aにはサブ制御用ROM41b及びサブ制御用RAM41cが接続されている。サブ制御用ROM41bには、各種遊技演出を行うためのサブ制御プログラムが記憶されている。また、サブ制御用ROM41bには、演出表示装置14の表示演出態様が示される表示演出パターンや、スピーカSPの音声出力態様が示される音声演出パターンや、各種ランプR,ERの発光態様が示される発光演出パターンが記憶されている。また、サブ制御用RAM41cには、パチスロ10の動作中に適宜書き換えられる各種情報が記憶(設定)されるようになっている。具体的には、サブ制御用RAM41cには、遊技状態に係るサブ用状態情報(フラグなど)がサブ制御用CPU41aにより記憶(設定)されるようになっている。
【0065】
以下、主制御用CPU40aがメイン制御プログラムに基づき実行する変動ゲームに係る処理について説明する。
主制御用CPU40aは、各種操作信号を入力すると、各種操作信号に定める所定の制御を実行する。そして、主制御用CPU40aは、各種操作信号の入力や各種制御により、各種情報表示部19の表示制御をその都度実行する。また、主制御用CPU40aは、賞態様の入賞に基づいて賞メダルを払出す場合、クレジット上限枚数(本実施形態では、「50(枚)」)を超えるとき、駆動信号をホッパー38に出力して、駆動信号を1回出力する毎に賞メダルを1枚払出させるように制御する。なお、主制御用CPU40aは、クレジットの清算時、駆動信号をホッパー38に出力して、クレジット分のメダルを遊技者に払出させるように制御する。
【0066】
そして、主制御用CPU40aは、メダル投入口27よりメダルが投入される、又は各BETボタン28,29の操作信号を入力すると、ベット数を設定する。また、主制御用CPU40aは、各BETボタン28,29が操作毎に、クレジット数を更新する。また、主制御用CPU40aは、メダルの投入によりクレジット数を増加させる場合、クレジット数を更新させる。そして、主制御用CPU40aは、3ベットのベット数を設定するときに変動ゲームを行うことができるゲーム開始可能な状態を生起する。
【0067】
続いて、主制御用CPU40aは、ゲーム開始可能な状態において、スタートレバー32の操作信号を入力すると、役抽選(内部抽選)を行う。そして、主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cから当選役決定乱数の値を取得し、該値が主制御用ROM40bに記憶されている当選役決定テーブルの各当選役の値の範囲に属しているか否かを判定する役抽選を行う。役抽選において、主制御用CPU40aは、遊技状態に応じた当選役決定テーブルを用いて当選役を決定する。なお、主制御用CPU40aは、遊技状態を示す状態情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに設定して遊技状態を把握している。
【0068】
そして、主制御用CPU40aは、当選役を決定すると、決定した当選役の種類を示す役情報(フラグなど)を主制御用RAM40cに記憶(設定)する。主制御用CPU40aは、BN役の当選の決定時、該BN役が入賞するまでの間、主制御用RAM40cのBN役の役情報を持ち越すようになっている。このようにBN役の役情報が持ち越されている状態は、BN役の入賞を待機しているボーナス待機状態となる。一方、主制御用CPU40aは、小役の当選の決定時、該小役の入賞の有無に関係なく役抽選の対象とする変動ゲーム(1回)の終了に伴って、主制御用RAM40cの小役の役情報を消去する。
【0069】
このため、BN役は、役抽選による当選の決定が、その入賞までの変動ゲームに跨って持越可能な役となる。一方、小役は、役抽選による当選の決定が、1回の変動ゲームでのみ有効とされ、その入賞か否かに関係なく以後の変動ゲームに跨って持越不可能な役となる。
【0070】
続いて、主制御用CPU40aは、直前の変動ゲームの終了からウェイトタイムが経過している状態において、主制御用CPU40aは、各リールの回転動作を開始させるように各リールを制御する。また、主制御用CPU40aは、各リールの回転動作の開始に合わせて変動ゲームの開始を指示するとともに、役抽選の抽選結果及び変動ゲームが行われる遊技状態を示した変動ゲーム開始コマンドをサブ制御基板41(サブ制御用CPU41a)に出力する。また、変動ゲーム開始コマンドは、持ち越されているBN役があればその役情報も合わせて指示する。なお、サブ制御基板41(サブ制御用CPU41a)への変動ゲーム開始コマンドは、遊技者によるスタートレバー32の操作を検出したタイミング(役抽選等を行った後)で出力するようにしてもよい。このように構成した場合には、ウェイトタイム中にも各種演出の実行が可能となる。
【0071】
続いて、主制御用CPU40aは、遊技者によりストップボタン33L,33C,33Rの各種操作信号を入力すると、操作信号に対応するリールを停止させるための制御(停止制御)を行う。そして、主制御用CPU40aは、各リールに対応するリールセンサからの位置信号から、各リールの変動中には各リールの変動状況と、各リールの停止中には各リールの停止状況を把握している。なお、主制御用CPU40aは、ストップボタン33L,33C,33Rからの各種操作信号が入力されるまでの間、回転中のリールについて停止制御を行わないで回転動作を維持させる。
【0072】
次に、主制御用CPU40aが行う停止制御について説明する。
主制御用CPU40aは、決定した当選役に基づき各ストップボタン33L,33C,33Rが遊技者により操作されるタイミングから所定の範囲内(最大で4図柄分)で各リールを停止させて、任意の図柄の組み合わせを停止表示させる。主制御用CPU40aは、回転中の各リールを停止させる場合、当選している当選役と各ストップボタン33L,33C,33Rの操作タイミングから主制御用ROM40bに記憶される停止テーブルに基づく図柄の組み合わせを停止表示させる停止制御を行う。このため、各リールは、ストップボタン33L,33C,33Rの遊技者による停止操作のタイミングで停止するとは限らず、遊技者による停止操作のタイミングと各リールの停止するタイミングとが一致しない場合(所謂、「すべり」)がある。例えば、「すべり」を伴う制御では、停止させる図柄に対する遊技者による停止操作のタイミングが早いとき、各リールを各リールの変動方向に強制的にすべらせて該停止させる図柄を入賞ライン上に停止させる。
【0073】
このため、各リールでは、停止させたい種類の図柄の間に挟む他の種類の図柄が4つ以上の部分を有していなければ、すべり制御を伴う結果、何れかの入賞ライン上に停止させた種類の図柄を停止表示させることができる。一方、各リールでは、停止させたい種類の図柄の間に挟む他の種類の図柄が4つ以上の部分を有していれば、すべり制御を伴っても、何れの入賞ラインにも停止させた種類の図柄を停止表示させることができない場合がある。
【0074】
そして、主制御用CPU40aは、BN役の当選(当選の持ち越し)時、遊技者による停止操作のタイミングが予め定めたタイミングで行われる場合、BN停止目を停止表示させる。一方、主制御用CPU40aは、BN役の当選(当選の持ち越し)時、遊技者による停止操作のタイミングが予め定めたタイミングで行われない場合にはBN役の当選の可能性が有ることを示す「チャンス目」を停止させる。この場合には、BN役の取りこぼし(役情報の持ち越し)を発生させる。
【0075】
また、主制御用CPU40aは、チェリー役の当選時、遊技者による停止操作のタイミングが予め定めたタイミングで行われる場合、チェリー停止目を停止表示させる。一方、主制御用CPU40aは、チェリー役の当選時、遊技者による停止操作のタイミングが予め定めたタイミングで行われない場合、はずれ停止目を停止表示させる。この場合には、チェリー役の取りこぼしを発生させる。
【0076】
また、主制御用CPU40aは、スイカ役の当選時、遊技者による停止操作のタイミングが予め定めたタイミングで行われる場合、スイカ停止目を停止表示させる。一方、主制御用CPU40aは、スイカ役の当選時、遊技者による停止操作のタイミングが予め定めたタイミングで行われない場合、はずれ停止目を停止表示させる。この場合には、スイカ役の取りこぼしを発生させる。
【0077】
また、何れの当選役(BN役及び小役)も決定しない場合(はずれ役の当選時)、主制御用CPU40aは、はずれ停止目を停止表示させる。なお、このはずれ停止目には、BN役の取りこぼしにより停止表示され得る「チャンス目」も含まれている。このため、チェリー役の取りこぼし時やスイカ役の取りこぼし時にも「チャンス目」が出現し得る。
【0078】
次に、ベル役(左正解ベル役、中正解ベル役、及び右正解ベル役)及びリプレイ役(通常リプレイ役、及び突入リプレイ役)の当選時における停止制御について説明する。
本実施形態のパチスロ10では、「左正解ベル役」、「中正解ベル役」、及び「右正解ベル役」の当選時、3つのストップボタンのうち最初に操作されるストップボタンに基づき、ベル停止目、及びはずれ停止目のうち何れかの停止目が停止表示される。本実施形態では、何れかのベル役の当選に基づいてそれぞれに対応する正解の押し順が選択されることになる。
【0079】
そして、左正解ベル役の当選時には、左リール13Lを停止指示するストップボタン33Lが最初に操作されることを、押し順正解としてベル停止目が停止表示される。一方、左正解ベル役の当選時には、左リール13L以外を停止指示するストップボタン33C,33Rの何れかが最初に操作されることを、押し順不正解としてはずれ停止目(ベルこぼし目)が停止表示される。
【0080】
