遊技機
【課題】配線数を最小限に制限して違法行為を確実に排除できるスロットマシンを提供する。
【解決手段】フォトカプラPCをON動作させる払出信号PAYを伝送する信号ラインと、払出モータMOを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、主制御部50から受ける払出制御部55を有し、払出モータMOは、給電ラインと、グランドラインと、信号ラインの3本の信号によって回転可能に構成される。主制御部50には、ON状態の駆動パルスSGを受けてON動作して、有意レベルの払出信号を出力する第一スイッチ回路Qaと、ON状態の制御信号を受けてON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を出力する第二スイッチ回路Qbとが設けられている。
【解決手段】フォトカプラPCをON動作させる払出信号PAYを伝送する信号ラインと、払出モータMOを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、主制御部50から受ける払出制御部55を有し、払出モータMOは、給電ラインと、グランドラインと、信号ラインの3本の信号によって回転可能に構成される。主制御部50には、ON状態の駆動パルスSGを受けてON動作して、有意レベルの払出信号を出力する第一スイッチ回路Qaと、ON状態の制御信号を受けてON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を出力する第二スイッチ回路Qbとが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ装置を内蔵する電子遊技機に関し、特に、遊技媒体としてメダル又は遊技球を用いる回胴遊技機や弾球遊技機に好適に適用される。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンなどの回胴遊技機では、遊技者がメダル投入口にメダルを投入してスタートレバーを操作すると、これに応じて、回転リールの回転が開始される。そして、遊技者がストップボタンを押して回転リールを停止させたとき、停止ライン上の図柄が揃うと、その図柄に応じた配当メダルが払い出されるようになっている。但し、各ゲームの当否状態は、実際には、機器内部の抽選処理によって各ゲームの開始時に予め決まっており、この抽選処理によって当選した図柄を、遊技者が停止ライン上に揃えることで配当メダルが払出される。
【0003】
この配当メダルは、各スロットマシン内部に配置されたメダルホッパーに予め貯留されている。そして、払出モータMOが回転してメダルを払出し、払出検出センサが必要個数の払出枚数を確認すると払出動作が終了するようになっている。
【0004】
払出モータMOは、例えば、DC24Vの電圧で回転する直流モータで構成されている。そして、メダル払出信号PAYを受けるフォトカプラを設け、メダル払出信号PAYがLレベルになると、フォトカプラの出力側のトランジスタがON動作して、直流モータの電流駆動回路が形成されるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−143058号公報
【特許文献2】特開2011−092774号公報
【特許文献3】特開2011−030662号公報
【特許文献4】特開2011−030661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、メダル払出信号PAYがLレベルになると、払出モータが回転を始めるので、この関係を悪用する違法行為を排除する回路構成が望まれる。そこで本出願人も各種の対策を提案しているが(特許文献1〜4)、回路基板間の配線数が多いと、その分だけ製造時の負担が増加するだけでなく、何れかの配線を悪用した違法行為が懸念される。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、回路基板間の配線数を極限的に減少させ、且つ、メダル払出信号PAYをグランドレベルに降下させる違法行為を確実に排除できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、インタフェイス素子をON動作させる払出信号を伝送する信号ラインと、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、払出モータは、給電ラインと、グランドラインと、信号ラインの3本の信号によって回転可能に構成され、上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作して、有意レベルの払出信号を払出制御部に出力する第一スイッチ回路と、ON状態の制御信号を受けてON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を払出制御部に出力する第二スイッチ回路と、が設けられている。
【0009】
本発明では、3本の信号線で払出モータが回転可能である簡易性の上に、第一と第二のスイッチ回路が連動するので事実上、違法行為が不可能となる。
【0010】
第二スイッチ回路の出力側には、好ましくは、払出信号のレベル変化に遅れて、駆動電源の給電を制御する遅延部が設けられている。この遅延部は、上流側制御部か払出制御部に配置される。また、払出モータは、直流モータで構成されているのが好ましく、インタフェイス素子は、フォトカプラで構成されるのが効果的である。
【0011】
また、本発明は、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、払出モータは、給電ラインと、グランドラインとの2本の信号によって回転可能に構成され、上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作する第一スイッチ回路と、第一スイッチ回路のON動作に対応してON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を払出制御部に出力する第二スイッチ回路とが設けられている。
【0012】
更にまた、本発明は、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、払出モータは、給電ラインと、グランドラインとの2本の信号によって回転可能に構成され、上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作してグランドラインを通電させる通電スイッチ回路が設けられ、通電スイッチ回路のON動作に対応して払出モータが回転を開始するよう構成されている。
【発明の効果】
【0013】
上記した本発明によれば、配線数を最小限に制限して違法行為を確実に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】図1のスロットマシンの右側面図(a)と平面図(b)である。
【図3】スロットマシンの前面パネルを背面から図示した図面である。
【図4】スロットマシンの本体ケースの内部正面図である。
【図5】図1のスロットマシンの回路構成を示すブロック図である。
【図6】主制御基板の要部と、主制御基板とメダル払出制御基板との接続関係を示すブロック図である。
【図7】メダル払出処理を説明するフローチャートである。
【図8】払出動作時におけるメダル払出制御基板の動作を説明する図面である。
【図9】払出禁止時におけるメダル払出制御基板の動作を説明する図面である。
【図10】別の実施例を説明する図面である。
【図11】配線ケーブルの本数を極限的に抑制した実施例を説明する図面である。
【図12】配線ケーブルの本数を極限的に抑制した別の実施例を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1〜図4は、実施例に係るスロットマシンSLを図示したものである。本スロットマシンSLは、矩形箱状の本体ケース1と、各種の遊技部材を装着した前面パネル2とが、ヒンジ3を介して連結され、前面パネル2が本体ケース1に対して開閉可能に構成されている(図2)。そして、図1は前面パネル2の正面図、図2はスロットマシンSLの右側面図(a)と平面図(b)、図3は前面パネル2の背面図、図4は本体ケース1の内部正面図を示している。
【0016】
図4に示す通り、本体ケース1の略中央には、3つの回転リール4a〜4cを備える図柄回転ユニット4が配置され、その下側に、メダル払出装置5が配置されている。各回転リール4a〜4cには、BB図柄、RB図柄、各種のフルーツ図柄、及びリプレイ図柄などが描かれている。メダル払出装置5には、メダルを貯留するメダルホッパー5aと、払出モータMOと、メダル払出制御基板55と、払出中継基板63と、払出センサSE(図5)などが設けられている。ここで、メダルは、払出モータMOの回転に基づいて、払出口5bから図面手前に向けて導出される。なお、限界量を越えて貯留されたメダルは、オーバーフロー部5cを通して、補助タンク6に落下するよう構成されている。
