説明

遊技球揚送装置

【課題】供給ガイドに塵や埃等が溜まるのを効率的に抑制可能な遊技球揚送装置を提供する。
【解決手段】上流側搬送部21を転動してきた遊技球を揚送して下流側搬送部21に供給する遊技球揚送装置100において、遊技球揚送装置100は、磁性体133を有し、当該磁性体133によって遊技球を外周面に吸着した状態で下流側搬送部21に向かって揚送する回転体130と、上流側搬送部21からの遊技球を回転体130に誘導するガイド部151と、回転体130を回転駆動する駆動源121と、を備え、磁性体133は、回転体130の外周面の幅方向において、外側の磁極が交互に異なるように複数並んで配設され、ガイド部151は、磁性体133の幅方向端部141、142及び隣接する磁性体133の連結部143と対応する位置にスリット151Bを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機で使用される遊技球を揚送して搬送する遊技球揚送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技場には、複数の遊技機を配列する遊技島が間隔をあけて複数設けられている。遊技島の上部には、当該遊技島の各遊技機に遊技球を供給するための遊技球供給装置が設けられる。また、遊技島の下部には、当該遊技島の各遊技機から排出される遊技球を回収するための遊技球回収装置が設けられる。遊技球回収装置によって回収された遊技球は、再び遊技球供給装置へ搬送される。このように遊技球は遊技島内を循環する。
【0003】
特許文献1には、遊技球を搬送する方向に下り傾斜する複数の搬送樋と、直列に並べられた2つの搬送樋の間に配設され、上流側の搬送樋の下流端部から受け入れた遊技球を下流側の搬送樋の上流端部まで揚送する遊技球揚送装置と、各遊技機に遊技球を供給するように遊技機毎に対応して搬送樋に設けられる補給シュートと、を備えた遊技球供給装置が開示されている。遊技球供給装置では、遊技球揚送装置を介して搬送樋を直列に連結するとともに、各搬送樋の長さを短くしているので、一本の搬送樋のみで遊技球を搬送する場合と比較して、遊技島の高さが高くなり過ぎるのを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−12139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の遊技球揚送装置は、上流側の搬送樋からの遊技球を装置内部に導く供給ガイドと、装置内部から下流側の搬送樋に遊技球を導く排出ガイドと、供給ガイドを転動してきた遊技球を磁力によって吸着して排出ガイドまで揚送する回転体と、を備えている。このような遊技球揚送装置では、遊技球に付着していた塵や埃等が供給ガイドに溜まりやすく、溜まった塵や埃等が再び遊技球に付着してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、供給ガイドに塵や埃等が溜まるのを効率的に抑制可能な遊技球揚送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上流側搬送部を転動してきた遊技球を揚送して下流側搬送部に供給する遊技球揚送装置において、前記遊技球揚送装置は、磁性体を有し、当該磁性体によって遊技球を外周面に吸着した状態で前記下流側搬送部に向かって揚送する回転体と、前記上流側搬送部からの遊技球を前記回転体に誘導するガイド部と、前記回転体を回転駆動する駆動源と、を備え、前記磁性体は、前記回転体の外周面の幅方向において、外側の磁極が交互に異なるように複数並んで配設され、前記ガイド部は、前記磁性体の幅方向端部及び隣接する前記磁性体の連結部と対応する位置にスリットを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技球揚送装置のガイド部にはスリットが形成されるので、ガイド部を転動してきた遊技球や回転体によって揚送される遊技球等から剥離した塵や埃を、スリットを介して下方に落下させることができる。スリットは、遊技球が回転体に吸着される位置に対応して設けられるので、遊技球から剥離した塵や埃の堆積を効率的に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る遊技球揚送装置を備えた遊技島の正面図である。
【図2A】遊技球揚送装置を有する遊技球供給装置の一部側面図である。
【図2B】遊技球揚送装置を有する遊技球供給装置の一部側面図である。
【図2C】補給シュートの一例を示す概略構成図である。
【図2D】補給シュートの一例を示す概略構成図である。
【図3】遊技球揚送装置の斜視図である。
【図4】遊技球揚送装置の分解斜視図である。
【図5】遊技球揚送装置の回転体ユニットの斜視図である。
【図6】回転体ユニットの分解斜視図である。
【図7】(A)は回転体ユニットの磁石の斜視図であり、(B)は2つの磁石からなる磁石群を示す図である。
【図8】遊技球揚送装置の横断面図である。
【図9】遊技球揚送装置の側面図である。
【図10】遊技球揚送装置の側面図である。
【図11】遊技球揚送装置の回転体の外周面を示す図である。
【図12】遊技球揚送装置の受入口近傍の斜視図である。
【図13】複数の磁石から構成される磁石群の変形例を示す図である。
【図14】(A)は遊技球が排出ガイドに滞留していない状態を示す図であり、(B)は排出ガイドのオーバーフロー状態を示す図である。(C)は、オーバーフローセンサのスイッチ部を示す図である。
【図15】第2実施形態に係る遊技球揚送装置の側面図である。
【図16】(A)は変形例1による遊技球揚送装置の側面図であり、(B)は(A)の遊技球揚送装置の破線領域部分の拡大図である。
【図17】(A)は変形例2による遊技球揚送装置の側面図であり、(B)は(A)の遊技球揚送装置の破線領域部分の拡大図である。
【図18】(A)は遊技球揚送装置の受入口近傍の斜視図であり、(B)は供給ガイドの平面図である。
【図19】(A)〜(D)は、不正大径球を回収する仕組みを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による遊技球揚送装置について説明する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、第1実施形態による遊技球揚送装置100が設置される遊技島1について説明する。
【0012】
遊技島1は、遊技場に設置され、複数の遊技機や付帯設備が設けられるものである。遊技場内には、複数の遊技島1が、各遊技機の正面に遊技者が着座して遊技を行えるだけの間隔をあけて並列に配設される。遊技島1は、複数の支持部33を介して遊技場の床面に設置されており、遊技島1の下部には遊技者が足を入れる空間としてのレッグスペース34が形成されている。
