説明

遊技機

【課題】遊技盤に対する設置部材の組み付け作業を効率的にする。
【解決手段】設置部材60における外周壁部62の内側に位置するよう設けられ、遊技盤20の所定位置に設置部材60を仮止めする第1および第2仮止め部75,76と、設置部材60の外周壁部62の外側に位置するよう設けられた第1および第2位置合わせ部80,81とを備え、第1および第2仮止め部75,76が仮止めした状態で遊技盤20に対して設置部材60をネジ固定する。ここで、第1および第2位置合わせ部80,81により遊技盤20に対して設置部材60を位置合わせした状態において、第1および第2仮止め部75,76により設置部材60が遊技盤20に対して仮止めされるよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤の裏側に、各種遊技部品が設置される設置部材を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、遊技盤の盤面に画成した遊技領域の略中央位置に枠状に形成された枠状装飾体(所謂センター役物)が配設されており、この枠状装飾体の開口部を介して複数の図柄を変動表示して図柄変動演出を行う液晶式やドラム式等の図柄表示装置を後方から臨ませると共に、該遊技盤における枠状装飾体の下方位置に、パチンコ球(遊技球)の入賞により図柄表示装置での変動を開始させる始動入賞装置や大当り時等に開放する特別入賞装置を配設するよう構成されたものが多数提案されている。このようなパチンコ機では、前記遊技領域に打ち出されたパチンコ球が遊技領域内に植設された遊技釘等との接触により跳ね返りながら次第に自重により流下し、該遊技領域を流下する過程で前記始動入賞装置に入賞することにより、前記図柄表示装置で図柄変動に伴うリーチ演出等の各種の遊技演出がなされ、該図柄表示装置に図柄が所定の組み合わせで停止することにより所謂大当りが発生し、遊技盤に設けられた特別入賞装置が開放して多数の賞球を獲得し得るよう構成される。
【0003】
また近年は、前記遊技盤を大型化すると共に、該遊技盤の裏側を略全体的に覆う設置部材を設けて、該設置部材に各種遊技部品(例えば図柄表示装置や照明装置、可動演出装置等)を配設するよう構成されたものがある。このように、遊技盤裏側に設置部材を配設することで、遊技部品の配設位置の自由度が向上し、遊技演出の多様化やインパクトを高めている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−69166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記設置部材は、遊技部品が臨むように遊技盤の所定位置に正確に組み付ける必要がある。このため、遊技盤に対して設置部材を固定する前段階として仮止めするための仮止め部が設けられている。しかしながら、設置部材は、それ自体が大型であり、また遊技部品や各種の中継基板等が多数設置されているため、遊技盤に対して設置部材を仮止めする際に、遊技盤側または設置部材側の仮止め部が作業者から見えなくなることがあり、組み付けの作業効率の低下を招いていた。また、遊技盤や設置部材に取り付けられる遊技部品の邪魔にならない位置に仮止め部が設けられるため、遊技盤毎に仮止め部の配置が異なっており、組み付け作業の都度に仮止め部を確認する必要があり、作業効率の低下に繋がっていた。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、遊技盤に対する設置部材の組み付け作業を効率的になし得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、
遊技球が流下する遊技領域(20a)が画成された遊技盤(20)の裏側に、各種遊技部品(18,70)が設置される設置部材(60)が配設された遊技機において、
前記設置部材(60)における外壁部(62)の内側に位置するよう設けられ、前記遊技盤(20)の所定位置に設置部材(60)を仮止めする仮止め手段(75,76)と、
前記設置部材(60)の外壁部(62)の外側に位置するよう設けられた位置合わせ手段(80,81)と、
前記仮止め手段(75,76)が仮止めした状態で前記遊技盤(20)に対して設置部材(60)を固定する固定手段(64)とを備え、
前記位置合わせ手段(80,81)により前記遊技盤(20)に対して設置部材(60)を位置合わせすることで、前記仮止め手段(75,76)により設置部材(60)が遊技盤(20)に対して仮止めされるよう構成されたことを要旨とする。
このように、仮止め手段とは別に設けた位置合わせ手段を介して設置部材を遊技盤に位置合わせした際に、該設置部材が遊技盤に対して仮止め手段で仮止めされる。このとき、前記設置部材の外壁部の外側に位置するよう位置合わせ手段が設けられているから、遊技盤に対して設置部材を位置合わせする際の視認性が高く、遊技盤に対する設置部材の組み付け作業を効率的になし得る。しかも、設置部材の外壁部の外側に位置するよう位置合わせ手段を設けることで、遊技盤毎に仮止め手段の配置位置が変更されたとしても、作業者が仮止め手段の位置を気にすることなく作業することができ、作業性が高い。
【0008】
請求項2に係る発明は、
前記設置部材(60)は、遊技盤(20)側に開口する箱状に形成されると共に、該設置部材(60)の開口内側に前記遊技部品としての可動演出装置(70)が設置され、前記仮止め手段(75,76)が可動演出装置(70)に隣接するよう設置部材(60)の開口内側に設けられていることを要旨とする。
このように、遊技盤側に開口する箱状に形成した設置部材の開口内側に、遊技部品としての可動演出装置を設置して、該可動演出装置に隣接するよう設置部材の開口内側に仮止め手段を設けることで、可動演出装置の作動時に設置部材が振動しても、設置部材を遊技盤の所定位置に保持し得る。このように設置部材の開口内側に仮止め手段が位置する構成であっても、設置部材の外壁部の外側に位置する前記位置合わせ手段を利用して位置合わせするだけで遊技盤に対して設置部材を仮止めでき、作業性が低下することはない。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記位置合わせ手段は、前記設置部材(60)における外壁部(62)の前端部に設けられて該前端部に沿って延在すると共に設置部材(60)の外方へ延出する位置合わせ突片(81)と、前記遊技盤(20)の裏面に形成され、前記位置合わせ突片(81)が嵌合する位置合わせ凹部(80)とからなり、
