説明

遊技機

【課題】記憶媒体素子の美的外観を損なうことがなく、且つ、製造コストを上昇させることもなく、記憶媒体素子の不正交換防止が図れる遊技機の提供
【解決手段】認証用データ取得部44A で得た認証用データを記憶する第1RAM31及び第2RAM32と、第1RAM31及び第2RAM32の記憶値を相互に比較し、両者が相違すると異常信号を出力する異常判定部44B とを設け、ROM17の電力中継端子17A, 17Bを通じて電力を第2RAM32に供給する。すると、ROM17が取り外されると、第2RAM32は、電力供給が途絶え、記憶内容が失われ、異常判定部44B から異常信号が出力される。これにより、ROM17への巻き付け電線が不要となり、電線巻付の手間や時間が不要となって、製造コスト上昇を防止できるうえ、ROM17の美的外観も損なわれない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技の進行に伴って動作する遊技装置と、着脱可能に設けられた記憶媒体を有するとともに前記遊技装置の動作を制御する制御回路が形成された制御基板とを備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スロットマシン等の遊技機は、遊技を行うのに必要な遊技装置、遊技装置の動作を制御する制御回路を有する主制御装置、遊技の演出を行う液晶表示装置等の演出装置の動作を制御する制御回路を有する副制御装置、及び、遊技装置及び制御基板に電力を供給する電源装置等を備えたものとなっている。
このうち、主制御装置及び副制御装置等の制御装置は、遊技動作を制御するプログラムを記憶したROM、及び、高速演算機能を有するLSI等からなるCPU等のハードウェアを備え、ROMに記憶されたプログラム等のソフトウェアをCPUで実行することで制御を行うものとなっている。
このため、メダル等の遊技媒体を容易に獲得することができる不正なプログラムが書き込まれたROMに交換されると、多量の遊技媒体が不正に獲得されてしまう。
【0003】
このような不正行為を防止するために、制御装置の主要部である制御回路が形成された回路基板を収納する箱状の基板ケースを設け、内部に回路基板を入れて閉じた基板ケースを封印、又は、封止しするようにした遊技機が知られている。
このような遊技機では、ROMの交換のために、基板ケースを開く際に、封印を剥がす又は封止を破ると、その痕跡が物理的に残るようになっており、この痕跡によってROMが交換されたことが判別でき、これにより、ROMの不正交換防止を図る物理的対策が講じられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような痕跡に基づく物理的な対策では、封印を剥がす、又は、封止を解除する際に、痕跡が残らないように丁寧な処理を行うと、痕跡の発見が難しくなり、視認がしにくくなり、ROMの不正交換防止が十分に図れないおそれがある。
さらに、各メーカーでは、遊技機の部品は汎用性や量産性を高められ、基板ケースについても、その金型が複数機種にわたって共通とされているため、金型のデッドコピーによって偽物基板ケースが製作され、この偽物基板ケースよる大規模な不正行為が行われるおそれがある。
【0005】
そこで、ICソケットにROMを取り付け、この状態でROM及びICソケットに電線を巻き付け、ROMを取り外すと、電線が断線するようにしておき、さらに、この断線を検出する電気回路である断線検出部を設け、ROMが取り外されると、電線が断線し、断線検出部からその旨を示す断線信号を出力させ、これにより、ROMの不正交換防止を図る電気的対策が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このような電線の切断に基づく電気的な対策では、遊技機の電源OFF時に、電線が断線したことを断線検出部に検出させるとともに、制御装置に設けられているRAMに、断線信号が出力されたことを記憶させるために、断線検出部及びRAMに電力を、常に、供給するためのバックアップ電源が用意されている。これにより、遊技機の停止時、すなわち、遊技機の電源OFF時に、制御装置のROMが取り外されると、電線が断線し、断線検出部から断線信号が出力され、断線信号が出力されたことがRAMに記憶される。
そして、遊技機が起動されると、ROMが不正交換されたことが遊技機の液晶表示装置等を通じて報知されるので、これにより、ROMの不正交換が報知可能となり、ROMの不正交換よるメダルの不正獲得が防止できるようになる。
【0006】
上述のような電線の切断に基づく電気的な対策によれば、ROMが取り外されたことを電線の断線で検出するので、基板ケースに施した封印を剥がす又は封止を破ることにより生じる痕跡が生じなくとも、また、偽物基板ケースを利用したとしても、ROMが不正に交換されたことを検出し報知することが可能となり、ROMの不正交換よってメダルの不正獲得を未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−19310号公報
【特許文献2】特開2009−82454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のような電線の切断に基づく電気的な対策が施された遊技機では、ROM等の記憶媒体素子を制御基板に取り付けるにあたり、記憶媒体素子に電線を巻き付ける必要があり、この記憶媒体素子に電線を巻き付ける作業に手間と時間がかかるので、制御基板の製造コストを上昇させる、ひいては、遊技機自体の製造コストをも上昇させる、という問題がある。
また、遊技機の制御基板は、透明な基板ケースに収納され、遊技機の扉等を開けて内部が視認できる状態にすると、記憶媒体素子も視認可能となり、遊技者等が見る機会も少なくなく、電線が巻き付けられた記憶媒体素子は、その美的外観が損なわれ、見苦しいものとなるので、この点を改善したい、という要望もある。
