説明

遊技機

【課題】大型の遊技盤を本体枠に配置可能な遊技機を提供することを目的とする。
【解決手段】中枠13の上枠部23に、球供給設備からパチンコ球が供給される球貯留部27が配設されると共に、中枠13の下枠部24に、球受け皿に連通する球通出案内部28が配設される。中枠13の第1側枠部25に、球貯留部27と球通出案内部28とを連通する球通路ユニット29が配設される。球通路ユニット29には、左右方向の通路幅がパチンコ球1個ずつの通過を許容する幅に設定された第1球通路に合わせた幅の第1通路形成部54が設けられる。第1通路形成部54には、球通路ユニット29を球貯留部27と球通出案内部28とを連通する閉位置とした状態で、球導入口から球導出口に亘って前後方向の平面に沿って上下に折り重なる蛇行形状に第1球通路が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、球貯留部から遊技球を導く球通路を有する球通路ユニットを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば遊技機の代表例の一つであるパチンコ機は、遊技店の設置枠台(通称「島」)に縦向きの姿勢で設置した外枠に、前後に開口させた保持部に遊技盤を着脱自在に配設した中枠が開閉および着脱可能に組付けられる。そして、前記中枠の前側に、遊技盤を透視保護するガラス板を組付けた前枠や、上下の球皿、パチンコ球の打出し操作用の打球発射装置等を組付けると共に、中枠の裏側に配設した機構セット盤に、各種球処理部や制御装置等を設けることで遊技に供される。ここで、機構セット盤は、前記中枠と略整合する大きさに形成されており、その上部位置に、設置枠台に設けた球供給設備からのパチンコ球が供給される球タンクが組付けられている。また、機構セット盤には、前記球タンクに貯留したパチンコ球を整列して送出するタンクレールや、このタンクレールからのパチンコ球を下流の球払出装置へ送出する球通路が球処理部として設けられて、該球払出装置の作動により、球タンク内のパチンコ球を貸球や賞球として上下の球皿に払出すよう構成されている。
【0003】
このようなパチンコ機にあっては、その組付け作業の簡略化を図る技術が多数提案されている。例えば、特許文献1には、前記タンクレールに接続する球通路や球払出装置、制御装置等を設けたユニット(以下払い出し処理ユニットと云う)を機構セット盤の側部に取付ける技術が開示されている。すなわち、タンクレールに接続する球通路および球払出装置等をユニット化することで、組付け部品数を削減して、パチンコ機の組付け作業の簡略化を図っている。ここで、払い出し処理ユニットは、球通路を左右方向に蛇行形成してパチンコ球の流下方向が左右方向に変わるように案内することで、パチンコ球の流下スピードを抑えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−137496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年は前記遊技盤を大型化すると共に、該遊技盤に大型の遊技部品(例えば図柄表示装置や役物等)を配設することにより、遊技演出の多様化やインパクト、迫力の向上を図り、遊技の面白みを増大させ得るパチンコ機を求める傾向が強くなっている。ここで、遊技盤の大型化を図るに際しては、遊技盤の後側のスペースを用いることが考えられる。しかしながら、中枠に保持された遊技盤の後側には、球通路および球払出装置等を備えた払い出し処理ユニットが延在しており、遊技盤を後側に拡げるには限界があり、遊技盤の更なる大型化を図るのは困難な状況にある。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、大型の遊技盤を本体枠に配置可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
遊技盤(12)を着脱可能に保持する本体枠(13)と、本体枠(13)の上部に設けられ、遊技球を貯留する球貯留部(27)と、本体枠(13)の前側に設けられた球受け皿(16)に遊技球を案内する球通出案内部(28)と、球貯留部(27)および球通出案内部(28)の一側部間に架設され、球貯留部(27)から遊技球を流下案内するように連通する球通路(52)を有する球通路ユニット(29)とを備えた遊技機において、
前記球通路ユニット(29)は、左右方向の通路幅が遊技球1個ずつの通過を許容する幅に設定された前記球通路(52)に合わせた幅で本体枠(13)の側縁と平行に形成された通路形成部(54,64)を備え、
前記通路形成部(54,64)には、入口(52a)から出口(52b)に亘って前後方向の平面に沿って上下に折り重なる蛇行形状に前記球通路(52)が形成され、
前記球通路ユニット(29)に、球払出通路(61)を形成した球払出装置(37)が、該球払出通路(61)の入口(61a)を前記球通路(52)の出口(52b)に上下方向で整列して連通する状態で配設され、
前記通路形成部(54,64)に、前記球通路(52)における球払出装置(37)との連通部より上流側から分岐して前記平面に沿って延在する球抜き通路(63)が、前記球払出装置(37)と前後に重なる位置関係で形成されることを要旨とする。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、通路形成部の左右方向の幅を、球払出装置と球通路が連通する連通部まで球通路に球1個分が通過可能な寸法で形成することができるので、本体枠における遊技盤の保持側への通路形成部の突出量を小さく抑えることができ、遊技盤の大型化を許容し得る。また、球通路が前後で折り返しつつ上下に折り重なる蛇行形状に形成されているので、通路形成部の左右方向の拡がりを抑制しつつ、球通路を流下する遊技球の流下速度を適切に低下させることができる。更に、球抜き通路が、前記球通路が沿う平面と同じ平面に沿って延在する関係で形成されるので、通路形成部の左右方向の幅が大きくならない。
【0009】
請求項2に係る発明では、前記球通路ユニット(29)は、前記本体枠(13)に対してヒンジ手段(39,46)を介して上下方向に延在する軸線回りに回転自在に支持され、前記球通路(52)が球貯留部(27)および球通出案内部(28)に連通する閉位置の球通路ユニット(29)は、自由端側がヒンジ手段(39,46)を支点として本体枠(13)の中央から離間する方向に回転することで球通路(52)が球貯留部(27)および球通出案内部(28)に連通しない開位置に移動し、該開位置において球通路ユニット(29)が本体枠(13)に対して着脱し得るよう構成されることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、遊技盤の後側に配設される各種遊技部品と干渉することなく、球通路ユニットを開放したり脱着することができるので、球通路ユニットの開放や脱着のために遊技盤の後側に配設する遊技部品の大きさが規制されることはない。
【0010】
請求項3に係る発明では、前記本体枠(13)は、外郭をなす固定枠(11)の開口前面側に開閉可能に組付けられて閉成状態で該固定枠(11)の内側に収容され、前記球通路ユニット(29)の外側部に、本体枠(13)の収容状態において固定枠(11)における内側縁の後方への延長ライン(T)より内側に、外側方に開口する凹部(45)が上下方向に延在するよう形成され、該凹部(45)に配線保持手段(66)が設けられることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、球通路ユニットの外側部に、配線保持手段を設ける凹部を形成したので、配線を引き回すための部分は本体枠の内側へ突出せず、遊技盤の後側のスペースを狭めることはない。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遊技機によれば、大型の遊技盤を本体枠に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な実施例に係るパチンコ機を示す正面図である。
【図2】実施例の外枠と中枠とを組付けた状態を示す背面図であって、遊技盤は取外してある。
【図3】実施例の前枠を開放したパチンコ機を前側から視た状態で示す概略斜視図であって、遊技盤は取外してある。
【図4】実施例の外枠、中枠および遊技盤を分解して前側から視た状態で示す概略斜視図である。