また、中正解ベル役の当選時には、中リール13Cを停止指示するストップボタン33Cが最初に操作されることを、押し順正解としてベル停止目が停止表示される。一方、中正解ベル役の当選時には、中リール13C以外を停止指示するストップボタン33L,33Rの何れかが最初に操作されることを、押し順不正解としてはずれ停止目(ベルこぼし目)が停止表示される。
【0081】
また、右正解ベル役の当選時には、右リール13Rを停止指示するストップボタン33Rが最初に操作されることを、押し順正解としてベル停止目が停止表示される。一方、右正解ベル役の当選時には、右リール13R以外を停止指示するストップボタン33L,33Cの何れかが最初に操作されることを、押し順不正解としてはずれ停止目(ベルこぼし目)が停止表示される。
【0082】
そして、主制御用CPU40aは、ベル役の当選時、押し順正解であれば、遊技者による停止操作のタイミングに関係なくベル停止目(賞態様)を停止表示させる。また、主制御用CPU40aは、ベル役の当選時、押し順不正解であれば、遊技者による停止操作のタイミングに関係なくはずれ停止目(ベルこぼし目)を停止表示させる。なお、本実施形態では、ベルこぼし目として、予め定めた図柄の組み合わせが対応付けられている。
【0083】
また、主制御用CPU40aは、リプレイ役の当選時、当選内容に基づいて行う制御が異なる。本実施形態における主制御用CPU40aは、リプレイ役の中でも入賞に関して押し順の概念を有する突入リプレイ役の当選を決定する場合、同時に通常リプレイ役の当選を重複して決定(重複当選を決定)するようになっている。すなわち、主制御用CPU40aは、リプレイ役の中でも突入リプレイ役の当選の決定時、突入リプレイ役と通常リプレイ役の当選を重複して示す役情報を設定することになる。このため、主制御用CPU40aが通常リプレイ役の当選を決定する場合には、突入リプレイ役の当選に基づく重複当選とする時と、突入リプレイ役の当選に基づかない単独の当選(単独当選)とする時とがある。以下では、突入リプレイ役の当選と示す場合には、同時に通常リプレイ役にも当選している時を示している。
【0084】
そして、主制御用CPU40aは、単独当選とする通常リプレイ役の当選時、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく単独当選とする通常リプレイ役の入賞とするリプレイ停止目(賞態様)を停止表示させる。
【0085】
また、本実施形態のパチスロ10では、突入リプレイ役の当選時、3つのストップボタンのうち最初に操作されるストップボタンが正解であれば、突入リプレイ停止目が停止表示される。本実施形態では、何れかの突入リプレイ役の当選に基づいてそれぞれに対応する正解の押し順が選択されることになる。
【0086】
そして、中正解突入リプレイ役の当選時には、中リール13Cを停止指示するストップボタン33Cが最初に操作されることを、押し順正解として突入リプレイ停止目が停止表示される。
【0087】
また、右正解突入リプレイ役の当選時には、右リール13Rを停止指示するストップボタン33Rが最初に操作されることを、押し順正解として突入リプレイ停止目が停止表示される。
【0088】
そして、主制御用CPU40aは、突入リプレイ役の当選時、押し順正解であれば、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく突入リプレイ役の入賞とする突入リプレイ停止目(賞態様)を停止表示させる。一方、主制御用CPU40aは、突入リプレイ役の当選時、押し順不正解であれば、遊技者による停止操作のタイミングに関係なく重複当選とする通常リプレイ役の入賞とするリプレイ停止目(賞態様)を停止表示させる。
【0089】
続いて、主制御用CPU40aは、各リールの全てを停止させて図柄の組み合わせを停止表示させると入賞判定を行う。この場合に主制御用CPU40aは、主制御用RAM40cから役情報を読み出し、読み出した役情報(当選役)に対応する図柄の組み合わせが入賞ライン上に停止表示されているかを判定する入賞判定を行う。また、入賞判定において主制御用CPU40aは、各リールの停止に伴って入力する位置信号から入賞ライン上に停止表示した図柄の組み合わせがどのような組み合わせであるかを特定し、その組み合わせが役情報(当選役)に対応する賞態様であるか否かを判定する。なお、主制御用CPU40aは、入賞ライン上に停止表示した図柄の組み合わせが役情報(当選役)に対応する賞態様である場合に入賞(肯定)と判定する一方、役情報(当選役)に対応する賞態様でない場合に非入賞(否定)と判定する。
【0090】
そして、主制御用CPU40aは、入賞判定で入賞と判定すると賞態様に応じた制御を行う。この場合に主制御用CPU40aは、賞態様に応じて遊技状態を移行させる制御や賞メダルを払出す制御を行う。また、主制御用CPU40aは、入賞判定により入賞を判定する場合、入賞とした旨を示す入賞指示コマンドをサブ制御基板41(サブ制御用CPU41a)に出力する。この入賞指示コマンドでは、変動ゲーム開始コマンドで指定される当選役が入賞したことをサブ制御基板41(サブ制御用CPU41a)に認識させる。また、この入賞指示コマンドでは、入賞とともに何れの停止目によって入賞したか(賞態様)に関してもサブ制御基板41(サブ制御用CPU41a)に認識させる。
【0091】
そして、BN役の入賞を判定する場合、主制御用CPU40aは、次の変動ゲームからBN遊技に移行させる遊技状態の制御を行う。すなわち、主制御用CPU40aは、BN遊技制御を行う。このBN遊技制御において、主制御用CPU40aは、BN遊技の開始後、1回目の変動ゲームから遊技者に付与した(払出した)賞メダルのBN払出枚数のカウントを開始する。また、このBN遊技制御において、主制御用CPU40aは、BN遊技の変動ゲームで賞メダルを遊技者に付与する毎にBN払出枚数を加算して更新する。なお、このBN遊技制御において、主制御用CPU40aは、BN払出枚数が最大払出数(本実施形態では316枚)を超える変動ゲームの終了に伴ってBN遊技を終了させる。
【0092】
また、チェリー役の入賞を判定する場合、主制御用CPU40aは、遊技状態に応じて3枚又は9枚の賞メダルを払出す制御を行う。一方、主制御用CPU40aは、チェリー役の当選時にはずれ停止目に基づいてチェリー役の入賞を判定しない場合(チェリー役の取りこぼしを判定する場合)、1枚以上の賞メダルを付与しない制御を行う。
【0093】
また、主制御用CPU40aは、スイカ役の入賞を判定する場合、遊技状態に応じて3枚又は9枚の賞メダルを払出す制御を行う。一方、主制御用CPU40aは、スイカ役の当選時にはずれ停止目に基づいてスイカ役の入賞を判定しない場合(スイカ役の取りこぼしを判定する場合)、1枚以上の賞メダルを付与しない制御を行う。
【0094】
また、主制御用CPU40aは、ベル役の入賞を判定する場合、9枚の賞メダルを払出す制御を行う。一方、主制御用CPU40aは、ベル役の当選時にはずれ停止目に基づいてベル役の入賞を判定しない場合(ベル役の取りこぼしを判定する場合)、1枚以上の賞メダルを付与しない制御を行う。
【0095】
また、主制御用CPU40aは、通常リプレイ役(単独当選又は重複当選)の入賞を判定する場合、次の変動ゲームを再遊技させるための制御を行う。再遊技させるための制御において、主制御用CPU40aは、入賞を判定した変動ゲームと同一のベット数を設定する。また、主制御用CPU40aは、突入リプレイ役の入賞を判定する場合、次の変動ゲームを再遊技させるための制御を行う。なお、後述するようにこの場合に主制御用CPU40aは、NRT遊技を終了させて次の変動ゲームからRT遊技に移行させる遊技状態の制御も合わせて行うことになる。
【0096】
次に、主制御用CPU40aが遊技状態に応じた変動ゲームに基づいて制御する遊技状態の移行の態様を図6に基づき説明する。
主制御用CPU40aは、遊技状態を移行させる場合、移行先の遊技状態を示す状態指示コマンドをサブ制御基板41(サブ制御用CPU41a)に出力する。この状態指示コマンドでは、主制御用CPU40aで管理している遊技状態が何れの状態であるかをサブ制御基板41(サブ制御用CPU41a)に認識させる。
【0097】
そして、主制御用CPU40aは、一般遊技で当選したBN役の入賞を契機として次の変動ゲームからBN遊技(BN)に移行させる。この場合に主制御用CPU40aは、BN遊技の終了を契機に、当選時の遊技状態に関係なく次の変動ゲームからNRT遊技に移行させる。
【0098】
また、NRT遊技の制御中、主制御用CPU40aは、突入リプレイ役に当選して押し順正解に基づく突入リプレイ役の入賞(突入リプレイ停止目の停止表示)を契機として次の変動ゲームからRT遊技に移行させる。また、このNRT遊技の制御中、主制御用CPU40aは、突入リプレイ役に当選して押し順不正解や通常リプレイ役の当選に基づく通常リプレイ役の入賞(通常リプレイ停止目の停止表示)によっては次の変動ゲームからもNRT遊技を継続させる。
【0099】
すなわち、突入リプレイ役の当選時には、該突入リプレイ役の押し順正解して突入リプレイ停止目が停止表示されることで、RT遊技への移行条件が満たされる。一方、突入リプレイ役の当選時には、該突入リプレイ役の押し順不正解して突入リプレイ停止目が停止表示されないことで、RT遊技への移行条件が満たされないでNRT遊技が継続される。
【0100】
また、RT遊技の制御中、主制御用CPU40aは、ベル役の当選に基づくベル役の取りこぼしの発生(はずれ停止目の停止表示)までRT遊技を継続させる。このベル役の取りこぼしの発生を契機として遊技状態がNRT遊技に移行される。また、RT遊技の制御中、主制御用CPU40aは、ベル役の当選に基づくベル役の入賞(ベル停止目の停止表示)によっては次の変動ゲームからもRT遊技を継続させる。
