説明

遊技機

【課題】 可変表示の表示態様により遊技者の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することである。
【解決手段】 可変表示装置の可変表示部5において図柄を可変表示する場合に、中図柄5b等の可変表示中の図柄の少なくとも一部を隠す表示を実行させた後、その可変表示中の図柄の隠れた部分を再び出現させる表示を実行させる表示制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばパチンコ遊技機やコイン遊技機あるいはスロットマシン等で代表される遊技機に関し、詳しくは、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に、遊技者に有利な状態に制御可能な遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の遊技機において、従来から一般的に知られているものに、図柄等の複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報(たとえば777)になった場合に、遊技者に有利な状態(たとえば大当り状態)に制御可能に構成されたものがあった。
【0003】このような従来の遊技機においては、複数種類の識別情報が予め定められた順序にしたがって順次現れる表示がなされることにより、スクロール表示等の変化態様で識別情報の可変表示が行なわれるようになっていた。そのように可変表示時に現れる識別情報は、その種類が遊技者に容易に把握可能になるように、常に遊技者に視認可能な態様で表示されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したような従来の遊技機においては、可変表示が行なわれる場合に、可変表示される識別情報が常に遊技者に視認可能な態様で表示されていただけであったため、表示態様に変化が乏しく、表示の面白味に欠けるという問題があった。このように、表示態様に変化が乏しく、表示の面白味に欠けるため、従来の可変表示態様では、表示により遊技者の興趣を向上させることが困難であった。
【0005】本発明は、係る実情に鑑み考え出されたものであって、その目的は、可変表示の表示態様により遊技者の興趣を向上させることが可能な遊技機を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明は、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に、遊技者に有利な状態に制御可能な遊技機であって、前記可変表示装置において前記複数種類の識別情報を可変開始させた後表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段を含み、該可変表示制御手段は、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示を実行させた後、その可変表示中の識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示を実行させる表示制御を行なうことを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記可変表示制御手段は、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示制御を実行する場合に、その識別情報自体が動いて隠れる動作をさせる表示制御を行なうことを特徴とする、請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記可変表示制御手段は、少なくとも一部が隠れた識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示制御を実行する場合に、隠れた時の識別情報の種類と異なる種類の識別情報を出現させる表示制御を行なうことが可能であることを特徴とする。
【0008】請求項4に記載の本発明は、請求項1、2または3に記載の発明の構成に加えて、前記可変表示制御手段は、前記複数種類の識別情報を所定の順序にしたがって表示させる可変表示と、前記複数種類の識別情報を前記所定の順序とは無関係に表示させることによる可変表示とを選択的に実行する表示制御を行なうことを特徴とする。
【0009】
【作用】請求項1に記載の本発明によれば、可変表示制御手段の働きにより、可変表示装置において複数種類の識別情報を可変開始させた後表示結果を導出表示させる制御が行なわれる。可変表示制御手段のさらなる働きにより、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示を実行させた後、その可変表示中の識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示を実行させる表示制御が行なわれる。このように、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示が行なわれた後、その可変表示中の識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示が行なわれるので、識別情報が見え隠れする。このため、導出表示される識別情報を遊技者が予測し難くくなるので、可変表示を見る遊技者をはらはらさせて興奮状態にすることが可能になり、その結果、遊技者の興趣を向上させることが可能になる。
【0010】請求項2に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、次のように作用する。可変表示制御手段のさらなる働きにより、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示制御を実行する場合に、その識別情報自体が動いて隠れる動作をさせる表示制御が行なわれる。このように、識別情報自体が動いて隠れるため、識別情報以外のものにより識別情報を隠す表示を行なう場合と比べて、可変表示装置の表示範囲上で識別情報を自由に動作させることが可能になるので、識別情報の可変表示の際の動作表示の自由度を大きくすることが可能になり、可変表示の面白みがより一層増す。
【0011】請求項3に記載の本発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、次のように作用する。可変表示制御手段のさらなる働きにより、少なくとも一部が隠れた識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示制御を実行する場合に、隠れた時の識別情報の種類と異なる種類の識別情報を出現させる表示制御が可能にされる。このように、少なくとも一部が隠れた識別情報の隠れた部分が再び出現する場合に、隠れた時の識別情報の種類と異なる種類の識別情報が出現するため、出現する識別情報の種類を遊技者が予測し難くなる。このため、可変表示を見る遊技者をより一層はらはらさせて興奮状態にすることが可能になり、その結果、遊技者の興趣をより一層向上させることが可能になる。また、隠れた時の識別情報の種類と、その後出現した識別情報の種類とが異なるようにしたため、可変表示の面白みがより一層増す。
【0012】請求項4に記載の本発明によれば、請求項1、2または3に記載の発明の作用に加えて、次のように作用する。可変表示制御手段のさらなる働きにより、複数種類の識別情報を所定の順序にしたがって表示させる可変表示と、前記複数種類の識別情報を所定の順序とは無関係に表示させることによる可変表示とを選択的に実行する表示制御が行なわれる。このように、複数種類の識別情報を所定の順序にしたがって表示させる可変表示と、複数種類の識別情報を所定の順序とは無関係に表示させることによる可変表示とが選択的に実行されるため、導出表示される識別情報を遊技者がさらに予測し難くくなるので、可変表示を見る遊技者をさらにはらはらさせて興奮状態にすることが可能になり、その結果、遊技者の興趣をより一層向上させることが可能になる。また、可変表示の際の識別情報の表示順序が不定であることにより、可変表示の面白みがより一層増す。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はこれに限らず、たとえばコイン遊技機あるいはスロットマシン等であってもよく、複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に、遊技者に有利な状態に制御可能な遊技機であれば、すべてに適用することが可能である。
【0014】図1は、本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機1の遊技盤面の構成を示す正面図である。パチンコ遊技機1の遊技盤(図示省略)の前面には、遊技領域3が形成されている。パチンコ遊技機1には、遊技者が打球操作するための打球操作ハンドル82が設けられており、この打球操作ハンドル82を遊技者が操作することにより、上皿87内に貯留されているパチンコ玉を1個ずつ発射することができる。発射されたパチンコ玉は、区画レール2の間を通って遊技領域3内に導かれる。
【0015】遊技領域3の中央には、複数種類の識別情報としての特別図柄を可変表示して表示状態が変化可能な可変表示装置4が設けられている。可変表示装置4の下方には、可変入賞球装置10が設けられている。この可変入賞球装置10は、ベース板60を遊技領域3に固定することにより取付けられている。可変入賞球装置10は、後述するソレノイド71が励磁状態にされることにより開閉板61が開成して打玉が入賞可能な遊技者にとって有利となる第1の状態と、ソレノイド71が非励磁状態にされることにより開閉板61が閉成して打玉が入賞不可能な遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能に構成されている。可変入賞球装置10には、遊技状態に応じて点灯または点滅表示する6個のLED62が設けられている。