前記設置部材(60)の外壁部(62)には、前記位置合わせ突片(81)と対応する位置に、前後に延在する補強リブ(84)が複数形成されていることを要旨とする。
このように、設置部材における外壁部の前端部に沿って延在すると共に設置部材の外方へ延出する位置合わせ突片と、遊技盤の裏面に形成された位置合わせ凹部に嵌め合わせるだけで設置部材と遊技盤とを位置合わせでき、作業性が高い。しかも、設置部材の外壁部に対して、位置合わせ突片と対応する位置に補強リブを形成したことで、該位置合わせ突片を位置合わせ凹部に接触させた際に破損し難く、位置合わせ作業が容易になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る遊技機によれば、遊技盤に対して設置部材を効率よく組み付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】実施例に係る遊技盤の正面図である。
【図3】実施例に係る遊技盤の背面図である。
【図4】実施例に係る遊技盤と設置部材とを分解した状態を示す斜視図であって、遊技盤を背面側から示すと共に設置部材を正面側から示す。
【図5】実施例に係る枠状装飾体の右側縁部を背面側から視た状態の要部を示す斜視図である。
【図6】実施例に係る設置部材および可動演出体の分解図であって、設置部材を正面側から示し、可動演出体を背面側から示す。
【図7】実施例に係る設置部材に形成された第2位置合わせ部の形成位置を示す要部拡大図であって、(a)は第2位置合わせ部の形成位置の斜視図であり、(b)は第2位置合わせ部の形成位置の正面図である。
【図8】実施例に係る遊技盤に対して設置部材を取り付ける状態を示す説明図であって、第1位置合わせ部に第2位置合わせ部を臨ませた状態を示す。
【図9】実施例に係る遊技盤に対して設置部材を取り付ける状態を示す説明図であって、第1位置合わせ部の端縁部に第2位置合わせ部の突出端部を当接させた状態を示す。
【図10】実施例に係る遊技盤に対して設置部材を取り付ける状態を示す説明図であって、第1仮止め部と第2仮止め部とを係合させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、遊技機としては、一般的なパチンコ機10を例にして説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機10を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0013】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、所定条件の成立(後述する始動入賞装置40,45の始動入賞口41,46へのパチンコ球の入賞)を契機として演出用の図柄を変動表示させて図柄変動演出を行う図柄表示装置18が着脱可能に配設されている。また、前記中枠12の前面側には、前記遊技盤20を透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板(図示せず)で前後に開口する窓部13aを覆うよう構成された装飾枠としての前枠13が開閉可能に組み付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組み付けられる。なお、実施例では、前記前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組み付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0014】
また、前記中枠12の右下方位置には、該中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル17が設けられている。前記操作ハンドル17は、左回転方向に付勢された操作レバー17aを備えており、該操作レバー17aを右回転するよう遊技者が回動操作することで打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20の遊技領域20aに向けて発射されるようになっている。ここで、前記操作レバー17aの回動量に応じて前記打球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー17aの回動量を操作することで、前記遊技領域20aへのパチンコ球の発射位置を任意に調整し得るようになっている。なお、実施例では、前記図柄表示装置18としては、ドットマトリックス式の表示装置が採用されているがこれに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置18や液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置を採用し得る。また、前記上球受け皿14は、前記前枠13と別体に形成して中枠12に対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。そして、実施例に係る図柄表示装置18には、前記飾図を変動表示可能な図柄表示部(図示せず)が横並び状に3列設けられており、図柄変動演出の開始に伴い各列の飾図が予め定められた変動方向(例えば縦スクロール、横スクロール等)へ変動表示し、所定のタイミングで各列の飾図が全て停止表示されることで、1回の図柄変動演出が終了するようになっている。
【0015】
(遊技盤20について)
前記遊技盤20は、図2〜図4に示すように、各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート(図示せず)等を表面に貼付けて装飾した略矩形状の板部材であって、遊技盤20の裏面側に配設された設置部材60に、前記図柄表示装置18が着脱可能に組み付けられている。前記遊技盤20の前面(盤面)には、略円形状に湾曲形成した案内レール21が配設されており、該案内レール21により画成される略円形の遊技領域20aに、前記中枠12に配設された図示しない打球発射装置から発射されたパチンコ球が打ち出されることで遊技が行われるようになっている。また、前記遊技盤20には、ルーター加工等の孔空け加工により前後に貫通する複数の装着口22が開設されており(図4参照)、各装着口22に対して各種の遊技盤20設置部品(例えば、後述する枠状装飾体30、始動入賞装置40、特別入賞装置50、普通入賞装置27等)が前側から取り付けられると共に、遊技領域20aの最下部位置には、該遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口23が設けられている。なお、前記装着口22の形成数や形成位置は、遊技盤20に取り付けられる各種遊技盤20設置部品の個数や配設位置等により必要に応じて適宜変更される。
