説明

遊技機

【課題】より簡易な構成で、ROM等の記憶媒体の取り外しを迅速かつ確実に検知可能とするとともに、電源が切断された状態でROM等の記憶媒体の取り外しが行われた場合にも、できる限り迅速に当該不正行為を把握可能な遊技機を提供する。
【解決手段】カウント手段300のカウント値が所定の値となると異常である旨を示す信号を出力する遊技機であって、CPUは、基板用電源106からの電力供給に基づき、カウント手段300のカウント開始からカウント値が所定の値となる前までの所定タイミングで休止状態から起動し、起動すると記憶媒体に記憶されている所定のプログラムに応じた処理を実行し、再度休止状態となり、前記処理が実行されることに基づきカウント値がリセットされ、かつ、カウント手段300が初期値からカウントを再開するように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技機に関し、詳しくは、CPU、ROM等の記憶媒体その他の電子部品が実装された基板を備えるとともに、この基板により構成される制御装置を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機、たとえばスロットマシンとしては、役の抽選、回転リールの回転及び停止制御等、主に遊技の進行を制御するメイン制御装置と、メイン制御装置が送信するコマンドやデータ等を受信することにより、所定の報知手段(たとえば、音声出力により報知を行うスピーカや、画像等の表示により報知を行う液晶表示装置等)を用いて行われる報知や演出を制御するサブ制御装置と、を備えているものが知られている。
このメイン制御装置及びサブ制御装置は、CPUやROM等の記憶媒体が実装された基板により構成されており、それぞれのROM(記憶媒体)に記憶されている遊技機に関するプログラムに基づいて、それぞれのCPUが当該プログラムに応じた遊技機に関する処理を実行するように形成されている。
【0003】
ここで、メイン制御装置のROMには、役抽選を実行するためのプログラムや、役の抽選確率を定めた役抽選テーブル等が記憶されており、また、サブ制御装置のROMには、役抽選の結果に関する報知を実行するためのプログラム等が記憶されている。各ROMに記憶されている上述のようなプログラムやデータは、スロットマシンの出玉に関して直接的に影響を及ぼすものであるため、不正に出玉を得ようと企むゴト師等により、正規のROMを取り外し、上述のプログラムやデータを有利な内容に改竄した不正なROMに交換するという不正行為が行われるおそれが高かった。
そして、このような不正行為を抑止すべく、ROMに電線を巻きつけておき、この電線が断線したかどうかを検知することにより、正規のROMが取り外されたことを電気的に検知し、これを報知することで不正なROM交換を把握可能なスロットマシンが考案されている。
【0004】
このようなスロットマシンは、下記の特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−082454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のようなスロットマシンにおいて、ROMに電線を巻きつけることは製造工程における手間が大きく、製造コストが嵩むというおそれが生じていた。
また、ROMが取り外されたことを検知するためには、ROMに巻きつけられた電線に電流を流し続けていなければならないが、スロットマシンの電源が切断され、この電線に電流が流れていない状況でROMが取り外された場合には、その旨を検知することができず、不正なROM交換を即時的に把握できないというおそれも生じていた。
さらに、巻きつけられた電線に電流を流し続けることにより、ROMに記憶されているプログラムやデータに電気的な障害を与えてしまうというおそれも生じていた。
【0007】
そこで、下記の発明は、上記した事情によりなされたものであり、より簡易な構成で、ROM等の記憶媒体の取り外しを迅速かつ確実に検知可能とするとともに、電源が切断された状態でROM等の記憶媒体の取り外しが行われた場合にも、できる限り迅速に当該不正行為を把握可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
下記の発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(第1の発明)
第1の発明は、遊技に関するプログラムを記憶した記憶媒体(サブ制御ROM151)、及び、記憶媒体に記憶されたプログラムに応じた遊技に関する処理を実行可能なCPU(第1サブCPU140)が実装された基板と、所定の初期値からカウントを開始するカウント手段300(カウンタ回路301)と、基板に電力を供給可能な基板用電源106と、を備え、カウント手段300のカウント値が所定の値となると異常である旨を示す信号を出力する遊技機であって、CPUは、基板用電源106からの電力供給に基づき、カウント手段300がカウントを開始してからカウント値が前記所定の値となる前までの所定のタイミングで休止状態から起動し、起動すると記憶媒体に記憶されている所定のプログラムに応じた処理を実行した後、再度、休止状態となるように形成されており、前記処理が実行されることに基づき、カウント手段300のカウント値がリセットされ、かつ、カウント手段300が前記初期値からカウントを再開するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、遊技機としては、上述のような構成を備えているものであれば、特に限定されるものではない。たとえば、遊技機には、遊技媒体として遊技球を用いて遊技が行われるパチンコ遊技機、遊技媒体として遊技メダルを用いて遊技が行われるスロットマシン、又は、遊技媒体として遊技球を用いてスロットマシンと同様の遊技が行われるパロット(登録商標)遊技機等が含まれる。
また、本発明における記憶媒体は、基板上に搭載される記憶媒体であり、たとえば、ROM、RAM等のメモリー等が含まれる。
また、カウント手段300としては、たとえば、所定の発振器302が一定の周期で発する電気パルス(クロック信号)の計数によりカウントを行うカウンタ回路301を用いることができる。具体的には、このカウンタ回路301により、所定の初期値(たとえば、0等)から所定の閾値(たとえば、65535等)までのカウントが行われるように設定する。そして、所定の閾値の次の値である所定の値にカウントアップするためのカウントアップ信号を、異常である旨を示す信号として出力することができる。
【0010】
また、カウント手段300としては、タイマー機能を備えたICであるリアルタイムクロックモジュールを用いることもできる。すなわち、このリアルタイムクロックモジュールにより、所定の値(たとえば、1秒)に達するとアラーム信号を出力するようなタイマーの設定を行うとともに、所定の初期値(たとえば、0秒)からのタイムカウントを開始するように設定する。そして、タイムカウントの値が所定の値に達したときに出力されるアラーム信号を、異常である旨を示す信号として用いることができる。
