遊技機
【課題】主制御部の制御負担を増大させることなく、固定式始動口や一般入賞口を含む入球の入球異常を監視できる遊技機を提供する。
【解決手段】入球口に遊技球が入球したことを契機に所定賞球数の遊技球を払い出す遊技機において、遊技制御手段が、入球口に遊技球が入球する毎に入球コマンドを演出制御手段に送信する。演出制御手段は、入球コマンドを受信する毎に、カウンタのカウント値を記憶するとともに、入球口に最新に入球した遊技球に対応して記憶されたカウント値と、入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に入球口に入球した遊技球に対応して記憶されたカウント値とを比較する比較処理を実行し、この結果が、所定個数以上の遊技球が入球口に入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたことを示す異常信号を出力する。
【解決手段】入球口に遊技球が入球したことを契機に所定賞球数の遊技球を払い出す遊技機において、遊技制御手段が、入球口に遊技球が入球する毎に入球コマンドを演出制御手段に送信する。演出制御手段は、入球コマンドを受信する毎に、カウンタのカウント値を記憶するとともに、入球口に最新に入球した遊技球に対応して記憶されたカウント値と、入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に入球口に入球した遊技球に対応して記憶されたカウント値とを比較する比較処理を実行し、この結果が、所定個数以上の遊技球が入球口に入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたことを示す異常信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特にパチンコ遊技機やアレンジボール遊技機等の弾球式の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球式の遊技機では、入賞口への遊技球の入球に基づき払い出される賞球を不正に獲得する不正行為が行われることがある。このような不正行為には、遊技機の電子回路に電波を照射し、電子回路を誤作動させて不正に利益を得る電波ゴト、遊技機のガラス面に磁石を接触させて遊技球を誘導する磁石ゴト、釣り糸を取り付けた遊技球を発射して入賞口に入球させ、釣り糸で遊技球を上下させて入球検知スイッチを誤作動させる釣り糸ゴト等がある。
【0003】
これに対し、遊技状態に応じて開閉する電動役物である大入賞口(可変入賞口)への遊技球の入球異常を検知する遊技機が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の遊技機では、不当な賞球払出に繋がる大入賞口への遊技球の入球異常を、主制御部が遊技状態に基づいて検知するように構成されている。具体的には、大当り遊技以外の遊技状態で大入賞口に遊技球が入球した場合に大入賞口への入球異常が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−43605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大入賞口あるいは可変式始動口のような電動役物が開放状態となっている際に上述の不正行為が実行されると、入球異常を検知することができない。また、固定式始動口(可変式でない始動口)や一般入賞口は、遊技状態に応じて開閉する電動役物である大入賞口や可変式始動口と異なり、遊技球が常時入球可能であるため、上述の不正行為が当該固定式始動口や一般入賞口について実行されると、入球異常を検知することが困難である。
【0006】
また、特許文献1の遊技機では、主制御部で大入賞口の入球異常を監視する処理を行っているが、仮に固定式始動口や一般入賞口に対する遊技球の入球異常を監視する処理も主制御部で行う場合には、「遊技球が入球不能な状態と入球可能な状態とに変化する電動役物(大入賞口や始動口)」の入球異常を監視する処理と、「遊技球が常時入球可能な固定式始動口や一般入賞口」の入球異常を監視する処理という2種類の処理を主制御部で行う必要がある。このような構成は非効率的であり、主制御部の処理負担が増大するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記点に鑑み、主制御部の制御負担を増大させることなく、開閉式入球口、固定式始動口や一般入賞口を含む入球口の入球異常を確実に監視できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、
入球口に遊技球が入球したことを契機に所定賞球数の遊技球を払い出す遊技機であって、
遊技を進行させる制御を行う遊技制御手段と、
遊技の進行状況に応じて前記遊技制御手段から送信される制御コマンドに基づいて演出装置の制御を行う演出制御手段と、
一定間隔でカウントを行うカウンタと、
を備え、
前記遊技制御手段は、
前記入球口に遊技球が入球する毎に、前記入球口に遊技球が入球したことを示す入球コマンドを前記演出制御手段に送信する入球コマンド送信手段を含み、
前記演出制御手段は、
前記入球コマンドを受信する入球コマンド受信手段と、
前記入球コマンド受信手段が前記入球コマンドを受信する毎に、前記カウンタのカウント値を記憶するカウント値記憶手段と、
前記入球口に遊技球が入球する毎に、前記入球口に最新に入球した遊技球に対応して記憶された前記カウント値と、前記入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に前記入球口に入球した遊技球に対応して記憶された前記カウント値とを比較する比較処理を実行するカウント値比較手段と、
前記カウント値比較手段による比較結果が、最新に前記入球口に入球した遊技球を含めて前記所定個数の遊技球が前記入球口に入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、前記入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたことを示す異常信号を出力する異常信号出力手段と、
を含んでいることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、入球口に遊技球が入球する毎にカウント値を記憶し、入球口に最新に入球した遊技球に対応するカウント値と、最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に入球した遊技球に対応するカウント値とを比較する。そして、当該比較処理により得られた結果が、所定個数の遊技球の入球に要した時間が所定時間以下であることを示す場合には、特定の入球口への入球異常(入球過剰)が発生したことを検知する。すなわち、特定の入球口に対して、所定個数入球するのに要した時間が、短時間(所定時間以下)である場合には、何らかの要因(不正、不具合等)により入球過剰が発生したとみなすものである。これにより、遊技球が常時入球可能である入球口への遊技球の入球異常を、常に検知することが可能となる。尚、カウント値記憶手段は、入球口毎に、カウント値を記憶し、入球口毎に入球異常(入球過剰)を検知することが好適である。また、全ての入球口に対して入球異常の検知を実行してもよいし、特定の入球口に対してのみ入球異常の検知を実行してもよいし、2個以上の複数の入球口を一組として、入球異常の検知を実行してもよい。
【0010】
また、本発明では、入球口への遊技球の入球毎に遊技制御手段から演出制御手段に入球コマンドを送信し、入球コマンドを受信した演出制御手段がカウント値の記憶およびカウント値の比較処理を行っている。このように、遊技制御手段からの入球コマンドに基づいて、演出制御手段が入球口の入球監視処理を行うことで、遊技制御手段の制御負担を増大させることなく、入球口への遊技球の入球異常を監視することができる。
【0011】
また、本発明の遊技機では、前記カウント値比較手段は、前記カウント値記憶手段に記憶されたカウント値が前記所定個数以上である場合に前記比較処理を実行することを特徴としている。
【0012】
これにより、遊技機が稼働開始直後(入球口への入球数が所定個数に満たない場合)はカウント値比較手段による比較処理を実行せず、入球口への入球数が所定個数以上となって初めて比較処理を実行する構成としている。これにより、遊技球が所定個数入球した後(比較処理実行条件が満たされた後)は、入球口への入球異常の発生有無を継続的に監視することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明の構成によれば、主制御部の制御負担を増大させることなく、入球口の入球異常を確実に監視できる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した実施例に係る遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】メインジョブの流れを示すフローチャートである。
【図5】電源投入処理を示すフローチャートである。
【図6(a)】特別図柄遊技処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図6(b)】特別図柄遊技処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図7】特別図柄変動表示関連処理を示すフローチャートである。
【図8】大当り遊技処理を示すフローチャートである。
【図9】電動役物入球監視処理を示すフローチャートである。
【図10】演出制御処理を示すフローチャートである。
【図11】入球異常報知処理を示すフローチャートである。
【図12】入球監視処理を示すフローチャートである。
【図13】短時間監視処理を示すフローチャートである。
【図14】長時間監視処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ遊技機(以下、単に遊技機という)に本発明を適用した実施例について説明する。
【0016】
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、外枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を備えている。なお、図1では遊技盤20の詳細な図示を省略している。また、中枠3は前面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
【0017】
外枠2は木製の板状体を略長方形の枠状に組立てたものである。中枠3はプラスチック製で遊技機1の本体枠を構成するもので、外枠2の内側にはめ込まれて設置されており、外枠2に対して開閉可能に左端で軸支されている。この中枠3は、上側2/3程度を占める枠体部と下側1/3程度を占める下板部とから構成されている。枠体部の前面側には遊技盤20と前面枠4とが重なるように設けられており、下板部の前面側には上皿部5と下皿部6が設けられている。なお、遊技盤20は枠体部(中枠3)に対して着脱自在に設けられている。下板部には、遊技球を遊技盤20に発射する発射手段を構成する発射装置ユニット(図示略)、遊技球を発射装置ユニットに供給する球送り装置(図示略)が設けられている。
【0018】
前面枠4は、中枠3の前面側に配置され、中枠3の左端で開閉可能に支持されている。前面枠4はプラスチック製であり、その奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にするために、円形状の開口部4aが形成されている。前面枠4の裏面には、開口部4aに対応したガラス板等の透明板を備える略長方形状の透明板枠(図示略)が装着されている。前面枠4における遊技盤20の周囲には、LED等のランプ類(図示略)が設けられている。これらのランプ類は、遊技効果を高めるために遊技の進行に応じて点灯・消灯あるいは点滅する。
【0019】
上皿部5は、前面枠4の下側に設けられ、中枠3の左端に開閉可能に支持されている。上皿部5は、皿外縁部5aと、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口5bと、上皿部5の遊技球を下皿部6に排出する球抜きボタン5cとを備えている。皿外縁部5aの上面には、演出ボタン5dや球貸ボタン5e等が設けられている。
【0020】
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内部から下皿部6に遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。下皿部6の左端には灰皿7が設けられている。下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット(図示略)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触れていることを検知する接触検知手段としてのタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
【0021】
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施錠するためのものである。
【0022】
また、遊技機1には、遊技状態に応じた効果音等を発生させるためのスピーカ10a〜10dが設けられている。スピーカ10a〜10dは、遊技機1の上部に設けられた上部スピーカ10a、10bと遊技機1の下部に設けられた下部スピーカ10c、10dとからなる。さらに、遊技機1の左側には、プリペイドカードユニット13(CRユニット)が装着されている。
【0023】
次に、本実施例の遊技盤20の表面構造について説明する。図2は遊技盤20の正面図である。遊技盤20は、略長方形の木製の板状体であって中枠3に着脱可能に取り付けられているとともに、裏機構盤(図示略)によりその背面側が覆われている。
【0024】
図2に示すように、遊技盤20には、遊技盤20の表面(盤面)に設けられた外レール22と内レール23とにより、略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21内には、中央装置24、普通図柄作動ゲート27、大入賞装置33、始動口28、一般入賞口34〜37、第1装飾部材50、第2装飾部材60等の遊技装置が配設されている。また、遊技領域21には各遊技装置との位置バランスを考慮して多数の障害釘が配設されている。
【0025】
中央装置(センター役物)24は遊技領域21の略中央部に配置され、その内側(内周側)に演出表示装置25を備えている。演出表示装置25は、遊技領域21の略中央部位に配置されている。本実施例では、演出表示装置25として液晶表示装置を用いており、演出表示装置25の表示領域では各種演出表示が行われる。
【0026】
大入賞装置33は遊技領域21における中央装置24の下方に配置されており、第1装飾装置50は遊技領域21における大入賞装置33の左側に配置され、第2装飾装置60は遊技領域21における大入賞装置33の右側に配置されている。装飾装置50,60はいわゆるサイド飾りを構成している。また、第1装飾装置50には左側一般入賞口34,35が一体化されており、第2装飾装置60には右側一般入賞口36,37が一体化されている。また、遊技領域21の最下部には、各種入賞口や始動口に入球しなかった遊技球が排出されるアウト口48が設けられている。
【0027】
普通図柄作動ゲート27は、中央装置24の左側に設けられている。普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技盤上を流下する遊技球の通過を検知する普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s(図3参照)が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過することで、普通図柄が変動開始する。
【0028】
始動口28は、中央装置24の中央位置の下方に設けられている。始動口28は、遊技盤20の盤面上を流下する遊技球を受け入れる遊技球受入口が形成された2つの入球口を上下方向に並べて配置したもので、上側に設けられた第1始動口28aと下側に設けられた第2始動口28bとから構成されている。始動口28(第1始動口28aまたは第2始動口28b)への遊技球の入球に応じて、所定数の賞球(例えば、1個の入球に対して3〜4個の賞球)が払い出される。
【0029】
第1始動口28aは、遊技球受入口の大きさが変化せず遊技球の入球可能性が一定とされる固定式の始動口として構成されており、遊技球の入球が常時可能となっている。一方、第2始動口28bはいわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部を備えており、この一対の翼片部の上端間隙が遊技球受入口となっている。この一対の翼片部は、各々左右方向に傾動することで開閉動作を行うものとされており、この開閉動作により、第2始動口28bは一対の翼片部の遊技球受入口の大きさが変化する可変式の始動口として構成されている。第2始動口28bは、一対の翼片部が開動作することで入球可能性が高い開放状態となり、一対の翼片部が閉動作することで入球可能性が低い閉鎖状態(入球不能な状態を含む)となる。普通図柄が当り図柄の組合せで停止表示された場合には、一対の翼片部が開動作して第2始動口28bの遊技球受入口が拡大され、第2始動口28bは普通電動役物(可変入賞口)として機能する。第2始動口28bの開閉制御は、主制御部200が実行する後述の普通図柄当り遊技処理により実現される。
【0030】
始動口28の内部には、第1始動口28aへの遊技球の入球を検知する第1始動口入球検知スイッチ28s(図3参照)と、第2始動口28bへの遊技球の入球を検知する第2始動口入球検知スイッチ28t(図3参照)と、一対の翼片部を作動させるための始動口ソレノイド28c(図3参照)とが備えられている。この一対の翼片部が左右に開動作した場合には、第2始動口28bの遊技球受入口の大きさが通常時より拡大され、第2始動口28bは遊技球の入球可能性が第1始動口28aよりも高くなる開放状態となる。一方、一対の翼片部が立設された場合には、第2始動口28bの遊技球受入口の大きさが遊技球の直径より僅かに大きい(遊技球1個が通過可能な)通常の大きさとされ、第2始動口28bは遊技球の入球可能性が第1始動口28aよりも低い閉鎖状態となる。遊技球が第1始動口28a、第2始動口28bのいずれかに入球することで、後述の特別図柄が変動開始する。なお、以下の説明における「遊技球が始動口28に入球する」旨の記載は、特段の理がない限り、遊技球が第1始動口28aまたは第2始動口28bに入球することを意味する。
【0031】
大入賞装置33は、始動口28の下方に配設されている。ここで、大入賞装置33は、帯状に開口された大入賞口33aと、この大入賞口33aを開放・閉鎖する開閉板33bと、この開閉板33bを作動させるための大入賞口ソレノイド33c(図3参照)と、遊技球の入球を検知する入球検知スイッチ33s(図3参照)とから主に構成されている。大入賞口33aは、特別電動役物(可変入賞口)として構成されている。大入賞口33aの開閉制御は、主制御部200が実行する後述の大当り遊技処理により実現される。
【0032】
第1装飾部材50には、複数のLEDが設けられており、これらのLEDの組合せにより、普通図柄表示部51、普図保留表示部52、特別図柄保留表示部53が構成されている。同様に第2装飾部材60には、複数のLEDが設けられており、これらのLEDの組合せにより、特別図柄表示部61が構成されている。
【0033】
普通図柄表示部51は、1個のLEDから構成されており、このLEDにより普通図柄の表示が行われる。普通図柄表示部51では、普通図柄の変動表示及び停止表示が行われる。普通図柄表示部51では、普通図柄作動ゲート27を遊技球が通過することにより普通図柄が変動開始し、所定時間経過後に普通図柄が当り普通図柄の表示態様あるいは外れ普通図柄の表示態様で停止表示される。そして、普通図柄が予め設定された当り普通図柄の表示態様で停止表示すると、第2始動口28bが所定の開放パターンにしたがって開放される。第2始動口28bの開放パターンは複数種類設定されている。第2始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能の非作動時には、第1開放時間(例えば0.2秒)が設定された短時間開放パターンがセットされ、開放時間延長機能の作動時には第1開放時間より長い第2開放時間(例えば5秒)が設定された長時間開放パターンがセットされる。
【0034】
本実施例では、普通図柄当否判定用乱数が用意されており、この普通図柄当否判定用乱数は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過した際に取得されるもので、第2始動口28bを作動させるか否か(開放状態とするか否か)の普通図柄当否判定に用いられる。普通図柄当否判定用乱数には予め当り値が設定されており、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過したタイミングで取得された普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致する場合に当りと判定される。そして、普通図柄当否判定で当りと判定された場合には、普通図柄表示部51で停止表示される普通図柄は、当り普通図柄の表示態様に決定される。一方、外れと判定された場合(取得された普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致しない場合)には、普通図柄表示部51で停止表示される普通図柄は外れ普通図柄の表示態様に決定される。
【0035】
ここで、普通図柄の保留について説明する。普図保留表示部52には普通図柄保留数が表示され、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球の数を最大保留数(本実施例では4個)まで保留可能となっている。そして、次回の普通図柄当否判定が行われ普通図柄の変動表示が開始する毎に、未始動回数(保留数)が消化され、普通図柄保留数が1個ずつ減少する。普図保留表示部52は2つのLEDからなり、2個のLEDの消灯、点灯、および点滅を組み合わせることで、4個を上限として保留数を表示することができる。普通図柄の保留に伴って、普通図柄当否判定用乱数が主制御部200のRAMの所定領域に記憶される。
【0036】
なお、普通図柄当否判定、普通図柄の停止図柄の決定、普通図柄の変動パターンの設定、普通図柄の保留および保留消化は、後述の主制御部200によって行われる。
【0037】
次に、特別図柄について説明する。特別図柄表示部61は7個のLEDから構成されており、これらのLEDにより特別図柄が表示される。この特別図柄表示部61を構成する各LEDは、点灯および消灯が可能となっており、これら各LEDの点灯および消灯の組合せにより特別図柄の複数の表示態様を表示できる。そして、7個のLEDで表示される特別図柄の組合せのうち、特定の組合せが大当り図柄(大当り特別図柄)として設定されており、大当り図柄以外が外れ図柄(外れ特別図柄)として設定されている。本実施例では、特別図柄の変動表示を各LEDが点灯と消灯を繰り返す点滅表示で行うものとしている。
【0038】
次に、始動口28(第1始動口28aまたは第2始動口28b)に遊技球が入球することによって、特別図柄表示部61で特別図柄が変動開始し、所定時間経過後に特別図柄が大当り図柄あるいは外れ図柄で停止表示される図柄変動遊技が行われる。なお、特別図柄表示部61が、本発明の「図柄表示装置」に相当している。
【0039】
本実施例では、遊技球が始動口28に入球した際に取得され、大当り遊技を実行するか否かの特別図柄当否判定に用いられる特別図柄当否判定用乱数が設けられている。さらに、大当り図柄を決定するための大当り種別決定乱数(大当り図柄決定乱数)が設けられている。始動口28への遊技球の入球に伴って、特別図柄当否判定用乱数と大当り種別決定乱数が取得され、この取得された特別図柄当否判定用乱数と大当り種別決定乱数は、主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に保留として記憶される。
【0040】
ここで、特別図柄の保留について説明する。特別図柄保留表示部53は2つのLEDからなり、2個のLEDの消灯、点灯、および点滅を組み合わせることで、それぞれ4個を上限として保留数を表示することができる。
【0041】
始動口28に入球した遊技球数は、特別図柄保留数として最大保留数(本実施例では4個)に達するまで保留可能となっている。特別図柄保留数は、始動口28への遊技球の入球が発生する度に取得されて主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に記憶される特別図柄用乱数(特別図柄当否判定用乱数、特別図柄決定用乱数)の個数(記憶数)に相当する。本実施例では、始動口28への遊技球の入球に伴い、特別図柄当否判定用乱数とともに大当り種別決定乱数も取得されるので、特別図柄保留数は、大当り種別決定乱数の記憶個数にも相当する。そして、特別図柄保留数は、特別図柄当否判定が行われ特別図柄の変動表示が開始される毎に消化され、1個ずつ減少する。特別図柄の保留記憶および保留消化は、後述の主制御部200によって行われる。
【0042】
特別図柄当否判定用乱数には、当否判定用の当り値が設定されており、遊技球が第1始動口28aまたは第2始動口28bに入球したタイミングで取得された特別図柄当否判定用乱数が大当りの当り値(大当り当選値)と一致する場合に大当りと判定される。特別図柄当否判定は、特別図柄が変動表示を開始する際に行われる。
【0043】
特別図柄当否判定用乱数が当り値と一致する場合に大当りと判定され、特別図柄表示部61で停止表示される特別図柄が大当り図柄に決定される。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りでない場合(大当り抽選に落選)には、特別図柄当否判定の結果は外れであり、特別図柄表示部61で停止表示される特別図柄が外れ図柄に決定される。
【0044】
特別図柄は、所定の変動パターンにしたがって変動表示するように構成されている。この変動パターンは、特別図柄の変動時間や、その変動におけるリーチ演出や予告演出の有無(演出内容)を規定するもので、複数種類の変動パターンが変動パターン決定用の乱数値と対応付けて変動パターンテーブルに含まれている。特別図柄の変動パターンは、特別図柄当否判定が実行されて特別図柄の変動表示が開始される際に、変動パターンテーブルから抽選により選択される。特別図柄の変動パターンテーブルは、複数用意されており、それぞれ遊技状態に応じて選択されて用いられる。
【0045】
また、特別図柄当否判定、特別図柄の変動態様の決定、特別図柄の停止図柄の決定、特別図柄の変動表示および停止表示(図柄変動遊技)は、後述の主制御部200によって行われるように構成されている。
【0046】
次に、大当り遊技について説明する。特別図柄表示部61で停止表示された特別図柄が前述した大当り図柄であった場合(特別図柄当否判定の結果が大当りだった場合)に、「当り遊技実行手段」としての主制御部200は遊技者に相対的に有利な大当り遊技を開始させる。大当り遊技は、大当り遊技フラグをONに設定することで開始する。大当り遊技は、大入賞装置33を作動させる、換言すると大入賞口33aを複数回開閉させることで、大入賞口33aへの遊技球の入球に関して遊技者に利益(賞球)を付与するものである。大当り遊技は、後述の大当り遊技処理が繰り返し実行されることによって実現される。