【0017】
上記のメダル払出装置5に隣接して電源基板62が配置され、また、図柄回転ユニット4の上部に主制御基板50が配置され、主制御基板50に隣接して回胴設定基板54が配置されている。なお、図柄回転ユニット4の内部には、回胴LED中継基板58と回胴中継基板57とが設けられ、図柄回転ユニット4に隣接して外部集中端子板56が配置されている。
【0018】
図1に示すように、前面パネル2の上部には液晶表示ユニット7が配置され、その下部には、回転リール4a〜4cに対応する3つの表示窓8a〜8cが配置されている。表示窓8a〜8cを通して、各回転リール4a〜4cの回転方向に、各々3個程度の図柄が見えるようになっており、合計9個の図柄の水平方向の三本と、対角線方向の二本が仮想的な停止ラインとなる。このような表示窓8aの左側には、遊技状態を示すLED群9が設けられ、その下方には、遊技成果として払出されるメダル数を表示する払出表示部10や、クレジット状態のメダル数を表示する貯留数表示部11が設けられている。
【0019】
前面パネル2の垂直方向中央には、メダルを投入するメダル投入口12が設けられ、これに隣接して、メダル投入口12に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン13が設けられている。また、クレジット状態のメダルを払出すクレジット精算ボタン14と、メダル投入口12へのメダル投入に代えてクレジット状態のメダルを擬似的に一枚投入する投入ボタン15と、クレジット状態のメダルを擬似的に三枚投入するマックス投入ボタン16とが設けられている。
【0020】
これらの遊技部材の下方には、回転リール4a〜4cの回転を開始させるスタートレバー17と、回転中の回転リール4a〜4cを停止させるためのストップボタン18a〜18cが設けられている。その他、前面パネル2の下方には、メダルを蓄える横長の受け皿19と、払出装置5の払出口5bに連通するメダル導出口20とが設けられている。なお、メダル導出口20の左右にはスピーカSPが配置されている。
【0021】
図3に示すように、前面パネル3の裏側には、メダル投入口12に投入されたメダルの選別を行うメダル選別装置21と、メダル選別装置21により不適正と判別されたメダルをメダル導出口20に案内する返却通路22とが設けられている。また、前面パネル3の裏側上部には、演出制御基板51、演出インタフェイス基板52、及び液晶制御基板61などを収容する基板ケース23が配置されている。そして、メダル選別装置21の上部には、図1に示す各種の遊技部材と主制御基板50との間の信号を中継する遊技中継基板53が設けられている。
【0022】
図5は、実施例に係るスロットマシンSLの回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このスロットマシンSLは、回転リール4a〜4cを含む各種の遊技部材の動作を制御する主制御基板50と、主制御基板50から受けた制御コマンドに基づいて演出動作を実現する演出制御基板51と、交流電圧(24V)を直流電圧(5V,12V,24V)に変換して装置各部に供給する電源基板62とを中心に構成されている。
【0023】
主制御基板50は、演出制御基板51に対して、スピーカSPによる音声演出、LEDランプや冷陰極線管放電管によるランプ演出、及び、液晶表示ユニット7による図柄演出を実現するための制御コマンドを出力している。そして、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通して、液晶制御基板61に接続されており、液晶制御基板61は、液晶表示(LCD)ユニット7における図柄演出を実現している。
【0024】
演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52と共に、LED基板59やインバータ基板60や回胴LEDドライブ基板58を経由して、各種のLEDや冷陰極線管放電管におけるランプ演出を実現している。また、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通してスピーカSPを駆動して音声演出を実現している。
【0025】
主制御基板50は、遊技中継基板53を通して、スロットマシンの各種遊技部材に接続されている。具体的には、スタートレバー17の始動スイッチ、ストップボタン18a〜18cの停止スイッチ、投入ボタン15,16の投入スイッチ、清算ボタン14の清算スイッチ、投入枚数判定部21dを構成するフォトインタラプタPH1,PH2、投入メダル返却部21cを構成するブロッカーソレノイド30、及び、各種LED素子9〜11などに接続されている。
【0026】
また、主制御基板50は、回胴中継基板57を経由して、回転リール4a〜4cを回転させる3つのステッピングモータ、及び、回転リール4a〜4cの基準位置を検出するためのインデックスセンサに接続されている。そして、ステッピングモータを駆動又は停止させることによって、回転リール4a〜4cの回転動作と、目的位置での停止動作を実現している。
【0027】
主制御基板50は、払出中継基板63を通してメダル払出装置5にも接続されている。メダル払出装置5には、メダル払出制御基板55と、メダル払出センサSEと、払出モータMOとが設けられており、メダル払出制御基板55は、主制御基板50からのメダル払出信号PAYに基づいて払出モータMOを回転させて、所定量のメダルを払出している。なお、払出モータMOは、ブラシモータなどのDCモータであり、DC24Vを受けている限り回転を継続する。
【0028】
その他、主制御基板50は、外部集中端子板56と、回胴設定基板54にも接続されている。外部集中端子板56は、例えばホールコンピュータHCに接続されており、主制御基板50は、外部集中端子板56を通して、メダルの投入枚数やメダルの払出枚数などを出力している。また、回胴設定基板54は、係員が設定した確率的なメダル払出枚数のランク設定値を示す設定キー信号などを出力している。
【0029】
図6(a)は、主制御基板50と、払出中継基板63と、メダル払出制御基板55との接続関係を図示した概略図である。図示の通り、メダル払出制御基板55は、払出中継基板63を経由して、主制御基板50から、メダル払出信号PAYと、DC24V(モータ駆動電源)とを受けている。そして、各回路基板50,63,55は、配線コネクタCN1〜CN4を経由して隣接する回路基板と接続されている。
【0030】
ここで、メダル払出制御基板55と上流側の回路基板(50,63)との配線数はグランドラインを含めても3本であり、従来の回路構成に比べて、製造が容易であるだけでなく、違法行為の可能性を低減することができる。
【0031】
そして、主制御基板50は、メダル払出信号PAYを出力する信号出力部70を有して構成されている(図6(a))。図示の通り、メダル払出信号PAY、及びDC24Vは、グランド信号を含んだ他の信号と共に、配線コネクタCN1から出力されている。また、図6(b)に示す通り、メダルの払出動作時には、駆動パルスSGがHレベルとなり、メダルの払出枚数に対応するパルス時間幅τの後にLレベルに戻るよう構成されている。
【0032】
図6(c)に具体的に示す通り、信号出力部70は、駆動パルスSGを受けてスイッチング動作をする出力トランジスタQaと、出力トランジスタQaに同期してスイッチング動作をする制御トランジスタQcと、制御トランジスタQcのON動作時にDC24Vの給電ラインを通電させる通電トランジスタQbと、を有して構成されている。各トランジスタQa〜Qcは、何れもバイポーラ型トランジスタであり、通電トランジスタQbは、電流容量の大きいPNP型のパワートランジスタが選択されている。なお、トランジスタQa,QbはNPN型のトランジスタである。
【0033】
図示の通り、出力トランジスタQaのベース端子は、ベース抵抗Raを通して駆動パルスSGを受けており、コレクタ端子は、直流電源Vcc5Vを受けている。また、出力トランジスタQaのエミッタ端子は、メダル払出信号PAYの出力端子として、配線コネクタCN1に接続されている。
【0034】
制御トランジスタQcのベース端子は、ベース抵抗Rcを通して駆動パルスSGを受けており、コレクタ端子は、負荷抵抗RLとバイアス抵抗Rbとを経由してDC24V(モータ駆動電源)を受けている。なお、制御トランジスタQcのエミッタ端子は、グランドに接続されている。
【0035】
一方、通電トランジスタQbのエミッタ端子は、モータ駆動電源24Vを受けており、エミッタ端子とベース端子との間には、バイアス抵抗Rbが接続されている。そして、通電トランジスタQbのコレクタ端子は、コンデンサCaを経由してグランドに接続されると共に、モータ駆動電源24Vの出力端子として、配線コネクタCN1に接続されている。
【0036】
ここで、コンデンサCaは、大容量のキャパシタンス素子が選択されており、駆動パルスSGがHレベルとなってから適度に遅れてDC24Vの給電が開始され、駆動パルスSGがLレベルになってから適度に遅れてDC24Vの給電が停止されるようになっている(遅延時間τ)。
