説明

遊技機

【課題】第1の枠体および第2の枠体が閉成した際に、板状片や検知手段に大きな負荷が加わるのを防止し得る遊技機を提供する。
【解決手段】検知センサは、閉成検知位置および開放検知位置に変位可能な板状片144と、第1位置および第2位置に回動変位する回動体132と、回動体132が第1位置から第2位置に回動変位した際に円弧状に移動して、板状片144を閉成検知位置に変位させる作用体134とを備える。閉成検知位置での板状片144と最終接線L2とがなす角度βは、開放検知位置での板状片144と初期接線L1とがなす角度αより小さくなる。更に、閉成検知位置での板状片144は、最終接線L2と平行になるよう延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1の枠体と、該第1の枠体に対し相対的に開閉可能な第2の枠体と、第1および第2の枠体の相対的な開閉状態を検知する検知手段とを備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、遊技機の代表例の一つであるパチンコ機は、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の設置枠台に固定される固定枠としての外枠(第1の枠体)と、該外枠に対して開閉可能に支持されて遊技盤を着脱可能に保持する本体枠としての中枠(第2の枠体)と、該中枠の前側に開閉可能に支持されてパチンコ機前面を装飾すると共に遊技盤を透視保護する装飾枠としての前枠(第2の枠体)とを基本的に備えている。前記中枠は、左右一方の側部が外枠に枢支されており、該一方の側部側を軸として中枠を回動させることで、中枠を外枠に対して開閉し得るよう構成される。また、前記前枠は、左右一方の側部が中枠に枢支されており、該一方の側部側を軸として前枠を回動させることで、前枠を中枠に対して開閉し得るよう構成される。
【0003】
また、従来のパチンコ機では、中枠や前枠の開閉状態を検知する検知手段を備えたものが提案されている。例えば、特許文献1には、レバー式の板状片を備えた検知手段が中枠の前側に設けられ、該検知手段により中枠および前枠の開閉状態を検知するようにしたパチンコ機が開示されている。前記板状片は、検知手段に揺動自在に設けられており、中枠の前面から斜め前方に板状片が突出した状態とされる。そして、前枠を中枠に対し閉成した際に、板状片が前枠により押圧されて、検知手段が前枠および中枠の閉成を検知するようになっている。また、前枠が中枠に対し開放した場合または中枠が外枠に対し開放した場合に、前枠が板状片から離間して、検知手段が前枠または中枠の開放を検知するよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−192171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の構成では、前枠を閉成した際の負荷は、前側から後側に向けて付与されるため、前枠からの負荷が板状片を回動させる力としてダイレクトに寄与して、板状片に大きな衝撃が掛かってしまう。その結果、板状片が変形したり破損したりする虞がある。また、前枠からの負荷が前側から後側に向けて作用することで、検知手段にも衝撃が伝わり得るから、前枠の閉成時の衝撃によって検知手段に不具合が発生したり、破損したりする可能性がある。
【0006】
すなわち、本発明は、従来技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、板状片に大きな力が作用するのを防止して、板状片や検知手段が破損するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明に係る遊技機は、
第1の枠体(12)と、該第1の枠体(12)に対し相対的に開閉可能な第2の枠体(14)と、第1および第2の枠体(12,14)の相対的な開閉状態を検知する検知手段(116)とを備えた遊技機において、
前記検知手段(116)に設けられ、該検知手段(116)を閉成検知状態とする閉成検知位置および検知手段(116)を開放検知状態とする開放検知位置に変位可能な板状片(144)と、
第1位置および第2位置に回動変位するよう構成され、前記第1の枠体(12)および第2の枠体(14)が相対的に開放した際に第1位置に位置すると共に、第1の枠体(12)および第2の枠体(14)が閉成した際に第2位置に位置する回動体(132)と、
前記回動体(132)に設けられ、該回動体(132)が第1位置では、前記板状片(144)が開放検知位置に位置するのを許容すると共に、回動体(132)が第1位置から第2位置に回動変位した際に円弧状に移動して、板状片(144)を閉成検知位置に変位させる作用体(134)とを備え、
前記回動体(132)が第1位置から第2位置に回動変位する際に、前記作用体(134)が板状片(144)に最初に当接した位置を初期当接点(P1)とし、回動体(132)が第2位置に回動変位したときの作用体(134)の位置を最終当接点(P2)とし、作用体(134)の回動軌跡(C)の初期当接点(P1)における接線を初期接線(L1)とし、作用体(134)の回動軌跡(C)の最終当接点(P2)における接線を最終接線(L2)とした場合に、
閉成検知位置での板状片(144)と前記最終接線(L2)とがなす角度(β)は、開放検知位置での板状片(144)と前記初期接線(L1)とがなす角度(α)より小さくなるよう構成したことを要旨とする。
請求項1の発明によれば、閉成検知状態での板状片と最終接線とがなす角度は、開放検知状態での板状片と初期接線とがなす角度より小さくなるよう構成したから、作用体から板状片に加わる力は、回動体が第1位置から第2位置に回動するにつれて小さくなる。従って、回動体に大きな力が加わったとしても、板状片に掛かる負荷は小さくなるから、板状片が破損するのを抑制し得る。また、回動体が第2位置に位置した際に検知手段に作用する力も小さくなるから、該検知手段が不具合を起こしたり、破損したりするのを抑制し得る。
【0008】
請求項2に係る遊技機では、閉成検知位置での板状片(144)は、前記最終接線(L2)と平行または前記回動軌跡(C)に対し前記最終当接点(P2)以外の交点(P3)を有するよう延在していることを要旨とする。
請求項2の発明によれば、閉成検知位置での板状片は、最終接線と平行または回動軌跡に対し最終当接点以外の交点を有するよう延在するから、回動体が第2位置に位置した状態で更に回動体に負荷が加わったとしても、作用体は板状片に対し離間する方向へ移動することになる。すなわち、板状片や検知手段に掛かる負荷はむしろ小さくなるから、該板状片や検知手段が破損するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る遊技機によれば、第1の枠体および第2の枠体が閉成した際に、板状片や検知手段に大きな負荷が加わるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】前枠を閉成した状態の中枠を、外枠に対して開放した状態を示す斜視図である。
【図3】外枠に対して中枠を閉成すると共に、該中枠に対して前枠を開放した状態を示す斜視図である。
【図4】外枠の正面図である。
【図5】遊技盤を取り外した状態の中枠を示す斜視図である。
【図6】中枠の上枠部材を後側から見た斜視図である。
【図7】図5のA−A線断面図である。
【図8】第2作動部材が突出係合片に係合する様子を示す中枠の右側面図であって、(a)は第2作動部材が施錠位置にある状態を示し、(b)は第2作動部材の解錠位置にある状態を示す。
【図9A】図1のB−B線断面図で中枠のみを示したものであって、(a)は押圧部材が非作動位置にある状態を示し、(b)は押圧部材が作動位置にある状態を示す。
【図9B】図1のB−B線断面図であって、作動位置の押圧部材により回動作動部材が第2位置に回動変位した状態を示す拡大図である。
【図10】図2のC−C線断面図であって、押圧部材が非作動位置に位置して回動作動部材に作用していない状態を示す拡大図である。
【図11】前枠を後側から見た斜視図である。
【図12】(a)は第2作動部材が施錠位置にある状態で施錠機構を前側から見た斜視図、(b)は第2作動部材が施錠位置にある状態で施錠機構を後側から見た斜視図、(c)は第2作動部材が解錠位置にある状態の施錠機構を後側から見た斜視図である。
【図13】(a)は第2作動部材の正面図、 (b)は第2作動部材の右側面図である。
【図14】保護部材および第2係合部を前側から見た斜視図である。
【図15】(a)は図11のD−D線断面図であって、前枠を中枠に対し閉成する際に第1係合部が案内部材の案内面に摺動する様子を示し、(b)は前枠を中枠に対し閉成した状態における図11のD−D線断面図であって、第1係合部が案内部材を支持する様子を示す。
【図16】保護部材および第2作動部材の一部を拡大して示す正面図であって、(a)は第2作動部材が施錠位置に位置して第2係合部が係合位置に位置した状態を示し、(b)は第2作動部材の解錠位置に位置して第2係合部が解除位置に変位した状態を示す。
【図17】(a)は図11のE−E線断面図であって、前枠を中枠に対し閉成する際に第1係合部が第2係合部を変位させる様子を示し、(b)は前枠を中枠に対し閉成した状態における図11のE−E線断面図であって、第1係合部に第2係合部が係合した状態を示す。
【図18】検知ユニットを右側から見た分解斜視図である。
【図19】(a)は回動体が第1位置に位置して板状片が開放検知位置に位置した状態を示す検知ユニットの右側面図であって、(b)は回動体が第2位置に位置して板状片が閉成検知位置に位置した状態を示す検知ユニットの右側面図である。