なお、異常である旨を示す信号としては、上述のようなカウント手段300が出力する信号を用いるのではなく、カウント手段300とは別個に設けられた所定の信号出力手段が出力する信号を用いてもよい。
【0011】
また、本発明においては、カウント手段300が所定の初期値から所定の値までカウントするのにかかる時間が、記憶媒体を交換するのに必要な時間よりも十分に短くなるように、前記所定の値を定めるのが望ましい。
たとえば、記憶媒体を交換するのに少なくとも15秒程度の時間が必要な場合には、カウント手段300として、「0」から「65535」までの数値範囲を巡回的にカウントし、この数値範囲を約1秒でカウント可能な16ビットのカウンタ回路をを用いることができる。このとき、所定の初期値として「0」、異常と判定される所定の値として一巡後の「0」(すなわち、65536)をそれぞれ設定することができる。
【0012】
また、本発明におけるCPUは、基板用電源106からの電力供給に基づき、カウント手段300がカウントを開始してからカウント値が前記所定の値となる前までの所定のタイミングで休止状態から起動するようになっている。
具体的には、カウント手段300のカウント値が、特定の値(所定の初期値から、異常と判定されることとなる所定の値の直前までの範囲におけるいずれかの値)に達したときに、CPUを休止状態から起動させるための正常化信号を、CPUへ送信するように形成することができる。換言すれば、前記カウント手段300のカウント値が、前記所定の値に達するよりも前に達することとなる特定の値となったときに、正常化信号を、CPUへ送信することができる。
【0013】
また、所定のタイミングの計測については、上述のカウント手段300を共用するのではなく、上述のカウント手段300とは別個に設けられたカウント手段を用いることで、行ってもよい。
また、本発明においては、CPUが起動したときに所定のプログラムに応じた処理が実行されることに基づいて、カウント手段300のカウント値がリセットされるようになっている。
具体的には、たとえば、所定のプログラムとして、カウント手段300のカウント値をリセットするためのリセットプログラムが記憶されており、このリセットプログラムに応じた処理(すなわち、カウント値のリセット)が実行されることに基づいて、直接的に、カウント手段300のカウント値がリセットされるように形成することができる。
【0014】
また、たとえば、所定のプログラムとして、CPUの起動時に所定のチェックを行うためのチェックプログラムが記憶されており、このチェックプログラムに応じた処理(すなわち、所定のチェック)が実行されることを契機として、カウント手段300のカウント値をリセットするためのリセットプログラムが実行されることにより、カウント手段300のカウント値がリセットされるように形成してもよい。換言すれば、CPU起動時における所定の処理の実行を契機として、間接的に、カウント手段300のカウント値がリセットされるように形成してもよい。
(作用・効果)
本発明に係る遊技機においては、カウント手段300が所定の初期値からカウントを開始し、カウント値が所定の値に達すると異常を示す旨の信号が出力される。また、CPUは、カウント手段300がカウントを開始してからカウント値が所定の値に達する前までの所定のタイミングで、休止状態から起動し、記憶媒体に記憶されている所定のプログラムに応じた処理を実行した後、再度、休止状態となる。そして、前記所定の処理の実行に基づき、カウント手段300のカウント値がリセットされ、カウント手段300が所定の初期値からカウントを再開する。
【0015】
すなわち、本発明に係る遊技機によれば、原則として、カウント手段300のカウント値が異常と判定される所定の値に達する前にリセットされ、当該カウント手段300が初期値からカウントを再開するようになっている。しかし、カウント手段300のカウント値が所定の値に達した場合には、異常を示す旨の信号が出力されることとなる。
そのため、遊技機に備えられている正規の記憶媒体を、内容を改竄した不正な記憶媒体に交換するには、カウント手段300のカウント値が所定の値に達する前にすべての作業を完了させなければならないが、これは極めて困難である。したがって、ゴト師等が不正な記憶媒体の交換を試みた場合には、この作業中に確実に異常が検知されることとなる。
【0016】
以上より、本発明に係る遊技機によれば、ROM等の記憶媒体の取り外しを迅速かつ確実に検知することができるのである。
また、本発明に係る遊技機によれば、カウント手段300のカウント値を所定の値に達する前にリセットするという簡易な構成でROM等の記憶媒体の取り外しを検知できるため、製造コストが嵩んでしまうのを防止することができるのである。
また、本発明に係る遊技機によれば、CPUが休止状態となっていても間欠的に起動することで、ROM等の記憶媒体の取り外しを監視するため、電源が切断された状態でROM等の記憶媒体の取り外しが行われた場合にも、できる限り迅速に当該不正行為を把握することができるのである。
【0017】
(第2の発明)
第2の発明は、上記した第1の発明の特徴に加え、カウント手段300に独立して電力を供給可能なカウント手段用電源105を備え、カウント手段300は、所定の開始信号の受信を契機としてカウントを開始し、カウントの開始後は、カウント手段用電源105からの電力供給に基づき、常にカウントを実行し続けるように形成されていることを特徴とする。
(作用・効果)
本発明に係る遊技機によれば、カウント手段300は、一旦カウントを開始した後は、カウント手段用電源105により独立して電力供給を受けることで、常にカウントを実行し続ける。
【0018】
したがって、電源が切断された状態でROM等の記憶媒体の取り外しが行われた場合にも、確実に不正行為の発生を検知することができるのである。
(第3の発明)
第3の発明は、上記した第1又は第2の発明の特徴に加え、カウント手段300のカウント値が予め定められた特定の値となることを契機として、CPUを休止状態から起動させるための正常化信号を送信するように形成されていることを特徴とする。
(作用・効果)
本発明に係る遊技機によれば、1のカウント手段300を共用して、異常の判定を行うための所定の値のカウント、及び、CPUに正常化信号を送信するためのタイミングを計測するためのカウントのいずれをも実行するため、ハードウェア資源を効果的に利用することができるとともに、搭載されるハードウェア資源が増加することで製造コストが嵩むのを防止することができるのである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、より簡易な構成で、ROM等の記憶媒体の取り外しを迅速かつ確実に検知可能とするとともに、電源が切断された状態でROM等の記憶媒体の取り外しが行われた場合にも、できる限り迅速に当該不正行為を把握可能な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の形態であって、スロットマシンを示す外観正面図である。