【0016】可変表示装置4の左側方部分および右側方部分には、それぞれワープ入口17が設けられている。このワープ入口17に進入した打玉は、可変表示装置4の裏面側を通って下方に流下してワープ出口8から再度遊技領域3に放出される。このため、ワープ出口8から放出された打玉は、始動口9に比較的入賞しやすい状態となる。可変表示装置4の左側方部分に設けられたワープ入口17に進入した打玉の通過経路には、普通図柄始動ゲート12が設けられている。この普通図柄始動ゲート12には、玉の通過を検出するための通過玉検出器20が設けられている。
【0017】遊技領域3内に打込まれた打玉が普通図柄始動ゲート12に進入すれば、その通過玉が通過玉検出器20により検出され、その検出出力に基づいて普通図柄表示器25が可変開始される。
【0018】普通図柄表示器25が可変表示中に打玉が再度普通図柄始動ゲート12に進入して通過玉検出器20により検出されれば、その普通始動入賞玉が記憶され、普通図柄表示器25が可変停止した後、再度可変開始可能な状態になってから普通始動入賞玉の記憶に基づいて普通図柄表示器25が再度可変開始される。この普通始動入賞玉記憶の上限は、たとえば「4」と定められている。現時点における始動入賞記憶個数が普通図柄始動記憶表示器26により表示される。
【0019】普通図柄表示器25はたとえば7セグメント表示器で構成されており、普通図柄と呼ばれる識別情報が可変表示される。この普通図柄表示器25の表示結果が予め定められた特定の識別情報(たとえば7)となれば、後述するソレノイド28が励磁されて、左右1対の可動片24が所定期間だけ開成して始動口9が開成状態となり、打玉がより入賞しやすい状態(小当り)となる。この始動口9に入賞した始動入賞玉は後述する始動玉検出器21により検出され、その検出出力に基づいて可変表示装置4が可変開始される。
【0020】この可変表示装置4は、たとえば液晶表示装置等で構成されており、特別図柄と呼ばれる識別情報を可変表示可能な表示領域を有する可変表示部5が設けられている。この可変表示部5においては、左特別図柄を可変表示可能な左可変表示部と、中特別図柄を可変表示可能な中可変表示部と、右特別図柄を可変表示可能な右可変表示部とに3分割されており、すべての可変表示部が一斉に可変開始することにより各特別図柄が可変表示され、まず左可変表示部の左特別図柄が停止制御され、次に右可変表示部の右特別図柄が停止制御され、最後に中可変表示部の中特別図柄が停止制御される。
【0021】この可変表示装置4が可変停止された状態で、特別図柄が、予め定められた特定の特別図柄の組合せ(たとえば777のように図柄が3つ揃った組み合わせ)となることにより、表示結果が予め定められた特定の表示態様となった場合には、特定遊技状態(大当り状態)が発生して可変入賞球装置10が第1の状態に制御されて遊技者にとって有利な状態となる。このように、このパチンコ遊技機1には、図柄を可変表示するものとして、第1の図柄表示装置としての普通図柄表示器25と、第2の図柄表示装置としての可変表示装置4とが設けられている。したがって、このパチンコ遊技機1においては、普通図柄表示器25による第1の図柄(普通図柄)と、可変表示装置4による第2の図柄(特別図柄)とが表示されることとなる。
【0022】このような可変表示装置の可変表示中においては、リーチ状態が発生する場合がある。ここで、リーチとは、表示状態が変化可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特定の表示態様の組合せとなった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な特定遊技状態となる遊技機において、前記複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が前記特定の表示態様の組合せとなる条件を満たしている表示状態をいう。また、別の表現をすれば、リーチとは、表示状態が変化可能な可変表示部を複数有する可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の表示態様の組合せになった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な特定遊技状態となる遊技機において、前記可変表示装置の表示結果がまだ導出表示されていない段階で、前記特定の表示態様の組合せが表示されやすい可変表示態様になったと遊技者に思わせるための表示態様をいう。そして、たとえば、前記特定の表示態様の組合せが揃った状態を維持しながら複数の前記可変表示部による可変表示を行なう状態もリーチ表示状態に含まれる。さらにリーチの中には、それが出現すると、通常のリーチに比べて、大当りが発生しやすいものがある。このような特定のリーチをスーパーリーチという。
【0023】可変入賞球装置10内には、特定入賞領域が設けられており、この特定入賞領域に入賞した入賞玉が後述する特定玉検出器22により検出される。また可変入賞球装置10内に入賞したすべての入賞玉が入賞玉検出器23により検出される。具体的には、特定玉検出器22により検出された特定入賞玉と、特定入賞領域以外の通常入賞領域に入賞した通常入賞玉とが入賞玉検出器23により検出される。第1の状態となった可変入賞球装置10内に進入した打玉が所定個数(たとえば9個)入賞玉検出器23により検出された場合または所定期間(たとえば30秒間)経過した場合のうちのいずれか早い方の条件が成立した場合に可変入賞球装置10の第1の状態が終了して第2の状態となる。なお入賞玉検出器23による検出個数は、7セグメント表示器よりなる個数表示器13により表示される。そして、可変入賞球装置10が第1の状態となっている期間中に進入した打玉が特定入賞領域に入賞し、可変入賞球装置10が第2の状態になった後に特定玉検出器22により検出されれば、再度可変入賞球装置10を第1の状態にする繰返し継続制御が実行される。この繰返し継続制御の実行上限回数はたとえば16回と定められている。繰返し継続制御において、可変入賞球装置10が第1の状態にされている状態がラウンドと呼ばれる。繰返し継続制御の実行上限回数が16回の場合には、第1ラウンドから第16ラウンドまでの16ラウンド分、可変入賞球装置10が第1の状態にされ得る。
【0024】可変表示装置4が可変表示中に打玉が再度始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その始動入賞玉が記憶され、可変表示装置4が可変停止した後、再度可変開始可能な状態になってから前記始動入賞記憶に基づいて可変表示装置4が再度可変開始される。この始動入賞記憶の上限は、たとえば「4」と定められている。現時点における始動入賞記憶個数が始動記憶表示器6により表示される。
【0025】遊技領域3内には、さらに風車19、通常の入賞口7,11,15、および、遊技領域3内に打込まれた打玉がいずれの入賞領域や可変入賞球装置にも入賞しなかった場合にアウト玉として回収するアウト口16が設けられている。さらに、遊技盤には、飾り図柄表示用のサイドランプ18が設けられている。
【0026】始動口9、可変入賞球装置10、通常の入賞口7,11,15等の各種入賞領域に打玉が入賞すると、その入賞に応じて景品玉が払出される。そのような景品玉は、上皿87に払出される。上皿87の下方には、上皿玉抜きレバー84を操作することにより上皿87から排出される打玉を貯留しておくための下皿86が設けられている。下皿86に貯留された打玉は、下皿玉抜きレバー85を操作することにより排出できる。
【0027】遊技領域3の上部の左右には、ステレオ音の音声等の効果音を発生するためのスピーカ81,81が設けられている。また、図中83は、パチンコ遊技機1の前面側の枠である前面枠を開閉できないようにするための鍵である。
【0028】本実施例におけるパチンコ遊技機1には、パチンコ遊技機1の遊技状態を制御するための制御回路として、制御用のプログラムを記憶しているプログラム記憶手段としてのROM、そのROMに記憶されているプログラムに従って制御動作する制御中枢手段としてのCPU、そのCPUにより制御される遊技機の遊技データを記憶するとともに、遊技制御のための作業領域として用いられる遊技データ記憶手段としてのRAM、および、外部との信号の整合性をとるためのI/Oポート等を有する基本回路が設けられている。その基本回路は、遊技制御基板上に設けられている。
【0029】次に、本実施例のパチンコ遊技機1に設けられる制御回路について説明する。まず、遊技制御基板を説明する。図2は、図1に示すパチンコ遊技機1の遊技制御基板の構成を示すブロック図である。
【0030】図2を参照して、遊技制御基板は、基本回路40、音回路41、7セグLED・LED回路42、ソレノイド・ランプ回路43、アドレスデコード回路44、初期リセット回路45、クロック用リセットパルス回路46、電源回路47、スイッチ入力回路48、および情報出力回路53を含む。
【0031】基本回路40は、制御用プログラムに従ってパチンコ遊技機1の各種機器を制御する。基本回路40の内部には、制御用プログラムを記憶しているROM56(Read Only Memory)と、その制御用プログラムに従って制御動作を行なうためのCPU(Central Processing Unit )54と、CPUのワーク用メモリとして機能するRAM(Random Access Memory)55と、I/O(Input/Output)ポートと、クロック発生回路とが設けられており、さらに、カウンタおよびタイマも設けられている。なお、基本回路40の内部構成については、CPU54、RAM55およびROM56を除いて図示を省略する。