【0009】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、記憶媒体素子の美的外観を損なうことがなく、且つ、製造コストを上昇させることもなく、記憶媒体素子の不正交換防止が図れる遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載された発明は、遊技の進行に伴って動作する遊技装置(4E)と、着脱可能に設けられた記憶媒体素子(17)を有するとともに前記遊技装置(4E)の動作を制御する制御回路が形成された制御基板(16)とを備えた遊技機(1)であって、認証用データを取得する認証用データ取得手段(44A) と、この認証用データ取得手段(44A) によって取得された認証用データを記憶するとともに、電力供給が途絶えると、記憶した内容が失われる揮発性記憶媒体である第1揮発性記憶媒体(31)及び第2揮発性記憶媒体(32)と、前記第1揮発性記憶媒体(31)及び前記第2揮発性記憶媒体(32)のそれぞれに記憶されている認証用データである第1記憶値及び第2記憶値を比較し、その結果に基づいて異常信号を出力する異常判定部(44B) と、前記第1揮発性記憶媒体(31)及び前記第2揮発性記憶媒体(32)に独立して電力を供給することが可能な電力供給源(33)とが設けられ、前記記憶媒体素子(17)には、当該記憶媒体素子(17)の内部で互いに電気的に導通し、前記電力供給源(33)からの電力を一方から他方へ導くように形成された二つの電力中継端子(18A, 18B)が設けられ、前記電力供給源(33)の電力を前記第2揮発性記憶媒体(32)に導く電力供給ライン(34)は、前記電力供給源(33)から前記記憶媒体素子(17)の前記二つの電力中継端子(18A, 18B)を通って、前記第2揮発性記憶媒体(32)に達していることを特徴とする。
【0012】
(請求項2)
(特徴点)
請求項2記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項2に記載された発明は、遊技の進行に伴って動作する遊技装置(4E)と、着脱可能に設けられた記憶媒体素子(19)を有するとともに前記遊技装置(4E)の動作を制御する制御回路が形成された制御基板(16)とを備えた遊技機(1)であって、認証用データを取得する認証用データ取得手段(44A) と、この認証用データ取得手段(44A) によって取得された認証用データを記憶するとともに、電力供給が途絶えると、記憶した内容が失われる揮発性記憶媒体である第1揮発性記憶媒体(31)及び第2揮発性記憶媒体(32)と、前記第1揮発性記憶媒体(31)及び前記第2揮発性記憶媒体(32)のそれぞれに記憶されている認証用データである第1記憶値及び第2記憶値を比較し、その結果に基づいて異常信号を出力する異常判定部(44B) と、前記第1揮発性記憶媒体(31)及び前記第2揮発性記憶媒体(32)に独立して電力を供給することが可能な電力供給源(33)とが設けられ、前記記憶媒体素子(19)は、当該記憶媒体素子(19)の内部で互いに電気的に導通しているとともに、前記制御回路のグランドに接続可能となった、少なくとも二つのグランド端子(19A, 19B)を備えたものであり、前記電力供給源(33)の電力を前記第2揮発性記憶媒体(32)に導く電力供給ライン(34)は、前記電力供給源(33)から前記第2揮発性記憶媒体(32)を通って、前記記憶媒体素子(19)の一のグランド端子(19A) に接続され、前記記憶媒体素子(19)の別のグランド端子(19B) からグランドに接続されているものとなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下のような効果が得られる。
すなわち、本発明によれば、認証用データ取得手段によって取得された認証用データをそれぞれ第1揮発性記憶媒体及び第2揮発性記憶媒体に記憶させ、第1揮発性記憶媒体及び第2揮発性記憶媒体に記憶された第1記憶値及び第2記憶値を異常判定部で比較し、その結果に基づいて異常信号を出力するようにしたので、第2揮発性記憶媒体への電力供給が途絶えると、第2揮発性記憶媒体から取り出される第2記憶値の値が、第1揮発性記憶媒体の第1記憶値との値とは異なるものとなる。ここで、記憶媒体素子が取り外されると、第2揮発性記憶媒体への電力供給が途絶えるようにしたので、異常判定部から異常信号が出力され、これにより、記憶媒体素子の不正交換が報知可能となり、記憶媒体素子の不正交換防止が図れる。
従って、記憶媒体素子の不正交換を報知するにあたり、記憶媒体素子に巻き付けられる電線は不要となるので、記憶媒体素子に電線を巻き付ける手間や時間が不要となり、制御基板の製造コストを上昇させたり、遊技機自体の製造コストを上昇させたりすることがなく、しかも、記憶媒体素子の美的外観が損なわれることもなく、以上により、前記目的が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の全体を示す正面図である。
【図2】前記実施形態に係る筐体内部を示す正面図である。
【図3】前記実施形態に係る副基板ケースを示す斜視図である。
【図4】前記実施形態に係る副基板ケースを示す分解斜視図である。
【図5】前記実施形態に係る副制御基板の要部を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る副制御基板の要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態である実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
(スロットマシン1の概要)
