説明

遊技機

【課題】遊技機の製造コストを抑えつつ発射個数を計測する。
【解決手段】電源及び発射制御装置79は、主制御装置71からの発射許可の受信回路117を通じた発射許可信号がHIレベルであることを条件に、発射ソレノイド54及び球送り装置53を制御して、遊技球を所定の周期で遊技領域に発射する。この構成において、主制御装置71は、発射球数計測処理にて発射許可信号をHIレベルで出力している期間内に、遊技球の発射周期と同期したカウンタである発射周期カウンタが1周するごとに発射球数カウンタを1加算して、発射球数を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技機本体の前面部に発射操作装置を備えており、当該発射操作装置が操作されることで発射装置が動作し、遊技領域の上部に遊技球が発射される(例えば、特許文献1参照)。また、発射された遊技球が遊技領域に設けられた開口部に入球することに基づいて払出装置から所定の個数の遊技球が払い出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−305079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、発射装置から発射された発射個数の計測が必要となる場合がある。例えば、発射個数を踏まえて払出個数を報知すれば、遊技者は実際に獲得した個数を把握することが可能となる。また、遊技の進行内容に計測した発射個数を加味することで斬新な遊技とすることができる。しかし、発射個数の計測について、別途センサ等を設けることで遊技機における製造コストが増加することは好ましくなく、この点について未だ改良の余地がある。
【0005】
本発明は、上記例示した事情等に鑑みてなされたものであり、遊技球の製造コストを抑えつつ発射個数を計測することが可能な遊技機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0007】
請求項1に記載の発明は、遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段と、
所定条件が成立している場合に前記発射手段に特定の発射周期で発射動作を行わせる発射制御手段と、
を備えた遊技機において、
前記所定条件が成立している期間において当該成立期間と前記特定の発射周期との関係を利用して前記発射動作が行われた回数を算出する算出手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技球の製造コストを抑えつつ発射個数を計測することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】パチンコ機を示す正面図である。
【図2】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図3】パチンコ機の主要な構成を展開して示す斜視図である。
【図4】(a)遊技盤の構成を示す正面図、(b)可変入賞装置を説明するための縦断面図である。
【図5】(a),(b)図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための説明図である。
【図6】パチンコ機の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】当否抽選などに用いられる各種カウンタの内容を説明するための説明図である。
【図8】MPUにて実行されるメイン処理を示すフローチャートである。
【図9】MPUにて実行されるタイマ割込み処理を示すフローチャートである。
【図10】MPUにて実行される発射制御処理を示すフローチャートである。
【図11】MPUにて実行される発射球数計測処理を示すフローチャートである。
【図12】MPUに設けられた入力ポートの電気的な構成を示すブロック図である。
【図13】(a)MPUにて実行される入賞検知処理を示すフローチャートであり、(b)第1入賞判定エリア,第2入賞判定エリア,第1演算後エリア及び第2演算後エリアの構成を説明するための説明図である。
【図14】MPUにて実行される入賞判定処理を示すフローチャートである。
【図15】MPUにて実行される純増加球数演算処理を示すフローチャートである。
【図16】MPUにて実行される第1遊技状態移行処理を示すフローチャートである。
【図17】MPUにて実行される第2遊技状態移行処理を示すフローチャートである。
【図18】表示制御装置のMPUにて実行される総獲得球数設定処理を示すフローチャートである。
【図19】第2の実施の形態における、(a−1)〜(a−3)各賞球用入球部への入賞の状態を示すタイミングチャートであり、(b−1)〜(b−5)発射球数及び払出球数に関する各種カウンタの説明図であり、(c−1)〜(c−5)図柄表示装置の表示画面における表示内容を説明するための説明図である。
【図20】第3の実施の形態における、MPUにて実行される純増加球数演算処理を示すフローチャートである。
【図21】第3の実施の形態における、表示制御装置のMPUにて実行される総獲得球数設定処理を示すフローチャートである。
【図22】第4の実施の形態における、MPUにて実行される払出出力処理を示すフローチャートである。
【図23】第5の実施の形態における、MPUにて実行される純増加球数演算処理を示すフローチャートである。
【図24】第6の実施の形態における、MPUにて実行される開閉実行モード終了時の移行処理を示すフローチャートである。
【図25】第6の実施の形態における、MPUにて実行される第2遊技状態移行処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
【0011】
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機本体12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
【0012】
遊技機本体12は、図2及び図3に示すように、内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機本体12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として内枠13が前方へ回動可能とされている。
【0013】
内枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
【0014】
なお、遊技機本体12には、図3に示すように、その回動先端部に施錠装置16が設けられており、遊技機本体12を外枠11に対して開放不能に施錠状態とする機能を有しているとともに、前扉枠14を内枠13に対して開放不能に施錠状態とする機能を有している。これらの各施錠状態は、パチンコ機10前面にて露出させて設けられたシリンダ錠17に対して解錠キーを用いて解錠操作を行うことにより、それぞれ解除される。
【0015】
次に、遊技機本体12の前面側の構成について説明する。
【0016】
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース21を主体に構成されている。樹脂ベース21の中央部には略楕円形状の窓孔23が形成されている。樹脂ベース21には遊技盤24が着脱可能に取り付けられている。遊技盤24は合板よりなり、遊技盤24の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース21の窓孔23を通じて内枠13の前面側に露出した状態となっている。
【0017】
ここで、遊技盤24の構成を図4に基づいて説明する。図4(a)は遊技盤24の正面図であり、図4(b)は遊技盤24に設けられた可変入賞装置32を説明するための縦断面図である。
【0018】
遊技盤24には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口31,可変入賞装置32,上作動口(第1始動入球部)33,下作動口(第2始動入球部)34,スルーゲート35、可変表示ユニット36、メイン表示部43及び役物用表示部44等がそれぞれ設けられている。なお、一般入賞口31は複数設けられているとともに、スルーゲート35も複数設けられている。
【0019】
各一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34及び各スルーゲート35に対しては1対1で対応させて検知センサ31a,31b,31c,32e,33a,34c,35a,35bが設けられている。これら検知センサ31a〜35bはいずれも遊技盤24の背面側に配設されており、検知結果は後述する主制御装置に対して出力される。なお、検知センサ31a〜35bとしては、電磁誘導型の近接センサが用いられているが、遊技球の入賞を個別に検知できるのであれば使用するセンサは任意である。
【0020】
一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33及び下作動口34への入球の発生が検知されると、所定数の賞球の払い出しが実行される。当該賞球個数について具体的には、上作動口33への入球が発生した場合及び下作動口34への入球が発生した場合には3個の賞球の払い出しが実行され、一般入賞口31への入球が発生した場合には10個の賞球の払い出しが実行され、可変入賞装置32への入球が発生した場合には15個の賞球の払い出しが実行される。但し、これら賞球の個数は任意であり、例えば上作動口33に係る賞球個数よりも下作動口34に係る賞球個数が多いといったように、両作動口33,34の賞球個数が相違していてもよい。また、可変入賞装置32に係る賞球個数が他の賞球個数に比べて多い構成に限定されることはなく、例えば一般入賞口31に係る賞球個数よりも少ない構成としてもよい。
【0021】
その他に、遊技盤24の最下部にはアウト口37が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口37を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤24には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘38が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0022】
ここで、入球とは、所定の開口部を遊技球が通過することを意味し、開口部を通過した後に遊技領域から排出される態様だけでなく、開口部を通過した後に遊技領域から排出されない態様も含まれる。但し、以下の説明では、アウト口37への遊技球の入球と明確に区別するために、一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34又はスルーゲート35への遊技球の入球を、入賞とも表現する。
【0023】
上作動口33及び下作動口34は、作動口装置としてユニット化されて遊技盤24に設置されている。上作動口33及び下作動口34は共に上向きに開放されている。また、上作動口33が上方となるようにして両作動口33,34は鉛直方向に並んでいる。下作動口34には、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物34aが設けられている。
【0024】
電動役物34aは遊技盤24の背面側に搭載された電動役物駆動部34bに連結されており、当該電動役物駆動部34bにより駆動されて閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)及び開放状態(サポート状態又はガイド状態)のいずれかに配置される。電動役物34aの閉鎖状態では遊技球が下作動口34に入賞できず、電動役物34aが開放状態となることで下作動口34への入賞が可能となる。
【0025】
なお、これに限定されず、下作動口34への遊技球の入賞が発生し易い状態と、入賞が不可ではないが上記入賞が発生し易い状態よりも入賞が発生しづらい状態とに、電動役物34aが切り換えられる構成としてもよい。また、電動役物34aを不具備とし、入賞が発生し易い状態とそれよりも入賞が発生しづらい状態との間の切り換えが、下作動口34自身の変位により行われる構成としてもよい。
【0026】
可変入賞装置32は、図4(b)に示すように、遊技盤24の背面側へと通じる大入賞口32aを備えているとともに、当該大入賞口32aを開閉する開閉扉32bを備えている。開閉扉32bは可変入賞装置32として一体的に設けられた可変入賞駆動部32cに連結されており(連結箇所については図示略)、当該可変入賞駆動部32cにより駆動されて、閉鎖状態及び開放状態のいずれかに配置される。具体的には、通常は遊技球が入賞できない閉鎖状態になっており、内部抽選において開閉実行モードへの移行に当選した場合に遊技球が入賞可能な開放状態に切り換えられるようになっている。
【0027】
また、可変入賞装置32には、大入賞口32aを介して可変入賞装置32に入賞した遊技球が必ず通過する位置に入賞用通過部32dが形成されており、さらに当該入賞用通過部32dの位置に検知部が存在するようにして大入賞口検知センサ32eが設けられている。当該大入賞口検知センサ32eによって可変入賞装置32に入賞した遊技球が個別に検知される。
【0028】
メイン表示部43では、上作動口33又は下作動口34への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。つまり、本パチンコ機10では、上作動口33への入賞と下作動口34への入賞とが内部抽選において区別されておらず、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が共通の表示領域であるメイン表示部43にて明示される。そして、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づく内部抽選の結果が開閉実行モードへの移行に対応した当選結果であった場合には、メイン表示部43にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、開閉実行モードへ移行する。
【0029】
なお、メイン表示部43は、複数のセグメント発光部が所定の態様で配列されてなるセグメント表示器により構成されているが、これに限定されることはなく、液晶表示装置、有機EL表示装置、CRT又はドットマトリックス表示器等その他のタイプの表示装置によって構成されていてもよい。また、メイン表示部43にて変動表示される絵柄としては、複数種の文字が変動表示される構成、複数種の記号が変動表示される構成、複数種のキャラクタが変動表示される構成又は複数種の色が切り換え表示される構成などが考えられる。
【0030】
役物用表示部44では、スルーゲート35への入賞をトリガとして絵柄の変動表示が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート35への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート35への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用表示部44にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口34に設けられた電動役物34aが所定の態様で開放状態となる。
【0031】
可変表示ユニット36には、絵柄の一種である図柄を変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)する図柄表示装置41が設けられているとともに、図柄表示装置41を囲むようにしてセンターフレーム42が配設されている。図柄表示装置41は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。なお、図柄表示装置41は、液晶表示装置であることに限定されることはなく、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はCRTといった表示画面を有する他の表示装置であってもよく、ドットマトリクス表示器であってもよい。
【0032】
図柄表示装置41では、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて図柄の変動表示が開始される。すなわち、メイン表示部43において変動表示が行われる場合には、それに合わせて図柄表示装置41において変動表示が行われる。
【0033】
図柄表示装置41の表示内容について、図5を参照して詳細に説明する。図5は図柄表示装置41の表示画面Gを示す図である。
【0034】
絵柄の一種である図柄は、「1」〜「9」の数字が各々付された9種類の主図柄と、貝形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。より詳しくは、タコ等の9種類のキャラクタ図柄に「1」〜「9」の数字がそれぞれ付されて主図柄が構成されている。
【0035】
図5(a)に示すように、図柄表示装置41の表示画面Gには、複数の表示領域として、上段・中段・下段の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が設定されている。各図柄列Z1〜Z3は、主図柄と副図柄が所定の順序で配列されて構成されている。詳細には、上図柄列Z1には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の降順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。下図柄列Z3には、「1」〜「9」の9種類の主図柄が数字の昇順に配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。
【0036】
つまり、上図柄列Z1と下図柄列Z3は18個の図柄により構成されている。これに対し、中図柄列Z2には、数字の昇順に「1」〜「9」の9種類の主図柄が配列された上で「9」の主図柄と「1」の主図柄との間に「4」の主図柄が付加的に配列され、これら各主図柄の間に副図柄が1つずつ配されている。つまり、中図柄列Z2に限っては、10個の主図柄が配されて20個の図柄により構成されている。
【0037】
図5(b)に示すように、表示画面Gは、図柄列毎に3個の図柄が停止表示されるようになっており、結果として3×3の計9個の図柄が停止表示されるようになっている。また、表示画面Gには、5つの有効ライン、すなわち左ラインL1、中ラインL2、右ラインL3、右下がりラインL4、右上がりラインL5が設定されている。
【0038】
上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて表示画面Gにおいて遊技回用の演出が行われる場合には、各図柄列Z1〜Z3の図柄が周期性をもって所定の向きにスクロールするように変動表示が開始される。そして、上図柄列Z1→下図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示から待機表示に切り換えられ、最終的に各図柄列Z1〜Z3にて所定の図柄を静止表示した状態で遊技回用の演出が終了される。
【0039】
また、遊技回用の演出が終了する場合、後述する最有利大当たり結果の発生に対応した遊技回であれば、いずれかの有効ラインに同一の奇数の数字が付された図柄の組み合わせが形成され、後述する低確大当たり結果の発生に対応した遊技回であれば、いずれかの有効ラインに同一の偶数の数字が付された図柄の組み合わせが形成される。
【0040】
なお、いずれかの作動口33,34への入賞に基づいて、メイン表示部43及び図柄表示装置41にて変動表示が開始され、所定の停止結果を表示し上記変動表示が停止されるまでが遊技回の1回に相当する。
【0041】
また、図柄表示装置41における図柄の変動表示の態様は上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、図柄表示装置41にて変動表示される絵柄は上記のような図柄に限定されることはなく、例えば絵柄として数字のみが変動表示される構成としてもよい。
【0042】
センターフレーム42の前面側における左上部分には、図4(a)に示すように、メイン表示部43及び図柄表示装置41に対応した第1保留ランプ部45が設けられている。遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞した個数は最大4個まで保留され、第1保留ランプ部45の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
【0043】
センターフレーム42の右上部分には、役物用表示部44に対応した第2保留ランプ部46が設けられている。遊技球がスルーゲート35を通過した回数は最大4回まで保留され、第2保留ランプ部46の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。なお、各保留ランプ部45,46の機能が図柄表示装置41の一部の領域における表示により果たされる構成としてもよい。
【0044】
遊技盤24には、内レール部48と外レール部49とが取り付けられており、これら内レール部48と外レール部49とにより誘導レールが構成され、遊技球発射機構51から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。遊技球発射機構51は、図2に示すように、樹脂ベース21における窓孔23の下方に取り付けられており、誘導レールに向けて延びる発射レール52と、後述する上皿61aに貯留されている遊技球を発射レール52上に供給する球送り装置53と、発射レール52上に供給された遊技球を誘導レールに向けて発射させる電動アクチュエータであるソレノイド54と、を備えている。前扉枠14に設けられた発射ハンドル55が操作されることによりソレノイド54が駆動制御され、遊技球が発射される。
【0045】
内枠13の前面側全体を覆うようにして前扉枠14が設けられている。前扉枠14には、図1に示すように、遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部56が形成されている。窓部56は、略楕円形状をなし、窓パネル57が嵌め込まれている。窓パネル57は、ガラスによって無色透明に形成されているが、これに限定されることはなく合成樹脂によって無色透明に形成されていてもよく、パチンコ機10前方から窓パネル57を通じて遊技領域を視認可能であれば有色透明に形成されていてもよい。
【0046】
窓部56の周囲には、各種ランプ部等の発光手段が設けられている。各種ランプ部の一部として表示ランプ部58aが窓部56の上方に設けられている。また、表示ランプ部58aの左右両側であって前扉枠14の上側の隅角部分には左右一対のエラーランプ部58bが設けられている。また、エラーランプ部58bに隣接させて、遊技状態に応じた効果音などが出力される左右一対のスピーカ部59が設けられている。
【0047】
前扉枠14における窓部56の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部61と下側膨出部62とが上下に並設されている。上側膨出部61内側には上方に開口した上皿61aが設けられており、下側膨出部62内側には同じく上方に開口した下皿62aが設けられている。上皿61aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射機構51側へ導くための機能を有する。また、下皿62aは、上皿61a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
【0048】
次に、遊技機本体12の背面側の構成について説明する。
【0049】
図3に示すように、内枠13(具体的には、遊技盤24)の背面には、遊技の主たる制御を司る主制御装置71と、音声やランプ表示及び図示しない表示制御装置の制御を司る音声発光制御装置72と、が搭載されている。
【0050】