【0037】
図示の通り、メダル払出信号PAYは、メダル払出制御基板55のフォトカプラPC(発光ダイオードD)の電流流入端子に供給され、発光ダイオードDの出力電流は、その電流流出端子及び配線コネクタCN1を経由して、主制御部50のグランドに帰還されるよう構成されている。したがって、出力トランジスタQaがON動作すると、フォトカプラPCの発光ダイオードDには、エミッタ抵抗ReとフォトダイオードDの電圧降下Vfとで規定されるON電流=(Vcc−Vf)/Reが流れることなる。
【0038】
信号出力部70は、上記の通りに構成されているので、駆動パルスSGがHレベルとなる払出動作時には、制御トランジスタQcがON動作して、DC24V→バイアス抵抗Rb→負荷抵抗RL→トランジスタQc→グランドの経路でコレクタ電流が流れる。本実施例の場合、このON動作時には、バイアス抵抗Rbの両端電圧が1V程度となるよう設計されているので、制御トランジスタQcがON動作に対応して、通電トランジスタQbもON動作する。但し、通電トランジスタQbのコレクタ端子とグランド間には、大容量のコンデンサCaが接続されているので、通電トランジスタQbのON動作から少し遅れて、配線コネクタCN1にモータ駆動電源24Vが出力される給電動作が開始される。
【0039】
駆動パルスSGがHレベルとなる払出動作時には、以上の動作と並行して、出力トランジスタQaもON動作するので、フォトカプラPCのON動作に対応して、払出モータMOの駆動が開始される。
【0040】
一方、駆動パルスSGがLレベルとなる払出禁止時は上記と逆の動作が実行される。すなわち、出力トランジスタQaやフォトカプラPCのOFF動作に遅れて、モータ駆動電源24Vの給電が停止される。
【0041】
図7は、上記した駆動パルスSGの制御を含んだ主制御部50によるメダル払出動作を説明するフローチャートである。先ず、遊技者に払出すべきメダル払出枚数が0か否か判定され(ST10)、メダル払出枚数≠0であれば、クレジット数が上限値(例えば50枚)に達するまでは、クレジット数を増加させることで払出処理を実行する(ST11〜ST13)。
【0042】
図7は、上記した駆動パルスSGの制御を含んだ主制御部50によるメダル払出動作を説明するフローチャートである。先ず、遊技者に払出すべきメダル払出枚数が0か否か判定され(ST10)、メダル払出枚数≠0であれば、クレジット数が上限値(例えば50枚)に達するまでは、クレジット数を増加させることで払出処理を実行する(ST11〜ST13)。
【0043】
一方、このようにしてクレジット数が上限値に達するか、或いは、もともと上限値に達している場合には、メダル払出信号PAYをONレベル(アクティブレベル)にする(ST15)。具体的には、主制御部50の通電トランジスタQbと出力トランジスタQaをON動作させて、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをON動作させる。この結果、払出モータMOが回転を開始してメダルの払出が開始される。
【0044】
そこで、次に、払出センサSE(図5)がメダル払出を検出したか否か判定され(ST16)、所定の待機時間、メダルの払出が検出されるのを待つ(ST18)。そして、メダルの払出が検出されれば、払出枚数を減算し(ST17)、残余払出枚数が0になるまで同じ動作を繰返す。一方、所定の待機時間を超えても、払出センサSEがメダルの払出を検出しない場合は、メダルホッパー5aが空であると思われるので、その旨の異常報知処理を実行する(ST19)。そして、ドアセンサの開閉が検出されたら、係員による補給処理が完了したと想定して、エラー報知処理を解除してステップST15の処理に戻る。
【0045】
このような処理を繰返していると、やがて、残余払出枚数が0になるので(ST13)、メダル払出信号PAYをOFF状態にして処理を終える(ST14)。具体的には、主制御部50の通電トランジスタQbと出力トランジスタQaをOFF動作させ、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをOFF動作させる。この結果、払出モータMOの回転が停止される。
【0046】
図8〜図9は、メダル払出動作を説明するための図面である。図8に示す通り、メダル払出制御基板55には、フォトカプラPCによる信号伝送回路81と、バイポーラトランジスタQ3,Q4による電流制限回路82と、MOSトランジスタQ5による駆動制御回路83と、MOSトランジスタQ6による制動回路84と、が設けられている。
【0047】
主制御基板50から供給される駆動電圧DC24Vは、ポリスイッチRTを経由して払出モータMOに伝送されており、主制御基板50の通電トランジスタQbがON状態でない限り、払出モータMOが回転するよう構成されている。
【0048】
ポリスイッチRTは、ポリマー系のPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタであり、素子温度が所定値より上昇すると、正常状態では1Ω以下の抵抗値が、急激に増加して104Ω〜106Ω程度になる特性を有している。例えば、払出モータMOの配線の短絡などによって過大電流が流れる場合には、ポリスイッチRTの抵抗値によって、DC24Vの電源ラインが開放状態となる。
【0049】
フォトカプラPCの発光ダイオードDは、出力トランジスタQaがON動作することを条件に、順方向電流が流れて発光するよう構成されている。そして、発光ダイオードDが発光すると、フォトカプラPCのフォトトランジスタTrがON動作する。図示の通り、フォトトランジスタTrのコレクタ端子には、駆動電圧DC24Vが供給され、エミッタ端子は、電流制限回路82に接続されている。
【0050】
電流制限回路82は、PNP型トランジスタQ3と、コレクタ抵抗R4、バイアス抵抗R10と、払出モータMOの電流検出抵抗R13と、バイアス抵抗R5と、コンデンサC1と、NPN型トランジスタQ4と、電流制限抵抗R8と、逆方向電流阻止用のダイオードD2とで構成されている。
【0051】
トランジスタQ3のエミッタ端子は、フォトカプラPCのトランジスタTrのエミッタ端子と、電流制限抵抗R8とに接続されている。そして、トランジスタQ3のエミッタ端子とベース端子の間には、電流制限抵抗R8とダイオードD2とが直列接続され、ダイオードD2のカソード端子が、トランジスタQ3のベース端子に接続されている。また、ダイオードD2のカソード端子は、トランジスタQ4のコレクタ端子に接続され、そのエミッタ端子はグランドに接続されている。トランジスタQ4のベース端子は、並列接続されたコンデンサC1及び抵抗R5を通して、グランドに接続されている。
【0052】
また、トランジスタQ4のベース端子は、抵抗R10を通して、NチャンネルMOSトランジスタQ5のソース端子に接続されている。NチャンネルMOSトランジスタQ5のソース端子とグランドとの間に、抵抗R13が接続されて、払出モータMOの駆動電流を監視している。なお、電流検出抵抗R13は、0.51Ω程度である。
【0053】
駆動制御回路83は、NチャンネルMOSトランジスタQ5と、バイアス抵抗R9と、コンデンサC3とで構成されている。ここで、MOSトランジスタQ5のドレイン端子は、払出モータMOの(−)端子に接続されている。そして、ベース端子とソース端子との間には、並列接続された抵抗R9及びコンデンサC3が接続されている。
【0054】
制動回路84は、PチャンネルMOSトランジスタQ6と、分圧用のバイアス抵抗R11,R12,R6,R7と、コンデンサC2と、逆方向電流阻止用のダイオードD1とで構成されている。PチャンネルMOSトランジスタQ6のソース端子とドレイン端子は、各々、払出モータMOの(+)端子と(−)端子に接続されている。したがって、PチャンネルMOSトランジスタQ6がON動作すると払出モータMOの駆動が禁止されることになる。
【0055】
一方、MOSトランジスタQ6のソース端子とゲート端子間には抵抗R11が接続され、ゲート端子とグラントとの間には、バイアス抵抗R12,R6,R7が直列接続されている。そして、抵抗R12と抵抗R6の接続点には、ダイオードD1のカソード端子が接続されている。一方、ダイオードD1のアノード端子は、フォトカプラPCのトランジスタTrのエミッタ端子と、抵抗R8とに接続されている。
【0056】
以上を踏まえて、メダル払出動作を説明する。先ず、主制御部50の通電トランジスタQbと出力トランジスタQaがON状態となった場合(ST15)について、図8に基づいて説明する。この場合には、出力トランジスタQaとフォトカプラPCがON動作した後、適宜な遅延時間の後、モータ駆動電源24Vの給電動作が開始される。
【0057】
すると、DC5V→トランジスタQa→エミッタ抵抗Re→フォトカプラの発光ダイオードD→グランドラインの経路で、ON電流Ionが流れる。そのため、フォトカプラのフォトトランジスタTrもON状態となり、トランジスタTrを通過する直流電流は、モータ駆動電源24V→ダイオードD1→抵抗R6→R7の経路に流れる。