図1には、本発明の第1実施形態に係る遊技機としてのスロットマシン1が示されている。図1において、スロットマシン1は、三個の回転リール11の各々に記された複数種類の図柄が所定の組み合わせとなるように、回転している回転リール11を停止させる遊技を行うものである。このスロットマシン1には、図1に示すように、当該スロットマシン1の各種装置を収納するとともに、正面形状が長方形となった筐体2が備えられている。
筐体2は、前面全体が開口された箱状の部材である。そして、筐体2の前面開口は、当該筐体2に回動可能に取り付けられた前扉3で塞がれるようになっている。なお、前扉3は、閉じられると、自動的に施錠されるようになっている。
【0016】
前扉3は、その前面をほぼ二分する上部パネル部4及び下部パネル部5を備えたものとなっている。そして、下部パネル部5の下方には、入賞時に払い出されるメダルを貯留する受皿部6Aが一体成形された受皿ユニット6が設けられている。また、また、上部パネル部4と下部パネル部5との間には、遊技に係る操作を行うための操作卓7が遊技者側に突出するように形成されている。
ここで、上部パネル部4及び下部パネル部5は、意匠的に優れた外観を確保するために、合成樹脂製の化粧板が表面に張り付けられたものとなっている。
【0017】
(上部パネル部4)
上部パネル部4には、図1中、操作卓7の上方且つ幅方向の中央部分において長方形状に形成された表示窓4Aが設けられている。
ここで、筐体2内部に設けられた三個の回転リール11の各々は、その外周面に複数種類の図柄(図示略)が記されている。そして、各回転リール11の図柄は、筐体2の外部から表示窓4Aを通して目視可能となっている。
【0018】
上部パネル部4の上端縁部分には、正面形状が逆台形状に形成された演出用照明装置4Bが設けられている。この演出用照明装置4Bは、上部パネル部4の上端縁部分のほぼ中央に配置されている。演出用照明装置4Bの両端部は、上部パネル部4の角隅部分まで達することなく、その手前の位置で途切れたものとなっている。
また、上部パネル部4の上側における両角近傍には、正面形状が湾曲した帯状に形成されるとともに、漢数字の「八」を描く一対の演出用照明装置4Cが設けられている。これらの演出用照明装置4Cの各々は、その上端部が演出用照明装置4Bの端部近傍に配置されるとともに、その下端側の部分が上部パネル部4の側縁へ向かって斜め下方に延びたものとなっている。
さらに、上部パネル部4の両方の側縁には、演出用照明装置4Cの下端に接続された別の演出用照明装置4Dがそれぞれ設けられている。これらの演出用照明装置4Dの各々は、演出用照明装置4Cと同様に、上下方向に細長い帯状に形成されたものであり、演出用照明装置4Cの下端から、上部パネル部4の側縁に沿って延び、操作卓7の直近まで達するものとなっている。
これらの演出用照明装置4B〜4Dの各々は、赤色のレンズの内部に配置された高輝度発光ダイオード等の光源を備え、遊技の進行に応じて、その光源の点灯又は点滅により、遊技における視覚的な演出効果を高めるものである。
【0019】
表示窓4A及び演出用照明装置4Bの間には、遊技の演出用画像を表示する液晶表示装置4Eが設けられている。この液晶表示装置4Eは、動画を含む様々な画像を、遊技の進行に応じて表示するものである。
液晶表示装置4Eの両側には、遊技に係る効果音を発生するスピーカを備えた音声出力部4Fがそれぞれ設けられている。
【0020】
(操作卓7)
操作卓7は、遊技における操作に必要な各種のスイッチ類が配置されたものである。
すなわち、操作卓7における図1中右端の部分には、前扉3の施錠を解除するための鍵が挿入される鍵穴7Aが設けられている。この鍵穴7Aの左斜め上方には、メダルを投入するためのメダル投入口7Bが開口されたメダル投入部7Cが設けられている。
メダル投入口7Bの左斜め下方には、三個の回転リール11のそれぞれを停止させる際に操作される三個のストップスイッチ7Dが設けられている。これら三個のストップスイッチ7Dのうち、左端に配置されているストップスイッチ7Dの左斜め上方には、一度の操作で最大枚数のメダルを賭けることができるマックスベットスイッチ7Eが設けられている。
また、左端のストップスイッチ7Dの左方であって、マックスベットスイッチ7Eの左斜め下方の位置には、三個の回転リール11を一斉に回転させる際に操作されるスタートレバー7Fが設けられている。このスタートレバー7Fの左斜め上方には、1回の操作で貯留されているメダルを1枚賭けることのできる、換言すると、メダルを1枚ずつ賭ける際に操作されるベットスイッチ7Gが設けられている。
さらに、ベットスイッチ7Gの左斜め下方には、精算時に貯留されているメダルを払い出させる精算スイッチ7Hが設けられている。
【0021】
(下部パネル部5及び受皿ユニット6)
下部パネル部5には、スロットマシン1のモデルタイプを表す象徴するキャラクター等が描かれたパネル5Aが設けられている。
受皿ユニット6には、メダルを貯留する前述の受皿部6Aに加えて、入賞時に受皿部6Aへ向かって払い出されるメダルを排出させるメダル払出口6Bと、遊技に係る効果音を発生するスピーカを備えた音声出力部6Cとが設けられている。
【0022】
(筐体2に収納されている内部装置)
次いで、筐体2の内部に設けられている内部装置について簡単に説明する。
筐体2の内部には、図2に示すように、スロットマシン1の遊技動作を制御するマイクロコンピュータからなるCPUを備えた主制御基板15を内蔵する主基板ケース2D、三個の回転リール11が回転自在に支持するとともに、これらの回転リール11のそれぞれを駆動する図示しないモータを備えたリールユニット10、内部に多数のメダルを貯留させる容器部12Aを備えるとともに受皿部6Aに向かってメダルを排出するホッパユニット12、及び、これらの装置に電力を供給する電源装置13等が設けられている。
【0023】
