説明

遊技球搬送装置

【課題】センサやスイッチを使わずに、遊技球の搬送量を調整できる遊技球搬送装置を提供する。
【解決手段】遊技球が転動可能な供給ガイド部材121と、上流端部122aが供給ガイド部材121の下流端部121aよりも高い位置に設けられる排出ガイド部材122とに、外周面20aを近接させて回転可能に配置した球移送回転体20は、外周面20aに吸着された遊技球を排出ガイド部材122に移送し、排出ガイド部材122上に遊技球が滞留して積み重なると、滞留状態検知部材125の排出側押圧受部125aが押し上げられて反対側の遮蔽押圧部125bが下がり、コイルバネ127の付勢に抗して遮蔽部材126の遮蔽受圧部126bを押し下げ、遮蔽部材126の下部に設けた供給側遮蔽部126aが誘導樋71に上方から近づくことで、供給ガイド部材121への球流入を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技島に設けられ、遊技機で使用される遊技球を搬送する遊技球搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技場には複数の遊技機を配列して設けるための遊技島が、間隔をあけて複数設けられている。この遊技島の上部には、各遊技機に遊技球を供給するために補給樋が設けられるとともに、遊技島の下部には、各遊技機から排出される遊技球が揚送装置へ向けて移動する回収樋が設けられ、回収樋からの遊技球を補給樋へ供給するために揚送する揚送装置を設けることによって、遊技球を遊技島内で循環させる遊技球循環設備が構成されている。また、遊技島に、遊技球を貯留する下部タンクが設けられる場合、この下部タンクに貯留された遊技球を揚送装置へ向けて供給する小型揚送装置が設けられるときがある。
【0003】
このような遊技島内の補給樋や回収樋や下部タンクに、遊技球を搬送する方向に下り傾斜する複数の搬送樋を直列に並べて配設し、各搬送樋の間には上流側の搬送樋の下流端部から受け入れた遊技球を下流側の傾斜樋の上流端部まで搬送する遊技球搬送装置(球搬送ユニット)を設けて、遊技球を搬送するものがある。斯かる遊技球搬送装置は、複数の搬送樋の間に遊技球搬送装置を設けて直列に連結し、上流側の傾斜樋から受け入れた遊技球を上方に位置する下流側の傾斜樋へ移送することで、補給樋や回収樋に設けた場合には、鉛直方向の高さを抑制しつつ、遊技球を搬送できるようになっている。また、補給樋の始端部の高さが同じ場合や、揚送装置の遊技球の取込口の高さが同じ場合、より遠くまで、より遠くから、遊技球を搬送できるようになっている。
【0004】
遊技球搬送装置として、本件出願人により成された特許文献1には、永久磁石による磁界によって回転体の外周面に遊技球を吸着させ、回転体の回転に伴って遊技球を上方へ移送する遊技球搬送装置が記載されている。球噛等で負荷がかかった場合には、回転体の外周面に吸着して上方へ移送されていた遊技球が、落下するだけであり、遊技球を挟持するなどして搬送する場合に比較して、安定して遊技球を上方へ移送することができる。特に、回転体の周面に等間隔で配置する永久磁石(硬磁性体)を軟磁性体の磁石ガイドに収容し、周方向に隣り合った硬磁性体のN極とS極が回転体の周方向にて対向するように配置することで、回転体の外周面全域に磁束を生じさせ、ベースドラムの外周面に多くの遊技球を吸着できるようにした技術が開示されている。
【0005】
また、補給樋から遊技機や玉貸機や再プレイ機などに供給される遊技球が少ない場合、補給樋が遊技球でほとんど充満してしまい、硬磁性体を配設した回転体で球を揚送しても、回転体の下流側(補給樋や、排出ガイド)が詰まっているために、回転体で揚送された遊技球が、下流側に詰まっている遊技球の上に載りあげたり、又は下流側に詰まっている遊技球を押し上げるなどして、遊技球がダンゴ状に積み重なって滞留すると、それ以上に遊技球が回転体により揚送されても、回転体の下流側へ遊技球を送り出すことができず、回転体が空回りしたり、または、回転体の硬磁性体に吸着された遊技球が硬磁性体の移動に追随できずに落下し、後続の硬磁性体が通過する際に再び回転体に吸着されるものの、滞留している遊技球に阻まれて硬磁性体の移動に追随できずに再び落下することを繰り返す状況になり、過負荷によるモータの損傷や損耗、騒音の発生といった問題が生じる。
【0006】
このような問題に対して、特許文献1(特に、段落〔0066〕)には、補給樋が遊技球にて満たされた状態を検出するオーバーフローセンサ(近接センサ)を補給樋の内部に臨むように配設し、オーバーフローセンサが配設された位置まで遊技球が満たされた場合には、オーバーフローセンサから遊技島に搭載された搬送制御装置に信号を出力して、搬送制御装置が回転体の回転を停止させるべくモータに停止指令を出力し、補給樋の遊技球が減ってオーバーフローセンサがオフになると、回転体を再び回転させて遊技球の揚送を再開する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−012139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の遊技球搬送装置のように、補給樋の状態を検出してモータの回転制御を行う場合、近接センサが高価であり、全ての遊技球搬送装置の下流側に近接センサを設けるのはコスト上の問題がある。なお、安価に導入できる押圧式のスイッチを側壁等へ設けて補給樋の状態を検知することも考えられるが、押圧式のスイッチを設けるためには、滞留した遊技球の圧力を受けるための押圧部が球流路の一部を遮ることになり、側壁に設けたスイッチの押圧部により遊技球の流下状況に影響を与える(流れが悪くなる)という問題が生じるため、近接センサの代用として押圧式のスイッチを単純に用いることは好ましくない。
【0009】
また、回転体に設けた硬磁性体による吸着の影響が強いために、回転体の周面から排出ガイド部材上に誘導された遊技球が、なかなか自重による自然流下をせず、せっかく回転体の回転により与えられた球の流下勢が減殺されるという問題が発生した。
【0010】
これに加えて、周方向に隣り合った硬磁性体のS極とN極が対向するように配設した構造の回転体では、遊技球の移送能力を高めることができなかった。これは、硬磁性体による磁力が強いため、回転体表面に吸着された遊技球が磁化され、その磁化された遊技球に他の遊技球が吸着されて磁化され、更に、その遊技球に他の遊技球が吸着されて磁化され、それが連続することにより、上流側傾斜流路の端部にある沢山の遊技球も磁化されて一塊の群体のように振る舞うため、回転体に吸着した遊技球は、上流側傾斜流路の端部に溜まっている遊技球に引っ張られる形となって、ベースドラムの回転に追随して移送されてゆく遊技球は小数となり、遊技球の移送能力が高くならなかったものと思われる。特に、上流側傾斜流路にて遊技球が高さ方向に複数個積み重なるほど、その傾向が高いと思われる。
【0011】
なお、遊技球搬送装置の試作段階においては、回転体の外周に磁石カバーとして布製の揚送ベルトを貼り付けていたので、揚送ベルト表面の凹凸によって遊技球との間に生ずる摩擦抵抗が、当該遊技球を介して磁化された他の遊技球との吸着力に勝り、他の遊技球に引き戻されることなくベースドラム表面に吸着されたままベースドラムの回転に追随して移送される遊技球の率が高かったようであるが、ベースドラムを外表面の滑らかな樹脂製としたことで、ベースドラム表面に吸着された遊技球は、当該遊技球を介して磁化された他の遊技球との吸着力を断ち切れなくなり、あまり上方へ移送されなくなったようである。
【0012】
また、ベースドラム外周面への遊技球吸着効率を高めようと、回転体の幅と略同じ長さの磁性体を配設したが、回転体の幅方向(軸方向)の端にまで遊技球が吸着されることもあり、遊技球搬送装置の側壁が鉄製のため、磁性体に吸着した遊技球が側壁にも吸着し、そのままベースドラムの回転に追随してゆくと、遊技球が遊技球搬送装置の側壁内面に摺接してこすれ、モータにかかる負荷が増し、側壁の金属が削られ鉄粉となり、遊技球の損耗を早めてしまうという問題もあった。
【0013】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、搬送樋に滞留する遊技球を利用して遊技球の搬送量を自動調整することができ、また、搬送量を調整する際に遊技球の流下に片寄り等の悪影響が及ぶことのない遊技球搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、複数の遊技機が配列された遊技島に設けられ、該遊技島の長手方向に沿って遊技球を搬送する遊技球搬送装置において、前記遊技島の長手方向に傾斜して配設され、遊技球が転動可能な第1傾斜流路と、前記遊技島の長手方向に傾斜して前記第1傾斜流路の下流に直列に配設され、その上流端部が前記第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられる第2傾斜流路と、前記第1傾斜流路の下流端部から供給される遊技球を、前記第2傾斜流路の上流端部に搬送する球移送回転体と、前記第2傾斜流路における遊技球の滞留状態に応じて、前記第1傾斜流路への遊技球の流入を制限することで遊技球の搬送量を調整する搬送量調整手段と、を備え、前記球移送回転体は、円筒状の外周面が前記第1傾斜流路の下流端部に臨み、且つ前記第1傾斜流路上の遊技球を前記外周面に吸着させるための磁界発生手段を備え、前記球移送回転体を前記遊技島の短手方向に設定された中心軸回りに回転させる駆動手段により、外周面に吸着された遊技球を移送するための駆動力を発生し、前記搬送量調整手段は、前記第2傾斜流路に上方から臨み、当該第2傾斜流路上に滞留した遊技球によって上方へ押圧される排出側押圧受部と、前記排出側押圧受部の上方移動と連動して、上方から前記第1傾斜流路へ下降して行く供給側遮蔽部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の遊技球搬送装置において、前記搬送量調整手段は、前記球移送回転体の回転軸と平行な支軸により球移送回転体の上側にて揺動し、支軸よりも第2傾斜流路側に前記排出側押圧受部を、支軸よりも第1傾斜流路側に遮蔽押圧部を各々設けた滞留状態検知部材と、前記滞留状態検知部材の遮蔽押圧部からの押圧力を受ける遮蔽受圧部と、前記第1傾斜流路に臨む前記供給側遮蔽部を備え、上下方向に移動可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材の供給側遮蔽部と第1傾斜流路との間に少なくとも遊技球の直径よりも大きな間隔が生ずるように、常時は遮蔽部材を上方へ引き上げるように付勢し、前記滞留状態検知部材の遮蔽押圧部からの押圧力によって遮蔽部材に下向きの力が作用すると、遮蔽部材が下方へ移動することを許容する付勢部材と、で構成したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の遊技球搬送装置において、前記排出側押圧受部は、第2傾斜流路の幅方向全域に渡って形成し、前記排出側押圧受部と第2傾斜流路との間に遊技球の直径よりも大きな間隔が保持されるように、排出側押圧受部の最下降位置を制限する制限部材を設けたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項1〜請求項3に記載の遊技球搬送装置において、前記排出側押圧受部が上方へ押圧されて予め定めた搬送停止位置に達するとことにより、検知片が押圧されて検知状態となる停止条件検知手段を備え、前記停止条件検知手段が検知状態となると、前記駆動手段を停止させることで前記球移送回転体を停止させ、前記排出側押圧受部が搬送停止位置よりも下方へ復帰して、前記停止条件検知手段が非検知状態となると、再び前記駆動手段を作動させることで前記球移送回転体を回転させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明によれば、前記遊技島の長手方向に傾斜して配設され、遊技球が転動可能な第1傾斜流路と、前記遊技島の長手方向に傾斜して前記第1傾斜流路の下流に直列に配設され、その上流端部が前記第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられる第2傾斜流路と、前記第1傾斜流路の下流端部から供給される遊技球を、前記第2傾斜流路の上流端部に搬送する球移送回転体と、前記第2傾斜流路における遊技球の滞留状態に応じて、前記第1傾斜流路への遊技球の流入を制限することで遊技球の搬送量を調整する搬送量調整手段と、を備え、前記球移送回転体は、円筒状の外周面が前記第1傾斜流路の下流端部に臨み、且つ前記第1傾斜流路上の遊技球を前記外周面に吸着させるための磁界発生手段を備え、前記球移送回転体を前記遊技島の短手方向に設定された中心軸回りに回転させる駆動手段により、外周面に吸着された遊技球を移送するための駆動力を発生し、前記搬送量調整手段は、前記第2傾斜流路に上方から臨み、当該第2傾斜流路上に滞留した遊技球によって上方へ押圧される排出側押圧受部と、前記排出側押圧受部の上方移動と連動して、上方から前記第1傾斜流路へ下降して行く供給側遮蔽部と、を備えるので、第2傾斜流路に滞留する遊技球の重なり具合(滞留状態)を利用して、球移送回転体への遊技球供給を自動で停止・再開でき、適切な搬送量に調整することが可能となる。また、センサやスイッチなどの電気的な部品を遊技球の流路に臨ませて使用する場合には、センサやスイッチが物理的に損傷する可能性が高くなるのであるが、搬送量調整手段を用いて流量調整を行えば、故障の可能性を低減できる。加えて、搬送量調整手段によって遊技球の供給量を調整することにより、球移送回転体の駆動手段(モータ等)を停止させずに済み、駆動手段の起動・停止を繰り返す必要がないことから、駆動手段にかかる負荷が軽減されるという利点もある。
