説明

遊技機

【課題】線材を取り付けた遊技球を用いた不正を防止することが可能な遊技機を提供する。
【解決手段】突出部は、遊技球の経路内に当該経路と交差する方向から突出して設けられ、当該経路内を通過する遊技球の軌道を曲げる。検出部は、突出部によって曲げられた軌道を通過する遊技球を、当該軌道内で検出する。突出部は、遊技球が軌道を通過する方向に沿って当該突出部の先端から基端に向かって形成され、当該遊技球の直径よりも狭い間隙で当該突出部の内部を上下方向へ貫通する溝が少なくとも1つ形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正行為を防止する機能を有するパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技機には、遊技球が入賞すると所定の抽選(特別図柄抽選等)が実行されると共に賞球が払い出されることとなる始動口や、遊技球が入賞すると賞球が払い出されることとなる入賞口等が備えられている。そして、これらの始動口や入賞口等には、遊技球の入賞を検知するために、遊技球が通過したことを検出するセンサが備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−119595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遊技機において、釣り糸やピアノ線等の細線の先端に遊技球を接着し、当該遊技球を遊技領域へ発射して遊技することによって不正な賞球や当たりを発生させる行為が行われている。具体的には、上記不正を行う遊技者は、上記細線を接着した遊技球を遊技領域へ発射し、遊技機に設けられた始動口や普通入賞口へ当該遊技球を入賞させる。そして、当該入賞状態が連続して発生するように細線を出し入れして始動口や普通入賞口の内部で遊技球を往復移動させることによって、賞球や当たり抽選を連続的に発生させる。
【0005】
しかしながら、従来のパチンコ遊技機では、細線を接着した遊技球を用いた不正を防止することができなかった。
【0006】
それ故に、本発明の目的は、線材を取り付けた遊技球を用いた不正を防止することが可能な遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は例えば以下のような構成を採用し得る。なお、特許請求の範囲の記載を解釈する際に、特許請求の範囲の記載によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解され、特許請求の範囲の記載と本欄の記載とが矛盾する場合には、特許請求の範囲の記載が優先する。なお、括弧内の参照符号等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0008】
本発明の遊技機(1)の一構成例は、遊技球の経路(70)、突出部(71)、および検出部(72)を備える。突出部は、経路内に当該経路と交差する方向から突出して設けられ、当該経路内を通過する遊技球の軌道を曲げる。検出部は、突出部によって曲げられた軌道を通過する遊技球を、当該軌道内で検出する。突出部は、遊技球が軌道を通過する方向に沿って当該突出部の先端(71t)から基端(71b)に向かって形成され、当該遊技球の直径よりも狭い間隙で当該突出部の内部を上下方向へ貫通する溝が少なくとも1つ形成されている。
【0009】
また、上記突出部は、溝が複数形成されることによって、基端から先端への方向が凸となった櫛歯状に形成されてもよい。
【0010】
また、上記突出部の下面は、基端における当該下面の位置を基準として水平または俯角方向に傾斜して形成されてもよい。
【0011】
また、上記突出部の下面は、少なくとも1つの凹部(71c)が形成されてもよい。
【0012】
また、上記検出部は、突出部によって曲げられた軌道のうち、突出部の下方に形成された軌道を通過する遊技球を検出してもよい。
【0013】
また、上記検出部は、突出部によって曲げられた軌道のうち、突出部の先端に沿って形成された軌道を通過する遊技球を検出してもよい。
【0014】
また、上記検出部は、突出部によって曲げられた軌道のうち、突出部の上方に形成された軌道を通過する遊技球を検出してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、線材を取り付けた遊技球を用いた不正を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る遊技機1の一例を示す概略正面図
【図2】発射球通路63を通って遊技領域20へ発射される不正遊技球の動きの一例を説明するための概要図
【図3】図1の遊技機1に設けられた不正防止機構の全体構成の一例を示す縦断面図
【図4】図3のD方向から経路70および突出部71を見た一例を示す図
【図5】図3のE方向から経路70および突出部71を見た一例を示す図
【図6】突出部71の下面の他の形成例を説明するための縦断面図
【図7】突出部71の下面に凹部71cを形成した例を説明するための縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係る遊技機が搭載された遊技機について説明する。なお、図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機1の一例を示す概略正面図である。図2は、発射球通路63を通って遊技領域20へ発射される不正遊技球の動きの一例を説明するための概要図である。
