説明

遊技機

【課題】不正入賞等が行いにくく、かつ、遊技球により可動板部の動作が妨げられることがない可変入賞装置を備える遊技機を提供すること。
【解決手段】特別可変入賞球装置20は、大入賞口20aの上部に該大入賞口20aの上辺に対し略平行に設けられた揺動軸723L,723Rを中心として揺動可能に吊支される揺動板720と、該揺動板720を、大入賞口20aから遊技領域7側に進出して開放状態を構成する進出位置と、該進出位置から大入賞口20a側に退避して閉鎖状態を構成する退避位置と、の間で揺動させる扉駆動機構705と、から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤面に形成される遊技領域に遊技球を発射することにより遊技が行われる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機として、遊技媒体である遊技球を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技球が入賞すると、所定個の遊技球が景品(賞球)として遊技者に払い出されるものがある。さらに、始動入賞口に遊技球が入賞したことにもとづいて可変表示部において開始される特別図柄(識別情報)の可変表示の表示結果として、あらかじめ定められた特定の表示態様(特定表示結果)が導出表示された場合に、大当り遊技状態(特定遊技状態)に移行させる遊技機がある。大当りが発生すると、例えば、大入賞口(入賞領域の一つ)が所定回数(例えば16回)開放して打球が入賞しやすい特定遊技状態に移行する。そして、各開放期間において、所定個(例えば10個)の大入賞口への入賞があると大入賞口は閉成する。以下、各々の大入賞口の開放期間をラウンドという。
【0003】
また、この種の入賞口に、所定の条件が成立すると遊技球が入賞不可能な閉鎖状態から遊技球が入賞可能な開放状態となる動作を行う可変入賞球装置を備えたものがある。このような可変入賞球装置の一例として、遊技領域にて遊技球が進入可能な通路に設けた可動板を、該通路内にて遊技領域側へと進出させて遊技球を始動領域に誘導可能となる状態と、遊技領域側から後退させて遊技球を始動領域に誘導しない状態と、の間で直線的に往復動可能に設けたもの等があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−45117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の遊技機にあっては、可動板は直線往復動可能に設けられていることで、入賞口から強制的に引き出して不正入賞が行われる可能性があるばかりか、可動板が遊技領域側に進出している場合、落下してくる遊技球を受けた衝撃で可動板が僅かに撓むなど変形してスライド動作が妨げられてしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、不正入賞等が行いにくく、かつ、遊技球により可動板部の動作が妨げられることがない可変入賞装置を備える遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、
遊技盤面(遊技盤6の前面6a)に形成される遊技領域(遊技領域7)に遊技球を発射することにより遊技が行われる遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
遊技球が入賞しやすい第1状態(開放状態)と入賞しないまたは入賞しにくい第2状態(閉鎖状態)とに変化する可変入賞装置(例えば、特別可変入賞球装置20,20’,20A〜20D)を備え、
前記可変入賞装置は、
前記遊技領域に対して開口する進入口(例えば、大入賞口20a)の上部に該進入口の上辺に対し略平行に設けられた軸部(揺動軸723L,723R)を中心として揺動可能に吊支される可動板部(揺動板720)と、
前記可動板部を、前記進入口から前記遊技領域側に進出して前記第1状態を構成する進出位置(図15)と、該進出位置から前記進入口側に退避して前記第2状態を構成する退避位置(図14)と、の間で揺動させる駆動手段(扉駆動機構705及びCPU56)と、を備える、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動板部は、進出位置と退避位置との間で軸部を中心として揺動することで、退避位置にある可動板部を進出位置まで強制的に移動させるには、円周に沿って引き出さなければならずやりにくいため、不正入賞の発生を抑制できる。また、可動板部はスライドではなく吊支されていることで、遊技球の落下による衝撃で可動板部が撓むなど変形しても揺動に影響が及びにくい。
尚、前記遊技領域に対して開口する進入口とは、遊技盤面に対して交差して開口する進入口であって、遊技盤面に直接形成されていてもよいし、遊技盤に設けられた構造物に形成されていてもよい。
【0008】
本発明の手段1に記載の遊技機は、請求項1に記載の遊技機であって、
前記軸部(揺動軸723L,723R)は、前記進入口(例えば、大入賞口20a)の上辺近傍位置に設けられ、
前記可動板部(揺動板720)は、前記進出位置及び前記退避位置それぞれにおいて、前記進入口から離れる方向に向けて上側に傾斜する傾倒姿勢(前傾姿勢、後傾姿勢)で維持される(図16,図17参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動板部は、退避位置から進出位置に向けて移動する際に、遊技球の落下方向に対する傾斜角度が漸次小さくなる、つまり、遊技球を下から掬い上げるように移動するため、遊技球をスムーズに進入口に誘導することができる。また、進出位置から退避位置に向けて移動する際は、進出位置にあるときと逆傾斜になることで、遊技球が進入口から流出する方向に誘導されるため、必要以上に遊技球を引き込んで入賞を発生させてしまうことがない。
【0009】
本発明の手段2に記載の遊技機は、請求項1または手段1に記載の遊技機であって、
前記可動板部(揺動板720)は、前記進入口(例えば、大入賞口20a)の両側に設けられる前記軸部それぞれから連設される一対の支持板(支持板721,722)に両側が支持されている(図13参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動板部の両側に立ち上がる一対の支持板により、進入口の両端側からのイレギュラーな遊技球の進入が規制される。
【0010】
本発明の手段3に記載の遊技機は、請求項1、手段1、手段2のいずれかに記載の遊技機であって、
前記可動板部(揺動板720)の底面(第1底面720d及び第2底面720e)が、前記軸部(揺動軸723L,723R)を中心とする円弧状に湾曲する湾曲面にて構成されている(例えば、図14参照)、
の支持板に両側が支持されている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動板部の底面と進入口との間に形成される隙間を極力小さくすることができるため、不正器具の進入を極力回避するこができる。
【0011】
本発明の手段4に記載の遊技機は、請求項1または手段1〜3のいずれかに記載の遊技機であって、
前記可動板部(揺動板720)が前記退避位置にあるときに、前記進入口(例えば、大入賞口20a)への遊技球の進入を規制する規制部材(規制部材704の規制板730)を備える、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動板部が退避位置に退避しているときに遊技球が進入口に進入することを確実に回避できる。
【0012】
本発明の手段5に記載の遊技機は、手段4に記載の遊技機であって、
前記駆動手段(扉駆動機構705及びCPU56)は、
前記可動板部(揺動板720)を駆動する可動板部駆動手段(扉駆動機構705)と、
前記可動板部駆動手段とは別個に設けられ、前記規制部材(規制部材704の規制板730)を駆動する規制部材駆動手段(規制板駆動機構706)と、を含み、
前記規制部材駆動手段は、前記可動板部の揺動動作に連動して、前記規制部材を、遊技球の前記進入口への進入を規制する規制位置と遊技球の前記進入口への進入を規制しない非規制位置との間で移動させる(図18,図19参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動板部と規制部材とをそれぞれ別個の駆動源にて駆動するので、構造が簡素化される。
【0013】
本発明の手段6に記載の遊技機は、手段4に記載の遊技機であって、
前記可動板部(揺動板820)の揺動動作に連動して、前記規制部材(規制部材804の規制板830)を、遊技球の前記進入口(例えば、大入賞口20a)への進入を規制する規制位置と遊技球の前記進入口への進入を規制しない非規制位置との間で移動させる連動機構{駆動機構870、移動部材871L,871R、連結リンク872(図26,図27参照)}を備える、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、可動板部と規制部材とを1つの駆動源で駆動することができるばかりか、機械的な連動機構により連動させることができるので、連動制御負荷を軽減できる。
【0014】
本発明の手段7に記載の遊技機は、手段4〜6のいずれかに記載の遊技機であって、
前記可動板部(揺動板720)の上面(第1傾斜面720a〜720c)と前記規制部材(規制部材704の規制板730)における該可動板部の上面との対向辺(下端辺730a)とは、互いに非平行となるように設けられている(図28参照)、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、規制部材の対向辺と可動板部の上面とが互いに非平行であることにより、遊技球は間口の広い方に逃げやすくなり球噛みが生じにくくなるので、可動板部の揺動に支障をきたすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】パチンコ遊技機を示す正面図である。
【図2】パチンコ遊技機を示す背面図である。
【図3】主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【図4】遊技制御用マイクロコンピュータが実行するメイン処理を示すフローチャートである。
【図5】遊技制御用マイクロコンピュータが実行するタイマ割込処理を示すフローチャートである。
【図6】遊技制御用マイクロコンピュータが実行する特別図柄プロセス処理を示すフローチャートである。
【図7】遊技制御用マイクロコンピュータが実行する特別図柄プロセス処理を示すフローチャートである。
【図8】遊技制御用マイクロコンピュータが実行する大入賞口開放前処理を示すフローチャートである。
【図9】遊技制御用マイクロコンピュータが実行する大入賞口開放中処理を示すフローチャートである。
【図10】遊技制御用マイクロコンピュータが実行する大入賞口開放後処理を示すフローチャートである。
【図11】(a)は特別可変入賞球装置の閉鎖状態を示す斜視図、(b)は特別可変入賞球装置の開放状態を示す斜視図である。
【図12】特別可変入賞球装置の内部構造を示す分解斜視図である。
【図13】(a)(b)は大入賞口扉の駆動機構を示す分解斜視図である。
【図14】閉鎖状態の大入賞口扉の駆動機構を示し、(a)は図12のA矢視図、(b)は図12のB−B断面図である。
【図15】開放状態の大入賞口扉の駆動機構を示す図である。
【図16】閉鎖状態の特別可変入賞球装置を示す断面図である。