【0019】
また、請求項2に係る発明によれば、前記搬送量調整手段は、前記球移送回転体の回転軸と平行な支軸により球移送回転体の上側にて揺動し、支軸よりも第2傾斜流路側に前記排出側押圧受部を、支軸よりも第1傾斜流路側に遮蔽押圧部を各々設けた滞留状態検知部材と、前記滞留状態検知部材の遮蔽押圧部からの押圧力を受ける遮蔽受圧部と、前記第1傾斜流路に臨む前記供給側遮蔽部を備え、上下方向に移動可能な遮蔽部材と、前記遮蔽部材の供給側遮蔽部と第1傾斜流路との間に少なくとも遊技球の直径よりも大きな間隔が生ずるように、常時は遮蔽部材を上方へ引き上げるように付勢し、前記滞留状態検知部材の遮蔽押圧部からの押圧力によって遮蔽部材に下向きの力が作用すると、遮蔽部材が下方へ移動することを許容する付勢部材と、で構成したので、排出側で遊技球の滞留(重なり)が生じることにより排出側押圧受部を上方へ押し上げ、支軸を挟んで反対側にある遮蔽押圧部が下方へ下がり、逆に排出側で遊技球の滞留が解消されて排出側押圧受部が下方へ戻ると、反対側にある遮蔽押圧部が上方へ上がるという単純なシーソー構造の滞留状態検知部材により、遮蔽部材の上下移動を制御でき、単純構造ゆえの堅牢性を実現できると共に、低コストで搬送量調整手段を設けられるという利点もある。
【0020】
また、請求項3に係る発明によれば、前記排出側押圧受部は、第2傾斜流路の幅方向全域に渡って形成し、前記排出側押圧受部と第2傾斜流路との間に遊技球の直径よりも大きな間隔が保持されるように、排出側押圧受部の最下降位置を制限する制限部材を設けたので、通常は滞留状態検知部材の排出側押圧受部が遊技球に接触することは回避でき、遊技球の流れを阻害しない。加えて、排出側押圧受部は第2傾斜流路の幅方向全域に渡って形成していることから、第2傾斜流路の一部で遊技球が積み重なって排出側押圧受部に押し当たった場合、この排出側押圧受部が玉均しの役割をして、第2傾斜流路における遊技球の流れが均等となり、片寄りのない円滑な遊技球流下を実現できる。
【0021】
また、請求項4に係る発明によれば、前記排出側押圧受部が上方へ押圧されて予め定めた搬送停止位置に達するとことにより、検知片が押圧されて検知状態となる停止条件検知手段を備え、前記停止条件検知手段が検知状態となると、前記駆動手段を停止させることで前記球移送回転体を停止させ、前記排出側押圧受部が搬送停止位置よりも下方へ復帰して、前記停止条件検知手段が非検知状態となると、再び前記駆動手段を作動させることで球移送回転体を回転させるようにしたので、遊技球が詰まったまま球移送回転体の回転が続いて騒音が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置が設けられる遊技島の内部構造を示す側面図である。
【図2】図1における揚送装置周辺の拡大図である。
【図3】図2における平面図である。
【図4】(a)は、第1補給樋の斜視図であり、(b)は、第2補給樋の斜視図である。
【図5】(a)は、最上流に配設される第1補給樋の分岐部周辺の斜視図であり、(b)は、図5(a)における平面図である。
【図6】(a)は、下流側に配設される第1補給樋の分岐部周辺の斜視図であり、(b)は、図6(a)における平面図である。
【図7】上部タンク及びバランスタンクの内部構造を示す側面図である。
【図8】上部タンクの内部構造を透過して示した斜視図である。
【図9】側面パネルを外して内部構造を示した遊技球搬送装置の側面図である。
【図10】球移送回転体およびモータの斜視図である。
【図11】球移送回転体の斜視図である。
【図12】(a)は、第1構成例として示す磁界発生ユニットの斜視図である。(b)は、図12(a)のB−B線の矢視断面図である。
【図13】第1磁界発生手段を配置した球移送回転体における磁束分布説明図である。
【図14】第2磁界発生手段を配置した球移送回転体における磁束分布説明図である。
【図15】第3磁界発生手段を配置した球移送回転体における磁束分布説明図である。
【図16】第4磁界発生手段である磁界発生ユニットを配置した球移送回転体における磁束分布説明図である。
【図17】第5磁界発生手段である磁界発生ユニットを配置した球移送回転体における磁束分布説明図である。
【図18】第6磁界発生手段として第1磁界発生ユニットと第2磁界発生ユニットを交互に配置した球移送回転体における磁束分布説明図である。
【図19】(a)は第7磁界発生手段である磁界発生ユニットの斜視図である。(b)は、図19(a)のB−B線の矢視断面図(一部省略)である。
【図20】シールドを施した排出ガイド部材において球移送回転体から遊技球が離脱する過程を示す説明図である。
【図21】図20における排出ガイド部材とシールドパネルの先端を楔形とした場合に、球移送回転体から遊技球が離脱する過程を示す説明図である。
【図22】第1構成例に係る搬送量調整手段を設けた遊技球搬送装置の構成説明図である。
【図23】第1構成例に係る搬送量調整手段による搬送量の調整過程を示す説明図である。
【図24】モータ停止制御が可能な第2構成例に係る搬送量調整手段による搬送量の調整過程を示す説明図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置が下部タンクに設けられる遊技島の内部構造を示す側面図である。
【図26】図25における下部タンク周辺の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置12について説明する。
【0024】
まず、図1から図3を参照して、本発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置12が設けられる遊技島100について説明する。
【0025】
遊技島100は、遊技場に設置され、複数の遊技機(図示省略)や付帯設備が設けられるものである。一般に、遊技場内には複数の遊技島100が、各遊技機の正面に遊技者が着座して遊技を行えるだけの間隔をあけて並列に設けられる。
【0026】
図1に示すように、遊技島100は、長手方向(図1においては紙面左右方向)に二列に配列された複数の遊技機設置開口部を有し、遊技機5aおよび遊技球貸出ユニット5bが列設される(図中、破線で示す)。図1においては遊技島100の表面側の遊技機設置開口部の列のみを図示するが、遊技島100の裏面側にも遊技機設置開口部の列が形成される。この遊技機設置開口部に設置される遊技機5aおよび遊技球貸出ユニット5bは、遊技島100の長手方向に配列されると共に、短手方向(図1においては紙面垂直方向)には、それぞれの背面を合わせた背向状態で配置される。
【0027】
遊技島100には、各遊技機5aで用いられる遊技球が循環する遊技球循環機構101が設けられる。遊技球循環機構101は、遊技機5aの上方に設けられ遊技球を各遊技機5aへと供給する遊技球供給装置1と、遊技機5aの下方に設けられ遊技に用いられた遊技球を回収する遊技球回収装置2とを備える。なお、本実施の形態では、遊技球供給装置1と遊技球回収装置2の両方が、遊技球搬送装置12を備えているが、どちらか一方が、遊技球搬送装置12を備え、他方は、従来からの自然勾配により、遊技球が傾斜面を転動することにより搬送しても良い。
【0028】
なお、本実施の形態では、遊技球貸出ユニット5bの操作に基づいて遊技機5aから貸出用の遊技球(貸球)が排出されるものとしたので、遊技球供給装置1は、遊技機5aにだけ遊技球を供給する構造としたが、単独で遊技球の貸出を行う遊技球貸出装置を用いる場合には、遊技球供給装置1が、各遊技球貸出装置にも遊技球を供給する構造とすれば良い。
【0029】
遊技球供給装置1から遊技機5aへと供給された遊技球は、遊技機5aから貸球や賞球として遊技者に対して払い出される。払い出された遊技球は、遊技に用いられ、遊技機5aの裏面側から排出されて遊技球回収装置2を通り、遊技島100の長手方向端部に設けられた揚送装置3に導かれる。また、遊技島100に設置された球計数機(図示省略)に投入されて、遊技球回収装置2に搬送され、揚送装置3に導かれる。なお、本実施の形態では、揚送装置3を遊技島100の長手方向端部に設けているが、遊技島100の長手方向中央部に設けても良い。
【0030】
なお、遊技者による所定の操作によって遊技球貸出ユニット5bから遊技機5aへ遊技媒体貸出要求信号等が送信されると、これに基づいて遊技機5aは、貸球を払い出す。また、貯球再プレーが可能な場合、遊技機5aは貯球を払出す。なお、遊技球貸出装置から貯球を払出しても良い。また、遊技機5a1台毎に計数器を設けた、所謂、各台計数器付きの場合、遊技機5aは計数した球を再使用する際に持球を払出す。なお、遊技球貸出装置から持球を払出しても良い。
【0031】
一方、遊技球回収装置2は、遊技島100における遊技機5aの下方に設けられ、遊技機5aから排出された遊技球を揚送装置3に導く。
【0032】
図1及び図2に示すように、揚送装置3は、遊技球を磨きながら上方へと揚送する装置である。受入樋8は、遊技球を受け入れ揚送装置3の球取り込み口(図示省略)へ導く。本実施の形態では、この受入樋8は、揚送装置3の隣の遊技機5aの下方まで延設され、遊技球回収装置2から転動してくる遊技球を受け入れる。
【0033】
揚送装置3によって揚送された遊技球は、揚送装置3の上部に設置された上部タンク4へと導かれる。上部タンク4には遊技球供給装置1が連結され、遊技球は再び各遊技機5aへと供給される。このように、遊技島100内の遊技球は、遊技島100内を循環する。上部タンク4の内部構造については、後で詳細に説明する。
【0034】
揚送装置3は、下部に設けられるモータ3aによって駆動される。モータ3aの上方には、揚送装置3の周囲をコの字状に取り囲むように球貯留タンク6(図3参照)が配設される。球貯留タンク6は、遊技島100で使用される大量の遊技球を貯留可能な遊技島100内で最大容量のタンクである。球貯留タンク6の底部には、貯留された遊技球を受入樋8へ流下させて揚送装置3に供給するための開閉可能なシャッター6a(図2参照)が形成される。
【0035】
球貯留タンク6には、揚送装置3を隠ぺいするための開閉可能な一対の扉6b(図3参照)が設けられる。揚送装置3の点検やメンテナンスは、この扉6bを開状態にして行われる。
【0036】
次に、主に図1を参照して、遊技球供給装置1について詳しく説明する。
【0037】
遊技球供給装置1は、上流端部10a(図4(a)参照)が上部タンク4に接続され遊技島100の長手方向に傾斜して配設された二本の第1補給樋10と、遊技島100の長手方向に、かつ第1補給樋10と同一方向に向かって傾斜し、下流側の第1補給樋10の下流に直列に配設された第2補給樋11と、二本の第1補給樋10の間、及び第1補給樋10の下流端部と第2補給樋11の上流端部との間に配設され、上流側の樋(第1補給樋10)の下流端部10bから供給された遊技球を下流側の樋の上流端部(第1補給樋10では、上流端部10a。第2補給樋11では、上流端部11a。)へと搬送する遊技球搬送装置12Aとを備える。遊技球搬送装置12Aでは、供給ガイド部材121(図9参照)が、第1傾斜流路に該当し、また、排出ガイド部材122(図9参照)が第2傾斜流路に該当する。
