説明

遊技球貯留箱

【課題】遊技球を遊技機の球貯留部に注ぐ際に遊技球のこぼれを防止することを目的とする。
【解決手段】遊技球を貯留可能な遊技球貯留箱100であって、上部が開放され遊技球が貯留される遊技球貯留空間20bを有する箱本体20を備え、箱本体20の周壁22の内周は、箱本体20の周壁22の内周に形成され、箱本体20に貯留された遊技球を遊技機の球貯留部16aに注ぐときに、遊技球を誘導する球誘導部27を設け、箱本体20を遊技機の球貯留部16aに向けて傾けたときに、遊技球が球誘導部27に向かって導かれるように形成され、箱本体20は、平面視で細長い形状であり、球誘導部27は、少なくとも箱本体20の周壁22のうち長壁中央から側方に寄って形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機で用いられる遊技球を貯留するための遊技球貯留箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技場では、遊技者が遊技機にて遊技を行って獲得した遊技球を貯留しておくための玉箱が用いられている。玉箱内の玉量が少ない場合には、遊技者は玉箱を持ち上げて上皿内に玉を注ぐ場合がある。
【0003】
特許文献1には、平面的にみて細長い形状の玉箱において、少なくとも底部の一つの角部を切り欠きした形状とし、その切り欠きした部分を斜面部とし、玉箱の底部に貯まった玉をパチンコ台の上皿に注ぐ際には、斜面部を下側にして注ぐことにより、玉のこぼれを防止するようしたことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−114208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の玉箱では、玉箱の玉をパチンコ台の上皿に注ぐ際、傾斜部を通じて玉が勢い良く玉箱から流出するため、玉がこぼれないように注ぐことは困難であった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、遊技球を遊技機の球貯留部に注ぐ際に遊技球のこぼれを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、遊技球を貯留可能な遊技球貯留箱であって、上部が開放され遊技球が貯留される遊技球貯留空間を有する箱本体を備え、前記箱本体に貯留された遊技球を遊技機の球貯留部に注ぐ際に、遊技球を誘導する球誘導部が前記箱本体の周壁の内周に窪んで形成されることを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、前記箱本体の周壁の内周は、前記箱本体を前記遊技機の前記球貯留部に向けて傾けた場合に、遊技球が前記球誘導部に向かって導かれるように傾斜して形成されることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、前記箱本体は、平面視で細長い形状であり、前記球誘導部は、前記箱本体の周壁のうち長壁内周に形成され、かつ前記遊技機の前記球貯留部に対応するように一側に寄って形成されることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、前記箱本体の周壁の頂部には、遊技球が転動可能な段状のレール部が形成され、前記レール部は前記球誘導部に連通することを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、前記箱本体の周壁のうち短壁外周には、遊技者が遊技球貯留箱を運ぶ際に手を掛ける取手が形成されることを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、前記球誘導部は、前記箱本体の周壁のうち対向する長壁内周のそれぞれに形成され、一方の球誘導部は長壁内周の一側に寄って形成され、他方の球誘導部は長壁内周の他側に寄って形成されることを特徴とする。
【0013】
第7の発明は、前記箱本体の底部には、前記球誘導部へと遊技球を誘導するための球誘導通路が形成されることを特徴とする。
【0014】
第8の発明は、前記底部には、外周形状が前記周壁の内周形状と略相似に形成された隆起部が配設され、前記周壁と前記隆起部との間にて前記球誘導通路が形成されることを特徴とする。