【0018】
図1において、遊技機1は、例えば遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機である。この遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材5とを備えている。枠部材5は、軸支側に設けられた蝶番を中心に、遊技機1の主部に対して開閉可能に構成され、遊技盤2に対して着脱自在に取り付けられている。そして、枠部材5の前面側となる所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には錠部43が設けられており、錠部43を開錠することによって枠部材5を開くことが可能となる。このように、枠部材5を開くことによって遊技盤2が外部に開放した状態となり、遊技機1が設置されている店の従業員が遊技機1の前面から遊技盤2を直接触るような作業が可能となる。
【0019】
遊技盤2は、その前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域20が形成されている。また、遊技盤2には、下方(発射装置)から発射された遊技球が遊技盤2の前面に沿って上昇して遊技領域20の上部位置へ向かう発射球通路63を形成する内レール61および外レール62が取り付けられている。例えば、外レール62は、ステンレス製帯板によって構成され、遊技盤2の前面の外周部位付近に円弧状に湾曲させて固設される。内レール61は、ステンレス製帯板によって構成され、外レール62の内側に所定の間隔を開けて遊技盤2の前面に円弧状に湾曲させて固設される。そして、遊技球は、内レール61および外レール62の間となる遊技盤2の前面に沿った空間(発射球通路63)を通って、遊技領域20へ打ち出される。
【0020】
また、遊技盤2には、遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための画像を表示する画像表示部21が配設されている。画像表示部21は、遊技者によるゲームの進行に応じて、例えば、装飾図柄を表示することによって図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したりする。なお、画像表示部21は、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)ドット表示装置、および7セグメントディスプレイ(以下、7セグ表示装置と記載する)等によって構成されるが、他の任意の表示装置を利用してもよい。さらに、遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる可動役物22および盤ランプ23が設けられている。可動役物22は、遊技盤2に対して可動に構成され、遊技者によるゲームの進行に応じて所定の動作で移動させることによって各種の演出を行う。また、盤ランプ23は、遊技者によるゲームの進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。
【0021】
遊技領域20には、遊技球が下方へ落下する方向を変化させる遊技くぎおよび風車(共に、図示せず)等が配設されている。また、遊技領域20には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。なお、図1においては、入賞や抽選に関する種々の役物の一例として、第1始動口25a、第2始動口25b、ゲート27、大入賞口28、および普通入賞口29が遊技盤2に配設されている。さらに、遊技領域20には、遊技領域20に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかった遊技球を、遊技領域20の外に排出する排出口24が配設されている。
【0022】
第1始動口25aおよび第2始動口25bは、それぞれ遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第1始動口25aは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。また、第2始動口25bは、上記特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。ゲート27は、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する。
【0023】
第2始動口25bは、第1始動口25aの下部に設けられ、普通電動役物の一例として、遊技球の入口近傍に電動チューリップ26を備えている。電動チューリップ26は、チューリップの花を模した一対の羽根部を有しており、後述する電動チューリップ開閉部112(例えば、電動ソレノイド)の駆動によって当該一対の羽根部が左右に開閉し、開閉動作と共に点灯または点滅する。電動チューリップ26は、一対の羽根部が閉じていると、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が極めて狭いため、遊技球が第2始動口25bへ入らない状態となる。一方、電動チューリップ26は、一対の羽根部が左右に開くと、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が拡大するため、遊技球が第2始動口25bへ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ26は、ゲート27を遊技球が通過することによって普通図柄抽選に当選すると、点灯または点滅しながら一対の羽根部が規定時間(例えば、0.15秒間または1.80秒間)開き、規定回数(例えば、1回または3回)だけ開閉する。