【図5】実施例の中枠、前枠および遊技盤を組付けた状態を後側から視た概略斜視図であって、球通路ユニットは閉位置としてある。
【図6】実施例の中枠、前枠および遊技盤を組付けた状態を後側から視た概略斜視図であって、球通路ユニットは開位置としてある。
【図7】実施例の中枠の第1側枠部と球通路ユニットとを分解して後側から視た状態で示す概略斜視図である。
【図8】実施例の球通路ユニットを閉位置とした状態でパチンコ機を縦断して示す要部側面図である。
【図9】実施例の球通路ユニットと球貯留部との関係を縦断して示す背面図であって、球通路ユニットは閉位置となっている。
【図10】(a)は、実施例のパチンコ機を、球通路ユニットを閉位置とした状態での要部横断平面図であり、(b)は、(a)におけるA部の拡大図である。
【図11】実施例の球通路ユニットを示す要部側面図である。
【図12】実施例の球通路ユニットを閉位置としたパチンコ機を後側から視た要部概略斜視図である。
【図13】実施例の球通路ユニットを開位置としたパチンコ機を後側から視た要部概略斜視図である。
【図14】実施例の球通路ユニットと球通出案内部とを連通した状態で示す要部縦断面図である。
【図15】実施例の球通路ユニットにおける装置設置部を示す縦断面図である。
【図16】実施例の球通路ユニットにおける装置設置部を示すものであって、球払出装置とアース部材との関係を示す説明図である。
【図17】実施例の球通路ユニットを閉位置とした状態で球通出案内部との位置関係を示す要部縦断面図である。
【図18】実施例の球通路ユニットを閉位置とした状態で球通出案内部との位置関係を示す前側から視た要部概略斜視図である。
【図19】実施例の球通出案内部を前側から視た概略斜視図である。
【図20】実施例の球通出案内部を後側から視た概略斜視図である。
【図21】実施例の球通出案内部を前側から視た状態で示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行なうパチンコ機を例に挙げて説明する。なお、以下の説明では、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
【実施例】
【0014】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1〜図4に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤12を着脱可能に保持する本体枠としての中枠13が開閉および着脱可能に組付けられて、該遊技盤12の裏側に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示装置14が着脱可能に配設されている。また、前記中枠13の前面側には、前記遊技盤12を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透明部材で前後に開口する窓部を覆うよう構成された開閉部材としての前枠15が開閉可能に組付けられると共に、該前枠15の下部位置にはパチンコ球を貯留する球受け皿16が前枠15と一体的に開閉可能に組付けられる。前枠15には、球受け皿16の側方に、前記中枠13に配設された打球発射装置30を作動する操作ハンドル17が設けられ、該操作ハンドル17の回動操作によって打球発射装置30が作動されて、前記球受け皿16に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤12に向けて発射されるようになっている。なお、実施例では、前記図柄表示装置14としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。
【0015】
(外枠11について)
前記外枠11は、図2および図4に示す如く、上縁を構成する上枠部材31と、下縁を構成する下枠部材32と、左縁(一方の縁)を構成する第1側枠部材33と、右縁(他方の縁)を構成する第2側枠部材34とから基本的に構成され、これら上下左右の枠部材31,32,33,34を組付けることで外枠11が縦長の矩形枠体として構成される。そして、外枠11に対して中枠13は、後述する第1側枠部25側が、ヒンジ機構を介して開閉および着脱自在に支持され、外枠11に対して中枠13を閉成することで、該外枠11の内側に中枠13が収容されるよう構成される。なお、外枠11の第2側枠部材34に施錠金具が設けられ、中枠13に設けた施錠装置が該施錠金具に係合することで、中枠13は閉成状態に保持される。実施例では、上下の枠部材31,32が木製で、左右の側枠部材33,34はアルミ等の金属材により成形されている。
【0016】
(中枠13について)
図2および図4に示すように、前記中枠13は、上縁をなす上枠部23と、下縁をなし、スピーカや打球発射装置30等を設置する設置部材として機能する下枠部24と、左縁(一方の側縁)をなす第1側枠部25と、右縁(他方の側縁)をなす第2側枠部26とから構成されて、これら上下左右の枠部23,24,25,26を組付けた際に、全体が外枠11の開口領域に整合する大きさに形成される。そして、前述したように外枠11に対して中枠13の第1側枠部25側が、ヒンジ機構を介して回動自在に支持されて、第2側枠部26側が施錠装置により施錠されるようになっている。また、中枠13には、上下左右の枠部23,24,25,26を組付けることで前後に開口する開口領域13aが画成され、この開口領域13aに遊技盤12が設置される。実施例では、上下の枠部23,24が合成樹脂で成形されると共に、左右の側枠部25,26はアルミ等の金属材により成形されて、中枠13全体としての剛性を確保しつつ軽量化が図られている。
【0017】
図1および図4に示す如く、前記遊技盤12は、ベニヤ板や透明なアクリル板等から所定板厚の略矩形状に形成された板状体であって、該遊技盤12の表面(盤面)に配設された略円形状に湾曲形成する案内レール18により、パチンコ球が流下可能な遊技領域19が画成される。また、前記遊技盤12の裏面に、前記図柄表示装置14が取付けられた設置部材85(図5,図6参照)が配設されている。遊技盤12には、図柄表示装置14の図柄表示部に対応する位置に前後に開口する表示開口部(図示せず)が開設され、該表示開口部に合わせて、所要の装飾を施したセンター役物とも称される枠状装飾体20が臨むようになっている。また遊技盤12には、遊技領域19に臨む位置に、パチンコ球の入賞により図柄表示装置14の図柄を変動開始させる始動入賞装置21や、大当りの発生時に開放する特別入賞装置22の各種遊技部品が配設されている。なお、図4では、遊技盤12の表面に配設される枠状装飾体20、始動入賞装置21および特別入賞装置22は省略してある。
【0018】
図2,図4,図8,図9に示すように、前記中枠13には、パチンコ球を貯留可能な球貯留部27が、上枠部23の裏側に設けられている。また、中枠13には、球受け皿16に連通する球流通路72,73が形成された球通出案内部28(後述)が、下枠部24の裏側に配設されている。そして、球貯留部27と球通出案内部28の球流通路72,73とが、球通路ユニット29によって連通接続されている。すなわち、設置枠台に設けられた球供給設備(図示せず)から球貯留部27に供給されたパチンコ球は、球通路ユニット29および球通出案内部28を介して球受け皿16に給出されるようになっている。球貯留部27は、中枠13の開口領域13aより後方に位置するよう上枠部23に配設されると共に、その一部が開口領域13aの後方に重なるように臨んでいる。すなわち、パチンコ機10では、中枠13の開口領域13aに設置した遊技盤12の上部と球貯留部27とが前後に重なり合うよう構成される(図8参照)。
【0019】
図2に示すように、前記球貯留部27は、球供給設備からパチンコ球を受け入れて、該パチンコ球を貯留する球タンク35と、この球タンク35に貯留したパチンコ球を整列させるタンクレール36とを備えている。タンクレール36の下流端における底面に、下方に開口する球排出口36aが開設される。この球排出口36aは、タンクレール36と前記球通出案内部28とを繋ぐ球通路ユニット29に形成した後述する第1球通路52の球導入口(入口)52aに連通接続される(図9参照)。図14に示す如く、球通路ユニット29には、パチンコ球の払出しを行なう球払出装置37が配設されており、所定の制御条件に基づいて球払出装置37が作動することで、前記タンクレール36の球排出口36aから球通路ユニット29に到来したパチンコ球を球通出案内部28に通出し得るよう構成される。なお、球貯留部27には、図5,図6に示す如く、端子板取付部83が設けられ、該端子板取付部83に外部端子板84が着脱自在に配設されるよう構成され、該外部端子板84を介してパチンコ機10に配設した各種装置に繋がる配線と、遊技店のホールコンピュータに繋がる配線とが接続される。