【図17】開放状態の特別可変入賞球装置を示す断面図である。
【図18】閉鎖状態から開放状態に変位する際の作用を示す概略図である。
【図19】開放状態から閉鎖状態に変位する際の作用を示す概略図である。
【図20】変形例としての大入賞口扉を示す概略図である。
【図21】演出装置を示す正面図である。
【図22】演出装置を示す背面図である。
【図23】図22のC−C断面図である。
【図24】(a)は退避位置、(b)は中間位置、(c)は演出位置にある演出装置を示す図である。
【図25】本発明の変形例としての特別可変入賞球装置を示す斜視図である。
【図26】図25の特別可変入賞球装置の内部構造を示す分解斜視図である。
【図27】(a)は図25の大入賞口扉の閉鎖状態、(b)は開放状態を示す斜視図である。
【図28】(a)〜(d)は、本発明の他の変形例としての特別可変入賞球装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0017】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
パチンコ遊技機1は、図1及び図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
【0019】
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
【0020】
遊技盤6は、遊技領域7が遊技盤6の前面6a側に形成された透光性の合成樹脂材からなる盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有する非透光性の合成樹脂材からなり、盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技盤ユニット260が一体的に組み付けられている(図2参照)。
【0021】
遊技盤ユニット260は、遊技盤6と、該遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾ユニット(図示略)と、該装飾ユニットの背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニットと、から主に構成され、遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられる。
【0022】
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
【0023】
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
【0024】
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
【0025】
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
【0026】
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
【0027】
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
【0028】
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
【0029】
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
【0030】
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
【0031】
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
【0032】
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
【0033】
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
【0034】
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
【0035】
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
【0036】
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉20b(図11参照)を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉20bが開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口20a(図11参照)が開放状態になる。
【0037】
大入賞口20a内には、大入賞口20a内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口20a内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口20a内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
【0038】
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口20aを遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口20aが開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口20aが閉鎖状態となれば、大入賞口20aに遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0039】
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
【0040】
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
【0041】
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口20aも、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
【0042】
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
【0043】
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
【0044】
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
【0045】
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
【0046】
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0047】
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
【0048】
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
【0049】
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
【0050】
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
【0051】
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
【0052】
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
【0053】
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
【0054】
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
【0055】
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
【0056】
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
【0057】
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
【0058】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0059】
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
【0060】
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
【0061】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
【0062】
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
【0063】
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
【0064】
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
【0065】
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
【0066】
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
【0067】
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21および規制板730を揺動するソレノイド22と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
【0068】
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
【0069】
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
【0070】
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
【0071】
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
【0072】
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
【0073】
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して駆動モータ516に対して駆動信号を出力する。
【0074】
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
【0075】
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
【0076】
次に、遊技機の動作について説明する。図4は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