【図20】実施例に係る回動作動部材および板状片の関係を示す説明図であって、(a)は回動体が第1位置に位置して板状片が開放検知位置に位置する状態を示し、(b)は作用体が板状片に最初に当接した状態を示し、(c)は回動体が第2位置に位置して板状片が閉成検知位置に揺動変位した状態を示す。
【図21】変更例に係る回動作動部材および板状片の関係を示す説明図であって、(a)は回動体が第1位置に位置して板状片が開放検知位置に位置する状態を示し、(b)は作用体が板状片に最初に当接した状態を示し、(c)は回動体が第2位置に位置して板状片が閉成検知位置に揺動変位した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、図1に示すようにパチンコ機10を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0012】
〔パチンコ機10の概略構成について〕
実施例に係るパチンコ機10は、図1または図2に示すように、矩形枠状に形成されて外郭をなす第1の枠体としての外枠12の開口前面側に、各種部品が設置された第2の枠体14が開閉および着脱自在に組み付けられている。前記第2の枠体14は、図3に示すように、所要の遊技領域16aが画成された遊技盤16を保持する本体枠としての中枠(第1枠部,本体部)18と、該遊技盤16を透視保護するガラス板20aを備えた装飾枠としての前枠(開閉部材,第2枠部)20とからなり、該中枠18の前面側に前枠20が開閉可能に組み付けられて構成されている。なお、以下の説明で、第2の枠体14が第1の枠体12に対し開放するとは、前枠20が中枠18に対し閉成すると共に中枠18が外枠12に対し開放した状態、中枠18が外枠12に対し閉成すると共に前枠20が中枠18に対し開放した状態または前枠20、中枠18および外枠12が全て開放した状態の何れかの状態を云う。また、第2の枠体14が第1の枠体12に対し閉成するとは、中枠18が外枠12に対し閉成し、かつ前枠20が中枠18に対し閉成した状態(すなわち、前枠20、中枠18および外枠12が全て閉成した状態)を云う。そして、外枠12、中枠18および前枠20を閉成した際に、該外枠12および前枠20の間に中枠18が位置するよう構成されている(図3,図9B参照)。
【0013】
〔遊技盤16について〕
図3に示すように、前記遊技盤16は、略円形状に湾曲する外レール16bおよび内レール16cが盤面(前面)に配設されて、該内外レール16b,16cの内側に画成される前記遊技領域16a内に、図柄表示装置や入賞装置等の遊技用部品(何れも図示せず)が配置されている。また、前記外レール16bおよび内レール16cは、パチンコ球が通過可能な距離だけ離間するよう構成されて、打球発射装置22(後述)から発射されたパチンコ球が通過する発射通路16dを画成している。ここで、前記発射通路16dは、遊技盤16の下端左寄り位置で下方に開口すると共に、遊技盤16の左上部位置で遊技領域16a内に開口しており、前記打球発射装置22から発射されて発射通路16dを通過したパチンコ球が遊技領域16aの上部位置に打ち出されるようになっている。そして、前記遊技領域16aに打ち出されたパチンコ球が入賞装置に入賞することで、所定数の賞球が払い出されるようになっている。なお、以下の説明においては、前記発射通路16dの下方開口を始端開口部16eと指称する。
【0014】
〔外枠12について〕
図4に示すように、前記外枠12は、上縁枠部12a、下縁枠部12b(図3参照)、左縁枠部12cおよび右縁枠部12dの端部を連結して、前後方向に開放する矩形枠状に組み付けられている。前記上縁枠部12aおよび下縁枠部12bは、上下方向に所定厚みを有する木質系材料で構成される一方、前記左縁枠部12cおよび右縁枠部12dは、アルミ材等の金属材料で構成されて、外枠12全体の剛性が高められている。なお、下縁枠部12bの前側には、左右方向に延在する化粧板12eが設けられ、遊技機の前面下部の意匠面を構成している。図4に示すように、前記外枠12の左上端部および左下端部(左右一方の端部)には、上支持受具24および下支持受具26が配設されており、該上支持受具24に下方へ突出形成した上支軸24aと、下支持受具26に上方へ突出形成した下支軸26aとを介して、前記中枠18が開閉自在に枢支される。また、前記右縁枠部12d(左右他方の端部)の内側には、複数(実施例では2つ)の外枠係合片28,28が上下に離間して設けられ、中枠18が外枠12に対し閉成した際に、後述する中枠18の第1作動部材30の中枠係合片30a,30aが外枠係合片28,28に係脱自在に係合するよう構成されている。
【0015】
〔中枠18について〕
図5に示すように、前記中枠18は、上縁をなす上枠部材18aと、下縁をなし、スピーカ32や打球発射装置22等を設置する設置部として機能する下枠部材18bと、左側縁をなす左枠部材18cと、右側縁をなす右枠部材18dとから構成されて、これら上下左右の枠部材を組み付けた際に、全体が前記外枠12の開口領域に整合する大きさに形成されている(図3参照)。そして、前記上下左右の枠部材18a〜18dを組み付けた際に開口する前後の開口領域(以下、遊技盤設置部19という)に、前記遊技盤16が着脱自在に設置されるようになっている。
【0016】
図5に示すように、前記上枠部材18aの前面における左上端部(左右一方の端部)、および前記下枠部材18bの前面における左下端部(左右一方の端部)には、ヒンジ部としての第1の連結金具34および第2の連結金具36が夫々配設されている。ここで、前記第1の連結金具34には、上方および左方に開口する第1軸孔34aおよび下方に開口する第2軸孔(図示せず)が夫々形成されている。前記第1軸孔34aの左方開口は、回動可能なレバー部34b(図6参照)により開閉されるようになっている。そして、レバー部34bを回動操作して開放した第1軸孔34aの左方開口から前記上支持受具24の上支軸24aを第1軸孔34aに挿通し、該レバー部34bで該左方開口を閉成することで、第1の連結金具34が上支持受具24に着脱し得るようになっている。また、前記第2の連結金具36は、上方に突出する突軸部36aおよび下方に開口する第3軸孔(図示せず)が穿設してある。すなわち、前記第1の連結金具34の第1軸孔34a、および第2の連結金具36の第3軸孔に、前記外枠12の上下の支持受具24,26に形成した上下の支軸24a,26aを対応的に挿通することで、中枠18が外枠12に対して開閉自在に枢支される。
【0017】
図7に示すように、前記右枠部材18dは、遊技盤設置部19の右側部を画成し、遊技盤16の右側端面を当接支持する右枠本体38と、該右枠本体38の前端から機外側(図7では右方)へ延出する連結壁40と、該連結壁40の機外側を前側へ折曲した外壁部42とから構成されている。前記連結壁40には、前後方向に開口する貫通孔40aが上下方向に離間して複数(実施例では3つ)形成されている。図2,図8(a),(b)に示すように、前記右枠本体38における機外側の側面には、前記前枠20を施錠する施錠手段としての突出係合片44が各貫通孔40aに対応して設けられている。この突出係合片44は、前方へ延出するカギ部44aを備え、該カギ部44aが前記貫通孔40aを介して連結壁40の前側に突出している。なお、図7に示すように、カギ部44aの前側は、後方から前方に向けて機外側(右側)に傾斜するよう折り曲げられている。また、右枠本体38の機外側の側面には、外枠12に対し中枠18を施錠する施錠手段としての第1作動部材30が配設されている。この第1作動部材30は、上下方向に長尺な板状部材であって、右枠本体38に対し上下方向にスライド自在に設けられている。第1作動部材30の上下の端部には、後方に突出する中枠係合片30aが複数(実施例では2つ)設けられ、前記中枠18を外枠12に対し閉成した際に、中枠係合片30aが前記外枠係合片28に係脱自在に係合するようになっている。なお、第1作動部材30は、後述する解錠操作部(施錠手段)46を解錠操作した際に、下方へスライドして、中枠係合片30aおよび外枠係合片28の係合が解除されるよう構成される。
【0018】
〔上枠部材18aについて〕
図6,図9Aに示すように、前記上枠部材18aは、前記遊技盤設置部19の上部を画成する上枠本体部50と、該上枠本体部50の前側上部に前方および上方に突出するよう設けられ、中枠18の上縁を規定する上縁部48と、該上枠本体部50の後部に配設され、パチンコ球を貯留するタンク部52aが形成されたタンク部材52とから基本的に構成される。図3に示すように、前記上縁部48は、前記外枠12の上縁枠部12aと略同一の高さに位置すると共に、上縁部48の後面は、中枠18を外枠12に対し閉成した際に、前記上縁枠部12aの前面に当接するようになっている。
【0019】
図6,図9Aに示すように、前記上縁部48の右端部には、後方に開放する収容凹部54が凹設されると共に、該収容凹部54の後方開口が蓋部材68で閉塞されており、該収容凹部54の内部に押圧部材56が前後方向にスライド自在に収容される。また、図5に示すように、上縁部48の前面には、前記収容凹部54に連通する長円形状の中枠通孔部58が前後方向に開口するよう形成されている。前記収容凹部54の内部には、前後方向に延在すると共に後端部にネジ孔を開口させた円柱状のボス部60,60が複数(実施例では2つ)形成されている。また、前記収容凹部54の内底部から前記上枠本体部50の上面にかけて前後方向に延在する案内リブ(案内部)64が形成され、スライド時の押圧部材56を案内リブ64で案内するようになっている。
【0020】