【0020】
前記下枠部24には、図3に示す如く、第1側枠部25側に偏った位置で前後方向に開口する球通出開口部24aが設けられ、該球通出開口部24aの後端部が前記球通出案内部28の後述する球通出口72aに連通接続される。また前枠15には、球通出開口部24aに対応する位置に、前記球受け皿16に形成したパチンコ球の貯留部に連通する球受入口15aが前後方向に開口するように形成されており、中枠13に対して前枠15を閉成した際に、該球受入口15aが球通出開口部24aに連通するよう構成される。すなわち、前記球払出装置37の作動によって球通出案内部28に供給されたパチンコ球は、中枠13の球通出開口部24aおよび前枠15の球受入口15aを介して球受け皿16の貯留部に賞球または貸球として給出されるようになっている。
【0021】
前記球貯留部27には、前記球排出口36aからのパチンコ球の通出を規制する閉成位置およびパチンコ球の通出を許容する開放位置の間で変位する球止部材38が配設されている(図9参照)。球止部材38は、常には閉成位置に向けて付勢されており、前記球通路ユニット29が後述する開位置の状態で該球止部材38が閉成位置にあって球排出口36aに臨んでパチンコ球の通出を規制するようになっている。そして、球止部材38は、球通路ユニット29を後述する閉位置とすることで、該球通路ユニット29(具体的には第1通路形成部54)によって押されて閉成位置から変位されて開放位置に保持されて、球排出口36aからのパチンコ球の通出を許容するよう構成される。
【0022】
前記中枠13の第1側枠部25は、図7に示す如く、後端縁部が内側に向けて折曲された折曲縁部25aを備え、該折曲縁部25aに、上下方向に離間して複数のヒンジ金具39が配設される。このヒンジ金具39は、折曲縁部25aから外側方に向けて水平に延出する延出部に上下方向に貫通するヒンジ孔39aが形成されたものであって、前記球通路ユニット29に設けた後述するヒンジ具46のヒンジピン46bをヒンジ孔39aに上側から挿通することで、球通路ユニット29を中枠13に対して上下方向の軸線回りに回転自在で、かつ着脱自在に支持し得るよう構成される。なお、ヒンジ金具39の延出部は、第1側枠部25の最外側面より外側に突出しないよう設定されている。また、前記折曲縁部25aには、各ヒンジ金具39に対応して球通路ユニット29のヒンジ具46の回動を許容する切欠部25bが形成されている。
【0023】
(ユニット支持部40,41,42について)
図13に示すように、前記球貯留部27の左側壁部27aには、球通路ユニット29の上端部を支持する上ユニット支持部40,41が形成されている。ここで、上ユニット支持部40,41は、球貯留部27からパチンコ球が送り出される球排出口36a側に設けられ、実施例では上枠部23の左側部に設けられている。上ユニット支持部40,41は、左側壁部27aにおいて球排出口36aを挟む前後位置に設けられており、前側に設けられる第1上ユニット支持部40と、後側に設けられる第2上ユニット支持部41との構成は異なっている。すなわち、第1上ユニット支持部40は、外側方に開口する第1凹部40aと、該第1凹部40aの下端部から左側壁部27aの外側縁まで突出するよう形成された第1突部40bと、該第1突部40bに上下に貫通するよう開設された第1上係合孔40cとで構成される。一方、第2上ユニット支持部41は、左側壁部27aから内側に凹む壁面41dに形成された外側方に開口する第2凹部41aと、該壁面41dの下端部から左側壁部27aの外側縁まで突出するよう形成された第2突部41bと、該第2突部41bに上下に貫通するよう開設された第2上係合孔41cとで構成される。そして、球通路ユニット29に配設した後述する上係合部材48d,49cを、上係合孔40c,41cに対して挿脱し得るようになっている。
【0024】
前記球通出案内部28における後面には、球通路ユニット29の下端部を支持する一対の下ユニット支持部42が形成されている。下ユニット支持部42は、図13および図20に示す如く、後方に突出する下係合受部42aと、該下係合受部42aに上方に開口するよう形成された下係合孔42bとから構成され、球通路ユニット29に配設した後述する下係合部材51bを、下係合受部42aの下係合孔42bに対して挿脱し得るようになっている。また、球通出案内部28の後面には、下係合受部42a,42aより上側で両下係合受部42a,42aの間に、後方に向けて突出する位置決め突部50が設けられ、球通路ユニット29を閉位置とした際に該位置決め突部50が後述する位置決め孔に嵌り込むよう構成される。
【0025】
(球通路ユニット29について)
次に、前記球貯留部27と球通出案内部28とを連通接続する球通路ユニット29について説明する。図2または図7〜図9に示すように、球通路ユニット29は、上下方向に延在する略矩形板状に形成されたユニット本体43に、該ユニット本体43に対して着脱可能に配設されるカセット形態の球払出装置37を備え、図示しない払出制御装置からの信号に基づいて球払出装置37がパチンコ球の払出し動作を行なうようになっている。そして、球通路ユニット29は、前記中枠13の第1側枠部25に対して上下方向の軸線回りに回転自在に支持されて、ユニット本体43の板面が前後方向に沿う閉位置(球貯留部27と球通出案内部28とを連通する連通状態であって図5,図12参照)と、ユニット本体43の板面が左右方向に沿う開位置(球貯留部27と球通出案内部28とを連通しない非連通状態であって図6,図13参照)との間を回動するよう構成される。球通路ユニット29は、中枠13に対する閉位置において上枠部23(具体的には上ユニット支持部40,41)および下枠部24(具体的には下ユニット支持部42,42)の間に保持される。ここで、球通路ユニット29は、閉位置において球貯留部27および球通出案内部28の左端部に位置し、中枠13の開口領域13aの左側部後方に配置される(図10参照)。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、球通路ユニット29を閉位置とした状態を基準に説明する。また、閉位置の球通路ユニット29を基準として中枠13の開口領域13aにおける中央側を内、中央側から離間する側を外と称するものとする。
【0026】
(ユニット本体43について)
前記ユニット本体43の前端縁には、図10に示す如く、外側方(図10の右側)に変位して支持壁44が前方に向けて所定長さで延在するよう設けられ、該支持壁44における前後の端縁に、外側方に延出する延出壁44aが夫々形成されている。そして、支持壁44および前後の延出壁44a,44aによって、外側方に開口する配線収容凹部(凹部)45が上下方向に延在するように形成され、該配線収容凹部45に後述する配線保持手段66が収容状態で配設される(図7参照)。球通路ユニット29の閉位置において、配線収容凹部45は、前記外枠11の対応する第1側枠部材33における内側縁の後方への延長ラインTより内側(中枠13の開口領域13a側)に位置するように設定される。
【0027】
図7に示す如く、前側の延出壁44aには、前記中枠13のヒンジ金具39と対応してヒンジ具46が上下方向に離間して設けられている。このヒンジ具46は、延出壁44aから前方および外側方に延出する基部46aと、該基部46aから下方に突出するヒンジピン46bとから構成され、該ヒンジピン46bを対応するヒンジ金具39のヒンジ孔39aに上側から挿通することで、球通路ユニット29が中枠13に回転自在に支持される。実施例では、ヒンジ金具39およびヒンジ具46により、中枠13に対して球通路ユニット29を回転自在に支持するヒンジ手段が構成される。なお、前記支持壁44の上端部には、各種リード線や電源ケーブル等の配線を係合保持する配線保持部47が設けられ、該配線保持部47で保持された配線が配線収容凹部45に引き込まれるようになっている。なお、配線保持部47の形状は、配線収容凹部45に引き込む配線の数や形状に応じて設定すればよい。
【0028】
