説明

遊技球搬送装置

【課題】球搬送回転体による遊技球の搬送効率を高めることができる遊技球搬送装置を提供する。
【解決手段】遊技球が転動可能な供給ガイド部材121と、上流側端縁122aが供給ガイド部材121の下流側端縁121aよりも高い位置に設けられる排出ガイド部材122とに、外周面20aを近接させて回転可能に配置した球搬送回転体20は、その周方向に複数の磁界発生ユニット30Aが配置され、各磁界発生ユニット30Aは、高透磁率の板状ヨーク32の外向き面(被吸着面)をネオジム磁石31の第2着磁面に吸着させてなり遊技球搬送装置12の側壁の内面に遊技球が摺接しないように、球搬送回転体20の周面両側方に遊技球の吸着が規制される吸着規制領域を設定し、両吸着規制領域の間に設定される吸着許容領域内にネオジム磁石31が位置するように全ての磁界発生ユニット30Aを配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技島に設けられ、遊技機で使用される遊技球を搬送する遊技球搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、遊技場には複数の遊技機を配列して設けるための遊技島が、間隔をあけて複数設けられている。この遊技島の上部には、各遊技機に遊技球を供給するために補給樋が設けられるとともに、遊技島の下部には、各遊技機から排出される遊技球が揚送装置へ向けて移動する回収樋が設けられ、回収樋からの遊技球を補給樋へ供給するために揚送する揚送装置を設けることによって、遊技球を遊技島内で循環させる遊技球循環設備が構成されている。また、遊技島に、遊技球を貯留する下部タンクが設けられる場合、この下部タンクに貯留された遊技球を揚送装置へ向けて供給する小型揚送装置が設けられるときがある。
【0003】
このような遊技島内の補給樋や回収樋や下部タンクに、遊技球を搬送する方向に下り傾斜する複数の搬送樋を直列に並べて配設し、各搬送樋の間には上流側の搬送樋の下流端部から受け入れた遊技球を下流側の傾斜樋の上流端部まで搬送する遊技球搬送装置(球搬送ユニット)を設けて、遊技球を搬送するものがある。斯かる遊技球搬送装置は、複数の搬送樋の間に遊技球搬送装置を設けて直列に連結し、上流側の傾斜樋から受け入れた遊技球を上方に位置する下流側の傾斜樋へ搬送することで、補給樋や回収樋に設けた場合には、鉛直方向の高さを抑制しつつ、遊技球を搬送できるようになっている。また、補給樋の始端部の高さが同じ場合や、揚送装置の遊技球の取込口の高さが同じ場合、より遠くまで、より遠くから、遊技球を搬送できるようになっている。
【0004】
遊技球搬送装置として、本件出願人により成された特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、永久磁石による磁界によって回転体の外周面に遊技球を吸着させ、回転体の回転に伴って遊技球を上方へ搬送する遊技球搬送装置が記載されている。球噛等で負荷がかかった場合には、回転体の外周面に吸着して上方へ搬送されていた遊技球が、落下するだけであり、遊技球を挟持するなどして搬送する場合に比較して、安定して遊技球を上方へ搬送することができる。特に、回転体の周面に等間隔で配置する永久磁石(硬磁性体)を軟磁性体の磁石ガイドに収容し、周方向に隣り合った硬磁性体のN極とS極が回転体の周方向にて対向するように配置することで、回転体の外周面全域に磁束を生じさせ、ベースドラムの外周面に多くの遊技球を吸着できるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−012139号公報
【特許文献2】特開2010−119775号公報
【特許文献3】特開2010−119773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3に記載の遊技球搬送装置においては、回転体の両側方に位置する各側壁の内面に遊技球が吸着することを考慮しておらず、回転体の幅方向(回転軸方向)の端にまで遊技球が吸着されることもあり、遊技球搬送装置の側壁が鉄製のため、磁性体に吸着した遊技球が側壁にも吸着し、そのままベースドラムの回転に追随してゆくと、遊技球が遊技球搬送装置の側壁内面に摺接してこすれ、モータにかかる負荷が増し、側壁の金属が削られ鉄粉となり、遊技球の損耗を早めてしまうという問題があった。
【0007】
また、当初、安価なフェライト磁石を用いていたが、必要な搬送能力を得られなかったため、搬送能力をアップするためにネオジム磁石を用いることにしたが、ネオジム磁石は所謂レアメタルであり一般的なフェライト磁石に比べて高価であり、遊技球搬送装置のコストが高くなるという問題があった。しかし、ネオジム磁石は磁束密度がフェライト磁石の数倍あるため、必要とする搬送能力によってはサイズを小型化することが可能であり、小型化することによりコストを抑えることが可能となる。
【0008】
ネオジム磁石を小型化した場合には、遊技球の搬送効率を低下させず、しかも回転体に吸着された遊技球が側壁内面に摺接しないような配置構造を考慮しなければならない。
【0009】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、球搬送回転体による遊技球の搬送効率を高めることができる遊技球搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、複数の遊技機が配列された遊技島に設けられて遊技球を搬送する遊技球搬送装置において、前記遊技島の長手方向に傾斜して配設された第1傾斜流路と、前記遊技島の長手方向に傾斜して前記第1傾斜流路の下流側に配設され、上流端部が前記第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられる第2傾斜流路と、前記第1傾斜流路の下流端部と前記第2傾斜流路の上流端部との間に配設され、前記第1傾斜流路から前記第2傾斜流路へ遊技球を搬送する球搬送回転体と、を備え、前記球搬送回転体は、回転軸を中心に回転するとともに円筒状の外周面が前記第1傾斜流路の下流端部に臨み、且つ前記第1傾斜流路の下流端部の遊技球を前記外周面に吸着させるための磁界発生手段を備え、前記磁界発生手段は、高透磁率の軟磁性材料からなるヨークを回転軸側に配置し、該ヨークの反回転軸側に硬磁性体を重合するように配置してなる複数の磁界発生ユニットを前記球搬送回転体の周方向へ配置し、前記球搬送回転体の周面両側方には、当該球搬送回転体の両側方に位置する各側壁の内面に遊技球が摺接しないように、磁界発生手段による遊技球の吸着が規制される吸着規制領域を設定し、両吸着規制領域の間に設定される吸着許容領域内に前記硬磁性体が位置するように全ての磁界発生ユニットを配置したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の遊技球搬送装置において、前記下流端部の両側方部には、前記球搬送回転体の吸着規制領域に対応する球搬送困難領域が設けられ、前記硬磁性体は、前記吸着許容領域における回転軸方向の幅に満たない長さのネオジム磁石により構成され、前記磁界発生手段を構成する複数の磁界発生ユニットには、前記球搬送回転体の吸着許容領域の一方端にネオジム磁石が位置し、一方の球搬送困難領域で待機する遊技球を吸着許容領域に引き寄せて吸着可能な第1磁界発生ユニットと、前記球搬送回転体の吸着許容領域の他方端にネオジム磁石が位置し、他方の球搬送困難領域で待機する遊技球を吸着許容領域に引き寄せて吸着可能な第2磁界発生ユニットと、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、前記請求項2に記載の遊技球搬送装置において、前記第1磁界発生ユニットと前記第2磁界発生ユニットは、前記ヨークに対する前記ネオジム磁石の位置を、前記球搬送回転体の回転軸方向にずらすことにより、吸着許容領域の一方端と他方端にネオジム磁石を位置させたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、前記請求項2又は請求項3に記載の遊技球搬送装置において、前記球搬送回転体が1周する間に前記下流端部を通過するネオジム磁石の磁束の総和である通過磁束量の分布が、下流端部の中央において最も高くなるように、磁界発生手段を構成する複数のネオジム磁石が前記球搬送回転体の周方向及び幅方向に適宜間隔で位置するように前記磁界発生ユニットを配置したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、前記請求項2〜請求項4に記載の遊技球搬送装置において、前記複数の磁界発生ユニットには、ネオジム磁石が両吸着規制領域に接しない複数の第3磁界発生ユニットを含み、前記第1磁界発生ユニットと前記第2磁界発生ユニットとは、前記回転軸を挟んで前記球搬送回転体の反対側に配置されるとともに、前記複数の第3磁界発生ユニットは、前記第1磁界発生ユニットと前記第2磁界発生ユニットとの間に前記球搬送回転体の周方向に適宜間隔で配置され、前記複数の第3磁界発生ユニットのネオジム磁石が、前記吸着規制領域の一方側と他方側との間で前記球搬送回転体の回転軸方向に順次ずれて位置するように、前記第3磁界発生ユニットを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、球搬送回転体の外周面に吸着された遊技球が側壁内面に摺接してこすれ、駆動源にかかる負荷が増大したり、側壁の金属が削られ鉄粉となり、遊技球の損耗を早めてしまうような不具合を未然に防止できる。
【0016】
また、請求項2、3に係る発明によれば、球搬送回転体が1周する間に第1傾斜流路の下流端部の両側方部に位置する球搬送困難領域で待機する遊技球を第1磁界発生ユニットと第2磁界発生ユニットとが引き寄せて吸着することとなるので、球搬送回転体に吸着されないまま球搬送困難領域に滞留し続ける遊技球が生じることを効果的に防ぐことが可能となる。
【0017】
また、請求項4に係る発明によれば、強力なネオジム磁石による遊技球の吸着効率を球搬送回転体の外周面中央において高めることができる。
【0018】
また、請求項5に係る発明によれば、第1傾斜流路の下流端部に待機する遊技球を効率よく球搬送回転体の外周面に吸着することができ、遊技球の搬送効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置が設けられる遊技島の内部構造を示す側面図である。
【図2】図1における揚送装置周辺の拡大図である。
【図3】図2における平面図である。
【図4】(a)は、第1補給樋の斜視図であり、(b)は、第2補給樋の斜視図である。
【図5】(a)は、最上流に配設される第1補給樋の分岐部周辺の斜視図であり、(b)は、図5(a)における平面図である。
【図6】(a)は、下流側に配設される第1補給樋の分岐部周辺の斜視図であり、(b)は、図6(a)における平面図である。
