説明

遊技機

【課題】特別遊技の終了後に遊技者にとって有利な高確率状態となることを知らせる昇格演出の出現パターンが単調化するのを防止する。
【解決手段】大当り後に時短状態となり、大当り後の変動回数に応じて時短状態が継続中に大当たりした場合と、大当り後の変動回数に応じて時短状態が終了した後の通常中に大当たりした場合とで確変昇格演出の選択比率を異ならせて設定する。例えば、時短終了回数以下の変動回数で大当りしたときの確変昇格演出の選択比率を高く設定し、時短終了回数を超えた変動回数で大当りしたときの確変昇格演出の選択比率を低く設定する。これにより、大当り遊技中の昇格演出の出現割合が多様に変化し、長期間にわたる遊技を通して昇格演出が単調化するのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部抽選で当選すると特別遊技の機会を遊技者に付与する遊技機に係り、特に特別遊技の終了後に遊技者にとって有利な状態に移行するか否かを特別遊技中に遊技者に知らせる演出の制御手法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機に関する先行技術として、第1の抽選処理において当選し、さらに第2の抽選処理においても当選となった場合、第1の抽選処理での当選の結果として特別遊技(大当り遊技)を実行し、その終了後に第2の抽選処理での当選結果として確率変動(高確率)状態に移行する利益を遊技者に付与するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特にこの先行技術では、内部的に第1及び第2の抽選処理で当選となった場合の演出として、図柄の変動停止時に第1の抽選処理で当選したことを演出用の図柄の組み合わせ(例えば「444」等)によって暫定的に表示しておき、大当り遊技中に始動口に入賞すると、その都度、演出上のキャラクター画像(例えば「海洋生物」)を画面上に出現させて、確率変動状態への昇格率(内部的に第2の抽選処理で当選していた可能性)を遊技者に知らせる演出が行われる。
【0004】
そして大当り遊技の終了時には、演出用の図柄が再変動表示されて停止する再抽選の演出が行われ、そこで第2の抽選処理の結果が確定表示される。このとき、実際に当選していた場合はその旨を表す演出用の図柄の組み合わせ(例えば、「777」等)が表示され、大当り遊技の終了後に確率変動状態に移行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−105369号公報(第15−16頁、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した先行技術は、内部的には確率変動状態への移行が決まっていた場合であっても、これを大当り遊技への移行時には伏せておき、大当り遊技中の演出によって昇格率を遊技者に類推させようとするものである。このような先行技術の手法は、ややもすると単調になりがちな大当り遊技に適度なメリハリを持たせるものであり、その技術的価値は依然として高いものである。
【0007】
その上で本発明の発明者等は、先行技術をはじめとして従来の演出手法では、昇格演出の出現割合が常に一定である点に着目し、さらなる改良の余地を発見するに至った。すわなち、昇格演出の出現割合が常に一定であると、長期間の遊技を通してみたときに昇格演出の出現パターンが遊技者にある程度まで推測可能となるため、遊技者に単調な印象を与えやすくなる。
【0008】
そこで本発明は、特別遊技の終了後に遊技者にとって有利な高確率状態となることを知らせる昇格演出の出現パターンが単調化するのを防止しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の手段を採用する。
解決手段1:本発明の遊技機は、遊技中に抽選契機が発生すると、遊技者の利益に関わる内部抽選を実行する抽選実行手段と、内部抽選の結果が当選に該当する場合、合わせて複数の当選種類の中からいずれに該当するかを決定する当選種類決定手段と、内部抽選が行われると、所定の変動時間にわたり図柄を変動表示させた後に内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、内部抽選の結果が当選に該当し、かつ、当選種類決定手段により決定された当選種類に対応する態様で図柄表示手段により図柄が停止表示されると、通常の遊技とは異なる特別な条件が適用された特別遊技の機会を遊技者に付与する特別遊技機会付与手段と、内部抽選の当選時に当選種類決定手段により特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、図柄表示手段により特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された特別遊技が終了すると、少なくとも内部抽選に関して通常の遊技とは異なる特定の条件が適用された特定遊技状態に移行させる特定遊技状態移行手段と、少なくとも変動時間内に図柄表示手段による図柄の変動表示に対応させた変動表示演出を実行した後、図柄の停止表示に対応して内部抽選の結果が当選又は非当選のいずれであるかを表すとともに、当選の場合はいずれの当選種類に該当したかを表す態様で結果表示演出を実行する図柄演出実行手段と、特別遊技の間に特別遊技演出を実行する特別遊技演出実行手段と、内部抽選の結果が当選に該当し、かつ、当選種類決定手段により特定の当選種類に該当する旨が決定された場合、図柄演出実行手段が結果表示演出を実行するに際して、その内容を特定の当選種類とは異なる当選種類に該当したことを表す特殊な態様とするべきか否かを所定の割合で決定する当選演出態様決定手段と、当選演出態様決定手段により結果表示演出の内容を特殊な態様とするべき旨が決定された場合、図柄演出実行手段による結果表示演出の内容を特殊な態様に基づいて制御するとともに、特別遊技演出実行手段による特別遊技演出の中で特定の当選種類に該当していた旨を表す内容の演出(昇格演出)を実行させる制御を行う演出制御手段と、内部抽選で当選が得られた遊技中の条件に応じて、当選演出態様決定手段が特殊な態様とするべきことを決定する割合を異ならせて設定する割合設定手段とを備える。
【0010】
特に本発明の遊技機は、遊技中に抽選契機が発生すると、遊技者の利益に関わる内部抽選を実行する抽選実行手段と、前記内部抽選の結果が当選に該当する場合、合わせて複数の当選種類の中からいずれに該当するかを決定する当選種類決定手段と、前記内部抽選が行われると、所定の変動時間にわたり図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、前記内部抽選の結果が当選に該当し、かつ、前記当選種類決定手段により決定された当選種類に対応する態様で前記図柄表示手段により図柄が停止表示されると、通常の遊技とは異なる特別な条件が適用された特別遊技の機会を遊技者に付与する特別遊技機会付与手段と、前記内部抽選の当選時に前記当選種類決定手段により特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、前記図柄表示手段により特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された前記特別遊技が終了すると、少なくとも前記内部抽選に関して通常の遊技とは異なる特定の条件が適用された特定遊技状態に移行させる特定遊技状態移行手段と、少なくとも前記変動時間内に前記図柄表示手段による図柄の変動表示に対応させた変動表示演出を実行した後、図柄の停止表示に対応して前記内部抽選の結果が当選又は非当選のいずれであるかを表すとともに、当選の場合はいずれの当選種類に該当したかを表す態様で結果表示演出を実行する図柄演出実行手段と、前記特別遊技の間に特別遊技演出を実行する特別遊技演出実行手段と、前記内部抽選の結果が当選に該当し、かつ、前記当選種類決定手段により特定の当選種類に該当する旨が決定された場合、前記図柄演出実行手段が前記結果表示演出を実行するに際して、その内容を前記特定の当選種類とは異なる当選種類に該当したことを表す特殊な態様とするべきか否かを所定の割合で決定する当選演出態様決定手段と、前記当選演出態様決定手段により前記結果表示演出の内容を前記特殊な態様とするべき旨が決定された場合、前記図柄演出実行手段による結果表示演出の内容を前記特殊な態様に基づいて制御するとともに、前記特別遊技演出実行手段による前記特別遊技演出の中で前記特定の当選種類に該当していた旨を表す内容の演出を実行させる制御を行う演出制御手段と、前記内部抽選で当選が得られた遊技中の条件として、前回に行われた前記特別遊技の終了後からカウントした前記図柄表示手段による図柄の変動表示及び停止表示の回数である変動回数に応じて、前記当選演出態様決定手段が前記特殊な態様とするべきことを決定する割合を異ならせて設定する割合設定手段とを備える構成である。
【0011】
解決手段2:本発明の遊技機は、解決手段1において、前記内部抽選の当選時に前記当選種類決定手段により非特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、前記図柄表示手段により非特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された前記特別遊技が終了すると、前記図柄表示手段により図柄の変動表示を行う変動時間を通常よりも短縮した時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備え、前記割合設定手段は、前記時間短縮状態に移行された場合、前記特別遊技の終了後からカウントした前記変動回数に応じて前記時間短縮状態が継続している場合の遊技中に比較して、前記特別遊技の終了後からカウントした前記変動回数に応じて前記時間短縮状態が終了した後の通常の遊技中に前記当選演出態様決定手段が前記特殊な態様とするべきことを決定する割合を低く設定している。
【0012】
解決手段3:本発明の遊技機は、解決手段1において、前記内部抽選の当選時に前記当選種類決定手段により非特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、前記図柄表示手段により非特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された前記特別遊技が終了すると、前記図柄表示手段により図柄の変動表示を行う変動時間を通常よりも短縮した時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備え、前記割合設定手段は、前記時間短縮状態に移行された場合、前記特別遊技の終了後からカウントした前記変動回数に応じて前記時間短縮状態が継続している場合の遊技中に比較して、前記特別遊技の終了後からカウントした前記変動回数に応じて前記時間短縮状態が終了した後の通常の遊技中に前記当選演出態様決定手段が前記特殊な態様とするべきことを決定する割合を高く設定している。
【0013】
上記のように本発明の遊技機は、遊技中に抽選契機が発生すると遊技者の利益に関わる内部抽選を行う。また、内部抽選を行うと図柄を変動表示させた後に内部抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる。内部抽選の結果は基本的に当選又は非当選のいずれかであるが、当選の場合はさらに、複数の当選種類の中からいずれに該当するかを抽選で決定する。その結果、当選種類の中で特定のものに該当すると、図柄が特定の態様で停止表示されて特別遊技の機会が遊技者に付与され、その終了後に特定遊技状態に移行する利益が遊技者に付加される。この特定遊技状態に移行すると、内部抽選に関して特定の条件(通常よりも当選確率が高く変更される等)が適用されるため、短期間(より少ない抽選回数で)のうちに続けて次の当選を得やすくなる。このため遊技者からみれば、同じ内部抽選で当選するにしても、特定の当選種類に該当することが利益の向上につながるため、当選時に特定の当選種類に該当したか否かは大きな関心事である。
【0014】
当選時に特定の当選種類に該当しているか否かは、原則として図柄によって表されるが、図柄(特別図柄)は一見してその意味内容を理解しにくい表示態様(例えば、7セグメントLEDを用いて図形的・記号的に表される態様、複数のランプ、多色LEDの点灯色の組み合わせや点灯個数の違いで表される態様等)であり、遊技者が図柄の表示態様から直ちに当選種類を判読することは難しい。そこで、本発明は結果表示演出を実行し、その態様によっていずれの当選種類に該当したかを遊技者にわかりやすく教示(伝達)している。例えば、演出図柄を用いた結果表示演出を行う場合、予め特定の当選種類に対応する演出図柄とそれ以外の演出図柄を決めておき、特定の当選種類に該当する場合はこれに対応する演出図柄の組み合わせを表示する態様で結果表示演出を実行する。このため遊技者は、結果表示演出で表示された演出の態様から、当選時にいずれの当選種類に該当したのかを容易に知ることができる。
【0015】
ただし、内部抽選の結果が特定の当選種類に該当していても、必ず特定の当選種類に該当したことを表す態様で結果表示演出が行われるのではなく、場合によっては特定の当選種類と異なる当選種類に該当したことを表す特殊な態様で結果表示演出が実行されることがある。このような特殊な態様で結果表示演出が実行された場合、遊技者は暫定的に特定種類以外の当選種類に該当したことを知らされた上で特別遊技を実行するが、本発明では特別遊技の間に行われる特別遊技演出の中で昇格演出を実行するものとしている。このような昇格演出を適当な頻度で実行することにより、これに接した遊技者に対し、一旦は特定の当選種類に該当しなかったことを伝えておき、その後にあたかも特定の当選種類に格上げされたかのような印象を抱かせることができる。これにより遊技にメリハリを付加し、単調さを排除して興趣の低下を抑えることができる。
【0016】
その上で本発明の遊技機は、内部抽選で当選が得られた遊技中の条件に応じて、特別遊技中に昇格演出を出現させる割合を変化させるものである。すなわち、昇格演出を出現させるか否かは、結果表示演出の実行に際して特殊な態様とするべきことが決定された場合である。したがって、特殊な態様とするべきことを決定する割合を遊技中の条件に応じて異ならせて設定することで、特別遊技中に昇格演出が出現する割合に変化を持たせることができる。遊技中の条件は、例えば確率変動機能の作動状態、時間短縮機能の作動状態、特別遊技終了後の図柄の変動回数、遊技機の稼働開始からの変動回数等であり、これらは遊技の進行状況によって種々・動的に変化するため、このような変化する条件によって特殊な態様で結果表示演出を実行する割合を異ならせて設定すれば、昇格演出の出現割合を多様に変化させることができる。これにより、長期間にわたって遊技者に単調な印象を与えることを防止し、長らく興趣の低下を抑えることができる。
また、当選が得られたときの条件(状態)によって昇格演出の出現割合が異なり、それに伴い特定の当選種類に該当したことへの期待度も様々であるため、一旦は特定の当選種類に該当しなかった演出が行われても、遊技者に対して昇格への期待感を損なうことなく昇格演出を適度に出現させることができる。
【0017】
また、割合設定手段は、通常の遊技中に比較して、特定遊技状態移行手段により特定遊技状態に移行されている場合の遊技中に当選演出態様決定手段が特殊な態様とするべきことを決定する割合を高く設定することができる。
【0018】
例えば、通常の遊技中は、特に遊技者にとって有利な条件は設けられていない(ただし、極端に不利な条件も設けられていない)ことから、とにかく遊技者は内部抽選で当選を得ることを目標に遊技を進行する。その上で当選を得ることができた場合、できれば特定の当選種類に該当していることを望む傾向にある。なぜなら、特定の当選種類に該当すると特別遊技の終了後に特定遊技状態に移行するため、当選の連続性(いわゆる連チャン)に期待できる分、自己に有利だからである。
【0019】
このような背景に鑑みると、通常の遊技中に当選が得られた場合、遊技者はその当選が特定の当選種類に該当するか否かをできるだけ早期に知りたいと願う傾向にある。一方で昇格演出は、一旦は遊技者に「特定の当選種類に該当しなかった」ということを暫定的に知らせておき、特別遊技中に「特定の当選種類に該当していた」ことを後から知らせて驚きを与えようとする性質のものであるから、特定の当選種類に該当したか否かを早期に知りたい遊技者の願望に沿わないことがある。したがって、通常の遊技中に当選が得られた場合は昇格演出をあまり多用せず、ストレートに特定の当選種類に該当した旨を表す結果表示演出を実行することで、遊技者の自然な願望に沿った演出を実行することができる。
【0020】
これに対し、ひとたび特定遊技状態に移行すると、早期に次の当選が得られることは遊技者とってもはや当然のようなことである。この場合、遊技者は通常の遊技中のように当選を目標とするよりは、むしろ特定の当選種類に該当し続けることを主な目標とする傾向にある。なぜなら、特定遊技状態で当選しても、それが特定の当選種類に該当していなかった場合、そこで特定遊技状態も終了してしまうからである。この場合、昇格演出を適度な頻度で発生させることにより、「特定遊技状態が継続か、それとも終了か」といったハラハラドキドキとした遊技性を付加することができる。
【0021】
あるいは、割合設定手段は、通常の遊技中に比較して、特定遊技状態移行手段により特定遊技状態に移行されている場合の遊技中に当選演出態様決定手段が特殊な態様とするべきことを決定する割合を低く設定してもよい。
【0022】