(ユニット係合部48,49,51について)
前記ユニット本体43の上端部には、図12および図13に示す如く、前記球貯留部27の左側壁部27aに設けた前記上ユニット支持部40,41と対応して、前後に離間して上ユニット係合部48,49が設けられている。前側に位置する第1上ユニット係合部48は、ユニット本体43の内側面から内側に向けて突出する第1上凸部48aと、該第1上凸部48aの下方に離間して内側面から内側に向けて突出する第1下凸部48bと、第1上凸部48aの底面において上下方向に貫通する第1通孔48cと、ユニット本体43の外側面における第1通孔48cの上方位置において上下方向に変位可能に配設された第1上係合部材48dとから構成される。また、後側に位置する第2上ユニット係合部49は、ユニット本体43の内側面から内側に突出する第2凸部49aと、該第2凸部49aの下側において左右方向に貫通する第2通孔49bと、ユニット本体43の外側面における第2通孔49bの上方位置において上下方向に変位可能に配設された第2上係合部材49cとから構成される。そして、球通路ユニット29の閉位置において、第1上ユニット係合部48の第1上凸部48aが対応する前記第1上ユニット支持部40の第1凹部40aに嵌り込むと共に、該第1上ユニット支持部40の第1突部40bが第1上凸部48aと第1下凸部48bとの間に嵌り込んで位置決めされた状態で、第1上係合部材48dを上側の解除位置から下側の係合位置に移動することで、該第1上係合部材48dの下端が第1上ユニット支持部40の第1上係合孔40cに挿入されて、第1上ユニット支持部40で第1上ユニット係合部48が位置決め保持される。また、球通路ユニット29の閉位置において、第2上ユニット係合部49の第2凸部49aが対応する前記第2上ユニット支持部41の第2凹部41aに嵌り込むと共に、該第2上ユニット支持部41の第2突部41bが第2通孔49bに挿入されて位置決めされた状態で、第2上係合部材49cを上側の解除位置から下側の係合位置に移動することで、該第2上係合部材49cの下端が第2上ユニット支持部41の第2上係合孔41cに挿入されて、第2上ユニット支持部41で第2上ユニット係合部49が位置決め保持される。
【0029】
前記ユニット本体43の下部に、図12および図13に示す如く、前記球通出案内部28に設けた下ユニット支持部42に係脱自在に係合して位置決め支持される下ユニット係合部51が設けられる。この下ユニット係合部51は、ユニット本体43の後述する第2通路形成部55から下方に延在する矩形板状の係合板部51aと、該係合板部51aの後面において上下方向に変位可能に配設されて左右方向に離間する一対の下係合部材51bとを備える。そして、球通路ユニット29の閉位置において、上側の解除位置とした各下係合部材51bの下方に前記下ユニット支持部42の下係合受部42aが臨み、下係合部材51bを下側の係合位置に移動することで、該下係合部材51bの下端が下係合受部42aの下係合孔42bに挿入されて、下ユニット支持部42で下ユニット係合部51が位置決め保持されるようになっている。また、係合板部51aには、両下係合部材51b,51bの間に臨む位置に、前後方向に開口する位置決め孔(図示せず)が形成され、球通路ユニット29を閉位置とした際に、該位置決め孔に球通出案内部28に設けた前記位置決め突部50が嵌り込むよう構成される。
【0030】
(通路形成部54,55について)
前記球通路ユニット29には、前記球貯留部27と球払出装置37とを連通接続する第1球通路(球通路)52および球払出装置37と球通出案内部28とを連通接続する第2球通路53が形成されている。そして、第1球通路52は、前記ユニット本体43に設けられた第1通路形成部(通路形成部)54の内部に形成され、第2球通路53は、ユニット本体43に設けた第2通路形成部55の内部に形成される。なお、第1球通路52および第2球通路53は、何れも通路幅がパチンコ球1個ずつの通過を許容する寸法に設定されている。
【0031】
前記第1通路形成部54は、図10に示す如く、球通路ユニット29の閉位置で板面が前後方向に延在しているユニット本体43の後端部における内側面(図10の左側面)に設けられ、左右方向の通路幅がパチンコ球1個ずつの通過を許容する幅に設定された第1球通路52に合わせて、左右方向の幅が設定されている。また、第1通路形成部54は、図5に示す如く、球通路ユニット29の閉位置において遊技盤12の後側に設けられた図柄表示装置14の左側方(図5の右側方)に、前記中枠13の第1側枠部(側縁)25と平行に延在するようになっている。第1通路形成部54には、図8に示す如く、通路が前後で折り返して上下に折り重なる蛇行形状の第1球通路52が、該通路52の始端となる球導入口(入口)52aから終端となる球導出口(出口)52bに亘って前後方向の平面に沿って形成されている。すなわち、第1球通路52は、遊技盤12の後側に設けられた図柄表示装置14の左側方の前後スペースを利用して蛇行するように形成されており、第1通路形成部54の左右方向の寸法が最小限に抑えられている。
【0032】
前記第1球通路52の球導入口52aは、第1通路形成部54の上端部においてユニット本体43の前後方向の略中央に位置して、上方に開口している。第1球通路52は、球通路ユニット29を側面から視た状態(図8に示す状態)において、球導入口52aから下方に向かうにつれて後方へ延在し、前記球貯留部27の後側左隅部に設けられた球排出口36aに連通する球導入口52aにおける前端縁からの垂下ラインより後側の前後範囲において蛇行するように形成されている。このように、第1球通路52は、蛇行するよう形成することで、球貯留部27から到来するパチンコ球を減勢させつつ流下させるようになっている。また、球導入口52aは、図13に示す如く、前記第1上ユニット係合部48と第2上ユニット係合部49との間で開口するよう設定されており、球通路ユニット29の閉位置において両係合部48,49が対応する上ユニット支持部40,41で位置決め保持されることで、球導入口52aと球貯留部27の球排出口36aとを整合した状態に保持し得るよう構成される。
【0033】
前記第1球通路52の球導出口52bは、図8に示す如く、第1通路形成部54の下端部において、該第1球通路52が蛇行する前後幅の略中央において下方に開口している。この球導出口52bは、後述する装置設置部56の上面で開口し、該装置設置部56に装着される球払出装置37に形成した球払出通路61の上部開口(入口)61aに連通するよう設定される(図14参照)。
【0034】
前記第2通路形成部55は、装置設置部56の下方に設けられ、装置設置部56に装着した球払出装置37と球通出案内部28とを連通する前記第2球通路53が形成されている。第2球通路53は、図14に示す如く、前記第1球通路52の球導出口52bの直下で球導入口53aを上方に開口し、該球導入口53aから内側に湾曲した後に内側に向けて下方傾斜する流路形状に形成されている。第2球通路53の終端となる球導出口53bは、第2通路形成部55における右端部で右方に向けて開口し、該球導出口53bが球通出案内部28の後述する接続口71cに連通するよう構成される。また、第2通路形成部55は、前後方向の通路幅がパチンコ球1個ずつの通過を許容する幅に設定された第2球通路53に合わせて、前後方向の幅が設定されている。なお、第2通路形成部55には、球導出口53bと対応する位置の後面から右方に延出する規制片55aが設けられ、該規制片55aが球通出案内部28の後面(具体的には後述する被覆部材76)に当接して球導出口53bの前方向の位置決めがなされるようにしてある(図12参照)。
【0035】
(装置設置部56について)
前記ユニット本体43には、図14〜図16に示す如く、第1通路形成部54と第2通路形成部55との間に、球払出装置37が着脱自在に装着可能な前記装置設置部56が設けられている。装置設置部56は、ユニット本体43の下部において、後方および外側方に開口して球払出装置37を収容する収容空間を画成する収容部57と、該収容部57の後方および外側方の開口を開閉可能に閉成する蓋部材58とから構成される。蓋部材58は、収容部57に対して左右方向の軸線回りに回動可能で、かつ着脱自在に支持されており、該収容部57の開口を閉成した閉成状態で収容部57にネジ止め固定される。この装置設置部56では、収容部57における天井面の左端部に、前記第1球通路52の球導出口52bが開口し、該収容部57における底面の左端部に、前記第2球通路53の球導入口53aが開口し、第1球通路52の球導出口52bと第2球通路53の球導入口53aとは、収容空間を挟んで上下に対向している(図14参照)。