【図7】上部タンク及びバランスタンクの内部構造を示す側面図である。
【図8】上部タンクの内部構造を透過して示した斜視図である。
【図9】側面パネルを外して内部構造を示した遊技球搬送装置の側面図である。
【図10】球搬送回転体およびモータの斜視図である。
【図11】球搬送回転体の斜視図と外周面の展開図である。
【図12】(a)は、磁界発生ユニットの斜視図である。(b)は、図12(a)のB−B線の矢視断面図である。
【図13】第1構成例の磁界発生手段を備えた球搬送回転体の構成説明図である。
【図14】球搬送回転体に対する供給ガイド部材と排出ガイド部材の配置構造を示す斜視図である。
【図15】シールドを施した排出ガイド部材において球搬送回転体から遊技球が離脱する過程を示す説明図である。
【図16】図15における排出ガイド部材とシールドパネルの先端を楔形とした場合に、球搬送回転体から遊技球が離脱する過程を示す説明図である。
【図17】第2構成例の磁界発生手段を備えた球搬送回転体の構成説明図である。
【図18】第3構成例の磁界発生手段を備えた球搬送回転体の構成説明図である。
【図19】第4構成例の磁界発生手段を備えた球搬送回転体の構成説明図である。
【図20】第5構成例の磁界発生手段を備えた球搬送回転体の構成説明図である。
【図21】第6構成例の磁界発生手段を備えた球搬送回転体の構成説明図である。
【図22】本発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置が下部タンクに設けられる遊技島の内部構造を示す側面図である。
【図23】図22における下部タンク周辺の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置12について説明する。
【0021】
まず、図1から図3を参照して、本発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置12が設けられる遊技島100について説明する。
【0022】
遊技島100は、遊技場に設置され、複数の遊技機(図示省略)や付帯設備が設けられるものである。一般に、遊技場内には複数の遊技島100が、各遊技機の正面に遊技者が着座して遊技を行えるだけの間隔をあけて並列に設けられる。
【0023】
図1に示すように、遊技島100は、両島の場合、長手方向(図1においては紙面左右方向)に二列に配列された複数の遊技機設置開口部を有し、遊技機5aおよび遊技球貸出ユニット5bが列設される(図中、破線で示す)。図1においては遊技島100の表面側の遊技機設置開口部の列のみを図示するが、遊技島100の裏面側にも遊技機設置開口部の列が形成される。この遊技機設置開口部に設置される遊技機5aおよび遊技球貸出ユニット5bは、遊技島100の長手方向に配列されると共に、短手方向(図1においては紙面垂直方向)には、それぞれの背面を合わせた背向状態で配置される。なお、壁島の場合、表面側又は裏面側の一方に遊技機設置開口部の列が形成される。
【0024】
遊技島100には、各遊技機5aで用いられる遊技球が循環する遊技球循環機構101が設けられる。遊技球循環機構101は、遊技機5aの上方に設けられ遊技球を各遊技機5aへと供給する遊技球供給装置1と、遊技機5aの下方に設けられ遊技に用いられた遊技球を回収する遊技球回収装置2とを備える。なお、本実施の形態では、遊技球供給装置1と遊技球回収装置2の両方が、遊技球搬送装置12を備えているが、どちらか一方が、遊技球搬送装置12を備え、他方は、従来からの自然勾配により、遊技球が傾斜面を転動することにより搬送しても良い。
【0025】
なお、本実施の形態では、遊技球貸出ユニット5bの操作に基づいて遊技機5aから貸出用の遊技球(貸球)が排出されるものとしたので、遊技球供給装置1は、遊技機5aにだけ遊技球を供給する構造としたが、単独で遊技球の貸出を行う遊技球貸出装置を用いる場合には、遊技球供給装置1が、各遊技球貸出装置にも遊技球を供給する構造とすれば良い。
【0026】
遊技球供給装置1から遊技機5aへと供給された遊技球は、遊技機5aから貸球や賞球として遊技者に対して払い出される。払い出された遊技球は、遊技に用いられ、遊技機5aの裏面側から排出されて遊技球回収装置2を通り、遊技島100の長手方向端部に設けられた揚送装置3に導かれる。また、遊技島100に設置された球計数機(図示省略)に投入されて、遊技球回収装置2に搬送され、揚送装置3に導かれる。なお、本実施の形態では、揚送装置3を遊技島100の長手方向端部に設けているが、遊技島100の長手方向中央部に設けても良い。
【0027】
なお、遊技者による所定の操作によって遊技球貸出ユニット5bから遊技機5aへ遊技媒体貸出要求信号等が送信されると、これに基づいて遊技機5aは、貸球を払い出す。また、貯球再プレーが可能な場合、遊技機5aは貯球を払出す。なお、遊技球貸出装置から貯球を払出しても良い。また、遊技機5a1台毎に計数器を設けた、所謂、各台計数器付きの場合、遊技機5aは計数した球を再使用する際に持球を払出す。なお、遊技球貸出装置から持球を払出しても良い。
【0028】
一方、遊技球回収装置2は、遊技島100における遊技機5aの下方に設けられ、遊技機5aから排出された遊技球を揚送装置3に導く。
【0029】
図1及び図2に示すように、揚送装置3は、遊技球を磨きながら上方へと揚送する装置である。受入樋8は、遊技球を受け入れ揚送装置3の球取り込み口(図示省略)へ導く。本実施の形態では、この受入樋8は、揚送装置3の隣の遊技機5aの下方まで延設され、遊技球回収装置2から転動してくる遊技球を受け入れる。
【0030】
揚送装置3によって揚送された遊技球は、揚送装置3の上部に設置された上部タンク4へと導かれる。上部タンク4には遊技球供給装置1が連結され、遊技球は再び各遊技機5aへと供給される。このように、遊技島100内の遊技球は、遊技島100内を循環する。上部タンク4の内部構造については、後で詳細に説明する。
【0031】
揚送装置3は、下部に設けられるモータ3aによって駆動される。モータ3aの上方には、揚送装置3の周囲をコの字状に取り囲むように球貯留タンク6(図3参照)が配設される。球貯留タンク6は、遊技島100で使用される大量の遊技球を貯留可能な遊技島100内で最大容量のタンクである。球貯留タンク6の底部には、貯留された遊技球を受入樋8へ流下させて揚送装置3に供給するための開閉可能なシャッター6a(図2参照)が形成される。
【0032】
球貯留タンク6には、揚送装置3を隠ぺいするための開閉可能な一対の扉6b(図3参照)が設けられる。揚送装置3の点検やメンテナンスは、この扉6bを開状態にして行われる。
【0033】
次に、主に図1を参照して、遊技球供給装置1について詳しく説明する。
【0034】
遊技球供給装置1は、上流端部10a(図4(a)参照)が上部タンク4に連通され遊技島100の長手方向に傾斜して配設された二本の第1補給樋10と、遊技島100の長手方向に、かつ第1補給樋10と同一方向に向かって傾斜し、下流側の第1補給樋10の下流に配設された第2補給樋11と、二本の第1補給樋10の間、及び第1補給樋10の下流端部と第2補給樋11の上流端部との間に配設され、上流側の樋(第1補給樋10)の下流端部10bから供給された遊技球を下流側の樋の上流端部(第1補給樋10では、上流端部10a。第2補給樋11では、上流端部11a。)へと搬送する遊技球搬送装置12Aとを備える。遊技球搬送装置12Aは、遊技球が転動可能な第1傾斜流路から遊技球が供給されるもので、供給ガイド部材121(図9参照)の下流端部が、第1傾斜流路の下流端部に該当する。また、遊技球搬送装置12Aは、第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に上流端部が設けられる第2傾斜流路の上流端部に遊技球を搬送するもので、排出ガイド部材122(図9参照)の上流端部が第2傾斜流路の上流端部に該当する。なお、第1傾斜流路と第2傾斜流路は、各遊技球搬送装置12Aに対して相対的に定まる流路の概念であり、例えば、隣接する2つの遊技球搬送装置12Aが第1補給樋10で接続されていた場合、一方の遊技球搬送装置12Aにとっては、搬送した遊技球を排出する排出ガイド部材122、その下流に連なる第1補給樋10、更にその下流に連なる供給ガイド部材121が全て第2傾斜流路であり、他方の遊技球搬送装置12Aにとっては、搬送する遊技球が供給される供給ガイド部材122、その上流に連なる第1補給樋10、更にその上流に連なる排出ガイド部材122が全て第1傾斜流路である。また、第1補給樋10等の流路途中に合流部があれば、その上流は第1傾斜流路に含まれるし、逆に流路途中に分岐部があれば、その下流は第2傾斜流路に含まれる。
【0035】
遊技球供給装置1では、二本の第1補給樋10と一本の第2補給樋11とを配設しているが、三本以上の第1補給樋10を配設することで全長を長くし、より多くの遊技機5aに遊技球を供給することが可能である。また、一本の第1補給樋10と一本の第2補給樋11とを配設して、全長を短くしても良い。
【0036】
第1補給樋10及び第2補給樋11は、遊技球が自重によって転動可能な傾斜角度(例えば、4分)に設定され、遊技島100の上部に固定される。第1補給樋10及び第2補給樋11は、上面が開口した樋状に形成されるが、必ずしも上面が開口している必要はなく、開口部に蓋を設けたり、内部を遊技球が転動するような閉じられた形状であってもよい。
【0037】
遊技球搬送装置12Aは、遊技島100の上部に配設され、下流側の樋の上流端部が上流側の樋の下流端部よりも高い位置となるように、二本の樋を連設する。遊技球搬送装置12Aの構造は、後で詳細に説明する。
【0038】
以下、主に図4(a)を参照して、第1補給樋10について詳しく説明する。
【0039】
第1補給樋10は、その上流端部10aに形成され上流から導かれた遊技球が転動可能な共通樋(分岐前流路)73と、共通樋73の下流の分岐部70から分岐し、当該第1補給樋10の下流に配設された遊技球搬送装置12Aに遊技球を誘導するための誘導樋(誘導流路)71と、分岐部70から下方に分岐し、その下方(近傍)に配設された遊技機5aに遊技球を供給するための供給樋(供給流路)72とを備える。なお、分岐部70は、共通樋73から誘導樋71と供給樋72とに上下に分岐させているが、上下でなく左右に分岐させてもよい。また、誘導樋71を、分岐部70から下方に分岐させ、供給樋72を上方とし、誘導樋71を下方にしても良い。
【0040】
共通樋73は、上流から流れてくる遊技球が供給される樋である。最上流に配設された第1補給樋10においては、共通樋73には上部タンク4から遊技球が供給され、下流側に配設された第1補給樋10においては、上流側の遊技球搬送装置12Aから遊技球が供給される。
【0041】
分岐部70は、共通樋73の下流に形成され、共通樋73を転動してきた遊技球を、誘導樋71と供給樋72とに振り分ける。分岐部70は、供給樋72に向けて開口する開口部70aを有する。つまり、共通樋73を転動する遊技球の一部は、開口部70aを介して供給樋72に流下する。なお、開口部70aは複数設けてもよい。分岐部70の具体的な構造については、後で詳細に説明する。