【0016】
ここで、実施例の前記遊技盤20には、図4に示すように、前記案内レール21で囲まれた遊技領域20aの略中央で開口する装着口22に、前後に開口する表示窓口30aが形成された枠状装飾体30が取り付けられている。ここで、前記枠状装飾体30が取り付けられる装着口22は、前記案内レール21で囲まれた遊技領域20aの大部分で開口する大型の開口とされ、該装着口22に取り付けられた枠状装飾体30の表示窓口30aを介して前記図柄表示装置18および後述する可動演出装置70が遊技盤20の前面側に臨むよう構成されている。なお、前記遊技盤20には、前記遊技領域20a内に多数の遊技釘24が設けられると共に、枠状装飾体30の左側方に、遊技領域20aを流下するパチンコ球の接触に伴って回転する所謂「風車」とも称される回転案内部材25が回転自在に支持されており、遊技領域20aを流下するパチンコ球が遊技釘24や回転案内部材25に接触することで、流下方向が不規則に変化するよう構成されている。
【0017】
また、前記遊技盤20において前記枠状装飾体30の下方には、図4に示すように、遊技領域20aの左右幅方向の略中央に装着口22が開設されており、該装着口22に、遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口41を有する第1始動入賞装置40が取り付けられている。そして、前記遊技盤20において枠状装飾体30の右下方に開設された装着口22に、遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な特別入賞口を有する特別入賞装置50が取り付けられている。このように、実施例のパチンコ機10では、第1始動入賞装置40および特別入賞装置50は異なる装着口22に取り付けられている。すなわち、遊技状態に応じて遊技者が操作ハンドル17を操作してパチンコ球の打ち出し位置を変更することで、第1始動入賞装置40または特別入賞装置50にパチンコ球を入賞させ得るよう構成されている。また、前記遊技盤20には、前記特別入賞装置50の上方位置に、前記遊技盤20を流下するパチンコ球が通過可能なゲート部材28が設置される装着口22が開設されており、該ゲート部材28に設けられたゲートセンサ28aによるパチンコ球の検出に基づいて、前記枠状装飾体30に設けられた後述する第2始動入賞装置45の開閉部材47が開閉するよう構成される。また、前記遊技盤20には、遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な普通入賞装置27を取り付ける装着口22が適宜位置に形成されている(実施例では3箇所)。
【0018】
(枠状装飾体30について)
前記枠状装飾体30は、前記遊技盤20に開設された装着口22に沿って延在する環状に形成され、該装着口22に内挿される枠状本体31と、該枠状本体31の前側端部に遊技盤20の表面に当接するよう設けられた固定板32と、当該枠状本体31の前面側に設けられて遊技盤20の前面より前方に突出する庇状部33とを備えている(図2、図4〜図5参照)。そして、前記固定板32を遊技盤20の表面に当接させた状態で、固定板32の前側からビス等の固定手段を用いて遊技盤20に固定される。すなわち、前記遊技領域20aに発射されたパチンコ球は、前記枠状装飾体30の庇状部33に沿って左右側部へ案内されることで、該パチンコ球が表示窓口30aを横切って流下するのを規制している。すなわち、実施例のパチンコ機10は、前記操作ハンドル17の操作レバー17aの操作に応じて、操作ハンドル17の操作レバー17aの回動操作量を可変することで、前記枠状装飾体30の左側部をパチンコ球が流下する所謂「左打ち」と、該枠状装飾体30の右側部をパチンコ球が流下する所謂「右打ち」とを打ち分け得るよう構成されており、右打ちされた際にパチンコ球が流下する経路中に前記特別入賞装置50およびゲート部材28が配設されている。なお、前記庇状部33は、前記枠状本体31の左側部から上部を経て右側部に至る形態で形成されている。
【0019】
前記枠状装飾体30には、図4に示すように、前記表示窓口30aの内側の左右側部および上部に、発光演出装置34が取り付けられると共に、該枠状装飾体30の下部(開口下縁部)に、パチンコ球が左右に転動可能なステージ35が設けられている。なお、前記枠状装飾体30におけるステージ35の後端部には、前記表示窓口30aの内側へ延出する透明な規制壁30b(図2、図4参照)が設けられており、該ステージ35上を転動するパチンコ球が後方(遊技盤20の裏側)へ移動するのを防止している。また、前記枠状装飾体30には、前記ステージ35の右側方に、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口46を有する第2始動入賞装置45が配設されている。
【0020】
(第1始動入賞装置40について)
図2に示すように、前記第1始動入賞装置40は、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な第1始動入賞口41が設けられている。ここで、前記第1始動入賞口41は、遊技領域20a内で常に上方へ開口する常時開放タイプの入賞口とされており、遊技領域20aを流下するパチンコ球が一定の確率で入賞し得るようになっている。そして、前記第1始動入賞口41に入賞したパチンコ球は、制御装置に配線接続された第1始動入賞球検出センサ42(図4、図6参照)で検出されるよう構成されており、該センサ42の検出を契機として所定数の賞球が払い出されると共に大当り抽選が行われて、該大当り抽選の結果に基づいて前記図柄表示装置18における各図柄表示部の飾図を変動表示して図柄変動演出が実行されるようになっている。そして、前記図柄表示装置18での図柄変動演出の結果、該図柄表示装置18の各図柄表示部に所定の組み合わせ(例えば同一図柄の3つ揃い等)で飾図が停止表示されることで所謂大当りが発生し、大当りの発生に伴って前記特別入賞装置50を所定の開放条件で開放して多数の賞球を獲得し得る機会が与えられるよう構成されている。ここで、実施例の第1始動入賞球検出センサ42は、前記設置部材60に設けられた第1始動入賞口41に入賞したパチンコ球の排出通路67(図4、図6参照)に設けられている。