上記と逆に、通常の遊技中に敢えて遊技者の自然な願望に沿わない昇格演出を適度な頻度で発生させることにより、一旦は遊技者にあきらめの気持ちを抱かせておいた上で、後から特定の当選種類に該当したことを知らせて驚きを与え、それによって遊技に緊張感を持たせることができる。
【0023】
また、特定遊技状態に移行した場合、遊技者は「できるだけ特定遊技状態が継続して欲しい」と願うことから、当選時の結果表示演出においても、できるだけ早期に特定の当選種類に該当したことを知りたいと願う傾向にあることも否定できない。したがって、特定遊技状態に移行している間は昇格演出の出現割合を低くすることで、遊技者の自然な願望の一面に沿った演出を実行することができる。なお、遊技者の願望は多面性を有するものであるから、上記のように多面的な技術手段を講じることがより多くの遊技者の願望を満たす上で有用である。
【0024】
また、本発明の遊技機は、内部抽選の当選時に当選種類決定手段により非特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、図柄表示手段により非特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された特別遊技が終了すると、図柄表示手段により図柄の変動表示を行う変動時間を通常よりも短縮した時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備えてもよい。この場合、割合設定手段は、通常の遊技中に比較して、時間短縮状態移行手段により時間短縮状態に移行されている場合の遊技中に当選演出態様決定手段が特殊な態様とするべきことを決定する割合を高く設定することができる。
【0025】
本発明の遊技機において内部抽選で当選しても、非特定の当選種類に該当した場合、特別遊技の終了後に特定遊技状態に移行しない。この場合、内部抽選の当選確率が通常よりも高く変更されるような特典は付加されないが、代わりに時間短縮状態に移行する特典が付加される。時間短縮状態に移行すると、図柄の変動時間が通常よりも短縮されるので、非当選時は1回ごとの変動が短時間内で終了する。このため抽選契機がある程度の頻度で発生していれば、毎回の内部抽選がテンポよく行われるため、全体として遊技がスピーディに進行し、遊技者にとって時間効率が向上する。
【0026】
その一方で時間短縮状態は、先の当選で特定の当選種類に該当しなかった遊技者に対し、次の当選への期待感を維持させるための特典としても位置付けられる。すなわち、遊技の時間効率が向上すれば、それだけ短時間内に内部抽選を受ける回数が増えるため、引き続き当選への期待感を維持しやすい。
【0027】
このように、時間短縮状態は遊技者にとってチャンスであることから、この間に遊技者は内部抽選で再び当選を得ること(いわゆる引き戻し)を目標に遊技を進行する。その上で当選を得ることができた場合、やはり遊技者は特定の当選種類に該当していることを望む傾向にある。なぜなら、特定の当選種類に該当することで今度は特定遊技状態に移行し、連続して当選することへの可能性が高まるからである。この場合、その前の当選時に特定の当選種類に該当しなかったことを一度経験しているため、「今度は特定の当選種類に該当していたことを早期に知りたい」と願う傾向にある。したがって、時間短縮状態に移行している間の遊技中に当選が得られた場合は昇格演出をあまり多用せず、ストレートに特定の当選種類に該当した旨を表す結果表示演出を実行することで、遊技者の自然な願望に沿った演出を実行し、期待感の維持に寄与することができる。
【0028】
あるいは、本発明は以下の構成であってもよい。
すなわち、本発明の遊技機は、内部抽選の当選時に当選種類決定手段により非特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、図柄表示手段により非特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された特別遊技が終了すると、図柄表示手段により図柄の変動表示を行う変動時間を通常よりも短縮した時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備える。そして割合設定手段は、通常の遊技中に比較して、時間短縮状態移行手段により時間短縮状態に移行されている場合の遊技中に当選演出態様決定手段が特殊な態様とするべきことを決定する割合を低く設定しているものである。
【0029】
上記のように時間短縮状態に移行すると、遊技者にとっては遊技の時間効率が向上し、続けて当選することへの期待感を維持しやすい状況であるため、実際に内部抽選で再び当選が得られた場合(いわゆる引き戻し)、遊技者は特定遊技状態のときと同じように連続して当選したかのような満足感を抱く傾向にある。この場合、遊技者は当選の連続という目標を既にクリアできていることから、次の興味の中心は特定の当選種類に該当したか否かに向けられやすい。したがって、時間短縮状態に移行している間にも昇格演出を適度な頻度で発生させることにより、「次は特定遊技状態に移行するか、それとも時間短縮状態に移行するだけなのか」といったスリル感を付加することができる。
【0030】
なお、本発明の遊技機において、以下の構成を追加してもよい。すなわち本発明の遊技機は、遊技盤面に形成された遊技領域に向けて遊技球を打ち込む球発射手段と、前記遊技領域内に設置され、前記遊技領域内を流下する遊技球が無作為に流入することで前記抽選契機となる事象を発生させる始動入賞口と、前記遊技領域内に設置され、所定の可動片が閉位置にある状態では前記遊技領域を流下する遊技球の流入を困難にする一方、前記可動片が閉位置から開位置に向けて作動した状態では遊技球の流入を容易化するとともに、その流入により前記抽選契機となる事象を発生させる可変始動入賞装置と、前記遊技領域内に設置され、前記遊技領域内を流下する遊技球が無作為に通過可能な始動ゲートと、前記始動ゲートを遊技球が通過したことを契機として、前記可変始動入賞装置の可動片を作動させるか否かの作動抽選を実行する作動抽選実行手段と、前記作動抽選で当選すると、前記可変始動入賞装置の可動片を前記開位置に向けて作動させる可動片作動手段と、少なくとも前記可変始動入賞装置への入賞に対し、所定数の遊技球を賞球として払い出す賞球払出装置とをさらに備え、前記時間短縮状態では、前記内部抽選の結果が非当選に該当し、かつ、前記変動パターン選択手段により通常変動パターンが選択された場合に前記変動時間が通常より短縮されることに加えて、少なくとも前記作動抽選の当選確率が通常よりも高く変更されている。
【0031】
このような構成であれば、時間短縮状態の間は作動抽選に高確率で当選し、可変始動入賞装置への入賞が頻繁に発生するため、抽選契機が次々と発生して時間効率の向上に寄与する。また、可変始動入賞装置への入賞によって遊技球(賞球)の払い出しが頻繁に行われ、遊技者にとっては発射した分の遊技球の減少が賞球によって補填されるため、時間短縮状態の間に当選すると、ほとんど持ち玉を消費せずに次の当選が得られるため、特定遊技状態のときと同じような利点がある。したがって、時間短縮状態の間の当選について昇格演出の出現割合を高くしたり、低くしたりすることで、上述した利点を有効に発揮することができる。
【0032】
また、本発明の遊技機は、内部抽選を実行するべき条件が未だ満たされていない状態で抽選契機が発生した場合、所定の上限数まで内部抽選に用いる抽選情報を記憶する抽選情報記憶手段と、抽選情報記憶手段により少なくとも1つの抽選情報が記憶されている状態で次の内部抽選を実行するべき条件が満たされた場合、抽選情報記憶手段に記憶された1つの抽選情報を用いて内部抽選実行手段により内部抽選を実行させ、合わせてその記憶を消去する記憶消去手段とをさらに備える。この場合、割合設定手段は、内部抽選で当選が得られた遊技中の抽選情報記憶手段による抽選情報の記憶数に応じて、当選演出態様決定手段が特殊な態様とするべきことを決定する割合を異ならせて設定するものである。
【0033】
この場合、抽選契機の発生によって抽選情報(例えば、大当り決定乱数、大当り図柄乱数等)が記憶されるが、その記憶数には上限が設けられている。このため、遊技中に記憶数が上限数に達すると、それ以上の抽選契機を発生させても内部抽選には用いられない。特に抽選契機が遊技球の消費(発射した遊技球が始動口に入賞する等)に伴って発生する場合、それ以上の消費はかえってロスとなる。したがって、遊技者からみてロスをなるべく小さくするためには、記憶数が上限に達する前に遊技球の消費を抑えること(遊技球の打ち出しを一時的に停止する等)が重要となる。
【0034】
その上で本発明の遊技機は、内部抽選で当選が得られた遊技中の記憶数に応じて昇格演出の出現割合を異ならせることで、以下の利点を生むことができる。
【0035】
(1)例えば、記憶数が比較的多い(例えば上限数に達している)場合に昇格演出の出現割合を低く設定する。昇格演出の出現割合が低く設定されていると、遊技者にとっては当選時に特定の当選種類に該当したことをなるべく早期に知ることができるメリットがあるため、そのようなメリットが遊技者へのインセンティブとなり、遊技者はなるべく記憶数が上限数に近い状態を維持しようとする。すると、遊技者は抽選契機を次々と発生させるために遊技球の発射に対して積極的になり、それだけ遊技に対するモチベーションを維持しやすい。また、遊技場にとっては遊技機の稼働が向上するという利点がある。
【0036】
(2)上記(1)と反対に、記憶数が比較的多い(例えば上限数に達している)場合に昇格演出の出現割合を高く設定する。昇格演出の出現割合が高く設定されていると、遊技者にとっては当選時に特定の当選種類に該当したかどうかを直ちに知る機会が減り、逆に特別遊技中まで楽しみを取っておくことができる機会が多くなるメリットがある。そうすると、このようなメリットが遊技者へのインセンティブとなり、遊技者はなるべく記憶数が上限数に近い状態を維持しようとするため、やはり遊技者は抽選契機を次々と発生させるために遊技球の発射に対して積極的になり、それだけ遊技に対するモチベーションを維持しやすい。また、遊技場にとっては遊技機の稼働が向上するという利点がある。
【発明の効果】
【0037】
本発明の遊技機によれば、昇格演出を適度に出現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】パチンコ機の正面図である。
【図2】パチンコ機に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
【図3】リセットスタート処理の手順例を示すフローチャート(1/2)である。
【図4】リセットスタート処理の手順例を示すフローチャート(2/2)である。
【図5】割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【図6】始動入賞処理の手順例を示すフローチャートである。
【図7】特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。
【図8】特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。
【図9】大当り時変動パターン決定処理(1)の手順例を示すフローチャートである。
【図10】確率状態別に用意された確変昇格演出抽選テーブルの構造例を示す図である。
【図11】確率状態別に設定される昇格演出の選択比率を示した図である。
【図12】大当り時変動パターン決定処理(2)の手順例を示すフローチャートである。
【図13】時間短縮機能の作動状態別に用意された確変昇格演出抽選テーブルの構造例を示す図である。
【図14】時間短縮機能作動状態別に設定される昇格演出の選択比率を示した図である。
【図15】大当り時変動パターン決定処理(3)の手順例を示すフローチャートである。
【図16】変動開始時作動記憶数の条件別に用意された確変昇格演出抽選テーブルの構造例を示す図である。
【図17】変動開始時作動記憶数の条件別に設定される昇格演出の選択比率を示した図である。
【図18】演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。
【図19】演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【図20】演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。
【図21】大当り中処理の手順例を示すフローチャートである。
【図22】大当り時に実行される変動表示演出と結果表示演出の例を示す連続図である。
【図23】大当り遊技中に実行される確変昇格演出の一例を示す連続図(1/2)である。
【図24】大当り遊技中に実行される確変昇格演出の一例を示す連続図(2/2)である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。
【0040】
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、ガラス枠ユニット4、球皿ユニット6及び図示しない遊技機枠を備えている。このうち外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。その他のガラス枠ユニット4や球皿ユニット6、図示しない遊技機枠は外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0041】
遊技機枠の右側縁部には、その内側(裏側)に図示しない施錠ユニットが設けられており、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対してガラス枠ユニット4及び遊技機枠が閉じた状態で、その施錠ユニットは施錠具とともにガラス枠ユニット4及び遊技機枠の開放を不能にしている。
【0042】
球皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、施錠ユニットが作動して遊技機枠とともにガラス枠ユニット4及び球皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、パチンコ機1の裏側が露出することになる。パチンコ機1の裏側には、図示しない払出装置ユニットや発射装置ユニット等が設置されている他、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(制御コンピュータを含む)、接続端子等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図2)に基づいてさらに後述する。
【0043】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、遊技機枠は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠が外れ、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、球皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、球皿ユニット6を遊技機枠に対して前面側へ開放することができる。
【0044】
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後で図示しない遊技機枠に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態で遊技機枠に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0045】
球皿ユニット6には、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に払出装置ユニットから球皿ユニット6に払い出される。球皿ユニット6の前面には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されており、図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、ICメモリ内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。球皿ユニット6の前面には度数表示部14が配置されており、この度数表示部14には、有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。
【0046】
また、球皿ユニット6の左上部には左球抜きレバー6bが設置されており、その中央部には中央球抜きボタン6cが設置されている。遊技者はこれら左球抜きレバー6bや中央球抜きボタン6cを操作することで、球皿ユニット6に貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
【0047】
球皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで図示しない発射装置ユニットを作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射手段)。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により案内されながら遊技領域8a内を流下する。
【0048】
〔盤面の構成〕
また遊技領域8a内には、始動ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26、可変始動入賞装置28に入賞(入球)したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技板に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