【0015】
第9の発明は、前記箱本体の底部には、山状に隆起した隆起部が配設され、前記周壁と前記隆起部との間にて、前記球誘導部へと遊技球を誘導するための球誘導通路が形成されることを特徴とする。
【0016】
第10の発明は、前記隆起部には、頂部から前記底部に向かって傾斜する傾斜面が形成され、前記傾斜面における前記球誘導部に対峙する位置には、遊技球を前記球誘導部に向けて案内する球案内部が窪んで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、箱本体に貯留された遊技球を遊技機の球貯留部に注ぐ際に、遊技球を誘導する球誘導部が箱本体の内周に窪んで形成されるため、遊技球は一度球誘導部内に集合してから球貯留部へと注がれる。したがって、箱本体から流出する遊技球の流れが安定し、遊技球のこぼれを防止することができる。
【0018】
第2の発明によれば、箱本体の周壁の内周は球誘導部に向かって傾斜して形成されるため、箱本体を遊技機の球貯留部に向けて傾けた場合には、周壁の傾斜によって箱本体内の遊技球を効率良く球誘導部に導くことができる。
【0019】
第3の発明によれば、球誘導部は球貯留部に対応するように長壁の一側に寄って形成されるため、遊技者は、遊技球貯留箱を遊技機と平行に持ち上げ、傾けるだけで遊技球を球貯留部に注ぐことができる。このため、遊技者が遊技球貯留箱を持ち上げ、遊技球を球貯留部に注ぐ際、不自然な姿勢となることがなく、隣りの遊技者に迷惑をかけることがない。
【0020】
第4の発明によれば、箱本体の周壁の頂部には遊技球が転動可能な段状のレール部が形成され、レール部は球誘導部に連通するため、箱本体の遊技球貯留量が多く、箱本体から溢れそうになった遊技球は、レール部を転動して球誘導部の近傍へと誘導される。このように、レール部によって、箱本体の遊技球を球誘導部の近傍に集めることができ、箱本体の遊技球を球貯留部に注ぐ際に効率良く注ぐことができる。
【0021】
第5の発明によれば、取手は箱本体の短壁に形成されるのに対して、球誘導部は箱本体の長壁に形成されるため、遊技者が掴む部位と遊技球が排出される部位とが遊技球貯留箱の異なる面に形成されることになる。したがって、箱本体に貯留された遊技球を球貯留部に注ぐ際、取手が邪魔となることがなく、遊技球のこぼれを防止することができる。
【0022】
第6の発明によれば、一方の球誘導部は長壁内周の一側に寄って形成され、他方の球誘導部は長壁内周の他側に寄って形成されるため、いずれの長壁を遊技機に対向させて遊技球貯留箱を置いたとしても、球誘導部は球貯留部に対応する位置となるため、遊技球貯留箱の向きを気にすることなく使用することができる。
【0023】
第7及び第8の発明によれば、箱本体に貯留された遊技球を球貯留部に注ぐ際、箱本体の遊技球を確実に球誘導部へと導くことができるため、遊技球のこぼれをより防止することができる。
【0024】
第9の発明によれば、箱本体の底部に山状に隆起した隆起部が配設されるため、箱本体に貯留された遊技球は周壁の内周に沿って集められる。そして、箱本体を遊技機の球貯留部に向けて傾け、遊技球を球貯留部に注ぐ際には、箱本体に貯留された遊技球は、球誘導通路を転動して球誘導部へと導かれて球貯留部へと注がれる。
【0025】
第10の発明によれば、隆起部の傾斜面における球誘導部に対峙する位置には、遊技球を球誘導部に向けて案内する球案内部が形成されるため、箱本体に貯留される遊技球を球誘導部の近傍に集めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技球貯留箱が用いられる遊技機の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る遊技球貯留箱の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る遊技球貯留箱の平面図である。
【図4】(a)図3におけるA−A線に沿う断面図である。(b)図3におけるB−B線に沿う断面図である。
【図5】箱本体の遊技球貯留量が多い状態での遊技球の流れを示す遊技球貯留箱の平面図である。
