説明

遊技機

【課題】回胴式遊技機において、回胴演出とフリーズ演出との演出作動を統一化し、遊技制御ロジックのコード圧縮を図る。
【解決手段】ステッピングモータMは、励磁信号[1]を入力した場合には複数相のコイルABCDが励磁し、非励磁信号[0]を入力した場合にはコイルABCDは励磁しないようになっている。モータ制御手段125は、所定の回胴停止演出制御データに基づいて、ステッピングモータMのモータ駆動回路62に、全相のコイルを励磁させないための信号[0]を出力することにより、ロータRを停止位置に留め、回胴停止演出制御データに基づき所定回数の信号出力が終了するまで回転リール40を回転させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、役抽選を行い、スタートスイッチの操作により回転リールなどの図柄表示手段が変動し、ストップスイッチの操作によってそれらの変動を停止させるようにした遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機、例えばスロットマシンにおいては、種々の態様で当選の報知演出が行われるように形成されている。例えば、引用文献1には、スタートスイッチの操作時に、遊技の進行を一時停止するいわゆるフリーズ演出の実行の有無を抽選により決定し、フリーズ演出の実行が決定された場合には、フリーズ演出時間を設定し、フリーズ演出時間が経過するまで、回転リールを連続して不回転(フリーズ)状態においたまま待機することが記載されている。
このように、回転リールを回転させない演出(フリーズ演出)を行う場合には、タイマーをセットして、時間により演出期間を管理していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−104402号公報(図7、0117、0118)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、回転リールを通常の回転態様と異なる態様(例えば逆転、低速回転など)で回転させる、いわゆる回胴演出が知られている。このような回胴演出を行う場合には、回転リールを種々の態様で回転させるための制御データに基づき、演出実行処理が行われる。そして、回胴演出と上述したフリーズ演出の双方を実行可能な仕様とした場合には、回胴演出を実行させる場合と、フリーズ演出を実行させる場合とで、異なる制御方法で制御を行っていたので、遊技を制御する主制御装置に負担がかかっていた。また、近年では、当選状態に応じストップスイッチの操作順番を設定するために多くの種類の当選役が設けられたり、当選役以外にも遊技状態の移行契機となる図柄組合せが設定されたりしている。これらの情報を記憶する領域の拡大や遊技結果判定の処理が複雑化する中で、遊技制御装置にかかる負担をできる限り減らしたいという要請がある。
【0005】
そこで本願発明は、回胴式遊技機において、停止操作が有効となる前に実行される回胴演出とフリーズ演出との演出作動を統一化し、遊技制御ロジックのコード圧縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した目的を達成するためになされたものであり、本発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、複数のステッピングモータ(M)にそれぞれ軸着され表面に複数の図柄が表示された複数の回転リール(40)と、前記回転リール(40)を回転開始させるためのスタートスイッチ(30)と、回転中の前記回転リール(40)を個々に停止させるためのストップスイッチ(50)と、複数の図柄の組合せからなる役について当選か否かの役抽選を行うための役抽選手段(100)と、前記スタートスイッチ(30)及びストップスイッチ(50)の操作に基づき、前記各ステッピングモータ(M)の駆動及び駆動停止を制御して、前記回転リール(40)を回転又は回転停止させるためのモータ制御手段(125)とを少なくとも備え、前記スタートスイッチ(30)の操作後、前記ステッピングモータ(M)が駆動開始し、あらかじめ設定された停止可能要件が満たされた後に前記ストップスイッチ(50)の操作を有効とし、前記ストップスイッチ(50)の操作に基づき回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が、あらかじめ定められた組合せとなった場合に、所定の利益が付与されるとともに、前記スタートスイッチ(30)の操作後、前記ストップスイッチ(50)の操作を有効とするまでの間に、前記回転リール(40)の回転態様による回胴演出を実行可能に形成された遊技機に係る。
【0007】
本発明に係る遊技機は、スロットマシンやパロット遊技機とすることができ、上記構成の他にも、入賞時に遊技媒体を払い出すための払い出し装置(ホッパーユニット65)その他の構成部品を備えていてもよい。なお、「遊技媒体」とは、遊技に使用するメダルや遊技球(パチンコ球)、コインなどを含むものである。
前記ステッピングモータ(M)は、複数相のコイル(A,B,C,D)を備え、コイルを所定の順番で励磁させることによりロータ(R)が所定の方向に回転し、ロータ(R)に連結された駆動軸が回転することにより回転リール(40)が所定の方向に回転するように形成されている。
前記モータ制御手段(125)は、スタートスイッチ(30)の操作信号受信を契機に、複数のステッピングモータ(M)にそれぞれ、コイルを励磁させるための駆動信号を出力して、回転リール(40)の回転速度が一定になるまでステッピングモータ(M)を加速回転させ、その後は一定速度を保ったままステッピングモータ(M)を回転させることができるものである。また、ストップスイッチ(50)の操作信号受信を契機に、対応するステッピングモータ(M)にそれぞれ駆動停止信号を出力して、回転リール(40)の回転を停止させるものである。この際、役抽選の結果が「ハズレ」の場合にはいかなる当選図柄も有効ライン上に揃わないように、役抽選の結果が所定の役に当選(当たり)の場合には当該当選図柄が極力有効ライン上に揃うように、各ステッピングモータ(M)に駆動停止信号を出力する時間を遅らせる制御を行うものである。
【0008】
ここで、「あらかじめ設定された停止可能要件」とは、例えば、所定の遊技制限時間(いわゆるウエイト時間)が経過していることや、回転リール(40)の回転速度があらかじめ定められた定常回転速度に達したことや、回転リール(40)の図柄の現在位置(回転リール(40)の回転角度)を把握するための位置確認ができたことなどが含まれる。
また、「所定の利益が付与される」とは、入賞による遊技媒体の払い出しや、次遊技を遊技媒体の投入無しで実行可能とする(再遊技)ことや、有利遊技(ボーナスゲーム)に移行することが含まれる。
そして、本発明においては、前記スタートスイッチ(30)の操作に基づき設定される回転リール(40)の制御データとして、前記回転リール(40)に通常の回転を行わせるための通常回転制御データと、前記回転リール(40)により所定の回胴演出を実行させるための回胴演出制御データとを備え、前記回胴演出制御データには、前記回転リール(40)を回転させない回胴停止演出を実行させるための回胴停止演出制御データが含まれ、前記モータ制御手段(125)は、前記回胴演出が行われない場合には、前記スタートスイッチ(30)の操作後、前記通常回転制御データに基づき、前記ステッピングモータ(M)のロータ(R)を回転させるための信号を出力し、前記ステッピングモータ(M)を駆動させて前記回転リール(40)を所定の加速度で回転させ、前記回胴停止演出が行われる場合には、前記スタートスイッチ(30)の操作後、前記回胴停止演出制御データに基づき、前記ステッピングモータ(M)のロータ(R)を停止している位置に留めておくための信号を出力し、前記ステッピングモータ(M)を駆動させないことにより、前記回胴停止演出制御データに基づく処理が終了するまでの間、前記回転リール(40)を回転させないように形成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、「ロータを回転させるための信号」には、ロータ(R)が回転可能となる出力パターンでコイル(A,B,C,D)を順次励磁させるための駆動パルスが含まれ、駆動パルスをそのような態様でステッピングモータ(M)に出力させるためのコマンド(励磁信号)も含まれる。また、「ロータを停止している位置に留めさせるための信号」には、ロータ(R)が回転不能となる出力パターンでコイル(A,B,C,D)を励磁させるための駆動パルスが含まれ、ロータ(R)が回転不能となる出力パターンには、全てのコイル(A,B,C,D)を同時に励磁させる出力パターンが含まれる。また、「ロータを停止している位置に留めさせるための信号」には、駆動パルスをステッピングモータ(M)に出力させないためのコマンド(非励磁信号)も含まれる。例えば、モータ制御手段(125)が信号[1]を出力した場合にはコイル(A,B,C,D)が励磁し、信号[0]を出力した場合にはコイル(A,B,C,D)が励磁しないように形成することができる。
