説明

遊技用携帯端末、及び遊技用プログラム

【課題】目押しを補助することにより遊技者を支援する遊技用携帯端末を提供すること。
【解決手段】遊技用携帯端末1は、複数種類の図柄を変動表示中の図柄表示領域を撮像して図柄変動画像を取得する撮像手段11と、撮像手段11が撮像した図柄変動画像の中から特定の図柄を検出する図柄検出手段217と、図柄が一巡する周期時間を記憶する記憶手段231と、特定の図柄の検出タイミング及び周期時間に基づいて特定の図柄を停止表示可能な停止操作タイミングを計算するタイミング計算手段219と、停止操作タイミングを報知する報知手段151と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の遊技に活用される遊技用携帯端末、及び遊技用携帯端末を動作させる遊技用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、ゲームの開始操作に応じて内部抽選を実行し、図柄変動を開始する。そして、停止ボタンが操作されたときに、内部抽選の結果に応じて引き込み可能な図柄を停止する。スロットマシンの遊技では、役が内部当選しても引き込み可能なタイミングで停止操作がされない限り、その役が入賞することがない。
【0003】
遊技者の中には特定の図柄を狙って停止操作を行う、いわゆる目押しを苦手にする者も多数存在している。ボーナス役が内部当選しても自力で入賞させることができない遊技者も存在している。このような問題を解決するための技術として、目押しタイミングを発光や発音によって遊技者に報知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、従来の目押しタイミングの報知は、スロットマシン自体が行う報知であるため、当然ながら、スロットマシン自体にこのような報知機能が搭載されていない場合、上記のごとく目押しの苦手な遊技者にとって不利になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58−177679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、目押し補助機能を具備しないスロットマシンの遊技において、目押しを補助することにより遊技者を支援する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、遊技者によるゲームの開始操作に応じて内部抽選を実行すると共に図柄表示領域において複数種類の図柄を所定の配列に従って変動表示し、遊技者による停止操作がされた場合に内部抽選の結果に応じた図柄を予め規定された引込範囲内で引き込んで前記図柄表示領域に停止表示するスロットマシンの遊技に使用される遊技用携帯端末であって、
前記複数種類の図柄を変動表示中の図柄表示領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像である図柄変動画像の中から特定の図柄を検出する図柄検出手段と、
前記複数種類の図柄が前記所定の配列に従って一巡する周期時間を記憶する記憶手段と、
図柄の変動表示中において前記周期時間毎に前記特定の図柄が前記図柄表示領域に現れることに基づき、前記特定の図柄を前記図柄表示領域に引き込み可能な停止操作タイミングを報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする遊技用携帯端末として把握される。
【0008】
本発明の一態様は、遊技者によるゲームの開始操作に応じて内部抽選を実行すると共に図柄表示領域において複数種類の図柄を所定の配列に従って変動表示し、遊技者による停止操作がされた場合に内部抽選の結果に応じた図柄を予め規定された引込範囲内で引き込んで前記図柄表示領域に停止表示するスロットマシンの遊技に使用される遊技用携帯端末で実行される遊技用プログラムであって、
前記複数種類の図柄を変動表示中の図柄表示領域を撮像する撮像ステップと、
該撮像ステップで撮像された画像である図柄変動画像の中から特定の図柄を検出する図柄検出ステップと、
図柄の変動表示中において前記複数種類の図柄が前記所定の配列に従って一巡する周期時間毎に前記特定の図柄が前記図柄表示領域に現れることに基づき、前記特定の図柄を前記図柄表示領域に引き込み可能な停止タイミングを報知する報知ステップと、を含むことを特徴とする遊技用プログラムとして把握される。
【0009】