【図6】箱本体の遊技球貯留量が少ない状態での遊技球の流れを示す遊技球貯留箱の平面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る遊技球貯留箱の平面図である。
【図8】図7におけるA−A線に沿う断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る遊技球貯留箱の斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る遊技球貯留箱における遊技球の流れを示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る遊技球貯留箱の平面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る遊技球貯留箱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る遊技球貯留箱100が用いられる遊技機1について説明する。図1は遊技機1の斜視図である。
【0029】
遊技機1は、遊技場に設置される島設備に基枠3を介して固定される。基枠3には、前面枠2がヒンジ4を介して一側部を支点に開閉自在に取り付けられる。
【0030】
前面枠2は、略正方形状の開口部を有し、その開口部には遊技盤(図示省略)が取り付けられる。また、前面枠2には、ガラス枠6がヒンジを介して一側部を支点に開閉自在に取り付けられ、ガラス枠6の開口部には透明なカバーガラス7が取り付けられる。遊技者は、カバーガラス7を通じて遊技盤の遊技領域を視認することができる。
【0031】
前面枠2の下方には、遊技盤の遊技領域内に遊技球(パチンコ球)を1つずつ順次発射する発射装置(図示省略)の発射操作部15、球貯留部16aを有し遊技球を発射装置に案内する上皿16、上皿16の球貯留部16aをオーバーフローした遊技球を貯留可能な下皿17、音出力装置18(スピーカ)、及び灰皿19等が配設される。
【0032】
遊技機1は、遊技者の操作に基づいて発射装置(図示省略)から遊技球を発射させ、遊技盤の遊技領域内を流下させることにより遊技を行うものである。
【0033】
発射装置によって打ち出され遊技領域に導かれた遊技球は、遊技領域内の各所に配置された風車や釘等の方向変換部材によって落下方向を変えながら遊技領域を流下し、始動口、一般入賞口、又は特別変動入賞装置(大入賞口)等の各種入賞口に入賞するか、遊技領域の最下部に設けられたアウト口から排出される。
【0034】
入賞口に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出装置(図示省略)から上皿16に排出される。
【0035】
払出装置は、不正行為を防止するために、前面枠2の回動支点側(図1では遊技機1の左側部)に配設されるのが一般的である。そのため、図1に示すように、払出装置の排出口10は遊技機1の左側部に配設され、それに合わせて上皿16も遊技機1の左側部に配設される。このように、上皿16は、遊技機1の一側に寄って配設されるのが一般的である。
【0036】
次に、主に、図2〜図4を参照して、遊技球貯留箱100について説明する。図2は遊技球貯留箱100の斜視図であり、図3は遊技球貯留箱100の平面図であり、図4(a)は図3におけるA−A線に沿う断面図であり、図4(b)は図3におけるB−B線に沿う断面図である。
【0037】
遊技球貯留箱100は、遊技者が遊技機1にて遊技を行って獲得した遊技球を貯留しておくための箱であり、合成樹脂にて形成される。図1に示すように、遊技球貯留箱100は、遊技中、下皿17の下方に置かれる。下皿17の前部には、下皿17の底面の排出口17aを開放するためのレバー17bが設けられる。遊技者がレバー17bを操作することによって、下皿17の排出口17aが開放し、下皿17に貯留された遊技球は排出口17aから排出されて遊技球貯留箱100に貯留される。
【0038】
図2〜図4に示すように、遊技球貯留箱100は、上部が開放され遊技球が貯留される遊技球貯留空間20bを有する箱本体20を備える。
【0039】
箱本体20は、平面視で細長い形状であり、開口部20aを有する有底箱状体である。箱本体20は、長板状の底部21と、底部21の外周縁から立設する周壁22とを備える。底部21と周壁22によって遊技球貯留空間20bが区画される。