【0036】
前記収容部57には、前記第1球通路52の球導出口52bからのパチンコ球の通出を規制する閉成位置およびパチンコ球の通出を許容する開放位置の間で変位する球通出規制部材59(図10参照)がスライド可能に配設されている。球通出規制部材59は、常には閉成位置に向けて付勢されており、装置設置部56に球払出装置37が装着されていない状態で該球通出規制部材59が閉成位置にあって球導出口52bに臨んで、該球導出口52bからのパチンコ球の通出を規制するようになっている。そして、球通出規制部材59は、装置設置部56の収容部57に球払出装置37を収容することで、該球払出装置37によって押されて閉成位置から変位されて開放位置に保持されて、球導出口52bからのパチンコ球の通出を許容するよう構成される。
【0037】
(アース部材60について)
前記収容部57には、薄板金属製のアース部材60が配設されている。このアース部材60は、図15,図16に示す如く、収容部57の天井面に沿って左右方向に延在する取付部60aと、該取付部60aにおける一端(図15の左端)に折曲形成されて下方に向けて所定長さで延在する支持部60bと、該支持部60bに設けられた第1接触部60cおよび第2接触部60dとから基本的に構成される。取付部60aの他端には、上方に向けて固定部60eが折曲形成され、該固定部60eが収容部57にネジ止め固定される。前記支持部60bは、収容部57に形成した通孔を介して収容部57から下方に延出しており、該支持部60bにおける収容部57内に臨む位置に、球払出装置37に設けたアース板金62(後述)に接触可能な第1接触部60cが弾性変形可能に設けられる。また、支持部60bにおける収容部57から下方に延出する下端部に、前記球通出案内部28に設けた後述する被覆部材76に接触可能な第2接触部60dが形成されている。
【0038】
前記第2接触部60dは、図15,図16に示す如く、前記中枠13に対する球通路ユニット29の開閉方向において、閉位置から開位置に向けて湾曲するように形成されて、第2接触部60dの下端は略U字状になっている。また第2接触部60dにおける湾曲後に上方に延在する片部の端部に外側方に向けて折曲される折曲片60fが形成され、該折曲片60fが、前記第2通路形成部55の前面に設けた支持片55bの端縁上面に支持されて、第2接触部60dにおける湾曲端部の下方への変位を規制するよう構成される。
【0039】
(球払出装置37について)
前記球払出装置37には、図14に示す如く、鉛直に延在する球払出通路61が形成されており、前記装置設置部56の収容空間に収容した状態で、球払出通路61の上部開口(入口)61aが第1球通路52の球導出口52bの下側に整列して連通すると共に、球払出通路61の下部開口(出口)61bが第2球通路53の球導入口53aの上側に整列して連通するよう構成される。そして、球払出装置37は、第1球通路52を介して球払出通路61の上部開口61aから流入するパチンコ球を、球払出通路61の下部開口61bから第2球通路53に排出するよう構成される。すなわち、球払出装置37は、球払出通路61でパチンコ球の通過規制を図示しない規制部材によって行なっている状態において、当該通過規制位置から上流側の第1球通路52にかけてパチンコ球が並ぶようになっている。なお、球払出装置37には、棒状部材や針金等を差込むことで操作可能な球抜操作部(図示せず)が設けられており、棒状部材や針金等の差込みにより球抜操作部を操作することで、球払出通路61に流入したパチンコ球を下部開口61bから無条件で排出させ得るよう構成してある。
【0040】
また、前記球払出装置37には、装置設置部56に装着した状態で、内側を向く面に、装置内に配設した各種電子部品に接続するアース板金62が露出するよう設けられ(図16参照)、装置設置部56に球払出装置37を装着した状態で、該アース板金62に前記アース部材60の第1接触部60cが弾力的に当接するよう構成される。
【0041】
(球抜き通路63について)
図14に示すように、前記ユニット本体43には、第1球通路52の下流端部近傍(球払出装置37との連通部より上流側)から分岐する球抜き通路63が形成されている。球抜き通路63は、ユニット本体43において前記装置設置部56(装置設置部56に取付けられた球払出装置37)の前側の左端部を通るように設けられた第3通路形成部64の内部に形成されている。第3通路形成部64は左右方向の通路幅がパチンコ球1個ずつの通過を許容する幅に設定された球抜き通路63に合わせて、左右方向の幅が設定されている。また第3通路形成部64は、球抜き通路63が第1球通路52が沿う前後方向の平面に沿って延在するように、球通路ユニット29の閉位置において、平面視で第1通路形成部54の前側に揃って延在するよう構成される(図10参照)。言い替えるなら、球通路ユニット29の閉位置において、第1通路形成部54の下側への延長線上から左右方向にはみ出すことなく第3通路形成部64が形成されて、第3通路形成部64においても左右方向の幅が最小限に設定される。なお、球抜き通路63の排出口63aは、前記第2通路形成部55の前側で下方に開口し、前記球通出案内部28に設けた後述する球排出路74の入口74aに連通可能に構成される(図14参照)。実施例では、第1通路形成部54の下側に第3通路形成部64が一連で形成されており、第1通路形成部54および第3通路形成部64を合わせて通路形成部ということができる。すなわち、第3通路形成部64についても、球通路ユニット29の閉位置において中枠13の第1側枠部25と平行に延在している。
【0042】
前記ユニット本体43には、図14に示す如く、第1球通路52と球抜き通路63との分岐位置に、球抜き通路63の入口を開閉する球抜規制部材65が配設されている。球抜規制部材65は、ユニット本体43の外方(閉位置での外側面側)に露出する操作部65a(図11参照)を備え、該操作部65aを操作することで球抜き通路63の入口を開閉するよう構成される。すなわち、操作部65aが下方にある状態では球抜規制部材65が球抜き通路63の入口を閉成して第1球通路52のパチンコ球を球払出装置37側へ案内し、操作部65aを上方へ変位することで、球抜き通路63の入口を開放して第1球通路52のパチンコ球が球抜き通路63へ通入可能に構成される。なお、実施例のように球抜規制部材65を上下方向にスライドする形態において、スライド方向に延在するリブを球抜規制部材65に設けると共に、該リブを案内可能に支持するガイド部を第1通路形成部54に形成する構成を採用し得る。この構成では、球抜規制部材65により球抜き通路63の入口を閉成してパチンコ球を球払出装置37側へ案内する際にリブをガイド部で支持することができ、パチンコ球を案内する際の球抜規制部材65のバタ付きを抑制することができる。
【0043】
(配線保持手段66について)
前記ユニット本体43の配線収容凹部45に、各種リード線や電源ケーブル等の配線を収容保持する配線保持手段66が配設される。この配線保持手段66は、図10に示す如く、配線収容凹部45を画成する支持壁44にネジ止め固定される上下および外側方に開口する受皿状のベース部材67と、該ベース部材67に設けられて外側方の開口を閉閉可能なカバー部材68とから基本的に構成される。配線保持手段66は軟質の合成樹脂によりベース部材67とカバー部材68とが一体に形成され、ベース部材67の前端縁に連設されたカバー部材68は、連設部が可撓することで開閉するようになっている。ベース部材67の後端縁には上下方向に離間して複数の係止片67aが設けられると共に、カバー部材68の後端縁に、係止片67aに対して係脱自在に係止される被係止片68aが各係止片67aと対応して設けられている。すなわち、係止片67aに被係止片68aを係止することで、カバー部材68はベース部材67の外側方の開口を閉成した状態に保持され、この状態で配線保持手段66の内部に配線収容空間が画成されると共に、該配線保持手段66の上下の端部には配線の挿通を許容する開口が形成されるようになっている。
【0044】