本発明に係る遊技用携帯端末は、変動表示中の図柄を撮像し、前記図柄変動画像の中から特定の図柄を検出する。そして、この特定の図柄の検出タイミング、及び図柄が一巡する前記周期時間に基づいて、前記特定の図柄を停止表示させ得る前記停止操作タイミングを計算により求め、遊技者側に報知する。
【0010】
本発明に係る遊技用携帯端末により変動表示中の前記図柄表示領域を撮像すれば、特定の図柄を停止表示させるための前記停止操作タイミングの報知を受けることが可能である。
【0011】
本発明に係る遊技用携帯端末を利用するスロットマシンとしては、メダルやコイン等の遊技媒体を遊技価値として使用するスロットマシンでも良いが、遊技媒体を使用しない、いわゆる完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。さらに、スロットマシンの場合であれば、パチンコ玉を遊技媒体として使用するパロット(R)であっても良い。
【0012】
本発明における好適な一態様の遊技用携帯端末装置は、前記図柄変動画像を利用して前記周期時間を特定する周期特定手段を備え、
前記記憶手段は、前記周期特定手段が特定した周期時間を記憶する。
本発明における好適な一態様の遊技用プログラムは、前記図柄変動画像を利用して前記周期時間を特定する周期特定ステップを含んでいる。
これらの場合には、図柄が一巡する前記周期時間の機種毎の違いや、個体差による微妙なばらつきに対応可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例における、遊技用携帯端末の利用方法を示す説明図。
【図2】実施例における、スロットマシンを示す正面図。
【図3】実施例における、リールの外周に配置された図柄の配列を示す展開図。
【図4】実施例における、スロットマシンの役、入賞図柄、利益を示す説明図。
【図5】実施例における、スロットマシンの電気的構成を示すブロック図。
【図6】実施例における、遊技用携帯端末を示す正面図。
【図7】実施例における、遊技用携帯端末を示す背面図。
【図8】実施例における、遊技用携帯端末の電気的構成を示すブロック図。
【図9】実施例における、遊技用携帯端末の機能選択画面を示す正面図。
【図10】実施例における、周期特定の原理を説明する説明図。
【図11】実施例における、対象図柄設定の手順を示す説明図。
【図12】実施例における、停止操作タイミングを報知する様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、スロットマシン(遊技機)5の遊技に有用な携帯端末(遊技用携帯端末)1に関する例である。この内容について、図1〜図12を用いて説明する。
【0015】
本例の携帯端末1は、図1のごとく、スロットマシン5の遊技を支援する端末である。この携帯端末1で変動表示中の図柄を撮像すれば、特定の図柄を停止表示させるための目押しタイミング(停止操作タイミング)の報知を受けることが可能である。以下、この内容について説明する。
【0016】
まず、本例の携帯端末1を適用するスロットマシン5について説明する。スロットマシン5の前面部分は、図2のごとく、略矩形状の図柄表示窓51を略中央に設けた前面枠体50によって形成されている。前面枠体50は、向かって左側に設けられたヒンジ(図示略)を介して回動可能な状態で台枠に固定されている。
【0017】
前面枠体50では、図柄表示窓51の上側に、液晶表示部638が配置されている。液晶表示部638の両側には、装飾ランプ56及びスピーカ57が配設されている。図柄表示窓51の下側には、スロットマシン5の基部をなすベース部500が形成されている。図柄表示窓51の右側には、メダルの付与数を表示する付与数表示部551、及びクレジット数を表示するクレジット表示部552が配置されている。
【0018】
ベース部500は、遊技者から奥まって位置する図柄表示窓51に相対して張り出すように形成されている。ベース部500は、図柄表示窓51に隣り合う上端部に棚面状の操作面54を有し、下端部にメダルの受け皿55を有し、操作面54の下側に隣接して操作パネル53を有している。
【0019】
操作面54には、クレジット機能によりクレジット(貯留)されたメダルを投入するためのベットボタン64と、クレジットされたメダルを払い出させるための精算ボタン65と、メダルを直接投入するためのメダル投入口630と、が配置されている。操作パネル53には、リール52の図柄変動を開始させるためのスタートレバー62、図柄変動を停止させるためのストップボタン61が配置されている。