【0040】
周壁22は、対向する一対の長壁22a,22bと、対向する一対の短壁22c,22dとからなる。周壁22は、開口部20aに向かって外側に傾斜して形成され、具体的には、開口部20aの面積が底部21の面積よりも大きくなるように傾斜している。したがって、遊技球が貯留されていない空の遊技球貯留箱100を重ねる場合、上方の遊技球貯留箱100の底部21が下方の遊技球貯留箱100の開口部20a内に入り込み、コンパクトに重ねることができる。
【0041】
箱本体20の開口縁部には、外側に向かって延在する鍔部23が箱本体20の外周全体に亘って形成される。鍔部23の上面23aは平面状に形成され、上面23aに遊技球が留まることが防止される。
【0042】
短壁22c,22dの外周には、遊技者が遊技球貯留箱100を運ぶ際に手を掛ける取手25が鍔部23と連続して形成される。取手25も、鍔部23と同様に、外側に向かって延在し、上面25aは平面状に形成される。
【0043】
上皿16の球貯留部16a内の遊技球が少なくなると、遊技者は、箱本体20に貯留された遊技球を球貯留部16aに移す場合がある。具体的には、箱本体20の遊技球貯留量が多い場合には、遊技者は手で直接遊技球を掴んで球貯留部16aに移す場合が多い。また、箱本体20の遊技球貯留量が少ない場合には、遊技者は取手25に手を掛けて遊技球貯留箱100を持ち上げ、箱本体20を球貯留部16aに向けて傾けて遊技球を球貯留部16aに注ぐ場合もある。
【0044】
箱本体20を傾けて箱本体20に貯留された遊技球を球貯留部16aに注ぐ際、遊技球がこぼれるおそれがある。そこで、長壁22aの内周には、箱本体20に貯留された遊技球を球貯留部16aに注ぐ際に、遊技球を誘導する球誘導部27aが形成される。
【0045】
球誘導部27aは、円弧状に窪んで形成され、開口部20aに向かって曲率半径が大きく形成される。また、開口部20aに向かって外側に傾斜して形成される。
【0046】
球誘導部27aは、遊技球貯留箱100を長壁22aが遊技機1に対向するように置いた場合に(図1に示す状態)、上皿16に対応するように、長壁22aの一側に寄って形成される。具体的には、図1に示すように、上皿16は遊技機1の左側部に配設されるため、球誘導部27aもそれに対応して形成される。
【0047】
長壁22aに対向する長壁22bにも、球誘導部27aと同形状の球誘導部27bが形成される。このように、球誘導部27は、対向する長壁22a,22bのそれぞれに形成される。なお、球誘導部27aと球誘導部27bを総称する場合には、「球誘導部27」と称する。
【0048】
球誘導部27bは、遊技球貯留箱100を長壁22bが遊技機1に対向するように置いた場合に、上皿16に対応するように、長壁22aの他側に寄って形成される。このように、球誘導部27aと球誘導部27bは、互いに逆側に形成される。具体的には、球誘導部27aと球誘導部27bは、底部21の中央部O(図3参照)を中心として対称位置に形成される。
【0049】
このように、球誘導部27aと球誘導部27bは対称位置に形成されるため、遊技球貯留箱100を重ねる場合、遊技球貯留箱100の向きを気にすることなく重ねることができる。
【0050】
長壁22aの内周は、箱本体20の長壁22aを上皿16の球貯留部16aに向けて傾けた場合に、遊技球が球誘導部27aに向かって導かれるように球誘導部27aに向かって傾斜して形成される。長壁22bの内周も、同様に球誘導部27bに向かって傾斜して形成される。
【0051】
また、短壁22c及び短壁22dの内周は、中央部を境にして長壁22a及び長壁22bに向かって、くの字状に傾斜して形成される。これにより、箱本体20を上皿16の球貯留部16aに向けて傾けた場合には、短壁22c及び短壁22dの内周は遊技球を長壁22a及び長壁22bに向けて誘導可能となる。
【0052】
周壁22の頂部には、遊技球が転動可能な段状のレール部29が形成される。具体的には、レール部29は、周壁22と鍔部23の境界に、開口部20aの外縁全周に亘って形成される。
【0053】
レール部29は、鍔部23よりも低く、かつ遊技球1個が転動可能な幅に形成される。レール部29は、球誘導部27a及び球誘導部27bにも形成される。このように、レール部29は、球誘導部27a及び球誘導部27bに連通して形成される。