このうち、リールユニット10は、それぞれが円筒状に形成された複数の回転リール11を有するものである。そして、これらの回転リール11の各外周面には、特に図示していないが、複数種類の図柄が記されている。
前扉3の裏側の面には、表側の面に配置された液晶表示装置4Eに対応して、液晶表示装置4E、演出用照明装置4B〜4D及び音声出力部4F, 6Cの動作を制御する後述の副制御基板16を内蔵する副基板ケース20が設けられている。
また、前扉3の裏側の面には、表側の面に開口されたメダル投入口7Bに対応して、投入されたメダルの適否を判定するメダルセレクタ14が設けられている。
【0024】
(主制御基板15)
以下に、主制御基板15について説明する。この主制御基板15は、その構成・機能が従来のものとほぼ同等なので、以下の説明では、その構成・機能の概略を述べる。
主制御基板15は、各種の処理を行うCPU、制御用のプログラムを記憶したROM、処理に必要なデータを記憶するRAM、及び、外部との信号の送受信を行うための送受信ポートを備えたI/O部等を備えたものとなっている。
このような主制御基板15は、遊技における当選役の抽選処理など、遊技動作に関する処理を中心的に行うものであり、主制御基板15の処理により決定された当選役の抽選結果、入賞結果及び遊技状態等の各種遊技情報を、適宜、副制御基板16に送信する機能を備えている。
主基板ケース2Dは、主制御基板15を収容し、上述した主制御基板15を不正から保護するために、後述する副基板ケース20と同様に、外部から主制御基板15へのアクセスが行われた痕跡が残るように所謂カシメによる封止部2Eを備えている。
【0025】
(副基板ケース20)
次に、前述の副基板ケース20について説明する。
すなわち、副基板ケース20は、図3及び図4に示すように、副制御基板16を内部に収納可能な箱状に形成された本体部21と、この本体部21を筐体2に取り付けるために、直方体状の箱状に形成された取付ベース22とを有するものとなっている。
【0026】
本体部21は、図4の如く、副制御基板16が取り付けられるベース部23と、ベース部23に取り付けられた副制御基板16の全面を覆う蓋部24とを有するものである。
これらのベース部23及び蓋部24は、内部に収納した副制御基板16の全体を覆って保護するものであり、図示しないネジで相互に接合されるようになっている。
【0027】
ベース部23は、長方形状の平面形状を有するものである。ベース部23の四つの角部23A 〜23D、及び、図4中上方の端縁中央部23E には、それぞれから蓋部24へ向かって突出するボス23F が設けられている。
このボス23F は、蓋部24側に設けられた後述する凹部24Fの底に形成されているネジ挿通孔(図示略)に挿通されるネジを螺合させ、これにより、蓋部24をベース部23に接合させるためのものである。
また、ベース部23における図4中左右の側縁部23G の各々には、その下端から側方へ突出する耳部23H と、その上端から側方へ突出する係止鉤部23J とが設けられている。なお、図4には、図4中、右方の側縁部23G に設けられた係止鉤部23J のみが記され、左方の係止鉤部23J については記載が省略されている。
耳部23H には、取付ベース22に螺合させる図示しないネジが挿通されるネジ挿通孔23K が形成されている。
係止鉤部23J は、取付ベース22側の後述する係止輪部22A と係合する、L字形に折れ曲がった部位である。なお、図4には、図4中、右方の耳部23H のネジ挿通孔23K のみが記され、左方のネジ挿通孔23K については記載が省略されている。
【0028】
蓋部24は、図4中、ベース部23に対向するとともにベース部23に応じた大きさの天井部24A を有している。この天井部24A は、図4中、右上の角部が欠けた長方形状のものとなっている。
天井部24A における残った三つの角部24B 〜24D 、及び、図4中上方の端縁中央部24E には、円筒状に凹んだ凹部24F が設けられている。この凹部24F の底には、ベース部23側のボス23F と螺合する図示しないネジが挿通される、図示しないネジ挿通孔が設けられている。
ここで、蓋部24における角部が欠けた部分は、二つの側面が交差する入隅部24G となっている。入隅部24G の二つの側面には、当該側面から突出するとともに、当該側面におけるベース部23側の端縁に沿った段付部24H が形成されている。
【0029】
このような入隅部24G には、当該入隅部に応じた形状に形成された結合部材25が嵌め込まれるようになっている。
結合部材25は、蓋部24に設けられているのと同じ凹部24F が形成されているとともに、段付部24H を係止する図示しない係止部が設けられている。
【0030】
また、蓋部24における入隅部24G の近傍部分には、その表面が周囲よりも凹んだ凹部24J が形成されている。この凹部24J には、特に図示しないが、その底部の裏側の面からベース部23側へ向かって突出するとともに、当該裏側の面の周縁に沿って筒状に形成された筒状部が設けられている。この筒状部の内部には、金属製等の電気伝導体からなる導電部26が嵌め込まれている。
【0031】
さらに、蓋部24における、図4中、開口部24J の下方の部位には、副制御基板16に設置されている後述するROM17を押圧するために、図4中、手前側の表面では凹んでいるとともに、その裏側では、副制御基板16側へ向かって膨出するように形成された押さえ部24K が設けられている。
そして、蓋部24の図4中左右の側縁部分には、副制御基板16に設けられた後述するコネクタ16A, 16Bを外部に露出させるためのコネクタ用開口部24L, 24Mが形成されている。
このうち、図4中左方の側縁部分に形成されているコネクタ用開口部24L は、図4中上下方向に細長く形成されたコネクタカバー部材27によって塞がれるようになっている。なお、コネクタカバー部材27には、当該コネクタ16A に接続される図示しないケーブルを外部へ取り出すためのケーブル挿通孔27A が形成されている。