【0049】
なお、上記の可変始動入賞装置28は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が所定の態様で停止表示された場合)に作動し、下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっている。
【0050】
また上記の可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が特定態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置にあり、このとき大入賞口への入賞は不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁を中心として前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が可能な状態となり、大入賞口への入賞を発生させる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
【0051】
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は図示しない島設備の補給経路に合流する。
【0052】
遊技盤8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、特別図柄表示装置34、作動記憶ランプ34a及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
【0053】
特別図柄表示装置34は、例えば7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。また、作動記憶ランプ34aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する。例えば、ランプが全て消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。作動記憶ランプ34aは、上記の上始動入賞口26又は可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が入賞すると、入賞が生じたことを記憶する意味で点灯し、その入賞を契機として特別図柄の変動を開始する場合に消灯する。作動記憶ランプ34aの表示数(最大4個)は、その時点で未だ特別図柄の変動が開始されていない始動入賞の回数(入賞球数)を表している。
【0054】
遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ(ラウンド数の異なる大当りがある場合)、確率変動状態表示ランプ、時短状態表示ランプにそれぞれ対応する4つのLED(いずれも参照符号なし)が含まれている。
【0055】
また遊技盤8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
【0056】
演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40fが形成されており、このとき転動ステージ40eから球放出路40fに流下した遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に入賞しやすくなる。
【0057】
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素として上部枠ランプ46,48や下部枠ランプ50,52が複数の箇所に設置されている。これら枠ランプ46〜52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対の上スピーカ54が内蔵されており、そして外枠ユニット2の下部には、左右一対の下スピーカ56が内蔵されている。これらスピーカ54,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0058】
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図2は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備え、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
【0059】
また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、大当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、図示しないクロック発生回路や入出力ドライバ(PIO)、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
【0060】
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30に対応して始動入賞口スイッチ80,82及び大入賞口スイッチ84が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。また大入賞口スイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出するためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。これらスイッチ類78〜86の検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。
【0061】
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、作動記憶ランプ34a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,38及びランプ33a,34aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。
【0062】
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して下始動口ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。
【0063】
パチンコ機1には、賞球払出制御装置92が装備されている。この賞球払出制御装置92(賞球払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニットの動作を制御する。賞球払出制御装置92には、図示しない払出制御CPUを実装した回路基板が装備されており、この払出制御CPUもまた、図示しないCPUコアとともにROM、RAM等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。賞球払出制御装置92(払出制御CPU)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出制御ユニットの動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる(特典付与手段)。
【0064】
上記の主制御装置70とは別に、パチンコ機1は制御上の構成として演出制御装置94(演出制御手段)を備えている。この演出制御装置94は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置94にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU96を実装した回路基板が装備されている。演出制御CPU96には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM98やRAM100等の半導体メモリが内蔵されている。
【0065】
また演出制御装置94には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路102や音響駆動回路104が装備されている。演出制御CPU96は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路102や音響駆動回路104に指令を与えて各種ランプ46〜52を発光させたり、スピーカ54,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
【0066】
ランプ駆動回路102は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路102は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記の上部枠ランプ46,48や下部枠ランプ50,52の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用のランプ(参照符号なし)が含まれる。
【0067】
また音響駆動回路104は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路104は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
【0068】
上記の液晶表示器42は遊技盤8の裏側に設置されており、遊技盤8に形成された略矩形の開口を通じてのその表示画面が視認可能となっている。また遊技機枠の裏側には表示制御装置114が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、表示制御装置114により制御されている。表示制御装置114には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU116とともに、表示プロセッサであるVDP122を実装した回路基板が装備されている。このうち表示制御CPU116は、図示しないCPUコアとともにROM118、RAM120等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP122は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM124やVRAM126等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM126は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
【0069】
演出制御CPU96のROM98には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU96は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜52等やスピーカ54,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU96は、表示制御CPU116に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU116は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
【0070】
表示制御CPU116は、VDP122に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP122は、制御信号に基づいて画像ROM124にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM126に転送する。さらにVDP122は、VRAM126上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
【0071】
その他、図示していないが、遊技機枠の裏側には電源制御ユニットが装備されている。この電源制御ユニットは島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込み、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成する。電源制御ユニットで生成された電力は、主制御装置70や演出制御装置94、賞球払出制御装置92、表示制御装置114をはじめ、パチンコ機1の各所に供給される。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(レギュレータ等)で生成される。
【0072】
また、主制御CPU72は図示しない外部端子板を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出要求情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。外部端子板から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
【0073】
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
【0074】
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
【0075】
図3及び図4は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
【0076】
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
【0077】
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
【0078】
ステップS103:主制御CPU72は、マスクレジスタの初期設定を行う。
ステップS104:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS105を実行する。
【0079】
ステップS105:主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS106を実行する。
【0080】
ステップS106:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。チェック結果が正常であれば(Yes)、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)し、次に主制御CPU72はステップS107を実行する。
【0081】
ステップS107:主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置94に対し、復帰用のコマンドを送信する。これを受けて演出制御装置94は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、演出図柄の表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させる。
【0082】
ステップS108:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元に、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。そして、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧し、そのプログラムアドレスから処理を続行する。
【0083】
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS104:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS105:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS106:No)、主制御CPU72はステップS109に移行する。
【0084】
ステップS109:主制御CPU72は、RAM76の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76にバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
【0085】
ステップS110:また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているコマンド送信要求バッファをクリアする。
【0086】
ステップS111:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72がリセット後に演出制御装置94に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
【0087】
ステップS112:主制御CPU72は、CTC初期化処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期化を行う。そして主制御CPU72は、図4に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
【0088】