【0010】
前記「通常回転制御データ」は、回転リール(40)があらかじめ定められた加速度で加速するように、駆動パルス又は所定のコマンドの出力タイミング及び回数を規定したものとすることができる。前記「回胴停止演出制御データ」は、回転リール(40)が回転しないように、駆動パルス又は所定のコマンドの出力タイミング及び回数を規定したものとすることができる。また、「回胴停止演出制御データに基づく処理が終了」とは、回胴停止演出制御データに規定された回数だけ所定の信号出力が実行されることである。
(作用)
本発明においては、例えば役抽選の結果、所定の役が当選した場合などに、回胴演出を実行するか否かが決定される。そして、回胴演出を実行しない場合には、スタート操作後、通常回転制御データに基づきステッピングモータ(M)が駆動開始して、回転リール(40)が通常の挙動で回転開始する。すなわち、あらかじめ定められた方向にあらかじめ定められた加速度で加速し、あらかじめ定められた定常回転速度に達したら、定常回転速度を保持して回転する。
【0011】
一方、回胴停止演出を実行する場合には、スタート操作後、ステッピングモータ(M)を駆動させるための制御データとして回胴停止演出制御データが設定され、回胴停止演出制御データに基づきモータ制御手段(125)から所定の信号が出力される。信号出力によって、回転リール(40)は同一のステップ位置に居続け、回転することはない。この際行われる処理は、回胴停止演出制御データに基づき所定回数の信号出力を実行するだけであり、経過時間などは判断する必要がない。そして、回胴停止演出制御データに基づく処理が終了したら、通常回転制御データが設定され、通常回転が開始されるようにすることができる。
【0012】
本発明によれば、回胴停止演出制御データによっていわゆるフリーズ演出が実行可能となる。そして、回胴演出制御データとして、回転リール(40)を通常回転とは異なる回転態様(例えば逆回転や振動や低速回転など)で回転させるためのデータが設けられており、そのような回胴演出が実行可能である場合でも、当該回胴演出を実行させるための手順と、フリーズ演出を実行させるための手順を別々に設ける必要がない。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、前記モータ制御手段(125)は、前記回胴演出実行時において、前記ステッピングモータ(M)のロータ(R)を停止している位置に留めておくために、前記ステッピングモータ(M)の複数相のコイル(A,B,C,D)の少なくともいずれかを励磁させるための信号を、前記ロータ(R)が回転不能な出力パターンで出力可能に形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、ステッピングモータ(M)に所定の駆動パルスを出力するけれども、ステッピングモータ(M)を駆動させないようにしたものである。「ロータ(R)が回転不能な出力パターン」とは、そのような出力パターンに従って複数相のコイル(A,B,C,D)を励磁させても、ロータ(R)が回転しないような励磁信号の出力パターンであって、例えば、全てのコイル(A,B,C,D)の励磁状態が継続するような出力パターンや、全てのコイル(A,B,C,D)が同じタイミングで励磁状態と非励磁状態を繰り返すような出力パターンや、いずれかのコイルが励磁しているものの、ロータ(R)が回転しないような出力パターンが含まれる。
本発明によれば、モータ制御手段(125)から出力された所定のコマンドに基づき駆動パルスを発信させるかさせないかを選択する手段(スイッチング回路)などを設ける必要がなく、励磁プログラムだけ変更すれば、既存の回路手段を用いて制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成されているので、回胴式遊技機において、停止操作が有効となる前に実行される回胴演出とフリーズ演出との演出作動を統一化し、遊技制御ロジックのコード圧縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの外観正面図である。
【図2】本発明の実施の形態であって、スロットマシンの入力、出力及び制御装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態であって、ステッピングモータの構成の概略説明図である。
【図4】本発明の実施の形態であって、ステッピングモータへの信号出力パターン及び加速テーブルの概念図を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態であって、通常回転時の加速期間におけるステッピングモータの励磁パターンの概略説明図である。
【図6】本発明の実施の形態であって、回胴演出実行時におけるステッピングモータの励磁パターンの概略説明図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるスロットマシンの作動の概略を示す流れ図である。
【図8】スロットマシンの作動のうちリール回転開始処理を示す流れ図である。
【図9】リール回転開始処理のうち、加速処理及び回胴演出実行処理を示す流れ図である。
【図10】本発明の実施の形態の変形例であって、回胴演出実行時におけるステッピングモータの励磁パターンの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施の形態を、遊技機としてスロットマシンを例に、図面に基づき説明する。
(スロットマシン10)
スロットマシン10は、図1に示すように、四角箱状の筐体11を有する。この筐体11には、遊技者側に向かって臨む正面パネル12が形成されており、さらに正面パネル12には、3個の回転リール40(41,42,43)の図柄を見ることができる図柄表示窓13が形成されている。そして、スロットマシン10の略中央端部には、メダル投入口14が設けられている。
スロットマシン10の内部には、ホッパーユニット65と、スロットマシン10の全体の動作を制御するための制御装置20が内蔵されている。
【0017】
(制御装置20)
上記制御装置20は、図示しないが、CPUを中心に構成され、ROM、RAM、I/O等を備えている。ここでCPUは、1個に限定されず、二個以上のCPUで制御するようにしてもよい。また、CPU、ROM、RAM及びI/O等は一体化されてワンチップを構成してもよい。そして、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み込むことで、図2に示すように、遊技制御装置21及び演出制御装置22を構成する。
遊技制御装置21は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作により、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものである。演出制御装置22は、遊技制御装置21からの出力信号、スタートスイッチ30等の操作手段の操作信号に基づいて、ランプ68やスピーカ69等の演出表示装置66を制御するためのものである。
【0018】
上記制御装置20の入力側には、図2に示すように、投入スイッチ15、ベットスイッチ16、精算スイッチ17、スタートスイッチ30、ストップスイッチ50、インデックスセンサ61の各パーツが接続されている。