【0042】
誘導樋71は、共通樋73の下流端部から分岐し、共通樋73と連続するように形成される樋である。誘導樋71の下流端部10bは、遊技球搬送装置12Aに連通される(図1参照)。
【0043】
供給樋72は、共通樋73から下方に分岐して誘導樋71と略平行に形成される。供給樋72には、共通樋73上を転動してきた遊技球の一部が流下して供給される。供給樋72の上流端部には、開口部70aに連通し、開口部70aに流入した遊技球を供給樋72へと導く筒状のダクト70bが形成される。ダクト70bが設けられることによって、共通樋73から開口部70aを介して流下する遊技球が供給樋72の外部へ落下することが防止される。供給樋72の下流端部72bは、閉塞して形成されており、遊技球が供給樋72上に溜まるようになっている。
【0044】
第1補給樋10の供給樋72には、転動する遊技球を各遊技機5aへと導く複数の補給シュート13が長手方向に沿って配設される。
【0045】
補給シュート13は、第1補給樋10の両側のそれぞれに配設される。図1において手前側の補給シュート13は、遊技島100手前側に設置された遊技機5aに対して遊技球を導き、奥側の補給シュート13は、遊技島100奥側に設置された遊技機5aに対して遊技球を導く。
【0046】
以下、図5及び図6を参照して、分岐部70の構造について詳しく説明する。
【0047】
本実施の形態では、分岐部70の開口部70aは、全ての第1補給樋10と第2補給樋11とに均等な数だけ遊技球を振り分けるように転動面の幅に対する開口幅の割合が調整されている。具体的には、最上流に配設された第1補給樋10の分岐部70における開口部70aは、当該第1補給樋10と下流側の第1補給樋10と第2補給樋11との三本の樋のうち一本分である1/3の遊技球を供給樋72へと流下させるように、転動面の幅の1/3に形成される。つまり、第1補給樋10と第2補給樋11とがn本直列に設けられている場合、最上流に配設された第1補給樋10の開口部70aは、転動面の幅の1/nに形成される。
【0048】
開口部70aからは、共通樋73を転動してきた遊技球の1/3が流下して供給樋72に導かれ、供給樋72に流下しなかった残りの2/3の遊技球は、そのまま誘導樋71へと導かれ、下流側に配設された遊技球搬送装置12Aに供給される。
【0049】
同様に、下流側に配設された第1補給樋10の分岐部70における開口部70aは、当該第1補給樋10と下流側の第2補給樋11との二本の樋のうち一本分である1/2の遊技球を供給樋72へと流下させるように、転動面の幅の1/2に形成される。つまり、当該第1補給樋10を含めて下流にm本の樋が直列に設けられている場合、当該第1補給樋10の開口部70aは、転動面の幅の1/mに形成される。
【0050】
開口部70aからは、共通樋73を転動してきた遊技球の1/2が流下して供給樋72に導かれ、供給樋72に流下しなかった残りの1/2の遊技球は、そのまま誘導樋71へと導かれ、下流側に配設された遊技球搬送装置12Aに供給される。
【0051】
開口部70aは、開口面積を調整可能に形成される。これにより、直列に配設される樋の本数が変更されたときにも容易に調整することができる。開口面積を調整する構造としては、例えば、シャッターのような開閉可能な部材を配設する構造や、取り外し可能な板材で開口の一部を閉塞する構造などがある。
【0052】
なお、開口部70aを、第1補給樋10の幅と略等しくし、共通樋73を転動してきた遊技球が、供給樋72に導かれ、供給樋72が遊技球で充満した場合に、開口部70aが遊技球で塞がれることにより、誘導樋71へと導かれるようにしても良い。また、誘導樋71を、分岐部70から下方に分岐させ、供給樋72を上方とし、誘導樋71を下方にした場合に、誘導樋71が遊技球で充満した場合に、開口部70aが遊技球で塞がれることにより、供給樋72へと導かれるようにしても良い。
【0053】
以下、主に図4(b)を参照して、第2補給樋11について詳しく説明する。
【0054】
第2補給樋11は、第1補給樋10には分岐部70が形成されるのに対して、分岐部70が形成されない一本の樋である。第2補給樋11の下流端部11bは閉塞して形成されており、遊技球が第2補給樋11上に留まるようになっている。第2補給樋11には、転動する遊技球を各遊技機5aへと導く複数の補給シュート13が長手方向に沿って配設される。なお、遊技球供給装置1の、第1補給樋10の一部又は全てを第2補給樋11とし、最下流の第2補給樋の下流端部11bのみ閉塞し、それ以外の第2補給樋の下流端部11bは閉塞せず、遊技球搬送装置12Aに連通するようにしてもよい。
【0055】
補給シュート13は、第2補給樋11の両側のそれぞれに配設される。図1において手前側の補給シュート13は、遊技島100手前側に設置された遊技機5aに対して遊技球を導き、奥側の補給シュート13は、遊技島100奥側に設置された遊技機5aに対して遊技球を導く。
【0056】
以下、図1を参照して、上部タンク4から遊技球供給装置1に供給される遊技球の流れについて説明する。
【0057】
上部タンク4から最上流の第1補給樋10に供給された遊技球は、その全量が当該第1補給樋10の共通樋73上を転動する。共通樋73から分岐部70に差し掛かると、共通樋73上を転動してきた遊技球の1/3が、開口部70aからダクト70bを介して供給樋72へと流下する。
【0058】
供給樋72に流下した遊技球は、当該供給樋72に設けられた複数の補給シュート13を介して、供給樋72の下方(近傍)に配設された遊技機5aにそれぞれ供給される。
【0059】
一方、開口部70aから流下しなかった2/3の遊技球は、誘導樋71上を転動し、下流側の遊技球搬送装置12Aに導かれ、下流側の第1補給樋10に供給される。つまり、2/3の遊技球は、誘導樋71を通ることによって最上流の第1補給樋10の供給樋72を経由せずに(バイパスして)下流側の第1補給樋10に導かれる。
【0060】
下流側の第1補給樋10に供給された2/3の遊技球は、その全量が当該第1補給樋10の共通樋73上を転動する。共通樋73から分岐部70に差し掛かると、共通樋73上を転動してきた遊技球の1/2が、開口部70aからダクト70bを介して供給樋72へと流下する。つまり、上部タンク4から供給された遊技球のうち、最上流の供給樋72をバイパスしてきた2/3のうち1/2、即ち1/3の遊技球が下流側の第1補給樋10の供給樋72に導かれる。
【0061】
供給樋72に流下した遊技球は、当該供給樋72に設けられた複数の補給シュート13を介して、供給樋72の下方(近傍)に配設された遊技機5aにそれぞれ供給される。
【0062】
一方、開口部70aから流下しなかった2/3のうち1/2、即ち上部タンク4から供給された遊技球の1/3は、誘導樋71を転動し、下流側の遊技球搬送装置12Aに導かれ、下流側の第2補給樋11に供給される。つまり、1/3の遊技球は、誘導樋71を通ることによって下流側の第1補給樋10の供給樋72を経由せずに(バイパスして)下流側の第2補給樋11に導かれる。
【0063】
第2補給樋11に供給された遊技球は、当該第2補給樋11に設けられた複数の補給シュート13を介して、第2補給樋11の下方(近傍)に配設された遊技機5aにそれぞれ供給される。
【0064】
以上のように、最上流の第1補給樋10の供給樋72と、下流側の第1補給樋10の供給樋72と、第2補給樋11とに、上部タンク4から供給された遊技球のうち1/3ずつが導かれ、それぞれの下方(近傍)に配設された遊技機5aに供給される。下流側の第1補給樋10の下方(近傍)の遊技機5aに供給される遊技球は、最上流の第1補給樋10の誘導樋71を通ることによって、最上流の第1補給樋10の供給樋72を経由せずに供給される。また、第2補給樋11の下方の遊技機5aに供給される遊技球は、二本の第1補給樋10の誘導樋71を通ることによって、最上流の第1補給樋10の供給樋72及び下流側の第1補給樋10の供給樋72を経由せずにバイパスして供給される。
【0065】
よって、上流側の供給樋72から遊技球が供給される遊技機5aに大当たりが集中して多量の遊技球が供給されるような場合であっても、下流側の遊技機5aには、上流側の誘導樋71及び、下流側の供給樋72又は第2補給樋11から遊技球が供給されるため、誘導樋71の貯留機能により、上流側の遊技機5aへの遊技球の供給量に関わらず、下流側の遊技機5aに必要充分な遊技球を供給し易くなる。また、分岐部70により、上流側の遊技機5aへの遊技球の供給量に関わらず、上流側の誘導樋71に遊技球が振り分けられるため、下流側の供給樋72又は第2補給樋11に必要充分な遊技球を供給し易くなる。したがって、各遊技機5aに安定して遊技球を供給し易くなる。
【0066】
なお、遊技島内に設けられる搬送制御装置(図示省略)によって、各遊技機5aにおける遊技球の払出状態(例えば、遊技機5aでの賞球払出や貸球払出等の状況)に応じて各分岐部70の開口部70aの開口面積を自動的に可変調節するような制御をしてもよい。
【0067】
次に、主に図1を参照して、遊技球回収装置2について詳しく説明する。
【0068】
遊技球回収装置2は、遊技島の長手方向に傾斜して配設された二本の第1回収樋60と、下流端部61fが揚送装置3に連通され、遊技島100の長手方向に傾斜し、下流側の第1回収樋60の下流に配設される第2回収樋61と、二本の第1回収樋60の間、及び第1回収樋60の下流端部と第2回収樋61の上流端部との間に配設され、上流側の樋から供給された遊技球を下流側の樋へと搬送する遊技球搬送装置12Bとを備える。遊技球搬送装置12Bは、遊技球が転動可能な第1傾斜流路から遊技球が供給されるもので、後述する供給ガイド部材121(図9参照)の下流端部が、第1傾斜流路の下流端部に該当する。また、遊技球搬送装置12Bは、第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に上流端部が設けられる第2傾斜流路の上流端部に遊技球を搬送するもので、排出ガイド部材122の上流端部が第2傾斜流路の上流端部に該当する。なお、前述したと同様に、第1傾斜流路と第2傾斜流路は、各遊技球搬送装置12Bに対して相対的に定まる流路の概念であり、例えば、隣接する2つの遊技球搬送装置12Bが第1回収樋60で接続されていた場合、一方の遊技球搬送装置12Bにとっては、搬送した遊技球を排出する排出ガイド部材122、その下流に連なる第1回収樋60、更にその下流に連なる供給ガイド部材121が全て第2傾斜流路であり、他方の遊技球搬送装置12Bにとっては、搬送する遊技球が供給される供給ガイド部材122、その上流に連なる第1回収樋60、更にその上流に連なる排出ガイド部材122が全て第1傾斜流路である。また、第1回収樋60等の流路途中に合流部があれば、その上流は第1傾斜流路に含まれるし、逆に流路途中に分岐部があれば、その下流は第2傾斜流路に含まれる。