図6,図9A(a),(b)に示すように、前記押圧部材56は、薄板状の板部材56aと、該板部材56aの前面から前方に突出するよう形成された前側押圧部56bと、該板部材56aの後面から後方に突出するよう形成された後側押圧部56cとから基本的に構成されている。前記板部材56aの外郭形状は、前記収容凹部54の後方開口形状に略整合する形状とされて、押圧部材56がスライドする際に、該板部材56aの外縁部が収容凹部54の内壁部に摺動するようになっている。図6に示すように、板部材56aの上縁部には、逃し凹部56dが形成されており、該上縁部と収容凹部54との接触面積を軽減して、板部材56aのスライド時の抵抗を抑制している。また、板部材56aには、前後方向に開放する位置決め通孔56eが前記ボス部60に対応して形成されており、ボス部60を位置決め通孔56eに挿通させるよう構成されている。ここで、前記ボス部60,60には、前記収容凹部54の内壁面と押圧部材56との間にコイルばね62,62(第2の付勢手段)が夫々介挿されており、該コイルばね62,62の弾性力(付勢力)により押圧部材56が常に後方へ付勢されている。前記板部材56aの下縁部には、係合部66が上方に凹設されており、該係合部66が収容凹部54内に臨む前記案内リブ64に摺動自在に係合するよう構成される(図9A(a),(b)参照)。前記前側押圧部56bは、前記中枠通孔部58の開口面積より僅かに小さな長円形の断面形状をなし、中枠通孔部58に整合した状態で挿通される。前記後側押圧部56cは、前記蓋部材68に設けた蓋通孔部68a(後述)に挿通されるようになっている。
【0021】
前記蓋部材68は、前記収容凹部54の後方開口を閉塞する薄板部材であって、蓋部材68の前記ボス部60,60に対応する位置に通孔68b,68bが前後方向に開放して形成されている。また、蓋部材68には、蓋通孔部68aが前後方向に開放して形成されており、該蓋通孔部68aに後側押圧部56cが挿通される。そして、蓋部材68を収容凹部54の後方開口に臨ませて、該蓋部材68の通孔68b,68bを介してネジ(図示せず)をボス部60,60のネジ孔に螺挿することで、蓋部材68が上縁部48に固定され、押圧部材56が収容凹部54から脱離不能となる。蓋部材68が上縁部48に固定された状態では、該蓋部材68の後面が上縁部48の後面と略同一面上に位置するようになる(図9A(a),(b)参照)。
【0022】
ここで、図9A(a)に示すように、中枠18が外枠12に対して開放した状態では、前記押圧部材56は、前記コイルばね62,62の弾性力(付勢力)により後方へ押圧された非作動位置に位置するになっている。この非作動位置では、前記前側押圧部56bが中枠通孔部58を介して収容凹部54内に退避すると共に、前記後側押圧部56cが蓋通孔部68aから後方へ突出し、後側押圧部56cの後端部が上縁部48の後面より後方に突出した状態とされる(図2参照)。一方、中枠18を外枠12に対し閉成した状態では、図9A(b)に示すように、前記後側押圧部56cが外枠12の上縁枠部12aの前面に当接して前方へ押圧され、前記押圧部材56は、コイルばね62の弾性力に抗して前方の作動位置に変位されるようになっている。この作動位置では、前記後側押圧部56cが蓋通孔部68aを介して収容凹部54内に退避すると共に、前記前側押圧部56bが中枠通孔部58から前方へ突出するよう構成される(図3参照)。
【0023】
〔下枠部材18bについて〕
図3,図5に示すように、前記下枠部材18bの前面には、パチンコ球を遊技盤16の遊技領域16aに打ち出す打球発射装置22が配設されている。打球発射装置22は、発射レール22aと、該発射レール22aの傾斜下端に配設された打球杆23aを有する打球駆動部23とから構成される。また、下枠部材18bの前面には、左右の略中央部に正面視で台形形状の設置台部70が設けられ、該設置台部70に前記スピーカ32が設置されている。すなわち、下枠部材18bの設置台部70の斜部に沿って画成される斜状凹部74に、前記発射レール22aが右から左に向けて上方傾斜させた状態で収容されると共に、下枠部材18bの設置台部70の右側に矩形状に画成される矩形凹部72に、前記打球駆動部23が収容されている。更に、下枠部材18bには、前記発射レール22aの延長線上に延在するよう板状の傾斜案内部76が配設されている。図3に示すように、この傾斜案内部76の開放端は、前記遊技盤16の発射通路16dの始端開口部16eを指向しており、打球発射装置22の打球杆23aにより打ち出されたパチンコ球が発射レール22aに案内されて発射通路16dに飛翔するよう構成される。なお、図3,図5に示すように、下枠部材18bにおける傾斜案内部76の開放端側には、前記始端開口部16eに連通するよう上方に開口するファール球回収口79が形成されている。このファール球回収口79は、後述する球皿部材82の球貯留部に連通しており、ファール球回収口79で回収したファール球が該球貯留部に戻されるようになっている。
【0024】
図3に示すように、傾斜案内部76の下方には、第1係合部78が前方に突出するように設けられている。図3に示すように、この第1係合部78は、中枠18の左右方向の略中央位置(ヒンジ部および施錠手段の間)に位置すると共に、下枠部材18bの上部側(後述する球皿部材82の後方)に位置している(図1参照)。第1係合部78は、アルミ材等の金属材で構成された剛性を有する棒状体であって、第1係合部78の先端部は、後方から前方に向けて先細り形状とされている。また、第1係合部78には、環状の係合溝78aが凹設されており、後述する第2係合部106が該係合溝78aに係脱自在に係合するようになっている。
【0025】
〔前枠20について〕
図11に示すように、前記前枠20は、前記中枠18の外郭形状に略合致する矩形板状に形成されると共に前後方向に開口する窓枠80aが開設された前枠基体部80を基本構成とし、該前枠基体部80の前面に窓枠80aの周囲を囲繞するよう各種の装飾部材80bが配設されて構成される。また、前枠20は、前枠基体部80の前面側に取り付けられ、上方へ開口する球貯留部(図示せず)を有する球皿部材82と、該前枠基体部80の下部後面に配設され、前枠20を中枠18に対し閉成した際に前記発射レール22aおよび傾斜案内部76を保護する保護部材84とを備えている。更に、図3に示すように、前記前枠基体部80の後面における右上隅部(図3では左上隅部)には、前枠20、中枠18および外枠12の開閉状態(第1の枠体12および第2の枠体14の相対的な開閉状態)を検知する検知ユニット86が配設されている(図19(a),(b)参照)。前記前枠基体部80の左上隅部(左右一方の端部)に、ヒンジ部としての突起軸80c(図11参照)が上方に突出して形成されると共に、前枠基体部80の左下隅部(左右一方の端部)に、上下方向に開放する第4軸孔(図示せず)が穿設されたヒンジ部としての第3の連結金具80dが配設されている(図11参照)。そして、前記中枠18の第2の連結金具36に形成した突軸部36aを前枠20の第4軸孔に挿入すると共に、前記第1の連結金具34に形成した第2軸孔に前枠20の突起軸80cを挿入することで、当該前枠20が中枠18に対して開閉自在に枢支される。前枠20を中枠18に対して閉成した状態では、中枠18の前側が前枠20によって覆われると共に、前記遊技盤16に形成された遊技領域16aが窓枠80aを介して前方に露出するよう構成される。なお、前枠基体部80の後側には、窓枠80aを覆うようにガラス板20a(図1参照)が配設されており、前枠20を中枠18に対し閉成した際に、ガラス板20aが遊技盤16を前側から透視保護するようになっている。
【0026】
前記前枠基体部80の右側部(左右他方の端部)には、施錠手段としての施錠機構88が配設されている(図3,図12参照)。図12(a)〜(c)に示すように、前記施錠機構88は、前記前枠基体部80の後面に固定された支持案内部90と、該支持案内部90に配設された解錠操作部46と、該支持案内部90にスライド自在に支持された第2作動部材(作動部材)92とを基本的に備えている。前記支持案内部90は、上下方向に長尺な金属部材であって、前記前枠基体部80の後面に取着される取着板部94と、該取着板部94の左縁部から後方へ折曲形成された案内板部96とから構成される。取着板部94の後面には、第1フック部94aが形成されており、該第1フック部94aにばね部材98の下端部が連結されている。前記案内板部96は、前枠20を中枠18に対し閉成した状態で、前記中枠18の貫通孔40aから突出する突出係合片44のカギ部44aより左方に位置するようになっている(図7参照)。案内板部96の後縁部には、該案内板部96との間に前記第2作動部材92を保持する保持片96aが上下方向に離間して複数(実施例では4つ)形成されている。また、案内板部96における上下方向の略中央位置に、該案内板部96の後縁部から左方へ延出する設置板96bが形成されており、該設置板96bに前記解錠操作部46が固定されている。更に、前記案内板部96における設置板96bの下方に上下方向に延在するスライド窓96cが左右方向に開放して形成されている(図11参照)。
【0027】
図12(a)〜(c)に示すように、前記第2作動部材92は、前記支持案内部90と略同一の上下長さを有する板状体であって、案内板部96の右面に当接した状態で、前記支持案内部90に上下に摺動自在に保持される。図7に示すように、第2作動部材92は、前枠20を中枠18に対し閉成した状態では、前記カギ部44aの左方に近接するよう構成される。図13(a),(b)に示すように、第2作動部材92の右側面には、第2フック部92aが形成され、該第2フック部92aに前記ばね部材98の上端部が連結されている。そして、第2作動部材92は、ばね部材98の弾性力(付勢力)により下方へ付勢された状態とされる。図13(a),(b)に示すように、第2作動部材92の後縁部には、右方へ延出する前枠係合片92bが前記中枠18の突出係合片44に対応して複数(実施例では3つ)形成されている。また、第2作動部材92の左側面には、左方へ突出する係止フック92cが形成され、係止フック92cは、スライド窓96cを介して案内板部96の左方へ臨んでいる(図11参照)。更に、第2作動部材92における前記設置板96bに対応する位置に、該第2作動部材92の後縁部から後方へ延出する係止凹部92dが形成されている。