投入スイッチ15は、図1に示すように、メダル投入口14の下方に内蔵された検知センサであって、投入された遊技メダルを検知するためのものである。ベットスイッチ16は、図1に示すように、図柄表示窓13の下方に位置するボタンスイッチであって、クレジットをメダル投入に代えるためのものである。
ここで、クレジットとは、次遊技以降に使用するためのメダルをあらかじめ遊技機内部に貯留しておくことであり、スロットマシン10は、メダル投入口14から投入され投入スイッチ15を通過した遊技メダル、又は入賞により払い出される遊技メダルを、最大50枚まで、遊技機内部に貯留する扱いができるように形成されている。
【0019】
精算スイッチ17は、図1に示すように、図柄表示窓13の斜め下方に位置するボタンスイッチであって、クレジットを払い戻すためのものである。
スタートスイッチ30は、図1に示すように、図柄表示窓13の斜め下方に位置するレバーであって、遊技メダルの投入若しくはベットスイッチ16の押下を条件に、又は、「再遊技(Replay)」時には前遊技から所定時間経過を条件に、リールユニット60の駆動を開始させるためのものである。また、スタートスイッチ30の筐体内部側には、特に図示しないが、接触により通電する接触センサ、あるいはレバーの押下による揺動を検知する遮光センサが設けられていて、レバー押下が検知されるとともに、当該検知信号が操作信号として制御装置20に出力されるようになっている。
【0020】
ストップスイッチ50は、リールユニット60の駆動を停止させるためのものである。具体的には、ストップスイッチ50は、図1に示すように、各回転リール40に対応した3個の停止ボタンから構成され、各回転リール40の下方に1個ずつ配置されている。各停止ボタンの筐体内部側には、特に図示しないが、接触により通電する接触センサ、あるいはボタンの押下による移動を検知する遮光センサが設けられていて、ボタンの押下が検知されるとともに、当該検知信号が操作信号として制御装置20に出力されるようになっている。
そして、回転リール40に対応したストップスイッチ50の操作により、当該対応した回転リール40が回転を停止するように設定されているものである。すなわち、右側の停止ボタンの操作により右リール41を停止させることができ、中央の停止ボタンの操作により中リール42を、左側の停止ボタンの操作により左リール43を、それぞれ停止させることができる。
【0021】
インデックスセンサ61は、特に図示しないが、リールユニット60の枠体に設けられた検知部であって、回転リール40の回転を検知するためのものである。具体的には、インデックスセンサ61は、各回転リール40にそれぞれ1個ずつ配置された遮光センサとすることができ、回転リール40に設けられたスタートインデックス(図示せず)が受光部と発光部の間を通過したときに、検知信号を出力可能に形成されている。
前記制御装置20の出力側には、図2に示すように、リールユニット60、ホッパーユニット65、演出表示装置66(画像表示部67及びランプ66及びスピーカ69)、停止操作無効解除報知部55の各パーツが接続されている。
【0022】
リールユニット60は、特に図示しないが枠体に固定あるいは支持された3個のステッピングモータMと、各々のステッピングモータMの駆動軸に固定された左リール41、中リール42、右リール43(図1参照)の3個の回転リール40から構成されている。また、リールユニット60には、ステッピングモータMを駆動させるためのモータ駆動回路62が設けられている。
ここで、ステッピングモータMは、図3に示すように、4相のコイルA,B,C,Dを有しており、各相のコイルA,B,C,Dが順次励磁されることにより、ロータRが回転駆動するものである。ロータRは駆動軸に連結されており、ロータRが回転することにより駆動軸が回転し、回転リール40が回転する。各相のコイルA,B,C,Dは、モータ駆動回路62のトランジスタTR1〜TR4に所定の駆動パルスが供給されることにより励磁する。本実施の形態においては、ステッピングモータの駆動方式として、4相のコイルA,B,C,Dのうち1つが励磁した状態となる1相励磁とA,B,C,Dのうち2つが励磁した状態となる2相励磁とが交互に繰り返される1−2相励磁方式を実行可能となっている。また、本実施の形態においては、モータ駆動回路62には、入力端子a〜dと、トランジスタTR1〜TR4との間に、スイッチング回路Sa,Sb,Sc,Sdが設けられているが、これについては後述する。
【0023】
各回転リール40は、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されたテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面(表面)には、複数個(例えば21個)の図柄が表示されている。
そして、スロットマシン10を正面視したとき、図柄表示窓13からは、各回転リール40の図柄がそれぞれ3個ずつ視認できるようになっている。具体的には、図柄表示窓13の左側には、左リール41の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができ、図柄表示窓13の中央には、中リール42の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができ、図柄表示窓13の右側には、右リール43の図柄のうち、上段に位置する図柄、中段に位置する図柄、下段に位置する図柄を見ることができる。
【0024】
また、特に図示しないが、各回転リール40には、リールユニット60に設けられたインデックスセンサ61に検知される検知部としてのスタートインデックスが設けられている。スタートインデックスは、例えば回転ドラムの内側や回転ドラムとステッピングモータMをつなぐスポークに設けられた突片とすることができる。
ホッパーユニット65は、図1に示すように、筐体11の内部に設けられた払い出し装置であって、遊技の結果に基づいて、遊技者にメダルを払い出すためのものである。
停止操作無効解除報知部55は、ストップスイッチ50の操作が有効になったことを遊技者に報知するための報知部である。本実施の形態においては、ストップスイッチ50の停止ボタンを透光部材で形成するとともに内部に発光体(例えばLED)を設け、発光体の発光色を変化させることにより、ストップスイッチ50の操作が有効になったことを報知するようになっている。例えば、遊技開始(メダル投入又はベット)後、あらかじめ設定された停止可能要件が満たされるまでの間は、停止ボタンを赤色に発光させ、前記停止可能要件が満たされた場合には、停止ボタンを青色に発光させる。なお、停止可能要件の詳細については後述する。
【0025】
演出表示装置66は、演出制御装置22の制御により、入賞等を報知させるなど、種々の演出を行うものである。具体的には、演出表示装置66は、画像表示部67及びランプ68及びスピーカ69から構成されている。画像表示部67は、回転リール40の側方に設けられた窓部であり、LED、ドットマトリックス、液晶画面等を用いて、入賞の報知その他の演出を表示するためのものである。なお、画像表示部67としては上記のものに限られず、例えば演出専用の回転リールを設け、リールの図柄や文字等により演出を表示するようにしてもよい。ランプ68及びスピーカ69は、発光体の点灯又は点滅、入賞音の発生により入賞等を報知するためのものである。
【0026】
(遊技制御装置21)
次に、遊技制御装置21について詳述する。
遊技制御装置21は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作により、回転リール40の回転及び停止を制御するためのものである。そして、この遊技制御装置21は、図2に示すように、役抽選手段100、遊技状態制御手段110、リール制御手段120、回胴演出決定手段130、ホッパー制御手段140、遊技結果判定手段150の各手段として機能する。
(役抽選手段100)
役抽選手段100は、複数の回転リール40で表示される図柄の組合せから構成される所定の「役」について当選したか否かを抽選により決定するものである。具体的には、乱数発生手段としてのループカウンタのカウント値をスタートスイッチ30の操作信号受信のタイミングで読み取って記憶し、ROMに記憶されている役抽選テーブルと照合することにより、いずれかの役に当選したかあるいはいずれの役にも当選しなかった(ハズレた)かを判定する。
【0027】
