説明

遊技機

【課題】可動体を不要に移動又は回転させようとすることを防止する。
【解決手段】演出制御CPU92は、シャッター部120を遮蔽位置から開放位置に復帰させる開放側インデックス検知処理において、インデックスエラーフラグがオンの場合は、マージンなしインデックス検知処理を実行し、オフの場合は、マージンありインデックス検知処理を実行する。マージンありインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、ステッピングモータの累積ステップ数が、基本ステップ数に付加ステップ数を加算した通常駆動ステップ数に達するまでの間に開放側インデックス検知センサ112が開放側インデックス128を検知したとき、又は通常駆動ステップ数に達したときに、停止処理(押し込み処理)を実行する。マージンなしインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、累積ステップ数が基本ステップ数に達したときに、停止処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技ホールなどの遊技場に設置されるパチンコ遊技機やスロットマシンなどの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遊技盤の前面に配設され、キャラクタを動作させることで当たり判定の結果を示す役物演出を行う演出装置と、演出装置を制御する電飾基板と、を備えた遊技機が記載されている。キャラクタは、モータに接続されており、電飾基板によるモータの制御によって、原点位置である落選位置と、当選位置との間を移動する。また、演出装置には、キャラクタが原点位置に位置しているか否かを検出するためのフォトセンサが配設されている。電飾基板は、役物演出においてキャラクタの移動を原点から開始できるように、役物演出の開始時や遊技が停止されている間に表示されるデモ画面の表示時に、フォトセンサによって、キャラクタが原点位置に位置しているか否かを判断し、原点位置に位置していない場合、キャラクタの原点位置への復帰処理を行う。この処理において、電飾基板は、キャラクタを原点位置へモータによって移動させて、原点位置へ到達したことがフォトセンサによって検出されると、モータを停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−106546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊技の演出時に、所定の第1位置と所定の第2位置とを含む範囲で、可動体を、特許文献1に記載のように移動又は回転させ、また、所定の第1位置にある可動体を検知する検知手段を有する遊技機には、ステッピングモータの駆動を制御し、所定の第2位置に移動又は回転した可動体を所定の第1位置に移動又は回転させた後、所定の停止位置で停止させる停止処理を実行する制御部を有するものがある。制御部は、所定の第2位置に可動体があるとき、ステッピングモータの駆動を開始し、所定の第2位置から所定の第1位置までの可動体の移動量又は回転量に対応する所定の基本ステップ数に、可動体の形状のばらつきや組み付け誤差がある場合を想定して所定の付加ステップ数を加算したステップ数を通常駆動ステップ数とし、ステッピングモータの駆動開始時からの累積ステップ数が通常駆動ステップ数に達するまでの間に検知手段が可動体を検知したとき、又は検知手段が可動体を検知せずに累積ステップ数が通常駆動ステップ数に達したときに、可動体の停止処理を実行する。
【0005】
しかし、特許文献1のパチンコ遊技機に上記制御部を適用した場合、フォトセンサがキャラクタを検出できない状態、例えば、フォトセンサに異常(チップコンデンサの短絡など)が生じている状態では、フォトセンサがキャラクタを検出できないので、制御部は、キャラクタの原点位置への復帰処理を実行する度に、キャラクタが原点位置に達した後も、通常駆動ステップ数分の駆動終了までステッピングモータを不要に回転させて可動体を不要に移動させてしまう。この場合、キャラクタを原点位置で確実に停止させるために、原点位置を越えて移動しようとするキャラクタに接触してキャラクタの移動を停止するストッパーをこのパチンコ遊技機に設けることも可能であるが、制御部はキャラクタがストッパーに接触した後もキャラクタを不要に移動させようとするので、キャラクタが破損してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、可動体を不要に移動又は回転させようとすることを防止する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の遊技機は、可動体と、可動体検知手段と、ステッピングモータと、駆動制御手段と、モード変更手段と、を備える。
【0008】
可動体は、第1位置と第2位置とを含む範囲を回転又は移動可能に遊技機本体に支持される。可動体検知手段は、第1位置で可動体を検知するために遊技機本体に固定される。ステッピングモータは、ステップ数による回転制御が可能であり、可動体に連結されて可動体を駆動する。駆動制御手段は、ステッピングモータを制御して第2位置の可動体を第1位置に向かって回転又は移動させる。停止制御手段は、通常モードとエラーモードとに選択的に設定され、ステッピングモータを制御して可動体の停止処理を実行する。モード変更手段は、停止制御手段を通常モードからエラーモードに変更する。
【0009】
また、通常モードの停止制御手段は、第2位置から第1位置までの可動体の回転量又は移動量に対応する基本ステップ数に所定の付加ステップ数を加算したステップ数を通常駆動ステップ数とし、駆動制御手段によるステッピングモータの駆動開始時からの累積ステップ数が通常駆動ステップ数に達するまでの間に可動体検知手段が可動体を検知したとき、又は可動体検知手段が可動体を検知せずに累積ステップ数が通常駆動ステップ数に達したときに、可動体の停止処理を実行する。モード変更手段は、通常モードにおいて、累積ステップ数が通常駆動ステップ数に達しても可動体検知手段が可動体を検知しなかったとき、停止制御手段を通常モードから前記エラーモードに変更する。エラーモードの停止制御手段は、駆動制御手段によるステッピングモータの駆動開始時からの累積ステップ数が基本ステップ数に達したときに、可動体の停止処理を実行する。
【0010】
上記構成では、可動体検知手段が可動体を検知できない状態であった場合、モード変更手段は、停止制御手段を通常モードからエラーモードに変更する。エラーモードの停止制御手段は、駆動制御手段によるステッピングモータの駆動開始時からの累積ステップ数が基本ステップ数に達したときに、ステッピングモータを制御して可動体の停止処理を実行する。すなわち、停止制御手段がエラーモードに変更された後は、停止制御手段は、駆動制御手段によってステッピングモータを付加ステップ数分駆動させることなく、停止処理を実行する。このため、ステッピングモータを不要に駆動しないので、可動体を不要に移動又は回転させようとすることを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可動体を不要に移動又は回転させようとすることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態例に係るパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1のパチンコ機のガラス扉及び前面ボードを開放した斜視図である。
【図3】図1のパチンコ機の背面図である。
【図4】図2のパチンコ機の統合表示ユニットの拡大正面図である。
【図5】図2のパチンコ機の右側シャッター役物の拡大斜視図である。
【図6】図5の右側シャッター役物の要部分解斜視図である。
【図7】図5の右側シャッター役物のシャッター及び上ケースを除いた図である。
【図8】図7の右側シャッター役物を上方から視た図である。
【図9】図7の右側シャッター役物を示す概略図であり、(a)はシャッター部が開放位置に位置するとき、(b)はシャッター部が遮蔽位置に位置するとき、(c)はシャッター部が原点位置に位置するとき、(d)はシャッター部がストッパーに接触するとき、を示す。
【図10】図1のパチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】開放側インデックス検知処理を示すフローチャートである。
【図12】マージンありインデックス検知処理を示すフローチャートである。
【図13】マージンなしインデックス検知処理を示すフローチャートである。
【図14】図2に示すパチンコ機の回転役物を示す(a)は正面図、(b)は(a)の回転役物の装飾体をB方向から視た側面図である。
【図15】図14の回転役物の概略を示すX−X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1に示すパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する)Pは、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機Pによる遊技を行う。なお、パチンコ機Pにおける遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1〜図8を参照して遊技機の構成について説明する。なお、以下の説明において、左右方向は遊技機を前方(遊技者側)から視た左右方向に対応している。
【0015】
[遊技機の全体構成]