【0054】
また、レール部29は、球誘導部27a及び球誘導部27bに向かって下り傾斜して形成される。レール部29の最高部29aは、短壁22c及び短壁22dの中央部に位置する。つまり、レール部29は、最高部29aから最低部である球誘導部27a及び球誘導部27bのそれぞれに向かって下り傾斜して形成される。このように、レール部29は、転動する遊技球を球誘導部27a及び球誘導部27bに導くように形成される。
【0055】
次に、主に、図5及び図6を参照して、遊技球貯留箱100の使用方法について説明する。図5は箱本体20の遊技球貯留量が多い状態での遊技球の流れを示す遊技球貯留箱100の平面図であり、図6は箱本体20の遊技球貯留量が少ない状態での遊技球の流れを示す遊技球貯留箱100の平面図である。
【0056】
図5に示すように、箱本体20の遊技球貯留量が多い場合には、箱本体20から溢れそうになった遊技球は、レール部29を転動して球誘導部27a及び球誘導部27bの近傍へと誘導される。このように、レール部29によって、箱本体20に貯留された遊技球を球誘導部27a及び球誘導部27bの近傍に集めることができ、箱本体20に貯留された遊技球を上皿16に注ぐ際に効率良く注ぐことができる。
【0057】
箱本体20の遊技球貯留量が少ない場合には、遊技者は、取手25に手を掛けて遊技球貯留箱100を持ち上げ、箱本体20に貯留された遊技球を上皿16に注ぐ場合がある。これについて説明する。なお、以下では、遊技球貯留箱100が図1に示すように、長壁22aを遊技機1に対向させた状態で置かれている場合について説明する。
【0058】
球誘導部27aは、上皿16に対応するように長壁22aの一側に寄って形成されるため、遊技者は、遊技球貯留箱100の向きを変えることなく、遊技球貯留箱100を遊技機1と平行状態を保ったまま持ち上げることによって、球誘導部27aを上皿16の球貯留部16aに対峙させることができる。
【0059】
この状態で、箱本体20を球貯留部16aに向けて傾けると、図6に示すように、長壁22aの傾斜によって箱本体20内の遊技球は球誘導部27aに導かれる。このように、箱本体20内の遊技球は一度球誘導部27aに集合する。そして、その後、球誘導部27a内の傾斜によって球誘導部27aから外部へと排出され、球貯留部16aに注がれる。
【0060】
このように、遊技球は一度球誘導部27a内に集合してから球貯留部16aへと注がれるため、箱本体20から流出する遊技球の流れが安定し、遊技球のこぼれが防止される。
【0061】
また、球誘導部27aは、上皿16に対応するように長壁22aの一側に寄って形成されるため、遊技者は、遊技球貯留箱100を遊技機1と平行に持ち上げ、傾けるだけで遊技球を球貯留部16aに注ぐことができる。このため、遊技者が遊技球貯留箱100を持ち上げ、遊技球を球貯留部16aに注ぐ際、不自然な姿勢となることがなく、隣りの遊技者に迷惑をかけることがない。
【0062】
また、取手25は短壁22c,22dに形成されるのに対して、球誘導部27a,27bは長壁22a,22bに形成されるため、遊技者が掴む部位と遊技球が排出される部位とが遊技球貯留箱100の異なる面に形成される。したがって、箱本体20に貯留された遊技球を球貯留部16aに注ぐ際、取手25が邪魔となることがなく、遊技球のこぼれを防止することができる。
【0063】
また、長壁22bにも球誘導部27aとの対称位置に球誘導部27bが形成されるため、遊技球貯留箱100が長壁22bを遊技機1に対向させた状態で置かれている場合も、球誘導部27bは球貯留部16aに対応する位置となる。したがって、上記と同様の方法にて箱本体20内の遊技球を球貯留部16aに注ぐことができる。このように、球誘導部27aと球誘導部27bは対称位置に形成されるため、遊技球貯留箱100の向きを気にすることなく使用することができる。
【0064】