ここで、本実施の形態に係るスロットマシン10は、前記役として、所定の図柄(例えばスイカ図柄、ベル図柄、チェリー図柄など)が有効ライン上に揃って停止することにより所定枚数の遊技メダルが払い出される小役(例えばスイカ役、ベル役、チェリー役など)と、所定の図柄(例えばリプレイ)が有効ライン上に揃って停止することにより次遊技において遊技メダルを新たに投入することなく再度の遊技を行える再遊技役と、所定の図柄(例えば7、Barなど)が有効ライン上に揃って停止することによりボーナスゲームに移行するボーナス役とを備えている。前記ボーナス役としては、レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)に移行するRBゲーム役と、ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)に移行するBBゲーム役とが設けられている。RBゲームは、小役の当選確率が高くなるよう設定されたゲーム期間であり、所定回数のゲーム消化又は所定回数の入賞により終了する。BBゲームは、RBゲームが連続して行われるように設定されたゲーム期間であり、払い出しメダル数が所定枚数を超えると終了する。
【0028】
なお、有効ラインとは、入賞、又は再遊技やボーナスが作動するために有効な図柄配列の並びを規定したラインであって、図1に示すように、図柄表示窓13の上段に位置する図柄を横一列に結ぶ上段ライン、図柄表示窓13の中央に位置する図柄を横一列に結ぶ中段ライン、図柄表示窓13の下段に位置する図柄を横一列に結ぶ下段ライン、図柄表示窓13の上段、中段、下段に位置する図柄を斜めに結ぶ斜めラインなどを設けることができ、遊技メダルの投入枚数や遊技状態に応じて有効となるラインの数や種類を変化させることができる。
前記役抽選テーブルとは、ループカウンタのカウント値を全領域として所定の数値領域を役に対応する当選領域に規定したものであり、特に図示しないが、スロットマシン10の出玉の設定ごとに、遊技状態に応じて設けられた複数の役抽選テーブルが設けられている。そして、上述の当選判定を行う際には、スロットマシン10の設定値や遊技状態に対応した役抽選テーブルが参照されるものとなっている。具体的には、役抽選テーブルとしては、通常のゲームの当選判定において参照される通常ゲーム用抽選テーブル、ボーナスゲームの当選判定において参照されるボーナス用抽選テーブル、及びボーナス役が持ち越されているゲーム(内部中ゲーム)の当選判定において参照されるボーナス内部中抽選テーブルがあり、これらが設定ごとに設けられている。
【0029】
そして、いずれかの役に当選したと判定した場合、すなわち、読み取ったカウント値が役抽選テーブルの所定の役の当選領域に含まれている場合には、当該役に対応した当選フラグを成立させる。当選フラグとしては、判定結果が小役当選である場合に成立する小役当選フラグ、前記判定結果がボーナス役当選である場合に成立するボーナス当選フラグ(BBフラグ、RBフラグ)、前記判定結果が再遊技役当選である場合に成立する再遊技当選フラグがある。小役当選フラグ及び再遊技当選フラグは、当該当選フラグが成立した遊技においてのみ有効であり、当該遊技が終了すれば消去(リセット)される。すなわち、小役及び再遊技役は、当選の権利を次遊技以降に持ち越すことができない。一方、ボーナス当選フラグは、当該ボーナス役を構成する図柄が有効ライン上に表示されるまで、次遊技以降に持ち越されるようになっている。
【0030】
(遊技状態制御手段110)
遊技状態制御手段110は、ボーナスゲームやボーナス内部中のゲームを制御するためのものである。具体的には、ボーナス役が当選した場合には、ボーナス内部中抽選テーブルを用いて役抽選が行われるように制御し、ボーナス役が表示された場合には、ボーナス用抽選テーブルを用いて役抽選が行われるように制御する。また、ボーナスゲーム中は、入賞メダルの払い出し枚数や遊技回数、入賞回数のカウントを行い、あらかじめ定められたカウント値に達したら通常ゲームに戻すように制御する。
(リール制御手段120)
リール制御手段120は、有効なスタートスイッチ30の操作信号に基づいて回転リール40の回転を制御するとともに、役抽選の結果及びストップスイッチ50の操作信号に基づいて回転リール40の回転停止を制御するためのものである。さらに、リール制御手段120は、あらかじめ設定された制御データに基づいて、回転リール40の回転態様を変化させる回胴演出を実行可能に形成されている。
【0031】
そしてリール制御手段120は、図2に示すように、加速度データ記憶手段121、停止データ記憶手段122、停止操作無効解除手段123、図柄判定手段124、モータ制御手段125の各手段を有している。
(加速度データ記憶手段121)
加速度データ記憶手段121は、回転リール40を回転させるステッピングモータMの駆動速度を制御するための制御データ(加速度データ)を記憶するものである。加速度データとしては、回転リール40の通常回転時(回胴演出が行われない場合の回転時)に用いられる通常回転制御データと、回胴演出実行時に用いられる回胴演出制御データとが設けられている。そして、本実施の形態においては、回胴演出制御データとして、回転リール40を一定時間回転させない回胴演出を実行させるための回胴停止演出制御データが設けられている。
【0032】
各制御データには、後述する駆動信号出力手段127がモータ駆動回路62に信号出力する際の出力パターンをテーブル上に規定した出力パターンテーブルと、出力パターンテーブルに基づく出力パターンを所定の周期で行わせ、ステッピングモータMの加速制御を行うための加速テーブルとが、それぞれ設けられている。すなわち、通常回転制御データには、通常回転時の通常出力パターンを規定した通常パターンテーブルと、通常回転時に用いられる通常加速テーブルが含まれ、回胴演出制御データには、回胴演出実行時の回胴演出出力パターンを規定した回胴演出パターンテーブルと、回胴演出実行時に用いられる回胴演出加速テーブルが含まれる。
【0033】
加速度データの概念図を、図4に示す。図4(A)は出力パターンテーブルを示し、図4(B)は加速テーブルを示す。上記したように、本実施の形態では、回胴演出制御データとして、回胴停止演出制御データが設けられているが、回胴停止演出制御データの回胴演出パターンテーブルとしては、図4(A)の(2)に示すフリーズパターンテーブルが設けられている。また、回胴停止演出制御データの回胴演出加速テーブルとしては、図4(B)の(2)に示すフリーズテーブルが設けられている。なお、回胴演出制御データとしては、回胴停止演出制御データに限られず、例えば回転リール40を逆転させたり、振動させたり、低速回転、高速回転など種々の挙動を生成させるためのデータが設けられているが、ここでは説明を省略する。また、各テーブルは一例であって、このような形態に限られるものではない。
【0034】
出力パターンテーブルについて説明する。図4(A)(1)の表の左欄0〜7の数字は各出力パターンの識別番号であり、A、B、C、Dは4相のコイルを示す。また、「1」は励磁を指令する信号(励磁信号)の出力、「0」は励磁させないことを指令する信号(非励磁信号)の出力を示す。換言すると、信号「1」の出力は励磁信号の出力、信号「0」の出力は非励磁信号の出力として、それぞれ位置づけられている。
具体的には、図4(A)(1)に示す通常パターンテーブルの識別番号0の出力パターンは、コイルAについて励磁信号を出力するとともに、コイルB、C、Dについて非励磁信号を出力するパターンであり、識別番号1の出力パターンは、コイルA、Bについて励磁信号を出力し、コイルC、Dについて非励磁信号を出力するパターンである。そして、識別番号0〜7の出力パターンで順次信号出力が行われることによりロータRが所定角度ずつ回転し、識別番号0〜7の出力パターンが所定の周期で繰り返されることにより、回転リール40が所定の加速度で回転するようになっている。
【0035】
一方、フリーズパターンテーブルは、全てのコイルA、B、C、Dについて非励磁信号を出力するパターンが規定された識別番号0の出力パターンのみが設定されている。従って、識別番号0の出力パターンで信号出力が行われても、ロータRは回転せず(停止位置に留まり)、識別番号0の出力パターンが所定回数繰り返されることにより、回転リール40が一定期間停止状態を保つようになっている。