【0028】
前記解錠操作部46は、図示しない解錠カギを一方へ回動操作した際に中枠18を外枠12に対し解錠すると共に、解錠カギを他方へ回動操作した際に前枠20を中枠18に対し解錠するよう構成される。図12(a)に示すように、解錠操作部46は、鍵孔を有する円柱状の施錠本体部46aが前記設置板96bから前方に突出した状態で固定されており、前記支持案内部90を前枠20に取り付けた際に、該前枠20に設けた通孔部(図示せず)を介して前枠20の前面側に施錠本体部46aの鍵孔が臨むよう構成される(図1参照)。施錠本体部46aの後部には、解錠カギの解錠操作により回動される回動盤46bが設けられている。回動盤46bには、該回動盤46bの周縁から後方へ折曲した後、回動盤46bの径方向外方へ延出する第1作動片46cと、該第1作動片46cより下方で回動盤46bの周縁から径方向外方へ延出する第2作動片46dとが形成されている。前記第1作動片46cは、前記第2作動部材92の係止凹部92dより後方に位置して、回動盤46bが回動した際に、第1作動片46cが係止凹部92dに干渉しないよう構成される。この第1作動片46cは、前記解錠カギを一方へ回動操作した際に、第1作動片46cが第1作動部材30に当接して、該第1作動部材30を押し下げるようになっている。これにより、第1作動部材30の中枠係合片30aおよび外枠12の外枠係合片28の係合が解除されて、中枠18が外枠12に対し解錠されるよう構成される。
【0029】
図12(b)に示すように、前記第2作動片46dは、前記第2作動部材92の係止凹部92dに近接しており、前記解錠カギを他方へ回動操作した際に、第2作動片46dが該係止凹部92dに係止して、第2作動部材92を前記ばね部材98の弾性力に抗して押し上げるよう構成される(図12(c)参照)。すなわち、第2作動部材92は、常には、ばね部材98の弾性力により下方位置(以下、施錠位置という)に位置すると共に、解錠カギを他方へ回動操作した際に、第2作動部材92は上方位置(以下、解錠位置という)に変位するようになっている。そして、第2作動部材92が施錠位置では、前枠20を中枠18に対し閉成した状態で、前記前枠係合片92bが突出係合片44に係合し、前枠20が中枠18に対し施錠されるようになっている(図8(a)参照)。一方、第2作動部材92が解錠位置に変位すると、前記前枠係合片92bが突出係合片44より上方に位置して両者92b,44の係合が解除され(図8(b)参照)、前枠20が中枠18に対し解錠されるようになっている。そして、この状態で前枠20を前側へ回動させることで、前枠20を中枠18に対して開放することが可能となる。
【0030】
〔保護部材84について〕
図11に示すように、前記保護部材84は、前枠基体部80の後面における右端部から左端部近傍にかけて左右に延在するよう配設される。図14に示すように、前記保護部材84は、本体板部84aと該本体板部84aの周縁部から前方に延出する壁部84bとから構成されて、前方に開放する収容部84cが画成されている。保護部材84の後側には、合成樹脂で形成された弧状のシールド板100が配設されている。具体的には、前記シールド板100は、図3,図11に示すように、前記遊技盤16の発射通路16dの前側を覆う円弧状の保護板部100aと、該保護板部100aの円周縁側に設けられて遊技盤16側(後方)に延出する延出体100bとを備えている。前記保護板部100aは、前枠20のガラス板20aに近接位置して(すなわち、遊技盤16の盤面から離間して)、該保護板部100aの後側をパチンコ球が通過するようになっている。前記延出体100bは、外レール16bおよび内レール16cの間に臨んで、内レール16cに重なった状態で該内レール16cに沿うよう延在している。すなわち、延出体100bは、球皿部材82から前記ファール球回収口79を介して発射通路16d内に差し込まれた針金等の不正器具(図示せず)に干渉するようになっており、ガラス板20aと内レール16c前端との間から遊技領域16a側に不正器具が挿入されるのを防止している。
【0031】
前記保護部材84の本体板部84aの後面は、前枠20を中枠18に対し閉成した状態で、発射レール22aおよび傾斜案内部76の前側に位置して、前記斜状凹部74の前方開口を閉塞するようになっている(図15(b)に傾斜案内部76の前側に本体板部84aが対向した状態を図示)。これにより、打球杆23aにより打ち出されたパチンコ球が両部材22a,76上から前側に移動するのを規制される。前記本体板部84aにおける前記第1係合部78に対応する位置には、前後方向へ開口する挿入口(凹部)102が形成されており、前枠20を中枠18に対し閉成した際に、第1係合部78が挿入口102に挿入されて前記収容部84c内に突出するようになっている。図14に示すように、前記挿入口102の上縁部は、前枠20の回動軸側(ヒンジ部側)である左側に切り欠かれており、挿入口102の上縁部の開口寸法が拡げられている。また、本体板部84aの前面には、前方に突出する複数の固定ボス84dが形成されている。
【0032】
図14に示すように、前記保護部材84の収容部84cには、本体板部84aの前面に取り付けられる案内部材(案内部)104と、固定板103を介して左右方向にスライド自在に配設された第2係合部106と、該第2係合部106および前記第2作動部材92を連結するワイヤ(リンク手段)108と、該ワイヤ108を案内保持する保持案内部110とが設けられている。前記案内部材104は、ポリアセタール(POM)等の潤滑性を有する合成樹脂から形成されると共に、前記本体板部84aにおける挿入口102の上側位置に設けられる。図15(a),(b)に示すように、前記案内部材104は、前記挿入口102側へ向けて下方に突出する突出部104aが形成され、該突出部104aの下面は、挿入口102の上縁から僅かに下方に臨むと共に、該挿入口102の上縁から後方に延在する案内面104bとされる。そして、前記第1係合部78が挿入口102に挿入する際に、該第1係合部78の上部が案内面104bを摺動するよう構成される。また、前枠20が中枠18に対し閉成した状態では、案内面104bが第1係合部78の上部に当接して該第1係合部78に支持されるようになっている(図15(b)参照)。
【0033】
図14に示すように、前記固定板103は、アルミ等からなる略矩形状の金属板であって、前記案内部材104の前面に当接した状態で該本体板部84aの前記固定ボス84dにネジ止めされている。前記固定板103には、前記挿入口102に対応する部位に逃げ部103aが形成されており、挿入口102に挿入した第1係合部78に固定板103が干渉するのを防止している。また、前記固定板103の前面には、円柱状の案内突部103b,103bが左右に離間して複数(実施例では2つ)突設されている。なお、図16(a),(b)に示すように、前記固定板103の左端部に第1係止片103cが形成され、該第1係止片103cに付勢ばね112の左端部が連結している。
【0034】
図14に示すように、前記第2係合部106は、アルミ等から形成された矩形薄板状の金属部材であって、前記挿入口102に挿入した第1係合部78に係脱自在に係合するものである。第2係合部106の下縁側には、左右方向に延在するスライド溝106aが形成されると共に、該第2係合部106の上縁側には、左右方向に延在する案内溝106bが形成されている。そして、前記スライド溝106aに前側から挿通させた固定ピン106cを固定板103に固定することで、第2係合部106が固定板103に左右方向にスライド自在に取り付けられる。前記案内溝106bの上下幅は、前記案内突部103b,103bの上下幅(直径)より僅かに大きく設定されており、両案内突部103b,103bが案内溝106bに臨むようになっている(図16(a),(b)参照)。そして、第2係合部106がスライドする際に、案内突部103b,103bにより案内溝106bが案内されるよう構成される。更に、案内突部103b,103bは、案内溝106bの端部に当接することで、第2係合部106のスライド量を規定している。なお、第2係合部106の左右方向のスライド量は、前記第2作動部材92の施錠位置から解錠位置までの上下方向のスライド量と略一致するよう設定されている。前記第2係合部106の左上隅部には、第2係止片106dが形成され、該第2係止片106dに付勢ばね112の右端部が連結している。そして、第2係合部106は、付勢ばね112の弾性力(付勢力)により、左方(後述する係合位置側)へ付勢された状態にある。
【0035】
ここで、前記案内溝106bの右端部が右側の案内突部103bに当接した位置(以下、係合位置という)では、図16(a)に示すように、第2係合部106の左縁部の一部が前記逃げ部103a側に臨んで、正面視で挿入口102の右縁部より左方に位置する。図17(b)に示すように、第2係合部106が係合位置では、前記挿入口102に挿入した第1係合部78の係合溝78aに第2係合部106の左縁部が係合するようになっている。一方、案内溝106bの左端部が左側の案内突部103bに当接した位置(以下、解除位置という)では、図16(b)に示すように、第2係合部106の左縁部が固定板103の後側に退避して、正面視で前記挿入口102の右縁部より右方に位置する。この解除位置では、前記第2係合部106の左縁部が第1係合部78の係合溝78aから離脱して、第1係合部78および第2係合部106の係合が解除されるようになっている。