【0021】
(第2始動入賞装置45について)
前記第2始動入賞装置45は、図2、図5に示すように、前記枠状装飾体30の右下部位置に配設されて、該枠状装飾体30の右側方に開口して遊技領域20aを流下するパチンコ球が入賞可能な第2始動入賞口46を備えている。また、前記第2始動入賞装置45は、前記第2始動入賞口46の右側部に、駆動手段としてのソレノイド48(図5参照)の駆動に伴って揺動する開閉部材47を備えており、該ソレノイド48の駆動に伴って開閉部材47が第2始動入賞口46を閉鎖する閉鎖位置と開放する開放位置に揺動変位するよう構成されている。すなわち、前記第1始動入賞口41は、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が一定の確率で入賞し得るよう構成されると共に、第2始動入賞口46は、開閉部材47の開閉によりパチンコ球の入賞確率を可変し得るよう構成されている。なお、前記第2始動入賞装置45のソレノイド48は、パチンコ機10の裏側に配設された制御装置(図示せず)に配線接続されており、前記ゲートセンサ28aによるパチンコ球の検出に基づいて所定の開閉条件に従って駆動制御されるようになっている。そして、前記第2始動入賞口46に入賞したパチンコ球は、制御装置に配線接続された第2始動入賞球検出センサ49(図4、図6参照)で検出されるよう構成されており、該センサ49の検出を契機として所定数の賞球が払い出されると共に大当り抽選が行われて、該大当り抽選の結果に基づいて前記図柄表示装置18における各図柄表示部の飾図を変動表示して図柄変動演出が実行されるようになっている。実施例の第2始動入賞球検出センサ49は、前記設置部材60に設けられた第2始動入賞口41に入賞したパチンコ球の排出通路67(図4、図6参照)に設けられている。
【0022】
(特別入賞装置50について)
前記特別入賞装置50は、図2、図4に示すように、遊技領域20aに開口する特別入賞口(図示せず)を開閉自在に閉成する開閉扉53を備えており、駆動手段としての図示しない特別入賞ソレノイド52(図4参照)の駆動に伴って開閉扉53が揺動変位することで特別入賞口が開閉するようよう構成されている。なお図2では、前記開閉扉53により特別入賞口が閉鎖された状態を示している。そして、前記特別入賞口に入賞したパチンコ球は、制御装置に配線接続された図示しない特別入賞球検出センサで検出されるよう構成されており、該特別入賞球検出センサから制御装置への入賞検出信号の入力に伴って所定数の賞球が払い出されるようになっている。なお、実施例のパチンコ機10では、特別入賞球検出センサは前記特別入賞装置50に設けられている。
【0023】
(設置部材60について)
次に、前記設置部材60に関して説明する。前記設置部材60は、図4,図6に示すように、前記遊技盤20に対向する対向面部(外壁部)61と、該対向面部61の外周縁部から前方に突出する外周壁部(外壁部)62とから前方に開口する箱状に形成されている。また、前記設置部材60には、前記外周壁部62の前端部に、外方へ延出する取付片63が形成されると共に、該取付片63に前後に貫通する貫通孔63aが形成されている。そして、前記取付片63(すなわち外周壁部62の開口前端部)を遊技盤20の裏面に当接させた状態で、後述する仮止め手段75,76により設置部材60が遊技盤20の所定位置に仮止めされ、この状態で貫通孔63aに後方から挿通したネジ(固定手段)64を遊技盤20に螺挿することで、設置部材60が遊技盤20に固定(本固定)されるようになっている(図3参照)。そして、前記設置部材60における前記遊技盤20との間に画成される設置空間60aに、各種演出装置や発光装置等の遊技部品が設置されて、設置部材60を基材とする単一のユニットとして扱い得るようになっている。なお、前記取付片63は、前記外周壁部62の全周に設けてもよく、また外周壁部62の適宜位置に形成するようにしてもよい。実施例では、前記設置部材60の左右側面をなす外周壁部62から外方へ延出するよう取付片63が複数箇所形成されている。
【0024】
ここで、前記設置部材60は、前記遊技盤20に形成された各装着口22が前記設置空間60aの内側で開口する大きさに形成されると共に、該遊技盤20に取り付けられた前記枠状装飾体30の表示窓口30aに後方から臨む位置に、前記遊技部品としての可動演出装置70が配設されている(図3参照)。また、前記設置部材60には、前記遊技盤20に取り付けられた各入賞装置40,45と対応する位置に球排出通路67が設けられており、各入賞装置に入賞したパチンコ球を対応の排出通路67を介して遊技盤20の下方へ排出案内するよう構成されている。また、前記設置部材60には、図4に示すように、前記枠状装飾体30に設けられた前記規制壁30bの後方に対向する位置に、前記図柄表示装置18が設置部材60の開口前端部に位置するよう配設されて、該図柄表示装置18で行われる図柄変動演出を、該規制壁30bを介して遊技盤20の前側から視認し得るようになっている。
【0025】
(可動演出体71について)
前記可動演出装置70は、前記枠状装飾体30の表示窓口30aに後方から臨むと共に、該表示窓口30aを略全体的に覆う可動演出体71と、該可動演出体71を動作させる駆動モータ(駆動手段)72とから構成されている(図2〜図4、図6参照)。ここで、前記可動演出装置70の駆動モータ72は、前記設置部材60の対向面部61の上部位置に、駆動軸(図6参照)を前記設置空間60a内へ突出させた姿勢で取り付けられると共に、該駆動軸に対して径方向へ延在するよう作動アーム73が取り付けられている。
【0026】
また、前記可動演出体71には、背面側の左右中央下部位置に、後方へ突出する揺動軸71aが設けられ、前記設置部材60の対向面部61に形成された軸孔61aに、該揺動軸71aが揺動自在に枢支されている。そして、前記可動演出体71における背面側の左右中央上部位置に、上下にスライド移動自在な連結軸71dが設けられており、前記駆動モータ72の駆動軸72aに取り付けられた前記作動アーム73が連結軸71dに回転可能に連結されている。すなわち、前記駆動モータ72の駆動に伴い前記作動アーム73を回転することで、前記可動演出体71が揺動軸71aを中心として揺動するようになっている。また、前記可動演出体71が初期位置にある状態では、前記作動アーム73が上下方向に延在して前記連結軸71dと揺動軸71aとが鉛直線上で整列するようになっている。このとき、前記可動演出体71の荷重が揺動軸71aに対して鉛直線方向から作用するよう構成されており、当該可動演出体71の荷重による可動演出体71の揺動を防止している。