ステップS113,ステップS114:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される信号を参照し、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。なお、電源遮断が発生すると、主制御CPU72はレジスタを退避し、RAM76全体の内容をバックアップして処理を停止(NOP)する。電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS115を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
【0089】
ステップS115:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数以外に各種の乱数をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図5中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS115では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS113で割込を禁止した後にステップS115を実行しているのは、別の割込処理(図5中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。
【0090】
ステップS116,ステップS117:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち大当り種別の判定に関わらない乱数(リーチ決定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生して、別の割込管理処理(図5)が実行される残り時間にて行われる。なお割込管理処理の内容についは後述する。
【0091】
ステップS118:次に主制御CPU72は、割込回数カウンタの値を参照し、ここまでに実行した割込処理が所定回数(例えば2回)を超えたか否かを判断する。割込回数カウンタの値が所定値を超えていなければ(No)、主制御CPU72はステップS113に戻る。一方、割込回数カウンタの値が所定値を超えていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS119を実行する。これにより、メインループの実行中に少なくとも2回のタイマ割込が発生して別の割込管理処理が実行されるとともに、さらに主制御CPU72は、タイマ割込が発生する残り時間にて電源断発生チェック処理(ステップS114)及び初期値更新乱数更新処理(ステップS115)を実行する。
【0092】
ステップS119,ステップS120:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が演出制御装置94に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファをクリアする。
【0093】
ステップS121:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、別の割込処理(図5中のステップS203)において各種入賞口スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、賞球払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
【0094】
ステップS122,ステップS123:主制御CPU72は、メインループ中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた特別図柄表示装置34による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。
【0095】
また普通図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は別の割込管理処理の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄当り決定乱数)を記憶しておく。そして主制御CPU72は、この普通図柄遊技処理の中で乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は下始動口ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる(可動片作動手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0096】
ステップS124:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報を出力する。
【0097】
ステップS125:また主制御CPU72は、メインループにおいて試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中、エラー発生中)を表す試験信号を生成し、これを主制御装置70の外部に出力する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
【0098】
ステップS126:次に主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファを参照し、各種ソレノイド(下始動口ソレノイド88、大入賞口ソレノイド90)の励磁状態(ON又はOFF)を出力ポートに出力する。
【0099】
なお本実施形態では、ステップS119〜ステップS126の処理をメインループ中に組み込んだ例を挙げているが、これら処理をCPUがタイマ割込処理として実行している公知のプログラミング例もある。
【0100】
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図5は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ミリ秒)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
【0101】
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値が書き込まれる。
【0102】
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、普通図柄当り決定乱数等が含まれる。このうち大当り図柄乱数は、例えば0〜99の範囲で順番に更新される。
【0103】
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
【0104】
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力ドライバ(PIO)から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、大入賞口スイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
【0105】
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。
【0106】
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0107】
ステップS205:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、作動記憶ランプ34a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)を生成し、出力ポートから出力する。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
【0108】
ステップS206:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込回数カウンタを更新する。このカウンタは、先に述べたメインループ中のステップS118で参照されるものである。
【0109】
ステップS207,ステップS208:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
【0110】
〔始動入賞処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)中でさらに実行される処理について説明する。図6は、始動入賞処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
【0111】
ステップS10:主制御CPU72は、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12を実行する。
【0112】
ステップS12:主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには大当り決定乱数及び大当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、大当り決定乱数及び大当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS14に進む。
【0113】
ステップS14:主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数を1つ加算する。特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図5中のステップS205)で作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
【0114】
ステップS16:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを大当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
【0115】
ステップS17:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から大当り図柄乱数値を取得する。この場合の乱数値の取得は、RAM76のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに大当り図柄乱数としてセーブする。
【0116】
ステップS18:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる(抽選情報記憶手段)。なお記憶された各乱数は、内部抽選で使用される抽選情報となる。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。
【0117】
ステップS20:主制御CPU72は、特別図柄始動口入賞フラグをセットする。なお、主制御CPU72はメインループに復帰すると、ここでセットしたフラグの値を参照して演出制御装置94に始動口入賞音制御コマンドを送信し、また、賞球払出制御装置92に賞球指示コマンドを送信する。
【0118】
以上の手順を終えるか、もしくは上始動入賞口スイッチ80及び下始動入賞口スイッチ82からいずれも入賞検出信号の入力がなかった場合(ステップS10:No)、あるいは特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS12:No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理に復帰する。
【0119】
〔特別図柄遊技処理〕
次に、メインループ中に実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図7は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、大当り遊技処理(ステップS5000)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
【0120】
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
【0121】
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0122】
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
【0123】
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。
【0124】
ステップS5000:大当り遊技処理は、先の特別図柄停止表示中処理において大当りの態様(特定態様)で特別図柄が停止表示された場合に選択される。特別図柄が大当りの表示態様で停止すると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な遊技状態)に移行する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が大当り遊技処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。大当り遊技処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、規定回数(例えば15回)だけ励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開放動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技機会付与手段)。なお、このように可変入賞装置30が開放動作することを「ラウンド」と称し、規定回数が全部で15回あれば、これを「15ラウンド」と総称することがある。
【0125】
また、制御CPU72は大当り遊技処理においてラウンドカウンタに初期値「1」をセットすると、可変入賞装置30の開放動作を終了させるごとにラウンドカウンタの値を1インクリメントする。合わせて主制御CPU72は、ラウンドカウンタの値を表すラウンド数コマンドを生成する。ラウンド数コマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に送信される。ラウンドカウンタの値が最大に達すると、主制御CPU72はそのラウンド限りで大当り遊技を終了する。
【0126】
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動フラグ又は時間短縮フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる。「高確率状態」になると確率変動機能が作動し、次の大当りが発生する確率が通常よりも高く(10倍程度)なる(特定遊技状態移行手段)。また「高確率状態」になると時間短縮機能が作動し、非当選時の特別図柄の変動時間が通常の状態に比較して全体的に短縮される。一方の「時間短縮状態」は、確率変動機能が作動せずに時間短縮機能だけが作動した状態であり、この「時間短縮状態」になると、通常の状態に比較して特別図柄の変動時間が全体的に短縮される。
【0127】
〔特別図柄変動前処理〕
図8は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0128】
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
【0129】
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
【0130】
これに対し、作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
【0131】
ステップS2200:主制御CPU72は割込を禁止した上で、特別図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を読み出し、これらを別の一時記憶領域に保存する。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。一時記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。なお、このとき読み出された乱数の記憶はRAM76の乱数記憶領域から消去される(記憶消去手段)。
【0132】
ステップS2250:次に主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。これにより、上記の表示出力管理処理(図5中のステップS205)の中で作動記憶ランプ34による記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は割込を許可して次にステップS2300を実行する。
【0133】
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なり、高確率状態では通常状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。このとき、読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。なお、本実施形態ではプログラム上で大当り値の範囲を設定して大当り判定を行っているが、予め状態別に大当り判定テーブルをROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行うプログラミング例もある。
【0134】