【0036】
図16(a),(b)に示すように、前記保持案内部110は、本体板部84aの前面における右端部から中央部にかけて延在するよう配設されている。図14に示すように、保持案内部110は、第1半体110aおよび該第1半体110aの前側に組み付けられた第2半体110bから構成されて、両第1および第2半体110bの間に前記ワイヤ108を案内保持する案内路110cが画成される。この案内路110cの右端は、前枠20の右端部側で右方に向けて開放すると共に、案内路110cの左端は、本体板部84aにおける左右の略中央位置で左方に向けて開放している。
【0037】
前記ワイヤ108は、可撓性を有する合成樹脂や金属等から構成された線状体であって、ワイヤ108の左右の端部は、前記案内路110cから突出している。前記ワイヤ108の左右の端部に連結片108a,108aが設けられており、ワイヤ108の左側の連結片108aは第2係合部106の右端部に、ワイヤ108の右側の連結片108aは第2作動部材92の係止フック92cに夫々連結されている。すなわち、図16(a),(b)に示すように、第2係合部106および第2作動部材92は、ワイヤ108によって連結されており、解錠操作部46を解錠操作した際に、上下方向にスライドする第2作動部材92に連動して、第2係合部106が左右方向にスライドするよう構成される。ここで、ワイヤ108の延在長さは、係合位置での第2係合部106の右端部から案内路110cの右端部までの距離と、該案内路110cの右端部から解錠位置での第2作動部材92の係止フック92cまでの距離とを合計した距離より僅かに大きく設定されている。従って、図16(a)に示す如く、第2作動部材92の施錠位置では、第2作動部材92が付勢ばね112の弾性力により係合位置に保持されると共に、図16(b)に示す如く、第2作動部材92が解錠位置にスライドすると、ワイヤ108の右側の連結片108aが上方へ引っ張られて、第2作動部材92が付勢ばね112の弾性力に抗して解除位置にスライドされるようになっている。
【0038】
〔検知ユニット86について〕
図11に示すように、前記前枠基体部80の右上隅部における後面には、前記中枠18の上縁部48に設けた中枠通孔部58に対応する位置に、後方に開放する設置空間114が形成されている。そして、この設置空間114に前記検知ユニット86が着脱自在に配設されている。図18に示すように、この検知ユニット86は、検知センサ(検知手段)116と、該検知センサ116を収容するケース体118と、該ケース体118に設けられた回動作動部材(作動部材)120とを備え、1つのユニットとして取り扱い得るようになっている。前記ケース体118は、第1ケース部122と、該第1ケース部122の左側に組み付けられた第2ケース部124とから構成される。前記第1ケース部122は、前壁部122a、後壁部122b、左壁部122c、上壁部122dおよび下壁部122eから構成されて、右方に開放するセンサ収容部126が画成されている。前記左壁部122cには、上側斜め前方に凸の円弧をなして延在する弧状開口部128が左右方向に開放して形成されている。前記下壁部122eの前側には、上下方向に開放する延出口122fが形成されている。
【0039】
前記第2ケース部124は、略矩形状に形成された保持板部124aの上縁部から延出壁124bが右方に延出して構成され、前記第1ケース部122の左側に固定される。前記保持板部124aの右面には、前記回動作動部材120を収容するための凹状部124cが凹設されると共に、保持板部124aの後面に該凹状部124cに連通する出入窓124dが前後方向に開放して形成されている。図9B,図10に示すように、この出入窓124dは、前記前枠20を中枠18に対し閉成した状態で、前記上縁部48の中枠通孔部58の前側に対向するようになっている。前記保持板部124aの右面には、前記回動作動部材120を軸支する回動軸124eが右方へ突出して形成されると共に、該回動軸124eの前側上方に右方へ突出する保持突起124f(図19(a),(b)参照)が形成され、該保持突起124fに第2の捻りばね(第1の付勢手段)130が取り付けられている。図19(a),(b)に示すように、この第2の捻りばね130は、一端が前記延出壁124bの下面に当接すると共に、他端が前記回動作動部材120の規制突起120a(後述)に係止される。
【0040】
図18に示す如く、前記回動作動部材120は、扇形状をなす回動体132と、該回動体132の前側の端部に設けられ、右方(図18では左下)に突出する作用体134とを備えている。前記回動体132の後部側には、該回動体132の周縁部から径方向に膨出する被押圧突部136が形成されている。また、回動体132の中心部には、左右方向に開放する軸孔132aが形成されており、該軸孔132aに前記回動軸124eを挿入することで、回動体132が第2ケース部124に回動自在に取り付けられる。回動体132の右面には、右方へ突出する規制突起120aが形成され、図19(a),(b)に示すように、前記第2の捻りばね130の他端が規制突起120aに係止している。これにより、回動体132は、第2の捻りばね130の弾性力(付勢力)により所定方向(後述する第2位置から第1位置へ回動変位する方向)へ付勢された状態となる。ここで、前記回動体132を前記回動軸124eに軸支した状態では、該回動体132が凹状部124cに収容されると共に、前記被押圧突部136が出入窓124dに臨むよう構成される(図9B,図10参照)。また、図19(a),(b)に示すように、前記作用体134が前記弧状開口部128を介して前記センサ収容部126内に臨むと共に、前記規制突起120aが弧状開口部128の内部に位置するようになっている。
【0041】
そして、図19(a)に示すように、回動体132は、前記第2の捻りばね130の弾性力により付勢されて、前記規制突起120aが弧状開口部128の後側の端部に当接した位置(以下、第1位置という)に位置するよう構成される。図10に示すように、回動体132が第1位置にある状態では、前記被押圧突部136が出入窓124dから後方へ突出した状態となる。また、回動体132が第1位置にある状態では、前記センサ収容部126内において上壁部122dに近接した位置に前記作用体134が位置している。そして、前記押圧部材56が作動位置に位置すると(すなわち、前枠20を中枠18に対し閉成し、かつ中枠18を外枠12に対し閉成した状態)、図9Bに示す如く、前記中枠通孔部58から突出した前側押圧部56bが被押圧突部136を前方へ押圧して、前記第2の捻りばね130の弾性力に抗して回動体132が回動変位される。すなわち、図19(b)に示すように、回動体132は、第1位置から被押圧突部136が凹状部124c内に退避する位置(以下、第2位置という)まで回動変位されるようになっている。また、回動体132が第1位置から第2位置まで回動変位する間に、前記作用体134は、回動軸124eを中心とした円弧状の回動軌跡C(図20(b),(c)参照)をなして移動する。そして、回動体132が第2位置では、作用体134は、前記上壁部122dから下方に離間して弧状開口部128の下端部側に到来するようになっている。
【0042】
前記検知センサ116は、上下方向に延在する直方体状のセンサ本体138と、該センサ本体138の後面から突出する出没式のスイッチ140とを備えている。前記センサ本体138の下部には、コネクタ部142が設けられている。そして、センサ本体138は、前面を前壁部122aに当接させると共に、前記コネクタ部142を前記延出口122fから突出させた状態で、左壁部122cの右面に固定されている。すなわち、検知センサ116は、コネクタ部142を除く略全体がセンサ収容部126に収容されている。更に、検知センサ116は、前記前枠20の設置空間114の内部に収容されて、該検知センサ116に外部からアクセスするのは不能とされている。検知センサ116が左壁部122cに固定された状態では、センサ本体138が弧状開口部128の前側に位置して、前記スイッチ140が後方に臨んでいる。前記スイッチ140は、センサ本体138内に設けた図示しない付勢手段により、センサ本体138の後面から突出するよう付勢されている。そして、図19(a)に示すように、スイッチ140がセンサ本体138から突出した状態では、検知センサ116は、前枠20、中枠18および外枠12が相対的に開放した状態に対応する開放検知状態(OFF)とされる。一方、図19(b)に示すように、スイッチ140がセンサ本体138内に没入した状態では、検知センサ116は、前枠20、中枠18および外枠12が全て閉成した状態(すなわち、第1の枠体12および第2の枠体14が閉成した状態)に対応する閉成検知状態(ON)とされる。
【0043】
ここで、検知センサ116は、前記コネクタ部142に接続した配線を介して制御装置(何れも図示せず)に電気的に接続されており、検知センサ116から出力される検知信号(開放検知信号および閉成検知信号)は、制御装置に入力されるようになっている。そして、検知センサ116から開放検知信号が制御装置へ入力されると、該制御装置は、中枠18の後側に設けた球払出装置(図示せず)を作動停止するよう構成されている。また、検知センサ116から開放検知信号が入力されると、前記制御装置から報知手段に開放報知信号を出力して、前枠20(中枠18)の開放を報知するようになっている。
【0044】