【0027】
また、前記可動演出体71の背面側には、該可動演出体71の左右側部位置に後方へ突出する支持軸71b,71bが夫々設けられると共に、前記設置部材60には、当該支持軸71b,71bと対応する位置に、前記揺動軸71aを中心とする円弧状に延在するガイド孔61b,61bが夫々形成されており、各支持軸71b,71bがガイド孔61b,61bに沿って摺動し得るよう挿通されている。ここで、前記可動演出体71が初期位置にある状態では、前記各支持軸71b,71bが対応のガイド孔61b,61bの延在長の中間位置に位置するよう構成されており、前記駆動モータ72の駆動に伴い各支持軸71b,71bがガイド孔61b,61bの端部に至る範囲で可動演出体71が初期位置から左右に揺動し得るようになっている。なお、前記各支持軸71b,71bの後端部には、前記ガイド孔61b,61bからの脱落を防止する抜止め部材71c(図3参照)が取り付けられている。
【0028】
また、図4、図6に示すように、前記設置部材60には、前方へ開口する半球状の装飾部材65が設置空間60a内に取り付けられており、前記可動演出体71の後方および側方を装飾部材65で囲繞するよう構成されている。前記装飾部材65の前端部には、径方向延出する鍔状部65aが設けられており、前記設置部材60を遊技盤20に固定した際に、前記枠状装飾体30の枠状本体31の後端部に鍔状部65aが当接するよう構成されている。すなわち、前記設置部材60を遊技盤20に固定した状態では、前記可動演出体71を囲繞する前記装飾部材65により設置空間60a内部を遊技盤20の前側から視認不能に塞ぐことで、遊技盤20の装飾性を損なわないようになっている。なお、実施例の装飾部材65は、左右の半体から構成されて、各半体を前記設置部材60の対向面部61に固定するようになっている。
【0029】
(仮止め手段75,76について)
次に、前記遊技盤20の所定位置に設置部材60を仮止めする仮止め手段75,76について説明する。前記仮止め手段75,76は、図4に示すように、前記遊技盤20側に設けられた第1仮止め部75と、前記設置部材60側に設けられて第1仮止め部75と係脱可能に係合する第2仮止め部76とから構成されている。すなわち、前記第1仮止め部75と第2仮止め部76とを係合することで、遊技盤20に対して設置部材60が仮止めされ、この状態で設置部材60の貫通孔63aを挿通したネジ64を介して遊技盤20に本固定される。
【0030】
ここで、前記第1仮止め部75は、前記遊技盤20に固定される前記枠状装飾体30の枠状本体31に、該遊技盤20の裏面より後方へ突出するよう形成された突起部であり(図4、図5参照)、遊技盤20に対して設置部材60を取り付けた際に、当該設置部材60の外周壁部62の内側(設置空間60a内)に位置するよう設けられている。また、前記第1仮止め部75は、前記枠状装飾体30の枠状本体31に沿って離間する複数箇所(実施例では4箇所)に形成されて、前記可動演出装置70(可動演出体71)の外周側を囲繞するよう設けられている。なお実施例では、前記枠状装飾体30の枠状本体31の左縁部および右縁部の夫々に上下に離間するよう第1仮止め部75を形成してある。
【0031】
また、前記第2仮止め部76は、図4、図6〜図7に示すように、前記設置部材60において前記遊技盤20側(具体的には枠状装飾体30)に設けられた前記第1仮止め部75と対応する位置に、前記対向面部61から前方へ突出すると共に前端部に前方へ開口する通孔76aを有する円筒状に形成されている。すなわち、前記第2仮止め部76は、前記設置部材60の外周壁部62の内側(設置空間60a内)に前後方向に延在するよう設けられている。そして、前記遊技盤20に対して設置部材60を取り付ける際に、前記第1仮止め部75を対応の第2仮止め部76(通孔76a)に挿入することで、遊技盤20に対して設置部材60が盤面に沿った方向に位置ずれしない状態で位置決め(仮止め)されるようになっている。また、前記第1仮止め部75が第2仮止め部76(通孔76a)に挿入されることで、前記可動演出装置70を可動して可動演出体71を揺動するのに伴って、設置部材60を遊技盤20の盤面に沿った方向に移動させる力が作用した際に、該設置部材60が位置ずれするのを規制する規制手段としても機能する。
【0032】
ここで、前記第2仮止め部76は、前記可動演出装置70(可動演出体71)の外周側を囲繞するよう複数箇所(実施例では4箇所)に設けられており、各第1仮止め部75を対応の第2仮止め部76に挿入することで、前記設置部材60に設けた装飾部材65の鍔状部65aが枠状装飾体30の枠状本体31の後端部に整合して当接するようになっている。前記装飾部材65には、前記第2仮止め部76の形成位置に対応して、該第2仮止め部76との干渉を回避する逃げ部65b(図6、図7参照)を設けてある。なお、前記逃げ部65bは、前記第2仮止め部76の形成位置に応じて、前記装飾部材65の外周縁部に凹状に形成されたり、前後に貫通する孔状に形成されている。
【0033】
(位置合わせ手段80,81について)
次に、前記第1仮止め部75と第2仮止め部76とが係合する状態に、前記設置部材60を遊技盤20に対して位置合わせする位置合わせ手段80,81について説明する。前記位置合わせ手段80,81は、図4に示すように、前記遊技盤20側に設けられた第1位置合わせ部80と、前記設置部材60側に設けられ第1位置合わせ部80と係脱可能に係合する第2位置合わせ部81とから構成されている。ここで、前記位置合わせ手段80,81(第1位置合わせ部80および第2位置合わせ部81)の夫々は、設置部材60の外周壁部62の外側(設置空間60a外)に位置するよう設けられており、作業者が位置合わせ手段80,81を利用して遊技盤20に対して設置部材60を大まかに位置合わせすることで、前記第1仮止め部75と第2仮止め部76とが係合可能な位置に位置合わせされ、該第1仮止め部75と第2仮止め部76とを容易に係合させ得るようになっている。
【0034】
(第1位置合わせ部80について)