【0058】
また、トランジスタTrを通過する直流電流は、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R13の経路と、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R10→R5の経路にも流れる。その結果、トランジスタQ5はON状態となり、ポリスイッチRT→払出モータMO→トランジスタQ5の経路でモータ駆動電流が流れ、払出モータMOが回転する。
【0059】
この時、電流制限回路82は、過大なモータ駆動電流が流れることを防止する負帰還回路として機能する。すなわち、モータ駆動電流は、電流検出抵抗R13に流れるので、仮に、モータ駆動電流が大きく増加すると、トランジスタQ4のベース電位が増加して、抵抗R8→ダイオードD2経路でコレクタ電流が流れる。
【0060】
すると、トランジスタQ4とトランジスタQ3とは、サイリスタ構造を有して接続されているので、トランジスタQ4のコレクタ電流の増加が、トランジスタQ3のコレクタ電流の増加をもたらし、抵抗R5を経由してトランジスタQ4のコレクタ電流を益々増加させることで、2つのトランジスタQ3,Q4は、ON動作に向けた正帰還ループを形成する。
【0061】
一方、トランジスタQ4のコレクタ電流が飽和電流に向けて増加すると、ダイオードD2のアノード端子の電位が降下するので、トランジスタQ5をOFF動作させる向きの負帰還ループが形成される。したがって、トランジスタQ5の動作に基づいて、過大なモータ駆動電流が流れることが防止され、モータ駆動電流が所定範囲に維持される。
【0062】
ところで、払出モータMOが駆動されているタイミングでは、トランジスタQ6は、OFF状態である。それは、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R7の経路で電流が流れると共に、ダイオードD1→抵抗R6→抵抗R7の経路でも電流が流れるので、抵抗R11と抵抗R12の両端電圧が、トランジスタTrの飽和電圧VCEとダイオードの順方向電圧降下VFからVCE+VF≒1Vに抑制されるからである。
【0063】
次に、図9に基づいて、主制御部50の通電トランジスタQbと出力トランジスタQaがOFF状態となった場合(ST13)の動作を説明する(払出停止状態)。
【0064】
この場合には、出力トランジスタQaがOFF状態であるのでフォトカプラPCに電流が流れず、トランジスタQ3,Q4,Q5はON状態とならない。但し、コンデンサCaのため、しばらくは、モータ駆動電源24Vの給電動作が維持される。そのため、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R7→グランドの経路では電流が流れる。ここで、抵抗R11の両端電圧は、24*R11/(R11+R12+R6+R7)≒3Vとなるよう設定されているので、このソース端子とゲート端子間の電圧によってトランジスタQ6はON状態となる。
【0065】
このトランジスタQ6のON動作は、フォトカプラPCのONからOFFへの遷移時に実行されるので、誘導性を有する払出モータMOの駆動電流は、瞬間的にトランジスタQ6のコレクタ電流として吸収され、払出モータMOの回転にブレーキがかかる。そのため、本実施例の構成によれば、慣性力によってメダルが過払いされることがない。
【0066】
以上の通り、本実施例によれば、メダル払出制御基板55は、違法行為の可能性を低減している。すなわち、払出停止状態において、仮に、メダル払出ラインPAY(出力トランジスタQaのエミッタ端子)をグランドに短絡させても、トランジスタQaがOFF状態を維持しているので、払出モータMOを回転させることはできない。
【0067】
また、DC24Vを悪用して、フォトカプラPCをON動作させようとしても、駆動パルスSGがLレベルとなると、適宜な遅延時間(τ)後にモータ駆動電源24Vの給電動作が停止されるので、違法にメダルを払出すことができない。
【0068】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定する趣旨ではなく、適宜に変更可能である。例えば、先の実施例ではスロットマシンについて説明したが、遊技球の払出処理をDCモータで実現する弾球遊技機においては、本発明が好適に適用される。
【0069】
また、実施例では、バイポーラ型トランジスタを使用したが、特に限定されず、FET型のトランジスタを使用しても良い。また、通電トランジスタQbについては、絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を使用するのも好適である。また、個別の素子を使用する必要はなく、例えば、図10に示すように、アナログスイッチA−SWを使用しても良いのは勿論である。
【0070】
更にまた、図11に示すように、主制御基板50と、メダル払出制御基板55とを二本の配線で接続するのも好適である。この場合には、DC24Vのモータ駆動電源が、メダル払出信号PAYを兼用しており、通電トランジスタQbと、制御トランジスタQcとがON動作することを条件に、払出モータMOの回転が開始される。なお、コンデンサCaは、大容量のキャパシタンス素子であり、その機能は、図8の実施例の場合と同様である。また、電流制限回路82、駆動制御回路83、及び制動回路84の機能も図8の実施例の場合と同様である。
【0071】
また、主制御基板50と、メダル払出制御基板55とを二本の配線で接続する場合、DC24Vを通電制御する通電トランジスタQbと制御トランジスタQcとを設けることは、必ずしも必須ではなく、図12に示すように、グランドラインを通電制御する通電トランジスタQbだけで払出モータMOを回転制御するのも好適である。
【符号の説明】
【0072】
MO 払出モータ
50 上流側制御部
55 払出制御部
PC インタフェイス素子
PAY 払出信号
CN4 配線コネクタ
SL 遊技機(スロットマシン)
Qa 第一スイッチ回路
Qb 第二スイッチ回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ装置を内蔵する電子遊技機に関し、特に、遊技媒体としてメダル又は遊技球を用いる回胴遊技機や弾球遊技機に好適に適用される。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンなどの回胴遊技機では、遊技者がメダル投入口にメダルを投入してスタートレバーを操作すると、これに応じて、回転リールの回転が開始される。そして、遊技者がストップボタンを押して回転リールを停止させたとき、停止ライン上の図柄が揃うと、その図柄に応じた配当メダルが払い出されるようになっている。但し、各ゲームの当否状態は、実際には、機器内部の抽選処理によって各ゲームの開始時に予め決まっており、この抽選処理によって当選した図柄を、遊技者が停止ライン上に揃えることで配当メダルが払出される。
【0003】
この配当メダルは、各スロットマシン内部に配置されたメダルホッパーに予め貯留されている。そして、払出モータMOが回転してメダルを払出し、払出検出センサが必要個数の払出枚数を確認すると払出動作が終了するようになっている。
【0004】
払出モータMOは、例えば、DC24Vの電圧で回転する直流モータで構成されている。そして、メダル払出信号PAYを受けるフォトカプラを設け、メダル払出信号PAYがLレベルになると、フォトカプラの出力側のトランジスタがON動作して、直流モータの電流駆動回路が形成されるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−143058号公報
【特許文献2】特開2011−092774号公報
【特許文献3】特開2011−030662号公報
【特許文献4】特開2011−030661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、メダル払出信号PAYがLレベルになると、払出モータが回転を始めるので、この関係を悪用する違法行為を排除する回路構成が望まれる。そこで本出願人も各種の対策を提案しているが(特許文献1〜4)、回路基板間の配線数が多いと、その分だけ製造時の負担が増加するだけでなく、何れかの配線を悪用した違法行為が懸念される。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、回路基板間の配線数を極限的に減少させ、且つ、メダル払出信号PAYをグランドレベルに降下させる違法行為を確実に排除できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、インタフェイス素子をON動作させる払出信号を伝送する信号ラインと、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、払出モータは、給電ラインと、グランドラインと、信号ラインの3本の信号によって回転可能に構成され、上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作して、有意レベルの払出信号を払出制御部に出力する第一スイッチ回路と、ON状態の制御信号を受けてON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を払出制御部に出力する第二スイッチ回路と、が設けられている。