図1〜図3に示すように、パチンコ機Pは、機枠(外枠)1と内枠扉(前面枠)2とガラス扉3と遊技盤5とを備える。機枠1は、縦長矩形状の木製枠体であり、遊技場内の島設備(図示省略)に対して締結固定される。内枠扉2は、機枠1に開閉自在に取り付けられ、ガラス扉3は、内枠扉2に開閉自在に取り付けられる。
【0016】
遊技盤5は、内枠扉2の内側に収容され、内枠扉2に対して着脱可能に固定される。ガラス扉3の中央部には、縦長円形状の開口窓6が形成され、開口窓6には、遊技盤5の前方を覆う透明なガラス板7が取り付けられる。遊技盤5の前面(盤面)は、遊技者が開口窓6を介して前方から視認可能な遊技領域8を含み、ガラス扉3が閉じられると、ガラス板7の内面(後面)と遊技領域8との間に遊技球が流下可能な空間が形成される。
【0017】
内枠扉2の一側(図1中の右側)の縁部には、シリンダ錠9が設けられている。機枠1に対して内枠扉2及びガラス扉3を閉じてシリンダ錠9を施錠すると、機枠1に対する内枠扉2及びガラス扉3の開放が禁止される。
【0018】
ガラス扉3は、その下部に前面ボード4を一体的に有し、前面ボード4には、前方へ突出する上皿10と下皿11とが設けられる。上皿10は前面ボード4の上部に配置され、下皿11は上皿10の下方に配置される。上皿10には、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)が貯留され、下皿11には、上皿10が満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお、本実施形態のパチンコ機PはいわゆるCR機(CRユニット50(図10に示す)に接続される機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に上皿10に払い出される。
【0019】
前面ボード4の上面には、貸出操作部15と演出ボタン23とが設けられている。貸出操作部15は、球貸スイッチ12と返却スイッチ13と度数表示装置14と球貸表示装置24とを有し、遊技者がCRユニット50(図10に示す)に有価媒体(例えば磁気記録媒体や記憶IC内蔵媒体等)を投入して球貸スイッチ12を操作すると、予め決められた度数単位(例えば500円分に相当する5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出され、球貸表示装置24に、貸出処理中であることが表示される。度数表示装置14には、CRユニット50に投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお、本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機Pは、CR機以外の機種(CRユニット50に接続されない機種)であってもよい。また、演出ボタン23は、演出に関する遊技者からの操作を受け付ける。
【0020】
前面ボード4の前面には、上皿球抜き操作部16と下皿球抜き操作部17とが設けられている。上皿球抜き操作部16が操作されると、上皿10の遊技球が下皿11へ流下し、下皿球抜き操作部17が操作されると、下皿11の遊技球が下方へ落下して排出される。下皿11から排出された遊技球は、例えば球受け箱(図示省略)等に受け止められる。
【0021】
前面ボード4の右下部には、発射ハンドル18が回転自在に支持され、内枠扉2の下部には、発射装置19が取り付けられている。上皿1の遊技球は発射装置19に1個ずつ供給され、遊技者が発射ハンドル18を回転操作すると、発射装置19(発射モータ86(図10に示す))が作動し、遊技領域8に向かって遊技球が発射される。遊技領域8は、ガイドレール20及び遊技球規制レール21によって略円形状に区画形成され、発射装置19から発射された遊技球は、レール20,21に沿って滑走して遊技領域8に左上方から進入し、遊技釘や風車等に誘導及び案内されて流下する。
【0022】
ガラス扉3の上部と内枠扉2の下部とには、スピーカ22がそれぞれ取り付けられ、ガラス扉3の前面には、複数の枠体ランプ25が取り付けられている。スピーカ22は、遊技に関する様々な効果音を発する。枠体ランプ25は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。
【0023】
[盤面の構成]
遊技領域8内には、統合表示ユニット30、演出表示装置(画像表示器)31、スルーチャッカ32、電動チューリップ(普通電動役物)33、ステージ34、第1始動入賞口(第1特図始動入賞口)35、第2始動入賞口(第2特図始動入賞口)36、一般入賞口37、アウト口38、アタッカー装置(特別電動役物)39、シャッター役物100、複数の盤面ランプ60、遊技釘(図示省略)、及び風車(図示省略)等が設けられている。第1始動入賞口35と第2始動入賞口36とは上下方向に間隔を空けて配置されている。盤面ランプ60は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。
【0024】
統合表示ユニット30は、演出表示装置31を視認している遊技者の視界に同時に入らないように、遊技盤3の右下部分に配置されている。図4に示すように、統合表示ユニット30は、第1特図表示装置(第1特別図柄表示装置)40と、第2特図表示装置(第2特別図柄表示装置)41と、普図表示装置(普通図柄表示装置)42と、状態表示装置43とを備え、これらの表示装置40〜43は、1つの統合表示基板48に実装された状態で遊技盤5に取り付けられる。
【0025】
第1特図表示装置40は、第1始動入賞口35への遊技球の入賞を契機に行われた第1特別図柄に係る電子抽選の結果を、第1特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止表示するものである。第2特図表示装置41は、第2始動入賞口36への遊技球の入賞を契機に行われた第2特別図柄に係る電子抽選の結果を、第2特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止表示するものである。本実施形態の第1特図表示装置40及び第2特図表示装置41は、7セグメントLEDによって第1特別図柄及び第2特別図柄を変動後に停止表示する。なお、本実施形態では、第2始動入賞口36への入賞に基づく遊技の方が第1始動入賞口35への入賞に基づく遊技よりも優先して実行される。また、第1特別図柄と第2特別図柄とが同時に変動することはない。
【0026】
普通図柄表示装置42は、スルーチャッカ32の遊技球の通過を契機に行われた普通図柄に係る電子抽選の結果を、普通図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止表示するものである。本実施形態の普通図柄表示装置42は、7セグメントLEDによって普通図柄を変動後に停止表示する。
【0027】
状態表示装置43は、ラウンド数表示部44、第1特図保留数表示部45、第2特図保留数表示部46、及び普図保留数表示部47を有する。ラウンド数表示部44は、4つのランプ(LED)から構成され、ランプの消灯、点灯又は点滅の組合せによって、特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて遊技者に提供される大当たり遊技のラウンド数(本実施形態では、上記電子抽選の結果に基づいて15ラウンド又は2ラウンドの大当たり遊技が提供される)を表示する。第1特図保留数表示部45は、第1始動入賞口35に遊技球が入賞し、当該入賞に応じて取得された第1特図当たり決定乱数(大当たり決定乱数)が第1特図保留乱数としてRAM75の第1特図保留乱数記憶領域(図示省略)に記憶されると、その記憶数を現在の保留数として表示する。第2特図保留数表示部46は、第2始動入賞口36に遊技球が入賞し、当該入賞に応じて取得された第2特図当たり決定乱数(大当たり決定乱数)が第2特図保留乱数としてRAM75の第2特図保留乱数記憶領域(図示省略)に記憶されると、その記憶数を現在の保留数として表示する。普図保留数表示部47は、スルーチャッカ32を遊技球が通過し、当該通過に応じて取得された普図当たり決定乱数(当たり決定乱数)が普図保留乱数としてRAM75の普図保留乱数記憶領域(図示省略)に記憶されると、その記憶数を現在の保留数として表示する。これらの保留数表示部45,46,47は、それぞれランプ(LED)から構成され、ランプの消灯、点灯又は点滅の組合せによって「0」個〜「4」個(保留球乱数の記憶数の上限)の間で保留数を表示する。
【0028】
図2に示すように、演出表示装置31は、液晶の画像表示器を有し、遊技盤3の略中央部に設けられ、第1始動入賞口35及び第2始動入賞口36への遊技球の入賞を契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出画像を表示する。演出画像には、第1特図表示装置40及び第2特図表示装置41に変動表示される第1特別図柄及び第2特別図柄と同期をとって変動するダミー図柄(演出図柄)と、第1特図当たり決定乱数の保留数表示と、第2特図当たり決定乱数の保留数表示とが含まれる。
【0029】
電動チューリップ33は、1対の羽根部材49と電動チューリップ駆動装置51(図10に示す)とを備える。1対の羽根部材49は、遊技盤3との直交軸を中心に回転自在であり、第2始動入賞口36の入口の左右に配置される。電動チューリップ駆動装置51のソレノイド(図示省略)が通電されると、1対の羽根部材が互いに離れる方向に回転し、電動チューリップ33が開口して、第2始動入賞口36の入口が拡大される。電動チューリップ33が閉じた状態(通常状態)では、第2始動入賞口36に遊技球は入賞できず、第2始動入賞口36への入賞は、電動チューリップ33の開口時に制限される。
【0030】