【0101】
すなわち、RT遊技はベル役の取りこぼしさえ発生させなければ次のボーナス役の当選まで付与されることから、このRT遊技で制御する変動ゲームの回数に関してはその上限を設けない所謂、「無限」ということになる。このようにしてRT遊技では、ベル役の取りこぼしが回避される状況で継続される。また、このようなRT遊技の終了後には、その後のNRT遊技で突入リプレイ停止目を停止表示させる状況で再びRT遊技に移行される。
【0102】
次に、サブ制御用CPU41aがサブ制御プログラムに基づき実行する変動ゲームに係る処理について説明する。
サブ制御用CPU41aは、変動ゲーム開始コマンドや入賞指示コマンドの各種コマンドを入力すると、該コマンドに指定される内容に基づいて各種演出を実行させるように演出表示装置14の表示内容や演出用ランプERの発光態様などを制御する。また、サブ制御用CPU41aは、状態指示コマンドを入力すると、遊技状態が何れの遊技状態に制御されているかを示すサブ用状態情報をサブ制御用RAM41cに記憶(設定)する。なお、サブ制御用CPU41aは、サブ用状態情報を設定して主制御用CPU40aが制御している遊技状態を把握している。また、サブ制御用CPU41aは、変動ゲーム開始コマンドが入力される毎に各種演出(表示演出や発光演出)に係る制御を行うようになっている。
【0103】
そして、サブ制御用CPU41aは、演出表示装置14の演出状態を、主制御用CPU40aが制御している遊技状態に応じて制御するようになっている。なお、遊技者は、演出表示装置14の演出状態に応じて変動ゲーム(遊技)を行うことになる。このような演出状態では、その種類から遊技状態を遊技者に把握させたり、遊技者が遊技を有利に行うことができるような演出を行ったりするようになっている。本実施形態における演出状態は、図7に示すように、複数種類に分類されている。
【0104】
そして、演出状態には、遊技状態が主にNRT遊技である場合に行われ得る通常演出状態がある。この場合に演出表示装置14では、通常演出状態用の表示画面が画像表示される。この通常演出状態は、主にリプレイ役の当選確率が低確率抽選状態である場合に行われるとともに、ベル役の入賞を困難とするように演出が行われる。
【0105】
また、演出状態には、遊技状態が一般遊技であって主にRT遊技である場合に行われるART演出状態がある。この場合に演出表示装置14では、ART演出状態用の表示画面が画像表示される。このART演出状態は、主にリプレイ役の当選確率が高確率抽選状態である場合に行われるとともに、ベル役の入賞を補助(アシスト)する演出が行われる。これにより、ART演出状態では、ベル役の取りこぼしの回避が補助されるとともにベル役の当選に基づく賞メダルの入賞が補助される。このため、ART演出状態は、遊技者にとって有利な状態であって有利遊技状態となる。
【0106】
また、演出状態には、遊技状態がBN遊技である場合に行われるBN演出状態がある。この場合に演出表示装置14では、BN演出状態用の表示画面が画像表示される。
本実施形態において、サブ制御用CPU41aは、サブ制御用RAM41cに演出状態の種類を示す演出フラグ(情報)を設定することで、制御している演出状態を把握する。そして、サブ制御用CPU41aは、演出フラグに対応する背景画像用の画像表示用データを選択するとともに、この選択した画像表示用データをもとに演出表示装置14の表示内容(表示画面)を制御する。
【0107】
以下、各演出状態における制御内容について、演出表示装置14における表示演出と合わせて説明する。
サブ制御用CPU41aは、これから説明する各演出状態での制御を行う結果、図7に示す態様で演出状態を移行させるように制御する。本実施形態では、このように演出状態の移行を制御するサブ制御用CPU41aが、遊技制御手段として機能する。
【0108】
最初に、通常演出状態における制御内容について説明する。
サブ制御用CPU41aは、遊技状態が主にNRT遊技である場合、通常演出状態に制御する。なお、サブ制御用CPU41aは、遊技状態がRT遊技である場合にも通常演出状態に制御する場合がある。
【0109】
サブ制御用CPU41aは、通常演出状態の制御中、当選役の当選及び入賞の指示に基づいた処理を行う。なお、NRT遊技の通常演出状態の制御中には、BN役、チェリー役、スイカ役、ベル役、突入リプレイ役、通常リプレイ役の当選及び入賞が指示され得る。
【0110】
そして、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態の制御中、BN役の入賞が指示される場合、BN演出状態に移行させるように制御する。これに合わせて遊技状態は、BN遊技に移行する。
【0111】
また、サブ制御用CPU41aは、小役の中でも入賞に際してストップボタンの押し順を要するベル役の当選が指示される場合、押し順正解をナビゲート(ナビ)するような演出を行わせないように演出表示装置14を制御する。すなわち、通常演出状態中には、ベル役の入賞を困難とするように演出が行われる。このため、通常演出状態中、遊技者はベル役の当選時にたまたま押し順正解となる場面でこれを入賞させ得る。
【0112】
また、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態の制御中、小役の中でもチェリー役、又はスイカ役の当選が指示される場合、ART抽選を行うようになっている。このART抽選は、指定される当選役に基づいて所定の当選確率となるように当選及び非当選に乱数を振分けて行われる。また、このART抽選は、当選役の入賞ではなく当選役の当選を契機として行われる。また、このART抽選では、当選の結果とする場合にART演出状態に移行させることが決定される一方、非当選の結果とする場合にART演出状態に移行させないことが決定される。
【0113】
なお、サブ制御用CPU41aは、ART抽選や後述する各抽選に用いる乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。また、これら各抽選に用いる乱数は、所定の周期毎に更新され、サブ制御用RAM41cに記憶(設定)されている。そして、サブ制御用CPU41aは、各種抽選を行う際にその抽選で用いる乱数をサブ制御用RAM41cから取得し、該取得した乱数に基づき乱数抽選を行う。
【0114】
サブ制御用CPU41aは、ART抽選に当選する場合、ART演出状態への移行を決定していることを示す情報(フラグ)をサブ制御用RAM41cに記憶(設定)する。なお、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態に制御するのに合わせてART演出状態への移行を決定していることを示す情報をサブ制御用RAM41cから消去するように制御する。
【0115】
また、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態の制御中、突入リプレイ役の当選が指示される場合、突入リプレイ停止目を停止表示させるための押し順正解となる操作方法(ストップボタンの押し順)をナビゲート(ナビ)する「リプナビ演出」を行わせる場合がある。サブ制御用CPU41aは、突入リプレイ役の当選が指示される場合、ART演出状態への移行を決定していることを示す情報がサブ制御用RAM41cに設定されている否かを確認する。そして、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態への移行を決定していることを示す情報が設定されている場合、リプナビ演出を行わせる。一方、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態への移行を決定していることを示す情報が設定されていない場合、リプナビ演出を行わせないようにする。
【0116】
本実施形態におけるリプナビ演出は、演出表示装置14で行われる。演出表示装置14では、図8(a)に示すように、ストップボタンを模した画像を3つ並べて表示させるとともに、3つのうちの一つに対して「1」の数字を付す態様で行われる。図8(a)の例では、3つのうち真ん中に「1」が付されていることから、ストップボタン33Cを最初に操作すべきことを遊技者に把握させる。
【0117】
このようにしてサブ制御用CPU41aは、変動ゲームの開始に伴ってリプナビ演出を行わせるように演出表示装置14の表示内容を制御する。リプナビ演出では、当選した突入リプレイ役に基づく押し順正解を報知する内容で行われる。例えば、リプナビ演出では、中正解突入リプレイ役の当選が指定されていれば、ストップボタン33Cを最初に操作する内容で行われる。
【0118】
また、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態の制御中、突入リプレイ役の入賞(突入リプレイ停止目の停止表示)が指示される場合、これを所定の条件の成立としてART演出状態に移行するように制御する。これに合わせて遊技状態は、RT遊技に移行する。また、サブ制御用CPU41aは、通常リプレイ役の入賞(通常リプレイ停止目の停止表示)が指示される場合、通常演出状態の制御を継続する。この場合に遊技状態は、その時の遊技状態が継続される。
【0119】
また、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態の制御中、ストップボタン33Lが最初に操作されなければ、遊技者にとって不利な状況となるペナルティを付与する。このようなペナルティは、ストップボタン33C又はストップボタン33Rを最初に操作するという遊技者の停止操作に基づいて付与される。なお、ペナルティの仕様については後で詳述する。
【0120】