【0020】
図柄表示窓51は、図柄表示領域510L、C、Rを含む表示窓である。各図柄表示領域510L、C、Rは、いずれも3図柄分の図柄表示領域である。図柄表示窓51全体では、3行3列よりなる2次元マトリクス状に配置された9図柄分の図柄表示領域が形成されている。2次元マトリクス状に9個の図柄525が配置される図柄表示領域においては、入賞の対象となる入賞図柄の並び方向である入賞ライン511〜515が設定されている。
【0021】
各図柄表示領域510L、C、Rの裏側には、リール52L、C、Rがそれぞれ配置されている。リール52L、C、Rは、図3のごとく、円柱形状の外周面に略一定の間隔を空けて21個の図柄525が配置された回転式のリールである。リール52L、C、Rにそれぞれ個別に対応するストップボタン61として、左ストップボタン61L、中ストップボタン61C、右ストップボタン61Rが設けられている。
液晶表示部638は、ボーナスの確定報知演出をはじめとして遊技を演出するための各種の演出画面等を表示する。
【0022】
スロットマシン5では、図4のごとく、2種類のボーナス役(BB役、RB役)のほか、9枚役や5枚役等の小役、リプレイ役が設定されている。同図では、左列に各役の名称を、中列に各役に対応する図柄525の組合せである入賞図柄を、右列に入賞に応じて遊技者に付与される利益を示してある。
【0023】
スロットマシン5の電気的な構成は、図5に示す通りである。スロットマシン5は、主制御部58を中心として電気的に構成されている。主制御部58に対しては、スタートレバー62、ストップボタン61、ベットボタン64及び精算ボタン65等のほか、メダル投入口630(図2)から投入されたメダルを検知する投入メダル検知部63、リール52と共に図柄変動表示手段520を構成するリール駆動部521、リール52の回転位置を検知する基準位置検知部632、メダルを受け皿55に払い出すメダル払出部633、付与数表示部551やクレジット表示部552(図2)を含む各種表示部634、遊技者の有利度合いを表す設定値を設定するための設定値操作部68、各種の信号を出力する信号出力部635、遊技演出を制御する副制御部59等が電気的に接続されている。この副制御部59には、装飾ランプ56等の装飾ランプ部636、スピーカ57を制御する音声出力部637、液晶表示部638等が電気的に接続されている。
【0024】
リール駆動部521は、ステップ単位で制御可能なステッピングモータ(図示略)を含み、このステッピングモータの回転駆動力によりリール52を回転駆動する駆動部である。本例では、リール52の回転周期が約0.75秒(周期時間)となっている。機種によっては、回転周期が0.75秒よりも短かったり、長かったりする場合もある。
【0025】
基準位置検知部632は、各リール52L、C、Rについて基準位置片の通過を検知する毎に検知信号を出力する検知部である。
設定値操作部68は、設定キー680を利用して、ボーナス役及び小役の内部当選確率が異なる6段階の設定値を変更するための操作部である。
【0026】
主制御部58は、図5のごとく、CPU(Central Processing Unit)581と、メモリ手段であるROM(Read Only Memory)583・RAM(Random Access Memory)584と、入出力インターフェースとしてのI/O(Input/Output)部582と、内部当選役抽選用の乱数を抽出する乱数抽出部585と、乱数を発生する乱数発生部586と、を有している。
【0027】
主制御部58は、内部当選役を抽選する内部抽選手段71、内部当選役に対応する内部当選フラグを制御するフラグ制御手段710、リール52を制御する表示制御手段72、入賞図柄を判定する入賞判定手段73、入賞に応じて利益を付与する利益付与手段74、ボーナス状態を発生させるボーナス状態発生手段75としての各機能を実現する。
【0028】
副制御部59は、CPU591、ROM593・RAM594、及びI/O部592等を備えている。副制御部59は、主制御部58から受信した制御信号に応じて液晶表示部638や音声出力部637等を制御する。
【0029】
主制御部58のROM583は、内部当選役の抽選に用いる内部当選役抽選テーブル、リール52の停止制御に用いるリール制御テーブル等を記憶している。
内部当選役抽選テーブルは、所定範囲(0〜65535)の内部当選役抽選用の乱数のうち、各役の当選乱数の範囲が規定されたデータテーブルである。内部当選役抽選テーブルとしては、通常状態に適用されるテーブルのほか、ボーナス状態に適用されるテーブルがある。通常状態用の内部当選役抽選テーブルは、設定値毎に用意されている。