【0013】
遊技島1は、前面及び裏面に、図1の左右方向(長手方向)に亘って、複数の遊技機設置開口部2を有している。図1においては、遊技島1の前面の遊技機設置開口部2の列のみを図示するが、遊技島1の裏面にも遊技機設置開口部2の列が形成されている。遊技機設置開口部2には遊技機が設置され、これにより遊技機は遊技島1の長手方向に配列され、前後方向には一対の遊技機が背向状態で配置される。
【0014】
遊技島1には、各遊技機で用いられる遊技球を搬送する搬送装置10が設けられる。搬送装置10には、遊技島1の上部に設けられ遊技球を各遊技機へと供給する遊技球供給装置20と、遊技島1の下部に設けられ遊技に用いられた遊技球を回収する遊技球回収装置30とがある。
【0015】
なお、本実施形態では、遊技球を貸し出すための球貸機(図示省略)を各遊技機に併設しているので、遊技球供給装置20はこれら球貸機にも遊技球を供給している。
【0016】
遊技球供給装置20から遊技機へと供給された遊技球は、遊技機から賞球として遊技者に対して払い出される。払い出された遊技球は、遊技機の遊技に用いられたり、遊技島1に設置された球計数機(図示省略)に投入されたりして、遊技球回収装置30に回収される。遊技球回収装置30に回収された遊技球は、遊技島1の端部に設けられたリフト装置40に導かれる。
【0017】
また、遊技球供給装置20から球貸機へと供給された遊技球は、遊技者による所定の操作によって遊技機の貯留皿へ払い出されて遊技に用いられる。遊技機から排出された遊技球は、遊技球回収装置30を介してリフト装置40へ導かれる。
【0018】
リフト装置40は、遊技球を磨きながら上方へと運ぶ搬送装置である。リフト装置40は、受け入れる遊技球を整列させるための受入樋41を備える。受入樋41は、リフト装置40の隣の遊技機の下方まで延設され、遊技球回収装置30から転動してくる遊技球を受け入れる。
【0019】
リフト装置40によって揚送された遊技球は、リフト装置40の上部に設置された上部タンク42へと導かれる。上部タンク42には遊技球供給装置20が連結されているため、上部タンク42から遊技球供給装置20に導かれた遊技球は再び各遊技機及び各球貸機へと供給される。このように、遊技球は遊技球供給装置20、遊技球回収装置30、及びリフト装置40によって遊技島1内を循環する。
【0020】
リフト装置40は、当該リフト装置40の下部に設けられるモータ43によって駆動される。モータ43の上方には、リフト装置40の周囲をコの字状に取り囲むように球貯留タンク44が配設される。球貯留タンク44は、遊技島1で使用される大量の遊技球を貯留可能な遊技島1内で最大容量のタンクである。球貯留タンク44の底部には、貯留された遊技球を受入樋41に流下させてリフト装置40に供給するための開閉可能なシャッター(図示省略)が設けられる。
【0021】
遊技球供給装置20は、直列に配設される二本の第1搬送樋21と、第1搬送樋21の下流に直列に配設される第2搬送樋22と、二本の第1搬送樋21の間及び第1搬送樋21と第2搬送樋22の間に設けられる遊技球揚送装置100と、を備える。
【0022】
なお、遊技球供給装置20では、二本の第1搬送樋21と一本の第2搬送樋22とを直列に配設しているが、三本以上の第1搬送樋21を配設することで全長を長くし、より多くの遊技機に遊技球を供給することも可能である。
【0023】
第1搬送樋21は、遊技島1の長手方向に下り傾斜して配設される。上流側の第1搬送樋21は、上流端部が上部タンク42に接続され、下流端部が遊技球揚送装置100に接続される。下流側の第1搬送樋21は、上流端部が上流側に配設された遊技球揚送装置100に接続され、下流端部が下流側に配設された遊技球揚送装置100に接続される。
【0024】
第2搬送樋22は、遊技島1の長手方向に、かつ第1搬送樋21と同一方向に向かって下り傾斜し、下流側の第1搬送樋21の下流に直列に配設される。
【0025】
第1搬送樋21及び第2搬送樋22は、遊技球が自重によって転動可能な傾斜角度(例えば4分)に設定され、遊技島1の上部に固定される。第1搬送樋21及び第2搬送樋22は、上面が開口した樋状に形成されるが、必ずしも上面が開口している必要はなく、開口部に蓋を設けたり、内部を遊技球が転動するような閉じられた形状であってもよい。
【0026】
遊技球揚送装置100は、上流側の搬送樋の下流端部から供給された遊技球を、下流側の搬送樋の上流端部へと揚送する装置である。遊技球揚送装置100は、遊技島1の上部に配設され、下流側の搬送樋の上流端部が上流側の搬送樋の下流端部よりも高い位置となるように、二本の搬送樋を直列に連結する。遊技球揚送装置100の詳細な構成については後述する。
【0027】
第1搬送樋21は、上流から導かれた遊技球が転動可能な共通樋21Aと、共通樋21Aの下流の分岐部21Bから分岐して遊技球揚送装置100に遊技球を導く誘導樋21Cと、分岐部21Bから下方に分岐して、その下方に配設された遊技機に遊技球を供給する供給樋21Dとを備える。
【0028】
第1搬送樋21の分岐部21Bは、共通樋21Aから誘導樋21Cと供給樋21Dに上下に分岐させているが、上下でなく左右に分岐させてもよい。また、誘導樋21Cを、分岐部21Bから下方に分岐させ、供給樋21Dを上方とし、誘導樋21Cを下方にしても良い。
【0029】
最上流に配設された第1搬送樋21の共通樋21Aには、上部タンク42から遊技球が供給される。また、下流側に配設された第1搬送樋21の共通樋21Aには、上流側の遊技球揚送装置100から遊技球が供給される。
【0030】
分岐部21Bは、共通樋21Aの下流に形成され、共通樋21Aを転動してきた遊技球を誘導樋21Cと供給樋21Dとに振り分ける。つまり、分岐部21Bは、共通樋21Aを転動する遊技球の一部を供給樋21Dに流下させる通路として形成されている。
【0031】
誘導樋21Cは、共通樋21Aの下流から分岐し、共通樋21Aと連続するように形成される樋である。誘導樋21Cの下流端部は、遊技球揚送装置100に接続される。
【0032】
供給樋21Dは、共通樋21Aから下方に分岐して誘導樋21Cと略平行に形成される。供給樋21Dの下流端部は閉塞して形成されており、遊技球が供給樋21D上に溜まるようになっている。供給樋21Dには、遊技島1に備えられた各遊技機に遊技球を導く補給シュート23が各遊技機に対応して配設される。補給シュート23は、供給樋21Dの前後両側に長手方向に亘って配設される。前面側の補給シュート23は遊技島1の前面側に設置された遊技機及び球貸機に対して遊技球を導き、裏面側の補給シュート23は遊技島1の裏面側に設置された遊技機及び球貸機に対して遊技球を導く。