【0069】
遊技球回収装置2では、二本の第1回収樋60と一本の第2回収樋61とを配設しているが、三本以上の第1回収樋60を配設することで、遊技球回収装置2の全長を長くし、より多くの遊技機5aから排出される遊技球を回収することが可能である。また、一本の第1回収樋60と一本の第2回収樋61とを配設して、全長を短くしても良い。
【0070】
第1回収樋60及び第2回収樋61は、遊技球が自重によって転動可能な傾斜角度(例えば、4分)に設定され、遊技島100の下部に固定される。第1回収樋60及び第2回収樋61は、上面が開口した樋状に形成される。
【0071】
第2回収樋61の下流端部61fは、受入樋8に段差をもって連結される(図2参照)。よって、第2回収樋61上を転動してきた遊技球は受入樋8に落下し、揚送装置3によって上部タンク4へと揚送されることとなる。なお、受入樋8も各遊技機から排出された遊技球が揚送装置へ向けて移動する回収樋の一種である。
【0072】
第2回収樋61は、長手方向中央付近から下流側に亘って形成され上流側より側壁が高く形成される第1高壁部61dと、第1高壁部61dの下流端から連続するように下流端部61fまで形成され、第1高壁部61dより側壁が更に高く形成される第2高壁部61eとを備える。第2回収樋61上では、上流側より下流側の方が、より多くの遊技球が転動する。第1高壁部61d及び第2高壁部61eは、大量の遊技球が重なり合って流れたときに、第2回収樋61から遊技球が溢れることを防止するために形成される。
【0073】
また、遊技球回収装置2には、揚送装置3の隣の遊技機5aから排出された遊技球を受け、第2高壁部61eを流れる遊技球に合流させるように導く逆傾斜樋62が設けられる。逆傾斜樋62は、第2回収樋61とは反対方向に傾斜し、下流端部が第2高壁部61eの上方に位置するように設けられる。これにより、揚送装置3の隣の遊技機5aから流下する遊技球を第2回収樋61上を転動する遊技球に合流させることができる。受入樋8には、異物を除去するためのスノコ(図示省略)が設けられており、揚送装置3の隣の遊技機5aから流下する遊技球を、スノコの上流に流下させることができる。また、球貯留タンク6に貯留された遊技球も、逆傾斜樋62経由して、受入樋8へ流下させ、揚送装置3に供給される。さらに、逆傾斜樋62から流下する遊技球は、第2回収樋61上を転動する遊技球と衝突し、撥ね上がるおそれがある。しかし、第2高壁部61eの高さは遊技球が撥ね上がる高さ以上になるように形成されているため、衝突して撥ね上がった遊技球が第2回収樋61から外に飛び出ることを防止できる。
【0074】
遊技球搬送装置12Bは、遊技島100の下部に配設され、下流側の樋の上流端部が上流側の樋の下流端部よりも高い位置となるように、二本の樋を連結する。この遊技球回収装置2に用いる遊技球搬送装置12Bの構造は、前述した遊技球供給装置1に用いる遊技球搬送装置12Aと同一構造で、遊技球を搬送する機能は同じとしてある。なお、特に用途を問題としない場合、単に遊技球搬送装置12と呼ぶ。なお、遊技球搬送装置12Aと遊技球搬送装置12Bとで、例えば、磁石の磁力や種類を変えたり、磁石の数や間隔を変えたり、磁石の幅(球搬送回転体の回転方向の幅)を変えたりしても良い。
【0075】
第1回収樋60及び第2回収樋61は、上面が閉じられた形状に形成されてもよい第1補給樋10及び第2補給樋11とは異なり、上方の遊技機5a(アウトタンク)から排出された遊技球を受け入れるため、上面が開口している必要がある。各遊技機5aから排出される遊技球の個数は、各遊技機5aの下方に設けられるアウトタンクの計数部(図示省略)によって計数される。
【0076】
次に、図7及び図8を参照して、上部タンク4について詳しく説明する。
【0077】
上部タンク4は、揚送装置3によって揚送された遊技球が貯留されるタンク本体50と、隣りの遊技島100へと遊技球を受け渡し、遊技球が不足したときに隣りの遊技島100から遊技球を受け入れるバランスタンク7とを備える。なお、隣の遊技島100との間で遊技球を受け渡したり、受け入れたりする必要のない所謂独立島の場合、バランスタンク7を設ける必要はない。
【0078】
上部タンク4は、バランスタンク7から隣の遊技島100に受け渡される遊技球と、遊技球供給装置1の補給シュート13から各遊技機5aに供給される遊技球とを、優先順位をつけて供給するためのタンクである。なお、構造上は、隣の遊技島100に受け渡される遊技球が優先して供給され、次に、遊技球供給装置1に供給されるが、実際には、後述する下リミットスイッチ52bと後述のシャッター(図示省略)を用いて、制御により、遊技球供給装置1に優先して遊技球を供給している。この上部タンク4の構成は、以下の通りである。
【0079】
タンク本体50とバランスタンク7との境界面には、タンク本体50内の遊技球をバランスタンク7に導くための上連通口49aと、この上連通口49aより下方に形成され、バランスタンク7内の遊技球をタンク本体50に導くための下連通口49bとが開口して形成される。
【0080】
バランスタンク7には、上連通口49aと連通し、隣りの遊技島100へと遊技球を受け渡すための球受渡口7aと、下連通口49bと連通し、隣りの遊技島100から遊技球を受け入れるための球受入口7bとが形成される。球受入口7bには、遊技球の受け入れ可否を開閉によって切り換え可能なシャッター(図示省略)が設けられる。
【0081】
球受渡口7a及び球受入口7bには、遊技島100間に傾斜して架けられる球受渡樋(図示省略)が連結され、隣りの遊技島100との間での遊技球の受け渡し及び受け入れは、この球受渡樋を介して行われる。
【0082】
タンク本体50は、縦長直方体の有底箱体である。タンク本体50には、揚送装置3によって揚送された遊技球を受け入れるための球受入口59が開口して形成される。球受入口59の下方には、タンク本体50の内部に固定され遊技球が転動可能な第1棚板50a〜第5棚板50eと、タンク本体50内部が遊技球で充分に満たされたときに余剰な遊技球を球貯留タンク6に導くオーバーフロー管51とが設けられる。
【0083】
第1棚板50aは、傾斜して設けられ、球受入口59から排出される遊技球を受ける。第1棚板50a上を転動する遊技球は、上連通口49aを介して球受渡口7aに優先して導かれ、上連通口49aに流入しなかった遊技球は第2棚板50bに導かれる。球受渡口7aにはタンク本体50から常に遊技球が供給されるため、隣りの遊技島100のバランスタンク7に形成される球受入口7bのシャッター(図示省略)が開いている場合には、タンク本体50の遊技球は、優先的にバランスタンク7へと送られ、隣の遊技島100に受け渡されることとなる。なお、隣の遊技島100のバランスタンク7に形成される球受入口7bのシャッターが閉じられて遊技球を受け入れない状態になっているときには、遊技球は隣の遊技島100に受け渡されない。
【0084】
第2棚板50bは、第1棚板50aと直交するように傾斜して設けられる。第2棚板50b上を転動する遊技球は、第3棚板50cに導かれる。
【0085】
第3棚板50cは、第2棚板50bと直交するように傾斜して設けられ、第1棚板50aと反対方向に傾斜している。第3棚板50cは、その下方に設けられるオーバーフロー管51の上部開口51aの上方を覆って形成される。これにより、第2棚板50bから転動してきた遊技球がオーバーフロー管51に直接流下することが防止される。第3棚板50cの下端は、下方に折り曲げられて形成されており、ここから第4棚板50dに遊技球が流下する。
【0086】
第4棚板50dは、第3棚板50cの下方に位置し、第3棚板50cと反対方向に傾斜して設けられる。第4棚板50dの下端の一部には、オーバーフロー管51が上下に挿通する。第4棚板50d上を転動する遊技球は、第4棚板50dの下端から第5棚板50e上に流下する。
【0087】
第5棚板50eは、第4棚板50dの下方に位置し、第4棚板50dと反対方向に傾斜して設けられる。第5棚板50eの下端の一部には、オーバーフロー管51が上下に挿通される。第5棚板50e上を転動する遊技球は、第5棚板50eの下端から底板55上に流下する。
【0088】
第5棚板50eの内部には、球補給通路53が形成される。この球補給通路53の上流端部は、下連通口49bに臨んでおり、球受入口7bに連通する。一方、球補給通路53の下流端部は、オーバーフロー管51の内部に連通する。つまり、球受入口7bを介して隣の遊技島100から受け入れた遊技球は、タンク本体50内部には導かれず、その全てが球補給通路53からオーバーフロー管51に導かれる。
【0089】
底板55は、第5棚板50eの下方に位置し、第5棚板50eと反対方向に傾斜して設けられる。底板55の下流端には、搬送樋取付口49cが開口して形成される(図8参照)。この搬送樋取付口49cは、第1補給樋10に連通する(図7参照)。よって、底板55上を転動する遊技球は、搬送樋取付口49cから第1補給樋10に供給され、第1補給樋10上が遊技球で満たされると、余剰な遊技球は底板55上に重なり合ってタンク本体50内に貯まってゆく。
【0090】
オーバーフロー管51には、上端に位置し上向きに開口する上部開口51aが形成される。上部開口51aは、第3棚板50cと第4棚板50dとの間に形成される。タンク本体50内の遊技球が上部開口51aより上方まで貯まると、オーバーフロー管51内に遊技球が流下する。オーバーフロー管51の下端51bには、オーバーフローホース51cが接続され、遊技球は、オーバーフローホース51cを経由して、球貯留タンク6内に流下する。
【0091】
以上のように、タンク本体50内の遊技球は、遊技球供給装置1を介して各遊技機5aに供給され、第1補給樋10が遊技球で満たされるとタンク本体50内に遊技球が貯まってゆく。タンク本体50内に遊技球が充分に貯まると、タンク本体50内の余剰な遊技球がオーバーフロー管51から球貯留タンク6へと送られる。
【0092】
また、タンク本体50は、遊技球供給装置1に十分な遊技球があることを検知する下リミットスイッチ52bと、遊技球が所定の高さより高い位置まで貯留されていることを検知する上リミットスイッチ52aとを備える。
【0093】
下リミットスイッチ52bは、第5棚板50eの上方であり、かつ第4棚板50dの下方に配設され、オーバーフロー管51の外周に固定される。タンク本体50内に貯留される遊技球の貯留高さが第5棚板50e程度の高さまで低くなると、遊技球によって押圧されていた下リミットスイッチ52bが押圧解除され、遊技島100内の搬送制御装置(図示省略)に信号を送らなくなる。この信号が無くなったことによって、搬送制御装置は、自遊技島100の遊技球供給装置1に充分な遊技球が無いと判断し、隣の遊技島100の球受入口7bに設けられたシャッターが開かないように制御する。また、球貯留タンク6のシャッター6aを開け、揚送装置3によって上部タンク4に遊技球を揚送する。