【0077】
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、割込モード2は、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
【0078】
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号(クリア信号)の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理(ステップS10〜S15)を実行する。
【0079】
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
【0080】
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施例では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
【0081】
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
【0082】
また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを送信する(ステップS43)。そして、ステップS14に移行する。なお、この実施例では、CPU56は、ステップS43の処理において、バックアップRAMに保存されていた合算保留記憶数カウンタの値を設定した合算保留記憶数指定コマンドも演出制御基板80に対して送信する。
【0083】
なお、この実施例では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否か確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、遊技状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
【0084】
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS12)。
【0085】
ステップS11およびS12の処理によって、例えば、普通図柄当り判定用乱数カウンタ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
【0086】
また、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ156が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)をサブ基板に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御用マイクロコンピュータは、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。
【0087】
また、CPU56は、乱数回路503を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS14)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路503にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
【0088】
そして、ステップS15において、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行う。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施例では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
【0089】
初期化処理の実行(ステップS10〜S15)が完了すると、CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS19)。この実施例では、表示用乱数とは、大当りとしない場合の特別図柄の停止図柄を決定するための乱数や大当りとしない場合にリーチとするか否かを決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施例では、初期値用乱数とは、普通図柄に関して当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ156が、遊技機に設けられている演出表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、普通図柄当り判定用乱数のカウント値が1周(普通図柄当り判定用乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
【0090】
なお、この実施例では、リーチ演出は、演出表示装置9において可変表示される演出図柄(飾り図柄)を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数を用いた抽選によって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータである。
【0091】
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図5に示すステップS20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23、24の検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
【0092】
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび普通図柄表示器10については、ステップS32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
【0093】
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24,S25)。
【0094】
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口20aを所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
【0095】
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
【0096】
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータに演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
【0097】
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
【0098】
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23のいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
【0099】
この実施例では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
【0100】
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bにおける第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示を実行する。
【0101】
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
【0102】
その後、割込許可状態に設定し(ステップS34)、処理を終了する。
【0103】
以上の制御によって、この実施例では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S33(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、この実施例では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
【0104】
図6および図7は、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口20aを制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ13aがオンしていたら、すなわち、第1始動入賞口13への始動入賞が発生していたら、第1始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS311,S312)。また、CPU56は、第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち第2始動入賞口14への始動入賞が発生していたら、第2始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS313,S314)。そして、ステップS300〜S310のうちのいずれかの処理を行う。第1始動口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14aがオンしていなければ、内部状態に応じて、ステップS300〜S310のうちのいずれかの処理を行う。
【0105】
ステップS300〜S312の処理は、以下のような処理である。
【0106】
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数(合算保留記憶数)を確認する。保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数は合算保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合算保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示の表示結果を大当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。
【0107】
変動パターン設定処理(ステップS301):特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行される。また、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:可変表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の可変表示の変動時間とすることに決定する。また、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に対応した値(この例では2)に更新する。
【0108】
表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302):特別図柄プロセスフラグの値が2であるときに実行される。演出制御用マイクロコンピュータに、表示結果指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に対応した値(この例では3)に更新する。