【0032】
以上のようなベース部23及び蓋部24は、蓋部24の入隅部に結合部材25が嵌め込まれた状態で、蓋部24及び結合部材25に形成された凹部24F のネジ挿通孔にネジが挿通され、ネジ挿通孔に挿通されたネジがベース部23に設けられたボス23B に螺合されることで、互いに接合され、閉じられるようになっている。
この際、副制御基板16には、ベース部23に設けられたボス23B に対応して、ネジが挿通されるネジ挿通孔16C が形成され、ベース部23及び蓋部24を相互に接合するにあたり、ベース部23及び蓋部24の間に配置され、ベース部23及び蓋部24を相互に接合するネジがネジ挿通孔16C され、ベース部23及び蓋部24をネジで接合するのと同時に、ベース部23に接合され、その内部に固定されるようになっている。
【0033】
そして、ベース部23及び蓋部24を相互に接合するネジが内部に入った状態の凹部24F は、筒状のカシメ部材28で塞がれるようになっている。
これにより、ベース部23及び蓋部24を相互に接合するネジは、蓋部24における凹部24F の周辺部分、及び、カシメ部材28の少なくとも一方を破壊しないと、ボス23B への螺合を解除できないようになっている。
【0034】
取付ベース22は、図3中裏側を向いた面が開口された箱状に形成されたものである。取付ベース22は、裏側の開口から液晶表示装置4Eの液晶パネルがその内部に嵌め込まれ、当該液晶表示装置4Eの液晶パネルを収納するようになっている。
この取付ベース22には、図3中、左方の側縁及び右方の側縁のそれぞれから左方及び右方へ突出する耳部22C が設けられている。なお、図4には、図4中、右方の側縁に形成された耳部22C のみが記され、左方の右方の側縁に形成された耳部22C については記載が省略されている。
これらの耳部22C の各々は、前扉3の裏側に螺合させる図示しないネジを挿通させるために、図示しないネジ挿通孔が底部に形成された凹部22D を備えたものとなっている。
また、取付ベース22には、ベース部23側の耳部23H に形成されたネジ挿通孔23K に挿通された図示しないネジを螺合させるネジ孔22B と、ベース部23側の係止鉤部23J を係合させるために、リング状に形成された前述の係止輪部22A と、図3中左側のネジ孔22B の近傍に配置されるとともに、金属フイルム等の電気伝導体からなる導電部22E とが設けられている。
【0035】
本体部21は、ベース部23の係止鉤部23J が取付ベース22側の係止輪部22A に係止された状態で、耳部23H のネジ挿通孔23K に挿通された図示しないネジをネジ孔22Bに螺合させることで、取付ベース22に取り付けられるようになっている。
取付ベース22は、液晶表示装置4Eの液晶パネルを内部に収納した状態で、耳部22C に形成された図示しないネジ挿通孔に挿通されたネジを前扉3の裏側に螺合させることで、前扉3に取り付けられるようになっている。
そして、耳部22C の凹部22D は、前扉3に取付ベース22を接合するネジが内部に入った状態で、筒状に形成されたカシメ部材29で塞がれるようになっている。これにより、前扉3に取付ベース22を接合するネジは、耳部22C 及びカシメ部材29の少なくとも一方を破壊しないと、前扉3への螺合を解除できないようになっている。
【0036】
(副制御基板16)
副制御基板16は、前述の主制御基板15によって行われた遊技の動作に関する処理の結果に応じて、演出動作を制御するものである。
すなわち、主制御基板15は、前述したように、遊技における当選役の抽選処理等、遊技の動作に関する処理を行い、その結果である当選役の抽選結果、入賞結果及び遊技状態等の各種の遊技情報を含む制御指令信号を副制御基板16に送信するようになっている。
副制御基板16は、スロットマシン1の演出動作を行うための演出用装置、具体的には、演出用照明装置4B〜4D、液晶表示装置4E、及び、音声出力部4F, 6Cを制御する制御回路が形成されたものである。そして、副制御基板16は、主制御基板15からの制御指令信号に基づいて、演出用照明装置4B〜4D、液晶表示装置4E、及び、音声出力部4F, 6C等の演出用装置を制御するものとなっている。
このような副制御基板16は、図4中左右に並設された二つの処理部16D, 16Eを備えたものである。このうち、図4中、右側に配置された処理部16D は、演出用照明装置4B〜4D、液晶表示装置4E、及び、音声出力部4F, 6Cの演出動作を制御する動作処理部16D となっている一方、図4中、左側に配置された処理部16E は、液晶表示装置4Eに表示させる画像の処理を行う画像処理部16E となっている。
【0037】
動作処理部16D の図4中表側の面には、演出動作の制御に必要なプログラム及び演出動作制御用のデータの少なくとも一方が記憶された前述のROM17と、このROM17が着脱可能に固定するICソケット18と、蓋部24に設けられた導電部26の離隔を検出する渦巻状(蚊取り線香のような渦巻状)の配線パターンからなる離隔検出センサ16F と、ROM17の取り外しを監視するROM取外監視ユニット30と、図4には示していないが、演出動作における演算処理を行うCPU44とが設けられている。
【0038】
このうち、離隔検出センサ16F は、図示しない離隔監視IC及び画像処理部16E の図示しないCPUと協調して、導電部26の離隔を検出するものである。離隔監視IC及び前述のCPUは、離隔検出センサ16F とともに、蓋部24側の導電部26が離れていくことを検出するものであり、導電部26が離れた方向へ移動すると、離隔検出センサ16F からの信号に基づいて、蓋部24が開いたことを検出し、その旨を知らせる蓋部開信号を発信するように形成されている。
【0039】