【0094】
一方、上リミットスイッチ52aは、第1棚板50aの上方であり、かつ球受入口59の下方の壁面に配設される。通常は、遊技球は、オーバーフロー管51の上部開口51aから球貯留タンク6へと送られるため、上リミットスイッチ52aは押圧されることはないが、例えば、オーバーフロー管51の球詰まりなどの理由によって、タンク本体50内に貯留される遊技球が第1棚板50aより高く積み重なって貯留されたときには、遊技球によって上リミットスイッチ52aが押圧され、信号が搬送制御装置に送られる。この信号によって、搬送制御装置は、揚送装置3のモータ3aを強制的に停止させ、異常を係員に報知する。
【0095】
次に、図9〜図11を参照して、遊技球搬送装置12の詳細構造について説明する。
【0096】
遊技球搬送装置12は、収納ケース120内に、第1補給樋10の下流端部より遊技球を受け入れる第1傾斜流路の下流端部が形成された下降傾斜状の供給ガイド部材121と、回転軸(中心軸)から等距離となる円筒状の外周面が供給ガイド部材121に臨み、遊技球を吸着可能な磁界を生じさせる磁界発生手段を備える球搬送回転体20と、球搬送回転体20の外周面に上流側端縁122aが臨み、搬送されてきた遊技球を第1補給樋10又は第2補給樋11の上流端部に流下させる第2傾斜流路の上流端部が形成された下降傾斜状の排出ガイド部材122と、球搬送回転体20を回転軸(中心軸)回りに回転させる駆動手段たるモータ123を収納したものである。なお、遊技球搬送装置12は、球搬送回転体20により第2傾斜流路の上流端部へ搬送された遊技球の滞留状態に基づき、駆動手段たるモータ123の駆動・停止を制御することで、搬送量を調整する搬送量調整手段を設けても良い。
【0097】
この遊技球搬送装置12においては、先ず、収納ケース120の受入開口部120aを介して、供給ガイド部材121に受け入れられた遊技球は、その傾斜に沿って流下して行き、球搬送回転体20の外周面近傍へ至り、定方向(図9においては、紙面に向って時計回り)へ回転している球搬送回転体20が備える磁界発生手段の生じさせる磁界により、供給ガイド部材121の下流端部に待機する遊技球が搬送回転体20の外周面に吸着され、球搬送回転体20の回転に追随して遊技球が上方へ搬送される。なお、供給ガイド部材121の下流側端縁121aと球搬送回転体20の外周面との間には、遊技球の球径よりも小さな間隙を設けておき、供給ガイド部材121と球搬送回転体20とが摺接することを防止すると共に、供給ガイド部材121から流下してきた遊技球が下流側端縁121aからこぼれ落ちることの無いようにした。
【0098】
上記のようにして、球搬送回転体20によって上方へ搬送された遊技球は、排出ガイド部材122の上流側端縁122aに到達し、球搬送回転体20の外表面から引き離され、球搬送回転体20の磁界発生手段により生じた磁場の影響から解放されると、自重で排出ガイド部材122を流下して行き、収納ケース120の排出開口部120bを介してケース外へ排出される。なお、排出ガイド部材122の上流側端縁122aと球搬送回転体20の外周面20aとの間の隙間は、可能な限り小さくしておくことが望ましい。
【0099】
遊技球を吸着して供給ガイド部材121から排出ガイド部材122へ搬送する球搬送回転体20は、例えば、円環状の第1ドラム21aと第2ドラム21bとを軸方向に接合することで、その内部に磁界発生手段としての磁界発生ユニット30Aをほぼ等間隔で所定数(例えば、14個)収納した状態に保持できるユニット収容室(図示を省略)が形成されたベースドラム21からなる。このベースドラム21は、非磁性の合成樹脂等で構成することで、量産効果を高めることができ、組立も容易な構造を採用できる。斯かるベースドラム21を用いて構成した球搬送回転体20の外周面20aは摩擦の少ない滑らかな曲面である。
【0100】
円環状のベースドラム21の一側方(図9においては、紙面の手前側)に回転支持盤22を取り付け、その中心に設けた軸受部22aにモータ123の回転軸123aを軸着することで、球搬送回転体20が回転可能となる。なお、本構成例の球搬送回転体20においては、円環状であるベースドラム21の内空部を駆動手段収容空部たるモータ収容空部20bとして利用し、このモータ収容空部20bに収容されたモータ123を収納ケース120の側壁内面に固定すれば、モータ123の収容スペースを別途必要としないし、モータ123による球搬送回転体20の直接駆動が可能となり、コンパクトな遊技球搬送装置12を構成できる。
【0101】
上述した球搬送回転体20に設ける磁界発生手段は、ベースドラム21に形成した複数のユニット収納部に各々磁界発生ユニット30Aを収納することによって構成される。例えば、第1構成例の磁界発生手段は、14個の磁界発生ユニット30Aをベースドラム21に定間隔で形成した第1ユニット収納部2301〜第14ユニット収納部2314へ各々収納したものである。図11に示す外周面20aの展開位置を基準に、第1ユニット収納部2301に第1側方吸着用磁界発生ユニット30A01を、第2〜第7ユニット収納部23012〜2307に基本型磁界発生ユニット30A02〜〜30A07を、第8ユニット収納部2308に第2側方吸着用磁界発生ユニット30A08を、第9〜第14ユニット収納部2309〜2314に基本型磁界発生ユニット30A09〜30A14を収納することで、第1側方吸着用磁界発生ユニット30A01と第2側方吸着用磁界発生ユニット30A08が、モータ123の回転軸123aに対して軸対象となる位置に配置したものである。
【0102】
ここで、磁界発生ユニット30Aの構成を図12に基づき説明する。図12(a)は、磁界発生ユニット30Aの斜視図である。磁界発生ユニット30Aは、硬磁性体としての板状のネオジム磁石31と、高透磁率の軟磁性材料を板状に形成した板状ヨーク32とから構成されるもので、板状ヨーク32の相対する一方の面である被吸着面32aをネオジム磁石31の一方の着磁面(例えば、第2着磁面31b)に吸着させてなる。よって、磁界発生ユニット30Aにおいては、ネオジム磁石31の磁界は、板状ヨーク32が吸着されていない第1着磁面31aと板状ヨーク32が吸着されている第2着磁面31bとの間に生じることとなる。このとき、第1着磁面31aと第2着磁面31bの磁極はS極でもN極でも構わない。また、板状ヨーク32の被吸着面32aとネオジム磁石31の第2着磁面31bを共に平滑面としておけば、板状ヨーク32とネオジム磁石31との間に生じる空隙を極力抑制できる。
【0103】
しかして、板状ヨーク32は高透磁率の軟磁性材料であることから、ネオジム磁石31の第2着磁面31b側の磁束は板状ヨーク32内に誘導されることとなり、第1着磁面31a側のように磁束が大きく膨らむことがない(図12(b)(図12(a)のB−B矢視断面図)を参照)。すなわち、板状ヨーク32における被吸着面32aの対向面であるシールド面32bは、ネオジム磁石31の磁界の影響を抑制するシールド効果を有することとなる。例えば、2mm厚のネオジム磁石31に対して、板状ヨーク32の厚さを3.2mmとすることで、十分なシールド効果を発揮できる。なお、ネオジム磁石31と板状ヨーク32の回転方向(図12(b)における紙面左右方向)の長さ同じとしているが、板状ヨーク32をネオジム磁石31に吸着させる際のずれを考慮すると、板状ヨーク32をネオジム磁石31よりも若干長めにしたほうが好ましい。また、板状ヨークは、平板状に代えてコ字状としても良い。
【0104】
よって、この磁界発生ユニット30Aを球搬送回転体20に取り付けるとき、板状ヨーク32のシールド面32bをモータ123の回転軸123aに向けて配置して行けば、モータ収容空部20bに収容したモータ123に対して、ネオジム磁石31の磁界が悪影響を及ぼすことを効果的に防ぐことが出来る。しかも、このように配置した各磁界発生ユニット30Aの第1着磁面31a側の磁界は、球搬送回転体20の外周面20aから外方に生ずるので、強い磁力が損なわれることなく、遊技球を効率良く吸着して行くことが出来る。
【0105】
なお、第1構成例の磁界発生手段としては、図13に示すように、隣接する磁界発生ユニット30Aの第1着磁面31aにおける磁極が異なるように配置した。例えば、ベースドラム21へ磁界発生ユニット30Aを組み込んで行く作業で、第1着磁面31aが同極である2つの磁界発生ユニット30Aを近づけると非常に強い斥力を生じるので、磁界発生ユニット30Aの組み付け作業が非常に困難となるが、逆に、隣接させる磁界発生ユニット30Aの第1着磁面31aが異極であれば、ベースドラム21へ磁界発生ユニット30Aを組み込んで行く作業が容易となり、効率化を期せる。
【0106】
ベースドラム21に組み込んで行く全ての磁界発生ユニット30Aにおいて、板状ヨーク32の長さ(モータ123の軸方向の長さ)は、ベースドラム21における第1ユニット収納部2301〜第14ユニット収納部2314の内空幅とほぼ等しく設定し、ベースドラム21における側面板の厚さ分だけ球搬送回転体20の外周面20aよりも短くしてあるが、ネオジム磁石31は、板状ヨーク32の長さ(例えば、約113mm)に比して短いもの(例えば、モータ123の軸方向の長さが50mm)を使うため、ネオジム磁石31に対する板状ヨーク32の吸着位置によって、下流端部を通過したときに吸着できる遊技球の位置が異なるため、効率的な遊技球の搬送を行える磁界発生手段とするには、各磁界発生ユニット30Aにおける板状ヨーク32のネオジム磁石31への吸着位置が適切に設定されている必要がある。
【0107】
上述した基本型磁界発生ユニット30A02〜30A07,30A09〜30A14は、板状ヨーク32の中央部をネオジム磁石31に吸着させたもので、遊技球が潤沢に供給され吸着面積も広い外周面20aの中央部にて効率的に遊技球を吸着することが出来る。一方、第1側方吸着用磁界発生ユニット30A01(本発明の第1磁界発生ユニットに相当)は板状ヨーク32を一側方へ寄せてネオジム磁石31に吸着させたものであり、第2側方吸着用磁界発生ユニット30A08(本発明の第2磁界発生ユニットに相当)は板状ヨーク32を他側方へ寄せてネオジム磁石31に吸着させた(言い換えればネオジム磁石31を吸着規制領域に接するように吸着許容領域212内へ配置した)ものであり、基本型磁界発生ユニット30A02〜30A07,30A09〜30A14のネオジム磁石31では吸着できない側方部分に滞留している遊技球も吸着することが出来る。
【0108】