【0047】
大当り遊技中は、大入賞装置33が作動し、大入賞口33aへの遊技球の入球に応じて、所定数の賞球(例えば、1個の入球に対して15個の賞球)が払い出される。具体的には、大当り遊技の開始により、大入賞装置33を作動させ、大入賞口33aを開放状態と閉鎖状態とに切り替える大入賞口開閉動作が複数回連続して行われる。大入賞装置33の作動開始により、大入賞口33aが開放状態となる。この開放状態は、所定の終了条件成立により終了し、開放していた大入賞口33aが閉鎖状態となる。所定の終了条件として、大入賞口33aの開放時間が規定開放時間(本実施例では30秒)に達したとき、もしくは開放状態の大入賞口33aに入球した遊技球数が規定数(本実施例では10個)に達したときとすることができる。
【0048】
この大入賞口33aの開放状態の開始から終了までを1回のラウンド遊技とした場合、大当り遊技は、所定数のラウンド遊技が行われることで終了する。大入賞装置33では、大入賞口33aの開放が終了、すなわち大入賞口33aが閉鎖状態となってから所定のインターバル時間(本実施例では2秒)が経過した後に、大入賞口33aは再び開放状態となり、次のラウンド遊技が開始する。このような大入賞口33aの開放開始から終了までを1ラウンドとする大入賞口33aの開閉動作は、所定の最高継続ラウンド数(本実施例では15ラウンド)が終了するまで繰り返し継続される。本実施例の大当り遊技は、大入賞口33aの開放時間が長く設定されており、大入賞口33aへの規定数(10個)の入球およびこれに伴う賞球払出の実行可能性が極めて高く、大量の賞球獲得が可能な「出球あり当り遊技」として位置付けられる。
【0049】
本実施例の遊技機では、大当り遊技の終了後、普通図柄と特別図柄の変動時間を短縮させる変動時間短縮機能、第2始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能、特別図柄当否判定の当選確率を変更(向上)させる確率変動機能が作動する。変動時間短縮機能、開放時間延長機能、確率変動機能は、大当り遊技終了後、次回の大当り遊技が開始されるまで作動する。変動時間短縮機能、開放時間延長機能、確率変動機能の各機能は、それぞれ変動短縮フラグ、開放延長フラグ、確変フラグをONに設定することで作動する。
【0050】
確率変動機能作動中は、大当り抽選用の大当り当選値が増加することで、大当り抽選の結果が大当りとなる確率が向上する。具体的には、大当り当選値が設定された抽選テーブルとして、低確率抽選テーブルと、低確率抽選テーブルより大当り当選値の数が多く設定されている高確率抽選テーブルとが用意されている。そして、確率変動機能非作動時には、低確率抽選テーブルを用いて大当り抽選を行うことで、大当り抽選乱数が大当り当選値と一致する確率が低確率となり、確率変動機能作動時には、高確率抽選テーブルを用いて大当り抽選を行うことで、大当り抽選乱数が大当り当選値と一致する確率が高確率となる。
【0051】
変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動する「電サポ作動状態(電チューサポート状態)」は、変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動しない電サポ非作動状態に比較して、第2始動口28b(電チュー)の開放頻度(開放回数、開放時間)が格段に向上する。電サポ作動状態では、第2始動口28bへの遊技球の入球頻度が高まることで、特別図柄当否判定の実行頻度が高まり、大当り遊技が発生しやすくなる。このため、電サポ作動状態では、電サポ非作動状態に比較して、図柄変動遊技を遊技者に有利に進行させることができる。
【0052】
変動時間短縮機能および開放時間延長機能は、それぞれ同時に作動を開始するとともに同時に作動を終了する。以下、変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動状態に関する説明について、何れか一方の機能だけを挙げて説明している場合には、もう一方の機能も対になっているものとする。例えば、以下の説明で「変動時間短縮機能が作動している」と記載する場合、この記載は「開放時間延長機能も作動している」と解することができ、逆に、「開放時間延長機能が作動している」と記載する場合、この記載は「変動時間短縮機能が作動している」と解することができる。
【0053】
大入賞装置33の左斜め上方と右斜め上方には、第1入賞口34、第2入賞口35、第3入賞口36、第4入賞口37からなる4つの一般入賞口34〜37が設けられている(図2参照)。これらの一般入賞口34〜37には、始動口28や大入賞口33aに入球しない遊技球が入球し得る。一般入賞口34〜37は、第1始動口28aと同様に遊技球受入口の大きさが変化せず遊技球の入球可能性が一定とされる入賞口として構成されているが、一般入賞口34〜37の配置構成やそれら入賞口周辺に配置される障害釘(図示せず)の配置構成(ゲージ構成)によって、第1始動口28aよりも遊技球の入球可能性が低くなっている。また、一般入賞口34〜37への遊技球の入球可能性は、遊技球の入球可能な状態(開放状態)となっている第2始動口28bや大入賞口33aよりも低くなっている。これら一般入賞口34〜37の内部には、それぞれ一般入賞口入球検知スイッチ34s〜37s(図3参照)が設けられている。また、これらの一般入賞口34〜37への遊技球の入球に応じて、所定数の賞球(例えば、1個の入球に対して7〜10個の賞球)が払い出される。
【0054】
本実施例では、第1始動口28a、第2始動口28bや大入賞口33aや一般入賞口34〜37への遊技球の不正な入球(入球異常)の発生を検知するために、これらの入賞口28a、28b、33a、34〜37に対して遊技球の入球監視を行っている。
【0055】
第2始動口28bおよび大入賞口33aは、予め設定された開放時間だけ開放する電動役物(可変入賞口)であり、その開放時間に基づき入球検知有効期間がそれぞれ設定されている。そして、入球検知有効期間内に検知された遊技球の入球を正常とし、入球検知有効期間外に検知された遊技球の入球を異常と判定している。第2始動口28bおよび大入賞口33aの入球監視処理は、主制御部200の制御によって行われる。そして、主制御部200は、第2始動口28bまたは大入賞口33aで入球異常が発生したと判定した場合に、サブ制御部260に入球異常コマンドを送信するように構成されている。
【0056】
第2始動口28bへの遊技球入球を有効とする第2始動口入球検知有効期間は、第2始動口28bが開放してから閉鎖するまでの第2始動口開放時間に所定時間を加えた合計時間とし、大入賞口33aへの遊技球入球を有効とする大入賞口入球検知有効期間は、大入賞口33aが開放してから閉鎖するまでの大入賞口開放時間に所定時間を加えた合計時間としている。第2始動口28bや大入賞口33aの開放時間に付加される「所定時間」は、第2始動口28bや大入賞口33aが閉鎖する直前にこれらの入賞口に入球した遊技球が入球検知スイッチ28t、33sで検知されるまでに要する時間であり、本実施例では「0.5〜2秒」の間で設定している。なお、第2始動口28bおよび大入賞口33aに対する遊技球の入球検知や入球監視処理は、主制御部200の制御によって行われる。
【0057】
また、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37は、遊技球が常時入球可能であるため、第2始動口28bや大入賞口33aのような入球検知有効期間を設定することができない。このため、本実施例では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に入球した遊技球数の入球時間(入球間隔)を監視する入球監視処理を行い、その監視結果に基づき第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球異常(入球過剰)を検知するように構成している。第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に対する入球監視処理は、規定時間の長さが異なる短時間監視処理と長時間監視処理の2種類がある。これらの短時間監視処理と長時間監視処理は、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37(第1入賞口34〜第4入賞口37)のそれぞれに対して別個に行われる。第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球監視処理は、サブ制御部260によって行われる。なお、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37が本発明の「入球口」に相当している。
【0058】
短時間監視処理では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の何れかに、第1規定数の遊技球が第1規定時間以内に入球した場合に入球異常と判定される。本実施例では、第1規定数を「6個」に設定し、第1規定時間を「400ms」に設定している。また、長時間監視処理では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の何れかに、第1規定数より多く設定される第2規定数の遊技球が第1規定時間より長く設定される第2規定時間以内に入球した場合に入球異常と判定される。本実施例では、第2規定数を「20個」に設定している。また、本実施例では、第2規定時間は第1始動口28aと一般入賞口34〜37とで異なる時間を設定しており、第1始動口28aに対する第2規定時間を「30s」に設定し、一般入賞口34〜37に対する第2規定時間を「60s」に設定している。なお、上述の第1規定数、第1規定時間、第2規定数、第2規定時間の具体的数値は一例であり、これらの値は任意に設定することができる。この様に、短時間監視処理と長時間監視処理とを組み合わせることで、短時間に多量の遊技球を不正に獲得する行為や、長時間にわたって少しずつ遊技球を不正に獲得する行為を共に防ぐことができ、不正行為の防止をより確実に行うことができる。
【0059】
第1始動口28aに対する遊技球の入球監視処理は、主制御部200から送信される第1始動口入球コマンドを受信したサブ制御部260の制御によって行われ、一般入賞口34〜37に対する遊技球の入球監視処理は、主制御部200から送信される一般入賞口入球コマンドを受信したサブ制御部260の制御によって行われる。主制御部200は、第1始動口28aへの遊技球の入球を検知するとサブ制御部260に一般入賞口入球コマンドを送信するとともに、一般入賞口34〜37への遊技球の入球を検知するとサブ制御部260に一般入賞口入球コマンドを送信する。なお、主制御部200が本発明の「入球コマンド送信手段」に相当し、サブ制御部260が本発明の「入球コマンド受信手段」に相当している。
【0060】
サブ制御部260は、一定間隔でカウントを行う監視タイマを、遊技開始時(遊技機の電源投入(オン)時)に作動開始させ、遊技終了時(遊技機の電源断(オフ)時)に作動を停止させる。監視タイマは、所定周期で入力される信号(入力パルス)をカウントするカウンタとして構成されており、所定周期毎にカウント値が更新される。このため、監視タイマのカウント値に基づいて、遊技開始(電源投入)からの経過時間を取得することができる。そして、サブ制御部260は、主制御部200から第1始動口入球コマンドおよび一般入賞口入球コマンドを受信する毎に(第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎に)監視タイマのカウント値を取得してRAMの所定領域に記憶する。なお、監視タイマが本発明の「カウンタ」に相当し、サブ制御部260が本発明の「カウント値記憶手段」に相当している。また、監視タイマは、遊技機をリセット処理することでカウント値をクリア(初期化)することができる。また、他の態様として、監視タイマのカウント値を、大当りの発生(遊技状態が変化する)毎にクリア(初期化)する構成としてもよい。遊技状態が変化すると、可変入球口等の状態が変化する場合があり、監視タイマをリセットし、改めて入球異常(入球過剰)を監視することとしてもよい。
【0061】
本実施例では、短時間監視処理用の監視タイマのカウント値を記憶するRAMの領域を「短時間用RAM」と称し、長時間監視処理用の監視タイマのカウント値を記憶するRAMの領域を「長時間用RAM」と称する。「短時間用RAM」および「長時間用RAM」は、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37のそれぞれに対応して設けられている。また、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37のそれぞれに対し、「短時間用RAM」は上述の第1規定数(本実施例では6個)に対応する数の「短時間用RAM1」〜「短時間用RAM6」が設けられ、「長時間用RAM」は上述の第2規定数(本実施例では20個)に対応する数の「長時間用RAM1」〜「長時間用RAM20」が設けられている。更に具体的には、「短時間用RAM」として、「第1始動口短時間用RAM1〜第1始動口短時間用RAM6」、「第1一般入賞口短時間用RAM1〜第1一般入賞口短時間用RAM6(一般入賞口34に対応)」、「第2一般入賞口短時間用RAM1〜第2一般入賞口短時間用RAM6(一般入賞口35に対応)」、「第3一般入賞口短時間用RAM1〜第3一般入賞口短時間用RAM6(一般入賞口36に対応)」、「第4一般入賞口短時間用RAM1〜第4一般入賞口短時間用RAM6(一般入賞口37に対応)」が設けられている。また「長時間用RAM」として、「第1始動口長時間用RAM1〜第1始動口長時間用RAM20」、「第1一般入賞口長時間用RAM1〜第1一般入賞口長時間用RAM20(一般入賞口34に対応)」、「第2一般入賞口長時間用RAM1〜第2一般入賞口長時間用RAM20(一般入賞口35に対応)」、「第3一般入賞口長時間用RAM1〜第3一般入賞口長時間用RAM20(一般入賞口36に対応)」、「第4一般入賞口長時間用RAM1〜第4一般入賞口長時間用RAM20(一般入賞口37に対応)」が設けられている。
【0062】
短時間監視処理および長時間監視処理では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎に、これらの入球口に最新に入球した遊技球に対応してRAMに記憶されたカウント値と、最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に入球した遊技球に対応してRAMに記憶されたカウント値とを比較する比較処理が実行される。そして、比較処理の比較結果が、これらの入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数の遊技球が入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、当該入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたと判断するように構成されている。カウント値の比較処理はサブ制御部26の制御によって実現される。このため、サブ制御部260が本発明の「カウント値比較手段」に相当している。以下、短時間監視処理および長時間監視処理について具体的に説明する。
【0063】
短時間監視処理では、サブ制御部260が、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎にカウント値を取得するとともに、順に短時間用RAM1〜短時間用RAM6に記憶する。このため、直近の所定個数(6個)の入球において、短時間用RAM1に最先に取得された(最先の遊技球入球時に取得された)カウント値が記憶され、短時間用RAM6に最新に取得された(最新の遊技球入球時に取得された)カウント値が記憶される。上述のようにカウント値は所定周期で更新されるため、短時間用RAM6に記憶されたカウント値と短時間用RAM1に記憶されたカウント値との差から、最新に入球した遊技球を含めて第1規定数(本実施例では6個)の遊技球入球に要した時間を算出することができる。
【0064】
そして、サブ制御部260は、入球数が第1規定数(本実施例では6個)に到達した場合(短時間用RAM6にカウント値が記憶された場合)に、短時間用RAM6に記憶されたカウント値と短時間用RAM1に記憶されたカウント値との差から算出される値(時間差)が第1規定時間(本実施例では400ms)以下であるか否かを判定し、肯定結果となった場合に、対応する第1始動口28aまたは一般入賞口34〜37への遊技球入球状況に異常が発生したことを示す異常信号を出力する。この異常信号に基づいて後述の入球異常報知が行われる。その後、サブ制御部260は、短時間用RAM2〜短時間用RAM6に記憶されたカウント値をそれぞれ短時間用RAM1〜短時間用RAM5にシフトさせ、新たな遊技球入球があった場合にカウント値を取得して短時間用RAM6に記憶するとともに、上記判定処理を実行することを繰り返し行う。
【0065】
すなわち、RAM1〜RAM6にカウント値が記憶された後は、入球がある毎に、全ての入球に対して入球異常の短時間監視を行うことができる。また、入球異常とは、入球過剰を意味し、所定時間(400ms)以内に、所定個数(6個)以上の入球があった場合に、入球異常があったものとして判断される。尚、短時間監視における「所定時間」は、当該所定時間(400ms)以内に所定個数(6個)の遊技球が通過することは、通常の遊技を行っている限り起こりえない時間に設定されている。このような状態が起こることは、不正電波の発信により遊技球検知センサやその入力ラインが誤作動させられたか、又は遊技球検知センサや遊技球の入球に関する制御基板が故障したことが考えられる。
【0066】
また判定処理としては、特定の入球口について、最新に入球した遊技球の入球タイミングと所定個数前(6個前)に入球した遊技球の入球タイミングとを比較することで、6個の遊技球が入球するのに要した時間が400ms以内であると、入球異常(入球過剰)が発生したと判定する。
【0067】
長時間監視処理では、サブ制御部260が、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎にカウント値を取得するとともに、順に長時間用RAM1〜長時間用RAM20に記憶する。このため、長時間用RAM1に最先に取得された(最先の遊技球入球時に取得された)カウント値が記憶され、長時間用RAM20に最新に取得された(最新の遊技球入球時に取得された)カウント値が記憶される。上述のようにカウント値は所定周期で更新されるため、長時間用RAM20に記憶されたカウント値と長時間用RAM1に記憶されたカウント値との差から、最新に入球した遊技球を含めて第2規定数(本実施例では20個)の遊技球入球に要した時間を算出することができる。
【0068】
そして、サブ制御部260は、入球数が第2規定数(本実施例では20個)に到達した場合(長時間用RAM20にカウント値が記憶された場合)に、長時間用RAM20に記憶されたカウント値と長時間用RAM1に記憶されたカウント値との差から算出される時間差が第2規定時間(第1始動口28aは30s、一般入賞口34〜37は60s)以下であるか否かを判定し、肯定結果となった場合に、対応する第1始動口28aまたは一般入賞口34〜37への遊技球入球状況に異常が発生したことを示す異常信号を出力する。この異常信号に基づいて後述の入球異常報知が行われる。その後、サブ制御部260は、長時間用RAM2〜長時間用RAM20に記憶されたカウント値をそれぞれ長時間用RAM1〜長時間用RAM19にシフトさせ、新たな遊技球入球があった場合にカウント値を取得して長時間用RAM20に記憶するとともに、上記判定処理を実行することを繰り返し行う。
【0069】
すなわち、RAM1〜RAM20にカウント値が記憶された後は、入球がある毎に、全ての入球に対して入球異常の長時間監視を行うことができる。また、入球異常とは、入球過剰を意味し、所定時間(30s又は60s)以内に、所定個数(20個)以上の入球があった場合に、入球異常があったものとして判断される。尚、長時間監視における「所定時間」は、当該所定時間(30s又は60s)以内に所定個数(20個)の遊技球が通過することは、通常の遊技を行っている限り起こりえない時間に設定されている。このような状態が起こることは、不正電波の発信により遊技球検知センサやその入力ラインが誤作動させられたか、釣り糸ゴト等の不正により不正行為が行われているか、又は遊技球検知センサや遊技球の入球に関する制御基板が故障したことが考えられる。
【0070】
また、第1始動口28a、第2始動口28b、大入賞口33aおよび一般入賞口34〜37に対する遊技球の入球監視の結果、いずれかの入賞口で入球異常が発生した場合には、入球異常が発生した入賞口を特定して入球異常報知を行うように構成されている。入球異常報知は、演出表示装置25、前面枠4のランプ262(図3参照)、スピーカ10a〜10d等の報知手段を用いて行うことができる。入球異常報知は、所定の入球異常報知実行時間が経過するまで行われる。入球異常報知実行時間は、任意に設定することができ、本実施例では30〜60秒の間で設定している。
【0071】
第1始動口28a、第2始動口28b、大入賞口33aおよび一般入賞口34〜37の入球異常報知は、サブ制御部260の制御によって行われる。サブ制御部260は、主制御部200から入球異常コマンドを受信した場合や、第1始動口28aまたは一般入賞口34〜37の入球監視処理で入球異常が発生したと判定した場合に、異常信号を出力し、演出表示装置25等の報知手段で入球異常報知を行うように構成されている。このため、サブ制御部260が本発明の「異常信号出力手段」に相当している。
【0072】
本実施例の遊技機1では、特別図柄表示部61を用いて行われる特別図柄の図柄変動遊技に付随して、演出表示装置25にて図柄変動演出が行われる。図柄変動演出としては、例えば特別図柄表示部61での特別図柄の変動表示に連動して数字図柄からなる演出図柄を変動表示させる変動表示演出や、演出図柄の変動表示中に行われるリーチ演出などが挙げられる。なお、これらの演出内容は複数種類存在し、演出画像データは演出表示制御部280のROMに記憶されている。
【0073】
次に、演出表示装置25で表示される演出図柄について説明する。演出図柄は特別図柄表示部61の特別図柄の変動表示および停止表示に連動して表示される。図2に示すように、演出表示装置25の表示領域には、左図柄が表示される左図柄表示領域、中図柄が表示される中図柄表示領域、右図柄が表示される右図柄表示領域から構成された演出図柄表示部が設けられている。各図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する向き、この場合、上下方向(縦方向)に図柄変動方向が設定されている。各図柄表示領域は、「1」〜「9」からなる図柄をそれぞれ表示可能となっている。
【0074】
演出図柄は、特別図柄が変動表示を開始することにより変動表示を開始し、特別図柄が何れかの図柄で停止表示されると、演出図柄は特別図柄の停止図柄に応じた図柄で停止表示される。演出図柄では、3桁同一の図柄組合せが特別図柄の大当り図柄に対応し、それ以外の図柄組合せが特別図柄の外れ図柄に対応している。
【0075】
演出図柄の変動態様(変動パターン)および停止図柄の決定は、主制御部200から送信される変動パターン指定コマンドおよび停止情報指定コマンドに基づいてサブ制御部260によって行われるように構成されている。ここで、主制御部200からサブ制御部260に向けて送信される変動パターン指定コマンドは、特別図柄の変動パターンを示すもので、具体的には、特別図柄の変動時間や、リーチ演出の有無等の演出内容を示している。主制御部200は、特別図柄の当否判定結果に応じて特別図柄の変動パターンをランダムに(乱数抽選により)決定する。そして、主制御部200により決定された特別図柄の変動パターンに基づき、サブ制御部260が、演出表示装置25の演出図柄表示部で表示される演出図柄の演出パターンを決定する。また、主制御部200からサブ制御部260に向けて送信される停止情報指定コマンドは特別図柄の停止図柄を示すもので、主制御部200は、特別図柄の当否判定結果に応じて特別図柄の停止図柄をランダムに(乱数抽選により)決定する。そして、主制御部200により決定された特別図柄の停止図柄を示す停止情報指定コマンドに基づき、サブ制御部260が、演出表示装置25の演出図柄表示部で停止表示される演出図柄の停止図柄を決定する。
【0076】
また、演出表示装置25の表示領域では、特別図柄保留数を表示する保留表示演出や、大当り遊技中に大当り遊技の進行に伴う当り関連演出が行われる。当り関連演出としては、大当り遊技開始時に実行される大当り遊技開始演出(ファンファーレ演出)、大当り遊技中に実行されるラウンド演出(大当り遊技演出)、大当り遊技終了時に実行される大当り遊技終了演出(エンディング演出)等がある。これらの当り関連演出は、サブ制御部260が大当り遊技の進行に伴って主制御部200から送信されるコマンドに基づいて実行する。
【0077】
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図3に基づいて説明する。図3は、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0078】
図3に示すように、電子制御装置は、主制御部200と、その主制御部200に接続された副制御部230、260、280とを含んで構成されている。副制御部は、払出制御部(賞球制御部)230、サブ制御部260及び演出表示制御部280から構成される。主制御部200は主制御基板200aを備え、副制御部230、260及び280は周辺制御基板として払出制御基板230a、サブ制御基板260a及び演出表示制御基板280aをそれぞれ備えている。これらの各制御基板や、その他の基板(電源基板、中継基板、駆動基板、装飾基板、アンプ基板、演出ボタン基板など)は、遊技機1の裏面側に配置される。
【0079】
各制御部200、230、260、280には、図示しない主電源から電源が供給されている。また、電源立上げ時には、システムリセット信号が各制御部200、230、260、280に送信される。なお、本実施例の遊技機1は、電源断時に主制御部200及び払出制御部230に作動電圧を供給する図示しないバックアップ電源部(図示略)を備えており、電源断時にも主制御部200及び払出制御部230のRAMデータが保持される。
【0080】
主制御部200は、遊技の進行を司る遊技制御手段を構成するものであり、各副制御部230、260に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御部230、260、280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
【0081】
主制御部200を構成する主制御基板200aのCPU200bは、CPUコア、内蔵RAM(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM(以下、単にROMともいう)等を備えており、ROMに格納された制御プログラムにより、RAMをワークエリアとして遊技機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。また、主制御部200は、CPU200bが主体となって、ROMに格納された当否判定プログラムにより特別図柄の当否判定を行う当否判定実行手段を構成している。また、主制御部200のCPU200bは、特別図柄当否判定を実行する際に、ROMに格納された特別図柄の変動パターンテーブルから特定の変動パターンを決定する。なお、本実施例の主制御部200のCPU200bの制御周期は4msに設定されている。