ステージ34は、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物であり、演出表示装置31の下方に配置される。ステージ34の略中央の真下に第1始動入賞口35が配され、ステージ34の中央部分から落下した遊技球は、高い確率で第1始動入賞口35へと導かれる。
【0031】
シャッター役物100は演出表示装置の前方に配設されており、右側シャッター役物100aと、左側シャッター役物100bと、を有する。右側シャッター役物100aと、左側シャッター役物100bと、は略左右対称構造であるため、以下では、主に右側シャッター役物100aについて説明し、左側シャッター役物100bについてはその説明を省略する。
【0032】
右側シャッター役物100aは、ステージの右側に隣接している。図5〜図9に示すように、右側シャッター役物100aは、シャッター部(可動体)120と、ケース101と、ギアボックス102と、ステッピングモータ103と、スクリューシャフト104と、ガイドシャフト105と、を有する。
【0033】
ケース101は、上面を開口する有底細長形状の下ケース107と、下ケース107の上部開口端を塞ぐ上ケース106と、がスナップ結合によって一体化されて構成されている。ケース101は、内側に収容空間108を区画する。下ケース107と上ケース106の短辺側の接合面にはスクリューシャフト104とガイドシャフト105の各両端が回転可能に支承されており、これらスクリューシャフト104とガイドシャフト105は前後方向に所定の間隔で離間して、収容空間108内で左右方向に平行に延びている。上ケース106には左右方向に延びる横長矩形状の挿通孔109が形成されており、この挿通孔109はスクリューシャフト104とガイドシャフト105の間に位置して両者と平行に延びている。
【0034】
下ケース107の右端部及び左端部近傍の内底面にはストッパー110,118が立設されており、このストッパー110,118はスクリューシャフト104とガイドシャフト105の下方位置で両者と直交する方向へ平板状に延びている。ストッパー110は、後述するシャッター部120の台座部122の右側面に接触するとき、シャッター部120の図5〜図9に示すX2方向への移動を規制する。また、ストッパー118は、台座部122の左側面に接触するとき、シャッター部120の図5〜図9に示すX1方向への移動を規制する。ストッパー110の略中央部には、後述する開放側インデックス128を挿通する挿通孔110aが設けられている。ストッパー118の略中央部には、後述する遮蔽側インデックス131を挿通する挿通孔118aが設けられている。なお、ストッパー110は、後述する原点位置にシャッター部120が位置するとき、台座部122の右側面と接触しない位置に立設している。また、ストッパー118は、後述する遮蔽位置にシャッター部120が位置するとき、台座部122の左側面と接触しない位置に立設している
下ケース107の内底面の右側及び左側には回路基板111,116が搭載されている。回路基板111上には発光部112aと受光部112bとを備えるフォトインタラプタからなる開放側インデックス検知センサ(可動体検知手段)112が実装されている。また、回路基板116上には発光部117aと受光部117bとを備えるフォトインタラプタからなる遮蔽側インデックス検知センサ117が実装されている。
【0035】
また、下ケース107の右側面にはギアボックス102がねじ止めされており、下ケース107の下方に配置されたステッピングモータ103がギアボックス102の左側面に固定されている。ステッピングモータ103の回転軸103aは、後述するサブ制御装置72から所定の正転のための励磁パターン又は逆転のための励磁パターンに従って出力されるパルス信号を1パルス受信する毎に1ステップずつ正転(パチンコ機Pの左側から視て時計回りに回転)又は逆転(同側から視て反時計回りに回転)する。ステッピングモータ103の回転軸103aは、正逆いずれかの方向に連続して200ステップ駆動することによって1回転する。すなわち、1ステップにつき1.8度(基本ステップ角)回転する。ステッピングモータ103の回転軸103aにはギア113が取り付けられており、このギア113は中継ギア114を介してスクリューシャフト104の一端に取り付けられたギア115に噛合している。各ギア113,114,115はギアボックス102の内部に収納されており、回転軸103aが正逆いずれかの方向へ回転すると、その回転が各ギア113,114,115を介してスクリューシャフト104に伝達されるようになっている。
【0036】
シャッター部120は、シャッター121と、台座部122と、によって構成され、シャッター121及び台座部122は、合成樹脂材料などによって形成されている。シャッター121は、略矩形平板状に形成されている。
【0037】
台座部122は、上側台座部123、下側台座部124及び筒状部125によって構成されている。上側台座部123及び下側台座部124は、スクリューシャフト104とガイドシャフト105を上下方向から挟んでねじ止めすることにより一体化されている。
【0038】
下側台座部124の略中央部には下側嵌合孔126が形成されており、下側台座部124の上面には下側嵌合孔126を挟んで前後に並んで左右方向に平行に延びる一対のガイド溝127が形成されている。下側台座部124の右側面には右方に突出し、左右方向に所定の幅を有する平板状の開放側インデックス128が形成されている。開放側インデックス128は、シャッター部120が所定の位置にあるときに、ストッパー110の挿通孔110aを挿通し、開放側インデックス検知センサ112の発光部112aと受光部112bとの間に介在する。開放側インデックス検知センサ112は、発光部112aと受光部112bとの間に開放側インデックス128が介在するとき、開放側インデックス検知信号を後述するサブ制御装置72に出力する。また、下側台座部124の左側面には左方に突出し、左右方向に所定の幅を有する平板状の遮蔽側インデックス131が形成されている。遮蔽側インデックス131は、シャッター部120が所定の位置にあるときに、ストッパー118の挿通孔118aを挿通し、遮蔽側インデックス検知センサ117の発光部117aと受光部117bとの間に介在する。遮蔽側インデックス検知センサ117は、発光部117aと受光部117bとの間に遮蔽側インデックス131が介在するとき、遮蔽側インデックス検知信号をサブ制御装置72に出力する。
【0039】
上側台座部123の略中央部には、下側嵌合孔126と連通する上側嵌合孔129が形成されており、上側台座部123の下面には上側嵌合孔129を挟んで前後に並んで左右方向に平行に延びる一対のU字状溝130が形成されている。
【0040】
筒状部125は、上下方向に延び、下部が、連通した下側嵌合孔126と上側嵌合孔129とに挿通して嵌合し、下側台座部124及び上側台座部123に固定される。また、筒状部125の上端部は、上ケース106の挿通孔109を挿通し、シャッター121の下端部に設けられた嵌合孔(図示省略)に嵌合する。これにより、シャッター121と台座部122とは一体化して、シャッター部120を構成する。
【0041】
スクリューシャフト104は上側台座部123の前方のU字状溝130と下側台座部124の前方のガイド溝127とで画成される円筒状孔に挿通されており、この円筒状孔の内部でU字状溝130の内周面に突設された係合部(図示省略)がスクリューシャフト104の外周面に刻設された螺旋状溝104aと係合している。また、ガイドシャフト105は上側台座部123の後方のU字状溝130と下側台座部124の後方のガイド溝127とで画成される円筒状孔に挿通されている。したがって、ステッピングモータ103を駆動源としてスクリューシャフト104が回転すると、シャッター部120は、ガイドシャフト105に案内されながらスクリューシャフト104の軸線に沿った所定の経路上を水平方向(図5〜図9に示すX1−X2方向)に往復動可能となっている。具体的には、ステッピングモータ103の回転軸103aが正転したときは、X1方向に移動(往動)し、回転軸103aが逆転したときは、X2方向に移動(復動)する。
【0042】
アタッカー装置39は、第1始動入賞口35及び第2始動入賞口36に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、特図当たり(大当たり)となって大当たり遊技に移行した場合に所定回数(本実施形態では、2ラウンド又は15ラウンド)開放される装置である。アタッカー装置39は、横長矩形状の大入賞口52と横長板状の蓋部材53とアタッカー駆動装置54(図10に示す)とを備える。蓋部材53の下部は、水平な軸を中心として前後方向に開閉自在に支持され、アタッカー駆動装置54のソレノイド(図示省略)が通電されると、蓋部材53の上部が前下方へ傾動し、アタッカー装置39が開口して大入賞口52が露呈され、多量の遊技球が蓋部材53の上面(裏面)に案内されて大入賞口52へ入賞可能となる。アタッカー装置39が閉じた状態(通常状態)では、蓋部材54が大入賞口54を閉止するため、大入賞口52への入賞は、アタッカー装置39の開口時に制限される。
【0043】
各入賞口(第1始動入賞口35、第2始動入賞口36、一般入賞口37、大入賞口52)に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出され、入賞した遊技球は、その入賞口35,36,37,52から遊技盤5の裏側へ回収される。また、何れの入賞口35,36,37,52にも入賞しなかった遊技球は、最終的にアウト口38から遊技盤5の裏側へ回収される。回収された遊技球は、アウト通路アセンブリ(図示省略)を通じてパチンコ機Pの裏側から枠外へ排出され、さらに島設備の補給経路(図示省略)に合流する。