以下に、離隔検出センサ16F で蓋部24が離れていくことを検出する原理について簡単に説明する。
すなわち、離隔監視ICには、特に図示しないが、所定の周波数の交流電流を発生する発振回路部と、離隔検出センサ16F の渦巻き状配線パターンに流れる交流電流の所定時間当たりの振動数をカウントするカウンタ部とが設けられ、画像処理部16E のCPUには、離隔監視ICのカウンタ部がカウントしたカウント値が所定範囲から逸脱すると、警報信号を出力する機能が設けられている。
ここで、導電部26が近接してている場合には、所定周波数の交流電流を離隔検出センサ16F に流通させると、導電部26の内部に渦電流が発生し、発生した渦電流が誘導によって離隔検出センサ16F にも流れ、所定周波数の交流電流に重畳して、離隔検出センサ16F に流れる交流電流の周波数を上昇する。この現象を利用して、蓋部24が開き、導電部26が離れると、離隔監視ICのカウンタ部がカウントしたカウント値が所定範囲から低下するんで、画像処理部16E のCPUで蓋部24が開いたことを検出することができる。
【0040】
動作処理部16D の図4中裏側の面には、取付ベース22に設けられた導電部22E の離隔を検出する渦巻状の配線パターンからなる離隔検出センサ16G が設けられている。
離隔検出センサ16G は、取付ベース22側の導電部22E が離れていくことを検出するものであり、離隔検出センサ16Fと同じ原理を利用している。このため、導電部22E が離れた方向へ移動すると、副基板ケース20の本体部21が取付ベース22から取り外されたことを報知するための本体部状態信号が画像処理部16E のCPUからCPU44へ送信されるようになっている。
【0041】
画像処理部16E の図4中表側の面には、液晶表示装置4Eの画像処理に必要なプログラム及び画像処理用のデータ等が記憶された画像処理用ROM16H と、液晶表示装置4Eの画面に表示されるキャラクタに関するデータが記憶されたキャラクタROM16J と、図4には示していないが、画像処理における演算処理を行うCPUとが設けられている。
【0042】
以上において、演出用照明装置4B〜4D、液晶表示装置4E、及び、音声出力部4F, 6Cは、遊技の進行に伴って動作する遊技装置となっている。
このうち、液晶表示装置4Eは、遊技の進行に伴って動作する遊技装置となっている。
また、ROM17は、ICソケット18を介して副制御基板16に取り付けられることによって、副制御基板16に着脱可能に設けられた記憶媒体となっている。
そして、副制御基板16は、着脱可能に設けられたROM17を有するとともに、演出用照明装置4B〜4D、液晶表示装置4E、及び、音声出力部4F, 6Cの動作を制御する制御回路が形成された制御基板となっている。
【0043】
(ROM取外検出部30)
ここで、副制御基板16には、図4に示していないが、ROM17の取り外しを検出するROM取外検出部30が設けられている。以下に、ROM取外検出部30について説明する。
ROM取外検出部30は、ROM17が取り外されたか否かを判定する演算手段として、動作処理部16D に設けられた前述のCPU44を利用するものである。
このROM取外検出部30には、図5に示すように、CPU44に加えて、ROM17が取り外されたか否かを検出するための認証用データを記憶する第1RAM31及び第2RAM32と、第1RAM31及び第2RAM32に電力を供給する二次電池33とが備えられている。
【0044】
CPU44は、ROM17が取り外されたことを検出するためのプログラム、及び、ROM17が取り外されたことを示す警報信号を出力するためのプログラム等の内蔵ソフトウェアと、この内蔵ソフトウェア、及び、ROM17に記憶されたプログラムを適宜実行するためのハードウェアとを備えた電子演算デバイスである。
このCPU44には、内蔵されたソフトウェアによって、認証用のデータを取得するための認証用データ取得部44A と、ROM17が取り外されたか否かの異常を判定する異常判定部44B がと形成されている。
【0045】
認証用データ取得部44A は、特に図示しないが、一定の周期で所定の電気パルスを発する発振器と、この発振器の発する電気パルスの数を計数する発振数カウンタとを備えたものである。
この認証用データ取得部44A は、スロットマシン1の電源投入により、発振器が発振を開始するとともに、発振数カウンタがランダムに設定された初期値からインクリメントを開始するようになっている。
そして、認証用データ取得部44A は、所定のタイミングで、例えば、電源投入の時点から所定時間が経過した時、遊技者が所定の操作を行った時、あるいは、電源が遮断された時に、発振数カウンタの計数値を認証用データとして取得する認証用データ取得手段となっている。
認証用データ取得部44A は、前述のようにして取得した認証用データを第1RAM31及び第2RAM32へ送出するように形成されている。
【0046】
ここで、第1RAM31及び第2RAM32のそれぞれは、認証用データ取得部44A よって取得された認証用データを記憶するとともに、電力供給が途絶えると、記憶した内容が失われる揮発性記憶媒体としての第1揮発性記憶媒体及び第2揮発性記憶媒体である。
【0047】
異常判定部44B は、第1RAM31及び第2RAM32のそれぞれに記憶されている認証用データである第1記憶値及び第2記憶値を所定の周期で比較し、その結果に基づいて異常信号を出力する異常判定部である。
そして、CPU44は、異常判定部44B が異常信号を出力すると、液晶表示装置4Eの画面にROM17が取り外されたことを示す警報画像を表示させるように形成されている。
なお、スロットマシン1の前扉3の前面に、ROM17が取り外されたことを報知するための警報報知用LEDを設け、スロットマシン1の電源投入と同時に、警報報知用LEDを点灯させ、異常判定部44B が異常信号を出力すると、CPU44が警報報知用LEDを点滅させるように形成してもよい。