【0038】
遊技球供給装置1では、二本の第1補給樋10と一本の第2補給樋11とを直列に配設しているが、三本以上の第1補給樋10を配設することで全長を長くし、より多くの遊技機5aに遊技球を供給することが可能である。また、一本の第1補給樋10と一本の第2補給樋11とを直列に配設して、全長を短くしても良い。
【0039】
第1補給樋10及び第2補給樋11は、遊技球が自重によって転動可能な傾斜角度(例えば、4分)に設定され、遊技島100の上部に固定される。第1補給樋10及び第2補給樋11は、上面が開口した樋状に形成されるが、必ずしも上面が開口している必要はなく、開口部に蓋を設けたり、内部を遊技球が転動するような閉じられた形状であってもよい。
【0040】
遊技球搬送装置12Aは、遊技島100の上部に配設され、下流側の樋の上流端部が上流側の樋の下流端部よりも高い位置となるように、二本の樋を直列に連結する。遊技球搬送装置12Aの構造は、後で詳細に説明する。
【0041】
以下、主に図4(a)を参照して、第1補給樋10について詳しく説明する。
【0042】
第1補給樋10は、その上流端部10aに形成され上流から導かれた遊技球が転動可能な共通樋(分岐前流路)73と、共通樋73の下流の分岐部70から分岐し、当該第1補給樋10の下流に配設された遊技球搬送装置12Aに遊技球を誘導するための誘導樋(誘導流路)71と、分岐部70から下方に分岐し、その下方(近傍)に配設された遊技機5aに遊技球を供給するための供給樋(供給流路)72とを備える。なお、分岐部70は、共通樋73から誘導樋71と供給樋72とに上下に分岐させているが、上下でなく左右に分岐させてもよい。また、誘導樋71を、分岐部70から下方に分岐させ、供給樋72を上方とし、誘導樋71を下方にしても良い。
【0043】
共通樋73は、上流から流れてくる遊技球が供給される樋である。最上流に配設された第1補給樋10においては、共通樋73には上部タンク4から遊技球が供給され、下流側に配設された第1補給樋10においては、上流側の遊技球搬送装置12Aから遊技球が供給される。
【0044】
分岐部70は、共通樋73の下流に形成され、共通樋73を転動してきた遊技球を、誘導樋71と供給樋72とに振り分ける。分岐部70は、供給樋72に向けて開口する開口部70aを有する。つまり、共通樋73を転動する遊技球の一部は、開口部70aを介して供給樋72に流下する。なお、開口部70aは複数設けてもよい。分岐部70の具体的な構造については、後で詳細に説明する。
【0045】
誘導樋71は、共通樋73の下流端部から分岐し、共通樋73と連続するように形成される樋である。誘導樋71の下流端部10bは、遊技球搬送装置12Aに連通される(図1参照)。
【0046】
供給樋72は、共通樋73から下方に分岐して誘導樋71と略平行に形成される。供給樋72には、共通樋73上を転動してきた遊技球の一部が流下して供給される。供給樋72の上流端部には、開口部70aに連通し、開口部70aに流入した遊技球を供給樋72へと導く筒状のダクト70bが形成される。ダクト70bが設けられることによって、共通樋73から開口部70aを介して流下する遊技球が供給樋72の外部へ落下することが防止される。供給樋72の下流端部72bは、閉塞して形成されており、遊技球が供給樋72上に溜まるようになっている。
【0047】
第1補給樋10の供給樋72には、転動する遊技球を各遊技機5aへと導く複数の補給シュート13が長手方向に沿って配設される。
【0048】
補給シュート13は、第1補給樋10の両側のそれぞれに配設される。図1において手前側の補給シュート13は、遊技島100手前側に設置された遊技機5aに対して遊技球を導き、奥側の補給シュート13は、遊技島100奥側に設置された遊技機5aに対して遊技球を導く。
【0049】
以下、図5及び図6を参照して、分岐部70の構造について詳しく説明する。
【0050】
本実施の形態では、分岐部70の開口部70aは、全ての第1補給樋10と第2補給樋11とに均等な数だけ遊技球を振り分けるように転動面の幅に対する開口幅の割合が調整されている。具体的には、最上流に配設された第1補給樋10の分岐部70における開口部70aは、当該第1補給樋10と下流側の第1補給樋10と第2補給樋11との三本の樋のうち一本分である1/3の遊技球を供給樋72へと流下させるように、転動面の幅の1/3に形成される。つまり、第1補給樋10と第2補給樋11とがn本直列に設けられている場合、最上流に配設された第1補給樋10の開口部70aは、転動面の幅の1/nに形成される。
【0051】
開口部70aからは、共通樋73を転動してきた遊技球の1/3が流下して供給樋72に導かれ、供給樋72に流下しなかった残りの2/3の遊技球は、そのまま誘導樋71へと導かれ、下流側に配設された遊技球搬送装置12Aに供給される。
【0052】
同様に、下流側に配設された第1補給樋10の分岐部70における開口部70aは、当該第1補給樋10と下流側の第2補給樋11との二本の樋のうち一本分である1/2の遊技球を供給樋72へと流下させるように、転動面の幅の1/2に形成される。つまり、当該第1補給樋10を含めて下流にm本の樋が直列に設けられている場合、当該第1補給樋10の開口部70aは、転動面の幅の1/mに形成される。
【0053】
開口部70aからは、共通樋73を転動してきた遊技球の1/2が流下して供給樋72に導かれ、供給樋72に流下しなかった残りの1/2の遊技球は、そのまま誘導樋71へと導かれ、下流側に配設された遊技球搬送装置12Aに供給される。
【0054】
開口部70aは、開口面積を調整可能に形成される。これにより、直列に配設される樋の本数が変更されたときにも容易に調整することができる。開口面積を調整する構造としては、例えば、シャッターのような開閉可能な部材を配設する構造や、取り外し可能な板材で開口の一部を閉塞する構造などがある。
【0055】
なお、開口部70aを、第1補給樋10の幅と略等しくし、共通樋73を転動してきた遊技球が、供給樋72に導かれ、供給樋72が遊技球で充満した場合に、開口部70aが遊技球で塞がれることにより、誘導樋71へと導かれるようにしても良い。また、誘導樋71を、分岐部70から下方に分岐させ、供給樋72を上方とし、誘導樋71を下方にした場合に、誘導樋71が遊技球で充満した場合に、開口部70aが遊技球で塞がれることにより、供給樋72へと導かれるようにしても良い。
【0056】
以下、主に図4(b)を参照して、第2補給樋11について詳しく説明する。
【0057】
第2補給樋11は、第1補給樋10には分岐部70が形成されるのに対して、分岐部70が形成されない一本の樋である。第2補給樋11の下流端部11bは閉塞して形成されており、遊技球が第2補給樋11上に留まるようになっている。第2補給樋11には、転動する遊技球を各遊技機5aへと導く複数の補給シュート13が長手方向に沿って配設される。なお、遊技球供給装置1の、第1補給樋10の一部又は全てを第2補給樋11とし、最下流の第2補給樋の下流端部11bのみ閉塞し、それ以外の第2補給樋の下流端部11bは閉塞せず、遊技球搬送装置12Aに連通するようにしてもよい。
【0058】
補給シュート13は、第2補給樋11の両側のそれぞれに配設される。図1において手前側の補給シュート13は、遊技島100手前側に設置された遊技機5aに対して遊技球を導き、奥側の補給シュート13は、遊技島100奥側に設置された遊技機5aに対して遊技球を導く。
【0059】
以下、図1を参照して、上部タンク4から遊技球供給装置1に供給される遊技球の流れについて説明する。
【0060】
上部タンク4から最上流の第1補給樋10に供給された遊技球は、その全量が当該第1補給樋10の共通樋73上を転動する。共通樋73から分岐部70に差し掛かると、共通樋73上を転動してきた遊技球の1/3が、開口部70aからダクト70bを介して供給樋72へと流下する。
【0061】
供給樋72に流下した遊技球は、当該供給樋72に設けられた複数の補給シュート13を介して、供給樋72の下方(近傍)に配設された遊技機5aにそれぞれ供給される。
【0062】
一方、開口部70aから流下しなかった2/3の遊技球は、誘導樋71上を転動し、下流側の遊技球搬送装置12Aに導かれ、下流側の第1補給樋10に供給される。つまり、2/3の遊技球は、誘導樋71を通ることによって最上流の第1補給樋10の供給樋72を経由せずに(バイパスして)下流側の第1補給樋10に導かれる。
【0063】
下流側の第1補給樋10に供給された2/3の遊技球は、その全量が当該第1補給樋10の共通樋73上を転動する。共通樋73から分岐部70に差し掛かると、共通樋73上を転動してきた遊技球の1/2が、開口部70aからダクト70bを介して供給樋72へと流下する。つまり、上部タンク4から供給された遊技球のうち、最上流の供給樋72をバイパスしてきた2/3のうち1/2、即ち1/3の遊技球が下流側の第1補給樋10の供給樋72に導かれる。
【0064】
供給樋72に流下した遊技球は、当該供給樋72に設けられた複数の補給シュート13を介して、供給樋72の下方(近傍)に配設された遊技機5aにそれぞれ供給される。
【0065】
一方、開口部70aから流下しなかった2/3のうち1/2、即ち上部タンク4から供給された遊技球の1/3は、誘導樋71を転動し、下流側の遊技球搬送装置12Aに導かれ、下流側の第2補給樋11に供給される。つまり、1/3の遊技球は、誘導樋71を通ることによって下流側の第1補給樋10の供給樋72を経由せずに(バイパスして)下流側の第2補給樋11に導かれる。
【0066】
第2補給樋11に供給された遊技球は、当該第2補給樋11に設けられた複数の補給シュート13を介して、第2補給樋11の下方(近傍)に配設された遊技機5aにそれぞれ供給される。
【0067】
以上のように、最上流の第1補給樋10の供給樋72と、下流側の第1補給樋10の供給樋72と、第2補給樋11とに、上部タンク4から供給された遊技球のうち1/3ずつが導かれ、それぞれの下方(近傍)に配設された遊技機5aに供給される。下流側の第1補給樋10の下方(近傍)の遊技機5aに供給される遊技球は、最上流の第1補給樋10の誘導樋71を通ることによって、最上流の第1補給樋10の供給樋72を経由せずに供給される。また、第2補給樋11の下方の遊技機5aに供給される遊技球は、二本の第1補給樋10の誘導樋71を通ることによって、最上流の第1補給樋10の供給樋72及び下流側の第1補給樋10の供給樋72を経由せずにバイパスして供給される。
【0068】
よって、上流側の供給樋72から遊技球が供給される遊技機5aに大当たりが集中して多量の遊技球が供給されるような場合であっても、下流側の遊技機5aには、上流側の誘導樋71及び、下流側の供給樋72又は第2補給樋11から遊技球が供給されるため、誘導樋71の貯留機能により、上流側の遊技機5aへの遊技球の供給量に関わらず、下流側の遊技機5aに必要充分な遊技球を供給し易くなる。また、分岐部70により、上流側の遊技機5aへの遊技球の供給量に関わらず、上流側の誘導樋71に遊技球が振り分けられるため、下流側の供給樋72又は第2補給樋11に必要充分な遊技球を供給し易くなる。したがって、各遊技機5aに安定して遊技球を供給し易くなる。
【0069】
なお、遊技島内に設けられる搬送制御装置(図示省略)によって、各遊技機5aにおける遊技球の払出状態(例えば、遊技機5aでの賞球払出や貸球払出等の状況)に応じて各分岐部70の開口部70aの開口面積を自動的に可変調節するような制御をしてもよい。
【0070】
次に、主に図1を参照して、遊技球回収装置2について詳しく説明する。
【0071】
遊技球回収装置2は、遊技島の長手方向に傾斜して直列に配設された二本の第1回収樋60と、下流端部61fが揚送装置3に連結され、遊技島100の長手方向に、かつ第1回収樋60と同一方向に向かって傾斜し、下流側の第1回収樋60の下流に直列に配設される第2回収樋61と、二本の第1回収樋60の間、及び第1回収樋60の下流端部と第2回収樋61の上流端部との間に配設され、上流側の樋から供給された遊技球を下流側の樋へと搬送する遊技球搬送装置12Bとを備える。遊技球搬送装置12Bでは、後述する供給ガイド部材121(図9参照)が、第1傾斜流路に該当し、排出ガイド部材122が第2傾斜流路に該当する。
【0072】