ただし、球搬送回転体20の外周面21の両側方には、磁界発生手段による遊技球の吸着が規制される吸着規制領域211a,211bを設定し(例えば、図13、図14を参照)、全ての磁界発生ユニット30Aにおけるネオジム磁石31は、これら吸着規制領域211a,211bを除く吸着許容領域212内へ配置するようにする。本実施の形態で用いたネオジム磁石31の場合、例えば、遊技球の直径約11mmに対して、吸着規制領域211a,211bを各々16.5mm(遊技球1.5個分)とすれは、吸着規制領域211a側にネオジム磁石31が寄った状態に板状ヨーク32を吸着させた(ネオジム磁石31を吸着規制領域に接するように吸着許容領域212内へ配置した)第1側方吸着用磁界発生ユニット30A01に吸着した遊技球及びその遊技球に吸着した遊技球が側壁内面に接触することを防げる。また、吸着規制領域211b側にネオジム磁石31が寄った状態に板状ヨーク32を吸着させた(ネオジム磁石31を吸着規制領域に接するように吸着許容領域212内へ配置した)第2側方吸着用磁界発生ユニット30A08に吸着した遊技球及びその遊技球に吸着した遊技球が側壁内面に接触することも防げる。これにより、球搬送回転体20の外周面20aに吸着した遊技球が側壁内面に摺接してこすれ、モータ123にかかる負荷が増大したり、側壁の金属が削られ鉄粉となり、遊技球の損耗を早めてしまうような不具合を未然に防止できる。なお、吸着規制領域、言い換えれば、回転体の回転軸方向のネオジム磁石が存在しない幅は、ネオジム磁石31の磁力に応じて間隔を適宜変更し、球搬送回転体20の外周面20aに吸着した遊技球が側壁内面に摺接しない間隔とすれば良い。また、収納ケース120の側壁と球搬送回転体20との間が離間している場合には、その離間距離も吸着規制領域となる。
【0109】
上述した吸着規制領域211a,211bを除いた吸着許容領域212は約80mmで、この範囲内に約50mm幅のネオジム磁石31を配置することができ、第1側方吸着用磁界発生ユニット30A01はネオジム磁石31を吸着規制領域211aとの境界に寄せて配置したもので、第2側方吸着用磁界発生ユニット30A08はネオジム磁石31を吸着規制領域211bとの境界に寄せて配置したもので、ほかの基本型磁界発生ユニット30A02〜30A07,30A09〜30A14は吸着許容領域212の中央(吸着規制領域211a,211bとの境界から約15mmの間隔が開く位置)に配置したものである。
【0110】
斯く構成した磁界発生手段を備える球搬送回転体20が1周し、供給ガイド部材121の下流端部の遊技球の吸着力となった磁束の総和である通過磁束量の分布を、図13に示す。これは、下流側端縁121aを磁界発生ユニット30Aが一つ通過する毎に、ネオジム磁石の幅分目盛を一マス増加させ、球搬送回転体20が1周する間、累積したものである。
【0111】
この通過磁束量の分布は、球搬送回転体20の外周面20aを展開した磁界発生ユニット30Aの配設位置と対応させてあり、14個の磁界発生ユニット30Aの各ネオジム磁石31が全て通過する領域(供給ガイド部材121の下流端部の中央)は、通過磁束量が最も高い主吸着領域212aとなり、その一側方(吸着規制領域211a側)には第1側方吸着用磁界発生ユニット30A01のネオジム磁石31が1回通過するだけで通過磁束量が低い(主吸着領域212aの通過磁束量に対して1/14となる)側方補助吸着領域212b1が形成され、その他側方(吸着規制領域211b側)には第2側方吸着用磁界発生ユニット30A08のネオジム磁石31が1回通過するだけで通過磁束量が低い(主吸着領域212aの通過磁束量に対して1/14となる)側方補助吸着領域212b2が形成されることとなる。主吸着領域212aと側方補助吸着領域212b1との間には、(主吸着領域212aの通過磁束量に対して13/14となる)中間補助吸着領域212c1が形成され、主吸着領域212aと側方補助吸着領域212b2との間には、(主吸着領域212aの通過磁束量に対して13/14となる)中間補助吸着領域212c2が形成されることになる。
【0112】
従って、通過磁束量の高い主吸着領域212aが下流端部を通過するときには、その吸着力によって良好に遊技球が搬送されることとなる下流端部の中央領域(球搬送良好領域121b1)が形成されるので、遊技球が潤沢に供給され吸着面積も広い外周面20aの中央部にて、強力なネオジム磁石31による遊技球の吸着を行うことができ、遊技球の搬送効率が高くなる。また、中間吸着領域212c1、212c2の通過磁束量は、主吸着領域212aの13/14となるので、下流端部の球搬送良好領域121b1に対する遊技球吸着能力が極端に落ちることもなく、必要十分な球搬送能力を保持できる。
【0113】
加えて、球搬送回転体20が1周する間には、第1側方吸着用磁界発生ユニット30A01および第2側方吸着用磁界発生ユニット30A08によって、側方補助吸着領域212b1,212b2における遊技球の吸着が行われることとなり、更に、基本型磁界発生ユニット30A02〜30A07,30A09〜30A14によっては遊技球を良好に吸着して搬送できない両側の領域(球搬送困難領域121b2)の近傍を通過することとなり、球搬送困難領域121b2にある遊技球を吸着できるため、吸着許容領域212の両側部に吸着不能な領域ができて、球搬送回転体20に吸着されないまま球搬送困難領域121b2に滞留し続ける遊技球が生じることを効果的に防げる。
【0114】
なお、吸着規制領域、言い換えれば、回転体の回転軸方向のネオジム磁石が存在しない幅は、ネオジム磁石31の磁力に応じて間隔を適宜変更し、球搬送困難領域121b2にある遊技球を吸着でき、かつ、球搬送回転体20の外周面20aに吸着した遊技球が側壁内面に摺接しない間隔とすれば良い。
【0115】
上述したように、球搬送回転体20が備える磁界発生手段によって、外周面20aに吸着された遊技球が、非磁性材よりなる排出ガイド部材122に至ると、球搬送回転体20の外周面20aに吸着されていた遊技球は、上流側端縁122aより排出ガイド部材122の流下面に移るのであるが、遊技球搬送装置12Aの場合、下流側の樋が遊技球で充満している場合には、それをセンサー等の検知手段により検知し、回転を停止させる必要がある。ところが、回転を停止させた場合、排出ガイド部材122が非磁性材の場合、球搬送回転体20の磁界発生手段からの磁力により、排出ガイド部材122上に遊技球が滞留した状態となり、再度回転を開始した場合、滞留した遊技球に、搬送された遊技球が衝突し、騒音が発生するという、問題が発生した。また、磁界発生手段による吸着の影響が強いために、なかなか遊技球が自重による自然流下をせず、せっかく球搬送回転体20の回転により与えられた球の流下勢が減殺されるという問題が発生した。
【0116】
そこで、本実施形態の遊技球搬送装置12においては、排出ガイド部材122の下面に、軟磁性材を板状にしたシールドパネル124をシールド部材として取り付けた。斯くすれば、球搬送回転体20の磁界発生ユニット30により発生した磁界はシールドパネル124に誘導され、排出ガイド部材122の上面側に影響が及ぶことを抑制できる。
【0117】
例えば、図15(a)に示すように、磁界発生ユニット30の磁界によって吸着された遊技球P1〜P4が排出ガイド部材122の上流側端縁122aに到達したとき、球搬送回転体20の回転に伴って磁界発生ユニット30が排出ガイド部材122の下方へ移行して行くが、ネオジム磁石(硬磁性体)31の第1着磁面31aと板状ヨーク32との間に生じた磁界は、排出ガイド部材122を透過して、排出ガイド部材122上にいる遊技球P1〜P4を吸着する力として作用する。しかしながら、排出ガイド部材122の下面にはシールドパネル124を取り付けてあるので、磁界発生ユニット30の磁束はシールドパネル124に誘導されて、排出ガイド部材122の上面側に及ぶ吸着力は極めて小さくなる。よって、最先の遊技球P1は、球搬送回転体20から離れたときの初速が著しく減衰する前に、磁界発生ユニット30の磁界から解放され、適宜な流下勢で排出ガイド部材122上を下方へ自然流下して行く(図15(b)を参照)。後続の遊技球P3〜P4も同様に、磁界発生ユニット30の吸着力によって滞留することなく、円滑に流下して行く(図15(b),(c)を参照)。
【0118】
なお、シールドパネル124は、排出ガイド部材122の上流側端縁122aに近い位置まで設けておけば、それだけ早く、遊技球を磁界発生ユニット30による拘束から解放できるものの、それなりのシールド効果を奏するためには、軟磁性体に相応の厚さが必要であり、球搬送回転体20の外周面20aと接触しないようにシールドパネル124を取り付けると、排出ガイド部材122の上流側端縁122aから或る程度(例えば、遊技球の直径約11mmに対して10mm程度)の未シールド領域が生じた。しかしながら、排出ガイド部材124の上流側端縁122aにおける遊技球の滞留は殆ど解消され、遊技球の流下勢を十分に保持できるので、排出ガイド部材122から第1補給樋10又は第2補給樋11の上流端部へ円滑に遊技球を供給することが可能となる。
【0119】
図16に示すのは、排出ガイド部材122およびシールドパネル124に代えて、球搬送回転体20に近接する端部を楔形とした排出ガイド部材122′およびシールドパネル124′を設けたものである。シールドパネル124′は、下面から上面にかけてテーパ面124bを設けることにより、上流側端縁124aが排出ガイド部材122′の上流側端縁122aに近い位置までシールド効果を期待できる。ただし、シールドパネル124′は、上流側端縁124aに近づくほど厚みが薄くなるため、シールド効果は弱まる。また、排出ガイド部材122′は、下面から上面にかけてテーパ面122bを設けることにより、球搬送回転体20の外周面20aに吸着された遊技球が、上流側端縁122aからスムーズに排出ガイド部材122′の流下面へと移動できるようになる。
【0120】
上述した球搬送装置12のように、球搬送回転体20に磁界発生手段として設ける磁界発生ユニット30Aが、主吸着領域212aの吸着能力を最大限に高め、また、中間吸着領域212c1、212c2の吸着能力も最大限に高め、側方補助吸着領域212b1,212b2に対しては最低限の吸着能力を確保するものとしたが、主吸着領域212aと側方補助吸着領域212bの配分は特に限定されるものでは無く、吸着許容領域212の長さとネオジム磁石31のサイズや吸着力等を考慮して、適宜に定めれば良い。
【0121】
例えば、図17に示す第2構成例の磁界発生手段を構成する磁界発生ユニット30Bは、吸着規制領域211a側にネオジム磁石31を寄せて第1側方吸着用磁界発生ユニットとした磁界発生ユニット30B01,30B03,30B05,30B07,30B09,30B11,30B13と、吸着規制領域211b側にネオジム磁石31を寄せて第2側方吸着用磁界発生ユニットとした磁界発生ユニット30B02,30B04,30B06,30B08,30B08,30B10,30B12,30B14とを、交互に配置するものとした。
【0122】
斯くすれば、前述した第1構成例の磁界発生手段における中間吸着領域212c1、212c2が無くなり、主吸着領域212aにおける通過磁束量が13/14から7/14へと減少するが、逆に、側方補助吸着領域212b1,212b2の通過磁束量は高くなり(主吸着領域212aの通過磁束量に対して7/14=1/2に増やすことができ)、供給ガイド部材121の下流端部の球搬送困難領域121b2に滞留する遊技球の吸着能力を高めることが可能となる。従って、側方補助吸着領域212b1,212b2の通過磁束量は1/2程度に保持されるので、供給ガイド部材121の下流端部の球搬送良好領域121b2に対する遊技球吸着能力が極端に落ちることもなく、必要十分な球搬送能力を保持できる。