【図2】本発明の形態であって、スロットマシンの制御装置及びカウンタ回路の入力及び出力の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の形態であって、スロットマシンのメイン制御装置、サブ制御装置及びカウンタ回路の概略を示すブロック図である。
【図4】本発明の形態であって、カウンタ回路におけるカウント及び各種信号の出力の概略を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の形態であって、カウンタ回路による処理の概略を示すフローである。
【図6】本発明の形態であって、第1サブCPUによるリセット処理の概略を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しつつ説明する。
(スロットマシン10)
本形態に係る遊技機は、遊技媒体として円板状の遊技メダルを使用するスロットマシン10である。
このスロットマシン10は、図1に示すように、正面側(スロットマシン10から見て、スロットマシン10と対向する遊技者の方向)に開口する箱状の筐体20と、この筐体20の正面開口を開閉可能に塞ぐ前扉30とから構成されている。
(筐体20)
筺体20には、特に図示していないが、スロットマシン10の作動を制御するための基板を備えたメイン基板ユニット、複数の回転リール25を備えたリールユニット21、遊技メダルを貯留するとともに役を構成する図柄51の組み合わせの停止表示時等に遊技メダルを払い出すためのホッパーユニット27、スロットマシン10に備えられた各種装置に電力を供給するための電源装置28(主電源)等が設置されている。
【0022】
メイン基板ユニットには、IC等の各種電子部品を搭載したメイン基板が収納されている。メイン基板は、スロットマシン10の作動を制御する制御装置100のうち、メイン制御装置101を構成するものであり、具体的には、スロットマシン10の遊技に関する制御を行うものとなっている。
リールユニット21は、スロットマシン10の遊技に用いられるメインの装置であり、枠体に固定された3個のステッピングモーター(図示しておらず)と、各ステッピングモーターの回転軸に固定された3個の回転リール25とから構成されている。具体的には、この回転リール25は、図1の向かって左側に位置する左リール22と、図1の向かって右側に位置する右リール24と、この左リール22及び右リール24の間に位置する中リール23とからなるものである。また、特に図示していないが、各回転リール25の周囲には、それぞれ21個の図柄51が付されている。また、これらの回転リール25は、前記ステッピングモーターの回転軸を中心として、後述する表示窓34内を回転リール25の図柄51が上側から下側へ向けて通過するように、回転する。
【0023】
(前扉30)
前扉30の前面上部には、図1に示すように、遊技状態に応じて点灯したり、消灯したりすることで各種演出や各種異常状態の報知を行うためのランプ52や、液晶表示装置53等を備えた装飾部31が設けられている。
また、前扉30の下部中央には、筐体20に設けられたホッパーユニット27から遊技メダルを払い出すためのメダル払出口40が設けられ、メダル払出口40の両側には、音声を出力するためのスピーカ54がそれぞれ1つずつ設けられている。
また、前扉30の裏面には、特に図示していないが、IC等の各種電子部品を搭載した基板であるサブ基板が収納されたサブ基板ユニットが設けられている。サブ基板は、スロットマシン10の作動を制御する制御装置100のうち、演出や報知に関する制御を行うためのサブ制御装置102を構成するものである。
【0024】
また、前扉30の前面の略中央には、正面側に突出する操作部33が備えられている。
この操作部33には、遊技を開始するにあたり遊技メダルをベットすべく、遊技メダルを投入するためのメダル投入口44、スロットマシン10に電子的に貯留されているメダルであるクレジットメダルを遊技メダルのベットに代えるためのベットスイッチ(遊技メダル1枚のベットが可能なシングルベットスイッチ36a、遊技を開始するためにベット可能な最大枚数である遊技メダル3枚のベットが可能なマックスベットスイッチ36b)、クレジットメダルを精算するための精算スイッチ39、3個すべての回転リール25の回転を開始させるためのレバー状のスタートスイッチ37、及び、各回転リール25に対応するとともに、各回転リール25の回転をそれぞれ別個に停止させるための3個のストップスイッチ38が設けられている。
【0025】
また、前扉30における装飾部31と操作部33との間には、筐体20に設けられた3個の回転リール25の図柄51を視認可能な表示窓34が形成されている。
表示窓34は、3個の回転リール25の前方に設けられており、3個すべての回転リール25の回転が停止した際に、表示窓34内における、それぞれの回転リール25に対応する表示位置(上段、中段及び下段)にそれぞれ図柄が表示される。すなわち、表示窓34内に、縦3列横3行に配列した合計9個の図柄が表示されることとなる。
また、本形態に係るスロットマシン10は、特に図示していないが、左リール22、中リール23、及び、右リール24が停止した状態で、各回転リール25ごとの、表示窓34内におけるいずれか一の図柄の停止位置を一直線に結んで構成される計5本の停止表示ラインを有している。
【0026】
そして、1回の遊技を開始するために遊技メダルをベットすると、停止表示ラインが有効化される。そして、役抽選手段(特に図示しておらず)の抽選の結果、所定の役に当選するとともに、有効化された停止表示ラインのいずれかに、当該役を構成する図柄の組み合わせが停止すると、役に応じた利益(たとえば、所定枚数の遊技メダルの払い出しや特別遊技の実行等)が付与される。
また、図1に示すように、前扉30の裏面における、メダル投入口44の下部に対応する位置には、このメダル投入口44から投入された遊技メダルの正偽を判断するためのメダルセレクタ43、及び、このメダルセレクタ43により適正な遊技メダルであると判断された遊技メダルを検知するためのメダルセンサ35が設けられている。
【0027】
また、本形態に係るスロットマシン10には、一定の周期で電気パルス(クロック信号)を発する発振器302と、当該発振器302が発する電気パルスを計数するカウンタ回路301とが搭載されたカウンタ基板が設けられている。また、このカウンタ基板とサブ制御装置102を構成するサブ基板とは電気的に接続されている。このカウンタ回路301は、後述する如く、所定の数値範囲を巡回的にカウント可能なものであって、サブ制御装置102を構成する第1制御部102Aのサブ制御ROM151が取り外されたことを検知するためのカウント手段300として機能するものである。カウンタ回路301については、後程、詳述する。
また、本形態に係るスロットマシン10には、後述するサブ制御ROM151が取り外されたことを報知するための異常報知装置55が接続されている。この異常報知装置55としては、スロットマシン10に直接的に設けられた装置(演出用のランプ52とは別個に設けられた警告灯(警告ランプ)、所定の警告音を出力するための警告音出力装置(警報スピーカ)等)を用いることができる。