【0082】
主制御部200には、盤面入力中継基板201と盤面出力中継基板202とが接続されている。盤面入力中継基板201には、普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s、第1始動口入球検知スイッチ28s、第2始動口入球検知スイッチ28t、大入賞口入球検知スイッチ33s、一般入賞口入球検知スイッチ34s〜37sが接続されており、これらの信号が主制御部200に入力するように構成されている。盤面出力中継基板202には、普通図柄表示部51(1個のLED)、特別図柄表示部61(7個のLED)、始動口ソレノイド28c、大入賞口ソレノイド33cが接続されており、主制御部200からの制御信号が出力される。
【0083】
払出制御部230を構成する払出制御基板230aは、主制御部200のCPU200bと同様の構成を有するCPU230bを備えている。払出制御部230には、発射制御部250、CRユニット13等が接続されている。主制御部200から払出制御部230には、賞球払出を指示する賞球指示コマンド、遊技開始許可を指示する遊技開始許可信号、各種発射制御コマンド等のコマンドが送信される。各種発射制御コマンドには、球送り許可・禁止、発射許可・禁止、遊技開始許可等が含まれている。払出制御基板230aのCPU230bは、主制御部200からの賞球指示コマンドを受信すると、そのコマンドが示す賞球数に基づいて、遊技機1の裏面側に設けられた図示しない遊技球払出装置の払出モータを回転駆動することにより、指定された賞球数分の遊技球の払い出し(賞球払出)を行う。この遊技球の払い出し(賞球払出)は、遊技機1の裏面側上部に設けられた図示しない遊技球タンクに貯留された遊技球を、図示しない遊技球レールを介して遊技球払出装置に供給し、その供給された遊技球を遊技球払出装置の払出モータの回転駆動により排出することで、行われる。
【0084】
発射制御部250には、タッチスイッチ8aと発射停止スイッチ8bが接続されており、遊技者が発射ハンドル8に触れることでタッチスイッチ8aからタッチ信号が入力し、遊技者が発射停止スイッチ8bを操作すること(押圧すること)で、発射停止スイッチ8bから発射停止信号が入力する。
【0085】
サブ制御部260は、遊技の進行に伴って実行される各種演出を制御するサブ制御手段(演出制御手段)を構成しており、サブ制御基板260aにはCPU260bや図示しないROM、RAM、入出力ポート等を有する演算回路構成要素とサウンドジェネレータが設けられており、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。サブ制御部260(CPU260b)は、各種ランプ類による装飾表示、スピーカ10a〜10dから出力される効果音、演出表示装置25による演出図柄の表示等を用いた演出制御を司るように構成されている。
【0086】
主制御部200からサブ制御部260には、遊技の進行に関連する各種制御コマンド、(特別図柄変動開始時コマンド、図柄停止コマンド、大当り遊技開始指定コマンド、大当り遊技終了指定コマンド、ラウンド指定コマンド、復帰コマンドなど)、各種ランプ制御コマンド及び各種音声制御コマンドが送信され、サブ制御部260は遊技の進行に伴う演出制御を司るように構成されている。主制御部200から演出表示制御部280には、サブ制御部260を介して、演出図柄の表示制御を指示する各種図柄制御制御コマンドが送信される。そして、サブ制御部260には演出表示制御部280が接続されており、サブ制御部260から演出表示制御部280には、主制御部200からの各種図柄制御コマンドに応じた演出図柄の表示(図柄変動演出)を実現するための演出表示制御を指示する各種演出表示制御コマンドが同時に送信される。
【0087】
演出表示制御部280の演出表示制御基板280aには、CPU280b、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにおいてサブ制御部260に接続されており、演出表示制御部280には演出表示装置25が接続されている。また、演出表示制御基板280aには、図示しない画像ROMが設けられており、その画像ROMには、演出表示装置25で表示される演出用図柄の画像データ(前述した図柄変動演出に関する画像データなど)が複数格納されている。演出表示制御部280(CPU280b)は、演出表示装置25の駆動制御(各種演出用の図柄データや画像データの表示出力処理)を行うように構成されている。
【0088】
その他、サブ制御部260には、装飾駆動基板261を介して各種LED・ランプ262が接続されており、アンプ基板263には、遊技の進行に対応して各種サウンド、音声等を出力するスピーカ10a〜10dが接続されている。さらに、サブ制御部260には、演出ボタン基板264を介して演出ボタン5dが接続されている。サブ制御部260は、主制御部200や演出ボタン5dからの各種指令(変動パターン指定コマンドの受信、演出ボタン操作信号の入力など)に基づいて、各種LED・ランプの点灯・点滅パターンの選択・実行処理や、スピーカ10a〜10dから出力される効果音データの選択・出力処理や、演出表示装置25での演出表示の実行処理等を行う。なお、演出表示装置25、各種LED・ランプ262、スピーカ10a〜10dが本発明の「演出装置」に相当している。
【0089】
次に、本実施例の遊技機1の作動をフローチャートに基づいて説明する。図4は、主制御部200の制御下で行われるメインジョブの一例である。図4に示すメインジョブは、主制御基板200aに実装されたCPU200bが、図示しないROM(CPU200bの内蔵ROMまたは主制御基板200aに実装されるROM)に格納されたプログラムに基づいて実行するもので、電源投入処理(S100)の後、遊技開始処理(S200)、普通図柄遊技処理(S300)、普通図柄当り遊技処理(S400)、特別図柄遊技処理(S500)、大当り遊技処理(S600)、電動役物入球監視処理(S700)の各処理が、CPU200bのタイマ割込みの発生毎(本実施例では4ms毎)に繰り返し実行される。電断発生時処理(S50)は、停電等によって電源断が発生した場合に、使用レジスタやスタックポインタの保存、払出モータの停止等が行われ、システムリセットが発生した場合に電源投入処理(S100)に移るようになっている。
【0090】
電源投入処理(S100)は、電源投入時と電源断発生後の復電時に行われるものであり、電源投入時にはRAM初期化処理等が行われ、電源断復帰時には電源断時の遊技状態に復帰させるための復帰設定等が行われる。
【0091】
次に、遊技開始処理(S200)を図5のフローチャートに基づいて説明する。まず、主制御部200に接続されているRAMクリアスイッチ以外のすべてのスイッチの状態を読み込み(S201)、各々のスイッチ状態をスイッチ情報としてRAMに記憶する(S202)。スイッチ情報は、S201の処理で読み込み対象となるスイッチが遊技球の通過や入球を検知するスイッチの場合、スイッチがONであること(遊技球の通過や入球が発生したこと)を示す情報や、スイッチがOFFであること(遊技球の通過や入球が発生していないこと)を示す情報である。
【0092】
次に、当否判定用乱数、図柄表示用乱数等の各種乱数の更新を行う(S203)。具体的には、上述のRAMに設定された乱数カウンタの値を、初期値(例えば0)から所定値(例えば255)の間で1ずつ加算する。乱数カウンタの値が所定値を超える場合には初期値に戻る。
【0093】
次に、入賞があったか否かを判定する(S204)。S204の判定処理は、上述のS202の処理で記憶したスイッチ情報に「入球検知スイッチ28s,28t,33s,34s〜37sの各々について遊技球の入球を検知したことを示す情報」が含まれているか否かを判定し、その情報が含まれている場合に入賞があったと判定する。この結果、入賞があったと判定された場合には(S204:YES)、その入賞があった入賞口(始動口28、大入賞口33a、一般入賞口34〜37)に対応する入賞検知情報をRAMに記憶する(S205)。一方、入賞がなかったと判定された場合には(S204:NO)、そのままS206の処理に移行する。
【0094】
次に、入賞検知情報がRAMに記憶されているか否かを判定する(S206)。この結果、入賞検知情報が記憶されていないと判定された場合には(S206:NO)、遊技開始処理を終了する。一方、入賞検知情報が記憶されていると判定された場合には(S206:YES)、その入賞検知情報に対応する入賞口(始動口28を含む)に対して予め設定された賞球数を指定する賞球数指定コマンドを払出制御部230に送信する(S207)。
【0095】
次に、入賞検知情報が第1始動口28aへの入賞(遊技球の入球)によるものであるか否かを判定する(S208)。この結果、第1始動口28aへの入賞によるものであると判定された場合には(S208:YES)、第1始動口28aに遊技球が入球したことを示す第1始動口入球コマンドをサブ制御部260に送信し(S209)。サブ制御260は、主制御部200から送信される第1始動口入球コマンドに基づいて、後述の入球監視処理(S1200)を実行する。その後、遊技開始処理を終了する。
【0096】
また、S208の判定処理の結果が、第1始動口28aへの入賞によるものでないと判定された場合には(S208:NO)、入賞検知情報が一般入賞口34〜37への入賞(遊技球の入球)によるものであるか否かを判定する(S210)。この結果、一般入賞口34〜37への入賞によるものでないと判定された場合には(S210:NO)、遊技開始処理を終了する。一方、一般入賞口34〜37への入賞によるものであると判定された場合には(S210:YES)、一般入賞口34〜37に遊技球が入球したことを示す一般入賞口入球コマンドをサブ制御部260に送信する(S211)。本実施例の一般入賞口入球コマンドでは、複数の一般入賞口34〜37のうち、遊技球が入球した一般入賞口34〜37の種類が特定されるようになっている。サブ制御部260は、主制御部200から送信される一般入賞口入球コマンドに基づいて、後述の入球監視処理(S1200)を実行する。なお、S202の処理で記憶されるスイッチ情報やS205の処理で記憶される入賞検知情報は、次回のタイマ割込みの発生に基づく遊技開始処理(S200)の開始に際して消去される。つまり、タイマ割込みが発生する毎(本実施例では4ms毎)に消去される。
【0097】
次に、図4に戻り、普通図柄遊技処理(S300)では、まず、普通図柄の当否判定を行って、普通図柄表示部51(図2参照)にて普通図柄を当り普通図柄の表示態様で停止表示させるか、外れ普通図柄の表示態様で停止表示させるかを決定する。ここで、前述したように、本実施例における普通図柄の当否判定は、始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の作動状態に応じて、当りとなる確率が異なっており、開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の作動時の方が、開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の非作動時に比べ当りとなる確率が高くなっている。
【0098】
次に、普通図柄の当否判定の結果が得られたら、普通図柄の変動表示時間を設定し、その変動表示時間に従って普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、決定しておいた表示態様で普通図柄を停止表示させ、普通図柄が当り普通図柄の表示態様で停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる(第2始動口28bを開放状態とする)。普通図柄遊技処理では、以上のようにして、普通図柄の変動表示および停止表示を行い、普通図柄が当り普通図柄の表示態様で停止表示された場合には、第2始動口28bを作動させる処理を行う。第2始動口28bが作動すると、一対の翼片部が左右に開動作して、第2始動口28bが開放状態となる。
【0099】
普通図柄当り遊技処理(S400)では、第2始動口28bを開放状態に維持する開放時間が経過したか否かを判定し、開放時間が経過していない場合には、第2始動口28bに規定入賞数の入賞があったか否かを判定する。開放状態にある第2始動口28bに規定入賞数の入賞があったと判定されるか、開放状態にある第2始動口28bの開放時間が経過していると判定された場合には、一対の翼片部が閉動作して、第2始動口28bは通常状態(閉鎖状態)となる。
【0100】
次に、特別図柄遊技処理(S500)を図6、図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、図6(a)に示すように、始動口28(第1始動口28aまたは第2始動口28b)に入賞(遊技球が入球)したか否かを判定し(S501)、始動口28に入賞していないと判定された場合には(S501:NO)。S504の処理に移行する。一方、始動口28に入賞したと判定された場合には(S501:YES)、特別図柄保留数が4未満であるか否かを判定する(S502)。この結果、特別図柄保留数が4未満でない(4以上である)と判定された場合には(S502:NO)、S504の処理に移行し、特別図柄保留数が4未満であると判定された場合には(S502:YES)、特別図柄用乱数を取得してRAMの所定領域に記憶する(S503)。これにより、特別図柄保留数が1増加する。なお、特別図柄用乱数は、特別図柄当否判定用乱数、図柄決定用乱数、リーチ乱数などからなる。
【0101】
次に、大当り遊技中であるか否か(大当り遊技フラグがONであるか否か)を判定する(S504)。この結果、当り遊技中である(大当り遊技フラグがONである)と判定された場合には(S504:YES)、特別図柄遊技処理を終了し、大当り遊技中でない(大当り遊技フラグがOFFである)と判定された場合には(S504:NO)、特別図柄が変動中であるか否かを判定する(S505)。
【0102】
この結果、特別図柄が変動中であると判定された場合には(S505:YES)、後述のS509の処理に移行し、特別図柄が変動中でないと判定された場合には(S505:NO)、特別図柄の停止表示時間中であるか否かを判定する(S506)。ここで、特別図柄の停止表示時間とは、停止表示された特別図柄を確定させる時間のことであり、本実施例では、特別図柄の停止表示時間を「1秒」としている。そして、特別図柄の停止表示時間中であると判定された場合には(S506:YES)、後述のS513の処理に移行し、特別図柄の停止表示時間中でないと判定された場合には(S506:NO)、特別図柄保留数がゼロであるか否かを判定する(S507)。
【0103】
この結果、特別図柄保留数がゼロであると判定された場合には(S507:YES)、特別図柄遊技処理を終了する。一方、特別図柄保留数がゼロでないと判定された場合には(S507:NO)、特別図柄変動表示関連処理を行う(S508)。
【0104】
ここで、特別図柄変動表示関連処理(S508)を図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数(始動口28への遊技球入球時に取得された当否判定用乱数)を読み出し(S508a)、特別図柄当否判定を行う(S508b)。
【0105】
次に、S508bで行った特別図柄当否判定の結果が大当りであるか否かを判定する(S508c)。この結果、特別図柄当否判定の結果が大当りであると判定された場合には(S508c:YES)、大当り時変動パターンテーブル振分処理によって特別図柄の変動パターンテーブルを設定する(S508d)。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りでない(外れである)と判定された場合には(S508c:NO)、外れ時変動パターンテーブル振分処理によって特別図柄の変動パターンテーブルを設定する(S508g)。
【0106】
次に、変動パターン決定乱数を取得するとともに、主制御部200のRAMの所定領域に記憶されている図柄決定用乱数(第1始動口28aまたは第2始動口28bへの遊技球入球時に取得された特別図柄決定用乱数)を読み出す(S508h)。
【0107】
次に、特別図柄の変動パターンと停止図柄を決定する(S508i)。特別図柄の変動パターンは、S508hで取得した特別図柄変動パターン決定用乱数を用いて、S508d、S508gの何れかの処理でセットした変動パターンテーブルから特定の変動パターンを選択する。また、特別図柄の停止図柄は、S508hで読み出した図柄決定用乱数を用いて、特別図柄の停止図柄の種類(特別図柄表示部61におけるLEDの表示パターン)を決定する。
【0108】
次に、S508iで決定された停止図柄および変動パターンに従って、特別図柄表示部61で特別図柄の変動表示を開始し(S508j)、これに付随して、図柄変動開始時コマンドとしての特別図柄の変動パターン指定コマンドと停止情報指定コマンドをサブ制御部260に送信する(S508k)。変動パターン指定コマンドは、S508iで設定された特別図柄の変動パターンを指定するコマンドであり、特別図柄情報指定コマンドは、特別図柄の停止図柄を指定するコマンドである。この変動パターン指定コマンドと停止情報指定コマンドをサブ制御部260に送信すると、これらコマンド(図柄変動開始時コマンド)を受信したサブ制御部260および演出表示制御部280の制御下で図柄変動演出(演出図柄の変動表示)が開始される。そして、特別図柄保留数を1減算する(S508l)。以上までが、特別図柄の変動表示を開始する際の処理である。
【0109】
次に、図6(a)に戻り、上記S505で特別図柄が変動中であると判定された場合には(S505:YES)、変動中の特別図柄の変動表示時間が経過しているか否かを判定する(S509)。この結果、特別図柄の変動表示時間が経過していないと判定された場合には(S509:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の変動表示時間が経過していると判定された場合には(S509:YES)、特別図柄の変動表示を停止し(S510)、特別図柄の変動表示が停止したことを示す図柄停止コマンドをサブ制御部260に送信し(S511)、特別図柄の停止表示時間を設定する(S512)。
【0110】
次に、特別図柄の停止図柄表示時間が経過したか否かを判定する(S513)。この結果、特別図柄の停止図柄表示時間が経過していないと判定された場合には(S513:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の停止図柄表示時間が経過していると判定された場合には(S513:YES)、特別図柄表示部61に停止表示された特別図柄の停止図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(図6(b)のS514)。
【0111】
この結果、特別図柄の停止図柄が大当り図柄であると判定された場合には(S514:YES)、大入賞口33aの開放パターンをセットして(S515)、大当り遊技フラグをONにセットする(S516)。これにより、S515の処理でセットされた大入賞口開放パターンに従って大当り遊技が開始される。そして、大当り遊技が開始されることを示す大当り遊技開始指定コマンドをサブ制御部260に送信する(S517)。
【0112】
次に、確変フラグがONであるか否かを判定し(S518)、確変フラグがONであると判定された場合は(S518:YES)、確変フラグをOFFにセットし(S519)、S520の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定された場合には(S518:NO)、そのままS520の処理に移行する。
【0113】
S520の処理では、変動短縮フラグがONであるか否かを判定し、変動短縮フラグがONでないと判定された場合には(S520:NO)、そのまま特別図柄遊技処理を終了する。一方、変動短縮フラグがONであると判定された場合には(S520:YES)、変動短縮フラグをOFFにセットし(S521)、さらに開放延長フラグをOFFにセットする(S522)。これにより、大当り遊技の開始に伴い、確率変動機能、変動時間短縮機能、開放時間延長機能が作動を停止する。
【0114】
次に、上記S514の判定処理で、特別図柄表示部61に停止表示された特別図柄の停止図柄が大当り図柄でない(換言すると、外れ図柄である)と判定された場合には(S514:NO)、変動短縮フラグがONであるか否かを判定する(S523)。この結果、変動短縮フラグがONでないと判定された場合は(S523:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、変動短縮フラグがONであると判定された場合は(S523:YES)、変動短縮カウンタを1減算し(S524)、変動短縮カウンタがゼロになったか否かを判定する(S525)。変動短縮カウンタは、変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動期間をカウントするためのものであり、大当り遊技の終了後に大当りの種類に応じて後述のS614の処理(図8参照)でセットされる。
【0115】
そして、変動短縮カウンタがゼロではないと判定された場合には(S525:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、変動短縮カウンタがゼロであると判定された場合には(S525:YES)、変動短縮フラグをOFFにし(S526)、開放延長フラグをOFFにする(S527)。これにより、変動時間短縮機能と開放時間延長機能が作動停止する。
【0116】
次に、大当り遊技処理(S600)について図8のフローチャートに基づいて説明する。まず、大当り遊技中であるか否か(大当り遊技フラグがONであるか否か)を判定する(S601)。この結果、大当り遊技中でない(大当り遊技フラグがOFFである)と判定された場合には(S601:NO)、大当り遊技処理を終了し、大当り遊技中である(大当り遊技フラグがONである)と判定された場合には(S601:YES)、大入賞口33aが開放中であるか否かを判定する(S602)。この結果、大入賞口33aが開放中であると判定された場合には(S602:YES)、大入賞口33aの開放時間が経過したか否か、換言すると、開放時間が規定開放時間(本実施例では30秒)に達したか否かを判定し(S603)、大入賞口33aの開放時間が経過していないと判定された場合には(S603:NO)、大入賞口33aに規定入賞数の入賞があったか否か(規定数の遊技球が入球したか否か)を判定する(S604)。本実施例では、大入賞口33aに規定入賞数として10個の遊技球が入球したか否かを判定する。
【0117】
S604の処理の結果、大入賞口33aに規定入賞数が入賞していないと判定された場合には(S604:NO)、大当り遊技処理を終了し、大入賞口33aに規定入賞数が入賞していると判定された場合(S604:YES)または大入賞口33aの開放時間が経過している(規定時間に達している)と判定された場合には(S603:YES)、大入賞口33aを閉鎖する(S605)。
【0118】
また、上記S602で、大入賞口33aが開放中でないと判定された場合には(S602:NO)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判定する(S606)。S606の判定処理は、大当り遊技のラウンド数が15ラウンドに達したか否かを判定する。
【0119】
この結果、大当り遊技終了条件が成立していないと判定された場合には(S606:NO)、大入賞口33aの閉鎖時間(インターバル時間)が経過しているか否かを判定し(S607)、大入賞口33aの閉鎖時間が経過していないと判定された場合には(S607:NO)、大当り遊技処理を終了し、大入賞口33aの閉鎖時間が経過していると判定された場合には(S607:YES)、大入賞口33aを開放させ(S608)、大当り遊技のラウンド数(大入賞口33aの開放回数)を示すラウンド指定コマンドをサブ制御部260に送信する(S609)。ラウンド指定コマンドを受信したサブ制御部260は、ラウンド演出(大当り遊技演出)を実行する。
【0120】
上記S606で、大当り遊技終了条件が成立していると判定された場合には(S606:YES)、大当り遊技フラグをOFFにセットする(S609)。これにより、大当り遊技が終了する。
【0121】
次に、終了した大当り遊技を開始させる起因となった大当り図柄の種類が確変大当り図柄であるか否かを判定する(S610)。
【0122】
この結果、大当り図柄の種類が「確変大当り図柄」であると判定された場合には(S610:YES)、確変フラグをONにセットする(S611)。これにより、確率変動機能が作動開始する。一方、大当り図柄の種類が「確変大当り図柄」でない(「通常大当り図柄」である)と判定された場合には(S610:NO)、確変フラグをONにセットする処理(S611)を行うことなく、S612の処理に移行する。そして、変動短縮フラグをONにセットし(S612)、開放延長フラグをONにセットし(S613)、開放延長回数カウンタに変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動期間を定めるための値(初期値)をセットする(S614)。これにより、変動時間短縮機能と開放時間延長機能が作動開始する。なお、本実施例では、終了した大当り遊技の開始契機となった大当り図柄の種類が確変大当り図柄である場合(S610:YES)には、開放延長回数カウンタに「10,000」をセットし、通常大当り図柄である場合(S610:NO)には、開放延長回数カウンタに「100」をセットすることとしている。これにより、確変大当り図柄の停止表示を契機とする大当り遊技の終了後は、確率変動機能が作動するとともに、特別図柄の変動回数が「10,000回」に到達するまで変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動する。つまり、確率変動機能、変動時間短縮機能および開放時間延長機能のすべてが、次回の大当り遊技が開始されるまで作動する。また、通常大当り図柄の停止表示を契機とする大当り遊技の終了後は、確率変動機能が作動することなく、変動時間短縮機能および開放時間延長機能が、特別図柄の変動回数が「100回」に到達するまで作動する。
【0123】
次に、電動役物入球監視処理(S700)について図9のフローチャートに基づいて説明する。まず、第2始動口入球検知有効期間であるか否かを判定する(S701)。この結果、第2始動口入球検知有効期間であると判定された場合には(S701:YES)、S704の処理に移行する。一方、第2始動口入球検知有効期間でないと判定された場合には(S701:NO)、第2始動口入球検知スイッチ28tによる遊技球の入球検知(第2始動口28bへの遊技球の入球)が発生したか否かを判定する(S702)。このS702の処理は、上述した遊技開始処理のS205の処理(図5参照)によってRAMに記憶されている入球検知情報が「第2始動口28bに対応する入球検知情報(第2始動口入球検知情報)」であるか否かに基づき行われるもので、「第2始動口入球検知情報」である場合に、第2始動口入球検知スイッチ28tによる遊技球の入球検知(第2始動口28bへの遊技球の入球)が発生したと判定される。