【0044】
スルーチャッカ32、第1始動入賞口35、第2始動入賞口36、一般入賞口37、大入賞口52の内部には、それぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ(図10に示すゲート通過球検知センサ55、第1特図始動球検知センサ56、第2特図始動球検知センサ57、大入賞球検知センサ58及び一般入賞球検知センサ59)が設けられているこれらのセンサ32,35,36,37,52は、遊技球の通過を検知する度に、主制御装置70(図10に示す)に検知信号を送信する。なお、第1特図始動球検知センサ56と第2特図始動球検知センサ57と大入賞球検知センサ58と一般入賞球検知センサ59とは、遊技領域8に発射された遊技球の入賞を検知する入賞検知手段として機能する。
【0045】
[裏側の構成]
図3に示すように、パチンコ機Pの裏側には、電源供給装置61、主制御基板ユニット62、払出制御基板ユニット63、サブ制御基板ユニット64、外部情報端子基板65、電源コード(電源プラグ)66、アース線(アース端子)67、パチンコ機Pの電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示外の制御コンピュータを含む)等が設置されている。
【0046】
外部情報端子基板65は、パチンコ機Pを外部の電子機器(例えば、ホールコンピュータ68(図10に示す)やデータ表示装置等)に接続するためのインタフェースであり、パチンコ機Pの遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当たり情報、始動口情報等)は、外部情報端子基板65から外部の電子機器に送信される。
【0047】
電源コード66は、遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されて、パチンコ機Pの動作に必要な電源(電力)を確保する。アース線67は、島設備に設置されたアース端子に接続され、パチンコ機Pをアース(接地)する。
【0048】
[制御に関する構成]
次に、パチンコ機Pの制御に関する構成について説明する。図10は、パチンコ機Pに装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
【0049】
パチンコ機Pは、主制御装置70と払出制御装置71とサブ制御装置72とを備える。主制御装置70は、制御動作の中枢であり、主にパチンコ機Pにおける遊技処理の実行を制御する機能を有し、主制御基板ユニット62に内蔵されている。払出制御装置71は、主に遊技球の払い出しと発射とを制御する機能を有し、払出制御基板ユニット63に内蔵されている。サブ制御装置72は、主に演出を制御する機能を有し、サブ制御基板ユニット64に内蔵されている。主制御装置70と払出制御装置71とは、主制御装置70から払出制御装置71に対して一方向にコマンドが送信される通信線と、払出制御装置71から主制御装置70に対して一方向にコマンドが送信される通信線とによって接続されている。
【0050】
(電源供給装置61)
電源供給装置61は、電源コード66を通じて島設備から外部電源(例えば、24Vの交流電源)の供給を受け、この交流電源をパチンコ機Pで使用する複数の定電圧の直流電源や粗整流の直流電源に変換し、主制御装置70、払出制御装置71、サブ制御装置72等に供給する。
【0051】
(主制御装置70)
主制御装置70には、中央演算処理装置(中央命令処理部)である主制御CPU73を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU73は、CPUコア、各種レジスタ(汎用レジスタ、フラグレジスタ、インデックスレジスタ、リフレッシュレジスタ、割込みレジスタ、命令レジスタなど)、スタックポインタ、プログラムカウンタ、命令レコーダ(何れも図示省略)等を含み、ROM74やRAM(RWM)75等の半導体メモリとともにLSIとして構成されている。各レジスタは、演算結果、次に読み込む命令のアドレス、実行状態等を保持する。また主制御装置70には、ハード乱数発生回路76やサンプリング回路(図示省略)が装備されている。ハード乱数発生回路76は、ハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、発生させた乱数は、サンプリング回路を通じて主制御CPU73に入力される。ハードウェア乱数は、大当たり判定用の第1特図当たり決定乱数及び第2特図当たり決定乱数や、当たり(普図当たり)判定用の普図当たり決定乱数として用いられる。主制御装置70には、クロック(周波数発生回路部)77、入出力(I/O)ポート、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU73とともに回路基板上に実装されている。
【0052】
また、主制御CPU73は、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成するソフトウェア乱数発生手段(図示省略)としても機能する。また、主制御CPU73は、演出態様を決定するためのコマンドである変動パターンコマンドを決定し、サブ制御装置に送信する変動パターンコマンド決定手段(図示省略)としても機能する。変動パターンコマンド決定手段は、第1特図当たり決定乱数又は第2特図当たり決定乱数と、ソフトウェア乱数発生手段が生成したソフトウェア乱数に基づいて、特別図柄に係わる電子抽選の結果に応じて予め設定されている演出のための複数の変動パターンコマンドの中から一つを選択して決定し、決定した変動パターンコマンドをサブ制御装置に送信する。なお、予め設定されている演出のための複数の変動パターンコマンドは、それぞれ異なる演出態様に対応している。
【0053】
RAM75には、各種フラグの記憶領域を含むワーク領域(図示省略)が設けられ、割込み発生時やサブルーチンや関数を呼び出す際に、処理中のデータや戻りアドレスなどがワーク領域のスタック領域(退避領域)に一時的に退避される。また、主制御CPU73は、ROM74に記憶されている遊技制御用プログラムに従って処理を実行することにより、電源断検知手段及び実行制御手段として機能する。
球検知センサ類56〜59の入賞検知信号は、入出力ドライバ(図示省略)を介して主制御CPU73に入力される。なお、本実施形態では、第1特図始動球検知センサ56及び第2特図始動球検知センサ57からの入賞検知信号は、主制御装置70に直接送信され、ゲート通過球検知センサ55、大入賞球検知センサ58及び一般入賞球検知センサ59からの入賞検知信号は、パネル中継端子板(図示省略)を経由して主制御装置70に送信される。
【0054】
第1特図表示装置40、第2特図表示装置41、普図表示装置42、及び状態表示装置43の各表示は、主制御CPU73からの制御信号によって制御される。主制御CPU73は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置40〜43に対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御する。
【0055】
電動チューリップ駆動装置51及びアタッカー駆動装置54の駆動は、主制御CPU73からの制御信号によって制御される。各駆動装置51,54のソレノイドは、主制御CPU73からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、電動チューリップ33及びアタッカー装置39を開閉動作(作動)させる。
【0056】
内枠扉2には、ガラス扉開放スイッチ78と内枠扉開放スイッチ79とが設置されている。内枠扉2からガラス扉3が開放されると、ガラス扉開放スイッチ78からの接点信号が払出制御装置71を経由して主制御装置70に入力される。また、機枠1から内枠扉2が開放されると、内枠扉開放スイッチ79からの接点信号が払出制御装置71を経由して主制御装置70に入力される。スイッチ78,79から接点信号を受信した主制御CPU73は、扉が開放したことを音やLEDや液晶などによって報知するため、これらの報知処理の実行を指示する制御信号をサブ制御装置72に送信する。また、スイッチ78,79から接点信号を受信した払出制御装置71は、扉開放を示す外部情報信号を出力する。
【0057】
パチンコ機Pには磁気や電波等を検知するエラー検知センサ98が設けられ、エラー検知センサ98は、磁気や電波等を検知すると、主制御装置70にエラー検知信号を送信する。エラー検知信号を受信した主制御CPU73は、所定のエラー処理を実行するとともに、エラー検知を示す外部情報信号を出力する。
【0058】
(払出制御装置71)
払出制御装置71には、払出制御CPU80を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、払出制御CPU80も、主制御CPU73と同様に、CPUコア(図示省略)を含み、ROM81、RAM82等の半導体メモリとともにLSIとして構成されている。払出制御CPU80は、主制御CPU73から受信した賞球指示コマンド(払出コマンド送信信号)に基づいて遊技球の払い出し動作を制御し、指示された個数の遊技球の払出動作を実行させる。なお、主制御CPU73は、賞球指示コマンドとは別に、賞球情報信号を外部情報信号として生成し出力する。具体的には、主制御CPU73は、指示した個数の合計が所定個数(例えば、10個)に達する毎に、賞球情報信号を外部情報信号として生成し出力する。また、払出制御CPU80も、払い出しを行った個数の合計が所定個数(例えば、10個)に達する毎に、賞球情報信号を外部情報信号として生成し出力する。