遊技球回収装置2では、二本の第1回収樋60と一本の第2回収樋61とを直列に配設しているが、三本以上の第1回収樋60を配設することで、遊技球回収装置2の全長を長くし、より多くの遊技機5aから排出される遊技球を回収することが可能である。
【0073】
第1回収樋60及び第2回収樋61は、遊技球が自重によって転動可能な傾斜角度(例えば、4分)に設定され、遊技島100の下部に固定される。第1回収樋60及び第2回収樋61は、上面が開口した樋状に形成される。
【0074】
第2回収樋61の下流端部61fは、受入樋8に段差をもって連結される(図2参照)。よって、第2回収樋61上を転動してきた遊技球は受入樋3cに落下し、揚送装置3によって上部タンク4へと揚送されることとなる。
【0075】
第2回収樋61は、長手方向中央付近から下流側に亘って形成され上流側より側壁が高く形成される第1高壁部61dと、第1高壁部61dの下流端から連続するように下流端部61fまで形成され、第1高壁部61dより側壁が更に高く形成される第2高壁部61eとを備える。第2回収樋61上では、上流側より下流側の方が、より多くの遊技球が転動する。第1高壁部61d及び第2高壁部61eは、大量の遊技球が重なり合って流れたときに、第2回収樋61から遊技球が溢れることを防止するために形成される。
【0076】
また、遊技球回収装置2には、揚送装置3の隣の遊技機5aから排出された遊技球を受け、第2高壁部61eを流れる遊技球に合流させるように導く逆傾斜樋62が設けられる。逆傾斜樋62は、第2回収樋61とは反対方向に傾斜し、下流端部が第2高壁部61eの上方に位置するように設けられる。これにより、揚送装置3の隣の遊技機5aから流下する遊技球を第2回収樋61上を転動する遊技球に合流させることができる。受入樋8には、異物を除去するためのスノコ(図示省略)が設けられており、揚送装置3の隣の遊技機5aから流下する遊技球を、スノコの上流に流下させることができる。また、球貯留タンク6に貯留された遊技球も、逆傾斜樋62経由して、受入樋8へ流下させ、揚送装置3に供給される。さらに、逆傾斜樋62から流下する遊技球は、第2回収樋61上を転動する遊技球と衝突し、撥ね上がるおそれがある。しかし、第2高壁部61eの高さは遊技球が撥ね上がる高さ以上になるように形成されているため、衝突して撥ね上がった遊技球が第2回収樋61から外に飛び出ることを防止できる。
【0077】
遊技球搬送装置12Bは、遊技島100の下部に配設され、下流側の樋の上流端部が上流側の樋の下流端部よりも高い位置となるように、二本の樋を直列に連結する。この遊技球回収装置2に用いる遊技球搬送装置12Bの構造は、前述した遊技球供給装置1に用いる遊技球搬送装置12Aと同一構造で、遊技球を移送する機能は同じとしてある。なお、特に用途を問題としない場合、単に遊技球搬送装置12と呼ぶ。なお、遊技球搬送装置12Aと遊技球搬送装置12Bとで、例えば、磁石の磁力や種類を変えたり、磁石の数や間隔を変えたり、磁石の幅(球移送回転体の回転方向の幅)を変えたりしても良い。
【0078】
第1回収樋60及び第2回収樋61は、上面が閉じられた形状に形成されてもよい第1補給樋10及び第2補給樋11とは異なり、上方の遊技機5a(アウトタンク)から排出された遊技球を受け入れるため、上面が開口している必要がある。各遊技機5aから排出される遊技球の個数は、各遊技機5aの下方に設けられるアウトタンクの計数部(図示省略)によって計数される。
【0079】
次に、図7及び図8を参照して、上部タンク4について詳しく説明する。
【0080】
上部タンク4は、揚送装置3によって揚送された遊技球が貯留されるタンク本体50と、隣りの遊技島100へと遊技球を受け渡し、遊技球が不足したときに隣りの遊技島100から遊技球を受け入れるバランスタンク7とを備える。なお、隣の遊技島100との間で遊技球を受け渡したり、受け入れたりする必要のない所謂独立島の場合、バランスタンク7を設ける必要はない。
【0081】
上部タンク4は、バランスタンク7から隣の遊技島100に受け渡される遊技球と、遊技球供給装置1の補給シュート13から各遊技機5aに供給される遊技球とを、優先順位をつけて供給するためのタンクである。構造上は、隣の遊技島100に受け渡される遊技球が優先して供給され、次に、遊技球供給装置1に供給される。この上部タンク4の構成は、以下の通りである。なお、実際には、後述する下リミットスイッチ52bを用いて、制御により、遊技球供給装置1に優先して遊技球を供給している。
【0082】
タンク本体50とバランスタンク7との境界面には、タンク本体50内の遊技球をバランスタンク7に導くための上連通口49aと、この上連通口49aより下方に形成され、バランスタンク7内の遊技球をタンク本体50に導くための下連通口49bとが開口して形成される。
【0083】
バランスタンク7には、上連通口49aと連通し、隣りの遊技島100へと遊技球を受け渡すための球受渡口7aと、下連通口49bと連通し、隣りの遊技島100から遊技球を受け入れるための球受入口7bとが形成される。球受入口7bには、遊技球の受け入れ可否を開閉によって切り換え可能なシャッター(図示省略)が設けられる。
【0084】
球受渡口7a及び球受入口7bには、遊技島100間に傾斜して架けられる球受渡樋(図示省略)が連結され、隣りの遊技島100との間での遊技球の受け渡し及び受け入れは、この球受渡樋を介して行われる。
【0085】
タンク本体50は、縦長直方体の有底箱体である。タンク本体50には、揚送装置3によって揚送された遊技球を受け入れるための球受入口59が開口して形成される。球受入口59の下方には、タンク本体50の内部に固定され遊技球が転動可能な第1棚板50a〜第5棚板50eと、タンク本体50内部が遊技球で充分に満たされたときに余剰な遊技球を球貯留タンク6に導くオーバーフロー管51とが設けられる。
【0086】
第1棚板50aは、傾斜して設けられ、球受入口59から排出される遊技球を受ける。第1棚板50a上を転動する遊技球は、上連通口49aを介して球受渡口7aに優先して導かれ、上連通口49aに流入しなかった遊技球は第2棚板50bに導かれる。球受渡口7aにはタンク本体50から常に遊技球が供給されるため、隣りの遊技島100のバランスタンク7に形成される球受入口7bのシャッター(図示省略)が開いている場合には、タンク本体50の遊技球は、優先的にバランスタンク7へと送られ、隣の遊技島100に受け渡されることとなる。なお、隣の遊技島100のバランスタンク7に形成される球受入口7bのシャッターが閉じられて遊技球を受け入れない状態になっているときには、遊技球は隣の遊技島100に受け渡されない。
【0087】
第2棚板50bは、第1棚板50aと直交するように傾斜して設けられる。第2棚板50b上を転動する遊技球は、第3棚板50cに導かれる。
【0088】
第3棚板50cは、第2棚板50bと直交するように傾斜して設けられ、第1棚板50aと反対方向に傾斜している。第3棚板50cは、その下方に設けられるオーバーフロー管51の上部開口51aの上方を覆って形成される。これにより、第2棚板50bから転動してきた遊技球がオーバーフロー管51に直接流下することが防止される。第3棚板50cの下端は、下方に折り曲げられて形成されており、ここから第4棚板50dに遊技球が流下する。
【0089】
第4棚板50dは、第3棚板50cの下方に位置し、第3棚板50cと反対方向に傾斜して設けられる。第4棚板50dの下端の一部には、オーバーフロー管51が上下に挿通する。第4棚板50d上を転動する遊技球は、第4棚板50dの下端から第5棚板50e上に流下する。
【0090】
第5棚板50eは、第4棚板50dの下方に位置し、第4棚板50dと反対方向に傾斜して設けられる。第5棚板50eの下端の一部には、オーバーフロー管51が上下に連通する。第5棚板50e上を転動する遊技球は、第5棚板50eの下端から底板55上に流下する。
【0091】
第5棚板50eの内部には、球補給通路53が形成される。この球補給通路53の上流端部は、下連通口49bに臨んでおり、球受入口7bに連通する。一方、球補給通路53の下流端部は、オーバーフロー管51の内部に連通する。つまり、球受入口7bを介して隣の遊技島100から受け入れた遊技球は、タンク本体50内部には導かれず、その全てが球補給通路53からオーバーフロー管51に導かれる。
【0092】
底板55は、第5棚板50eの下方に位置し、第5棚板50eと反対方向に傾斜して設けられる。底板55の下流端には、搬送樋取付口49cが開口して形成される(図8参照)。この搬送樋取付口49cは、第1補給樋10に連通する(図7参照)。よって、底板55上を転動する遊技球は、搬送樋取付口49cから第1補給樋10に供給され、第1補給樋10上が遊技球で満たされると、余剰な遊技球は底板55上に重なり合ってタンク本体50内に貯まってゆく。
【0093】
オーバーフロー管51には、上端に位置し上向きに開口する上部開口51aが形成される。上部開口51aは、第3棚板50cと第4棚板50dとの間に形成される。タンク本体50内の遊技球が上部開口51aより上方まで貯まると、オーバーフロー管51内に遊技球が流下する。オーバーフロー管51の下端51bには、オーバーフローホース51cが接続され、遊技球は、オーバーフローホース51cを経由して、球貯留タンク6内に流下する。
【0094】
以上のように、タンク本体50内の遊技球は、遊技球供給装置1を介して各遊技機5aに供給され、第1補給樋10が遊技球で満たされるとタンク本体50内に遊技球が貯まってゆく。タンク本体50内に遊技球が充分に貯まると、タンク本体50内の余剰な遊技球がオーバーフロー管51から球貯留タンク6へと送られる。
【0095】
また、タンク本体50は、遊技球供給装置1に十分な遊技球があることを検知する下リミットスイッチ52bと、遊技球が所定の高さより高い位置まで貯留されていることを検知する上リミットスイッチ52aとを備える。
【0096】
下リミットスイッチ52bは、第5棚板50eの上方であり、かつ第4棚板50dの下方に配設され、オーバーフロー管51の外周に固定される。タンク本体50内に貯留される遊技球の貯留高さが第5棚板50e程度の高さまで低くなると、遊技球によって押圧されていた下リミットスイッチ52bが押圧解除され、遊技島100内の搬送制御装置(図示省略)に信号を送らなくなる。この信号が無くなったことによって、搬送制御装置は、自遊技島100の遊技球供給装置1に充分な遊技球が無いと判断し、隣の遊技島100の球受入口7bに設けられたシャッターが開かないように制御する。
【0097】
一方、上リミットスイッチ52aは、第1棚板50aの上方であり、かつ球受入口59の下方の壁面に配設される。通常は、遊技球は、オーバーフロー管51の上部開口51aから球貯留タンク6へと送られるため、上リミットスイッチ52aは押圧されることはないが、例えば、オーバーフロー管51の球詰まりなどの理由によって、タンク本体50内に貯留される遊技球が第1棚板50aより高く積み重なって貯留されたときには、遊技球によって上リミットスイッチ52aが押圧され、信号が搬送制御装置に送られる。この信号によって、搬送制御装置は、揚送装置3のモータ3aを強制的に停止させ、異常を係員に報知する。
【0098】
次に、図9〜図11を参照して、遊技球搬送装置12の詳細構造について説明する。
【0099】
遊技球搬送装置12は、収納ケース120内に、第1補給樋10の下流端部より遊技球を受け入れる第1傾斜流路たる下降傾斜状の供給ガイド部材121と、中心軸から等距離となる円筒状の外周面が供給ガイド部材121の下流側端縁121aに臨み、遊技球を吸着可能な磁界を生じさせる磁界発生手段を備える球移送回転体20と、球移送回転体20の外周面に上流側端縁122aが臨み、移送されてきた遊技球を第1補給樋10又は第2補給樋11の上流端部に流下させる第2傾斜流路たる下降傾斜状の排出ガイド部材122と、球移送回転体20を中心軸回りに回転させる駆動手段たるモータ123を収納したものである。なお、遊技球搬送装置12は、第2傾斜流路たる排出ガイド部材122における遊技球の滞留状態に応じて、第1傾斜流路たる供給ガイド部材121への遊技球流入を制限することで遊技球の搬送量を調整する搬送量調整手段を備えるものであるが、ここでは遊技球の搬送機能を説明するために、図示を省略した。
【0100】