【0032】スイッチ入力回路48は、通過玉検出器20、始動玉検出器21、特定玉検出器22および入賞玉検出器23と接続される。このスイッチ入力回路48は、接続された各検出器から出力される検出信号を基本回路40へ送信する。
【0033】アドレスデコード回路44は、基本回路40から送られてきたアドレス信号を解読(デコード)し、基本回路40の内部に含まれるROM56、RAM55、I/Oポート等のいずれか1つを選択するための信号を出力する回路である。初期リセット回路45は、電源投入時に基本回路40をリセットするための回路である。初期リセット回路45から送られてきた初期リセットパルスに応答して、基本回路40は、RAM55およびI/Oポートを初期化する。クロック用リセットパルス回路は、基本回路40に対し、定期的(たとえば2msecごと)にリセットパルスを与え、制御用プログラムを先頭から繰返し実行させるための回路である。
【0034】音回路41は、基本回路40から出力される音声発生指令信号に応答して、効果音データを作成し、作成した効果音データを音出力装置52に与える。音出力装置52は、スピーカ81,81から音声を出力するための装置であり、音回路41から与えられた効果音データに応答して、効果音を発生する。この音出力装置52は、パチンコ遊技機1の所定箇所に設けられている。
【0035】7セグLED・LED回路42には、個数表示器13、普通図柄表示器25、始動記憶表示器6、普通図柄始動記憶表示器26およびLED62が接続されている。7セグLED・LED回路42は、基本回路40から出力される制御信号に応答して、個数表示器13および普通図柄表示器25の7セグメントLEDの点灯状態の制御と、始動記憶表示器6、普通図柄始動記憶表示器26およびLED62の各々のLEDの点灯状態の制御とを行なう。
【0036】ソレノイド・ランプ回路43には、開閉板61を駆動するためのソレノイド71、可動片24を駆動するためのソレノイド28、およびサイドランプ18が接続されている。ソレノイド・ランプ回路43は、基本回路40から出力される制御信号に応答して、ソレノイド71およびソレノイド28の作動制御と、サイドランプ18の点灯制御とを行なう。
【0037】情報出力回路53は、基本回路40から与えられるデータ信号に基づいて、有効始動情報、大当り情報および確率変動情報を、ホストコンピュータであるホール用管理コンピュータ等に対して出力するための回路である。その有効始動情報とは、始動口9への打玉の入賞個数のうち実際に可変表示装置4における図柄の変動表示の始動に使用された個数等を示すための情報である。大当り情報とは、可変表示装置4の変動表示による大当りの発生に関する情報である。また、確率変動情報とは、後述する確率向上状態(高確率状態)の発生に関する情報である。
【0038】電源回路47は、交流電源に接続され、+5V、+12V、+30V、および+LVの複数種類の直流電圧を各回路に供給するための回路である。電源回路47から基本回路40には、+12Vの直流電圧が供給される。+5Vおよび+12Vの2種類の直流電圧は、電源回路47からコネクタ30を介して、後述する表示制御基板29へ供給される。
【0039】基本回路40から、後述する表示制御基板29には、コネクタ30を介して、画像表示のためのコマンドデータDAT0〜DAT7、コマンドデータのストローブ信号STRVが供給される。
【0040】図3は、可変表示装置4に用いられている表示制御基板29に形成された回路の構成を示すブロック図である。表示制御基板29には、基本回路32、キャラクタROM33、VDP(Video Display Processor)34、VRAM35、ワークRAM36、制御ROM37、発振回路38およびリセット回路39が設けられている。
【0041】基本回路32は、コネクタ30を介して、図2に示される回路が形成されている遊技制御基板と接続されている。基本回路32は、遊技制御基板からコネクタ30を介して画像の表示のためのコマンドデータDAT0〜DAT7、コマンドデータのストローブ信号STRVを受ける。さらに、基本回路32は、コネクタ30を介して+12Vおよび+5Vの2種類の電源電圧の供給を受ける。基本回路32は、CPUを内蔵し、表示制御基板29に形成された回路の全体を制御する。
【0042】基本回路32は、受信したコマンドデータDAT0〜DAT7に応答して、表示制御基板29に形成された回路全体を制御する。基本回路32は、VDP34および制御ROM37に、アドレス信号、データ信号および制御信号を送り、VDP34と制御ROM37との間で、データ信号の送受信を行なう。そして、基本回路32は、受信したデータに基づいて、ワークRAM36を作業領域として用いて、表示制御基板29に形成された回路全体の制御を行なう。制御ROM37は、基本回路32の動作を制御するための制御用プログラムを予め記憶しており、基本回路32から送信されてきたアドレス信号および制御信号に応答して、該当する制御用プログラムをデータ信号として基本回路32へ返信する。
【0043】VDP34は、発振回路38から供給されるクロック信号を受けて動作し、リセット回路39から供給されるリセット信号を受けて動作がリセットされる。このVDP34は、基本回路32からの制御信号に応答して、画像データを生成する。VDP34は、VRAMアドレス信号、VRAMデータ信号、およびVRAM制御信号等の信号をVRAM35へ送信する。VRAM35からVDP34へは、VRAMデータ信号等の信号が返信される。VDP34は、キャラクタROMアドレス信号、キャラクタROMデータ信号およびキャラクタROM制御信号をキャラクタROM33へ送信する。キャラクタROM33からVDP34へは、キャラクタROMデータ信号等の信号が返信される。
【0044】VDP34は、基本回路32から出力される制御信号に応答して、可変表示部5に表示される画像を構成するための画像データを生成する。VRAM35は、VDP34が生成した画像データを一時的に記憶する。VDP34が生成し、VRAM35に記憶される画像データは、所定数のドットの集合を単位としたキャラクタの識別番号である。
【0045】画像データには、複数のキャラクタの識別番号が、表示される配置関係に従って含まれている。これをマップデータという。個々のキャラクタの識別番号は、制御ROM37に予め記憶されている。可変表示部5に表示される画面を構成するために必要なキャラクタの識別番号が制御ROM37から読出され、VDP34により、表示画面におけるキャラクタの配置関係を示すためのマップデータとして、VRAM35に記憶される。
【0046】キャラクタROM33は、キャラクタの識別番号に対応するドットデータを予め記憶している。VDP34は、所定のタイミングでVRAM35からマップデータを読出し、マップデータに含まれる各キャラクタの識別番号に基づいて、各キャラクタのドットデータを読出す。VDP34は、読出したドットデータに基づいて、RGB信号(RED,GREEN,BLUE)信号を生成する。
【0047】VDP34は、生成したRGB信号をコネクタ31を介してLCDモジュール(図示せず)へ送信する。さらにVDP34は、複合同期信号SYNCおよび+12Vの電源電圧をコネクタ31を介してLCDモジュールへ供給する。LCDモジュールは、送信されてきたRGB信号および複合同期信号SYNCに基づいて、可変表示部5に画像を表示する。なお、図1に示した可変表示装置4の可変表示部5は、LCDモジュールに含まれる画像表示面である。
【0048】図4は、遊技制御,可変表示装置4の可変表示制御に用いられる各種ランダムカウンタを説明するための説明図である。C RND1は、大当りを発生させるか否かを事前決定するために用いられ、0からカウントアップしてその上限である224までカウントアップし、再度0からカウントアップし直すように構成されている。このカウントアップの加算更新は、割込処理毎にC RND1が1ずつ加算されることにより行なわれる。前述の遊技制御基板に設けられたCPUは、定期的(たとえば2msec毎)に定期リセット回路からリセット信号が入力され、プログラムを先頭から実行してその最後まで実行した後リセット待ち状態となっており前記リセット信号が入力されることにより再度プログラムを先頭から実行しなおすことを繰返し、リセット信号の入力毎にプログラムを先頭から最後まで実行することを繰返すことにより、遊技機の遊技状態を制御できるように構成されている。そして、このたとえば2msec毎に入力されるリセットパルスの入力毎に、このC RND1が「1」ずつ加算更新される。
【0049】C RND ZU1は、大当りと事前決定された場合の可変表示装置4の左,中,右可変表示部の停止時に表示する予定の予定停止図柄の種類、および外れと事前決定された場合の可変表示装置4の左可変表示部の停止時に表示する予定の左特別図柄(図中第2図柄左)の予定停止図柄の種類を決定するために用いられるものであり、0からカウントアップしてその上限である14までカウントアップした後再度0からカウントアップし直されるものである。そのカウントアップの更新は、割込処理余り時間を利用して無限ループによりC RND ZU1が「2」ずつ加算されることにより行なわれる。前記CPUは、プログラムの先頭から最後まで実行した段階で、リセット信号が入力されてくるまでの割込処理余り時間を利用して、無限ループによりこのC RND ZU1の値に対し「2」を加算更新するのであり、その加算した結果その上限である「14」を超えた場合には再度「0」から2ずつ加算更新する処理が行なわれる。
【0050】次にC RND ZU2は、外れと事前決定された場合の可変表示装置4の中可変表示部に停止表示するべき中特別図柄(図中第2図柄中)の予定停止図柄を事前決定するために用いられるものであり、0からカウントアップしてその上限である14までカウントアップした後再度0からカウントアップし直される。このカウントアップの更新は、前記C RND ZU1の桁上げのときにC RND ZU2が「1」ずつ加算されることにより行なわれる。すなわち、C RND ZU1の値が「14」から「0」に変化したときに「1」ずつこのC RND ZU2が加算更新されるのである。