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。
【0135】
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄表示装置34によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信するための停止図柄指定コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に送信される。
【0136】
なお本実施形態では、特別図柄表示装置34に7セグメントLED(1個又は2個)を用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
【0137】
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄についてはずれ時の特別図柄の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、特別図柄の変動パターンの種類を区別したり、そのときの変動時間を規定したりするものである。なおリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は、例えばステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定される。はずれ時変動パターン決定処理の内容については、別の図面を用いてさらに後述する。
【0138】
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。
【0139】
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と当選図柄の種類との関係は、予め特別図柄判定データテーブルで規定されている。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において特別図柄判定テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて当選図柄の種類を決定することができる。本実施形態では、当選図柄に大きく分けて2種類が用意されている。そのうち1つは「確変図柄」であり、もう1つは「非確変(通常)図柄」である。特別図柄判定データテーブルにおいて、「確変図柄」と「非確変図柄」の比率が予め設定されており、この比率に基づいて当選図柄の振り分け抽選が行われる。
【0140】
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて特別図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ通常変動時よりも長い変動時間が決定される。なお、大当り時変動パターン決定処理の具体的な内容については、複数の処理手順例を示してさらに後述する。
【0141】
ステップS2413:主制御CPU72は、先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)に基づいて、「確変図柄」又は「非確変(通常)図柄」の種別を判定し、「確変図柄」である場合は、大当り遊技処理(図7中のステップS5000)でセットされる遊技状態フラグとして確率変動フラグの値(01H)をRAM76のバッファ領域に一時格納する。ここで格納された値は、大当り遊技処理(図7中のステップS5000)において遊技状態フラグの指定領域にセットされる。また主制御CPU72は、大当り中のラウンド数(例えば15)を設定する。また主制御CPU72は、当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)に基づいて大当り中のラウンド数(例えば15ラウンド、2ラウンド等)を設定する。ここで設定したラウンド数は、大当り遊技処理(図7のステップS5000)において使用されるものである。
【0142】
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて特別図柄表示装置34による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。
【0143】
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。
【0144】
〔図7:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
なお、特別図柄遊技処理に復帰すると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定する。特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
【0145】
また特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図8中のステップS2404,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置94に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
【0146】
〔大当り時変動パターン決定処理〕
次に、特別図柄変動前処理の中(図8中のステップS2412)で行われる大当り時変動パターン決定処理の内容について説明する。大当り時変動パターン決定処理は、内部抽選の当選時に特別図柄の変動パターンを決定するための処理であるが、本実施形態ではここで「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」が抽選で決定される。そして、このときの抽選結果から、その後の演出に関する制御内容(選択される演出パターン)が異なるものとなっている。
【0147】
具体的には、大当り時変動パターン決定処理での抽選結果に応じて選択される演出パターンには、大きく分けて3種類のものが用意されている。これらは(1)確率変動大当り時に確変昇格演出を行わない種類、(2)確率変動大当り時に確変昇格演出を行う種類、(3)非確率変動(通常)大当りであって確変昇格演出の対象外である種類、の3つである。
【0148】
〔確変昇格演出なしの場合〕
そして、大当り時変動パターン決定処理での抽選結果によって上記(1)の種類が演出パターンとして選択されると、その後の演出の制御において、特別図柄の停止表示に合わせて確変図柄に対応した演出図柄(例えば「1」,「3」,「5」,「7」,「9」の数字を表す図柄)による大当り演出が行われる。この場合、遊技者には「確率変動大当り」である旨が明確に教示(伝達、報知)される。
【0149】
〔確変昇格演出ありの場合〕
一方、大当り時変動パターン決定処理での抽選結果によって上記(2)の種類が演出パターンとして選択されると、その後の演出の制御において特別図柄の停止表示に合わせて非確変図柄に対応した演出図柄(例えば「0」,「2」,「4」,「6」,「8」の数字を表す図柄)による大当り演出が行われた後、大当り遊技中に確変昇格演出が行われる制御が行われる。この場合、演出図柄の停止表示時には暫定的に「非確率変動大当り」である旨が遊技者に知らされた後、大当り遊技中に「確率変動大当りであった(昇格した)」旨が遊技者に知らされる。
【0150】
なお、実際に非確率変動大当りであった場合は昇格演出の対象外であるため、その後の演出パターンとして上記(3)の種類が選択される。また、演出の制御においては特別図柄の停止表示に合わせて非確変図柄に対応した演出図柄による大当り演出が行われる。
【0151】
その上で本実施形態では、特に確率変動大当り時に上記(2)の種類が演出パターンとして決定される割合を、当選が得られた遊技中の条件に応じて変化させている。すなわち、当選時の遊技中の条件によって、演出の制御において確変昇格演出を出現させる割合が異なってくるのである。また遊技中の条件には、例えば〔1〕確率状態(高確率時又は低確率時)、〔2〕時間短縮機能作動状態(時短時又は非時短時)、〔3〕変動開始前作動記憶数等があり、これらの条件別に大当り時変動パターン決定処理の手順例について複数のものが用意されている。以下、これら複数の手順例について順番に説明する。
【0152】
〔第1例:確率状態に応じた設定〕
図9は、第1例として大当り時変動パターン決定処理(1)の手順例を示すフローチャートである。この第1例は、上記〔1〕の確率状態の条件で確変昇格演出の出現割合を変化させるための処理である。以下、第1例の手順例に沿って処理の内容を説明する。
【0153】
ステップS300:主制御CPU72は、今回の当選図柄が「確変図柄」に該当するか否かを確認する。この確認は、先の大当り時停止図柄決定処理(図8中のステップS2410)で決定した大当り時停止図柄番号に基づいて行うことができる。当選図柄が「確変図柄」に該当している場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS302を実行する。
【0154】
ステップS302:主制御CPU72は、現在の状態が高確率状態であるか否かを確認する。上記の確率変動フラグに値(01H)がセットされている場合、主制御CPU72は高確率状態であることを確認し(Yes)、次にステップS304に進む。
【0155】
ステップS304:主制御CPU72は、高確率時の確変昇格演出抽選を実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から昇格演出決定乱数を取得すると、その値を基に抽選テーブルを参照し、「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」のいずれかを抽選で決定する。なお昇格演出決定乱数は、例えば上記の抽選乱数更新処理(図5中のステップS201)において更新されている。また、ここで主制御CPU72が参照するテーブルは、高確率時の抽選用に予め用意されたものである。抽選テーブルの例については別の図面を参照しながら後述する。
【0156】
これに対し、現在の状態が高確率状態でなかった場合(ステップS302:No)、主制御CPU72はステップS306を実行する。
ステップS306:この場合、主制御CPU72は低確率時の確変昇格演出抽選を実行する。ここで参照するテーブルは、上記の高確率時用とは別に低確率時の抽選用として予め用意されている。なお抽選の手法は、先に説明したステップS304の場合と同様である。
【0157】
〔確率状態別確変昇格演出抽選テーブルの例〕
図10は、確率状態別に用意された確変昇格演出抽選テーブルの構造例を示す図である。図10中(A)が高確率時確変昇格演出抽選テーブルを示し、図10中(B)が低確率時確変昇格演出抽選テーブルを示す。
【0158】
これら確変昇格演出抽選テーブルは、例えば2段階の比較値を規定して、各比較値に抽選結果として「確変昇格演出あり」、「確変昇格演出なし」を対応させた構造である。なお図中、各欄に示される値(例えば「95H」と「99H」)は、それぞれ抽選結果番号を表すものである(これ以外に「00H」、「01H」等のシンプルな値でもよい。)。主制御CPU72は、取得した昇格演出決定乱数の値と比較値とを比較し、乱数値が比較値以下である場合、その比較値に対応する抽選結果番号を取得する。
【0159】
各抽選テーブルにおいて、上段に示される比較値には「確変昇格演出なし」の抽選結果番号「95H」が対応し、下段に示される比較値(ここでは最大値のFFH)には「確変昇格演出あり」の抽選結果番号「99H」が対応している。このため主制御CPU72が「確変昇格演出なし」又は「確変昇格演出あり」を選択する比率(割合)は、昇格演出決定乱数の更新範囲(例えば0〜255)に占める各比較値の範囲の割合によって設定されている。なお、「確変昇格演出なし」又は「確変昇格演出あり」の具体的な選択比率についてはさらに後述する。
【0160】
〔高確率時確変昇格演出抽選テーブル〕
図10中(A):例えば、取得した昇格演出決定乱数値が「193」であった場合を想定する。これを上段の比較値「178」と比較すると、乱数値が比較値を超えているため、主制御CPU72は次の比較値「255(FFH)」と乱数値を比較する。この場合、乱数値が比較値以下であるため、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「99H」を選択する。この場合、抽選によって「確変昇格演出あり」が決定されたことになる。一方、取得した昇格演出決定乱数値が上段の比較値「178」以下であった場合、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「95H」を選択する。この場合、抽選によって「確変昇格演出なし」が決定されたことになる。
【0161】
〔低確率時確変昇格演出抽選テーブル〕
図10中(B):これに対して低確率には、取得した昇格演出決定乱数値が上記と同じ「193」であっても、これを上段の比較値「229」と比較すると、乱数値が比較値以下である。この場合、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「95H」を選択するので、「確変昇格演出なし」が決定されたことになり、高確率時とは違った結果となることがわかる。
【0162】
〔図9:大当り時変動パターン決定処理(1)を参照〕
ステップS308:主制御CPU72は、上記のステップS304又はステップS306で選択した抽選結果番号が「確変昇格演出あり」に該当するか否かを確認する。例えば、選択した抽選結果番号が上記の「99H」であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS310を実行する。
【0163】
ステップS310:主制御CPU72は、非確変図柄の変動パターンを設定する。すなわち主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から変動パターン決定乱数を取得すると、その乱数値に基づいて図示しない変動パターン抽選テーブルから「確変昇格演出あり」に対応した変動パターン番号を選択する。なお変動パターン番号の範囲は、例えば変動パターン抽選テーブル上で予め「確変昇格演出あり」の場合と「確変昇格演出なし」の場合とに区分されている。そして主制御CPU72は、演出上の停止図柄として非確変図柄を指定した変動パターンコマンドを生成する。変動パターンコマンドは、演出制御装置94(演出制御CPU96)に演出内容を指示するためのコマンドである。例えば、変動パターンコマンドはMODE値−EVENT値の形式で記述された「C0H10H」等の2バイトのコマンドである。
【0164】
本実施形態では、各変動パターンコマンドの値に対して演出上の停止図柄の種類(確変図柄又は非確変図柄)やリーチの発生パターン、画面上の図柄停止位置、停止出目等が細かく指定されている。このうち上位バイトのMODE値は、例えば上記の抽選結果番号「99H」に基づいて生成することができる。また下位バイトのEVENT値については、例えば上記の変動パターン番号に基づいて生成することができる。これにより、大当り時の多種多様な演出を細かく指定することが可能となる。生成された変動パターンコマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置94に送信される。
【0165】
ステップS312:続いて主制御CPU72は、「確変昇格演出あり」を設定する。例えば、主制御CPU72は「確変昇格演出コマンド」を生成する。このコマンドは、演出制御装置94(演出制御CPU96)に対して大当り遊技中の確変昇格演出の実行を指示するためのものである。この確変昇格演出コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置94に送信される。なお、ここでは変動パターンコマンドと別に確変昇格演出コマンドを生成しているが、先のステップS310で「非確変図柄」及び「確変昇格演出あり」の指定まで含めた変動パターンコマンドを生成してもよい。
【0166】
一方、上記のステップS304又はステップS306で選択した抽選結果番号が「確変昇格演出なし」を指定する種類(「95H」)であれば、(ステップS308:No)、主制御CPU72は次にステップS314を実行する。
【0167】
ステップS314:この場合、主制御CPU72は確変図柄の変動パターンを設定する。すなわち主制御CPU72は、上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その乱数値に基づいて「確変昇格演出なし」に対応した区分から変動パターン番号を選択する。そして主制御CPU72は、演出上の停止図柄として確変図柄を指定した変動パターンコマンドを生成する。
ステップS316:続いて主制御CPU72は、「確変昇格演出なし」を設定する。この場合、特に主制御CPU72は上記の「確変昇格演出コマンド」を生成しない。
【0168】
以上の手順は、当選図柄が「確変図柄」に該当する場合の処理である。主制御CPU72はステップS312又はステップS316の手順を終えると、特別図柄変動前処理(図8)に復帰する。
【0169】
これに対し、当選図柄が「非確変図柄」に該当する場合は以下の処理が行われる。
ステップS318:主制御CPU72は「非確変図柄」の変動パターンを設定する。例えば、主制御CPU72は図示しない非確変図柄用の変動パターン抽選テーブルを参照し、変動パターン決定乱数を用いて変動パターン番号を選択する。そして主制御CPU72は、選択した変動パターン番号に対応する変動パターンコマンドを生成する。このとき生成した変動パターンコマンドは、演出上の停止図柄として「非確変図柄」を指定したものとなる。