この遊技球搬送装置12においては、先ず、収納ケース120の受入開口部120aを介して、供給ガイド部材121に受け入れられた遊技球は、その傾斜に沿って流下して行き、球移送回転体20の外周面近傍へ至り、定方向(図9においては、紙面に向って時計回り)へ回転している球移送回転体20が備える磁界発生手段の生じさせる磁界により遊技球が移送回転体20の外周面に吸着され、球移送回転体20の回転に追随して遊技球が上方へ移送される。なお、供給ガイド部材121の下流側端縁121aと球移送回転体20の外周面との間には、遊技球の球径よりも小さな間隙を設けておき、供給ガイド部材121と球移送回転体20とが摺接することを防止すると共に、供給ガイド部材121から流下してきた遊技球が下流側端縁121aからこぼれ落ちることの無いようにした。
【0101】
上記のようにして、球移送回転体20によって上方へ移送された遊技球は、排出ガイド部材122の上流側端縁122aに到達し、球移送回転体20の外表面から引き離され、球移送回転体20の磁界発生手段により生じた磁場の影響から解放されると、自重で排出ガイド部材122を流下して行き、収納ケース120の排出開口部120bを介してケース外へ排出される。なお、排出ガイド部材122の上流側端縁122aと球移送回転体20の外周面との間の隙間は、可能な限り小さくしておくことが望ましい。
【0102】
遊技球を吸着して供給ガイド部材121から排出ガイド部材122へ移送する球移送回転体20は、例えば、円環状の第1ドラム21aと第2ドラム21bとを軸方向に接合することで、その内部に磁界発生手段としての磁界発生ユニット30をほぼ等間隔で所定数(例えば、14個)収納した状態に保持できるユニット収容室(図示を省略)が形成されたベースドラム21となる。このベースドラム21は、非磁性の合成樹脂等で構成することで、量産効果を高めることができ、組立も容易な構造を採用できる。斯かるベースドラム21を用いて構成した球移送回転体20の外周面20aは摩擦の少ない滑らかな曲面である。
【0103】
円環状のベースドラム21の一側方(図9においては、紙面の手前側)に回転支持盤22を取り付け、その中心に設けた軸受部22aにモータ123の回転軸123aを軸着することで、球移送回転体20が回転可能となる。なお、本構成例の球移送回転体20においては、円環状であるベースドラム21の内空部を駆動手段収容空部たるモータ収容空部20bとして利用し、このモータ収容空部20bに収容されたモータ123を収納ケース120の側壁内面に固定すれば、モータ123の収容スペースを別途必要としないし、モータ123による球移送回転体20の直接駆動が可能となり、コンパクトな遊技球搬送装置12を構成できる。
【0104】
上述した球移送回転体20のベースドラム21に収容される磁界発生ユニット30は、全て共通であり、その詳細を図12に示す。図12(a)は、磁界発生ユニット30の斜視図であり、永久磁石である長尺な直方体の硬磁性体31と、軟磁性材料で形成した平板状の板材であるシールド部材32と、板状の軟磁性材料を断面コ字状に形成した磁束誘導部材33とから成る。なお、シールド部材32と磁束誘導部材33は、硬磁性体31とモータ123との間に配置されて、硬磁性体31の磁界がモータ123に悪影響を及ぼさないようにシールドするシールド手段として機能する。
【0105】
硬磁性体31は、外向面31aがS極、この外向面31aに対向する内向面31bがN極に各々着磁されたものである。無論、外向面31aをN極に、内向面31bをS極に着磁しても構わない。
【0106】
シールド手段を構成するシールド部材32は、硬磁性体31の内向面31bと同じ接合面を有する平板な板状の軟磁性体であり、透磁率が大きいので、磁力線を良く吸収し、硬磁性体31の内向面31bからの磁束が拡散して行くことを防げる。なお、シールド部材32としては、板厚が2.3ミリの市販の板材を用いることができる。
【0107】
磁束誘導部材33は、高透磁率の軟磁性材料の板材を折曲(成形)することで、硬磁性体31の内向面31bとシールド部材32を介して磁気的に接触する磁束受入部331と、該磁束受入部331の周方向両側縁に連なって硬磁性体31の外向面31a側に延出する一対の磁束誘導部332と、を備える。磁束誘導部材33を設けることで、磁束受入部331が、シールド手段の機能を果たし、又、磁束誘導部332の端縁332aへ磁束を誘導することにより、磁束誘導の機能とシールド手段としての機能を果たす。
【0108】
この磁束誘導部材33としては、板厚が2.3ミリの市販の板材を折曲加工して作成できるが、磁束誘導部332と硬磁性体31の周方向第1側面31cとの間、および磁束誘導部332と周方向第2側面31dとの間には、折曲のアールによりギャップが形成されて硬磁性体31の周方向第1,第2側面31c,31dが各磁束誘導部332と接触していない。なお、磁束受入部331と磁束誘導部332とを直角に成型(成形)することにより硬磁性体31とのギャップを無くしても良い。また、本構成例においては、硬磁性体31の外向面31aと磁束誘導部332の端縁332aの高さ(図12(b)の紙面上方向)を揃えているが、遊技球が移送回転体20の外周面に吸着し、上方へ移送され、排出ガイド部材を流下可能であれば、外向面31aと端縁332aとの高さを揃えなくても良い。
【0109】
また、硬磁性体31の軸方向第1端面31eおよび軸方向第2端面31fよりも磁束誘導部材33の軸方向端部を共に長く設定することで、硬磁性体31の軸方向第1,第2端部の両側方に、磁束の誘導されない領域(吸着規制領域)を生ぜしめることができる。なお、磁束誘導部材33と同様にシールド手段として機能するシールド部材32の軸方向端部を硬磁性体31の軸方向第1端面31eおよび軸方向第2端面31fよりも長く設定することで、シールド部材32により吸着規制領域を生ぜしめるようにしても良いし、シールド部材32および磁束誘導部材33の両方を長く設定することで、吸着規制領域を生ぜしめるようにしても良い。
【0110】
本実施の形態では、磁束誘導部材33における磁束受入部331とシールド部材32とを別体として重ねることで、回転軸に向う径方向の軟磁性体を厚くし、シールド部材32と磁束受入部331が協働してシールド手段の機能を果たすものとしたので、各硬磁性体31により発生する磁界の影響がモータ123に及ぶことを効果的に、また、安価に回避できる。
【0111】
なお、シールド部材32を無くし、磁束誘導部材33の成形に用いる板材の板厚を厚くすることで磁束受入部331を厚くし、磁束誘導部材33にシールド部材の機能を持たせても良いが、軟磁性材料の板厚が厚いと折曲し難くなる。本実施の形態で使用した硬磁性体の磁力の強さでは、試作の際に使用した軟磁性体(板厚が2.3ミリの市販の板材)を取り付けて、ガウスメーターで計測したところ、磁気が漏れていたが、板厚が3.2ミリの市販の板材を用いた磁束誘導部材33では、磁気が殆ど漏れなかった。
【0112】
このように、軟磁性材料を厚くした方がシールド効果を高められる反面、板厚が3.2ミリより2.3ミリの板材の方が、折曲等の加工が容易であることから、本構成例の磁界発生ユニット30では、磁束受入部331(板厚2.3ミリ)とシールド部材32(板厚2.3ミリ)とを別体として重ねることにより、高いシールド効果と加工容易性を兼ね備えたシールド手段を構成するものとした。
【0113】
ここで、磁界発生手段の機能について、図13〜図19に基づき説明する。
【0114】
最も単純な構造である第1磁界発生手段は、図13に示すように、硬磁性体31を等間隔に配置したものである。ベースドラム21内に収納配置した硬磁性体31は、全て外向面31aがS極で内向面31bがN極となるように揃っているので、球移送回転体20の外周面20aと交差する磁束が軸方向へ均等に生じると共に、隣り合った硬磁性体31から生じる磁束の向きが互いに同方向となる。これにより、隣り合った硬磁性体31による磁界の影響は、ほぼ中間点にて入れ替わるため、ある硬磁性体31の磁界の影響下で遊技球が数珠繋ぎになったとしても、隣り合った硬磁性体31の磁界の影響下に入ると、それ以上は遊技球が数珠繋ぎになることを制限される。
【0115】
すなわち、球移送回転体20の外周面20aの軸方向には、硬磁性体31の磁束が均等に生ずるので、周方向に隣り合った硬磁性体31により生じる磁束は互いに反発し、硬磁性体の磁界により磁化される遊技球の磁化の向きも逆になるため、硬磁性体31の磁束によって磁化された遊技球が他の遊技球を磁化して際限なく数珠繋ぎになることを防げる。これにより、球移送回転体20の外表面が摩擦抵抗の少ない平滑な面であっても、効率良く安定的に遊技球を外周面20aに吸着させて排出ガイド部材122へ移送できるようになる。
【0116】
図14に示す第2磁界発生手段は、上述した第1磁界発生手段における硬磁性体31の内向面31b側にシールド部材32を配置したもので、上述した第1磁界発生手段と同様に、球移送回転体20の外周面20aが摩擦抵抗の少ない平滑な面であっても、効率良く安定的に遊技球を外周面20aに吸着させて排出ガイド部材122へ移送できる効果に加えて、硬磁性体31の内向面31bからの磁束が球移送回転体20の回転中心側に大きく膨らむことを抑制し、各硬磁性体31により発生する磁界の影響がモータ123に及ぶことを効果的に回避できる。
【0117】
すなわち、本構成例の遊技球搬送装置12においては、球移送回転体20の内空部にモータ123を収容することで、遊技球搬送装置12の小型軽量化を期せる反面、球移送回転体20に設けた磁界発生手段による磁界がモータ123に悪影響を及ぼす可能性があるため、第2磁界発生手段のように、硬磁性体31の内向面31b側にシールド部材32を配置することで、モータ123の動作安定性を維持することが可能となる。しかも、硬磁性体31の磁束拡散を抑制することで、球移送回転体20の外周面21a側の磁束密度を高めることが可能となり、硬磁性体31として比較的廉価な磁力の弱い磁石を用いることができ、コスト面でも有利となる。
【0118】
なお、上述した第2磁界発生手段において、硬磁性体31の内向面31b側に設けるシールド部材32における軸方向両端を、硬磁性体31の両端よりも適宜長く設定することで、硬磁性体31の軸方向第1,第2端部の両側方に、磁束の誘導されない領域(吸着規制領域)を生ぜしめれば、球移送回転体20の軸方向の端まで遊技球が吸着されることを防げる。これにより、球移送回転体20の軸方向端部に吸着された遊技球が収納ケース120の側壁内面に吸着してこすれることを防ぎ、モータ123に無駄な負荷がかかることを無くし、遊技球の損耗を早めることも防げる。
【0119】
図15に示す第3磁界発生手段は、上述した第2磁界発生手段における硬磁性体31の内向面31b側に配置したシールド部材をコ字状に形成することで、磁束受入部321の周方向両側縁に連なって硬磁性体31の外向面31a側に延出する一対の磁束誘導部322を設けることで、磁束誘導機能を有するシールド部材32′としたものである。この第3磁界発生手段においては、磁束誘導部322の端縁322aへ磁束を誘導し、磁束誘導部322の端縁322aにN極を生じさせる。
【0120】
すなわち、この第3磁界発生手段によれば、硬磁性体31の内向面31bに磁束受入部321が接するようにシールド部材32′を配置したので、硬磁性体31の外向面31aから磁束誘導部322の端縁322aにかけての磁束密度を高めることができ、磁力の小さい硬磁性体を使用することが可能となり、コストを下げることができる。無論、シールド部材32′の機能により、各硬磁性体31により発生する磁界の影響がモータ123に及ぶことを効果的に回避できる。
【0121】
また、第3磁界発生手段において、硬磁性体31の内向面31b側に設けるシールド部材32′における軸方向両端を、硬磁性体31の両端よりも適宜長く設定することで、硬磁性体31の軸方向第1,第2端部の両側方に、磁束の誘導されない領域(吸着規制領域)を生ぜしめれば、球移送回転体20の軸方向の端まで遊技球が吸着されることを防げる。これにより、球移送回転体20の軸方向端部に吸着された遊技球が収納ケース120の側壁内面に吸着してこすれることを防ぎ、モータ123に無駄な負荷がかかることを無くし、遊技球の損耗を早めることも防げる。
【0122】