【0033】
第1搬送樋21には分岐部21Bが形成されるのに対して、第2搬送樋22は分岐部が形成されない一本の樋である。第2搬送樋22の下流端部は閉塞して形成されており、遊技球が第2搬送樋22上に留まるようになっている。第2搬送樋22には、遊技島1に備えられた各遊技機に遊技球を導く補給シュート23が各遊技機に対応して配設される。補給シュート23は、第2搬送樋22の前後両側に長手方向に亘って配設される。前面側の補給シュート23は遊技島1の前面側に設置された遊技機及び球貸機に対して遊技球を導き、裏面側の補給シュート23は遊技島1の裏面側に設置された遊技機及び球貸機に対して遊技球を導く。
【0034】
なお、図2Bに示すように、補給シュート23はシュート本体231と回動部232とを備え、回動部232の先端には遊技球を遊技機に誘導可能な蛇腹部233を取り付けられる。回動部232は、図2Cに示すように、蛇腹部233が略水平となる状態から蛇腹部233の遊技球排出口が鉛直下向きとなる状態まで略90°回動可能に構成される。回動部232は上部を塞ぐように上壁部232aを備え、遊技球排出口が鉛直下向きとなるように回動部232が回動した場合には、上壁部232aは遊技球の水平方向への流下を止めて、遊技球を鉛直下方に誘導する。
【0035】
また、回動部232は、図2Dに示すように、湾曲通路状に形成されて遊技球排出口が根元部分を中心として旋回可能に構成してもよい。図2Dに示した回動部232には、蛇腹部233を取り付けていないが、蛇腹部233を設置してもよい。
【0036】
図2C及び図2Dにおいて、回動部232の回動範囲(回動角度)は必要に応じて制限してもよく、回動部232の角度を固定可能としてもよい。
【0037】
上記のように構成される遊技球供給装置20では、上部タンク42から最上流の第1搬送樋21に供給された遊技球は、その全量が当該第1搬送樋21の共通樋21A上を転動する。共通樋21Aから分岐部21Bに差し掛かると、共通樋21A上を転動してきた遊技球の一部が、分岐部21Bを介して供給樋21Dへと流下する。供給樋21Dに流下した遊技球は、当該供給樋21Dに設けられた複数の補給シュート23を介して、供給樋21Dの下方に配設された遊技機にそれぞれ供給される。
【0038】
一方、最上流の第1搬送樋21の分岐部21Bから流下しなかった遊技球は、誘導樋21C上を転動し、遊技球揚送装置100に導かれ、下流側の第1搬送樋21の上流端部まで揚送される。このように下流側の第1搬送樋21に供給された遊技球は、その全量が当該第1搬送樋21の共通樋21A上を転動する。共通樋21Aから分岐部21Bに差し掛かると、共通樋21A上を転動してきた遊技球の一部が、分岐部21Bを介して供給樋21Dへと流下する。供給樋21Dに流下した遊技球は、当該供給樋21Dに設けられた複数の補給シュート23を介して、供給樋21Dの下方に配設された遊技機にそれぞれ供給される。
【0039】
一方、下流側の第1搬送樋21の分岐部21Bから流下しなかった遊技球は、誘導樋21Cを転動し、遊技球揚送装置100に導かれ、第2搬送樋22の上流端部まで揚送される。第2搬送樋22に供給された遊技球は、当該第2搬送樋22に設けられた複数の補給シュート23を介して、第2搬送樋22の下方に配設された遊技機にそれぞれ供給される。
【0040】
次に、図1を参照して、遊技島1の下部に配設される遊技球回収装置30について説明する。
【0041】
遊技球回収装置30は、遊技島1の長手方向に下り傾斜して直列に配設される二本の第1回収樋31と、第1回収樋31と同じように下り傾斜し、下流側の第1回収樋31に対して直列に配設される第2回収樋32と、二本の第1回収樋31の間及び第1回収樋31と第2回収樋32の間に配設され、上流側の回収樋の遊技球を下流側の回収樋へと揚送する遊技球揚送装置100とを備える。
【0042】
遊技球回収装置30では、二本の第1回収樋31と一本の第2回収樋32とを直列に配設しているが、三本以上の第1回収樋31を配設することで、遊技球回収装置30の全長を長くし、より多くの遊技機から排出される遊技球を回収することが可能である。
【0043】
第1回収樋31及び第2回収樋32は、遊技球が自重によって転動可能な傾斜角度(例えば4分)に設定され、遊技島1の下部に固定される。第1回収樋31及び第2回収樋32は、上面が開口した樋状に形成される。
【0044】
第2回収樋32の下流端部は、リフト装置40の受入樋41に対して段差をもって連結される。第2回収樋32上を転動してきた遊技球は受入樋41に落下し、リフト装置40によって上部タンク42へと揚送される。
【0045】
第2回収樋32は、長手方向略中央付近から下流側に亘って上流側より側壁が高く形成される第1高壁部32Aと、第1高壁部32Aの下流から下流端部に亘って第1高壁部32Aより側壁が高く形成される第2高壁部32Bとを備える。第2回収樋32の下流側では、回収された大量の遊技球がリフト装置40によって揚送されるまでの間滞留して重なり合うが、第1高壁部32A及び第2高壁部32Bによって、第2回収樋32から遊技球が溢れるのを防止することができる。
【0046】
遊技球回収装置30の遊技球揚送装置100は、遊技島1の下部に配設され、下流側の回収樋の上流端部が上流側の回収樋の下流端部よりも高い位置となるように二本の回収樋を直列に連結する。遊技球回収装置30の遊技球揚送装置100の構成は、接続される樋が異なるだけで、遊技球供給装置20の遊技球揚送装置100と同じである。
【0047】
第1回収樋31及び第2回収樋32は、上面が閉じられた形状に形成されてもよい第1搬送樋21及び第2搬送樋22とは異なり、上方の遊技機5a(アウトタンク)から排出された遊技球を受け入れるため、上面が開口している必要がある。なお、各遊技機から遊技球回収装置30に回収される遊技球の個数は、各遊技機の下方に設けられるアウトタンクの計数部(図示省略)によって計数される。
【0048】
次に、図2A、図3〜図9を参照して、遊技球揚送装置100の詳細な構成について説明する。図2Aは、遊技球供給装置20の一部側面図である。図3は、遊技球供給装置20に備えられる遊技球揚送装置100の斜視図である。図4は、遊技球揚送装置100の分解斜視図である。図5は、遊技球揚送装置100の回転体ユニット120の斜視図である。図6は、回転体ユニット120の分解斜視図である。図7(A)は回転体ユニット120の磁石133の斜視図であり、図7(B)は2つの磁石133からなる磁石群140を示す図である。図8及び図9は、遊技球揚送装置100の横断面図及び側面図である。なお、図2Aは遊技島1の前方から見た時の側面図であり、図9は遊技島1の後方から見た時の側面図である。