【0028】
また、この異常報知装置55としては、スロットマシン10に直接的に設けられた装置を用いるのではなく、スロットマシン10とは別体の装置(スロットマシン10が設置されるシマに設けられたランプや監視モニター、スロットマシン10の出玉状況等を管理するサーバー用のモニター等)を用いることができる。具体的には、これらの装置とスロットマシン10とを、所定の接続手段(通信ケーブル、無線通信装置等)により接続し、サブ制御ROM151が取り外されたと判定された場合にスロットマシン10から出力される信号等に基づいて、上述の装置において報知を行うように設定することができる。
なお、サブ制御ROM151が取り外された場合には、上記の報知のみならず、後述する異常である旨の信号に基づいて、上述のサーバーに異常が発生した旨を記録したログファイルを作成したり、警備会社等へ通報したりするように設定してもよい。
【0029】
(制御装置100)
制御装置100は、上述の如く、スロットマシン10の作動を制御するためのものであり、メイン制御装置101及びサブ制御装置102から構成されるものとなっている。
また、メイン制御装置101及びサブ制御装置102には、これらの装置に対して各種信号等を入力可能な入力手段(メダルセンサ35、シングルベットスイッチ36a、マックスベットスイッチ36b、スタートスイッチ37、ストップスイッチ38、精算スイッチ39等)、入力手段による入力等に基づいた制御の結果を出力可能な出力手段(リールユニット21、ホッパーユニット27、ランプ52、液晶表示装置53、スピーカ54、異常報知装置55等)が接続されている。また、メイン制御装置101及びサブ制御装置102は、後述するCPUが後述するROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、各種制御手段として機能する。
【0030】
また、メイン制御装置101とサブ制御装置102との間では、これらを構成する基板に設けられた後述の送信部111A及び受信部141Aにより、所定のコマンドやデータの送信及び受信ができるようになっているが、メイン制御装置101からサブ制御装置102への一方へ向けてのみコマンドやデータが送信され、サブ制御装置102からメイン制御装置101へ向けてはコマンドやデータが送信されないようになっている。
そして、メイン制御装置101は、スタートスイッチ37及びストップスイッチ38の操作により、役の抽選、回転リール25の回転及び停止の制御、並びに遊技メダルの払出し等、遊技の進行に関する制御等を行い、また、サブ制御装置102は、メイン制御装置101から送信されるコマンドやデータに基づき、これらの送信内容に対応した遊技に関する演出や報知の制御等を行う。
【0031】
また、本形態に係るスロットマシン10おいては、後述する如く、カウンタ回路301(カウント手段300)及びサブ制御装置102の機能に基づき、当該サブ制御装置102を構成する第1制御部102Aのサブ制御ROM151が取り外されたことを検知できるようになっている。サブ制御ROM151の取り外しの検知については、後程、詳述する。
(メイン制御装置101)
メイン制御装置101は、上述の如く、メイン基板により構成されている。
そして、このメイン基板には、図3に示すように、遊技に関するプログラムやデータが記憶されたメインROM120、メインROM120に記憶されたプログラム等に基づいて遊技の進行に関する制御を行うメインCPU110、読み書き可能であって遊技の進行に関する制御を行うためのデータ等を一時的に記憶するメインRAM130等、種々の電子部品が備えられている。
【0032】
また、メインCPU110には、図3に示すように、後述するサブ制御装置102の第1制御部102Aにコマンドやデータ等を送信するための送信部111Aが設けられている。
なお、本形態においては、メインCPU110として、インターフェースポートが内臓されたCPUを採用することができ、この内臓されているインターフェースポートにより、上述の送信部111Aを構成することができる。また、メイン制御装置101内に別途インターフェース回路を形成し、このインターフェース回路により、上述の送信部111Aを構成してもよい。
(サブ制御装置102)
サブ制御装置102は、メイン制御装置101から送信されるコマンドやデータ等を受信することで、これらのコマンドやデータ等に基づいて、報知や演出の内容を決定する第1制御部102Aと、この第1制御部102Aから送信されるコマンドに基づいて、第1制御部102Aで決定された報知や演出の内容を液晶表示装置53やスピーカ54に実行させる第2制御部102Bと、から構成されている(図2及び図3参照)。
【0033】
また、サブ制御装置102は、上述の如く、サブ基板により構成されている。
そして、このサブ基板には、図3に示すように、上述の第1制御部102A及び第2制御部102Bを構成する種々の電子部品が備えられている。
なお、本形態のサブ基板には、図3に示すように、独立して駆動電力を供給可能な基板用電源106が接続されている。これにより、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合であっても、この基板用電源106からサブ基板に駆動電力を供給することで、当該サブ基板に備えられた各種電子部品を駆動できるようになっている。
(第1制御部102A及び第2制御部102Bの構成)
(1)第1制御部102A
図3に示すように、サブ基板には、第1制御部102Aを構成する電子部品として、報知や演出の内容を決定するためのプログラムやデータが記憶されたサブ制御ROM151、メインCPU110からのコマンド及びサブ制御ROM151に記憶されたプログラム等に基づいて報知や演出の内容を決定する第1サブCPU140、及び、読み書き可能であって報知や演出に関するデータ等を一時的に記憶する第1サブRAM160等が備えられている。
【0034】
第1サブCPU140には、図3に示すように、ランプ52やLED等の演出装置が接続されており、第1サブCPU140は直接、これらの演出装置に報知や演出の内容を実行させることができるようになっている。
また、第1サブCPU140には、図3に示すように、メインCPU110の送信部111Aにより送信されるコマンド等を受信するための受信部141A、後述するサブ制御装置102の第2制御部102Bとの間でコマンドやデータ等の送受信を行うための第1サブ間送受信部141B、及び、カウンタ回路301との間で送受信を行うためのカウンタ回路間送受信部141Cが設けられている。
【0035】
なお、本形態においては、第1サブCPU140として、インターフェースポートが内臓されたCPUを採用することができ、この内臓されているインターフェースポートにより、上述の受信部141A、第1サブ間送受信部141B及びカウンタ回路送受信部141を構成することができる。また、第1制御部102A内に別途インターフェース回路を形成し、このインターフェース回路により、上述の送受信部の全部又は一部を構成してもよい。