なお、以上では、球誘導部27aと球誘導部27bは、底部21の中央部Oを中心として対称位置に形成されると説明した。しかし、球誘導部27aと球誘導部27bは、長壁22a及び長壁22bに互いに対向するように形成してもよい。このように構成すれば、遊技球貯留箱100を重ねる場合において、上下の遊技球貯留箱100を180度回転させて重ねると、上方の遊技球貯留箱100の底部21が下方の遊技球貯留箱100の開口部20a内に入り込まない。そのため、遊技球貯留箱100を高く積み重ねることができ、遊技球で一杯になった遊技球貯留箱100を高く積み重ね、他の遊技者に出球をアピールすることができる。このように、遊技球貯留箱100を大賞したとき(大量の出球を獲得したとき)のディスプレイとして用いることが可能となる。
【0065】
以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0066】
箱本体20の周壁22の内周には球誘導部27が窪んで形成されるため、箱本体20に貯留された遊技球を上皿16の球貯留部16aに注ぐ際には、遊技球は一度球誘導部27内に集合してから球貯留部16aへと注がれる。したがって、箱本体20から流出する遊技球の流れが安定し、遊技球のこぼれを防止することができる。
【0067】
(第2の実施の形態)
次に、図7〜図10を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る遊技球貯留箱200について説明する。図7は遊技球貯留箱200の平面図であり、図8は図7におけるA−A線に沿う断面図であり、図9は遊技球貯留箱200の斜視図であり、図10は遊技球貯留箱200における遊技球の流れを示す図である。
【0068】
本第2の実施の形態に係る遊技球貯留箱200において、上記第1の実施の形態に係る遊技球貯留箱100と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。以下では、上記第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
箱本体20の底部21には、所定の高さを有する平板状の第1隆起部31が配設される。第1隆起部31の外周形状は、周壁22の内周形状と略相似に形成される。
【0070】
また、底部21には、第1隆起部31の外周と周壁22の内周との間に、第1隆起部31を取り囲むようにして、所定の高さを有する環状の第2隆起部32が配設される。第2隆起部32の形状も、第1隆起部31と同様に、周壁22の内周形状と略相似に形成される。
【0071】
第1隆起部31及び第2隆起部32は合成樹脂にて形成されるが、スポンジのような柔らかい物質によって形成してもよい。
【0072】
周壁22の内周と第2隆起部32の外周との間には、遊技球が1個転動可能な幅を有し、球誘導部27a及び球誘導部27bへと遊技球を誘導するための第1球誘導通路34が形成されると共に、第2隆起部32の内周と第1隆起部31の外周との間にも、遊技球が1個転動可能な幅を有し、球誘導部27a及び球誘導部27bへと遊技球を誘導するための第2球誘導通路35が形成される。
【0073】
第1隆起部31の外周形状及び第2隆起部32の形状は、周壁22の内周形状と略相似に形成されるため、第1球誘導通路34及び第2球誘導通路35は、転動する遊技球を球誘導部27a及び球誘導部27bに誘導するように、球誘導部27a及び球誘導部27bに向けて傾斜して形成される。
【0074】
遊技球貯留箱200は以上のように構成され、箱本体20の遊技球貯留量が少ない状態で、箱本体20の長壁22aを上皿16の球貯留部16aに向けて傾け、遊技球を球貯留部16aに注ぐ際には、図10に示すように、第1球誘導通路34上の遊技球は、第1球誘導通路34を転動して球誘導部27aへと導かれて球貯留部16aへと注がれる。また、第2球誘導通路35上の遊技球は、第2球誘導通路35を転動して球誘導部27aに対峙する第2隆起部32の最下流部32aを飛び越えて球誘導部27aへと導かれて球貯留部16aへと注がれる。
【0075】
なお、第2隆起部32の最下流部32aに、遊技球が1個通過可能な程度の切り欠きを形成し、その切り欠きを通じて遊技球を球誘導部27aへと導くようにしてもよい。
【0076】
以上の実施の形態によれば、箱本体20に貯留された遊技球を上皿16の球貯留部16aに注ぐ際、箱本体20に貯留された遊技球を確実に球誘導部27へと導くことができるため、遊技球のこぼれをより防止することができる。
【0077】