【0123】
なお、上述した第2構成例の磁界発生手段を構成する磁界発生ユニット30Bは、第1側方吸着用磁界発生ユニットと第2側方吸着用磁界発生ユニットが交互に供給ガイド部材121の下流端部を通過してゆくこととなるため、吸着規制領域211a側の球搬送困難領域121b2に滞留する遊技球の吸着と、吸着規制領域211b側の球搬送困難領域121b2に滞留する遊技球の吸着が短時間で頻繁に切り換わることとなるため、球搬送回転体20に吸着されて持ち上がりつつあった遊技球が突然の磁界消失によって落ちてゆくためか、遊技球が回転軸方向へ移動するためか、第1構成例の磁界発生手段よりも騒音が高くなると言う問題がある。
【0124】
そこで、図18に示す第3構成例の磁界発生手段を構成する磁界発生ユニット30Cは、第1側方吸着用磁界発生ユニット30C01(本発明の第1磁界発生ユニットに相当)と第2側方吸着用磁界発生ユニット30C08(本発明の第2磁界発生ユニットに相当)を各々1つとし、その間にネオジム磁石31に板状ヨーク32を徐々にズラして吸着させた(言い換えれば、ネオジム磁石31の配置を吸着許容領域212内で、徐々にズラした)緩衝用磁界発生ユニット30C02〜30C07,30C09〜30C14(本発明の第3磁界発生ユニットに相当)を設け、吸着規制領域211a側の球搬送困難領域121b2に滞留する遊技球を吸着してから、吸着規制領域211b側の球搬送困難領域121b2に滞留する遊技球を吸着するまで、滑らかに吸着領域が移動していくようにした。
【0125】
斯くすれば、球搬送回転体20に吸着されて持ち上がりつつあった遊技球が突然の磁界消失によって落ちてゆくことを防止できためか、遊技球が回転軸方向へ徐々に移動するためか、第1構成例の磁界発生手段と同様に異常な騒音の発生を抑制できる。しかも、球搬送回転体20が1周する間に、全ての磁界発生ユニット30Bにおけるネオジム磁石31が吸着許容領域212を通過することとなる主吸着領域212aの範囲は狭くなるものの、中間補助吸着領域212c1,212c2と、側方補助吸着領域212b1,212b2は中央側より段階的に変化するので、球搬送良好領域121b1における遊技球搬送能力が極端に落ちることはないし、第1構成例の磁界発生手段よりも吸着規制領域211a,211b側の遊技球吸着能力を高められることから、供給ガイド部材121の下流端部における巾方向全域にわたってバランスの良い遊技球搬送を実現できる。
【0126】
すなわち、第3構成例の磁界発生手段では、主吸着領域212aでは、通過磁束量は14/14、主吸着領域212aの両側に各々連なる中間補助吸着領域212c1,212c2において、主吸着領域212aに近接する領域R1,L1の通過磁束量は13/14、その外側となる領域R2,L2の通過磁束量は11/14、その外側となる領域R3,L3の通過磁束量は9/14、その外側となる領域R4,L4の通過磁束量は7/14、その外側となる領域R5,L5の通過磁束量は5/14、その外側となる領域R6,L6の通過磁束量は3/14、その外側となる領域R7,L7(側方補助吸着領域212b1,212b2)の通過磁束量は1/14と、7段階で細かく通過磁束量が減少してゆくので、また、中間補助吸着領域212c1,212c2と側方補助吸着領域212b1,212b2においては、通過磁束量は同一量(2/14づつ)変化し、変化の割合も比較的少ない(2/14)、また、主吸着領域212aと中間補助吸着領域212c1,212c2のR1,L1とでは、通過磁束量の変化は1/14となり、変化の割合も比較的少ないので、球搬送良好領域121b1に対する遊技球吸着能力を必要十分に保持し、余剰分の吸着能力を球搬送困難領域121b2に滞留する遊技球の搬送に振り分けることができる。
【0127】
なお、上述した第3構成例の磁界発生手段のように、第1側方吸着用磁界発生ユニット30C01から第2側方吸着用磁界発生ユニット30C08を経て再び第1側方吸着用磁界発生ユニット30C01へ戻る1周期を球搬送回転体20の1周に割り当てるものとすると、その間を緩衝用に補完する緩衝用磁界発生ユニットの種類が多くなり、球搬送装置12における球搬送回転体20の組立工程が煩雑になる。
【0128】
そこで、図19に示す第4構成例の磁界発生手段は、磁界発生ユニット30Dの配設数を16(4の倍数)とし、球搬送回転体20が1周する間に、第1側方吸着用磁界発生ユニット30D01から第2側方吸着用磁界発生ユニット30D05を経て第1側方吸着用磁界発生ユニット30D09に至る第1周期と、第1側方吸着用磁界発生ユニット30D09から第2側方吸着用磁界発生ユニット30D13を経て再び第1側方吸着用磁界発生ユニット30D01に戻る第2周期とが生ずるようにし、緩衝用磁界発生ユニット30D02〜30D04,30D06〜30D08,30D10〜30D12,30D014〜30D016を設けるものとした。
【0129】
斯くすれば、吸着規制領域211aにネオジム磁石31を寄せた第1側方吸着用磁界発生ユニット、吸着規制領域211bにネオジム磁石31を寄せた第2側方吸着用磁界発生ユニットは、紙面水平方向に180度回転させることにより、同一の磁界発生ユニットを用いることが可能となり、ネオジム磁石31の配置をかえた2種類の緩衝用磁界発生ユニット(30D02、30D04、30D08、30D10、30D12、30D14は紙面水平方向に180度回転させることにより、同一の磁界発生ユニットを用いることが可能となり、30D03、30D05、30D07、30D09、30D11、30D13は紙面水平方向に180度回転させることにより、同一の磁界発生ユニットを用いることが可能となる。)を設けておけば良いので、合計3種類の磁界発生ユニットを用意すれば良く、球搬送装置12における球搬送回転体20の組立工程が煩雑になることを抑制できる。
【0130】
また、本構成例の磁界発生手段においても、主吸着領域212aの両側に各々連なる中間補助吸着領域212c1,212c2において、主吸着領域212aに近接する領域R1,L1の通過磁束量は14/16、その外側となる領域R2,L2の通過磁束量は10/16、その外側となる領域R3,L3の通過磁束量は6/16、その外側となる領域R4,L4(側方補助吸着領域212b1,212b2)の通過磁束量は2/16と、4段階で通過磁束量が減少してゆくので、球搬送良好領域121b1に対する遊技球吸着能力を必要十分に保持し、余剰分の吸着能力を球搬送困難領域121b2に滞留する遊技球の搬送に振り分けることができる。なお、中間補助吸着領域212c1,212c2と側方補助吸着領域212b1,212b2においては、通過磁束量は同一量(4/16づつ)変化するが、第3構成例(2/14)に比べて変化量が多い。
【0131】
なお、図18に示す第3構成例の磁界発生手段を構成する磁界発生ユニット30Cを、第4構成例の磁界発生手段と同様に配設数を16とした場合、合計5種類の磁界発生ユニットを用意すれば良い。なお、通過磁束量は、中間補助吸着領域212c1,212c2と側方補助吸着領域212b1,212b2においては、同一量(2/14づつ)変化する。
【0132】
更に、図20に示す第5構成例の磁界発生手段は、磁界発生ユニット30Eの配設数を18(3の倍数)とし、球搬送回転体20が1周する間に、第1側方吸着用磁界発生ユニット30E01から第2側方吸着用磁界発生ユニット30E04を経て第1側方吸着用磁界発生ユニット30E07に至る第1周期と、第1側方吸着用磁界発生ユニット30E07から第2側方吸着用磁界発生ユニット30E10を経て第1側方吸着用磁界発生ユニット30E13に至第2周期と、第1側方吸着用磁界発生ユニット30E13から第2側方吸着用磁界発生ユニット30E16を経て再び第1側方吸着用磁界発生ユニット30E01に戻る第3周期とが生ずるようにし、緩衝用磁界発生ユニット30E02〜30E03,30E05〜30E06,30E08〜30E09,30E011〜30E012,30E14〜30E15,30E17〜30E18を設けるものとした。
【0133】
斯くすれば、吸着規制領域211aにネオジム磁石31を寄せた第1側方吸着用磁界発生ユニット、吸着規制領域211bにネオジム磁石31を寄せた第2側方吸着用磁界発生ユニットのほか、ネオジム磁石31の配置をかえた2種類の緩衝用磁界発生ユニットの合計4種類を設けておけば良いので、球搬送装置12における球搬送回転体20の組立工程が煩雑になることを抑制できる。
【0134】
また、本構成例の磁界発生手段においても、主吸着領域212aの両側に各々連なる中間補助吸着領域212b1,212b2において、主吸着領域212aに近接する領域R1,L1の通過磁束量は15/18、その外側となる領域R2,L2の通過磁束量は9/18、その外側となる領域R3,L3(側方補助吸着領域212b1,212b2)の通過磁束量は3/18と、3段階で通過磁束量が減少してゆくので、球搬送良好領域121b1に対する遊技球吸着能力を必要十分に保持し、余剰分の吸着能力を球搬送困難領域121b2に滞留する遊技球の搬送に振り分けることができる。なお、中間補助吸着領域212c1,212c2と側方補助吸着領域212b1,212b2においては、通過磁束量は同一量(6/18づつ)変化するが、第3構成例(2/14)に比べて変化量が多い。
【0135】
更に、図21に示す第6構成例の磁界発生手段は、図13に示す第1構成例の磁界発生手段と同様に、中央には通過磁束量が最も高い主吸着領域212aが、主吸着領域212aの一側方(吸着規制領域211a側)には通過磁束量が低い(主吸着領域212aの通過磁束量に対して1/14となる)側方補助吸着領域212b1が、主吸着領域212aその他側方(吸着規制領域211b側)には通過磁束量が低い(主吸着領域212aの通過磁束量に対して1/14となる)側方補助吸着領域212b2が、主吸着領域212aと側方補助吸着領域212b1との間には(主吸着領域212aの通過磁束量に対して13/14となる)中間補助吸着領域212c1が、主吸着領域212aと側方補助吸着領域212b2との間には(主吸着領域212aの通過磁束量に対して13/14となる)中間補助吸着領域212c2が、各々形成されるものである。しかしながら、第6構成例の磁界発生手段においては、板状ヨーク32の中央部をネオジム磁石31に吸着させた共通の磁界発生ユニット30Fのみを用いる。
【0136】