また、本形態におけるサブ制御ROM151には、後述するカウンタ回路301のカウント値をリセットするためのリセットプログラムが記憶されている。そして、第1サブCPU140が、当該リセットプログラムを読み出して実行すると、カウンタ回路301のカウント値をリセットするためのリセット信号をカウンタ回路301に送信するようになっている。
【0036】
本形態においては、スロットマシン10の主電源がONとなっている場合には、所定のタイミング(カウンタ回路301がカウントを開始してからカウント値が「0」に達する前までのいずれかのタイミング、たとえば、カウンタ回路301のカウント値が特定の値(たとえば、65000)となった時点)ごとに、第1サブCPU140がこのリセットプログラムを実行するように設定されている。
また、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合には、第1サブCPU140は休止状態となっているが、前記所定のタイミングで、所定の正常化信号を受信することにより、基板用電源106から供給される駆動電力に基づき、第1サブCPU140は休止状態から起動するようになっている。そして、起動すると、第1サブCPU140は、上述のリセットプログラムをサブ制御ROM151から読み出して実行し、その後、再度、休止状態となるように設定されている。
【0037】
(2)第2制御部102B
図3に示すように、サブ基板には、第2制御部102Bを構成する電子部品として、液晶表示装置53の動作を制御するためのプログラム等が記憶された画像制御ROM181、画像制御ROM181に記憶されたプログラム等に基づく液晶表示装置53の動作の制御(後述するVDP200の制御)や、後述するサウンドチップ220の制御を行う第2サブCPU170、読み書き可能であって液晶表示装置53等の制御に関するデータ等を一時的に記憶する第2サブRAM191、液晶表示装置53に表示する画像や文字のデータが記憶されたキャラクタROM210、液晶表示装置53における表示データ等を記憶するVRAM211、スピーカ54から出力する音声のデータが記憶されたサウンドROM230、及び、スピーカ54からの音声出力を実行するサウンドチップ220等が備えられている。
【0038】
そして、第2サブCPU170には、VDP200やサウンドチップ230を介して、液晶表示装置53やスピーカ54が接続されており、第2サブCPU170は、上述のVDP200やサウンドチップ230を制御することにより、液晶表示装置53やスピーカ54に報知や演出の内容を実行させることができるようになっている。
さらに、第2サブCPU170には、図3に示すように、サブ制御装置102の第1制御部102Aとの間でコマンドやデータ等の送受信を行うための第2サブ間送受信部171Bが設けられている。
なお、本形態においては、第2サブCPU170として、インターフェースポートが内臓されたCPUを採用することができ、この内臓されているインターフェースポートにより、上述の第2サブ間送受信部171Bを構成することができる。また、第2制御部102B内に別途インターフェース回路を形成し、このインターフェース回路により、上述の第2サブ間送受信部171Bを構成してもよい。
【0039】
(3)各制御装置及びカウンタ回路301相互間の通信路
本形態においては、図3に示すように、メイン制御装置101のメインCPU110に設けられた送信部111Aと、サブ制御装置102の第1制御部102Aにおける第1サブCPU140に設けられた受信部141Aとが、互いに信号線等で接続されることにより、通信路が形成されている。なお、この通信路においては、メインCPU110から第1サブCPU140の一方へ向けてのみ、コマンドやデータを送信できるようになっている。
また、図3に示すように、第1制御部102Aの第1サブ間送受信部141Bと、第2制御部102Bの第2サブ間送受信部171Bとが、互いに信号線等で接続されることにより、通信路が形成されている。なお、この通信路においては、第1制御部102A及び第2制御部102B間で双方向に、コマンドやデータを送受信できるようになっている。
【0040】
また、図3に示すように、第1サブCPU140のカウント回路間送受信部141Cと、後述するカウンタ回路301の第1制御部間送受信部303とが、互いに信号線等で接続されることにより、通信路が形成されている。なお、この通信路においては、第1制御部102A及びカウンタ回路301間で双方向に通信可能となっている。
(カウンタ基板)
本形態に係るスロットマシン10は、メイン制御装置101を構成するメイン基板及びサブ制御装置102を構成するサブ基板の他、カウンタ基板を備えている。
このカウンタ基板には、上述の如く、一定の周期で電気パルス(クロック信号)を発する発振器302と、当該発振器302が発する電気パルスを計数するカウント手段300としてのカウンタ回路301とが搭載されている。
【0041】
また、このカウンタ基板には、図3に示すように、独立して駆動電力を供給可能なカウント手段用電源105が接続されている。これにより、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合であっても、このカウント手段用電源105からカウンタ基板に駆動電力を供給することで、当該カウンタ基板に備えられた発振器302及びカウンタ回路301を駆動できるようになっている。
なお、このカウント手段用電源105は、取り外し不可能又は取り外し困難となるように、カウンタ基板に取り付けられるように形成するのが望ましい。具体的には、カウント手段用電源105をカウンタ基板に取り付けた後、所定の封止部材(カシメ部材)等を用いて封止することで、一旦、カウント手段用電源105をカウンタ基板に取り付けた後は、カシメ部材を破壊しないと、カウンタ基板からカウント手段用電源105を取り外せないように形成することができる。
【0042】
(カウンタ回路301)
本形態におけるカウンタ回路301は、上述の発振器302が発する電気パルスの計数により、所定時間(本形態においては約1秒)で、0(所定の初期値)から65535までの16ビットの数値範囲を巡回的にカウント可能なカウント手段300である。
このカウンタ回路301は、所定の開始信号(イネーブル信号)を受信することを契機として、0からカウントを開始し、65535に達すると、再度0に戻ってカウントを行う。また、第1サブCPU140がサブ制御ROM151に記憶されているリセットプログラムを読み出して実行することにより送信するリセット信号を、カウンタ回路301が受信したときは、カウント値がリセットされて、0からカウントを再開するようになっている。
【0043】
また、カウンタ回路301は、前記所定の開始信号の受信によりカウントを開始した後は、スロットマシン10の主電源がONとなっているときのみならず、当該主電源がOFFとなっているときもカウント手段用電源105からの駆動電力の供給により、カウントをし続けるように設定されている。
なお、前記所定の開始信号は、たとえば、スロットマシン10の主電源が最初に投入されたときやRAM類のクリア処理が行われたとき等に、カウンタ回路301に送信されるように設定することができる。