【0024】
大入賞口28は、第2始動口25bの下方に位置し、特別図柄抽選の結果に応じて開放する。大入賞口28は、通常は閉状態であり遊技球が入ることがない状態となっているが、特別図柄抽選の結果に応じて遊技盤2の主面から突出傾斜して開状態となって遊技球が入り易い状態となる。例えば、大入賞口28は、所定条件(例えば、29.5秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで開状態となるラウンドを、所定回数(例えば、15回または1回)だけ繰り返す。また、普通入賞口29は、遊技球が入賞しても抽選が始動しない。
【0025】
また、遊技盤2の所定位置(例えば、右下)に、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する表示を行う表示器3が配設されている。
【0026】
なお、図1に示した遊技機1は、遊技領域20に2つの第1始動口25aおよび第2始動口25bが配設されているが、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選が開始される始動口を1つだけ設けてもかまわない。また、遊技機1は、遊技領域20に1つの大入賞口28が配設されているが、大入賞口28と同様の機能を有する大入賞口を複数設けてもかまわない。
【0027】
また、遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時に大当たりが抽選される大当たり確率が変動することがある。例えば、遊技機1は、上記大当たり確率が相対的に低い状態(低確状態;例えば大当たり確率が300分の1)から上記大当たり確率が相対的に高い状態(高確状態;例えば大当たり確率が30分の1)へ変動することがある。また、遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間が短縮されたり、普通図柄抽選時の当選する確率が高まったり、普通図柄抽選時の普通図柄変動時間が短縮されたり、電動チューリップ26の羽根部の開時間が延長されたり、電動チューリップ26の羽根部が開閉する回数が増えたりする(電チューサポート)場合がある。
【0028】
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入る(入賞)と、遊技球が入賞した場所に応じて、1つの遊技球当たり規定個数の賞球が払い出される。例えば、第1始動口25aおよび第2始動口25bに遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が入賞すると10個の賞球がそれぞれ払い出される。なお、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは無い。
【0029】
遊技機1の前面となる枠部材5には、ハンドル51、レバー52、停止ボタン53、取り出しボタン54、スピーカ55、枠ランプ56、演出ボタン57、演出キー58、皿59、および錠部43等が設けられている。
【0030】
遊技者がハンドル51に触れてレバー52を時計方向に回転させる操作を行うと、その操作角度に応じた打球力にて所定の時間間隔(例えば、1分間に100個)で、発射装置が遊技球を電動発射する。皿59は、遊技機1の前方に突出して設けられ、発射装置に供給する遊技球を一時的に溜めておく。また、皿59には、上述した賞球が払い出される。そして、皿59に溜められた遊技球は、遊技者のレバー52による操作と連動したタイミングで、供給装置(図示せず)によって1つずつ発射装置に供給される。なお、皿59は、上下皿一体で構成してもいいし、上皿と下皿とを分離して構成してもかまわない。また、ハンドル51は、所定条件下で発光させてもかまわない。
【0031】
停止ボタン53は、ハンドル51の下部側面に設けられ、ハンドル51に遊技者が触れてレバー52を時計方向に回転させている状態であっても、遊技者に押下されることによって遊技球の発射を一時的に停止させる。取り出しボタン54は、皿59が設けられた位置近傍の前面に設けられ、遊技者に押下されることによって皿59に溜まっている遊技球を箱(図示せず)に落下させる。
【0032】
スピーカ55および枠ランプ56は、それぞれ遊技機1の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりする。スピーカ55は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。また、枠ランプ56は、点灯/点滅によるパターンや発光色の違い等によって光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ56は、光の照射方向を変更可能にして、当該照射方向を変えることによる演出を行ってもかまわない。