【0109】
特別図柄変動中処理(ステップS303):特別図柄プロセスフラグの値が3であるときに実行される。変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過(ステップS301でセットされる変動時間タイマがタイムアウトすなわち変動時間タイマの値が0になる)すると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に対応した値(この例では4)に更新する。
【0110】
特別図柄停止処理(ステップS304):特別図柄プロセスフラグの値が4であるときに実行される。第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける可変表示を停止して停止図柄を導出表示させる。また、演出制御用マイクロコンピュータに、図柄確定指定コマンドを送信する制御を行う。そして、大当りフラグがセットされている場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。また、小当りフラグがセットされている場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に対応した値(この例では8)に更新する。大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもセットされていない場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。なお、演出制御用マイクロコンピュータは、遊技制御用マイクロコンピュータ156が送信する図柄確定指定コマンドを受信すると演出表示装置9において演出図柄が停止されるように制御する。
【0111】
大入賞口開放前処理(ステップS305):特別図柄プロセスフラグの値が5であるときに実行される。大入賞口開放前処理では、大入賞口20aを開放する制御を行う。具体的には、カウンタ(例えば、大入賞口20aに入った遊技球数をカウントするカウンタ)などを初期化するとともに、ソレノイド21,22を駆動して大入賞口20aを開放状態にする。また、タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に対応した値(この例では6)に更新する。なお、大入賞口開放前処理は各ラウンド毎に実行されるが、第1ラウンドを開始する場合には、大入賞口開放前処理は大当り遊技を開始する処理でもある。
【0112】
大入賞口開放中処理(ステップS306):特別図柄プロセスフラグの値が6であるときに実行される。大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに送信する制御や大入賞口20aの閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口20aの閉成条件が成立し、かつ、賞球検出待ち時間が経過した場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS307に対応した値(この例では7)に更新する。
【0113】
大入賞口開放後処理(ステップS307):特別図柄プロセスフラグの値が7であるときに実行される。大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに送信する制御や大入賞口20aの閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口20aの閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。また、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に対応した値(この例では8)に更新する。
【0114】
大当り終了処理(ステップS308):特別図柄プロセスフラグの値が8であるときに実行される。大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータに行わせるための制御を行う。また、遊技状態を示すフラグ(例えば、確変フラグや時短フラグ)をセットする処理を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。
【0115】
小当り開放前処理(ステップS309):特別図柄プロセスフラグの値が9であるときに実行される。小当り開放前処理では、大入賞口20aを開放する制御を行う。具体的には、カウンタ(例えば、大入賞口20aに入った遊技球数をカウントするカウンタ)などを初期化するとともに、ソレノイド21,22を駆動して大入賞口20aを開放状態にする。また、タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS310に対応した値(この例では10)に更新する。なお、小当り開放前処理は各ラウンド毎に実行されるが、第1ラウンドを開始する場合には、小当り開放前処理は小当り遊技を開始する処理でもある。
【0116】
小当り開放中処理(ステップS310):特別図柄プロセスフラグの値が10であるときに実行される。大入賞口20aの閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口20aの閉成条件が成立し、かつ、賞球検出待ち時間が経過した場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS311に対応した値(この例では11)に更新する。
【0117】
小当り開放後処理(ステップS311):特別図柄プロセスフラグの値が11であるときに実行される。大入賞口20aの閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口20aの閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS309に対応した値(この例では9)に更新する。また、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS312に対応した値(この例では12)に更新する。
【0118】
小当り終了処理(ステップS312):特別図柄プロセスフラグの値が12であるときに実行される。小当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータに行わせるための制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。
【0119】
図8は、大入賞口開放前処理として、図7のステップS305にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す大入賞口開放前処理において、CPU56は、まず、大当り状態開始前フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS391)。このとき、大当り状態開始前フラグがオンであれば(ステップS391;Yes)、大当り状態開始待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップS392)。そして、大当り状態開始待ち時間が経過していなければ(ステップS392;No)、大入賞口開放前処理を終了することで、大当り状態開始待ち時間が経過するまで待機する。演出制御基板80の側では、例えば大当り状態開始待ち時間が経過するまでの期間において、大当り遊技状態が開始されることを報知する演出動作などが実行されるようにすればよい。
【0120】
ステップS392にて大当り状態開始待ち時間が経過したときには(ステップS392;Yes)、大当り状態開始前フラグをクリアしてオフ状態とする(ステップS393)。また、演出制御基板80に対して大当り開始コマンドを送信するための設定を行う(ステップS394)。そして、ラウンド開始待ち時間を設定してから(ステップS395)、大入賞口開放前処理を終了する。
【0121】
ステップS391にて大当り状態開始前フラグがオフであるときには(ステップS391;No)、ラウンド開始待ちが経過したか否かを判定する(ステップS396)。このとき、ラウンド開始待ち時間が経過していなければ(ステップS396;No)、大入賞口開放前処理を終了することで、ラウンド開始待ち時間が経過するまで待機する。
【0122】
ステップS396にてラウンド開始待ち時間が経過したときには(ステップS396;Yes)、入賞個数カウンタをクリアして、その格納値である入賞個数カウント値を「0」に初期化する(ステップS397)。また、大入賞口最大開放時間(例えば29000ms)を設定する(ステップS398)。このときには、例えばソレノイド21,22を駆動して大入賞口扉20bにより大入賞口20aを開放状態とする設定を行う(ステップS399)。さらに、演出制御基板80に対してラウンド開始コマンドを送信するための設定を行う(ステップS400)。そして、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放中処理に対応した値である“6”に更新してから(ステップS401)、大入賞口開放前処理を終了する。
【0123】
図9は、大入賞口開放中処理として、図7のステップS306にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す大入賞口開放中処理において、CPU56は、まず、賞球検出待ち時間が設定されているか否かを判定し(ステップS410)、賞球検出待ち時間が設定されていない場合には(ステップS410;No)、大入賞口最大開放時間が経過したか否かを判定する(ステップS411)。このとき、大入賞口最大開放時間が経過していなければ(ステップS411;No)、カウントスイッチ23がオンであるか否かを判定し(ステップS412)、カウントスイッチ23がオンであれば(ステップS412;Yes)、入賞個数カウント値を1加算するように更新した後(ステップS413)、賞球個数コマンドを払出制御基板37に送信し(ステップS414)、ステップS415に進む。また、カウントスイッチ23がオンでなければ(ステップS412;No)、そのままステップS415に進む。
【0124】
ステップS415においては、入賞個数カウント値が所定の最大入賞判定値(例えば「9」)に達したか否かを判定し(ステップS415)、所定の最大入賞判定値に達していなければ、大入賞口開放中処理を終了する。
【0125】
ステップS411にて大入賞口最大開放時間が経過している場合(ステップS411;Yes)またはステップS415にて入賞個数カウント値が所定の最大入賞判定値に達したことによりラウンド終了条件が成立した場合には、例えばソレノイド21,22の駆動を停止して大入賞口扉20bにより大入賞口20aを閉鎖状態とする設定を行う(ステップS416)。続いて、ラウンド終了コマンドを演出制御基板80に対して送信するための設定を行った後(ステップS417)、賞球検出待ち時間を設定して(ステップS418)、大入賞口開放中処理を終了する。
【0126】
ここで、賞球検出待ち時間は、大入賞口扉20bを閉鎖する直前に入賞した遊技球がカウントスイッチ23を通過するまでにかかる時間であり、大入賞口20aからカウントスイッチ23までの入賞球誘導通路707(図16参照)の長さに応じて設定される。つまり、上記ラウンドの終了条件が成立したことに基づき大入賞口扉20bを閉鎖してからカウントスイッチ23にて検出された遊技球は、当該ラウンドにてオーバー入賞した遊技球として検出され、次のラウンドで入賞した遊技球として検出されないようになっている。