また、本形態においては、カウンタ回路301のカウント値が0に達する(すなわち、65535から0に切り替わる)と、異常である旨を示す信号を出力するように形成されている。なお、異常である旨の信号の出力は、カウンタ回路301のカウント値が、65535から0に切り替わるときのカウントアップ信号を異常である旨の信号として用いて、カウンタ回路301が当該カウントアップ信号を出力することにより、行うことができる。また、カウンタ回路301のカウントアップ信号を用いるのではなく、別途設けられた異常信号出力手段が所定の異常信号を出力することにより、行ってもよい。
【0044】
そして、本形態に係るスロットマシン10では、異常である旨を示す信号が、液晶表示装置53等を制御する第2サブCPU170や、異常報知装置55等に送信され、これらの装置において異常である旨の報知が行われるようになっている。
(サブ制御ROM51が取り外された旨の検出)
本形態においては、カウンタ回路301のカウント値が所定の値(本形態では「0」)に達したことに基づいて、サブ制御ROM51が取り外されたことを検出できるように形成されている。
以下、当該検出のために実行される各処理の内容について、説明する。
【0045】
なお、当該処理は、CPUがROMに記憶されている所定のプログラムを読み込むことで機能する各種制御手段により(すなわち、ソフトウェアにより)実行されるように形成することもできるし、CPUが有する演算器や比較器等の回路により(すなわち、ハードウェアにより)実行されるように形成することもできる。
(1)カウント開始要求処理
カウント開始要求処理は、第1サブCPU140が、予め定められた所定の開始信号送信タイミングにおいて、カウントを開始させる旨を示す所定の開始信号(イネーブル信号)をカウント回路301に送信する処理である。
【0046】
本形態においては、スロットマシン10の主電源が最初に投入されたとき、又は、制御装置100におけるRAM類のクリア処理が行われたときに、第1サブCPUが、所定の開始信号を送信するようになっている(図4(a)参照)。なお、開始信号送信タイミングとしては、これに限定されるものではない。
(2)カウント開始処理
カウント開始処理は、第1サブCPU140が送信した開始信号をカウンタ回路301が受信したことで、カウント回路301が所定の初期値である「0」からカウントを開始する処理である。
【0047】
なお、上述の如く、本形態におけるカウンタ回路301は、約1秒で、0から65535までの数値範囲を巡回的にカウントするとともに、一旦、カウントを開始した後は、スロットマシン10の主電源がONとなっている場合又はOFFとなっている場合のいずれであっても、カウントをし続ける。
(3)リセット要求処理
リセット要求処理は、カウンタ回路301がカウントを開始してから、そのカウント値が「0」に達する前までのいずれかのタイミング(本形態では、カウンタ回路301のカウント値が「65000」(特定の値)となったタイミング)で、カウンタ回路301が、正常化信号を第1サブCPU140に送信する処理である(図4(b)参照)。
【0048】
ここで、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合には、カウンタ回路301は、前記所定の信号として、第1サブCPU140を休止状態から起動させるための正常化信号を、第1サブCPU150に送信するようになっている。
(4)リセット処理
リセット処理は、カウンタ回路301からの前記所定の信号を第1サブCPU140が受信したことを契機として、カウンタ回路301のカウント値をリセットする処理である(図4(b)参照)。
具体的には、スロットマシン10の主電源がONとなっている場合においては、カウンタ回路301からの前記所定の信号を第1サブCPU140が受信すると、当該第1サブCPU140が、サブ制御ROM151に記憶されているリセットプログラムを読み出して実行する。
【0049】
また、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合においては、カウンタ回路301からの前記所定の信号(正常化信号)を第1サブCPU140が受信すると、基板用電源106から供給される駆動電力に基づき、第1サブCPU140が起動し、サブ制御ROM151に記憶されているリセットプログラムを読み出して実行する。
そして、リセットプログラムが実行されることにより、第1サブCPU140が、リセット信号をカウンタ回路301に送信し、当該リセット信号を受信したカウンタ回路301のカウント値はリセットされて、カウンタ回路301は初期値「0」からカウントを再開する。
(5)異常出力処理
異常出力処理は、カウンタ回路301のカウント値が「0」に達することを契機として、カウント回路301が異常である旨を示す信号(カウントアップ信号)を、液晶表示装置53が接続されている第2サブCPU170や異常報知装置55等に送信する処理である(図4(c)参照)。そして、第2サブCPU170や異常報知装置55が前記信号を受信すると、液晶表示装置53や異常報知装置55において異常の報知が行われることとなる。
【0050】
以上のように、本形態に係るスロットマシン10では、サブ制御装置102における第1制御部102Aに、上述のリセットプログラムを記憶しているサブ制御ROM151が適切に設けられていれば、1秒未満の所定周期で、カウンタ回路301のカウント値がリセットされることとなる。すなわち、サブ制御ROM151が適切に設けられていれば、カウンタ回路301のカウント値が「0」に達するよりも前に、当該カウント値が必ずリセットされることとなるため、カウント回路301によるカウント値が「0」に達することはない。
これに対して、サブ制御ROM151が取り外されると、第1サブCPUは、サブ制御ROM151に記憶されているリセットプログラムを読み出すことができないため、カウンタ回路301のカウント値がリセットされず、「0」に達し、異常である旨の報知が行われる。
【0051】
また、理論的には、カウンタ回路301のカウント値が「0」に達する前にサブ制御ROM151を交換すれば、カウント値はリセットされることとなるが、初期値「0」からカウントが開始されて次に「0」に達するまでの時間は約1秒であり、この極めて短時間にサブ制御ROM151の交換作業を完了することは現実的に不可能である。したがって、サブ制御ROM151を交換作業を開始すると、サブ制御ROM151を取り外した直後に、カウンタ回路301のカウント値が「0」に達することとなり、異常である旨の報知が行われる。
このように、カウンタ回路301のカウント値に基づいて、サブ制御ROM151が取り外されたことを検出することができるのである。
【0052】
次に、上述のサブ制御ROM151が取り外された旨の検出に関しての処理の概略について、図5及び図6に示したフローを用いて説明する。
まず、カウンタ回路301による処理の概略について、図5のフローを用いて説明する。なお、カウンタ回路301がカウントを開始した後は、図5に示す処理が繰り返し行われるようになっている。