なお、主制御装置71の基板ボックス71aに対して、その開放の痕跡を残すための痕跡手段を付与する又はその開放の痕跡を残すための痕跡構造を設けてもよい。当該痕跡手段としては、基板ボックス71aを構成する複数のケース体を分離不能に結合するとともにその分離に際して所定部位の破壊を要する結合部(カシメ部)の構成や、引き剥がしに際して粘着層が接着対象に残ることで剥がされたことの痕跡を残す封印シールを複数のケース体間の境界を跨ぐようにして貼り付ける構成が考えられる。また、痕跡構造としては、基板ボックス71aを構成する複数のケース体間の境界に対して接着剤を塗布する構成が考えられる。
【0051】
主制御装置71や音声発光制御装置72を含めて内枠13の背面側を覆うようにして裏パックユニット15が設置されている。裏パックユニット15は、透明性を有する合成樹脂により形成された裏パック73を備えており、当該裏パック73に対して、払出機構部74及び制御装置集合ユニット75が取り付けられている。
【0052】
払出機構部74は、遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給されるタンク76と、当該タンク76に貯留された遊技球を払い出すための払出装置77と、を備えている。払出装置77より払い出された遊技球は、当該払出装置77の下流側に設けられた払出通路を通じて、上皿61a又は下皿62aに排出される。なお、払出機構部74には、例えば交流24ボルトの主電源が供給されるとともに、電源のON操作及びOFF操作を行うための電源スイッチを有する裏パック基板が搭載されている。
【0053】
制御装置集合ユニット75は、払出装置77を制御する機能を有する払出制御装置78と、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力されるとともに遊技者による発射ハンドル55の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる電源及び発射制御装置79と、を備えている。これら払出制御装置78と電源及び発射制御装置79とは、払出制御装置78がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
【0054】
裏パック73には、払出機構部74及び制御装置集合ユニット75以外にも、外部端子板81が設けられている。外部端子板81は、パチンコ機10の背面において裏パックユニット15の回動基端側であって上側の隅角部分に設置されている。外部端子板81は、パチンコ機10の状態を遊技ホールの管理コンピュータに認識させるために、所定の信号出力を行うための基板である。
【0055】
<パチンコ機10の電気的構成>
図6は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。なお、図6では、電源及び発射制御装置79から主制御装置71及び払出制御装置78への動作電力の供給ラインを二重線矢印で示し、それ以外の供給ラインや信号ラインを実線矢印で示す。
【0056】
主制御装置71は、遊技の主たる制御を司る主制御基板91と、電源を監視する停電監視基板(電断監視基板)96と、を具備している。主制御基板91には、MPU92が搭載されている。MPU92には、ROM93及びRWM94が内蔵されている。
【0057】
ROM93は、NOR型フラッシュメモリやNAND型フラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ(すなわち、不揮発性記憶手段)を、読み出し専用として利用するように構成されている。当該ROM93は、MPU92により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。
【0058】
RWM94は、SRAMやDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ(すなわち、揮発性記憶手段)を読み書き両用として利用するように構成されており、ランダムアクセスが可能であるとともに、同一のデータ容量で比較した場合にROM93よりも読み出しに要する時間が早いものとなっている。当該RWM94は、ROM93内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。
【0059】
また、MPU92又は主制御基板91には、上記素子以外に、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが設けられている。なお、MPU92に対してROM93及びRWM94が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。これは主制御装置71以外の制御装置についても同様である。
【0060】
MPU92には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。なお、入出力ポートが設けられており、入力用と出力用とで必要に応じて切り換えられる構成としてもよい。これは主制御装置71以外の制御装置のMPUについても同様である。MPU92の入力側及び出力側には、各種制御装置が接続されているとともに、各種センサ、各種駆動部及び各種表示部が接続されている。先ず各種センサ、各種駆動部及び各種表示部との接続に係る構成について説明する。
【0061】
MPU92の入力側には、遊技領域の一般入賞口31、可変入賞装置32、上作動口33、下作動口34及びスルーゲート35に対して設けられた入賞用の検知センサ31a,31b,31c,32e,33a,34c,35a,35b(以下、これらをまとめて入賞用検知センサ31a〜35bという)が電気配線を介して電気的に接続されている。この場合、主制御基板91と各入賞用検知センサ31a〜35bとがそれぞれ1の電気配線を介して接続されている構成としてもよく、各信号経路の途中に中継基板が介在している構成としてもよい。これは他の機器との接続に係る構成についても同様である。MPU92では、主制御基板91に搭載された入賞用IC95を通じて、各入賞用検知センサ31a〜35bから信号を受信し、その受信結果に基づいて各入賞部への入賞判定(入球判定)が行われる。
【0062】
入賞用IC95は、経路異常の確認手段又は経路異常の確認回路である。当該入賞用IC95により各入賞用検知センサ31a〜35bとMPU92との間で正常な信号の伝送が行われているか否かが確認される。
【0063】
MPU92の出力側には、可変入賞装置32の開閉扉32bを開閉動作させる可変入賞駆動部32cと、下作動口34の電動役物34aを開閉動作させる電動役物駆動部34bと、が電気配線を介して電気的に接続されている。また、MPU92の出力側には、メイン表示部43と、役物用表示部44と、が電気配線を介して電気的に接続されている。主制御基板91には各種ドライバ回路が設けられており、当該ドライバ回路を通じてMPU92は各種駆動部32c,34bの駆動制御を実行するとともに各種表示部43,44の表示制御を実行する。
【0064】
つまり、開閉実行モードにおいては大入賞口32aが開閉されるように、MPU92において可変入賞駆動部32cの駆動制御が実行される。また、電動役物34aの開放状態当選となった場合には、電動役物34aが開閉されるようにMPU92において電動役物駆動部34bの駆動制御が実行される。また、各遊技回に際しては、MPU92においてメイン表示部43の表示制御が実行される。また、電動役物34aを開放状態とするか否かの抽選結果を明示する場合に、MPU92において役物用表示部44の表示制御が実行される。
【0065】
ちなみに、図示による説明は省略するが、MPU92の出力側には、外部端子板81が接続されている。MPU92は、RWM94に対して、遊技の進行に応じた情報の設定を行う。そして、RWM94に設定された情報に応じて信号出力用の設定を外部端子板81に対して行い、パチンコ機10の状態を遊技ホールのホールコンピュータに認識させる。
【0066】
払出制御装置78は、払出装置77を通じた遊技球の払出の制御を司る払出制御基板101を具備している。払出制御基板101には、MPU102が搭載されている。MPU102には、ROM103及びRWM104が内蔵されている。ROM103は、NOR型フラッシュメモリやNAND型フラッシュメモリなどの記憶保持に外部からの電力供給が不要なメモリ(すなわち、不揮発性記憶手段)を、読み出し専用として利用するように構成されている。当該ROM103は、MPU102により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶している。
【0067】
RWM104は、SRAMやDRAMなどの記憶保持に外部からの電力供給が必要なメモリ(すなわち、揮発性記憶手段)を読み書き両用として利用するように構成されており、ランダムアクセスが可能であるとともに、同一のデータ容量で比較した場合にROM103よりも読み出しに要する時間が早いものとなっている。このRWM104には、ROM103内に記憶されている制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶する。また、MPU102又は払出制御基板101には、上記素子以外に、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが設けられている。
【0068】
MPU102は払出装置77と電気的に接続されている。当該払出装置77には、タンク76から払出装置77に供給されている遊技球をそれよりも下流側へ流下しないように通過を阻止する状態と、当該遊技球を下流側へ送り出す状態とに切り換える回転体などの球止め部材を駆動する払出モータ77aが設けられているとともに、上記下流側へと送り出される遊技球を個別に検知する払出検知センサ77bが設けられている。MPU102の出力側には払出モータ77aが電気配線を介して電気的に接続されているとともに、MPU102の入力側には払出検知センサ77bが電気配線を介して電気的に接続されている。MPU102では、払出制御基板101に設けられたドライバ回路を通じて払出モータ77aに駆動信号を供給することで遊技球の払出を実行させるとともに、払出検知センサ77bの検知結果に基づいて払出が完了した遊技球の個数を把握する。
【0069】
また、MPU102は、裏パックユニット15に設けられた球貸用接続端子板105と電気配線を通じて電気的に接続されているとともに、当該球貸用接続端子板105が電気配線を通じて球貸装置Yと電気的に接続されている。
【0070】
球貸装置Yは所謂CRユニットであり、図示による説明は省略するが外枠11の側方に設けられており、球貸装置Yの前面側にはカード挿入口が設けられている。そのカード挿入口へのカードの挿入を行うとともに、パチンコ機10に設けられた貸球操作装置(図示略)を適宜手動操作することによりカードに記憶された金額に相当する数の遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。MPU102は、球貸装置Yとの間で電気信号の送受信を行うことで貸球の制御を実行する。
【0071】
なお、遊技球の貸し出しを受ける上で球貸装置Yに挿入されるものはカードに限定されることはなく、現金であってもよく、また現金情報が記憶されたコインであってもよい。また、MPU102には上記払出装置77や球貸装置Y以外にも、下皿62aといった球受け皿が遊技球の満杯状態となっているかを検知する満杯検知センサが電気的に接続されているとともに、タンク76が球無状態となっているかを検知する球無し検知センサが電気的に接続されている。
【0072】
次に、電源及び発射制御装置79の構成を説明する。
【0073】
電源及び発射制御装置79は電源及び発射制御基板111を備えており、当該電源及び発射制御基板111には、主制御装置71及び払出制御装置78を含めた各種機器に動作電力を供給する機能を有する電源回路112が設けられている。電源回路112には、電入時用電源部113と、電断時用電源部114とが設けられている。
【0074】
電入時用電源部113は、例えば遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されており、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御装置71や払出制御装置78等の各々に必要な動作電圧を生成するとともに、その生成した動作電圧を主制御装置71や払出制御装置78等に対して供給する。その概要としては、電入時用電源部113は、裏パックユニット15に設けられた接続基板を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種センサやモータ等を駆動するための+12V電圧、ロジック用の+5V電圧などを生成し、これら+12V電圧、+5V電圧を主制御装置71や払出制御装置78等に対して供給する。なお、上記接続基板にはパチンコ機10の電源をON・OFF操作するための電源スイッチが設けられている。
【0075】
電入時用電源部113と主制御装置71のMPU92との電力供給経路の途中位置には停電監視基板96が設けられている。停電監視基板96は、電入時用電源部113から供給される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、この電圧が22ボルト未満になると電源遮断の発生と判断し、MPU92に停電信号(電断信号)の出力設定を停電(電源遮断)の発生に対応したものとする。具体的には、電源遮断が発生していないと判断している状況ではLOWレベルの停電信号を送信し、電源遮断が発生していると判定している状況ではHIレベルの停電信号を送信する。なお、これらLOW及びHIの関係が逆であってもよい。
【0076】
電断時用電源部114はコンデンサからなり、パチンコ機10の電源がON状態の場合(商用電源からの電力供給が行われている場合)に電入時用電源部113から供給される電力により充電される。また、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時といった電源遮断状態(商用電源からの電力供給が遮断されている場合)では、電断時用電源部114から放電され主制御装置71のRWM94に対して記憶保持用電力(バックアップ電力)が供給される。よって、かかる状況であっても、電断時用電源部114から記憶保持用電力が供給されている間はRWM94に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
【0077】
電源及び発射制御基板111には、電源回路112以外にも、遊技球の発射制御を担う発射制御回路115が設けられている。発射制御回路115には、条件成立の送信回路116と、発射許可の受信回路117と、発射用IC118と、が設けられている。
【0078】
条件成立の送信回路116は、予め定められた遊技球の発射条件が成立している場合において主制御装置71のMPU92に対して所定の信号形態の条件成立信号を送信する機能を有している。具体的には、発射制御回路115は、発射ハンドル55の環状のハンドル部が遊技者により触れられていることを検知するタッチセンサ55aと、ハンドル部を回転操作している状況であっても遊技球の発射を停止させるべく遊技者により手動操作される球止めスイッチ55bと、が電気的に接続されている。また、発射制御回路115は、払出制御基板101と電気的に接続されており、球貸装置Yが球貸用接続端子板105に対して電気的に接続されているか否かを示す信号を入力する。
【0079】
条件成立の送信回路116は、タッチセンサ55aからハンドル部が遊技者により触れられていることを示す信号を受信するとともに、球止めスイッチ55bから遊技者により手動操作されていないことを示す信号を受信し、さらに払出制御装置78のMPU102から球貸装置Yが接続されている旨の信号を受信している場合に、主制御装置71のMPU92に対してHIレベルの条件成立信号(条件成立に対応した信号)を送信する。なお、上記各信号のいずれかを受信していない場合には、MPU92に対してLOWレベルの条件成立信号(条件成立に対応していない信号)を送信する。但し、かかる構成に限定されることはなく、LOWレベルとHIレベルとの関係が逆であってもよい。
【0080】
発射許可の受信回路117は、条件成立の送信回路116から主制御装置71のMPU92に対してHIレベルの条件成立信号が送信されていることを一の条件としてMPU92から送信されるHIレベルの発射許可信号(発射許可に対応した信号)を受信するとともに、当該発射許可信号を受信している場合にそれに対応した信号を発射用IC118に継続して供給する機能を有している。なお、MPU92は、条件成立の送信回路116からHIレベルの条件成立信号を受信していない場合にはLOWレベルの発射許可信号(発射許可に対応していない信号)を送信するが、発射許可信号のLOWレベル信号とHIレベル信号との関係が逆であってもよい。また、MPU92は、HIレベルの条件成立信号の受信を開始するたびにHIレベルの発射許可信号の送信を新たに開始するとともにHIレベルの条件成立信号の受信が終了した場合にはHIレベルの発射許可信号の送信を終了する。
【0081】
発射用IC118は、発射許可の受信回路117からHIレベルの発射許可信号又はそれに対応した信号を受信している場合に、遊技球発射機構51の発射ソレノイド54及び球送り装置53のそれぞれに対して定期的に駆動信号を出力する機能を有している。この場合、発射用IC118は、パルス信号として各駆動信号を出力するとともに、その出力周期は0.6secとなっている。また、発射レール52に1個の遊技球が供給された後に、当該遊技球が発射されるように、駆動信号の出力タイミングは球送り装置53の方が発射ソレノイド54よりも早く設定されている。
【0082】
なお、発射ハンドル55には上記のとおりハンドル部が設けられており、当該ハンドル部の操作量が多いほど発射ソレノイド54による遊技球の発射強度が強くなる。この場合、発射ハンドル55にはハンドル部の操作量を検知するための操作量検知手段として可変抵抗器が設けられており、発射用IC118では当該可変抵抗器から入力する電圧を通じて発射ソレノイド54に供給する駆動信号の電圧を調整して発射強度を調整する。なお、当該調整機能が発射用IC118に設けられていることは必須ではなく、発射用IC118と発射ソレノイド54との信号経路の途中に調整回路が設けられている構成としてもよい。
【0083】
次に、音声発光制御装置72と表示制御装置97の構成を説明する。
【0084】
音声発光制御装置72に設けられた音声発光制御基板121には、MPU122が搭載されている。MPU122には、当該MPU122により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM123と、そのROM123内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRWM124と、割込回路、タイマ回路、データ入出力回路などが内蔵されている。
【0085】
MPU122では、主制御装置71から受信したコマンドに基づき、各種ランプ部45,46,58a,58bや、スピーカ部59を駆動制御する。また、これらコマンドをそのまま又は解析後の対応するコマンドを表示制御装置97に送信する。ちなみに、音声発光制御装置72は、信号線の両端にコネクタが設けられたコネクタユニット(接続ユニット)を介して表示制御装置97と電気的に接続されている。
【0086】
表示制御装置97は、プログラムROM133及びワークRWM134が複合的にチップ化された素子であるMPU132と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)135と、キャラクタROM136と、ビデオRWM137とがそれぞれ搭載された表示制御基板131を備えている。なお、MPU132に対してプログラムROM133及びワークRWM134が1チップ化されていることは必須の構成ではなく、それぞれが個別にチップ化された構成としてもよい。
【0087】
MPU132は、音声発光制御装置72を経由して主制御装置71から受信した各種コマンドを解析し又は受信した各種コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP135の制御(具体的にはVDP135に対する内部コマンドの生成)を実施する。
【0088】
プログラムROM133は、MPU132により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、背景画像用のJPEG形式画像データも併せて記憶保持されている。
【0089】
ワークRWM134は、MPU132による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグ等を一時的に記憶するためのメモリである。
【0090】
VDP135は、図柄表示装置41に組み込まれた液晶表示部ドライバとしての画像処理デバイスを直接操作する一種の描画回路である。VDP135はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP135は、MPU132、ビデオRWM137等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRWM137に記憶させる画像データを、キャラクタROM136から所定のタイミングで読み出して図柄表示装置41に表示させる。
【0091】
キャラクタROM136は、図柄表示装置41に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するための画像データライブラリとしての役割を担うものである。このキャラクタROM136には、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、ビットマップ画像の各ドットでの表現色を決定する際に参照する色パレットテーブル等が保持されている。これら画像データやテーブル等はキャラクタROM136に記憶されている。
【0092】
なお、キャラクタROM136を複数設け、各キャラクタROM136に分担して画像データ等を記憶させておくことも可能である。また、前記プログラムROM133に記憶した背景画像用のJPEG形式画像データをキャラクタROM136に記憶する構成とすることも可能である。
【0093】
ビデオRWM137は、図柄表示装置41に表示させる表示データを記憶するためのメモリであり、ビデオRWM137の内容を書き替えることにより図柄表示装置41の表示内容が変更される。
【0094】
<主制御装置71のMPU92にて各種抽選を行うための電気的構成>
次に、主制御装置71のMPU92にて各種抽選を行うための電気的な構成について、図7を用いて説明する。
【0095】
MPU92は遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり発生抽選、メイン表示部43の表示の設定、図柄表示装置41の図柄表示の設定、役物用表示部44の表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図7に示すように、大当たり発生の抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置41が外れ変動する際のリーチ発生抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、メイン表示部43及び図柄表示装置41における表示継続時間を決定する変動種別カウンタCSと、を用いることとしている。さらに、下作動口34の電動役物34aを電役開放状態とするか否かの抽選に使用する電動役物開放カウンタC4を用いることとしている。なお、上記各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、RWM94の抽選用カウンタエリア94aに設けられている。
【0096】
各カウンタC1〜C3,CINI,CS,C4は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。各カウンタは短時間間隔で更新される。大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3に対応した情報は、上作動口33又は下作動口34への入賞が発生した場合に、取得情報記憶手段としての保留格納エリア94bに格納される。