次に、ART演出状態における制御内容について説明する。
サブ制御用CPU41aは、遊技状態が主にRT遊技である場合、ART演出状態に制御する。また、サブ制御用CPU41aは、遊技状態がNRT遊技である場合にもART演出状態に制御する場合がある。
【0121】
そして、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態の制御中、当選役の当選及び入賞の指示に基づいた処理を行う。なお、RT遊技のART演出状態の制御中には、BN役、チェリー役、スイカ役、ベル役、通常リプレイ役の当選及び入賞が指示され得る。
【0122】
サブ制御用CPU41aは、ART演出状態の制御中、BN役の入賞が指示される場合、BN演出状態に移行するように制御する。これに合わせて遊技状態は、BN遊技に移行する。
【0123】
なお、サブ制御用CPU41aは、BN演出状態に制御する場合、制御中のART演出状態に関する情報を記憶して、BN演出状態の終了後の通常演出状態を経由して該情報に基づいたART演出状態に復帰させるようにする。このため、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態中にBN演出状態に制御する場合、該BN演出状態の終了後の通常演出状態の制御中、サブ制御用RAM41cにART演出状態への移行を決定していることを示す情報を設定して突入リプレイ役の当選時にリプナビ演出を行わせるように制御する。
【0124】
また、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態の制御中、小役の中でも入賞に際してストップボタンの押し順を要するベル役の当選が指示される場合、押し順正解をナビゲート(ナビ)する「ベルナビ演出」を行わせる。すなわち、ART演出状態中には、ベル役の入賞を補助(アシスト)する演出が行われる。このため、ART演出状態中、遊技者は、ベル役の取りこぼしの回避が補助されるとともにベル役の入賞が補助される。
【0125】
ベルナビ演出は、演出表示装置14で行われるとともに、図8(a)に示すように、リプナビ演出と同様の態様で行われる。そして、サブ制御用CPU41aは、変動ゲームの開始に伴ってベルナビ演出を行わせるように演出表示装置14の表示内容を制御する。ベルナビ演出では、当選したベル役に基づく押し順正解を報知する内容で行われる。例えば、ベルナビ演出では、中正解ベル役の当選が指定されていれば、ストップボタン33Cを最初に操作する内容で行われる。
【0126】
なお、ART演出状態の制御中には、ベル役の当選時にベルナビ演出が行われても停止操作を間違えてベル役の取りこぼしが生じ得る。この場合には、ベル役の取りこぼしにより遊技状態がNRT遊技に移行されてしまうが以下に説明するようなART演出状態と同様の処理(ART回数のカウントなど)が行われる。このようなNRT遊技のART演出状態の制御中には、突入リプレイ役にも当選し得るようになる。このため、このようなNRT遊技のART演出状態の制御中には、突入リプレイ役の当選時にリプナビ演出が行われてRT遊技に移行されるように制御される。
【0127】
また、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態の制御中、行った変動ゲームの実行回数をサブ制御用RAM41cでカウントする。サブ制御用CPU41aは、通常演出状態からART演出状態に移行させる場合、サブ制御用RAM41cにART回数として「40(回)」を記憶(設定)する。サブ制御用CPU41aは、ART演出状態の制御中に変動ゲームが行われる毎にART回数を減算(−1)して「0(零)」になるまで更新する。なお、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態のART回数を演出表示装置14で遊技者に報知する。これにより、遊技者は、ART演出状態で後述する継続抽選が行われるまで変動ゲームが継続される回数(残り回数)を把握する。
【0128】
また、サブ制御用CPU41aは、ART演出状態の制御中、ART回数が「0(零)」となる変動ゲームの次の変動ゲームから連続する5回の変動ゲームを対象として継続抽選を行うようになっている。この継続抽選は、指示される当選役に基づいて所定の当選確率となるように当選及び非当選に乱数を振分けて行われる。また、この継続抽選では、チェリー役やスイカ役の当選時、後述する継続率が同一であればベル役やリプレイ役やはずれ時に比して継続抽選で当選の結果を導出し易くなっている。また、この継続抽選は、当選役の入賞ではなく当選役の当選を契機として行われる。また、この継続抽選では、当選の結果とする場合にART演出状態の継続が決定される一方、非当選の結果とする場合にART演出状態の終了が決定される。
【0129】
なお、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態からART演出状態に移行するように制御する場合(ART突入時)、継続抽選の対象となる変動ゲームを通して当選に期待できる割合を示す継続率を複数の中から決定し、通常演出状態からART演出状態に移行された後の継続抽選で共通に用いる。このため、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態からART演出状態に移行するように制御する場合、継続率を決定する継続率決定抽選を行うようになっている。
【0130】
すなわち、サブ制御用CPU41aは、図9に示すように、継続率決定抽選を行う。この継続率決定抽選では、「継続率:66%」、「継続率:75%」、「継続率:85%」毎に乱数が振分けられている。なお、継続率は、高い数値ほど継続抽選で当選となる継続期待度が高まり、66%<75%<85%の順に継続期待度が高まるように設定されている。この継続率決定抽選では、本実施形態で最も低い継続期待度の継続率:66%を最も決定し易く(選択率:75%)、その次に高い継続期待度の継続率:75%をその次に決定し易く(選択率:24%)、本実施形態で最も高い継続期待度の継続率:85%を最も決定し難く(選択率:1%)なるように、乱数が振分けられている。
【0131】
そして、サブ制御用CPU41aは、これら継続抽選の対象とする変動ゲームの何れかの継続抽選で当選の結果を導出する場合、ART回数に「40」を再設定して、ART演出状態をさらに継続させるように制御する。これにより、ART演出状態での変動ゲームが継続して延長される。
【0132】
また、サブ制御用CPU41aは、これら継続抽選の対象とする変動ゲームの何れの継続抽選でも当選の結果を導出しない場合、ART演出状態を終了させて通常演出状態に移行するように制御する。すなわち、図7に示すように、ART演出状態中には、継続抽選で当選の結果が導出されないことを終了条件として次の変動ゲームから通常演出状態に移行される。この場合には、通常演出状態に移行されるが遊技状態としてRT遊技に維持される。このような通常演出状態中は、RT遊技であってもベル役の入賞が困難なことから、ベル役の取りこぼしの発生によりNRT遊技の通常演出状態へと移行する。
【0133】
次に、BN演出状態における制御内容について説明する。
サブ制御用CPU41aは、遊技状態がBN遊技である間、BN演出状態に制御する。
そして、サブ制御用CPU41aは、各演出状態からBN演出状態に制御する場合、主制御用CPU40aが管理するBN払出枚数に対応する枚数を、演出表示装置14で遊技者に報知する。なお、サブ制御用CPU41aは、主制御用CPU40aからの各種コマンドから当選役や賞態様を特定する結果、主制御用CPU40aが管理するBN払出枚数に対応する枚数を把握し得る。
【0134】
また、サブ制御用CPU41aは、BN遊技の終了が指示される場合、BN演出状態の制御を終了し、次の変動ゲームから通常演出状態に制御する。この場合には、遊技状態がNRT遊技に移行されている。
【0135】
また、サブ制御用CPU41aは、BN演出状態に制御している場合、指定される当選役に基づいた演出を行わせるとともに、これら当選役の入賞に基づいて演出を行わせるように演出表示装置14の表示内容を制御する。そして、サブ制御用CPU41aは、ベル役の当選が指定される場合、ART演出状態と同様に、ベルナビ演出を行わせる。このため、BN演出状態に制御される変動ゲームでは、ベル停止目により賞メダルを好適に獲得できる。
【0136】
また、本実施形態のパチスロ10では、BN役の当選に遊技者が期待を抱くことになる通常演出状態やART演出状態の制御中、BN役(ボーナス役)の当選の当選期待度の高低を示唆する示唆演出としてのボーナス予告演出が行われる。このボーナス予告演出は、最終的にBN役の当選又は非当選を報知する。また、このボーナス予告演出では、演出表示装置14の表示演出により当選期待度が示唆される。例えば、BN役の当選時やはずれ時であって「チャンス目」が停止表示され得る場面では、ボーナス予告演出が出現するとBN役への当選に対する期待を遊技者に抱かせ得る。なお、このようなボーナス予告演出は、チェリー役やスイカ役さらにはベル役の取りこぼし時の「チャンス目」が停止表示され得る場面でもBN役への当選に対する期待を遊技者に抱かせ得る。本実施形態では、ボーナス予告演出を行わせるサブ制御用CPU41aが、示唆演出手段として機能する。
【0137】
そして、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態やART演出状態の制御中、各変動ゲームの開始に際してボーナス予告演出の実行態様を決定する予告決定抽選を行うようになっている。この予告決定抽選では、「非実行」、「高期待度演出」、「中期待度演出」「低期待度演出」毎に乱数が振分けられている。なお、演出内容は、「非実行」でボーナス予告演出を行わないこと、「低期待度演出」<「中期待度演出」<「高期待度演出」の順にBN役の当選期待度が高まるように設定されている。