図5に示すステップ100において、第1サブCPU140が送信したリセット信号を受信した場合、次のステップ101に進む。一方、リセット信号を受信していない場合、ステップ102に進む。
【0053】
ステップ101において、受信したリセット信号に基づき、カウント値がリセットされて、所定の初期値である「0」からカウントを再開する。そして、ステップ100に戻る。
ステップ102において、カウント値が所定の値「0」に達した場合、次のステップ103に進む。一方、カウント値が「0」に達していない場合、ステップ104に進む。
ステップ103において、カウンタ回路301が出力するカウントアップ信号が、異常である旨を示す信号として第2サブCPU170や警報報知装置55等に送信される。そして、この信号を受信した第2サブCPU170や警報報知装置55等が受信すると、異常である旨の報知が実行される。
【0054】
ここで、本形態においては、カウント値が「0」に達して、異常である旨の報知が実行された場合には、カウンタ回路301によるカウントを停止させ、カウンタ回路301のリセットを行わずに(すなわち、カウンタ回路301のリセットを無効として)上述の異常である旨を示す信号(カウントアップ信号)を送信し続けるようになっている。また、サブ制御ROM151を取り付けた状態で、所定の解除操作が行われることにより、異常である旨の報知を解除するとともに、カウンタ回路301によるカウントを再開させるようになっている。なお、所定の解除操作としては、操作が困難であったり、手順が複雑であったりするようなものを定めることができる。具体的には、たとえば、スロットマシン10の正面側に設けられた複数のスイッチを操作し、かつ、スロットマシン10の背面側に設けられた複数のスイッチを操作しながら主電源をONにする等、1人での操作が困難な解除操作や、解除に至るまでのスイッチの操作回数が極めて多く、又は、解除に至るまでのスイッチの操作手順が極めて複雑となるように設定された解除操作等とすることができる。
【0055】
そして、カウンタ回路301によるカウントが再開された場合、ステップ100に戻ることとなる。
ステップ104において、カウント値が「65000」に達した場合、次のステップ105に進む。一方、カウント値が「65000」に達していない場合、ステップ100に戻る。
ステップ105において、サブ制御ROM151に記憶されているリセットプログラムの実行をさせるための所定の信号(正常化信号)が、第1サブCPU140に送信される。そして、ステップ100に戻る。
【0056】
次に、第1サブCPU170によるリセット処理の概略について、図6のフローを用いて説明する。
図6に示すステップ200において、第1サブCPU140が前記所定の信号を受信した場合、次のステップ201に進む。一方、前記所定の信号を受信していない場合、ステップ200に戻る。
ステップ201において、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合(第1サブCPU140が休止状態の場合)、次のステップ202に進む。一方、スロットマシン10の主電源がONとなっている場合(第1サブCPU140が起動している場合)、ステップ203に進む。
【0057】
ステップ202において、前記所定の信号(正常化信号)の受信に基づき、第1サブCPU140が起動する。そして、次のステップ203に進む。
ステップ203において、第1サブCPU140がサブ制御ROM151に記憶されているリセットプログラムの読み出しを行う。そして、リセットプログラムを読み出せた場合、次のステップ204に進む。一方、リセットプログラムを読み出せなかった場合、リセット処理が終了する。
ステップ204において、第1サブCPU140がリセットプログラムを実行し、カウンタ回路301にリセット信号を送信する。そして、リセット処理が終了する。
【0058】
(まとめ)
本形態に係るスロットマシン10では、所定の開始信号送信タイミング(主電源を最初に投入した時点)において、カウント手段300としてのカウンタ回路301が所定の初期値「0」からカウントを開始し、巡回的なカウントを行って、カウント値が「0」に達すると異常を示す旨の信号が出力される。また、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合において、第1サブCPU140は、休止状態となっているが、カウンタ回路301がカウントを開始してからカウント値が「0」に達する前までの所定のタイミング(カウント値が「65000」となった時点)で休止状態から起動し、サブ制御ROM151に記憶されているリセットプログラムを実行した後、再度、休止状態となる。そして、このリセットプログラムの実行によりカウント値をリセットするためのリセット信号が、カウンタ回路301に送信され、カウンタ回路301がこのリセット信号を受信するとカウント値がリセットされ、所定の初期値「0」からカウントを再開する。
【0059】
すなわち、本形態に係るスロットマシン10によれば、原則として、カウンタ回路301のカウント値が異常と判定される「0」に達する前にリセットされ、当該カウンタ回路301が初期値「0」からカウントを再開するようになっている。しかし、カウンタ回路301のカウント値が「0」に達した場合には、異常を示す旨の信号が出力されることなる。
そのため、スロットマシン10に備えられている正規のサブ制御ROM151を、内容を改竄した不正なサブ制御ROM151に交換するには、カウンタ回路301のカウント値が「0」に達する前にすべての作業を完了させなければならないが、これは極めて困難である。したがって、ゴト師等が不正なサブ制御ROM151への交換を試みた場合には、この作業中に確実に異常が検知されることとなる。
【0060】
以上より、本形態に係るスロットマシン10によれば、サブ制御ROM151の取り外しを迅速かつ確実に検知することができるのである。
また、本形態に係るスロットマシン10によれば、カウンタ回路301のカウント値を「0」に達する前にリセットするという簡易な構成でサブ制御ROM151の取り外しを検知できるため、製造コストが嵩んでしまうのを防止することができるのである。
また、本形態に係るスロットマシン10によれば、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合において第1サブCPU140が休止状態となっていても、間欠的に起動することで、サブ制御ROM151の取り外しを監視するため、電源が切断された状態でサブ制御ROM151の取り外しが行われた場合にも、できる限り迅速に当該不正行為を把握することができるのである。
【0061】
また、本形態に係るスロットマシン10によれば、カウンタ回路301は、一旦カウントを開始した後は、カウント手段用電源105により独立して電力供給を受けることで、常にカウントを実行し続ける。
したがって、電源が切断された状態でサブ制御ROM151の取り外しが行われた場合にも、確実に不正行為の発生を検知することができるのである。