【0124】
この結果、第2始動口入球検知スイッチ28tによる遊技球の入球検知が発生していないと判定された場合には(S702:NO)、S704の処理に移行する。一方、第2始動口入球検知スイッチ28tによる遊技球の入球検知が発生したと判定された場合には(S702:YES)、第2始動口28bに対する入球異常が発生したことを示す第2始動口入球異常コマンドをサブ制御部260に送信する(S703)。
【0125】
次に、大入賞口入球検知有効期間であるか否かを判定する(S704)。この結果、大入賞口入球検知有効期間であると判定された場合には(S704:YES)、電動役物入球監視処理を終了する。一方、大入賞口入球検知有効期間でないと判定された場合には(S704:NO)、大入賞口入球検知スイッチ33sによる遊技球の入球検知(大入賞口33aへの遊技球の入球)が発生したか否かを判定する(S705)。このS705の処理は、上述した遊技開始処理のS205の処理(図5参照)によってRAMに記憶されている入球検知情報が「大入賞口33aに対応する入球検知情報(大入賞口入球検知情報)」であるか否かに基づき行われるもので、「大入賞口入球検知情報」である場合に、大入賞口入球検知スイッチ33sによる遊技球の入球検知(大入賞口33aへの遊技球の入球)が発生したと判定される。
【0126】
この結果、大入賞口入球検知スイッチ33sによる遊技球の入球検知が発生していないと判定された場合には(S705:NO)、電動役物入球監視処理を終了する。一方、大入賞口入球検知スイッチ33sによる遊技球の入球検知が発生したと判定された場合には(S705:YES)、大入賞口33aに対する入球異常が発生したことを示す大入賞口入球異常コマンドをサブ制御部260に送信する(S706)。
【0127】
次に、サブ制御部260が実行する演出制御処理を図10に基づいて説明する。図10は、サブ制御部260の制御下で行われる演出制御処理の一例である。図10に示す演出制御処理は、サブ制御基板260aに実装されたCPU260bが、図示しないROM(CPU260bの内蔵ROMまたはサブ制御基板260aに実装されるROM)に格納されたプログラムに基づいて実行するもので、CPU260bのタイマ割込みが発生する毎(本実施例では4ms毎)に、始動入賞処理(S800)、図柄変動演出処理(S900)、大当り遊技演出処理(S1000)、入球異常報知処理(S1100)、入球監視処理(S1200)の各処理が繰り返し実行される。
【0128】
始動入賞処理(S800)では、始動口28に遊技球が入球した場合に、演出表示装置25における保留表示演出の更新やスピーカ10a〜10dからの効果音出力が行われる。図柄変動演出処理(S900)では、特別図柄の変動表示および停止表示に連動して、演出表示装置25の表示領域にて演出図柄の変動表示および停止表示させる変動表示演出が行われる。大当り遊技演出処理(S1000)では、大当り遊技開始時にファンファーレ演出が行われ、ラウンド遊技中にラウンド演出が行われ、大当り遊技終了時にエンディング演出が行われる。
【0129】
次に、入球異常報知処理(S1100)を図11のフローチャートに基づいて説明する。まず、第2始動口入球異常報知フラグがOFFにセットされているか否かを判定する(S1101)。第2始動口入球異常報知フラグは、第2始動口28bへの遊技球入球に関する異常が発生したことを示す第2始動口入球異常報知が行われていることを示すフラグである。S1101の判定処理の結果、第2始動口入球異常報知フラグがOFFにセットされていると判定された場合には(S1101:YES)、現在、第2始動口入球異常報知を行っていないと判断でき、この場合には、S703の処理(図9)で主制御部200が送信する第2始動口入球異常コマンドを受信したか否かを判定する(S1102)。
【0130】
この結果、第2始動口入球異常コマンドを受信していないと判定された場合には(S1102:NO)、S1108の処理に移行する。一方、第2始動口入球異常コマンドを受信したと判定された場合には(S1102:YES)、第2始動口入球異常報知フラグをONにセットし(S1103)、第2始動口入球異常報知を開始する(S1104)。第2始動口入球異常報知では、演出表示装置25の表示領域、前面枠4のランプ262、スピーカ10a〜10dからの音声出力等を用いて、第2始動口28bへの遊技球入球に関する異常(第2始動口28bの入球異常)が発生したことを報知する。
【0131】
次に、上記S1101の判定処理で、第2始動口入球異常報知フラグがOFFにセットされていない(ONにセットされている)と判定された場合には(S1101:NO)、現在、第2始動口入球異常報知を行っていると判断でき、この場合には、第2始動口入球異常報知を開始してから入球異常報知実行時間(本実施例では30〜60秒)が経過したか否かを判定する(S1105)。この結果、入球異常報知実行時間が経過していないと判定された場合には(S1105:NO)、S1108の処理に移行する。一方、入球異常報知実行時間が経過したと判定された場合には(S1105:YES)、第2始動口入球異常報知フラグをOFFにセットし(S1106)、第2始動口入球異常報知を終了する(S1107)。
【0132】
次に、大入賞口入球異常報知フラグがOFFにセットされているか否かを判定する(S1108)。大入賞口入球異常報知フラグは、大入賞口33aへの遊技球入球に関する異常が発生したことを示す大入賞口入球異常報知が行われていることを示すフラグである。S1108の判定処理の結果、大入賞口入球異常報知フラグがOFFにセットされていると判定された場合には(S1108:YES)、現在、大入賞口入球異常報知を行っていないと判断でき、この場合には、S706の処理(図9)で主制御部200が送信する大入賞口入球異常コマンドを受信したか否かを判定する(S1109)。
【0133】
この結果、大入賞口入球異常コマンドを受信していないと判定された場合には(S1109:NO)、入球異常報知処理を終了する。一方、大入賞口入球異常コマンドを受信したと判定された場合には(S1109:YES)、大入賞口入球異常報知フラグをONにセットし(S1110)、大入賞口入球異常報知を開始する(S1111)。大入賞口入球異常報知では、演出表示装置25の表示領域、前面枠4のランプ262、スピーカ10a〜10dからの音声出力等を用いて、大入賞口33aへの遊技球入球に関する異常(大入賞口33aの入球異常)が発生したことを報知する。
【0134】
次に、上記S1108の判定処理で、大入賞口入球異常報知フラグがOFFにセットされていない(ONにセットされている)と判定された場合には(S1108:NO)、現在、大入賞口入球異常報知を行っていると判断でき、この場合には、大入賞口入球異常報知を開始してから入球異常報知実行時間(本実施例では30〜60秒)が経過したか否かを判定する(S1112)。この結果、入球異常報知実行時間が経過していないと判定された場合には(S1112:NO)、入球異常報知処理を終了する。一方、入球異常報知実行時間が経過したと判定された場合には(S1112:YES)、大入賞口入球異常報知フラグをOFFにセットし(S1113)、大入賞口入球異常報知を終了する(S1114)。
【0135】
次に、入球監視処理(S1200)を図12のフローチャートに基づいて説明する。まず、監視タイマを更新してカウント値を「1」増加させる(S1201)。次に、第1始動口28aに遊技球が入球したか否かを判定する(S1202)。S1202の判定処理は、S209の処理で主制御部200が送信する第1始動口入球コマンドを受信したか否かを判定すればよい。
【0136】
この結果、第1始動口28aに遊技球が入球していないと判定された場合には(S1202:NO)、S1205の処理に移行する。一方、第1始動口28aに遊技球が入球したと判定された場合には(S1202:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1203、S1204)。短時間監視処理については、S1206、S1209、S1212、S1215と同一の処理であり、長時間監視処理については、S1207、S1210、S1213、S1216と同一の処理であるので、これらの処理については後で説明する。
【0137】
次に、第1入賞口34に遊技球が入球したか否かを判定する(S1205)。S1205の判定処理は、S211の処理で主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを受信し、かつ、このコマンドで特定される一般入賞口が第1入賞口34であるか否かを判定すればよい。
【0138】
この結果、第1入賞口34に遊技球が入球していないと判定された場合には(S1205:NO)、S1208の処理に移行する。一方、第1入賞口34に遊技球が入球したと判定された場合には(S1205:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1206、S1207)。
【0139】
次に、第2入賞口35に遊技球が入球したか否かを判定する(S1208)。S1208の判定処理は、S211の処理で主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを受信し、かつ、このコマンドで特定される一般入賞口が第2入賞口35であるか否かを判定すればよい。
【0140】
この結果、第2入賞口35に遊技球が入球していないと判定された場合には(S1208:NO)、S1211の処理に移行する。一方、第2入賞口35に遊技球が入球したと判定された場合には(S1208:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1209、S1210)。
【0141】
次に、第3入賞口36に遊技球が入球したか否かを判定する(S1211)。S1211の判定処理は、S211の処理で主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを受信し、かつ、このコマンドで特定される一般入賞口が第3入賞口36であるか否かを判定すればよい。
【0142】
この結果、第3入賞口36に遊技球が入球していないと判定された場合には(S1211:NO)、S1214の処理に移行する。一方、第3入賞口36に遊技球が入球したと判定された場合には(S1211:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1212、S1213)。
【0143】
次に、第4入賞口37に遊技球が入球したか否かを判定する(S1214)。S1214の判定処理は、S211の処理で主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを受信し、かつ、このコマンドで特定される一般入賞口が第4入賞口37であるか否かを判定すればよい。
【0144】
この結果、第4入賞口37に遊技球が入球していないと判定された場合には(S1214:NO)、入球監視処理を終了する。一方、第4入賞口37に遊技球が入球したと判定された場合には(S1214:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1215、S1216)。
【0145】
次に、短時間監視処理(S1203、S1206、S1209、S1212、S1215)を図13のフローチャートに基づいて説明する。まず、監視対象となっている第1始動口28aあるいは一般入賞口34〜37への入賞数が「5」以下であるか否かを判定する(S1240)。この結果、入賞数が「5」以下であると判定された場合には(S1240:YES)、入賞数に応じた短時間用RAMに監視タイマのカウント値を記憶する(S1241)。これにより、入賞順に短時間用RAM1から短時間用RAM5にカウント値が記憶される。S1241の処理が終了した後、短時間監視処理を終了する。これにより、遊技機の電源が投入されて遊技機の稼働が開始された直後、すなわち、入賞口への入球数が未だ所定個数(6個)に満たない状態(RAMへの記憶個数が6個に満たない状態)においては、短時間監視処理を実行せず、そして、所定個数が入球した場合には、以後の全ての入球について短時間監視処理を実行することができる。
【0146】
一方、入賞数が「5」以下でない(「6」である)と判定された場合には(S1240:NO)、短時間用RAM6に最新に取得した監視タイマのカウント値を記憶する(S1242)。次に、短時間用RAM6に記憶されたカウント値から短時間用RAM1に記憶されたカウント値を引いた差から算出される時間が第1規定時間(400ms)以下であるか否かを判定する(S1243)。これにより、最新に入球した遊技球を含めて第1規定数(本実施例では6個)の遊技球入球に要した時間が第1規定時間(400ms)以下であるか否かを判定することができる。
【0147】
この結果、第1規定時間(400ms)以下でないと判定された場合には(S1243:NO)、S1245の処理に移行する。一方、第1規定時間(400ms)以下であると判定された場合には(S1243:YES)、異常信号を出力して異常報知を実行する(S1244)。S1244の異常報知では、演出表示装置25の表示領域、前面枠4のランプ262、スピーカ10a〜10dからの音声出力等を用いて、監視対象である第1始動口28aあるいは一般入賞口34〜37への遊技球入球に関する異常が発生したことを報知する。この異常報知は、入球異常報知実行時間(本実施例では30〜60秒)が経過するまで実行される。
【0148】
次に、短時間用RAMの保存先を更新する(S1245)。S1245の処理では、短時間用RAM2〜短時間用RAM6に記憶されたカウント値をそれぞれ短時間用RAM1〜短時間用RAM5にシフトさせる。これにより、新たな遊技球入球があった場合にカウント値を取得して短時間用RAM6に記憶させることができる。以上までが短時間監視を行う際の処理である。
【0149】
尚、本実施例では、短時間用RAMの保存先を更新する更新処理をS1245の比較処理の後のタイミングで行っているが、入球を検知した際に(S1242の処理において)行ってもよい。この場合は、新たな入球が検知された場合には、短時間用RAM1に記憶されているカウント値削除すると共に、短時間用RAM2〜6のカウント値を、夫々短時間用RAM1〜5に移行し、新たな入球に対応するカウント値を短時間用RAM6に記憶する処理を実行する。また長時間監視処理についても同様である(S1262で実行できる)。
【0150】
次に、長時間監視処理(S1204、S1207、S1210、S1213、S1216)を図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0151】
まず、監視対象となっている第1始動口28aあるいは一般入賞口34〜37への入賞数が「19」以下であるか否かを判定する(S1260)。この結果、入賞数が「19」以下であると判定された場合には(S1260:YES)、入賞数に応じてRAMに監視タイマのカウント値を記憶する(S1261)。これにより、入賞順に長時間用RAM1から長時間用RAM19にカウント値が記憶される。S1261の処理が終了した後、短時間監視処理を終了する。一方、入賞数が「19」以下でない(「20」である)と判定された場合には(S1260:NO)、長時間用RAM20に最新に取得した監視タイマのカウント値を記憶する(S1262)。
【0152】
次に、第1始動口28aに遊技球が入球したか否かを判定する(S1263)。S1263の判定処理は、S209の処理で主制御部200が送信する第1始動口入球コマンドを受信したか否かを判定すればよい。
【0153】
この結果、第1始動口28aに遊技球が入球したと判定された場合には(S1263:YES)、長時間用RAM20に記憶されたカウント値から長時間用RAM1に記憶されたカウント値を引いた差から算出される時間が第2規定時間(第1始動口28aの場合は30s)以下であるか否かを判定する(S1264)。これにより、第1始動口28aに最新に入球した遊技球を含めて第2規定数(本実施例では20個)の遊技球入球に要した時間が第2規定時間(30s)以下であるか否かを判定することができる。この結果、第2規定時間(30s)以下であると判定された場合には(S1264:YES)、S1266の処理に移行し、第2規定時間(30s)以下でないと判定された場合には(S1264:NO)、S1267の処理に移行する。
【0154】
また、S1263の判定処理で、第1始動口28aに遊技球が入球していないと判定された場合には(S1263:NO)、一般入賞口34〜37への遊技球入球であると判断でき、長時間用RAM20に記憶されたカウント値から長時間用RAM1に記憶されたカウント値を引いた差から算出される時間が第2規定時間(一般入賞口の場合は60s)以下であるか否かを判定する(S1265)。これにより、一般入賞口34〜37に最新に入球した遊技球を含めて第2規定数(本実施例では20個)の遊技球入球に要した時間が第2規定時間(60s)以下であるか否かを判定することができる。
【0155】
この結果、第2規定時間(60s)以下でないと判定された場合には(S1265:NO)、S1267の処理に移行する。一方、第2規定時間(60s)以下であると判定された場合には(S1265:YES)、異常信号を出力して異常報知を実行する(S1266)。S1266の異常報知では、演出表示装置25の表示領域、前面枠4のランプ262、スピーカ10a〜10dからの音声出力等を用いて、監視対象である第1始動口28aあるいは一般入賞口34〜37への遊技球入球に関する異常が発生したことを報知する。この異常報知は、入球異常報知実行時間(本実施例では30〜60秒)が経過するまで実行される。
【0156】
次に、長時間用RAMの保存先を更新する(S1267)。S1267の処理では、長時間用RAM2〜短時間用RAM20に記憶されたカウント値をそれぞれ長時間用RAM1〜長時間用RAM19にシフトさせる。これにより、新たな遊技球入球があった場合にカウント値を取得して長時間用RAM20に記憶させることができる。以上までが長時間監視を行う際の処理である。
【0157】
ここで、図5〜図14のフローチャートに示した処理と本発明の各手段との対応関係について説明しておくと、「S209、S211の処理(図5)」が「入球コマンド送信手段」に対応し、「S1202、S1205、S1208、S1211、S1214の処理(図12)」が「入球コマンド受信手段」に対応し、「S1241、S1242の処理(図13)、S1261、S1262の処理(図14)」が「カウント値記憶手段」に対応し、「S1244の処理(図13)、S1266の処理(図14)」が「異常信号出力手段」に対応している。
【0158】
以上説明した本実施例では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎に、所定間隔でカウントを行う監視タイマからカウント値を取得してRAMに記憶する。そして、これらの入球口に最新に入球した遊技球に対応してRAMに記憶されたカウント値と、最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に入球した遊技球に対応してRAMに記憶されたカウント値とを比較する比較処理を実行し、その結果がこれらの入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数以上の遊技球が入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、当該入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたと判断している。このように、監視タイマのカウント値を用いて入球口への入球異常を検知することで、遊技球が常時入球可能である第1始動口28aや一般入賞口34〜37への遊技球の入球異常を検知することが可能となる。
【0159】
また、本実施例では、短時間監視処理では、短時間用RAMに第1規定数(本実施例では6個)のカウント値が記憶された場合にカウント値の比較処理を行い、長時間監視処理では、長時間用RAMに第2規定数(本実施例では20個)のカウント値が記憶された場合にカウント値の比較処理を行っている。これにより、遊技機が稼働している間、常時入球可能な第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37への入球異常の発生有無を継続的に監視することが可能となる。
【0160】
また、本実施例では、第1規定数(本実施例では6個)の遊技球入球に要した時間が第1規定時間(本実施例では400ms)以内であるかを判定する短時間監視処理と、第1規定数より多い第2規定数(本実施例では20個)の遊技球入球に要した時間が第1規定時間より長い第2規定時間(本実施例では30sまたは60s)以内であるかを判定する長時間監視処理を行っている。短い規定時間で入球監視を行う短時間監視処理によれば、電波ゴトによる入球異常を検知することができる。また、長い規定時間で入球監視を行う長時間監視処理によれば、磁石ゴトや釣り糸ゴトによる入球異常を検知することができる。
【0161】
また、本実施例では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37への遊技球の入球毎に主制御部200からサブ制御部260に入球コマンドを送信し、入球コマンドを受信したサブ制御部260がカウント値の記憶およびカウント値の比較処理を行っている。このように、主制御部200からの入球コマンドに基づいて、サブ制御部260が第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球監視処理を行うことで、主制御部200の制御負担を増大させることなく、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37への遊技球の入球異常を監視することができる。
【0162】
また、可変入賞口である第2始動口28bおよび大入賞口33aには、入球検知有効期間が予め設定されているため、第2始動口28bおよび大入賞口33aの入球異常の発生有無については、遊技球の入球発生時期が入球検知有効期間内であるか否かに基づき判断することができる。このため、第2始動口28bおよび大入賞口33aの入球監視処理に係る制御負担は比較的軽いものとなる。これに対し、遊技球が常時入球可能な第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37では入球監視処理を常時行う必要があり、「遊技球の入球発生時期が入球検知有効期間内であるか否か」といった入球発生時の状態判断だけで、入球異常の発生有無を判断することはできない。このため、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球監視処理に係る制御負担は、可変入賞口(第2始動口28bおよび大入賞口33a)の入球監視処理に係る制御負担よりも比較的重いものとなる。本実施例では、制御負担が比較的軽い第2始動口28bおよび大入賞口33aの入球監視処理を主制御部200で行い、制御負担が比較的重い第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球監視処理をサブ制御部260で行うように構成している。このように、主制御部200とサブ制御部260とで種類が異なる入賞口の入球監視処理を分散して行わせることで、主制御部200の制御負担を増大させることなく、サブ制御部260の処理能力を有効に用いた効率的な不正対策を実現することができる。
【0163】
また、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37への遊技球の入球異常の監視を演出制御手段としてのサブ制御部260で行うことで、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に係る入球異常報知の実行パターンについて、その設定の自由度を高めることができ、入球異常報知パターンの多様化を図ることができる。
【0164】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0165】
例えば、上記実施例では、上記各実施例では、複数の一般入賞口34〜37のそれぞれの入賞口毎に入球監視処理を実行するように構成したが、これに限らず、入球監視処理で複数の一般入賞口34〜37のすべての入賞口に対して1回の入球監視処理を実行するように構成してもよい。もしくは複数(2個以上)の入賞口(一般入賞口)に対して1回の入球監視処理を実行するように構成してもよい。例えば、一般入賞口34、35で1の入球監視処理、一般入賞口36、37で1の入球監視処理を実行することもできる。この場合には、主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを一般入賞口34〜37の種類別に設けるのではなく、共通の一つ(一種類)のコマンドとして設ければよい。そして、サブ制御部260は一般入賞口入球コマンドを受信する毎に、一般入賞口34〜37の共通のカウンタを短時間用RAMと長時間用RAMに記憶させればよい。そして、短時間監視処理では、カウンタの記憶数が第1規定数に到達するのに要した時間が第1規定時間以内であるであるか否か判定し、長時間監視処理では、カウンタの記憶数が第2規定数に到達するのに要した時間が第2規定時間以内であるであるか否か判定すればよい。なお、この場合には、必ずしも一般入賞口34〜37毎に一般入賞口入球検知スイッチを設ける必要はなく、1個の一般入賞口入球検知スイッチで複数の一般入賞口34〜37に対する遊技球の入球を検知するように構成してもよい。
【0166】
また、上記実施例では、常時遊技球が入球可能な第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に対して監視タイマのカウント値を用いた入球監視処理を行うように構成したが、これに限らず、電動役物として構成される第2始動口28bや大入賞口33aに対して監視タイマのカウント値を用いた入球監視処理を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0167】
1…遊技機、20…遊技盤、28a…第1始動口(入球口)、28b…第2始動口、34〜37…一般入賞口(入球口)、33a…大入賞口、200…主制御部(遊技制御手段、入球コマンド送信手段)、260…サブ制御部(演出制御手段、入球コマンド受信手段、カウント値記憶手段、カウント値比較手段、異常信号出力手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関し、特にパチンコ遊技機やアレンジボール遊技機等の弾球式の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球式の遊技機では、入賞口への遊技球の入球に基づき払い出される賞球を不正に獲得する不正行為が行われることがある。このような不正行為には、遊技機の電子回路に電波を照射し、電子回路を誤作動させて不正に利益を得る電波ゴト、遊技機のガラス面に磁石を接触させて遊技球を誘導する磁石ゴト、釣り糸を取り付けた遊技球を発射して入賞口に入球させ、釣り糸で遊技球を上下させて入球検知スイッチを誤作動させる釣り糸ゴト等がある。
【0003】