次に、加速テーブルについて説明する。加速テーブルは、あらかじめ定められたタイマーの割り込みタイミングに応じて、適用される出力パターンを規定したものである。通常加速テーブルは、図4(B)(1)に示すように、通常パターンテーブルの0〜7の出力パターンが、所定回数(X回)繰り返されるようになっている。また、2回目以降の出力には、所定のタイミングが設定されている。例えば、2回目の出力は1回目の出力からt1(ms)経過後に行われ、3回目の出力は2回目の出力からt2(ms)経過後に行われる。t1〜txは、徐々に短くなるように設定されている(図5参照)。そして、タイマーの割り込みタイミングに応じた出力パターンを実行させ、ステッピングモータMを駆動させることにより、回転リール40が回転開始し、回転速度が所定の加速度で加速するようになっている。
【0036】
一方、フリーズテーブルは、図4(B)(2)に示すように、フリーズパターンテーブルの0の出力パターンが、所定回数(X回)繰り返されるようになっている。なお、X回は通常加速テーブルに規定されている回数と同数とは限らない。そして、タイマーの割り込みタイミングに応じた出力パターンを実行させることにより、X回の非励磁信号が出力されるまでの間、ステッピングモータMを駆動させないで、回転リール40を停止位置に留めておくことができるようになっている。なお、タイマーのt1、t2の数値は通常加速テーブルに規定されている数値と同じとは限らない。
なお、図4(A)(1)に示す出力パターンにおいて、励磁させるコイルの順番を逆にすれば、ステッピングモータMは逆転駆動する。また、駆動パルスの周波数(図4(B)に示すタイマーの設定時間)を変更することにより、同じ出力パターンでも、低速回転させたり、高速回転させることができる。すなわち、通常出力パターンを利用して、回胴演出加速テーブルを作成することができる。
【0037】
また、図示しないが、加速度データとしては、回転リール40をあらかじめ定められた定常回転速度(例えば80rpm)で回転させ続ける(つまり加速度0で回転させる)ための定常回転制御データが設けられており、通常加速テーブルに基づく加速処理が終了した場合には、定常回転制御データに基づく処理が行われるようになっている。定常回転制御データは、一定時間ごとに通常パターンテーブルに基づく出力パターンが実行される(すなわち一定の周波数で駆動パルスが出力される)ようにするためのプログラムである。
(停止データ記憶手段122)
停止データ記憶手段122は、ストップスイッチ50の操作信号により3個のステッピングモータMをそれぞれ駆動停止させ、3個の回転リール40の回転をそれぞれ停止させるための複数の停止データを記憶しているものである。
【0038】
停止データは、ストップスイッチ50の操作信号受信時に直ちに停止可能な所定位置にある基準図柄から、何コマ分移動させて回転リール40を停止させるかを、各図柄ごとにテーブル上に規定したものであり、当選図柄引き込み停止データと、ハズレ停止データとが設けられている。当選図柄引き込み停止データは、当選図柄の組合せが有効ライン上に停止し、かつ、当選図柄以外の図柄が有効ライン上に停止しないように、対応する回転リール40の停止位置をあらかじめ定められたコマ数の範囲内で規定してあるものである。ハズレ停止データは、いずれの役を構成する図柄組合せも有効ライン上に停止しないように、対応する回転リール40の停止位置をあらかじめ定められたコマ数の範囲内で規定してあるものである。
【0039】
(停止操作無効解除手段123)
停止操作無効解除手段123は、ストップスイッチ50の操作信号によって回転リール40の回転を停止可能な状態にするためのものである。
ここで、ストップスイッチ50の操作信号は、各回転リール40の停止中は当然のこと、回転リール40が回転開始した後においても、所定の遊技制限時間が経過しており、回転速度が定常回転に達し、かつ全ての回転リール40に対応するインデックスセンサ61が最初にインデックスを検知するまでの間は、有効にならないように形成されている。
ここで、前記遊技制限時間とは、いわゆるウエイト時間と呼ばれるものであって、遊技者が一定時間に過度のメダルを投入できないように、一回の遊技が終了した後であっても、所定の時間が経過していないと次遊技を行うことができないように設定された時間である。具体的には、1分間に使用される賭け金が400円を超えないこととする規則に基づき1ゲーム当たりの遊技時間を割り出したものであって、遊技開始から次の遊技開始までの間が4.1秒以上と規定されている。本実施の形態においては、回転リール40が回転開始してから4.1秒が経過するまでは、次の遊技でのストップスイッチ50が有効化しない(ステッピングモータMが駆動停止しない)ように形成されている。
【0040】
前記した期間は、ストップスイッチ50が効かない停止操作無効状態となる。これは、ストップスイッチ50の各検知センサと制御装置20とをつなぐ電気的接続経路中に、所定の信号遮断手段(図示せず)を設け、この信号遮断手段が作動しているときにはセンサの検知信号が制御装置20に通達せず、信号遮断手段が非作動のときにはセンサの検知信号が制御装置20に通達するように形成することによって実行可能である。信号遮断手段は、電気回路中に設けた論理回路手段やスイッチ手段であってもよいし、そのようなプログラムを制御装置20に組み込んだものであってもよい。
なお、本実施の形態では、回転リール40が定常回転に達したか否かの判断は特に行われず、その遊技において用いられる加速テーブルに基づく加速制御プログラムが終了した場合には、回転リール40が定常回転になったものとして扱われるようになっている。
【0041】
そして、停止操作無効解除手段123は、所定の加速処理が終了し、全ての回転リールについてインデックスセンサ61が最初にインデックスを検知した場合には、前記信号遮断手段を非作動状態にさせて、停止操作の無効を解除する。
(図柄判定手段124)
図柄判定手段124は、インデックスセンサ61の検知信号に基づいて各回転リール40の図柄の現在位置を、各回転リール40について認識するためのものである。
具体的には、図柄判定手段124は、回転リール40を1転させるための駆動パルス数をインデックスセンサ61の検知信号受信時にゼロクリアしつつカウントし、回転リール40の回転角度を把握して、特定の回転リール40の特定の位置、例えば図柄表示窓13の上段の位置、中段の位置、下段の位置に何の図柄が位置しているかを特定することができるようになっているものである。
【0042】
そして、図柄判定手段124は、有効なストップスイッチ50の操作信号受信時に、所定の有効ライン上に停止可能な位置にある図柄を基準図柄として記憶する。また、回転リール40が回転停止したときの停止図柄の情報を記憶する。
(モータ制御手段125)
モータ制御手段125は、スタートスイッチ30及びストップスイッチ50の操作信号を受信した場合に、加速度データ及び停止データに基づき3個のステッピングモータMの駆動及び駆動停止を制御して、回転リール40を回転又は回転停止させる制御を行うものである。そして、モータ制御手段125は、図2に示すように、加速度データ選択手段126、駆動信号出力手段127、停止データ選択手段128、停止信号出力手段129の各手段を有している。
【0043】
(加速度データ選択手段126)
加速度データ選択手段126は、回胴演出決定手段130の決定に基づいて、ステッピングモータMを駆動させる際に用いる加速度データを選択するものである。すなわち、回胴演出決定手段130が回胴演出の実行を決定した場合には、回胴演出制御データを選択し、回胴演出の実行が決定されない場合には、通常回転制御データを選択する。さらに、回胴演出制御データを選択した場合には、当該回胴演出制御データによる制御が終了した後、通常回転制御データを選択する。また、通常回転制御データによる制御が終了した後には、定常回転制御データを選択する。加速度データ選択手段126が加速度データを選択すると、駆動信号出力手段127が当該加速度データに基づき、ステッピングモータMの駆動を制御することになる。
【0044】
(駆動信号出力手段127)
駆動信号出力手段127は、前記加速度データ選択手段126が選択決定した加速度データに基づいて、ステッピングモータMを駆動させるための励磁信号及びステッピングモータMを駆動させないための非励磁信号を出力するものである。なお励磁信号及び非励磁信号を含めて、駆動信号というものとする。