【0170】
ステップS320:主制御CPU72は、「確変昇格演出なし」を設定する。処理の内容は上記のステップS316と同様である。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動前処理に復帰する。
【0171】
〔確変昇格演出の出現割合〕
図11は、第1例において確率状態別に設定される「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」の選択比率を示した図である。
【0172】
〔高確率時〕
図11中(A):ここでは、大当り時の遊技状態が確変状態の場合に「確変昇格演出あり」、「確変昇格演出なし」がそれぞれ選択される比率が右欄に示されている。その他の項目として、左欄に演出上の停止図柄が「確変図柄」又は「非確変図柄」のいずれであるかを示し、左から2番目の欄に「確変昇格演出」の「あり」又は「なし」のいずれであるかを示し、3番目の欄に「大当り遊技後の遊技状態」が「確変状態」又は「非確変状態」のいずれであるかを示している。
【0173】
図中に網掛けを施して示しているように、ここでは大当り遊技後の遊技状態が「確変状態」に移行する場合に「確変昇格演出あり」が選択される比率は、例えば15%に設定されている。なお、本実施形態では確変比率(大当り時に確変図柄が選択される比率)が50%であるため、残りの35%の比率で「確変昇格演出なし」が選択されるものとなっている。
【0174】
〔低確率時〕
図11中(B):大当り時の遊技状態が非確変状態の場合に「確変昇格演出あり」、「確変昇格演出なし」がそれぞれ選択される比率が同じく右欄に示されている。図中に網掛けを施して示しているように、大当り遊技後の遊技状態が「確変状態」に移行する場合に「確変昇格演出あり」が選択される比率は、例えば5%に設定されており、高確率時と比較して低い値(高確率時の3分の1)となっていることがわかる。
【0175】
〔第2例:時間短縮機能作動状態に応じた設定〕
次に図12は、第2例として大当り時変動パターン決定処理(2)の手順例を示すフローチャートである。この第2例は、上記〔2〕の時間短縮機能作動状態の条件で確変昇格演出の出現割合を変化させるための処理である。なお図中、第1例と同じ手順には共通のステップ符号を付し、その重複した説明を省略し、以下では第1例との違いを中心に処理の内容を説明するものとする。
【0176】
第2例において、ステップS302で現在の状態が高確率状態でないことを確認した場合(No)、主制御CPU72は次にステップS322を実行する。
【0177】
ステップS322:主制御CPU72は、現在の状態が時間短縮状態であるか否かを確認する。上記の時間短縮フラグに値(01H)がセットされている場合、主制御CPU72は時間短縮状態であることを確認し(Yes)、次にステップS324に進む。
【0178】
ステップS324:主制御CPU72は、時短時の確変昇格演出抽選を実行する。ここでも同様に、主制御CPU72は取得した昇格演出決定乱数の値を基に抽選テーブルを参照し、そのときの乱数値に対応する抽選結果番号を取得する。このとき主制御CPU72が参照するテーブルは、時短時の抽選用に予め用意されたものである。抽選テーブルの例については別の図面を参照しながら後述する。
【0179】
これに対し、現在の状態が時間短縮状態でなかった場合(ステップS322:No)、主制御CPU72はステップS326を実行する。
ステップS326:この場合、主制御CPU72は非時短(通常)時の確変昇格演出抽選を実行する。ここで参照するテーブルは、上記の時短時用とは別に非時短時の抽選用として予め用意されている。
【0180】
〔時間短縮機能作動状態別確変昇格演出抽選テーブルの例〕
図13は、時間短縮機能の作動状態別に用意された確変昇格演出抽選テーブルの構造例を示す図である。図13中(A)が時短時確変昇格演出抽選テーブルを示し、図13中(B)が非時短時確変昇格演出抽選テーブルを示す。テーブル構造は、上記の確率状態別確変昇格演出抽選テーブル(図10)と同様であり、ここではその説明を省略する。
【0181】
〔時短時確変昇格演出抽選テーブル〕
図13中(A):例えば、取得した昇格演出決定乱数値が「184」であった場合、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「99H」を選択する。この場合の抽選結果は「確変昇格演出あり」となる。一方、取得した昇格演出決定乱数値が上段の比較値「152」以下であった場合、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「95H」を選択する。この場合の抽選結果は「確変昇格演出なし」となる。
【0182】
〔非時短(通常)時確変昇格演出抽選テーブル〕
図13中(B):これに対して非時短には、取得した昇格演出決定乱数値が上記と同じ「184」であっても、これを上段の比較値「229」と比較すると、乱数値が比較値以下である。この場合、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「95H」を選択するので、抽選結果は「確変昇格演出なし」であり、時短時とは違った結果となることがわかる。
【0183】
〔図12:大当り時変動パターン決定処理(2)を参照〕
以上が低確率時において時間短縮機能作動状態別に行われる確変昇格演出抽選の内容である。高確率時の確変昇格演出抽選(ステップS304)については第1例と同様である。また、ステップS308以降の処理についても第1例と同様である。
【0184】
〔確変昇格演出の出現割合〕
図14は、第2例において時間短縮機能作動状態別に設定される「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」の選択比率を示した図である。
【0185】
〔時短時〕
図14中(A):大当り時の遊技状態が時間短縮状態の場合に「確変昇格演出あり」、「確変昇格演出なし」がそれぞれ選択される比率が右欄に示されている。図中に網掛けを施して示しているように、ここでは大当り遊技後の遊技状態が「確変状態」に移行する場合に「確変昇格演出あり」が選択される比率は、例えば20%に設定されている。そして「確変昇格演出なし」は、残りの30%の比率で選択されるものとなっている。
【0186】
〔非時短時〕
図14中(B):大当り時の遊技状態が非時間短縮状態の場合に「確変昇格演出あり」、「確変昇格演出なし」がそれぞれ選択される比率が同じく右欄に示されている。図中に網掛けを施して示しているように、大当り遊技後の遊技状態が「確変状態」に移行する場合に「確変昇格演出あり」が選択される比率は、例えば5%に設定されており、時短時と比較して低い値(例えば時短時の4分の1)となっていることがわかる。
【0187】
〔第3例:作動記憶数に応じた設定〕
図15は、第3例として大当り時変動パターン決定処理(3)の手順例を示すフローチャートである。この第3例は、上記〔3〕の変動開始時作動記憶数の条件で確変昇格演出の出現割合を変化させるための処理である。なお図中、第1例又は第2例と同じ手順には共通のステップ符号を付し、その重複した説明を省略する。以下では第1例又は第2例との違いを中心に処理の内容を説明するものとする。
【0188】
第3例において、ステップS302で現在の状態が高確率状態でないことを確認した場合(No)、主制御CPU72は次にステップS328を実行する。
【0189】
ステップS328:主制御CPU72は、作動記憶数が2を超えているか否かを確認する。この確認は、上記の特別図柄作動記憶数減算処理(図8中のステップS2250)において設定した「変動開始時作動記憶数」の値を参照して行うことができる。なお、変動開始時作動記憶数の値は3(=4−1)が最大であるため、ここでは記憶数が最大であるか否かを確認していることになる。変動開始時作動記憶数の値が2を超えている場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS330に進む。
【0190】
ステップS330:主制御CPU72は、記憶数最大時の確変昇格演出抽選を実行する。ここでも同様に、主制御CPU72は取得した昇格演出決定乱数の値を基に抽選テーブルを参照し、そのときの乱数値に対応する抽選結果番号を取得する。なお、このとき主制御CPU72が参照するテーブルは、記憶数最大時の抽選用に予め用意されている。
【0191】
これに対し、変動開始時作動記憶数の値が2を超えていなかった場合(ステップS328:No)、主制御CPU72はステップS332を実行する。
ステップS332:この場合、主制御CPU72は記憶数2個以下時の確変昇格演出抽選を実行する。ここで参照するテーブルもまた、上記の記憶数最大時用とは別に記憶数2個以下時の抽選用として予め用意されている。
【0192】
〔作動記憶数別確変昇格演出抽選テーブルの例〕
図16は、変動開始時作動記憶数の条件別に用意された確変昇格演出抽選テーブルの構造例を示す図である。図16中(A)が作動記憶数最大時確変昇格演出抽選テーブルを示し、図16中(B)が作動記憶数2個以下時確変昇格演出抽選テーブルを示す。テーブル構造は、上記の確率状態別確変昇格演出抽選テーブル(図10)や時間短縮機能作動状態別確変昇格演出抽選テーブル(図13)と同様であり、ここではその説明を省略する。
【0193】
〔作動記憶数最大時確変昇格演出抽選テーブル〕
図16中(A):例えば、取得した昇格演出決定乱数値が「199」であった場合、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「95H」を選択する。この場合の抽選結果は「確変昇格演出なし」である。一方、取得した昇格演出決定乱数値が上段の比較値「229」を超えていた場合、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「99H」を選択する。この場合、抽選結果は「確変昇格演出あり」となる。
【0194】
〔作動記憶数2個以下時確変昇格演出抽選テーブル〕
図16中(B):これに対して作動記憶数2個以下には、取得した昇格演出決定乱数値が上記と同じ「199」であっても、これを上段の比較値「178」と比較すると、乱数値が比較値を超えている。この場合、主制御CPU72は対応する抽選結果番号として「99H」を選択するので、抽選結果は「確変昇格演出あり」となり、作動記憶数最大時とは違った結果となることがわかる。
【0195】
〔図15:大当り時変動パターン決定処理(3)を参照〕
以上が低確率時において変動開始時作動記憶数の条件別に行われる確変昇格演出抽選の内容である。高確率時の確変昇格演出抽選(ステップS304)については第1例又は第2例と同様である。また、ステップS308以降の処理についても第1例又は第2例と同様である。
【0196】
〔確変昇格演出の出現割合〕
図17は、第3例において変動開始時作動記憶数の条件別に設定される「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」の選択比率を示した図である。
【0197】
〔作動記憶数最大時〕
図17中(A):大当り時の変動開始時作動記憶数が最大の場合に「確変昇格演出あり」、「確変昇格演出なし」がそれぞれ選択される比率が右欄に示されている。図中に網掛けを施して示しているように、ここでは大当り遊技後の遊技状態が「確変状態」に移行する場合に「確変昇格演出あり」が選択される比率は、例えば5%に設定されている。そして「確変昇格演出なし」は、残りの45%の比率で選択されるものとなっている。
【0198】
〔作動記憶数2個以下時〕
図17中(B):大当り時の変動開始時作動記憶数が2個以下の場合に「確変昇格演出あり」、「確変昇格演出なし」がそれぞれ選択される比率が同じく右欄に示されている。図中に網掛けを施して示しているように、大当り遊技後の遊技状態が「確変状態」に移行する場合に「確変昇格演出あり」が選択される比率は、例えば15%に設定されており、作動記憶数が最大の場合と比較して高い値(例えば最大時の3倍)となっていることがわかる。
【0199】
上記の第1例〜第3例においては、いずれの場合も「確変昇格演出あり」が選択されることで、演出制御装置94(演出制御CPU96)に演出上の停止図柄として「非確変図柄」を指定する変動パターンコマンド、及び「確変昇格演出コマンド」が送信される。このため演出制御CPU96による制御内容は、大当り時の変動では「非確変図柄」の停止態様(特殊な態様)を表示させておき、その後の大当り遊技中の演出において「確変昇格演出」を出現させるものとなる。以下、演出制御CPU96により行われる演出制御の処理について説明する。
【0200】
〔演出制御処理〕
図18は、演出制御CPU96により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU96は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば、数ミリ秒周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
【0201】
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
【0202】
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU96は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU96は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM100のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄指定コマンド、図柄停止コマンド、確変昇格演出コマンド、状態指定コマンド、ラウンド数コマンド、エラー通知コマンド等がある。
【0203】
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU96は演出図柄を用いた変動表示演出及び結果表示演出の内容を制御する。なお、具体的な演出内容の例については別の図面を参照しながら後述する。
【0204】
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU96は表示制御装置114(表示制御CPU116)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、変動演出パターン番号、予告演出番号等)を指示する。これにより、表示制御装置114(表示制御CPU116及びVDP122)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する。
【0205】
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU96はランプ駆動回路102に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路102は、制御信号に基づいて各種ランプ46〜52や盤面ランプ等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
【0206】
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU96は音響駆動回路104に対して演出内容(例えば変動中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,56から演出内容に応じた音が出力される。
【0207】
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU96はRAM100のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数がある。
【0208】
ステップS412:その他の処理では、例えば演出用に可動体がある場合、演出制御CPU96は可動体の駆動用ICに対して制御信号を出力する。特に図示していないが、可動体は例えばソレノイドやステッピングモータ等の駆動源によって動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行うものである。
【0209】
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU96はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる(演出制御手段)。次に、演出制御処理の中で実行される演出図柄管理処理の内容について説明する。
【0210】
〔演出図柄管理処理〕
図19は、演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。演出図柄管理処理は、実行選択処理(ステップS500)、演出図柄変動前処理(ステップS502)、演出図柄変動中処理(ステップS504)、演出図柄停止表示中処理(ステップS506)及び大当り中処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出図柄管理処理の基本的な流れを説明する。
【0211】