この第3磁界発生手段においては、硬磁性体31に直接接触するシールド部材32′に磁束誘導機能を持たせるものとし、前述した磁界発生ユニット30のように、磁束誘導部材33を別途設けないことから、硬磁性体31とモータ123との間に介在させる軟磁性体の厚みが薄くなり、シールドの機能が弱くなる。試作として板厚が2.3ミリの市販の板材を使用してシールド部材32′を作製した場合、ガウスメーターで計測したところ、磁気が漏れていた。また、磁束密度がより高くなるため、磁力が、球移送回転体20の外周面20aから遠くに飛ばなくなる(及び難くなる)。そこで、シールド部材32′における磁束受入部321のシールド機能を補うべく、シールド部材32′とは別に、軟磁性材料の平板な板材をシールド補助部材32″(図15中、破線で示す)として用い、磁束受入部321の回転軸側(硬磁性体31と接触していない側の面)にシールド補助部材32″を重ねて、回転軸に向う径方向の軟磁性体を厚くすることにより、十分なシールド機能を得るようにしても良い。また、シールド部材32′の作成に用いる板材の板厚を厚くする(例えば、3.2ミリに変更する)ことでシールド機能を高めるようにしても良い。
【0123】
図16に示す第4磁界発生手段は、上述した磁界発生ユニット30を均等配置したもので、磁束誘導部材33を設けることで、磁束誘導部332の端縁332aへ磁束を誘導し、磁束誘導部332の端縁332aにN極を生じさせる。これにより、各磁界発生ユニット30における硬磁性体31の外向面31aから磁束誘導部332の端縁332aにかけての磁束密度を高めることができ、遊技球の吸着効率を上げることが可能となる。また、磁束密度が高いため、磁力の小さい硬磁性体を使用することが可能となり、コストを下げることができる。無論、各硬磁性体31により発生する磁界の影響がモータ123に及ぶことを効果的に回避できる。また、球移送回転体20の外周面20aから離脱した遊技球が、磁束密度の高い領域から離れると、磁力が及び難くなるという効果がある。
【0124】
しかも、磁束誘導部材33における軸方向両端を硬磁性体31よりも長く設定することで、硬磁性体31の軸方向第1,第2端部31e,31fの両側方に、吸着規制領域を生ぜしめるようにしたので、球移送回転体20の軸方向の端まで遊技球が吸着されることを防げる。なお、シールド部材32における軸方向両端を硬磁性体31よりも長く設定することで吸着規制領域を生ぜしめるようにしても良いし、シールド部材32と磁束誘導部材33の両方を硬磁性体31よりも長く設定することで吸着規制領域を生ぜしめるようにしても良い。これにより、球移送回転体20の軸方向端部に吸着された遊技球が収納ケース120の側壁内面に吸着してこすれることを防ぎ、モータ123に無駄な負荷がかかることを無くし、遊技球の損耗を早めることも防げる。
【0125】
なお、図17に示す第5磁界発生手段である磁界発生ユニット30′は、上述した磁界発生ユニット30に対して、硬磁性体31とは着磁方向を逆にした硬磁性体31′を用いたもので、N極に着磁された硬磁性体31の外向面31aの両側に位置する磁束誘導部332の端縁332aにはS極が生じ、各磁界発生ユニット30′における硬磁性体31′の外向面31aから磁束誘導部332の端縁332aにかけての磁束密度を高めることができ、遊技球の吸着効率を上げることが可能となる。また、球移送回転体20の外周面20aから離脱した遊技球が、磁束密度の高い領域から離れると、磁力が及び難くなるという効果がある。無論、各硬磁性体31により発生する磁界の影響がモータ123に及ぶことを効果的に回避できる。また、この磁界発生ユニット30′に対しても、硬磁性体31′の軸方向第1,第2端部31e,31fの両側方に、吸着規制領域を生ぜしめるようにしても良い。
【0126】
図18に示す第6磁界発生手段は、第1磁界発生ユニット301と第2磁界発生ユニット302を交互に配置したものである。第1磁界発生ユニット301は、高透磁率の軟磁性材料の板材を折曲(成形)することで、硬磁性体31の内向面31bとシールド部材32を介して磁気的に接触する磁束受入部341と、該磁束受入部342の周方向一側縁(図18においては、紙面に向って右側)に連なって硬磁性体31の外向面31a側に延出する1つの磁束誘導部342と、を備える断面L字状の第1磁束誘導部材34Aを用い、硬磁性体31の外向面31aの磁極(S極)と異なる磁極(N極)が磁束誘導部342の端縁342aに生ずるようにしたものである。一方、第2磁界発生ユニット302は、第1磁束誘導部材34Aとは逆側(図18においては、紙面に向って左側)より磁束誘導部342を延出させた第2磁束誘導部材34Bを用い、硬磁性体31の外向面31aの磁極(S極)と異なる磁極(N極)が磁束誘導部342の端縁342aに生ずるようにしたものである。なお、本実施の形態では、第1磁界発生ユニット301と、第2磁界発生ユニット302とは同一形状であり、第2磁界発生ユニット302を、図示する境界線(点線)を対称軸として、反転して配設したものが、第1磁界発生ユニット301である。
【0127】
斯く構成した第1磁界発生ユニット301と第2磁界発生ユニット302を交互に配置することで、隣り合う第1,第2磁界発生ユニット301,302から生じる磁束の向きが互いに同方向となり、第1,第2磁界発生ユニット301,302における硬磁性体31の外向面31aから磁束誘導部342の端縁342aにかけての磁束密度を高めることができ、遊技球の吸着効率を上げることが可能となる。また、隣り合った硬磁性体31による磁界の影響は、隣り合う第1,第2磁界発生ユニット301,302との間にて入れ替わるため、ある硬磁性体31の磁界の影響下で遊技球が数珠繋ぎになったとしても、隣り合った硬磁性体31の磁界の影響下に入ると、それ以上は遊技球が数珠繋ぎになることを制限される。無論、各硬磁性体31により発生する磁界の影響がモータ123に及ぶことを効果的に回避できる。なお、図18は、変形例として記載しており、記載している磁界は推測である。また、これら第1,第2磁界発生ユニット301,302に対しても、硬磁性体31の軸方向第1,第2端部31e,31fの両側方に、吸着規制領域を生ぜしめるようにしても良い。
【0128】
図19は、第7磁界発生手段である磁界発生ユニット40を示すもので、図19(a)は磁界発生ユニット40の斜視図、図19(b)は図19(a)におけるB−B矢視断面図(途中省略)である。この磁界発生ユニット40は、永久磁石である長尺な直方体の硬磁性体31と、軟磁性材料で形成したシールド部材32と、板状の軟磁性材をプレス成型(成形)することで四側面を有する蓋状に形成した磁束誘導部材35とからなる。
【0129】
硬磁性体31は、例えば、外向面31aがS極、この外向面31aに対向する内向面31bがN極に各々着磁されたものである。無論、外向面31aをN極に、内向面31bをS極に着磁しても構わない。
【0130】
シールド部材32は、硬磁性体31の内向面31bと同じ接合面を有する平板な板状の軟磁性体であり、シールド手段として機能する。すなわち、軟磁性体は透磁率が大きいので、磁力線を良く吸収し、硬磁性体31の内向面31bからの磁束が拡散して行くことを防げる。このシールド部材32としては、板厚が2.3ミリの市販の板材を用いることができる。
【0131】
磁束誘導部材35は、高透磁率の軟磁性材料の板材をプレス成型(成形)することで、硬磁性体31の内向面31bとシールド部材32を介して磁気的に接触する磁束受入部351と、該磁束受入部351の軸方向両側縁に連なって硬磁性体31の外向面31a側に延出する一対の磁束誘導部352と、該磁束受入部351の軸方向両側縁に連なって硬磁性体31の外向面31a側に延出する一対の磁束誘導部353を備える。磁束誘導部材35を設けることで、磁束受入部351がシールド手段の機能を果たし、尚且つ、磁束誘導部352,353の端縁352a,353aへ磁束を誘導することにより、磁束誘導の機能とシールド手段としての機能を果たす。
【0132】
なお、磁束誘導部材35における磁束誘導部352と硬磁性体31の周方向第1側面31cとの間、および磁束誘導部352と周方向第2側面31dとの間には、プレス成型(成形)のアールによりギャップが形成されて硬磁性体31の周方向第1,第2側面31c,31dが各磁束誘導部352と接触していないが、磁束誘導部材33を、厚みのある板材を切削(成形)することにより形成し、磁束受入部351と磁束誘導部352とが直角になるようにして、ギャップを無くしても良い。
【0133】
また、磁界発生ユニット40においては、磁束誘導部材35における磁束誘導部353の端縁353aへ磁束を誘導し、磁束誘導部353の端縁353aにN極を生じさせることで、硬磁性体31の外向面31aから磁束誘導部353の端縁353aにかけての磁束密度を高め、磁界発生ユニット40における軸方向両端においても遊技球が吸着し易くなる。
【0134】
このとき、磁界発生ユニット40の軸方向両端に生ずる磁束により吸着した遊技球が、収納ケース120の側壁内面に吸着され難くするため、磁束誘導部353の外側(収納ケース120の側壁内面側)の面と硬磁性体31の軸方向第1端面31eおよび軸方向第2端面31fとの距離(図19(b)中の間隔A)を遊技球の半径より大きい6.5mmとしている。また、磁界発生ユニット40の軸方向両端に生ずる磁束により吸着された遊技球(硬磁性体に吸着した遊技球に更に吸着した遊技球)が、収納ケース120の側壁内面に吸着され難くするため、側壁内面と硬磁性体31の軸方向第1端面31eおよび軸方向第2端面31fとの距離(図19(b)中の間隔B)を12.5mmとしている。これにより、磁界発生ユニット40の軸方向両端に吸着規制領域を設けなくても、球移送回転体20の軸方向端部に吸着された遊技球が収納ケース120の側壁内面に吸着してこすれることを防ぎ、モータ123に無駄な負荷がかかることを無くし、遊技球の損耗を早めることも防げる。
【0135】
この磁界発生ユニット40では、磁束誘導部材35における磁束受入部351とシールド部材32とを別体として重ね、回転軸に向う径方向の軟磁性体を厚くして、磁束受入部351とシールド部材32とでシールド手段の機能を果たすことにより、各硬磁性体31により発生する磁界の影響がモータ123に及ぶことを効果的に、また、安価に回避できる。また、磁束誘導部材35を設けることで、磁束誘導部352の端縁352aへ磁束を誘導し、磁束誘導部352の端縁352aにN極を生じさせ、磁束誘導部353の端縁353aへ磁束を誘導し、磁束誘導部353の端縁353aにN極を生じさせる。これにより、各磁界発生ユニット40における硬磁性体31の外向面31aから磁束誘導部352の端縁352aにかけての磁束密度と、磁束誘導部353の端縁353aにかけての磁束密度を高めることができ、遊技球の吸着効率を上げることが可能となる。また、磁束密度が高いため、磁力の小さい硬磁性体を使用することが可能となり、コストを下げることができる。無論、各硬磁性体31により発生する磁界の影響がモータ123に及ぶことを効果的に回避できる。なお、図15中に破線で示したものと同様に、シールド部材を四側面を有する蓋状に形成し磁束誘導機能を持たせ、硬磁性体と接触していない側の面にシールド補助部材を重ねて、回転軸に向う径方向の軟磁性体を厚くしても良い。
【0136】
上述したように、球移送回転体20が備える種々の磁界発生手段によって、外周面20aに吸着された遊技球が、非磁性材よりなる排出ガイド部材122に至ると、球移送回転体20の外周面20aに吸着されていた遊技球は、上流側端縁122aより排出ガイド部材122の流下面に移るのであるが、遊技球搬送装置12Aの場合、下流側の樋が遊技球で充満している場合には、それをセンサー等の検知手段により検知し、回転を停止させる必要がある。ところが、回転を停止させた場合、排出ガイド部材122が非磁性材の場合、球移送回転体20の磁界発生手段からの磁力により、排出ガイド部材122上に遊技球が滞留した状態となり、再度回転を開始した場合、滞留した遊技球に、搬送された遊技球が衝突し、騒音が発生するという、問題が発生した。また、磁界発生手段による吸着の影響が強いために、なかなか遊技球が自重による自然流下をせず、せっかく球移送回転体20の回転により与えられた球の流下勢が減殺されるという問題が発生した。
【0137】
そこで、本構成例の遊技球搬送装置12においては、排出ガイド部材122の下面に、軟磁性材を板状にしたシールドパネル124をシールド部材として取り付けた。斯くすれば、球移送回転体20の磁界発生ユニット30により発生した磁界はシールドパネル124に誘導され、排出ガイド部材122の上面側に影響が及ぶことを抑制できる。
【0138】