具体的には、駆動信号出力手段127は、加速テーブルに設定されている所定の出力パターンに基づき、モータ駆動回路62(図3参照)の入力端子a〜dに、所定のタイミングで、励磁信号及び非励磁信号を出力するものである。
【0045】
駆動信号出力手段127は、投入スイッチ15が投入メダルを検知した場合、クレジットが「1」以上でベットスイッチ16が操作された場合、及びホッパーユニット65がメダルの払い出し中でないなど、所定の遊技開始要件を満たしており、かつ所定の遊技制限時間が経過していることを条件に、スタートスイッチ30の操作信号を受信した場合に、選択されている加速度データに基づく処理を開始する。
すなわち、駆動信号出力手段127は、加速度データ選択手段126により通常回転制御データが選択されている場合には、通常回転制御データに基づき、回転リール40が通常回転するようにステッピングモータMを制御する。具体的には、通常加速テーブルに規定されているタイミングで、通常加速テーブルに規定されている出力パターンに基づき、全てのステッピングモータMに対して、励磁信号及び非励磁信号を出力する。例えば、通常加速テーブルのあるタイミングでの出力パターンが、通常出力パターンのパターン0(図4(A)(1)参照)である場合には、全ての回転リール40に対応するステッピングモータMについて、コイルAに対応する入力端子a(図3参照)に励磁信号を出力し、コイルBに対応する入力端子b、コイルCに対応する入力端子c、コイルDに対応する入力端子dのそれぞれには非励磁信号を出力する。
【0046】
ここで、モータ駆動回路62には、図3に示すように、スイッチング回路Sa〜Sdが設けられている。スイッチング回路Sa〜Sdは、リレーやトランジスタであって、入力端子が信号[1]を入力した場合にはトランジスタTR1〜TR4を通電させるが、信号[0]入力した場合にはトランジスタTR1〜TR4を通電させないように形成されている。すなわち、励磁信号(信号[1])を入力した場合には駆動パルスを受信したものとして扱い、非励磁信号(信号[0])を入力した場合には駆動パルスを受信していないものとして扱うことができるようになっている。
そして、上記した出力パターンで信号出力が行われた場合には、コイルAに対応するトランジスタTR1には駆動パルスが供給されるが、コイルBCDに対応するトランジスタTR3,TR2,TR4には駆動パルスが供給されないこととなる。従って、パターン0によれば、コイルAのみが励磁する。また、次のタイミングでの出力パターンが、通常出力パターンのパターン1である場合には、コイルAに対応する入力端子a及びコイルBに対応する入力端子bに励磁信号を出力し、コイルCに対応する入力端子c及びコイルDに対応する入力端子dには非励磁信号を出力する。この場合、コイルA、Bに対応するトランジスタTR1,TR3には駆動パルスが供給されるが、コイルC、Dに対応するトランジスタTR2,TR4には駆動パルスが供給されないので、コイルA及びコイルBが励磁することとなる。
【0047】
上記したような信号出力が、通常加速テーブル(図4(B)(1)参照)に設定された所定時間(t1〜tx)ごとに行われることにより、通常加速時のコイルの励磁状態を表す図5に示すように、駆動パルスの周波数が徐々に増えていくとともに、各ステッピングモータMの4相のコイルABCDはそれぞれ、3パルス分ON、5パルス分OFFを繰り返し、次の相と2パルス分だけずれて励磁するパターンが生成される。これにより、回転リール40が所定の加速度で加速回転する。そして、通常加速テーブルに規定された回数だけ駆動信号の出力を繰り返した場合には、全ての回転リール30の回転速度が所定の定常回転速度に達するように設定されている。
【0048】
通常加速テーブルに基づく処理が終了した場合には、駆動信号出力手段127は、定常回転制御データに基づき、駆動パルスの周波数が一定に保たれるようにして定常回転速度で定速回転を行わせる。
一方、加速度データ選択手段126により回胴演出制御データが選択されている場合には、回胴演出制御データに基づき、所定の回胴演出が行われるようにステッピングモータMを制御する。そして、回胴演出制御データとして、回胴停止演出制御データが選択されている場合には、フリーズテーブル(図4(B)(2)参照)に規定されているタイミングで、当該テーブルに規定されている出力パターンに基づき、全てのステッピングモータMに対して、非励磁信号を出力する。本実施の形態では、出力パターンテーブルとしてのフリーズパターンテーブル(図4(A)(2)参照)は、全てのコイルA、B、C、Dについて非励磁信号を出力するパターンが規定された識別番号0の出力パターンのみが設定されている。従って、フリーズテーブルに基づく処理が終了するまで、4相のコイルはいずれも励磁しないでロータRは同じ位置に居続け、回転リール40は停止した状態を保つこととなる。この間、回胴演出を実行させるための停止操作無効期間を計測する必要はなく、フリーズタイマーのような時計測手段を設ける必要もない。
【0049】
回胴演出実行時のコイルの励磁状態を図6に示す。なお、図6では、駆動パルスの間隔(t1、t2など)が図5と異なっているが、駆動パルスの周波数は通常回転の加速時と同じにしてもよい。あるいは、本実施の形態における回胴演出は、回転リール40を回転させないものであるから、加速を考慮する必要がないので、駆動パルスの周波数を例えば定常回転時の周波数で等間隔に設定してもよい。
フリーズテーブルに基づく処理が終了した場合には、駆動信号出力手段127は、通常加速テーブルに基づき、回転リール40を通常回転させる。そして、通常加速テーブルに基づく処理が終了した場合には、定常回転制御データに基づき、回転リール40を定常回転させる。
【0050】
なお、加速テーブルに基づく制御は3個のリールモータMのそれぞれについて別個に行うことができ、回転リール40ごとに異なる挙動を発生させることができる。
(停止データ選択手段128)
停止データ選択手段128は、役抽選手段100による役抽選の結果に基づいて、停止操作されたストップスイッチ50に対応する回転リール40の回転を停止させるための停止データを選択するものである。具体的には、停止データ選択手段128は、役抽選の結果、所定の役が当選した場合には、当該役に対応する当選図柄引き込み停止データを選択し、抽選の結果がハズレの場合には、ハズレ停止データを選択する。
【0051】
(停止信号出力手段129)
停止信号出力手段129は、停止データ選択手段128の選択した停止データ、及び図柄判定手段124が記憶したストップスイッチ50の操作時の所定位置にある図柄(基準図柄)に基づいて、操作されたストップスイッチ50に対応する回転リール40のステッピングモータMの駆動を停止させるための(つまり停止操作された回転リール40の回転を停止させるための)停止信号を出力するためのものである。
具体的には、停止信号出力手段129は、いずれかのストップスイッチ50が操作されて図柄判定手段124が対応する回転リール40の基準図柄を記憶すると、選択されている停止データにおいて当該基準図柄で停止操作されたときに停止させる図柄としてあらかじめ定められている図柄が、所定の停止位置となったタイミングで、対応する回転リール40のステッピングモータMのモータ駆動回路62に停止信号を出力する。ここで、ステッピングモータMは、4相のコイル全てを同時に、一定時間、励磁状態とすることにより、ロータRの回転にブレーキがかかり、駆動停止するようになっている。すなわち、停止信号とは、ステッピングモータのコイルABCDを同時に励磁させるための励磁信号のことである。
【0052】
そして、当選図柄引き込み停止データが選択されている場合(つまり役抽選の結果が所定の役に当選の場合)において、停止信号出力手段129が停止データに基づいて停止信号を出力すると、基準図柄から所定コマ数の範囲内に当選図柄がある場合には、当該当選図柄を有効ライン上に引き込んで各回転リール40が停止する。一方、基準図柄から所定コマ数の範囲内に当選図柄がない場合には、その40では当選図柄を有効ライン上に引き込むことができず、全ての回転リールが停止したときに有効ライン上にはいかなる役も成立しない。また、ハズレ停止データが選択されている場合(つまり役抽選の結果がハズレの場合)には、停止信号出力手段129が停止データに基づいて停止信号を出力すると、全ての回転リールが停止したときに有効ライン上にいかなる役も成立しないように各回転リール40が停止するようになっている。