例えば、球搬送回転体20の第1ユニット収納部2301に磁界発生ユニット30Fを吸着規制領域211a側に寄せて収納し、第1ユニット収納部2301の吸着規制領域211b側に片寄せ配置用スペーサ24aを収納することで、前記第1構成例の磁界発生手段における第1側方吸着用磁界発生ユニット30A01と同様に、吸着規制領域211a側にネオジム磁石31が寄った状態を保持させ、第8ユニット収納部2308に磁界発生ユニット30Fを吸着規制領域211b側に寄せて収納し、第8ユニット収納部2308の吸着規制領域211a側に片寄せ配置用スペーサ24aを収納することで、前記第1構成例の磁界発生手段における第2側方吸着用磁界発生ユニット30A08と同様に、吸着規制領域211b側にネオジム磁石31が寄った状態を保持させ、第2〜第7ユニット収納部2302〜2307および第9ユニット収納部2309〜第14ユニット収納部2314の吸着規制領域211a側と吸着規制領域211b側に各々中央配置用スペーサ24b(片寄せ配置用スペーサ24aの半分の離隔巾としたスペーサ)を収納し、その間に磁界発生ユニット30Fを各々収納することで、前記第1構成例の磁界発生手段における基本型磁界発生ユニット30A02〜30A07,30A09〜30A14と同様に、吸着許容領域212の中央にネオジム磁石31が位置する状態を保持させる。なお、スペーサを用いて磁界発生ユニット30Fの保持位置を調整せずに、第1〜第14ユニット収納部201〜2314の形成位置を変えることで、各磁界発生ユニット30Fの適宜な保持位置が定まるようにしても良い。
【0137】
斯くすれば、共通の磁界発生ユニット30Fを用いることで、磁界発生手段を構成することが出来る。また、隣接する磁界発生ユニット30Aの第1着磁面31aにおける磁極を異ならせてゆく磁界発生手段を構成する場合でも、2種類の磁界発生ユニットを準備すれば良く、球搬送装置12における球搬送回転体20の組立工程が煩雑になることを抑制できる。
【0138】
なお、この第6構成例として示した磁界発生手段のように共通の磁界発生ユニット(或いは、ネオジム磁石30における磁極の向きを異ならせた2種類の磁界発生ユニット)を用いて磁界発生手段を構成する手法は、第1構成例の磁界発生手段のみではなく、図17〜図20に示した第2〜第5構成例の磁界発生手段にも同様に適用することができる。
【0139】
また、上述した第1〜第6構成例の磁界発生手段では、ベースドラム21内に収納配置する磁界発生ユニットを偶数としたので、ネオジム磁石31の第1着磁面31aが交互にS極とN極になるよう配置したが、奇数の磁界発生ユニットを配置する場合には、どこかでネオジム磁石31の第1着磁面31aに同極が連続する配置とすれば良い。ネオジム磁石31の磁力は非常に強いので、球搬送回転体20の外周面21aに生ずる磁極の配列によって、遊技球の吸着能力が極端に変化することは無い。なお、第3構成例の場合、奇数の磁界発生ユニットを配置する場合には、第1側方吸着用磁界発生ユニットの回転軸を挟んで球搬送回転体の反対側、点対称の位置に第2側方吸着用磁界発生ユニットが配置されないが、点対称の位置に隣接する磁界発生ユニットを第2側方吸着用磁界発生ユニットとすれば良い。
【0140】
以上説明したように、第1〜第6構成例の何れの磁界発生手段を備えた球搬送回転体20を用いても、球搬送回転体20の内空部であるモータ収容空部20bに駆動手段たるモータ123を配置することが出来ると共に、球搬送回転体20による遊技球の搬送効率を飛躍的に高めることができる。
【0141】
次に、遊技島の下部タンク9からの遊技球を搬送する、遊技球搬送装置12Cについて、図22と図23を参照して説明する。なお、遊技球搬送装置12Cは、前述した遊技球搬送装置12A、遊技球搬送装置12Bと同様に遊技球を搬送する機能は同じとしてある。しかしながら、遊技球搬送装置12Cにおいては、その用途に適するように、例えば、磁石の磁力や種類を変えたり、磁石の数や間隔を変えたり、磁石の幅(球搬送回転体の回転方向の幅)を変えたりしても良い。
【0142】
上部タンク4′に設けられたオーバーフロー管51の下端51b′には、オーバーフロー樋51dを接続し、オーバーフロー樋51dの下流端部にオーバーフローホース51c′が接続され、補給樋10′を溢れた遊技球は、オーバーフローホース51c′を経由して、下部タンク9内に流下する。オーバーフロー樋51dは、補給樋10′の下方に設けられる。なお、本実施の形態では、説明の簡略化のため、補給樋10′を通常の自然勾配による傾斜樋としているが、それに代えて、前述した遊技球供給装置1としても良い。
【0143】
上記のように、オーバーフローホース51c′から導かれて、下部タンク9に貯留された遊技球は、下部タンク9の傾斜状底面を下流へ流下して行き、その最下流部に配置された遊技球搬送装置12cにより、合流部14へ搬送される。この合流部14にて、回収樋60′からの遊技球と、下部タンク9からの遊技球を合流させ、受入樋8′を経由して、揚送装置3に供給され、遊技島内で循環する。このように、本実施の形態では、遊技球搬送装置12cは、下部タンク9の下流端よりも高い位置にある合流部14へ遊技球を搬送するために用いている。つまり、下部タンク9からの遊技球を、搬送(揚送)して、揚送装置3に供給するために用いている。なお、遊技球搬送装置12cと合流部14との間に搬送樋を別途設け、回収樋60′からの遊技球と別途設けた搬送樋からの遊技球を合流部14にて合流させても良い。また、遊技球搬送装置12cは、下部タンク9からの遊技球を回収樋60′に直接搬送(揚送)しても良い。
【0144】
以上本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態は全て例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、上記の実施形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものではなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0145】
100 遊技島
101 遊技球循環機構
1 遊技球供給装置
2 遊技球回収装置
3 揚送装置
4 上部タンク
6 球貯留タンク
7 バランスタンク
10 第1補給樋
11 第2補給樋
12(12A,12B,12C) 遊技球搬送装置
121 供給ガイド部材
122 排出ガイド部材
123 モータ
20 球搬送回転体
20a 外周面
20b モータ収容空部
21 ベースドラム
30A〜30E 磁界発生ユニット
31 ネオジム磁石
31a 第1着磁面
31b 第2着磁面
32 板状ヨーク
32a 被吸着面
32b シールド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機が配列された遊技島に設けられて遊技球を搬送する遊技球搬送装置において、
前記遊技島の長手方向に傾斜して配設された第1傾斜流路と、
前記遊技島の長手方向に傾斜して前記第1傾斜流路の下流側に配設され、上流端部が前記第1傾斜流路の下流端部よりも高い位置に設けられる第2傾斜流路と、
前記第1傾斜流路の下流端部と前記第2傾斜流路の上流端部との間に配設され、前記第1傾斜流路から前記第2傾斜流路へ遊技球を搬送する球搬送回転体と、を備え、
前記球搬送回転体は、回転軸を中心に回転するとともに円筒状の外周面が前記第1傾斜流路の下流端部に臨み、且つ前記第1傾斜流路の下流端部の遊技球を前記外周面に吸着させるための磁界発生手段を備え、
前記磁界発生手段は、高透磁率の軟磁性材料からなるヨークを回転軸側に配置し、該ヨークの反回転軸側に硬磁性体を重合するように配置してなる複数の磁界発生ユニットを前記球搬送回転体の周方向へ配置し、
前記球搬送回転体の周面両側方には、当該球搬送回転体の両側方に位置する各側壁の内面に遊技球が摺接しないように、磁界発生手段による遊技球の吸着が規制される吸着規制領域を設定し、両吸着規制領域の間に設定される吸着許容領域内に前記硬磁性体が位置するように全ての磁界発生ユニットを配置したことを特徴とする遊技球搬送装置。
【請求項2】
前記下流端部の両側方部には、前記球搬送回転体の吸着規制領域に対応する球搬送困難領域が設けられ、
前記硬磁性体は、前記吸着許容領域における回転軸方向の幅に満たない長さのネオジム磁石により構成され、
前記磁界発生手段を構成する複数の磁界発生ユニットには、
前記球搬送回転体の吸着許容領域の一方端にネオジム磁石が位置し、一方の球搬送困難領域で待機する遊技球を吸着許容領域に引き寄せて吸着可能な第1磁界発生ユニットと、前記球搬送回転体の吸着許容領域の他方端にネオジム磁石が位置し、他方の球搬送困難領域で待機する遊技球を吸着許容領域に引き寄せて吸着可能な第2磁界発生ユニットと、を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の遊技球搬送装置。
【請求項3】
前記第1磁界発生ユニットと前記第2磁界発生ユニットは、前記ヨークに対する前記ネオジム磁石の位置を、前記球搬送回転体の回転軸方向にずらすことにより、吸着許容領域の一方端と他方端にネオジム磁石を位置させたことを特徴とする請求項2に記載の遊技球搬送装置。
【請求項4】
前記球搬送回転体が1周する間に前記下流端部を通過するネオジム磁石の磁束の総和である通過磁束量の分布が、下流端部の中央において最も高くなるように、磁界発生手段を構成する複数のネオジム磁石が前記球搬送回転体の周方向及び幅方向に適宜間隔で位置するように前記磁界発生ユニットを配置したことを特徴とする請求項2又は請求項3の何れか1項に記載の遊技球搬送装置。
【請求項5】
前記複数の磁界発生ユニットには、ネオジム磁石が両吸着規制領域に接しない複数の第3磁界発生ユニットを含み、
前記第1磁界発生ユニットと前記第2磁界発生ユニットとは、前記回転軸を挟んで前記球搬送回転体の反対側に配置されるとともに、前記複数の第3磁界発生ユニットは、前記第1磁界発生ユニットと前記第2磁界発生ユニットとの間に前記球搬送回転体の周方向に適宜間隔で配置され、
前記複数の第3磁界発生ユニットのネオジム磁石が、前記吸着規制領域の一方側と他方側との間で前記球搬送回転体の回転軸方向に順次ずれて位置するように、前記第3磁界発生ユニットを配置したことを特徴とする請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の遊技球搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−85690(P2013−85690A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228668(P2011−228668)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(507157919)株式会社エビスワーク (34)
【出願人】(397054716)光ナノテック株式会社 (17)
【出願人】(390025601)株式会社西陣 (107)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】