【0009】
本発明では、3本の信号線で払出モータが回転可能である簡易性の上に、第一と第二のスイッチ回路が連動するので事実上、違法行為が不可能となる。
【0010】
第二スイッチ回路の出力側には、好ましくは、払出信号のレベル変化に遅れて、駆動電源の給電を制御する遅延部が設けられている。この遅延部は、上流側制御部か払出制御部に配置される。また、払出モータは、直流モータで構成されているのが好ましく、インタフェイス素子は、フォトカプラで構成されるのが効果的である。
【0011】
また、本発明は、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、払出モータは、給電ラインと、グランドラインとの2本の信号によって回転可能に構成され、上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作する第一スイッチ回路と、第一スイッチ回路のON動作に対応してON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を払出制御部に出力する第二スイッチ回路とが設けられている。
【0012】
更にまた、本発明は、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、払出モータは、給電ラインと、グランドラインとの2本の信号によって回転可能に構成され、上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作してグランドラインを通電させる通電スイッチ回路が設けられ、通電スイッチ回路のON動作に対応して払出モータが回転を開始するよう構成されている。
【発明の効果】
【0013】
上記した本発明によれば、配線数を最小限に制限して違法行為を確実に排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例に係るスロットマシンの正面図である。
【図2】図1のスロットマシンの右側面図(a)と平面図(b)である。
【図3】スロットマシンの前面パネルを背面から図示した図面である。
【図4】スロットマシンの本体ケースの内部正面図である。
【図5】図1のスロットマシンの回路構成を示すブロック図である。
【図6】主制御基板の要部と、主制御基板とメダル払出制御基板との接続関係を示すブロック図である。
【図7】メダル払出処理を説明するフローチャートである。
【図8】払出動作時におけるメダル払出制御基板の動作を説明する図面である。
【図9】払出禁止時におけるメダル払出制御基板の動作を説明する図面である。
【図10】別の実施例を説明する図面である。
【図11】配線ケーブルの本数を極限的に抑制した実施例を説明する図面である。
【図12】配線ケーブルの本数を極限的に抑制した別の実施例を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1〜図4は、実施例に係るスロットマシンSLを図示したものである。本スロットマシンSLは、矩形箱状の本体ケース1と、各種の遊技部材を装着した前面パネル2とが、ヒンジ3を介して連結され、前面パネル2が本体ケース1に対して開閉可能に構成されている(図2)。そして、図1は前面パネル2の正面図、図2はスロットマシンSLの右側面図(a)と平面図(b)、図3は前面パネル2の背面図、図4は本体ケース1の内部正面図を示している。
【0016】
図4に示す通り、本体ケース1の略中央には、3つの回転リール4a〜4cを備える図柄回転ユニット4が配置され、その下側に、メダル払出装置5が配置されている。各回転リール4a〜4cには、BB図柄、RB図柄、各種のフルーツ図柄、及びリプレイ図柄などが描かれている。メダル払出装置5には、メダルを貯留するメダルホッパー5aと、払出モータMOと、メダル払出制御基板55と、払出中継基板63と、払出センサSE(図5)などが設けられている。ここで、メダルは、払出モータMOの回転に基づいて、払出口5bから図面手前に向けて導出される。なお、限界量を越えて貯留されたメダルは、オーバーフロー部5cを通して、補助タンク6に落下するよう構成されている。
【0017】
上記のメダル払出装置5に隣接して電源基板62が配置され、また、図柄回転ユニット4の上部に主制御基板50が配置され、主制御基板50に隣接して回胴設定基板54が配置されている。なお、図柄回転ユニット4の内部には、回胴LED中継基板58と回胴中継基板57とが設けられ、図柄回転ユニット4に隣接して外部集中端子板56が配置されている。
【0018】
図1に示すように、前面パネル2の上部には液晶表示ユニット7が配置され、その下部には、回転リール4a〜4cに対応する3つの表示窓8a〜8cが配置されている。表示窓8a〜8cを通して、各回転リール4a〜4cの回転方向に、各々3個程度の図柄が見えるようになっており、合計9個の図柄の水平方向の三本と、対角線方向の二本が仮想的な停止ラインとなる。このような表示窓8aの左側には、遊技状態を示すLED群9が設けられ、その下方には、遊技成果として払出されるメダル数を表示する払出表示部10や、クレジット状態のメダル数を表示する貯留数表示部11が設けられている。
【0019】
前面パネル2の垂直方向中央には、メダルを投入するメダル投入口12が設けられ、これに隣接して、メダル投入口12に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン13が設けられている。また、クレジット状態のメダルを払出すクレジット精算ボタン14と、メダル投入口12へのメダル投入に代えてクレジット状態のメダルを擬似的に一枚投入する投入ボタン15と、クレジット状態のメダルを擬似的に三枚投入するマックス投入ボタン16とが設けられている。
【0020】
これらの遊技部材の下方には、回転リール4a〜4cの回転を開始させるスタートレバー17と、回転中の回転リール4a〜4cを停止させるためのストップボタン18a〜18cが設けられている。その他、前面パネル2の下方には、メダルを蓄える横長の受け皿19と、払出装置5の払出口5bに連通するメダル導出口20とが設けられている。なお、メダル導出口20の左右にはスピーカSPが配置されている。
【0021】
図3に示すように、前面パネル3の裏側には、メダル投入口12に投入されたメダルの選別を行うメダル選別装置21と、メダル選別装置21により不適正と判別されたメダルをメダル導出口20に案内する返却通路22とが設けられている。また、前面パネル3の裏側上部には、演出制御基板51、演出インタフェイス基板52、及び液晶制御基板61などを収容する基板ケース23が配置されている。そして、メダル選別装置21の上部には、図1に示す各種の遊技部材と主制御基板50との間の信号を中継する遊技中継基板53が設けられている。
【0022】
図5は、実施例に係るスロットマシンSLの回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このスロットマシンSLは、回転リール4a〜4cを含む各種の遊技部材の動作を制御する主制御基板50と、主制御基板50から受けた制御コマンドに基づいて演出動作を実現する演出制御基板51と、交流電圧(24V)を直流電圧(5V,12V,24V)に変換して装置各部に供給する電源基板62とを中心に構成されている。
【0023】
主制御基板50は、演出制御基板51に対して、スピーカSPによる音声演出、LEDランプや冷陰極線管放電管によるランプ演出、及び、液晶表示ユニット7による図柄演出を実現するための制御コマンドを出力している。そして、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通して、液晶制御基板61に接続されており、液晶制御基板61は、液晶表示(LCD)ユニット7における図柄演出を実現している。
【0024】
演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52と共に、LED基板59やインバータ基板60や回胴LEDドライブ基板58を経由して、各種のLEDや冷陰極線管放電管におけるランプ演出を実現している。また、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通してスピーカSPを駆動して音声演出を実現している。
【0025】
主制御基板50は、遊技中継基板53を通して、スロットマシンの各種遊技部材に接続されている。具体的には、スタートレバー17の始動スイッチ、ストップボタン18a〜18cの停止スイッチ、投入ボタン15,16の投入スイッチ、清算ボタン14の清算スイッチ、投入枚数判定部21dを構成するフォトインタラプタPH1,PH2、投入メダル返却部21cを構成するブロッカーソレノイド30、及び、各種LED素子9〜11などに接続されている。