【0053】
(回胴演出決定手段130)
回胴演出決定手段130は、前述した回胴演出を実行するか否かを、遊技状態及び実行抽選によって決定するものである。
例えば、役抽選の結果、特定の役(例えばBBゲーム役)が当選した場合に、回胴演出を実行するか否かの実行抽選を行い、その抽選結果が演出の実行に当選した場合には、回胴演出の実行を決定する。実行抽選の方法は、役抽選と同様であり、所定時にピックアップした乱数と実行抽選テーブルを比較して行う。
なお、当選確率の異なる実行抽選テーブルを複数設け、毎ゲーム実行抽選を行うようにして、役抽選で特定の役が当選した場合には演出実行の確率が高く(例えば90%の割合)設定された実行抽選テーブルを用いて抽選を行い、それ以外の場合には演出実行の確率が低く(例えば1%の割合)設定された実行抽選テーブルを用いて抽選を行うようにしてもよい。
【0054】
(ホッパー制御手段140)
ホッパー制御手段140は、遊技結果判定手段150の判定結果及び精算スイッチ17の操作に基づいて、ホッパーユニット65を作動させメダルを払い出させるものである。すなわち、遊技結果判定手段150が払い出し小役の入賞を判定した場合には、当該小役入賞に応じたメダルを払い出し、クレジットが1以上ある場合に精算スイッチ17が操作されたときには、クレジットとして貯留されているメダルを払い出すようになっている。
(遊技結果判定手段150)
遊技結果判定手段150は、ストップスイッチ50の操作によって回転リール40が全て停止したときに、当該遊技の結果を判定するとともに、判定結果に基づく処理を行わせるための決定をするものである。
【0055】
具体的には、遊技結果判定手段150は、所定の役を構成する図柄が有効ライン上に表示された場合には、当該役に応じた利益付与の決定を行う。すなわち、小役図柄が有効ライン上に表示された場合には、役に応じた所定枚数のメダル払い出し決定を行い、リプレイ図柄が有効ライン上に表示された場合には、自動ベット決定を行い、ボーナス役図柄が有効ライン上に表示された場合には、遊技状態の移行決定を行う。さらに、演出制御装置22に所定の信号出力を行うことにより、演出表示装置66により、入賞やボーナスゲームへの移行に際して所定の演出が行われるようにすることもできる。
(スロットマシン10の作動)
次に、上記構成を有するスロットマシン10の作動の概略を、図7のフローに基づき説明する。
【0056】
まず、図7に示すステップ100において、スタートスイッチ30がONとなったか否かが判断される。スタートスイッチ30は、規定数のメダルがベットされた後に操作されることによりONとなる。スタートスイッチ30がONにならない場合には、ステップ100に戻る。一方、スタートスイッチ30がONとなった場合には、次のステップ101に進む。
ステップ101において、役抽選手段100による役抽選処理が行われ、次のステップ102において回胴演出決定手段130により演出抽選処理が行われる。そして、次のステップ103に進む。
ステップ103において、リール制御手段120により、回転リール40の回転開始処理が行われる。そして、次のステップ104に進む。
【0057】
ステップ104において、いずれかのストップスイッチ50がONとなったか否かが判断される。ストップスイッチ50がONとならない場合には、ステップ104に戻り、いずれかのストップスイッチ50がONとなった場合には、次のステップ105に進む。
ステップ105において、回転リール40の回転停止処理が行われる。そして、次のステップ106に進む。
ステップ106において、全ての回転リール40が停止したか否かが判定される。全リールが停止していないと判定された場合、ステップ104に戻り、全リールが停止したと判定された場合には、次のステップ107に進む。
【0058】
ステップ107において、遊技結果判定処理が行われる。そして、次のステップ108に進み、遊技結果に応じた処理が行われる。すなわち、所定の役を構成する図柄が有効ライン上に表示された場合には、入賞メダルの払い出しや、再遊技作動処理やボーナスゲームへの移行処理が行われ、1回の遊技が終了する。有効ライン上に停止した図柄組合せが何の役を構成するものでもない場合には、そのまま1回の遊技が終了する。
次に、上記ステップ103におけるリール回転開始処理について、図8及び図9のフローに基づき説明する。
まず、図8のステップ201において、回胴演出を実行するか否かが判断される。すなわち回胴演出決定手段130が演出の実行を決定したか否かが判断される。回胴演出を実行しない場合には、次のステップ202に進む。
【0059】
ステップ202において、遊技制限時間が経過しているか否かが判断される。遊技制限時間が経過していない場合にはステップ202に戻り、遊技制限時間が経過している場合には、次のステップ203に進む。
ステップ203において、通常回転制御の設定が行われる。通常回転制御の設定とは、通常回転の開始に必要な諸設定を行うことであり、具体的には、遊技の諸情報についてRAMに記憶されているデータの一部(例えばリール回転中フラグ)の初期化や、遊技制限時間やその他遊技に関する時間を計測するためのタイマーの設定や、ステッピングモータMの励磁ポインタの初期化や、加速度データとして通常回転制御データを取得することなどである。そして、次のステップ204に進む。
【0060】
ステップ204において、加速処理が行われる。すなわち、加速度データ選択手段126の選択した通常回転制御データに基づいて、駆動信号出力手段127が駆動信号の出力を開始する。ここで出力される駆動信号は、回転リール40の図柄が図柄表示窓13の上側から下側に移動するよう回転リール40を回転させるための正転駆動信号である。これにより、ステッピングモータMが駆動開始し、回転リール40が正回転を開始する。そして、次のステップ205に進む。
ステップ205において、定常回転処理が行われる。すなわち、加速度データ選択手段126の選択した定常回転制御データに基づいて、駆動信号出力手段127が駆動信号の出力を継続する。これにより、回転リール40が定常回転速度を保って回転する。そして、次のステップ206に進む。
【0061】
ステップ206において、インデックスセンサ61がスタートインデックスを検知した回転リール40の図柄位置判定を開始する。そして、次のステップ207に進む。
ステップ207において、全ての回転リール40のインデックスが検知されたか、すなわち全ての回転リール40について図柄位置判定が開始されたか否かが判断される。全ての回転リール40のインデックスが検知されていない場合にはステップ206に戻り、全ての回転リール40のインデックスが検知された場合には、次のステップ208に進む。
ステップ208において、停止操作の無効が解除される。このとき、停止操作無効解除表示部55に所定の解除表示がなされる。例えばストップスイッチ51のボタンが赤色発光から青色発光に変わる。そして、リール回転開始処理を終了する。
【0062】
前記ステップ201において、回胴演出を実行すると判断された場合には、ステップ210に進み、回胴演出制御の設定が行われる。回胴演出制御の設定とは、回胴演出の開始に必要な諸設定を行うことであり、具体的には、通常回転制御の設定で行われるRAMの初期化や、ステッピングモータMの励磁ポインタの初期化や、加速度データとして回胴演出制御データを取得することなどである。そして、次のステップ211に進む。
ステップ211において、回胴演出実行処理が行われる。そして、その後、ステップ202に戻る。すなわち、回胴演出の終了後に、遊技制限時間が経過している場合には、通常回転制御が設定されて通常回転が開始される。
【0063】
なお、上記したフローでは、回胴演出が実行されない場合には、遊技制限時間の経過を待って通常回転が開始される(すなわち、ウエイト経過前には回転リール40が回転しない)流れとなっているが、回胴演出が実行されない場合であっても回転リール40の通常回転を開始させ、遊技制限時間が経過していることを条件に、停止操作の無効を解除するようにしてもよい。