【0030】
以上のような構成のスロットマシン5では、ベットボタン64の操作あるいはメダル投入口630へのメダル投入に応じて規定数のメダルがゲームに賭けられたときにゲームの開始が許可された状態となる。ゲームの開始が許可されるとスタートレバー62の操作に応じてゲームを開始できる。
【0031】
ゲームの開始が許可された状態でスタートレバー62が操作されたとき、乱数抽出部585は、乱数発生部586が発生する乱数(0〜65535)の中から内部当選役抽選用の乱数を抽出する。主制御部58は、この内部当選役抽選用の乱数を、内部当選役抽選テーブルに規定された各役の当選乱数と照合することにより内部抽選を実行し、内部当選役を決定する。内部当選役が決定された場合には、その内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる。なお、本例のスロットマシン5では、ボーナス役に対応する内部当選役であるボーナス役フラグが成立した場合には、液晶表示部638の演出により1/4の確率でその旨が確定告知される。
【0032】
主制御部58は、ゲームの開始が許可された状態でスタートレバー62が操作されたとき、リール駆動部521を構成するステッピングモータに制御パルスを入力し、1パルス毎に1ステップずつステッピングモータを回転させることで、リール52の図柄変動を開始させる。主制御部58は、ステッピングモータの回転中、リール駆動部521に入力した制御パルス数、すなわちステッピングモータが回転したステップ数をカウントする。このステップ数のカウンタ値は、各リール52の基準位置片の検知信号の取り込み毎にゼロリセットされ、直近の検知信号の後に生じたステップ数となる。
【0033】
図柄変動中にストップボタン61が操作されたとき、主制御部58は対応するリール52の図柄変動を停止させる。主制御部58は、リール52を停止させるに当たって、規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)等が定める所定の引込範囲内の図柄を入賞ライン上に停止させる、いわゆる引込制御を実行する。本例では、引込範囲として4図柄分に相当する範囲が設定されている。引込制御では、入賞ライン上に停止可能な停止位置が規定されたリール制御テーブルに対してストップボタン61が操作された時のステップ数が照合され、停止位置が決定される。引込範囲内に内部当選フラグに対応する図柄があれば、その図柄が停止位置として決定される。
【0034】
主制御部58は、リール52が停止した後、対応するステッピングモータ(リール駆動部521)のステップ数に基づいて入賞ライン511〜515(図2)上に停止した図柄525の種類を求める。全てのリール52が停止した後、3基のリール52L、C、Rを横断するように設定された入賞ライン511〜515上に停止した図柄の組合せが所定の入賞図柄であるか否かに応じて入賞役を判定する。
【0035】
主制御部58は、入賞が発生したとき、入賞役に対応する数のメダルを付与する。例えば、9枚役が入賞役である場合には9枚のメダルを付与する(図4参照。)。なお、ボーナス役以外の他の役の内部当選フラグについては、その内部当選フラグが初めて成立したゲームで入賞したか否かに関わらず次のゲームを開始するまでにオフ状態(ゼロ)にリセットされる。したがって、ボーナス役以外の各役が内部当選したゲームで入賞しなかった場合、全て取りこぼしとなる。一方、ボーナス役の内部当選フラグであるボーナス役フラグについては、内部当選フラグの成立状態が入賞するまで順次、次回のゲームに持ち越され、入賞に応じてオフ状態にリセットされる。
【0036】
主制御部58は、ボーナス役の入賞に応じてボーナス状態を発生させると共に、所定の終了条件の成立に応じてボーナス状態を終了させる。ボーナス状態としては、BB役の入賞に応じたBB状態(ビッグボーナス)と、RB役の入賞に応じたRB状態(レギュラーボーナス)がある。BB状態の終了条件は、付与したメダルが360枚を超過したことであり、RB状態の終了条件は、付与したメダルが120枚を超過したことである。
【0037】
次に、携帯端末1は、図6及び図7のごとく、厚さ1cm程度の平板状の端末である。その正面(図6参照。)には、液晶表示部151の表示画面150が配置され、その右側には、電源ボタン121が配置されている。携帯端末1の背面(図7参照。)には、撮像手段を構成するカメラ基板11(図8参照。)に固定されたレンズの開口部111が設けられている。