なお、前記配線収容凹部45を画成する支持壁44の外側面には、配線保持持手段66におけるベース部材67との間に、上下方向の略全長に亘って金属製のアース板材69が配設される。このアース板材69の下端に、支持壁44の下方に突出する弾性変形可能な接触片69aが設けられている(図11参照)。そして、該接触片69aは、球通路ユニット29の閉位置において球通出案内部28に配設した被覆部材76に接触するよう構成される(図17参照)。なお、前記接触片69aは、被覆部材76に接触するようになっていれば、その形状は限定されるものではない。
【0045】
(球通出案内部28について)
前記球通出案内部28は、下枠部24の裏側に隠れる大きさに形成されて、該球通出案内部28が下枠部24より上方に突出しないよう設定される。この球通出案内部28は、図19〜図21に示す如く、上方に開口する受皿体70と、該受皿体70の上部開口を閉成するカバー体71とを基本構成部材とし、これら受皿体70およびカバー体71を組付けることで、内部に球通出部72を画成している。受皿体70およびカバー体71は、何れも合成樹脂で形成されている。また、球通出案内部28の前部には、球通出部72に連通する球通出口72aが開口し、該球通出口72aが前記中枠13の球通出開口部24aに連通するよう構成される。なお、カバー体71の前面には、下端縁から前方に向けて延出する張出し部71aが設けられ、該張出し部71aによって前記球通出口72aの上縁部が画成されている。
【0046】
前記球通出案内部28の後端上部に、左右方向の略中央においてカバー体71の上面から左側方(中枠13の第1側枠部25側)に向けて斜めに突出する口形成部71bが設けられ、該口形成部71bに接続口71cが左方に向けて開口している。そして、前記球通路ユニット29を閉位置とした際に、該接続口71cに前記第2球通路53の球導出口53bが連通するよう構成される。また、球通出案内部28には、図21に示す如く、接続口71cから右方に延在した後に左方に向けて湾曲する球案内路73が画成され、該球案内路73を介して接続口71cと球通出部72とが連通している。実施例では、球通出部72と球案内路73とから球流通路が形成される。
【0047】
前記球通出案内部28は、前記受皿体70の下面に配設されて、該受皿体70との間に球排出路74を画成する排出路形成部材75を備える。球排出路74の入口74aは、球通出案内部28の後方左隅において上方に開口し(図21参照)、前記球通路ユニット29の閉位置において、前記球抜き通路63の排出口63aに連通するよう構成される。すなわち、前記球抜規制部材65を操作して球抜き通路63の入口を開放した際に該球抜き通路63を流下するパチンコ球は、排出口63aおよび入口74aを介して球排出路74に通入するよう構成される。そして、球排出路74に通入されたパチンコ球は、機裏側の球回収部(図示せず)に回収されるようになっている。なお、前記下ユニット支持部42を構成する下係合部42aは排出路形成部材75に設けられると共に、前記位置決め突部50は受皿体70に設けられている(図20参照)。
【0048】
(被覆部材76について)
前記球通出案内部28には、金属製の被覆部材76が配設されている。この被覆部材76は、図21に示す如く、前記カバー体71の上面全体を略被覆可能な天板部77と、該天板部77の右側縁から下向きに折曲形成された側板部78と、天板部77の後端縁における前記口形成部71bより右側の部分において下向きに折曲形成された後板部79と、天板部77の前端縁から下向きに折曲形成された前板部80とを基本的に備えている。そして、被覆部材76の天板部77を前記カバー体71の上面に載置するようにして取付けることで、側板部78と後板部79とが前記球案内路73に対応する外面を被覆し、前板部80がカバー体71における前記球通出口72aの上側に位置する外面を被覆するよう構成される。また被覆部材76は、前記前板部80の下端縁から前向きに折曲形成された庇部80aが設けられ、該庇部80aで前記カバー体71における張出し部71aの上面を被覆するようになっている。なお、被覆部材76は、庇部80aを上方から押えると共に前板部80の前面を覆う取着部材81をカバー体71にネジ止めすることで、庇部80aが浮き上がらないようにして球通出案内部28に取付けられる。
【0049】
前記球通出案内部28には、前記球通出部72の後面を画成する受皿体70の後壁における球通出口72aと対向する部分に、金属製の保護板82が配設されている。この保護板82は、熱したピアノ線等が球通出口72aから挿入された際に、該ピアノ線によって後壁に穴があけられるのを防止するべく機能する。
【0050】
前記被覆部材76の天板部77には、前記口形成部71bに近接する位置に、上側に突出する突部77aが設けられる。この突部77aは、前記球通路ユニット29が回転した際の前記アース部材60における第2接触部60dの軌道上に設けられており、球通路ユニット29が閉位置と開位置との間を回動する際に該突部77aに対して第2接触部60dが接離するよう構成される。そして、球通路ユニット29の閉位置において、第2接触部60dが突部77aに弾力的に当接して、その当接状態を維持し得るようになっている(図18参照)。なお、突部77aは、弧状に形成されて、第2接触部60dが接離する際に該第2接触部60dを傷損しないよう構成してある。また、被覆部材76の天板部77には、左端前部に上向きに折曲形成された連結部77bが設けられ、球通出案内部28を中枠13に組付ける際に、該連結部77bを中枠13に設けた金属製の第1導通部にネジ止めすることで、該被覆部材76が第1導通部に電気的に接続するよう構成される。この第1導通部は、前記外枠11に設けた金属製の第2導通部に電気的に接続されている。すなわち、前記アース部材60、被覆部材76、第1導通部および第2導通部によって、アース部材60に電気的に接続する前記球払出装置37で発生した静電気を第2導通部(外枠11)に逃すアース経路が構成されるようになっている。
【0051】
ここで、実施例では、金属製の前記第1側枠部25に設けたヒンジ金具39に、金属製の第1導通部(図示せず)が接続され、該第1導通部に前記連結部77bが接続されることで、被覆部材76と第1側枠部25とが電気的に接続されている。また、第1側枠部25は、前記外枠11を構成する金属製の第1側枠部材33にヒンジ機構を介して支持されており、該ヒンジ機構の金属部分を介して外枠11の第1側枠部材33と中枠13の第1側枠部25とが電気的に接続されている。すなわち、実施例では外枠11に対して中枠13を支持するヒンジ機構の金属部分や第1側枠部材33が第2導通部として機能するようになっている。なお、第1導通部と第2導通部との接続は、アース線、その他の手段によって導通状態となるように接続すればよい。
【0052】
(実施例の作用)
次に、実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。前記球通路ユニット29に配設した上下の係合部材48d,49c,51bを上側の解除位置に保持したもとで、前記中枠13に対して球通路ユニット29を開位置から閉位置に回動すると、該球通路ユニット29に設けた前記第1上ユニット係合部48の第1上凸部48aが球貯留部27の左側壁部27aに設けた対応する第1上ユニット支持部40の第1凹部40aに嵌り込むと共に、該第1上ユニット支持部40の第1突部40bが、第1上ユニット係合部48の第1上凸部48aと第1下凸部48bとの間に嵌り込んで位置決めされる。また、球通路ユニット29に設けた前記第2上ユニット係合部49の第2凸部49aが球貯留部27の左側壁部27aに設けた対応する前記第2上ユニット支持部41の第2凹部41aに嵌り込むと共に、該第2上ユニット支持部41の第2突部41bが第2上ユニット係合部49の第2通孔49bに挿入されて位置決めされる。
【0053】
そして、前記第1上ユニット係合部48の第1上係合部材48dおよび第2上ユニット係合部49の第2上係合部材49cを夫々下側の係合位置に移動することで、第1上係合部材48dおよび第2上係合部材49cは、対応する第1上ユニット支持部40の第1上係合孔40cおよび第2上ユニット支持部41の第2上係合孔41cに挿入されることで、球通路ユニット29の上部は球貯留部27に対して位置決め保持される。図13に示す如く、球貯留部27に設けた上ユニット支持部40,41は、前記球排出口36aを挟む前後に位置し、また球通路ユニット29に設けた上ユニット係合部48,49は、前記第1球通路52の球導入口52aを挟む前後に位置しているので、各上ユニット支持部40,41と上ユニット係合部48,49とを夫々係合保持することで、球排出口36aと球導入口52aとは上下に整列して連通する位置に保持される(図8,図9参照)。すなわち、球排出口36aから通出するパチンコ球を球導入口52aにスムーズに通入することができ、連通部での球詰り等の発生を防止し得る。なお、球通路ユニット29を閉位置に回動することで、前記球止部材38は閉成位置から開放位置に変位して球排出口36aと球導入口52aとは連通状態となり、別途球止部材38を操作する必要はない。