【0127】
ステップS410にて賞球検出待ち時間が設定されている場合には(ステップS410;Yes)、賞球検出待ち時間が経過したか否かを判定し(ステップS420)、賞球検出待ち時間が経過していない場合には(ステップS420;No)、カウントスイッチ23からの検出信号がオンであるか否かを判定し(ステップS422)、カウントスイッチ23からの検出信号がオンである場合には(ステップS422;Yes)、賞球個数コマンドを払出制御基板37に送信し(ステップS423)、大入賞口開放中処理を終了する。
【0128】
また、ステップS420にて賞球検出待ち時間が経過した場合には(ステップS420;Yes)、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放後処理に対応した値である“7”に更新してから(ステップS421)、大入賞口開放中処理を終了する。
【0129】
図10は、大入賞口開放後処理として、図7のステップS307にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図10に示す大入賞口開放後処理において、CPU56は、まず、大入賞口開放カウント値が1減算されるように更新する(ステップS431)。このときには、更新後の大入賞口開放カウント値が「0」となったか否かを判定する(ステップS432)。そして、大入賞口開放カウント値が「0」以外であれば(ステップS432;No)、ラウンド開始待ち時間を設定するとともに(ステップS433)、特図プロセスフラグの値を大入賞口開放前処理に対応した値である“5”に更新してから(ステップS434)、大入賞口開放後処理を終了する。こうして、ステップS432の処理により更新後の大入賞口開放カウント値が「0」であると判定されるまでは、図7に示すステップS305〜S307の処理を繰り返し実行することにより、大当り遊技状態にて特別可変入賞球装置20を開放状態とする複数回のラウンド遊技を実行させることができる。
【0130】
ステップS432にて大入賞口開放カウント値が「0」であるときには(ステップS432;Yes)、大当り終了前時間を設定する(ステップS435)。このときには、大当りフラグをクリアしてオフ状態とする(ステップS436)。そして、特図プロセスフラグの値を大当り終了処理に対応した値である“8”に更新してから(ステップS437)、大入賞口開放後処理を終了する。
【0131】
次に、特別可変入賞球装置20について、図11〜図20に基づいて説明する。図11は、(a)は特別可変入賞球装置の閉鎖状態を示す斜視図、(b)は特別可変入賞球装置の開放状態を示す斜視図である。図12は、特別可変入賞球装置の内部構造を示す分解斜視図である。図13は、(a)(b)は大入賞口扉の駆動機構を示す分解斜視図である。図14は、閉鎖状態の大入賞口扉の駆動機構を示し、(a)は図12のA矢視図、(b)は図12のB−B断面図である。図15は、開放状態の大入賞口扉の駆動機構を示す図である。図16は、閉鎖状態の特別可変入賞球装置を示す断面図である。図17は、開放状態の特別可変入賞球装置を示す断面図である。図18は、閉鎖状態から開放状態に変位する際の作用を示す概略図である。図19は、開放状態から閉鎖状態に変位する際の作用を示す概略図である。図20は、変形例としての大入賞口扉を示す概略図である。尚、以下の説明においては、パチンコ遊技機1の正面に対峙した状態を基準として上下左右方向を説明する。
【0132】
図11〜図13に示すように、特別可変入賞球装置20は、箱状に形成された大入賞ユニット700と、大入賞口20aの周囲を装飾する装飾パネル701と、から構成されている。大入賞ユニット700の前面には、横長長方形状の遊技球の進入口としての大入賞口20aが形成されているとともに、装飾パネル701が、該装飾パネル701に形成された大入賞口用開口701aに大入賞口20aを臨ませるように取り付けられている。
【0133】
大入賞ユニット700は、透光性を有する合成樹脂材により形成されたベース本体702と、ベース本体702の上面を被覆可能な大きさを有し、透光性を有する合成樹脂材により形成されたベースカバー703と、から主に構成され、両者を組み付けることにより中空状の箱体が形成される。
【0134】
大入賞ユニット700の内部には、大入賞口20aを開閉する大入賞口扉20bを駆動する扉駆動機構705と、大入賞口扉20bが退避位置にあるときに大入賞口20aへの遊技球の進入を規制する規制部材704を駆動する規制板駆動機構706と、大入賞口20aから進入した遊技球を背面側に形成された排出口に向けて誘導する大入賞球誘導通路707と、大入賞球誘導通路707を背面側から照らす大入賞口LED708aが複数配設されたLED基板708と、第2始動入賞口13bに進入した遊技球が流下する始動入賞球誘導通路709(図16参照)の一部と、が主に配設されている。
【0135】
ベース本体702は、扉駆動機構705が配設される前後方向を向く左配設部710と、規制板駆動機構706が配設される前後方向を向く右配設部711と、左配設部710と右配設部711とを連結するように左右方向に配設される中配設部712と、から平面視略後向きコ字形に形成されている。
【0136】
中配設部712における前辺部は、大入賞ユニット700の前面に構成される大入賞口20aの左右側辺及び下辺を構成する切欠部713が形成されるとともに、切欠部713からは大入賞球誘導通路707が連設されている。大入賞球誘導通路707は、切欠部713の左右幅とほぼ同様の左右幅寸法を有し、遊技球が転動する転動面が背面側に向けて広がるように形成されている。
【0137】
大入賞球誘導通路707は、平面視後向き略凹状に形成され、その凹部の左右側には左通路707aと右通路707bとが形成されるとともに、これら左通路707aと右通路707bとの後部側に形成された排出口には、カウントスイッチ23,23がそれぞれ設置され、入賞した遊技球をそれぞれ左右のカウントスイッチ23,23にて別個に計数して下方に排出するようになっている。また、大入賞球誘導通路707の周囲には通路壁714が立設されているとともに、前記凹部の前側には、遊技球を左通路707aと右通路707bとに振分けるための誘導傾斜壁714a,714bが形成されている。
【0138】
通路壁714は透光性を有する合成樹脂材にて形成され、その背面側に配設される大入賞口LED708aからの光を透過して前方に出射可能としている。また、通路壁714により大入賞球誘導通路707と区画された凹部には、始動入賞球誘導通路709の一部を構成する貫通路709aが上下に貫通して形成されている。
【0139】
このように、左右幅方向に延びる大入賞球誘導通路707を左右に分断するように貫通路709aを形成することで、図16に示すように、該特別可変入賞球装置20の直上に配設される可変入賞球装置15から下方に延設される始動入賞球誘導通路709を、大入賞ユニット700を避けるように背面側に大きく迂回させなくて済むため、可変入賞球装置15を極力特別可変入賞球装置20に近づけて配設することができ、これにより、演出表示装置9を下方に向けて大型化することが可能となる。
【0140】
また、左右幅方向に延びる大入賞球誘導通路707が左通路707aと右通路707bとに分断されるように構成されることで、大入賞口20aに入賞した入賞球を左右幅方向に転動させることなく、直ちに左右後側のカウントスイッチ23,23に誘導できるので、所謂オーバー入賞の発生を極力回避することができる。
【0141】
ベースカバー703は、ベース本体702の上面を被覆可能に形成され、貫通路709aに対応する位置には、貫通路709bが形成されている。
【0142】
図13に示すように、大入賞口扉20bは、大入賞口20aの左右幅寸法よりも若干短い左右幅寸法に形成された略横長長方形状の揺動板720と、揺動板720の上面左右端部に立設された支持板721,722と、から主に構成されている。
【0143】
左側の支持板721の上端部には、揺動軸723Lが挿通される軸孔724Lが形成されているとともに、その外側面後側には、連結軸725が外向きに突設されている。また、右側の支持板722の上端部内側面には、揺動軸723Rが挿通される軸孔724Rが形成されている。左右の軸孔724L,724Rは同心円であり、これら揺動軸723L,723Rは、軸孔724L,724Rの内側に突出した内軸723aと外側に突出した外軸723bとがそれぞれ略同じ長さになるように挿通される。
【0144】
揺動板720は、揺動軸723L,723Rの軸心に沿うように略平行に配設される上面を有し、該揺動板720の上面は、第1傾斜面720aと、該第1傾斜面720aに対し傾斜する第2傾斜面720bと、該第2傾斜面720bに対し傾斜する第3傾斜面720cと、から構成されている。
【0145】
揺動板720の底面(下面)は、後方向けて下方に傾斜する第1底面720dと、第1底面720dから連設され後方向けて上方に傾斜する第2底面720eとから、断面視において前後方向の略中央部が下方に向けて僅かに隆起する下向き山形に形成されており、これにより揺動軸723L,723Rを中心とする周面に沿うように形成される湾曲面を構成している。また、底面前端部には、左右方向に延びる係止部726が突設されている。
【0146】
規制板730は、左右幅寸法が支持板721,722の離間幅寸法よりも短寸であり、上下幅寸法L2が、軸心から揺動板720までの離間幅L1の約半分の長さを有する横長長方形状の板材からなる(図14参照)。
【0147】
規制板730の上辺左右端部には、円筒状の軸孔731L,731Rが上辺に沿って形成されており、揺動軸723L,723Rの内軸723aが挿通されることにより、揺動軸723L,723Rを中心として回動するようになる。
【0148】
規制板730の右側辺部には、平面視コ字形をなす連結片732が前向きに開口するように設けられるとともに、その外側面には連結軸733が外向きに突設されている。連結片732は、規制板730の前面が支持板721,722の前辺に沿うように配設したときに、支持板722の背面側から外側に回り込んで、連結軸733を前方位置に配設することができるようになっている。
【0149】
このように構成された大入賞口扉20bは、ベース本体702における切欠部713の左右側辺上部、つまり、大入賞口20aの開口上縁近傍位置に形成された軸受部715a,715bに左右の外軸723bをそれぞれ回動可能に受支させることで、揺動板720が、揺動軸723L,723Rを中心として、大入賞口20a内部に退避する退避位置(図14参照)と、大入賞口20aから遊技領域7側に進出する進出位置(図15参照)と、の間で往復揺動可能に枢支されている。
【0150】
一方、規制部材704は、大入賞口扉20bに対し内軸723aを介して左右側が回動可能に受支されることで、揺動軸723L,723Rを中心として、大入賞口20aの前面上半部を覆うように遊技球の進入を規制する規制位置(図14参照)と、規制位置から大入賞口20a内部に退避して遊技球の進入を規制しない(許容する)非規制位置(図15参照)と、の間で往復揺動可能に枢支されている。
【0151】