【0026】
また、主制御基板50は、回胴中継基板57を経由して、回転リール4a〜4cを回転させる3つのステッピングモータ、及び、回転リール4a〜4cの基準位置を検出するためのインデックスセンサに接続されている。そして、ステッピングモータを駆動又は停止させることによって、回転リール4a〜4cの回転動作と、目的位置での停止動作を実現している。
【0027】
主制御基板50は、払出中継基板63を通してメダル払出装置5にも接続されている。メダル払出装置5には、メダル払出制御基板55と、メダル払出センサSEと、払出モータMOとが設けられており、メダル払出制御基板55は、主制御基板50からのメダル払出信号PAYに基づいて払出モータMOを回転させて、所定量のメダルを払出している。なお、払出モータMOは、ブラシモータなどのDCモータであり、DC24Vを受けている限り回転を継続する。
【0028】
その他、主制御基板50は、外部集中端子板56と、回胴設定基板54にも接続されている。外部集中端子板56は、例えばホールコンピュータHCに接続されており、主制御基板50は、外部集中端子板56を通して、メダルの投入枚数やメダルの払出枚数などを出力している。また、回胴設定基板54は、係員が設定した確率的なメダル払出枚数のランク設定値を示す設定キー信号などを出力している。
【0029】
図6(a)は、主制御基板50と、払出中継基板63と、メダル払出制御基板55との接続関係を図示した概略図である。図示の通り、メダル払出制御基板55は、払出中継基板63を経由して、主制御基板50から、メダル払出信号PAYと、DC24V(モータ駆動電源)とを受けている。そして、各回路基板50,63,55は、配線コネクタCN1〜CN4を経由して隣接する回路基板と接続されている。
【0030】
ここで、メダル払出制御基板55と上流側の回路基板(50,63)との配線数はグランドラインを含めても3本であり、従来の回路構成に比べて、製造が容易であるだけでなく、違法行為の可能性を低減することができる。
【0031】
そして、主制御基板50は、メダル払出信号PAYを出力する信号出力部70を有して構成されている(図6(a))。図示の通り、メダル払出信号PAY、及びDC24Vは、グランド信号を含んだ他の信号と共に、配線コネクタCN1から出力されている。また、図6(b)に示す通り、メダルの払出動作時には、駆動パルスSGがHレベルとなり、メダルの払出枚数に対応するパルス時間幅τの後にLレベルに戻るよう構成されている。
【0032】
図6(c)に具体的に示す通り、信号出力部70は、駆動パルスSGを受けてスイッチング動作をする出力トランジスタQaと、出力トランジスタQaに同期してスイッチング動作をする制御トランジスタQcと、制御トランジスタQcのON動作時にDC24Vの給電ラインを通電させる通電トランジスタQbと、を有して構成されている。各トランジスタQa〜Qcは、何れもバイポーラ型トランジスタであり、通電トランジスタQbは、電流容量の大きいPNP型のパワートランジスタが選択されている。なお、トランジスタQa,QbはNPN型のトランジスタである。
【0033】
図示の通り、出力トランジスタQaのベース端子は、ベース抵抗Raを通して駆動パルスSGを受けており、コレクタ端子は、直流電源Vcc5Vを受けている。また、出力トランジスタQaのエミッタ端子は、メダル払出信号PAYの出力端子として、配線コネクタCN1に接続されている。
【0034】
制御トランジスタQcのベース端子は、ベース抵抗Rcを通して駆動パルスSGを受けており、コレクタ端子は、負荷抵抗RLとバイアス抵抗Rbとを経由してDC24V(モータ駆動電源)を受けている。なお、制御トランジスタQcのエミッタ端子は、グランドに接続されている。
【0035】
一方、通電トランジスタQbのエミッタ端子は、モータ駆動電源24Vを受けており、エミッタ端子とベース端子との間には、バイアス抵抗Rbが接続されている。そして、通電トランジスタQbのコレクタ端子は、コンデンサCaを経由してグランドに接続されると共に、モータ駆動電源24Vの出力端子として、配線コネクタCN1に接続されている。
【0036】
ここで、コンデンサCaは、大容量のキャパシタンス素子が選択されており、駆動パルスSGがHレベルとなってから適度に遅れてDC24Vの給電が開始され、駆動パルスSGがLレベルになってから適度に遅れてDC24Vの給電が停止されるようになっている(遅延時間τ)。
【0037】
図示の通り、メダル払出信号PAYは、メダル払出制御基板55のフォトカプラPC(発光ダイオードD)の電流流入端子に供給され、発光ダイオードDの出力電流は、その電流流出端子及び配線コネクタCN1を経由して、主制御部50のグランドに帰還されるよう構成されている。したがって、出力トランジスタQaがON動作すると、フォトカプラPCの発光ダイオードDには、エミッタ抵抗ReとフォトダイオードDの電圧降下Vfとで規定されるON電流=(Vcc−Vf)/Reが流れることなる。
【0038】
信号出力部70は、上記の通りに構成されているので、駆動パルスSGがHレベルとなる払出動作時には、制御トランジスタQcがON動作して、DC24V→バイアス抵抗Rb→負荷抵抗RL→トランジスタQc→グランドの経路でコレクタ電流が流れる。本実施例の場合、このON動作時には、バイアス抵抗Rbの両端電圧が1V程度となるよう設計されているので、制御トランジスタQcがON動作に対応して、通電トランジスタQbもON動作する。但し、通電トランジスタQbのコレクタ端子とグランド間には、大容量のコンデンサCaが接続されているので、通電トランジスタQbのON動作から少し遅れて、配線コネクタCN1にモータ駆動電源24Vが出力される給電動作が開始される。
【0039】
駆動パルスSGがHレベルとなる払出動作時には、以上の動作と並行して、出力トランジスタQaもON動作するので、フォトカプラPCのON動作に対応して、払出モータMOの駆動が開始される。
【0040】
一方、駆動パルスSGがLレベルとなる払出禁止時は上記と逆の動作が実行される。すなわち、出力トランジスタQaやフォトカプラPCのOFF動作に遅れて、モータ駆動電源24Vの給電が停止される。
【0041】
図7は、上記した駆動パルスSGの制御を含んだ主制御部50によるメダル払出動作を説明するフローチャートである。先ず、遊技者に払出すべきメダル払出枚数が0か否か判定され(ST10)、メダル払出枚数≠0であれば、クレジット数が上限値(例えば50枚)に達するまでは、クレジット数を増加させることで払出処理を実行する(ST11〜ST13)。
【0042】
図7は、上記した駆動パルスSGの制御を含んだ主制御部50によるメダル払出動作を説明するフローチャートである。先ず、遊技者に払出すべきメダル払出枚数が0か否か判定され(ST10)、メダル払出枚数≠0であれば、クレジット数が上限値(例えば50枚)に達するまでは、クレジット数を増加させることで払出処理を実行する(ST11〜ST13)。
【0043】
一方、このようにしてクレジット数が上限値に達するか、或いは、もともと上限値に達している場合には、メダル払出信号PAYをONレベル(アクティブレベル)にする(ST15)。具体的には、主制御部50の通電トランジスタQbと出力トランジスタQaをON動作させて、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをON動作させる。この結果、払出モータMOが回転を開始してメダルの払出が開始される。
【0044】
そこで、次に、払出センサSE(図5)がメダル払出を検出したか否か判定され(ST16)、所定の待機時間、メダルの払出が検出されるのを待つ(ST18)。そして、メダルの払出が検出されれば、払出枚数を減算し(ST17)、残余払出枚数が0になるまで同じ動作を繰返す。一方、所定の待機時間を超えても、払出センサSEがメダルの払出を検出しない場合は、メダルホッパー5aが空であると思われるので、その旨の異常報知処理を実行する(ST19)。そして、ドアセンサの開閉が検出されたら、係員による補給処理が完了したと想定して、エラー報知処理を解除してステップST15の処理に戻る。
【0045】
このような処理を繰返していると、やがて、残余払出枚数が0になるので(ST13)、メダル払出信号PAYをOFF状態にして処理を終える(ST14)。具体的には、主制御部50の通電トランジスタQbと出力トランジスタQaをOFF動作させ、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをOFF動作させる。この結果、払出モータMOの回転が停止される。
【0046】
図8〜図9は、メダル払出動作を説明するための図面である。図8に示す通り、メダル払出制御基板55には、フォトカプラPCによる信号伝送回路81と、バイポーラトランジスタQ3,Q4による電流制限回路82と、MOSトランジスタQ5による駆動制御回路83と、MOSトランジスタQ6による制動回路84と、が設けられている。