【0051】次にC RND ZU3は、外れと事前決定された場合の可変表示装置4の右可変表示部に停止表示するべき右特別図柄(図中第2図柄右)の予定停止図柄を事前決定するためのものであり、0からカウントアップされてその上限である14までカウントアップした後再度0からカウントアップし直される。このカウントアップの更新は、前記C RND ZU2の桁上げのときにC RND ZU3が「1」ずつ加算されることにより行なわれる。すなわち、C RND ZU2の値が「14」から「0」に変化したときに「1」ずつC RND ZU3が加算更新されるのである。
【0052】次に、C RND R1は、リーチ表示をするか否かを決定するためのものであり、0からカウントアップしてその上限である15までカウントアップした後、再度0からカウントアップし直されるものである。そして、そのカウントアップの更新は、C RND ZU3の桁上げのときにC RND R1が「1」ずつ加算されることにより行なわれる。すなわち、C RND ZU3の値が「14」から「0」に変化したときにC RND R1が「1」ずつ加算更新されるのである。C RND R1の値が「0」である場合にリーチ表示をすることが決定される。
【0053】次に、C RND R2は、リーチの種類を決定するためのものであり、0からカウントアップしてその上限である19までカウントアップした後、再度0からカウントアップし直されるものである。そして、そのカウントアップの更新は、C RND R1の桁上げのときにC RND R2が「1」ずつ加算されることにより行なわれる。すなわち、C RND R1の値が「15」から「0」に変化したときにC RND R2が「1」ずつ加算更新されるのである。このC RND R2の値と、リーチの種類とが予め対応付けられており、C RND R2の値に対応するリーチを表示することが決定される。
【0054】リーチの種類には、ノーマルリーチおよびスーパーリーチ等の複数種類のリーチがある。ここで、ノーマルリーチとは、通常のリーチ状態をいう。スーパーリーチとは、リーチ表示後の停止図柄が大当りになる割合が高く設定されているリーチをいう。すなわち、可変表示装置4においてスーパーリーチが表示されると、その後の停止図柄が大当り図柄の組合せになる割合が、ノーマルリーチの場合よりも高いのである。
【0055】図5は、ランダムカウンタの値により大当りを発生させるか否かを事前に決定するための手順を示すフローチャートである。打玉が始動口9に入賞して始動玉検出器21により検出されれば、その時点におけるC RND1の値を抽出しその抽出値が「3」のときに大当りを発生させることが事前決定される。その場合、C RND ZU1の抽出値により、大当りとなる図柄が決定される。
【0056】一方、C RND1の抽出値が「3」以外のときには、外れが事前決定される。その場合には、C RND ZU1の抽出値により左可変表示部の予定停止図柄が決定され、C RND ZU2の抽出値により中可変表示部の予定停止図柄が決定され、C RND ZU3の抽出値により右可変表示部の予定停止図柄が決定される。
【0057】なお、これら3つの予定停止図柄を決定した際に、その決定内容がたとえばゾロ目となり大当りを発生させるための特別図柄の組合せが偶然一致した場合には、C RND ZU2の抽出値に「1」を加算して強制的に外れの図柄となるように制御する。
【0058】また、前述したC RND R1の抽出値によりリーチ表示をすることが決定された場合には、抽出したC RND ZU1の値にC RND ZU3の値を一致させる処理が行なわれる。すなわち、C RND R1の抽出値によりリーチとなる図柄が決定される。このような処理を行なう理由は、外れの場合であっても、C RND R1の抽出値に基づいて、リーチ表示を行なうことが決定され得るからである。
【0059】また、遊技状態が後述する確率向上状態(高確率状態)のときには、C RND1の抽出値が、3,5,7,11,13のときに大当りを発生させることが事前決定され、それ以外のときにはずれが事前決定される。
【0060】ここで、確率向上状態について説明する。確率向上状態とは、大当りが発生する確率が向上した状態であり、この確率向上状態においては、以下のような制御が行なわれる。大当り状態の発生時における可変表示装置4の表示結果が予め定められた特別の識別情報の組合せとなっていた場合に、以降の大当りが発生する確率が向上する高確率状態に制御される。そして、この高確率状態においては、可変表示装置4により表示される大当りとなるように予め定められた特定の識別情報の組合せ(特定の表示態様)の表示される確率が向上するのであり、その可変表示装置4により特定の識別情報の組合せが表示された場合には、再度大当り制御が開始される。また、この確率向上状態においては、普通図柄表示器25において小当りが発生する確率が高くなるように制御される。さらに、その場合には、普通図柄表示器25における図柄(第1図柄)の変動時間を短縮する制御(以下、変動時間短縮制御という)も行なわれる。
【0061】この変動時間短縮制御は、略して時短制御とも呼ばれる。この変動時間短縮制御においては、たとえば、通常時に30秒間であった普通図柄の変動時間が5秒間に短縮される。このような変動時間短縮制御が行なわれることにより、可動片24が開成する頻度が高くなり、その結果、打玉が入賞しやすい状態になる。このような変動時間短縮制御が行なわれると、可動片24が頻繁に開き、打玉が多数始動入賞して可変表示装置4の可変表示頻度が高くなるため、大当りが発生する確率が一定であっても、短時間で大当りが発生しやすくなり、また、この状態では、始動入賞が増えることにより遊技機から払出される払出玉が増加するため、遊技者は、持玉(遊技者が手元に所有する遊技球)を減らすことなく遊技を行なえるという、遊技者にとって有利な状態となる。
【0062】また、この遊技機においては、可変表示装置4において可変表示される特別図柄(第2図柄)の配列構成が予め定められている。たとえば、左,中,右可変表示部において、特別図柄が、複数種類同一の配列で定められている。具体的に、各特別図柄の配列は、0,1,…,13,14の順に定められている。そして、それらの各図柄に対応する図柄ポジションが、各図柄に対応して割り振られている。そして、C RND ZU1,2,3の各抽出値が図柄ポジションの番号と一致する場所の図柄が、予定停止図柄として選択決定される。
【0063】また、特別図柄の可変表示が行なわれる場合には、このような図柄の配列順序にしたがって図柄が順次表示される。
【0064】次に、可変表示装置4の表示制御における左、中、右の特別図柄の可変表示時の変動パターン(可変表示パターン)の種類(以下、変動種類という)について説明する。前述したように、可変表示装置4の表示制御は、基本回路40から表示制御基板29に送られるコマンドデータにしたがって実行される。
【0065】図6は、可変表示装置4における左、右、中の特別図柄の可変表示時の変動種類を制御する制御タイミングを示すタイミングチャートである。この図6においては、左特別図柄(以下左図柄ともいう)、右特別図柄(以下右図柄ともいう)、および中特別図柄(以下中図柄ともいう)のそれぞれの変動種類の制御のタイミングが時間経過にしたがって示されている。図6中の「作動」は特別図柄の可変表示が行なわれている状態を示しており、図6中の「停止」は特別図柄の可変表示が行なわれていない状態を示している。
【0066】特別図柄の変動種類には、変動種類Aである切り替え表示、変動種類Bであるスクロール表示、および、変動種類Cである見え隠れ表示の少なくとも3種類がある。
【0067】ここで、切り替え表示とは、表示している特別図柄をその場で新たな特別図柄に切り替える変動パターンをいう。切り替え表示は、前述した図柄の配列順序にしたがって特別図柄が順次切り替えられることにより行なわれる。このような切り替え表示は、比較的高速で行なわれる。スクロール表示とは、特別図柄を上下または左右方向(この実施の形態の場合には上下方向)に移動させて順次新たな特別図柄を表示する変動パターンをいう。スクロール表示は、前述した図柄の配列順序にしたがって特別図柄が順次スクロールされることにより行なわれる。このようなスクロール表示は、切り替え表示と同様に、比較的高速で行なわれる。
【0068】見え隠れ表示とは、表示している特別図柄の少なくとも一部を隠す表示と、その隠れた部分を再度出現させる表示とを行なうことにより、特別図柄が見え隠れするように表示する変動パターンをいう。見え隠れ表示は、基本的に、前述した図柄の配列順序にしたがって特別図柄が変化することにより行なわれる。ただし、リーチ表示等の特定の可変表示が行なわれる場合には、特別図柄が変化しない場合と、図柄の配列順序にしたがわない特別図柄の変化がなされる場合とがある。このような見え隠れ表示は、切り替え表示およびスクロール表示よりも低速で行なわれる。これらの変動種類の具体例については、後述する。
【0069】図6を参照して、可変表示が実行される場合は、まず、左、中、右の各図柄が一斉に揃って変動種類Aの切り替え表示で可変開始される。変動種類Aの状態が予め定められた期間継続された後、左、中、右の各図柄の変動種類が同時に変動種類Bのスクロール表示に切り替えられる。そして、まず、左図柄の変動種類が変動種類Cの見え隠れ表示に切り替えられる。左図柄は、予め定められた期間見え隠れ表示された後、停止表示される。そして、左図柄が停止表示されると同時に右図柄の変動種類が変動種類Cの見え隠れ表示に切り替えられる。右図柄は、左図柄と同じ期間だけ変動種類Cで可変表示された後、停止表示される。そして、右図柄が停止表示されると同時に中図柄の変動パターンが変動種類Cの見え隠れ表示に切り替えられる。中図柄は、左図柄および右図柄と同じ期間だけ変動種類Cで可変表示された後、停止表示される。その中図柄の停止表示により、可変表示の表示結果の図柄が確定する。