【0097】
保留格納エリア94bは、保留用エリアREと、実行エリアAEとを備えている。保留用エリアREは、第1保留エリアRE1、第2保留エリアRE2、第3保留エリアRE3及び第4保留エリアRE4を備えており、上作動口33又は下作動口34への入賞履歴に合わせて、抽選カウンタ用バッファに格納されている大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報が保留情報として、いずれかの保留エリアRE1〜RE4に格納される。
【0098】
この場合、第1保留エリアRE1〜第4保留エリアRE4には、上作動口33又は下作動口34への入賞が複数回連続して発生した場合に、第1保留エリアRE1→第2保留エリアRE2→第3保留エリアRE3→第4保留エリアRE4の順に各数値情報が時系列的に格納されていく。このように4つの保留エリアRE1〜RE4が設けられていることにより、上作動口33又は下作動口34への遊技球の入賞履歴が最大4個まで保留記憶されるようになっている。また、保留用エリアREは、保留数記憶エリアNAを備えており、当該保留数記憶エリアNAには上作動口33又は下作動口34への入賞履歴を保留記憶している数を特定するための情報が格納される。
【0099】
なお、保留記憶可能な数は、4個に限定されることはなく任意であり、2個、3個又は5個以上といったように他の複数であってもよく、単数であってもよい。
【0100】
実行エリアAEは、メイン表示部43の変動表示を開始する際に、保留用エリアREの第1保留エリアRE1に格納された各値を移動させるためのエリアであり、1遊技回の開始に際しては実行エリアAEに記憶されている各種数値情報に基づいて、当否判定などが行われる。
【0101】
上記各カウンタについて詳細に説明する。
【0102】
大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜599の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜599)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア94bに格納される。
【0103】
大当たり当選となる乱数の値は、ROM93における当否情報群記憶手段としての当否テーブル記憶エリアに当否テーブル(当否情報群)として記憶されている。当否テーブルとしては、低確率モード用の当否テーブル(低確率用当否情報群)と、高確率モード用の当否テーブル(高確率用当否情報群)とが設定されている。つまり、本パチンコ機10は、当否抽選手段における抽選モードとして、低確率モード(低確率状態)と高確率モード(高確率状態)とが設定されている。
【0104】
上記抽選に際して低確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は2個である。一方、上記抽選に際して高確率モード用の当否テーブルが参照されることとなる遊技状態下では、大当たり当選となる乱数の数は20個である。なお、低確率モードよりも高確率モードの方の当選確率が高くなるのであれば、上記当選となる乱数の数は任意である。
【0105】
大当たり種別カウンタC2は、0〜29の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC2は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア94bに格納される。
【0106】
本パチンコ機10では、複数の大当たり結果が設定されている。これら複数の大当たり結果は、(1)開閉実行モード終了後の当否抽選手段における抽選モード、(2)開閉実行モード終了後の下作動口34の電動役物34aにおけるサポートモード、という2つの条件に差異を設けることにより、複数の大当たり結果が設定されている。
【0107】
ここで、開閉実行モードにおける可変入賞装置32の開閉制御の態様としては、いずれの大当たり結果においても、予め定められた回数のラウンド遊技を上限として実行される。
【0108】
ラウンド遊技とは、予め定められた上限継続時間(上限継続期間)が経過すること、及び予め定められた上限個数の遊技球が大入賞口32aに入賞することのいずれか一方の条件が満たされるまで継続する遊技のことである。また、大当たり結果が契機となった開閉実行モードにおけるラウンド遊技の回数は、その移行の契機となった大当たり結果の種類がいずれであっても固定ラウンド回数で同一となっている。具体的には、いずれの大当たり結果となった場合であっても、ラウンド遊技の上限回数は15ラウンド(15R)に設定されている。また、可変入賞装置32の1回の開放態様としては、大入賞口32aが開放されてから閉鎖されるまでの開放継続時間(開放継続期間)が29secに設定されている。
【0109】
本パチンコ機10では、発射ハンドル55が遊技者により操作されている状況では、0.6secに1個の遊技球が遊技領域に向けて発射されるように遊技球発射機構51が駆動制御される。また、ラウンド遊技は終了条件の上限個数が10個に設定されている。そうすると、上記開放態様では、遊技球の発射周期と1回のラウンド遊技との積よりも長い時間の開放継続時間が設定されていることとなる。したがって、可変入賞装置32の1回の開放が行われた場合には、大入賞口32aに対して、1回のラウンド遊技における上限個数分の入賞が発生することが期待できる。
【0110】
下作動口34の電動役物34aにおけるサポートモードとしては、遊技領域に対して同様の態様で遊技球の発射が継続されている状況で比較した場合に、下作動口34の電動役物34aが単位時間当たりに開放状態となる頻度が相対的に高低となるように、高頻度サポートモード(高頻度サポート状態又は高頻度ガイド状態)と低頻度サポートモード(低頻度サポート状態又は低頻度ガイド状態)とが設定されている。
【0111】
具体的には、低頻度サポートモードと高頻度サポートモードとでは、電動役物開放カウンタC4を用いた電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率は同一(例えば、共に4/5)となっているが、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、電役開放状態当選となった際に電動役物34aが開放状態となる回数が多く設定されており、さらに1回の開放時間が長く設定されている。この場合、高頻度サポートモードにおいて電役開放状態当選となり電動役物34aの開放状態が複数回発生する場合において、1回の開放状態が終了してから次の開放状態が開始されるまでの閉鎖時間は、1回の開放時間よりも短く設定されている。さらにまた、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で最低限確保される確保時間として短い時間が選択されるように設定されている。
【0112】
上記のように高頻度サポートモードでは、低頻度サポートモードよりも下作動口34への入賞が発生する確率が高くなる。換言すれば、低頻度サポートモードでは、下作動口34よりも上作動口33への入賞が発生する確率が高くなるが、高頻度サポートモードでは、上作動口33よりも下作動口34への入賞が発生する確率が高くなる。そして、下作動口34への入賞が発生した場合には、所定個数の遊技球の払出が実行されるため、高頻度サポートモードでは、遊技者は持ち球をあまり減らさないようにしながら遊技を行うことができる。
【0113】
なお、高頻度サポートモードを低頻度サポートモードよりも単位時間当たりに電役開放状態となる頻度を高くする上での構成は、上記のものに限定されることはなく、例えば電動役物開放抽選における電役開放状態当選となる確率を高くする構成としてもよい。また、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間(例えば、スルーゲート35への入賞に基づき役物用表示部44にて実行される変動表示の時間)が複数種類用意されている構成においては、高頻度サポートモードでは低頻度サポートモードよりも、短い確保時間が選択され易い又は平均の確保時間が短くなるように設定されていてもよい。さらには、開放回数を多くする、開放時間を長くする、1回の電動役物開放抽選が行われてから次の電動役物開放抽選が行われる上で確保される確保時間を短くする(すなわち、役物用表示部44における1回の変動表示時間を短くする)、係る確保時間の平均時間を短くする及び当選確率を高くするのうち、いずれか1条件又は任意の組み合わせの条件を適用することで、低頻度サポートモードに対する高頻度サポートモードの有利性を高めてもよい。
【0114】
大当たり種別カウンタC2に対する遊技結果の振分先は、ROM93における振分情報群記憶手段としての振分テーブル記憶エリアに振分テーブル(振分情報群)として記憶されている。そして、かかる振分先として、通常大当たり結果(低確率対応特別遊技結果)と、確変大当たり結果(高確率対応特別遊技結果)とが設定されている。
【0115】
通常大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが低確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。但し、この高頻度サポートモードは、移行後において遊技回数が終了基準回数(具体的には、100回)に達した場合に低頻度サポートモードに移行する。
【0116】
確変大当たり結果は、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードが高頻度サポートモードとなる大当たり結果である。これら高確率モード及び高頻度サポートモードは、当否抽選における抽選結果が大当たり状態当選となり、それによる大当たり状態に移行するまで継続する。
【0117】
なお、上記各遊技状態との関係で通常遊技状態とは、開閉実行モードではなく、さらに当否抽選モードが低確率モードであり、サポートモードが低頻度サポートモードである状態をいう。
【0118】
振分テーブルでは、「0〜29」の大当たり種別カウンタC2の値のうち、「0〜14」が通常大当たり結果に対応しており、「15〜29」が確変大当たり結果に対応している。
【0119】
なお、確変大当たり結果の一種として、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが高確率モードとなるとともに、サポートモードがそれまでのモードに維持されることとなる大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)が含まれていてもよい。また、当否抽選における外れ結果の一種として、開閉実行モードに移行するとともに当該開閉実行モードの終了後において当否抽選モード及びサポートモードの移行が発生しない特別外れ結果が含まれていてもよい。この場合、遊技結果の多様化が図られる。
【0120】
さらにまた、開閉実行モードにおける可変入賞装置32の開閉制御の態様として、1回のラウンド遊技にて大入賞口32aへの入賞がラウンド遊技の上限個数分期待できない低頻度入賞態様が含まれる構成として、いずれかの遊技結果に基づく開閉実行モードにおいて、上記低頻度入賞態様にて開閉制御が行われる構成としてもよい。この場合においても遊技結果の多様化が図られる。
【0121】
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に更新され、遊技球が上作動口33又は下作動口34に入賞したタイミングで保留格納エリア94bに格納される。
【0122】
ここで、本パチンコ機10には、図柄表示装置41における表示演出の一種としてリーチ表示が設定されている。リーチ表示とは、図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)を行うことが可能な図柄表示装置41を備え、可変入賞装置32の開閉実行モードが高頻度入賞モードとなる遊技回では変動表示後の停止表示結果が特別表示結果となる遊技機において、図柄表示装置41における図柄(絵柄)の変動表示(又は可変表示)が開始されてから停止表示結果が導出表示される前段階で、前記特別表示結果となり易い変動表示状態であると遊技者に思わせるための表示状態をいう。
【0123】
リーチ表示には、図柄表示装置41の表示画面に表示される複数の図柄列のうち一部の図柄列について図柄を停止表示させることで、開閉実行モードの発生に対応した大当たり図柄の組み合わせが成立する可能性があるリーチ図柄の組み合わせを表示し、その状態で残りの図柄列において図柄の変動表示を行う表示状態が含まれる。また、上記のようにリーチ図柄の組み合わせを表示した状態で、残りの図柄列において図柄の変動表示を行うとともに、その背景画像において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものや、リーチ図柄の組み合わせを縮小表示させる又は非表示とした上で、表示画面の略全体において所定のキャラクタなどを動画として表示することによりリーチ演出を行うものが含まれる。
【0124】
リーチ表示は、開閉実行モードに移行する遊技回では、リーチ乱数カウンタC3の値に関係なく実行される。また、開閉実行モードに移行しない遊技回では、ROM93のリーチ用テーブル記憶エリアに記憶されたリーチ用テーブルを参照して、所定のタイミングで取得したリーチ乱数カウンタC3がリーチ表示の発生に対応している場合に実行される。
【0125】
変動種別カウンタCSは、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCSは、メイン表示部43における変動表示時間(表示継続期間)と、図柄表示装置41における図柄の変動表示時間(表示継続期間)とをMPU92において決定する上で用いられる。変動種別カウンタCSは、後述するメイン処理及びタイマ割込み処理のそれぞれにて更新され、メイン表示部43における変動表示の開始時及び図柄表示装置41による図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して変動種別カウンタCSの値が取得される。なお、変動表示時間の決定に際しては、ROM93の変動表示時間テーブル記憶エリア(変動表示時間情報記憶手段)に予め記憶されている変動表示時間テーブル(変動表示時間情報群)が参照される。
【0126】
電動役物開放カウンタC4は、例えば、0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値に達した後0に戻る構成となっている。電動役物開放カウンタC4は定期的に更新され、スルーゲート35に遊技球が入賞したタイミングでRWM94に設けられた電役保留エリア94cに格納される。そして、所定のタイミングにおいて、その格納された電動役物開放カウンタC4の値によって電動役物34aを開放状態に制御するか否かの抽選が行われる。
【0127】
<MPU92にて実行される各種処理について>
次に、MPU92にて遊技を進行させるために実行される各処理を説明する。かかるMPU92の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では4msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがある。
【0128】
<メイン処理>
先ず、図8のフローチャートを参照しながらメイン処理を説明する。
【0129】
先ずステップS101では、電源投入ウェイト処理を実行する。当該電源投入ウェイと処理では、例えばメイン処理が起動されてから1secが経過するまで次の処理に進行することなく待機する。続くステップS102ではRWM94のアクセスを許可するとともに、ステップS103にてMPU92の内部機能レジスタの設定を行う。
【0130】
その後、ステップS104では、電源及び発射制御装置79に設けられたRWM消去スイッチが手動操作されているか否かを判定し、続くステップS105では、RWM94の停電フラグに「1」がセットされているか否かを判定する。また、ステップS106ではチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し、続くステップS107ではそのチェックサムが電源遮断時に保存したチェックサムと一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。
【0131】
本パチンコ機10では、例えば遊技ホールの営業開始時など、電源投入時にRWMデータを初期化する場合にはRWM消去スイッチを押しながら電源が投入される。したがって、RWM消去スイッチが押されていれば、ステップS108の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、チェックサムにより記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS108の処理に移行する。ステップS108では、RWM94の初期化として当該RWM94をクリアする。その後、ステップS109に進む。
【0132】
一方、RWM消去スイッチが押されていない場合には、停電フラグに「1」がセットされていること、及びチェックサムが正常であることを条件に、ステップS108の処理を実行することなくステップS109に進む。ステップS109では、電源投入設定処理を実行する。電源投入設定処理では、停電フラグの初期化といったRWM94の所定のエリアを初期値に設定するとともに、現状の遊技状態を認識させるために現状の遊技状態に対応したコマンドを音声発光制御装置72に送信する。また、RWM104の初期化を実行すべきことを示す払出初期化コマンドをMPU102に送信する。さらに、タイマ割込み処理の発生を許可するために割込み許可の設定を行う。
【0133】
その後、ステップS110〜ステップS113の残余処理に進む。つまり、MPU92はタイマ割込み処理を定期的に実行する構成であるが、1のタイマ割込み処理と次のタイマ割込み処理との間に残余時間が生じることとなる。この残余時間は各タイマ割込み処理の処理完了時間に応じて変動することとなるが、かかる不規則な時間を利用してステップS110〜ステップS113の残余処理を繰り返し実行する。この点、当該ステップS110〜ステップS113の残余処理は、非定期的に実行される非定期処理であると言える。
【0134】
残余処理では、先ずステップS110にて、タイマ割込み処理の発生を禁止するために割込み禁止の設定を行う。続くステップS111では、乱数初期値カウンタCINIの更新を行う乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS112にて変動種別カウンタCSの更新を行う変動用カウンタ更新処理を実行する。これらの更新処理では、RWM94の対応するカウンタから現状の数値情報を読み出し、その読み出した数値情報を1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。その後、ステップS113にて、タイマ割込み処理の発生を禁止している状態から許可する状態へ切り換える割込み許可の設定を行う。ステップS113の処理を実行したら、ステップS110に戻り、ステップS110〜ステップS113の処理を繰り返す。
【0135】
ここで、上記のように残余処理では、割込み禁止の処理及び割込み許可の処理に挟まれるようにして乱数初期値更新処理及び変動用カウンタ更新処理が設定されているのみであるため、タイマ割込み処理が開始されるタイミングは常にステップS110の直前となる。そうすると、タイマ割込み処理が終了した後は常にステップS110から開始すればよいこととなり、タイマ割込み処理後の戻りアドレスが一義的なものとなる。よって、タイマ割込み処理の開始に際して現状の戻りアドレスを記憶する必要はなく、タイマ割込み処理の開始に際しての処理負荷が軽減される。
【0136】
また、MPU92において所定のデータの演算を行っている途中でタイマ割込み処理が発生することもないため、タイマ割込み処理の開始に際してMPU92のレジスタにその時点で格納されているデータのRWM94への退避処理を実行する必要がなく、同様にタイマ割込み処理の終了に際してMPU92のレジスタへのデータの復帰処理を実行する必要がない。よって、タイマ割込み処理の開始に際しての処理負荷が軽減されるとともに、タイマ割込み処理の終了に際しての処理負荷も軽減される。
【0137】
また、乱数初期値カウンタCINIの更新途中や変動種別カウンタCSの更新途中でタイマ割込み処理が開始されることがないため、これらの更新途中であるにも関わらず、タイマ割込み処理にてこれらカウンタの数値情報が取得されたり、さらなる更新処理が実行されてしまうことを防止できる。
【0138】
<タイマ割込み処理>
次に、図9のフローチャートを参照しながらタイマ割込み処理を説明する。
【0139】
ここで、MPU92にてタイマ割込み処理を定期的に実行するためのハード構成について説明する。主制御基板91には所定周期でパルス信号を出力するパルス信号出力手段としてクロック回路が設けられており、さらに当該クロック回路とMPU92との間の信号経路の途中位置に存在するように分周回路が設けられている。
【0140】
分周回路は、クロック回路からのパルス信号の周期を変更する周波数変更手段として機能し、タイマ割込み処理の起動タイミングをMPU92にて特定するためのパルス信号を出力するように構成されている。つまり、分周回路からMPU92に対して特定周期である4msec周期の間隔でパルス信号が供給されるようになっている。MPU92では、かかるパルス信号の立ち上がり又は立下りといった特定の信号形態の発生を確認する処理を実行し、特定の信号形態の発生を確認したことを少なくとも一の条件としてタイマ割込み処理を起動して実行する。
【0141】
この場合、タイマ割込み処理の起動が禁止されている状況において上記特定の信号形態の発生を確認した場合には、その割込みが禁止されている状態から割込みが許可された状態となった場合にタイマ割込み処理が起動される。つまり、MPU92における処理の実行状況によっては前回のタイマ割込み処理が開始されてから4.1msec経過後に次のタイマ割込み処理が開始される場合が生じ、このような事象が発生した場合には次のタイマ割込み処理は直前のタイマ割込み処理が開始されてから3.9msec経過後に開始されることとなる。
【0142】
但し、上記分周回路からのパルス信号の出力はMPU92における処理の経過内容に関係なく4msecといった特定周期で行われるため、基本的にはタイマ割込み処理は特定周期で起動される。さらにまた、MPU92の処理構成は、所定のタイミングにおけるタイマ割込み処理が前回のタイマ割込み処理が起動されてから特定周期を超える期間が経過した後に起動されたとしても、当該所定のタイミングの次のタイミングにおけるタイマ割込み処理にてその特定周期を超えた分が吸収されて、さらに次のタイミングにおけるタイマ割込み処理ではパルス信号の入力を確認したタイミングで起動されるように設定されている。
【0143】
さて、タイマ割込み処理では、まずステップS201にて、停電情報記憶処理を実行する。停電情報記憶処理では、停電監視基板96から電源遮断の発生に対応した停電信号を受信しているか否かを監視し、停電の発生を特定した場合には停電時処理を実行する。
【0144】
続くステップS202では抽選用乱数更新処理を実行する。抽選用乱数更新処理では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3及び電動役物開放カウンタC4から現状の数値情報を順次読み出し、それら読み出した数値情報をそれぞれ1加算する処理を実行した後に、読み出し元のカウンタに上書きする処理を実行する。この場合、カウンタ値が最大値に達した際それぞれ「0」にクリアする。
【0145】
その後、ステップS203ではステップS111と同様に乱数初期値更新処理を実行するとともに、ステップS204にてステップS112と同様に変動用カウンタ更新処理を実行する。
【0146】