【0049】
以下では、遊技球供給装置20における上流側の第1搬送樋21と下流側の第1搬送樋21の間に配設される遊技球揚送装置100を例にとって説明する。なお、遊技球供給装置20の遊技球揚送装置100も遊技球回収装置30の遊技球揚送装置100も、接続される樋が異なるだけで同一の構成である。
【0050】
図2A及び図3に示すように、遊技球揚送装置100は、上流側の樋を転動してきた遊技球を、回転体ユニット120の回転体130を用いて揚送し、下流側の樋に供給する装置である。遊技球揚送装置100は、回転体ユニット120を収容可能なカバー部材110を備える。
【0051】
カバー部材110には、上流側の第1搬送樋21の誘導樋21Cから供給された遊技球を遊技球揚送装置100内に受け入れる受入口111と、遊技球揚送装置100内から下流側の第1搬送樋21へ遊技球を排出する排出口112とが形成される。排出口112は、受入口111よりも高い位置に設けられる。
【0052】
図2A、図3、及び図4に示すように、遊技球揚送装置100は、カバー部材110と、磁力を用いて遊技球を吸着可能な回転体130を有する回転体ユニット120と、から構成される。
【0053】
カバー部材110は、遊技島1の前後方向(短手方向)において所定間隔あけて対向して設けられる前側内壁部113及び後側内壁部114と、前側内壁部113の外面を覆う前側外壁部115と、後側内壁部114の外面を覆う後側外壁部116と、前側内壁部113及び後側内壁部114の上部に配設される上蓋部117と、前側内壁部113と後側内壁部114との間に配設される上流側壁部118及び下流側壁部119と、を備える。
【0054】
前側内壁部113、後側内壁部114、前側外壁部115、後側外壁部116、上蓋部117、上流側壁部118、及び下流側壁部119は、それぞれ矩形状の枠体である。これら矩形枠体によって、カバー部材110は下面が開口した箱状部材として形成される。
【0055】
なお、前述したカバー部材110の受入口111は前側内壁部113、後側内壁部114、及び上流側壁部118によって上流側壁部118の下方に画成され(図2A参照)、排出口112は前側内壁部113、後側内壁部114、上蓋部117、及び下流側壁部119によって上蓋部117と下流側壁部119との間に画成される(図3参照)。
【0056】
図5及び図6に示すように、回転体ユニット120は、回転体130と、回転体130を回転駆動する駆動モータ121と、駆動モータ121をカバー部材110に固定するためのブラケット122と、を備える。
【0057】
回転体130は、ベースドラム131と、ベースドラム131の外周面に設けられる磁石ガイド132と、磁石ガイド132を介してベースドラム131の外周面に設置される磁石133と、磁石ガイド132及び磁石133を覆うようにベースドラム131の外周に沿って設けられるカバーシート134と、から構成される。
【0058】
ベースドラム131は、一方側の端部(前端部)が開口し、他方側の端部(後端部)が閉塞端面131Aによって閉塞された中空円筒状部材であり、軟磁性体により形成されている。なお、軟磁性体としては、例えばSUS430等のフェライト系ステンレス鋼が用いられる。軟磁性体とは、外部磁場に対して磁化が磁場方向に揃い易く、また残留磁化の保持力が小さい磁性体を指す。
【0059】
磁石ガイド132は、両端開口の円筒状部材である。磁石ガイド132は、可撓性を有するシート状の非磁性体によって形成される。磁石ガイド132の内周はベースドラム131の外周とほぼ同じに設定されており、磁石ガイド132はベースドラム131の外周面上に配設される。磁石ガイド132は、非磁性体であれば金属、合成樹脂、又はセラミックス製でもよく、磁石ガイド132が可撓性を有さない場合にはベースドラム131の外周に嵌挿される。なお、非磁性体とは、磁界と相互作用を及ぼさないものを指す。
【0060】
磁石ガイド132には、磁石133を保持するための保持部132Aが上下面を貫通して形成される。保持部132Aは、回転体130の幅方向に延在する長方形状であって、かつ回転体130の周方向に沿って等間隔に複数設けられる。
【0061】
各保持部132A内には、磁力によって遊技球を吸着するための硬磁性体として磁石133が配設される。硬磁性体とは、外部磁場が加わっても磁化し難く、また一度磁化したらその残留磁化を強く保つ磁性体を指し、永久磁石を含むものである。
【0062】
図7(A)に示すように、磁石133は、厚さ方向にN極とS極の2つの磁極を有する板状の永久磁石である。
【0063】
図7(B)に示すように、磁石ガイド132の1つの保持部132A内には、2つの磁石133が回転体130の幅方向に隣接して設置される。このように、保持部132Aには、2つの磁石133からなる磁石群140が保持される。磁石群140を構成する2つの磁石133は、外側(上面)の磁極がそれぞれ異なるように配置される。つまり、一方の磁石133の外側の磁極がN極である場合には、他方の磁石133は外側の磁極がS極となるように配設される。上記の通り、幅方向に並べられる2つの磁石は、外側の磁極が交互に異なるよう配設される。
【0064】
磁石群140は、磁石ガイド132を介して、ベースドラム131の外周に沿って等間隔に複数設けられる。これら磁石群140は、ベースドラム131の外周上に、一列に並べられる。所定の間隔をあけて隣接する磁石群140において、周方向に対向する2つの磁石133は、外側(上面)の磁極がそれぞれ異なるように配置される。つまり、図7(B)に示すように、上側の磁石群140の磁石133の外側の磁極がN極である場合には、周方向に対向する磁石133は外側の磁極がS極となるように配設される。上記の通り、周方向に並べられる複数の磁石133は、外側の磁極が交互に異なるように配設される。
【0065】
図5及び図6に示すように、磁石ガイド132の外周には、磁石133の脱落を防止するためのカバーシート134が装着される。カバーシート134は、内周面に糊等の粘着物が塗布された薄いフィルム状の円筒部材である。なお、磁石133の脱落を防止するための手段として、カバーシート134を使用せずに、磁石ガイド132に磁石133を係止する構造を設けてもよい。
【0066】
ベースドラム131、磁石ガイド132、磁石133、及びカバーシート134からなる回転体130は、駆動モータ121の駆動力に基づいて回転駆動する。
【0067】
