説明

遊技用装置

【課題】計数し忘れにより遊技者が不利益を被ってしまう不都合の発生を防止することができる遊技用装置を提供することである。
【解決手段】メダル受入口54から投入され貯留用トレー上に貯留されているメダルを取り込んで計数可能なメダル貸出機であって、貯留用トレー上に貯留されているメダルを検出する貯留内センサを備え、貯留内センサによりメダルが検出されたことを条件として(S208でYES)、計数促進報知を行なう(S209)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用装置に関する。詳しくは、所定の遊技が行なわれた結果に応じてメダルを払い出す遊技機に対応して設けられ、所定の投入口から投入されたメダルを計数可能な遊技用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技用装置として従来から知られているものに、たとえば、紙幣投入またはカード挿入を条件に、操作内容に応じて所定単位枚数のメダルを払い出すとともに、メダル投入口から投入されたメダルを貯留するメダル貯留タンクのセンサによりメダルが検出されるかまたは所定操作が検出されることにより、当該メダル貯留タンク内のメダルを計数するメダル貸出機(たとえば、特許文献1)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−252946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メダルは、パチンコ球のような球状のものと異なり平板状であるため、メダル貯留タンクに貯留されているメダルが自重によって計数可能となる位置まで流下するとは限らない。このため、前述したようなメダル貸出機においては、たとえばメダル貯留タンクに貯留させたものの計数可能となる位置まで流下せずに計数されないことなどにより、計数し忘れとなるメダルが生じ得る。また、この場合において遊技者が離席してしまった場合には、遊技者が不利益を被ってしまう虞があった。
【0005】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、計数し忘れにより遊技者が不利益を被ってしまう不都合の発生を防止することができる遊技用装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 所定の遊技が行なわれた結果に応じてメダルを払い出す遊技機(スロットマシン1)に対応して設けられ、所定の投入口(メダル受入口54)から投入されたメダルを計数可能な遊技用装置(メダル貸出機50)であって、
前記投入口から投入されたメダルを貯留する貯留部(貯留用トレー55a)と、
貯留されているメダルを前記貯留部から取り込む取込手段(計数用ホッパモータ58)と、
前記取込手段によって前記貯留部から取り込まれる取込メダルを検出する取込メダル検出手段(計数センサ65)と、
操作を受付ける操作手段(表示器70のタッチパネル、計数用ボタン85など)と、
前記操作手段により所定の操作が受付けられてから所定の終了条件が成立するまで(図7のS301でYESと判定されてからS313でYESと判定されるまで)、前記取込手段にメダルを取り込ませるとともに、前記取込メダル検出手段の検出結果に基づいて前記取込メダルを計数するための取込計数制御を行なう取込計数制御手段(図7のS305)と、
前記貯留部に貯留されているメダルを検出する貯留メダル検出手段(貯留内センサ84)と、
前記貯留メダル検出手段によりメダルが検出されていることを条件として、所定の報知(計数促進報知など)を行なう報知手段(図6のS208、S209)とを備える。
【0007】
このような構成によれば、所定の報知が行なわれることにより、貯留部にメダルが貯留されていることを報知することができる。すなわち、投入口からメダルを投入したものの所定の操作を行なうのを忘れていたときや、貯留部にメダルが貯留されたままの状態であることに気付かなかったときなど、計数し忘れが発生しているときに所定の報知が行なわれる。このため、計数し忘れが発生していることに気付かずそのまま離席してしまい、遊技者が不利益を被ってしまうような不都合の発生を抑止することができる。
【0008】
なお、取込手段によって取り込まれたメダルは、貯留部外に排出されるものであればよく、当該遊技用装置内に貯留されるものであっても、当該遊技用装置外に排出されるものであってもよい。
【0009】
また、取込メダル検出手段は、取込手段によって取り込まれることが確実となったメダルを検出するものであってもよく、取込手段によって実際に取り込まれたメダルを検出するものであってもよい。
【0010】
また、貯留メダル検出手段は、貯留部に貯留されているメダルを検出するものであれば、貯留部に貯留されているメダルの有無を検出するものであってもよく、また、貯留部の所定位置におけるメダルの有無を検出するものであってもよい。
【0011】
(2) (1)の遊技用装置において、前記報知手段は、前記報知を開始してから少なくとも前記貯留メダル検出手段によりメダルが検出されなくなるまで、当該報知を継続して行なう(図7のS318、S321、S322)。
【0012】
このような構成によれば、所定の報知が行なわれていることを遊技者に気付かせ易くすることができるとともに、計数し忘れをより確実に抑止することができる。
【0013】
(3) (1)または(2)の遊技用装置において、遊技者所有の価値媒体(紙幣、ICカードなど)を受付け可能な価値媒体受付手段(紙幣識別機60、カードR/W61)と、
所定契機(紙幣などの挿入、操作ボタンの操作などを含む操作等)が成立したことを条件として価値媒体に関する価値媒体処理(紙幣を取り込む処理、操作に応じた処理(投入金額、持メダル数、および貯メダル数を更新など))を実行する価値媒体処理実行手段(図5のS111など)とを備え、
前記報知手段は、前記貯留メダル検出手段によりメダルが検出されているときであって前記所定契機が成立したとき(図5のS103でYES)に、前記報知を開始する(図5のS104、図6のS209)。
【0014】
このような構成によれば、価値媒体処理を実行する所定契機が成立したときであって遊技者が遊技用装置に注目している可能性が高いときに、報知が開始されるため、遊技者に気付かせ易くすることができる。
【0015】
なお、価値媒体処理とは、価値媒体自体を取り込みあるいは排出するための処理や、価値媒体から特定される価値を更新(減算、加算など)するための処理など、価値媒体に関わる処理であればどのような処理であってもよい。
【0016】
(4) (3)の遊技用装置において、前記価値媒体処理実行手段は、前記操作手段により価値媒体を排出させるための排出操作が受付けられたことにより前記所定契機が成立したことを条件として、価値媒体を排出させるための価値媒体排出処理を実行する価値媒体排出処理実行手段(紙幣やICカードを返却するための処理)を含み、
前記価値媒体排出処理実行手段は、前記貯留メダル検出手段によりメダルが検出されているときには、前記操作手段により前記排出操作が受付けられたときであっても前記価値媒体排出処理の実行を規制する(図6のS210)。
【0017】
このような構成によれば、排出操作が受付けられても価値媒体が排出されないため、計数し忘れのメダルが存在することに気付かずに遊技者が離席してしまうことを確実に抑止できる。
【0018】
(5) (1)〜(4)のうちいずれかの遊技用装置において、所定条件が成立したときに遊技者が離席したと判定する離席判定手段(離席センサ83からの信号に基づいて遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したか否かを判定するための処理、変形例(4)など参照)を備え、
前記報知手段は、前記貯留メダル検出手段によりメダルが検出されているときであって前記離席判定手段により遊技者が離席したと判定されたときに、前記報知を開始する(図5のS103でYESかつ図6のS204でNO)。
【0019】
このような構成によれば、離席した遊技者に対して報知することができるため、計数し忘れのメダルが存在することに気付かず遊技者に不利益を被らせてしまう不都合の発生を抑止することができる。
【0020】
(6) (1)〜(5)のうちいずれかの遊技用装置において、前記遊技機から出力される情報であって、前記遊技機にメダルが投入されたことを条件に出力される投入メダル情報(投入情報)と、前記遊技機からメダルが払い出されたことを条件に出力される払出メダル情報(払出情報)とを受付ける情報受付手段(図5のS111)と、
前記遊技用装置からメダルを払い出す払出手段(供給用ホッパモータ57)と、
前記払出手段によって払い出される払出メダルを計数する払出計数手段(供給センサ64からの信号に基づいて、供給されたメダル枚数を計数する処理)と、
前記払出計数手段により計数された払出メダル数(供給数)と、前記情報受付手段が受付けた前記払出メダル情報から特定される前記遊技機から払い出された遊技機側払出メダル数(払出数)と、前記取込計数制御手段により計数された取込メダル数(取込数)と、前記情報受付手段が受付けた前記投入メダル情報から特定される前記遊技機に投入された遊技機側投入メダル数(投入数)とに基づいて、遊技者所有のメダル数(手持ちメダル数)を算出する所有メダル数算出手段(図8のS401)と、
前記貯留メダル検出手段によりメダルが検出されており、かつ、前記所有メダル数算出手段により算出された遊技者所有のメダル数が所定数以下であることを条件として、異常である旨を報知する異常報知手段(図6のS201〜S203、図8のS402〜S404)とを備える。
【0021】
このような構成によれば、遊技場外から持ち込まれたメダルや他の遊技機で遊技を行なう他の遊技者から横流しされたメダルを用いて遊技を行なうなどの不正を抑止することができ、遊技場のセキュリティを向上させることができる。
【0022】