【0038】
液晶表示部151の表示画面150には、タッチセンサシート153が積層され、これにより、タッチ操作可能なタッチパネルが形成されている。また、本例の液晶表示部151は、目押しタイミング(停止操作タイミング)を報知する報知手段としての機能を備えている。この機能については、後で詳しく説明する。
【0039】
携帯端末1の内部には、図8のごとく、制御部20をなす電気回路が形成された制御基板が収容されている。制御部20に対しては、CCD素子やレンズ等が実装されたカメラ基板11、オーディオ用ICが実装されスピーカ131を駆動するアンプ基板133のほか、電源ボタン121、タッチセンサシート153、液晶表示部151等が電気的に接続されている。
【0040】
制御部20は、CPU21、記憶素子であるROM22・RAM23、及び入出力インタフェースをなすI/O部24等を備えている。I/O部24は、無線LAN機能を備えている。
ROM22は、CPU21に実行させる各種の処理プログラム(遊技用プログラム)を記憶している。
RAM23は、CPU21のワークエリアや一時書き込みにも利用される読み書き可能な記憶素子である。
【0041】
制御部20は、ROM22から読み出したプログラムをCPU21に実行させることにより、液晶表示部151を制御する表示制御手段211、図柄が一巡する周期時間(本例では、約0.75秒)を特定する周期特定手段213、周期特定又は手入力された周期時間を記憶する記憶手段231、図柄変動画像中の図柄を検出する図柄検出手段217、目押しタイミングを計算するタイミング計算手段219としての機能を実現する。
【0042】
周期特定手段213は、変動表示中の図柄表示領域510を撮像した図柄変動画像を利用し、図柄が一巡するのに要する変動時間である周期時間を特定する。
図柄検出手段217による図柄検出には、次の2種類がある。第1の図柄検出は、スロットマシン5が変動表示する全図柄の検出である。第2の図柄検出は、予め設定された特定の図柄の検出である。
【0043】
タイミング計算手段219は、特定の図柄を停止表示させるための目押しタイミングを計算する。本例のタイミング計算手段219は、前記第2の図柄検出による検出タイミングと、記憶手段231が記憶する周期時間と、に基づいて目押しタイミングを計算する。
【0044】
以上の通り構成された本例の携帯端末1は、電源ボタン121の操作に応じて、まず、図9の機能選択画面30を表示する。この機能選択画面30には、タイミング報知ボタン301、対象図柄設定ボタン302、周期設定ボタン303が配置されている。
【0045】
周期設定ボタン303は、図柄が一巡する周期時間を設定するための周期設定モードの起動ボタンである。周期設定モードでは、手入力ボタンと、周期特定ボタンと、が配置された図示しない周期設定画面が表示される。手入力ボタンがタッチ操作されたときには、周期時間を手入力するためのテンキー(図示略)が表示される。遊技中のスロットマシン5の周期時間を知っている遊技者であれば、このテンキーを利用して周期時間を手入力可能である。
【0046】
周期特定ボタンがタッチ操作された場合には、カメラ機能が起動する。変動表示中の図柄表示窓51全体が表示画面150に表示されるように携帯端末1を構えた後、表示画面150に表示されるシャッターボタン(図示略)をタッチ操作すると、1/30秒の間隔で2枚の図柄変動画像を取得できる(撮像ステップ)。
【0047】
時間的に先行する1枚目の図柄変動画像を対象とする画像処理では、図10のごとく、いずれかの図柄表示領域510が選択され、最上段の図柄525Aの中心位置x、及び2段目の図柄525Bとの距離yが計測される。また、時間的に後の2枚目の図柄変動画像を対象とする画像処理では、1枚目の図柄変動画像の最上段の図柄525Aについて、変位後の中心位置x’が計測される。周期時間T(s)は、次式によって計算される(周期特定ステップ)。
T(s)=21×y/{(x’−x)×30}
【0048】
前記対象図柄設定ボタン302は、目押し対象の図柄を設定する図柄設定モードの起動ボタンである。この対象図柄設定ボタン302がタッチ操作されると、まずカメラ機能が起動する。図柄表示窓51を見込むように携帯端末1を構えると、周期時間を超える所定時間に渡って1/30秒毎の複数枚の図柄変動画像が取得される(図11上段参照。)。そして、この複数枚の図柄変動画像に画像処理が施され、画像中に映り込んだ図柄が全て検出される。検出された図柄は、種類毎に分類され、下段の図柄選択画面31のごとく図柄525が1種類ずつ表示される。この図柄選択画面31においていずれかの図柄525をタッチ操作すれば、その図柄525を目押し対象の図柄として設定可能である。