【0138】
なお、当選期待度は、各演出内容を各当選役に振分ける際の振分け態様に応じて決定される。特定の演出内容の当選期待度を高くするためには、該特定の演出内容が出現する割合(BN役の場合とそれ以外の場合に出現する全体の割合)に対して、BN役の場合に該特定の演出内容が出現する割合を高くするようにすればよい。
【0139】
そして、例えば、「高期待度演出」の場合、演出表示装置14では、図8(b)に示すようにしてボーナス予告演出が行われる。この「高期待度演出」のボーナス予告演出の場合、演出表示装置14では、連続する最大で4回の変動ゲームに跨って行われるようになっており、その連続する各変動ゲームで「高期待」が画像表示されて最終的にBN役の当選を示す「ボーナス」又はBN役の非当選を示す「ざんねん」が画像表示される。
【0140】
本実施形態では、BN役の当選時及び非当選時、「非実行」、「低期待度演出」、「中期待度演出」、「高期待度演出」の何れも決定し得るように構成されている。このため、BN役の非当選時、「高期待度演出」が決定される場合には、連続する変動ゲームに跨って行われる態様から当選期待度の高いことを遊技者に示唆するが結果的にBN役の非当選を遊技者に報知することになる。
【0141】
このように構成された本実施形態のパチスロ10では、所定の天井条件が成立することでART演出状態に移行させ得る状況を遊技者に付与する、所謂「天井機能」を備えている。
【0142】
そして、本実施形態では、図10に示すように、天井機能の仕様を設定している。この天井機能では、直前のBN遊技の終了からBN役に当選することなく行われた変動ゲームが連続して規定消化回数としての「1400回」続くことを天井条件の成立としてART演出状態に移行させ得る状況を遊技者に付与する天井特典を設定している。
【0143】
このような直前のBN遊技の終了からBN役に当選することなく連続して行われた変動ゲームの回数は、サブ制御用RAM41cに記憶(設定)される天井カウント値でカウント(計数)される。また、この天井カウント値は、変動ゲームが1回行われる(1回消化)毎にサブ制御用CPU41aにより1加算(+1)して更新されるようになっている。なお、本実施形態では、図8(c)に示すように、直前のBN遊技の終了から連続して行われた変動ゲームの回数を「Xゲーム経過」という表示態様で演出表示装置14にて遊技者に報知するようにしている。このようにして遊技者に報知される回数は、後述するペナルティを考慮しないで直前のBN遊技の終了から連続して行われた実際の変動ゲームの回数であって天井カウント値とは誤差を生じ得る「実ゲーム数」である。
【0144】
また、天井条件の成立時の天井特典では、サブ制御用CPU41aによりART抽選に当選した場合と同様の状況が作り出される。例えば、サブ制御用CPU41aは、天井条件の成立に伴ってART演出状態への移行を決定していることを示す情報(フラグ)をサブ制御用RAM41cに記憶(設定)するようにする。また、この天井特典では、サブ制御用CPU41aによりART演出状態への移行時に決定される継続率として、最も高い継続期待度の「継続率:85%」が決定される状況が作り出される。なお、天井条件の成立時に既にART演出状態の制御中の場合には、その時の継続率が継続率:85%に再設定されるようにしている。また、本実施形態では、天井条件の成立時に既にART演出状態の制御中の場合、ART演出状態が次のBN役の当選まで上限なし(無限)に継続するような、所謂、「無限ART」に制御することもできる。
【0145】
このため、天井特典を経てのART演出状態では、最も高い継続期待度(継続率:85%)でART演出状態が行われることから、最も低い継続期待度(継続率:66%)の選択率が最も高い(選択率:75%)ART抽選を経る場合に比して遊技者に有利度が高くなるように設定されている。
【0146】
また、天井カウント値は、BN役の当選が指示される場合にサブ制御用CPU41aによりリセット(「0(零)」に設定)される。なお、本実施形態では、ART演出状態の移行によっては天井カウント値の値がリセットされないようにしている。すなわち、直前のBN遊技の終了からその途中にART演出状態を挟んだとしても直前のBN遊技の終了からBN役に当選することなく連続して行われた変動ゲームの回数(天井カウント値の値)が「1400回(以下、「天井回数」という)」に達することを天井条件の成立(天井到達)に設定している。
【0147】
このため、天井カウント値は、一般遊技であってBN役に当選していない間、制御中の演出状態や遊技状態に関係なくサブ制御用RAM41cにて更新(カウント)されながら継続して保持されることになる。また、天井カウント値は、BN遊技の終了を所定の計数開始時として次のBN役の当選まで継続してカウントされる。また、この天井カウント値は、BN役の当選によりリセットされた後、該BN役の当選に基づくBN遊技を所定の計数開始時として再び「0(零)」からカウントが開始される。
【0148】
次に、通常演出状態で遊技者に付与されるペナルティの仕様(制御)について、図11(a),(b)に基づき説明する。
本実施形態では、図11(a)に示すように、ペナルティの仕様を設定しているとともに、図11(b)に示すように、ペナルティを付与した場合の制御を設定している。このペナルティでは、ストップボタン33C又はストップボタン33Rが最初に操作(第1停止に中・右ボタン操作)されること、すなわちストップボタン33Lが最初に操作されないことを付与条件の成立としてペナルティを付与するように設定している。
【0149】
このような付与条件が成立する場合には、変動ゲームが行われると本来なら天井カウント値がカウント(1加算)されるところを、変動ゲームが行われても該天井カウント値がカウント(1加算)されないようにする無カウント期間を設定する内容のペナルティが付与される。すなわち、無カウント期間が設定される場合には、この間にいくら変動ゲームが行われても天井カウント値のカウントが行われず該天井カウント値の値が天井回数に一向に近づかない状況となる。このため、無カウント期間が設定される場合には、変動ゲームが行われることで演出表示装置14にて遊技者に報知される実ゲーム数のカウントだけ進んで内部的な天井カウント値のカウントが進んでいかない状況となる。したがって、無カウント期間が設定された後には、演出表示装置14にて遊技者に報知される実ゲーム数と内部的な天井カウント値の値とが一致しない状況を生じていることになる。
【0150】
また、このような付与条件が成立する場合には、変動ゲームが行われると本体ならART抽選が行われるところを、変動ゲームが行われても該ART抽選が行われないようにする無抽選期間を設定する内容のペナルティが付与される。すなわち、無抽選期間が設定される場合には、この間にいくらART抽選の抽選の契機が到来してもART演出状態に移行し得ない(天井特典が付与されない)状況となる。
【0151】
そして、付与条件が成立する場合には、無カウント期間と無抽選期間を共に設定するペナルティ遊技が付与される結果、ART抽選からも天井機能からもART演出状態への移行(天井特典の付与)に期待することができない、すなわち遊技者にとって不利な状況となる。
【0152】
このようにして付与される本実施形態のペナルティの内容は、サブ制御用CPU41aの制御の範囲内で付与可能に設定している。そして、サブ制御用CPU41aは、図11(b)に示す内容となるように、ペナルティの付与(ペナルティ遊技)に関する具体的な制御を行うようになっている。
【0153】
すなわち、サブ制御用CPU41aは、通常演出状態の制御中、ペナルティを付与する場合、ペナルティ遊技中であるか否かを確認する。サブ制御用CPU41aは、ペナルティ遊技とする変動ゲームの回数をサブ制御用RAM41cに記憶(設定)している。また、サブ制御用CPU41aは、サブ制御用RAM41cに設定されているペナルティ遊技とする変動ゲームの回数が「0(零)以上」であるか否かを判定することで、ペナルティ遊技であるか否かを把握する。
【0154】
そして、サブ制御用CPU41aは、ペナルティ遊技中でない場合(初回のペナルティの場合)、ペナルティ遊技とする変動ゲームの回数として「5回(5ゲーム)」を設定する。一方、サブ制御用CPU41aは、ペナルティ遊技中である場合(連続のペナルティの場合)、ペナルティ遊技とする変動ゲームの回数として「10回(10ゲーム)」を設定する。この場合にサブ制御用CPU41aは、ペナルティ遊技とする変動ゲームの回数をサブ制御用RAM41cに既に設定しているが、該回数に関係なくペナルティ遊技とする変動ゲームの回数として「10回」を再設定する。
【0155】
なお、サブ制御用CPU41aは、ペナルティ遊技中に変動ゲームが行われる毎にペナルティ遊技とする変動ゲームの回数を減算(−1)して「0(零)」になるまで更新する。また、このペナルティ遊技とする変動ゲームの回数が「0(零)」に達する場合には、サブ制御用CPU41aがペナルティ遊技中であると判定し得ない、すなわちペナルティ遊技中でないと判定する状況へと移行する。また、サブ制御用CPU41aは、ペナルティ遊技中、BN演出状態への移行によってはペナルティ遊技とする変動ゲームの回数に「0(零)回」を設定して該ペナルティ遊技の設定を終了させる(解除する)。
【0156】