【0054】
また、前記球通路ユニット29を閉位置に回動した際には、該ユニット29の下部に設けた下ユニット係合部51の係合板部51aの前面が、前記球通出案内部28における口形成部71bの左方に臨む受皿体70の後面に当接すると共に(図14参照)、該受皿体70に設けた前記位置決め突部50が係合板部51aの位置決め孔に挿通されて位置決めされる。また、前記第2通路形成部55の規制片55aが、前記被覆部材76の後板部79の後面に当接し(図12参照)、これによって、前記口形成部71bに形成した接続口71cと、第2通路形成部55に形成した第2球通路53の球導出口53bとが左右方向に整列した状態で連通する。この状態で、前記下ユニット支持部42における下係合受部42aの上方に位置する下係合部材51bを下側の係合位置に移動することで、下係合部材51bが下係合受部42aの下係合孔42bに挿入される。これによって、球通路ユニット29の下部は、接続口71cと球導出口53bとが連通した状態で位置決め保持され、球導出口53bから通出するパチンコ球を接続口71cにスムーズに通入することができ、連通部での球詰り等の発生を防止し得る。
【0055】
前述したように、前記球通路ユニット29の第1球通路52を球貯留部27に連通すると共に、第2球通路53を球通出案内部28に連通した状態で、図示しない球供給設備から球貯留部27に供給されたパチンコ球は、前記タンクレール36の下流端で開口する前記球排出口36aから通出されて、前記球導入口52aから第1球通路52に通入し、球通路ユニット29の内部で一時的に貯留される。そして、所定のタイミングで前記球払出装置37が作動することで、球通路ユニット29の内部にあるパチンコ球は、第2球通路53を流下して賞球または貸球として球通出案内部28を介して前記球受け皿16へ給出される。
【0056】
前記球通路ユニット29に設けられて第1球通路52が形成される第1通路形成部54は、左右方向の幅が、上流端の球導入口52aから下流端で球払出装置37に連通する球導出口52bまで第1球通路52に球1個分が通過可能な寸法で形成されているので、図10に示す如く、前記中枠13における遊技盤12の保持側(開口領域13a側)への第1通路形成部54の突出量を小さく抑えることができ、遊技盤12の大型化を許容し得る。また、第1球通路52は、図8に示す如く、前後で折り返しつつ上下に折り重なる蛇行形状に形成されているので、第1通路形成部54の左右方向の拡がりを抑制しつつ、第1球通路52を流下するパチンコ球の流下速度を適切に低下させることができる。
【0057】
実施例のパチンコ機10では、前記球通路ユニット29に設けた球抜規制部材65の操作部65aを操作して前記第1球通路52から分岐する前記球抜き通路63の入口を開放すると、該分岐部分より上流側に貯留されているパチンコ球は、該球抜き通路63を介して前記球通出案内部28の球排出路74に通出され、図示しない球回収部に排出される。この球抜き通路63が形成される前記第3通路形成部64は、図10,図17に示す如く、球払出装置37が配設される装置設置部56の前側に重なると共に、前記第1通路形成部54の下側において該第1通路形成部54に対して平面視において前後方向に整列して設けられており、球抜き通路63を形成するために球通路ユニット29の左右方向の幅が大きくなることはない。
【0058】
前記中枠13に支持された球通路ユニット29は、図5および図10に示す閉位置において前端縁側に設けたヒンジ具46によって、前記ユニット本体43の板面が前後方向に沿う姿勢から、後端縁側(自由端側)が外側方に向けて回動して開位置に移動するよう構成してある(図6参照)。そして、球通路ユニット29の開位置において前記ヒンジ具46のヒンジピン46bを、前記中枠13のヒンジ金具39のヒンジ孔39aから上方に抜き外すことで、該球通路ユニット29を中枠13から取外すことができる。すなわち、球通路ユニット29は、ユニット本体43を中枠13に配設されている遊技盤12の後側から外側方に離間する方向に回動して開閉し、球通路ユニット29が遊技盤12の後側から完全に外側方に離間した開位置において着脱し得るので、球通路ユニット29の開放や脱着のために遊技盤12の後側に配設する遊技部品の大きさが規制されることはない。
【0059】
前記球通路ユニット29では、図10に示す如く、前記ユニット本体43の外側面側に、前記第1通路形成部54から前側に離間して配線収容凹部45を形成し、該配線収容凹部45に配線保持手段66を設けている。そして、中枠13の上部と下部との間で引き回される配線を、配線保持手段66で保持することで、中枠13の外側部において配線を外側方にはみ出すことなく引き回し得るようになっている。配線保持手段66では、ベース部材67に対してカバー部材68を開放して外側方の開口を開放したもとで、前記支持壁44の上端部に形成した配線保持部47に係止した配線をベース部材67内を下方に向けて引き回して該ベース部材67の下端から下方に引き出す。そして、ベース部材67に対してカバー部材68を係止片67aおよび被係止片68aを介して閉成状態に保持することで、ベース部材67とカバー部材68との間に画成される収容空間に配線を収容保持することができる。この配線保持手段66は、球通路ユニット29における上下方向の略全長に亘って延在しているので、中枠13の外側部において引き回し途中で配線がばらけることなく引き回すことができる。
【0060】
また、前記球通路ユニット29の閉位置において、前記配線収容凹部45は、図10に示す如く、前記外枠11の対応する第1側枠部材33における内側縁の後方への延長ラインTより内側(中枠13の開口領域13a側)に位置しているので、該配線収容凹部45に収容されている配線保持手段66が外側方に大きく突出することはない。すなわち、球通路ユニット29の外側面側に配線保持手段66を配設しても、外枠11に対する中枠13の開閉に支障を来たすことはない。更に、前記配線収容凹部45は、ユニット本体43の前端縁において外側方に変位して設けた支持壁44を底面として形成されているので、該配線収容凹部45を設けることで、閉位置において中枠13の開口領域13aに突出する部分が生ずることはなく、遊技盤12の後側のスペースを狭めることもない。
【0061】
(アース構造の作用について)
次に、アース構造の作用について説明する。
前記球通路ユニット29の装置設置部56に対して球払出装置37を装着すると、図16に示す如く、該球払出装置37に設けたアース板金62が、装置設置部56の収容空間に臨むアース部材60の第1接触部60cに接触して電気的に接続される。そして、球払出装置37を装着した球通路ユニット29を開位置から閉位置に回動すると、図17,図18に示す如く、前記アース部材60の第2接触部60dが、前記球通出案内部28を被覆する被覆部材76に設けた突部77aに接触して電気的に接続される。すなわち、被覆部材76と球払出装置37とがアース部材60を介して電気的に接続される。被覆部材76は、前記中枠13の第1導通部を介して外枠11の第2導通部に電気的に接続されており、球払出装置37で発生した静電気を、アース部材60、被覆部材76、第1導通部を介して外枠11の第2導通部に逃すことができ、球払出装置37が備える電子部品の誤作動や故障の発生を防止し得る。
【0062】
ここで、前記球通路ユニット29に連通する球通出案内部28は、前記球払出装置37に連通する部材であることから、不正者によって狙らわれ易い部材であり、タバコ、ライター、熱したピアノ線等により球通出案内部28に穴を開けて、球払出装置37にアクセスする不正行為が行なわれるおそれがある。しかしながら、実施例のパチンコ機10では、前述したように合成樹脂製の球通出案内部28の上面や前面および球通路ユニット29の第2球通路53に連通する球案内路73の外面を金属製の被覆部材76で被覆してあるので、熱したピアノ線等によって球通出案内部28に穴が開けられるのを抑制することができる。なお、球通出案内部28の球通出口72aは、前記中枠13の球通出開口部24aを介して前枠15の球受入口15aに連通しているので、該球受入口15aから侵入させたピアノ線等を、球通出口72aを介して前記第2球通路53に連通する球通出部72にアクセスすることは可能である。しかし、実施例の球通出案内部28では、球通出部72における球通出口72aと対向する位置に金属製の保護板82を配設してあるので、球通出口72aから侵入されたピアノ線等により球通出案内部28に穴を開けられるのを該保護板82で防止することができる。