(7) (1)〜(6)のうちいずれかの遊技用装置において、前記貯留メダル検出手段によりメダルが検出されていない非検出状態において、前記取込計数制御手段により前記取込計数制御が行なわれることにより取込メダルが所定数以上計数されたことを条件として、異常である旨を報知する異常報知手段(図7のS308〜312)を備える。
【0023】
このような構成によれば、貯留メダル検出手段の異常を報知することができるため、遊技用装置のメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】遊技機の一例であるスロットマシン、およびスロットマシンに並設して使用される遊技用装置の一例であるメダル貸出機の全体正面図である。
【図2】メダル貸出機の内部構成を右側面からみた断面図である。
【図3】メダル貸出機の内部構成を上面からみた断面図である。
【図4】制御基板と各種電気部品等との関係を示すブロック図である。
【図5】制御用マイクロコンピュータが実行する制御内容を示すフローチャートである。
【図6】制御用マイクロコンピュータが実行する検出時処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図7】制御用マイクロコンピュータが実行する計数制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図8】制御用マイクロコンピュータが実行する差数算出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】表示器の表示状態の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態の一例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、遊技場に設置される遊技機の一例であるスロットマシン1、およびスロットマシン1に並設して使用される遊技用装置の一例であるメダル貸出機50の全体正面図である。図2は、メダル貸出機50の内部構成を右側面からみた断面図である。図3は、メダル貸出機50の内部構成を上面からみた断面図である。
【0026】
まず、図1および図2を参照して、メダル貸出機50の構成について詳細に説明する。メダル貸出機50は、前面を形成する第1〜第4前面枠50a〜50dと、各種装置が設けられた本体部50eとから構成されている。
【0027】
第1〜第4前面枠50a〜50dのうち、まず、第3前面枠50cについて説明する。第3前面枠50cには、価値媒体としての紙幣を挿入するための紙幣挿入口60aと、価値媒体としてのICカードを挿入するためのICカード挿入口61aとが設けられている。
【0028】
紙幣挿入口60aに対する本体部50e内部には、紙幣挿入口60aから挿入された紙幣を受付けて挿入された紙幣の真贋や紙幣種別を判別する紙幣識別機60が設けられている。紙幣識別機60は、真の紙幣と判別したことを条件として、該紙幣から特定される額の範囲内の所定額(たとえば、1000円)に相当する枚数(たとえば、50枚)分のメダルを貸出可能にするための信号を出力する。すなわち、紙幣識別機60は、受付けた紙幣から特定される額の範囲内でメダルを貸出すことにより遊技を可能にするための遊技可能化制御を行なう。紙幣識別機60は、受付けた紙幣を複数枚重ねて貯留する紙幣貯留箱を含む。
【0029】
ICカードには、ビジターカードと、会員カードとが含まれる。ビジターカードは、一般カードともいい、会員登録をしていない一般の遊技者に対して発行されるプリペイド機能を備えるICカードである。会員カードは、該遊技場に会員登録した会員遊技者に対して発行されるICカードである。
【0030】
ICカード挿入口61aに対する本体部50e内部には、ICカード挿入口61aから挿入されたICカードを受付けるカードリーダライタ(以下、カードR/Wという)61が設けられている。カードR/W61は、受付けたICカードの記録情報の読み取り並びに書き込みを実施し、該ICカードに記憶された情報から特定される遊技者所有の遊技価値(たとえばカード残高、持メダル数、あるいは貯メダル数等)の範囲内でメダルを貸出あるいは払出可能にするための信号を出力する。すなわち、カードR/W61は、受付けたICカードから特定される遊技者所有の遊技価値の範囲内でメダルを貸出・払出可能にし、操作に応じてメダルを貸出・払出することにより遊技を可能にするための遊技可能化制御を行なう。なお、以下では、“貸出”と“払出”とをまとめて“供給”ともいう。
【0031】
また、第3前面枠50cの下端は、回動自在に軸支されており、第3前面枠50cの裏面に設けられた施錠装置の鍵穴52に所定のキーを挿入し、時計回り方向に回動操作することにより施錠が解除されて第3前面枠50cを開放することができるようになっている。遊技場店員は、第3前面枠50cを開放し、紙幣挿入口60aから挿入された紙幣の回収や、各種メンテナンス等を行なう。
【0032】
第1前面枠50aには、状態表示灯71が設けられている。状態表示灯71は、複数色に点灯可能であり、点灯色および点灯パターンによってメダル貸出機50に関する状態が報知される。たとえば、正常動作時には青色で点灯し、エラー発生時には赤色で点灯する。また、紙幣挿入中には緑色で点灯させ、メダル貸出あるいは払出(メダル供給)中には第1の態様(たとえば間隔が長い)で緑色点滅させる。また、ビジターカード挿入中には黄色で点灯させ、メダル供給中には第1の態様(たとえば間隔が長い)で黄色点滅させる。また、会員カード挿入中には紫色で点灯させ、メダル供給中には第1の態様(たとえば間隔が長い)で紫色点滅させる。また、後述する計数が行なわれているときには、点灯していた点灯色により、第2の態様(たとえば間隔が短い)で点滅させる。
【0033】
また、第1前面枠50aの下端は、回動自在に軸支されており、第1前面枠50aの裏面に設けられた施錠装置の鍵穴51に所定のキーを挿入し、時計回り方向に回動操作することにより施錠が解除されて第1前面枠50aを開放することができるようになっている。遊技場店員は、第1前面枠50aを開放し、メダルの供給に用いるメダルを補充する。
【0034】
第2前面枠50bには、上方から、表示器70、誘導ノズル90、スピーカ72が設けられている。なお、第2前面枠50bには、スピーカ72に対応して報音用の穴が形成されている。
【0035】
表示器70は、各種情報や操作ボタンを表示可能であるとともに、表面が透明タッチパネルで構成されており、表示器70の表示部に表示された各種表示項目を指でタッチすることにより各種操作が入力可能となるように構成されている。
【0036】
各種情報には、挿入されている紙幣の残額、ICカードから特定される持メダル数、貯メダル数、エラーを報知するエラー情報などが含まれる。また、操作ボタンには、貸出ボタン、持メダル払出ボタン、貯メダル払出ボタン、計数ボタン、貯メダルボタン、返却ボタンが含まれる。
【0037】
貸出ボタンは、挿入されている紙幣の額の範囲で所定枚数(50枚)のメダルの貸出を行なわせるためのボタンである。
【0038】
持メダル払出ボタンとは、挿入されているICカードに持メダルが記録されているときに、その持メダル数の範囲でメダルの払出を行なわせるためのボタンである。たとえば、持メダル払出ボタンが押圧操作されている間、持メダル数の範囲で、メダルの払出が行なわれる。なお、持メダル払出ボタンを操作すると、持メダル数の範囲でメダルの払出枚数を入力するための画面に切り替わり、入力された枚数分メダルが払い出されるようにしてもよい。
【0039】
貯メダル払出ボタンとは、挿入されているICカードの識別情報に対応付けて、ホール管理用コンピュータ100に貯メダルが記録されているときに、その貯メダル数の範囲でメダルの払出を行なわせるためのボタンである。たとえば、貯メダル払出ボタンが押圧操作されている間、貯メダル数の範囲で、メダルの払出が行なわれる。なお、貯メダル払出ボタンを操作すると、貯メダル数の範囲でメダルの払出枚数を入力するための画面に切り替わり、入力された枚数分メダルが払い出されるようにしてもよい。なお、挿入されているICカードに持メダルが記録されているときには、貯メダル払出ボタンが操作されても、貯メダルよりも持メダルが優先的に引き落とされる。
【0040】
ここで、ホール管理用コンピュータ100とは、遊技場に設置されているスロットマシン1などの遊技機と、当該遊技機に対応して設けられているメダル貸出機50などの遊技用装置と接続され、遊技機および遊技用装置からの情報に基づき各種集計を行なうとともに、貯メダル数など会員毎の情報などを管理するコンピュータをいう。メダル貸出機50は、ホール管理用コンピュータ100と双方向通信することにより、当該メダル貸出機50に対応するスロットマシン1の遊技情報を特定するとともに、貯メダル数などを特定するための情報を出力する。
【0041】
計数ボタンとは、後述するメダル貸出機50にメダルの計数を行なわせるためのボタンである。計数が行なわれることにより、遊技者の手持ちメダルが持メダルに変換される。
【0042】
貯メダルボタンとは、挿入されているICカードに記録されている持メダル数の範囲で、メダルを遊技場に預け入れるためのボタンである。貯メダルボタンが操作されると、挿入されているICカードに記録されている持メダルが引き落とされる一方、当該ICカードの識別情報に対応付けてホール管理用コンピュータ100等に記録されている貯メダルに加算される。たとえば、貯メダルボタンが押圧操作されている間、持メダル数の範囲で、持メダルを貯メダルに変換するための処理が行なわれる。なお、貯メダルボタンを操作すると、持メダル数の範囲で持メダルを貯メダルに変換する枚数を入力するための画面に切り替わり、入力された枚数分の持メダルが貯メダルに変換されるようにしてもよい。
【0043】
返却ボタンとは、挿入している紙幣の残額やICカードを排出させるためのボタンである。なお、紙幣の残額については、残額分の紙幣を排出するようにしてもよく、また、残額を特定するための情報をストックされているカード(会員カード、ビジターカード)に直接書込んで排出するようにしてもよい。