【0059】
遊技場の球補給経路(図示省略)から補給された遊技球は、賞球タンク(図示省略)に蓄えられ、賞球樋(図示省略)を流下して賞球ケース(図示省略)に導入され、賞球ケースから上皿10に供給される。
【0060】
賞球ケースには、払出モータ(例えばステッピングモータ)83が設けられ、払出制御装置71(払出制御基板ユニット63)には、払出モータ83の駆動回路(図示省略)が設けられている。払出制御装置71は、主制御CPU73から受信した賞球指示コマンドに基づいて払出モータ83を回転駆動し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、払出流路(図示省略)を通って前面ボード4へ流下する。
【0061】
払出モータ83の下流側には払出計数スイッチ84が設置され、払出モータ83の駆動によって実際に賞球が払い出されると、払出計数スイッチ84からの計数信号が払出制御装置71に送信される。払出制御CPU80は、受信した計数信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知して、遊技球の払い出しを管理する。
【0062】
上皿10(図1に示す)への遊技球の供給経路には皿満タンスイッチ85が設置され、下皿11(図1に示す)が遊技球で満杯になると、皿満タンスイッチ85がONになり、満タン検出信号が払出制御装置71に送信される。満タン検出信号を受信した払出制御CPU80は、主制御CPU73から受信した賞球指示コマンドに応じた賞球動作を一旦保留とし、未払出の賞球残数をRAM82に記憶させておく。なお、RAM82の記憶は電源断時にもバックアップが可能であり、遊技中に停電(瞬間的な停電を含む)が発生しても、未払出の賞球残数情報が消失してしまうことはない。
【0063】
発射装置19(図2に示す)には、発射モータ86と球送りソレノイド87とが設けられ、発射ハンドル18(図1に示す)には、発射ボリューム88とタッチセンサ89と発射停止スイッチ90とが設けられている。球送りソレノイド87は、上皿10(図1に示す)から流下した遊技球を1個ずつ発射位置に送り出し、発射モータ86は、発射位置に送り出された遊技球を打ち出す。なお遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度(1分間で100個以内)である。
【0064】
発射ボリューム88は、発射ハンドル18(図1に示す)の回転操作量(ストローク)に比例した発射勢指示信号を払出制御装置71に送信する。タッチセンサ89は、静電容量の変化から遊技者の身体が発射ハンドル18に触れていることを検出し、その検出信号を払出制御装置71に送信する。発射停止スイッチ90は、遊技者から操作されたときに発射停止信号(接点信号)を払出制御装置71に送信する。
【0065】
遊技者が発射ハンドル18を回転操作すると、発射ボリューム88から払出制御装置71に回転操作量に応じた発射勢指示信号が送信される。払出制御CPU80は、受信した発射勢指示信号に基づいて発射モータ86の駆動を制御する。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球の打ち出し強さが調整される。但し、払出制御CPU80は、タッチセンサ89からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合、及び発射停止スイッチ90から発射停止信号が入力された場合には、発射モータ86の駆動を停止する。この他、払出制御CPU80は、パチンコ機PにCRユニット50が接続されていない場合、発射モータ86の駆動を停止する。
【0066】
球貸スイッチ12又は返却スイッチ13が操作されると、その操作信号が中継基板91を経由してCRユニット50に送信される。CRユニット50からは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が中継基板91を経由して度数表示装置14に送信される。
【0067】
(サブ制御装置72)
サブ制御装置72には、演出制御CPU(駆動制御手段、停止制御手段、モード変更手段)92を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されており、演出制御CPU92も、主制御CPU73と同様に、CPUコア(図示省略)を含み、ROM93、RAM94等の半導体メモリとともにLSIとして構成されている。サブ制御装置72には、入出力ドライバや各種の周辺IC(共に図示省略)が装備されている。
【0068】
サブ制御装置72のROM93には、演出の制御に関する演出制御プログラム及び複数の演出パターンが格納されており、演出制御CPU92は、格納された演出制御プログラムに従い、主制御CPU73から送信される変動パターンコマンドに基づいて、複数の演出パターンから一つの演出パターンを選択して、演出表示装置31、各種ランプ25,60、音発生装置97及びシャッター役物100による演出の制御を実行する。演出表示装置31は、画像プロセッサや液晶等を含み、音発生装置97は、サウンドプロセッサやスピーカ22等を含む。演出の制御には、演出表示装置31の画像の表示制御、各種ランプ25,60の発光制御、スピーカ22からの音声発生制御、及びシャッター役物100(右側シャッター役物100a及び左側シャッター役物100b)の駆動制御(具体的には、右側シャッター役物100aのステッピングモータ103の駆動制御及び左側シャッター役物100bのステッピングモータ142の駆動制御)が含まれる。なお、画像プロセッサ及びサウンドプロセッサは、サブ制御基板ユニット64に設けてもよい。
【0069】
ROM93には、演出制御CPU92が右側シャッター役物100aの駆動制御及び左側シャッター役物100bの駆動制御を行う際に用いられる基本ステップ数が記憶されている基本ステップ数記憶領域が設定されている。基本ステップ数とは、パチンコ機Pの設計時のシミュレーションや量産試作時における試作品での試験結果などにおいて、シャッター部120の形状のばらつきや組み付け誤差などがない理想的な状態のときに、演出制御CPU92によるステッピングモータ103の駆動(逆転)によって、遮蔽側インデックス検知センサ117が遮蔽方向(右側シャッター役物100aにおいては図5〜図9に示すX1方向(以下、単にX1方向と称す))に移動するシャッター部120の遮蔽側インデックス131の検知を開始する図9(b)に示す遮蔽位置(第2位置)から開放側インデックス検知センサ112が開放方向(右側シャッター役物100aにおいては図5〜図9に示すX2方向(以下、単にX2方向と称す))に移動するシャッター部120の開放側インデックス128の検知を開始する図9(a)に示す開放位置(第1位置)まで、シャッター部120が移動するときの移動量に対応するステッピングモータ103のステップ数である。本実施形態では、基本ステップ数として、400ステップが記憶されている。
【0070】
また、ROM93には、付加ステップ数が記憶されている付加ステップ数記憶領域が設定されている。付加ステップ数とは、演出制御CPU92がステッピングモータ130を基本ステップ数分逆転させて、遮蔽位置にあるシャッター部120を開放方向に移動させた場合に、基本ステップ数分の逆転が終了するまでに開放側インデックス検知センサ112が開放側インデックス128を検知しなかったとき、基本ステップ数分の逆転の終了後に、開放側インデックス検知センサ112に開放側インデックス128を検知させるためのステッピングモータ103の駆動に許容される最大のステップ数である。本実施形態では、基本ステップ数と同ステップ数の400ステップが記憶されている。なお、ステッピングモータ103の基本ステップ数分の逆転終了後において、演出制御CPU93によるステッピングモータ103の付加ステップ数分内の逆転に伴う可動体の移動をマージン動作と称する。
【0071】
サブ制御装置72のRAM94には、後述する右側シャッター役物100aの駆動制御及び左側シャッター役物100bの駆動制御において、演出制御CPU92がカウントしたステッピングモータ103の駆動ステップ数のカウント値を記憶するカウント値記憶領域が設定されている。サブ制御装置72が電源の供給を受けた直後の初期状態におけるカウント値記憶領域には、カウント値として0が記憶されている。また、右側シャッター役物100a及び左側シャッター役物100bのそれぞれについて、後述するインデックスエラー状態である場合にオンに設定されるインデックスエラーフラグを記憶するフラグ記憶領域が設定されている。
【0072】
演出制御CPU92が実行する右側シャッター役物100aの駆動制御及び左側シャッター役物100bの駆動制御は、それぞれ演出処理及び開放側インデックス検知処理を含み、開放側インデックス検知処理は押し込み処理(停止処理)を含む。
【0073】