【0063】
そして、実施例では、前述したように球通出案内部28に対する不正行為を防止するための防犯機能を有する前記被覆部材76を、前記球払出装置37で発生した静電気を外枠11に逃すためのアース経路を構成する部材として兼用している。すなわち、静電気対策に必要となる部品点数を低減することができ、これによりコストを低廉にし得ると共に構造の簡略化を図り、併せて組立て工数を低減することもできる。
【0064】
前記アース部材60の第2接触部60dは、球通路ユニット29を閉位置に回動した際に、被覆部材76の突部77aに弾力的に当接するよう構成されているから、該球通路ユニット29の閉位置、すなわちパチンコ機10の稼働状態において球払出装置37と被覆部材76との電気的な接触状態を維持することができ、安定した静電気対策を図り得る。また、被覆部材76の突部77aは、球通路ユニット29が回転した際の前記第2接触部60dの軌道上に設けられると共に、第2接触部60dは、湾曲端部が球通路ユニット29の閉位置から開位置、すなわち第2接触部60dが突部77aから離間する側に開放端が臨むように湾曲している。従って、球通路ユニット29を開位置から閉位置に回動する際には、第2接触部60dの湾曲端部が突部77aに確実かつ円滑に当接する。また、球通路ユニット29を閉位置から開位置に回動する際には、第2接触部60dの開放端が突部77aに引っ掛かることなく該突部77aから第2接触部60dが円滑に離間する。これにより、球通路ユニット29の開閉動作によって第2接触部60dが変形するのを防止することができる。また、第2接触部60dの開放端に形成した折曲片60fは、図15,図16に示す如く、前記第2通路形成部55に設けた支持片55bの上面に当接支持されているので、湾曲端部を突部60dに接触可能な位置に保持することができ、該湾曲端部が被覆部材76の他の部位に引っ掛かったり接触するのを防止して、球通路ユニット29の円滑な開閉動作を確保し得る。
【0065】
前記球通路ユニット29を開位置から閉位置に回動した際には、前記配線収容凹部45に配設したアース板材69の接触片69aが、前記被覆部材76に接触して電気的に接続される(図17参照)。これにより、配線収容凹部45に配設した配線保持手段66に収容保持されている配線の静電気等に起因するノイズの発生を防止することができる。
【0066】
(変更例)
本願は前述した実施例の構成に限定されるものではなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 実施例では、中枠に対して球通路ユニットを回動自在でかつ着脱自在に支持するよう構成したが、球貯留部および球通出案内部に対して連結具を介して着脱自在に連結することで、球貯留部と球通出案内部との間に架設する構成であってもよい。
(2) 球通路ユニットを球貯留部や球通出案内部に位置決め保持する手段は、実施例のユニット支持部およびユニット係合部の形態に限定されるものでなく、球通路ユニットを球貯留部や球通出案内部の適正位置に位置決め保持し得る各種形態の手段を採用し得る。
(3) 実施例では、外枠や中枠を4つの枠部材や枠部を組付けることで枠状に形成したが、全体を一体形成したものであってもよい。
(4) 実施例では、外枠に対して中枠を左側部側で回動自在に支持する構成としたが、外枠に対して中枠を右側部側で回動自在に支持する構成を採用することができ、この場合は中枠の右側部側に球通路ユニットを回転自在に支持するようにすればよい。
(5) 実施例では、被覆部材の上面に設けた突部にアース部材の第2接触部を接触するよう構成したが、被覆部材の上面や側面に接触するよう構成してもよく、電気的に導通するようになっていればよい。
(6) 実施例では、球通路ユニットを開位置から閉位置に回動した際に被覆部材と球払出装置とが導通状態となる場合で説明したが、球通路ユニットが中枠に対して着脱自在に配設されている構成では、該球通路ユニットを中枠に配設したときに被覆部材と球払出装置とが導通状態となる構成を採用し得る。
(7) 実施例では、アース部材が被覆部材に対して弾力的に接触する場合で説明したが、被覆部材に設けた弾性変形可能な弾性部材が、球通路ユニットで球払出装置と球通出案内部とを連通状態とした際に、該球払出装置に電気的に接続するアース部分(アース板金等)に弾力的に接触する構成を採用することができる。
(8) 実施例では、球受け皿を1つだけ設けた1枚皿タイプのパチンコ機を挙げたが、上下2つの球受け皿を備えた2枚皿タイプのパチンコ機であってもよい。
(9) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
11 外枠(固定枠)
12 遊技盤
13 中枠(本体枠)
16 球受け皿
27 球貯留部
28 球通出案内部
29 球通路ユニット
37 球払出装置
39 ヒンジ金具(ヒンジ手段)
45 配線収容凹部(凹部)
46 ヒンジ具(ヒンジ手段)
52 第1球通路(球通路)
52a 球導入口(入口)
52b 球導出口(出口)
54 第1通路形成部(通路形成部)
61 球払出通路
61a 上部開口(入口)
63 球抜き通路
64 第3通路形成部(通路形成部)
66 配線保持手段
T 外枠の内縁の延長ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤を着脱可能に保持する本体枠と、本体枠の上部に設けられ、遊技球を貯留する球貯留部と、本体枠の前側に設けられた球受け皿に遊技球を案内する球通出案内部と、球貯留部および球通出案内部の一側部間に架設され、球貯留部から遊技球を流下案内するように連通する球通路を有する球通路ユニットとを備えた遊技機において、
前記球通路ユニットは、左右方向の通路幅が遊技球1個ずつの通過を許容する幅に設定された前記球通路に合わせた幅で本体枠の側縁と平行に形成された通路形成部を備え、
前記通路形成部には、入口から出口に亘って前後方向の平面に沿って上下に折り重なる蛇行形状に前記球通路が形成され、
前記球通路ユニットに、球払出通路を形成した球払出装置が、該球払出通路の入口を前記球通路の出口に上下方向で整列して連通する状態で配設され、
前記通路形成部に、前記球通路における球払出装置との連通部より上流側から分岐して前記平面に沿って延在する球抜き通路が、前記球払出装置と前後に重なる位置関係で形成される
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記球通路ユニットは、前記本体枠に対してヒンジ手段を介して上下方向に延在する軸線回りに回転自在に支持され、前記球通路が球貯留部および球通出案内部に連通する閉位置の球通路ユニットは、自由端側がヒンジ手段を支点として本体枠の中央から離間する方向に回転することで球通路が球貯留部および球通出案内部に連通しない開位置に移動し、該開位置において球通路ユニットが本体枠に対して着脱し得るよう構成される請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記本体枠は、外郭をなす固定枠の開口前面側に開閉可能に組付けられて閉成状態で該固定枠の内側に収容され、前記球通路ユニットの外側部に、本体枠の収容状態において固定枠における内側縁の後方への延長ラインより内側に、外側方に開口する凹部が上下方向に延在するよう形成され、該凹部に配線保持手段が設けられる請求項1または2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−106655(P2013−106655A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252085(P2011−252085)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】