【0049】
前記タイミング報知ボタン301は、目押しタイミングの報知モードの起動ボタンである。このタイミング報知ボタン301がタッチ操作された場合には、ビデオ機能が起動する。図柄表示窓51を見込むように携帯端末1を構えれば、左リール52L、中リール52C、右リール52Rの順番で、上記の図柄設定モードで設定した図柄の目押しタイミングの報知を受けられる。報知モードは、まず、左リール52Lについての報知を行い、左リール52Lに目押し対象の図柄が停止表示されると中リール52Cについての報知に切り替わり、中リール52Cに目押し対象の図柄が停止表示されると右リール52Rについての報知に切り替わる。そして、右リール52Rで図柄が停止表示されると報知が終了する。一方、左リール52Lあるいは中リール52Cで目押し対象の図柄を停止表示させることができなかった、すなわち目押し対象の図柄により入賞図柄が構成される役の入賞可能性が消滅したときはその時点で直ちに終了する。
【0050】
この報知モード下では、ビデオ機能により取得された図柄変動画像(図12上段)に順次、画像処理が施されて前記第2の図柄検出が実行される(図柄検出ステップ)。この第2の図柄検出は、図柄表示領域510の中段に当たる位置で目押し対象の図柄が検出されるまで順次、図柄変動画像を切り換えながら実行される。目押し対象の図柄が検出された場合には、検出元の図柄変動画像の撮像タイミング(検出タイミング)を基準として、記憶手段が231が記憶する周期時間毎のタイミングが計算される。このタイミングは、目押し対象の図柄が図柄表示領域510の中段を通過するタイミングである。報知モードでは、このタイミングを基準とした前記引込範囲に当たる範囲が、目押し対象の図柄を停止表示させ得る目押しタイミングとして計算される(タイミング計算ステップ)。
【0051】
携帯端末1の表示画面150には、対象とする図柄表示領域510が切り出し表示される領域表示欄320と、対応するリール52の一巡区間を表す垂直バー状のメータ321と、が配置された報知画面32が表示される(図12下段)。メータ321の右側には、目押し対象の図柄の周回位置を表す三角形状の目押しマーカ323が表示される。この目押しマーカ323は、リール52の回転に応じて上から下に向けて移動し、最下点に達したら最上点に復帰するという動作を繰り返す。その繰り返しの周期は、リールの回転周期と全く同期している。メータ321の真ん中辺りの色分けされた範囲322は、目押し対象の図柄を停止可能な操作範囲を示している。この範囲322に目押しマーカ323が位置するときが目押しタイミングとなり、このタイミングで対応するストップボタン61を操作すれば、目押し対象の図柄を停止表示できる(報知ステップ)。
【0052】
このように、本例の携帯端末1を利用すれば、特定の図柄を停止表示させる目押しタイミングの報知を受けることができる。この携帯端末1は、図柄の変動周期を表す周期時間や、対象のスロットマシン5が表示する図柄の種類を検出する機能を具備しているので、様々な機種のスロットマシンに利用可能な非常に汎用性の高い装置である。
【0053】
このように、本例の携帯端末1は、目押し補助機能を具備しないスロットマシン5の遊技において、目押しを補助することにより遊技者を支援する非常に有用な装置である。
【0054】
本例では、目押しするリール52において対象の図柄が複数配置されている場合、最初に検出された図柄を報知の対象としている。これに代えて、対象のリール52について目押し対象の図柄を全て検出し、引込範囲が最も広く目押しし易い図柄を対象として目押しタイミングを報知することも良い。
【0055】
本例の携帯端末1では、リール52の回転周期を表す周期時間を設定する際、手入力と周期特定とを選択可能である。周期時間の設定方法としては、手入力及び周期特定のいずれか一方のみであっても良い。さらに、携帯端末1が周期時間を予め記憶しているという構成を採用しても良い。