図13〜図15に示すように、扉駆動機構705は、大入賞口扉20bと、該大入賞口扉20bを駆動するソレノイド21と、ソレノイド21のプランジャ21aの先端に取り付けられ前後に移動する移動部材740と、移動部材740と大入賞口扉20bとを連結する連結部材741と、から主に構成されている。ソレノイド21は、プランジャ21aが前後方向に移動可能となるとともに、大入賞口扉20bの左側部に対応する位置に設けられている。
【0152】
移動部材740は、プランジャ21aの先端に直交して取り付けられる取付板740aと、取付板740aの左端縁上部から連設され前後方向を向く移動板740bと、から構成されている。移動板740bには、上下方向に延びる連結孔742が形成されている。
【0153】
連結部材741は、前後方向に向けて起立する連結板741aと、連結板741aの左右側面に突設され、左配設部710に形成された軸受部(図示略)に受支される左右方向を向く回動軸741bと、連結板741aの外側面における回動軸741bの下側に突設され、連結孔742に挿入される連結軸741cと、回動軸741bを挟んで連結軸741cと反対側の端部に形成され、連結軸725に係止される係止溝741dと、から構成される。
【0154】
このように構成された扉駆動機構705は、図14(a)に示すように、ソレノイド21が励磁されていない状態(ソレノイド21;off)においては、コイルバネ21bの付勢力によりプランジャ21aが進出位置に位置する。この状態において、回動軸741bの軸心に対して連結孔742及び連結軸741cが前側に位置することで、前端の係止溝741dが斜め上向きに起立して起立姿勢になることで連結軸725を押し上げ、これにより揺動板720は、前辺が大入賞口20aの下辺に沿うように配置され、背面側に向けて上方に傾斜するように配設される退避位置に維持される。
【0155】
そして図15(a)に示すように、ソレノイド21が励磁されると(ソレノイド21;on)、コイルバネ21bの付勢力に抗してプランジャ21aが本体側の退避位置まで移動(後退)する。このプランジャ21aとともに移動部材740がソレノイド21の本体側に移動することにより、連結孔742に嵌挿された連結軸741cが回動軸741bの軸心周りに回転する。これにより、連結部材741が回動軸741bを中心として図15(a)中反時計回りに回転することで、係止溝741dが傾倒して連結軸725を押し下げ、これにより揺動板720は、大入賞口20aから外側の遊技領域7に突出するように配置され、背面側に向けて下方に傾斜するように配設される進出位置に維持される。
【0156】
図13〜図15に示すように、規制板駆動機構706は、規制部材704と、該大入賞口扉20bを駆動するソレノイド22と、ソレノイド22のプランジャ22aの先端に取り付けられ前後に移動する移動部材750と、移動部材750と大入賞口扉20bとを連結する連結部材751と、から主に構成されている。ソレノイド22は、プランジャ22aが前後方向に移動可能となるとともに、大入賞口扉20bの右側部に対応する位置に設けられている。
【0157】
移動部材750は、プランジャ22aの先端に直交して取り付けられる取付板750aと、取付板750aの左端縁上部から連設され前後方向を向く移動板750bと、から構成されている。移動板750bには、上下方向に延びる連結孔752が形成されている。
【0158】
連結部材751は、連結板751aと、連結板751aの左右側面に突設され、右配設部711に形成された軸受部(図示略)に受支される左右方向を向く回動軸751bと、連結板751aの外側面における回動軸751bの上側に突設され、連結孔752に挿入される連結軸751cと、連結軸751cよりも回動軸751bから離れた箇所に形成され、連結軸733に係止される係止溝751dと、から構成される。
【0159】
このように構成された規制板駆動機構706は、図14(b)に示すように、ソレノイド22が励磁されていない状態(ソレノイド22;off)においては、コイルバネ22bの付勢力によりプランジャ22aが進出位置に位置する。この状態において、回動軸751bの軸心に対して連結孔752及び連結軸751cが前側に位置することで、前端の係止溝751dが前向きに傾倒して傾倒姿勢になることで連結軸733を押し下げ、これにより規制板730は、前面が大入賞口20aの上半部を被覆するように起立姿勢で配設される規制位置に維持される。
【0160】
そして図15(b)に示すように、ソレノイド22が励磁されると(ソレノイド22;on)、コイルバネ22bの付勢力に抗してプランジャ22aが本体側の退避位置まで移動(後退)する。このプランジャ22aとともに移動部材750がソレノイド22の本体側に移動することにより、連結孔752に嵌挿された連結ピン751cが回動軸751bの軸心周りに回転される。これにより、連結部材751が回動軸751bを中心として図15(b)中時計回りに回転することで、係止溝751dが起立して連結軸733を押し上げ、これにより規制板730は、大入賞口20aの内側上部に退避して揺動板720と略平行をなして遊技球の進入を規制しない非規制位置に維持される。
【0161】
本実施例では、CPU56は、ソレノイド21により揺動板720を退避位置から進出位置に揺動させるときに、ソレノイド22により規制板730を規制位置から非規制位置に回動させる制御を行うとともに、ソレノイド21により揺動板720を進出位置から規制位置に揺動させるときに、ソレノイド22により規制板730を非規制位置から規制位置に回動させる制御を行う。すなわち、揺動板720の揺動に応じて規制板730を回動させる連動制御を行う。
【0162】
次に、このように構成された特別可変入賞球装置20の作用について、図16〜図19に基づいて説明する。
【0163】
図16及び図17に示すように、大入賞ユニット700は、遊技盤6に形成された大入賞口孔760内に、前面の遊技領域7側から嵌入することにより取り付けられている。大入賞ユニット700が取り付けられた状態において、遊技盤6の前面6aにおける大入賞口孔760の周囲には装飾パネル701が配置される。よって、進入口としての大入賞口20aは、遊技盤6の前面6a所定箇所に前方の遊技領域7に対して開放する、つまり、遊技盤6の前面6aに対し略直交して開口するように形成される。
【0164】
また、本実施例の大入賞口20aは、遊技盤6の前面(遊技盤面)6aに対し略直交して開口するように設けられた遊技球の進入口であって、遊技盤6に形成された大入賞口孔760内に嵌入された大入賞ユニット700(構造物)の前面に形成されていたが、遊技盤6に直接形成されてもよい。また、遊技盤6の前面6aに対し直交して開口しなくても、交差して開口するように形成されていればよい。
【0165】
図16に示すように、大入賞口20aの閉鎖状態においては、揺動板720は、前端辺が大入賞口20aの下辺に沿うように配置され、背面側に向けて上方に傾斜する退避位置に維持されるとともに、規制板730は、前面が大入賞口20aの上半部を被覆する起立姿勢で配設される規制位置に維持される。
【0166】
この状態において、規制板730の下端と揺動板720の上面前端との間には隙間が形成されているが、図14(b)に示すように、この隙間の上下幅寸法L3は、遊技球の直径2Rよりも短寸とされているため(L3<2R)、この隙間から遊技球が内部に進入することはない。すなわち、規制板730により大入賞口20a内への遊技球の進入が規制されている。
【0167】
よって、遊技領域7の上方位置から流下してくる遊技球が大入賞口20a内へ進入することが防止されるとともに、閉鎖状態であるにも関わらず揺動板720上に遊技球が落下することが防止されるため、その衝撃により揺動軸723L,723R等が損傷すること等が防止される。
【0168】
また、大入賞口20aに臨む揺動板720の下面先端に形成された係止部726が、大入賞球誘導通路707の前端部707cに係止されていることで、揺動板720の上面先端に落下した遊技球により揺動板720の図16中反時計回りへの回動が規制されるため、遊技球との接触により揺動板720が回動範囲を越えて回動させられてソレノイド21等に負荷がかかることが防止される。
【0169】
さらに、係止部726が前端部707cに係止されることで、退避位置において揺動板720と大入賞球誘導通路707との間に隙間が生じることが回避されるため、針金等の不正部材を進入させることが困難となるため、不正入賞を発生させるためのカウントスイッチ23等に対する不正行為を抑制できる。
【0170】
また、規制板730が何らかの理由で規制位置まで移動しなかった場合でも、揺動板720は、大入賞球誘導通路707の前端から背面側に向けて上方に傾斜して誘導方向に遮るように配設されるため、遊技球が大入賞口20a内へ進入したとしても、排出口まで誘導されてカウントスイッチ23により検出されることがない。
【0171】
また、排出口の前方を被覆するように配置されることで、カウントスイッチ23への不正部材(針金など)や糸吊り球等の進入を防止できる。
【0172】
一方、図17に示すように、大入賞口20aの開放状態においては、揺動板720は、大入賞口20aから外側の遊技領域7に突出するように配置され、背面側に向けて下方に傾斜する進出位置に維持されるとともに、規制板730は、大入賞口20aの内側上部に退避して揺動板720と略平行をなして遊技球の進入を規制しない非規制位置に維持される。
【0173】
揺動板720は、進出位置において背面側に向けて下方に傾斜するように配置されることで、落下してきた遊技球は大入賞口20aに向けて誘導される。特に、ガラス扉枠102に形成され遊技領域7を透視可能とするガラス板102aの背面と揺動板720の先端との間の離間幅寸法L5は、遊技球の半径Rよりも短寸とされていることで、ガラス板102aの背面付近を落下してきた遊技球も確実に大入賞口20aに向けて誘導できる。
【0174】
また、このとき、退避位置にある規制板730は揺動板720に対し略平行に配置されることで、揺動板720の上面を流下する遊技球の邪魔になることがない。揺動板720の上面から入賞球誘導通路707上に落下した遊技球は、入賞球誘導通路707上を流下して排出口に誘導された後、カウントスイッチ23により計数された後に排出される。
【0175】
ここで、揺動板720及び規制板730の動作時における作用について、図18及び図19に基づいて説明する。
【0176】
図18に示すように、まず、大入賞口扉20bが閉鎖状態から開放状態に変位する場合について説明すると、揺動板720は、退避位置において、背面側に向けて上方に傾斜する前傾姿勢であるが(図18(a)参照)、進出位置に向けて揺動を開始した後、大入賞口20aを通過する直前に上面が略水平になった後(図18(b)参照)、進出位置まで次第に後傾姿勢に変位していく。
【0177】
すなわち、左右方向を向く揺動軸723L,723Rに対し、該揺動軸723L,723Rの軸心方向に沿って略平行に、かつ、上面720a〜720cが揺動軸723L,723Rを中心とする周面に沿うように配設されていることで、揺動に応じて上面の姿勢が変位していく。
【0178】
そして本実施例では、揺動板720の先端部が、揺動軸723L,723Rを中心とする円周に沿って移動するとともに、上面が前傾から後傾に変位していく。よって、上方から落下してくる遊技球を下方から内側に巻き込んで救い上げるように揺動するので、進出位置に到達するまでに遊技球が衝突したときに、該遊技球に対し流下方向への転動回転力が付与されるので、遊技球が大入賞口20aに向けて誘導されやすくなる。
【0179】