【0070】次に、基本回路40での制御用プログラムの実行により行なわれる可変表示の制御について説明する。
【0071】図7は、特別図柄変動処理の処理内容を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理は、基本回路40で実行される制御用プログラムのメインルーチンにしたがって実行されるサブルーチンである。この特別図柄変動処理での処理にしたがった表示制御を実行するために、遊技制御基板の基本回路40から表示制御の指令をするコマンドデータが表示制御基板29の基本回路32に送信される。そして、そのコマンドデータにしたがって、基本回路32により特別図柄変動処理内容にしたがった可変表示装置4の表示制御が行なわれる。
【0072】まず、ステップS(以下、単にSという)1により、特別図柄変動プロセスデータを設定する処理がなされる。ここで、特別図柄変動プロセスデータは、特別図柄の可変表示制御を行なうためのプロセスの制御内容を規定するデータである。次に、S2により、プロセスデータ/タイマ処理のサブルーチンが実行される。このプロセスデータ/タイマ処理においては、特別図柄変動プロセスデータに基づいて、特別図柄変動処理の実行に割り当てられている制御時間をタイマにより管理する処理が行なわれる。
【0073】次に、S3に進み、S2での管理情報に基づいて、左、中、右の全図柄を変動種類Aで可変表示させるための設定時間が経過しているか否かの判断がなされる。S3により設定時間が経過していないと判断された場合は、S4に進み、全図柄を切り替え表示させるためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納されたデータに基づいて、全図柄が切り替え表示により可変表示される。S4の後、この特別図柄変動処理が終了する。一方、S3により設定時間が経過したと判断された場合は、S5に進み、S2での管理情報に基づいて、左図柄を変動種類Bで可変表示させるための設定時間が経過しているか否かの判断がなされる。
【0074】S5により設定時間が経過していないと判断された場合は、S6に進み、全図柄をスクロール表示させるためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納されたデータに基づいて左図柄がスクロール表示により可変表示される。S6の後、この特別図柄変動処理が終了する。一方、S5により設定時間が経過したと判断された場合は、S7に進み、S2での管理情報に基づいて、左図柄を変動種類Cで可変表示させるための設定時間が経過しているか否かの判断がなされる。
【0075】S7により設定時間が経過したと判断された場合は、後述するS11に進む。一方、S7により設定時間が経過していないと判断された場合は、S8に進み、左図柄を見え隠れ表示させるためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、RAM55に格納されたデータに基づいて左図柄が見え隠れ表示により可変表示される。
【0076】S8の後、S9に進み、S2での管理情報に基づいて、右図柄を変動種類Bで可変表示させるための設定時間が経過しているか否かの判断がなされる。S9により設定時間が経過していないと判断された場合は、S10に進み、右図柄および中図柄をスクロール表示させるためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納されたデータに基づいて右図柄および中図柄がスクロール表示により可変表示される。S10の後、この特別図柄変動処理が終了する。一方、S9により設定時間が経過したと判断された場合は、後述するS12に進む。
【0077】前述したS7により設定時間が経過したと判断された場合に進むS11においては、特別図柄プロセスフラグに左図柄停止開始処理を実行するためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納された特別図柄プロセスフラグのデータに基づいて左図柄の停止表示が開始される。S11の後、S9に進む。
【0078】ここで、特別図柄プロセスフラグとは、各特別図柄の可変表示を実行する際のプロセスの状態を指定するフラグをいう。各特別図柄の可変表示動作は、複数のプロセスに分けられており、特別図柄プロセスフラグのデータにより指定されるプロセスに応じた状態に制御される。このS11では、左図柄停止開始処理を実行するためのデータが特別図柄プロセスフラグに設定されるので、そのデータにしたがって左図柄の停止が開始されるのである。このような特別図柄プロセスフラグに設定されるデータと制御内容との関係は、左図柄のみならず、右図柄および中図柄についても同様である。
【0079】前述したS9により設定時間が経過したと判断された場合に進むS12では、S2での管理情報に基づいて、右図柄を変動種類Cで可変表示させるための設定時間が経過しているか否かの判断がなされる。
【0080】S12により設定時間が経過したと判断された場合は、後述するS16に進む。一方、S12により設定時間が経過していないと判断された場合は、S13に進み、右図柄を見え隠れ表示させるためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納されたデータに基づいて右図柄が見え隠れ表示により可変表示される。
【0081】S13の後、S14に進み、S2での管理情報に基づいて、中図柄を変動種類Bで可変表示させるための設定時間が経過しているか否かの判断がなされる。S14により設定時間が経過していないと判断された場合は、S15に進み、中図柄をスクロール表示させるためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納されたデータに基づいて中図柄がスクロール表示により可変表示される。S15の後、この特別図柄変動処理が終了する。一方、S14により設定時間が経過したと判断された場合は、後述するS17に進む。
【0082】前述したS12により設定時間が経過したと判断された場合に進むS16では、特別図柄プロセスフラグに右図柄停止開始処理を実行するためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納された特別図柄プロセスフラグのデータに基づいて右図柄の停止表示が開始される。S16の後、S14に進む。
【0083】前述したS14により設定時間が経過したと判断された場合に進むS17では、S2での管理情報に基づいて、中図柄を変動種類Cで可変表示させるための設定時間が経過しているか否かの判断がなされる。
【0084】S17により設定時間が経過していないと判断された場合は、S18に進み、中図柄を見え隠れ表示させるためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納されたデータに基づいて中図柄が見え隠れ表示により可変表示される。S18の後、この特別図柄変動処理が終了する。
【0085】一方、S17により設定時間が経過したと判断された場合は、S19に進み、特別図柄プロセスフラグに中図柄停止開始処理を実行するためのデータを設定し、その設定したデータをRAM55に格納する処理がなされる。これにより、他の制御ルーチンの処理の実行によって、RAM55に格納された特別図柄プロセスフラグのデータに基づいて中図柄の停止表示が開始される。S19の後、この特別図柄変動処理が終了する。
【0086】以上に示した特別図柄変動処理が実行されることにより、図6に示されたタイミングで特別図柄の可変表示が行なわれる。
【0087】次に、前述した特別図柄変動処理の実行にしたがって行なわれる可変表示の具体例を説明する。以下に、リーチ状態が発生しない通常の可変表示の場合の可変表示態様、リーチ1の場合の可変表示態様、および、リーチ2の場合の可変表示態様を具体例に挙げて説明する。前述したように、このパチンコ遊技機1においては、複数種類のリーチ状態を表示することが可能である。以下に説明するリーチ1およびリーチ2は、複数種類のリーチ状態のうちの代表的なものである。
【0088】まず、通常の可変表示の場合の可変表示態様を説明する。図8、図9および図10は、可変表示装置4での通常の可変表示態様を示す表示画面図である。図8、図9および図10においては、可変表示部5に表示される表示画面が、図8の(a),(b),(c),(d),図9の(a),(b),(c),(d),図10R>0の(a),(b),(c)の順に、時間経過にしたがって示されている。
【0089】まず、図8の(a)に示されるように、左図柄5a、中図柄5bおよび右図柄5cの全図柄について、切り替え表示による高速の可変表示が開始される。可変表示される左図柄5a、中図柄5bおよび右図柄5cのそれぞれの下方部分には、対応する特別図柄の遮蔽用の遮蔽物50a,50b,50cが固定的に表示される。この場合の遮蔽物50a,50b,50cは、岩をイメージした形状をなしている。
【0090】そして、全図柄の切り替え表示の設定時間が経過すると、すべての特別図柄の可変表示態様が、切り替え表示から図8の(b)に示されるような高速のスクロール表示に移行する。その後、各図柄のスクロール表示の設定時間の経過に応じて、左図柄5a、右図柄5c、中図柄5bの順に見え隠れ表示に移行する。
【0091】左図柄5aが見え隠れ表示に移行することにより、図8の(c)に示されるように左図柄5aの可変表示速度が低速になり、その後、図8の(d)に示されるように左図柄5aが下方の遮蔽物50aに隠れる表示がなされる。この場合、左図柄5aは、図柄の上端部を除いた部分が遮蔽物50aに隠れる。すなわち、左図柄5aが遮蔽物50aに隠れた場合は、図柄の大部分が隠れ、図柄の一部である上端部が遊技者に視認可能に表示される。