【0044】
ここで、持メダルと貯メダルとについて、各々を対比して説明する。まず、「持メダル」とは、遊技者が遊技機により遊技を行なった結果遊技者の所有となった手持ちメダルのうち計数してカードに記録したものであって、未だに遊技場に預け入れられていないメダルをいう。また、「貯メダル」とは、遊技場に預け入れられたメダルであり、一般的に当該遊技場に設置された管理コンピュータにより管理されるメダルをいう。一般的には、遊技場において当日遊技者が獲得したメダルを「持メダル」と言い、前日以前に遊技者が獲得したメダルであって遊技場に預け入れられたメダルを「貯メダル」と言う。なお、持メダルを遊技場に設定された持メダル管理用の管理装置で管理してもよい。要するに、「貯メダル」と「持メダル」との違いは、遊技場に預け入れるための貯メダル操作が行なわれて遊技場に預け入れられたメダルであるか、あるいは、未だに遊技場に預け入れられていない段階のメダルであるかの点である。
【0045】
本実施形態では、貯メダルデータは会員カードに直接記録させずホール管理用コンピュータ100等の遊技場に設置されたホールサーバに識別番号である会員カード番号と対応付けて記憶させ、会員カード番号に基づいて対応する貯メダルを検索できるように構成されている。一方、持メダルは、カードに直接記録している。しかし、それに限定されるものではなく、両者ともにホールサーバにカード番号と対応付けて記憶させてもよい。ビジターカードの場合も、持メダルは、ビジターカードに直接記録している。しかし、それに限定されるものではなく、持メダルをホールサーバにカード番号と対応させて記憶させてもよい。
【0046】
誘導ノズル90は、変位部および角度変更部を有し、これら変位部および角度変更部を隣接するスロットマシンの機種に合わせて調整することにより、先端をスロットマシン1のメダル投入口34に対向させた状態に保持することができるように構成されている。これにより、メダル供給時に、スロットマシン1のメダル投入口34までメダルを誘導し投入させることができる。紙幣やICカードが受付けられてメダル供給可能となったとき、あるいはメダル供給可能なメダルが存在する場合に、貸出ボタン、持メダル払出ボタン、あるいは貯メダル払出ボタンのいずれかが操作されたときに、メダルが誘導ノズル90へ供給されて、スロットマシン1のメダル投入口34に投入される。誘導ノズル90から排出されるメダルは、ノズルセンサ68により検出され、スロットマシン1のメダル投入口34に投入される。なお、メダル貸出機50は、誘導ノズル90を備えるものに限らず、メダル供給に応じて、メダルを払い出す払出手段を備えるものであればよい。
【0047】
スピーカ72は、各種情報を効果音や音声により報知するものである。各種情報としては、エラー発生時や、計数し忘れ時などが含まれる。情報の種類に応じて予め定められた効果音や音声がスピーカ72から発せられる。
【0048】
第4前面枠50dには、離席センサ83、計数用ボタン85、および、メダルを本体部50e内部に受入れるためのメダル受入口54を形成するための投入トレー55が設けられている。
【0049】
離席センサ83は、赤外線センサにより構成されている。メダル貸出機50に対応するスロットマシン1の前面には、当該スロットマシン1において遊技者が遊技を行なう際に着席するための座席が設けられている。離席センサ83は、当該座席の上方に位置する所定範囲の温度分布を検知する。すなわち、赤外線センサにより、座席の情報に位置する所定範囲に人が存在するか否かを検知する。
【0050】
後述する制御用マイクロコンピュータ3は、離席センサ83から受信する検知信号に基づいて、遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したことを特定する。本実施の形態では、赤外線センサを採用した例について説明するが、座席に遊技者が着席している状態から離席した状態に変化したことを特定可能にするものであればこれに限らず、たとえば、カメラを採用して、カメラで取得される画像を制御用マイクロコンピュータ3が解析することにより遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したことを特定するようにしてもよい。
【0051】
計数用ボタン85は、後述する計数を行なわせるためのボタンである。操作されたときの機能は、表示器70に表示される計数ボタンが押圧操作されたときと同じであるが、計数用ボタン85は物理的な検出スイッチにより構成されている点で表示器70に表示される仮想の計数ボタンと異なる。また、計数用ボタン85は、投入トレー55と同じ第4前面枠50dに設けられており、かつ投入トレー55の直上方に設けられているため、投入トレー55にメダルを投入した後計数操作するのを忘れてしまうことを極力低減することができる。
【0052】
投入トレー55は、メダル受入口54を形成し、当該メダル受入口54を介して遊技者が所有しているメダル(メダル貸出機50あるいはスロットマシン1から払い出されたメダル)を、メダル貸出機50の内部に投入できるように構成されている。
【0053】
投入トレー55の上端は、回動自在に軸支されており、下端を手前側に引くことにより投入トレー55を開放することができるようになっている。遊技場店員は、投入トレー55を開放し、各種メンテナンス等を行なう。投入トレー55に対する本体部50e内部には、当該投入トレー55が開放されている状態を検出するための開放検知センサ63が設けられている。
【0054】
次に、メダル貸出機50の本体部50e内部の構成について説明する。メダル貸出機50の本体部50e内部には、前述した表示器70、紙幣識別機60、カードR/W61に加え、貯留用トレー55a、計数したメダルをメダル貸出機50の外部に排出するための排出部材94、メダル供給に用いるメダルを貯留するための供給メダル貯留タンク57a、および各種ボタンからの操作信号に基づき各種装置を制御するための制御基板2(図4参照)を収納した制御基板ボックス73が設けられている。
【0055】
供給メダル貯留タンク57aは、誘導ノズル90より上方に設けられており、回転部材を回転させて貯留したメダルを1枚ずつ排出口57bから払出す供給用ホッパモータ57と、排出口57bから排出されるメダルを検出する供給センサ64とを備えている。このように、供給用ホッパモータ57が回転部材を回転駆動させることにより、供給メダル貯留タンク57aに貯留されたメダルが1枚ずつ誘導ノズル90へ供給される。
【0056】
遊技場店員は、第1前面枠50aを開放することで、メダル供給に用いる多量のメダルが貯留された供給メダル貯留タンク57aに、メダルを補給することができる。なお、供給メダル貯留タンク57aへのメダル補給は、遊技場の各島に設置されている自動メダル補給装置(図示せず)によって補給されるものであってもよい。
【0057】
貯留用トレー55aは、メダル貸出機50の奥に向かって下方向に傾斜し所定量のメダルを貯留可能であって、メダル受入口54から受入れられたメダルの自重によって計数用ホッパモータ58により計数可能となる所定位置まで流下させるように形成されている。また、貯留用トレー55aの最下端部には、当該貯留用トレー55aにより流下してきたメダルを検出する貯留内センサ84が設けられている。貯留用トレー55aの最下端部は、後述するメダルを計数するための装置との境目であり、当該境目にメダルが引っかかったりあるいは傾斜角度が異なったりするため、他の箇所と比較してメダルが流下し難くなる箇所といえる。本実施の形態における貯留内センサ84は、このように他の箇所と比較してメダルが流下し難くなる箇所のメダルを検出可能な位置に設けられている。
【0058】
貯留内センサ84は、発光部と受光部とを含む光センサにより構成されている。これにより、貯留内センサ84の検出結果により、貯留用トレー55aの所定位置にメダルが残っているか否かを判定することができる。なお、貯留内センサ84は、光センサにより構成されるものに限らず、貯留されているメダルを検出できるものであればよく、たとえば、近接センサや、導通センサにより構成してもよい。
【0059】
メダルを計数するための装置は、回転部材を回転させて貯留用トレー55a上に貯留されているメダルを1枚ずつ取り込んで貯留用トレー55aから排出部材94側に排出するための計数用ホッパモータ58と、排出部材94側に排出されるメダルを検出する計数センサ65とを含む。なお、排出部材94により排出されたメダルは、遊技場の各島に設置されているメダル回収装置などによって回収される。
【0060】
図3(a)は、計数用ホッパモータ58付近を上面からみた断面図である。図3(a)を参照して、貯留用トレー55aと計数用ホッパモータ58との境目に貯留内センサ84が設けられている。このため、貯留内センサ84により、貯留用トレー55aによる傾斜の最下端部においてメダルの有無を検出することができる。貯留用トレー55aを流下してきたメダルは、計数用ホッパモータ58により回転部材を回転駆動されることにより、1枚ずつ取り込まれて、貯留用トレー55a側とは反対側に送り出される。送り出されたメダルは、計数センサ65により検出され、排出部材94によってメダル貸出機50の外部に排出される。
【0061】
図3(b)は、供給用ホッパモータ57付近を上面からみた断面図である。図3(b)を参照して、供給用ホッパモータ57により回転部材を回転駆動させることにより、供給メダル貯留タンク57aに貯留されたメダルが1枚ずつ払出される。払出されたメダルは、供給部材79を介して、誘導ノズル90へ供給され、誘導ノズル90の先端から排出される。
【0062】
制御基板ボックス73は、後述するメダルの供給制御や計数制御を行なう制御基板2が収容されている。ここで、図4を参照して、制御基板2と当該制御基板2に接続されている各種電気部品等との関係を説明する。図4は、制御基板2と各種電気部品等との関係を示すブロック図である。
【0063】