また、揺動板720は、ガラス板102aに対して近接するに従い、後傾角度が増大して起立姿勢に近づいていくため、ガラス板102aと揺動板720との間に遊技球が挟まれにくくなる。
【0180】
また、規制板730は、揺動板720が退避位置から進出位置に向けて移動を開始したときから、退避位置に向けた移動、つまり、揺動板720の揺動方向とは逆方向であり、遊技球の進入方向と同方向への移動を開始するため、遊技球の進入の妨げになることがない。
【0181】
次に、図19に示すように、大入賞口扉20bが開放状態から閉鎖状態に変位する場合について説明すると、揺動板720は、進出位置において、背面側に向けて下方に傾斜する後傾姿勢であるため(図19(a)参照)、落下してきた遊技球は大入賞口20aに向けて誘導されるが、退避位置に向けて揺動を開始することで、遊技球とともに大入賞口20aに向けて移動する。
【0182】
この場合、上面にある遊技球がそのまま大入賞口20a内に入り込んでくるが、規制板730が規制位置に向けて移動してくることで、該遊技球を前方に向けて押し返すようにして遊技球の進入を規制する(図19(b)参照)。さらに、揺動板720は、上面が水平姿勢から前傾姿勢に変位していくため、遊技球が遊技領域7側に向けて排出されていく。つまり、揺動板720とともに遊技球が大入賞口20a内に入り込んでも、後傾姿勢に変位することで遊技球が遊技領域7側に強制的に戻されるようになる。
【0183】
よって、大入賞口20aの閉鎖条件が成立したことに基づいて閉鎖状態へ変位するときに遊技球が進入しにくくなるので、ラウンドの終了条件が成立した後に遊技球が入賞すること、すなわち、オーバー入賞の発生を防止することができる。
【0184】
前述したように、CPU56は、大当り遊技状態中において、特別可変入賞球装置20が開放状態となるラウンド遊技、つまり、ステップS305〜ステップS307の処理を所定回数実行する。そして、各ラウンド遊技において、大入賞口最大開放時間が経過するまたは入賞個数が最大入賞個数に達してラウンドの終了条件(大入賞口20aの閉鎖条件)が成立したとき、大入賞口20aを閉鎖状態とするために、揺動板720を退避位置に揺動させるとともに、規制板730を規制位置に移動させる処理を行う。
【0185】
ここで、大入賞口20aを閉鎖状態とする際に遊技球が進入した場合、該進入した遊技球が入賞球誘導通路707を流下してカウントスイッチ23により検出されるまでに所定時間を要するため、このような賞球を検出するための賞球検出待ち時間が経過するまでは次回のラウンドが開始されないように、各ラウンド間にはラウンドインターバルが設定されている。具体的には、CPU56は、ステップS416で大入賞口閉鎖設定をした後、ステップS418にて賞球検出待ち時間を設定し、該賞球検出待ち時間が経過したときに(ステップS420;Yes)、特図プロセスフラグの値を“7”に更新する。
【0186】
すなわち、ラウンドの終了条件が成立してから大入賞口20aが閉鎖状態となるまでに入賞した遊技球を、当該ラウンドにおいてオーバー入賞した賞球として計数するために、賞球検出待ち時間が経過するまで遊技球の検出を継続し、次回ラウンド遊技が開始されてから入賞した賞球であると判定されないように、ラウンドインターバルが設定されている。
【0187】
しかし、このような賞球待ち時間は、大入賞口20aからカウントスイッチ23までの入賞球誘導通路707の長さに応じて設定されるものであるため、例えば構造上、入賞球誘導通路707を短くできない場合、賞球待ち時間も長くなる。このような場合、ラウンドインターバルを短くして大当り遊技状態の遊技期間を短縮化するには限界があるため、遊技機の稼動を高めることができない。
【0188】
よって、本実施例の大入賞口扉20bでは、大入賞口20aの閉鎖条件が成立してから閉鎖状態になるまでに遊技球が進入しにくくなり、オーバー入賞の発生が低減することで、ラウンドインターバルを極力短くして大当り遊技状態の消化時間が短縮化できるため、遊技機の稼動を高めることが可能となる。
【0189】
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、揺動板720は、進出位置と退避位置との間で揺動軸723L,723Rを中心として揺動することで、退避位置にある揺動板720を進出位置まで強制的に(例えば、揺動板720を摘んで手前側に引き出すといった不正行為)移動させるには、円周方向に沿うように引き出さなければならずやりにくいため、不正入賞の発生を抑制できる。
【0190】
また、揺動板720は、スライドではなく揺動軸723L,723Rにより吊支されていることで、遊技球の落下による衝撃で揺動板720が撓むなど変形しても揺動に影響が及びにくいばかりか、スライド式に比べて動作時に生じる摩擦抵抗が小さいので、開閉動作不良が生じにくい。
【0191】
また、前記実施例では、揺動軸723L,723Rは、大入賞口20aの上辺近傍位置に形成された軸受部715a,715bに軸心周りに回動可能に設けられ、揺動板720は、進出位置において、大入賞口20aから離れる方向(前方)に向けて上側に傾斜する後傾姿勢で維持され、退避位置において、大入賞口20aから離れる方向(後方)に向けて下側に傾斜する前傾姿勢で維持されることで、揺動板720は、退避位置から進出位置に向けて移動するに従い、遊技球の落下方向に対する傾斜角度が漸次小さくなる。つまり、遊技球を下から掬い上げて大入賞口20a側に誘導するように揺動するため、遊技球をスムーズに大入賞口20aに誘導することができる。
【0192】
また、図20(a)に示すように、進出位置から退避位置に向けて移動する際は、進出位置にあるときと逆傾斜(前傾)になることで、遊技球が大入賞口20aから流出する方向に誘導されるため、必要以上に遊技球を引き込んでオーバー入賞を発生させてしまうことがない。すなわち、揺動板720が大入賞口20a内に引き込まれる方向に移動するが、漸次前傾に近づいていくため、揺動板720上の遊技球は最終的に遊技領域7側に排出される。
【0193】
尚、本実施例では、揺動板720は、進出位置と退避位置とで、大入賞口20aを基準として略線対称に配置されるようになっていたが、図20(b)に示す大入賞口扉200Aのように、進出位置と退避位置とで、大入賞口20aを基準として非線対称に配置されてもよい。
【0194】
また、本実施例では、揺動板720の揺動軸723L,723Rは、大入賞口20aの上辺近傍に設けられていたが、図20(c)に示す大入賞口扉200Bのように、大入賞口20aの上辺から離れた位置(例えば、後方位置)に設けられてもよい。
【0195】
また、揺動板720は、大入賞口20aの両側に設けられる揺動軸723L,723Rそれぞれから連設される一対の支持板721,722に両側が支持されていることで、これら一対の支持板により、大入賞口20aの左右両側からのイレギュラーな遊技球の進入が規制される(図11(b)参照)。
【0196】
また、本実施例では、揺動板720は、左右一対の支持板721,722により揺動可能に吊支されていたが、例えば揺動板720の左右方向の中央位置に設けた支持板を介して揺動可能に吊支してもよい。
【0197】
また、図14に示すように、揺動板720の底面が、揺動軸723L,723Rを中心とする円弧状に湾曲する略湾曲面にて構成されていることで、揺動板720の揺動範囲内において、揺動板720の底面720d,720eと大入賞口20aの下辺との間に形成される隙間を極力小さくすることができるため、不正器具の進入を極力回避するこができる。
【0198】
尚、本実施例では、揺動板720の底面は平坦状の底面720d,720eを側面視山形に連設することにより構成されていたが、このように複数の平坦面を揺動軸723L,723Rを中心とする円周に沿って配設することにより形成される湾曲面であってもよいし、所定曲率を有する1つの連続する湾曲面にて構成されていてもよい。
【0199】
また、揺動板720が退避位置にあるときに、大入賞口20aへの遊技球の進入を規制する規制板730を備えることで、揺動板720が退避位置に退避しているときに遊技球が入賞口に進入することを確実に回避できる。
【0200】
また、本実施例では、規制板730は、揺動板720と同心の揺動軸723L,723Rを中心に回動可能に設けられていたが、揺動板720の揺動軸心とは異なる軸心を中心に回動可能に設けてもよい。あるいは、規制位置と非規制位置との間で回動するものでなく、例えば直線的にスライド移動(例えば上下動)するものであってもよい。尚、本実施例では、規制部材704を有していたが、このような規制部材704は必ずしもなくてもよく、大入賞口扉20bのみで構成してもよい。
【0201】
また、扉駆動機構705及びCPU56は、揺動板720を駆動する扉駆動機構705と、扉駆動機構705とは別個に設けられ、規制板730を駆動する規制板駆動機構706と、を含み、規制板駆動機構706は、揺動板720の揺動動作に連動して、規制板730を、遊技球の大入賞口20aへの進入を規制する規制位置と遊技球の大入賞口20aへの進入を規制しない非規制位置との間で移動させることで、揺動板720と規制部材とをそれぞれ別個の駆動源にて駆動するので、構造が簡素化される。
【0202】
次に、図21〜図24に基づいて、演出装置500について説明する。図21は、演出装置を示す正面図である。図22は、演出装置を示す背面図である。図23は、図22のC−C断面図である。図24は、(a)は退避位置、(b)は中間位置、(c)は演出位置にある演出装置を示す図である。
【0203】
図21〜図23に示すように、演出装置500は、演出表示装置9の上辺及び左右側辺に沿って下向きコ字形に形成されたベース板501と、ベース板501に対して左右方向に移動可能に設けられた可動演出部502と、可動演出部502を駆動する駆動機構503と、から主に構成されている。
【0204】
可動演出部502は、左可動部502aと右可動部502bとからなり、左可動部502aと右可動部502bとが演出表示装置9の前方位置において互いに一体化された状態において、刀を模した演出部が構成されるようになっている。
【0205】
ベース板501に取り付けられたガイド板504には、円弧状の第1ガイド溝505が形成されているとともに、該第1ガイド溝505の下方位置には、円弧状の第2ガイド溝506が該第1ガイド溝505に対しほぼ平行に形成されている。第1ガイド溝505には、第1ガイドローラ507が摺動可能に設けられているとともに、第2ガイド溝506には、第2ガイドローラ508が摺動可能に設けられている。
【0206】
第1ガイドローラ507は、左可動部502a及び右可動部502bの上部内側に設けられ、第2ガイドローラ508は、左可動部502a及び右可動部502bの上部外側に設けられている。よって、これら左可動部502a及び右可動部502bは、上部2箇所がそれぞれ第1ガイドローラ507と第2ガイドローラ508とを介して第1ガイド溝505及び第2ガイド溝506に支持されたまま移動する。
【0207】
また、ガイド板504には、駆動アーム511a,511bが、前後方向を向く揺動軸510a,510bを中心として揺動可能に設けられている。駆動アーム511a,511bのそれぞれ下端には長孔512が形成されており、左可動部502a及び右可動部502bの背面上下方向の略中央位置に設けられた前後方向を向く支持軸513が挿入されている。
【0208】