前記報知手段としては、前記スピーカ32や図柄表示装置、発光手段(図示せず)等が適宜に採用される。また、具体的な報知制御として、前記検知センサ116からの開放検知信号の入力に伴って所定の設定時間に亘ってスピーカ32から警報音を出力すると共に、前枠20に配設された発光手段を全点灯し、前記遊技盤16に配設された発光手段を全消灯するよう制御装置が制御する。そして、設定時間の経過後も引き続き開放検知信号が制御装置へ入力されると、スピーカ32からの警報音の出力が終了し、前枠20および遊技盤16に配設された発光手段による異常報知を継続するよう制御される。すなわち、前枠20が開放した初期の段階では、スピーカ32からの警報音を伴って異常報知することで異常発生を早期に認識させて異常な状態の解消を促す一方で、警報音が鳴り続けることによる不快感を遊技者に抱かせないようにしている。
【0045】
前記センサ本体138の上側後部には、板状片144が左右方向に延在する揺動軸144aに軸支されている。この板状片144は、所定方向に長尺な薄板状の金属片で構成される。板状片144は、センサ本体138から突出するスイッチ140に当接して、揺動軸144aから離間する(下方)につれてセンサ本体138から離間する方向(後方)へ傾斜した開放検知位置(図19(a))と、スイッチ140を押圧してセンサ本体138の後面に平行な上下方向に延在する閉成検知位置(図19(b))とに変位可能に構成されている。すなわち、板状片144が開放検知位置から閉成検知位置に変位することで、スイッチ140が押圧されて、検知センサ116が開放検知状態から閉成検知状態に切り替わるようになっている。
【0046】
ここで、図19(a)に示すように、開放検知位置の板状片144は、前記回動体132が第1位置における作用体134から僅かに前方に離間するよう構成されると共に、作用体134の回動軌跡Cに交差するよう延在している(図20(a)参照)。また、回動体132が第1位置から第2位置に回動変位する間に、作用体134が板状片144に当接して(図20(b))、該板状片144を揺動変位させるようになっている。そして、図20(c)に示すように、回動体132が第2位置に位置すると、作用体134がセンサ本体138に最近接して、板状片144が閉成検知位置に位置するようになっている。ここで、実施例では、第1位置から第2位置に揺動変位する板状片144と、開放検知位置から閉成検知位置まで回動体132が回動変位する間の作用体134との関係は、以下の関係に設定されている。すなわち、図20(a)〜(c)に示すように、回動体132が第1位置から第2位置に回動変位する際に、作用体134が板状片144に最初に当接した位置を初期当接点P1とし、回動体132が第2位置に回動変位したときの作用体134の位置を最終当接点P2とする。また、作用体134の回動軌跡Cの初期当接点P1における接線を初期接線L1とし、作用体134の回動軌跡Cの最終当接点P2における接線を最終接線L2とする。そして、図20(b)に示すように、開放検知位置での板状片144と初期接線L1とがなす角度をαとし、図20(c)に示すように、閉成検知位置での板状片144と最終接線L2とがなす角度をβとすると、βはαより小さくなる(β<α)よう設定されている。実施例では、閉成検知位置での板状片144は、最終接線L2と平行に延在して、閉成検知位置での板状片144と最終接線L2とがなす角度βは0°となっている。換言すれば、回動体132の第2位置では、作用体134および回動軸124eを結ぶ線分と板状片144とがなす角度γが直交(90°)するよう構成される。
【0047】
ここで、開放検知位置での板状片144と初期接線L1とがなす角度αは、その値が大きくなるにつれて、板状片144に作用する負荷が大きくなる。そこで、前記角度αの値は、好ましくは30°〜70°、更に好ましくは40°〜50°の範囲内に設定されて、板状片144に大きな負荷が掛からないようになっている。また、図19(a)に示すように、前記初期当接点P1は、開放検知位置での板状片144におけるスイッチ140との接点より揺動軸144a側に設定される。従って、てこの原理により、作用体134の移動量に対して板状片144がスイッチ140を押圧する量が大きくなるから、スイッチ140を迅速に没入させることが可能となり、検知センサ116の応答性が向上するようになっている。
【0048】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係るパチンコ機10の作用について説明を行う。先ず始めに、図3に示すように、前枠20が中枠18に対し開放し、かつ中枠18が外枠12に対し閉成した状態で、前枠20を中枠18に対し閉成する場合について説明する。なお、前枠20が中枠18に対し開放した状態では、検知ユニット86の回動体132は、第2の捻りばね130の弾性力により第1位置に保持され、被押圧突部136がケース体118の出入窓124dを介して後方に突出した状態にある(図10参照)。また、検知センサ116は、スイッチ140がセンサ本体138から突出した開放検知状態となっている(図19(a)参照)。
【0049】
〔外枠12に対し閉成した状態の中枠18に対し前枠20を閉成する場合について〕
中枠18が外枠12に対し閉成した状態では、後側押圧部56cが外枠12の上縁枠部12aの前面に当接して、押圧部材56が作動位置に位置し、図3に示すように、前側押圧部56bが中枠通孔部58を介して上縁部48の前面から突出している。前枠20を中枠18に対し閉成させると、図7に示すように、右枠部材18dの貫通孔40aを介して連結壁40の前側に突出する突出係合片44のカギ部44aに対し、第2作動部材92が左方に臨み、前枠係合片92bがカギ部44aに係合する。このとき、突出係合片44のカギ部44aは、前端部側が機外側(右側)に傾斜しているから、カギ部44aが第2作動部材92の後縁部や案内板部96に干渉するのを防止している。第2作動部材92は、ばね部材98の弾性力により施錠位置に保持されて、前枠20および中枠18が施錠される(図8(a)参照)。
【0050】
図9Bに示すように、前枠20を中枠18に対し閉成すると、前枠基体部80の後面が上縁部48の前面に臨み、前記上縁部48の前面から突出した前側押圧部56bに回動作動部材120の被押圧突部136が当接して、該被押圧突部136が前方へ押圧される。これにより、回動体132が第2の捻りばね130の弾性力に抗して回動変位して、作用体134が移動を開始する。そして、作用体134が開放検知位置に位置する検知センサ116の板状片144に当接して、該板状片144を揺動変位させる(図20(b)参照)。図19(b)に示すように、前側押圧部56bによって被押圧突部136が第2ケース部124の凹状部124c内に押し込まれると、回動体132が第2位置に位置して作用体134がセンサ本体138に最近接する。これにより、板状片144は、センサ本体138の後面に対し平行な閉成検知位置に位置して、スイッチ140がセンサ本体138内に没入し、検知センサ116が閉成検知状態に切り替わる。
【0051】
このように、中枠18が外枠12に対し閉成した状態では、押圧部材56が作動位置に位置しているから、前枠20を中枠18に対し閉成した際に、押圧部材56により回動体132を第2位置に確実に回動変位させることができる。これにより、検知センサ116が閉成検知状態に切り替わり、前枠20、中枠18および外枠12(すなわち、第1の枠体12および第2の枠体14)の閉成を確実に検知することができる。また、図19(a),(b)に示すように、検知センサ116は、センサ本体138や板状片144がケース体118に収容されているから、塵埃等がセンサ本体138のスイッチ140や板状片144等に付着し難くなり、該検知センサ116に不具合が発生するのを抑制し得る。特に、前枠20を開放した状態で清掃等のメンテナンスをする際に、作業者が検知センサ116のスイッチ140や板状片144等に触れてしまい、これらの部材が破損するのを防止することができる。
【0052】
ここで、図20(b),(c)に示すように、閉成検知位置での板状片144と最終接線L2とがなす角度β(0°)は、開放検知位置での板状片144と初期接線L1とがなす角度αより小さくなる。すなわち、作用体134が板状片144に作用する力は、作用体134が板状片144に最初に当接したとき(図20(b))を最大として、回動体132が回動変位するにつれて次第に小さくなる。そして、回動体132が第2位置に到来したとき(図20(c))に、作用体134が板状片144に作用する力が最も小さくなる。従って、前枠20を中枠18に対し強い力で閉成したとしても、回動体132が第2位置に位置したときに板状片144に加わる負荷が軽減されるから、板状片144や検知センサ116が破損したり、検知センサ116に不具合が発生したりするのを好適に抑制することができる。しかも、実施例では、閉成検知位置での板状片144は、前記最終接線L2と平行に延在するようになる。そのため、回動体132が第2位置に位置した状態で更に回動体132に負荷が加わったとしても、作用体134は板状片144に対し離間する方向へ移動することになる。すなわち、回動体132が第2位置に位置した状態で更に回動体132が回動したとしても、作用体134から板状片144に作用する力はむしろ小さくなるので、板状片144や検知センサ116が破損するのを好適に防止することができる。
【0053】
〔第1係合部78および第2係合部106の係合について〕