【0047】
主制御基板50から供給される駆動電圧DC24Vは、ポリスイッチRTを経由して払出モータMOに伝送されており、主制御基板50の通電トランジスタQbがON状態でない限り、払出モータMOが回転するよう構成されている。
【0048】
ポリスイッチRTは、ポリマー系のPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタであり、素子温度が所定値より上昇すると、正常状態では1Ω以下の抵抗値が、急激に増加して104Ω〜106Ω程度になる特性を有している。例えば、払出モータMOの配線の短絡などによって過大電流が流れる場合には、ポリスイッチRTの抵抗値によって、DC24Vの電源ラインが開放状態となる。
【0049】
フォトカプラPCの発光ダイオードDは、出力トランジスタQaがON動作することを条件に、順方向電流が流れて発光するよう構成されている。そして、発光ダイオードDが発光すると、フォトカプラPCのフォトトランジスタTrがON動作する。図示の通り、フォトトランジスタTrのコレクタ端子には、駆動電圧DC24Vが供給され、エミッタ端子は、電流制限回路82に接続されている。
【0050】
電流制限回路82は、PNP型トランジスタQ3と、コレクタ抵抗R4、バイアス抵抗R10と、払出モータMOの電流検出抵抗R13と、バイアス抵抗R5と、コンデンサC1と、NPN型トランジスタQ4と、電流制限抵抗R8と、逆方向電流阻止用のダイオードD2とで構成されている。
【0051】
トランジスタQ3のエミッタ端子は、フォトカプラPCのトランジスタTrのエミッタ端子と、電流制限抵抗R8とに接続されている。そして、トランジスタQ3のエミッタ端子とベース端子の間には、電流制限抵抗R8とダイオードD2とが直列接続され、ダイオードD2のカソード端子が、トランジスタQ3のベース端子に接続されている。また、ダイオードD2のカソード端子は、トランジスタQ4のコレクタ端子に接続され、そのエミッタ端子はグランドに接続されている。トランジスタQ4のベース端子は、並列接続されたコンデンサC1及び抵抗R5を通して、グランドに接続されている。
【0052】
また、トランジスタQ4のベース端子は、抵抗R10を通して、NチャンネルMOSトランジスタQ5のソース端子に接続されている。NチャンネルMOSトランジスタQ5のソース端子とグランドとの間に、抵抗R13が接続されて、払出モータMOの駆動電流を監視している。なお、電流検出抵抗R13は、0.51Ω程度である。
【0053】
駆動制御回路83は、NチャンネルMOSトランジスタQ5と、バイアス抵抗R9と、コンデンサC3とで構成されている。ここで、MOSトランジスタQ5のドレイン端子は、払出モータMOの(−)端子に接続されている。そして、ベース端子とソース端子との間には、並列接続された抵抗R9及びコンデンサC3が接続されている。
【0054】
制動回路84は、PチャンネルMOSトランジスタQ6と、分圧用のバイアス抵抗R11,R12,R6,R7と、コンデンサC2と、逆方向電流阻止用のダイオードD1とで構成されている。PチャンネルMOSトランジスタQ6のソース端子とドレイン端子は、各々、払出モータMOの(+)端子と(−)端子に接続されている。したがって、PチャンネルMOSトランジスタQ6がON動作すると払出モータMOの駆動が禁止されることになる。
【0055】
一方、MOSトランジスタQ6のソース端子とゲート端子間には抵抗R11が接続され、ゲート端子とグラントとの間には、バイアス抵抗R12,R6,R7が直列接続されている。そして、抵抗R12と抵抗R6の接続点には、ダイオードD1のカソード端子が接続されている。一方、ダイオードD1のアノード端子は、フォトカプラPCのトランジスタTrのエミッタ端子と、抵抗R8とに接続されている。
【0056】
以上を踏まえて、メダル払出動作を説明する。先ず、主制御部50の通電トランジスタQbと出力トランジスタQaがON状態となった場合(ST15)について、図8に基づいて説明する。この場合には、出力トランジスタQaとフォトカプラPCがON動作した後、適宜な遅延時間の後、モータ駆動電源24Vの給電動作が開始される。
【0057】
すると、DC5V→トランジスタQa→エミッタ抵抗Re→フォトカプラの発光ダイオードD→グランドラインの経路で、ON電流Ionが流れる。そのため、フォトカプラのフォトトランジスタTrもON状態となり、トランジスタTrを通過する直流電流は、モータ駆動電源24V→ダイオードD1→抵抗R6→R7の経路に流れる。
【0058】
また、トランジスタTrを通過する直流電流は、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R13の経路と、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R10→R5の経路にも流れる。その結果、トランジスタQ5はON状態となり、ポリスイッチRT→払出モータMO→トランジスタQ5の経路でモータ駆動電流が流れ、払出モータMOが回転する。
【0059】
この時、電流制限回路82は、過大なモータ駆動電流が流れることを防止する負帰還回路として機能する。すなわち、モータ駆動電流は、電流検出抵抗R13に流れるので、仮に、モータ駆動電流が大きく増加すると、トランジスタQ4のベース電位が増加して、抵抗R8→ダイオードD2経路でコレクタ電流が流れる。
【0060】
すると、トランジスタQ4とトランジスタQ3とは、サイリスタ構造を有して接続されているので、トランジスタQ4のコレクタ電流の増加が、トランジスタQ3のコレクタ電流の増加をもたらし、抵抗R5を経由してトランジスタQ4のコレクタ電流を益々増加させることで、2つのトランジスタQ3,Q4は、ON動作に向けた正帰還ループを形成する。
【0061】
一方、トランジスタQ4のコレクタ電流が飽和電流に向けて増加すると、ダイオードD2のアノード端子の電位が降下するので、トランジスタQ5をOFF動作させる向きの負帰還ループが形成される。したがって、トランジスタQ5の動作に基づいて、過大なモータ駆動電流が流れることが防止され、モータ駆動電流が所定範囲に維持される。
【0062】
ところで、払出モータMOが駆動されているタイミングでは、トランジスタQ6は、OFF状態である。それは、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R7の経路で電流が流れると共に、ダイオードD1→抵抗R6→抵抗R7の経路でも電流が流れるので、抵抗R11と抵抗R12の両端電圧が、トランジスタTrの飽和電圧VCEとダイオードの順方向電圧降下VFからVCE+VF≒1Vに抑制されるからである。
【0063】
次に、図9に基づいて、主制御部50の通電トランジスタQbと出力トランジスタQaがOFF状態となった場合(ST13)の動作を説明する(払出停止状態)。
【0064】
この場合には、出力トランジスタQaがOFF状態であるのでフォトカプラPCに電流が流れず、トランジスタQ3,Q4,Q5はON状態とならない。但し、コンデンサCaのため、しばらくは、モータ駆動電源24Vの給電動作が維持される。そのため、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R7→グランドの経路では電流が流れる。ここで、抵抗R11の両端電圧は、24*R11/(R11+R12+R6+R7)≒3Vとなるよう設定されているので、このソース端子とゲート端子間の電圧によってトランジスタQ6はON状態となる。
【0065】
このトランジスタQ6のON動作は、フォトカプラPCのONからOFFへの遷移時に実行されるので、誘導性を有する払出モータMOの駆動電流は、瞬間的にトランジスタQ6のコレクタ電流として吸収され、払出モータMOの回転にブレーキがかかる。そのため、本実施例の構成によれば、慣性力によってメダルが過払いされることがない。
【0066】
以上の通り、本実施例によれば、メダル払出制御基板55は、違法行為の可能性を低減している。すなわち、払出停止状態において、仮に、メダル払出ラインPAY(出力トランジスタQaのエミッタ端子)をグランドに短絡させても、トランジスタQaがOFF状態を維持しているので、払出モータMOを回転させることはできない。
【0067】
また、DC24Vを悪用して、フォトカプラPCをON動作させようとしても、駆動パルスSGがLレベルとなると、適宜な遅延時間(τ)後にモータ駆動電源24Vの給電動作が停止されるので、違法にメダルを払出すことができない。
【0068】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定する趣旨ではなく、適宜に変更可能である。例えば、先の実施例ではスロットマシンについて説明したが、遊技球の払出処理をDCモータで実現する弾球遊技機においては、本発明が好適に適用される。
【0069】