【0092】そして、左図柄5aは、図柄の上端部が遮蔽物50aの上方に見え、それ以外の部分が遮蔽物50aに隠れている状態で、可変表示される。図柄が遮蔽物50aに隠れている状態での可変表示では、基本的に図柄が図柄の配列順序にしたがって1図柄分だけ次の図柄に変化する。この例では、図8の(c),(d)に示されるように、「0」を示す図柄が、遮蔽物50aに隠れて次の「1」を示す図柄に変化した状態が示されている。このように、隠れた図柄の一部が視認可能な表示を行なうことにより、その図柄の一部の形状から、隠れている図柄の種類を遊技者がある程度予想できるため、表示の面白みを増すことができるとともに、遊技者の期待感を盛り上げることができる。さらに、図柄の変化の状態を知りたい遊技者の注意を可変表示に引きつけることができ、遊技者を遊技に集中させることができる。また、見え隠れ表示が比較的低速で行なわれるようにしたことにより、図柄の動作が遊技者にとって見やすくなり、見え隠れ表示の可変表示の面白みを活かすことができる。
【0093】なお、この例では、図柄が遮蔽物50aに隠れている状態で1図柄分だけ次の図柄に変化する場合を説明したが、これに限らず、隠れた図柄は、隠れている状態で複数図柄分変化させてもよい。
【0094】次に、図9の(a)に示されるように、遮蔽物50aに隠れた状態で可変表示された左図柄5aが、遮蔽物50aの上方に出現する表示がなされる。この出現表示により左図柄5aの停止図柄が確定する。そして、図9の(b)〜(d)に示されるように、右図柄5cが、左図柄5aの場合と同様の態様で可変表示される。すなわち、右図柄5cがスクロール表示から見え隠れ表示に移行し、見え隠れ表示後に情報に出現し、右図柄5cの停止図柄が確定する。この例では、「2」を示す図柄が、遮蔽物50aに隠れて次の「3」を示す図柄に変化した状態が示されている。この場合、「2」の上端部の形状は、「3」,「6」,「8」,「9」の上端部の形状と類似している。このため、このような図柄の一部が視認可能な表示を行なうことにより、隠れている図柄がどの図柄であるのか遊技者が予想できない場合も生じる。このように、図柄の種類によって隠れている図柄を遊技者が予想できたり、予想できなかったりするため、表示の面白みを増すことができる。
【0095】そして、図10の(a)〜(c)に示されるように、中図柄5bが、左図柄5aおよび右図柄5cの場合と同様の態様で可変表示される。すなわち、中図柄5bがスクロール表示から見え隠れ表示に移行し、見え隠れ表示後に情報に出現し、中図柄5bの停止図柄が確定する。この例では、「7」を示す図柄が、遮蔽物50aに隠れて次の「8」を示す図柄に変化した状態が示されている。
【0096】以上のように、見え隠れ表示による可変表示が実行されると、可変表示中の特別図柄が見え隠れするので、遊技者が停止図柄の種類を予想し難くなる。このように停止図柄の種類を予想し難くした可変表示態様での可変表示を行なうことにより、遊技者をはらはらさせて興奮状態にすることができ、その結果、遊技者の興趣を向上させることができる。さらに、見え隠れ表示においては、特別図柄自体を動作させることにより特別図柄を隠す表示が行なわれるため、特別図柄以外の画像を動作させることにより特別図柄を隠す表示を行なう場合と比べて、表示画面上で特別図柄を自由に動作させることができるので、特別図柄の可変表示の際の動作表示の自由度を大きくすることができ、可変表示の面白みを増すことができる。
【0097】なお、この例では、特別図柄の他に遮蔽物を表示し、特別図柄が動作して遮蔽物に隠れるイメージで特別図柄の見え隠れ表示を行なう例を示した。しかし、見え隠れ表示は、これに限らず、穴をイメージする画像を表示し、その穴に特別図柄が入ることにより特別図柄が隠れるようなイメージの表示をすることにより行なってもよい。その場合も、図柄の一部が視認可能な表示を行なえばよい。
【0098】次に、リーチ1が表示される場合と、リーチ2が表示される場合とのそれぞれの可変表示態様を説明する。図11および図12は、可変表示装置4でのリーチ1およびリーチ2の共通の可変表示態様を示す表示画面図である。図13は、リーチ1の特有の可変表示態様を示す表示画面図である。図14は、リーチ2の特有の可変表示態様を示す表示画面図である。
【0099】リーチ1の場合は、可変表示部5に表示される表示画面が、図11の(a),(b),(c),(d),図12の(a),(b),(c),(d),図1313の(a),(b),(c)の順に、時間経過にしたがって変化する。また、リーチ2の場合は、可変表示部5に表示される表示画面が、図11の(a),(b),(c),(d),図12の(a),(b),(c),(d),図14の(a),(b),(c),(d)の順に、時間経過にしたがって変化する。
【0100】まず、リーチ1の場合を説明する。図11の(a)〜(d)に示されるように、リーチ表示がなされる場合であっても、左図柄5aは、通常時の場合と同様に可変表示された後に停止図柄が確定する。この例では、図12の(a)に示されるように、左図柄5aの停止図柄が、「2」を示す図柄に確定している。そして、図12の(b),(c)に示されるように、右図柄5cが、左図柄5aの場合と同様の態様で、スクロール表示から見え隠れ表示に移行する。この例では、右図柄5cが、「2」を示す図柄で遮蔽物50aに隠れ、次の「3」を示す図柄に変化せずに「2」を維持している状態が示されている。
【0101】前述したように、通常時の可変表示において、特別図柄は、隠れた後にさらに図柄の種類が変化する。このため、遊技者は、一般的に、右図柄5cが「2」を示す図柄で隠れれば、その隠れている状態で、右図柄5cが「2」を示す図柄から「3」を示す図柄に変化したと予想するものと考えられる。しかし、前述したリーチ表示がなされる場合には、遊技者の一般的な予想に反して、図12の(d)に示されるように、隠れた状態で図柄が変化せず、隠れた時の「2」を示す図柄がそのまま出現して右図柄5cの停止図柄が確定し、左図柄5aと、右図柄5cとが揃ったリーチ状態が発生する。このように隠れた状態で図柄を変化させない表示は、「2」,「3」および「8」,「9」の場合のように、上端部の形状が類似している図柄が図柄の配列において2つ続いている場合において、先の順序の図柄が予定停止図柄になったときに行なえばよい。
【0102】なお、リーチ状態を発生させる場合には、このような隠れた状態で図柄を変化させない表示制御に限らず、隠れた状態で図柄を変化させる通常の表示制御を行なってもよい。
【0103】このように、特別図柄が隠れた表示が行なわれた後、隠れた時の種類の図柄が出現するか、隠れた図柄と異なる種類の図柄が出現するかについての遊技者による判別をし難くい可変表示を行なうようにした。このため、停止表示される図柄を遊技者が予想することが難しくなるので、遊技者をはらはらさせて興奮状態にすることができ、その結果、遊技者の興趣を向上させることができる。さらに、特別図柄が隠れた表示が行なわれた後、隠れた時の種類の図柄が出現する場合と、隠れた図柄と異なる種類の図柄が出現する場合とがあるようにしたため、可変表示態様がバラエティに富み、可変表示の面白みを増すことができる。また、遊技者が予想しにくい図柄が出現して遊技者にとって有利なリーチ状態が発生することにより、意外性がある可変表示を提供でき、遊技者の興趣をより一層向上させることができる。
【0104】以上のようなリーチ状態が発生するまでの表示手順は、リーチ1と、リーチ2とで共通である。リーチ1と、リーチ2とは、リーチ状態が発生した後の表示手順が異なる。
【0105】リーチ1の場合は、リーチ状態が発生した後、図13に示される表示が行なわれる。図13の(a),(b)に示されるように、中図柄5bが、スクロール表示から見え隠れ表示に移行する。この図13に示されている例は、大当りの発生が事前に決定されている場合であり、中図柄5bが、「8」を示す図柄で遮蔽物50bに隠れ、次の配列順序の「9」を示す図柄に変化せずに、配列順序を複数図柄分進めた図柄に該当する「2」に変化している状態が示されている。すなわち、図柄の配列順序にしたがった変化がなされていない。
【0106】「9」と「2」とは、上端部の形状が類似しているので、この場合、遊技者は、表示を見ただけでは、中図柄5bが「2」になっていることを判別できない。図柄の配列順序にしたがって図柄を変化させるという可変表示の基本的な表示態様にしたがうと、「8」を示す図柄で遮蔽物50bに隠れた場合、遊技者は、次の図柄である「9」の出現を予想する。
【0107】しかし、この場合には、隠れた中図柄5bが「2」を示す図柄になっているので、最終的に、隠れていた「2」を示す図柄の中図柄5bが、遮蔽物50bの上方に出現する表示がなされる。この出現表示により中図柄5bの停止図柄が確定する。この場合は、「2」が揃うことにより、大当りが発生している。
【0108】このように、遊技者の一般的な予想と異なる種類の図柄が出現して中図柄5bが確定する表示が行なわれると、表示の意外性により、可変表示の面白みを増すことができ、遊技者の興趣を向上させることができる。さらに、大当りを発生させる場合に、そのような意外性がある表示を行なうと、遊技者の喜びをより盛り上げることができるので、遊技者の興趣をより一層向上させることができる。
【0109】このように隠れた状態で、図柄を配列順序にしたがって変化させずに、配列順序を複数図柄分進めた図柄に変化させる表示は、「0」,「2」,「3」,「6」,「8」,「9」の場合のように、上端部の形状が類似している図柄が予定停止図柄になったときに行なえばよい。
【0110】また、リーチ状態において、最後に停止する中図柄5bについて見え隠れ表示が行なわれると、停止図柄の種類を予想し難くした可変表示態様でのリーチ表示が行なわれるため、リーチ状態以外の状態において見え隠れ表示を行なう場合と比べて、遊技者をよりはらはらさせてより一層高い興奮状態にすることができ、その結果、遊技者の興趣をより一層向上させることができる。