なお、以上では、箱本体20の底部21に第1隆起部31及び第2隆起部32を配設すると説明したが、第1隆起部31及び第2隆起部32の一方のみを配設するようにしてもよい。
【0078】
また、遊技球が衝突した場合の衝撃を吸収する衝撃吸収部材(例えば、スポンジのような柔らかい物質)の外周形状を周壁22の内周形状と略相似に形成して底部21に嵌め込み、この衝撃吸収部材の上面に第1隆起部31及び第2隆起部32を形成するようにしてもよい。これにより、第1隆起部31及び第2隆起部32によって遊技球が球誘導部27へ導かれるようになるとともに、遊技球が下皿17等から箱本体20内に流入したときの衝撃が吸収されてその遊技球が底部21から箱本体20外へ飛び出してしまうことが防止され、さらに遊技球が底部21に衝突したときに発生する騒音を抑えることができるようになる。
【0079】
(第3の実施の形態)
次に、図11及び図12を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る遊技球貯留箱300について説明する。図11は遊技球貯留箱300の平面図であり、図12は遊技球貯留箱300の斜視図である。
【0080】
本第3の実施の形態に係る遊技球貯留箱300において、上記第1の実施の形態に係る遊技球貯留箱100と同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。以下では、上記第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
箱本体20の底部21には、平面視で細長い形状であり、山状に隆起した隆起部41が配設される。隆起部41は合成樹脂にて形成されるが、スポンジのような柔らかい物質によって形成してもよい。
【0082】
隆起部41の頂部41aは遊技球貯留箱300の長手方向に延在し、隆起部41には、頂部41aから底部21に向かって下り傾斜する傾斜面41bが形成される。傾斜面41bにおける球誘導部27a及び球誘導部27bに対峙する位置には、遊技球を球誘導部27a及び球誘導部27bに向けて案内する球案内部42a,42bが円弧状に窪んで形成される。
【0083】
周壁22の内周と隆起部41の外周との間には、遊技球が1個転動可能な幅を有し、球誘導部27a及び球誘導部27bへと遊技球を誘導するための球誘導通路43が形成される。なお、隆起部41の外周形状を周壁22の内周形状と略相似に形成するようにしてもよい。
【0084】
遊技球貯留箱300は以上のように構成され、箱本体20の底部21には山状に隆起した隆起部41が配設されるため、箱本体20の遊技球貯留量が少ない状態では、遊技球は球誘導通路43上に位置する。また、下皿17等から箱本体20内に流入した遊技球は、隆起部41の傾斜面41bを下って球誘導通路43へと導かれる。さらに、傾斜面41bを下る遊技球のうち球案内部42a,42bに嵌った遊技球は、球案内部42a,42bを転動して球誘導部27a及び球誘導部27bの近傍へと誘導される。このように、球案内部42a,42bによって、箱本体20に貯留される遊技球を球誘導部27a及び球誘導部27bの近傍に集めることができる。
【0085】
このようにして、箱本体20に貯留された遊技球は周壁22の内周に沿って集められる。そして、箱本体20の長壁22aを上皿16の球貯留部16aに向けて傾け、遊技球を球貯留部16aに注ぐ際には、箱本体20に貯留された遊技球は、球誘導通路43を転動して球誘導部27aへと導かれて球貯留部16aへと注がれる。
【0086】
また、遊技球が衝突した場合の衝撃を吸収する衝撃吸収部材(例えば、スポンジのような柔らかい物質)の外周形状を周壁22の内周形状と略相似に形成して底部21に嵌め込み、この衝撃吸収部材の上面に隆起部41を形成するようにしてもよい。これにより、隆起部41に形成された球案内部42a,42bによって遊技球が球誘導部27の近傍へと導かれるようになるとともに、遊技球が下皿17等から箱本体20内に流入したときの衝撃が吸収されてその遊技球が底部21から箱本体20外へ飛び出してしまうことが防止され、さらに遊技球が底部21に衝突したときに発生する騒音を抑えることができるようになる。