【0048】
二次電池33は、第1RAM31及び第2RAM32に独立して電力を供給することが可能な電力供給源である。
具体的には、二次電池33は、電源装置13のON状態となっている時、電源装置13からの電力で充電されるとともに、電源装置13からの電力をそのまま第1RAM31及び第2RAM32に供給するように形成されたものとなっている。
一方、二次電池33は、電源装置13のOFF状態となっている時、あるいは、停電時、蓄えられた電力を第1RAM31及び第2RAM32に供給するものとなっている。
【0049】
以上において、ROM17には、当該ROM17の内部で互いに電気的に導通し、二次電池33からの電力を一方から他方へ導くように形成された二つの電力中継端子17A, 17Bが設けられている。
二次電池33の電力を第2RAM32に導く電力供給ライン34は、二次電池33からROM17の電力中継端子17A, 17Bを通って、第2RAM32に達しているものとなっている。
【0050】
以上のようなスロットマシン1では、所定のタイミングで、第1RAM31及び第2RAM32が認証用データ取得部44A から認証用データを受信する。この時点で、第1RAM31の第1記憶値と、第2RAM32の第2記憶値とは、同じ値となっている。
その後、ROM17が取り外されると、第2RAM32への電力供給が途絶え、第2RAM32は、その記憶内容が失われ、もはや、第2RAM32から取り出される第2記憶値の値は、第1RAM31の第1記憶値との値とは異なるものとなる。
このため、ROM17が取り外されると、異常判定部44B から異常信号が出力され、これにより、ROM17の不正交換を報知して、ROM17の不正交換防止を図る。
【0051】
(実施形態の効果)
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、認証用データを取得する認証用データ取得部44A と、この認証用データ取得部44A によって取得された認証用データをそれぞれ記憶する第1RAM31及び第2RAM32と、第1RAM31及び第2RAM32のそれぞれに記憶された第1記憶値及び第2記憶値を比較し、その結果に基づいて異常信号を出力する異常判定部44B とを設け、且つ、二次電池33からの電力を一方から他方へ導くように形成された二つの電力中継端子17A, 17BをROM17に設け、ROM17の二つの電力中継端子17A, 17Bを経由することで、二次電池33からの電力が第2RAM32に導かれるようにしたので、認証用データ取得部44A から認証用データを受信した時点で、第1RAM31の第1記憶値と、第2RAM32の第2記憶値とが同じ値であっても、ROM17が取り外されると、その後、第2RAM32への電力供給が途絶え、第2RAM32は、その記憶内容が失われ、もはや、第2RAM32から取り出される第2記憶値の値は、第1RAM31の第1記憶値との値とは異なるものとなる。このため、ROM17が取り外されると、異常判定部44B から異常信号が出力され、これにより、ROM17の不正交換を報知することができ、ROM17の不正交換防止を図ることができる。
ここで、ROM17の不正交換を報知するにあたり、ROM17に巻き付けられる電線は不要となるので、ROM17に電線を巻き付ける手間や時間が不要となり、副制御基板16の製造コストの上昇を未然に防止することができ、ひいては、スロットマシン1自体の製造コストの上昇をも防止することができ、しかも、ROM17の美的外観が何ら損なわれることがない。
【0052】
[第2実施形態]
図6には、本発明の第2実施形態が示されている。本第2実施形態は、前記第1実施形態において、電力供給ライン34における第2RAM32及び二次電池33の間にROM17を接続したのを、電力供給ライン34における第2RAM32及びグランドの間にROM19を接続したものである。
すなわち、ROM19は、当該ROM19の内部で互いに電気的に導通しているとともに、副制御基板16のグランドに接続可能となった、二つのグランド端子19A, 19Bを備えたものとなっている。そして、二つのグランド端子19A, 19Bのうち、グランド端子19A は、RAM32のグランド端子に接続され、グランド端子19B は、副制御基板16のグランドに接続に接続されている。
換言すると、二次電池33の電力を第2RAM32に導く電力供給ライン37A は、二次電池33から第2RAM32を通って、ROM19の一のグランド端子19A に接続され、ROM19の他のグランド端子19B から副制御基板16のグランドに接続されている。
【0053】
以上のような第2実施形態のスロットマシン1では、前記第1実施形態のスロットマシン1と同様に、所定のタイミングで、第1RAM31及び第2RAM32が認証用データ取得部44A から認証用データを受信する。この時点で、第1RAM31の第1記憶値と、第2RAM32の第2記憶値とは、同じ値となっている。
その後、ROM19が取り外されると、第2RAM32に送り込まれていた駆動電流が遮断され、第2RAM32は、電力供給が途絶え、その記憶内容が失われ、もはや、第2RAM32から取り出される第2記憶値の値は、第1RAM31の第1記憶値との値とは異なるものとなる。このため、ROM19が取り外されると、異常判定部44B から異常信号が出力され、これにより、ROM19の不正交換を報知して、ROM19の不正交換防止を図る。
【0054】
上述のような第2実施形態によっても、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる他、次のような効果を付加できる。