制御基板2には、プログラムに従ってメダル貸出機50を制御する制御用マイクロコンピュータ3が搭載されている。制御用マイクロコンピュータ3は、プログラムに従って接続された各種電気部品を制御するCPU4、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM5、メダル供給制御用のプログラム等を記憶するROM6、および各種電気部品と信号を送受信するI/Oポート部7を含む。RAM5に記憶されているデータは、バックアップ電源(図示略)によりバックアップされている。このため、制御用マイクロコンピュータ3は、停電の回復時に停電発生前に記憶されていたデータに基づく制御を再開できる。
【0064】
制御用マイクロコンピュータ3には、紙幣識別機60、カードR/W61、表示器70、およびホール管理用コンピュータ100が接続されており、双方向通信が可能となっている。制御用マイクロコンピュータ3は、紙幣識別機60、カードR/W61からの信号やホール管理用コンピュータ100からの信号に基づき、特定される投入金額、持メダル数、および貯メダル数をRAM5に記憶するとともに、特定された投入金額、持メダル数、および貯メダル数と、対応する操作ボタンを表示するための信号を表示器70に出力して表示させるための処理を行なう。また、制御用マイクロコンピュータ3は、表示器70のタッチパネルからの操作信号などに基づき対応する処理を行なう。
【0065】
また、制御用マイクロコンピュータ3には、状態表示灯71やスピーカ72が接続されている。制御用マイクロコンピュータ3は、メダル貸出機50の状態に応じて状態表示灯71やスピーカ72を制御するための処理を行なう。
【0066】
また、制御用マイクロコンピュータ3には、離席センサ83からの信号が入力される。制御用マイクロコンピュータ3は、離席センサ83からの信号に基づき、遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したか否かを判定するための処理を行なう。
【0067】
また、制御用マイクロコンピュータ3には、計数用ボタン85やリセットボタン86が接続されている。制御用マイクロコンピュータ3は、操作に対応する処理を行なう。なお、リセットボタン86は、後述するエラー状態などを解除するための操作手段であって、本体部50e内部の遊技場店員が操作可能な位置に設けられている。
【0068】
また、制御用マイクロコンピュータ3には、貯留内センサ84、供給センサ64、計数センサ65、開放検知センサ63、ノズルセンサ68からの信号が入力される。制御用マイクロコンピュータ3は、貯留内センサ84からの信号に基づき、貯留用トレー55aの所定位置にメダルが残っているか否かを判定する。また、制御用マイクロコンピュータ3は、供給センサ64からの信号に基づき、供給メダル貯留タンク57aからメダルが供給されたことを特定し、計数センサ65からの信号に基づき貯留用トレー55a上のメダルが取り込まれて排出されたことを特定し、開放検知センサ63からの信号に基づき投入トレー55が開放されていることを特定し、ノズルセンサ68からの信号に基づき誘導ノズル90からスロットマシン1のメダル投入口34へメダルが排出されたことを特定する。
【0069】
また、制御用マイクロコンピュータ3は、供給用ホッパモータ57、および計数用ホッパモータ58の駆動制御を行なう。
【0070】
次に、図1を参照して、スロットマシン1の構成について説明する。スロットマシン1は、前面が開口する筐体2aと、この筺体2aの側端に回動自在に枢支された前面扉2bとから構成されており、前面扉2bの裏面に設けられた施錠装置の鍵穴3aに挿入した所定のキーを時計回り方向に回動操作することにより施錠が解除されて前面扉2bを開放することができるようになっている。
【0071】
前面扉2bの前面上部には、上部飾り枠4が設けられており、上部には遊技効果ランプ部41、および液晶表示部15が設けられており、下部には遊技パネル6やクレジット表示部31が設けられている。上部飾り枠4の下部は、遊技パネル6から前方に突出するように形成されており、この突出部には遊技媒体であるメダルを投入可能なメダル投入口34や各種操作ボタン36a、36b、37、40L、40C、40R、およびスタートレバー38等が設けられている。
【0072】
上部飾り枠4の下方には、下部飾り枠7が設けられており、この枠内にはスロットマシン1の機種名称等が描かれたタイトルパネルが設けられている。さらに下部飾り枠7の下方には、遊技媒体の一例となるメダルが払出されるメダル払出穴9が設けられているとともに、端部に灰皿10が設けられたメダル受皿11が設けられている。メダル受皿11は、最大で約1000枚のメダルを貯留させることができる程度の容量となるように形成されている。
【0073】
上部飾り枠4の上部左右側には、内部に設けられる高音用のスピーカから出力される音を放音する放音部12a、12bがそれぞれ設けられており、これら放音部12a、12bからは、演出効果を高めるための音声やメロディ等の効果音が放音されるようになっている。
【0074】
遊技パネル6には、スロットマシン1の筐体2aに内設されたリール51L、51C、51Rを透視可能な透視窓14と、透視窓14の下側に位置するクレジット表示部31とが設けられている。
【0075】
クレジット表示部31は、クレジットが表示される。クレジットとは、遊技者所有の有価価値としてスロットマシン1内部の記憶部(図示省略)に記憶されているメダル数であり、メダル投入口へのメダルの投入、およびメダルの払出を伴う入賞の発生等によって加算更新され、賭数を設定したり、精算操作に基づいてメダルを外部に排出したりすることによって減算更新される。このスロットマシン1では、クレジットとして記憶可能な価値の上限値が最大でメダル50枚分とされている。そして、上限値を越えるクレジットの加算更新の要求が発生した場合にはその上限を越えるメダルがメダル払出穴9から払出される。更にクレジット表示部31は、スロットマシン1に発生した各種の異常、特にはメダルの払出に起因して発生した異常を表示するエラー表示器としても機能する。
【0076】
遊技パネル6から前面側に突出するように形成された上部飾り枠4の下部上面右側には、メダル投入口が形成されたメダル投入口34が設けられているとともに、左側には精算ボタン37、1枚BETボタン36a、MAXBETボタン36bがそれぞれ設けられている。
【0077】
1枚BETボタン36aは、1クレジットを賭ける際に押圧するボタンであり、MAXBETボタン36bは、1ゲームにおいて許容される賭数の最大数(本実施の形態ではメダル3枚分)をクレジットに記憶されている範囲内でゲームに賭ける際に押圧するボタンである。
【0078】
精算ボタン37は、記憶部に記憶されているクレジットの精算操作をする際に押圧するボタンであり、この精算ボタン37の押圧操作に伴い、クレジット表示部31に表示されているクレジット数が0になるまで減算更新されるとともに、クレジット相当数のメダルがメダル払出穴9から払出されるようになっている。
【0079】
前面扉2bの裏面略中央部には、メダル投入口34から投入されたメダルをホッパタンクに導く投入メダルセレクタ(図示省略)が固設されている。この投入メダルセレクタの上流側には不正メダル排出部(図示省略)が設けられており、大きさや厚みが適正メダルと異なる不正メダルは、投入メダルセレクタの下方に設けられる返却メダル流路の上部投入口に排出され、メダル払出穴9を介してメダル受皿11に返却されるようになっている。
【0080】
上部飾り枠4の下部における前側面には、スタートレバー38、ストップボタン40L、40C、40Rがそれぞれ設けられている。
【0081】
スタートレバー38は、ゲームを開始する際に操作するレバーであり、賭数の設定終了後においてスタートレバー38を操作することにより各リール51L、51C、51Rの回転が開始される。
【0082】
各ストップボタン40L、40C、40Rは、ゲームが開始した後にリール51L、51C、51Rの回転を停止させる際に操作するボタンである。
【0083】
筐体2a内略中央部には、複数種の図柄(たとえば、「黒7」、「白7」、「BAR」、「スイカ」、「ベル」、「チェリー」、「プラム」等)が印刷された透光性を有する帯状のリールシートが外周に巻回されたリール51L、51C、51R(ゲームの進行を実行するために用いるゲーム用リール)を有するリールユニットからなる可変表示装置(図示省略)が設けられている。それぞれのリール51L、51C、51Rは、各々に対応して設けられたステッピングモータからなるリールモータによりそれぞれ独立して縦方向に回転(駆動)、停止するように構成されており、各リール51L、51C、51Rが回転することにより、表示窓14には前記各種図柄が連続的に変化しつつ表示されるようになっている。
【0084】
次に、遊技者が遊技(ゲーム)を行なうための操作や、該操作に伴う各種装置の作動状況を説明する。ゲームを開始する場合は、メダルやクレジットを使用して所望の大きさの有価価値を賭けて所望の大きさの賭数を設定する。賭数は、メダルをメダル投入口34から投入するか、あるいはMAXBETボタン36bやまたは1枚BETボタン36aを押圧操作しクレジットを使用することにより設定できるようになっている。遊技者により1枚のメダルがメダル投入口34から投入されるか、1枚BETボタン36aが押圧操作されると賭数が「1」に設定され、2枚目のメダルがメダル投入口34から投入されるか、1枚BETボタン36aが2回押圧操作されると賭数が「2」に設定され、3枚目のメダルがメダル投入口34から投入されるか、1枚BETボタン36aが3回押圧操作されるか、あるいはMAXBETボタン36bが押圧されると賭数が「3」に設定され、賭数に応じた所定の入賞ラインが有効となる。
【0085】
そして上記のように少なくとも最小数である「1」の賭数が設定された時点でスタートレバー38の操作が有効に受付けられる状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。
【0086】