次に、前枠20を中枠18に対し閉成した際に、第1係合部78および第2係合部106が係合する場合について説明する。なお、前枠20が中枠18に対し開放した状態では、図16(a)に示す如く、第2係合部106は、付勢ばね112の弾性力により係合位置に位置している。前枠20を回動させて中枠18に対し閉成すると、前記保護部材84の本体板部84aが中枠18の斜状凹部74を前側から閉塞すると共に、シールド板100の延出体100bが内レール16cに重なるよう該内レール16cに沿って延在する。また、第1係合部78の先端部が挿入口102を介して収容部84cに挿入する。ここで、前枠20は、左端部側が中枠18に軸支されているため、前枠20自体の荷重により左側から右側へ向けて僅かに下方傾斜した状態にある。このため、第1係合部78が挿入口102に挿入する際に、該挿入口102の上縁部に第1係合部78が接触する虞がある。そこで、図15(a)に示すように、挿入口102の上縁部に案内部材104の案内面104bが臨むよう構成して、第1係合部78が挿入口102に挿入する際に、第1係合部78の上部側が案内面104bに摺動するようになっている。その際、第1係合部78の先端部は、後方から前方に向けて先細り形状とされているから、第1係合部78の先端部が案内面104bを押し上げながら挿入することになる。その結果、前枠20が僅かに持ち上げられて、第1係合部78を挿入口102の上縁部に接触することなく挿入させることができ、保護部材84が破損するのを防止し得る。しかも、図11に示す如く、挿入口の上縁部は、前枠20の回動軸側(すなわち、左側)に向けて拡がるよう形成されているから、第1係合部78が挿入口102の上縁部に更に接触し難くしている。
【0054】
第1係合部78が挿入口102に挿入すると、該第1係合部78の先端部が係合位置に位置する第2係合部106の左縁部に当接し、図17(a)に示すように、第1係合部78の先端部によって、第2係合部106が解除位置(右方)に向けて移動される。そして、第1係合部78の先端部が第2係合部106を通過した際に、該第2係合部106が付勢ばね112の弾性力により係合位置に復帰して第1係合部78の係合溝78aに係合する(図17(b)参照)。すなわち、前枠20は、回動軸側(左端部側)および施錠側(右端部側)が中枠18に固定されると共に、第1および第2係合部78,106の係合により、前枠20の左右方向の中央部側が中枠18に固定されることになる。このため、前枠20を前方へ引っ張ったとしても、該前枠20を中枠18に対し離間させることは殆ど不可能となるから、前枠20および中枠18の間に隙間を形成して、針金等を挿入する不正行為を防止することができる。しかも、図1に示すように、第1係合部78および第2係合部106は、球皿部材82の後方で係合するから、遊技者が球皿部材82を掴んで前方に引っ張った場合に、前枠20が中枠18に対し離間するのを好適に防止することができる。
【0055】
しかも、前枠20を中枠18に対し離間することが不能となることで、前記シールド板100の延出体100bを内レール16cから離間させて、該延出体100bと内レール16cとの間に隙間を形成することが不可能となる。これにより、ファール球回収口79を介して発射通路16d内に侵入させた不正器具を延出体100bと内レール16cとの隙間から遊技領域16a側へ差し込んで、入賞装置等に対し不正行為を行うことが不能となる。なお、第2係合部106は、付勢ばね112により係合位置に位置するよう付勢されるので、第1および第2係合部78,106を確実に係合させることができると共に、衝撃等によって第1および第2係合部78,106の係合が勝手に解除されるのを防止し得る。ここで、図15(b)に示すように、第1係合部78が挿入口102に挿入した状態では、案内部材104の案内面104bが第1係合部78の上部に当接した状態となる。これにより、第1係合部78で前枠20の荷重を支持することができるから、前枠20が自重で斜め下方へ傾斜するのを防止することできる。
【0056】
〔前枠20が閉成した状態の中枠18を外枠12に対し閉成する場合について〕
次に、図2に示すように、前枠20が中枠18に対し閉成した状態で、中枠18を外枠12に対し閉成する場合について説明する。なお、中枠18が外枠12に対し開放し、かつ前枠20が中枠18に対し閉成した状態では、押圧部材56が非作動位置に位置して後側押圧部56cが蓋通孔部68aを介して後方に突出している(図2参照)。その結果、回動体132が第1位置に位置して、検知センサ116は開放検知状態とされる(図19(a)参照)。中枠18を外枠12に対し閉成すると、上縁部48の後面が外枠12の上縁枠部12aの前面に当接し、該上縁枠部12aの前面により後側押圧部56cが前方へ押圧される。これにより、図9Bに示すように、押圧部材56が非作動位置から作動位置に向けて前方へスライドして、前側押圧部56bが中枠通孔部58を介して前方へ突出する。このとき、押圧部材56は、係合部66が案内リブ64に摺動案内されるから、押圧部材56は、スムーズにスライドすることできる。しかも、押圧部材56の板部材56aの上縁部に設けた逃し凹部56dにより、押圧部材56と収容凹部54との摩擦抵抗が軽減されるから、押圧部材56がスライドする途中で停止してしまうのを防止することができる。前側押圧部56bが前方へ突出することで、回動作動部材120の被押圧突部136が押圧され、回動体132が第1位置から第2位置に回動変位する。これにより、図19(a),(b)に示す如く、作用体134が板状片144を開放検知位置から閉成検知位置に揺動変位させて、検知センサ116が開放検知状態から閉成検知状態に切り替わる。このように、前枠20、中枠18および外枠12を全て閉成した場合に、検知センサ116が閉成検知状態に切り替えられるから、これらの枠部材20,18,12(すなわち、第1の枠体12および第2の枠体14)の閉成状態を確実に検知することができる。
【0057】
なお、外枠12に対して開放した状態の中枠18に対し、前枠20を閉成したとしても、コイルばね62,62の弾性力により押圧部材56は非作動位置に保持されているから、回動体132が回動変位することなく、検知センサ116は開放検知状態に維持される。従って、中枠18が外枠12に対して開放しているのにも拘わらず、検知センサ116が閉成検知状態に切り替わることはないから、中枠18の外枠12に対する開放を確実に検知することができる。
【0058】
次に、前枠20、中枠18および外枠12が閉成した状態(第1の枠体12および第2の枠体14が閉成した状態)において、前枠20または中枠18を開放する場合について説明する。
【0059】
〔前枠20が閉成した状態の中枠18を外枠12に対し開放する場合について〕
前枠20が閉成した状態の中枠18を外枠12に対して開放させる場合には、解錠操作部46の鍵孔に挿入した解錠カギを一方向へ回動させて、第1作動部材30の中枠係合片30aおよび外枠12の外枠係合片28の係合を解除する。そして、中枠18を前枠20と共に手前に引くことで、中枠18を外枠12に対し開放させる(図2参照)。中枠18が外枠12に対し開放すると、中枠18の上縁部48が外枠12の上縁枠部12aの前面から離間して、押圧部材56の後側押圧部56cに対する上縁枠部12aの押圧が解除される。これにより、図10に示すように、押圧部材56がコイルばね62の弾性力により作動位置から非作動位置に復帰する。
【0060】
押圧部材56が非作動位置にスライドすることで、回動体132は、第2の捻りばね130の弾性力により第2位置から第1位置に回動変位される。これにより、図19(a)に示す如く、板状片144が閉成検知位置から開放検知位置に揺動変位して、検知センサ116が開放検知状態に切り替わる。このように、前枠20が閉成した状態の中枠18を外枠12に対し開放させると、押圧部材56が回動作動部材120に対し作用しなくなるから、検知センサ116が開放検知状態に切り替わって、中枠18の外枠12に対する開放を確実に検知することができる。
【0061】
〔外枠12に対し閉成した状態の中枠18に対し前枠20を開放する場合について〕
次に、外枠12に対し閉成した状態の中枠18に対して、前枠20を開放する場合について説明する。前枠20を中枠18に対し開放する場合には、解錠操作部46の鍵孔に挿入した解錠カギを他方向に回動操作する。これにより、図12(c)に示すように、解錠操作部46の回動盤46bが回動して、第2作動片46dが第2作動部材92の係止凹部92dを押し上げる。これにより、第2作動部材92が支持案内部90に対し上方へスライドして、第2作動部材92は、ばね部材98の弾性力に抗して施錠位置から解錠位置まで変位する。第2作動部材92が解錠位置に変位すると、図8(b)に示すように、第2作動部材92の前枠係合片92bが突出係合片44のカギ部44aから離脱して、該前枠係合片92bおよびカギ部44aの係合が解除される。
【0062】
図16(b)に示すように、第2作動部材92が上方へスライドすることで、係止フック92cに連結されたワイヤ108が引っ張られ、付勢ばね112の弾性力に抗して第2係合部106を右方へスライドさせる。このとき、ワイヤ108は、案内部材104の案内路110cに摺動自在に保持されているから、ワイヤ108が前枠20や保護部材84の他の部材等に引っ掛かることなく、案内路110c内をワイヤ108がスムーズに移動することができる。しかも、ワイヤ108を案内路110c内に保持することで、塵埃等がワイヤ108に付着し難くなり、塵埃等によりワイヤ108の移動に支障が生じるのを抑制し得る。第2作動部材92が解錠位置に位置すると、第2係合部106が解除位置に移動して、第2係合部106の左縁部が第1係合部78の係合溝78aから離脱する。これにより、第1係合部78および第2係合部106の係合が解除されて、図3に示す如く、前枠20を中枠18に対して開放させることが可能となる。このように、第2係合部106を第2作動部材92にワイヤ108で連結することで、第2係合部106を第2作動部材92に連動させるようにしたから、解錠操作部46を回動操作させるだけの1つの操作により、第2作動部材92の解錠と、第1および第2係合部78,106の係合の解除とを同時になし得るから、前枠20の開放作業を効率的に行い得る。