続くステップS205では、遊技停止判定処理を実行する。遊技停止判定処理では、遊技の進行を停止すべき状況であるか否かを監視し、遊技の進行を停止すべき状況であれば遊技を進行させるための処理の実行を停止する。具体的には、後述する不正検知処理(ステップS211)にて不正を検知して遊技の進行を停止すべき状況と判断した場合、可変入賞装置32や電動役物34aを強制的に閉鎖状態とする処理を実行するとともに、遊技球発射機構51からの遊技球の発射を強制的に停止する処理を実行する。遊技球の発射の停止処理としては、発射制御回路115における条件成立の送信回路116の信号レベルがHIレベルであっても、発射許可の受信回路117の信号レベルをLOWレベルとし発射ソレノイド54等の制御を停止させる。
【0147】
その後、ステップS206では遊技の進行を停止している状態であるか否かを判定し、遊技の進行を停止していない状態であることを条件に、ステップS207以降の処理を実行する。
【0148】
ステップS207では、ポート出力処理を実行する。ポート出力処理では、前回のタイマ割込み処理において出力情報の設定が行われている場合に、その出力情報に対応した出力を各種駆動部32c,34bに行うための処理を実行する。例えば、大入賞口32aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には可変入賞駆動部32cへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。また、下作動口34の電動役物34aを開放状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には電動役物駆動部34bへの駆動信号の出力を開始させ、閉鎖状態に切り換えるべき情報が設定されている場合には当該駆動信号の出力を停止させる。
【0149】
ステップS208では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、停電信号及び入賞信号以外の信号の読み込みを実行し、その読み込んだ情報を今後の処理にて利用するために記憶する。
【0150】
ステップS209は、各入賞検知センサ31a〜35bから受信している信号を読み込むとともに、その読み込んだ情報に対応した処理を行うための入賞検知処理を実行する。当該入賞検知処理の処理内容は、後に詳細に説明する。また、ステップS210では、RWM94に設けられている所定のタイマカウンタの数値情報をまとめて更新するためのタイマ更新処理を実行する。
【0151】
ステップS211では、不正用の監視対象として設定されている所定の事象が発生しているか否かを監視する不正検知処理を実行する。
【0152】
ステップS212では、遊技球の発射制御を実行する発射制御処理を実行する。当該発射制御処理の内容は、後に詳細に説明する。また、ステップS213では、入力状態監視処理として、ステップS208の読み込み処理にて読み込んだ情報に基づいて、各入賞検知センサ31a〜35bの断線確認や、遊技機本体12や前扉枠14の開放確認を行う。
【0153】
ステップS214では、遊技回の実行制御及び開閉実行モードの実行制御を行うための特図特電制御処理を実行する。当該特図特電制御処理では、保留格納エリア94bに記憶されている保留情報の数が上限数未満である状況で上作動口33又は下作動口34への入賞が発生した場合に、その時点における大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各数値情報を保留情報として、保留格納エリア94bに時系列的に格納していく処理を実行する。また、特図特電制御処理では、保留情報が記憶されている場合にその保留情報に対して内部抽選を行うとともにその内部抽選結果を遊技回用の演出として実行する。そして、上記内部抽選結果に応じた遊技状態の移行を行うための第1遊技状態移行処理を実行する。さらに、各遊技回におけるサポートモードや抽選モードの移行を行うための第2遊技状態移行処理を実行する。これら第1遊技状態移行処理及び第2遊技状態移行処理については、後に説明する。
【0154】
ステップS214の特図特電制御処理を実行した後は、ステップS215にて普図普電制御処理を実行する。普図普電制御処理では、スルーゲート35への入賞が発生している場合に普図側の保留情報を取得するための処理を実行するとともに、普図側の保留情報が記憶されている場合にその保留情報について開放判定を行い、さらにその開放判定を契機として普図用の演出を行うための処理を実行する。また、開放判定の結果に基づいて、下作動口34の電動役物34aを開閉させる処理を実行する。
【0155】
ステップS216では、直前のステップS214及びステップS215の処理結果に基づいて、メイン表示部43に係る保留情報の増減個数を第1保留ランプ部45に反映させるための出力情報の設定を行うとともに、役物用表示部44に係る保留情報の増減個数を第2保留ランプ部46に反映させるための出力情報の設定を行う。
【0156】
ステップS217では、遊技回及び開閉実行モードの両方が実行されていない状況において図柄表示装置41の表示内容を待機表示用のものとするためのデモ表示用処理を実行するとともに、ステップS218では、払出制御装置78のMPU102から受信したコマンド及び信号の内容を確認し、その確認結果に対応した処理を行うための払出状態受信処理を実行する。また、ステップS219では、賞球コマンドを出力対象として設定するための払出出力処理を実行する。
【0157】
ステップS220では、今回のタイマ割込み処理にて実行された各種処理の処理結果に応じた外部信号の出力の開始及び終了を制御するように外部情報設定処理を実行する。また、ステップS221では、試射試験情報を編集するための処理を実行する。
【0158】
ステップS206にて肯定判定をした場合、又はステップS207〜ステップS221の処理を実行した後は、ステップS222に進む。ステップS222では、割込み終了宣言の設定を実行する。MPU92では、一度タイマ割込み処理が起動された場合、次のタイマ割込み処理が起動されるための条件の1つとして割込み終了宣言の設定を行うことが定められており、ステップS222では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み終了宣言の設定を行う。また、ステップS223では、割込み許可の設定を行う。MPU92では、タイマ割込み処理が一旦起動されると、割込み禁止の状態に設定されるため、ステップS223では、次のタイマ割込み処理の実行を可能とするために割込み許可の設定を行う。その後、本タイマ割込み処理を終了する。
【0159】
<獲得球数の表示に関係する処理について>
本パチンコ機10では、図柄表示装置41の表示画面Gにて、所定期間中に獲得した遊技球の個数(獲得球数)が表示される。これらの処理について、説明する。
【0160】
<発射制御処理>
まず、タイマ割込み処理(図9)のステップS212にて実行される発射制御処理について図10のフローチャートを参照に説明する。
【0161】
先ずステップS301にて、電源及び発射制御装置79からの条件成立信号がHIレベルであるか否かを判定する。かかる条件成立信号は、条件成立の送信回路116を通じて主制御装置71のMPU92における図示しない入力ポートへ入力される。ステップS301では、当該入力ポートを監視することで、条件成立信号がHIレベルであるか否かを判定する。
【0162】
ステップS301にて肯定判定をした場合には、続くステップS302にて、発射許可済み状態であるか否かを判定する。発射許可済み状態とは、HIレベルの発射許可信号を発射許可の受信回路117を通じて既に出力している状態であることをいい、RWM94における発射許可済みフラグに「1」が格納されている状態である。発射許可済み状態ではない場合には、続くステップS303にて、RWM94の発射許可済みフラグに「1」を格納することで、発射許可済み状態に設定する。続くステップS304では、発射許可信号の出力状態をHIレベルに設定する。これにより、電源及び発射制御装置79に対して遊技球の発射を許可した状態となる。ステップS302にて肯定判定した場合又はステップS304の処理を実行した後は、ステップS305にて発射球数計測処理を実行し、本発射制御処理を終了する。発射球数計測処理については後に詳述する。
【0163】
ステップS301にて否定判定した場合は、ステップS306に進む。ステップS306ではRWM94の発射許可済みフラグを消去することで、発射許可済み状態を解除する。続くステップS307では、発射許可信号の出力状態をLOWレベルに設定する。これにより、電源及び発射制御装置79に対して遊技球の発射を許可しない状態となる。
【0164】
ステップS307の処理を実行した後は、ステップS308にて、RWM94に設けられた発射周期カウンタHCの値を「0」に更新する処理を実行する。発射周期カウンタHCは、後述する発射球数計測処理にて初期値の「0」から最大値の「149」まで1単位で更新可能となっており、ステップS308では、発射許可済み状態の解除に伴い、当該発射周期カウンタHCの値を初期値に再設定することになる。ステップS308の処理を実行した後は、本発射制御処理を終了する。
【0165】
また、図示はしないが、発射許可信号の出力状態がLOWレベルとなったことに基づいて、電源及び発射制御装置79では発射用IC118における遊技球の発射周期のカウントをクリアし初期値に再設定する。つまり、発射周期カウンタHCと発射用ICにおける発射周期とが同期しているといえる。
【0166】
すなわち、本パチンコ機10においては、電源及び発射制御装置79からの発射条件信号がHIレベルであることを条件に、RWM94において発射許可条件が成立していると判定し、遊技球の発射が許可される構成である。既に説明したとおり、電源及び発射制御装置79は、RWM94からの発射許可信号がHIレベルであることを条件に、遊技球発射機構51を0.6sec周期で遊技球を発射するよう制御する。
【0167】
また、既に説明したとおり、遊技停止判定処理(ステップS205)にて遊技の進行を停止すべき状況と判断した場合には、条件成立の送信回路116の信号レベルがHIレベルであっても、発射許可の受信回路117の信号レベルをLOWレベルとする。これに伴い、遊技停止判定処理では発射許可済み状態も解除する。したがって、本パチンコ機10においては、電源及び発射制御装置79側の発射条件が成立していることと、主制御装置71側の発射許可条件が成立していることと、の2つの条件が成立している場合に遊技球の発射が行われる。
【0168】
ここで、ステップS305にて実行される発射球数計測処理について、図11のフローチャートを参照に説明する。
【0169】
発射球数計測処理では、まずステップS401にてRWM94に計測開始フラグが格納されているか否かを判定する。計測開始フラグは、後述する第1遊技状態移行処理にて開閉実行モードの開始時にRWM94に格納され、遊技回にて高頻度サポートモードから低頻度サポートモードへ移行する場合に消去されるフラグであり、図柄表示装置41にて獲得球数を表示する期間を示すためのフラグである。計測開始フラグが格納されていない場合には、そのまま本発射球数計測処理を終了する。
【0170】
計測開始フラグが格納されている場合には、続くステップS402にて、発射周期カウンタHCの値に「1」加算する。続くステップS403では、ステップS402の処理の結果、発射周期カウンタHCの値が最大値の「149」であるか否かを判定し、最大値である場合、続くステップS404にて発射周期カウンタHCを初期値の「0」に再設定する。ステップS403にて否定判定した場合は、そのまま本発射球数計測処理を終了する。
【0171】
ステップS404の処理を実行した後は、ステップS405にてRWM94に設けられた発射球数カウンタHNの値に「1」加算する。発射球数カウンタHNは、計測開始フラグが格納されている期間の発射球数を示すカウンタであり、初期値の「0」から最大値の「65535」までカウント可能となっている。ステップS405にて発射球数カウンタHNの値が最大値である場合には、加算処理は行わない。ステップS404の処理を実行した後は、本発射球数計測処理を終了する。
【0172】
なお発射球数カウンタHNの最大値は上記に限定されず、「65535」よりも多くてもよく少なくてもよい。また、発射球数カウンタHNの値が最大値となった場合には初期値に戻る構成としてもよい。
【0173】
上述の通り、遊技球発射機構51における遊技球の発射周期は0.6secである。一方、本発射球数計測処理では、発射周期カウンタHCを初期値の「0」から「1」ずつ加算し最大値の「149」となった場合には、発射周期カウンタHCを初期値に再設定する。タイマ割込み処理(図9)は4msec周期で実行されることから、本発射周期カウンタHCが1周するのに0.6sec要することになり、遊技球発射機構51における発射周期と同じ周期となる。
【0174】
さらに、遊技球発射機構51では、図示はしないが、当該発射周期の中途で発射許可済み状態が解除されると、再び発射許可済み状態となってから0.6sec後に遊技球の発射を行う構成となっている。一方、発射周期カウンタHCは、発射許可済み状態が解除されるとステップS308にて初期値に再設定される。したがって、計測開始フラグが格納されている場合であっても、発射許可済み状態が解除された場合には、遊技球発射機構51の発射周期と同様に、再び発射許可済み状態となってから発射周期カウンタHCを初期値から加算処理を行う構成としている。
【0175】
また、詳細は後述するが、発射球数の計測期間が終了すると、発射周期カウンタHC及び発射球数カウンタHNを初期値に再設定する処理が行われる。
【0176】
したがって、発射球数の計測期間が終了して再び計測開始フラグが格納されると、発射周期及び発射球数ともに初期値から計測を行う構成となっている。
【0177】
なお、遊技球発射機構51における遊技球の発射周期を0.6sec周期としたが、これに限定されず、0.6secよりも長くてもよく短くてもよい。また、遊技状態に応じて発射周期が変更される構成としてもよい。さらに、抽選により発射周期を決定する構成としてもよい。これらの場合、設定、変更又は抽選により決定した周期にあわせて発射周期カウンタHCの最大値を変更するとよい。
【0178】
<入賞検知処理>
次に、タイマ割込み処理(図9)のステップS209にて実行される入賞検知処理について説明する。
【0179】
入賞検知処理では、入賞用検知センサ31a〜35bにおける検知結果を確認する処理を実行するが、当該確認に際してはMPU92の入力ポートが確認される。ここで、入賞検知処理の説明に先立ち、図12を参照しながら、MPU92の入力ポート92aに対して入賞用検知センサ31a〜35bの検知結果が入力されるための電気的な構成について説明する。
【0180】
入力ポート92aは、8種類の信号を同時に扱うことができるように8ビットのパラレルインターフェースとして構成されている。そして、各信号の電圧に応じて「0」又は「1」の情報が格納されるエリアが、各端子に1対1で対応させて設けられている。つまり、当該エリアとして、第0ビットD0〜第7ビットD7を備えている。
【0181】
また、入力ポート92aには8種類を超える信号が入力されることとなるが、同時に入力される対象を8種類に制限するために、入力ポート92aへの入力対象となる信号群はドライバICによる切換制御を通じて切り換えられる。入賞検知処理では、入力ポート92aへの入力対象となる信号群が各入賞用検知センサ31a〜35bに設定される。
【0182】
かかる設定がなされた状況では、第0ビットD0は大入賞口検知センサ32eからの入賞信号に対応した情報が格納され、第1ビットD1は上作動口検知センサ33aからの入賞信号に対応した情報が格納され、第2ビットD2は下作動口検知センサ34cからの入賞信号に対応した情報が格納され、第3ビットD3は第1入賞口検知センサ31aからの入賞信号に対応した情報が格納され、第4ビットD4は第2入賞口検知センサ31bからの入賞信号に対応した情報が格納され、第5ビットD5は第3入賞口検知センサ31cからの入賞信号に対応した情報が格納され、第6ビットD6は第1ゲート検知センサ35aからの入賞信号に対応した情報が格納され、第7ビットD7は第2ゲート検知センサ35bからの入賞信号に対応した情報が格納される。
【0183】
この場合に、上記各入賞用検知センサ31a〜35bは、遊技球の通過を検知していない場合には入賞信号として非検知中であることを示すHIレベル信号を出力し、遊技球の通過を検知している場合には入賞信号として検知中であることを示すLOWレベル信号を出力する。但し、主制御基板91には反転回路が設けられており、入力ポート92aに上記各検知信号が入力される前に信号の状態が反転される。そして、入力ポート92aでは当該反転回路を通じてLOWレベル信号を受信している場合に該当するビットに対して「0」の情報(データ0又は無し情報)を格納し、反転回路を通じてHIレベル信号を受信している場合に該当するビットに対して「1」の情報(データ1又は有り情報)を格納する。
【0184】
つまり、入賞用検知センサ31a〜35bにおいて遊技球の通過が検知されていない状況では該当するビットに対して非検知中を示す情報に対応した「0」の情報が格納され、遊技球の通過が検知されている状況では該当するビットに対して検知中を示す情報に対応した「1」の情報が格納される。
【0185】
なお、各入賞用検知センサ31a〜35bは、遊技球の通過を検知していない間は入賞信号としてLOWレベル信号を出力するとともに遊技球の通過を検知している間は入賞信号としてHIレベル信号を出力する構成としてもよい。この場合、上記反転回路を不具備とすればよい。
【0186】
さて、入賞検知処理では、図13(a)のフローチャートに示すように、先ずステップS501にて、上記第0〜第7ビットD0〜D7に現状格納されている情報を、MPU92のレジスタにおける第1入賞判定エリアWA1に移行させる処理を実行する。当該第1入賞判定エリアWA1は、図13(b−1)に示すように8ビットから構成されており、上記第0〜第7ビットD0〜D7に格納されている情報の全てを格納することが可能なデータ容量となっている。この場合、第0〜第7ビットD0〜D7における格納元のビットと、第1入賞判定エリアWA1における格納先のビットとは1対1で対応させて予め定められており、例えば第0ビットD0の情報は常に第1入賞判定エリアWA1における所定のビットに格納される。
【0187】
続くステップS502では、入賞検知用のウェイト処理を実行する。当該ウェイト処理では、予め定められたウェイト時間が経過するまでMPU92において何ら処理を実行することなく待機する。本パチンコ機10では、当該ウェイト時間として10μsecが設定されているが、定期的なタイマ割込み処理の実行を阻害することなく、さらに当該ウェイト処理に設定したことによる後述する作用効果を十分に奏することができるのであれば、具体的なウェイト時間は任意であるが、2μsec〜500μsecの範囲であることが好ましく、より好ましくは10μsec〜100μsecの範囲である。
【0188】
ちなみに、MPU92は一のステップの処理を実行するには少なくとも1.2μsecを要する。したがって、ステップS502の処理が設定されていなくても、ステップS501とステップS503との間には1.2μsecの強制的なウェイト時間が発生することとなる。この点、ステップS302では、処理を実行する上で最低限要する時間だけでなく、それに対して追加のウェイト時間をステップS501の処理とステップS503の処理との間に設定していることとなる。
【0189】
続くステップS503では、上記第0〜第7ビットD0〜D7に現状格納されている情報を、MPU92のレジスタにおける第2入賞判定エリアWA2に移行させる処理を実行する。ちなみに、入力ポート92aにおける情報の更新はステップS501が完了してからステップS503が開始されるまでの時間よりも短い間隔で行われているため、ステップS503にて第0〜第7ビットD0〜D7から移行される情報は、ステップS501の場合と異なるものとなり得る。
【0190】
第2入賞判定エリアWA2は、第1入賞判定エリアWA1と同様に、図13(b−2)に示すように8ビットから構成されており、上記第0〜第7ビットD0〜D7に格納されている情報の全てを格納することが可能なデータ容量となっている。この場合、第0〜第7ビットD0〜D7における格納元のビットと、第2入賞判定エリアWA2における格納先のビットとは1対1で対応させて予め定められており、さらに格納元のビットと格納先のビットとの関係は、第1入賞判定エリアWA1の場合と同一となっている。
【0191】
その後、ステップS504にて、入賞判定処理を実行した後に、本入賞検知処理を終了する。ここで、当該入賞判定処理について、図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0192】
入賞判定処理では、先ずステップS601にて、RWM94に設けられた入賞判定カウンタに8をセットする。続くステップS602では、第1入賞判定エリアWA1及び第2入賞判定エリアWA2における現状の入賞判定カウンタの数値情報に対応したビットの各情報を把握する。この場合に把握される各情報は、入力ポート92aにおける同一のビットから読み出された情報である。
【0193】
続くステップS603では、ステップS402にて把握した各情報のAND処理を実行し、そのAND処理結果をレジスタに記憶するとともに、ステップS604にて、第1演算後エリアWA3及び第2演算後エリアWA4のうち、前回のタイマ割込み処理の処理回における入賞検知処理にてAND処理の結果の情報が格納された側とは異なる側の対応するビットに上記AND処理結果を格納する。第1演算後エリアWA3及び第2演算後エリアWA4は、図13(b−3)及び図13(b−4)に示すように8ビットから構成されており、第1入賞判定エリアWA1の各ビットと第2入賞判定エリアWA2の各ビットとのAND処理結果の各情報を全て格納することが可能なデータ容量となっている。この場合、AND処理の対象となった第1入賞判定エリアWA1及び第2入賞判定エリアWA2のビットの順番と、第1演算後エリアWA3及び第2演算後エリアWA4における各ビットの順番とは一義的に定められている。
【0194】
その後、ステップS605にて、第1演算後エリアWA3及び第2演算後エリアWA4のうち、前回のタイマ割込み処理の処理回における入賞判定処理にてAND処理の結果の情報が格納された側であって、現状の入賞判定カウンタの数値情報に対応したビットの情報を読み出す。そして、ステップS606にて、その読み出した情報を「0」と「1」との間で反転させるための反転処理を実行する。
【0195】
その後、ステップS607にて、ステップS603におけるAND処理結果の情報と、ステップS606における反転処理結果の情報とのAND処理を実行し、続くステップS608にて、そのAND処理の結果が入賞検知開始情報に対応した「1」であるか否かを判定する。
【0196】
ステップS608にて、AND処理結果が「1」であると判定した場合には、ステップS609にて、現状の入賞判定カウンタの数値情報が上作動口33及び下作動口34のいずれかに対応したビットを示す情報であるか否かを判定する。上作動口33及び下作動口34のいずれかに対応している場合には、ステップS610にて、RWM94に設けられた作動入賞フラグに「1」を格納し、続くステップS611にて、RWM94に設けられた3個賞球カウンタの数値情報を1加算する。
【0197】
作動入賞フラグは、上作動口33又は下作動口34への入賞に対応した処理であって賞球の実行以外の処理を実行すべき状態であることをMPU92にて特定するためのフラグである。ちなみに、上作動口33と下作動口34とのそれぞれに対して入賞用検知センサ33a,34cが設けられた構成においては、上作動口33への入賞と下作動口34への入賞とがタイマ割込み処理の1処理回の範囲内で同時に把握されることがある。したがって、これに対応すべく、作動入賞フラグは、作動口33,34の数に対応させて設けられており、具体的には2個設けられている。また、3個賞球カウンタは、3個の賞球の実行を指示する3個賞球コマンドを出力すべき回数をMPU92にて特定するためのカウンタである。
【0198】