演出処理において、演出制御CPU92は、主制御CPU73から送信される変動パターンコマンドに基づいて、ROM93に格納された複数の演出パターンから一つの演出パターンを選択し、選択した演出パターンに応じて、所定の正転のための励磁パターン又は逆転のための励磁パターンに従ってパルス信号をステッピングモータ103に出力して、ステッピングモータ103の駆動を制御し、ステッピングモータ103を正転又は逆転させ、シャッター部120を停止している位置から移動させ、また、開放位置と遮蔽位置との間で往復動させる。本実施形態では、右側シャッター役物100aの駆動制御及び左側シャッター役物100bの駆動制御のそれぞれの演出処理において選択される演出パターンは、右側シャッター役物100a及び左側シャッター役物100bのシャッター部120が同じタイミングで遮蔽位置及び開放位置を往復動するような演出パターンとなっている。このため、シャッター役物100は、右側シャッター役物100a及び左側シャッター役物100bのシャッター部120がいずれも遮蔽位置にあり、演出表示装置31の下部を遊技者に対して遮蔽する遮蔽状態と、右側シャッター役物100a及び左側シャッター役物100bのシャッター部120がいずれも開放位置にあり、演出表示装置31の下部を遊技者に対して開放する開放状態と、の間で状態遷移を繰り返して、遊技者の興趣性を高める演出を行うことができる。演出制御CPU92は、いずれの演出パターンを選択した場合であっても、演出処理の終了時に、シャッター部120が遮蔽位置で停止するように、遮蔽側インデックス検知センサ117から出力される遮蔽側インデックス検知信号の受信を開始したとき、ステッピングモータ103を停止させる。
【0074】
演出制御部CPU92は、演出処理の終了後に、開放側インデックス検知処理を実行し、シャッター部120を遮蔽位置から開放位置に復帰させる。開放側インデックス検知処理において、演出制御部CPU92は、マージン動作ありインデックス検知処理(以下、マージンありインデックス検知処理と称する)と、マージン動作なしインデックス検知処理(マージンなしインデックス検知処理と称する)と、を選択的に実行する。開放側インデックス検知処理において、演出制御CPU92は、まず、RAM94のインデックスエラーフラグがオンに設定されているか否かを判定し、オフの場合は、マージンありインデックス検知処理を実行する。一方、オンの場合は、マージンなしインデックス検知処理を実行する。
【0075】
マージンありインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、ステッピングモータ103を逆転させるパルス信号を出力してステッピングモータ103を逆転させ、シャッター部120を開放方向へ移動させる。演出制御CPU92は、出力したパルス信号のパルス数を、ステッピングモータ103の駆動ステップ数としてカウントする。具体的には、演出制御CPU92は、パルス信号を1パルス出力する度に、RAM94のカウント値記憶領域に記憶されているカウント値に1を加算して記憶する。また、パルス信号を1パルス出力する度に、開放側インデックス検知信号の受信の有無に基づいて、開放側インデックス検知センサ112が開放側インデックス128を検知したか否かを判定する。開放側インデックス検知信号を受信した場合は検知したと判定し、押し込み処理を実行する。一方、開放側インデックス検知信号を受信していなかった場合は検知していないと判定し、RAM94に記憶されているカウント値(カウントステップ数)が基本ステップ数に付加ステップ数を加算したステップ数である通常駆動ステップ数を超えたか否かを判定し、超えていない場合は、ステッピングモータ103を逆転させるパルス信号の出力を繰り返す。一方、超えていた場合は、演出制御CPU92が通常駆動ステップ数分ステッピングモータ103を駆動させても、開放側インデックス検知センサ112が開放側インデックス128を検知できない状態、すなわちインデックスエラー状態であることを示すRAM94のインデックスエラーフラグをオンに設定し、押し込み処理を実行する。
【0076】
マージンなしインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、ステッピングモータ103を逆転させるパルス信号を出力してステッピングモータ103を逆転させ、シャッター部120を開放方向へ移動させる。演出制御CPU92は、出力したパルス信号のパルス数を、ステッピングモータ103の駆動ステップ数としてカウントする。具体的には、演出制御CPU92は、パルス信号を1パルス出力する度に、RAM94に記憶されているカウント値(カウントステップ数)が基本ステップ数を超えたか否かを判定し、超えていない場合は、パルス信号の出力を繰り返す。一方、超えていた場合は、押し込み処理を実行する。すなわち、マージンなしインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、ステッピングモータ103を基本ステップ数分のみ逆転させて、付加ステップ数分逆転させることなく、押し込み処理を実行するので、シャッター部120にマージン動作を行わせない。
【0077】
以上のように、演出制御CPU92は、エラーフラグをオンに設定することで、演出制御CPU92のモードを、マージンありインデックス検知処理を実行する通常モードからマージンなしインデックス検知処理を実行するエラーモードに変更するモード変更手段として機能する。
【0078】
押し込み処理において、演出制御CPU92は、所定の押し込みステップ数分、本実施形態では10ステップ分ステッピングモータ103を逆転させるパルス信号(すなわち逆転のための励磁パターンに従って10パルスのパルス信号)を出力し、その後にステッピングモータ103の駆動を停止し、シャッター部120を停止させる。これにより、シャッター部120が開放位置に位置している場合は、シャッター部が、更に開放方向(X2方向)に移動した図9(c)に示す原点位置で停止する。このため、シャッター部120の停止後に、外部からパチンコ機Pに伝達される振動などが原因で、シャッター部120が遮蔽方向(X1方向)に多少移動した場合であっても、開放側インデックス検知センサ112が開放側インデックス128を検知している状態を確実に維持することができる。したがって、マージンありインデックス検知処理において、ステッピングモータ103が駆動する最大のステップ数は、通常駆動ステップ数(基本ステップ数の400ステップに付加ステップ数の400ステップを加算したステップ数)の800ステップに押し込みステップ数の10ステップを加算した810ステップとなる。また、マージンなしインデックス検知処理において、ステッピングモータ103が駆動する最大のステップ数は、基本ステップ数の400ステップに押し込みステップ数の10ステップを加算した410ステップとなる。
【0079】
演出制御CPU92は、右側シャッター役物100a及び左側シャッター役物100bの駆動制御終了後で、且つ、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動終了時に、開放側インデックス検知センサ112から開放側インデックス検知信号を受信していない場合、すなわち開放側インデックス検知センサ112が開放側インデックス128を検知していない場合は、所定のステップ数ステッピングモータ103を逆転させる原点復帰処理を実行する。
【0080】
(外部への出力)
主制御装置70及び払出制御装置71において生成された各種の外部情報信号は、外部情報端子基板65から外部に出力される。外部情報端子基板65から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータ68で集計される。
【0081】
[開放側インデックス検知処理]
次に、演出制御CPU92が実行する開放側インデックス検知処理について図11のフローチャートを参照して説明する。
【0082】
開放側インデックス検知動作を開始すると、演出制御CPU92は、RAM94のインデックスエラーフラグがオンに設定されているか否かを判定する。オンに設定されている場合(ステップS1:YES)は、マージンなしインデックス検知処理を実行し、一方、オフに設定されている場合(ステップS1:NO)は、マージンありインデックス検知処理を実行し、本処理を終了する。
【0083】
[マージンありインデックス検知処理]
次に、演出制御CPU92が実行するマージンありインデックス検知処理について図12のフローチャートを参照して説明する。
【0084】
演出制御CPU92は、ステップS11において、ステッピングモータ103を1ステップ分逆転させるパルス信号を出力し、シャッター部120を開放方向に移動させ、ステップS12に移行する。
【0085】
ステップS12では、演出制御CPU92は、ステッピングモータ103へ出力したパルス数を、ステッピングモータ103の駆動ステップ数としてカウントし、具体的には、RAM94のカウント値記憶領域に記憶されているカウント値に1を加算して記憶し、ステップS13に移行する。
【0086】
ステップS13では、開放側インデックス検知センサ112から出力された開放側インデックス検知信号を受信しているか否かに基づいて、開放側インデックス検知センサ112がシャッター部120の開放側インデックス128を検知しているか否かを判定し、検知している場合(ステップS13:YES)は、ステップS16に移行する。一方、検知していない場合(ステップS13:NO)は、ステップS14に移行する。
【0087】
ステップS14では、RAM94のカウント値記憶領域に記憶されているカウント値、すなわちカウントしたステップ数(カウントステップ数)が通常駆動ステップ数を超えたか否かを判定し、超えた場合は、ステップS15に移行し、超えていない場合は、ステップS11に移行する。
【0088】
ステップS15では、インデックスエラーフラグをオンに設定し、ステップS16に移行する。
【0089】
ステップS16では、押し込み処理を実行し、押し込みステップ数分ステッピングモータ103を逆転させてステッピングモータを停止し、シャッター部120を停止させ本処理を終了する。
【0090】
[マージンなしインデックス検知処理]
次に、演出制御CPU92が実行するマージンなしインデックス検知処理について図13のフローチャートを参照して説明する。なお、ステップS21〜ステップS22及びステップS24は、マージンありインデックス検知処理におけるステップS11〜ステップS12及びステップS16と同様のため、説明を省略する。