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU96は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU96は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ変動表示演出を開始していない状況であれば、演出制御CPU96は次のジャンプ先として演出図柄変動前処理(ステップS502)を選択する。一方、既に演出図柄変動前処理が完了していれば、演出制御CPU96は次のジャンプ先として演出図柄変動中処理(ステップS504)を選択し、演出図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として演出図柄停止表示中処理(ステップS506)を選択する。また大当り中処理(ステップS508)は、主制御CPU72において大当り中の状態に移行した場合にのみジャンプ先として選択される。大当り中、ステップS502〜ステップS506は実行されない。
【0212】
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU96は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。その他にも演出制御CPU96は、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0213】
ステップS504:演出図柄変動中処理では、演出制御CPU96は必要に応じて表示制御装置114(表示制御CPU116)に指示する制御情報を生成する。例えば、演出図柄を用いた変動表示演出を実行中に演出ボタン(図1,図2には示されていない)を用いた演出を行う場合、遊技者による演出ボタンの操作の有無を演出制御CPU96が監視するとともに、その結果に応じた演出内容(ボタン演出)の制御情報を表示制御CPU116に対して指示する。
【0214】
ステップS506:演出図柄停止表示中処理では、演出制御CPU96は抽選結果に応じた態様で演出図柄や動画像を用いた結果表示演出の内容を制御する。すなわち、演出制御CPU96は表示制御装置114(表示制御CPU116)に対して変動表示演出の終了と結果表示演出の実行を指示する。これを受けて表示制御装置114(表示制御CPU116)は、実際に液晶表示器42の表示画面内でそれまで実行していた変動表示演出を終了させ、結果表示演出を実行する。これにより、特別図柄の停止表示に略同期して結果表示演出が実行され、遊技者に対して内部抽選の結果を演出的に教示(開示、告知、報知等)することができる(図柄演出実行手段)。
【0215】
ステップS508:大当り中処理では、演出制御CPU96は大当り中の演出内容を制御する。例えば、液晶表示器42に表示する演出内容として大当り中に専用の演出パターンを選択し、これを表示制御CPU116(表示制御CPU116)に対して指示する。また演出制御CPU96は、大当り中の遊技の進行状況(例えば、ラウンドの進行状況)に合わせて演出パターンを選択すると、これらを適宜、表示制御装置114(表示制御CPU116)に対して指示する。これにより、液晶表示器42の表示画面では大当り中に専用の演出画像が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
【0216】
また、主制御CPU72から「確変昇格演出あり」のコマンドを受信した場合、演出制御CPU96は大当り遊技中に「確変昇格演出」を実行させる制御を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0217】
〔演出図柄変動前処理〕
図20は、上記の演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0218】
ステップS600:演出制御CPU96は、主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU96はRAM100のコマンドバッファ領域にアクセスし、デモ演出用コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、デモ演出用コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU96はステップS602を実行する。
【0219】
ステップS602:演出制御CPU96は、デモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU96はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
【0220】
以上の手順を終えると、演出制御CPU96は演出図柄管理処理の末尾のアドレスに復帰する。そして演出制御CPU96はそのまま演出制御処理に復帰し、続く表示出力処理(図18中のステップS404)、ランプ駆動処理(図18中のステップS406)においてデモ演出パターンに基づいてデモ演出の内容を制御する。
【0221】
一方、ステップS600においてデモ演出用コマンドが保存されていないことを確認すると(No)、演出制御CPU96は次にステップS604を実行する。
【0222】
ステップS604:演出制御CPU96は、今回の変動が大当たりであるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU96はRAM100のコマンドバッファ領域にアクセスし、大当り時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU96はステップS606を実行する。なお、今回の変動が大当たりであるか否かの確認は、抽選結果コマンドの他に変動パターンコマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドが大当り変動に該当していれば、今回の変動が大当りであると判定することができる。
【0223】
ステップS606:演出制御CPU96は、今回の変動が「確変大当り」であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU96はRAM100のコマンドバッファ領域にアクセスし、変動パターンコマンドが「確変図柄」を指定した変動パターンに該当するか否かを確認する。その結果、変動パターンコマンドが「確変図柄」を指定したものであった場合(Yes)、演出制御CPU96は次にステップS608を実行する。
【0224】
ステップS608:演出制御CPU96は、確変大当り時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU96は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「C0H00H」〜「D0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。演出パターン番号は、変動パターンコマンドと対になって予め用意されており、演出制御CPU96は図示しない演出パターン選択テーブルを参照して、そのときの変動パターンコマンドに対応した演出パターン番号を選択することができる。
【0225】
また演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU96は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチの種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様等を決定する。なお、ここで決定される演出図柄の種類は、全て「確変図柄」に該当するものとなっている。
【0226】
以上の手順は「確変昇格演出」を実行しない場合であるが、「確変昇格演出」を実行する場合(非確変大当りの場合も含む)、演出制御CPU96はステップS606で「確変大当り」でないことを確認する(No)。この場合、演出制御CPU96はステップS610を実行する。
【0227】
ステップS610:演出制御CPU96は、非確変大当り時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU96は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「E0H00H」〜「F0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。ここで決定される演出図柄の種類は、全て「非確変図柄」に該当するものとなっている。
【0228】
また、非当選時の場合は以下の手順が実行される。すなわち、演出制御CPU96はステップS604で大当りでないことを確認すると(No)、次にステップS612を実行する。
【0229】
ステップS612:演出制御CPU96は、はずれ時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU96は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「A0H00H」〜「A6H7FH」)に基づいて、はずれ時の演出パターン番号を決定する。はずれ時の演出パターン番号は、「はずれ通常変動」や「時短はずれ変動」、「はずれリーチ変動」等に分類されており、さらに「はずれリーチ変動」には細かいリーチ変動パターンが規定されている。なお、演出制御CPU96がいずれの演出パターン番号を選択するかは、主制御CPU72から送信された変動パターンコマンドによって決まる。
【0230】
はずれ時の演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU96は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「7」−「5」−「3」等)を決定する。
【0231】
以上のステップS608,ステップS610,ステップS612のいずれかの処理を実行すると、演出制御CPU96は次にステップS614を実行する。
ステップS614:演出制御CPU96は、予告選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU96は今回の変動表示演出中に実行するべき予告演出の内容を抽選によって選択する。予告演出の内容は、例えば内部抽選の結果(当選又は非当選)や現在の内部状態(通常中、確率変動中、時短中)に基づいて決定される。予告演出は、変動表示演出中にリーチ状態が発生する可能性を遊技者に予告したり、最終的に大当りになる可能性があることを予告したりするものである。したがって、非当選時には予告演出の選択比率は低く設定されているが、当選時には遊技者の期待感を高めるため、予告演出の選択比率は比較的高く設定されている。
【0232】
以上の手順を終えると、演出制御CPU96は演出図柄管理処理(末尾アドレス)に復帰する。
【0233】
〔大当り中処理:特別遊技演出実行手段〕
図21は、大当り中処理の手順例を示すフローチャートである。大当り中処理は、パチンコ機1が大当り遊技に移行している間に実行される。
【0234】
ステップS700:演出制御CPU96は、大当り遊技中のラウンドが開始されたか否かを確認する。ラウンドの開始は、例えば主制御CPU72から新たに受信したラウンド数コマンドを参照して行うことができる。すなわち、演出制御CPU96はRAM100のコマンドバッファ領域にアクセスし、新たにラウンド数コマンドが保存されているか否かを確認する。ラウンド数コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU96はステップS702を実行する。
【0235】
ステップS702:演出制御CPU96は、そのときのラウンド数コマンドから現在のラウンド数を確認する。なお、演出制御CPU96が独自にラウンドカウンタを持ち、主制御CPU72からラウンド数コマンドを受信するごとにラウンドカウンタをインクリメントしてもよい。
【0236】
ステップS704:演出制御CPU96は、「確変昇格演出あり」が指定されているか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU96はRAM100のコマンドバッファ領域にアクセスし、上記の確変昇格演出コマンドが保存されているか否かを確認する。確変昇格演出コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU96は次にステップS706を実行する。
【0237】
ステップS706:次に演出制御CPU96は、現在のラウンドが確変昇格演出を実行するラウンドであるか否かを判断する。例えば、大当り遊技が15ラウンドで構成されている場合、その何ラウンド目で確変昇格演出を行うかは予め演出パターンによって設定されている(あるいは抽選で設定してもよい)。先のステップS702で確認した現在のラウンド数と予め設定されたラウンドとを比較し、両者が一致する場合、演出制御CPU96は確変昇格演出を実行するラウンドである(Yes)と判断する。この場合、演出制御CPU96は次にステップS708を実行する。
【0238】
ステップS708:演出制御CPU96は、ラウンド中確変昇格演出パターンを選択する。すなわち、演出制御CPU96は例えば図示しない演出パターン選択テーブルから確変昇格演出パターン番号を選択する。演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU96は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの確変昇格演出パターン番号に対応する演出スケジュール(確変昇格演出の発生タイミング)、昇格演出の態様等を決定する。
【0239】
一方、ステップS704で「確変昇格演出あり」が指定されていないことを確認するか(No)、もしくはステップS706で確変昇格演出を実行するラウンドでない(No)と判断した場合、演出制御CPU96はステップS710を実行する。
【0240】
ステップS710:この場合、演出制御CPU96はラウンド中演出パターンを選択する。なおラウンド中演出パターンは、そのときのラウンド数に基づいて選択することができる。
【0241】
以上の手順を終えると、演出制御CPU96は演出図柄管理処理(末尾アドレス)に復帰する。
【0242】
〔演出例〕
以上が演出制御CPU96による演出制御処理等の具体的な内容である。次に、演出制御処理を通じて実行される実際の演出例について説明する。以下の演出例では、当選時に「確変図柄」に該当し、かつ「確変昇格演出あり」が設定された場合を想定している。
【0243】
〔大当り時の演出例:図柄演出実行手段〕
図22は、大当り時に実行される変動表示演出と結果表示演出の例を示す連続図である。ここでいう「変動表示演出」は、特別図柄が変動表示を開始してから停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また「結果表示演出」は、特別図柄が停止表示されるタイミング(停止前からでもよい)で実行される一連の演出に該当する。
【0244】
〔変動表示開始〕
図22中(A):演出図柄を用いた変動表示演出は、表示画面内で3本の図柄列をスクロール変動させることで開始される。すなわち、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。なお図示されていないが、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が表示されている。また図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。特に図示していないが、この後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる。
【0245】
〔リーチ状態の発生〕
図22中(B):大当り時の変動では、ほとんどの場合にリーチ変動が選択される。このため例えば、表示画面内で同種の演出図柄(この例では数字の「3」と「4」の図柄)がそれぞれ2つまで揃って停止することで、リーチ状態が発生する。このとき中演出図柄は変動中である。一般に、演出上で同種の演出図柄が3つ揃って停止すると「大当り」であり、ここでは「大当り」まで残りあと中演出図柄の1つだけである。また、リーチ状態になった演出図柄が2種類であるため、この場合はいわゆるダブルリーチである。なお特に図示していないが、表示画面内に「リーチ!」等の文字情報を表示し、合わせて音声を出力する演出が行われる態様であってもよい。なお、リーチ状態は1種類の演出図柄で発生してもよい。
【0246】
ここで、上記のように演出図柄にも「確変図柄」と「非確変図柄」が用意されており、本実施形態では上記のように9以下の奇数を表す演出図柄が「確変図柄」に該当し、そして0と8以下の偶数を表す演出図柄が「非確変図柄」に該当している。特別図柄の確変比率は50%であるので、演出図柄においても「確変図柄」の比率は50%である。
【0247】
一方、変動表示演出中にリーチ状態を発生させることで、そのときリーチになった演出図柄で大当りになる可能性があることを遊技者に知らせることができる。この例では「確変図柄」に該当する「3」と「非確変図柄」に該当する「4」を表す演出図柄がいずれもリーチとなっているので、大当りの場合は「確変図柄」又は「非確変図柄」のいずれかの可能性があることになる。
【0248】
〔リーチ演出〕