図6及び図8に示すように、駆動モータ121は、略コ字状に形成されたブラケット122を介して、カバー部材110の前側内壁部113に固定される。
【0068】
ブラケット122は、駆動モータ121を取り付け可能な取付面122Aと、取付面122Aに形成された円形開口122Bと、を備える。取付面122Aに駆動モータ121が固定された状態においては、駆動モータ121の出力軸121Aは円形開口122Bを通って取付面122Aの後方に突出する。
【0069】
駆動モータ121の出力軸121Aには、出力軸121Aとベースドラム131とを連結する連結部材123が設けられる。連結部材123は、出力軸121Aを挿通可能な円筒状の挿通部123Aと、挿通部123Aの端部において径方向に延設される鍔部123Bと、から構成されている。連結部材123の挿通部123Aは出力軸121Aに固定され、連結部材123の鍔部123Bはベースドラム131の閉塞端面131Aに固定される。鍔部123Bが閉塞端面131Aに固定された状態では、連結部材123の挿通部123Aは、閉塞端面131Aの中心に形成された円形孔131Bを通過し、閉塞端面131Aの後方に突出する。
【0070】
このように回転体130のベースドラム131の内部には駆動モータ121のほぼ全体が収容されており、ベースドラム131は駆動モータ121の駆動力に基づいて出力軸121Aを回転中心として回転する。
【0071】
駆動モータ121が設置されるブラケット122は、回転体130がカバー部材110内に位置するように、カバー部材110の前側内壁部113に固定される。前側内壁部113の略中央位置には貫通孔113A(図4参照)が形成され、後側内壁部114の略中央位置には貫通孔114A(図4参照)が形成されている。ブラケット122が前側内壁部113に固定された状態では、駆動モータ121の出力軸121A及び連結部材123の挿通部123Aが貫通孔114Aを通過して後方に突出し、駆動モータ121の端部が貫通孔113Aを通過して前方に突出する。
【0072】
上記のように構成される遊技球揚送装置100は、上流側の第1搬送樋21を転動してきた遊技球を磁石133の磁力によって回転体130の外周面に吸着し、吸着した遊技球を回転体130によって揚送し、下流側の第1搬送樋21に供給する(図10参照)。
【0073】
図2A及び図9に示すように、遊技球揚送装置100は、受入口111に対応して配設され、上流側の第1搬送樋21から供給された遊技球をカバー部材110内に導く供給ガイド151と、排出口112に対応して配設され、回転体130によって揚送された遊技球を下流側の第1搬送樋21に導く排出ガイド152と、をさらに備える。
【0074】
供給ガイド151は板状部材であって、供給ガイド151の上面は遊技球が転動可能な転動面151Aとして形成されている。供給ガイド151は、前側内壁部113と後側内壁部114とによって支持される。
【0075】
前側内壁部113、後側内壁部114、及び供給ガイド151によって、上流側の第1搬送樋21からの遊技球を回転体130まで導く供給通路を形成しており、供給通路と第1搬送樋21の誘導樋21Cとは連通している。
【0076】
供給ガイド151は、第1搬送樋21の誘導樋21Cから回転体130に向けて下り傾斜して配設される。供給ガイド151の傾斜角度は、上流側の第1搬送樋21の誘導樋21Cの傾斜角度よりも大きく設定される。供給ガイド151の転動面151Aの下流端部は、遊技球が通過不能な隙間をもって、回転体130(カバーシート134)の外周面と対向する。これにより、供給ガイド151を転動する遊技球の落下を防止することができる。
【0077】
排出ガイド152は板状部材であって、排出ガイド152の上面は遊技球が転動可能な転動面152Aとして形成されている。排出ガイド152は、前側内壁部113と後側内壁部114とによって支持される。
【0078】
前側内壁部113、後側内壁部114、及び排出ガイド152によって、回転体130によって揚送された遊技球を下流側の第1搬送樋21へ排出する排出通路を形成しており、排出通路と第1搬送樋21の共通樋21Aとは連通している。
【0079】
排出ガイド152は、回転体130から下流側の第1搬送樋21の共通樋21Aに向けて下り傾斜して配設される。排出ガイド152の傾斜角度は、第1搬送樋21の共通樋21Aの傾斜角度よりも小さく設定される。下流側の第1搬送樋21は、遊技球が自重で転動可能な最低限の角度以上にて傾斜して形成されるため、下流側の第1搬送樋21より小さく傾斜して形成される排出ガイド152は、遊技球が自重のみでは転動不可能な角度に形成されることがある。
【0080】
しかしながら、排出ガイド152には、回転体130から次々と遊技球が搬送されてくるため、遊技球は後ろから搬送されてくる遊技球に押されて転動することとなる。したがって、排出ガイド152の傾斜が遊技球が自重のみでは転動不可能な角度であっても遊技球は下流側の第1搬送樋21へと転動する。
【0081】
排出ガイド152の上流端部は、回転体130の外周面に摺接するように形成されている。回転体130の外周面に吸着して搬送される遊技球は、排出ガイド152の上流端部に当接することによって、回転体130の外周面から離れて排出ガイド152の転動面152A上に誘導され、下流側の第1搬送樋21へと導かれる。
【0082】
なお、排出ガイド152の上流端部は、回転体130の外周面に摺接させずに、遊技球が乗り越え可能な段差(隙間)をあけて回転体130の外周面に近接させるようにしてもよい。
【0083】
次に、図10〜図12を参照して、遊技球揚送装置100による遊技球の揚送について説明する。
【0084】
図10は、遊技球揚送装置100の遊技島1前方からの側面図である。図11は、遊技球揚送装置100の回転体130の外周面を示す図である。図12は、遊技球揚送装置100の受入口111近傍の斜視図である。
【0085】
図10に示すように、上流側の第1搬送樋21から転動してきた遊技球は、カバー部材110の受入口111を通って供給ガイド151の下流端部まで導かれる。
【0086】
供給ガイド151によって回転体130の外周面近傍まで到達した遊技球は、回転体130の磁石133の磁力によって、回転体130の外周面に吸着される。回転体130は駆動モータ121によって時計周りに回転しているので、供給ガイド151の下流端部の遊技球は、次々に回転体130の外周面に吸着され、回転体130の回転に伴って上方に揚送される。
【0087】
揚送された遊技球は、回転体130の外周面に摺接する排出ガイド152の上流端部に当接することによって、回転体130の外周面から離れて排出ガイド152の転動面152A上に誘導される。このように誘導された遊技球は、排出ガイド152を転動し、排出口112を通って下流側の第1搬送樋21の上流端部に導かれる。