ここで、前記第1位置合わせ部80は、図4に示すように、前記遊技盤20の裏側において、前記枠状装飾体30が設置される装着口22の上方位置に設けられており、該遊技盤20に対して設置部材60を取り付けた際に、当該設置部材60の上面をなす外周壁部62の上方側に位置するようになっている(図3参照)。前記第1位置合わせ部80は、所定幅で左右方向に直線的に延在する帯状の凹部(位置合わせ凹部)であり、前記設置部材60を取り外した状態で遊技盤20の裏面を目視した際に、当該第1位置合わせ部80の形成位置を容易に把握し得るよう構成されている。また、前記第1位置合わせ部80の左右両端部は円弧状に湾曲した形状に形成されており、前記第2位置合わせ部81を位置合わせした際に、該第1位置合わせ部80に第2位置合わせ部81が嵌合するよう誘導し得るようになっている。
【0035】
ここで、実施例の遊技盤20には、前記第1位置合わせ部80が左右方向に離間する複数箇所(実施例では2カ所)に形成されている。また、前記遊技盤20に形成される第1位置合わせ部80は、少なくとも1つの形状または大きさが異なるよう形成されている。実施例では、左右に離間して設けられた2つの第1位置合わせ部80の延在長が異なるよう形成されている。なお、図4では、左側の第1位置合わせ部80の延在長を長く形成してある。
【0036】
(第2位置合わせ部81について)
図4、図6〜図7に示すように、前記第2位置合わせ部81は、前記設置部材60の外周壁部62の外側に位置するよう形成されて、該設置部材60を裏側から目視した際に、当該第2位置合わせ部81の形成位置を容易に把握し得るよう構成されている。具体的には、前記第2位置合わせ部81は、前記設置部材60の上面をなす外周壁部62の前端部に、該設置部材60の外方へ延出するように複数箇所(実施例では2カ所)に設けられた位置合わせ突片である。前記第2位置合わせ部81は、前記外周壁部62の前端部に沿って左右方向に延在すると共に外周壁部62の外方へ突出する幅広の帯状に形成されており、設置部材60の裏側からの目視を容易になし得るよう構成されている。ここで、前記第2位置合わせ部81は、前記遊技盤20に対して設置部材60を取り付けた状態(仮止め手段75,76を係合させた状態)において、前記第1位置合わせ部80の形成位置に対応するよう設けられている。
【0037】
また、前記第2位置合わせ部81の左右の角部は、円弧状に面取りされており、該第2位置合わせ部81が遊技盤20の裏面に接触した際の引っ掛かりを軽減している。ここで、前記第2位置合わせ部81が前記外周壁部62の外方へ突出する突出長さは、前記第1位置合わせ部80の短手方向の幅寸法(実施例では上下の幅寸法)より短くなるよう設定されている。実施例では、第2位置合わせ部81の突出長さが、対応する前記第1位置合わせ部80の幅寸法の略1/2となるように設定されている。また、前記第2位置合わせ部81の左右方向の延在長は、対応する前記第1位置合わせ部80の左右方向の延在長に略合致するよう設定されている。すなわち、前記第2位置合わせ部81は、対応の第1位置合わせ部80に対して上側部分に整合するよう構成されており、各第2位置合わせ部81の突出端部を対応する第1位置合わせ部80の凹んだ内側に当てた状態で、当該第2位置合わせ部81を第1位置合わせ部80の幅方向(上方向)にスライドすることで、第1位置合わせ部80および第2位置合わせ部81が整合して、遊技盤20に対して設置部材60が大まかに位置合わせされるようになっている。
【0038】
また、図4、図6〜図7に示すように、前記設置部材60における前記第2位置合わせ部81が形成される外周壁部62(実施例の上面)には、各第2位置合わせ部81の形成位置と対応する位置に、前後に延在する補強リブ84が複数形成されている。ここで、前記補強リブ84は、前記設置部材60における外周壁部62の前端部まで延在するよう形成されており、該第2位置合わせ部81を遊技盤20(位置合わせ凹部)に接触させた際に、第2位置合わせ部81が破損するのを防止している。なお実施例では、図7において、左側の第2位置合わせ部81と対応する位置に、前記補強リブ84が3箇所に形成され、右側の第2位置合わせ部81と対応する位置に、補強リブ84が5箇所に形成されている。
【0039】
更に、前記前記設置部材60における前記第2位置合わせ部81が形成される外周壁部62(実施例の上面)には、前後に延在するスリット85が前記第2位置合わせ部81の間に形成されている。前記スリット85は、前記外周壁部62の前端部に開口すると共に、前記設置部材60の設置空間60aの内外に開口するよう形成されている。このように、前記外周壁部62にスリット85を形成することで、前記位置決め突片を遊技盤20(位置合わせ凹部)に接触させた際に、該第2位置合わせ部81が形成された外周壁部62の弾性的な変形を許容され、該第2位置合わせ部81や外周壁部62の損傷を防止している。ここで、前記スリット85は、前記枠状装飾体30に設けた上部発光演出装置34の配線を設置部材60の裏側へ挿通する配線挿通孔としても機能している。
【0040】
(実施例の作用)
次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0041】
前記中枠12の前面側に設けられた前記操作ハンドル17を遊技者が回転操作すると、打球発射装置から発射されたパチンコ球が前記遊技盤20に設けた案内レール21により画成された遊技領域20a内に打ち出されて、遊技釘24等に接触して流下方向を変更しながら遊技領域20a内を流下する。そして、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が前記第1始動入賞装置40または第2始動入賞装置45の始動入賞口に入賞することで、前記図柄表示装置18での図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、図柄表示装置18に所定の図柄組み合わせで飾図が表示されると大当りが発生し、大当りが発生する図柄の組み合わせに応じて、前記遊技盤20に設けられた特別入賞装置50が開放されると共に、図柄表示装置18において大当り演出が行われる。
【0042】