図22中(C):リーチ状態の発生後は、最後の演出図柄(中演出図柄)が停止表示されるまでの過程が多様な内容で表現される。この例では、数字の「1」〜「5」が表示画面内を飛び回るようにして移動しつつ、「1」から順番に数字が打ち落とされていく過程が表現されている。このような演出は、「最後に『3』か『4』の数字が残れば大当りで、さらに『3』の数字が残れば確変大当り」という観念を遊技者に想起させ、それまでの過程で期待感を持続させようとするものである。なお図示していないが、この過程で表示画面内にキャラクター等の画像を表示させることで、リーチ発生後の予告演出が合わせて行われる態様であってもよい。
【0249】
〔結果表示演出〕
図22中(D):特別図柄の停止表示に略同期して(完全に同時でなくてもよい)、最後の中演出図柄が停止する。図示の例では、画面上に数字の「4」が消去されずに残っており、左・中・右の演出図柄は「4」−「4」−「4」の大当りの態様で停止表示される。ただし演出図柄の表示は「非確変図柄」であり、この時点では「確変大当り」であることは遊技者に知らされない。
【0250】
〔確変昇格演出の例〕
図23及び図24は、大当り遊技中に実行される確変昇格演出の一例を示す連続図である。
【0251】
図23中(A):大当り遊技中の演出は演出図柄の変動表示や結果表示ではなく、大当り遊技中の雰囲気を盛り上げたり、大当り遊技の進行を補助したりする内容の演出が行われる(特別遊技演出実行手段)。例えば、表示画面内の中央に大きくキャラクターの画像を表示したり、何らかの背景画像を動画で表示したり、あるいはキャラクターに関する説明文(図示していない)を表示したりする演出が行われる。合わせて、表示画面内の一部(上部位置)に現在のラウンド数を表示することで、遊技者に大当り遊技の進行状況を知らせる演出が行われる。このような演出パターンは、先の大当り中処理(図21中のステップS710)で選択されたものである。また、例えば表示画面の一部(ここでは右下隅位置)に大当り時に停止表示された当選図柄(この例では「4」の数字を表す演出図柄)が表示されている。
【0252】
図23中(B):例えば、6ラウンド目が昇格演出ラウンドであった場合、ラウンド中確変昇格演出が実行される。この例では、例えば画面の右端から大きな星形の図形がひょっこりと出現し、それに合わせてキャラクターが「あら?」というような表情を浮かべる様子が演出的に表現されている。
【0253】
図24中(C):昇格演出がさらに進行すると、画面内に先ほどの星形の図形が大写しとなり、激しく光を放つ様子が演出的に表現される。
図24中(D):そして、昇格演出の最終段階では画面内に例えば「確変決定!」等の文字が表示される。これにより、遊技者に対して「確変大当りに昇格した(確変大当りであった)」ことが明確に教示(伝達、告知、報知)されることになる。なお、ここで実行される確変昇格演出の内容は、先の大当り中処理(図21中のステップS708)で選択された演出パターンに基づいて決定されている。
【0254】
以上が確変昇格演出を実行するための演出制御の処理と、実際に実行される演出例である。特に本実施形態では、上記のように第1例〜第3例を用いて確変昇格演出の出現割合を変化させているため、それぞれ以下のような利点を得ることができる。
【0255】
〔第1例の場合〕
上記のように第1例では、大当り時に確変状態であった場合、非確変状態に比較して確変昇格演出の出現割合が高く設定されている。一般的に確変状態に移行すると、遊技者は続けて確変大当りに当選し続けることを主な目標とする傾向にある。このため第1例によれば、確変状態で確変大当りに当選した場合には確変昇格演出をある程度高い頻度で発生させることにより、「確変が継続するか、それともここで終了か」といったハラハラドキドキとした遊技性を付加することができる。
【0256】
一方で、非確変状態(通常中)での大当りはいわゆる「初当り」であるため、この場合、確変大当りかどうかを早期に知りたいと願う傾向にある。したがって、非確変状態で確変昇格演出の出現割合を低く設定することにより、遊技者の自然な願望に沿った演出を実行することができる。
【0257】
〔第2例の場合〕
第2例では、大当り時に時間短縮状態であった場合、非時間短縮状態に比較して確変昇格演出の出現割合が高く設定されている。時間短縮状態は非確変大当りを契機に移行するため、遊技者はその前の当選時に確変大当りでなかったことを一度経験している。したがって、次の大当りでは「確変大当りかどうかを早期に知りたい」と願う傾向にある。この場合、確変昇格演出をあまり多用せず、ストレートに確変大当りの結果表示演出を実行することで、遊技者の自然な願望に沿った演出を行うことができる。
【0258】
〔第3例の場合〕
第3例では、大当り時に作動記憶数が最大であった場合、2個以下であった場合と比較して確変昇格演出の出現割合が低く設定されている。一般的に作動記憶数が最大近くに増加すると、それ以上の遊技球を発射しても大当りの抽選契機が発生しにくくなるため、遊技者は遊技球の発射に対して消極的になる傾向にある。ところが、第3例のように大当り時の作動記憶数が最大である場合に確変昇格演出の出現割合が低く設定されていると、遊技者にとっては確変大当りしたことを変動停止時に知ることができるメリットがあるため、そのようなメリットが遊技者へのインセンティブとなり、遊技者はなるべく記憶数が最大に近い状態を維持しようとする。すると、遊技者は抽選契機を次々と発生させるために遊技球の発射に対して積極的になり、それだけ遊技に対するモチベーションを維持しやすくなる。これは、遊技場にとってもパチンコ機1の稼働向上につながるためメリットが大きい。
【0259】
〔第1例〜第3例の変形〕
上記の第1例〜第3例において、確変昇格演出の出現割合をそれぞれ逆転させてもよい。以下、それぞれについて説明する。
〔第1例の変形〕
第1例において、大当り時に確変状態であった場合、非確変状態に比較して確変昇格演出の出現割合を低く設定してもよい。確変中の遊技者は「できるだけ確変状態が継続して欲しい」と願う傾向にある。したがって大当り時の結果表示演出においても、できるだけ確変大当りかどうかを先に知りたいと願う傾向にある。この場合、第1例とは逆に確変昇格演出の出現割合を低く設定することで、遊技者の自然な願望に沿った演出を実行することができる。
【0260】
〔第2例の変形〕
第2例において、大当り時に時間短縮状態であった場合、非時間短縮状態に比較して確変昇格演出の出現割合を低く設定する。一般に時間短縮状態に移行すると、遊技者にとっては遊技の時間効率が向上し、続けて大当りすることへの期待感を維持しやすい状況である。このため、時間短縮状態の間に大当りすると、遊技者は確率変動状態のときと同じように連続して大当りしたかのような満足感を抱く傾向にある。この場合、遊技者の興味の中心は確変大当りか否かに向けられやすい。したがって、時間短縮状態に移行している間にも確変昇格演出をある程度高い頻度で発生させることにより、「次こそ確変に突入するか、それともまた単発なのか」といったスリル感を付加することができる。
【0261】
また、第2例とは逆に非確変状態の場合に敢えて確変昇格演出を高い頻度で発生させることにより、一旦は遊技者にあきらめの気持ちを抱かせておいた上で、後から確変昇格演出によって驚きを与える機会を多くし、遊技に緊張感を持たせることができる。
【0262】
〔第3例の変形〕
第3例において、大当り時に作動記憶数が最大であった場合、2個以下であった場合と比較して確変昇格演出の出現割合を高く設定してもよい。すなわち、確変昇格演出の出現割合が高く設定されていると、遊技者にとっては大当り中まで確変大当りかどうかを知る楽しみを取っておくことができる機会が多くなるメリットがある。そうすると、このようなメリットが遊技者へのインセンティブとなり、遊技者はなるべく記憶数が最大に近くなる状態を維持しようとするため、やはり遊技者は抽選契機を次々と発生させるために遊技球の発射に対して積極的になり、それだけ遊技に対するモチベーションを維持しやすくなる。
【0263】
なお一実施形態において、第1例〜第3例やこれらの変形とは別の条件で確変昇格演出の出現割合を変化させてもよい。例えば、大当りの終了後からカウントした変動回数の条件によって出現割合の設定を異ならせてもよいし、パチンコ機1の電源ON後からトータルした変動回数の条件によって出現割合の設定を異ならせてもよい。例えば、変動回数がある規定の回数(例えば400回)を超えた場合に確変昇格演出の出現割合を高く設定すると、長らく大当りをしていない場合に確変昇格演出によって遊技者に驚きを与え、大当りの満足感を2段階に抱かせることができる。一方、変動回数があまり増加しない間に大当りすると確変昇格演出の出現割合が低くなる。この場合、短期間のうちに大当りすると早期に確変大当りかどうかを知る機会が増えるため、これが遊技者にとってインセンティブとなり、遊技意欲の維持を促進することができる。
【0264】
上記とは逆に、変動回数がある規定の回数(例えば400回)を超えた場合に確変昇格演出の出現割合を低く設定すると、長らく大当りをしていない場合は早期に確変大当りかどうかを知る機会が増える。このため、早期に確変大当りを知りたい遊技者に対してインセンティブを与え、大当りまでの遊技を続行する意欲を維持し続けることができる。一方、変動回数があまり増加しない間に大当りすると確変昇格演出の出現割合が高くなる。この場合、短期間のうちに大当りすると昇格演出によって驚きを受ける機会が増え、それだけ遊技に緊張感をもたらすことができる。
【0265】
また、一実施形態では変動パターンの種類で「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」を決定しているが、確変図柄の中に予め複数の種類(確変図柄1〜N等)を設けておき、そのとき選択された確変図柄の種類によって「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」を決定してもよい。
【0266】
一実施形態では、主制御CPU72が大当り時変動パターン決定処理において「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」までを含めて抽選を行っているが、主制御CPU72はあくまで大当り時の変動パターンだけを決定し、そのときの変動パターンコマンドを受信してから演出制御CPU96が「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」を決定してもよい。この場合、主制御CPU72は昇格演出抽選を行わないので、それだけ処理負担が軽減されることになる。また、主制御CPU72において「確変昇格演出あり」と「確変昇格演出なし」とに区分した変動パターン番号を記憶しておく必要がなくなり、それだけ主制御CPU72の記憶容量を少なくすることができる。
【0267】
また一実施形態では、大当り時変動パターン決定処理での抽選結果に応じて選択される演出パターンとして3種類のものを挙げているが、その他に4つ目の演出パターンとして、「非確率変動大当り時に確変昇格演出を行う種類」を設けてもよい。この場合、実際の抽選結果は非確率変動大当りであり、確変昇格演出そのものはあくまで仮(演出上のものだけで実際には確変昇格しない)のものであるから、その場合の選択比率は極端に低くすることが好ましい。
【0268】
一実施形態では、大当り時変動パターン決定処理での確変昇格演出抽選(ステップS304,S306,S324,S326,S330)において、昇格演出決定乱数を用いて抽選を行っているが、これ以外に大当り図柄乱数を用いて昇格演出抽選を行ってもよい。例えば、確変図柄に対応する大当り図柄乱数の中で「確変昇格演出あり」又は「確変昇格演出なし」の振り分けを予め所定の割合で設定した抽選テーブルを状態別(例えば高確率時/低確率時、時短時/非時短時、作動記憶数最大時/作動記憶数2個以下時等)に用意しておき、このテーブルを参照して昇格演出抽選が行われる態様であってもよい。
【0269】
その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0270】
1 パチンコ機
8 遊技盤
8a 遊技領域
20 始動ゲート
26 上始動入賞口
28 可変始動入賞装置
28a 下始動入賞口
33 普通図柄表示装置
33a 普通図柄作動記憶ランプ
34 特別図柄表示装置
34a 作動記憶ランプ
42 液晶表示器
70 主制御装置
72 主制御CPU
74 ROM
76 RAM
94 演出制御装置
96 演出制御CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技中に抽選契機が発生すると、遊技者の利益に関わる内部抽選を実行する抽選実行手段と、
前記内部抽選の結果が当選に該当する場合、合わせて複数の当選種類の中からいずれに該当するかを決定する当選種類決定手段と、
前記内部抽選が行われると、所定の変動時間にわたり図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、
前記内部抽選の結果が当選に該当し、かつ、前記当選種類決定手段により決定された当選種類に対応する態様で前記図柄表示手段により図柄が停止表示されると、通常の遊技とは異なる特別な条件が適用された特別遊技の機会を遊技者に付与する特別遊技機会付与手段と、
前記内部抽選の当選時に前記当選種類決定手段により特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、前記図柄表示手段により特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された前記特別遊技が終了すると、少なくとも前記内部抽選に関して通常の遊技とは異なる特定の条件が適用された特定遊技状態に移行させる特定遊技状態移行手段と、
少なくとも前記変動時間内に前記図柄表示手段による図柄の変動表示に対応させた変動表示演出を実行した後、図柄の停止表示に対応して前記内部抽選の結果が当選又は非当選のいずれであるかを表すとともに、当選の場合はいずれの当選種類に該当したかを表す態様で結果表示演出を実行する図柄演出実行手段と、
前記特別遊技の間に特別遊技演出を実行する特別遊技演出実行手段と、
前記内部抽選の結果が当選に該当し、かつ、前記当選種類決定手段により特定の当選種類に該当する旨が決定された場合、前記図柄演出実行手段が前記結果表示演出を実行するに際して、その内容を前記特定の当選種類とは異なる当選種類に該当したことを表す特殊な態様とするべきか否かを所定の割合で決定する当選演出態様決定手段と、
前記当選演出態様決定手段により前記結果表示演出の内容を前記特殊な態様とするべき旨が決定された場合、前記図柄演出実行手段による結果表示演出の内容を前記特殊な態様に基づいて制御するとともに、前記特別遊技演出実行手段による前記特別遊技演出の中で前記特定の当選種類に該当していた旨を表す内容の演出を実行させる制御を行う演出制御手段と、
前記内部抽選で当選が得られた遊技中の条件として、前回に行われた前記特別遊技の終了後からカウントした前記図柄表示手段による図柄の変動表示及び停止表示の回数である変動回数に応じて、前記当選演出態様決定手段が前記特殊な態様とするべきことを決定する割合を異ならせて設定する割合設定手段と
を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記内部抽選の当選時に前記当選種類決定手段により非特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、前記図柄表示手段により非特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された前記特別遊技が終了すると、前記図柄表示手段により図柄の変動表示を行う変動時間を通常よりも短縮した時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備え、
前記割合設定手段は、
前記時間短縮状態に移行された場合、前記特別遊技の終了後からカウントした前記変動回数に応じて前記時間短縮状態が継続している場合の遊技中に比較して、前記特別遊技の終了後からカウントした前記変動回数に応じて前記時間短縮状態が終了した後の通常の遊技中に前記当選演出態様決定手段が前記特殊な態様とするべきことを決定する割合を低く設定していることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機において、
前記内部抽選の当選時に前記当選種類決定手段により非特定の当選種類に該当する旨が決定されたことで、前記図柄表示手段により非特定の態様で図柄が停止表示されたことを契機として付与された前記特別遊技が終了すると、前記図柄表示手段により図柄の変動表示を行う変動時間を通常よりも短縮した時間短縮状態に移行させる時間短縮状態移行手段をさらに備え、
前記割合設定手段は、
前記時間短縮状態に移行された場合、前記特別遊技の終了後からカウントした前記変動回数に応じて前記時間短縮状態が継続している場合の遊技中に比較して、前記特別遊技の終了後からカウントした前記変動回数に応じて前記時間短縮状態が終了した後の通常の遊技中に前記当選演出態様決定手段が前記特殊な態様とするべきことを決定する割合を高く設定していることを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−66799(P2013−66799A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−11976(P2013−11976)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2008−19111(P2008−19111)の分割
【原出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】