その結果、ペナルティの付与条件が成立する場合には、ペナルティ発生(付与条件が成立)により、ペナルティ遊技の設定中でなければペナルティ遊技として5回を設定する。一方、本実施形態では、ペナルティ遊技の設定中であればペナルティ遊技として10回を設定する。さらに、本実施形態では、天井カウント値が維持される。本実施形態では、ペナルティ遊技を設定するサブ制御用CPU41aが、ペナルティ付与手段として機能する。
【0157】
また、本実施形態のパチスロ10では、天井カウント値の値に基づく天井回数に達するまでの残り回数が所定回数以内(本実施形態では、100回、50回、10回以内)であることを遊技者に報知する報知演出としての天井報知演出が演出用ランプERにて行われるようになっている。この天井報知演出では、演出用ランプERの発光演出により天井カウント値の値に基づく天井回数に達するまでの残り回数が所定回数以内であることが報知される。このため、途中にペナルティ遊技を経ているような場面では、天井報知演出が出現すると少なくとも100回分の変動ゲームを経れば天井回数に達するということを遊技者に把握させ得る。本実施形態では、天井報知演出を行わせるサブ制御用CPU41aが、判定手段及び報知手段として機能する。
【0158】
このような天井報知は、天井カウント値の値に応じてそれぞれに遊技者に把握させ得る内容を異ならせた複数のうち何れかの報知態様で行われるようになっている。この報知態様は、図12に示すように、演出用ランプERを発光させる色により分類されており、「青色に発光」、「黄色に発光」、「緑色に発光」、又は「赤色に発光」を設定している。なお、天井報知演出を行っていない通常状態での演出用ランプERは、「白色」であったり各種演出に応じた発光態様で発光したりしている。そして、「青色に発光」の報知態様では、天井カウント値の値が「1300」に達していること、すなわち天井回数に達するまでの残り回数が100回以内であることが報知される。また、「黄色に発光」の報知態様では、天井カウント値の値が「1350」に達していること、すなわち天井回数に達するまでの残り回数が50回以内であることが報知される。また、「緑色に発光」の報知態様では、天井カウント値の値が「1390」に達していること、すなわち天井回数に達するまでの残り回数が10回以内であることが報知される。また、「赤色に発光」の報知態様では、天井カウント値の値が「1400」に達したこと、すなわち天井回数に達したことが報知される。
【0159】
以下、天井報知演出に係るサブ制御用CPU41aの処理について図13に基づき説明する。
サブ制御用CPU41aは、通常演出状態又はART演出状態中(遊技状態が一般遊技中)、各変動ゲームの開始に伴ってサブ制御用RAM41cに設定されている天井カウント値の値が天井回数の100回前となる「1300回」に達しているか否かを判定するようになっている。この判定でサブ制御用CPU41aは、天井カウント値の値が「1300」に達している場合に肯定と判定する一方、天井カウント値の値が「1300未満」の場合に否定と判定する。
【0160】
そして、サブ制御用CPU41aは、天井カウント値の値が「1300」に達していることを判定する場合、図13に示すように、その天井カウント値の値が「1300」、「1350」、「1390」、「1400」となる特定の変動ゲーム(特定の遊技)のときに報知実行抽選を行うようになっている。なお、天井カウント値の値は、「1300」であれば天井まで残り「100回」、「1350」であれば天井まで残り「50回」、「1390」であれば天井まで残り「10回」、「1400」であれば天井まで「0(零)」(天井到達)をそれぞれ示している。また、この特定の変動ゲームに基づく報知実行抽選では、天井カウント値の値に基づいて所定の当選確率となるように当選及び非当選に乱数を振分けて行われる。また、この特定の変動ゲームに基づく報知実行抽選での当選確率は、天井カウント値の値が天井回数に近いほど高まり、「1300」で「20%」<「1350」で「50%」<「1390」で「90%」<「1400」で「100%」の順に当選確率が高まるように設定されている。なお、本実施形態では、天井カウント値の値が「1400」の場合、報知実行抽選自体を行うことなく「赤色に発光させる」報知態様による天井報知演出が行われるようにしてもよい。
【0161】
すなわち、この特定の変動ゲームに基づく報知実行抽選に関しては、天井回数に近い特定の変動ゲームほど当選確率を高く設定することで、天井回数に近いほど天井報知演出を行わせ易くするようになる。このため、天井回数まで後どれ位の変動ゲームを行えばよいかを推測させる情報として、天井報知演出の実行具合や実ゲーム数を用いることができるようになる。
【0162】
そして、サブ制御用CPU41aは、天井カウント値の値が「1300」での報知実行抽選で当選とする場合、「青色に発光」の報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。これにより、天井回数に達するまでの残り回数が100回(以内)であることが遊技者に把握され得る。
【0163】
また、サブ制御用CPU41aは、天井カウント値の値が「1350」での報知実行抽選で当選とする場合、「黄色に発光」の報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。これにより、天井回数に達するまでの残り回数が50回(以内)であることが遊技者に把握され得る。この場合にサブ制御用CPU41aは、「青色に発光」の報知態様による天井報知演出を既に行わせている場合、報知態様を「黄色に発光」へと変化させる。
【0164】
また、サブ制御用CPU41aは、天井カウント値の値が「1390」での報知実行抽選で当選とする場合、「緑色に発光」の報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。これにより、天井回数に達するまでの残り回数が10回(以内)であることが遊技者に把握され得る。この場合にサブ制御用CPU41aは、「青色に発光」や「黄色に発光」の報知態様による天井報知演出を既に行わせている場合、報知態様を「緑色に発光」へと変化させる。
【0165】
また、サブ制御用CPU41aは、天井カウント値の値が「1400」の場合、「赤色に発光」の報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。これにより、天井回数に達したことが遊技者に把握され得る。この場合にサブ制御用CPU41aは、「青色に発光」や「黄色に発光」や「緑色に発光」の報知態様による天井報知演出を既に行わせている場合、報知態様を「赤色に発光」へと変化させる。
【0166】
なお、本実施形態では、天井カウント値の値が「1400」に達しても即座にART演出状態に移行されるわけでなく、「1400」に達した後の突入リプレイ役が入賞するまでART演出状態には移行されない。このため、サブ制御用CPU41aは、天井報知演出を行わせた後、ART演出状態に移行するまでの間、該天井報知演出を継続して行わせる。そして、サブ制御用CPU41aは、天井報知演出を行わせている間に、ART演出状態に移行させたりBN役が入賞したりする場合、天井報知演出を終了させるように発光態様を通常状態(例えば、白色)に戻すように演出用ランプERの発光態様を制御する。
【0167】
また、サブ制御用CPU41aは、天井カウント値の値が「1300」に達していることを判定する場合、図13に示すように、その天井カウント値の値が「1300」、「1350」、「1390」、「1400」以外でも特殊条件を満たしているときには報知実行抽選を行うようになっている。本実施形態では、特殊条件を満たす場面として、天井回数に達するまでの残り回数が100回以内であって、役抽選でBN役に非当選(はずれ等)で且つ「高期待度演出」によるボーナス予告演出を行うことを決定する場面を設定している。すなわち、最も高い当選期待度の「高期待度演出」が出現したのにBN役に当選していないような場面で特殊条件が満たされる。この特殊条件を満たしたことに基づく報知実行抽選では、該報知実行抽選の当選確率が「75%」となるように当選及び非当選に乱数を振分けて行われる。なお、サブ制御用CPU41aは、特殊条件を満たしたのが特定の変動ゲームの場合、該特殊条件を満たしたことに基づく報知実行抽選を行うようになっている。一方、サブ制御用CPU41aは、特殊条件を満たしたのが特定の変動ゲームの中でも天井カウント値の値が「1400」となる場合、特殊条件を満たしたことに基づく報知実行抽選を行わないようになっている。
【0168】
そして、サブ制御用CPU41aは、特殊条件を満たしたことに基づく報知実行抽選で当選とする場合、「高期待度演出」の終了に合わせて、すなわちBN役の非当選の報知後、図13に示すように、その時の天井カウント値の値に応じた報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。
【0169】
この時の天井カウント値の値が「1300」〜「1349」、すなわち天井回数に達するまでの残り回数が「100〜51回」の場合、サブ制御用CPU41aは、「青色に発光」の報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。これにより、天井回数に達するまでの残り回数が100回以内であることが遊技者に把握され得る。
【0170】
また、この時の天井カウント値の値が「1350」〜「1391」、すなわち天井回数に達するまでの残り回数が「50〜11回」の場合、サブ制御用CPU41aは、「黄色に発光」の報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。これにより、天井回数に達するまでの残り回数が50回以内であることが遊技者に把握され得る。
【0171】