これに対し、遊技状態に応じて開閉する電動役物である大入賞口(可変入賞口)への遊技球の入球異常を検知する遊技機が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の遊技機では、不当な賞球払出に繋がる大入賞口への遊技球の入球異常を、主制御部が遊技状態に基づいて検知するように構成されている。具体的には、大当り遊技以外の遊技状態で大入賞口に遊技球が入球した場合に大入賞口への入球異常が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−43605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大入賞口あるいは可変式始動口のような電動役物が開放状態となっている際に上述の不正行為が実行されると、入球異常を検知することができない。また、固定式始動口(可変式でない始動口)や一般入賞口は、遊技状態に応じて開閉する電動役物である大入賞口や可変式始動口と異なり、遊技球が常時入球可能であるため、上述の不正行為が当該固定式始動口や一般入賞口について実行されると、入球異常を検知することが困難である。
【0006】
また、特許文献1の遊技機では、主制御部で大入賞口の入球異常を監視する処理を行っているが、仮に固定式始動口や一般入賞口に対する遊技球の入球異常を監視する処理も主制御部で行う場合には、「遊技球が入球不能な状態と入球可能な状態とに変化する電動役物(大入賞口や始動口)」の入球異常を監視する処理と、「遊技球が常時入球可能な固定式始動口や一般入賞口」の入球異常を監視する処理という2種類の処理を主制御部で行う必要がある。このような構成は非効率的であり、主制御部の処理負担が増大するという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記点に鑑み、主制御部の制御負担を増大させることなく、開閉式入球口、固定式始動口や一般入賞口を含む入球口の入球異常を確実に監視できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、
入球口に遊技球が入球したことを契機に所定賞球数の遊技球を払い出す遊技機であって、
遊技を進行させる制御を行う遊技制御手段と、
遊技の進行状況に応じて前記遊技制御手段から送信される制御コマンドに基づいて演出装置の制御を行う演出制御手段と、
一定間隔でカウントを行うカウンタと、
を備え、
前記遊技制御手段は、
前記入球口に遊技球が入球する毎に、前記入球口に遊技球が入球したことを示す入球コマンドを前記演出制御手段に送信する入球コマンド送信手段を含み、
前記演出制御手段は、
前記入球コマンドを受信する入球コマンド受信手段と、
前記入球コマンド受信手段が前記入球コマンドを受信する毎に、前記カウンタのカウント値を記憶するカウント値記憶手段と、
前記入球口に遊技球が入球する毎に、前記入球口に最新に入球した遊技球に対応して記憶された前記カウント値と、前記入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に前記入球口に入球した遊技球に対応して記憶された前記カウント値とを比較する比較処理を実行するカウント値比較手段と、
前記カウント値比較手段による比較結果が、最新に前記入球口に入球した遊技球を含めて前記所定個数の遊技球が前記入球口に入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、前記入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたことを示す異常信号を出力する異常信号出力手段と、
を含んでいることを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、入球口に遊技球が入球する毎にカウント値を記憶し、入球口に最新に入球した遊技球に対応するカウント値と、最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に入球した遊技球に対応するカウント値とを比較する。そして、当該比較処理により得られた結果が、所定個数の遊技球の入球に要した時間が所定時間以下であることを示す場合には、特定の入球口への入球異常(入球過剰)が発生したことを検知する。すなわち、特定の入球口に対して、所定個数入球するのに要した時間が、短時間(所定時間以下)である場合には、何らかの要因(不正、不具合等)により入球過剰が発生したとみなすものである。これにより、遊技球が常時入球可能である入球口への遊技球の入球異常を、常に検知することが可能となる。尚、カウント値記憶手段は、入球口毎に、カウント値を記憶し、入球口毎に入球異常(入球過剰)を検知することが好適である。また、全ての入球口に対して入球異常の検知を実行してもよいし、特定の入球口に対してのみ入球異常の検知を実行してもよいし、2個以上の複数の入球口を一組として、入球異常の検知を実行してもよい。
【0010】
また、本発明では、入球口への遊技球の入球毎に遊技制御手段から演出制御手段に入球コマンドを送信し、入球コマンドを受信した演出制御手段がカウント値の記憶およびカウント値の比較処理を行っている。このように、遊技制御手段からの入球コマンドに基づいて、演出制御手段が入球口の入球監視処理を行うことで、遊技制御手段の制御負担を増大させることなく、入球口への遊技球の入球異常を監視することができる。
【0011】
また、本発明の遊技機では、前記カウント値比較手段は、前記カウント値記憶手段に記憶されたカウント値が前記所定個数以上である場合に前記比較処理を実行することを特徴としている。
【0012】
これにより、遊技機が稼働開始直後(入球口への入球数が所定個数に満たない場合)はカウント値比較手段による比較処理を実行せず、入球口への入球数が所定個数以上となって初めて比較処理を実行する構成としている。これにより、遊技球が所定個数入球した後(比較処理実行条件が満たされた後)は、入球口への入球異常の発生有無を継続的に監視することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明の構成によれば、主制御部の制御負担を増大させることなく、入球口の入球異常を確実に監視できる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した実施例に係る遊技機の正面図である。
【図2】遊技盤の正面図である。
【図3】電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】メインジョブの流れを示すフローチャートである。
【図5】電源投入処理を示すフローチャートである。
【図6(a)】特別図柄遊技処理の前半部分を示すフローチャートである。
【図6(b)】特別図柄遊技処理の後半部分を示すフローチャートである。
【図7】特別図柄変動表示関連処理を示すフローチャートである。
【図8】大当り遊技処理を示すフローチャートである。
【図9】電動役物入球監視処理を示すフローチャートである。
【図10】演出制御処理を示すフローチャートである。
【図11】入球異常報知処理を示すフローチャートである。
【図12】入球監視処理を示すフローチャートである。
【図13】短時間監視処理を示すフローチャートである。
【図14】長時間監視処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、以下では、特別図柄の変動表示の終了に伴い大当り図柄が停止表示され、これを契機に大当り遊技が開始されるタイプ(いわゆるセブン機タイプ)のパチンコ遊技機(以下、単に遊技機という)に本発明を適用した実施例について説明する。
【0016】
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、外枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を備えている。なお、図1では遊技盤20の詳細な図示を省略している。また、中枠3は前面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
【0017】
外枠2は木製の板状体を略長方形の枠状に組立てたものである。中枠3はプラスチック製で遊技機1の本体枠を構成するもので、外枠2の内側にはめ込まれて設置されており、外枠2に対して開閉可能に左端で軸支されている。この中枠3は、上側2/3程度を占める枠体部と下側1/3程度を占める下板部とから構成されている。枠体部の前面側には遊技盤20と前面枠4とが重なるように設けられており、下板部の前面側には上皿部5と下皿部6が設けられている。なお、遊技盤20は枠体部(中枠3)に対して着脱自在に設けられている。下板部には、遊技球を遊技盤20に発射する発射手段を構成する発射装置ユニット(図示略)、遊技球を発射装置ユニットに供給する球送り装置(図示略)が設けられている。
【0018】
前面枠4は、中枠3の前面側に配置され、中枠3の左端で開閉可能に支持されている。前面枠4はプラスチック製であり、その奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にするために、円形状の開口部4aが形成されている。前面枠4の裏面には、開口部4aに対応したガラス板等の透明板を備える略長方形状の透明板枠(図示略)が装着されている。前面枠4における遊技盤20の周囲には、LED等のランプ類(図示略)が設けられている。これらのランプ類は、遊技効果を高めるために遊技の進行に応じて点灯・消灯あるいは点滅する。
【0019】
上皿部5は、前面枠4の下側に設けられ、中枠3の左端に開閉可能に支持されている。上皿部5は、皿外縁部5aと、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口5bと、上皿部5の遊技球を下皿部6に排出する球抜きボタン5cとを備えている。皿外縁部5aの上面には、演出ボタン5dや球貸ボタン5e等が設けられている。
【0020】
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内部から下皿部6に遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。下皿部6の左端には灰皿7が設けられている。下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット(図示略)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触れていることを検知する接触検知手段としてのタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
【0021】
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施錠するためのものである。
【0022】
また、遊技機1には、遊技状態に応じた効果音等を発生させるためのスピーカ10a〜10dが設けられている。スピーカ10a〜10dは、遊技機1の上部に設けられた上部スピーカ10a、10bと遊技機1の下部に設けられた下部スピーカ10c、10dとからなる。さらに、遊技機1の左側には、プリペイドカードユニット13(CRユニット)が装着されている。
【0023】
次に、本実施例の遊技盤20の表面構造について説明する。図2は遊技盤20の正面図である。遊技盤20は、略長方形の木製の板状体であって中枠3に着脱可能に取り付けられているとともに、裏機構盤(図示略)によりその背面側が覆われている。
【0024】
図2に示すように、遊技盤20には、遊技盤20の表面(盤面)に設けられた外レール22と内レール23とにより、略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21内には、中央装置24、普通図柄作動ゲート27、大入賞装置33、始動口28、一般入賞口34〜37、第1装飾部材50、第2装飾部材60等の遊技装置が配設されている。また、遊技領域21には各遊技装置との位置バランスを考慮して多数の障害釘が配設されている。
【0025】
中央装置(センター役物)24は遊技領域21の略中央部に配置され、その内側(内周側)に演出表示装置25を備えている。演出表示装置25は、遊技領域21の略中央部位に配置されている。本実施例では、演出表示装置25として液晶表示装置を用いており、演出表示装置25の表示領域では各種演出表示が行われる。
【0026】
大入賞装置33は遊技領域21における中央装置24の下方に配置されており、第1装飾装置50は遊技領域21における大入賞装置33の左側に配置され、第2装飾装置60は遊技領域21における大入賞装置33の右側に配置されている。装飾装置50,60はいわゆるサイド飾りを構成している。また、第1装飾装置50には左側一般入賞口34,35が一体化されており、第2装飾装置60には右側一般入賞口36,37が一体化されている。また、遊技領域21の最下部には、各種入賞口や始動口に入球しなかった遊技球が排出されるアウト口48が設けられている。
【0027】
普通図柄作動ゲート27は、中央装置24の左側に設けられている。普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技盤上を流下する遊技球の通過を検知する普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s(図3参照)が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過することで、普通図柄が変動開始する。
【0028】
始動口28は、中央装置24の中央位置の下方に設けられている。始動口28は、遊技盤20の盤面上を流下する遊技球を受け入れる遊技球受入口が形成された2つの入球口を上下方向に並べて配置したもので、上側に設けられた第1始動口28aと下側に設けられた第2始動口28bとから構成されている。始動口28(第1始動口28aまたは第2始動口28b)への遊技球の入球に応じて、所定数の賞球(例えば、1個の入球に対して3〜4個の賞球)が払い出される。
【0029】
第1始動口28aは、遊技球受入口の大きさが変化せず遊技球の入球可能性が一定とされる固定式の始動口として構成されており、遊技球の入球が常時可能となっている。一方、第2始動口28bはいわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部を備えており、この一対の翼片部の上端間隙が遊技球受入口となっている。この一対の翼片部は、各々左右方向に傾動することで開閉動作を行うものとされており、この開閉動作により、第2始動口28bは一対の翼片部の遊技球受入口の大きさが変化する可変式の始動口として構成されている。第2始動口28bは、一対の翼片部が開動作することで入球可能性が高い開放状態となり、一対の翼片部が閉動作することで入球可能性が低い閉鎖状態(入球不能な状態を含む)となる。普通図柄が当り図柄の組合せで停止表示された場合には、一対の翼片部が開動作して第2始動口28bの遊技球受入口が拡大され、第2始動口28bは普通電動役物(可変入賞口)として機能する。第2始動口28bの開閉制御は、主制御部200が実行する後述の普通図柄当り遊技処理により実現される。
【0030】
始動口28の内部には、第1始動口28aへの遊技球の入球を検知する第1始動口入球検知スイッチ28s(図3参照)と、第2始動口28bへの遊技球の入球を検知する第2始動口入球検知スイッチ28t(図3参照)と、一対の翼片部を作動させるための始動口ソレノイド28c(図3参照)とが備えられている。この一対の翼片部が左右に開動作した場合には、第2始動口28bの遊技球受入口の大きさが通常時より拡大され、第2始動口28bは遊技球の入球可能性が第1始動口28aよりも高くなる開放状態となる。一方、一対の翼片部が立設された場合には、第2始動口28bの遊技球受入口の大きさが遊技球の直径より僅かに大きい(遊技球1個が通過可能な)通常の大きさとされ、第2始動口28bは遊技球の入球可能性が第1始動口28aよりも低い閉鎖状態となる。遊技球が第1始動口28a、第2始動口28bのいずれかに入球することで、後述の特別図柄が変動開始する。なお、以下の説明における「遊技球が始動口28に入球する」旨の記載は、特段の理がない限り、遊技球が第1始動口28aまたは第2始動口28bに入球することを意味する。
【0031】
大入賞装置33は、始動口28の下方に配設されている。ここで、大入賞装置33は、帯状に開口された大入賞口33aと、この大入賞口33aを開放・閉鎖する開閉板33bと、この開閉板33bを作動させるための大入賞口ソレノイド33c(図3参照)と、遊技球の入球を検知する入球検知スイッチ33s(図3参照)とから主に構成されている。大入賞口33aは、特別電動役物(可変入賞口)として構成されている。大入賞口33aの開閉制御は、主制御部200が実行する後述の大当り遊技処理により実現される。
【0032】
第1装飾部材50には、複数のLEDが設けられており、これらのLEDの組合せにより、普通図柄表示部51、普図保留表示部52、特別図柄保留表示部53が構成されている。同様に第2装飾部材60には、複数のLEDが設けられており、これらのLEDの組合せにより、特別図柄表示部61が構成されている。
【0033】
普通図柄表示部51は、1個のLEDから構成されており、このLEDにより普通図柄の表示が行われる。普通図柄表示部51では、普通図柄の変動表示及び停止表示が行われる。普通図柄表示部51では、普通図柄作動ゲート27を遊技球が通過することにより普通図柄が変動開始し、所定時間経過後に普通図柄が当り普通図柄の表示態様あるいは外れ普通図柄の表示態様で停止表示される。そして、普通図柄が予め設定された当り普通図柄の表示態様で停止表示すると、第2始動口28bが所定の開放パターンにしたがって開放される。第2始動口28bの開放パターンは複数種類設定されている。第2始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能の非作動時には、第1開放時間(例えば0.2秒)が設定された短時間開放パターンがセットされ、開放時間延長機能の作動時には第1開放時間より長い第2開放時間(例えば5秒)が設定された長時間開放パターンがセットされる。
【0034】
本実施例では、普通図柄当否判定用乱数が用意されており、この普通図柄当否判定用乱数は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過した際に取得されるもので、第2始動口28bを作動させるか否か(開放状態とするか否か)の普通図柄当否判定に用いられる。普通図柄当否判定用乱数には予め当り値が設定されており、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過したタイミングで取得された普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致する場合に当りと判定される。そして、普通図柄当否判定で当りと判定された場合には、普通図柄表示部51で停止表示される普通図柄は、当り普通図柄の表示態様に決定される。一方、外れと判定された場合(取得された普通図柄当否判定用乱数が当り値と一致しない場合)には、普通図柄表示部51で停止表示される普通図柄は外れ普通図柄の表示態様に決定される。
【0035】
ここで、普通図柄の保留について説明する。普図保留表示部52には普通図柄保留数が表示され、普通図柄作動ゲート27を通過した遊技球の数を最大保留数(本実施例では4個)まで保留可能となっている。そして、次回の普通図柄当否判定が行われ普通図柄の変動表示が開始する毎に、未始動回数(保留数)が消化され、普通図柄保留数が1個ずつ減少する。普図保留表示部52は2つのLEDからなり、2個のLEDの消灯、点灯、および点滅を組み合わせることで、4個を上限として保留数を表示することができる。普通図柄の保留に伴って、普通図柄当否判定用乱数が主制御部200のRAMの所定領域に記憶される。
【0036】
なお、普通図柄当否判定、普通図柄の停止図柄の決定、普通図柄の変動パターンの設定、普通図柄の保留および保留消化は、後述の主制御部200によって行われる。
【0037】
次に、特別図柄について説明する。特別図柄表示部61は7個のLEDから構成されており、これらのLEDにより特別図柄が表示される。この特別図柄表示部61を構成する各LEDは、点灯および消灯が可能となっており、これら各LEDの点灯および消灯の組合せにより特別図柄の複数の表示態様を表示できる。そして、7個のLEDで表示される特別図柄の組合せのうち、特定の組合せが大当り図柄(大当り特別図柄)として設定されており、大当り図柄以外が外れ図柄(外れ特別図柄)として設定されている。本実施例では、特別図柄の変動表示を各LEDが点灯と消灯を繰り返す点滅表示で行うものとしている。
【0038】
次に、始動口28(第1始動口28aまたは第2始動口28b)に遊技球が入球することによって、特別図柄表示部61で特別図柄が変動開始し、所定時間経過後に特別図柄が大当り図柄あるいは外れ図柄で停止表示される図柄変動遊技が行われる。なお、特別図柄表示部61が、本発明の「図柄表示装置」に相当している。
【0039】
本実施例では、遊技球が始動口28に入球した際に取得され、大当り遊技を実行するか否かの特別図柄当否判定に用いられる特別図柄当否判定用乱数が設けられている。さらに、大当り図柄を決定するための大当り種別決定乱数(大当り図柄決定乱数)が設けられている。始動口28への遊技球の入球に伴って、特別図柄当否判定用乱数と大当り種別決定乱数が取得され、この取得された特別図柄当否判定用乱数と大当り種別決定乱数は、主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に保留として記憶される。
【0040】
ここで、特別図柄の保留について説明する。特別図柄保留表示部53は2つのLEDからなり、2個のLEDの消灯、点灯、および点滅を組み合わせることで、それぞれ4個を上限として保留数を表示することができる。
【0041】
始動口28に入球した遊技球数は、特別図柄保留数として最大保留数(本実施例では4個)に達するまで保留可能となっている。特別図柄保留数は、始動口28への遊技球の入球が発生する度に取得されて主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に記憶される特別図柄用乱数(特別図柄当否判定用乱数、特別図柄決定用乱数)の個数(記憶数)に相当する。本実施例では、始動口28への遊技球の入球に伴い、特別図柄当否判定用乱数とともに大当り種別決定乱数も取得されるので、特別図柄保留数は、大当り種別決定乱数の記憶個数にも相当する。そして、特別図柄保留数は、特別図柄当否判定が行われ特別図柄の変動表示が開始される毎に消化され、1個ずつ減少する。特別図柄の保留記憶および保留消化は、後述の主制御部200によって行われる。
【0042】
特別図柄当否判定用乱数には、当否判定用の当り値が設定されており、遊技球が第1始動口28aまたは第2始動口28bに入球したタイミングで取得された特別図柄当否判定用乱数が大当りの当り値(大当り当選値)と一致する場合に大当りと判定される。特別図柄当否判定は、特別図柄が変動表示を開始する際に行われる。
【0043】
特別図柄当否判定用乱数が当り値と一致する場合に大当りと判定され、特別図柄表示部61で停止表示される特別図柄が大当り図柄に決定される。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りでない場合(大当り抽選に落選)には、特別図柄当否判定の結果は外れであり、特別図柄表示部61で停止表示される特別図柄が外れ図柄に決定される。
【0044】
特別図柄は、所定の変動パターンにしたがって変動表示するように構成されている。この変動パターンは、特別図柄の変動時間や、その変動におけるリーチ演出や予告演出の有無(演出内容)を規定するもので、複数種類の変動パターンが変動パターン決定用の乱数値と対応付けて変動パターンテーブルに含まれている。特別図柄の変動パターンは、特別図柄当否判定が実行されて特別図柄の変動表示が開始される際に、変動パターンテーブルから抽選により選択される。特別図柄の変動パターンテーブルは、複数用意されており、それぞれ遊技状態に応じて選択されて用いられる。
【0045】
また、特別図柄当否判定、特別図柄の変動態様の決定、特別図柄の停止図柄の決定、特別図柄の変動表示および停止表示(図柄変動遊技)は、後述の主制御部200によって行われるように構成されている。
【0046】
次に、大当り遊技について説明する。特別図柄表示部61で停止表示された特別図柄が前述した大当り図柄であった場合(特別図柄当否判定の結果が大当りだった場合)に、「当り遊技実行手段」としての主制御部200は遊技者に相対的に有利な大当り遊技を開始させる。大当り遊技は、大当り遊技フラグをONに設定することで開始する。大当り遊技は、大入賞装置33を作動させる、換言すると大入賞口33aを複数回開閉させることで、大入賞口33aへの遊技球の入球に関して遊技者に利益(賞球)を付与するものである。大当り遊技は、後述の大当り遊技処理が繰り返し実行されることによって実現される。
【0047】
大当り遊技中は、大入賞装置33が作動し、大入賞口33aへの遊技球の入球に応じて、所定数の賞球(例えば、1個の入球に対して15個の賞球)が払い出される。具体的には、大当り遊技の開始により、大入賞装置33を作動させ、大入賞口33aを開放状態と閉鎖状態とに切り替える大入賞口開閉動作が複数回連続して行われる。大入賞装置33の作動開始により、大入賞口33aが開放状態となる。この開放状態は、所定の終了条件成立により終了し、開放していた大入賞口33aが閉鎖状態となる。所定の終了条件として、大入賞口33aの開放時間が規定開放時間(本実施例では30秒)に達したとき、もしくは開放状態の大入賞口33aに入球した遊技球数が規定数(本実施例では10個)に達したときとすることができる。
【0048】
この大入賞口33aの開放状態の開始から終了までを1回のラウンド遊技とした場合、大当り遊技は、所定数のラウンド遊技が行われることで終了する。大入賞装置33では、大入賞口33aの開放が終了、すなわち大入賞口33aが閉鎖状態となってから所定のインターバル時間(本実施例では2秒)が経過した後に、大入賞口33aは再び開放状態となり、次のラウンド遊技が開始する。このような大入賞口33aの開放開始から終了までを1ラウンドとする大入賞口33aの開閉動作は、所定の最高継続ラウンド数(本実施例では15ラウンド)が終了するまで繰り返し継続される。本実施例の大当り遊技は、大入賞口33aの開放時間が長く設定されており、大入賞口33aへの規定数(10個)の入球およびこれに伴う賞球払出の実行可能性が極めて高く、大量の賞球獲得が可能な「出球あり当り遊技」として位置付けられる。
【0049】
本実施例の遊技機では、大当り遊技の終了後、普通図柄と特別図柄の変動時間を短縮させる変動時間短縮機能、第2始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能、特別図柄当否判定の当選確率を変更(向上)させる確率変動機能が作動する。変動時間短縮機能、開放時間延長機能、確率変動機能は、大当り遊技終了後、次回の大当り遊技が開始されるまで作動する。変動時間短縮機能、開放時間延長機能、確率変動機能の各機能は、それぞれ変動短縮フラグ、開放延長フラグ、確変フラグをONに設定することで作動する。
【0050】
確率変動機能作動中は、大当り抽選用の大当り当選値が増加することで、大当り抽選の結果が大当りとなる確率が向上する。具体的には、大当り当選値が設定された抽選テーブルとして、低確率抽選テーブルと、低確率抽選テーブルより大当り当選値の数が多く設定されている高確率抽選テーブルとが用意されている。そして、確率変動機能非作動時には、低確率抽選テーブルを用いて大当り抽選を行うことで、大当り抽選乱数が大当り当選値と一致する確率が低確率となり、確率変動機能作動時には、高確率抽選テーブルを用いて大当り抽選を行うことで、大当り抽選乱数が大当り当選値と一致する確率が高確率となる。