ここで、前記第1始動入賞装置40または第2始動入賞装置45の始動入賞口に入賞した際に、前記制御装置が所定の制御条件に基づいて前記可動演出装置70の駆動モータ72を作動すると、該可動演出装置70の可動演出体71が揺動軸71aを中心に左右に揺動する。実施例の可動演出体71は、前記枠状装飾体30の表示窓口30aを全体的に覆う大型の可動部材とされているから、該可動演出体71の揺動に伴って当該可動演出体71を支持する設置部材60に対して遊技盤20の盤面に沿った力が作用する。ここで、実施例のパチンコ機10では、前記仮止め手段75,76としての第1仮止め部75が第2仮止め部76に挿入されているから、前記設置部材60を遊技盤20の盤面に沿った方向に移動させる力が作用した場合であっても、該設置部材60の位置ずれが規制されて、遊技盤20の所定位置に設置部材60が適切に保持される。
【0043】
このように、遊技盤20側に開口する箱状に形成した設置部材60の開口内側に、遊技部品としての可動演出装置70を設置して、該可動演出装置70に隣接するよう設置部材60の開口内側に仮止め手段75,76を設けることで、可動演出装置70の作動時に設置部材60が振動しても、設置部材60を遊技盤20の所定位置に保持し得る。従って、前記可動演出体71を揺動した際に、該可動演出体71の意図しない不自然なぶれ動作を防止し得る。また、前記第1仮止め部75および第2仮止め部76により、前記遊技盤20の盤面に沿った方向に対して設置部材60が位置決めされているから、可動演出体71の揺動に伴う振動が設置部材60を固定するネジ64に直接作用し難くなり、ネジ64の緩みや破損等を効果的に抑制できる。
【0044】
次に、前記遊技盤20に対する設置部材60の組み付けについて説明する。前記各装着口22に遊技部品が取り付けられた遊技盤20は、前記遊技領域20aを画成した前面(盤面)側が下向きとなる寝かせた姿勢で保持される。例えば、製造工場等の搬送ラインにおいて寝かせた状態で搬送される遊技盤20や、所定の作業台に寝かせた状態で設置した遊技盤20に対して、作業者が設置部材60を所定位置に位置合わせして両者が組み付けられる。ここで、前記遊技盤20に対して設置部材60を仮止めする前記第1仮止め部75は、前記枠状装飾体30(枠状本体31)から後方へ突出する突起状(棒状)に形成されているから、該枠状装飾体30に配設される前記発光演出装置34や当該枠状装飾体30の各種装飾により目立ち難く、前記設置部材60を遊技盤20に対して位置合わせする際の目印として第1仮止め部75を利用すると、作業に手間が掛かる。これに対して、実施例の遊技盤20は、遊技盤20の平坦な裏面に第1位置合わせ部80が形成されているから、遊技盤20を寝かせた状態において第1位置合わせ部80の形成位置を作業者が容易に目視により確認できる。しかも、前記第1位置合わせ部80は、所定幅で直線的に延在する帯状の凹部(位置合わせ凹部)として平面的な広がりのある形状に形成してあるから、遊技盤20の裏面を直接目視した際に第1位置合わせ部80の形成位置を作業者が容易に把握し得る。
【0045】
そして、前記第1位置合わせ部80の形成位置を把握したもとで、図8に示すように、前記第2位置合わせ部81が下方に向くよう前記設置部材60を遊技盤20の裏面に対して傾斜させた姿勢で、該第1位置合わせ部80に対して対応の第2位置合わせ部81の突出端部を当接させる。この状態で、前記第2位置合わせ部81の突出端部が対応の第1位置合わせ部80の上端縁に当接するように該第2位置合わせ部81の突出端部を第1位置合わせ部80の幅方向にスライドさせて、第1位置合わせ部80および第2位置合わせ部81を整合させることで、遊技盤20に対して設置部材60が大まかに位置合わせされる(図9参照)。このとき、前記遊技盤20側(枠状装飾体30)に設けられた第1仮止め部75と、設置部材60側に設けられた第2仮止め部76とが係合可能な位置関係(すなわち、設置部材60における外周壁部62の前端部を遊技盤20に当接するよう移動させた際に、第1仮止め部75が第2仮止め部76の通孔76aに挿入される位置関係)で位置合わせされるから、遊技盤20に対して傾斜させた設置部材60を、外周壁部62の前端部(取付片63)が遊技盤20に当接するよう姿勢変位させることで、当該第1仮止め部75が対応の第2仮止め部76に挿入され、遊技盤20に対して設置部材60が盤面に沿った方向に位置ずれしない状態で位置決め(仮止め)される(図10参照)。そして、遊技盤20に対して設置部材60を仮止めした状態で、設置部材60(取付片63)の貫通孔63aを挿通したネジ64を介して遊技盤20に本固定される。
【0046】
ここで、前記第2位置合わせ部81は、前記設置部材60の外周壁部62の外側に位置するよう設けられているから、作業者が容易に第2位置合わせ部81の形成位置を把握することができる。しかも、前記第2位置合わせ部81は、所定幅で直線的に延在する帯状の突片(位置合わせ突片)として形成してあるから、設置部材60の裏面側からであっても第2位置合わせ部81の形成位置を作業者が容易に視認できる。すなわち、遊技盤20に対して設置部材60を組み付ける際には、第1位置合わせ部80および第2位置合わせ部81を確認しながら作業を行えば、遊技盤20に対して設置部材60を位置合わせし得るから、該設置部材60の外周壁部62の内側(設置空間60a内)に位置して作業の死角になる位置に設けられている仮止め手段75,76を目視で直接確認する必要がなく、作業性が大幅に向上する。このように、前記第1位置合わせ部80および第2位置合わせ部81の夫々を、前記設置部材60の外周壁部62の外側に位置するよう設けたことにより、遊技盤20に対して設置部材60を位置合わせする際の視認性が向上し、遊技盤20に対する設置部材60の組み付け作業を効率的になし得るようになる。しかも、設置部材60の外周壁部62の外側に位置するよう位置合わせ手段80,81を設けることで、遊技盤20毎に仮止め手段75,76の配置が変更されたとしても、作業者が仮止め手段75,76の配置を気にすることなく作業することができ、作業性が高い。
【0047】
前記設置部材60には、前記外周壁部62における第2位置合わせ部81の夫々と対応する位置に補強リブ84を形成したことで、該第2位置合わせ部81を第1位置合わせ部80に突き当てた際に破損し難く、遊技盤20に対する設置部材60の位置合わせ作業の負担が軽減される。更に、前記設置部材60の外周壁部62にスリット85を形成したことで、前記第2位置合わせ部81を第1位置合わせ部80に突き当てた際の衝撃が緩衝され、破損等をより効果的に防止することができる。また、前記第1位置合わせ部80の左右両端部は円弧状に湾曲した形状に形成されると共に、前記第2位置合わせ部81の左右両端部も円弧状に面取りされていることで、該第1位置合わせ部80の幅方向に沿って第2位置合わせ部81をスライドさせた際に、当該第2位置合わせ部81が第1位置合わせ部80に対して第2位置合わせ部81が整合した状態で嵌合するよう誘導し得る。