ステップS609にて否定判定をした場合には、ステップS612にて、現状の入賞判定カウンタの数値情報が可変入賞装置32に対応したビットを示す情報であるか否かを判定する。可変入賞装置32に対応している場合には、ステップS613にて、RWM94に設けられた大入賞フラグに「1」を格納し、続くステップS614にて、RWM94に設けられた15個賞球カウンタの数値情報を1加算する。
【0199】
大入賞フラグは、可変入賞装置32への入賞に対応した処理であって賞球の実行以外の処理を実行すべき状態であることをMPU92にて特定するためのフラグである。また、15個賞球カウンタは、15個の賞球の実行を指示する15個賞球コマンドを出力すべき回数をMPU92にて特定するためのカウンタである。
【0200】
ステップS612にて否定判定をした場合には、ステップS615にて、現状の入賞判定カウンタの数値情報がスルーゲート35に対応したビットを示す情報であるか否かを判定する。スルーゲート35に対応している場合には、ステップS616にて、RWM94に設けられたスルーフラグに「1」を格納する。ステップS615にて、否定判定をした場合には、今回の入賞が一般入賞口31に対応していることを意味するため、ステップS617にて、RWM94に設けられた10個賞球カウンタの数値情報を1加算する。
【0201】
スルーフラグは、スルーゲート35への入賞に対応した処理を実行すべき状態であることをMPU92にて特定するためのフラグである。また、10個賞球カウンタは、10個の賞球の実行を指示する10個賞球コマンドを出力すべき回数をMPU92にて特定するためのカウンタである。
【0202】
ステップS608にて否定判定をした場合、又はステップS611,ステップS614,ステップS616,ステップS617のいずれかの処理を実行した後は、ステップS618に進む。ステップS618では、入賞判定カウンタを1減算し、その後、ステップS619にて入賞判定カウンタが「0」であるか否かを判定する。
【0203】
「0」でない場合には、ステップS618にて更新した入賞判定カウンタの数値情報に応じたビットについて、ステップS602〜ステップS617の処理を実行する。かかるステップS602〜ステップS617の処理を、ステップS601にてセットした数値情報分実行した場合には、ステップS619にて肯定判定をすることとなり、肯定判定をすることで、ステップS620に進み、純増加球数演算処理を実行した後、本入賞判定処理を終了する。
【0204】
ここで、ステップS620の純増加球数演算処理について図15のフローチャートを参照して説明する。
【0205】
純増加球数演算処理では、まず、ステップS701にてRWM94に設けられた計測開始フラグが「1」であるか否かを判定する。計測開始フラグが格納されていない場合には、そのまま本純増加球数演算処理を終了する。
【0206】
計測開始フラグが「1」である場合、ステップS702にて、上記ステップS611、ステップS614又はステップS617の処理の結果、いずれかの賞球カウンタが「1」以上となっているか否かを判定する。いずれの賞球カウンタも「0」である場合には、上作動口33、下作動口34、大入賞口32a、一般入賞口31といった賞球用入球部への遊技球の入球が発生していないため、そのまま本純増加球数演算処理を終了する。
【0207】
ステップS702にて肯定判定した場合、続くステップS703にて15個賞球カウンタが「1」以上であるか否かを判定する。ステップS703にて肯定判定した場合、すなわち大入賞口32aへの入賞が発生している場合、ステップS704にて発射球数カウンタHNの値が「15」以下であるか否かを判定する。「15」以下である場合、ステップS705にて「15」から発射球数カウンタHNの値を減算処理し、その数値情報を増加コマンドに入力し、音声発光制御装置72への出力対象として設定する。増加コマンドは複数ビットで構成されており、自身が増加コマンドであることの情報と上記入力した数値情報を含むことが可能となっている。音声発光制御装置72は受信した増加コマンドをそのまま表示制御装置97に送信する。表示制御装置97は増加コマンドを受信したことに基づいて総獲得球数の加算処理を実行する。この処理については後述する。
【0208】
ステップS704にて否定判定した場合、すなわち発射球数カウンタHNの値が「15」よりも大きい場合、ステップS706にて発射球数カウンタHNの値から「15」を減算処理し、その数値情報を減少コマンドに入力し、音声発光制御装置72への出力対象として設定する。減少コマンドは複数ビットで構成されており、自身が減少コマンドであることの情報と上記入力した数値情報を含むことが可能となっている。音声発光制御装置72は受信した減少コマンドをそのまま表示制御装置97に送信する。表示制御装置97は減少コマンドを受信したことに基づいて総獲得球数の減算処理を実行する。この処理については後述する。
【0209】
ステップS703にて否定判定した場合、ステップS707にて10個賞球カウンタが「1」以上であるか否かを判定する。ステップS707にて肯定判定した場合、すなわち一般入賞口31への入賞が発生している場合、ステップS708にて発射球数カウンタHNの値が「10」以下であるか否かを判定する。「10」以下である場合、ステップS709にて「10」から発射球数カウンタHNの値を減算処理し、その数値情報を増加コマンドに入力し、音声発光制御装置72への出力対象として設定する。ステップS708にて否定判定した場合、すなわち発射球数カウンタHNの値が「10」よりも大きい場合、ステップS710にて発射球数カウンタHNの値から「10」を減算処理し、その数値情報を減少コマンドに入力し、音声発光制御装置72への出力対象として設定する。
【0210】
ステップS707にて否定判定した場合、すなわちいずれかの作動口33,34への入賞が発生している場合、ステップS711にて発射球数カウンタHNの値が「3」以下であるか否かを判定する。「3」以下である場合、ステップS712にて「3」から発射球数カウンタHNの値を減算処理し、その数値情報を増加コマンドに入力し、音声発光制御装置72への出力対象として設定する。ステップS711にて否定判定した場合、すなわち発射球数カウンタHNの値が3よりも大きい場合、ステップS713にて発射球数カウンタHNの値から「3」を減算処理し、その数値情報を減少コマンドに入力し、音声発光制御装置72への出力対象として設定する。
【0211】
ステップS705、ステップS706、ステップS709、ステップS710、ステップS712及びステップS713のいずれかの処理を実行した後はステップS714に進む。ステップS714では発射球数カウンタHNの値を「0」にクリアする。ステップS714の処理を実行した後は、本純増加球数演算処理を終了する。
【0212】
ちなみに図示はしないが、各賞球カウンタに「1」以上の数値が入力されている場合には、タイマ割込み処理(図9)が1処理回実行されるごとに払出出力処理(ステップS219)にて、払出制御装置78へ各賞球カウンタに対応した賞球数の賞球コマンドが送信される。そして、対応する賞球コマンドが送信されることで、各賞球カウンタは「1」減算される。さらに払出出力処理では、1処理回で1個の賞球コマンドを送信する構成としており、減算後にいずれかの賞球カウンタが「1」以上であっても次の処理回に持ち越す。
【0213】
また払出出力処理における対応する賞球コマンドを出力する優先順位、すなわち各賞球カウンタを減算する優先順位としては、15個賞球カウンタ、10個賞球カウンタ、3個賞球カウンタの順に減算する構成となっており、本純増加球数演算処理における優先順位と同じ順となっている。また、本純増加球数演算処理においては、各賞球カウンタを参照するのみで減算しない。さらにタイマ割込み処理では、入賞検知処理のほうが払出出力処理よりも優先的に実行される構成としている。これにより、本純増加球数演算処理において参照する各賞球カウンタの数値情報とその後に払出出力処理にて参照する各賞球カウンタの数値情報とは同じ数値情報となる。
【0214】
払出制御装置78では賞球コマンドを受信することに基づいて、当該賞球コマンドに含まれる賞球数の遊技球を払い出すように払出装置77を制御する。一方で、遊技球発射機構51では発射許可条件成立のもと遊技球を発射する。したがって、現実に遊技者が獲得した遊技球の球数は、払出装置77から払い出された遊技球の球数(払出球数)から遊技球発射機構51から発射された遊技球の球数(発射球数)を減算した球数となる。
【0215】
これに対して、本純増加球数演算処理では、いずれかの賞球用入球部への遊技球の入球を契機に、入球した賞球用入球部に対応する賞球数から発射球数を減算し、その情報を増加コマンド又は減少コマンドとして音声発光制御装置72を通じて表示制御装置97に送信する。したがって、表示制御装置97が受信する各コマンドに含まれる数値情報は、現実の払出球数から発射球数を減算した球数、すなわち現実に遊技者が獲得した遊技球の球数と同等といえる。
【0216】
<第1遊技状態移行処理>
次に、タイマ割込み処理(図9)におけるステップS214の特図特電制御処理にて実行される第1遊技状態移行処理について、図16のフローチャートを参照しながら説明する。
【0217】
ここで、1の遊技回の変動表示の開始と終了は、特図特電制御処理にて実行される遊技回用の制御処理にて制御されている。すなわち、上作動口33又は下作動口34への入賞に基づいて保留格納エリア94bに記憶された大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2、リーチ乱数カウンタC3を用いて、各遊技回の遊技結果や変動表示時間等が決定され、それらに基づいて各遊技回の変動表示が実行される。そして、大当たり当選に対応する遊技結果の場合には、可変入賞装置32を開閉制御する開閉実行モードへの移行処理が行われる。
【0218】
さて第1遊技状態移行処理では先ず、ステップS801にて、開閉実行モード中か否かを判定する。開閉実行モード中ではない場合にはステップS802に進み、1の遊技回のメイン表示部43における絵柄の変動表示が終了したタイミングか否かを判定する。変動表示が終了したタイミングでない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
【0219】
変動表示が終了したタイミングである場合には、ステップS803にて、今回終了した遊技回の遊技結果が開閉実行モードへの移行に対応したものであるか否かを判定する。具体的には、今回の遊技結果がいずれかの大当たり結果であるか否かを判定する。開閉実行モードへの移行に対応したものではない場合には、そのまま本遊技状態移行処理を終了する。
【0220】
開閉実行モードへの移行に対応したものである場合には、ステップS804にてRWM94に設けられた計測開始フラグに「1」を格納する。これにより、上述の発射球数計測処理(図11)における発射球数の計測と、純増加球数演算処理(図15)における払出球数と発射球数との演算及び出力設定が開始される。続くステップS805では、計測開始コマンドを音声発光制御装置72に対する出力対象に設定する。音声発光制御装置72は受信した計測開始コマンドをそのまま表示制御装置97に送信する。表示制御装置97は計測開始コマンドを受信したことに基づいて、図柄表示装置41にて獲得球数を表示させるための処理を開始する。この処理については後に説明する。
【0221】
続くステップS806ではRWM94に設けられたラウンドカウンタRCに「15」をセットする。ラウンドカウンタRCは、1回の開閉実行モードの範囲内で実行するラウンド遊技の回数をMPU92にて特定するためのカウンタである。
【0222】
続くステップS807では、RWM94に設けられたタイマカウンタTCにオープニング用の待機時間(待機期間)として「1000」をセットする。タイマカウンタTCにセットされた数値情報は、タイマ割込み処理(図9)の1処理回ごとに1減算されるように更新される。したがって、オープニング用の待機時間は4secとなっている。但し、当該待機時間は任意である。
【0223】
ステップS807の処理を実行した後は、ステップS808にて、オープニングコマンドを音声発光制御装置72に対する出力対象に設定する。音声発光制御装置72では、オープニングコマンドを受信することで、当該コマンドに対応した開閉実行モード用の演出内容を決定し、その決定結果に応じて表示ランプ部58aやスピーカ部59の駆動制御を開始する。また、そのオープニングコマンドを表示制御装置97に送信する。表示制御装置97では、受信したオープニングコマンドに対応した開閉実行モード用の画像表示演出を図柄表示装置41にて開始させる。ステップS808の処理を実行した後は、本遊技状態移行処理を終了する。
【0224】
一方、ステップS801にて、開閉実行モード中であると判定した場合にはステップS809に進む。ステップS809では、大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大入賞口32aが閉鎖中である場合には、ラウンドカウンタRCが「1」以上であることを条件として、可変入賞駆動部32cを駆動状態とすることで大入賞口32aを開放させる。また、大入賞口32aが開放中である場合には、当該大入賞口32aの開放から開放限度時間が経過していること又は開放限度個数が入賞していることを条件として、可変入賞駆動部32cの駆動状態を停止し、大入賞口32aを閉鎖させる。
【0225】
ステップS809の処理を実行した後は、ステップS810にてラウンドカウンタRCが「0」であるか否かを判定するとともに、ステップS811にてタイマカウンタTCが「0」であるか否かを判定する。ステップS810及びステップS811のいずれかにて否定判定をした場合にはそのまま本遊技状態移行処理を終了し、ステップS810及びステップS811の両方にて肯定判定をした場合には、ステップS812にて開閉実行モード終了時の移行処理を実行する。
【0226】
開閉実行モード終了時の移行処理では、開閉実行モード後の遊技状態が、今回実行された開閉実行モードの移行の契機となった遊技結果に対応したものとなるようにするための処理を実行する。すなわち、今回の開閉実行モードの契機となった遊技結果が確変大当たり結果である場合には、抽選モードを高確率モードに設定するととも、回数制限なしの高頻度サポートモードに設定する。また、今回の開閉実行モードの契機となった遊技結果が通常大当たり結果である場合には、抽選モードを低確率モードに設定するととも、回数制限ありの高頻度サポートモードに設定する。また、回数制限ありの高頻度サポートモードに設定する際は、RWM94の回数制限フラグに「1」を格納するとともに、高頻度サポートモードの終了基準回数である「100」をRWM94に設けられた高頻度遊技回数カウンタにセットする。回数制限フラグは、今回の高頻度サポートモードが回数制限ありの高頻度サポートモードであることをMPU92が特定するためのフラグである。また高頻度遊技回数カウンタは1遊技回の変動表示を終了するごとに「1」減算されるカウンタである。
【0227】
ステップS812の処理を実行した後は、ステップS813にてエンディングコマンドを音声発光制御装置72に対する出力対象に設定し、本第1遊技状態移行処理を終了する。音声発光制御装置72では受信したエンディングコマンドに基づいて、開閉実行モードの終了に対応した演出の内容を決定し、その決定した演出の内容が実行されるように表示ランプ部58aやスピーカ部59を駆動制御する。また、そのエンディングコマンドを表示制御装置97に送信する。表示制御装置97では、受信したエンディングコマンドに対応した開閉実行モード終了用の画像表示演出を図柄表示装置41にて開始させる。
【0228】
<第2遊技状態移行処理>
次に、タイマ割込み処理(図9)におけるステップS214の特図特電制御処理にて実行される第2遊技状態移行処理について、図17のフローチャートを参照しながら説明する。
【0229】
第2遊技状態移行処理では、先ず、ステップS901にて高頻度サポートフラグが格納されているか否かを判定する。高頻度サポートフラグが格納されている場合には、続くステップS902にて回数制限フラグが格納されているか否かを判定する。回数制限フラグが格納されている場合には、続くステップS903にて高頻度遊技回数カウンタが「0」であるか否かを判定する。ステップS901〜ステップS903のうちいずれかで否定判定した場合には、そのまま本第2遊技状態移行処理を終了する。
【0230】
ステップS903にて肯定判定した場合、すなわち回数制限ありの高頻度サポートモードであって高頻度遊技回数カウンタが「0」である場合、ステップS904に進む。ステップS904では、高頻度サポートフラグを消去する。これによりサポートモードが低頻度サポートモードに設定される。続くステップS905では、計測開始フラグを消去する。これにより、発射球数の計測と払出球数との演算及び出力が終了する。したがって、制限ありの高頻度サポートモードにおける遊技回にて、変動表示が終了し高頻度遊技回数カウンタの値が「0」となることで、発射球数の計測と払出球数との演算及び出力する期間が終了する。
【0231】
続くステップS906では、発射周期カウンタHC及び発射球数カウンタHNの値を初期値である「0」に再設定する。これにより、次回、発射球数を計測する場合に、初期値から計測することが可能となる。
【0232】
その後、ステップS907にて、低頻度コマンドを音声発光制御装置72に対する出力対象に設定し、ステップS908にて計測終了コマンドを音声発光制御装置72に対する出力対象に設定する。音声発光制御装置72では、受信した低頻度コマンドに基づいて、図柄表示装置41の表示画面における演出内容を決定し、低頻度サポートモードに対応する演出を実行する。また、受信した計測終了コマンドをそのまま表示制御装置97に送信する。表示制御装置97は計測終了コマンドを受信することに基づいて、図柄表示装置41における獲得球数の表示を終了し、最終的な総獲得球数を表示する。この処理については後述する。
【0233】
すなわち、本実施の形態においては、いずれかの大当たり結果に基づく開閉実行モードが開始されてから、制限ありの高頻度サポートモードの遊技回にて低頻度サポートモードへ移行するまでの期間が、発射球数の計測と払出球数との演算及び出力処理を行う期間となっている。なお、開閉実行モード中はそれまでのサポートモードの高低に関係なく、強制的に低頻度サポートモードに移行するように設定されるが、この低頻度サポートモードへの移行においては計測期間の終了は設定されない。したがって、高頻度サポートモード中に大当たり当選したことに基づく開閉実行モード中も上記の発射球数の計測と払出球数との演算及び出力処理が行われる。
【0234】
<払出球数と発射球数とを表示するための表示制御装置97における処理について>
次に、主制御装置71のMPU92から出力された増加コマンド及び減少コマンドに基づいて図柄表示装置41にて獲得球数を表示させるための処理である総獲得球数設定処理について、図18のフローチャートを参照して説明する。
【0235】
ここで、音声発光制御装置72を経由して主制御装置71から受信した各コマンドは、コマンドを受信した際に起動されるコマンド格納処理により表示制御装置97におけるワークRWM134のコマンド格納エリアに格納される。ワークRWM134のコマンド格納エリアは、複数のコマンドを個別に記憶可能であって先に記憶したコマンドから読み出し可能なリングバッファとして構成されており、複数のコマンドを同時期に受信した場合であってもそれら各コマンドに対応した処理を良好に実行できるようになっている。また、表示制御装置97では、受信しているコマンドがいずれのコマンドであるかを定期的(例えば、2msec周期)に確認しており、この確認処理により各遊技回の遊技結果に対応する演出や開閉実行モードに対応する演出を図柄表示装置41にて表示させるよう制御することが可能となっている。総獲得球数設定処理は、このコマンドの確認処理が実行されるごとに行われる。
【0236】
さて、総獲得球数設定処理では、先ずステップS1001にて、ワークRWM134に設けられた計測開始フラグに「1」が格納されているか否かを判定する。計測開始フラグは、総獲得球数を表示させる期間であることをMPU132にて特定するためのフラグである。計測開始フラグが「1」でない場合には、続くステップS1002にて今回の読み取り対象が計測開始コマンドであるか否かを判定する。ステップS1001及びステップS1002にて否定判定した場合、総獲得球数を表示する期間でないため、そのまま本総獲得球数設定処理を終了する。
【0237】
ステップS1002にて計測開始コマンドを受信している場合には、続くステップS1003にて、計測開始フラグに「1」を格納する。続くステップS1004では、図柄表示装置41の表示内容として総獲得球数演出を行うように、ワークRWM134の表示パターンアドレスの記憶エリアに現状の総獲得球数に対応するアドレス情報を記憶させる。現状の総獲得球数としては、ワークRWM134に設けられた総獲得球数カウンタを参照して確認する。総獲得球数カウンタは、例えば「0」〜「99999」の範囲内において「1」単位で更新可能となっており、計測開始コマンドを受信してから計測終了コマンドを受信するまでの期間に受信する増加コマンド及び減少コマンドに含まれる数値情報をもとに、後述する総獲得球数加算処理や総獲得球数減算処理にて更新されるカウンタである。
【0238】
ステップS1004にて総獲得球数カウンタに対応するアドレス情報がワークRWM134の表示パターンアドレスの記憶エリアに記憶されることにより、MPU132では図示しない内部コマンドの出力処理にて、VDP135に対して内部コマンドを生成し、今回設定された総獲得球数カウンタに対応した表示が行われるように、図柄表示装置41を駆動させる。この場合、内部コマンドの出力処理は所定の周期(例えば、2msec)で繰り返し起動されるものであり、当該内部コマンドの出力処理では、設定された総獲得球数カウンタの情報に応じた内部コマンドを総獲得球数カウンタの更新に応じて生成し、その生成した内部コマンドをVDP135に出力する。VDP135では、その内部コマンドに応じて画像データをキャラクタROM136から読み出し、その読み出した画像データをビデオRWM137に書き込む。これにより、図柄表示装置41において総獲得球数カウンタに対応した総獲得球数演出が行われる。
【0239】
ここで、総獲得球数演出は、図柄表示装置41の表示画面Gにおいて遊技状態に対応する演出よりも前面に表示されるようになっている。具体的には、開閉実行モードにおいてはキャラクタの図柄や動画による開閉実行モード用の演出が表示され、各遊技回においては図柄の変動表示による演出が表示されるが、総獲得球数演出はこれらの演出よりも前面に表示される。したがって、遊技状態に対応する演出や背景と重なった場合であっても、現状の総獲得球数を遊技者が識別することが可能となっている。
【0240】
ステップS1004の処理を実行した後は、本総獲得球数設定処理を終了する。
【0241】
ステップS1001にて肯定判定した場合、ステップS1005に進む。ステップS1005では、今回の読み取り対象が増加コマンド又は減少コマンドであるか否かを判定する。ステップS1005にて肯定判定した場合、ステップS1006にて増加コマンドであるか否かを判定する。増加コマンドである場合には、続くステップS1007にて、現状の総獲得球数カウンタの数値情報を読み出すとともに増加コマンドに含まれる数値情報を読み出した総獲得球数カウンタに加算する総獲得球数加算処理を実行する。その後ステップS1009に進む。但し、総獲得球数カウンタの値が最大値の「99999」である場合には、加算せずにそのままステップS1009に進む。
【0242】
ステップS1006にて減少コマンドである場合には、ステップS1008に進み、現状の総獲得球数カウンタの数値情報を読み出すとともに減少コマンドに含まれる数値情報を読み出した総獲得球数カウンタから減算する総獲得球数減算処理を実行する。その後ステップS1009に進む。但し、総獲得球数カウンタの値が初期値の「0」である場合には、減算せずにそのままステップS1009に進む。
【0243】
なお、総獲得球数カウンタの構成や更新態様は上記に限定されず、例えば桁数や更新単位は任意であり、最大値となった場合には「0」に戻る構成としてもよく、また、初期値から減算してマイナスの球数表示が行われる構成としてもよい。
【0244】