【0111】また、リーチ状態において、最後に停止する中図柄5bについて図柄の一部を視認可能な表示が行なわれると、たとえば、「0」,「2」,「3」,「6」,「8」,「9」のいずれかの図柄でリーチが発生した場合には、中図柄5bにおいてそれらの6つの図柄のうちの何れかが隠れて表示されれば、遊技者が図柄の上端部の形状を見て大当りの図柄の組み合わせが生じる可能性が高いと期待する。したがって、リーチ状態において、最後に停止する中図柄5bについて図柄の一部を視認可能な表示が行なわれることにより、遊技者が大当りの発生について期待感を持つ機会をより多く生じさせることができる。また、このような場合は、中図柄5bが最終的に出現するまでは期待感が失われないので、面白味がある遊技を遊技者に提供することができる。
【0112】リーチ2の場合は、リーチ状態が発生した後、図14に示される表示が行なわれる。図14の(a),(b)に示されるように、中図柄5bが、スクロール表示から見え隠れ表示に移行する。この図14に示されている例は、はずれが事前に決定されている場合であり、中図柄5bが、「1」を示す図柄で遮蔽物50bに隠れる。そして、隠れた中図柄5bが、次の配列順序の「2」を示す図柄に変化せずに、図14の(c)に示されるようなはずれキャラクタ図柄5dに変化している。
【0113】このはずれキャラクタ図柄5dは、上端部が「0」,「2」,「3」,「6」,「8」,「9」と類似した形状を有するキャラクタよりなる図柄であり、通常に可変表示される特別図柄と異なる図柄になっている。はずれキャラクタ図柄5dは、通常の可変表示で用いられる特別図柄の配列には含まれておらず、リーチ状態が生じた後の中図柄の停止表示時にのみ、特別図柄の配列順序にしたがう表示とは無関係に用いられる。はずれキャラクタ図柄5dの上端部の形状が「2」等の上端部の形状と類似しているため、このはずれキャラクタ図柄5dが隠れている場合は、図14の(b)に示されるように、遊技者が、図柄の上端部を見ただけではその図柄が具体的にどのような図柄であるのか判別し難いようになっている。
【0114】可変表示の基本的な表示態様にしたがえば、中図柄5bが「1」を示す図柄で遮蔽物50bに隠れた場合、遊技者は、一般的に、図柄の配列順序にしたがう次の図柄である「2」の出現を予想する。しかし、この場合には、隠れた図柄が「2」を示す図柄と上端部が同様の形状のはずれキャラクタ図柄5dに変化している。そして、最終的に、図14の(c)に示されるように、隠れていたはずれキャラクタ図柄5dを示す中図柄5bが、遮蔽物50bの上方に出現する表示がなされる。
【0115】このように、遊技者の予想外のはずれキャラクタ図柄5dが表示されると、単にはずれの数字の図柄を表示する場合と比べて、表示の意外性により、可変表示の面白みを増すことができる。また、通常の図柄とは明らかに異なるはずれキャラクタ図柄5dが表示されることにより、可変表示結果がはずれになったことを遊技者が明確に把握することができる。さらに、通常の図柄と一部の形状が類似したはずれキャラクタ図柄を表示可能にすることにより、停止表示される特別図柄の種類の予想がより一層行ない難くなるため、通常の図柄のみを表示する場合と比べて、遊技者をよりはらはらさせてより一層高い興奮状態にすることができ、その結果、遊技者の興趣をより一層向上させることができる。
【0116】このようにはずれキャラクタ図柄5dを出現させる表示は、「0」,「2」,「3」,「6」,「8」,「9」の場合のように、上端部の形状が類似している図柄が予定停止図柄になったときに行なえばよい。
【0117】そして、はずれキャラクタ図柄5dが表示された後、図14の(d)に示されるように、そのはずれキャラクタ図柄5dが、別の通常の図柄に変化され、その図柄により中図柄5bの停止図柄が確定する。この例では、はずれキャラクタ図柄5dが通常の図柄である「3」に変化されることにより、通常の図柄により、はずれになったことが示される。はずれキャラクタ図柄5dは、中図柄5bの見え隠れ表示の設定時間が終了する前のタイミングでなおかつ、はずれキャラクタ図柄5dの表示時間が0.5秒以上とならない段階で通常の図柄に変化させられ、その通常の図柄への変化と同時に中図柄5bの停止図柄が確定し、見え隠れ表示が終了する。このように、はずれキャラクタ図柄5dの表示後にそのはずれキャラクタ図柄5dを通常の図柄に変化させる場合は、はずれキャラクタ図柄5dが消去され、その代わりに通常の図柄が表示される。
【0118】はずれキャラクタ図柄5dを通常の特別図柄に変化させる場合、その通常の図柄は、たとえば、「2」,「3」等の上端部の形状がはずれキャラクタ図柄5dと類似しているものにすることが望ましい。そのようにすれば、はずれキャラクタ図柄5dが、後に表示される通常の図柄がはずれ図柄である旨を強調する意味で表したものであるという好感的な印象を遊技者が受けるからである。これに対し、はずれキャラクタ図柄5dを通常の特別図柄に変化させる場合に、その通常の図柄を上端部の形状がはずれキャラクタ図柄5dと類似していないものにすると、はずれキャラクタ図柄5dが、単に、大当りの発生を邪魔したものであるという不快な印象を遊技者に与えるおそれがある。
【0119】なお、この例では、はずれキャラクタ図柄5dの表示後に、そのはずれキャラクタ図柄5dを通常の図柄に変化させたが、これに限らず、はずれキャラクタ図柄5dを通常の図柄に変化させずに、そのはずれキャラクタ図柄5dにより中図柄5bの停止図柄を確定させてもよい。
【0120】また、はずれキャラクタ図柄5dを通常の図柄に変化させる場合の変化態様としては、モーフィング等の手法を用いてはずれキャラクタ図柄5dを徐々に通常の図柄に変形させる態様を採用してもよく、または、はずれキャラクタ図柄5dを一度遮蔽物50bに隠した後に通常の図柄を出現させる態様を採用してもよい。また、はずれキャラクタ図柄5dをその場合で回転させる表示を行ない、その回転中にはずれキャラクタ図柄5dを通常の図柄に変化させてもよい。また、はずれキャラクタ図柄5dを上側から押しつぶす表示を行なった後にその代わりに通常の図柄を出現させる態様を採用してもよい。このような表示上の演出がなされた表示態様ではずれキャラクタ図柄5dを通常の特別図柄に変えると、可変表示の面白みを増すことができる。
【0121】また、はずれを示すために表示する図柄は、はずれキャラクタ図柄5dのようにキャラクタを含む図柄でなくてもよい。すなわち、通常の図柄と容易に区別でき、はずれになったことが明確に視認できる図柄であれば、どのような図柄であってもよい。
【0122】また、大当りを発生させる場合には、通常の図柄とは明らかに異なる大当り図柄を一旦表示した後に、大当りの図柄の組み合わせを構成する通常の図柄を表示するようにしてもよい。そのようにすれば、単に当りの数字の図柄を表示する場合と比べて、表示の意外性により、可変表示の面白みを増すことができるとともに、遊技者の興趣を向上させることができる。
【0123】また、前述した通常の可変表示およびリーチ表示における見え隠れ表示においては、特別図柄の一部が視認可能な態様で特別図柄を隠した。しかし、これに限らず、見え隠れ表示においては、特別図柄の全体を隠すようにしてもよい。すなわち、見え隠れ表示においては、特別図柄の少なくとも一部を隠すようにすればよい。
【0124】また、前述した通常の可変表示およびリーチ表示における見え隠れ表示においては、特別図柄が一度だけ隠れた後に停止図柄が確定する表示の例を説明した。しかし、これに限らず、見え隠れ表示においては、特別図柄が隠れた後に出現する動作を複数回繰返し行なった後に、停止図柄が確定する表示を行なってもよい。
【0125】次に、この発明の変形例等の特徴点を列挙する。
(1) 図2に示された基本回路40および図3に示された基本回路32により、可変表示装置(可変表示装置4)において複数種類の識別情報(特別図柄)を可変開始させた後表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段が構成されている。図8の(c)〜図10の(c)等の表示画面図に示されるように、前記可変表示制御手段は、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示を実行させた後、その可変表示中の識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示を実行させる表示制御(見え隠れ表示)を行なう。そのような可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示を実行させた後、その可変表示中の識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示を実行させる表示制御は、識別情報の可変表示速度を所定の高速の可変表示速度よりも低い可変表示速度にした状態で実行される。
【0126】(2) 図8の(c),(d)等の表示画面図に示されるように、前記可変表示制御手段は、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示制御を実行する場合に、その識別情報自体が動いて隠れる動作をさせる表示制御を行なう。そのように識別情報自体が動いて隠れる動作をさせる場合には、図8等に示されるように、遮蔽物(遮蔽物50a等)を前記可変表示装置に表示させ、その遮蔽物に識別情報の少なくとも一部を隠す表示制御を行なうようにしてもよい。