また、この時の天井カウント値の値が「1390」〜「1399」、すなわち天井回数に達するまでの残り回数が「10〜1回」の場合、サブ制御用CPU41aは、「緑色に発光」の報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。これにより、天井回数に達するまでの残り回数が10回以内であることが遊技者に把握され得る。
【0172】
また、この時の天井カウント値の値が「1400」、すなわち天井回数に達する場合、サブ制御用CPU41aは、「赤色に発光」の報知態様による天井報知演出を行わせるように、演出用ランプERの発光態様を制御する。これにより、天井回数に達したことが遊技者に把握され得る。
【0173】
これにより、役抽選でBN役に非当選のときにBN役の当選期待度の高いことを示唆する「高期待度演出」が行なわれる場合には、該「高期待度演出」でBN役に非当選となってしまうが天井報知演出の実行により遊技者を安心させることができるようになる。また、特殊条件を満たしたことに基づく報知実行抽選に関しては、特定の変動ゲームに基づく報知実行抽選に当選しないことで、天井報知演出が行われなく天井回数の100回や50回や10回前に天井カウント値の値が達している可能性もあることになる。
【0174】
このように構成された本実施形態において、天井報知演出が行われる場合の実ゲーム数と天井カウント値との関係について図14(a),(b)及び図15(a)〜(c)に基づき説明する。
【0175】
図14(a),(b)は、途中にペナルティの発生がなく実ゲーム数と天井カウント値の値が一致している場合を示している。
そして、図14(a)は、実ゲーム数と天井カウント値の値が共に「1300(回)」で一致している場合の特定の変動ゲームが行われる場面を示している。
【0176】
この特定の変動ゲームでは、演出表示装置14で「1300ゲーム経過」が報知される。この特定の変動ゲームに基づく報知実行抽選に当選する場合、図14(b)に示すように、「青色に発光」の報知態様で演出用ランプERが発光する天井報知演出が行われる。この場合には、「高期待度演出」が行われていなければ天井回数に達するまでの残り回数が100回であって実ゲーム数と天井カウント値の値が一致することも合わせて報知される。
【0177】
なお、この場合には、実ゲーム数が「1300回」で天井報知演出が行われないが、実ゲーム数が「1301回」〜「1349回」の間で「高期待度演出」を伴って「青色に発光」による天井報知演出が行われる場合、天井回数に達するまでの残り回数が100回以内であって実ゲーム数と天井カウント値の値が略一致していることが遊技者に把握され得る。この場合には、この途中にペナルティの発生がなかった可能性が高いことも合わせて遊技者に把握させ得る。
【0178】
続いて、実ゲーム数が「1350回」〜「1389回」の間で報知実行抽選に当選する場合には、演出用ランプERの報知態様が「黄色に発光」に変化する。続いて、実ゲーム数が「1390回」〜「1399回」の間で報知実行抽選に当選する場合には、演出用ランプERの報知態様が「緑色に発光」に変化する。続いて、実ゲーム数が「1400回」に達する場合には、演出用ランプERの報知態様が「赤色に発光」に変化する。
【0179】
また、図15(a)〜(c)は、途中にペナルティの発生があって実ゲーム数と天井カウント値の値が一致していない場合を示している。
そして、図15(a)は、実ゲーム数が「1300回」であって、途中で50回分のペナルティ遊技(天井カウント値の非加算)により天井カウント値の値が「1250」となって、実ゲーム数と天井カウント値とが一致していない場面を示している。
【0180】
この場合には、実ゲーム数からすると特定の変動ゲームであるが、内部的には天井カウント値の値が「1300」に達していないことから報知実行抽選も行われないことになる。
【0181】
そして、図15(b)は、実ゲーム数が「1350回」で天井カウント値の値が「1300」となる場合の特定の変動ゲームが行われる場面を示している。
この特定の変動ゲームでは、演出表示装置14で「1350ゲーム経過」が報知される。この特定の変動ゲームに基づく報知実行抽選に当選しない場合、天井報知演出が行われない。
【0182】
なお、この場合には、実ゲーム数が「1350回」で天井報知演出が行われないが、実ゲーム数が「1351回」〜「1399回」の間で「高期待度演出」を伴って「青色に発光」による天井報知演出が行われる場合、見た目上に天井到達しても天井特典を得られないが天井回数に達するまでの残り回数が100回以内であることが遊技者に把握され得る。また、この場合には、途中にペナルティが発生していたものの天井回数に達するまでの残り回数が100回以内であることが遊技者に把握され得る。
【0183】
続いて、図15(c)は、50回の変動ゲームを経て実ゲーム数が「1400回」で天井カウント値の値が「1350」となる場合の特定の変動ゲームが行われる場面を示している。
【0184】
この特定の変動ゲームでは、演出表示装置14で「1400ゲーム経過」、すなわち見た目上は天井到達が報知される。この特定の変動ゲームに基づく報知実行抽選に当選する場合、図15(c)に示すように、「黄色に発光」の報知態様で演出用ランプERが発光する天井報知演出が行われる。この場合には、見た目上は天井到達しているが天井回数に達するまでの残り回数が50回であることが遊技者に把握され得る。また、この場合には、途中にペナルティが発生していたものの天井回数に達するまでの残り回数が50回であることが遊技者に把握され得る。
【0185】
なお、この場合には、実ゲーム数が「1400回」で天井報知演出が行われないが、実ゲーム数が「1401回」〜「1439回」の間で「高期待度演出」を伴って「黄色に発光」による天井報知演出が行われる場合、見た目上に天井到達しても天井特典を得られないが天井回数に達するまでの残り回数が50回以内であることが遊技者に把握され得る。また、この場合には、途中にペナルティが発生していたものの天井回数に達するまでの残り回数が50回以内であることが遊技者に把握され得る。
【0186】
続いて、実ゲーム数が「1440回」〜「1449回」の間で報知実行抽選に当選する場合には、演出用ランプERの報知態様が「緑色に発光」に変化する。続いて、実ゲーム数が「1450回」に達する場合には、演出用ランプERの報知態様が「赤色に発光」に変化する。
【0187】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)直前のBN役の終了から連続して行われた変動ゲームの回数を示す天井カウント値の値が天井回数に達するまで所定回数以内(本実施形態では、100回、50回、10回以内)であることを報知演出により報知可能に構成した。これにより、途中のペナルティの付与に起因し、見た目上の実ゲーム数が天井回数となるはずの回数(本実施形態では、「1400回」)に到達して天井特典が付与されなくても、天井回数の所定回数前に天井カウント値の値が達していれば、天井報知演出が実行され得る。このような天井報知演出の実行により、少なくとも所定回数分の遊技を経れば天井回数に天井カウント値の値が達するということを報知して遊技者を安心させることができるようになる。その結果、遊技者の不安を抑制することができる。
【0188】
(2)役抽選でBN役(ボーナス役)に非当選のときにBN役の当選期待度の高いことを示唆するボーナス予告演出(本実施形態では、「高期待度演出」)が実行される場合には、該ボーナス予告演出でBN役に非当選となってしまうが天井報知演出の実行により遊技者を安心させることができるようになる。このような安心を与えることで、BN役の当選期待度の高いことを示唆するボーナス予告演出が実行されてBN役に非当選であったことによる遊技者の落胆を低減させることができる。
【0189】
(3)天井報知演出の実行に関しては、特定の変動ゲーム(本実施形態では、天井カウント値が「1300」、「1350」、「1390」、「1400」)で報知実行抽選に当選しないことで、天井報知演出が実行されなくても天井回数の所定回数前に天井カウント値の値が達している可能性もあることになる。このため、天井報知演出が実行されなくても遊技者の不安を抑制することができる。
【0190】
(4)天井報知演出の報知実行抽選に関しては、天井回数に近い特定の変動ゲームほど当選確率を高く設定することで、天井回数に近いほど天井報知演出を実行させ易くするようになる。このため、天井回数まで後どれ位の変動ゲームを行えばよいかを推測させる情報として、天井報知演出の実行具合や実ゲーム数を用いることができるになる。そして、こういった情報から遊技を続けるか否かを遊技者が判断できるようなゲーム性を付与して遊技の興趣を向上させることができる。
【0191】
(5)天井回数に天井カウント値の値が達するまでの変動ゲームの回数に応じて天井報知演出における報知態様を異ならせることで、その報知態様から天井回数まで後どれ位の変動ゲームを行えばよいかを遊技者に把握させることができるようになる。
【0192】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、天井報知演出の報知態様として複数種類を設定するようにしたが1種類にすることもできる。また、このように報知態様を1種類としても、天井カウント値が所定回数(例えば、「1300」)に達しているか否かに基づいて天井報知演出を実行可能に構成していれば、天井回数に達するまでの残り回数が所定回数以内(例えば、100回以内)であることが遊技者に把握され得る。
【0193】
・本実施形態において特定の変動ゲームに基づく報知実行抽選における当選確率は、天井カウント値の値に関係なく一定にすることもできるし、天井カウント値の値が天井回数に近いほど当選確率を低くすることもできる。
【0194】