【0088】
図11に示すように、供給ガイド151の下流端部に到達した遊技球は、磁石群140を構成する2つの磁石133の幅方向端部141、142、及びこれら磁石133の連結部143において吸着される。このように遊技球が吸着されるのは、磁石群140の2つの磁石133の幅方向端部141、142、及びこれら磁石133の連結部143において磁束密度が大きくなるからである。
【0089】
供給ガイド151の遊技球は、回転体130の回転に伴って、次々に各磁石群140の磁石133に吸着され、排出ガイド152まで揚送される。なお、磁石133に吸着された遊技球は磁化されるため、その磁化された遊技球に他の遊技球が吸着されることもある。このような場合には、図11のように遊技球が1球ずつ揚送されるだけでなく、複数の遊技球が回転体130の周方向に数珠状に吸着されて排出ガイド152まで揚送される。
【0090】
供給ガイド151の遊技球は保持部132A内に配設された2つの磁石133の幅方向端部141、142、及び連結部143において吸着されるので、供給ガイド151の下流端部では、幅方向端部141、142、及び連結部143に対応する位置に、遊技球に付着していた塵や埃等が溜まりやすい。このように供給ガイド151に塵や埃等が溜まると、溜まった塵や埃等が遊技球に再付着して、遊技球揚送装置100等の各種装置の故障の一因となる。
【0091】
そこで、遊技球揚送装置100では、供給ガイド151に塵や埃等が溜まらないように、図12に示すように供給ガイド151の下流端部にスリット151Bを形成する。
【0092】
スリット151Bは、供給ガイド151の下流端部において、磁石群140を構成する2つの磁石133の幅方向端部141、142、及び連結部143に対応する位置にそれぞれ形成される。これら3つのスリット151Bは、供給ガイド151の上下面を貫通するように形成され、遊技球の転動方向に延設される。
【0093】
供給ガイド151を転動してきた遊技球や回転体130によって揚送される遊技球等から剥離した塵や埃は、スリット151Bを通過して供給ガイド151の下方に落下するので、供給ガイド151に塵や埃が溜まることを抑制できる。スリット151Bは、遊技球が回転体130に吸着される位置と対応して設けられるので、遊技球から剥離した塵や埃の堆積を効率的に低減することが可能となる。なお、スリット151の下方に、塵や埃を受ける受け皿を設けても良い。
【0094】
なお、各スリット151Bは、供給ガイド151の転動面151Aを転動する遊技球を磁石133の幅方向端部141、142及び連結部143に誘導するガイド溝としても機能する。したがって、供給ガイド151の遊技球を、スリット151Bによって、回転体130の吸着位置に誘導することができる。
【0095】
また、遊技球揚送装置100では、回転体130の磁石群140は、2つの磁石133を幅方向に並べて構成したが、図13(A)に示すように幅方向に3つの磁石133を並べて構成したり、図13(B)に示すように幅方向に4つの磁石133を並べて構成したりしてもよい。
【0096】
図13(A)及び図13(B)の場合においても、1つの磁石群140では、幅方向に並べられる磁石133は、外側の磁極が交互に異なるよう配設される。また、隣接する磁石群140では、周方向に並べられる磁石133は、外側の磁極が交互に異なるように配設される。このように磁石群140を複数の磁石133によって構成することで、回転体130の外周面により多くの遊技球を吸着させることでき、回転体130による遊技球の揚送効率を高めることが可能となる。
【0097】
なお、図13(C)に示すように、磁石群140を4つの磁石133によって構成する場合、供給ガイド151には、磁石群140を構成する4つの磁石133の幅方向端部141、142、及びこれら磁石133の各連結部143に対応する位置に、スリット151Bが形成される。
【0098】
ところで、各遊技機の稼働率が低い場合等においては、遊技球揚送装置100に接続する下流側の第1搬送樋21や排出ガイド152に遊技球が滞留してしまうことがある。そのため、遊技球揚送装置100は、図9、図14(A)〜図14(C)に示すように、排出ガイド152が遊技球で満たされてオーバーフロー状態であることを検出するため、オーバーフローセンサ161を備えている。なお、図14(A)は遊技球が排出ガイド152に滞留していない状態を示し、図14(B)は排出ガイド152のオーバーフロー状態を示す。図14(C)は、オーバーフローセンサ161のスイッチ部161Aを示す。
【0099】
図9及び図14(C)に示すように、オーバーフローセンサ161は、カバー部材110の前側内壁部113と前側外壁部115との間において、排出ガイド152に対応して設けられる。
【0100】
オーバーフローセンサ161のスイッチ部161Aは、前側内壁部113の上部に形成された開口部113Bを介して、カバー部材110の内部に臨んでいる。排出ガイド152の側部には切欠部152Bが形成されており、オーバーフローセンサ161は、切欠部152Bにスイッチ部161Aが位置するように設けられる。スイッチ部161Aと排出ガイド152との間の隙間は、排出ガイド152の転動面152Aを転動する遊技球が通過不能な程度の隙間に設定される。
【0101】
また、オーバーフローセンサ161に接続する電気配線161Bは、前側内壁部113の下部に形成された開口部113Cを介してカバー部材110の内部に導かれ、カバー部材110の下面開口を介して下方に延設されている(図9参照)。
【0102】
図14(C)に示すように、オーバーフローセンサ161のスイッチ部161Aは、排出ガイド152を上下に跨ぐように配設される。スイッチ部161Aの略上半分は転動面152Aよりも上方に位置し、スイッチ部161Aの略下半分は転動面152Aよりも下方に位置する。このように排出ガイド152の下方にスイッチ部161Aの一部が位置しているので、遊技球揚送装置100のメンテナンス時に、カバー部材110の下面開口からスイッチ部161Aを操作することができる。したがって、オーバーフローセンサ161をカバー部材110から取り外すことなく、容易に点検することが可能となる。
【0103】
次に、図14(A)及び図14(B)を参照して、オーバーフローセンサ161による排出ガイド152のオーバーフロー状態の検出について説明する。
【0104】
各遊技機の稼働率が高いような場合には各遊技機に多くの遊技球が供給されるので、図14(A)に示すように、遊技球揚送装置100の排出ガイド152には遊技球はほとんど滞留しない。