【0091】
ステップS23において、演出制御CPU92は、RAM94のカウント値記憶領域に記憶されているカウント値、すなわちカウントしたステップ数(カウントステップ数)が通常駆動ステップ数を超えたか否かを判定し、超えた場合(ステップS23:YES)は、ステップS24に移行し、超えていない場合(ステップS23:NO)は、ステップS21に移行する。
【0092】
本実施形態では、演出制御CPU92は、主制御CPU93から送信される変動パターンコマンドに基づいて、シャッター役物100による演出の制御をする際、開放側インデックス検知センサ112が開放側インデックス128を検知できる状態の場合、すなわちインデックスエラーフラグがオフの場合は、開放側インデックス検知処理においてマージンありインデックス検知処理を選択的に実行する。
【0093】
また、開放側インデックス検知センサ112が、例えば、チップコンデンサの短絡が原因で、開放側インデックス128を検知できないインデックスエラー状態になった場合、この状態になってから初回のシャッター役物100による演出の制御(シャッター役物100の駆動制御)における開放側インデックス検知処理では、マージンありインデックス検知処理が選択的に実行されるので、演出制御CPU92はステッピングモータ103を通常駆動ステップ数(基本ステップ数に付加ステップ数を加算したステップ数)の800ステップ駆動させた後、押し込み処理を実行する。したがって、演出制御CPU92がステッピングモータ103の通常駆動ステップ数分の駆動を終了する前に、シャッター部120が、開放位置に到達し、また、開放位置を通過し、図9(d)に示すように、シャッター部120の台座部122の右側面がストッパー110に接触した後も、演出制御CPU92は、通常駆動ステップ数分の駆動が終了するまでステッピングモータ103を駆動してシャッター部を移動させようとするので、シャッター部120の弾性変形やステッピングモータ103の空回りが生じる(これらが頻繁に生じるとシャッター部120の破損やステッピングモータ103の故障の原因となる)。しかし、このマージンありインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、RAM94のインデックスエラーフラグをオンに設定するので、演出制御CPU92が実行する次回以降のシャッター役物100による演出の制御(シャッター役物100の駆動制御)における開放側インデックス検知処理では、マージンなしインデックス検知処理が選択的に実行される。マージンなしインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、ステッピングモータ103を基本ステップ数分逆転させた後、付加ステップ数分逆転させることなく、押し込み処理を実行する。したがって、次回以降の開放側インデックス検知処理では、シャッター部120にマージン動作を行わせないので、シャッター部120を不要に移動させようとすることを防止することができ、シャッター部120をストッパー110に接触させた後も移動させようとして破損させることや、ステッピングモータ103の空回りが原因で生じる故障を未然に防止することができる。
【0094】
また、基本ステップ数として、演出制御CPU92によるステッピングモータ103の駆動によって、遮蔽側インデックス検知センサ117が遮蔽方向に移動するシャッター部120の遮蔽側インデックス131の検知を開始する図9(b)に示す遮蔽位置から開放側インデックス検知センサ112が開放方向に移動するシャッター部120の開放側インデックス128の検知を開始する図9(a)に示す開放位置まで、シャッター部120が移動するときの移動量に対応するステッピングモータ103のステップ数が設定されていることから、開放側インデックス検知処理において、マージンなしインデックス検知処理を選択的に実行した場合であっても、ステッピングモータ103の基本ステップ数分の駆動によってシャッター部120を開放位置の近傍に移動させることができる。
【0095】
なお、開放側インデックス検知センサ112が、開放側インデックス128を検知できない状態になった場合、演出制御CPU92は、駆動制御後で、且つ、変動終了時に、毎回、上記原点復帰処理を実行することになるが、原点復帰処理において、演出制御CPU92がステッピングモータ103を逆転させるステップ数は、シャッター部120をストッパー110に接触させ、接触後もX2方向に移動させようとして、シャッター部120やステッピングモータ103に過度な負担がかからないように、比較的少ないステップ数、例えば、10ステップに設定されている。
【0096】
また、本実施形態では、演出制御CPU92は、右側シャッター役物100a及び左側シャッター役物100bの演出処理終了時に、シャッター部120を遮蔽位置で停止させ、且つ、基本ステップ数を固定値としてROM93に記憶する態様について説明したが、演出制御CPU92は、演出処理終了時にシャッター部120を遮蔽位置と開放位置の略中間地点で停止させてもよい。この場合、演出制御CPU92は、演出処理中に、ステッピングモータ103を正転及び逆転させたステップ数をRAM94に記憶し、記憶したステップ数に基づいて、シャッター部120が停止している位置から開放位置まで移動するために必要なステップ数(例えば、シャッター部120が遮蔽位置と開放位置の略中間地点で停止している場合は200ステップ)を計算して、計算したステップ数を基本ステップ数として用いて、開放側インデックス検知処理を実行してもよい。
【0097】
また、本実施形態では、開放側インデックス検知センサ112が開放位置にあるシャッター部120の開放側インデックス128を検知する態様を説明したが、これに代えて開放位置にあるシャッター部120のシャッター121又は台座部122を検知し、サブ制御装置72に検知信号を出力するセンサを設けてもよい。この場合、開放側インデックス128を設ける手間を省くことができる。
【0098】
また、開放側インデックス検知処理の実行タイミングは適宜設定可能である。例えば、遊技が行われていない待機状態で遊技の内容を紹介する動画などのデモンストレーション映像(デモ画面)が演出表示装置31に表示されているとき、いわゆるデモ画面中において所定時間毎に開放側インデックス検知処理を実行してもよい。
【0099】
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、図2、図14及び図15に示す回転役物140に本発明を適用した点が第1の実施形態とは異なる。以下の第2の実施形態において、第1の実施形態と共通する部分については、その説明を省略する。
【0100】
回転役物140は、図2に示すように、遊技領域8の左側で且つ上下方向の略中央部に設けられている。回転役物140は、図14及び図15に示すように装飾体(可動体)141と、ステッピングモータ142と、インデックス検知センサ(可動体検知手段)150と、からなる。ステッピングモータ142は、遊技盤5の裏面にブラケット(図示省略)を介して固定されるモータ本体143とモータ本体143の略中央部から左方へ突出するモータ軸部144とを有する。
【0101】
装飾体141は、筒部145と、側面部146と、インデックス147と、モータ軸受孔形成部148と、を有し、これらは一体的に形成されている。筒部145は、左右方向に延びる大径の円筒状体である。筒部145の外周面には、「CHANCE」という文字列が装飾体141の回転方向に直交する方向に並んで表記されている。筒部145の一部は、遊技領域8の左側で且つ上下方向の略中央部に設けられている略矩形上の表示窓8aから露出し、遊技者から視認可能となっている。側面部146は、外筒部145の左端の内縁から内側に延びる円板状体である。インデックス147は、筒部145の内側で側面部146の内面146aから右方に延び、回転方向に所定の幅を有する突出片である。モータ軸受孔形成部148は、側面部146の内面146aの略中央部から右方へ延びる円柱状体である。モータ軸受孔形成部148は、内側にモータ軸受孔148aを有する。モータ軸受孔148aにモータ軸部144が挿入されると装飾体141はステッピングモータ142を介して遊技盤5の裏面に回転自在に支持される。インデックス147は、外筒部145の外周面の文字列が表記されている部分(文字列表記部分)が表示窓8aを介して露出しない位置、例えば、文字列表記部分が外筒部145の下端部に位置するときの装飾体141の回転位置において、最上部に位置するように形成されている。装飾体141が回転すると、インデックス147の位置が遷移する。なお、図14中の下方向の矢印は、ステッピングモータ142の回転に従動して回転する装飾体141の回転方向を示している。
【0102】
インデックス検知センサ150は、図15に示すように、発光部151と受光部152とを備えるフォトインタラプタからなる。インデックス検知センサ150は、遊技盤5の裏面にブラケット153を介して固定されている。インデックス検知センサ150の発光部151と受光部152とは、装飾体141の回転位置が、インデックス147が上記最上部に位置するときを含む所定の範囲内あるとき、インデックス147が発光部151と受光部152との間に介在するように配置されている。インデックス検知センサ150は、インデックス147が発光部151と受光部152との間に介在したとき、インデックス検知信号をサブ制御装置72に送信する。なお、本実施形態では、演出制御CPU92によってステッピングモータ142が逆転し、インデックス検知センサ150がインデックス147の検知を開始するときの装飾体141の回転位置を第1位置とする。