ステップS1009では、ステップS1007又はステップS1008の処理結果に基づいて総獲得球数カウンタに対応するアドレス情報を表示パターンアドレスの記憶エリアに記憶させる。これにより、図柄表示装置41における総獲得球数の表示が更新される。ステップS1009の処理を実行した後は、本総獲得球数設定処理を終了する。
【0245】
ステップS1005にて否定判定した場合、ステップS1010に進む。ステップS1010では、今回の読み取り対象が計測終了コマンドであるか否かを判定する。計測終了コマンドでない場合には、本総獲得球数設定処理を終了する。計測終了コマンドである場合には、ステップS1011にて計測開始フラグを消去する。これにより、総獲得球数を表示すべき期間が終了する。続くステップS1012ではワークRWM134の表示パターンアドレスの記憶エリアに総獲得球数の表示を終了する演出として総獲得球数終了演出に対応するアドレス情報を記憶させる。これにより、図柄表示装置41において、総獲得球数の表示が終了し、最終的に獲得した総獲得球数を遊技者が認識できるように、総獲得球数演出における総獲得球数の表示よりも大きく、表示画面G全体に最終的な総獲得球数の表示が行われる。ステップS1012の処理を実行した後は、本総獲得球数設定処理を終了する。
【0246】
既に説明したとおり、本パチンコ機10においては、計測開始コマンドは、第1遊技状態移行処理にて開閉実行モードへの移行が発生した場合に主制御装置71のMPU92から送信され、計測終了コマンドは、第2遊技状態移行処理にて高頻度サポートモードが終了する場合にMPU92から送信される。したがって、本総獲得球数設定処理にて総獲得球数を表示する期間としては、いずれかの大当たり結果に基づいて実行される開閉実行モードが開始されてから、遊技回の変動表示が終了して高頻度サポートモードが終了するまでの期間である。
【0247】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0248】
発射球数を、遊技球発射機構51の発射条件が成立している期間と遊技球の発射周期との関係から算出する構成とした。これにより、発射球数を検知するセンサ等の新たな装置や部材を必要とせずに、簡易な処理にて発射球数を計測することが可能となる。
【0249】
計測した発射球数は、いずれかの賞球用入球部への遊技球の入球を契機として表示制御装置97に送信する構成とした。遊技球の発射は連続的に行われるところ、当該遊技球の発射を示すコマンドを常に表示制御装置97に送信する構成とすると、送信するコマンド数が増加する。一方で、本構成のように賞球用入球部への入球を契機とすることで、主制御装置71から表示制御装置97へ送信されるコマンド数の増加を抑制することが可能となる。これにより、コマンド出力に要する消費電力を抑えるとともに、ライン等の部材の消耗を抑えることが可能となる。
【0250】
いずれかの賞球用入球部への遊技球の入球を契機としてコマンドを送信するに際して、対応する賞球数と発射球数との演算処理の結果を送信する構成とした。したがって、賞球数を示すコマンドと発射球数を示すコマンドとをそれぞれ送信する構成と比較して、送信するコマンド数を半減することが可能となる。
【0251】
特に本実施の形態においては、対応する賞球数が発射球数以上の場合には賞球数から発射球数を減算処理した増加コマンドを送信し、賞球数よりも発射球数のほうが多い場合には発射球数から賞球数を減算処理した減少コマンドを送信し、表示制御装置97にて各コマンドに基づく数値情報を再度演算し、総獲得球数として算出する構成とした。したがって、1つの制御装置にて総獲得球数まで演算処理する構成と比較して、演算処理を2つの制御装置にて分担しているため、各制御装置にかかる処理負荷を軽減することが可能となる。
【0252】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、上記第1の実施の形態とは、総獲得球数設定処理の構成が異なっている。以下、異なる構成について説明する。
【0253】
図示はしないが、本実施の形態における総獲得球数設定処理では、減少コマンドを受信した場合に総獲得球数カウンタからの減算処理(ステップS1008)を実行しない。代わりに、表示制御装置97のワークRWM134に総獲得球数カウンタとは別途設けられた減算カウンタに、受信した減少コマンドに含まれる数値情報を加算する処理を実行する。
【0254】
また、増加コマンドを受信した場合の加算処理(ステップS1007)では、当該減算カウンタの値と増加コマンドの数値情報を比較したうえで、増加コマンドの数値情報が減算カウンタの値以上である場合には、増加コマンドの数値情報から減算カウンタの値を減算し、その結果を総獲得球数カウンタに加算する。さらにこの場合、減算カウンタを「0」にクリアする。一方、減算カウンタの値のほうが増加コマンドの数値情報よりも大きい場合には、減算カウンタの値から増加コマンドの数値情報を減算してその結果を減算カウンタに入力して更新する。
【0255】
すなわち、本実施の形態における加算処理(ステップS1007)では、減算カウンタ分を差し引いた値を総獲得球数カウンタに加算するか、増加コマンド分を減算カウンタから差し引く処理を実行する。
【0256】
また、ステップS1012における、最終的な総獲得球数の表示演出の設定に際し、当該減算カウンタの数値情報を総獲得球数カウンタから減算し、減算後の総獲得球数カウンタに対応する総獲得球数の表示を実行する。
【0257】
したがって、本実施の形態においては、総獲得球数カウンタの値は最終的な総獲得球数の表示演出に際しては減ることがあるものの、中途の総獲得球数演出においては、総獲得球数が減ることはない。
【0258】
ここで、本実施の形態における図柄表示装置41の総獲得球数演出について図19を参照して説明する。図19(a−1)〜図19(a−3)は、各賞球用入球部への入賞の発生状況を示すタイミングチャートであり、図19(a−1)は大入賞口32aへの入賞の発生状況を示し、図19(a−2)は一般入賞口31への入賞の発生状況を示し、図19(a−3)は作動口33,34への入賞の発生状況を示している。また、図19(b−1)〜図19(b−5)は図19(a−1)〜図19(a−3)の各タイミングにおける、各賞球用入球部への入球に基づく払出球数と、当該払出球数と発射球数カウンタHNとを演算して送信する各コマンドに含まれる数値情報と、表示制御装置97が受信した各コマンドを基に演算する各カウンタについて説明する説明図である。さらに、図19(c−1)〜図19(c−5)は図19(a−1)〜図19(a−3)の各タイミングにおける、図柄表示装置41の表示画面Gにおける総獲得球数演出を示す説明図である。
【0259】
発射球数の計測と払出球数との演算及び出力が開始され、t1のタイミングで大入賞口32aに遊技球の入賞が発生した場合、図19(b−1)に示すように、15個の賞球の払い出しが行われる。この場合において、例えば発射球数カウンタHNの値が「10」である場合、払出球数「15」のほうが発射球数カウンタHNの値「10」よりも大きいため、払出球数から発射球数カウンタの値を減算した値「5」を増加コマンドに入力して送信する。当該増加コマンドを受け取った表示制御装置97は総獲得球数カウンタに「5」を加算し、図柄表示装置41における総獲得球数演出を更新設定する。すると図19(c−1)に示すように、表示画面Gでは総獲得球数が「00005」と表示される。
【0260】
続いてt2のタイミングで一般入賞口31に遊技球の入賞が発生した場合、図19(b−2)に示すように、10個の賞球の払い出しが行われる。この場合において、例えば発射球数カウンタHNの値が「3」である場合、払出球数「10」のほうが発射球数カウンタHNの値「3」よりも大きいため、払出球数から発射球数カウンタの値を減算した値「7」を増加コマンドに入力して送信する。当該増加コマンドを受け取った表示制御装置97は総獲得球数カウンタに「7」を加算し、総獲得球数カウンタの値を「12」とし、図柄表示装置41における総獲得球数演出を更新設定する。すると図19(c−2)に示すように、表示画面Gでは総獲得球数が「00012」と表示される。
【0261】
続いてt3のタイミングでいずれかの作動口33,34に遊技球の入賞が発生した場合、図19(b−3)に示すように、3個の賞球の払い出しが行われる。この場合において、例えば発射球数カウンタHNの値が「13」である場合、払出球数「3」のほうが発射球数カウンタHNの値「13」よりも小さいため、発射球数カウンタHNの値から払出球数を減算した値「10」を減少コマンドに入力して送信する。当該減少コマンドを受け取った表示制御装置97は総獲得球数カウンタではなく、減算カウンタに「10」を加算する。この場合、総獲得球数カウンタの値は「12」のままであるため、図19(c−3)に示すように、表示画面Gでは総獲得球数は「00012」から変化しない。
【0262】
続いてt4のタイミングで大入賞口32aに遊技球の入賞が発生した場合、図19(b−4)に示すように、15個の賞球の払い出しが行われる。この場合において、例えば発射球数カウンタHNの値が「3」である場合、払出球数「15」のほうが発射球数カウンタHNの値「3」よりも大きいため、払出球数から発射球数カウンタの値を減算した値「12」を増加コマンドに入力して送信する。当該増加コマンドを受け取った表示制御装置97は、減算カウンタの値「10」と増加コマンドの数値情報「12」を比較して、増加コマンドの数値情報のほうが大きいため、増加コマンドの数値情報「12」から減算カウンタの値「10」を減算し、その結果である「2」を総獲得球数カウンタに加算する。その結果、総獲得球数カウンタは「14」となり、図19(c−4)に示すように、表示画面Gでは総獲得球数が「00014」と表示される。また、この場合、減算カウンタは「0」にクリアされる。
【0263】
その後、t5のタイミングで発射球数の計測と払出球数との演算及び出力する期間が終了し、計測終了コマンドが出力され、図19(b−5)に示すように、例えばこの状況で総獲得球数カウンタの値が「2042」で減算カウンタの値が「2」であった場合は、総獲得球数カウンタの値から減算カウンタの値を減算し、総獲得球数カウンタの値を「2040」としたうえで、図19(c−2)に示すように最終的な総獲得球数の表示演出が行われる。
【0264】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0265】
表示制御装置97が減少コマンドを受信した場合、総獲得球数カウンタから減算処理を行わず、別途設けられた減算カウンタに対して減少コマンドに含まれる数値情報を加算する構成とし、最終的な総獲得球数の表示演出を実行する際に総獲得球数カウンタの値から減算カウンタの値を減算し、総獲得球数の表示を行う構成とした。これにより、総獲得球数演出では総獲得球数が増加することはあっても、中途で減少することがなくなる。パチンコ機においては、出球率の設定を遊技盤24の釘38等を調節して行うところ、賞球用入球部への入球頻度は調整された釘38等との関係で定まる。したがって、遊技者の発射操作の如何によらず、賞球用入球部への入球が頻繁に発生しないことも生じ得る。この場合、表示における発射球数を減算すると、遊技者にとっては、入球が発生していないことが如実に表現されることになり喪失感を覚え、また、たとえ他の演出で興味を引こうとも、入球が頻繁に発生しないことは、賞球がその分得られないばかりか内部抽選の機会も減ることにつながるため、遊技に対する注目度は極度に低下する。これに対して、本構成のように発射球数を計測し総獲得球数を表示しつつも、当該総獲得球数が減少する演出を行わないため、上述のような喪失感を与えることなく、注目度も低下させることがない。
【0266】
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、上記第1,第2の実施の形態とは、純増加球数演算処理の構成と表示制御装置97における総獲得球数設定処理の構成とが異なっている。以下、異なる構成について説明する。
【0267】
まず本実施の形態では、第1遊技状態移行処理(図16)及び第2遊技状態移行処理(図17)における計測期間の開始及び終了にかかる処理は実行しない。具体的には、第1遊技状態移行処理では、ステップS804及びステップS805の処理は実行せず、第2遊技状態移行処理では、ステップS905及びステップS908の処理は実行しない。
【0268】
また、第2遊技状態移行処理における発射周期カウンタHC及び発射球数カウンタHNを「0」に再設定する処理(ステップS906)は、第1遊技状態移行処理における開閉実行モード終了時の移行処理(ステップS812)にて実行される。
【0269】
したがって、本実施の形態は、発射球数の計測と払出球数との演算及び出力を開閉実行モード中に行う構成である。
【0270】
本実施の形態における純増加球数演算処理について、図20のフローチャートを参照して説明する。
【0271】
上記の通り、発射球数の計測と払出球数との演算及び出力を開閉実行モード中に行う構成としたことから、本実施の形態における純増加球数演算処理では、まずステップS1101にて開閉実行モードであるか否かを判定する。開閉実行モード中でない場合には、そのまま本純増加球数演算処理を終了する。開閉実行モード中である場合には、ステップS1102〜ステップS1116における発射球数と払出球数との演算及び出力に関する処理を実行する。
【0272】
発射球数と払出球数との演算及び出力に関する処理では、発射球数カウンタHNと賞球カウンタに対応する賞球数との比較処理(ステップS1104、ステップS1109、ステップS1113)の結果によるそれぞれの処理が、第1の実施の形態と異なっている。
【0273】
すなわち、本実施の形態においては、ステップS1104にて発射球数カウンタHNの値が「15」以下であると判定した場合、ステップS1105にて「15」から発射球数カウンタHNの値を減算した数値情報を増加コマンドに入力して出力対象として設定し、その後ステップS1106にて発射球数カウンタHNの値を「0」にクリアして、本純増加球数演算処理を終了する。一方、ステップS1104にて否定判定した場合、ステップS1107にて発射球数カウンタHNを発射球数カウンタHNから「15」を減じた数値に更新する処理を実行して、その後、本純増加球数演算処理を終了する。
【0274】
また、ステップS1109にて発射球数カウンタHNの値が「10」以下であると判定した場合、ステップS1110にて「10」から発射球数カウンタHNの値を減算した数値情報を増加コマンドに入力して出力対象として設定し、その後ステップS1111にて発射球数カウンタHNの値を「0」にクリアして、本純増加球数演算処理を終了する。一方、ステップS1109にて否定判定した場合、ステップS1112にて発射球数カウンタHNを発射球数カウンタHNから「10」を減じた数値に更新する処理を実行して、その後、本純増加球数演算処理を終了する。
【0275】
そして、ステップS1113にて発射球数カウンタHNの値が「3」以下であると判定した場合、ステップS1114にて「3」から発射球数カウンタHNの値を減算した数値情報を増加コマンドに入力して出力対象として設定し、その後ステップS1115にて発射球数カウンタHNの値を「0」にクリアして、本純増加球数演算処理を終了する。一方、ステップS1113にて否定判定した場合、ステップS1116にて発射球数カウンタHNを発射球数カウンタHNから「3」を減じた数値に更新する処理を実行して、その後、本純増加球数演算処理を終了する。
【0276】
その他の処理(ステップS1102、ステップS1103及びステップS1108)の処理は第1の実施の形態におけるステップS702、ステップS703及びステップS707の処理と同様である。
【0277】
したがって、本実施の形態においては、発射球数カウンタHNの値と賞球カウンタに対応する賞球数との各比較処理にて、発射球数カウンタHNの値が対応する賞球数以下の場合には、増加コマンドを出力対象として設定する一方、発射球数カウンタHNの値が対応する賞球数よりも大きい場合には、発射球数カウンタHNをその分減算して更新する。すなわち、上記第1,第2の実施の形態における、減少コマンドは送信しない。
【0278】
次に、本実施の形態における表示制御装置97の総獲得球数設定処理について図21のフローチャートを参照して説明する。
【0279】
本実施の形態の総獲得球数設定処理では、上記第1,第2の実施の形態と同様に、ステップS1201にて計測開始フラグが格納されているか判定する。計測開始フラグが格納されていない場合、第1,第2の実施の形態と異なり、ステップS1202にて今回の読み取り対象がオープニングコマンドであるか否かを判定する。
【0280】
ステップS1202にて肯定判定した場合には、第1,第2の実施の形態と同様に、ステップS1203にて計測開始フラグに「1」を格納し、ステップS1204にて総獲得球数演出を設定する。ステップS1202にて否定判定した場合、又はステップS1204の処理を実行した後は、本総獲得球数設定処理を終了する。
【0281】
ステップS1201にて肯定判定した場合、第1,第2の実施の形態とは異なり、今回の読み取り対象が増加コマンドであるか否かを判定する。増加コマンドである場合には、ステップS1206にて総獲得球数カウンタに増加コマンドに含まれる数値情報を加算する処理を実行し、続くステップS1207にてステップS1206の処理結果をもとに総獲得球数演出を設定し、その後、本総獲得球数設定処理を終了する。
【0282】
一方、ステップS1205にて否定判定した場合、第1,第2の実施の形態と異なり、ステップS1208では、今回の読み取り対象がエンディングコマンドであるか否かを判定する。
【0283】
ステップS1208にて否定判定した場合には、そのまま本総獲得球数設定処理を終了する。ステップS1208にて肯定判定した場合には、第1,第2の実施の形態と同様に、ステップS1209にて計測開始フラグを消去する。続くステップS1210では総獲得球数の表示を終了させるとともに、最終的に獲得した総獲得球数の演出を設定する。
【0284】
ここで、図示はしないが、本実施の形態における第1遊技状態移行処理(図16)のエンディングコマンドの設定処理(ステップS813)では、発射球数カウンタHNの数値情報を当該エンディングコマンドに入力し出力対象として設定する。すなわち、ステップS1208にて確認するエンディングコマンドには、純増加球数演算処理(図20)にて増加コマンドとして出力対象と設定されなかった分の発射球数の情報が含まれている。ステップS1210では、当該エンディングコマンドに含まれる発射球数の数値情報を総発射球数カウンタから減算したうえで、最終的に獲得した総獲得球数の表示を行うように設定する。ステップS1210の処理を実行した後は、本総獲得球数設定処理を終了する。
【0285】
したがって、本実施の形態においては、表示制御装置97は計測開始コマンドに代えてオープニングコマンドを指標に総獲得球数の表示を開始し、計測終了コマンドに代えてエンディングコマンドを指標に総獲得球数の表示を終了する構成である。
【0286】
また、減算コマンドを受信しない構成としたことにより、エンディングコマンドを受信するまでは総獲得球数カウンタの更新を加算によってのみ行い減算によっては行わない構成となっている。
【0287】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0288】
純増加球数演算処理(図20)にて、発射球数のほうが賞球数よりも多い場合には賞球数を発射球数から減算処理して発射球数を更新する構成とした。また、計測開始コマンド及び計測終了コマンドを送信せず、表示制御装置97はオープニングコマンドとエンディングコマンドを指標に総獲得球数演出を行う構成とした。これにより、減少コマンド、計測開始コマンド及び計測終了コマンドを出力対象とする必要がなくなり、設定するコマンドの種類を減少させることが可能となる。さらに、表示制御装置97は減少コマンドを受信しないことから、増加コマンドか減少コマンドかを判定する処理や減少コマンドに基づく減算処理を行う必要がなくなり、表示制御装置97における処理負荷の低減を図ることが可能である。
【0289】
減少コマンドを送信しない構成としたことにより、総獲得球数演出においては、総獲得球数が増加する更新のみ行われる。また、上記のように発射球数を更新する構成としていることから、発射球数カウンタHNの値が賞球数よりも大きくなるまでは増加コマンドの送信も行われない。したがって、第2の実施の形態において記載したように、総獲得球数の表示が減少することによる弊害を防止しつつも、増加コマンドの出力頻度を減少し、逆に増加コマンドが送信され総獲得球数の表示が増加することに対して遊技者は達成感を感じることになる。
【0290】
<第4の実施の形態>
本実施の形態においては、上記第1〜第3の実施の形態とは、発射球数及び払出球数の出力設定に関する構成が異なっている。以下、異なる構成について説明する。ちなみに、本実施の形態においては、第3の実施の形態と同様に、開閉実行モード中にて総獲得球数の表示を行わせる構成としている。したがって、計測開始コマンドや計測終了コマンドは送信せず、表示制御装置97ではオープニングコマンドとエンディングコマンドを指標に総獲得球数設定処理を実行する。
【0291】
まず、発射球数の出力設定に関する構成について説明する。
【0292】
本実施の形態においては、発射球数を上記各実施の形態における増加コマンドや減少コマンドを用いて出力しない。すなわち、本実施の形態においては純増加球数演算処理を実行しない。これに対して、上記第1〜第3の実施の形態と同様に、発射球数計測処理にて計測開始フラグが格納されていることを条件に発射球数の計測を実行する。そして、計測した発射球数を、第1遊技状態移行処理(図16)のステップS813にてエンディングコマンドを出力対象として設定する際に、当該エンディングコマンドに発射球数カウンタHNの数値情報を入力して、音声発光制御装置72を通じて表示制御装置97に送信する構成としている。
【0293】
次に、払出球数の出力設定に関する構成について説明する。
【0294】
本実施の形態において、表示制御装置97に対する払出球数の出力は、タイマ割込み処理(図9)におけるステップS219の払出出力処理にて行われる。
【0295】
図21は本実施の形態における、払出出力処理を示すフローチャートである。
【0296】
まずステップS1301にて前扉枠14が開放中であるか否かを判定し、続くステップS1302にて払出異常状態であるか否かを判定する。ステップS1301又はステップS1302にて肯定判定した場合には、賞球の払い出しを実行すべきタイミングではないため、そのまま本払出出力処理を終了する。ちなみに、ステップS1302における払出異常状態とは、下皿62aといった球受け皿が遊技球の満杯状態となっている場合や、タンク76が球無状態となっている場合である。
【0297】
ステップS1301及びステップS1302にて否定判定した場合、ステップS1303にていずれかの賞球カウンタの値が「1」以上であるか否かを判定する。いずれの賞球カウンタも「0」である場合には、そのまま本払出出力処理を終了する。いずれかの賞球カウンタが「1」以上である場合には、ステップS1304に進む。
【0298】
ステップS1304では、払出制御装置78に対する賞球コマンドの出力設定を行う。払出制御装置78に対する賞球コマンドの出力設定では、15個賞球カウンタが「1」以上である場合には、15個の遊技球の払出を指示する15個賞球コマンドをROM93から読み出して出力対象に設定する。15個賞球カウンタが「0」であって10個賞球カウンタが「1」以上である場合には、10個の遊技球の払出を指示する10個賞球コマンドをROM93から読み出して出力対象に設定する。15個賞球カウンタ及び10個賞球カウンタの両方が「0」であって3個賞球カウンタが「1」以上である場合には、3個の遊技球の払出を指示する3個賞球コマンドをROM93から読み出して出力対象に設定する。
【0299】
続くステップS1305では、ステップS1304にてROM93から読み出したいずれかの賞球コマンドをそのまま音声発光制御装置72に対する出力対象として設定を行う。すなわち、ステップS1304にて15個賞球コマンドをROM93から読み出した場合には、ステップS1305ではその15個賞球コマンドを音声発光制御装置72に対する出力対象とし、ステップS1304にて10個賞球コマンドをROM93から読み出した場合には、ステップS1305ではその10個賞球コマンドを音声発光制御装置72に対する出力対象とし、ステップS1304にて3個賞球コマンドをROM93から読み出した場合には、ステップS1305ではその3個賞球コマンドを音声発光制御装置72に対する出力対象とする。