【0051】
変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動する「電サポ作動状態(電チューサポート状態)」は、変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動しない電サポ非作動状態に比較して、第2始動口28b(電チュー)の開放頻度(開放回数、開放時間)が格段に向上する。電サポ作動状態では、第2始動口28bへの遊技球の入球頻度が高まることで、特別図柄当否判定の実行頻度が高まり、大当り遊技が発生しやすくなる。このため、電サポ作動状態では、電サポ非作動状態に比較して、図柄変動遊技を遊技者に有利に進行させることができる。
【0052】
変動時間短縮機能および開放時間延長機能は、それぞれ同時に作動を開始するとともに同時に作動を終了する。以下、変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動状態に関する説明について、何れか一方の機能だけを挙げて説明している場合には、もう一方の機能も対になっているものとする。例えば、以下の説明で「変動時間短縮機能が作動している」と記載する場合、この記載は「開放時間延長機能も作動している」と解することができ、逆に、「開放時間延長機能が作動している」と記載する場合、この記載は「変動時間短縮機能が作動している」と解することができる。
【0053】
大入賞装置33の左斜め上方と右斜め上方には、第1入賞口34、第2入賞口35、第3入賞口36、第4入賞口37からなる4つの一般入賞口34〜37が設けられている(図2参照)。これらの一般入賞口34〜37には、始動口28や大入賞口33aに入球しない遊技球が入球し得る。一般入賞口34〜37は、第1始動口28aと同様に遊技球受入口の大きさが変化せず遊技球の入球可能性が一定とされる入賞口として構成されているが、一般入賞口34〜37の配置構成やそれら入賞口周辺に配置される障害釘(図示せず)の配置構成(ゲージ構成)によって、第1始動口28aよりも遊技球の入球可能性が低くなっている。また、一般入賞口34〜37への遊技球の入球可能性は、遊技球の入球可能な状態(開放状態)となっている第2始動口28bや大入賞口33aよりも低くなっている。これら一般入賞口34〜37の内部には、それぞれ一般入賞口入球検知スイッチ34s〜37s(図3参照)が設けられている。また、これらの一般入賞口34〜37への遊技球の入球に応じて、所定数の賞球(例えば、1個の入球に対して7〜10個の賞球)が払い出される。
【0054】
本実施例では、第1始動口28a、第2始動口28bや大入賞口33aや一般入賞口34〜37への遊技球の不正な入球(入球異常)の発生を検知するために、これらの入賞口28a、28b、33a、34〜37に対して遊技球の入球監視を行っている。
【0055】
第2始動口28bおよび大入賞口33aは、予め設定された開放時間だけ開放する電動役物(可変入賞口)であり、その開放時間に基づき入球検知有効期間がそれぞれ設定されている。そして、入球検知有効期間内に検知された遊技球の入球を正常とし、入球検知有効期間外に検知された遊技球の入球を異常と判定している。第2始動口28bおよび大入賞口33aの入球監視処理は、主制御部200の制御によって行われる。そして、主制御部200は、第2始動口28bまたは大入賞口33aで入球異常が発生したと判定した場合に、サブ制御部260に入球異常コマンドを送信するように構成されている。
【0056】
第2始動口28bへの遊技球入球を有効とする第2始動口入球検知有効期間は、第2始動口28bが開放してから閉鎖するまでの第2始動口開放時間に所定時間を加えた合計時間とし、大入賞口33aへの遊技球入球を有効とする大入賞口入球検知有効期間は、大入賞口33aが開放してから閉鎖するまでの大入賞口開放時間に所定時間を加えた合計時間としている。第2始動口28bや大入賞口33aの開放時間に付加される「所定時間」は、第2始動口28bや大入賞口33aが閉鎖する直前にこれらの入賞口に入球した遊技球が入球検知スイッチ28t、33sで検知されるまでに要する時間であり、本実施例では「0.5〜2秒」の間で設定している。なお、第2始動口28bおよび大入賞口33aに対する遊技球の入球検知や入球監視処理は、主制御部200の制御によって行われる。
【0057】
また、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37は、遊技球が常時入球可能であるため、第2始動口28bや大入賞口33aのような入球検知有効期間を設定することができない。このため、本実施例では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に入球した遊技球数の入球時間(入球間隔)を監視する入球監視処理を行い、その監視結果に基づき第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球異常(入球過剰)を検知するように構成している。第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に対する入球監視処理は、規定時間の長さが異なる短時間監視処理と長時間監視処理の2種類がある。これらの短時間監視処理と長時間監視処理は、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37(第1入賞口34〜第4入賞口37)のそれぞれに対して別個に行われる。第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球監視処理は、サブ制御部260によって行われる。なお、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37が本発明の「入球口」に相当している。
【0058】
短時間監視処理では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の何れかに、第1規定数の遊技球が第1規定時間以内に入球した場合に入球異常と判定される。本実施例では、第1規定数を「6個」に設定し、第1規定時間を「400ms」に設定している。また、長時間監視処理では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の何れかに、第1規定数より多く設定される第2規定数の遊技球が第1規定時間より長く設定される第2規定時間以内に入球した場合に入球異常と判定される。本実施例では、第2規定数を「20個」に設定している。また、本実施例では、第2規定時間は第1始動口28aと一般入賞口34〜37とで異なる時間を設定しており、第1始動口28aに対する第2規定時間を「30s」に設定し、一般入賞口34〜37に対する第2規定時間を「60s」に設定している。なお、上述の第1規定数、第1規定時間、第2規定数、第2規定時間の具体的数値は一例であり、これらの値は任意に設定することができる。この様に、短時間監視処理と長時間監視処理とを組み合わせることで、短時間に多量の遊技球を不正に獲得する行為や、長時間にわたって少しずつ遊技球を不正に獲得する行為を共に防ぐことができ、不正行為の防止をより確実に行うことができる。
【0059】
第1始動口28aに対する遊技球の入球監視処理は、主制御部200から送信される第1始動口入球コマンドを受信したサブ制御部260の制御によって行われ、一般入賞口34〜37に対する遊技球の入球監視処理は、主制御部200から送信される一般入賞口入球コマンドを受信したサブ制御部260の制御によって行われる。主制御部200は、第1始動口28aへの遊技球の入球を検知するとサブ制御部260に一般入賞口入球コマンドを送信するとともに、一般入賞口34〜37への遊技球の入球を検知するとサブ制御部260に一般入賞口入球コマンドを送信する。なお、主制御部200が本発明の「入球コマンド送信手段」に相当し、サブ制御部260が本発明の「入球コマンド受信手段」に相当している。
【0060】
サブ制御部260は、一定間隔でカウントを行う監視タイマを、遊技開始時(遊技機の電源投入(オン)時)に作動開始させ、遊技終了時(遊技機の電源断(オフ)時)に作動を停止させる。監視タイマは、所定周期で入力される信号(入力パルス)をカウントするカウンタとして構成されており、所定周期毎にカウント値が更新される。このため、監視タイマのカウント値に基づいて、遊技開始(電源投入)からの経過時間を取得することができる。そして、サブ制御部260は、主制御部200から第1始動口入球コマンドおよび一般入賞口入球コマンドを受信する毎に(第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎に)監視タイマのカウント値を取得してRAMの所定領域に記憶する。なお、監視タイマが本発明の「カウンタ」に相当し、サブ制御部260が本発明の「カウント値記憶手段」に相当している。また、監視タイマは、遊技機をリセット処理することでカウント値をクリア(初期化)することができる。また、他の態様として、監視タイマのカウント値を、大当りの発生(遊技状態が変化する)毎にクリア(初期化)する構成としてもよい。遊技状態が変化すると、可変入球口等の状態が変化する場合があり、監視タイマをリセットし、改めて入球異常(入球過剰)を監視することとしてもよい。
【0061】
本実施例では、短時間監視処理用の監視タイマのカウント値を記憶するRAMの領域を「短時間用RAM」と称し、長時間監視処理用の監視タイマのカウント値を記憶するRAMの領域を「長時間用RAM」と称する。「短時間用RAM」および「長時間用RAM」は、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37のそれぞれに対応して設けられている。また、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37のそれぞれに対し、「短時間用RAM」は上述の第1規定数(本実施例では6個)に対応する数の「短時間用RAM1」〜「短時間用RAM6」が設けられ、「長時間用RAM」は上述の第2規定数(本実施例では20個)に対応する数の「長時間用RAM1」〜「長時間用RAM20」が設けられている。更に具体的には、「短時間用RAM」として、「第1始動口短時間用RAM1〜第1始動口短時間用RAM6」、「第1一般入賞口短時間用RAM1〜第1一般入賞口短時間用RAM6(一般入賞口34に対応)」、「第2一般入賞口短時間用RAM1〜第2一般入賞口短時間用RAM6(一般入賞口35に対応)」、「第3一般入賞口短時間用RAM1〜第3一般入賞口短時間用RAM6(一般入賞口36に対応)」、「第4一般入賞口短時間用RAM1〜第4一般入賞口短時間用RAM6(一般入賞口37に対応)」が設けられている。また「長時間用RAM」として、「第1始動口長時間用RAM1〜第1始動口長時間用RAM20」、「第1一般入賞口長時間用RAM1〜第1一般入賞口長時間用RAM20(一般入賞口34に対応)」、「第2一般入賞口長時間用RAM1〜第2一般入賞口長時間用RAM20(一般入賞口35に対応)」、「第3一般入賞口長時間用RAM1〜第3一般入賞口長時間用RAM20(一般入賞口36に対応)」、「第4一般入賞口長時間用RAM1〜第4一般入賞口長時間用RAM20(一般入賞口37に対応)」が設けられている。
【0062】
短時間監視処理および長時間監視処理では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎に、これらの入球口に最新に入球した遊技球に対応してRAMに記憶されたカウント値と、最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に入球した遊技球に対応してRAMに記憶されたカウント値とを比較する比較処理が実行される。そして、比較処理の比較結果が、これらの入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数の遊技球が入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、当該入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたと判断するように構成されている。カウント値の比較処理はサブ制御部26の制御によって実現される。このため、サブ制御部260が本発明の「カウント値比較手段」に相当している。以下、短時間監視処理および長時間監視処理について具体的に説明する。
【0063】
短時間監視処理では、サブ制御部260が、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎にカウント値を取得するとともに、順に短時間用RAM1〜短時間用RAM6に記憶する。このため、直近の所定個数(6個)の入球において、短時間用RAM1に最先に取得された(最先の遊技球入球時に取得された)カウント値が記憶され、短時間用RAM6に最新に取得された(最新の遊技球入球時に取得された)カウント値が記憶される。上述のようにカウント値は所定周期で更新されるため、短時間用RAM6に記憶されたカウント値と短時間用RAM1に記憶されたカウント値との差から、最新に入球した遊技球を含めて第1規定数(本実施例では6個)の遊技球入球に要した時間を算出することができる。
【0064】
そして、サブ制御部260は、入球数が第1規定数(本実施例では6個)に到達した場合(短時間用RAM6にカウント値が記憶された場合)に、短時間用RAM6に記憶されたカウント値と短時間用RAM1に記憶されたカウント値との差から算出される値(時間差)が第1規定時間(本実施例では400ms)以下であるか否かを判定し、肯定結果となった場合に、対応する第1始動口28aまたは一般入賞口34〜37への遊技球入球状況に異常が発生したことを示す異常信号を出力する。この異常信号に基づいて後述の入球異常報知が行われる。その後、サブ制御部260は、短時間用RAM2〜短時間用RAM6に記憶されたカウント値をそれぞれ短時間用RAM1〜短時間用RAM5にシフトさせ、新たな遊技球入球があった場合にカウント値を取得して短時間用RAM6に記憶するとともに、上記判定処理を実行することを繰り返し行う。
【0065】
すなわち、RAM1〜RAM6にカウント値が記憶された後は、入球がある毎に、全ての入球に対して入球異常の短時間監視を行うことができる。また、入球異常とは、入球過剰を意味し、所定時間(400ms)以内に、所定個数(6個)以上の入球があった場合に、入球異常があったものとして判断される。尚、短時間監視における「所定時間」は、当該所定時間(400ms)以内に所定個数(6個)の遊技球が通過することは、通常の遊技を行っている限り起こりえない時間に設定されている。このような状態が起こることは、不正電波の発信により遊技球検知センサやその入力ラインが誤作動させられたか、又は遊技球検知センサや遊技球の入球に関する制御基板が故障したことが考えられる。
【0066】
また判定処理としては、特定の入球口について、最新に入球した遊技球の入球タイミングと所定個数前(6個前)に入球した遊技球の入球タイミングとを比較することで、6個の遊技球が入球するのに要した時間が400ms以内であると、入球異常(入球過剰)が発生したと判定する。
【0067】
長時間監視処理では、サブ制御部260が、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎にカウント値を取得するとともに、順に長時間用RAM1〜長時間用RAM20に記憶する。このため、長時間用RAM1に最先に取得された(最先の遊技球入球時に取得された)カウント値が記憶され、長時間用RAM20に最新に取得された(最新の遊技球入球時に取得された)カウント値が記憶される。上述のようにカウント値は所定周期で更新されるため、長時間用RAM20に記憶されたカウント値と長時間用RAM1に記憶されたカウント値との差から、最新に入球した遊技球を含めて第2規定数(本実施例では20個)の遊技球入球に要した時間を算出することができる。
【0068】
そして、サブ制御部260は、入球数が第2規定数(本実施例では20個)に到達した場合(長時間用RAM20にカウント値が記憶された場合)に、長時間用RAM20に記憶されたカウント値と長時間用RAM1に記憶されたカウント値との差から算出される時間差が第2規定時間(第1始動口28aは30s、一般入賞口34〜37は60s)以下であるか否かを判定し、肯定結果となった場合に、対応する第1始動口28aまたは一般入賞口34〜37への遊技球入球状況に異常が発生したことを示す異常信号を出力する。この異常信号に基づいて後述の入球異常報知が行われる。その後、サブ制御部260は、長時間用RAM2〜長時間用RAM20に記憶されたカウント値をそれぞれ長時間用RAM1〜長時間用RAM19にシフトさせ、新たな遊技球入球があった場合にカウント値を取得して長時間用RAM20に記憶するとともに、上記判定処理を実行することを繰り返し行う。
【0069】
すなわち、RAM1〜RAM20にカウント値が記憶された後は、入球がある毎に、全ての入球に対して入球異常の長時間監視を行うことができる。また、入球異常とは、入球過剰を意味し、所定時間(30s又は60s)以内に、所定個数(20個)以上の入球があった場合に、入球異常があったものとして判断される。尚、長時間監視における「所定時間」は、当該所定時間(30s又は60s)以内に所定個数(20個)の遊技球が通過することは、通常の遊技を行っている限り起こりえない時間に設定されている。このような状態が起こることは、不正電波の発信により遊技球検知センサやその入力ラインが誤作動させられたか、釣り糸ゴト等の不正により不正行為が行われているか、又は遊技球検知センサや遊技球の入球に関する制御基板が故障したことが考えられる。
【0070】
また、第1始動口28a、第2始動口28b、大入賞口33aおよび一般入賞口34〜37に対する遊技球の入球監視の結果、いずれかの入賞口で入球異常が発生した場合には、入球異常が発生した入賞口を特定して入球異常報知を行うように構成されている。入球異常報知は、演出表示装置25、前面枠4のランプ262(図3参照)、スピーカ10a〜10d等の報知手段を用いて行うことができる。入球異常報知は、所定の入球異常報知実行時間が経過するまで行われる。入球異常報知実行時間は、任意に設定することができ、本実施例では30〜60秒の間で設定している。
【0071】
第1始動口28a、第2始動口28b、大入賞口33aおよび一般入賞口34〜37の入球異常報知は、サブ制御部260の制御によって行われる。サブ制御部260は、主制御部200から入球異常コマンドを受信した場合や、第1始動口28aまたは一般入賞口34〜37の入球監視処理で入球異常が発生したと判定した場合に、異常信号を出力し、演出表示装置25等の報知手段で入球異常報知を行うように構成されている。このため、サブ制御部260が本発明の「異常信号出力手段」に相当している。
【0072】
本実施例の遊技機1では、特別図柄表示部61を用いて行われる特別図柄の図柄変動遊技に付随して、演出表示装置25にて図柄変動演出が行われる。図柄変動演出としては、例えば特別図柄表示部61での特別図柄の変動表示に連動して数字図柄からなる演出図柄を変動表示させる変動表示演出や、演出図柄の変動表示中に行われるリーチ演出などが挙げられる。なお、これらの演出内容は複数種類存在し、演出画像データは演出表示制御部280のROMに記憶されている。
【0073】
次に、演出表示装置25で表示される演出図柄について説明する。演出図柄は特別図柄表示部61の特別図柄の変動表示および停止表示に連動して表示される。図2に示すように、演出表示装置25の表示領域には、左図柄が表示される左図柄表示領域、中図柄が表示される中図柄表示領域、右図柄が表示される右図柄表示領域から構成された演出図柄表示部が設けられている。各図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する向き、この場合、上下方向(縦方向)に図柄変動方向が設定されている。各図柄表示領域は、「1」〜「9」からなる図柄をそれぞれ表示可能となっている。
【0074】
演出図柄は、特別図柄が変動表示を開始することにより変動表示を開始し、特別図柄が何れかの図柄で停止表示されると、演出図柄は特別図柄の停止図柄に応じた図柄で停止表示される。演出図柄では、3桁同一の図柄組合せが特別図柄の大当り図柄に対応し、それ以外の図柄組合せが特別図柄の外れ図柄に対応している。
【0075】
演出図柄の変動態様(変動パターン)および停止図柄の決定は、主制御部200から送信される変動パターン指定コマンドおよび停止情報指定コマンドに基づいてサブ制御部260によって行われるように構成されている。ここで、主制御部200からサブ制御部260に向けて送信される変動パターン指定コマンドは、特別図柄の変動パターンを示すもので、具体的には、特別図柄の変動時間や、リーチ演出の有無等の演出内容を示している。主制御部200は、特別図柄の当否判定結果に応じて特別図柄の変動パターンをランダムに(乱数抽選により)決定する。そして、主制御部200により決定された特別図柄の変動パターンに基づき、サブ制御部260が、演出表示装置25の演出図柄表示部で表示される演出図柄の演出パターンを決定する。また、主制御部200からサブ制御部260に向けて送信される停止情報指定コマンドは特別図柄の停止図柄を示すもので、主制御部200は、特別図柄の当否判定結果に応じて特別図柄の停止図柄をランダムに(乱数抽選により)決定する。そして、主制御部200により決定された特別図柄の停止図柄を示す停止情報指定コマンドに基づき、サブ制御部260が、演出表示装置25の演出図柄表示部で停止表示される演出図柄の停止図柄を決定する。
【0076】
また、演出表示装置25の表示領域では、特別図柄保留数を表示する保留表示演出や、大当り遊技中に大当り遊技の進行に伴う当り関連演出が行われる。当り関連演出としては、大当り遊技開始時に実行される大当り遊技開始演出(ファンファーレ演出)、大当り遊技中に実行されるラウンド演出(大当り遊技演出)、大当り遊技終了時に実行される大当り遊技終了演出(エンディング演出)等がある。これらの当り関連演出は、サブ制御部260が大当り遊技の進行に伴って主制御部200から送信されるコマンドに基づいて実行する。
【0077】
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図3に基づいて説明する。図3は、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0078】
図3に示すように、電子制御装置は、主制御部200と、その主制御部200に接続された副制御部230、260、280とを含んで構成されている。副制御部は、払出制御部(賞球制御部)230、サブ制御部260及び演出表示制御部280から構成される。主制御部200は主制御基板200aを備え、副制御部230、260及び280は周辺制御基板として払出制御基板230a、サブ制御基板260a及び演出表示制御基板280aをそれぞれ備えている。これらの各制御基板や、その他の基板(電源基板、中継基板、駆動基板、装飾基板、アンプ基板、演出ボタン基板など)は、遊技機1の裏面側に配置される。
【0079】
各制御部200、230、260、280には、図示しない主電源から電源が供給されている。また、電源立上げ時には、システムリセット信号が各制御部200、230、260、280に送信される。なお、本実施例の遊技機1は、電源断時に主制御部200及び払出制御部230に作動電圧を供給する図示しないバックアップ電源部(図示略)を備えており、電源断時にも主制御部200及び払出制御部230のRAMデータが保持される。
【0080】
主制御部200は、遊技の進行を司る遊技制御手段を構成するものであり、各副制御部230、260に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御部230、260、280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
【0081】
主制御部200を構成する主制御基板200aのCPU200bは、CPUコア、内蔵RAM(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM(以下、単にROMともいう)等を備えており、ROMに格納された制御プログラムにより、RAMをワークエリアとして遊技機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。また、主制御部200は、CPU200bが主体となって、ROMに格納された当否判定プログラムにより特別図柄の当否判定を行う当否判定実行手段を構成している。また、主制御部200のCPU200bは、特別図柄当否判定を実行する際に、ROMに格納された特別図柄の変動パターンテーブルから特定の変動パターンを決定する。なお、本実施例の主制御部200のCPU200bの制御周期は4msに設定されている。
【0082】
主制御部200には、盤面入力中継基板201と盤面出力中継基板202とが接続されている。盤面入力中継基板201には、普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s、第1始動口入球検知スイッチ28s、第2始動口入球検知スイッチ28t、大入賞口入球検知スイッチ33s、一般入賞口入球検知スイッチ34s〜37sが接続されており、これらの信号が主制御部200に入力するように構成されている。盤面出力中継基板202には、普通図柄表示部51(1個のLED)、特別図柄表示部61(7個のLED)、始動口ソレノイド28c、大入賞口ソレノイド33cが接続されており、主制御部200からの制御信号が出力される。
【0083】
払出制御部230を構成する払出制御基板230aは、主制御部200のCPU200bと同様の構成を有するCPU230bを備えている。払出制御部230には、発射制御部250、CRユニット13等が接続されている。主制御部200から払出制御部230には、賞球払出を指示する賞球指示コマンド、遊技開始許可を指示する遊技開始許可信号、各種発射制御コマンド等のコマンドが送信される。各種発射制御コマンドには、球送り許可・禁止、発射許可・禁止、遊技開始許可等が含まれている。払出制御基板230aのCPU230bは、主制御部200からの賞球指示コマンドを受信すると、そのコマンドが示す賞球数に基づいて、遊技機1の裏面側に設けられた図示しない遊技球払出装置の払出モータを回転駆動することにより、指定された賞球数分の遊技球の払い出し(賞球払出)を行う。この遊技球の払い出し(賞球払出)は、遊技機1の裏面側上部に設けられた図示しない遊技球タンクに貯留された遊技球を、図示しない遊技球レールを介して遊技球払出装置に供給し、その供給された遊技球を遊技球払出装置の払出モータの回転駆動により排出することで、行われる。
【0084】
発射制御部250には、タッチスイッチ8aと発射停止スイッチ8bが接続されており、遊技者が発射ハンドル8に触れることでタッチスイッチ8aからタッチ信号が入力し、遊技者が発射停止スイッチ8bを操作すること(押圧すること)で、発射停止スイッチ8bから発射停止信号が入力する。
【0085】