例えば、図20(a)に示すように、磁界発生ユニット30の磁界によって吸着された遊技球P1〜P4が排出ガイド部材122の上流側端縁122aに到達したとき、球移送回転体20の回転に伴って磁界発生ユニット30が排出ガイド部材122の下方へ移行して行くが、硬磁性体31の外向面31aと磁束誘導部332の端縁332aとの間に生じた磁界は、排出ガイド部材122を透過して、排出ガイド部材122上にいる遊技球P1〜P4を吸着する力として作用する。しかしながら、排出ガイド部材122の下面にはシールドパネル124を取り付けてあるので、磁界発生ユニット30の磁束はシールドパネル124に誘導されて、排出ガイド部材122の上面側に及ぶ吸着力は極めて小さくなる。よって、最先の遊技球P1は、球移送回転体20から離れたときの初速が著しく減衰する前に、磁界発生ユニット30の磁界から解放され、適宜な流下勢で排出ガイド部材122上を下方へ自然流下して行く(図20(b)を参照)。後続の遊技球P3〜P4も同様に、磁界発生ユニット30の吸着力によって滞留することなく、円滑に流下して行く(図20(b),(c)を参照)。
【0139】
なお、シールドパネル124は、排出ガイド部材122の上流側端縁122aに近い位置まで設けておけば、それだけ早く、遊技球を磁界発生ユニット30による拘束から解放できるものの、それなりのシールド効果を奏するためには、軟磁性体に相応の厚さが必要であり、球移送回転体20の外周面20aと接触しないようにシールドパネル124を取り付けると、排出ガイド部材122の上流側端縁122aから或る程度(例えば、遊技球の直径約11mmに対して10mm程度)の未シールド領域が生じた。しかしながら、排出ガイド部材124の上流側端縁122aにおける遊技球の滞留は殆ど解消され、遊技球の流下勢を十分に保持できるので、排出ガイド部材122から第1補給樋10又は第2補給樋11の上流端部へ円滑に遊技球を供給することが可能となる。
【0140】
図21に示すのは、排出ガイド部材122およびシールドパネル124に代えて、球移送回転体20に近接する端部を楔形とした排出ガイド部材122′およびシールドパネル124′を設けたものである。シールドパネル124′は、下面から上面にかけてテーパ面124bを設けることにより、上流側端縁124aが排出ガイド部材122′の上流側端縁122aに近い位置までシールド効果を期待できる。ただし、シールドパネル124′は、上流側端縁124aに近づくほど厚みが薄くなるため、シールド効果は弱まる。また、排出ガイド部材122′は、下面から上面にかけてテーパ面122bを設けることにより、球移送回転体20の外周面20aに吸着された遊技球が、上流側端縁122aからスムーズに排出ガイド部材122′の流下面へと移動できるようになる。
【0141】
上述したように、遊技球搬送装置12によれば、供給ガイド部材121から受け容れた遊技球を効率良く排出ガイド部材122へ搬送することができるので、その搬送能力によって過剰に遊技球の搬送が行われると、補給樋から遊技機や玉貸機や再プレイ機などに供給される遊技球が少ない場合、補給樋が遊技球でほとんど充満してしまい、排出ガイド部材122上まで遊技球があふれて滞留する可能性があり、そのような場合に、球移送回転体20による搬送量を自動で調整できる搬送量調整手段の第1構成例について、図22および図23に基づいて説明する。
【0142】
遊技球搬送装置12が備える搬送量調整手段は、第2傾斜流路たる排出ガイド部材122に上方から臨み、排出ガイド部材121上に滞留して積み重なった遊技球によって上方へ押圧される排出側押圧受部125aと、この排出側押圧受部125aの上方移動と連動して、上方から第1傾斜流路たる供給ガイド部材121へ下降して行く供給側遮蔽部126aと、を備えるものである。具体的には、排出側押圧受部125aを備える滞留状態検知部材125と、供給側遮蔽部126aを備える遮蔽部材126と、適宜な引張弾性を有する付勢部材としてのコイルバネ127とから構成する。
【0143】
先ず、滞留状態検知部材125は、球移送回転体20の回転軸123aと平行な支軸であって球移送回転体20よりも上方で収納ケース120の両側壁の間を貫通するように架設した第1貫通軸1281により揺動自在に軸支され、第1貫通軸1281よりも排出ガイド部材122側に排出側押圧受部125aを、第1貫通軸1281よりも供給ガイド部材121側に遮蔽押圧部125bを各々設けたものであり、球移送回転体20の上側にて、排出側押圧受部125aが下がって遮蔽押圧部125bが上がったり、排出側押圧受部125aが上がって遮蔽押圧部125bが上がったりするように揺動するシーソー構造である。なお、滞留状態検知部材125は常態において、排出側押圧受部125a側と遮蔽押圧部125b側が共に第1貫通軸1281に向かって昇り傾斜する略への字状の屈曲構造とすることで、収納ケース120の高さを不必要に高くすることなく、シーソー構造の滞留状態検知部材125を収めることができるようにした。また、シーソーは、一方端の移動量と他方端の移動量を支点から作用点までの相対距離で任意に設定することができ、本構成例の搬送量調整手段では、排出側押圧受部125aの移動量と遮蔽押圧部125bの移動量との比が、例えば3:2となるように設定した。
【0144】
一方、遮蔽部材126は、供給側壁部120cと、この供給側壁部120cよりも球移送回転体20寄りの位置で収納ケース120の両側壁の間を貫通するように架設した第2貫通軸1282及び第3貫通軸1283との間にて上下方向に移動可能な板材であり、その上端部を内側(供給側壁部120cに当たらない側)に屈曲することで、滞留状態検知部材125の遮蔽押圧部125bからの押圧力を受ける遮蔽受圧部126bを形成し、その下端には、供給ガイド部材121に上方から臨む供給側遮蔽部126aが設けられる。なお、供給側遮蔽部126aは、遊技球に直接当たる部分であるから、適宜な柔軟性と硬度を有するゴム板材126a1を固着プレート126a2を介してビス等で遮蔽部材126に固定したものである。
【0145】
なお、供給側遮蔽部材126による遊技球の遮蔽構造は特に限定されるものではなく、供給側遮蔽部材126が下方移動したときに供給側遮蔽部126aが遊技球の流入を制限できれば、如何様に構成しても構わない。例えば、供給側遮蔽部126aの下端部を遊技球の間に突入し易い様に、鋸のように三角形の歯を複数、連続して、又は、間隔を空けて設けた形状にしても良い。また、供給側遮蔽部126aを別体で設けずに、遮蔽部材126の下端部を鋸の歯のような形状にしても良い。また、三角形の歯と歯の間隔を、下端部では遊技球が通過可能な間隔とし、上部になるほど間隔を狭めて、遮蔽部材126が所定の距離下がると三角形の歯に遊技球が当たり、遊技球が通過不可能となるようにしても良い。また、複数ある歯と歯の間隔の内任意の数の間隔を、下端部でも遊技球が通過不可能な間隔とし、残りの間隔を下端部では遊技球が通過可能な間隔とし、上部になるほど間隔を狭めて、遮蔽部材126が所定の距離下がると三角形の歯に遊技球が当たり、遊技球が通過不可能となるようにしても良い。また、遮蔽部材126の下端部を、櫛や柵のような形状とし、櫛の歯と歯(柵の支柱と支柱)の間隔を、遊技球の通過が不可能な一定の間隔としても良い。また、複数ある歯と歯(支柱と支柱)との間隔の内の一部を遊技球の通過が可能な間隔としても良い。
【0146】
また、遮蔽部材126が円滑に上下動するように、遮蔽部材126の内面側には、第2貫通軸1282に嵌挿されたガイドローラ1282aおよび第2貫通軸1282よりも下方に位置する第3貫通軸1283に嵌挿されたガイドローラ1283aが当接するようにしてある。また、本構成例では、遮蔽受圧部126bは、遮蔽部材126の上端部に形成したが、遮蔽押圧部125bからの押圧力を受けて、遮蔽部材126が下方に移動可能であれば、遮蔽受圧部126bを形成する位置は限定されない。
【0147】
上述した遮蔽部材126を上方へ引き上げるように付勢するコイルバネ127は、上端が第2貫通軸1282よりも上方で収納ケース120の両側壁の間を貫通するように架設した第4貫通軸1284に、下端が遮蔽部材126に(本構成例では、遮蔽部材126の遮蔽受圧部126bに)各々固定されることで、常時は遮蔽部材126の供給側遮蔽部126aと供給ガイド部材121との間は、遊技球が流下(通過)可能なように少なくとも遊技球の直径(11mm)よりも大きな間隔が生ずるように保持するが、滞留状態検知部材125の遮蔽押圧部125bからの押圧力によって遮蔽受圧部126bに下向きの力が作用すると、遮蔽部材126が下方へ移動することを許容し、滞留状態検知部材125の遮蔽押圧部125bが上方へ戻るに連れて、コイルバネ127が遮蔽部材126を上方へ引き戻す。
【0148】
なお、本構成例の搬送量調整手段においては、コイルバネ127の張力と遮蔽部材126の重量が釣り合う位置を常態とするのではなく、収納ケース120の側壁に設けたストッパゴム1285に滞留状態検知部材125の遮蔽押圧部125bが下方から押し当たることで上方移動が規制された滞留状態検知部材125に、遮蔽部材126の遮蔽受圧部126bが上向きに押し当たることで、供給側遮蔽部126aの通常位置が一定に定まるようにしてある。
【0149】
上記のように構成した搬送量調整手段を備える遊技球搬送装置12は、通常、図23(a)に示すように、滞留状態検知部材125の排出側押圧受部125aが自重により下方へ下がり、第1貫通軸1281を挟んで反対側に設けた遮蔽押圧部125bがストッパゴム1285に下方から押し当たるまで傾動した状態となり、コイルバネ127に引っ張られる遮蔽部材126は、遮蔽受圧部126bが遮蔽押圧部125bに下方から押し当たる位置に保持され、供給側遮蔽部126aの下端と供給ガイド部材121との間には、遊技球が流下可能な空間が保持される。
【0150】
なお、図23に示すように、遊技球搬送装置12の供給ガイド部材121の上方へ誘導樋71を配置して遊技球を供給する場合には、誘導樋71が第1傾斜流路として機能するので、この誘導樋71の球流下面と供給側遮蔽部126aの下端との間に遊技球が流下可能な空間を保持する。例えば、通常時に、滞留状態検知部材125の排出側押圧受部125aの下面と排出ガイド部材122の球流下面との間に15mmの間隔が保持され、遮蔽部材126の供給側遮蔽部126aの下端と誘導樋71の球流下面との間にも15mmの間隔が保持されるように設定しておく。
【0151】
一方、排出ガイド部材122上にて球詰まりが生じたり、排出ガイド部材122に連なる排出側の樋に遊技球が充満して、遊技球の円滑な流下が阻害され、図23(b)に示すように、排出ガイド部材122上で遊技球の滞留が生じ、遊技球が積み重なってダンゴ状になると、その圧力によって滞留状態検知部材125の排出側押圧受部125aが上方へ押し上げられると共に遮蔽押圧部125bが下がり、遮蔽部材126の遮蔽受圧部126bが遮蔽押圧部125bに下方へ押されることで、コイルバネ127の付勢力に抗して遮蔽部材126の供給側遮蔽部126aが誘導樋71の球流下面に近づき、誘導樋71から供給ガイド部材121へ供給される遊技球の量が制限される。
【0152】
なお、遮蔽部材126は、供給される遊技球の量が制限できるように、上下方向に移動可能であれば、斜めでもよく、鉛直方向の移動に限定されるものではない。また、遮蔽部材126と滞留状態検知部材125とを蝶番状に係合させる構造としても良い。例えば、遮蔽部材126の上端に回動軸を、滞留状態検知部材125の端部に軸受管部を各々設けることで蝶番構造とした場合には、滞留状態検知部材125の端部に設けた軸受管部が遮蔽部材126の回動軸を押すことで遮蔽部材126が下降し、滞留状態検知部材125の端部に設けた軸受管部が遮蔽部材126の回動軸を引き上げることで遮蔽部材126が上昇するので、滞留状態検知部材125の端部に設けた軸受管部が遮蔽押圧部として機能し、遮蔽部材126の回動軸が遮蔽受圧部として機能する。無論、遮蔽部材126の上端に軸受管部を、滞留状態検知部材125の端部に回動軸を各々設けることで蝶番構造とした場合も、同様である。このように、滞留状態検知部材125と遮蔽部材126を一体に動く係合構造とした場合、コイルバネ127等の付勢手段で直接的に遮蔽部材126を引っ張る構造とせずに、滞留状態検知部材125を引っ張ることで、間接的に遮蔽部材126を上方へ引き上げるように付勢する構成としても良い。
【0153】