・本実施形態において特定の変動ゲームは、天井カウント値の値により定めるようにしたが、天井カウント値の値が「1300」に達していれば全ての変動ゲームで報知実行抽選を行う構成を採用することもできる。また、特定の変動ゲームは、単数の設定とすることもできる。
【0195】
・本実施形態では、天井報知演出の実行には報知実行抽選の当選を要件としたが特定の変動ゲームであればこういった抽選を行うことなく天井報知演出を実行可能にしてもよい。
【0196】
・本実施形態では、天井カウント値の値が「1300回」に達していれば各変動ゲームで報知実行抽選を行って天井報知演出を実行可能にすることもできる。
・本実施形態では、高期待度演出に限らBN役の非当選に基づくボーナス予告演出の出現時に天井報知演出を実行可能な構成を採用してもよい。
【0197】
・本実施形態では、天井カウント値をART演出状態の移行でもリセットすることもできる。この場合に天井カウント値は、BN遊技の終了又はART演出状態の終了を所定の計数開始時として次のBN役の当選又はART演出状態の移行まで継続してカウントされる。なお、本別例では、ART演出状態の移行をART抽選の当選時に置き換えてもよい。
【0198】
・本実施形態において天井報知演出は、遊技者に把握され得るように報知されていればよく、積極的に遊技者に把握させるための構成を有していなくてもよい。すなわち、天井報知演出の確認には、遊技者の特定の動作(例えば、パチスロ10の右下に視界を移す等)を要するようにしてもよい。
【0199】
・本実施形態では、実ゲーム数を演出表示装置14で報知するようにしたが、変動ゲームの実行の開始毎にパチスロ10が外部に出力するゲーム信号に基づき実ゲーム数を遊技者に報知するような装置、所謂、「データカウンタ」等と接続されていればよい。
【0200】
・本実施形態は、ペナルティ遊技として無抽選期間を設定しなくてもよい。また、無抽選期間は、ART抽選を行うがペナルティ遊技でない場合に比して低確率で当選を決定する低抽選期間とすることもできる。
【0201】
・本実施形態は、ペナルティの仕様として天井カウント値を減算したり、天井回数自体を加算して天井回数までの期間を延長させたりしてもよい。
・本実施形態においてペナルティ遊技では、常に「5回」を設定するようにしてもよいし、ペナルティ遊技の設定中のペナルティの発生時には無カウント期間及び無抽選期間の何れかのみをさらに付与することもできる。
【0202】
・本実施形態では、天井報知演出の実行の条件として少なくとも天井カウント値の値に基づく天井回数に達するまでの残り回数が100回以内であることとしたが、50回以内や200回以内等、任意に変更してもよい。
【0203】
・本実施形態では、天井回数を変更してもよい。この場合には、合わせて特定の変動ゲームの設定等も合わせて変更してもよい。
・本実施形態では、特定の変動ゲームの設定を変更してもよく、例えば、一定の変動ゲームの回数毎に到来するようにしてもよい。
【0204】
・本実施形態では、遊技状態の構成を任意に変更してもよく、RT性能の異なる一般遊技を設定したり、RT遊技とNRT遊技の間にさらに一般遊技を介在させたりもできる。
・本実施形態では、RT遊技への移行契機として、賞メダルの払出しを定める図柄の組み合わせを設定することもできる。
【0205】
・本実施形態では、ボーナス遊技を設定しないようなパチスロに適用してもよく、例えば、RT遊技に基づくART演出状態での遊技により遊技者の保有する賞メダルを増加させる仕様のパチスロに適用することもできる。
【0206】
・本実施形態において、有利遊技状態は、遊技者にとって有利であればよく、例えば、リプレイ役の合算の当選確率を他の遊技状態とほとんど変わりなく設定することもできる。この場合、特別遊技状態では、他の遊技状態で行わないベルナビ演出を行わせる仕様とすることで、遊技者にとって有利となる。
【0207】
・本実施形態において天井特典の内容は、ART抽選を当選とするのみで継続率としては同程度の特典とすることもできる。すなわち、ART演出状態への移行の契機を到来させるのみの特典とし、その後についてはART抽選を経て移行する場合と同停止の特典としてもよい。
【0208】
・本実施形態は、演出表示装置14を設けないパチスロに適用することもできる。この場合には、各種ランプR,ERの発光演出により演出状態を遊技者に報知したり、各演出状態用の専用ランプを設けてこれらを点灯させて演出状態を遊技者に報知したり、スピーカSPの音声演出により演出状態を遊技者に報知したりしてもよい。また、この場合には、各種ランプR,ERやスピーカSPなどによりリプナビ演出やベルナビ演出などの各種演出を行わせることもできる。
【0209】
・本実施形態では、天井報知演出を演出表示装置14やスピーカSPや枠用ランプRで行わせることもできる。
・本実施形態では、BN遊技の終了を、入賞回数のみで規定することもできるし、実行回数のみで規定することもできる。また、BN役の種類を増やすこともできるし、BN役としてチャレンジタイム(所謂、「CT」)としてもよい。
【0210】
・本実施形態においてボーナス遊技は、2ベットによる変動ゲームのみを許容するようにしてもよい。すなわち、2ベットによる変動ゲームによるスイカ役やチェリー役の入賞時には9枚の賞メダルの払出しが行われることになる。
【0211】
・本実施形態において高期待度演出は、1回の変動ゲームでのみ行われる演出であってもよい。
・本実施形態では、突入リプレイ役やベル役における停止目が変化し得る要素として、ストップボタンを操作するタイミングにしてもよい。この場合には、各リール(一つ又は全て)における特定の部分(図柄)を狙うような仕様が考えられる。そして、各種ナビ演出では、ストップボタンを操作するタイミング(特定の部分(図柄))を報知したりする。
【0212】
・本実施形態は、遊技媒体として遊技球を(パチンコ球)を用いるパチンコ式スロット機(パチスロ機)に具体化してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0213】
(イ)前記報知手段は、前記規定消化回数に前記遊技回数が達するまでの回数に応じて報知態様の異なる複数種類の報知演出を実行可能に構成された請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の遊技機。
【符号の説明】
【0214】
L1〜L5…図柄停止ライン、ER…演出用ランプ、10…パチスロ、13…リールユニット、13L…左リール、13C…中リール、13R…右リール、32…スタートレバー、33L、33C、33R…ストップボタン、40…主制御基板、40a…主制御用CPU、40b…主制御用ROM、40c…主制御用RAM、41…サブ制御基板、41a…サブ制御用CPU、41b…サブ制御用ROM、41c…サブ制御用RAM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者による開始操作が行われることに基づいて複数列の図柄を変動させて行う1回の遊技が図柄表示手段で開始され、1回の遊技の開始に基づき各列の図柄の変動が開始された後、遊技者による停止操作に基づいて対応する列の図柄が停止される遊技機において、
所定の計数開始時から連続して行われた遊技回数が予め定めた規定消化回数に達することを契機として遊技者に有利な状態での遊技となる有利遊技状態に制御する遊技制御手段と、
遊技が行われても前記遊技回数の計数の対象としない遊技とするペナルティを遊技者の停止操作に基づいて付与可能なペナルティ付与手段と、
前記規定消化回数の所定回数前に前記遊技回数が達したかを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記規定消化回数の所定回数前に前記遊技回数が達したと判定している場合に前記遊技回数が前記規定消化回数に達するまで前記所定回数以内であることを報知する報知演出を実行可能な報知手段と、を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記遊技制御手段は、前記有利遊技状態とは異なるボーナス遊技状態を付与するボーナス役を所定確率で抽選する役抽選を実行するようになっており、
前記役抽選の抽選結果に基づいて前記ボーナス役の当選期待度の高低を示唆する示唆演出を実行可能な示唆演出手段を備え、
前記報知手段は、前記判定手段が前記規定消化回数の所定回数前に前記遊技回数が達したと判定している場合にあっては前記ボーナス役に非当選のときの前記ボーナス役の当選期待度の高いことを示唆する前記示唆演出の実行に伴って前記報知演出を実行可能に構成された請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記報知手段は、前記判定手段が前記規定消化回数の所定回数前に前記遊技回数が達したと判定している場合にあっては抽選に当選することで前記報知演出を実行させることになる実行抽選を特定の遊技で行うように構成された請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記報知手段は、前記特定の遊技を複数設定し、前記規定消化回数に近い前記特定の遊技ほど前記実行抽選での当選確率を高く設定するように構成された請求項3に記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−103097(P2013−103097A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251027(P2011−251027)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】