【0103】
本実施形態におけるサブ制御装置72のROM93には、基本ステップ数として48ステップが記憶されている。また、ROM93には、付加ステップ数として200ステップ(装飾体141の一回転に相当するステップ数)が記憶されている。
【0104】
本実施形態におけるサブ制御装置72の演出制御CPU92は、主制御CPU73から送信される変動パターンコマンドに基づいて、回転役物140による演出の制御(回転役物140の駆動制御)を実行する。回転役物140の駆動制御には、演出処理、インデックス検知処理が含まれる。インデックス検知処理には、押し込み処理が含まれる。
【0105】
演出制御CPU92は、演出処理において、主制御CPU73から送信される変動パターンコマンドに基づいて、ROM93に格納された複数の演出パターンから一つの演出パターンを選択し、選択した演出パターンに応じて、所定の逆転のための励磁パターンに従ってパルス信号をステッピングモータ142に出力して、ステッピングモータ142の駆動を制御し、ステッピングモータ142を逆転させ、後述する原点位置の装飾体141を回転させる。例えば、主制御CPU73から送信される変動パターンコマンドに基づいて選択した演出パターンが、装飾体141を回転させて外周面に表記されている「CHANCE」という文字列を表示窓から露出させて停止する内容の場合、150ステップ(装飾体141の3/4回転に相当)ステップ数分ステッピングモータ142を逆転させ、装飾体141を約3/4回転させて上記文字列を表示窓8aから露出させて、ステッピングモータ142の駆動を停止し、装飾体141をこの回転位置で停止させる。本実施形態では、この回転位置を第2位置とする。なお、本実施形態では、演出制御CPU92は、いずれの演出パターンを選択した場合であっても、演出処理の終了時には、装飾体141を第2位置で停止させる。
【0106】
演出制御CPU92は、演出処理の終了後に、インデックス検知処理を実行し、装飾体141を第2位置から第1位置に復帰させる。インデックス検知処理において、演出制御CPU92は、マージンありインデックス検知処理とマージンなしインデックス検知処理を選択的に実行する。
【0107】
マージンありインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、ステッピングモータ142を逆転させるパルス信号を出力してステッピングモータ142を逆転させ、装飾体141を回転させる。演出制御CPU92は、出力したパルス信号のパルス数を、ステッピングモータ142の駆動ステップ数としてカウントする。具体的には、演出制御CPU92は、パルス信号を1パルス出力する度に、RAM94のカウント値記憶領域に記憶されているカウント値に1を加算して記憶する。また、パルス信号を1パルス出力する度に、インデックス検知信号の受信の有無に基づいて、インデックス検知センサ150がインデックス147を検知したか否かを判定する。インデックス検知信号を受信した場合は検知したと判定し、押し込み処理を実行する。一方、インデックス検知信号を受信していなかった場合は検知していないと判定し、RAM94に記憶されているカウント値(カウントステップ数)が基本ステップ数に付加ステップ数を加算したステップ数である通常駆動ステップ数を超えたか否かを判定し、超えていない場合は、ステッピングモータ142を逆転させるパルス信号の出力を繰り返す。一方、超えていた場合は、インデックスエラーフラグをオンに設定し、押し込み処理を実行する。
【0108】
マージンなしインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、ステッピングモータ142を逆転させるパルス信号を出力してステッピングモータ142を逆転させ、装飾体141を回転させる。演出制御CPU92は、出力したパルス信号のパルス数を、ステッピングモータ142の駆動ステップ数としてカウントする。具体的には、演出制御CPU92は、パルス信号を1パルス出力する度に、RAM94のカウント値記憶領域に記憶されているカウント値に1を加算して記憶する。また、パルス信号を1パルス出力する度に、RAM94に記憶されているカウント値(カウントステップ数)が基本ステップ数を超えたか否かを判定し、超えていない場合は、パルス信号の出力を繰り返す。一方、超えていた場合は、押し込み処理を実行する。
【0109】
押し込み処理において、演出制御CPU92は、所定の押し込みステップ数分、本実施形態では2ステップ分ステッピングモータ142を逆転させるパルス信号(すなわち逆転のための励磁パターンに従って2パルスのパルス信号)を出力し、その後にステッピングモータ142の駆動を停止し、装飾体141をこの回転位置(原点位置)で停止させる。
【0110】
本実施形態では、インデックス検知センサ150が、例えば、チップコンデンサの短絡が原因で、インデックス147を検知できないインデックスエラー状態になった場合、この状態になってから初回の回転役物140の駆動制御におけるインデックス検知処理では、マージンありインデックス検知処理が選択的に実行されるので、演出制御CPU92はステッピングモータ142を通常駆動ステップ数(基本ステップ数に付加ステップ数を加算したステップ数)の248ステップ駆動させた後、押し込み処理を実行する。したがって、演出制御CPU92がステッピングモータ142の通常駆動ステップ数分の駆動を終了する前に、装飾体141の回転位置が第1位置に到達しても、演出制御CPU92は、通常駆動ステップ数分の駆動が終了するまでステッピングモータ142を駆動させるので、装飾体141を約1回転分(約200ステップ分)余計に回転させることになる(これが毎駆動制御時に生じると、遊技者は余計に回転する装飾体141に違和感を感じる可能性がある)。しかし、このマージンありインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、RAM94のインデックスエラーフラグをオンに設定するので、演出制御CPU92が実行する次回以降の回転役物140の駆動制御におけるインデックス検知処理では、マージンなしインデックス検知処理が選択的に実行される。マージンなしインデックス検知処理において、演出制御CPU92は、ステッピングモータ142を基本ステップ数分逆転させた後、付加ステップ数分逆転させることなく、押し込み処理を実行する。したがって、次回以降のインデックス検知処理では、装飾体141を約1回転分(約200ステップ分)余計に回転させることがないので、遊技者に違和感を与えることを防止することができる。
【0111】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば、本実施形態では、パチンコ機Pを例に挙げて説明したが、本発明は、メダルによって遊技を行う回胴式遊技機(スロットマシン)などの他の遊技機にも適用可能である。すなわち、これらの実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0112】
72:サブ制御装置、92…演出制御CPU(駆動制御手段、停止制御手段、モード変更手段)、100…シャッター役物、100a…右側シャッター役物、100b…左側シャッター役物、103…ステッピングモータ、120…シャッター部(可動体)、112…開放側インデックス検知センサ(可動体検知手段)、128…開放側インデックス、P…パチンコ機(遊技機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置と第2位置とを含む範囲を回転又は移動可能に遊技機本体に支持される可動体と、
前記第1位置で前記可動体を検知するために前記遊技機本体に固定される可動体検知手段と、
ステップ数による回転制御が可能であり、前記可動体に連結されて該可動体を駆動するステッピングモータと、
前記ステッピングモータを制御して前記第2位置の可動体を前記第1位置に向かって回転又は移動させる駆動制御手段と、
通常モードとエラーモードとに選択的に設定され、前記ステッピングモータを制御して前記可動体の停止処理を実行する停止制御手段と、
前記停止制御手段を前記通常モードから前記エラーモードに変更するモード変更手段と、を備え、
前記通常モードの前記停止制御手段は、前記第2位置から前記第1位置までの前記可動体の回転量又は移動量に対応する基本ステップ数に所定の付加ステップ数を加算したステップ数を通常駆動ステップ数とし、前記駆動制御手段による前記ステッピングモータの駆動開始時からの累積ステップ数が前記通常駆動ステップ数に達するまでの間に前記可動体検知手段が前記可動体を検知したとき、又は前記可動体検知手段が前記可動体を検知せずに前記累積ステップ数が前記通常駆動ステップ数に達したときに、前記可動体の停止処理を実行し、
前記モード変更手段は、前記通常モードにおいて、前記累積ステップ数が前記通常駆動ステップ数に達しても前記可動体検知手段が前記可動体を検知しなかったとき、前記停止制御手段を前記通常モードから前記エラーモードに変更し、
前記エラーモードの前記停止制御手段は、前記駆動制御手段による前記ステッピングモータの駆動開始時からの累積ステップ数が前記基本ステップ数に達したときに、前記可動体の停止処理を実行する
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−111192(P2013−111192A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259282(P2011−259282)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】