【0033】
次に、図2を参照して、発射装置によって発射された不正遊技球の動きについて説明する。なお、図2は、遊技機1の発射装置によって発射された不正遊技球の動きの一例を説明するための概略図である。なお、図2においては、説明を簡単にするために、遊技機1を構成する構成部材のうち、遊技領域20、第1始動口25a、内レール61、外レール62、発射球通路63のみを示している。
【0034】
図2において、細線を接着した不正遊技球を遊技者が遊技機1に供給して発射装置で発射操作を行うと、不正遊技球は、遊技球発射方向へ発射される。発射装置で発射された不正遊技球は、遊技盤2の前面に沿った上方へ、内レール61および外レール62の間に形成されている発射球通路63を通って、図示A方向に移動している不正遊技球のように移動する。そして、発射球通路63へ発射された不正遊技球は、発射球通路63から遊技領域20の上方へ放出される。そして、遊技領域20の上方へ放出された遊技球は、図示B方向に移動している不正遊技球のように、遊技領域20内を遊技盤前面に沿って自由落下して移動する。
【0035】
遊技領域20へ発射された不正遊技球は、賞球が払い出される役物(例えば、第1始動口25a)に自然に入ることがある。また、不正遊技球に一方端が取り付けられた細線の他方端を操作する遊技者が、当該細線を操作することによって当該不正遊技球が当該役物に入るように不正に導くことも可能である。そして、賞球が払い出される役物に入った不正遊技球は、遊技者が上記細線を遊技機1内に出し入れすることによって、当該役物に遊技球が入ったことを検出するセンサの検出領域内から検出領域外および検出領域外から検出領域内へ往復移動(例えば、図示C方向に示す第1始動口25aに入った後の経路内での往復移動)するように操作させる。この不正操作によって、上記役物に遊技球が入ったことを検出するセンサが複数の遊技球が入賞した場合と同様の検出結果を出力するため、当該検出結果を取得する遊技機1の制御部は、当該検出結果に応じた賞球を払い出してしまう。また、上記役物が特別図柄抽選(大当たり抽選)を始動する始動口である場合、当該検出結果を取得する遊技機1の制御部は、当該検出結果に応じて特別図柄抽選を開始してしまう。
【0036】
次に、図3〜図5を参照して、遊技機1に設けられた不正防止機構について説明する。なお、図3は、遊技機1に設けられた不正防止機構の全体構成の一例を示す縦断面図である。図4は、図3のD方向から経路70および突出部71を見た一例を示す図である。図4は、図3のE方向から経路70および突出部71を見た一例を示す図である。
【0037】
図3において、遊技機1に設けられる不正防止機構は、賞球が払い出される役物(例えば、第1始動口25a、普通入賞口29、第2始動口25b、および大入賞口28等が考えられるが、典型的には第1始動口25aや普通入賞口29)に入った遊技球がその後に通過する経路70上に設けられる。上記不正防止機構は、突出部71および検出部72を備えている。突出部71は、上記役物に入った遊技球が通過する経路70内に設けられる。そして、突出部71は、経路70と交差する方向から突出して設けられ、図示白抜き矢印で示されるように、経路70内を通過する遊技球の軌道(経路70)を当該突出方向に曲げて、上記役物に入った遊技球を通過させる。
【0038】
検出部72は、突出部71によって曲げられた経路70内を通過する遊技球を、当該経路70内で検出する。一例として、検出部72は、突出部71の下面に沿って形成されている経路70内に検出部72の検出領域DAを形成する。この場合、検出部72は、突出部の先端71tから基端71bに向かって突出部71の下面に沿って経路70内を通過する遊技球を検出することになる。例えば、検出部72は、検出領域DA内を通過する遊技球を検出可能な近接センサ(近接スイッチ)、フォトセンサ、光センサ等によって構成され、検出領域DA内を通過する遊技球を検出した場合、当該検出を示す信号を遊技機1の制御部へ出力する。そして、上記制御部は、遊技球を検出したことを示す信号を検出部72から取得することによって、上記役物に遊技球が入賞したことを知ることができる。
【0039】
図4および図5を用いて、突出部71の詳細な構造例について説明する。突出部71は、基端71bから先端71tへの方向に凸となり、遊技球の直径よりも狭い間隙の櫛歯状に形成されている。櫛歯状に形成された各突起間には、曲げられた経路70を遊技球が通過する方向に沿って先端71tから基端71bに向かって形成され、突出部71の内部を上下方向(例えば、図3に示すD方向)へ貫通する複数の溝(間隙)が形成される。具体的には、上記溝の開口幅は、経路70を通過する遊技球の直径より狭く、不正遊技球に取り付けられると想定されている線材の直径より広く設定される。
【0040】
次に、図3〜図5を参照して、細線を取り付けた不正遊技球を用いた不正が上記不正防止機構によって防止されるメカニズムの一例について説明する。
【0041】