【0048】
(変更例)
なお、本発明に係る遊技機の構成としては、前述した実施例に示したものに限らず、種々の変更が可能である。以下にその一例を示す。
【0049】
(1) 実施例では、仮止め手段の第1仮止め部として遊技盤に取り付けられる枠状装飾体に後方へ突出する突起部を形成すると共に、該仮止め手段の第2仮止め部として設置部材の設けられた筒状部を形成したが、これに限られるものではなく、第1仮止め部として筒状部を形成し、第2仮止め部として突起部を形成するようにしてもよい。更に、第1仮止め部として突起部および筒状部を複合して設けると共に、第2仮止め部として各第1仮止め部に対応して係合可能な筒状部および突起部を設けることもできる。また、仮止め手段としての第1仮止め部および第2仮止め部は、突起部や筒状部に限られるものではなく、設置部材における外周壁部の内側に位置するよう設けられて、遊技盤の所定位置に設置部材を仮止め(位置決め)可能な形態であれば任意の形態を採用できる。例えば、弾性変形し得る係合フック、および該係合フックが係合し得る係合孔を仮止め手段として採用してもよい。
(2) 仮止め手段の形成位置としては、実施例のものに限られるものではなく、第1仮止め部を枠状装飾体以外の遊技盤に取り付けられる部材に設けるようにしてもよく、また遊技盤自体に設けてもよい。また、第2仮止め部を設置部材における遊技盤に対向する対向面部に設けたが、これに限られるものではなく、設置部材に配設される遊技部品に設けるようにしてもよい。
(3) 実施例では、位置合わせ手段の第1位置合わせ部として遊技盤に位置合わせ凹部を凹設し、第2位置合わせ部として設置部材の外周壁部から外方へ延出する位置合わせ突片を形成するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、第1位置合わせ部として遊技盤の裏面から後方へ突出する突出片を所定長さに亘って形成するようにして、前記第2位置合わせ部の突出端部を当接させて位置合わせするようにしてもよい。また、前記第2位置合わせ部として前記突出形状に形成した第1位置合わせ部を挿入可能な孔部を形成するようにしてもよい。
(4) また、前記第1位置合わせ部および第2位置合わせ部の形状としては、実施例に示した帯状のもに限られるものではなく、前記仮止め手段(第1仮止め部および第2仮止め部)よりも遊技盤の裏面に沿った方向に平面的な広がりを持った形状・大きさとなるよう形成することで、遊技盤に対する設置部材の取付作業性を向上し得る。例えば、第1および第2位置合わせ部を三角形状等の多角形状や円形状に形成するようにしてもよい。
(5) 実施例では、設置部材の上面をなす外周壁部に第2位置合わせ部を設けたが、これ限られるものではなく、設置部材の外周壁部の任意の位置から外方へ延出するよう第2位置合わせ部を設けることができる。また、設置部材の外周壁部における複数の面(例えば上面と左側面等)に第2位置合わせ部を設けるようにしてもよい。この場合には、第1位置合わせ部も各第2位置合わせ部に対応するよう設けられる。第2位置合わせ部を外周壁部の複数の面に設けることで、作業者の作業のしやすさに応じて、位置合わせに用いる第1および第2位置合わせ部の組を適宜に選択でき、遊技盤に対する設置部材の取付作業性向上に繋がる。
(6) 実施例では、第1位置合わせ部および第2位置合わせ部として2組を設けたが、1組だけ設けてもよく、また3組以上の複数組を設けてもよい。
(7) 実施例では、遊技盤を合板で形成したが、これに限られるものではなく、遊技盤を合成樹脂材から透明または不透明に形成するようにしてもよい。
(8) 実施例では、遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機等の各種遊技機を採用し得る。
【符号の説明】
【0050】
18 図柄表示装置(遊技部品)
20 遊技盤
20a 遊技領域
60 設置部材
62 外周壁部(外壁部)
64 ネジ(固定手段)
70 可動演出装置(遊技部品)
75 第1仮止め部(仮止め手段)
76 第2仮止め部(仮止め手段)
80 第1位置合わせ部(位置合わせ凹部、位置合わせ手段)
81 第2位置合わせ部(位置合わせ突片、位置合わせ手段)
84 補強リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域が画成された遊技盤の裏側に、各種遊技部品が設置される設置部材が配設された遊技機において、
前記設置部材における外壁部の内側に位置するよう設けられ、前記遊技盤の所定位置に設置部材を仮止めする仮止め手段と、
前記設置部材の外壁部の外側に位置するよう設けられた位置合わせ手段と、
前記仮止め手段が仮止めした状態で前記遊技盤に対して設置部材を固定する固定手段とを備え、
前記位置合わせ手段により前記遊技盤に対して設置部材を位置合わせすることで、前記仮止め手段により設置部材が遊技盤に対して仮止めされるよう構成された
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記設置部材は、遊技盤側に開口する箱状に形成されると共に、該設置部材の開口内側に前記遊技部品としての可動演出装置が設置され、前記仮止め手段が可動演出装置に隣接するよう設置部材の開口内側に設けられている請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記位置合わせ手段は、前記設置部材における外壁部の前端部に設けられて該前端部に沿って延在すると共に設置部材の外方へ延出する位置合わせ突片と、前記遊技盤の裏面に形成され、前記位置合わせ突片が嵌合する位置合わせ凹部とからなり、
前記設置部材の外壁部には、前記位置合わせ突片と対応する位置に、前後に延在する補強リブが複数形成されている請求項1または2記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−81493(P2013−81493A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221419(P2011−221419)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000135210)株式会社ニューギン (1,935)
【Fターム(参考)】