また、本形態に係るスロットマシン10によれば、1のカウンタ回路301を共用して、異常の判定を行うためのカウント、及び、第1CPU140に正常化信号を送信するためのタイミングを計測するためのカウントのいずれをも実行するため、ハードウェア資源を効果的に利用することができるとともに、搭載されるハードウェア資源が増加することで製造コストが嵩むのを防止することができるのである。
【0062】
なお、上述の形態は、同様の構成の制御装置100を備えていれば、スロットマシン10以外の遊技機にも応用できる。たとえば、遊技媒体として遊技球を用いて遊技を行わせるパチンコ遊技機や、遊技媒体として遊技球を用いてスロットマシン10と同様の遊技を行わせるパロット(登録商標)遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、カジノマシン等に使用してもよいものである。
(変形例)
上述の形態においては、サブ制御装置102の第1制御部102Aが備えるサブ制御ROM151の取り外しを検出可能としていたが、これに限定されるものではなく、サブ制御ROM151の記憶媒体の取り外しを検出可能とすることもできる。
【0063】
具体的には、サブ制御ROM151以外の記憶媒体に、上述のようなリセットプログラムを記憶しておき、カウンタ回路301が所定の値に達すると、上述の記憶媒体からリセットプログラムを読み出して、カウンタ回路301の値をリセットするように形成することで、当該記憶媒体の取り外しを検出できることとなる。
また、カウント手段300としては、上述のようなカウンタ回路301を用いるのではなく、
タイマー機能を備えたタイマー機能を備えたICであるリアルタイムクロックモジュールを用いることもできる。
具体的には、このリアルタイムクロックモジュールにより、所定の値(たとえば、1秒)に達するとアラーム信号を出力するようなタイマーの設定を行うとともに、所定の初期値(たとえば、0秒)からタイムカウントを開始するように設定しておく。また、所定のタイミングで送信されるリセット信号をリアルタイムクロックモジュールが受信すると、再度、上述のようなタイマーの設定を行うとともに、所定の初期値からのタイムカウントを再開するように設定しておく。そして、タイムカウントの値が所定の値に達したときに出力されるアラーム信号を、異常である旨を示す信号として、第2サブCPU170等に送信することで、異常である旨を示す報知を行うことができる。
【0064】
なお、リアルタイムクロックモジュールを用いれば、スロットマシン10の主電源がOFFとなっている場合にも継続してカウントを行うための独立した電源を設ける必要がないため、部品点数を減らすことができ、電子部品の配置等の自由度が増すこととなる。
また、上述の形態においては、カウンタ回路301のカウント値に基づいて、正常化信号を送信するタイミングが決定されるようになっていたが、このカウンタ回路301とは別個に設けられた所定のカウント手段や計時手段を用いて、前記タイミングを決定してもよい。
また、上記の形態においては、リセットプログラムが実行されることによりリセット信号が送信されて、カウンタ回路301のカウント値がリセットされるようになっていたが、
たとえば、サブ制御ROM151内に記憶されており、かつ、第1サブCPU140が起動した際に必ず実行されるプログラムであって、前記リセットプログラムとは異なるプログラム(たとえば、所定のチェックプログラム)に応じた処理の実行を契機として、リセット信号が送信されて、カウンタ回路301のカウント値がリセットされるように設定することもできる。
【0065】
このように形成した場合にも、上述の形態と同様の作用効果を奏することとなる。
【符号の説明】
【0066】
10 スロットマシン
20 筐体 21 リールユニット
22 左リール 23 中リール
24 右リール 25 回転リール
27 ホッパーユニット 28 電源装置
30 前扉 31 装飾部
33 操作部 34 表示窓
35 メダルセンサ 36a シングルベットスイッチ
36b マックスベットスイッチ 37 スタートスイッチ
38 ストップスイッチ 39 精算スイッチ
40 メダル払出口 43 メダルセレクタ
44 メダル投入口 52 ランプ
53 液晶表示装置 54 スピーカ
55 異常報知装置
100 制御装置 101 メイン制御装置
102 サブ制御装置 102A 第1制御部
102B 第2制御部 105 カウント手段用電源
106 基板用電源
110 メインCPU 111A 送信部
120 メインROM 130 メインRAM
140 第1サブCPU 141A 受信部
141B 第1サブ間送受信部 141C カウンタ回路間送受信部
151 サブ制御ROM 160 第1サブRAM
170 第2サブCPU 171B 第2サブ間送受信部
181 画像制御ROM 191 第2サブRAM
200 VDP 210 キャラクタROM
211 VRAM 220 サウンドチップ
230 サウンドROM
300 カウント手段 301 カウンタ回路
302 発振器 303 第1制御部間送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に関するプログラムを記憶した記憶媒体、及び、記憶媒体に記憶されたプログラムに応じた遊技に関する処理を実行可能なCPUが実装された基板と、
所定の初期値からカウントを開始するカウント手段と、
基板に電力を供給可能な基板用電源と、を備え、
カウント手段のカウント値が所定の値となると異常である旨を示す信号を出力する遊技機であって、
CPUは、基板用電源からの電力供給に基づき、カウント手段がカウントを開始してからカウント値が前記所定の値となる前までの所定のタイミングで休止状態から起動し、起動すると記憶媒体に記憶されている所定のプログラムに応じた処理を実行した後、再度、休止状態となるように形成されており、
前記処理が実行されることに基づき、カウント手段のカウント値がリセットされ、かつ、カウント手段が前記初期値からカウントを再開するように形成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
カウント手段に独立して電力を供給可能なカウント手段用電源を備え、
カウント手段は、所定の開始信号の受信を契機としてカウントを開始し、カウントの開始後は、カウント手段用電源からの電力供給に基づき、常にカウントを実行し続けるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
カウント手段のカウント値が予め定められた特定の値となることを契機として、CPUを休止状態から起動させるための正常化信号を送信するように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106686(P2013−106686A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252396(P2011−252396)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】