【0063】
また、第2係合部106を解錠位置に位置した状態で、前枠20を前方に引っ張ると、該前枠20が中枠18に対し離間して、第1係合部78が挿入口102から離脱する。このとき、第1係合部78の上部が案内部材104の案内面104bを摺動するから、第1係合部78の係合溝78aが挿入口102の上縁部に引っ掛かることがなく、該挿入口102が破損するのを防止することができる(図15(a)参照)。また、前枠20を中枠18に対し開放させると、回動作動部材120の被押圧突部136が押圧部材56の前側押圧部56bから離間する。これにより、図19(a)に示すように、第2の捻りばね130の弾性力により、回動体132が第2位置から第1位置に向けて回動変位し、作用体134が円弧状に移動する。作用体134が移動することで、付勢手段の付勢力によりスイッチ140がセンサ本体138から突出する。このスイッチ140に押圧されて、板状片144が閉成検知位置から開放検知位置へ向けて揺動変位する。そして、図19(a)に示すように、回動体132が第1位置に位置すると、板状片144が開放検知位置に位置し、検知センサ116が開放検知状態に切り替わる。このように、実施例では、前枠20を中枠18に対し開放した場合においても、押圧部材56が回動作動部材120に作用しなくなるので、検知センサ116が開放検知状態に切り替わって前枠20の中枠18に対する開放を確実に検知することができる。
【0064】
なお、前枠20が中枠18に対し開放した状態で中枠18を外枠12に対して開放させる場合には、第1作動部材30の中枠係合片30aおよび突出係合片44のカギ部44aの係合を解除させ、中枠18の右端部を前方に引くことで実行される。この場合、前枠20が中枠18に対し開放して回動体132が第1位置に位置しているから、検知スイッチ140は開放検知状態に維持される。
【0065】
〔変更例〕
なお、前述した実施例は、以下に示す通り、種々の変更が可能である。
(1)実施例では、閉成検知位置での板状片と最終接線とがなす角度βが0°(すなわち、板状片と最終接線が平行)となるよう構成したが、角度βは、必ずしも0°となる必要はない。すなわち、開放検知位置での板状片と初期接線とがなす角度αよりも小さな値であれば、角度βを例えば10°等に設定してもよい。
(2)実施例では、開放検知位置での板状片と初期接線とがなす角度αの値は、好ましくは30°〜70°、更に好ましくは40°〜50°の範囲内に設定されて、板状片に大きな負荷が掛かるのを防止していた。しかしながら、前記角度αの値を大きくすることで(例えば75°以上)、作用体が板状片に速く作用するようになり、板状片を迅速に揺動変位させることができる。これにより、検知手段を素早く切り替えることができ、該検知手段の応答性を高めることができる。
(3)実施例では、閉成検知位置での板状片が最終接線と平行に延在するよう構成することで、第2位置の回動体132に対し更に負荷が加わった場合でも、板状片に作用する負荷を軽減するようにした。しかしながら、板状片は、必ずしも、最終接線と平行に延在する必要はなく、図21に示すように、閉成検知位置での板状片144が作用体の回動軌跡Cに対し、最終当接点P2以外の交点P3を有するように延在していてもよい。換言すれば、回動体132が第2位置に位置したときに、作用体134が板状片144に最も近接する位置を通過して停止する構成としてもよい。この場合においても、第2位置の回動体132に対し更に負荷が加わったとしても、作用体134は、板状片144から離間する方向に移動するので、板状片144や検知センサに加わる負荷を軽減することができる。
(4)実施例では、第2の枠体を中枠および前枠で構成し、前枠、中枠および外枠が相対的に開放する構成としたが、必ずしも、第2の枠体を2つの部材で構成する必要はない。例えば、中枠を第1の枠体、前枠を第2の枠体として捉え、検知手段により前枠および中枠のみの開閉状態を検知する構成としたり、外枠を第1の枠体、中枠を第2の枠体として捉え、検知手段により中枠および外枠の開閉状態を検知する構成としてもよい。この場合、押圧部材は不要となる。
(5)実施例では、前枠(第2枠部)にケース体(検知手段)を配設したが、外枠(第1の枠体)にケース体(検知手段)を配設してもよい。この場合、押圧部材は、前枠(第2枠部)が中枠(第1枠部)に対し閉成したときに作動位置に位置し、前枠(第2枠部)が中枠(第1枠部)に対し開放したときに非作動位置に位置するよう設定される。そして、押圧部材が作動位置では、押圧部材(後側押圧部)が外枠(第1の枠体)側(後方)に突出する構成とし、押圧部材が非作動位置では、押圧部材(前側押圧部)が前枠(第2枠部)側(前方)に突出する構成とされる。そして、中枠(第1枠部)が外枠(第1の枠体)に対し開放した際に、作動部材(回動作動部材)が第1位置に位置し、前枠(第2枠部)、中枠(第1枠部)および外枠(第1の枠体)を閉成した際に、押圧部材により作動部材が第2位置に変位する構成としてもよい。
(6)実施例では、中枠(第2枠部)が外枠(第1の枠体)に対し開閉すると共に、前枠(第2枠部)が中枠(第1枠部)に対し開閉する構成としたが、外枠(第1の枠体)が中枠(第1枠部)に対し開閉する構成としたり、中枠(第1枠部)が前枠(第2枠部)に対し開閉する構成としてもよい。
(7)実施例では、第1係合部を中枠(本体部)に設け、第2係合部を前枠(開閉部材)に設けたが、第1係合部を前枠(開閉部材)に設け、第2係合部を中枠(本体部)に設けてもよい。
(8)実施例では、第2係合部をリンク手段で作動部材に連結して、第2係合部を作動部材に連動する構成としたが、必ずしも、第2係合部を作動部材に連動させる必要はなく、第1および第2係合部の係合を解除する機構を別途設けてもよい。
(9)実施例では、第2係合部が係合位置から解除位置に変位する構成としたが、第1係合部および第2係合部が相対的に変位する構成であればよい。すなわち、第1係合部が変位する構成としたり、第1係合部および第2係合部の双方が変位する構成を採用することができる。
(10)実施例では、リンク手段として可撓性を有するワイヤを採用したが、例えば、リンク手段として、作動部材と第1係合部または第2係合部とを連結するリンク棒等の公知のリンク機構を採用することができる。
(11)実施例では、棒状の第1係合部が板状の第2係合部と係合する構成としたが、第1係合部および第2係合部は、前枠(開閉部材)および中枠(本体部)を固定し得る構成であれば、公知の係合構造を採用することができる。
(12)実施例では、第1係合部が挿入口(凹部)に挿入する構成としたが、必ずしも第1係合部が挿入口に挿入する必要はなく、挿入口を省略してもよい。
(13)実施例では、前枠および中枠の左右の略中央位置で第1係合部および第2係合部が係合する構成としたが、第1係合部および第2係合部の係合位置は、左右に若干偏倚していてもよい。
(14)実施例では、前枠および中枠の左端部側にヒンジ部を設け、右端部側に施錠手段を設けたが、ヒンジ部および施錠手段が左右逆であってもよい。
(15)実施例では、上下左右の枠部材を組み付けて中枠を構成したが、中枠を一体物で構成してもよい。同様に、上下左右の枠部材から外枠を構成したが、外枠を一体もので構成することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
12 外枠(第1の枠体)
14 第2の枠体
116 検知センサ(検知手段)
132 回動体
134 作用体
144 板状片
P1 初期当接点
P2 最終当接点
L1 初期接線
L2 最終接線
C 回動軌跡
α 開放検知位置での板状片と初期接線とがなす角度
β 閉成検知位置での板状片と最終接線とがなす角度
P3 交点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の枠体と、該第1の枠体に対し相対的に開閉可能な第2の枠体と、第1および第2の枠体の相対的な開閉状態を検知する検知手段とを備えた遊技機において、
前記検知手段に設けられ、該検知手段を閉成検知状態とする閉成検知位置および検知手段を開放検知状態とする開放検知位置に変位可能な板状片と、
第1位置および第2位置に回動変位するよう構成され、前記第1の枠体および第2の枠体が相対的に開放した際に第1位置に位置すると共に、第1の枠体および第2の枠体が閉成した際に第2位置に位置する回動体と、
前記回動体に設けられ、該回動体が第1位置では、前記板状片が開放検知位置に位置するのを許容すると共に、回動体が第1位置から第2位置に回動変位した際に円弧状に移動して、板状片を閉成検知位置に変位させる作用体とを備え、
前記回動体が第1位置から第2位置に回動変位する際に、前記作用体が板状片に最初に当接した位置を初期当接点とし、回動体が第2位置に回動変位したときの作用体の位置を最終当接点とし、作用体の回動軌跡の初期当接点における接線を初期接線とし、作用体の回動軌跡の最終当接点における接線を最終接線とした場合に、
閉成検知位置での板状片と前記最終接線とがなす角度は、開放検知位置での板状片と前記初期接線とがなす角度より小さくなるよう構成した
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
閉成検知位置での板状片は、前記最終接線と平行または前記回動軌跡に対し前記最終当接点以外の交点を有するよう延在している請求項1記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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