【0105】
一方、各遊技機の稼働率が著しく低下した場合等には、各遊技機にほとんど遊技球が供給されなくなり、図14(B)に示すように、第1搬送樋21をオーバーフローした遊技球が排出ガイド152で滞留してしまう。このように遊技球が排出ガイド152に満たされると、オーバーフローセンサ161のスイッチ部161Aが遊技球に押圧されるので、オーバーフローセンサ161からオーバーフロー信号が出力される。このオーバーフロー信号を検知することによって、排出ガイド152のオーバーフロー状態を検出することができる。
【0106】
なお、オーバーフロー信号が検知された場合には、遊技球揚送装置100の回転体130の回転が停止される。
【0107】
上記した遊技球揚送装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0108】
遊技球揚送装置100の供給ガイド151の下流端部には、磁石群140を構成する2つの磁石133の幅方向端部141、142、及び連結部143に対応する位置にそれぞれスリット151Bが形成される。これらスリット151Bは、供給ガイド151の上下面を貫通するように形成されているので、供給ガイド151を転動してきた遊技球や回転体130によって揚送される遊技球等から剥離した塵や埃を、スリット151Bを介して供給ガイド151の下方に落下させることができ、供給ガイド151に塵や埃が堆積するのを抑制できる。また、スリット151Bは、遊技球が回転体130に吸着される位置に対応して設けられるので、遊技球から剥離した塵や埃の堆積を効率的に低減することが可能となる。
【0109】
(第2実施形態)
図15を参照して、第2実施形態による遊技球揚送装置100を説明する。図15は、第2実施形態による遊技球揚送装置100を遊技島1の後方から見た時の側面図である。
【0110】
第2実施形態による遊技球揚送装置100は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、回転体130の構成において相違する。以下、その相違点を中心に説明する。
【0111】
第2実施形態では、遊技球揚送装置100の回転体130の外周面が、周方向に亘って凹凸状に形成される。磁石ガイド132の厚さを磁石133の厚さよりも薄く設定したり、磁石ガイド132を使用せずに磁石133をベースドラム131に直接接着したりすることで、回転体130の外周面の周方向に凸部130Aと凹部130Bとを交互に形成することが可能となる。したがって、回転体130の外周面の凸部130Aは、磁石133によって構成される。
【0112】
なお、第2実施形態では、磁石133が配設される位置が回転体130の外周面の凸部130Aとなるが、磁石133の厚さを磁石ガイド132の厚さをよりも薄く設定することによって、磁石133が配設される位置が回転体130の外周面の凹部130Bとなるようにしてもよい。
【0113】
上記した遊技球揚送装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0114】
遊技球揚送装置100の回転体130の外周面には周方向に凸部130Aと凹部130Bとが交互に形成されるので、凹部130B内に導かれた遊技球を凸部130Aの上角部分に載置した状態(引っ掛けた状態)で揚送することができる。これにより、回転体130に吸着した遊技球を確実に揚送することが可能となる。
【0115】
また、回転体130の外周面の凸部130Aは磁石133によって構成されるので、凹部130B内に導かれた遊技球を凸部130Aの上角部分でしっかり吸着することができ、遊技球をより確実に揚送することが可能となる。
【0116】
(変形例)
第1及び第2実施形態による遊技球揚送装置100は、以下で説明する変形例1及び変形例2の構成を採用することで、不正の目的で使用される不正球を除去することができる。
【0117】
まず、図16(A)及び図16(B)を参照して、第1及び第2実施形態による遊技球揚送装置100の変形例1を説明する。図16(A)は遊技球揚送装置100の側面図であり、図16(B)は図16(A)の遊技球揚送装置100の破線領域部分の拡大図である。
【0118】
遊技機では、正規の遊技球よりも球径の小さい不正小径球を用いて、始動入賞口等への入賞率を高める不正が行われることがある。
【0119】
そこで、変形例1による遊技球揚送装置100では、図16(A)及び図16(B)に示すように、供給ガイド151の最下流部151Cと、回転体130(カバーシート134)の外周面との隙間D1を、正規の遊技球の直径よりも僅かに小さく設定する。これにより、正規の遊技球は隙間D1を通過できず、不正小径球だけが、隙間D1を通過して、供給ガイド151の最下流部151Cから遊技球揚送装置100の下方に排出されることになる。
【0120】
遊技球揚送装置100の下方には、排出された不正小径球を回収可能な回収箱170が設けられる。したがって、不正小径球が複数用いられても、不正小径球を回収箱170に貯留しておくことができる。また、スリット151Bの下方に回収箱170を設ければ、回収箱170によって、スリット151Bから落下する、塵や埃を回収することができる。
【0121】
上記変形例1で説明した遊技球揚送装置100によれば、不正小径球を回収箱170に回収でき、遊技機における不正行為の発生を抑制することが可能となる。
【0122】
次に、図17〜図19を参照して、第1及び第2実施形態による遊技球揚送装置100の変形例2を説明する。
【0123】
図17(A)は変形例2による遊技球揚送装置100の側面図であり、図17(B)は図17(A)の遊技球揚送装置100の破線領域部分の拡大図である。図18(A)は遊技球揚送装置100の受入口111近傍の斜視図であり、図18(B)は供給ガイド151の平面図である。図19(A)〜図19(D)は、不正大径球の回収する仕組みを説明する図である。
【0124】
遊技機では、正規の遊技球よりも球径の大きい不正大径球を用いて始動入賞口に入り難い通路を塞ぐことにより、始動入賞口へ入り易いルートに遊技球を誘導するという不正を行うことがある。
【0125】
そこで、変形例2による遊技球揚送装置100では、図17(A)及び図17(B)に示すように、上流側壁部118の最下部118Aと、回転体130(カバーシート134)の外周面との隙間D2を、正規の遊技球の直径よりも僅かに大きく設定する。
【0126】