【0300】
ステップS1305の処理を実行した後は、本払出出力処理を終了する。
【0301】
各賞球コマンドを受信した音声発光制御装置72は、そのまま当該賞球コマンドを表示制御装置97に送信する。表示制御装置97は賞球コマンドを受信することに基づいて、総獲得球数カウンタの加算処理を行う。すなわち、本実施の形態における総獲得球数設定処理(図21)のステップS1205では、いずれかの賞球コマンドを受信しているか否かを確認して、いずれかの賞球コマンドを受信している場合には、ステップS1206にて各賞球コマンドに対応する賞球数を総獲得球数カウンタに加算する。すなわち、15個賞球コマンドを受信した場合には、総獲得球数カウンタに「15」を加算する処理を実行し、10個賞球コマンドを受信した場合には、総獲得球数カウンタに「10」を加算する処理を実行し、3個賞球コマンドを受信した場合には総獲得球数カウンタに「3」を加算する処理を実行する。その後ステップS1206にて、ステップS1205にて加算処理が行われた総獲得球数カウンタに対応するアドレス情報を表示パターンアドレスの記憶エリアに記憶させ、図柄表示装置41における総獲得球数の表示を更新する。
【0302】
また、上述の通り、エンディングコマンドに発射球数カウンタHNの数値情報が含まれており、本実施の形態における総獲得球数設定処理(図21)のステップS1210では、上記第3の実施の形態と同様に、当該エンディングコマンドに含まれる発射球数の数値情報を総発射球数カウンタから減算したうえで、最終的に獲得した総獲得球数の表示を行うように設定する。
【0303】
したがって、本実施の形態では、各賞球コマンドを受信することに基づいて、図柄表示装置41における総獲得球数の表示を賞球分増加させ、エンディングコマンドを受信することに基づいて、総獲得球数の表示を発射球数分減少させる構成となっている。
【0304】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0305】
発射球数についてはエンディングコマンドに入力して送信し、払出球数については賞球コマンドにて送信する構成とした。これにより、発射球数の計測や払出球数との演算を行うにあたり、新たなコマンドを記憶しておく必要がなく、ROM93の容量削減を図ることが可能となる。
【0306】
また、中途の総獲得球数演出の球数表示は発射球数を加味せず賞球数分ずつ増加する構成とし、最終的にエンディングコマンドを受信した際に発射球数の総数を一括して総獲得球数カウンタから減算する構成とした。これにより、総獲得球数演出の球数表示が中途で減少しないことから、遊技者に喪失感を与えることがなく、それでいて、球数表示が発射球数を減算しない賞球数分ずつ増加することで、球数表示の増加スピードは上記各実施の形態よりも増し、遊技者に賞球を得ることに対する高揚感を与えることが可能となっている。
【0307】
なお、本構成においては総獲得球数カウンタの値は払出球数の総数であるところ、エンディングコマンドを受信した際に発射球数を減算処理せずに、図柄表示装置41にて払出球数の総数と、発射球数の総数と、を別々に表示することも可能である。この場合、総獲得球数を認識しつつもそれよりも多い払出球数が表示されることで、遊技者は満足感を得ることが可能となる。
【0308】
<第5の実施の形態>
本実施の形態においては、上記第1〜第4の実施の形態とは、純増加球数演算処理の構成が異なっている。以下、異なる構成について説明する。なお、本実施の形態においては、第4の実施の形態と同様に、賞球コマンドを払出制御装置78へ送信する場合に同様の賞球コマンドを音声発光制御装置72に対して送信する構成する。
【0309】
本実施の形態における純増加球数演算処理について、図23のフローチャートを参照して説明する。
【0310】
まず、ステップS1401では計測開始フラグが格納されているか否かを判定し、計測開始フラグが格納されていない場合にはそのまま本純増加球数演算処理を終了する。ステップS1401にて肯定判定した場合には、ステップS1402にて発射球数カウンタHNが「10」以上であるか否かを判定する。「10」以上である場合には、続くステップS1403にて発射球数カウンタHNの値をそのまま減少コマンドに入力し、音声発光制御装置72への出力対象として設定する。減少コマンドを受信した音声発光制御装置72は、そのまま当該コマンドを表示制御装置97へ送信する。
【0311】
ステップS1402にて否定判定をした場合は、そのまま本純増加球数演算処理を終了する。ステップS1403の処理を実行した後は、ステップS1404にて発射球数カウンタHNを「0」にクリアして、本純増加球数演算処理を終了する。
【0312】
減少コマンドを受信した表示制御装置97は、第2の実施の形態と同様に、減少コマンドに含まれる数値情報を減算カウンタに加算し、最終的な総獲得球数の表示演出を設定する際に総獲得球数カウンタから減算カウンタの値を減算し表示設定を行う。
【0313】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0314】
減少コマンドを、発射球数が所定の球数(本実施の形態では10個)となることを契機に送信する構成とした。これにより、入賞判定の結果を確認する処理が必要なくなり、処理負荷の軽減を図ることが可能となる。
【0315】
なお、減少コマンドを送信する契機とする発射球数カウンタHNの値は任意であり、「10」よりも多くてもよく少なくてもよい。ただし、減少コマンドを送信する回数を減らすという観点からすると、少なくとも「2」以上であることが望ましい。
【0316】
本構成においては総獲得球数カウンタの値は払出球数の総数であり、減算カウンタの値は発射球数の総数であるところ、図柄表示装置41にて各総数を別々に表示することも可能である。
【0317】
<第6の実施の形態>
本実施の形態では、発射球数の計測結果を用いて従来の遊技と異なる斬新な遊技を実現している。以下、その構成について説明する。
【0318】
ここでまず、本実施の形態においては、発射球数の計測は、上記第1〜第5の実施の形態のように、発射球数カウンタHNに加算処理する構成ではなく、発射球数カウンタHNから減算処理を行う構成とする。すなわち本実施の形態における発射球数計測処理(図11)のステップS405では、発射球数カウンタHNから「1」を減算する処理を実行する。さらに本実施の形態では、払出球数の計測は行わない。すなわち、第1〜第5の実施の形態における増加コマンドと減少コマンドは送信せず、発射球数の計測結果のみを使用することで従来の遊技と異なる斬新な遊技を実現している。
【0319】
また、本実施の形態においては、計測開始フラグ及び計測開始コマンドの設定は、第1遊技状態移行処理(図16)におけるステップS804及びステップS805では行わず、ステップS812の開閉実行モード終了時の移行処理にて行われる。
【0320】
図24は本実施の形態における開閉実行モード終了時の移行処理を示すフローチャートである。
【0321】
まず、ステップS1501にて今回の開閉実行モードの契機となった遊技結果が確変大当たり結果であったか否かを判定する。確変大当たり結果である場合には、ステップS1502にてRWM94の高確率モードフラグに「1」を格納し、続くステップS1503にてRWM94の高頻度サポートモードフラグに「1」を格納する。これにより高確率モードで且つ高頻度サポートモードに設定される。続くステップS1504では、高頻度コマンドを音声発光制御装置72への出力対象として設定する。音声発光制御装置72は、高頻度コマンドを受信することにより高頻度サポートモードに対応した演出を行うよう各機器を制御する。ステップS1504の処理を実行した後は、本開閉実行モード終了時の移行処理を終了する。
【0322】
ステップS1501にて否定判定した場合、すなわち今回の開閉実行モードの契機となった遊技結果が通常大当たり結果であった場合、ステップS1505に進む。ステップS1505では高確率モードフラグを消去する。これにより低確率モードに設定される。続くステップS1506では、高頻度サポートフラグに「1」を格納し、続くステップS1507にて発射球数カウンタHNに「1000」を加算する処理を実行する。すなわち、本実施の形態では、発射球数カウンタHNは発射球数計測処理にて「1」ずつ減算される一方、開閉実行モード終了時の移行処理にて「1000」加算される。
【0323】
ステップS1507の処理を実行した後は、続くステップS1508にてRWM94に設けられた発射球数制限フラグに「1」を格納する。発射球数制限フラグは、今回の高頻度サポートモードが発射球数制限ありの高頻度サポートモードであることをMPU92にて特定するためのフラグである。発射球数制限ありの高頻度サポートモードは、発射球数カウンタHNの値が「0」となるまで継続する高頻度サポートモードである。
【0324】
なお、上記ステップS1507にて設定する発射球数カウンタHNの値は任意であり、また、「1000」を加算する処理ではなく「1000」に更新する処理としてもよい。
【0325】
ステップS1508の処理を実行した後は、ステップS1509にて計測開始フラグに「1」を格納する。これによりRWM94における発射球数の計測が開始される。
【0326】
次に、本実施の形態における第2遊技状態移行処理について図25のフローチャートを参照して説明する。
【0327】
本実施の形態における第2遊技状態移行処理では、先ずステップS1601にて高頻度サポートモードであるかを判定する。高頻度サポートモードである場合には、続くステップS1602にて発射球数カウンタHNが「0」であるかを判定する。発射球数カウンタHNが「0」である場合には、続くステップS1603にて発射球数制限フラグが格納されているかを判定する。ステップS1601〜ステップS1603のいずれかで否定判定した場合には、そのまま本第2遊技状態移行処理を終了する。
【0328】
一方、発射球数制限ありの高頻度サポートであって、発射球数カウンタHNが「0」である場合には、ステップS1604にて発射球数制限フラグを消去し、続くステップS1605にて高頻度サポートフラグを消去する。これにより、低頻度サポートモードに設定される。続くステップS1606では、計測開始フラグを消去する。これにより発射球数の計測が終了する。続くステップS1607では、発射周期カウンタHCの値を「0」に再設定し、続くステップS1608にて低頻度コマンドを出力対象として設定し、本第2遊技状態移行処理を終了する。
【0329】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
【0330】
発射球数計測処理において、発射許可条件が成立していることと発射周期カウンタHCが「0」であることを条件に、発射球数カウンタHNから「1」減算する処理を実行する構成として、所定の高頻度サポートモードを発射球数カウンタHNの値が「0」となった場合に低頻度サポートモードに移行する構成とした。これにより、高頻度サポートモードを遊技回の回数でなく発射球数によって終了させるという新たな遊技とすることが可能となる。特に本実施の形態においても、発射球数の計測は発射周期と発射許可条件との関係により計測していることから、上述のように新たな遊技の実現を図る上で、センサ等の付加が必要なく、遊技機の製造コストを抑えることが可能となる。
【0331】
なお、本実施の形態においては、増加コマンドや減少コマンドを音声発光制御装置72に送信せず、図柄表示装置41に発射球数が表示されない構成としたが、発射球数が表示される構成としてもよい。
【0332】
また、賞球用入球部への入球に基づいて発射球数カウンタHNにその賞球数を加算する構成としてもよい。高頻度サポートモード中においては持ち球の増減が少ないことから、この構成においては、高頻度サポートモード中の発射球数カウンタHNの値の増減も少なくなることが想定される。したがって、遊技回の回数ではなく発射球数の制限により高頻度サポートモードの継続性を決定しつつも、実質的に制限なしの高頻度サポートモードを実現することが可能となる。この観点からすると、確変大当たり結果に基づく高頻度サポートモードでは賞球用入球部への入球に基づいて発射球数カウンタHNの値を賞球数分増加させ、通常大当たり結果に基づく高頻度サポートモードでは、賞球用入球部への入球が発生しても発射球数カウンタHNの値を増加させない構成としてもよい。
【0333】
さらに、上記各構成において発射球数の制限を高頻度サポートモードにて実現する構成に代えて又は加えて、高確率モードの継続条件に発射球数の制限を加えてもよい。
【0334】
<他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施の形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施の形態に対して適用してもよい。また、以下の各構成を、適用対象として例示した実施の形態以外の実施の形態に対して適用してもよい。
【0335】
(1)電源及び発射制御装置79側の発射条件は上記の条件に限定されない。すなわち、タッチセンサ55a、球止めスイッチ55b及び球貸装置Yからの信号のうちいずれかの条件が含まれない構成としてもよく、他の条件が付加される構成としてもよい。また、これらとは異なる条件により発射条件が成立する構成としてもよく、例えばボタンやレバーを操作する、所定のセンサに触れる、発射を許可する信号を入力する等、少なくとも遊技者より遊技機に対して指令が加わることにより発射条件が成立する構成となっていればよい。
【0336】
(2)主制御装置71側の発射許可条件は上記の条件に限定されない。すなわち、不正検知処理による遊技停止以外にも他の条件が含まれる構成としてもよく、不正検知処理による遊技停止とは異なる条件により発射許可条件が成立する構成としてもよい。また、電源及び発射制御装置79側の発射条件が成立した場合には、無条件に発射許可とする構成としてもよい。
【0337】
(3)音声発光制御装置72を通じ表示制御装置97に対して送信する発射球数や払出球数に関する各コマンドと同様の情報を、主制御装置71からホール島設備に対して外部出力する構成としてもよい。この場合、主制御装置71に外部出力端子を設け、当該出力端子から発射球数と払出球数との関係を示す各コマンド(増加コマンド、減少コマンド、賞球コマンド及びエンディングコマンド)の種類を示す開始信号を送信し、パルス信号にて球数を送信する構成とするとよい。具体的には、上記第1,第2,第5の実施の形態においては、増加コマンド(又は賞球コマンド)及び減少コマンドを識別可能となるようにそれぞれの開始信号を送信し、また、第3,第4の実施の形態においては、増加コマンド(又は賞球コマンド)及びエンディングを識別可能となるようにそれぞれの開始信号を送信し、その後、各コマンドに含まれる数値情報をその分パルス信号として出力するとよい。またこれらの場合、識別可能とする開始信号を送信する構成に代えて、上記外部出力端子を複数設け、それぞれの端子において対応する数値情報をパルス信号として出力する構成としてもよい。
【0338】
(4)図柄表示装置41にて獲得球数を表示する構成としたが、これに限定されない。少なくとも主制御装置71から外部出力される構成であればよく、例えばホール島設備において獲得球数を表示する構成や、別途表示装置を設けて当該表示装置にて獲得球数を表示する構成としてもよい。
【0339】
(5)上記第1〜第3の実施の形態において、賞球用カウンタを参照して演算処理を実行する構成としたが、別途賞球用入球部ごとに演算用のカウンタを設けてもよい。この構成においては、対応する演算用のカウンタを参照し、増加コマンドまたは減少コマンドを設定する場合に、参照した演算カウンタを「1」減算する処理を加えるとよい。
【0340】
この場合、発射球数カウンタHNの値と賞球カウンタに対応する賞球数との各比較処理にて、発射球数カウンタHNの値と賞球カウンタに対応する賞球数とが同じ値である場合には、増加コマンドを送信しない構成とすることも可能である。すなわち、発射球数カウンタHNの値と15個賞球カウンタに対応する賞球数との比較処理では、発射球数カウンタHNの値が15である場合には15個演算用カウンタを「1」減算するとともに発射球数カウンタHNを「0」にクリアし、発射球数カウンタHNの値と10個賞球カウンタに対応する賞球数との比較処理では、発射球数カウンタHNの値が10である場合には10個演算用カウンタを「1」減算するとともに発射球数カウンタHNを「0」にクリアし、発射球数カウンタHNの値と3個賞球カウンタに対応する賞球数との比較処理では、発射球数カウンタHNの値が3である場合には3個演算用カウンタを「1」減算するとともに発射球数カウンタHNを「0」にクリアし、これらの場合は増加コマンドを送信しない構成とするとよい。これにより、増加コマンドを出力する頻度を減らすことが可能となる。
【0341】
またこの場合、発射球数カウンタHNと演算用カウンタの賞球数との比較処理において、参照する賞球用カウンタが「2」以上である場合には、対応する演算用カウンタの賞球数にカウンタ値を乗じる演算処理をした上で、発射球数カウンタHNと当該演算値とを比較処理を行い、その後、演算用カウンタを「0」にクリアする構成としてもよい。これにより、タイマ割込み処理が1処理回実行される間に、同じ賞球用入球部に複数個の入球が発生した場合には送信する増加コマンド又は減算コマンドを一つに集約することが可能となる。
【0342】
(6)発射球数等を出力する契機を、第1〜第3の実施の形態ではいずれかの賞球用入球部への遊技球の入球を契機とし、第4の実施の形態では開閉実行モードの終了を契機とし、第5の実施の形態では発射個数が所定個数(10個)以上となったことを契機としたが、これに限定されず、発射球数等の出力頻度を減らすという観点からすると、発射球数等の出力の頻度が少なくとも遊技球の発射の頻度よりも少なくなればよい。例えば、遊技球の発射周期よりも長い周期で循環するループカウンタを設け、当該ループカウンタが所定数値となった場合に発射球数等を出力する構成としてもよい。
【0343】
(7)発射球数等を出力する契機を、賞球用入球部の一部の入球を契機とする構成としてもよく、大入賞口32a、作動口33,34及び一般入賞口31のうち一つの賞球用入球部への入球を契機とする構成としてもよい。また、賞球を伴わない開口部(上記各実施の形態ではスルーゲート35)への入賞を契機とする構成としてもよい。さらに、遊技機に遊技者が操作可能な操作部を設け、当該操作部を遊技者が操作することを契機とする構成としてもよい。
【0344】
(8)発射球数の計測と払出球数との演算及び出力を行う期間は上記各実施の形態に限定されず、任意である。例えば、遊技機の電源投入時から電源切断時まで計測、演算及び出力をする構成としてもよく、遊技者による操作によって計測、演算及び出力の開始と終了が決定可能な構成としてもよい。さらに、計測期間をカウントするカウンタを設け、当該カウンタが所定の値となるまで計測、演算及び出力をする構成としてもよい。
【0345】
また、上記各実施の形態における遊技結果以外にも所定の遊技結果が含まれる構成とし、当該所定の遊技結果でも計測、演算及び出力を開始する構成としてもよく、当該所定の遊技結果の場合には計測、演算及び出力を継続する構成としてもよく、当該所定の遊技結果の場合には計測、演算及び出力を終了する構成としてもよい。例えば、開閉実行モードにおける可変入賞装置32の開閉制御の態様として、1回のラウンド遊技にて大入賞口32aへの入賞がラウンド遊技の上限個数分期待できない低頻度入賞態様が含まれる構成として、当該低頻度入賞態様にて開閉実行モードが行われる遊技結果として、開閉実行モードの終了後に、当否抽選モードが高確率モードとなるとともにサポートモードがそれまでのモードに維持される非明示確変大当たり結果(非明示高確率対応遊技結果又は潜伏確変状態となる結果)や、当否抽選モードが高確率モードとなるとともにサポートモードが高頻度サポートモードとなる明示確変大当り結果(明示高確率対応遊技結果又は突然確変状態となる結果)や、当否抽選モード及びサポートモードがそれまでのモードに維持される特別外れ結果(小当たり結果)を設け、これらの遊技結果の場合には、発射球数の計測と払出球数との演算及び出力を開始、継続又は終了する構成としてもよい。特に、上記明示確変大当り結果の場合にも発射球数の計測と払出球数との演算及び出力を開始する構成や、上記非明示確変大当り結果、上記明示確変大当り結果、又は上記特別外れ結果の場合には、発射球数の計測と払出球数との演算及び出力を継続する構成とすると、実質上パチンコ機10における大当たり連荘期間に合わせて発射球数の計測と払出球数との演算及び出力を行うことになり、好ましい。
【0346】
これらの場合、計測開始時には計測開始フラグの格納及び計測開始コマンドの設定が行われ、計測終了時には計測開始フラグの消去及び計測終了コマンドの設定が行われる構成とするとよい。
【0347】
(9)発射球数の出力に必要なコマンド数を減少させるという観点からすると、発射球数の計測方法は上記の構成に限定されず、別途センサを設けて計測する構成としてもよい。この場合、当該センサの検知状態により発射球数カウンタHNの値が加算又は減算される構成とするとよい。
【0348】
(10)上記各実施の形態において主制御装置71にて実行する発射球数の計測を、他の制御装置にて実行してもよい。例えば、発射許可条件が成立している場合及び発射許可条件が成立していない場合に、表示制御装置97に対してその情報がコマンドとして送信される構成とし、表示制御装置97にて発射周期と当該条件成立期間から発射球数を算出する構成としてもよい。この場合、主制御装置71から送信するコマンド数を減らすことが可能となる。
【0349】
(11)上記第1〜第3の実施の形態において、最終的な総獲得球数の表示として、総払出球数と総発射球数を別々に表示する構成としてもよい。この場合、例えば、主制御装置71から送信する発射球数又は払出球数に関する各コマンドに演算処理前の発射球数カウンタHNの数値情報も別途入力し、表示制御装置97は当該コマンドから発射球数カウンタHNの数値情報を読み取り、総獲得球数カウンタとは別途設けられた総発射球数カウンタにその読み取った数値情報を加算処理することで、表示制御装置97において総発射球数の特定が可能となる。そして、総獲得球数カウンタに総発射球数カウンタの値を加算することで、総払出球数を特定することが可能となり、総発射球数と総払出球数とを別々に表示することができる。
【0350】
なお、払出球数と発射球数を遊技者に識別可能に表示するという観点からすると、総払出球数と総発射球数の表示は最終的な総獲得球数の表示時に限らず、総獲得球数演出に代えて又は加えて表示する構成としてもよい。
【0351】
(12)発射周期カウンタHCを、発射許可済み状態を解除する場合及び発射球数の計測を終了する場合、初期値に再設定する構成としたが、いずれかの場合又はいずれの場合も再設定せずに、次回計測時は続きから加算する構成としてもよい。
【0352】
(13)第3の実施の形態において、エンディングコマンドに発射球数カウンタHNの数値情報を入力する構成としたが、入力しない構成としてもよい。この場合においても、エンディングコマンドは開閉実行モードの終了時に送信されるところ、少なくとも開閉実行モードが大入賞口32aへの入賞が所定個数となったことに基づいて終了した場合には、最終的な入賞を契機に増加コマンドが送信されることから、実際の総獲得数と表示との差が生じる可能性は少ない。また、開閉実行モード時には大入賞口32aに頻繁に入賞することから発射球数カウンタHNの値が「15」より多くなることは少ないことから、実際の総獲得数と表示との差が生じても微差であると考えられる。
【0353】
(14)払出球数の出力を、払出制御装置78が賞球を払い出した後に出力する構成としてもよい。具体的には、払出制御装置78が賞球の払い出しを実行した後に主制御装置71に送信する払出終了情報を基に、主制御装置71が現実に払い出された球数を表示制御装置97へ送信する構成、又は払い出された球数と発射球数とを演算処理してから送信する構成としてもよい。