すなわち、本構成例の搬送量調整手段を備える球技球搬送装置12によれば、センサやスイッチを用いずに、排出ガイド部材上の遊技球の滞留状態を利用して遊技球搬送装置12への遊技球供給を自動で停止・再開でき、適切な搬送量に調整することが可能となる。また、センサやスイッチなどの電気的な部品を遊技球の流路に臨ませて使用する場合には、センサやスイッチが物理的に損傷する可能性が高くなるのであるが、搬送量調整手段を用いて流量調整を行えば、故障の可能性を低減できる。加えて、搬送量調整手段によって遊技球の供給量を調整することにより、球移送回転体20のモータ123を停止させずに済み、モータ123の起動・停止を繰り返す必要がないことから、モータ123にかかる負荷が軽減されるという利点もある。
【0154】
しかも、本構成例の搬送量調整手段は、排出ガイド部材122上で遊技球の滞留が生じることにより排出側押圧受部125aを上方へ押し上げ、第1貫通軸1281を挟んで反対側にある遮蔽押圧部125bが下方へ下がり、逆に排出ガイド部材122上で遊技球の滞留が解消されて排出側押圧受部125aが下方へ戻ると、反対側にある遮蔽押圧部125bが上方へ上がるという単純なシーソー構造の滞留状態検知部材125により、遮蔽部材126の上下移動を制御でき、単純構造ゆえの堅牢性を実現できると共に、低コストで搬送量調整手段を設けられるという利点もある。
【0155】
また、本構成例の搬送量調整手段において、滞留状態検知部材125の排出側押圧受部125aは、排出ガイド部材122の幅方向全域に渡って形成し、排出側押圧受部125aと排出ガイド部材122の球流下面との間に遊技球の直径よりも大きな間隔が保持されるように、遮蔽押圧部125bの上方移動位置をストッパゴム1285により規制し、排出側押圧受部125aの最下降位置を制限したので、通常は滞留状態検知部材125の排出側押圧受部125aが遊技球に接触することは回避でき、遊技球の流れを阻害しない。
【0156】
しかも、排出側押圧受部125aは排出ガイド部材122の幅方向全域に渡って形成していることから、排出ガイド部材122上の一部で遊技球が積み重なって排出側押圧受部125aの下面に押し当たった場合、この排出側押圧受部125aが玉均しの役割をして、排出ガイド部材122における遊技球の流れが均等となり、片寄りのない円滑な遊技球流下を実現できる。
【0157】
なお、供給ガイド部材121上に遊技球の滞留が生じているとき、滞留状態検知部材125の上方移動よって誘導樋71からの遊技球の供給を完全に遮断しても良いし、流入量を低減させる程度にしても良い。例えば、前述したように、排出側押圧受部125aの移動量と遮蔽押圧部125bの移動量との比が、例えば3:2となるように設定した場合、排出側押圧受部125aが6mm弱上がると、遮蔽部材126は4mm弱下がることとなって、遮蔽部材126の供給側遮蔽部126aの下端と誘導樋71の球流下面との間隔は、15mmから球径よりも僅かに大きい11mm強となり、誘導樋71から供給ガイド部材121への球供給が鈍り、これ以上に供給側遮蔽部126aの下端と誘導樋71の球流下面との間隔が狭まると、誘導樋71から供給ガイド部材121への球供給が止まることとなる。この球供給可能な臨界値で止めるか、臨界値を越えて球供給を止めるかは、滞留状態検知部材125における排出側押圧受部125aの上方回動可能位置を規制することで、容易に制御できる。
【0158】
上述した、第1構成例の搬送量調整手段では、遮蔽部材126によって供給ガイド部材121への球供給量を制限した後も、モータ123は駆動を続けるので、球移送回転体20は回転し続けることとなり、排出ガイド部材122上に生じた遊技球の滞留が解消されないと、球移送回転体20が空回りを続けて騒音が発生することとなる。そこで、図24に示す第2構成例の搬送量調整手段においては、モータ停止条件検知手段として押圧式スイッチ129を設け、この押圧式スイッチ129がオンになると、図示を省略した搬送制御装置がモータ123を停止させるものとした。
【0159】
押圧式スイッチ129は、滞留状態検知部材125の排出側押圧受部125aが上方へ移動する範囲内の適所(本実施形態では、収納ケース120の側壁)に設けるもので、下向き斜めに突出した検知片129aが排出側押圧受部125aの上面に押圧されて上方へ回動してオン(検知状態)になる。すなわち、排出側押圧受部125aが予め定めた搬送停止位置に達するタイミングでオンになるように押圧式スイッチ129の取付位置を定めることにより、押圧式スイッチ129の検知信号をモータ停止条件として用いることができる。
【0160】
よって、排出ガイド部材122上に遊技球が滞留して排出側押圧受部125aが搬送停止位置まで上昇し、押圧式スイッチ129がオンとなったとき、これを受けた搬送制御装置がモータ123を停止させることで球移送回転体20を停止させ、排出側押圧受部125aが搬送停止位置よりも下方へ復帰して、押圧式スイッチ129がオフ(非検知状態)となると、搬送制御装置が、再びモータ123を作動させることで球移送回転体20を回転させることができる。これにより、遊技球が詰まったまま球移送回転体20の回転が続いて騒音が発生することを抑制できる。
【0161】
なお、モータ123への給電回路中に設けた常閉接点の停止スイッチを、上述した押圧式スイッチ129に代えて設けるものとすれば、滞留状態検知部材125の排出側押圧受部125aが上方へ移動して停止スイッチをオン(接点を開)にすることで、即座にモータ123への給電が断たれて球移送回転体20が停止するので、押圧式スイッチ129からの検知信号に基づいて搬送制御装置がモータ123の停止制御を行うのと同様の機能を簡易な構造で実現できる。
【0162】
次に、遊技島の下部タンク9からの遊技球を搬送する、遊技球搬送装置12Cについて、図25と図26を参照して説明する。なお、遊技球搬送装置12Cは、前述した遊技球搬送装置12A、遊技球搬送装置12Bと同一構造で、遊技球を移送する機能は同じとしてある。しかしながら、遊技球搬送装置12Cにおいては、その用途に適するように、例えば、磁石の磁力や種類を変えたり、磁石の数や間隔を変えたり、磁石の幅(球移送回転体の回転方向の幅)を変えたりしても良い。
【0163】
上部タンク4′に設けられたオーバーフロー管51の下端51b′には、オーバーフロー樋51dを接続し、オーバーフロー樋51dの下流端部にオーバーフローホース51c′が接続され、補給樋10′を溢れた遊技球は、オーバーフローホース51c′を経由して、下部タンク9内に流下する。オーバーフロー樋51dは、補給樋10′の下方に設けられる。なお、本実施の形態では、説明の簡略化のため、補給樋10′を通常の自然勾配による傾斜樋としているが、それに代えて、前述した遊技球供給装置1としても良い。
【0164】
上記のように、オーバーフローホース51c′から導かれて、下部タンク9に貯留された遊技球は、下部タンク9の傾斜状底面を下流へ流下して行き、その最下流部に配置された遊技球搬送装置12cにより、合流部14へ搬送される。この合流部14にて、回収樋60′からの遊技球と、下部タンク9からの遊技球を合流させ、受入樋8′を経由して、揚送装置3に供給され、遊技島内で循環する。このように、本実施の形態では、遊技球搬送装置12cは、下部タンク9の下流端よりも高い位置にある合流部14へ遊技球を移送するために用いている。つまり、下部タンク9からの遊技球を、搬送(揚送)して、揚送装置3に供給するために用いている。
【0165】
以上本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態は全て例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものではなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0166】
100 遊技島
101 遊技球循環機構
1 遊技球供給装置
2 遊技球回収装置
3 揚送装置
4 上部タンク
6 球貯留タンク
7 バランスタンク
10 第1補給樋
11 第2補給樋
12(12A,12B,12C) 遊技球搬送装置
121 供給ガイド部材
122 排出ガイド部材
125 滞留状態検知部材
125a 排出側押圧受部
125b 遮蔽押圧部
126 遮蔽部材
126a 供給側遮蔽部
126b 遮蔽受圧部
127 コイルバネ
123 モータ
20 球移送回転体
20a 外周面
20b モータ収容空部
21 ベースドラム
30 磁界発生ユニット
31 硬磁性体
32 シールド部材
33 磁束誘導部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機が配列された遊技島に設けられ、該遊技島の長手方向に沿って遊技球を搬送する遊技球搬送装置において、
前記遊技島の長手方向に傾斜して配設され、遊技球が転動可能な第1傾斜流路と、
前記遊技島の長手方向に傾斜して前記第1傾斜流路の下流に直列に配設され、その上流端部が前記第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられる第2傾斜流路と、
前記第1傾斜流路の下流端部から供給される遊技球を、前記第2傾斜流路の上流端部に搬送する球移送回転体と、
前記第2傾斜流路における遊技球の滞留状態に応じて、前記第1傾斜流路への遊技球の流入を制限することで遊技球の搬送量を調整する搬送量調整手段と、
を備え、
前記球移送回転体は、円筒状の外周面が前記第1傾斜流路の下流端部に臨み、且つ前記第1傾斜流路上の遊技球を前記外周面に吸着させるための磁界発生手段を備え、
前記球移送回転体を前記遊技島の短手方向に設定された中心軸回りに回転させる駆動手段により、外周面に吸着された遊技球を移送するための駆動力を発生し、
前記搬送量調整手段は、
前記第2傾斜流路に上方から臨み、当該第2傾斜流路上に滞留した遊技球によって上方へ押圧される排出側押圧受部と、
前記排出側押圧受部の上方移動と連動して、上方から前記第1傾斜流路へ下降して行く供給側遮蔽部と、
を備えることを特徴とする遊技球搬送装置。
【請求項2】
前記搬送量調整手段は、
前記球移送回転体の回転軸と平行な支軸により球移送回転体の上側にて揺動し、支軸よりも第2傾斜流路側に前記排出側押圧受部を、支軸よりも第1傾斜流路側に遮蔽押圧部を各々設けた滞留状態検知部材と、
前記滞留状態検知部材の遮蔽押圧部からの押圧力を受ける遮蔽受圧部と、前記第1傾斜流路に臨む前記供給側遮蔽部を備え、上下方向に移動可能な遮蔽部材と、
前記遮蔽部材の供給側遮蔽部と第1傾斜流路との間に少なくとも遊技球の直径よりも大きな間隔が生ずるように、常時は遮蔽部材を上方へ引き上げるように付勢し、前記滞留状態検知部材の遮蔽押圧部からの押圧力によって遮蔽部材に下向きの力が作用すると、遮蔽部材が下方へ移動することを許容する付勢部材と、
で構成したことを特徴とする請求項1に記載の遊技球搬送装置。
【請求項3】
前記排出側押圧受部は、第2傾斜流路の幅方向全域に渡って形成し、
前記排出側押圧受部と第2傾斜流路との間に遊技球の直径よりも大きな間隔が保持されるように、排出側押圧受部の最下降位置を制限する制限部材を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技球搬送装置。
【請求項4】
前記排出側押圧受部が上方へ押圧されて予め定めた搬送停止位置に達するとことにより、検知片が押圧されて検知状態となる停止条件検知手段を備え、
前記停止条件検知手段が検知状態となると、前記駆動手段を停止させることで前記球移送回転体を停止させ、
前記排出側押圧受部が搬送停止位置よりも下方へ復帰して、前記停止条件検知手段が非検知状態となると、再び前記駆動手段を作動させることで前記球移送回転体を回転させるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の遊技球搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−157616(P2012−157616A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20641(P2011−20641)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(507157919)株式会社エビスワーク (34)
【出願人】(397054716)光ナノテック株式会社 (17)
【出願人】(390025601)株式会社西陣 (107)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】