図3に示すように、細線を取り付けた不正遊技球が上記役物に入った場合、当該不正遊技球が経路70を通って、突出部71付近に到達する。その後、上記不正遊技球は、突出部71によって曲げられた経路70を通って、すなわち、図3に示した白抜き矢印の軌道に沿って検出部72の検出領域DAに到達する。このとき、不正遊技球の細線を操作する遊技者(不正者)が、当該不正遊技球を用いて上記役物の入賞を繰り返すためには、当該不正遊技球が検出領域DA内から検出領域DA外および検出領域DA外から検出領域DA内へ往復移動するように操作する必要がある。ここで、図3〜図5に示すように、突出部71によって曲げられた経路70を通って検出領域DA付近まで不正遊技球を進入させた場合、当該不正遊技球が突出部71の下面に沿って形成されている経路70内まで進入していることになり、不正遊技球に取り付けられている細線が突出部71に形成された何れかの溝内部に入り込んだ状態となる。したがって、不正者は、細線が突出部71に形成された溝内部に入り込んだ状態で上記役物の入賞を繰り返すような操作を行うことになる。しかしながら、細線が突出部71に形成された溝内部に入り込んだ状態で当該細線を引き上げるような操作を行ったとしても、図3や図4に示すように不正遊技球が突出部71の下面と当接した状態で上方へ引き上げることとなるため、不正遊技球を引き上げて経路70内を後退させるように移動させることはできない。すなわち、不正者は、検出領域DA内から検出領域DA外および検出領域DA外から検出領域DA内へ往復移動するように不正遊技球を操作することができないため、上記役物の入賞を繰り返す不正が防止されることになる。
【0042】
このように、本発明の遊技機によれば、線材を取り付けた不正遊技球を用いた不正が行われた場合、突出部71によって当該不正を防止することができる。
【0043】
なお、図3を用いて示した不正防止機構の一例では、突出部71の下面が遊技球の進行方向に向かって下がる態様を用いているが、当該下面は他の形状で形成してもかまわない。
【0044】
第1の例として、図6に示すように、突出部71の下面が遊技球の進行方向に向かって水平または上がる(すなわち、基端71bにおける下面の位置を基準として、水平または俯角方向に傾斜)ように形成してもかまわない。何れの場合であっても、不正遊技球が突出部71の下面に沿って形成されている経路70内まで一旦進入した後に細線を引き上げた場合に、当該不正遊技球が突出部71の先端71t側へさらに移動しにくくなるため、上述した不正操作を確実に防止することができる。
【0045】
第2の例として、図7に示すように、突出部71の下面の一部に凹部71cを形成してもかまわない。これによって、不正遊技球が突出部71の下面に沿って形成されている経路70内まで一旦進入した後に細線を引き上げた場合に、当該不正遊技球が突出部71の下面に形成された凹部71cにはまり込んで先端71t側へさらに移動しにくくなるため、上述した不正操作を確実に防止することができる。
【0046】
また、図3を用いて示した不正防止機構の一例では、突出部71の下面に沿って形成されている経路70内に検出領域DAが形成される位置に検出部72を配置したが、突出部71によって曲げられた経路70内を通過する遊技球を検出できる位置であれば、他の位置に検出部72を配置してもかまわない。一例として、突出部71によって曲げられた経路70のうち、突出部71の先端71tに沿って形成されている経路70内に検出領域DAが形成される位置に検出部72を配置する。この位置に検出部72を配置したとしても、不正遊技球が突出部71の先端71tに沿って形成されている経路70内または突出部71の下面に沿って形成されている経路70内まで進入した場合に、突出部71に形成された何れかの溝内部に入り込んだ状態となることが期待できるため、上述した不正操作を防止する効果を期待することができる。
【0047】
他の例として、突出部71によって曲げられた経路70のうち、突出部71の上面に沿って形成されている経路70内に検出領域DAが形成される位置に検出部72を配置する。この位置に検出部72を配置したとしても、不正者の細線操作次第では、不正遊技球が突出部71の先端71tに沿って形成されている経路70内または突出部71の下面に沿って形成されている経路70内まで進入することがあり得るため、このような場合に突出部71に形成された何れかの溝内部に入り込んだ状態となることが期待でき、上述した不正操作を防止する効果を期待することができる。
【0048】
また、図3、図6、および図7を用いて示した不正防止機構の一例では、突出部71によって曲げられた経路70から退出する退出経路(経路70)が、当該曲げられた経路70に進入する進入経路(経路70)の直下となる位置に設けられているが、当該進入経路に対して当該退出経路を他の位置に設けてもかまわない。一例として、突出部71によって曲げられた経路70から退出する退出経路は、突出部71の下面に沿って形成されている経路70の途中から下方へ退出する位置に設けられてもよい。
【0049】
また、上述した例では、突出部71に複数の溝を形成しているが、当該溝は少なくとも1つ形成すればよい。例えば、突出部71に単一の溝を形成した場合であっても、当該溝に不正遊技球に取り付けられた細線が入り込むことが期待できるため、上述した例と同様に不正操作を防止する効果を期待することができる。
【0050】
また、突出部71に形成された溝の先端71t側開口部の角部を、テーパ形状や円弧形状に形成してもかまわない。このように溝の開口角部をテーパ形状や円弧形状にすることによって、当該溝に不正遊技球に取り付けられた細線が入り込みやすくなるため、上述した不正操作を防止する効果を高めることができる。