また、駆動アーム511a,511bの下端からは、規制片515a,515bが互いに対向方向に向けて突設されており、左可動部502aと右可動部502bとが一体化された状態において、規制片515a,515bの先端が前後方向に重畳して配置されるようになっている。
【0209】
駆動アーム511aの上部には、駆動モータ516の駆動軸に固着する駆動ギヤ517に噛合する従動ギヤ518が形成されている。また、駆動アーム511bの上部には、駆動ギヤ517には、中間ギヤ519を介して噛合する従動ギヤ520が形成されている。
【0210】
また、ガイド板504には、補助アーム520a,520bが、前後方向を向く揺動軸521a,521bを中心として揺動可能に設けられている。駆動アーム511a,511bのそれぞれ下端には長孔526が形成されており、左可動部502a及び右可動部502bの背面下部位置に設けられた前後方向を向く支持軸527が挿入されている。
【0211】
図24に示すように、このように構成された演出装置500にあっては、左可動部502a及び右可動部502bは、演出表示装置9の左右側にそれぞれ分離した状態で退避した退避位置(図24(a)参照)と、演出表示装置9の表示画面の前方に重畳するように配置され、互いの対向辺同士を当接させて合体する演出位置(図24(c)参照)と、の間で往復揺動可能に設けられている。
【0212】
詳しくは、駆動モータ516の駆動ギヤ517の回動力が従動ギヤ518,520に伝達されることにより、駆動アーム511a,511bが揺動軸510a,510bを中心として回動することで、左可動部502a及び右可動部502bがそれぞれ第1ガイド溝505及び第2ガイド溝506に沿って左右方向に移動される。
【0213】
このように、左可動部502a及び右可動部502bの一部(例えばここでは上部)のみがガイド板504等に対し片持ち状態でガイドされる場合、他部(例えばここでは下部)側はガイド部から遠くなるので、左右方向への移動時において、前後方向へのガタツキが生じやすいので、演出位置において合体するときに、前後方向のずれが生じる虞がある。
【0214】
しかし、演出位置において規制片515a,515bが前後に重畳するように配置されることで、左可動部502a及び右可動部502bの前後方向への相対移動が当接により規制されるため、前後方向の位置ずれが防止される。
【0215】
また、このような規制片515a,515bは、左可動部502a及び右可動部502bの内側辺から予め突出するように設けられているのではなく、駆動アーム511a,511bに形成されていることで、図24に示すように、退避位置においては、左可動部502a及び右可動部502bの背面に隠蔽されるので見えることがないばかりか、演出位置に向けて漸次突出してくるものの、演出位置においては背面側で当接するため、見栄えが損なわれることはない。
【0216】
尚、本実施例では、左可動部502a及び右可動部502bの移動に応じて可動する可動部の一例としての駆動アーム511a,511bにこのような規制片515a,515bが形成されていたが、左可動部502a及び右可動部502bの移動に応じて可動する可動部であれば、左可動部502a及び右可動部502bを駆動させるもの以外の可動部に形成されていてもよい。
【0217】
次に、本発明の変形例としての特別可変入賞球装置20’について、図25〜図27に基づいて説明する。図25は、本発明の変形例としての特別可変入賞球装置を示す斜視図である。図26は、図25の特別可変入賞球装置の内部構造を示す分解斜視図である。図27は、(a)は図25の大入賞口扉の閉鎖状態、(b)は開放状態を示す斜視図である。尚、以下において、前記実施例の特別可変入賞球装置20と同様の構成部位に関しては、特別可変入賞球装置20に付した符号に100を加算した符号を付すことで、その詳細な説明は省略する。
【0218】
本変形例としての特別可変入賞球装置20’において、前記実施例の特別可変入賞球装置20との相違点は、1つのソレノイド21Aにより連動機構を介して揺動板820と規制板830とを連動させる点である。
【0219】
具体的には、図25〜図27に示すように、駆動機構870は、大入賞口扉20bと、該大入賞口扉20bを駆動するソレノイド21Aと、ソレノイド21Aのプランジャ(図示略)の先端に取り付けられ前後に移動する移動部材871Lと、大入賞口扉20bを挟んで移動部材871Lの反対側に配設される移動部材871Rと、移動部材871L,871Rを連結する連結リンク872と、から主に構成される。
【0220】
移動部材871L,871Rは、ベース本体802に対し前後方向にスライド移動可能にガイドされ、左側の移動部材871Lには、規制板830の外側面に形成された連結軸833が挿入される縦長の連結孔834が形成されているとともに、右側の移動部材871Rには、揺動板820に形成された連結軸825が挿入される縦長の連結孔826が形成されている。
【0221】
連結リンク872は、長手方向の中央に形成された軸孔873が、ベースカバー803の上面に形成された上下方向を向く回動軸(図示略)に挿入されることにより、該軸孔873を中心として水平方向に回動可能とされており、左端は移動部材871Lの上面に突設された連結軸874Lに枢支され、右端は移動部材871Rの上面に突設された連結軸874Rに枢支されている。
【0222】
よって、大入賞口扉20bの開放状態においては、ソレノイド21Aは非励磁状態であるのでプランジャ(図示略)が前方に付勢されているので、移動部材871Lは前方位置に位置しているのに対し、移動部材871Rは連結リンク872により後方位置に位置している。ここで、移動部材871Lが前方位置にあることで連結軸833は前方に押し出されるので、規制板830は規制位置にて起立姿勢をなし、移動部材871Rが後方位置にあることで連結軸825は後方に引き出されるので、揺動板820は退避位置にて前傾姿勢をなす。
【0223】
大入賞口扉20bの閉鎖状態においては、ソレノイド21Aは励磁状態であるのでプランジャ(図示略)が後方に引き戻されているので、移動部材871Lは後方位置に位置しているのに対し、移動部材871Rは連結リンク872により前方位置に位置している。ここで、移動部材871Lが後方位置にあることで連結軸833は後方に引き出されるので、規制板830は非規制位置にて傾倒姿勢をなし、移動部材871Rが前方位置にあることで連結軸825は前方に押し出されるので、揺動板820は進出位置にて後傾姿勢をなす。
【0224】
このように、1つの駆動源(例えば、ソレノイド21A等)により、揺動板820と規制板830とを連動機構である連結リンク872等を介して連動させるようにしてもよい。このようにすることで、揺動板820と規制板830とを1つの駆動源で駆動することができるばかりか、機械的な連動機構により連動させることができるので、遊技の制御を行うCPU56による連動制御負荷を軽減することができる。
【0225】
尚、本変形例では、連動機構として連結リンク872等を記載したが、揺動板720の駆動に連動して規制板730を上下させることができれば、上記連結リンクのようなものは使用せず、ギヤ機構等(図示略)の他の連動機構を介して連動させてもよい。
【0226】
図28は、本発明の他の変形例としての特別可変入賞球装置20A〜20Dを示す正面図である。
【0227】
前記実施例では、規制板730は、横長長方形状に形成され、規制位置において揺動板720の上面(第1傾斜面720a〜720c)に対し下端辺730aが略平行をなすように配設されていたが、揺動板720の上面(第1〜第3傾斜面720a〜720c)に対し非平行となるように形成してもよい。
【0228】
例えば、特別可変入賞球装置20Aに示すように、規制板730の下端辺730aを、長手方向の略中央位置が下方に突出するように山形に形成してもよい(図28(a)参照)。
【0229】
また、特別可変入賞球装置20Bに示すように、規制板730の下端辺730aを、長手方向の略中央位置が上方に凹むように谷形に形成してもよい(図28(b)参照)。
【0230】
また、特別可変入賞球装置20Cに示すように、規制板730の下端辺730aを、長手方向の略中央位置が下方に膨出するように湾曲状に形成してもよい(図28(c)参照)。
【0231】
また、特別可変入賞球装置20Dに示すように、規制板730の下端辺730aではなく、揺動板720の上面(例えば、第1〜第3傾斜面720a〜720c)における長手方向の略中央位置が上方に突出するように山形に形成してもよい(図28(d)参照)。
【0232】
このように、揺動板720の上面に対し規制板730の下端辺730aが長手方向に傾斜するように(非平行に)配設することで、例えば、規制板730が退避位置から規制位置に向けて移動する際に、退避位置に向けて退避する揺動板720に巻き込まれた遊技球Pが規制板730の下端辺730aと揺動板720の上面との間に入り込んでも、下端辺730aが揺動板720の上面に対し傾斜していることで、遊技球Pは間口の広い方に逃げやすくなるので、閉鎖動作時において下端辺730aと揺動板720の上面との間に遊技球P等が噛んで揺動板720や規制板730等の動きに支障をきたすことがない。
【0233】
尚、規制位置における揺動板720の上面と規制板730の下端辺730aとの間の上下幅寸法L3(図14(a)参照)を、遊技球Pの半径Rよりも短寸とすることで(L3<R)、遊技球Pは下端辺730aと揺動板720の上面との間に入り込みにくくなるが、上下幅寸法L3を小さくしすぎると規制板730が長くなり、動作時に揺動板720と接触する虞が生じる。よって、構造上、上下幅寸法L3を遊技球Pの半径Rよりも短寸とすることができない場合、上記のように、揺動板720の上面に対し規制板730の下端辺730aが長手方向に傾斜するように(非平行に)配設することが好ましい。
【0234】
また、前記実施例では、本発明を特別可変入賞球装置20に適用した例を説明したが、可変入賞球装置15や他の入賞口にも本発明を適用可能である。
【0235】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0236】
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0237】
1 パチンコ遊技機
20a 大入賞口
20b 大入賞口扉
20 特別可変入賞球装置
21 ソレノイド
23 カウントスイッチ
700 大入賞ユニット
704 規制部材
705 扉駆動機構
706 規制板駆動機構
707 入賞球誘導通路
720 揺動板
721,722 支持板
723L,723R 揺動軸
730 規制板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面に形成される遊技領域に遊技球を発射することにより遊技が行われる遊技機であって、
遊技球が入賞しやすい第1状態と入賞しないまたは入賞しにくい第2状態とに変化する可変入賞装置を備え、
前記可変入賞装置は、
前記遊技領域に対して開口する進入口の上部に該進入口の上辺に対し略平行に設けられた軸部を中心として揺動可能に吊支される可動板部と、
前記可動板部を、前記進入口から前記遊技領域側に進出して前記第1状態を構成する進出位置と、該進出位置から前記進入口側に退避して前記第2状態を構成する退避位置と、の間で揺動させる駆動手段と、を備える、
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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