サブ制御部260は、遊技の進行に伴って実行される各種演出を制御するサブ制御手段(演出制御手段)を構成しており、サブ制御基板260aにはCPU260bや図示しないROM、RAM、入出力ポート等を有する演算回路構成要素とサウンドジェネレータが設けられており、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。サブ制御部260(CPU260b)は、各種ランプ類による装飾表示、スピーカ10a〜10dから出力される効果音、演出表示装置25による演出図柄の表示等を用いた演出制御を司るように構成されている。
【0086】
主制御部200からサブ制御部260には、遊技の進行に関連する各種制御コマンド、(特別図柄変動開始時コマンド、図柄停止コマンド、大当り遊技開始指定コマンド、大当り遊技終了指定コマンド、ラウンド指定コマンド、復帰コマンドなど)、各種ランプ制御コマンド及び各種音声制御コマンドが送信され、サブ制御部260は遊技の進行に伴う演出制御を司るように構成されている。主制御部200から演出表示制御部280には、サブ制御部260を介して、演出図柄の表示制御を指示する各種図柄制御制御コマンドが送信される。そして、サブ制御部260には演出表示制御部280が接続されており、サブ制御部260から演出表示制御部280には、主制御部200からの各種図柄制御コマンドに応じた演出図柄の表示(図柄変動演出)を実現するための演出表示制御を指示する各種演出表示制御コマンドが同時に送信される。
【0087】
演出表示制御部280の演出表示制御基板280aには、CPU280b、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにおいてサブ制御部260に接続されており、演出表示制御部280には演出表示装置25が接続されている。また、演出表示制御基板280aには、図示しない画像ROMが設けられており、その画像ROMには、演出表示装置25で表示される演出用図柄の画像データ(前述した図柄変動演出に関する画像データなど)が複数格納されている。演出表示制御部280(CPU280b)は、演出表示装置25の駆動制御(各種演出用の図柄データや画像データの表示出力処理)を行うように構成されている。
【0088】
その他、サブ制御部260には、装飾駆動基板261を介して各種LED・ランプ262が接続されており、アンプ基板263には、遊技の進行に対応して各種サウンド、音声等を出力するスピーカ10a〜10dが接続されている。さらに、サブ制御部260には、演出ボタン基板264を介して演出ボタン5dが接続されている。サブ制御部260は、主制御部200や演出ボタン5dからの各種指令(変動パターン指定コマンドの受信、演出ボタン操作信号の入力など)に基づいて、各種LED・ランプの点灯・点滅パターンの選択・実行処理や、スピーカ10a〜10dから出力される効果音データの選択・出力処理や、演出表示装置25での演出表示の実行処理等を行う。なお、演出表示装置25、各種LED・ランプ262、スピーカ10a〜10dが本発明の「演出装置」に相当している。
【0089】
次に、本実施例の遊技機1の作動をフローチャートに基づいて説明する。図4は、主制御部200の制御下で行われるメインジョブの一例である。図4に示すメインジョブは、主制御基板200aに実装されたCPU200bが、図示しないROM(CPU200bの内蔵ROMまたは主制御基板200aに実装されるROM)に格納されたプログラムに基づいて実行するもので、電源投入処理(S100)の後、遊技開始処理(S200)、普通図柄遊技処理(S300)、普通図柄当り遊技処理(S400)、特別図柄遊技処理(S500)、大当り遊技処理(S600)、電動役物入球監視処理(S700)の各処理が、CPU200bのタイマ割込みの発生毎(本実施例では4ms毎)に繰り返し実行される。電断発生時処理(S50)は、停電等によって電源断が発生した場合に、使用レジスタやスタックポインタの保存、払出モータの停止等が行われ、システムリセットが発生した場合に電源投入処理(S100)に移るようになっている。
【0090】
電源投入処理(S100)は、電源投入時と電源断発生後の復電時に行われるものであり、電源投入時にはRAM初期化処理等が行われ、電源断復帰時には電源断時の遊技状態に復帰させるための復帰設定等が行われる。
【0091】
次に、遊技開始処理(S200)を図5のフローチャートに基づいて説明する。まず、主制御部200に接続されているRAMクリアスイッチ以外のすべてのスイッチの状態を読み込み(S201)、各々のスイッチ状態をスイッチ情報としてRAMに記憶する(S202)。スイッチ情報は、S201の処理で読み込み対象となるスイッチが遊技球の通過や入球を検知するスイッチの場合、スイッチがONであること(遊技球の通過や入球が発生したこと)を示す情報や、スイッチがOFFであること(遊技球の通過や入球が発生していないこと)を示す情報である。
【0092】
次に、当否判定用乱数、図柄表示用乱数等の各種乱数の更新を行う(S203)。具体的には、上述のRAMに設定された乱数カウンタの値を、初期値(例えば0)から所定値(例えば255)の間で1ずつ加算する。乱数カウンタの値が所定値を超える場合には初期値に戻る。
【0093】
次に、入賞があったか否かを判定する(S204)。S204の判定処理は、上述のS202の処理で記憶したスイッチ情報に「入球検知スイッチ28s,28t,33s,34s〜37sの各々について遊技球の入球を検知したことを示す情報」が含まれているか否かを判定し、その情報が含まれている場合に入賞があったと判定する。この結果、入賞があったと判定された場合には(S204:YES)、その入賞があった入賞口(始動口28、大入賞口33a、一般入賞口34〜37)に対応する入賞検知情報をRAMに記憶する(S205)。一方、入賞がなかったと判定された場合には(S204:NO)、そのままS206の処理に移行する。
【0094】
次に、入賞検知情報がRAMに記憶されているか否かを判定する(S206)。この結果、入賞検知情報が記憶されていないと判定された場合には(S206:NO)、遊技開始処理を終了する。一方、入賞検知情報が記憶されていると判定された場合には(S206:YES)、その入賞検知情報に対応する入賞口(始動口28を含む)に対して予め設定された賞球数を指定する賞球数指定コマンドを払出制御部230に送信する(S207)。
【0095】
次に、入賞検知情報が第1始動口28aへの入賞(遊技球の入球)によるものであるか否かを判定する(S208)。この結果、第1始動口28aへの入賞によるものであると判定された場合には(S208:YES)、第1始動口28aに遊技球が入球したことを示す第1始動口入球コマンドをサブ制御部260に送信し(S209)。サブ制御260は、主制御部200から送信される第1始動口入球コマンドに基づいて、後述の入球監視処理(S1200)を実行する。その後、遊技開始処理を終了する。
【0096】
また、S208の判定処理の結果が、第1始動口28aへの入賞によるものでないと判定された場合には(S208:NO)、入賞検知情報が一般入賞口34〜37への入賞(遊技球の入球)によるものであるか否かを判定する(S210)。この結果、一般入賞口34〜37への入賞によるものでないと判定された場合には(S210:NO)、遊技開始処理を終了する。一方、一般入賞口34〜37への入賞によるものであると判定された場合には(S210:YES)、一般入賞口34〜37に遊技球が入球したことを示す一般入賞口入球コマンドをサブ制御部260に送信する(S211)。本実施例の一般入賞口入球コマンドでは、複数の一般入賞口34〜37のうち、遊技球が入球した一般入賞口34〜37の種類が特定されるようになっている。サブ制御部260は、主制御部200から送信される一般入賞口入球コマンドに基づいて、後述の入球監視処理(S1200)を実行する。なお、S202の処理で記憶されるスイッチ情報やS205の処理で記憶される入賞検知情報は、次回のタイマ割込みの発生に基づく遊技開始処理(S200)の開始に際して消去される。つまり、タイマ割込みが発生する毎(本実施例では4ms毎)に消去される。
【0097】
次に、図4に戻り、普通図柄遊技処理(S300)では、まず、普通図柄の当否判定を行って、普通図柄表示部51(図2参照)にて普通図柄を当り普通図柄の表示態様で停止表示させるか、外れ普通図柄の表示態様で停止表示させるかを決定する。ここで、前述したように、本実施例における普通図柄の当否判定は、始動口28bの開放時間を延長させる開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の作動状態に応じて、当りとなる確率が異なっており、開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の作動時の方が、開放時間延長機能(および変動時間短縮機能)の非作動時に比べ当りとなる確率が高くなっている。
【0098】
次に、普通図柄の当否判定の結果が得られたら、普通図柄の変動表示時間を設定し、その変動表示時間に従って普通図柄の変動表示を開始する。そして、変動表示時間が経過すると、決定しておいた表示態様で普通図柄を停止表示させ、普通図柄が当り普通図柄の表示態様で停止表示された場合には、普通電動役物の作動を開始させる(第2始動口28bを開放状態とする)。普通図柄遊技処理では、以上のようにして、普通図柄の変動表示および停止表示を行い、普通図柄が当り普通図柄の表示態様で停止表示された場合には、第2始動口28bを作動させる処理を行う。第2始動口28bが作動すると、一対の翼片部が左右に開動作して、第2始動口28bが開放状態となる。
【0099】
普通図柄当り遊技処理(S400)では、第2始動口28bを開放状態に維持する開放時間が経過したか否かを判定し、開放時間が経過していない場合には、第2始動口28bに規定入賞数の入賞があったか否かを判定する。開放状態にある第2始動口28bに規定入賞数の入賞があったと判定されるか、開放状態にある第2始動口28bの開放時間が経過していると判定された場合には、一対の翼片部が閉動作して、第2始動口28bは通常状態(閉鎖状態)となる。
【0100】
次に、特別図柄遊技処理(S500)を図6、図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、図6(a)に示すように、始動口28(第1始動口28aまたは第2始動口28b)に入賞(遊技球が入球)したか否かを判定し(S501)、始動口28に入賞していないと判定された場合には(S501:NO)。S504の処理に移行する。一方、始動口28に入賞したと判定された場合には(S501:YES)、特別図柄保留数が4未満であるか否かを判定する(S502)。この結果、特別図柄保留数が4未満でない(4以上である)と判定された場合には(S502:NO)、S504の処理に移行し、特別図柄保留数が4未満であると判定された場合には(S502:YES)、特別図柄用乱数を取得してRAMの所定領域に記憶する(S503)。これにより、特別図柄保留数が1増加する。なお、特別図柄用乱数は、特別図柄当否判定用乱数、図柄決定用乱数、リーチ乱数などからなる。
【0101】
次に、大当り遊技中であるか否か(大当り遊技フラグがONであるか否か)を判定する(S504)。この結果、当り遊技中である(大当り遊技フラグがONである)と判定された場合には(S504:YES)、特別図柄遊技処理を終了し、大当り遊技中でない(大当り遊技フラグがOFFである)と判定された場合には(S504:NO)、特別図柄が変動中であるか否かを判定する(S505)。
【0102】
この結果、特別図柄が変動中であると判定された場合には(S505:YES)、後述のS509の処理に移行し、特別図柄が変動中でないと判定された場合には(S505:NO)、特別図柄の停止表示時間中であるか否かを判定する(S506)。ここで、特別図柄の停止表示時間とは、停止表示された特別図柄を確定させる時間のことであり、本実施例では、特別図柄の停止表示時間を「1秒」としている。そして、特別図柄の停止表示時間中であると判定された場合には(S506:YES)、後述のS513の処理に移行し、特別図柄の停止表示時間中でないと判定された場合には(S506:NO)、特別図柄保留数がゼロであるか否かを判定する(S507)。
【0103】
この結果、特別図柄保留数がゼロであると判定された場合には(S507:YES)、特別図柄遊技処理を終了する。一方、特別図柄保留数がゼロでないと判定された場合には(S507:NO)、特別図柄変動表示関連処理を行う(S508)。
【0104】
ここで、特別図柄変動表示関連処理(S508)を図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、主制御部200のRAMの所定領域(保留記憶領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数(始動口28への遊技球入球時に取得された当否判定用乱数)を読み出し(S508a)、特別図柄当否判定を行う(S508b)。
【0105】
次に、S508bで行った特別図柄当否判定の結果が大当りであるか否かを判定する(S508c)。この結果、特別図柄当否判定の結果が大当りであると判定された場合には(S508c:YES)、大当り時変動パターンテーブル振分処理によって特別図柄の変動パターンテーブルを設定する(S508d)。一方、特別図柄当否判定の結果が大当りでない(外れである)と判定された場合には(S508c:NO)、外れ時変動パターンテーブル振分処理によって特別図柄の変動パターンテーブルを設定する(S508g)。
【0106】
次に、変動パターン決定乱数を取得するとともに、主制御部200のRAMの所定領域に記憶されている図柄決定用乱数(第1始動口28aまたは第2始動口28bへの遊技球入球時に取得された特別図柄決定用乱数)を読み出す(S508h)。
【0107】
次に、特別図柄の変動パターンと停止図柄を決定する(S508i)。特別図柄の変動パターンは、S508hで取得した特別図柄変動パターン決定用乱数を用いて、S508d、S508gの何れかの処理でセットした変動パターンテーブルから特定の変動パターンを選択する。また、特別図柄の停止図柄は、S508hで読み出した図柄決定用乱数を用いて、特別図柄の停止図柄の種類(特別図柄表示部61におけるLEDの表示パターン)を決定する。
【0108】
次に、S508iで決定された停止図柄および変動パターンに従って、特別図柄表示部61で特別図柄の変動表示を開始し(S508j)、これに付随して、図柄変動開始時コマンドとしての特別図柄の変動パターン指定コマンドと停止情報指定コマンドをサブ制御部260に送信する(S508k)。変動パターン指定コマンドは、S508iで設定された特別図柄の変動パターンを指定するコマンドであり、特別図柄情報指定コマンドは、特別図柄の停止図柄を指定するコマンドである。この変動パターン指定コマンドと停止情報指定コマンドをサブ制御部260に送信すると、これらコマンド(図柄変動開始時コマンド)を受信したサブ制御部260および演出表示制御部280の制御下で図柄変動演出(演出図柄の変動表示)が開始される。そして、特別図柄保留数を1減算する(S508l)。以上までが、特別図柄の変動表示を開始する際の処理である。
【0109】
次に、図6(a)に戻り、上記S505で特別図柄が変動中であると判定された場合には(S505:YES)、変動中の特別図柄の変動表示時間が経過しているか否かを判定する(S509)。この結果、特別図柄の変動表示時間が経過していないと判定された場合には(S509:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の変動表示時間が経過していると判定された場合には(S509:YES)、特別図柄の変動表示を停止し(S510)、特別図柄の変動表示が停止したことを示す図柄停止コマンドをサブ制御部260に送信し(S511)、特別図柄の停止表示時間を設定する(S512)。
【0110】
次に、特別図柄の停止図柄表示時間が経過したか否かを判定する(S513)。この結果、特別図柄の停止図柄表示時間が経過していないと判定された場合には(S513:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、特別図柄の停止図柄表示時間が経過していると判定された場合には(S513:YES)、特別図柄表示部61に停止表示された特別図柄の停止図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(図6(b)のS514)。
【0111】
この結果、特別図柄の停止図柄が大当り図柄であると判定された場合には(S514:YES)、大入賞口33aの開放パターンをセットして(S515)、大当り遊技フラグをONにセットする(S516)。これにより、S515の処理でセットされた大入賞口開放パターンに従って大当り遊技が開始される。そして、大当り遊技が開始されることを示す大当り遊技開始指定コマンドをサブ制御部260に送信する(S517)。
【0112】
次に、確変フラグがONであるか否かを判定し(S518)、確変フラグがONであると判定された場合は(S518:YES)、確変フラグをOFFにセットし(S519)、S520の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定された場合には(S518:NO)、そのままS520の処理に移行する。
【0113】
S520の処理では、変動短縮フラグがONであるか否かを判定し、変動短縮フラグがONでないと判定された場合には(S520:NO)、そのまま特別図柄遊技処理を終了する。一方、変動短縮フラグがONであると判定された場合には(S520:YES)、変動短縮フラグをOFFにセットし(S521)、さらに開放延長フラグをOFFにセットする(S522)。これにより、大当り遊技の開始に伴い、確率変動機能、変動時間短縮機能、開放時間延長機能が作動を停止する。
【0114】
次に、上記S514の判定処理で、特別図柄表示部61に停止表示された特別図柄の停止図柄が大当り図柄でない(換言すると、外れ図柄である)と判定された場合には(S514:NO)、変動短縮フラグがONであるか否かを判定する(S523)。この結果、変動短縮フラグがONでないと判定された場合は(S523:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、変動短縮フラグがONであると判定された場合は(S523:YES)、変動短縮カウンタを1減算し(S524)、変動短縮カウンタがゼロになったか否かを判定する(S525)。変動短縮カウンタは、変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動期間をカウントするためのものであり、大当り遊技の終了後に大当りの種類に応じて後述のS614の処理(図8参照)でセットされる。
【0115】
そして、変動短縮カウンタがゼロではないと判定された場合には(S525:NO)、特別図柄遊技処理を終了し、変動短縮カウンタがゼロであると判定された場合には(S525:YES)、変動短縮フラグをOFFにし(S526)、開放延長フラグをOFFにする(S527)。これにより、変動時間短縮機能と開放時間延長機能が作動停止する。
【0116】
次に、大当り遊技処理(S600)について図8のフローチャートに基づいて説明する。まず、大当り遊技中であるか否か(大当り遊技フラグがONであるか否か)を判定する(S601)。この結果、大当り遊技中でない(大当り遊技フラグがOFFである)と判定された場合には(S601:NO)、大当り遊技処理を終了し、大当り遊技中である(大当り遊技フラグがONである)と判定された場合には(S601:YES)、大入賞口33aが開放中であるか否かを判定する(S602)。この結果、大入賞口33aが開放中であると判定された場合には(S602:YES)、大入賞口33aの開放時間が経過したか否か、換言すると、開放時間が規定開放時間(本実施例では30秒)に達したか否かを判定し(S603)、大入賞口33aの開放時間が経過していないと判定された場合には(S603:NO)、大入賞口33aに規定入賞数の入賞があったか否か(規定数の遊技球が入球したか否か)を判定する(S604)。本実施例では、大入賞口33aに規定入賞数として10個の遊技球が入球したか否かを判定する。
【0117】
S604の処理の結果、大入賞口33aに規定入賞数が入賞していないと判定された場合には(S604:NO)、大当り遊技処理を終了し、大入賞口33aに規定入賞数が入賞していると判定された場合(S604:YES)または大入賞口33aの開放時間が経過している(規定時間に達している)と判定された場合には(S603:YES)、大入賞口33aを閉鎖する(S605)。
【0118】
また、上記S602で、大入賞口33aが開放中でないと判定された場合には(S602:NO)、大当り遊技の終了条件が成立したか否かを判定する(S606)。S606の判定処理は、大当り遊技のラウンド数が15ラウンドに達したか否かを判定する。
【0119】
この結果、大当り遊技終了条件が成立していないと判定された場合には(S606:NO)、大入賞口33aの閉鎖時間(インターバル時間)が経過しているか否かを判定し(S607)、大入賞口33aの閉鎖時間が経過していないと判定された場合には(S607:NO)、大当り遊技処理を終了し、大入賞口33aの閉鎖時間が経過していると判定された場合には(S607:YES)、大入賞口33aを開放させ(S608)、大当り遊技のラウンド数(大入賞口33aの開放回数)を示すラウンド指定コマンドをサブ制御部260に送信する(S609)。ラウンド指定コマンドを受信したサブ制御部260は、ラウンド演出(大当り遊技演出)を実行する。
【0120】
上記S606で、大当り遊技終了条件が成立していると判定された場合には(S606:YES)、大当り遊技フラグをOFFにセットする(S609)。これにより、大当り遊技が終了する。
【0121】
次に、終了した大当り遊技を開始させる起因となった大当り図柄の種類が確変大当り図柄であるか否かを判定する(S610)。
【0122】
この結果、大当り図柄の種類が「確変大当り図柄」であると判定された場合には(S610:YES)、確変フラグをONにセットする(S611)。これにより、確率変動機能が作動開始する。一方、大当り図柄の種類が「確変大当り図柄」でない(「通常大当り図柄」である)と判定された場合には(S610:NO)、確変フラグをONにセットする処理(S611)を行うことなく、S612の処理に移行する。そして、変動短縮フラグをONにセットし(S612)、開放延長フラグをONにセットし(S613)、開放延長回数カウンタに変動時間短縮機能および開放時間延長機能の作動期間を定めるための値(初期値)をセットする(S614)。これにより、変動時間短縮機能と開放時間延長機能が作動開始する。なお、本実施例では、終了した大当り遊技の開始契機となった大当り図柄の種類が確変大当り図柄である場合(S610:YES)には、開放延長回数カウンタに「10,000」をセットし、通常大当り図柄である場合(S610:NO)には、開放延長回数カウンタに「100」をセットすることとしている。これにより、確変大当り図柄の停止表示を契機とする大当り遊技の終了後は、確率変動機能が作動するとともに、特別図柄の変動回数が「10,000回」に到達するまで変動時間短縮機能および開放時間延長機能が作動する。つまり、確率変動機能、変動時間短縮機能および開放時間延長機能のすべてが、次回の大当り遊技が開始されるまで作動する。また、通常大当り図柄の停止表示を契機とする大当り遊技の終了後は、確率変動機能が作動することなく、変動時間短縮機能および開放時間延長機能が、特別図柄の変動回数が「100回」に到達するまで作動する。
【0123】
次に、電動役物入球監視処理(S700)について図9のフローチャートに基づいて説明する。まず、第2始動口入球検知有効期間であるか否かを判定する(S701)。この結果、第2始動口入球検知有効期間であると判定された場合には(S701:YES)、S704の処理に移行する。一方、第2始動口入球検知有効期間でないと判定された場合には(S701:NO)、第2始動口入球検知スイッチ28tによる遊技球の入球検知(第2始動口28bへの遊技球の入球)が発生したか否かを判定する(S702)。このS702の処理は、上述した遊技開始処理のS205の処理(図5参照)によってRAMに記憶されている入球検知情報が「第2始動口28bに対応する入球検知情報(第2始動口入球検知情報)」であるか否かに基づき行われるもので、「第2始動口入球検知情報」である場合に、第2始動口入球検知スイッチ28tによる遊技球の入球検知(第2始動口28bへの遊技球の入球)が発生したと判定される。
【0124】
この結果、第2始動口入球検知スイッチ28tによる遊技球の入球検知が発生していないと判定された場合には(S702:NO)、S704の処理に移行する。一方、第2始動口入球検知スイッチ28tによる遊技球の入球検知が発生したと判定された場合には(S702:YES)、第2始動口28bに対する入球異常が発生したことを示す第2始動口入球異常コマンドをサブ制御部260に送信する(S703)。
【0125】
次に、大入賞口入球検知有効期間であるか否かを判定する(S704)。この結果、大入賞口入球検知有効期間であると判定された場合には(S704:YES)、電動役物入球監視処理を終了する。一方、大入賞口入球検知有効期間でないと判定された場合には(S704:NO)、大入賞口入球検知スイッチ33sによる遊技球の入球検知(大入賞口33aへの遊技球の入球)が発生したか否かを判定する(S705)。このS705の処理は、上述した遊技開始処理のS205の処理(図5参照)によってRAMに記憶されている入球検知情報が「大入賞口33aに対応する入球検知情報(大入賞口入球検知情報)」であるか否かに基づき行われるもので、「大入賞口入球検知情報」である場合に、大入賞口入球検知スイッチ33sによる遊技球の入球検知(大入賞口33aへの遊技球の入球)が発生したと判定される。
【0126】
この結果、大入賞口入球検知スイッチ33sによる遊技球の入球検知が発生していないと判定された場合には(S705:NO)、電動役物入球監視処理を終了する。一方、大入賞口入球検知スイッチ33sによる遊技球の入球検知が発生したと判定された場合には(S705:YES)、大入賞口33aに対する入球異常が発生したことを示す大入賞口入球異常コマンドをサブ制御部260に送信する(S706)。
【0127】
次に、サブ制御部260が実行する演出制御処理を図10に基づいて説明する。図10は、サブ制御部260の制御下で行われる演出制御処理の一例である。図10に示す演出制御処理は、サブ制御基板260aに実装されたCPU260bが、図示しないROM(CPU260bの内蔵ROMまたはサブ制御基板260aに実装されるROM)に格納されたプログラムに基づいて実行するもので、CPU260bのタイマ割込みが発生する毎(本実施例では4ms毎)に、始動入賞処理(S800)、図柄変動演出処理(S900)、大当り遊技演出処理(S1000)、入球異常報知処理(S1100)、入球監視処理(S1200)の各処理が繰り返し実行される。
【0128】
始動入賞処理(S800)では、始動口28に遊技球が入球した場合に、演出表示装置25における保留表示演出の更新やスピーカ10a〜10dからの効果音出力が行われる。図柄変動演出処理(S900)では、特別図柄の変動表示および停止表示に連動して、演出表示装置25の表示領域にて演出図柄の変動表示および停止表示させる変動表示演出が行われる。大当り遊技演出処理(S1000)では、大当り遊技開始時にファンファーレ演出が行われ、ラウンド遊技中にラウンド演出が行われ、大当り遊技終了時にエンディング演出が行われる。