【0051】
また、上述した遊技機1に設けられている各構成要素の形状、数、および設置位置等は、単なる一例に過ぎず他の形状、数、および設置位置であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
【0052】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。また、当業者は、本発明の具体的な実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0053】
以下、上記実施形態における作用効果について説明する。なお、特許請求の範囲の記載を解釈する際に、特許請求の範囲の記載によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解され、特許請求の範囲の記載と本作用効果の記載とが矛盾する場合には、特許請求の範囲の記載が優先する。また、本作用効果における括弧内の記載は、本発明の理解を助けるために上記実施形態との対応関係を示したものであって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0054】
上記実施形態においては、遊技球の経路(経路70)、突出部(突出部71)、および検出部(検出部72)を備える。突出部は、経路内に当該経路と交差する方向から突出して設けられ、当該経路内を通過する遊技球の軌道を曲げる。検出部は、突出部によって曲げられた軌道を通過する遊技球を、当該軌道内で検出する。突出部は、遊技球が軌道を通過する方向に沿って当該突出部の先端(先端71t)から基端(先端71b)に向かって形成され、当該遊技球の直径よりも狭い間隙で当該突出部の内部を上下方向へ貫通する溝が少なくとも1つ形成されている。
【0055】
上記によれば、線材を取り付けた不正遊技球を用いた不正が行われた場合、当該線材が溝に入り込んだ状態になると不正遊技球を引き上げられなくなるため、当該不正を防止することができる。
【0056】
上記突出部は、溝が複数形成されることによって、基端から先端への方向が凸となった櫛歯状に形成されてもよい。
【0057】
上記によれば、不正遊技球に取り付けられた線材が櫛歯状に形成された突出部の溝に入り込みやすくなるため、不正を確実に防止することができる。
【0058】
上記突出部の下面は、基端における当該下面の位置を基準として水平または俯角方向に傾斜して形成されてもよい。
【0059】
上記によれば、突出部の下方に形成されている経路内に進入した不正遊技球が、突出部の先端側へさらに移動しにくくなるため、不正を確実に防止することができる。
【0060】
上記突出部の下面は、少なくとも1つの凹部(凹部71c)が形成されてもよい。
【0061】
上記によれば、突出部の下方に形成されている経路内に進入した不正遊技球が、凹部にはまり込んで先端側へさらに移動しにくくなるため、不正を確実に防止することができる。
【0062】
第1の例として、上記検出部は、突出部によって曲げられた軌道のうち、突出部の下方に形成された軌道を通過する遊技球を検出してもよい。第2の例として、上記検出部は、突出部によって曲げられた軌道のうち、突出部の先端に沿って形成された軌道を通過する遊技球を検出してもよい。第3の例として、上記検出部は、突出部によって曲げられた軌道のうち、突出部の上方に形成された軌道を通過する遊技球を検出してもよい。
【0063】
上記によれば、不正者は、検出部が遊技球を検出する検出領域内から検出領域外および検出領域外から検出領域内へ往復移動するように不正遊技球を操作することができなくなる。
【符号の説明】
【0064】
1…遊技機
2…遊技盤
20…遊技領域
21…画像表示部
22…可動役物
23…盤ランプ
24…排出口
25a…第1始動口
25b…第2始動口
26…電動チューリップ
27…ゲート
28…大入賞口
29…普通入賞口
3…表示器
43…錠部
5…枠部材
51…ハンドル
52…レバー
53…停止ボタン
54…取り出しボタン
55…スピーカ
56…枠ランプ
57…演出ボタン
58…演出キー
59…皿
61…内レール
611…固定部材
62…外レール
63…発射球通路
70…経路
71…突出部
72…検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の経路と、
前記経路内に当該経路と交差する方向から突出して設けられ、当該経路内を通過する遊技球の軌道を曲げる突出部と、
前記突出部によって曲げられた軌道を通過する遊技球を、当該軌道内で検出する検出部とを備え、
前記突出部は、遊技球が前記軌道を通過する方向に沿って当該突出部の先端から基端に向かって形成され、当該遊技球の直径よりも狭い間隙で当該突出部の内部を上下方向へ貫通する溝が少なくとも1つ形成されている、遊技機。
【請求項2】
前記突出部は、前記溝が複数形成されることによって、前記基端から前記先端への方向が凸となった櫛歯状に形成される、請求項1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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