ゲームが開始可能な状態でスタートレバー38を押圧操作すれば、可変表示装置が作動して各リール51L、51C、51Rが回転し、透視窓14には複数種類の図柄が連続的に変化するように表示される。リール51L、51C、51Rの回転が開始されてから所定時間が経過すれば各ストップボタン40L、40C、40Rの操作が有効になる。操作有効ランプが点灯している状態で遊技者がいずれかのストップボタン40L、40C、40Rを押圧操作すれば、対応するリール51L、51C、51Rの回転が停止され、透視窓14からは対応する可変表示部の上、中、下段に図柄が表示される。
【0087】
全てのリール51L、51C、51Rが停止された時点で、賭数に応じて有効化されたいずれかの入賞ライン上に予め定められた図柄の組み合わせが表示された場合には入賞(所定の入賞)が発生し、入賞ラインに対応するリールランプ(図示省略)等が点灯するとともに、効果音等が出力されること等による演出が実行される。そして、入賞内容に対応して予め定められた所定枚数のメダルが遊技者に対してクレジットとして払出されてクレジット表示部31に表示されたクレジット数が加算更新される。また、クレジット数が上限数である50枚に達した場合には、メダル払出用のホッパモータが駆動されてメダル貯留タンクに貯留されているメダルがメダル払出穴9から払い出される。また、精算操作が行なわれた場合にも、メダル払出用のホッパモータが駆動されてメダル貯留タンクに貯留されているメダルがメダル払出穴9から払い出される。
【0088】
なお、遊技者は、メダル払出穴9から払出されたメダルを、メダル貸出機50のメダル受入口54へ投入し、表示器70に表示される計数ボタンか計数用ボタン85を操作することにより、投入したメダルを計数させて持メダルに加算させることができる。
【0089】
遊技場に設置されているスロットマシン1を含む複数の遊技機は、各々、ホール管理用コンピュータ100と接続されている。各遊技機における遊技の進行に応じた情報が、各遊技機からホール管理用コンピュータ100に出力される。
【0090】
スロットマシン1は、メダル投入口34から投入されたメダルであって有効に受付けられたメダルを検出する投入メダル検出手段(メダル検出センサ)と、メダル払出用のホッパモータが駆動されることにより払い出されるメダルを検出する払出メダル検出手段(メダル検出センサ)とを備えている。
【0091】
スロットマシン1は、投入メダル検出手段によりメダルが検出されたときに、投入情報をホール管理用コンピュータ100に出力し、払出メダル検出手段によりメダルが検出されたときに、払出情報をホール管理用コンピュータ100に出力する。
【0092】
ホール管理用コンピュータ100は、スロットマシン1からの投入情報や払出情報に基づいて、当該スロットマシン1において投入されたメダルと払い出されたメダルとの差し引きなどを算出して集計するとともに、投入情報や払出情報に相当する情報を遊技機側情報として、当該スロットマシン1に対応するメダル貸出機50に出力する。
【0093】
次に、この実施形態におけるメダル貸出機50による供給制御および計数制御の概念を説明する。紙幣やICカードが挿入されるか、あるいはすでに挿入されている状態において貸出操作あるいは払出操作が受付けられたときであって、貯留内センサ84によりメダルが検出されていないときには、供給制御が行なわれて、供給メダル貯留タンク57aに貯留されているメダルが誘導ノズル90へ供給される。
【0094】
一方、紙幣やICカードが挿入されるか、あるいはすでに挿入されている状態において貸出操作あるいは払出操作が受付けられたときであっても、貯留内センサ84によりメダルが検出されているときには、計数制御が行なわれて、貯留用トレー55a上のメダルを計数した後、メダル貸出機50の外部に排出される。
【0095】
また、表示器70に表示される計数ボタンか計数用ボタン85が操作されたときにも、計数制御が行なわれて、貯留用トレー55a上のメダルを計数した後、メダル貸出機50の外部に排出される。
【0096】
次に、制御用マイクロコンピュータ3により実行される制御内容について詳細に説明する。図5は、制御用マイクロコンピュータ3が実行する制御内容を示すフローチャートである。
【0097】
まず、S101においては、電源の立上げに伴う初期設定が行なわれる。具体的には、制御用マイクロコンピュータ3に接続された各種電気部品等との接続状況および作動状況を確認するとともにバックアップデータの有無を確認し、バックアップデータが存在する場合には、電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。また、バックアップデータが存在しない場合には、RAM5の各種レジスタの設定等を実行する。
【0098】
設定処理が終了すると、S102において、メダル貸出機50が、遊技場に設置されているホール管理用コンピュータ100と接続されているか否かを判定する処理が行なわれる。ホール管理用コンピュータ100と接続されているときにのみ、S103以降の処理が実行され、接続されていないときにはS103以降の処理を実行させない。
【0099】
S103においては、予め定められた操作等が検出されたか否かが判定される。ここでいう「予め定められた操作等が検出された」には、表示器70のタッチパネルに対する操作(たとえば返却操作を含む)や計数用ボタン85に対する操作が検出されたことのみならず、紙幣識別機60への紙幣挿入が検出されたこと、カードR/W61へのICカード挿入が検出されたこと、および離席センサ83からの信号に基づいて離席が検出されたことなど、メダル貸出機50に対する遊技者の何らかの行為が間接的に検出されたことを含む。
【0100】
S103において操作等が検出されたと判定されたときには、S104において検出された操作等を有効化するなどの処理を行なう検出時処理を実行する。検出時処理については、図6を用いて後述する。
【0101】
S105においては、S104で検出された操作等を有効に受付けたか否か、すなわち有効化されたか否かが判定される。検出された操作等が有効に受付けたとS105において判定されたときには、S106において、当該操作等が貸出あるいは払出のための操作であると判定されたときに、当該操作に応じて供給用ホッパモータ57を回転駆動させて、供給メダル貯留タンク57aからメダルを供給するための供給制御処理を実行する。
【0102】
S106における供給制御処理においては、投入金額、持メダル数、および貯メダル数の範囲内で、メダルを供給するための制御が行なわれる。投入金額、持メダル数、および貯メダル数は、紙幣識別機60、カードR/W61からの信号やホール管理用コンピュータ100からの信号に基づき特定されRAM5に記憶されており、実行された供給制御に応じて更新される。供給制御処理では、差数を算出するために、供給センサ64からの信号に基づいて、供給されたメダル枚数を計数する処理も行なわれる。
【0103】
S107においては、有効に受付けられた操作等が計数操作であると判定されたときに、計数用ホッパモータ58を回転駆動させて、貯留用トレー55a上のメダルを計数して外部に排出するための計数制御処理を実行する。計数制御処理については、図7を用いて後述する。
【0104】
一方、S103において操作等が検出されていないと判定されたとき、および操作等が有効に受付けられていないとS105において判定されたときには、S108に移行する。
【0105】
S108においては、ホール管理用コンピュータ100を介して、当該メダル貸出機50に対応して設けられているスロットマシン1である遊技機側からの情報である遊技機側情報を新たに受信したか否かが判定される。S108において遊技機側情報を新たに受信していると判定されたときにはS110に移行し、遊技機側情報を新たに受信していないと判定されたときにはS109に移行する。
【0106】
S109においては、当該メダル貸出機50の供給あるいは計数に関するユニット側情報が更新されたか否かが判定される。S109においてユニット側情報が更新されたと判定されたときにはS110に移行し、ユニット側情報が更新されていないと判定されたときにはS111に移行する。
【0107】
S110においては、遊技機側情報およびユニット側情報に基づいて、遊技者の手持ちメダル枚数である差数を算出するための差数算出処理を実行する。差数算出処理については、図8を用いて後述する。
【0108】
S111においては、その他の各種対応する処理を実行しS102へ移行する。各種対応する処理としては、たとえば、ホール管理用コンピュータ100との間において情報を送受信するための処理、表示器70、状態表示灯71、およびスピーカ72を制御するための処理、紙幣識別機60およびカードR/W61を制御(たとえば紙幣やICカードを取り込み・返却するための制御、書き込み制御など)するための処理、および、離席センサ83からの信号に基づいて遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したか否かを判定するための処理などが含まれる。
【0109】
このように、制御用マイクロコンピュータ3は、電源投入後において、S101の処理を実行した後において、S102〜S111の処理を繰り返し実行する。
【0110】
図6は、制御用マイクロコンピュータ3がS104において実行する検出時処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0111】
検出時処理においては、まず、S201において貯留内センサ84によりメダルが検出されているか否かが判定される。メダルが検出されていないと判定されたときにはS204へ移行する。一方、メダルが検出されていると判定されたときにはS202においてS110において算出済の差数が0以下であるか否かが判定される。すなわち、遊技者の手持ちメダルが0以下であるか否かが判定される。
【0112】