また、実施例では、バイポーラ型トランジスタを使用したが、特に限定されず、FET型のトランジスタを使用しても良い。また、通電トランジスタQbについては、絶縁ゲートバイポーラトランジスタIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を使用するのも好適である。また、個別の素子を使用する必要はなく、例えば、図10に示すように、アナログスイッチA−SWを使用しても良いのは勿論である。
【0070】
更にまた、図11に示すように、主制御基板50と、メダル払出制御基板55とを二本の配線で接続するのも好適である。この場合には、DC24Vのモータ駆動電源が、メダル払出信号PAYを兼用しており、通電トランジスタQbと、制御トランジスタQcとがON動作することを条件に、払出モータMOの回転が開始される。なお、コンデンサCaは、大容量のキャパシタンス素子であり、その機能は、図8の実施例の場合と同様である。また、電流制限回路82、駆動制御回路83、及び制動回路84の機能も図8の実施例の場合と同様である。
【0071】
また、主制御基板50と、メダル払出制御基板55とを二本の配線で接続する場合、DC24Vを通電制御する通電トランジスタQbと制御トランジスタQcとを設けることは、必ずしも必須ではなく、図12に示すように、グランドラインを通電制御する通電トランジスタQbだけで払出モータMOを回転制御するのも好適である。
【符号の説明】
【0072】
MO 払出モータ
50 上流側制御部
55 払出制御部
PC インタフェイス素子
PAY 払出信号
CN4 配線コネクタ
SL 遊技機(スロットマシン)
Qa 第一スイッチ回路
Qb 第二スイッチ回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタフェイス素子をON動作させる払出信号を伝送する信号ラインと、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、
払出モータは、給電ラインと、グランドラインと、信号ラインの3本の信号によって回転可能に構成され、
上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作して、有意レベルの払出信号を払出制御部に出力する第一スイッチ回路と、ON状態の制御信号を受けてON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を払出制御部に出力する第二スイッチ回路とが設けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
第二スイッチ回路の出力側には、払出信号のレベル変化に遅れて、駆動電源の給電を制御する遅延部が設けられている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遅延部は、上流側制御部に配置される請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
遅延部は、払出制御部に配置される請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
払出モータは、直流モータで構成されている請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項6】
インタフェイス素子は、フォトカプラで構成されている請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。
【請求項7】
払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、
払出モータは、給電ラインと、グランドラインとの2本の信号によって回転可能に構成され、
上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作する第一スイッチ回路と、第一スイッチ回路のON動作に対応してON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を払出制御部に出力する第二スイッチ回路とが設けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項8】
払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、
払出モータは、給電ラインと、グランドラインとの2本の信号によって回転可能に構成され、
上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作してグランドラインを通電させる通電スイッチ回路が設けられ、通電スイッチ回路のON動作に対応して払出モータが回転を開始するよう構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項9】
払出制御部には、払出モータの駆動電流を検知して過大な駆動電流を抑制する負帰還回路が配置されている請求項1〜8の何れかに記載の遊技機。
【請求項10】
払出制御部には、払出モータの回転停止時にON動作する制動回路が配置されている請求項1〜9の何れかに記載の遊技機。
【請求項1】
インタフェイス素子をON動作させる払出信号を伝送する信号ラインと、払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、
払出モータは、給電ラインと、グランドラインと、信号ラインの3本の信号によって回転可能に構成され、
上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作して、有意レベルの払出信号を払出制御部に出力する第一スイッチ回路と、ON状態の制御信号を受けてON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を払出制御部に出力する第二スイッチ回路とが設けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
第二スイッチ回路の出力側には、払出信号のレベル変化に遅れて、駆動電源の給電を制御する遅延部が設けられている請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遅延部は、上流側制御部に配置される請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
遅延部は、払出制御部に配置される請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
払出モータは、直流モータで構成されている請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項6】
インタフェイス素子は、フォトカプラで構成されている請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。
【請求項7】
払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、
払出モータは、給電ラインと、グランドラインとの2本の信号によって回転可能に構成され、
上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作する第一スイッチ回路と、第一スイッチ回路のON動作に対応してON動作して、給電ラインを経由して駆動電源を払出制御部に出力する第二スイッチ回路とが設けられていることを特徴とする遊技機。
【請求項8】
払出モータを駆動する駆動電源を供給する給電ラインと、グランドラインとを、配線コネクタを経由して、上流側制御部から受ける払出制御部を有し、
払出モータは、給電ラインと、グランドラインとの2本の信号によって回転可能に構成され、
上流側制御部には、ON状態の制御信号を受けてON動作してグランドラインを通電させる通電スイッチ回路が設けられ、通電スイッチ回路のON動作に対応して払出モータが回転を開始するよう構成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項9】
払出制御部には、払出モータの駆動電流を検知して過大な駆動電流を抑制する負帰還回路が配置されている請求項1〜8の何れかに記載の遊技機。
【請求項10】
払出制御部には、払出モータの回転停止時にON動作する制動回路が配置されている請求項1〜9の何れかに記載の遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−81534(P2013−81534A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221940(P2011−221940)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】
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