【0129】
次に、入球異常報知処理(S1100)を図11のフローチャートに基づいて説明する。まず、第2始動口入球異常報知フラグがOFFにセットされているか否かを判定する(S1101)。第2始動口入球異常報知フラグは、第2始動口28bへの遊技球入球に関する異常が発生したことを示す第2始動口入球異常報知が行われていることを示すフラグである。S1101の判定処理の結果、第2始動口入球異常報知フラグがOFFにセットされていると判定された場合には(S1101:YES)、現在、第2始動口入球異常報知を行っていないと判断でき、この場合には、S703の処理(図9)で主制御部200が送信する第2始動口入球異常コマンドを受信したか否かを判定する(S1102)。
【0130】
この結果、第2始動口入球異常コマンドを受信していないと判定された場合には(S1102:NO)、S1108の処理に移行する。一方、第2始動口入球異常コマンドを受信したと判定された場合には(S1102:YES)、第2始動口入球異常報知フラグをONにセットし(S1103)、第2始動口入球異常報知を開始する(S1104)。第2始動口入球異常報知では、演出表示装置25の表示領域、前面枠4のランプ262、スピーカ10a〜10dからの音声出力等を用いて、第2始動口28bへの遊技球入球に関する異常(第2始動口28bの入球異常)が発生したことを報知する。
【0131】
次に、上記S1101の判定処理で、第2始動口入球異常報知フラグがOFFにセットされていない(ONにセットされている)と判定された場合には(S1101:NO)、現在、第2始動口入球異常報知を行っていると判断でき、この場合には、第2始動口入球異常報知を開始してから入球異常報知実行時間(本実施例では30〜60秒)が経過したか否かを判定する(S1105)。この結果、入球異常報知実行時間が経過していないと判定された場合には(S1105:NO)、S1108の処理に移行する。一方、入球異常報知実行時間が経過したと判定された場合には(S1105:YES)、第2始動口入球異常報知フラグをOFFにセットし(S1106)、第2始動口入球異常報知を終了する(S1107)。
【0132】
次に、大入賞口入球異常報知フラグがOFFにセットされているか否かを判定する(S1108)。大入賞口入球異常報知フラグは、大入賞口33aへの遊技球入球に関する異常が発生したことを示す大入賞口入球異常報知が行われていることを示すフラグである。S1108の判定処理の結果、大入賞口入球異常報知フラグがOFFにセットされていると判定された場合には(S1108:YES)、現在、大入賞口入球異常報知を行っていないと判断でき、この場合には、S706の処理(図9)で主制御部200が送信する大入賞口入球異常コマンドを受信したか否かを判定する(S1109)。
【0133】
この結果、大入賞口入球異常コマンドを受信していないと判定された場合には(S1109:NO)、入球異常報知処理を終了する。一方、大入賞口入球異常コマンドを受信したと判定された場合には(S1109:YES)、大入賞口入球異常報知フラグをONにセットし(S1110)、大入賞口入球異常報知を開始する(S1111)。大入賞口入球異常報知では、演出表示装置25の表示領域、前面枠4のランプ262、スピーカ10a〜10dからの音声出力等を用いて、大入賞口33aへの遊技球入球に関する異常(大入賞口33aの入球異常)が発生したことを報知する。
【0134】
次に、上記S1108の判定処理で、大入賞口入球異常報知フラグがOFFにセットされていない(ONにセットされている)と判定された場合には(S1108:NO)、現在、大入賞口入球異常報知を行っていると判断でき、この場合には、大入賞口入球異常報知を開始してから入球異常報知実行時間(本実施例では30〜60秒)が経過したか否かを判定する(S1112)。この結果、入球異常報知実行時間が経過していないと判定された場合には(S1112:NO)、入球異常報知処理を終了する。一方、入球異常報知実行時間が経過したと判定された場合には(S1112:YES)、大入賞口入球異常報知フラグをOFFにセットし(S1113)、大入賞口入球異常報知を終了する(S1114)。
【0135】
次に、入球監視処理(S1200)を図12のフローチャートに基づいて説明する。まず、監視タイマを更新してカウント値を「1」増加させる(S1201)。次に、第1始動口28aに遊技球が入球したか否かを判定する(S1202)。S1202の判定処理は、S209の処理で主制御部200が送信する第1始動口入球コマンドを受信したか否かを判定すればよい。
【0136】
この結果、第1始動口28aに遊技球が入球していないと判定された場合には(S1202:NO)、S1205の処理に移行する。一方、第1始動口28aに遊技球が入球したと判定された場合には(S1202:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1203、S1204)。短時間監視処理については、S1206、S1209、S1212、S1215と同一の処理であり、長時間監視処理については、S1207、S1210、S1213、S1216と同一の処理であるので、これらの処理については後で説明する。
【0137】
次に、第1入賞口34に遊技球が入球したか否かを判定する(S1205)。S1205の判定処理は、S211の処理で主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを受信し、かつ、このコマンドで特定される一般入賞口が第1入賞口34であるか否かを判定すればよい。
【0138】
この結果、第1入賞口34に遊技球が入球していないと判定された場合には(S1205:NO)、S1208の処理に移行する。一方、第1入賞口34に遊技球が入球したと判定された場合には(S1205:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1206、S1207)。
【0139】
次に、第2入賞口35に遊技球が入球したか否かを判定する(S1208)。S1208の判定処理は、S211の処理で主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを受信し、かつ、このコマンドで特定される一般入賞口が第2入賞口35であるか否かを判定すればよい。
【0140】
この結果、第2入賞口35に遊技球が入球していないと判定された場合には(S1208:NO)、S1211の処理に移行する。一方、第2入賞口35に遊技球が入球したと判定された場合には(S1208:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1209、S1210)。
【0141】
次に、第3入賞口36に遊技球が入球したか否かを判定する(S1211)。S1211の判定処理は、S211の処理で主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを受信し、かつ、このコマンドで特定される一般入賞口が第3入賞口36であるか否かを判定すればよい。
【0142】
この結果、第3入賞口36に遊技球が入球していないと判定された場合には(S1211:NO)、S1214の処理に移行する。一方、第3入賞口36に遊技球が入球したと判定された場合には(S1211:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1212、S1213)。
【0143】
次に、第4入賞口37に遊技球が入球したか否かを判定する(S1214)。S1214の判定処理は、S211の処理で主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを受信し、かつ、このコマンドで特定される一般入賞口が第4入賞口37であるか否かを判定すればよい。
【0144】
この結果、第4入賞口37に遊技球が入球していないと判定された場合には(S1214:NO)、入球監視処理を終了する。一方、第4入賞口37に遊技球が入球したと判定された場合には(S1214:YES)、短時間監視処理と長時間監視処理を実行する(S1215、S1216)。
【0145】
次に、短時間監視処理(S1203、S1206、S1209、S1212、S1215)を図13のフローチャートに基づいて説明する。まず、監視対象となっている第1始動口28aあるいは一般入賞口34〜37への入賞数が「5」以下であるか否かを判定する(S1240)。この結果、入賞数が「5」以下であると判定された場合には(S1240:YES)、入賞数に応じた短時間用RAMに監視タイマのカウント値を記憶する(S1241)。これにより、入賞順に短時間用RAM1から短時間用RAM5にカウント値が記憶される。S1241の処理が終了した後、短時間監視処理を終了する。これにより、遊技機の電源が投入されて遊技機の稼働が開始された直後、すなわち、入賞口への入球数が未だ所定個数(6個)に満たない状態(RAMへの記憶個数が6個に満たない状態)においては、短時間監視処理を実行せず、そして、所定個数が入球した場合には、以後の全ての入球について短時間監視処理を実行することができる。
【0146】
一方、入賞数が「5」以下でない(「6」である)と判定された場合には(S1240:NO)、短時間用RAM6に最新に取得した監視タイマのカウント値を記憶する(S1242)。次に、短時間用RAM6に記憶されたカウント値から短時間用RAM1に記憶されたカウント値を引いた差から算出される時間が第1規定時間(400ms)以下であるか否かを判定する(S1243)。これにより、最新に入球した遊技球を含めて第1規定数(本実施例では6個)の遊技球入球に要した時間が第1規定時間(400ms)以下であるか否かを判定することができる。
【0147】
この結果、第1規定時間(400ms)以下でないと判定された場合には(S1243:NO)、S1245の処理に移行する。一方、第1規定時間(400ms)以下であると判定された場合には(S1243:YES)、異常信号を出力して異常報知を実行する(S1244)。S1244の異常報知では、演出表示装置25の表示領域、前面枠4のランプ262、スピーカ10a〜10dからの音声出力等を用いて、監視対象である第1始動口28aあるいは一般入賞口34〜37への遊技球入球に関する異常が発生したことを報知する。この異常報知は、入球異常報知実行時間(本実施例では30〜60秒)が経過するまで実行される。
【0148】
次に、短時間用RAMの保存先を更新する(S1245)。S1245の処理では、短時間用RAM2〜短時間用RAM6に記憶されたカウント値をそれぞれ短時間用RAM1〜短時間用RAM5にシフトさせる。これにより、新たな遊技球入球があった場合にカウント値を取得して短時間用RAM6に記憶させることができる。以上までが短時間監視を行う際の処理である。
【0149】
尚、本実施例では、短時間用RAMの保存先を更新する更新処理をS1245の比較処理の後のタイミングで行っているが、入球を検知した際に(S1242の処理において)行ってもよい。この場合は、新たな入球が検知された場合には、短時間用RAM1に記憶されているカウント値削除すると共に、短時間用RAM2〜6のカウント値を、夫々短時間用RAM1〜5に移行し、新たな入球に対応するカウント値を短時間用RAM6に記憶する処理を実行する。また長時間監視処理についても同様である(S1262で実行できる)。
【0150】
次に、長時間監視処理(S1204、S1207、S1210、S1213、S1216)を図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0151】
まず、監視対象となっている第1始動口28aあるいは一般入賞口34〜37への入賞数が「19」以下であるか否かを判定する(S1260)。この結果、入賞数が「19」以下であると判定された場合には(S1260:YES)、入賞数に応じてRAMに監視タイマのカウント値を記憶する(S1261)。これにより、入賞順に長時間用RAM1から長時間用RAM19にカウント値が記憶される。S1261の処理が終了した後、短時間監視処理を終了する。一方、入賞数が「19」以下でない(「20」である)と判定された場合には(S1260:NO)、長時間用RAM20に最新に取得した監視タイマのカウント値を記憶する(S1262)。
【0152】
次に、第1始動口28aに遊技球が入球したか否かを判定する(S1263)。S1263の判定処理は、S209の処理で主制御部200が送信する第1始動口入球コマンドを受信したか否かを判定すればよい。
【0153】
この結果、第1始動口28aに遊技球が入球したと判定された場合には(S1263:YES)、長時間用RAM20に記憶されたカウント値から長時間用RAM1に記憶されたカウント値を引いた差から算出される時間が第2規定時間(第1始動口28aの場合は30s)以下であるか否かを判定する(S1264)。これにより、第1始動口28aに最新に入球した遊技球を含めて第2規定数(本実施例では20個)の遊技球入球に要した時間が第2規定時間(30s)以下であるか否かを判定することができる。この結果、第2規定時間(30s)以下であると判定された場合には(S1264:YES)、S1266の処理に移行し、第2規定時間(30s)以下でないと判定された場合には(S1264:NO)、S1267の処理に移行する。
【0154】
また、S1263の判定処理で、第1始動口28aに遊技球が入球していないと判定された場合には(S1263:NO)、一般入賞口34〜37への遊技球入球であると判断でき、長時間用RAM20に記憶されたカウント値から長時間用RAM1に記憶されたカウント値を引いた差から算出される時間が第2規定時間(一般入賞口の場合は60s)以下であるか否かを判定する(S1265)。これにより、一般入賞口34〜37に最新に入球した遊技球を含めて第2規定数(本実施例では20個)の遊技球入球に要した時間が第2規定時間(60s)以下であるか否かを判定することができる。
【0155】
この結果、第2規定時間(60s)以下でないと判定された場合には(S1265:NO)、S1267の処理に移行する。一方、第2規定時間(60s)以下であると判定された場合には(S1265:YES)、異常信号を出力して異常報知を実行する(S1266)。S1266の異常報知では、演出表示装置25の表示領域、前面枠4のランプ262、スピーカ10a〜10dからの音声出力等を用いて、監視対象である第1始動口28aあるいは一般入賞口34〜37への遊技球入球に関する異常が発生したことを報知する。この異常報知は、入球異常報知実行時間(本実施例では30〜60秒)が経過するまで実行される。
【0156】
次に、長時間用RAMの保存先を更新する(S1267)。S1267の処理では、長時間用RAM2〜短時間用RAM20に記憶されたカウント値をそれぞれ長時間用RAM1〜長時間用RAM19にシフトさせる。これにより、新たな遊技球入球があった場合にカウント値を取得して長時間用RAM20に記憶させることができる。以上までが長時間監視を行う際の処理である。
【0157】
ここで、図5〜図14のフローチャートに示した処理と本発明の各手段との対応関係について説明しておくと、「S209、S211の処理(図5)」が「入球コマンド送信手段」に対応し、「S1202、S1205、S1208、S1211、S1214の処理(図12)」が「入球コマンド受信手段」に対応し、「S1241、S1242の処理(図13)、S1261、S1262の処理(図14)」が「カウント値記憶手段」に対応し、「S1244の処理(図13)、S1266の処理(図14)」が「異常信号出力手段」に対応している。
【0158】
以上説明した本実施例では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に遊技球が入球する毎に、所定間隔でカウントを行う監視タイマからカウント値を取得してRAMに記憶する。そして、これらの入球口に最新に入球した遊技球に対応してRAMに記憶されたカウント値と、最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に入球した遊技球に対応してRAMに記憶されたカウント値とを比較する比較処理を実行し、その結果がこれらの入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数以上の遊技球が入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、当該入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたと判断している。このように、監視タイマのカウント値を用いて入球口への入球異常を検知することで、遊技球が常時入球可能である第1始動口28aや一般入賞口34〜37への遊技球の入球異常を検知することが可能となる。
【0159】
また、本実施例では、短時間監視処理では、短時間用RAMに第1規定数(本実施例では6個)のカウント値が記憶された場合にカウント値の比較処理を行い、長時間監視処理では、長時間用RAMに第2規定数(本実施例では20個)のカウント値が記憶された場合にカウント値の比較処理を行っている。これにより、遊技機が稼働している間、常時入球可能な第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37への入球異常の発生有無を継続的に監視することが可能となる。
【0160】
また、本実施例では、第1規定数(本実施例では6個)の遊技球入球に要した時間が第1規定時間(本実施例では400ms)以内であるかを判定する短時間監視処理と、第1規定数より多い第2規定数(本実施例では20個)の遊技球入球に要した時間が第1規定時間より長い第2規定時間(本実施例では30sまたは60s)以内であるかを判定する長時間監視処理を行っている。短い規定時間で入球監視を行う短時間監視処理によれば、電波ゴトによる入球異常を検知することができる。また、長い規定時間で入球監視を行う長時間監視処理によれば、磁石ゴトや釣り糸ゴトによる入球異常を検知することができる。
【0161】
また、本実施例では、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37への遊技球の入球毎に主制御部200からサブ制御部260に入球コマンドを送信し、入球コマンドを受信したサブ制御部260がカウント値の記憶およびカウント値の比較処理を行っている。このように、主制御部200からの入球コマンドに基づいて、サブ制御部260が第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球監視処理を行うことで、主制御部200の制御負担を増大させることなく、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37への遊技球の入球異常を監視することができる。
【0162】
また、可変入賞口である第2始動口28bおよび大入賞口33aには、入球検知有効期間が予め設定されているため、第2始動口28bおよび大入賞口33aの入球異常の発生有無については、遊技球の入球発生時期が入球検知有効期間内であるか否かに基づき判断することができる。このため、第2始動口28bおよび大入賞口33aの入球監視処理に係る制御負担は比較的軽いものとなる。これに対し、遊技球が常時入球可能な第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37では入球監視処理を常時行う必要があり、「遊技球の入球発生時期が入球検知有効期間内であるか否か」といった入球発生時の状態判断だけで、入球異常の発生有無を判断することはできない。このため、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球監視処理に係る制御負担は、可変入賞口(第2始動口28bおよび大入賞口33a)の入球監視処理に係る制御負担よりも比較的重いものとなる。本実施例では、制御負担が比較的軽い第2始動口28bおよび大入賞口33aの入球監視処理を主制御部200で行い、制御負担が比較的重い第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37の入球監視処理をサブ制御部260で行うように構成している。このように、主制御部200とサブ制御部260とで種類が異なる入賞口の入球監視処理を分散して行わせることで、主制御部200の制御負担を増大させることなく、サブ制御部260の処理能力を有効に用いた効率的な不正対策を実現することができる。
【0163】
また、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37への遊技球の入球異常の監視を演出制御手段としてのサブ制御部260で行うことで、第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に係る入球異常報知の実行パターンについて、その設定の自由度を高めることができ、入球異常報知パターンの多様化を図ることができる。
【0164】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0165】
例えば、上記実施例では、上記各実施例では、複数の一般入賞口34〜37のそれぞれの入賞口毎に入球監視処理を実行するように構成したが、これに限らず、入球監視処理で複数の一般入賞口34〜37のすべての入賞口に対して1回の入球監視処理を実行するように構成してもよい。もしくは複数(2個以上)の入賞口(一般入賞口)に対して1回の入球監視処理を実行するように構成してもよい。例えば、一般入賞口34、35で1の入球監視処理、一般入賞口36、37で1の入球監視処理を実行することもできる。この場合には、主制御部200が送信する一般入賞口入球コマンドを一般入賞口34〜37の種類別に設けるのではなく、共通の一つ(一種類)のコマンドとして設ければよい。そして、サブ制御部260は一般入賞口入球コマンドを受信する毎に、一般入賞口34〜37の共通のカウンタを短時間用RAMと長時間用RAMに記憶させればよい。そして、短時間監視処理では、カウンタの記憶数が第1規定数に到達するのに要した時間が第1規定時間以内であるであるか否か判定し、長時間監視処理では、カウンタの記憶数が第2規定数に到達するのに要した時間が第2規定時間以内であるであるか否か判定すればよい。なお、この場合には、必ずしも一般入賞口34〜37毎に一般入賞口入球検知スイッチを設ける必要はなく、1個の一般入賞口入球検知スイッチで複数の一般入賞口34〜37に対する遊技球の入球を検知するように構成してもよい。
【0166】
また、上記実施例では、常時遊技球が入球可能な第1始動口28aおよび一般入賞口34〜37に対して監視タイマのカウント値を用いた入球監視処理を行うように構成したが、これに限らず、電動役物として構成される第2始動口28bや大入賞口33aに対して監視タイマのカウント値を用いた入球監視処理を行うように構成してもよい。
【符号の説明】
【0167】
1…遊技機、20…遊技盤、28a…第1始動口(入球口)、28b…第2始動口、34〜37…一般入賞口(入球口)、33a…大入賞口、200…主制御部(遊技制御手段、入球コマンド送信手段)、260…サブ制御部(演出制御手段、入球コマンド受信手段、カウント値記憶手段、カウント値比較手段、異常信号出力手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入球口に遊技球が入球したことを契機に所定賞球数の遊技球を払い出す遊技機であって、
遊技を進行させる制御を行う遊技制御手段と、
遊技の進行状況に応じて前記遊技制御手段から送信される制御コマンドに基づいて演出装置の制御を行う演出制御手段と、
一定間隔でカウントを行うカウンタと、
を備え、
前記遊技制御手段は、
前記入球口に遊技球が入球する毎に、前記入球口に遊技球が入球したことを示す入球コマンドを前記演出制御手段に送信する入球コマンド送信手段を含み、
前記演出制御手段は、
前記入球コマンドを受信する入球コマンド受信手段と、
前記入球コマンド受信手段が前記入球コマンドを受信する毎に、前記カウンタのカウント値を記憶するカウント値記憶手段と、
前記入球口に遊技球が入球する毎に、前記入球口に最新に入球した遊技球に対応して記憶された前記カウント値と、前記入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に前記入球口に入球した遊技球に対応して記憶された前記カウント値とを比較する比較処理を実行するカウント値比較手段と、
前記カウント値比較手段による比較結果が、最新に前記入球口に入球した遊技球を含めて前記所定個数の遊技球が前記入球口に入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、前記入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたことを示す異常信号を出力する異常信号出力手段と、
を含んでいることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記カウント値比較手段は、前記カウント値記憶手段に記憶されたカウント値が前記所定個数以上である場合に前記比較処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項1】
入球口に遊技球が入球したことを契機に所定賞球数の遊技球を払い出す遊技機であって、
遊技を進行させる制御を行う遊技制御手段と、
遊技の進行状況に応じて前記遊技制御手段から送信される制御コマンドに基づいて演出装置の制御を行う演出制御手段と、
一定間隔でカウントを行うカウンタと、
を備え、
前記遊技制御手段は、
前記入球口に遊技球が入球する毎に、前記入球口に遊技球が入球したことを示す入球コマンドを前記演出制御手段に送信する入球コマンド送信手段を含み、
前記演出制御手段は、
前記入球コマンドを受信する入球コマンド受信手段と、
前記入球コマンド受信手段が前記入球コマンドを受信する毎に、前記カウンタのカウント値を記憶するカウント値記憶手段と、
前記入球口に遊技球が入球する毎に、前記入球口に最新に入球した遊技球に対応して記憶された前記カウント値と、前記入球口に最新に入球した遊技球を含めて所定個数前に前記入球口に入球した遊技球に対応して記憶された前記カウント値とを比較する比較処理を実行するカウント値比較手段と、
前記カウント値比較手段による比較結果が、最新に前記入球口に入球した遊技球を含めて前記所定個数の遊技球が前記入球口に入球するのに要した時間が所定時間以下であることを示す場合に、前記入球口への遊技球の入球状況に異常が生じたことを示す異常信号を出力する異常信号出力手段と、
を含んでいることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記カウント値比較手段は、前記カウント値記憶手段に記憶されたカウント値が前記所定個数以上である場合に前記比較処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−111185(P2013−111185A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259106(P2011−259106)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000204262)タイヨーエレック株式会社 (1,095)
【Fターム(参考)】
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