S202において差数が0以下でないと判定されたときにはS204へ移行する。一方、差数が0以下であると判定されたときには、遊技者の手持ちメダルが0以下であるにも拘らず、貯留内センサ84にメダルが検出されている場合であり、遊技場外部からメダルが持ち込まれるような不正、あるいはメダルの横流しのような不正が発生していることになる。このため、S203では、図5のS103において検出された操作を無効化(検出された操作等が紙幣やICカード挿入の検出であった場合には当該紙幣やICカードを返却)し、不正報知を行なうとともに、不正である旨を示す不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力し、遊技場店員によりリセットボタン86が操作されるまで無限ループに移行する。なお、ホール管理用コンピュータ100では、不正時信号が入力されると、たとえば、不正が行なわれている遊技機の台番号が報知されるとともに、不正の種類を特定するための情報が報知される。
【0113】
S204では、検出された操作等が計数操作であったか否かが判定される。すなわち、検出された操作等が、表示器70に表示される計数ボタンか計数用ボタン85への操作であったか否かが判定される。S204において計数操作であったと判定されたときには、S205において差数が0以下であるか否かが判定される。差数が0以下であると判定されたときには、遊技者の手持ちメダルは0以下であり計数を行なう必要がないため、S206において検出された計数操作を無効化し検出時処理を終了する。一方、S205において差数が0以下でないと判定されたときには、遊技者の手持ちメダルが存在しているため、S207において検出された計数操作を有効に受付けて検出時処理を終了する。
【0114】
一方、S204において検出された操作等が計数操作でなかったと判定されたときには、S208において貯留内センサ84によりメダルが検出されているか否かが判定される。S208において貯留内メダルセンサ84によりメダルが検出されていないと判定されたときには、S207において検出された操作等を有効に受付けて検出時処理を終了する。
【0115】
一方、S208において貯留内センサ84によりメダルが検出されていると判定されたときには、計数操作以外の操作がされた場合であって計数されていないメダルが存在しており、計数し忘れである可能性があるため、S209以降の処理において計数が促進される。
【0116】
まず、S209においては、表示器70やスピーカ72によって、計数操作を促す計数促進報知を開始する。計数促進報知については、図9を用いて後述する。なお、検出された操作等が、離席が検出されたことによるものである場合には、その他の場合よりも、スピーカ72から発せられる音の音量が大きくなるように予め設定されている。S210においては、図5のS103において検出された操作等を無効化する。これにより、仮に検出された操作等が貸出操作、払出操作、あるいは返却操作であった場合などに、これらの操作が無効化されて対応する処理を行なわせないようにすることができる。
【0117】
S211においては、計数操作が新たに検出されたか否かが判定される。ここでは、計数操作が検出されるまでS211の処理を繰返し実行する。S211において計数操作が検出されたと判定されたときには、S207において検出された計数操作を有効に受付けて検出時処理を終了する。
【0118】
図7は、制御用マイクロコンピュータ3がS107において実行する計数制御処理の制御内容を示すフローチャートである。計数制御処理においては、まず、S301において有効に受付けた操作が計数操作であったか否かが判定される。計数操作でなかったと判定されたときにはそのまま計数制御処理を終了する。
【0119】
計数操作であると判定されたときには、S302において計数用ホッパモータ58の駆動を開始する。これにより、貯留用トレー55a上のメダルの計数が開始される。S303においては、計数中である旨を報知する計数中報知を開始する。計数中報知については、図9を用いて後述する。
【0120】
S304においては、計数用ホッパモータ58が駆動されることにより取り込まれて排出されたメダルが、計数センサ65により検出されたか否かが判定される。計数センサ65によりメダルが検出されたと判定されたときには、S305において計数用ホッパモータ58の駆動が開始されてから計数されたメダル数を特定するための今回取込数カウンタの値を1加算する。今回取込数カウンタの値は、RAM5の所定領域において加算更新される。
【0121】
S306においては、今回取込数カウンタの値が差数以下であるか否かが判定される。今回取込数カウンタの値が差数以下でないと判定されたときには、遊技者の手持ちメダル以上のメダルが計数されたこととなり、遊技場外部からメダルが持ち込まれるような不正、あるいはメダルの横流しのような不正が発生していることになる。このため、S307では、不正報知を行なうとともに、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力し、計数用ホッパモータ58の駆動を停止し、遊技場店員によりリセットボタン86が操作されるまで無限ループに移行する。
【0122】
一方、今回取込数カウンタの値が差数以下であると判定されたときには、S308において貯留内センサ84によりメダルが検出されていないメダル非検出状態であるか否かが判定される。S308においてメダル非検出状態であると判定されたときには、メダル非検出状態において検出されたメダル数を特定するための非検出中カウンタの値を1加算しS311へ移行する。一方、メダル非検出状態でないと判定されたときには、S310において非検出中カウンタの値をリセット(0クリア)しS311へ移行する。非検出中カウンタの値は、RAM5の所定領域において格納される。
【0123】
S311においては、非検出中カウンタの値が20以上であるか否かが判定される。前述したように、貯留内センサ84は、貯留用トレー55aの最下端部に設けられている。このため、正常であれば、貯留内センサ84がメダル非検出状態でありながら、20枚以上もメダルも計数されることは起こり得ない。
【0124】
S311において非検出中カウンタの値が20以上でないと判定されたときには正常であるためそのままS304へ移行する。一方、非検出中カウンタの値が20以上であると判定されたときには、正常ではなく貯留内センサ84が故障している虞があるため、S312においてその旨を報知する貯留内センサ故障報知を行ないS304へ移行する。前述したS311は、貯留内センサ84が故障しているか否かを判定するものであるため、その判定値としては「20」に限定されるものではなく、貯留内センサ84によりメダル非検出状態となってから計数されるはずがないメダル枚数に相当する値であればよい。
【0125】
一方、S304において計数センサ65によりメダルが検出されていないと判定されたときには、S313において前回の計数センサ65によりメダルが検出されてから所定時間(たとえば、3秒)以上経過しているか否かが判定される。すなわち、S313においては、計数センサ65により所定時間メダル検出されないか否かが判定される。S313において所定時間以上経過していないと判定されたときにはそのままS304へ移行する。一方、所定時間以上経過していると判定されたときには、貯留用トレー55a上のメダルが全て計数された可能性が高いため、S314へ移行して、計数ホッパモータ58の駆動を停止する。これにより、計数が終了する。
【0126】
S315においては、計数中報知を終了する。S316においては、今回取込数カウンタの値をメダル貸出機50のRAM5の所定領域において格納されている持メダル数に加算更新する。S317においては、今回取込数カウンタの値および非検出中カウンタの値をリセット(0クリア)する。
【0127】
S318においては、貯留内センサ84からの信号に基づきメダル非検出状態であるか否かが判定される。S318においてメダル非検出状態であると判定されたときには、正常であるため、S321において計数促進報知が実行されているか否かが判定され、実行されていると判定されたときにはS322において計数促進報知を終了し、計数制御処理を終了する。
【0128】
一方、S318においてメダル非検出状態でないと判定されたとき、すなわち貯留内センサ84によりメダルが検出されていると判定されたときには、S313において所定時間経過したと判定されたにも拘らず貯留メダルが存在している状態であり、取り込み異常が発生している可能性がある。このため、S319において取込異常が発生している虞がある旨を報知するための取込異常報知が行なわれる。S320においては、リセットボタン86が操作されたか否かが判定される。S320ではリセットボタン86への操作があるまで繰返し実行され、リセットボタン86への操作があった場合にはS319において報知した取込異常報知を解除してS302へ移行する。
【0129】
図8は、制御用マイクロコンピュータ3がS110において実行する差数算出処理の制御内容を示すフローチャートである。差数算出処理においては、S401において遊技機側の投入情報と払出情報、およびユニット側の供給数情報と計数情報に基づいて、遊技者の手持ちメダル数である差数を算出する処理が行なわれる。
【0130】
ここで、遊技機側の投入情報とは、スロットマシン1に投入されて有効に受付けられたメダル数(以下では投入数ともいう)を特定するための情報をいい、遊技機側の払出情報とは、スロットマシン1のメダル払出用のホッパモータが駆動されて払い出されたメダル数(以下では払出数ともいう)を特定するための情報をいう。
【0131】
また、ユニット側の供給数情報とは、誘導ノズル90から排出されたメダル数(以下では供給数ともいう)を特定するための情報をいい、ユニット側の計数情報とは、計数用ホッパモータ58により取り込まれて計数されたメダル数(以下では取込数ともいう)を特定するための情報をいう。
【0132】