また、目押しタイミングの報知方法としては、本例に代えて、あるいは加えて、音や光による報知を採用することもできる。この場合には、目押し対象の図柄が検出された図柄変動画像の撮像タイミングを基準とし、その後、その図柄が図柄表示領域510に現れる周期期間毎のタイミングで音を発生させたり発光することが良い。なお、前記引込制御における引込範囲を考慮して、上記のタイミングよりも若干早めに発光等することも良い。
なお、本例では、回転式のリール52を採用したが、これに代えて、液晶表示された図柄を所定の配列に従って変動表示することも良い。
【0056】
携帯端末1としては、本例で説明したような機能を実現した専用機であっても良いが、ゲーム機やスマートフォン等、所定のソフトウェアをインストールすることで上記の機能を実現できる汎用機であっても良い。専用機の場合であれば、様々な機種の表示パターンテーブルを予め記憶させておくことも良い。
【0057】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0058】
1 遊技用携帯端末
11 カメラ基板(撮像手段)
150 表示画面
151 液晶表示部(報知手段)
20 制御部
21 CPU
211 表示制御手段
213 周期特定手段
217 図柄検出手段
219 タイミング計算手段
231 記憶手段
30 機能選択画面
301 タイミング報知ボタン
302 対象図柄設定ボタン
303 周期設定ボタン
31 図柄選択画面
32 報知画面
321 メータ
322 範囲
323 目押しマーカ
5 スロットマシン(遊技機)
51 図柄表示窓
510 図柄表示領域
520 図柄変動表示手段
525 図柄
61 ストップボタン
62 スタートレバー
638 液晶表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者によるゲームの開始操作に応じて内部抽選を実行すると共に図柄表示領域において複数種類の図柄を所定の配列に従って変動表示し、遊技者による停止操作がされた場合に内部抽選の結果に応じた図柄を予め規定された引込範囲内で引き込んで前記図柄表示領域に停止表示するスロットマシンの遊技に使用される遊技用携帯端末であって、
前記複数種類の図柄を変動表示中の図柄表示領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像である図柄変動画像の中から特定の図柄を検出する図柄検出手段と、
前記複数種類の図柄が前記所定の配列に従って一巡する周期時間を記憶する記憶手段と、
図柄の変動表示中において前記周期時間毎に前記特定の図柄が前記図柄表示領域に現れることに基づき、前記特定の図柄を前記図柄表示領域に引き込み可能な停止操作タイミングを報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする遊技用携帯端末。
【請求項2】
前記図柄変動画像を利用して前記周期時間を特定する周期特定手段を備え、
前記記憶手段は、前記周期特定手段が特定した周期時間を記憶することを特徴とする請求項1に記載の遊技用携帯端末。
【請求項3】
遊技者によるゲームの開始操作に応じて内部抽選を実行すると共に図柄表示領域において複数種類の図柄を所定の配列に従って変動表示し、遊技者による停止操作がされた場合に内部抽選の結果に応じた図柄を予め規定された引込範囲内で引き込んで前記図柄表示領域に停止表示するスロットマシンの遊技に使用される遊技用携帯端末で実行される遊技用プログラムであって、
前記複数種類の図柄を変動表示中の図柄表示領域を撮像する撮像ステップと、
該撮像ステップで撮像された画像である図柄変動画像の中から特定の図柄を検出する図柄検出ステップと、
図柄の変動表示中において前記複数種類の図柄が前記所定の配列に従って一巡する周期時間毎に前記特定の図柄が前記図柄表示領域に現れることに基づき、前記特定の図柄を前記図柄表示領域に引き込み可能な停止タイミングを報知する報知ステップと、を含むことを特徴とする遊技用プログラム。
【請求項4】
前記図柄変動画像を利用して前記周期時間を特定する周期特定ステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の遊技用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−111158(P2013−111158A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258695(P2011−258695)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】