【0127】(3) 図8の(c),図9の(a)、図1313の(a),(c)、図14の(a),(c),(d)等に示されるように、前記可変表示制御手段は、少なくとも一部が隠れた識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示制御を実行する場合に、隠れた時の識別情報の種類と異なる種類の識別情報を出現させる表示制御を行なうことが可能である。この場合の隠れた時の識別情報の種類と異なる種類の識別情報を出現させる表示制御には、■可変表示装置により通常可変表示される識別情報であって、隠れた時の識別情報(たとえば8)に一部が類似している識別情報(たとえば2)を出現させる制御(図13参照)と、■可変表示装置により通常可変表示される識別情報と異なる識別情報(はずれキャラクタ図柄5d)を出現させる制御(図14参照)とが含まれている。
【0128】(4) 前記可変表示制御手段は、図8の(c),図9の(a)等に示されるように、前記複数種類の識別情報を所定の順序にしたがって表示させる可変表示と、図13の(a),(c)等に示されるように、前記複数種類の識別情報を前記所定の順序とは無関係に表示させることによる可変表示とを選択的に実行する表示制御を行なう。この場合の複数種類の識別情報を前記所定の順序とは無関係に表示させることによる可変表示には、■識別情報を変化させない場合(図12の(b)〜(d)参照)と、■前記所定の順序を繰り上げて変化させる場合(図13の(a)〜(c)参照)とが含まれる。
【0129】(5) 前述した実施の形態においては、可変表示装置4が液晶表示装置により構成された例を示した。しかし、これに限らず、可変表示装置4は、前述したような識別情報(図柄)の可変表示を行なうことが可能な表示装置であればよく、たとえばCRT表示装置等の他の表示装置により構成されてもよい。
【0130】
【課題を解決するための手段の具体例】
(1) 図1に示された可変表示装置4により、複数種類の識別情報(特別図柄)を可変表示可能な可変表示装置が構成されている。該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報(たとえば777)になった場合に、遊技者に有利な状態(大当り状態)に制御可能である。図2に示された基本回路40および図3に示された基本回路32により、前記可変表示装置において前記複数種類の識別情報を可変開始させた後表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段が構成されている。図8の(c)〜図10の(c)等の表示画面図に示されるように、前記可変表示制御手段は、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示を実行させた後、その可変表示中の識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示を実行させる表示制御(見え隠れ表示)を行なう。
【0131】(2) 図8の(c),(d)等の表示画面図に示されるように、前記可変表示制御手段は、可変表示中の識別情報の少なくとも一部(たとえば上端部)が隠れる表示制御を実行する場合に、その識別情報自体が動いて隠れる動作をさせる表示制御を行なう。
【0132】(3) 図8の(c),図9の(a)、図1313の(a),(c)、図14の(a),(c),(d)等に示されるように、前記可変表示制御手段は、少なくとも一部が隠れた識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示制御を実行する場合に、隠れた時の識別情報の種類と異なる種類の識別情報を出現させる表示制御を行なうことが可能である。
【0133】(4) 前記可変表示制御手段は、図8の(c),図9の(a)等に示されるように、前記複数種類の識別情報を所定の順序にしたがって表示させる可変表示と、図13の(a),(c)等に示されるように、前記複数種類の識別情報を前記所定の順序とは無関係に表示させることによる可変表示とを選択的に実行する表示制御を行なう。
【0134】
【課題を解決するための手段の具体例の効果】請求項1に関しては、次のような効果を得ることができる。このように、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示が行なわれた後、その可変表示中の識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示が行なわれるので、識別情報が見え隠れする。このため、導出表示される識別情報を遊技者が予測し難くくなるので、可変表示を見る遊技者をはらはらさせて興奮状態にすることができ、その結果、遊技者の興趣を向上させることができる。すなわち、可変表示態様により、遊技者の興趣を向上させることができる。
【0135】請求項2に関しては、請求項1に関する効果に加えて、次のような効果を得ることができる。識別情報自体が動いて隠れるため、識別情報以外のものにより識別情報を隠す表示を行なう場合と比べて、表示範囲上で識別情報を自由に動作させることが可能になるので、識別情報の可変表示の際の動作表示の自由度を大きくすることができ、可変表示の面白みがより一層増す。
【0136】請求項3に関しては、請求項1に関する効果に加えて、次のような効果を得ることができる。少なくとも一部が隠れた識別情報の隠れた部分が再び出現する場合に、隠れた時の識別情報の種類と異なる種類の識別情報が出現するため、出現する識別情報の種類を遊技者が予測し難くなる。このため、可変表示を見る遊技者をより一層はらはらさせて興奮状態にすることができ、その結果、遊技者の興趣をより一層向上させることができる。また、可変表示の面白みがより一層増すようにすることができる。
【0137】請求項4に関しては、請求項1、2または3に関する効果に加えて、次のような効果を得ることができる。複数種類の識別情報を所定の順序にしたがって表示させる可変表示と、前記複数種類の識別情報を前記所定の順序とは無関係に表示させることによる可変表示とが選択的に実行されるため、導出表示される識別情報を遊技者がさらに予測し難くくなるので、可変表示を見る遊技者をさらにはらはらさせて興奮状態にすることが可能になり、その結果、遊技者の興趣をより一層向上させることができる。また、可変表示の面白みがより一層増すようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊技機の一例のパチンコ遊技機の遊技盤面の正面図である。
【図2】遊技制御基板に形成された回路の構成を示すブロック図である。
【図3】可変表示装置に用いられている表示制御基板に形成された回路の構成を示すブロック図である。
【図4】遊技制御,可変表示装置の可変表示制御に用いられる各種ランダムカウンタを説明するための説明図である。
【図5】ランダムカウンタの値により大当りを発生させるか否かを事前に決定するための手順を示すフローチャートである。
【図6】可変表示装置における左、右、中の特別図柄の可変表示時の変動種類を制御する制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】特別図柄変動処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図8】可変表示装置での通常の可変表示態様を示す表示画面図である。
【図9】可変表示装置での通常の可変表示態様を示す表示画面図である。
【図10】可変表示装置での通常の可変表示態様を示す表示画面図である。
【図11】可変表示装置でのリーチ1およびリーチ2の共通の可変表示態様を示す表示画面図である。
【図12】可変表示装置でのリーチ1およびリーチ2の共通の可変表示態様を示す表示画面図である。
【図13】リーチ1の特有の可変表示態様を示す表示画面図である。
【図14】リーチ2の特有の可変表示態様を示す表示画面図である。
【符号の説明】
3は遊技領域、4は可変表示装置、5は可変表示部、40,32は基本回路、54はCPU、55はRAM、5aは左特別図柄、5bは中特別図柄、5cは右特別図柄、5dははずれキャラクタ図柄である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置の表示結果が予め定められた特定の識別情報になった場合に、遊技者に有利な状態に制御可能な遊技機であって、前記可変表示装置において前記複数種類の識別情報を可変開始させた後表示結果を導出表示させる制御を行なう可変表示制御手段を含み、該可変表示制御手段は、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示を実行させた後、その可変表示中の識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示を実行させる表示制御を行なうことを特徴とする、遊技機。
【請求項2】 前記可変表示制御手段は、可変表示中の識別情報の少なくとも一部が隠れる表示制御を実行する場合に、その識別情報自体が動いて隠れる動作をさせる表示制御を行なうことを特徴とする、請求項1記載の遊技機。
【請求項3】 前記可変表示制御手段は、少なくとも一部が隠れた識別情報の隠れた部分を再び出現させる表示制御を実行する場合に、隠れた時の識別情報の種類と異なる種類の識別情報を出現させる表示制御を行なうことが可能であることを特徴とする、請求項1記載の遊技機。
【請求項4】 前記可変表示制御手段は、前記複数種類の識別情報を所定の順序にしたがって表示させる可変表示と、前記複数種類の識別情報を前記所定の順序とは無関係に表示させることによる可変表示とを選択的に実行する表示制御を行なうことを特徴とする、請求項1、2または3に記載の遊技機。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【公開番号】特開平11−47372
【公開日】平成11年(1999)2月23日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−212138
【出願日】平成9年(1997)8月6日
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)