よって、遊技者の手持ちメダル数である差数は、たとえば、前回算出された差数(初回は0)に対して、変動があった情報から特定される数を加減算することにより算出される。すなわち、前回算出された差数に対して、誘導ノズル90からメダルが排出されたときには供給数を加算し、計数用ホッパモータ58により取り込まれて計数されたときには取込数を減算し、スロットマシン1にメダルが投入されたときには投入数を減算し、スロットマシン1においてメダル払い出しがあったときには払出数を加算することにより、差数を算出する。なお、差数の算出方法については、これに限らず、遊技者の手持ちメダル数を特定できるものであれば、たとえば、スロットマシン1のクレジット数や、メダル貸出機50の持メダル数などを加味して算出してもよく、どのような算出方法を用いてもよい。
【0133】
S402においては、算出された差数が0以下であるか否かが判定される。差数が0以下であると判定されたときには、S403において貯留内センサ84によりメダルが検出されているか否かが判定される。S403においてメダルが検出されていると判定されたときには、遊技者の手持ちメダルが存在しないにも拘らず貯留メダルが存在している異常な状態であるため、S404において不正報知を行ない、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力し、遊技場店員によりリセットボタン86が操作されるまで無限ループに移行する。
【0134】
一方、S402において差数が0以下でないと判定されたとき、あるいはS403においてメダルが検出されていないと判定されたときには、そのまま差数算出処理を終了する。
【0135】
なお、差数算出処理では、たとえば、新たに紙幣が投入されたときや、ICカードが返却されたときなどに、算出されている差数をリセット(0クリア)される。新たに紙幣が投入されたときやICカードが返却されたときなどは、一の遊技者による一連の遊技が終了したときといえる。このため、一の遊技者による一連の遊技単位で差数を算出することができる。
【0136】
図9は、表示器70の表示状態の一例を説明するための図である。図9(a)は、メダル貸出機50が通常状態であるときの表示状態の一例を説明するための図である。図9(a)では、投入金額として「2000円」が表示され持メダルおよび貯メダルがともに「0枚」であることが表示されている。
【0137】
図9(a)では、投入金額のみしか表示されておらず、実質的に、貸出、計数、あるいは返却のいずれかしかできない。このため、実質的に操作可能となる「貸出ボタン」、「計数ボタン」、および「返却ボタン」が、実質的に操作不可能な「持メダル払出ボタン」、「貯メダル払出ボタン」、「貯メダルボタン」と異なる態様で表示されている。
【0138】
図9(b)は、図6のS209における計数促進報知、および図7のS303における計数中報知の一例を説明するための図である。
【0139】
まず、計数促進報知が行なわれた場合には、図9(a)で示す操作ボタンの表示に代えて、計数ボタンのみが拡大して表示され、図9(b)の左側の表示画面図に示すように、計数ボタンとして、「ここにタッチして計数してください!」といったメッセージが表示されている大きなボタンが表示される。これにより遊技者の計数操作を促進することができる。なお、計数促進報知が開始されてから計数操作されるまでの間においては、スピーカ72から「計数してください!」といった音声が繰り返し出力される。
【0140】
また、計数促進報知が行なわれている状態において計数操作された場合には、図9(b)の右側の表示画面図に示すように、計数ボタンが薄く表示され、その下方において計数中報知が行なわれる。計数中報知としては、「計数しています。しばらくお待ちください」、および今回取込数カウンタの値に応じて「計数中…33枚」といったメッセージが表示される。これにより、遊技者は計数中である旨を特定することができる。
【0141】
図9(c)は、不正あるいは異常が発生したときの表示状態の一例を説明するための図である。図9(a)で示す操作ボタンの表示に代えて、図9(c)に示すように、「異常発生!! しばらくお待ちください!(E02)」といったメッセージが表示される。これにより、不正あるいは異常が発生している旨を報知することができる。なお、不正あるいは異常が発生している旨が報知されている間においては、スピーカ72から特定の効果音が繰り返し出力される。
【0142】
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 前述した実施の形態のようなメダル貸出機50は、遊技機と遊技機との台間という非常に狭い限られた空間に設置されているため、メダル受入口54の横幅を狭くせざるを得ず、その結果として貯留用トレー55aにメダルが存在するか否かを目視では確認し難いところ、図6のS208、S209で示したように、貯留内センサ84によりメダルが検出されたときに、図9(b)で示した計数促進報知が開始される。これにより、メダル受入口54からメダルを投入したものの計数操作することを忘れていたときや、計数可能な位置までメダルが流下せず貯留されたままの状態であることに気付かなかったときなど、計数し忘れが発生しているときに、計数操作を促す計数促進報知が行なわれる。このため、遊技者自身によってその場にいながらメダル計数を可能にすることにより、遊技場運営に要する店員数を削減しかつ遊技機の稼動率を向上させることができるようにしつつ、計数し忘れが発生していることに気付かずそのまま離席してしまい、遊技者が不利益を被ってしまうような不都合の発生を抑止することができる。
【0143】
(2) 前述した実施の形態における計数促進報知は、図7のS318、S321、S322、および図9(b)で示したように、貯留内センサ84によりメダル非検出状態となるまで継続して行なわれる。このため、計数促進報知が行なわれていることを遊技者に気付かせ易くすることができるとともに、計数し忘れをより確実に抑止することができる。
【0144】
(3) 前述した実施の形態においては、図5のS103で示したように、紙幣やICカードの挿入や、表示器70のタッチパネルへの操作などが検出されたとき、すなわちメダル貸出機50に遊技者が注目しているときに、図6のS209で計数促進報知が開始される。このため、計数促進報知が実行されていることを遊技者に気付かせ易くすることができる。
【0145】
(4) 前述した実施の形態においては、紙幣やICカードの返却操作が行なわれたとしても、計数促進報知が行なわれる際には、図6のS210で示したように当該返却操作が無効化されて、紙幣やICカードを返却するための処理も実行されない。このため、紙幣やICカードが返却されるものと比較して、計数し忘れのメダルが存在することに気付かずに、遊技者が離席してしまうことを確実に抑止できる。
【0146】
(5) 前述した実施の形態においては、離席センサ83からの信号に基づいて遊技者が座席に着席している状態から離席した状態に変化したか否かを判定するための処理が行なわれて、離席したと判定されたときにも計数促進報知が開始される。このため、計数し忘れを離席した遊技者に対して報知することができ、計数し忘れのメダルが存在することに気付かず遊技者に不利益を被らせてしまう不都合の発生を抑止することができる。また、手洗い等で一時的に離席する場合にも計数し忘れがある場合には計数促進報知が実行されるが、この場合でも、一時的に離席している間に計数し忘れのメダルを不正行為者によって奪われてしまう不都合の発生を抑止できる点でメリットがある。
【0147】
また、離席により実行される計数促進報知は、その他の事象により実行される計数促進報知よりも、スピーカ72から発せられる音の音量が大きくなるように予め設定されているため、離席した遊技者に対しても気付かせ易くすることができる。
【0148】
(6) 前述した実施の形態では、図8のS401で遊技者の手持ちメダル数である差数が算出され、この算出された差数を用いて、図6のS201〜S203、図8のS402〜S404で示したように、遊技者の手持ちメダルが無いはずであるにも関わらず、貯留内センサ84によりメダルが検出されていることから、遊技場外から持ち込まれたメダルや他の遊技機で遊技を行なう他の遊技者から横流しされたメダルを用いて遊技を行なうなどの不正が行なわれているか否かを判定し、このような不正が行なわれていると判定されたときには、不正が報知される。このため、不正行為を抑止することができ、遊技場のセキュリティを向上させることができる。
【0149】
また、図5のS108あるいはS109において遊技機側情報あるいはユニット側情報が更新されてS110において差数が算出されるときのみならず、S103において操作等が検出されてS104において検出時処理が行なわれるときにも、不正判定を行なうことができる。このため、たとえば、遊技機側情報あるいはユニット側情報が更新されたタイミングにおいて差数が0以下であるが貯留内センサ84によりメダルが検出されていないために不正でないと判定されてから、次回遊技機側情報あるいはユニット側情報が更新されるまでの間に、上記のような不正が行なわれた場合においても、操作等が検出されたタイミングで当該不正が行なわれていることを特定でき報知できる。その結果、不正行為の抑止効果を高め、かつ遊技場のセキュリティをより一層強化することができる。
【0150】
(7) 前述した実施野形態では、図7のS308〜312で示したように、貯留内センサ84が正常であれば、メダル非検出状態において計数されることが起こり得ないメダル枚数が検出されたときに、貯留内センサ故障報知が行なわれるため、メダル貸出機50のメンテナンス性を向上させることができる。
【0151】
次に前述した実施の形態の変形例を挙げる。