すなわち、記憶媒体素子として、内部で互いに電気的に接続された二つのグランド端子19A, 19Bを有するROM19を採用したので、電子素子として広く利用されている一般的なものが利用できる。一方、前記第1実施形態では、ROM17は、内部で互いに電気的に接続された二つの電力中継端子17A, 17Bを備えた、比較的特殊なカスタムICとなる。このため、第2実施形態によれば、コストの低減が第1実施形態よりもさらに一層図ることができる。
【0055】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
例えば、前記実施形態では、一定の周期で所定の電気パルスを発する発振器と、この発振器の発する電気パルスの数を計数する発振数カウンタとを備え、所定のタイミングで、発振数カウンタから計数値を取り出すことで、認証用データを得ていたが、これに限らず、遊技機の製造時に、それぞれの遊技機に対して、異なる認証用データを設定しておくとともに、当該認証用データを認証用データ取得部44A のそれぞれに登録しておき、所定のタイミングで、例えば、電源投入の時点から所定時間が経過した時、あるいは、遊技者が所定の操作を行った時に、第1RAM31及び第2RAM32のそれぞれに認証用データを記憶させ、ROM17, 19が不正に取り外されると、記憶された認証用データが一致しなくなるように形成してもよい。
【0056】
また、前記実施形態では、ROM17, 19が不正に取り外されたことを検出するソフトウェアをCPU44に内蔵したが、ROM17, 19が不正に取り外されたことを検出するソフトウェアは、ROM等からなる補助記憶媒体素子を副制御基板16に追加し、この追加されたROM等からなる補助記憶媒体素子に記憶させてもよい。
さらに、遊技機用回路基板としては、副制御基板16に限らず、リールユニット10やホッパユニット12の動作を制御する主制御基板15でもよく、要するに、遊技機に設けられている装置の動作を制御するための制御回路が形成されている回路基板であればよい。
また、遊技機としては、スロットマシンに限らず、パチンコ機等の弾球遊技機でもよく、要するに、本発明は、内蔵する装置の動作制御する制御回路が形成された回路基板を備えた遊技機全般に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 遊技機であるスロットマシン
4E 遊技装置としての液晶表示装置
16 制御基板としての副制御基板
17, 19 記憶媒体素子としてのROM
18A,18B 電力中継端子
19A,19B グランド端子
31 第1揮発性記憶媒体としての第1RAM
32 第2揮発性記憶媒体としての第2RAM
33 電力供給源としての二次電池
34 電力供給ライン(
44A 認証用データ取得手段としての認証用データ取得部
44B 異常判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技の進行に伴って動作する遊技装置と、着脱可能に設けられた記憶媒体素子を有するとともに前記遊技装置の動作を制御する制御回路が形成された制御基板とを備えた遊技機であって、
認証用データを取得する認証用データ取得手段と、
この認証用データ取得手段によって取得された認証用データを記憶するとともに、電力供給が途絶えると、記憶した内容が失われる揮発性記憶媒体である第1揮発性記憶媒体及び第2揮発性記憶媒体と、
前記第1揮発性記憶媒体及び前記第2揮発性記憶媒体のそれぞれに記憶されている認証用データである第1記憶値及び第2記憶値を比較し、その結果に基づいて異常信号を出力する異常判定部と、
前記第1揮発性記憶媒体及び前記第2揮発性記憶媒体に独立して電力を供給することが可能な電力供給源とが設けられ、
前記記憶媒体素子には、当該記憶媒体素子の内部で互いに電気的に導通し、前記電力供給源からの電力を一方から他方へ導くように形成された二つの電力中継端子が設けられ、
前記電力供給源の電力を前記第2揮発性記憶媒体に導く電力供給ラインは、前記電力供給源から前記記憶媒体素子の前記二つの電力中継端子を通って、前記第2揮発性記憶媒体に達していることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技の進行に伴って動作する遊技装置と、着脱可能に設けられた記憶媒体素子を有するとともに前記遊技装置の動作を制御する制御回路が形成された制御基板とを備えた遊技機であって、
認証用データを取得する認証用データ取得手段と、
この認証用データ取得手段によって取得された認証用データを記憶するとともに、電力供給が途絶えると、記憶した内容が失われる揮発性記憶媒体である第1揮発性記憶媒体及び第2揮発性記憶媒体と、
前記第1揮発性記憶媒体及び前記第2揮発性記憶媒体のそれぞれに記憶されている認証用データである第1記憶値及び第2記憶値を比較し、その結果に基づいて異常信号を出力する異常判定部と、
前記第1揮発性記憶媒体及び前記第2揮発性記憶媒体に独立して電力を供給することが可能な電力供給源とが設けられ、
前記記憶媒体素子は、当該記憶媒体素子の内部で互いに電気的に導通しているとともに、前記制御回路のグランドに接続可能となった、少なくとも二つのグランド端子を備えたものであり、
前記電力供給源の電力を前記第2揮発性記憶媒体に導く電力供給ラインは、前記電力供給源から前記第2揮発性記憶媒体を通って、前記記憶媒体素子の一のグランド端子に接続され、前記記憶媒体素子の別のグランド端子からグランドに接続されているものとなっていることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106685(P2013−106685A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252395(P2011−252395)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】