【0354】
(15)払出球数の出力を主制御装置71が表示制御装置97に対して行う構成としたが、これに限定されない。例えば、払出制御装置78と表示制御装置97とを電気的に接続して払出制御装置78が払出球数を表示制御装置97に対して出力する構成としてもよい。
【0355】
(16)表示制御装置97が受信した各コマンドを基に、総獲得球数設定処理を行う構成としたが、音声発光制御装置72が総獲得球数設定処理を行う構成としてもよい。この場合、音声発光制御装置72が設定した総獲得球数カウンタに相当する情報を表示制御装置97に対して送信し、表示制御装置97は受信した情報を基に、図柄表示装置41にて発射球数等に関する表示を行うようにする構成とするとよい。
【0356】
(17)発射レール52からの戻り球を検知するセンサを設け、当該センサの検知状態により、発射球数カウンタHNの値から加算又は減算される構成としてもよい。この場合、現実の獲得球数と表示される獲得球数との誤差が更に小さくなる。但し、当該センサを設けていなくとも、戻り球により表示上の獲得球数よりも現実の獲得球数が多くなるのであれば、遊技者にとっては好ましい結果となるため、当該センサは任意の構成ともいえる。
【0357】
(18)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると普電役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
【0358】
<上記各実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0359】
<特徴A群>
特徴A1.遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段(遊技球発射機構51)と、
所定条件が成立している場合に前記発射手段に特定の発射周期で発射動作を行わせる発射制御手段(電源及び発射制御装置79)と、
を備えた遊技機において、
前記所定条件が成立している期間において当該成立期間と前記特定の発射周期との関係を利用して前記発射動作が行われた回数を算出する算出手段(主制御装置71のMPU92における発射球数計測処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする遊技機。
【0360】
特徴A1によれば、発射された遊技球を直接検知しなくとも、算出手段によって発射個数又はその概ねの個数を間接的に把握することが可能となり、別途センサ等を設けなくても、どの程度遊技球が発射されたかを把握することが可能となる。
【0361】
特徴A2.前記算出手段を有する制御手段(主制御装置71)を備え、
当該制御手段は、前記算出手段の算出結果を反映した特別情報(増加コマンド、減少コマンド又はエンディングコマンド)を出力する出力手段(主制御装置71のMPU92におけるステップS220の処理を実行する機能)を備え、
当該出力手段が前記特別情報を出力する周期は、前記特定の発射周期よりも長い周期であることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0362】
特徴A2によれば、出力手段が出力する周期は発射動作の発射周期よりも長く、遊技球を発射するたびにその情報を出力する構成と比較して特別情報を出力する頻度を少なくすることができる。これにより、出力に要する電力消費を抑えるとともに、出力による部材や装置の劣化を抑制することが可能となる。
【0363】
特徴A3.遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な開口部(例えば大入賞口32a)を備え、
前記出力手段は、当該開口部に遊技球が入球したことを少なくとも一の条件として前記特別情報を出力するものであることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
【0364】
特徴A3によれば、開口部に遊技球が入球することを少なくとも一の条件に算出手段の算出結果を反映した特別情報が出力される。したがって、開口部への入球という非連続的な条件が付加されることから、特別情報の出力頻度を減らすことが可能となる。
【0365】
特徴A4.遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な開口部と、
当該開口部に遊技球が入球したことに基づいて遊技球を払い出す払出手段(払出装置77)と、
前記算出手段を有する制御手段と、
を備え、
当該制御手段は、前記算出手段の算出結果を反映した特別情報を出力する出力手段を備え、
当該出力手段は、前記開口部に遊技球が入球したことに基づいて払い出される若しくは払い出された遊技球の払出個数の情報を、前記特別情報に反映させる又は前記特別情報とは異なる出力情報(賞球コマンド)に反映させることにより、前記算出手段により算出された算出数と前記払出個数との関係を前記制御手段の外部の手段(例えば、表示制御装置97)に認識可能とさせるものであることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
【0366】
特徴A4によれば、獲得個数(発射個数と払出個数との差)を外部の装置や遊技者に認識させる場合において、別途センサ等を設けなくとも、算出手段により算出された算出数と払出手段による払出個数とを認識させることが可能となる。
【0367】
特徴A5.前記算出手段は、算出結果が前記特別情報に反映された場合に、前記発射動作が行われた回数の算出をやり直すものであり、
前記出力手段は、前記払出個数が前記算出数以下の場合には、前記算出数と前記払出個数との関係を前記外部の手段に認識可能とさせるための外部出力を行わないようにする出力制限手段(主制御装置71のMPU92におけるステップS1103〜ステップS1116の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴A4に記載の遊技機。
【0368】
特徴A5によれば、払出個数が算出数以下の場合には出力手段の出力が制限される。したがって、出力手段の出力頻度を限定的なものとすることが可能となる。
【0369】
特徴A6.前記制御手段は、前記算出数と前記払出個数との差を演算する演算手段(主制御装置71のMPU92におけるステップS703〜ステップS713の処理を実行する機能)を備え、
前記出力手段は、前記算出数と前記払出個数との関係を前記外部の手段に認識可能とさせるべく、前記演算手段の演算結果を反映した情報を前記特別情報として出力するものであることを特徴とする特徴A4又はA5に記載の遊技機。
【0370】
特徴A6によれば、出力手段が、払出個数と算出数との差を演算した演算結果を反映した特別情報を出力する。したがって、払出個数と算出数とをそのまま出力する構成と比較して、払出個数と算出数とを演算結果として集約し特別情報に反映させることから、出力する特別情報の種類を少なくすることが可能となる。これにより、制御手段の容量削減を図ることが可能となる。
【0371】
特徴A7.前記外部の手段は、前記算出数と前記払出個数との関係を遊技者に認識可能とさせる表示が行われるように表示手段(図柄表示装置41)を制御する表示制御手段(表示制御装置97)であることを特徴とする特徴A4乃至A6のいずれか1に記載の遊技機。
【0372】
特徴A7によれば、算出数と払出個数の関係が表示手段に表示される。これにより、遊技者は表示手段の表示を介して実際に獲得した獲得個数を認識することが可能となる。
【0373】
特徴A8.前記表示制御手段は、前記認識可能とさせる表示として、前記払出個数から前記算出数を減算した結果の数に対応した特定情報(総獲得球数演出)を前記表示手段に表示させるものであり、
少なくとも所定期間においては前記特定情報の表示の更新タイミングにて現状表示されている特定情報に対応した数よりも少ない数に対応した特定情報の表示に更新されない構成であることを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
【0374】
特徴A8によれば、表示制御手段は、少なくとも所定期間においては、払出個数から算出数を減算した結果に対応する特定情報の表示の更新タイミングにて、現状表示されている特定情報に対応した数よりも少ない数には更新しない。特にパチンコ機においては、所定の開口部に遊技球が入球することで賞球が得られる一方で、開口部に入球しないと賞球は得られず持ち球は減少してしまう。この開口部への入球頻度の調整はホール管理者による釘等の調整により行われるところ、遊技者の発射操作の如何によらず、開口部への入球が頻繁に発生しないことも生じ得る。この場合、特定情報の表示が減少すると、入球が発生していないことが如実に表現されることになり、遊技者に喪失感を与えてしまう可能性がある。これに対して、本構成は現状表示されている特定情報に対応した数よりも少ない数には更新しないため、上述のような喪失感を与えることがない。
【0375】
特徴A9.前記出力手段は、所定期間の終了時にその時点で算出されている前記算出数の情報をまとめて出力するものであることを特徴とする特徴A4乃至A8のいずれか1に記載の遊技機。
【0376】
特徴A9によれば、外部の装置や遊技者に対して所定期間中の払出個数と算出数を認識させる場合に、より正確な数を認識させることが可能となる。例えば、特徴A6のように算出数と払出個数との差を演算して出力する構成においては、その演算結果が出力されていない場合にもその時点の算出数の情報が出力されることから、所定期間中の払出個数と算出数がより正確な値となる。また、例えば、算出数を反映させた特別情報の出力契機を所定期間の終了のみとすると、所定期間中の算出数を正確に認識させることが可能となるばかりでなく、出力頻度も減らすことが可能となる。
【0377】
特徴A10.前記制御手段は、前記出力手段からの情報出力を通じて当該制御手段とは異なる手段(例えば、払出制御装置78又は音声発光制御装置72)に所定情報(例えば、賞球コマンド又はエンディングコマンド)を認識可能とさせるものであり、
当該異なる手段は、前記所定情報に対応した処理(賞球の払い出しを実行する処理、又は開閉実行モード用の演出を終了させる処理)を実行するものであり、
前記出力手段は、前記所定情報が含まれる前記特別情報に、前記算出手段の算出結果を反映させるものであることを特徴とする特徴A2乃至A9のいずれか1に記載の遊技機。
【0378】
特徴A10によれば、出力手段は、制御手段とは異なる手段に対して処理を実行させる所定情報に含まれる特別情報に、算出手段の算出結果を反映させて出力する。したがって、算出数又は払出個数の出力に際して専用の特別情報を設定する必要がなく、制御手段における容量の削減を図ることが可能となる。
【0379】
特徴A11.所定条件が成立したことに基づいて遊技状態を特別状態に移行させる移行手段(主制御装置71のMPU92におけるステップS801〜ステップS808の処理を実行する機能)と、
特定条件が成立したことに基づいて前記特別状態を終了させる終了手段(主制御装置71のMPU92におけるステップS810〜ステップS813の処理を実行する機能)と、
を備え、
前記所定情報として、少なくとも前記特別状態の終了に基づいて前記制御手段から出力される終了情報(エンディングコマンド)が含まれており、
前記出力手段は、当該終了情報に前記算出手段の算出結果を反映させるものであることを特徴とする特徴A10に記載の遊技機。
【0380】
特徴A11によれば、特別状態の終了に基づいて制御手段から出力される終了情報に算出手段の算出結果が反映されて出力される。このため、新たに特別情報として制御手段に記憶する情報を設定する必要がない。したがって、制御手段の容量削減を図ることが可能となる。
【0381】
特徴A12.予め定められた条件が成立したことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な有利状態に移行させる有利状態移行手段(第6の実施の形態における、主制御装置71のMPU92における開閉実行モード終了時の移行処理を実行する機能)と、
前記発射手段が予め定められた所定個数の遊技球を発射したことを少なくとも一の条件として前記有利状態を終了させる有利状態終了手段(第6の実施の形態における、主制御装置71のMPU92における第2遊技状態移行処理を実行する機能)とを備えていることを特徴とする特徴A1乃至A11のいずれか1に記載の遊技機。
【0382】
特徴A12によれば、所定個数の遊技球を発射手段が発射した場合に有利状態が終了する、という斬新な遊技を提供することが可能となる。さらにA1のように、新たなセンサ等が必要なく発射個数又は概ねの個数を把握可能としていることから、安価に斬新な遊技を備えた遊技機を提供することが可能となる。
【0383】
上記特徴A群は以下の課題に対して適用すると効果的である。
【0384】
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技機本体の前面部に発射操作装置を備えており、当該発射操作装置が操作されることで発射装置が動作し、遊技領域の上部に遊技球が発射される。また、発射された遊技球が遊技領域に設けられた開口部に入球することに基づいて払出装置から所定の個数の遊技球が払い出される。ここで、発射装置から発射された発射個数の計測が必要となる場合がある。例えば、発射個数を踏まえて払出個数を報知すれば、遊技者は実際に獲得した個数を把握することが可能となる。また、遊技の進行内容に発射個数を加味することで斬新な遊技とすることができる。しかし、発射個数の計測について、別途センサ等を設けることで遊技機における製造コストが増加することは好ましくなく、この点について未だ改良の余地がある。
【0385】
<特徴B群>
特徴B1.遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段(遊技球発射機構51)と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な開口部(例えば大入賞口32a)と、
当該開口部に遊技球が入球したことに基づいて遊技球を払い出す払出手段(払出装置77)と、
前記発射手段による遊技球の発射個数及び前記発射手段において発射動作が行われた回数のいずれかである発射対応数と前記払出手段により払い出される又は払い出された遊技球の払出個数との差を演算する演算手段(主制御装置71のMPU92における純増加球数演算処理を実行する機能)、及び当該演算手段の演算結果を反映した特別情報(増加コマンド又は減算コマンド)を出力する出力手段(主制御装置71のMPU92におけるステップS220の処理を実行する機能)を有する制御手段(主制御装置71)と、
を備えたことを特徴とする遊技機。
【0386】
特徴B1によれば、出力手段が、払出個数と発射対応数との差を演算した演算結果を反映した特別情報を出力する。したがって、払出個数と発射対応数とをそのまま出力する構成と比較して、払出個数と発射対応数とを演算結果として集約し特別情報に反映させることから、出力する特別情報の種類を少なくすることが可能となる。これにより、制御手段の容量削減を図ることが可能となる。
【0387】
特徴B2.前記演算手段は、前記開口部に遊技球が入球したことを少なくとも一の条件として前記発射対応数と前記払出個数との差を演算するものであることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
【0388】
特徴B2によれば、開口部に遊技球が入球することを少なくとも一の条件に演算手段は演算を行い、その結果が特別情報に反映されて出力される。したがって、演算手段の演算契機を明確化することができる。また、演算手段は発射対応数と払出個数とを把握する必要があるところ、演算の契機を開口部への入球とするため、払出個数は累積して把握しておく必要がなくなる。よって演算の容易化を図ることができる。
【0389】
特徴B3.前記発射対応数は、前記演算手段の演算結果が前記特別情報に反映された場合に初期化される(例えば、ステップS1106、ステップS1111及びステップS1115では発射球数カウンタHNを「0」に再設定する)ものであり、
前記出力手段は、前記払出個数が前記発射対応数以下の場合には、前記特別情報の出力を行わないようにする出力制限手段(主制御装置71のMPU92におけるステップS1103〜ステップS1116の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B1又は特徴B2に記載の遊技機。
【0390】
特徴B3によれば、払出個数が発射対応数以下の場合には出力手段の出力が制限される。したがって、出力手段の出力頻度を限定的なものとすることが可能となる。
【0391】
特徴B4.前記出力手段により出力される前記特別情報に基づいて、前記発射対応数と前記払出個数との関係を遊技者に認識可能とさせる表示が行われるように表示手段(図柄表示装置41)を制御する表示制御手段(表示制御装置97)を備えていることを特徴とする特徴B1乃至B3のいずれか1に記載の遊技機。
【0392】
特徴B4によれば、発射対応数と払出個数の関係が表示手段に表示される。これにより、遊技者は表示手段の表示を介して実際に獲得した獲得個数を認識することが可能となる。
【0393】
特徴B5.前記表示制御手段は、前記認識可能とさせる表示として、前記払出個数から前記発射対応数を減算した結果の数に対応した特定情報(総獲得球数演出)を前記表示手段に表示させるものであり、
少なくとも所定期間においては前記特定情報の表示の更新タイミングにて現状表示されている特定情報に対応した数よりも少ない数に対応した特定情報の表示に更新されない構成であることを特徴とする特徴B4に記載の遊技機。
【0394】
特徴B5によれば、表示制御手段は、少なくとも所定期間においては、払出個数から発射対応数を減算した結果に対応する特定情報の表示の更新タイミングにて、現状表示されている特定情報に対応した数よりも少ない数には更新しない。特にパチンコ機においては、所定の開口部に遊技球が入球することで賞球が得られる一方で、開口部に入球しないと賞球は得られず持ち球は減少してしまう。この開口部への入球頻度の調整はホール管理者による釘等の調整により行われるところ、遊技者の発射操作の如何によらず、開口部への入球が頻繁に発生しないことも生じ得る。この場合、特定情報の表示が減少すると、入球が発生していないことが如実に表現されることになり、遊技者に喪失感を与えてしまう可能性がある。これに対して、本構成は現状表示されている特定情報に対応した数よりも少ない数には更新しないため、上述のような喪失感を与えることがない。
【0395】
特徴B6.前記発射対応数は、前記演算手段の演算結果が前記特別情報に反映された場合に初期化されるものであり、
前記表示制御手段は、前記認識可能とさせる表示として、前記払出個数から前記発射対応数を減算した結果の数に対応した特定情報(総獲得球数演出)を前記表示手段に表示させるものであり、
前記出力手段は、前記払出個数が前記発射対応数以下の場合には、前記特別情報の出力を行わないようにする出力制限手段(主制御装置71のMPU92におけるステップS1103〜ステップS1116の処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴B4又は特徴B5に記載の遊技機。
【0396】
特徴B6によれば、払出個数が発射対応数以下の場合には出力手段の出力が制限され、特定情報に反映されない。したがって、表示制御手段側の処理負荷の低減を図りつつも、特徴B5の効果を奏することが可能となる。
【0397】
特徴B7.前記出力手段は、所定期間の終了時にその時点で計測されている前記発射対応数の情報をまとめて出力するものであることを特徴とする特徴B1乃至B6のいずれか1に記載の遊技機。
【0398】
特徴B7によれば、所定期間の終了を契機として発射対応数が出力される。すなわち所定期間の終了時点で払出個数と発射対応数との演算結果が出力されていない場合にも、その時点の発射対応数を出力することから、所定期間中の払出個数と発射対応数をより正確に出力することが可能となる。
【0399】
上記特徴B群は以下の課題に対して適用すると効果的である。
【0400】
遊技機の一種であるパチンコ機は、遊技機本体の前面部に発射操作装置を備えており、当該発射操作装置が操作されることで発射装置が動作し、遊技領域の上部に遊技球が発射される。また、発射された遊技球が遊技領域に設けられた開口部に入球することに基づいて払出装置から所定の個数の遊技球が払い出される。ここで、発射装置から発射された発射個数及び払出装置から払い出された払出個数の出力が必要となる場合がある。例えば、発射個数を踏まえて払出個数を報知すれば、遊技者は実際に獲得した個数を把握することが可能となり、この報知に際しては何らかの方法により制御装置において発射個数及び払出個数を算出し、その算出結果を当該制御装置から出力する必要がある。しかしながら、制御装置からの情報の出力パターンを増加させると、それだけ当該制御装置の記憶容量を増加させる必要が生じる。
【符号の説明】
【0401】
10…パチンコ機、51…遊技球発射機構、71…主制御装置、72…音声発光制御装置、78…払出制御装置、79…電源及び発射制御装置、97…表示制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に向けて遊技球を発射する発射手段と、
所定条件が成立している場合に前記発射手段に特定の発射周期で発射動作を行わせる発射制御手段と、
を備えた遊技機において、
前記所定条件が成立している期間において当該成立期間と前記特定の発射周期との関係を利用して前記発射動作が行われた回数を算出する算出手段を備えていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技球が流下する遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な開口部と、
当該開口部に遊技球が入球したことに基づいて遊技球を払い出す払出手段と、
前記算出手段を有する制御手段と、
を備え、
当該制御手段は、前記算出手段の算出結果を反映した特別情報を出力する出力手段を備え、
当該出力手段は、前記開口部に遊技球が入球したことに基づいて払い出される若しくは払い出された遊技球の払出個数の情報を、前記特別情報に反映させる又は前記特別情報とは異なる出力情報に反映させることにより、前記算出手段により算出された算出数と前記払出個数との関係を前記制御手段の外部の手段に認識可能とさせるものであることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記算出手段は、算出結果が前記特別情報に反映された場合に、前記発射動作が行われた回数の算出をやり直すものであり、
前記出力手段は、前記払出個数が前記算出数以下の場合には、前記算出数と前記払出個数との関係を前記外部の手段に認識可能とさせるための外部出力を行わないようにする出力制限手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記制御手段は、前記算出数と前記払出個数との差を演算する演算手段を備え、
前記出力手段は、前記算出数と前記払出個数との関係を前記外部の手段に認識可能とさせるべく、前記演算手段の演算結果を反映した情報を前記特別情報として出力するものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
予め定められた条件が成立したことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な有利状態に移行させる有利状態移行手段と、
前記発射手段が予め定められた所定個数の遊技球を発射したことを少なくとも一の条件として前記有利状態を終了させる有利状態終了手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−59417(P2013−59417A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198823(P2011−198823)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】