(1) 前述した実施の形態における、図6のS203、図7のS307、および図8のS404などでは、不正が発生しているために、不正報知を行なうとともに、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力する例について説明した。しかし、不正が発生していると判定されたときには、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力する一方、不正報知を行なうことなく、かつ不正が発生していないと判定されたときと同じ処理を継続して実行させるようにしてもよい。図6のS203に関連して一例を具体的に説明すると、S202においてYESと判定されたときには、不正時信号をホール管理用コンピュータ100に出力し、検出無効化や不正報知を行なわずに、S204に移行させるようにしてもよい。これにより、不正行為を行なっている遊技者に対して不正行為が判別されていないのではないかと思わせて当該不正行為者に遊技を継続させている間に、ホール管理用コンピュータ100に入力された不正時信号に基づき不正を認識した遊技場店員は準備を整えて、万全の体制で当該不正行為者を取り押さえることができる。その結果、すぐに不正報知が行なわれるものと比較して、不正行為者に逃走され難くすることができる。
【0152】
また、上記のように構成する場合、さらに、たとえば不正が発生したことを特定可能な不正フラグをRAM5に格納しておき、不正行為を行なっている遊技者を取り押さえた際に、遊技場店員がリセットボタン86を操作することにより不正フラグに基づいて、不正が行なわれていた旨を証拠として報知するようにしてもよい。これにより、不正行為を行なっていた遊技者に言い逃れされることを防止することができる。
【0153】
(2) 前述した実施の形態において計数用ホッパモータ58で取り込まれて計数されたメダルは、排出部材94によりメダル貸出機50の外部に排出する例について説明したが、これに限らず、たとえば、計数されたメダルを、外部に排出せずに、当該メダル貸出機50から供給するメダルとして利用可能にしてもよい。たとえば、メダルを上方に揚送する揚送装置をメダル貸出機50に設け、計数用ホッパモータ58で取り込まれて計数されたメダルを、当該揚送装置によって上方に揚送して、供給メダル貯留タンク57aに貯留するようにしてもよい。これにより、供給メダル貯留タンク57aにメダルを補充する回数を低減することができる。
【0154】
このように構成した場合には、さらに、次のような効果が奏される。各スロットマシンに対応してメダルを計数するための計数装置を島の設備として、たとえばスロットマシンのメダル受皿11の下方に設置することも考えられるが、この場合には、スロットマシンを設置する島自体を大幅に工事する必要があり設備投資が大きくなる。このようなものと比較して、上記のメダル貸出機では、台間に設置されている従来のメダル貸出機と交換するだけで、遊技者自身によってその場にいながらメダル計数を可能にするといった設備環境を容易に整えることができる。
【0155】
(3) 前述した実施の形態では、計数促進報知をメダル貸出機50の表示器70やスピーカ72を用いて実行する例について説明した。しかし、計数促進報知は、表示器70やスピーカ72に替えてあるいは加えて、メダル貸出機50のその他の構成、たとえば状態表示灯71を用いて実行するようにしてもよい。また、計数促進報知は、メダル貸出機50のみによって実行するものに限らず、その他の機器を用いて実行するように、当該他の機器に対して報知信号を出力するようにしてもよい。その他の機器としては、たとえば、スロットマシン1などの遊技機自体が備える演出手段(演出ランプ、液晶表示器など)であってもよく、また、遊技機の上方に設けられ当該遊技機に関する情報を報知するための情報報知用装置(データ表示器など)であってもよい。また、計数し忘れが発生したまま離席されるときにのみ、その他の機器を用いて計数促進報知を行なうようにしてもよい。
【0156】
(4) 前述した実施の形態では、貯留内センサ84によりメダルが検出されているときには、返却ボタンを操作したとしても当該操作が無効化されるため、紙幣やICカードが返却されない例について説明した。しかし、貯留内センサ84によりメダルが検出されているときであっても、返却ボタンが操作されたときには、計数促進報知を行ないつつ、紙幣やICカードを返却するようにしてもよい。また、離席センサ83を設けず、離席したことを直接的に判定できないようにしてもよい。
【0157】
このように構成すると、たとえば、返却ボタンを操作したときに計数促進報知が実行されたにも関わらず遊技者に見逃されて、返却されたICカードを持って離席されてしまう不都合が生じ得る。このような不都合を事後的に解消するために、次のような処理を行なうようにしてもよい。たとえば、返却ボタンが操作されたときにおいて貯留内センサ84によりメダルが検出されているときには、計数促進報知を実行しつつ、計数し忘れが発生している旨を特定するための計数し忘れ情報を当該返却されるICカードに記憶して返却する。そして、当該ICカードが当該メダル貸出機に再度挿入されたときには遊技者が計数促進報知に気付いたものとして計数し忘れ情報を消去する一方、当該ICカードが他のメダル貸出機に挿入されたときには未だ遊技者が計数し忘れに気付いていないものとして当該計数し忘れ情報に基づいて計数し忘れが発生している旨を当該他のメダル貸出機において報知するようにしてもよい。
【0158】
また他の方法として、返却ボタンが操作されたときにおいて貯留内センサ84によりメダルが検出されているときには、計数促進報知を実行しつつ、当該ICカードを返却するとともに、当該返却するICカードのカード番号と計数し忘れが発生している旨を特定するための計数し忘れ情報とを対応付けてホール管理用コンピュータ100に出力して記憶させるか、あるいはさらにホール管理用コンピュータ100を介して各メダル貸出機に出力して各メダル貸出機のRAMに記憶させる。そして、当該ICカードが当該メダル貸出機に再度挿入されたときには遊技者が計数促進報知に気付いたものとしてホール管理用コンピュータ100あるいは当該他のメダル貸出機のRAMに記憶されている計数し忘れ情報を消去する一方、当該ICカードが他のメダル貸出機に挿入されたときには、当該ICカードのカード番号に対応付けて計数し忘れ情報がホール管理用コンピュータ100あるいは当該他のメダル貸出機のRAMに記憶されているときには、未だ遊技者が計数し忘れに気付いていないものとして、計数し忘れが発生している旨を報知するようにしてもよい。これにより、離席センサ83を設けずとも、計数し忘れたまま離席されたか否かを特定することができ、計数し忘れたまま離席した遊技者に対して、計数し忘れが発生していた旨を報知することができる。
【0159】
(5) 前述した実施の形態における貯留内センサ84は、貯留用トレー55aの最下端部であって、メダルを計数するための装置との境目のメダルを検出可能な位置に設けた例について説明した。しかし、貯留内センサ84は、このような境目の位置を検出可能に設けるものに限らず、他の箇所と比較してメダルが流下し難くなる箇所におけるメダルを検出可能な位置に設けられたものであればよい。また、前述した実施の形態においては、貯留部内の所定位置のメダルを検出する例について説明したが、これに限らず、複数位置のメダルを検出するように構成してもよく、また、検出位置が特定されたものに限らず、たとえば貯留用トレー55a全体に導通センサを設けるなどして、貯留部内のメダルの有無を検出可能に構成してもよい。
【0160】
(6) 前述した実施の形態におけるメダル貸出機50は、遊技機側情報がホール管理用コンピュータ100を介して受信する例について説明したが、これに限らず、メダル貸出機50である遊技用装置をスロットマシン1である遊技機と直接電気的に接続し、遊技機側情報を遊技機から直接受信するようにしてもよい。
【0161】
(7) 前述した実施の形態では、図7のS301で計数操作を受付けてから、S313で計数センサ65により所定時間メダル検出されないと判定されるまで、計数用ホッパモータ58を駆動させて計数する計数制御を行なう例について説明した。しかし、計数制御(特に計数用ホッパモータ58を回転駆動させる制御)は、計数操作を受付けてから次回計数操作が再度受付けられるまで行なうようにしてもよく、また、計数操作を受付けている間行なうようにしてもよく、また、計数操作を受付けてから所定時間経過するまで行なうようにしてもよい。
【0162】
(8) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0163】
1 スロットマシン、2 制御基板、3 制御用マイクロコンピュータ、50 メダル貸出機、54 メダル受入口、57 供給用ホッパモータ、58 計数用ホッパモータ、60 紙幣識別機、61 ICカード挿入口、63 開放検知センサ、64 供給センサ、65 計数センサ、68 ノズルセンサ、70 表示器、71 状態表示灯、72 スピーカ、83 離席センサ、84 貯留内センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の遊技が行なわれた結果に応じてメダルを払い出す遊技機に対応して設けられ、所定の投入口から投入されたメダルを計数可能な遊技用装置であって、
前記投入口から投入されたメダルを貯留する貯留部と、
貯留されているメダルを前記貯留部から取り込む取込手段と、
前記取込手段によって前記貯留部から取り込まれる取込メダルを検出する取込メダル検出手段と、
操作を受付ける操作手段と、
前記操作手段により所定の操作が受付けられてから所定の終了条件が成立するまで、前記取込手段にメダルを取り込ませるとともに、前記取込メダル検出手段の検出結果に基づいて前記取込メダルを計数するための取込計数制御を行なう取込計数制御手段と、
前記貯留部に貯留されているメダルを検出する貯留メダル検出手段と、
前記貯留メダル検出手段によりメダルが検出されていることを条件として、所定の報知を行なう報知手段とを備えることを特徴とする、遊技用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−111183(P2013−111183A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259075(P2011−259075)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】