前記ステップ203の加速処理及びステップ211の回胴演出実行処理について、図9のフローに基づき説明する。本実施の形態においては、通常の加速処理と、回胴演出処理とは、参照される加速テーブルが異なるだけで、同様の手順で処理が行われるようになっている。ここで、図中「n」は残り処理実行回数を示す整数であって、初期値は加速テーブルで規定されている処理回数(図4(B)のX)である。
【0064】
まず、図9のステップ301において、出力パターンの更新が行われる。すなわち、それぞれの加速テーブル(図4(B))を参照して、どの出力パターンを実行するかが決定される。処理開始時においては、加速テーブルの最初の参照位置(回数1)に対応する出力パターン(図4(A)のパターン0)に決定される。そして、次のステップ302に進む。
ステップ302において、出力パターンが実行される。すなわち、更新された出力パターンにより、設定されたタイミングで、励磁信号及び非励磁信号が出力される。そして、次のステップ303に進む。
【0065】
ステップ303において、n=n−1とされる。すなわち、残り処理実行回数が1だけ減算される。換言すると、加速テーブルの参照位置を1だけ更新する。そして、次のステップ304に進む。
ステップ304において、n=0か否か、すなわち、処理実行回数があらかじめ設定された回数に達したか否かが判断される。換言すると、加速テーブルに基づく処理が終了したか否かが判断される。n=0でない場合には、ステップ301に戻り、n=0の場合には処理を終了する。
なお、上記したフローによる処理は、nの初期値を「X」として、残り処理実行回数をデクリメントしていく方式となっているが、nの初期値を「0」として、処理実行回数インクリメントしていき、n=Xとなった場合に処理を終了する方式を採用してもよい。
【0066】
(総括)
以上のように、本実施の形態は、回胴演出制御データを用いて、回転リール40を回転させない回胴停止演出を実行することにより、遊技の進行が一時停止するフリーズ演出を実現することができる。すなわち、演出を実行させるための手順として、フリーズ演出のための手順と、回転リール40を通常の回転態様と異なるように作動させる回胴演出のための手順とを、別個に設ける必要がない。また、本実施の形態における回胴演出制御データは、あらかじめ設定された加速テーブルに基づき、タイマーの割り込みごとに所定回数信号出力を行うだけでよいので、制御のためのルーティンが少なくて済み、主制御装置21における遊技制御ロジックのコード圧縮を行うことができる。
【0067】
このように、本実施の形態によれば、主制御装置21の制御に基づく演出動作の統一化が図られ、主制御装置21の制御負担を軽減することができるものである。
(変形例)
上記した実施の形態では、回胴演出時に、非励磁信号を出力する(全てのコイルABCDを励磁させない)ことにより、ステッピングモータMのロータRを停止位置に留めるようにしていたが、所定の励磁信号の出力によっても、ステッピングモータMのロータRを停止位置に留めさせることができる。
例えば、図10(A)に示すように、コイルABCDを全相励磁状態にすることによっても、ロータRは回転しない。あるいは、図10(B)に示すように、コイルABCDが全相励磁状態と全相非励磁状態を所定の周期で繰り返すようにしても、ロータRは回転しない。これ以外のパターンで、励磁出力を行っても回転リール40が回転しないようなパターンを設けてもよい。駆動信号出力手段127は、所定のパターンでモータ駆動回路62に所定の励磁信号(駆動パルス)を出力することにより、回転リール40を回転させないようにすることができる。そしてこのように形成した場合には、上記した実施の形態のように、信号「0」「1」を励磁出力の有無に変換する必要がないので、モータ駆動回路62にスイッチング回路を設けなくてもよい。
【0068】
本発明は、スロットマシン以外の遊技機にも応用できる。例えば、遊技媒体として遊技球(パチンコ球)を用いてスロットマシンと同様の遊技を行わせるパロット遊技機などにも応用できるものである。
なお、本発明において用いられるステッピングモータの制御方法は、回転リールを回転させるためのステッピングモータ以外のステッピングモータの制御にも応用できる。例えば、遊技機に設けられる可動役物(例えばシャッターなどの開閉役物や回転役物、揺動役物など)を作動させるためのステッピングモータの制御にも応用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 スロットマシン 11 筺体
12 正面パネル 13 図柄表示窓
15 投入スイッチ 16 ベットスイッチ
17 精算スイッチ
20 制御装置 21 遊技制御装置
22 演出制御装置
30 スタートスイッチ 40 回転リール
50 ストップスイッチ 60 リールユニット
61 インデックスセンサ 62 モータ駆動回路
65 ホッパーユニット 66 演出表示装置
100 役抽選手段 110 遊技状態制御手段
120 リール制御手段 125 モータ制御手段
127 駆動信号出力手段 130 回胴演出決定手段
M ステッピングモータ R ロータ
A,B,C,D コイル Sa,Sb,Sc,Sd スイッチング回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステッピングモータにそれぞれ軸着され表面に複数の図柄が表示された複数の回転リールと、
前記回転リールを回転開始させるためのスタートスイッチと、
回転中の前記回転リールを個々に停止させるためのストップスイッチと、
複数の図柄の組合せからなる役について当選か否かの役抽選を行うための役抽選手段と、
前記スタートスイッチ及びストップスイッチの操作に基づき、前記各ステッピングモータの駆動及び駆動停止を制御して、前記回転リールを回転又は回転停止させるためのモータ制御手段とを少なくとも備え、
前記スタートスイッチの操作後、前記ステッピングモータが駆動開始し、あらかじめ設定された停止可能要件が満たされた後に前記ストップスイッチの操作を有効とし、
前記ストップスイッチの操作に基づき回転停止した前記複数の回転リールの停止図柄が、あらかじめ定められた組合せとなった場合に、所定の利益が付与されるとともに、
前記スタートスイッチの操作後、前記ストップスイッチの操作を有効とするまでの間に、前記回転リールの回転態様による回胴演出を実行可能に形成された遊技機において、
前記スタートスイッチの操作に基づき設定される回転リールの制御データとして、前記回転リールに通常の回転を行わせるための通常回転制御データと、前記回転リールにより所定の回胴演出を実行させるための回胴演出制御データとを備え、
前記回胴演出制御データには、前記回転リールを回転させない回胴停止演出を実行させるための回胴停止演出制御データが含まれ、
前記モータ制御手段は、
前記回胴演出が行われない場合には、前記スタートスイッチの操作後、前記通常回転制御データに基づき、前記ステッピングモータのロータを回転させるための信号を出力し、前記ステッピングモータを駆動させて前記回転リールを所定の加速度で回転させ、
前記回胴停止演出が行われる場合には、前記スタートスイッチの操作後、前記回胴停止演出制御データに基づき、前記ステッピングモータのロータを停止している位置に留めておくための信号を出力し、前記ステッピングモータを駆動させないことにより、前記回胴停止演出制御データに基づく処理が終了するまでの間、前記回転リールを回転させないように形成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記モータ制御手段は、前記回胴停止演出実行時において、前記ステッピングモータのロータを停止している位置に留めておくために、前記ステッピングモータの複数相のコイルの少なくともいずれかを励磁させるための信号を、前記ロータが回転不能な出力パターンで出力可能に形成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−99463(P2013−99463A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245593(P2011−245593)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】