これにより、回転体130の外周面に吸着された遊技球のうち、正規の遊技球だけが隙間D2を通過して排出ガイド152まで揚送される。不正大径球は、隙間D2を通過することができないので、上流側壁部118の最下部118Aに当接した後に回転体130から剥離して落下する。回転体130から落下した不正大径球は、回収通路181を介して回収箱182(図18(A)参照)に回収される。
【0127】
図18(A)及び図18(B)に示すように、遊技球揚送装置100は、供給ガイド151に回収通路181を備える。
【0128】
回収通路181は、供給ガイド151の上下面を貫通するように上下方向に延設された通路であって、不正大径球が通過可能な通路である。回収通路181は、供給ガイド151の幅方向の略中央であって、上流側壁部118の下方に位置にするように配設される。
【0129】
図18(B)に示すように、回収通路181の横断面は略5角形状である。回収通路181は角部が上流を向くように配設されるので、供給ガイド151の幅方向中央に回収通路181を設けても、供給ガイド151を転動してくる遊技球の流れをほとんど阻害することがない。
【0130】
図18(A)に示すように、供給ガイド151は、カバー部材110の受入口111から外部に突出している。供給ガイド151はカバー部材110よりも外側における部分に上方に突出する側壁151Dを備えており、回収通路181の上部受入口181Aは側壁151Dよりも高い位置に設定される。供給ガイド151の下方には、回収通路181の下部排出口181B(図19(D)参照)から排出された不正大径球を回収する回収箱182が配設される。したがって、不正大径球が複数用いられても、不正大径球を回収箱182に貯留しておくことができる。
【0131】
なお、上流側壁部118の最下部118Aは、幅方向端部から中央に向かって供給ガイド151の転動面151Aから離間するように、三角形状の切欠部として形成されている。上流側壁部118の最下部118Aの角部118Bは、回収通路181の上部受入口181Aの直上方に位置している。
【0132】
図19(A)〜図19(D)を参照して、遊技球揚送装置100での不正大径球の回収について説明する。
【0133】
不正大径球が供給ガイド151の下流端部に導かれると、不正大径球は回転体130の外周面に吸着される。図19(A)に示すように、揚送中の不正大径球は、上流側壁部118の最下部118Aに当接すると、回転体130の外周面に吸着されたまま、最下部118Aに沿って角部118Bに移動する。図19(B)に示すように、不正大径球が最下部118Aの角部118Bに達した状態で回転体130が回転すると、不正大径球は回転体130の磁石133から外れる位置に移動し、回転体130の外周面から下方に落下する。
【0134】
落下した不正大径球は、図19(C)に示すように上部受入口181Aから回収通路181内に流入し、図19(D)に示すように回収通路181を通って下部排出口181Bから回収箱182内に導かれる。
【0135】
上記変形例2で説明した遊技球揚送装置100によれば、不正大径球を回収通路181を介して回収箱182に回収でき、遊技機における不正行為の発生を抑制することが可能となる。
【0136】
なお、本発明は上記の実施形態や変形例に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなし得ることは明白である。
【0137】
第1及び第2実施形態による遊技球揚送装置100では、供給ガイド151にスリット151Bを形成したが、排出ガイド152の上流端部にも磁石群140を構成する2つの磁石133の幅方向端部141、142、及び連結部143に対応する位置にスリットを形成してもよい。供給ガイド151及び排出ガイド152の両方にスリットを形成すれば、塵や埃の堆積をより効率的に低減することが可能となる。
【0138】
第1及び第2実施形態では、スリット151Bを、供給ガイド151の上下面を貫通する切欠として形成したが、供給ガイド151に窪んだ溝として形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、パチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、アレンジボール遊技機、雀球遊技機、スロットマシン等の遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。
【符号の説明】
【0140】
20 遊技球供給装置
21 第1搬送樋
22 第2搬送樋
30 遊技球回収装置
31 第1回収樋
32 第2回収樋
100 遊技球揚送装置
110 カバー部材
111 受入口
112 排出口
121 駆動モータ(駆動源)
130 回転体
130A 凸部
130B 凹部
133 磁石(磁性体)
141 幅方向端部
143 連結部
151 供給ガイド(ガイド部)
151B スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側搬送部を転動してきた遊技球を揚送して下流側搬送部に供給する遊技球揚送装置において、
前記遊技球揚送装置は、
磁性体を有し、当該磁性体によって遊技球を外周面に吸着した状態で前記下流側搬送部に向かって揚送する回転体と、
前記上流側搬送部からの遊技球を前記回転体に誘導するガイド部と、
前記回転体を回転駆動する駆動源と、を備え、
前記磁性体は、前記回転体の外周面の幅方向において、外側の磁極が交互に異なるように複数並んで配設され、
前記ガイド部は、前記磁性体の幅方向端部及び隣接する前記磁性体の連結部と対応する位置にスリットを備えることを特徴とする遊技球揚送装置。
【請求項2】
前記回転体の外周面は、周方向に凸部と凹部とを交互に有する凹凸状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の遊技球揚送装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記回転体に設けられる前記磁性体によって形成されることを特徴とする請求項2に記載の遊技球揚送装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−95912(P2012−95912A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247561(P2010−247561)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507157919)株式会社エビスワーク (34)
【出願人】(390025601)株式会社西陣 (107)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】