【0087】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の遊技球貯留箱が用いられる遊技機は、上記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
100,200,300 遊技球貯留箱
1 遊技機
2 前面枠
16 上皿
16a 球貯留部
17 下皿
17a 排出口
20 箱本体
21 底部
22 周壁
27,27a,27b 球誘導部
29 レール部
31 第1隆起部
32 第2隆起部
34 第1球誘導通路
35 第2球誘導通路
41 隆起部
41b 傾斜面
42a 球案内部
43 球誘導通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を貯留可能な遊技球貯留箱であって、
上部が開放され遊技球が貯留される遊技球貯留空間を有する箱本体を備え、
前記箱本体に貯留された遊技球を遊技機の球貯留部に注ぐ際に、遊技球を誘導する球誘導部が前記箱本体の周壁の内周に窪んで形成されることを特徴とする遊技球貯留箱。
【請求項2】
前記箱本体の周壁の内周は、前記箱本体を前記遊技機の前記球貯留部に向けて傾けた場合に、遊技球が前記球誘導部に向かって導かれるように傾斜して形成されることを特徴とする請求項1に記載の遊技球貯留箱。
【請求項3】
前記箱本体は、平面視で細長い形状であり、
前記球誘導部は、前記箱本体の周壁のうち長壁内周に形成され、かつ前記遊技機の前記球貯留部に対応するように一側に寄って形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技球貯留箱。
【請求項4】
前記箱本体の周壁の頂部には、遊技球が転動可能な段状のレール部が形成され、
前記レール部は前記球誘導部に連通することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の遊技球貯留箱。
【請求項5】
前記箱本体の周壁のうち短壁外周には、遊技者が遊技球貯留箱を運ぶ際に手を掛ける取手が形成されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の遊技球貯留箱。
【請求項6】
前記球誘導部は、前記箱本体の周壁のうち対向する長壁内周のそれぞれに形成され、
一方の球誘導部は長壁内周の一側に寄って形成され、他方の球誘導部は長壁内周の他側に寄って形成されることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一つに記載の遊技球貯留箱。
【請求項7】
前記箱本体の底部には、前記球誘導部へと遊技球を誘導するための球誘導通路が形成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の遊技球貯留箱。
【請求項8】
前記底部には、外周形状が前記周壁の内周形状と略相似に形成された隆起部が配設され、
前記周壁と前記隆起部との間にて前記球誘導通路が形成されることを特徴とする請求項7に記載の遊技球貯留箱。
【請求項9】
前記箱本体の底部には、山状に隆起した隆起部が配設され、
前記周壁と前記隆起部との間にて、前記球誘導部へと遊技球を誘導するための球誘導通路が形成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の遊技球貯留箱。
【請求項10】
前記隆起部には、頂部から前記底部に向かって傾斜する傾斜面が形成され、
前記傾斜面における前記球誘導部に対峙する位置には、遊技球を前記球誘導部に向けて案内する球案内部が窪んで形成されることを特徴とする請求項9に記載の遊技球貯留箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−166108(P2012−166108A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135743(P2012−135743)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2009−1583(P2009−1583)の分割
【原出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000132747)株式会社ソフイア (2,465)
【Fターム(参考)】